JP2014094621A - 駆動力配分装置及び四輪駆動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の大型化を抑制しながら二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行を迅速に行うことが可能な駆動力配分装置、及び四輪駆動車を提供する。
【解決手段】入力された駆動力を四輪駆動車1の後輪19L,19Rに連結されたドライブシャフト18L,18Rに配分して出力する駆動力配分装置1は、デフケース20と、デフケース20に収容された第1のサイドギヤ31及び第2のサイドギヤ32と、第1のサイドギヤ31に相対回転不能に連結された中間駆動軸4と、中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとを遮断状態又は接続状態にする噛み合いクラッチ5と、第1のサイドギヤ31及び第2のサイドギヤ32に噛み合うピニオンギヤ6と、ピニオンギヤ6のデフケース20に対する回転を規制する回転規制機構7とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】入力された駆動力を四輪駆動車1の後輪19L,19Rに連結されたドライブシャフト18L,18Rに配分して出力する駆動力配分装置1は、デフケース20と、デフケース20に収容された第1のサイドギヤ31及び第2のサイドギヤ32と、第1のサイドギヤ31に相対回転不能に連結された中間駆動軸4と、中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとを遮断状態又は接続状態にする噛み合いクラッチ5と、第1のサイドギヤ31及び第2のサイドギヤ32に噛み合うピニオンギヤ6と、ピニオンギヤ6のデフケース20に対する回転を規制する回転規制機構7とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、駆動力配分装置、及び駆動力配分装置を備えた四輪駆動車に関する。
従来、駆動源(エンジン)の駆動力を前輪に常時伝達すると共に、車両の走行状態に応じてプロペラシャフトを介して後輪にも駆動力を配分する四輪駆動車(パートタイム4WD車)が知られている。この種の四輪駆動車には、駆動力伝達経路におけるプロペラシャフトの上流側及び下流側でプロペラシャフトとの連結を遮断する機構を備えたものがある。このような機構を備えた四輪駆動車は、前輪のみを駆動する二輪駆動時にプロペラシャフトの回転を停止させ、プロペラシャフトの回転に伴って発生する回転抵抗による動力損失を低減し、燃費を改善することが可能である。
特許文献1に第8の実施例として記載された四輪駆動車は、変速ギヤボックスとプロペラシャフトとの間、及び後輪のディファレンシャル装置と左後輪との間に噛み合いクラッチ(ドッグクラッチ)を設け、二輪駆動時にはこれらの噛み合いクラッチを開状態とし、プロペラシャフトの回転を停止する。また、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行時には、変速ギヤボックスとプロペラシャフトとの間に設けられた噛み合いクラッチの同期化装置によってプロペラシャフトを回転させ、この噛み合いクラッチの同期が完了次第、変速ギヤボックスとプロペラシャフトとをトルク伝達可能に連結する。
この噛み合いクラッチは、変速ギヤボックス側に連結された第1のクラッチパーツと、プロペラシャフト側に連結された第2のクラッチパーツと、第1のクラッチパーツ及び第2のクラッチパーツの間に介在するクラッチリングと、クラッチリングに固定された筒状の同期化フープとを備えている。クラッチリングは、モータによって進退移動する移動フォークに回転可能に連結され、移動フォークと共に軸方向に移動可能である。第2のクラッチパーツとクラッチリングとは、相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。
クラッチリングが第1のクラッチパーツ側に移動すると、クラッチリングに固定された同期化フープが第1のクラッチパーツに接触し、この接触部における摩擦力によって第1のクラッチパーツとクラッチリングとの差動回転が抑制される。二輪駆動時には、第2のクラッチパーツ及びクラッチリングならびにプロペラシャフトの回転が停止しているので、第1のクラッチパーツの回転力が同期化フープを介してクラッチリング及び第2のクラッチパーツに伝達され、プロペラシャフトが回転停止状態から加速される。
第2のクラッチパーツの回転速度が第1のクラッチパーツの回転速度と同等となると、すなわち第2のクラッチパーツと第1のクラッチパーツとの回転が同期すると、移動フォークを移動させるモータの制御によってクラッチリングがさらに第1のクラッチパーツ側に移動し、クラッチリングが第1のクラッチパーツに係合する。これにより、第1のクラッチパーツと第2のクラッチパーツとがクラッチリングによって相対回転不能に連結され、前輪及び後輪に駆動源の駆動力が伝達される四輪駆動状態となる。
特許文献1に記載の四輪駆動車は、同期化フープと第1のクラッチパーツとの間の摩擦力によってプロペラシャフトの回転が加速される。つまり、第1のクラッチパーツと第2のクラッチパーツとをクラッチリングによって連結するには、同期化フープが第1のクラッチパーツから受ける摩擦力によってプロペラシャフトを加速し、第1のクラッチパーツと第2のクラッチパーツとを回転同期させなければならない。
二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行は、例えば前輪にスリップが発生した際に行われる場合があり、このような場合には迅速な四輪駆動状態への移行が必要となる。しかし、特許文献1に記載の四輪駆動車の構成では、プロペラシャフトの慣性モーメントのために、第1のクラッチパーツと第2のクラッチパーツとが回転同期するまでに長時間を要し、迅速な四輪駆動状態への移行が行えないおそれがある。また、例えば同期化フープ及び第1のクラッチパーツを大径化してプロペラシャフトの加速するための摩擦力を大きくすることも考えられるが、この場合には装置の大型化及び重量の増大を招来することとなる。
