JP2014127296A - 電子線照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電動機直結発電機装置を用いることなく、高電位部にあるフィラメントに大地電位部から当該フィラメント加熱用の電力を供給することができるようにする。
【解決手段】 この電子線照射装置は、大地電位部にあるタンク2内に設けられていて高電圧印加部22周りの電界集中を緩和する静電シールド体26と、タンク2内の大地電位部に設けられた送電コイル34と、それに高周波電力を供給する高周波電源40と、静電シールド体26内に設けられていて、電磁誘導によって送電コイル34から送られた電力を受けてそれをフィラメント4に供給する受電コイル36とを備えている。静電シールド体26は、筒状をした非磁性金属で構成されていて、開口部28を有しており、かつ静電シールド体26は、それの周方向を分断している隙間を有している。
【選択図】 図2
【解決手段】 この電子線照射装置は、大地電位部にあるタンク2内に設けられていて高電圧印加部22周りの電界集中を緩和する静電シールド体26と、タンク2内の大地電位部に設けられた送電コイル34と、それに高周波電力を供給する高周波電源40と、静電シールド体26内に設けられていて、電磁誘導によって送電コイル34から送られた電力を受けてそれをフィラメント4に供給する受電コイル36とを備えている。静電シールド体26は、筒状をした非磁性金属で構成されていて、開口部28を有しており、かつ静電シールド体26は、それの周方向を分断している隙間を有している。
【選択図】 図2
Description
この発明は、フィラメントを加熱してそれから発生させた電子を直流高電圧によって加速して電子線として出力する電子線照射装置に関する。より具体的には、高電位部にあるフィラメントに大地電位部から当該フィラメント加熱用の電力を供給する手段の改良に関する。
この種の電子線照射装置の従来例を図1に示す。この電子線照射装置は、フィラメント4を加熱してそれから発生させた電子を直流高電圧VD によって加速して電子線6として出力するものである。
より具体的には、この電子線照射装置は、大地電位部にあるタンク2を備えており、その中に、電子(熱電子)を発生させるフィラメント4、当該フィラメント4から発生させた電子を加速して電子線6として出力する加速管8、フィラメント4および加速管8に前記電子を加速する直流高電圧VD (例えば−150kV〜−5MV程度)を印加する直流高圧電源回路10、および、高電位部にあるフィラメント4に大地電位部から当該フィラメント4の加熱用電力を供給する電動機直結発電機装置(M−G装置)14が設けられている。
直流高電圧VD が印加される部分である高電圧印加部22には、この例では、フィラメント4、加速管8の一端、後述する発電機18および静電シールド体24が接続されており、これらは全て、高電位部にあるということができる。
加速管8は、公知のものであり、通常は複数の電極および複数の分圧抵抗器を有しているが、ここでは分圧抵抗器の図示を省略している(後述する他の図においても同様)。
電動機直結発電機装置14は、高電位部に設けられた発電機18を、電気絶縁性を有する回転軸20を介して、大地電位部に設けられた電動機16によって回転させることによって、発電機18からフィラメント4にその加熱用の電力を供給する構造をしている。即ち、回転軸20によって、直流高電圧VD を電気絶縁している。
電子線6の流量制御は、電動機16の回転数を変化させることによって、発電機18の起電力を制御してフィラメント4に流すフィラメント電流を制御し、それによってフィラメント4から発生させる電子量を制御することによって実現している。
直流高圧電源回路10は、例えば、公知のシェンケル形昇圧回路または公知のコッククロフト・ワルトン形昇圧回路を含んでいる。
直流高電圧VD が高電圧になるほど、回転軸20の絶縁支持方法等に特別な工夫が必要になる。例えば、数段の接続を行い、その中間点で、直流高圧電源回路10の中間点電位で電位固定する等の構造が必要である。これは、回転軸20における電位分担のバランスを良くするためである。
タンク2内において、直流高電圧VD が印加される高電圧印加部22の周り、より具体的にはこの例では、上記フィラメント4、加速管8の頂上部および発電機18の周りは、当該高電圧印加部22周りの電界集中を緩和するものであって上面が閉じた筒状の静電シールド体24によって囲まれている。
上記電動機直結発電機装置14と同様の電動機直結発電機装置を備えた電子線照射装置の例が、例えば特許文献1、2に記載されている。
上述した従来の電子線照射装置は、高電位部にあるフィラメントに大地電位部から当該フィラメント加熱用の電力を供給するために電動機直結発電機装置14を用いているために、次のような課題がある。
(1)電子線照射装置の組立時に、電動機直結発電機装置14の電動機16と発電機18とを接続する回転軸20の位置合わせ調整が必要であり、そのぶん多くの時間を要する。
(2)直流高圧電源回路10は、通常は昇圧回路に多くの整流器およびコンデンサ(またはコンデンサを形成する電極)を含んでおり、そのような直流高圧電源回路10や加速管8の間に回転軸20を通す必要があるので、装置のコンパクト化が難しい。
(3)電動機16を駆動する電源とフィラメント4との間に、電動機16および発電機18という、電気エネルギー→機械エネルギー→電気エネルギーというエネルギー変換手段を介在させているために、フィラメント4に流すフィラメント電流の制御性(応答性等)が悪い。