そこで、本発明は、装置の大型化を抑制しながら二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行を迅速に行うことが可能な駆動力配分装置、及び四輪駆動車を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、[1]〜[6]の駆動力制御装置及び車両の制御方法を提供する。
[1]入力された駆動力を四輪駆動車の補助駆動輪に連結された第1の出力軸及び第2の出力軸に配分して出力する駆動力配分装置であって、前記入力された駆動力によって回転するケース部材と、前記ケース部材に収容され、前記ケース部材の回転軸線上で相対回転可能な第1のサイドギヤ及び第2のサイドギヤと、前記第1のサイドギヤに相対回転不能に連結された中間駆動軸と、前記中間駆動軸と前記第1の出力軸とを遮断状態又は接続状態にする断接機構と、前記ケース部材の回転軸線に直交する回転軸線上で回転可能に支持され、前記第1のサイドギヤ及び前記第2のサイドギヤに噛み合うピニオンギヤと、前記ピニオンギヤの前記ケース部材に対する回転を規制する規制手段とを備え、前記第1の出力軸に前記第1のサイドギヤ及び前記断接機構を介して、また前記第2の出力軸に前記第2のサイドギヤを介して、駆動力を出力する駆動力配分装置。
[2]前記ピニオンギヤは、前記ケース部材の内部で前記第1のサイドギヤ及び第2のサイドギヤに噛み合う第1のギヤ部と、前記ケース部材の外部に配置され、前記第1のギヤ部と一体に回転する第2のギヤ部とを有し、前記規制手段は、前記ケース部材の外周側に配置されて前記ピニオンギヤの前記第2のギヤ部と噛み合う環状のリングギヤと、前記リングギヤの前記ケース部材との相対回転を規制するクラッチとを有する、前記[1]に記載の駆動力配分装置。
[3]前記クラッチは、前記リングギヤに相対回転不能に配置された第1の摩擦部材と前記ケース部材に相対回転不能に配置された第2の摩擦部材との摩擦によって前記リングギヤの前記ケース部材との相対回転を規制する摩擦クラッチである、前記[2]に記載の駆動力配分装置。
[4]前記断接機構は、凹部と凸部との係合によって前記中間駆動軸と前記第1の出力軸とを接続状態とし、前記凹部と前記凸部との係合を解除することによって前記中間駆動軸と前記第1の出力軸とを遮断状態とする噛み合いクラッチである、[1]乃至[3]の何れか1つに記載の駆動力配分装置。
[5]前記駆動力を発生する駆動源と、前記駆動源の駆動力が常時伝達される左右一対の主駆動輪と、前記左右一対の主駆動輪に前記駆動力を配分するディファレンシャル装置と、前記[1]乃至[4]の何れか1項に記載の駆動力配分装置と、前記第1の出力軸及び前記第2の出力軸と、前記第1の出力軸及び前記第2の出力軸に連結された左右一対の補助駆動輪と、前記駆動源の駆動力を前記駆動力配分装置側に伝達するプロペラシャフトと、前記プロペラシャフトへの前記駆動力の伝達を遮断可能な第1の遮断機構と、前記プロペラシャフトから前記駆動力配分装置の前記ケース部材への駆動力の伝達を遮断可能な第2の遮断機構と、前記駆動力配分装置、前記第1の遮断機構、及び前記第2の遮断機構を制御する制御装置とを備えた四輪駆動車。
[6]前記制御装置は、前記主駆動輪のみに前記駆動力を伝達する二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行する際に、前記駆動力配分装置の前記規制手段、前記駆動力配分装置の前記断接機構、前記第2の遮断機構、及び前記第1の遮断機構をこの順序で作動させる、[5]に記載の四輪駆動車。
本発明によれば、装置の大型化を抑制しながら二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行を迅速に行うことが可能となる。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態に係る四輪駆動車の構成例を示す概略図である。
本発明の第1の実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態に係る四輪駆動車の構成例を示す概略図である。
この四輪駆動車100は、本実施の形態に係る駆動力配分装置1を搭載している。また、四輪駆動車100は、走行用の駆動力を発生する駆動源10と、駆動源10の出力を変速するトランスミッション11と、前輪側のディファレンシャル装置12と、パワートランスファーユニット13と、プロペラシャフト14と、駆動力伝達装置15と、前輪側のドライブシャフト16L,16Rと、左右一対の前輪17L,17Rと、後輪側のドライブシャフト18L,18Rと、左右一対の後輪19L,19Rと、制御装置9とを備えている。
駆動源10としては、例えば内燃機関であるエンジンを用いることができるが、電動モータを駆動源10としてもよい。また、エンジンと電動モータとの組み合わせによって駆動源10を構成してもよい。トランスミッション11は、オートマチックトランスミッション又はマニュアルトランスミッションからなり、駆動源10の駆動力を変速してディファレンシャル装置12のデフケース120に伝達する。
ディファレンシャル装置12は、デフケース120と、デフケース120の外周に設けられたリングギヤ121と、デフケース120の内部に配置されたピニオンシャフト122と、ピニオンシャフト122に支持された一対のピニオンギヤ123と、一対のピニオンギヤ123に共に噛み合う一対のサイドギヤ124とを備えている。デフケース120は、リングギヤ121によってトランスミッション11からの駆動力を受けてピニオンシャフト122と共に回転する。一対のピニオンギヤ123は、ピニオンシャフト122の中心軸周りに自転し、かつデフケース120の回転軸周りに公転する。一対のサイドギヤ124は、一対のピニオンギヤ123の自転によって差動が許容されている。デフケース120に伝達された駆動力は、ピニオンシャフト122及び一対のピニオンギヤ123を介して一対のサイドギヤ124に伝達される。
一対のサイドギヤ124の一方はドライブシャフト16Lに、他方はドライブシャフト16Rに、それぞれ相対回転不能に連結されている。ドライブシャフト16Lは左側の前輪17Lに駆動力を伝達し、ドライブシャフト16Lは左側の前輪17Lに駆動力を伝達する。前輪17L,17Rは、ディファレンシャル装置12及びドライブシャフト16L,16Rを介して駆動源10の駆動力が常時伝達される主駆動輪である。ディファレンシャル装置12は、駆動源10の駆動力を前輪17L,17Rに差動回転を許容して配分する。
パワートランスファーユニット13は、車幅方向に平行な回転軸線上で相対回転に配置された第1部材131及び第2部材132と、第1部材131及び第2部材132の外周側に配置されたスリーブ133とを備えている。第1部材131及び第2部材132は、ドライブシャフト16Rを挿通させる中空の筒状である。第1部材131は、一端にスプライン係合部131aを有し、他端はデフケース120に相対回転不能に連結されている。第2部材132は、一端にスプライン係合部132aを有し、他端には傘歯車からなるギヤ部132bが形成されている。スリーブ133は、第1部材131のスプライン係合部131a及び第2部材132のスプライン係合部132aに係合可能なスプライン歯が内周面に形成された環状であり、第1部材131及び第2部材132の回転軸線に沿って進退移動可能に配置されている。第1部材131のスプライン係合部131a、第2部材132のスプライン係合部132a、及びスリーブ133は、噛み合いクラッチ130を構成する。
スリーブ133は、第2部材132のスプライン係合部132aと常に係合している。また、スリーブ133は、図略のモータ等のアクチュエータによって第1部材131側に移動することにより、第1部材131のスプライン係合部131aと係合する。噛み合いクラッチ130は、スリーブ133が第1部材131のスプライン係合部131a及び第2部材132のスプライン係合部132aに共に係合する連結状態と、スリーブ133が第1部材131のスプライン係合部131aに係合しない非連結状態とを切り替え可能である。噛み合いクラッチ130の連結状態では、第1部材131から第2部材132に駆動源10の駆動力が伝達され、非連結状態では第2部材132に駆動源10の駆動力が伝達されない。この噛み合いクラッチ130は、プロペラシャフト14への駆動力の伝達を遮断可能な本発明の第1の遮断機構の一例である。
プロペラシャフト14は、四輪駆動車100の前後方向に沿って配置され、パワートランスファーユニット13と駆動力伝達装置15の間に配置されている。プロペラシャフト14の一端には傘歯車からなるギヤ部141が形成され、このギヤ部141がパワートランスファーユニット13における第2部材132のギヤ部132bに噛合している。プロペラシャフト14の他端は、次に述べる駆動力伝達装置15の外側回転部材151に相対回転不能に連結されている。プロペラシャフト14は、駆動源10の駆動力を駆動力伝達装置15側に伝達する。
駆動力伝達装置15は、プロペラシャフト14に連結された有底円筒状の外側回転部材151と、外側回転部材151に収容された内側回転部材152と、外側回転部材151及び内側回転部材152の間に配置された多板クラッチ153と、多板クラッチ153を軸方向に押圧する押圧力を発生するカム機構154と、カム機構154を作動させる電磁力を発生させる電磁コイル155とを有している。多板クラッチ153は、外側回転部材151に相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合する複数のアウタクラッチプレート153aと、内側回転部材152に相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合する複数のインナクラッチプレート153bとを有している。複数のアウタクラッチプレート153aと複数のインナクラッチプレート153bとは、軸方向に沿って交互に配置され、カム機構154からの押圧力によって互いに摩擦摺動する。
カム機構154は、互いに相対回転可能な第1カム部材154a及び第2カム部材154bと、第1カム部材154a及び第2カム部材154bの間に配置された転動体154cからなる。第1カム部材154aは多板クラッチ153側に、第2カム部材154bは電磁コイル155側に、それぞれ配置されている。第1カム部材154aは内側回転部材152に相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。第1カム部材154a及び第2カム部材154bのそれぞれの対向面には、周方向に対して傾斜した転動面が形成され、この転動面を転動体154cが所定の角度範囲で転動することにより、第1カム部材154a及び第2カム部材154bの軸方向の間隔が変化する。
外側回転部材151は、第2カム部材154bと電磁コイル155との間に介在する壁部151aを有し、電磁コイル155に励磁電流が供給されると第2カム部材154bが磁力によって電磁コイル155側に引き寄せられ、壁部151aに摩擦摺動する。この摩擦力によって第2カム部材154bが第1カム部材154aに対して回転し、転動体154cの転動によって第1カム部材154aが多板クラッチ153を押圧する。これにより、外側回転部材151と内側回転部材152とがトルク伝達可能に連結される。外側回転部材151と内側回転部材152との間で伝達されるトルクの容量は、電磁コイル155の励磁電流によって調節可能である。内側回転部材152には、傘歯車からなるギヤ部152aが連結されている。この駆動力伝達装置15は、プロペラシャフト14から駆動力配分装置1への駆動力の伝達を遮断可能な本発明の第2の遮断機構の一例である。
駆動力配分装置1は、駆動力伝達装置15から入力された駆動力を第1の出力軸及び第2の出力軸としての後輪側のドライブシャフト18L,18Rに配分して出力する。駆動力配分装置1は、入力された駆動力によって回転するケース部材としてのデフケース2と、デフケース2に収容され、デフケース2の回転軸線上で相対回転可能な第1のサイドギヤ31及び第2のサイドギヤ32と、第1のサイドギヤ31に相対回転不能に連結された中間駆動軸4と、中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとを遮断状態又は接続状態にする断接機構としての噛み合いクラッチ5と、デフケース2の回転軸線に直交する回転軸線上で回転可能に支持され、第1のサイドギヤ31及び第2のサイドギヤ32に噛み合うピニオンギヤ6と、ピニオンギヤ6のデフケース2に対する回転を規制する規制手段としての回転規制機構7とを備えている。そして、駆動力配分装置1は、ドライブシャフト18Lに第1のサイドギヤ31及び噛み合いクラッチ5を介して、またドライブシャフト18Rに第2のサイドギヤ32を介して、駆動力を出力する。駆動力配分装置1の構成の詳細については後述する。