(4)回転軸20の一端は大地電位部にあり、他端は直流高電圧VD が印加される高電位部にあり、この回転軸20における電位分担のバランスを良くするために、回転軸20に中間電位を付与する構造が必要であり、そのぶん構造が複雑になる。
そこでこの発明は、電動機直結発電機装置を用いることなく、高電位部にあるフィラメントに大地電位部から当該フィラメント加熱用の電力を供給することができる電子線照射装置を提供することを主たる目的としている。
この発明に係る電子線照射装置は、フィラメントを加熱してそれから発生させた電子を直流高電圧によって加速して電子線として出力する電子線照射装置において、大地電位部にあるタンクと、前記タンク内に設けられていて、かつ前記直流高電圧が印加される部分である高電圧印加部に電気的に接続されていて、当該高電圧印加部周りの電界集中を緩和する静電シールド体と、前記タンク内の大地電位部であって前記静電シールド体と対向する部分に設けられた送電コイルと、前記送電コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、前記静電シールド体内に前記送電コイルと対向するように設けられていて、前記送電コイルとの間の電磁誘導によって、前記送電コイルから送られた電力を受けて当該電力を前記フィラメントにそれを加熱するために供給する受電コイルとを備えており、前記静電シールド体は、筒状をした非磁性金属で構成されていて、前記送電コイルと受電コイルとの間に位置する部分に開口部を有しており、かつ前記静電シールド体は、それの周方向を分断している隙間を有している、ことを特徴としている。
この電子線照射装置によれば、タンク内の大地電位部に設けられた送電コイルから、空間を通して電磁誘導によって、静電シールド体内に設けられた受電コイルに電力を送って、高電位部にあるフィラメントにそれを加熱するための電力を供給することができる。従って、電動機直結発電機装置を用いることなく、高電位部にあるフィラメントに大地電位部から当該フィラメント加熱用の電力を供給することができる。
前記静電シールド体は、それを軸方向において複数部分に分断している環状の隙間を更に有しており、かつ分断された各部分は、それぞれ一点で前記高電圧印加部に電気的に接続されている、という構成を採用しても良い。
前記タンクの内面の少なくとも前記送電コイルに対向する領域を、非磁性体であり、かつ当該タンクの材料よりも高導電率の金属で覆っていても良い。
前記タンク内の大地電位部に設けられていて、前記送電コイル周りの電界集中を緩和する第2の静電シールド体を更に備えており、前記第2の静電シールド体は、非磁性金属で構成されていて、前記送電コイルと受電コイルとの間に位置する部分に開口部を有しており、かつ前記第2の静電シールド体は、それの周方向を分断している隙間を有している、という構成を採用しても良い。
請求項1に記載の発明によれば、タンク内の大地電位部に設けられた送電コイルから、空間を通して電磁誘導によって、静電シールド体内に設けられた受電コイルに電力を送って、高電位部にあるフィラメントにそれを加熱するための電力を供給することができる。従って、電動機直結発電機装置を用いることなく、高電位部にあるフィラメントに大地電位部から当該フィラメント加熱用の電力を供給することができる。
その結果、電動機直結発電機装置を用いている場合の前述した課題を解決することができる。即ち、回転軸の位置合わせ調整が不要になるので、装置の組立および調整の簡素化を図ることができる。また、回転軸が不要になるので、直流高圧電源回路や加速管等の他の構成要素の配置が容易になり、かつ回転軸における電位分担のバランスを良くする構造を採用する必要がなくなるので、装置のコンパクト化を図ることができる。更に、送電コイルに高周波電力を供給する高周波電源によって直接、即ち従来のように電気−機械のエネルギー変換手段を介することなく、フィラメントに流すフィラメント電流を制御することができるので、フィラメント電流の制御性(応答性等)が良い。
しかも、静電シールド体は、筒状をした非磁性金属で構成されていて、送電コイルと受電コイルとの間に位置する部分に開口部を有しており、かつ当該静電シールド体は、それの周方向を分断している隙間を有しているので、静電シールド体の本来の電界集中緩和作用を奏することができると共に、静電シールド体内を流れる渦電流を抑制することができる等によって、送電コイルから受電コイルへの電力伝送効率を向上させることができる等の効果を奏することができる。
これを詳述すると、静電シールド体は非磁性金属で構成されているので、静電シールド体内において大きな渦電流損が発生することを抑制して、静電シールド体の局部的な加熱を抑制することができる。渦電流損抑制に伴い、送電コイルから受電コイルへの電力伝送効率も向上する。更に、仮に静電シールド体が磁性金属で構成されていると、その中を磁束が多く通って磁束が受電コイルと鎖交しにくくなって、送電コイルと受電コイルとの磁気結合が悪くなり、電力伝送効率を低下させるけれども、非磁性金属を採用しているのでそのような電力伝送効率低下を抑制することができる。
更に、静電シールド体は開口部を有しているので、当該開口部では静電シールド体を介在させずに送電コイルからの磁束を通すことができる。仮に、開口部を設けずに静電シールド体を介在させると、その中で渦電流が流れて逆方向磁束が発生して、送電コイルと受電コイルとの磁気結合が悪くなるけれども、上記開口部を有していることによってそれを抑制することができるので、送電コイルから受電コイルへの電力伝送効率を向上させることができる。