ドライブシャフト18Lには左側の後輪19Lが連結され、ドライブシャフト18Rには右側の後輪19Rが連結されている。後輪19L,19Rは、四輪駆動車100の走行状態に応じて駆動力が配分される補助駆動輪である。
制御装置9は、予め記憶されたプログラムに従ってCPU(演算処理装置)が処理を実行する制御部90と、制御部90の処理結果に基づいて電流を出力する電流出力部91とを備え、噛み合いクラッチ130、駆動力伝達装置15、噛み合いクラッチ5、及び回転規制機構7を制御する。また、制御装置9には、プロペラシャフト14の回転速度を検出する回転速センサ900、ならびに前輪17L,17R及び後輪19L,19Rの回転速度を検出する車輪速センサ901〜904が接続されている。制御装置9は、回転速センサ900及び車輪速センサ901〜904の検出値に基づいて、噛み合いクラッチ130、駆動力伝達装置15、噛み合いクラッチ5、及び回転規制機構7を制御する。
(駆動力配分装置1の構成)
図2Aは、駆動力配分装置1をデフケース2の回転軸線Oに沿って切断した断面図である。駆動力配分装置1は、回転軸線Oを中心として対称に構成されているので、図2Aでは、回転軸線Oよりもプロペラシャフト14側の半分の領域を示している。図2Bは、図2Aにおける回転規制機構7及びその周辺部の拡大図である。
図2Aは、駆動力配分装置1をデフケース2の回転軸線Oに沿って切断した断面図である。駆動力配分装置1は、回転軸線Oを中心として対称に構成されているので、図2Aでは、回転軸線Oよりもプロペラシャフト14側の半分の領域を示している。図2Bは、図2Aにおける回転規制機構7及びその周辺部の拡大図である。
デフケース2は、デフキャリア200との間に配置された円錐ころ軸受201,202によって回転可能に支持されている。デフケース2は、第1のサイドギヤ31及び第2のサイドギヤ32を収容する円筒部20と、円筒部20の外周側に設けられたギヤ部21とを有している。ギヤ部21は、内側回転部材152のギヤ部152aに噛み合い、駆動力伝達装置15から入力される駆動力によって円筒部20と共に回転軸線Oを中心として回転する。円筒部20には、後述するピニオンギヤ6の軸部60を挿通させる第1挿通孔20a、中間駆動軸4を挿通させる第2挿通孔20b、及びドライブシャフト18Rを挿通させる第3挿通孔20cが形成されている。第2挿通孔20b及び第3挿通孔20cは回転軸線Oに沿って、第1挿通孔20aは回転軸線Oに直交する方向に沿って、それぞれ形成されている。
第1のサイドギヤ31は、中間駆動軸4がスプライン係合によって連結され、中間駆動軸4と一体に回転する。第2のサイドギヤ31は、ドライブシャフト18Rがスプライン係合によって連結され、ドライブシャフト18Rと一体に回転する。第1のサイドギヤ31及び第2のサイドギヤ32は傘歯車からなり、共にピニオンギヤ6に噛合する。
ピニオンギヤ6は、デフケース2の内部で第1のサイドギヤ31及び第2のサイドギヤ32に噛み合う第1のギヤ部61と、デフケース2の外部に配置され、第1のギヤ部61と一体に回転する第2のギヤ部62と、第1のギヤ部61と第2のギヤ部62とを連結する軸部60とを有している。本実施の形態では、第1のギヤ部61と軸部60とが一体であり、軸部60の先端部に第2のギヤ部62が相対回転不能に連結されている。より具体的には、軸部60と第2のギヤ部62とがスプライン嵌合し、軸部60に形成された螺子部601に螺合するナット63及び座金64によって第2のギヤ部62が軸部60に対して抜け止めされている。ピニオンギヤ6は、デフケース2の第1挿通孔20aを挿通する軸部60を中心として回転可能である。また、ピニオンギヤ6は、回転軸線Oの周方向に沿って複数個が配置されているが、図2Aでは、このうちの1つのピニオンギヤ6のみを図示している。
回転規制機構7は、デフケース2の外周側に配置されてピニオンギヤ6の第2のギヤ部62と噛み合う環状のリングギヤ70と、リングギヤ70のデフケース2との相対回転を規制するクラッチ71と、クラッチ71を作動させるアクチュエータ72とを有する。
リングギヤ70は、デフケース2の円筒部20の外周側を包囲するように配置され、ピニオンギヤ6の第2のギヤ部62と噛み合うギヤ部701と、ギヤ部701から回転軸線Oと平行な方向に延びる円筒部702とを一体に有している。リングギヤ70は、ピニオンギヤ6が軸部60を中心として回転することにより、デフケース20に対して回転軸線Oを中心として回転する。リングギヤ70の円筒部702とデフケース2の円筒部20との間には、玉軸受73が配置されている。円筒部702の内周面には、回転軸線Oに平行な方向に延びるストレートスプライン部702aが形成されている。また、デフケース2の円筒部20の外周面には、ストレートスプライン部702aに対向して、回転軸線Oに平行な方向に延びるストレートスプライン部200aが形成されている。
リングギヤ70の円筒部702の一端(ギヤ部701とは反対側の端部)には、第1部材703a、第2部材703b、及び第3部材703cからなる壁部703が相対回転不能に固定されている。第1部材703a及び第3部材703cは鉄等の磁性体からなり、第2部材703bはオーステナイト系ステンレス等の非磁性体からなる。第1部材703aは第2部材703bの外周側に、第3部材703cは第2部材703bの内周側に、それぞれ溶接等の固定手段によって相互に固定されている。第1部材703aは、リングギヤ70の円筒部702の内周面に例えば螺着によって相対回転不能に固定されている。第3部材703cの内周面とデフケース2の円筒部20の外周面との間には、ころ軸受74が配置されている。