更に、静電シールド体はそれの周方向を分断している隙間を有しているので、静電シールド体内を周回しようとする渦電流を阻止することができる。仮に、静電シールド体内を周回する渦電流が流れると、それによって逆方向磁束が発生して、送電コイルと受電コイルとの磁気結合が悪くなるけれども、上記隙間を有していることによってそれを抑制することができるので、このような観点からも、送電コイルから受電コイルへの電力伝送効率を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、静電シールド体は、それを軸方向において複数部分に分断している環状の隙間を更に有しているので、静電シールド体の側面において、軸方向の流れ成分を含んで循環しようとする渦電流をも阻止することができる。更に、静電シールド体の上記分断された各部分は、それぞれ一点で高電圧印加部に電気的に接続されているので、この電気的な接続ラインを経由しての閉ループ形成を防止して、上記分断された各部分間を渦電流が流れることをも阻止することができる。その結果、送電コイルから受電コイルへの電力伝送効率をより向上させることができる。
請求項3に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、タンクの内面の少なくとも送電コイルに対向する領域を、非磁性体であり、かつ当該タンクの材料よりも高導電率の金属で覆っているので、送電コイル近傍のタンク内で発生する渦電流損を小さくすることができる。これは、送電コイルに供給する電力は高周波電力であり、高周波の場合は、タンクに通常使用される鉄板のように磁性体で導電率が小さいと大きな渦電流損が発生するので、タンク内面を上記の非磁性体で高導電率の金属で覆うことによって、渦電流損を小さくすることができるからである。その結果、タンクの局部的な加熱を抑制することができると共に、送電コイルから受電コイルへの電力伝送効率をより向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、第2の静電シールド体を備えているので、送電コイルを設けていても、その周りの電界集中を緩和することができる。その結果、放電等の不具合発生を抑制することができる。しかも、第2の静電シールド体も、請求項1中の静電シールド体と同様に非磁性金属で構成されており、かつ開口部および隙間を有しているので、請求項1中の静電シールド体が奏する上記効果と同様の効果を奏することができる。
図2に、この発明に係る電子線照射装置の一実施形態を示す。図1に示した従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主体に説明する。
この電子線照射装置は、フィラメント4を加熱してそれから発生させた電子を直流高電圧VD によって加速して電子線6として出力するものである。
より具体的には、この電子線照射装置は、電気的に接地されていて大地電位部にあるタンク2を備えており、その中に、電子(熱電子)を発生させるフィラメント4、当該フィラメント4から発生させた電子を加速して電子線6として出力する加速管8、フィラメント4および加速管8に前記電子を加速する直流高電圧VD を印加する直流高圧電源回路10が設けられている。
タンク2内には、通常は、絶縁ガス(例えばSF6 ガス)が充填されている。後述するタンク2a、2b内も同様である。
フィラメント4は、より具体的には、加速管8の一端部(頂上部)内に設けられている。
加速管8は、公知のものであり、通常は複数の電極および複数の分圧抵抗器を有しているが、ここでは分圧抵抗器の図示を省略している(後述する他の図においても同様)。
直流高圧電源回路10から出力する直流高電圧VD は、例えば、−150kV〜−5MV程度であるが、これに限られるものではない。この直流高電圧VD が印加される部分である高電圧印加部22には、この例では、フィラメント4の一端、加速管8の一端、後述する静電シールド体26および受電コイル36の一端が接続されており、これらは全て、高電位部にあるということができる。
直流高圧電源回路10は、例えば、特許第4992649号公報、特開平11−225476号公報等に記載されているような公知のシェンケル形昇圧回路を含んでいる。シェンケル形昇圧回路を含む直流高圧電源回路10のより具体例を図13中に示している。
直流高圧電源回路10は、シェンケル形のものに限られるものではなく、それ以外の直流高圧電源回路でも良い。例えば、特開2007−37268号公報等に記載されているような公知のコッククロフト・ワルトン形昇圧回路を含んでいても良い。
タンク2内において、直流高電圧VD が印加される高電圧印加部22の周りは、より具体的にはこの例では、少なくとも上記フィラメント4および加速管8の一端部(頂上部)の周りは、これらの周りの電界集中を緩和する筒状の静電シールド体26によって囲まれている。
静電シールド体26のより具体例を図5〜図10に示す。筒状の静電シールド体26の軸方向E(図7等参照)の長さは、図示例のようなものより短い場合もあるし、長い場合もある。また、側面が傾いていても良い。