クラッチ71は、リングギヤ70に相対回転不能に配置された板状の第1の摩擦部材711とデフケース2に相対回転不能に配置された板状の第2の摩擦部材712との摩擦によってリングギヤ70とデフケース2との相対回転を規制する摩擦クラッチである。第1の摩擦部材711は、その外周部がリングギヤ70のストレートスプライン部702aに軸方向移動可能かつ相対回転不能にスプライン係合している。第2の摩擦部材712は、その内周部がデフケース2のストレートスプライン部200aに軸方向移動可能かつ相対回転不能にスプライン係合している。本実施の形態では、クラッチ71が2つの第1の摩擦部材711と1つの第2の摩擦部材712とを有し、第2の摩擦部材712が2つの第1の摩擦部材711の間に配置されている。
アクチュエータ72は、第1カム部材721、第2カム部材722、及び第1カム部材721と第2カム部材722との間に配置された複数の球状の転動体723からなるカム機構720と、第2カム部材722との間に壁部703を挟んで配置された電磁コイル724を有して構成されている。第1カム部材721は、転動体723を転動させるカム溝721aが形成されたカム部721bと、デフケース2のストレートスプライン部200aに軸方向移動可能かつ相対回転不能に係合するスプライン係合部721cと、クラッチ71を押圧する押圧部721dとを一体に有している。第2カム部材722は、第1カム部材721に対向する面に転動体723を転動させるカム溝722aが形成された平板状である。
第1カム部材721のカム溝721a及び第2カム部材722のカム溝722aは、回転軸線Oを中心とする周方向に沿って軸方向の深さが徐々に変化するように形成されている。第1カム部材721及び第2カム部材722は、転動体723がカム溝721a及びカム溝722aの最深部に位置する場合に最も接近し、この状態から第1カム部材721と第2カム部材722とが相対回転して転動体723がカム溝721a,722aを転動することにより互いに離間する。
第1カム部材721は、デフケース2の円筒部20に形成された段差面20dとカム部721bとの間に配置された皿バネ75によって第2カム部材722側に付勢されている。また、第2カム部材722は、壁部703の第3部材703cとの間にスラストころ軸受76を介して配置された皿バネ77によって第1カム部材721側に付勢されている。これにより、転動体723は、電磁コイル724の非通電状態では、カム溝721a及びカム溝722aの最深部に位置している。
電磁コイル724は、デフキャリア200に対してボルト203によって固定されたヨーク725に支持されている。電磁コイル724に制御装置9から励磁電流が供給されると、壁部703の第1部材703a、第2カム部材722、及び壁部703の第3部材703cを磁路とする磁束が形成され、第2カム部材722が壁部703に摩擦接触する。この状態でリングギヤ70がデフケース2に対して回転すると、転動体723がカム溝721a及びカム溝722aを転動し、第1カム部材721が第2カム部材722から離間してクラッチ71を押圧する。これにより、第1の摩擦部材711と第2の摩擦部材712とが摩擦係合し、リングギヤ70のデフケース2に対する回転が規制され、ひいてはピニオンギヤ6の軸部60を中心とした回転が規制される。また、ピニオンギヤ6の回転が規制されることにより、第1のサイドギヤ31と第2のサイドギヤ32との差動回転も規制される。
図3(a)は、噛み合いクラッチ5の構成例を示す断面図である。噛み合いクラッチ5は、中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとを遮断状態又は接続状態にする。図3(a)では、回転軸線Oの上側に遮断状態を、下側に接続状態を、それぞれ示している。
噛み合いクラッチ5は、円筒状のスリーブ50と、スリーブ50に噛み合う斜歯(はすば)歯車51と、斜歯歯車51を回転させるモータ52と、斜歯歯車51の回転によって回転軸線Oに平行に移動するシフトフォーク53とを有している。斜歯歯車51とモータ52の回転子とは、シャフト520によって連結されている。
スリーブ50の内周面には、複数のスプライン歯501が形成されている。複数のスプライン歯501は、回転軸線Oと平行に形成されている。また、スリーブ50の外周面には、環状溝502が形成されている。
シフトフォーク53は、本体部530と、本体部530から回転軸線Oに向かう方向に突出する突起531とを一体に有している。突起531は、スリーブ50の環状溝502に嵌合し、シフトフォーク53とスリーブ50とは回転軸線Oに平行な方向の相対移動が規制されている。本体部530における突起531と反対側の面には、斜歯歯車51に噛み合うギヤ歯530aが形成されている。
モータ52のトルクによって斜歯歯車51が回転すると、シフトフォーク53が回転軸線Oに平行に移動し、これに伴ってスリーブ50が軸方向に進退移動する。スリーブ50は、図略のガイドによって回転軸線Oと平行に案内され、モータ52の正回転及び逆回転に伴って進退移動可能である。
中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとは、同軸上(回転軸線O上)で相対回転可能に配置されている。中間駆動軸4及びドライブシャフト18Lは、円錐ころ軸受204,205によってデフキャリア200に支持されている。中間駆動軸4の一端には、複数のスプライン歯411を外周面に有するギヤ部41が形成されている。また、ドライブシャフト18Lの一端には、複数のスプライン歯181を外周面に有するギヤ部180が形成されている。
図3(b)及び(c)は、中間駆動軸4のスプライン歯411、ドライブシャフト18Lのスプライン歯181、及びスリーブ50のスプライン歯501の位置関係を模式的に示し、図3(b)は噛み合いクラッチ5の遮断状態における位置関係を、図3(c)は噛み合いクラッチ5の接続状態における位置関係を、それぞれ示す。