タンク2内の大地電位部であって静電シールド体26と対向する部分に送電コイル34を設けている。この例では、送電コイル34をタンク2内の上部に設けているが、タンク2内の側部に設けても良い。その場合は、後述する受電コイル36も、当該側部の送電コイル34に対向するように設ければ良い。この送電コイル34の一端および後述する高周波電源40の一端は電気的に接地されている。
この送電コイル34に高周波電力を供給して磁束38を発生させる高周波電源40を、この例ではタンク2外に設けている。42は電流導入端子である。但しこの高周波電源40は、タンク2内に設けても良い。高周波だから磁束38の向きは周期的に反転する。この高周波電源40が出力する高周波電力の周波数は、例えば、10kHz〜300kHz程度の範囲内、より具体的には20kHz〜50kHz程度の範囲内であるが、これに限られるものではない。
静電シールド体26内に、送電コイル34と対向するように、換言すれば送電コイル34とほぼ平行に沿うように、受電コイル36を設けている。この受電コイル36は、送電コイル34との間の電磁誘導によって、送電コイル34から送られた電力を受けて、当該電力をフィラメント4にそれを加熱するために供給する。受電コイル36とフィラメント4との間に、電圧降圧等のための変圧器(フィラメント変圧器)を介在させても良い。後述する他の実施形態においても同様である。
上記高周波電源40、送電コイル34、受電コイル36およびフィラメント4周りの等価回路の例を図3、図4に示す。L1 、r1 は、それぞれ、送電コイル34の自己インダクタンス、抵抗であり、L2 、r2 は、それぞれ、受電コイル36の自己インダクタンス、抵抗であり、Mは両コイル間の相互インダクタンスである。C1 は一次側の静電容量、C2 は二次側の静電容量である。両静電容量C1 、C2 は、コンデンサとして設けても良いし、送電コイル34、受電コイル36を構成するコイルの電線間やレイヤー間の静電容量を利用しても良い。
図3は、静電容量C1 を並列接続した例であり、図4は静電容量C1 を直列接続した例であり、いずれも採り得る。静電容量C2 も、図示例のように並列接続でも良いし、直列接続でも良い。要は、所望のリアクタンスが得られるように構成すれば良い。
運転条件の一例として、高周波電源40の周波数において、送電コイル34側の回路と受電コイル36側の回路が共振するようにしても良い。そのようにすると、送電コイル34から受電コイル36へ効率良く電力を伝送することができる。
また、高周波電源40の周波数においてインダクタンスL2 と静電容量C2 が共振するように設定し、高周波電源40から見て力率を1(またはほぼ1)にするのに不足分の無効電力を静電容量C1 で補償するようにしても良い。そのようにすると、高周波電源40としては有効電力のみを供給すれば良いので、受電コイル36に効率良く電力を供給することができる。
上記のような送電コイル34および受電コイル36を用いて電力伝送を行う場合、受電コイル36を収納している静電シールド体26が図1に示したような従来の静電シールド体24と同じ構造をしていたのでは、静電シールド体内に大きな渦電流が流れて逆方向磁束(逆方向になるのはレンツの法則による。以下同様)が発生する等の理由によって、効率の良い電力伝送を行うことはできない。そのために、静電シールド体26には次のような特別な構造を採用している。それを図5〜図10をも参照して説明する。
静電シールド体26は、例えばアルミニウム、銅等の非磁性金属で構成されている。アルミニウムは、軽くて安価であるという特徴を有している。
静電シールド体26は、送電コイル34と受電コイル36との間に位置する部分(換言すれば、送電コイル34に面する側の部分)に開口部28を有している。この開口部28の近くに受電コイル36を配置している。
静電シールド体26は、それの周方向D(図7等参照)を分断している隙間30を有している。隙間30は、この例ではスリット状をしており、スリットと言うこともできる。隙間30は、図8に示す例のような斜め等でも良い。要は、静電シールド体26の周方向Dを分断して、図7等中の矢印Fで示すように(またはその逆方向に)、静電シールド体26内を周方向Dに周回しようとする渦電流を阻止できれば良い。
なお、図5、図6、図9に示すように、静電シールド体26の各部分の端部は、各端部付近での電界集中を緩和するために、丸くしている。開口部28を囲む端部27(図6参照)を、他の端部に比べて大きなアール(半径)で丸くしているのは、その近くに受電コイル36があって電界の乱れが大きくなりやすく、それをうまく緩和するためである。
この電子線照射装置によれば、タンク2内の大地電位部に設けられた送電コイル34から、空間を通して電磁誘導によって、静電シールド体26内に設けられた受電コイル36に電力を送って、高電位部にあるフィラメント4にそれを加熱するための電力を供給することができる。従って、従来例のような電動機直結発電機装置を用いることなく、高電位部にあるフィラメント4に大地電位部から当該フィラメント4加熱用の電力を供給することができる。
その結果、電動機直結発電機装置を用いている場合の前述した課題を解決することができる。
即ち、回転軸の位置合わせ調整が不要になるので、装置の組立および調整の簡素化を図ることができる。
また、回転軸が不要になるので、直流高圧電源回路や加速管等の他の構成要素の配置が容易になり、かつ回転軸における電位分担のバランスを良くする構造を採用する必要がなくなるので、装置のコンパクト化を図ることができる。
更に、送電コイル34に高周波電力を供給する高周波電源によって直接、即ち従来のように電気−機械のエネルギー変換手段を介することなく、フィラメント4に流すフィラメント電流を制御することができるので、フィラメント電流の制御性(応答性等)が良い。例えば、電子線6の流量、即ち電子線電流は、直流高圧電源回路10の出力電流を例えば電流計12で測定することによって測定することができるので、この測定した電子線電流が所望の値になるように、高周波電源40から送電コイル34に供給する高周波電力を制御することによって、フィラメント電流を所望の値に応答性良く制御することができる。
しかも、静電シールド体26は、筒状をした非磁性金属で構成されていて、送電コイル34と受電コイル36との間に位置する部分に開口部28を有しており、かつ当該静電シールド体26は、それの周方向Dを分断している隙間30を有しているので、静電シールド体26の本来の電界集中緩和作用を奏することができると共に、静電シールド体26内を流れる渦電流を抑制することができる等によって、送電コイル34から受電コイル36への電力伝送効率を向上させることができる等の効果を奏することができる。
これを詳述すると、静電シールド体26は非磁性金属で構成されているので、静電シールド体26内において大きな渦電流損が発生することを抑制して、静電シールド体26の局部的な加熱を抑制することができる。非磁性金属の場合に渦電流損が小さくなる理由の詳細は、後述する金属44についての説明の所で一括して説明する。渦電流損抑制に伴い、送電コイル34から受電コイル36への電力伝送効率も向上する。更に、仮に静電シールド体26が磁性金属で構成されていると、その中を磁束38が多く通って磁束38が受電コイル36と鎖交しにくくなって、送電コイル34と受電コイル36との磁気結合が悪くなり、電力伝送効率を低下させるけれども、非磁性金属を採用しているのでそのような電力伝送効率低下を抑制することができる。
更に、静電シールド体26は開口部28を有しているので、当該開口部28では静電シールド体を介在させずに送電コイル34からの磁束38を通すことができる。仮に、開口部28を設けずに静電シールド体26を介在させると、その中で渦電流が流れて逆方向磁束(逆方向になるのは前述したようにレンツの法則による)が発生して、送電コイル34が発生する磁束38を打ち消す働きをして、送電コイル34と受電コイル36との磁気結合が悪くなるけれども、上記開口部28を有していることによってそれを抑制することができるので、送電コイル34から受電コイル36への電力伝送効率を向上させることができる。この観点からは、開口部28の大きさは、受電コイル36の外形寸法と同程度またはそれよりも幾分大きくするのが好ましい。但しそれに限定されるものではない。
更に、静電シールド体26はそれの周方向Dを分断している隙間30を有しているので、図7等中に矢印Fで示すように(またはその逆方向に)、静電シールド体26内を周方向Dに周回しようとする渦電流を阻止することができる。仮に、静電シールド体26内を周回する渦電流が流れると、それによって逆方向磁束が発生して、送電コイル34が発生する磁束38を打ち消す働きをして、送電コイル34と受電コイル36との磁気結合が悪くなるけれども、上記隙間30を有していることによってそれを抑制することができるので、このような観点からも、送電コイル34から受電コイル36への電力伝送効率を向上させることができる。
次に、この発明に係る電子線照射装置の他の実施形態を説明する。先に説明した実施形態と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては先に説明した実施形態との相違点を主体に説明する。
例えば図9、図10に示す例のように、静電シールド体26は、それを軸方向E(図10参照)において複数部分に(この例では二つの部分に)分断している環状の隙間32を更に有していても良い。分断された各部分26a、26bは、それぞれ一点47a、47bで前述した高電圧印加部22(図2参照)に電気的に接続されている。環状の隙間32を軸方向Eに二つ以上設けることによって静電シールド体26を軸方向Eに三つ以上に分断して、上記と同様にしても良い。隙間32は、この例ではスリット状をしており、スリットと言うこともできる。
このような構成を採用したことによって、次の更なる効果を奏する。即ち、静電シールド体26は、それを軸方向Eにおいて複数部分に分断している環状の隙間32を更に有しているので、図10中に矢印Gで示すように(またはその逆方向に)、静電シールド体26の側面において、軸方向Eの流れ成分を含んで循環しようとする渦電流をも阻止することができる。隙間32を設けていないと上記のような渦電流が発生する可能性があるのは、送電コイル34が発生した磁束38(図2参照)は通常は広がりを持っているので、当該磁束38が静電シールド体26の側面と鎖交する可能性があるからである。
更に、静電シールド体26の上記分断された各部分26a、26bは、それぞれ一点47a、47bで高電圧印加部22に電気的に接続されているので、この電気的な接続ラインを経由しての閉ループ形成を防止して、上記分断された各部分26a、26b間を渦電流が流れることをも阻止することができる。
上記の結果、図9、図10を参照して説明したような静電シールド体26の構成を採用することによって、送電コイル34から受電コイル36への電力伝送効率をより向上させることができる。
静電シールド体26の上記構成は、後で図12、図13を参照して説明する他の実施形態においても採用することができる。