スリーブ50は、そのスプライン歯501が中間駆動軸4のスプライン歯411と常に噛み合い、この噛み合い状態を維持しながら進退移動する。噛み合いクラッチ5の遮断状態では、スリーブ50のスプライン歯501がドライブシャフト18Lのスプライン歯181に噛み合わず、接続状態ではスリーブ50のスプライン歯501がドライブシャフト18Lのスプライン歯181に噛み合う。つまり、ドライブシャフト18Lのギヤ部180に形成された複数のスプライン歯181の間に形成された凹部181aに凸部としてのスプライン歯501が係合することにより、中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとがトルク伝達可能に連結された接続状態となり、この係合が解除されると、中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとのトルク伝達可能が遮断された遮断状態となる。
(四輪駆動車100及び駆動力配分装置1の動作)
次に、四輪駆動車100及び駆動力配分装置1の動作について説明する。四輪駆動車100の四輪駆動状態では、パワートランスファーユニット13の噛み合いクラッチ130によって、第1部材131及び第2部材132が連結され、かつ駆動力配分装置1の噛み合いクラッチ5によって中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとが連結される。後輪19L,19R側に配分される駆動力は、駆動力伝達装置15によって調節される。制御装置9は、例えば前輪17L,17Rと後輪19L,19Rとの差動回転数や、運転者のアクセルペダルによる加速操作量等に基づいて、駆動力伝達装置15を制御する。制御装置9は、前輪17L,17Rと後輪19L,19Rとの差動回転数が大きくなるにつれ、また加速操作量が大きくなるにつれ、駆動力伝達装置15の電磁コイル155に供給する励磁電流を増大させる。
次に、四輪駆動車100及び駆動力配分装置1の動作について説明する。四輪駆動車100の四輪駆動状態では、パワートランスファーユニット13の噛み合いクラッチ130によって、第1部材131及び第2部材132が連結され、かつ駆動力配分装置1の噛み合いクラッチ5によって中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとが連結される。後輪19L,19R側に配分される駆動力は、駆動力伝達装置15によって調節される。制御装置9は、例えば前輪17L,17Rと後輪19L,19Rとの差動回転数や、運転者のアクセルペダルによる加速操作量等に基づいて、駆動力伝達装置15を制御する。制御装置9は、前輪17L,17Rと後輪19L,19Rとの差動回転数が大きくなるにつれ、また加速操作量が大きくなるにつれ、駆動力伝達装置15の電磁コイル155に供給する励磁電流を増大させる。
四輪駆動状態から二輪駆動状態への移行時には、駆動力伝達装置15の電磁コイル155への励磁電流の供給が停止される。その後、噛み合いクラッチ130による第1部材131及び第2部材132の連結、及び噛み合いクラッチ5による中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとの連結が解除される。これにより、二輪駆動状態での走行時において、パワートランスファーユニット13の第2部材132、プロペラシャフト14、及び駆動力配分装置1のデフケース2の回転が停止した状態となり、これらの回転による動力損失が抑制され、四輪駆動車100の燃費が向上する。
また、この二輪駆動状態では、ドライブシャフト18L,18Rが後輪19L,19Rから回転力を受けて同じ方向に回転するが、ドライブシャフト18Rに連結された第2のサイドギヤ32の回転力は、ピニオンギヤ6によって反転されて第1のサイドギヤ31に伝達され、第1のサイドギヤ31は第2のサイドギヤ32と逆方向に回転する。これに伴い、中間駆動軸4はドライブシャフト18Lと逆方向に回転する。
二輪駆動状態から四輪駆動状態へ移行する際には、制御装置9は、回転規制機構7、噛み合いクラッチ5、駆動力伝達装置15、及びパワートランスファーユニット13の噛み合いクラッチ130をこの順序で作動させる。以下、この動作手順について詳細に説明する。
制御装置9は、まず回転規制機構7の電磁コイル724に励磁電流を供給する。これにより回転規制機構7が作動してリングギヤ70のデフケース2に対する回転が規制され、ピニオンギヤ6の回転が規制される。また、ピニオンギヤ6の回転が規制されることにより第1のサイドギヤ31が第2のサイドギヤ32と同じ方向に回転すると共に、デフケース2も第1のサイドギヤ31及び第2のサイドギヤ32と同方向に回転する。このように第1のサイドギヤ31の回転方向が反転することにより、中間駆動軸4がドライブシャフト18Lと同方向に回転し、中間駆動軸4の回転とドライブシャフト18Lの回転とが同期する。
中間駆動軸4の回転とドライブシャフト18Lの回転とが同期すると、制御装置9は、モータ52に電流を供給して斜歯歯車51の回転によってスリーブ50をドライブシャフト18L側に移動させる。これにより、噛み合いクラッチ5が作動状態となり、スリーブ50のスプライン歯501がドライブシャフト18Lのスプライン歯181に噛み合い、中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとがスリーブ50を介して接続される。制御装置9は、噛み合いクラッチ5を作動させて中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとを接続状態とした後、回転規制機構7の電磁コイル724への通電を停止する。
その後、制御装置9は、駆動力伝達装置15の電磁コイル155に励磁電流を供給して駆動力伝達装置15を作動させ、駆動力伝達装置15の多板クラッチ153によってデフケース2の回転力がプロペラシャフト14に伝達される状態とする。これにより、停止状態にあったプロペラシャフト14が回転し、パワートランスファーユニット13の第2部材132の回転と第1部材131の回転とが同期する。
制御装置9は、前輪17L,17Rの回転速度を検出する車輪速センサ901,902の検出値、及びプロペラシャフト14の回転速度を検出する回転速センサ900の検出値に基づいて、パワートランスファーユニット13の第2部材132の回転と第1部材131の回転とが同期したことを確認すると、噛み合いクラッチ130を作動させ、第1部材131と第2部材132とがスリーブ133によって連結された連結状態とする。これにより、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行が完了する。