ところで、タンク2は、通常は、鉄のような磁性体金属で構成されている。このタンク2内に設けられている送電コイル34が発生する磁束38はこのタンク2の壁面を横切ることになり、そのままだと、タンク2の壁面内で大きな渦電流損が発生する恐れがある。そこでこれを解消するために、次に述べるような金属44を設けても良い。
即ち、図2に示す例のように、タンク2の内面の少なくとも送電コイル34に対向する領域を、非磁性体であり、かつタンク2の材料よりも高導電率の金属44で覆っていても良い。図2の例では、金属44は、送電コイル34に対向する領域よりも幾分大きい領域を覆っている。
金属44の材質は、例えば、銅、アルミニウム等である。即ち金属44は、例えば、銅板、アルミニウム板等である。
金属44は、この例では、金属製のボルト46によって、タンク2の内面に固定されているけれども、この固定方法に限られるものではない。
送電コイル34近傍のタンク2内面を上記金属44で覆っておくと、送電コイル34近傍のタンク2内で発生する渦電流損を小さくすることができる。これは、送電コイル34に高周波電源40から供給する電力は前述したような周波数の高周波電力であり、高周波の場合は、タンク2に通常使用される鉄板のように磁性体で導電率が小さいと大きな渦電流損が発生するので、タンク内面を上記の非磁性体で高導電率の金属44で覆うことによって、渦電流損を小さくすることができるからである。
この渦電流損について詳述すると次のとおりである。
前述したような周波数fの高周波磁場印加によってタンク2や金属44のような金属内に流れる渦電流は、表皮効果のために、送電コイル34側のごく薄い表面(次の数1で表される表皮厚さδ程度)に集中して流れる。そのために、渦電流路の抵抗Re は数2で示すようになり、金属の透磁率μの平方根に比例し、導電率σの平方根に反比例する。ここで、Aは渦電流路の幅、Lは渦電流路の長さである。
[数1]
δ=√(1/πfμσ)
δ=√(1/πfμσ)
[数2]
Re =L/σδA∝√(πfμ/σ)
Re =L/σδA∝√(πfμ/σ)
金属と鎖交する磁束の時間微分である誘電電圧をVe とすると、商用周波数(50Hzまたは60Hz)の場合は、一般的に渦電流損はVe 2 /Re で与えられるけれども、上記のような周波数fの高周波の場合は、渦電流経路のリアクタンス成分Xe が無視できなくなり、渦電流Ie ≒Ve /Xe で与えられるようになる。即ち、Ve およびXe が一定ならば渦電流Ie はほぼ一定になる。従って、渦電流損Pe は、次式で近似することができる。
[数3]
Pe =Ie 2 ・Re ∝Ie 2 √(πfμ/σ)
Pe =Ie 2 ・Re ∝Ie 2 √(πfμ/σ)
上記数3からも分るように、鉄などのように磁性体や抵抗率の大きな金属(即ち透磁率μが大きく導電率σが小さい金属)は、抵抗Re が大きくなり大きな渦電流損Pe が発生する。
これに対して、タンク2の内表面を、上記のように非磁性体で高導電率の金属44(即ち透磁率μが小さく導電率σが大きい金属)で覆うと、上記数3からも分るように、金属44内においては、渦電流は小さな抵抗Re で流れるようになり、従って渦電流損Pe を小さくすることができる。
一例を示すと、タンク2用に一般的な熱間圧延鋼板(SS400)と、金属44の一例として用いられる銅板とを比較すると、SS400の導電率σは約6.1×106 /Ωm、比透磁率は約1300である。銅板の導電率σは約5.8×107 /Ωm、比透磁率は約1である。従って、仮に両者に同じ高周波磁場が印加されたとすると、SS400に比べて銅板内における渦電流損Pe は約1/100になる。従って、金属44を設けない場合のタンク2内での渦電流損よりも、金属44を設けた場合の当該金属44内での渦電流損の方が、上記程度に小さくなることが期待できる。
但し、図2に示す装置では、送電コイル34が発生させる磁束38は、金属44内を流れる渦電流が作る反対方向の磁束によって言わば遮蔽されるようになり、タンク2へは殆ど届かなくなる、つまり送電コイル34の背面側の磁束38は主として送電コイル34と金属44との間を通るようになるけれども、幾らかはタンク2内を通る。それでも、タンク2内を通る磁束は非常に少なくなるので、タンク2内での渦電流損も小さくなる。この場合のタンク2内での渦電流損と金属44内での渦電流損とを合計しても、金属44で覆わない場合のタンク2内での渦電流損よりは小さくなる。例えば約1/5以下程度になることが期待できる。
このように、送電コイル34近傍のタンク2内面を金属44で覆うことによって渦電流損を小さくすることができるので、タンク2の局部的な加熱を抑制することができると共に、送電コイル34から受電コイル36への電力伝送効率をより向上させることができる。
なお、金属44でタンク2の内面を覆う領域を広くする方が、上記効果は大きくなる。
金属44は、タンク2の電位に固定しておけば良い。この例では、金属製のボルト46によって、金属44をタンク2に電気的に導通させている。金属44とタンク2とが電気的に導通しても、金属44とタンク2の渦電流路が並列になるだけであり、その場合の渦電流路の合計抵抗は金属44の渦電流路の抵抗より大きくなることはないので、支障はない。