(第1の実施の形態の効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、回転規制機構7のクラッチ71によってピニオンギヤ6のデフケース2に対する回転を停止させて第1のサイドギヤ31及びデフケース2を第2のサイドギヤ32と同方向に回転させることにより、中間駆動軸4の回転とドライブシャフト18Lの回転とを同期させ、噛み合いクラッチ5を連結状態にすることができる。そして、噛み合いクラッチ5を連結状態にした後に駆動力伝達装置15を介して伝達される回転力によってプロペラシャフト14を回転させ、パワートランスファーユニット13の第1部材131の回転と第2部材132の回転とを同期させることができる。つまり、回転規制機構7のクラッチ71は、デフケース2、第1のサイドギヤ31、及び中間駆動軸4を回転させることができる容量を備えていればよいので、駆動力配分装置1の大型化を抑制しながら、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行を迅速に行うことが可能となる。
以上説明した第1の実施の形態によれば、回転規制機構7のクラッチ71によってピニオンギヤ6のデフケース2に対する回転を停止させて第1のサイドギヤ31及びデフケース2を第2のサイドギヤ32と同方向に回転させることにより、中間駆動軸4の回転とドライブシャフト18Lの回転とを同期させ、噛み合いクラッチ5を連結状態にすることができる。そして、噛み合いクラッチ5を連結状態にした後に駆動力伝達装置15を介して伝達される回転力によってプロペラシャフト14を回転させ、パワートランスファーユニット13の第1部材131の回転と第2部材132の回転とを同期させることができる。つまり、回転規制機構7のクラッチ71は、デフケース2、第1のサイドギヤ31、及び中間駆動軸4を回転させることができる容量を備えていればよいので、駆動力配分装置1の大型化を抑制しながら、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行を迅速に行うことが可能となる。
また、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行時に中間駆動軸4の回転とドライブシャフト18Lの回転とを同期させるには、例えば第2のサイドギヤ32とデフケース2又は第1のサイドギヤ31との間にクラッチを設け、このクラッチを作動させることも考えられるが、本実施の形態では、デフケース2の外周に配置した回転規制機構7によってピニオンギヤ6の回転を停止させることにより、中間駆動軸4及びドライブシャフト18Lの回転を同期させるので、より適切に駆動力配分装置1の大型化を抑制することが可能となる。
また、クラッチ71は、第1の摩擦部材711と第2の摩擦部材712との摩擦によってリングギヤ70とデフケース2との相対回転を規制する摩擦クラッチであり、中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとは噛み合いクラッチ5によって接続状態となるので、リングギヤ70及びデフケース2の差動回転にかかわらずクラッチ71を作動させて中間駆動軸4とドライブシャフト18Lとの回転を同期させると共に、摩擦による動力損失を発生させることなく、噛み合いクラッチ5によって中間駆動軸4とドライブシャフト18Lを接続することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について、図4を参照して説明する。本実施の形態に係る駆動力配分装置1Aは、その回転規制機構7Aの構成が第1の実施の形態に係る回転規制機構7と異なる他は、第1の実施の形態に係る駆動力配分装置1と同様に構成されている。
次に、本発明の第2の実施の形態について、図4を参照して説明する。本実施の形態に係る駆動力配分装置1Aは、その回転規制機構7Aの構成が第1の実施の形態に係る回転規制機構7と異なる他は、第1の実施の形態に係る駆動力配分装置1と同様に構成されている。
図4は、本実施の形態に係る駆動力配分装置1Aをデフケース2の回転軸線Oに沿って切断した断面図である。図4において、第1の実施の形態について説明したものと同様の機能を有する部材については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態に係る規制手段としての回転規制機構7Aは、一端に壁部703が固定されたリングギヤ70と、リングギヤ70のデフケース2との相対回転を規制するクラッチ71Aとを有する。クラッチ71Aは、アーマチャ78と電磁コイル724とを有して構成され、電磁コイル724とアーマチャ78との間には壁部703が介在している。アーマチャ78は、デフケース2の外周面に形成されたストレートスプライン部200aに軸方向移動可能かつ相対回転不能に係合している。また、アーマチャ78は、皿バネ77に当接することにより、電磁コイル724の非通電時には壁部703に接触しないように配置されている。
電磁コイル724に励磁電流が供給されると、その磁力によってアーマチャ78が壁部703に摩擦摺動する。この摩擦力によってリングギヤ70とデフケース2との相対回転が規制され、ひいてはピニオンギヤ6の軸部60を中心とした回転が規制される。これにより、第1のサイドギヤ31と第2のサイドギヤ32との差動回転も規制され、中間駆動軸4の回転とドライブシャフト18Lの回転とが同期する。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態に係る駆動力配分装置1に比較して回転規制機構7Aの構成を簡素化でき、さらなる小型化が可能となる。
以上、本発明の駆動力配分装置及び四輪駆動車を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