タンク2内に上記送電コイル34を設けると、送電コイル34はタンク2と同じく大地電位部にあるけれども、静電シールド体26との間の距離や送電コイル34の形状等によっては、送電コイル34に(特にその端部に)電界が集中することが起こり得る。これを解消するために、図11に示す例のように、タンク2内の大地電位部に設けられていて、送電コイル34周りの電界集中を緩和する第2の静電シールド体48を更に設けても良い。静電シールド体48は電気的に接地している。この静電シールド体48を設けることによって、送電コイル34を設けていても、送電コイル34周りの電界集中を緩和することができる。その結果、放電等の不具合発生を抑制することができる。
静電シールド体48は、図11に示す例のように送電コイル34の周りを囲む環状(リング状)のものでも良いし、送電コイル34の周りを囲む筒状のものでも良い。環状の場合は、静電シールド体48は図示例のように中空(即ちパイプ状)でも良いし、中実(即ち中が詰まっているもの)でも良い。
いずれの形状の場合も、静電シールド体48には送電コイル34が発生する磁束が及ぶので、静電シールド体48は、前述した静電シールド体26の場合と同様に、非磁性金属(例えばアルミニウム、銅等)で構成されており、かつ送電コイル34と受電コイル36との間に位置する部分(換言すれば受電コイル36に面する側の部分)に開口部49を有している。更に当該静電シールド体48は、それの周方向を分断している隙間50を有している。静電シールド体48が筒状の場合は、隙間50はスリット状をしており、スリットと言うこともできる。この隙間50によって、図11中に矢印Hで示すように(またはその逆方向に)、静電シールド体48内を周方向に周回しようとする渦電流を阻止することができる。
この第2の静電シールド体48は、非磁性金属で構成されていて、上記開口部49および隙間50を有しているので、前述した静電シールド体26の場合と同様に、静電シールド体48の本来の電界集中緩和作用を奏することができると共に、静電シールド体48内を流れる渦電流を抑制することができる等によって、送電コイルから受電コイル36への電力伝送効率を向上させることができる等の効果を奏することができる。
即ち、静電シールド体48が非磁性金属で構成されていることによる作用効果は、前述した静電シールド体26が非磁性金属で構成されていることによる前述した作用効果と同様であり、静電シールド体48が開口部49を有している作用効果は、前述した静電シールド体26が開口部28を有している作用効果と同様であり、静電シールド体48が隙間50を有していることによる作用効果は、前述した静電シールド体26が隙間30を有している作用効果と同様であるので、ここでは重複説明を省略する。
上記フィラメント4および加速管8等と、直流高圧電源回路10とを、互いに別のタンク内に収納しても良い。換言すれば、前述したタンク2を、図12、図13に示す例のように、フィラメント4および加速管8等を収納している加速部タンク2aと、直流高圧電源回路10等を収納している電源タンク2bとに分けて構成しても良い。
図12に示す例では、加速部タンク2a内に上記フィラメント4、加速管8、静電シールド体26、送電コイル34、受電コイル36および金属44を収納しており、電源タンク2b内に上記直流高圧電源回路10を収納している。そして、直流高圧電源回路10から出力する直流高電圧VD を、導体58を通して、加速部タンク2a内の高電圧印加部22に印加するようにしている。52、53は絶縁物である。導体58は、例えば、通電ダクト、電力ケーブル等である。
この図12に示す実施形態も、図2等を参照して先に説明した実施形態の場合と同様の作用効果を奏することができる。
図13に示す例では、加速部タンク2a内に上記フィラメント4、加速管8および静電シールド体62を収納している。静電シールド体62は、上記静電シールド体26に代わるものであり、上記直流高電圧VD が印加される高電圧印加部22に電気的に接続されていて、当該高電圧印加部22周りの電界集中を緩和するものである。即ち、高電圧印加部22の周りは、より具体的にはこの例では、少なくともフィラメント4および加速管8の一端部(頂上部)の周りは、静電シールド体62によって囲まれている。この静電シールド体62の構造は公知のもので良い。
また、図13に示す例では、電源タンク2b内に、上記直流高圧電源回路10の他に、前述した静電シールド体26、送電コイル34、受電コイル36および金属44を収納している。
この例の直流高圧電源回路10は、簡略化して図示しているけれども、公知のシェンケル形昇圧回路を含んでいる。即ちこの直流高圧電源回路10は、半円筒状をしていて互いに向かい合うように配置された一対の高周波電極66と、この一対の高周波電極66の内側に、各高周波電極66との間に隙間をあけて対向して静電容量をそれぞれ形成するように、かつ複数段に配置された半円筒状の複数のキャパシタ電極68と、各キャパシタ電極68間、および、1段目のキャパシタ電極68とグラウンド間を同一の向きで順次接続している複数の整流器70とを備えている。最上段のキャパシタ電極68と出力端部71との間も、上記と同じ向きの整流器70によって接続されている。
上記一対の高周波電極66間に、高周波電源64から、必要に応じて昇圧コイル(図示省略)を介在させて、高周波電力を供給することによって、電圧の昇圧および整流を行って、出力端部71から前述した直流高電圧VD を出力することができる。
電源タンク2b内において、直流高電圧VD が印加される高電圧印加部72の周りは、より具体的にはこの例では、少なくとも出力端部71の周りは、その周りの電界集中を緩和する前述した静電シールド体26によって囲まれている。この静電シールド体26内に、前述した受電コイル36を設けている。
この受電コイル36から出力する電力は、導体60、61を通して、加速部タンク2a内のフィラメント4にそれを加熱するために供給される。54、55は絶縁物である。直流高圧電源回路10から出力する直流高電圧VD は、一方の導体(この例では導体60)を通して、加速部タンク2a内の高電圧印加部22に供給される。導体60、61は、例えば、通電ダクト、電力ケーブル等である。
なお、受電コイル36とフィラメント4との間に、前述したフィラメント変圧器を介在させる場合は、例えば、当該フィラメント変圧器をフィラメント4に近い静電シールド体62内に配置すれば良い。
この実施形態における静電シールド体26、送電コイル34、受電コイル36、高周波電源40および金属44等の構成、作用効果等は、図2等を参照して先に説明した実施形態におけるものと同様であるので、ここでは重複説明を省略する。
従ってこの図13に示す実施形態も、図2等を参照して先に説明した実施形態の場合と同様の作用効果を奏することができる。
なお、イオンビームを高電圧で加速するイオンビーム照射装置(例えばイオン注入装置)には、高電位部にあってフィラメントを含むイオン源に、大地電位部から当該フィラメント加熱用の電力を供給する構成のものがあり、そのようなイオンビーム照射装置に、上述した送電コイル34および受電コイル36等を用いて空間を通して電磁誘導によってフィラメント加熱用電力を供給するという技術を適用することもできる。
この発明に係る電子線照射装置は、例えば、被照射物に電子線を照射して、当該被照射物に殺菌、架橋、改質、排ガス処理(脱硫、脱硝等)等の処理を施すこと等に利用することができる。
2 タンク
4 フィラメント
6 電子線
8 加速管
10 直流高圧電源回路
22 高電圧印加部
26 静電シールド体
28 開口部
30、32 隙間
34 送電コイル
36 受電コイル
40 高周波電源
44 タンク内面を覆う金属
48 第2の静電シールド体
72 高電圧印加部
VD 直流高電圧
4 フィラメント
6 電子線
8 加速管
10 直流高圧電源回路
22 高電圧印加部
26 静電シールド体
28 開口部
30、32 隙間
34 送電コイル
36 受電コイル
40 高周波電源
44 タンク内面を覆う金属
48 第2の静電シールド体
72 高電圧印加部
VD 直流高電圧
Claims (4)
- フィラメントを加熱してそれから発生させた電子を直流高電圧によって加速して電子線として出力する電子線照射装置において、
大地電位部にあるタンクと、
前記タンク内に設けられていて、かつ前記直流高電圧が印加される部分である高電圧印加部に電気的に接続されていて、当該高電圧印加部周りの電界集中を緩和する静電シールド体と、
前記タンク内の大地電位部であって前記静電シールド体と対向する部分に設けられた送電コイルと、
前記送電コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、
前記静電シールド体内に前記送電コイルと対向するように設けられていて、前記送電コイルとの間の電磁誘導によって、前記送電コイルから送られた電力を受けて当該電力を前記フィラメントにそれを加熱するために供給する受電コイルとを備えており、
前記静電シールド体は、筒状をした非磁性金属で構成されていて、前記送電コイルと受電コイルとの間に位置する部分に開口部を有しており、
かつ前記静電シールド体は、それの周方向を分断している隙間を有している、ことを特徴とする電子線照射装置。 - 前記静電シールド体は、それを軸方向において複数部分に分断している環状の隙間を更に有しており、かつ分断された各部分は、それぞれ一点で前記高電圧印加部に電気的に接続されている請求項1記載の電子線照射装置。
- 前記タンクの内面の少なくとも前記送電コイルに対向する領域を、非磁性体であり、かつ当該タンクの材料よりも高導電率の金属で覆っている請求項1または2記載の電子線照射装置。
- 前記タンク内の大地電位部に設けられていて、前記送電コイル周りの電界集中を緩和する第2の静電シールド体を更に備えており、
前記第2の静電シールド体は、非磁性金属で構成されていて、前記送電コイルと受電コイルとの間に位置する部分に開口部を有しており、
かつ前記第2の静電シールド体は、それの周方向を分断している隙間を有している請求項1、2または3記載の電子線照射装置。
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Cited By (4)
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WO2017090129A1 (ja) * | 2015-11-25 | 2017-06-01 | 株式会社日立製作所 | 荷電粒子線装置 |
JP7231001B1 (ja) | 2021-12-13 | 2023-03-01 | 株式会社Nhvコーポレーション | 電子線照射装置 |
JP7494386B2 (ja) | 2021-04-15 | 2024-06-03 | 株式会社日立ハイテク | 荷電粒子線装置 |
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2012
- 2012-12-26 JP JP2012282084A patent/JP2014127296A/ja active Pending
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