1,1A…駆動力配分装置、2…デフケース、4…中間駆動軸、5…噛み合いクラッチ、6…ピニオンギヤ、7,7A…回転規制機構、9…制御装置、10…駆動源、11…トランスミッション、12…ディファレンシャル装置、13…パワートランスファーユニット、14…プロペラシャフト、15…駆動力伝達装置、16L,16R…前輪側のドライブシャフト、17L,17R…前輪、18L,18R…後輪側のドライブシャフト、19L,19R…後輪、20…円筒部、20a…第1挿通孔、20b…第2挿通孔、20c…第3挿通孔、20d…段差面、21…ギヤ部、31…第1のサイドギヤ、32…第2のサイドギヤ、41…ギヤ部、50…スリーブ、51…斜歯歯車、52…モータ、53…シフトフォーク、60…軸部、61…第1のギヤ部、62…第2のギヤ部、63…ナット、64…座金、70…リングギヤ、71,71A…クラッチ、72…アクチュエータ、73…玉軸受、74…ころ軸受、75…皿バネ、76…スラストころ軸受、77…皿バネ、78…アーマチャ、90…制御部、91…出力部、100…四輪駆動車、120…デフケース、121…リングギヤ、122…ピニオンシャフト、123…ピニオンギヤ、124…サイドギヤ、130…噛み合いクラッチ、131…第1部材、131a…スプライン係合部、132…第2部材、132a…スプライン係合部、132b…ギヤ部、133…スリーブ、141…ギヤ部、151…外側回転部材、151a…壁部、152…内側回転部材、152a…ギヤ部、153…多板クラッチ、153a…アウタクラッチプレート、153b…インナクラッチプレート、154…カム機構、154a…第1カム部材、154b…第2カム部材、154c…転動体、155…電磁コイル、180…ギヤ部、181…スプライン歯、181a…凹部、200…デフキャリア、200a…ストレートスプライン部、201,202…円錐ころ軸受、203…ボルト、203,204…円錐ころ軸受、411…スプライン歯、501…スプライン歯、502…環状溝、502…環状溝、520…シャフト、530…本体部、530a…ギヤ歯、531…突起、601…螺子部、701…ギヤ部、702…円筒部、702a…ストレートスプライン部、703…壁部、703a…第1部材、703b…第2部材、703c…第3部材、711…第1の摩擦部材、712…第2の摩擦部材、720…カム機構、721…第1カム部材、721a…カム溝、721b…カム部、721c…スプライン係合部、721d…押圧部、722…第2カム部材、722a…カム溝、723…転動体、724…電磁コイル、725…ヨーク、900…回転速センサ、901〜904…車輪速センサ
Claims (6)
- 入力された駆動力を四輪駆動車の補助駆動輪に連結された第1の出力軸及び第2の出力軸に配分して出力する駆動力配分装置であって、
前記入力された駆動力によって回転するケース部材と、
前記ケース部材に収容され、前記ケース部材の回転軸線上で相対回転可能な第1のサイドギヤ及び第2のサイドギヤと、
前記第1のサイドギヤに相対回転不能に連結された中間駆動軸と、
前記中間駆動軸と前記第1の出力軸とを遮断状態又は接続状態にする断接機構と、
前記ケース部材の回転軸線に直交する回転軸線上で回転可能に支持され、前記第1のサイドギヤ及び前記第2のサイドギヤに噛み合うピニオンギヤと、
前記ピニオンギヤの前記ケース部材に対する回転を規制する規制手段とを備え、
前記第1の出力軸に前記第1のサイドギヤ及び前記断接機構を介して、また前記第2の出力軸に前記第2のサイドギヤを介して、駆動力を出力する駆動力配分装置。 - 前記ピニオンギヤは、前記ケース部材の内部で前記第1のサイドギヤ及び第2のサイドギヤに噛み合う第1のギヤ部と、前記ケース部材の外部に配置され、前記第1のギヤ部と一体に回転する第2のギヤ部とを有し、
前記規制手段は、前記ケース部材の外周側に配置されて前記ピニオンギヤの前記第2のギヤ部と噛み合う環状のリングギヤと、前記リングギヤの前記ケース部材との相対回転を規制するクラッチとを有する、
請求項1に記載の駆動力配分装置。 - 前記クラッチは、前記リングギヤに相対回転不能に配置された第1の摩擦部材と前記ケース部材に相対回転不能に配置された第2の摩擦部材との摩擦によって前記リングギヤの前記ケース部材との相対回転を規制する摩擦クラッチである、
請求項2に記載の駆動力配分装置。 - 前記断接機構は、凹部と凸部との係合によって前記中間駆動軸と前記第1の出力軸とを接続状態とし、前記凹部と前記凸部との係合を解除することによって前記中間駆動軸と前記第1の出力軸とを遮断状態とする噛み合いクラッチである、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の駆動力配分装置。 - 前記駆動力を発生する駆動源と、
前記駆動源の駆動力が常時伝達される左右一対の主駆動輪と、
前記左右一対の主駆動輪に前記駆動力を配分するディファレンシャル装置と、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の駆動力配分装置と、
前記第1の出力軸及び前記第2の出力軸と、
前記第1の出力軸及び前記第2の出力軸に連結された左右一対の補助駆動輪と、
前記駆動源の駆動力を前記駆動力配分装置側に伝達するプロペラシャフトと、
前記プロペラシャフトへの前記駆動力の伝達を遮断可能な第1の遮断機構と、
前記プロペラシャフトから前記駆動力配分装置の前記ケース部材への駆動力の伝達を遮断可能な第2の遮断機構と、
前記駆動力配分装置、前記第1の遮断機構、及び前記第2の遮断機構を制御する制御装置と
を備えた四輪駆動車。 - 前記制御装置は、前記主駆動輪のみに前記駆動力を伝達する二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行する際に、前記駆動力配分装置の前記規制手段、前記駆動力配分装置の前記断接機構、前記第2の遮断機構、及び前記第1の遮断機構をこの順序で作動させる、
請求項5に記載の四輪駆動車。
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- 2012-11-08 JP JP2012246095A patent/JP2014094621A/ja active Pending
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