JP2014076951A - メラニン生成抑制剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、メラニン生成抑制剤に関する。
皮膚が紫外線に曝露されると、皮膚は種々の影響を受ける。即ち、紫外線曝露により皮膚内で発生する活性酸素、過酸化脂質等は、炎症を引き起こし、皮膚組織に大きなダメージを与える。そのダメージは、皮膚の潤いやつや、きめ等を失わせ、更にその影響が真皮にまで及ぶとシワ等が形成され、光加齢の原因となる。また、紫外線により発生する活性酸素やその影響により皮膚の細胞から放出される種々の因子は、メラノサイトにおけるチロシナーゼ活性を亢進させる。皮膚の色調に関与するメラニンは、メラノサイトでチロシンがチロシナーゼによって酸化されることにより産生される。そのため、紫外線によりチロシナーゼが活性化されるとメラニンが過剰に産生され、それが表皮細胞に受け渡される結果、皮膚の色調が変化し、黒化すると考えられている。
従って、美白化粧料において美白効果を発揮させるためには、メラニン生成を抑制することが肝要である。従来、皮膚の黒化やしみ、そばかすを防ぎ、本来の白い肌を保つために、コウジ酸、アルブチン等のハイドロキノン誘導体、ビタミンC誘導体等を配合した美白化粧料が提案されている(例えば、特許文献1〜3等)。しかしながら、コウジ酸、アルブチン等を配合すると、若干、色黒の肌を淡色化する効果はあるものの、美白化粧料として十分満足すべき効果が得られるとは限らず、更に紫外線による炎症抑制効果はなく、安全性の面でも不十分な場合があった。またビタミンC誘導体は、紫外線による炎症を抑制する美白剤として知られているが、美白効果の程度、及び製剤中での安定性の面で問題を残していた。この様に、これまでに提案されている美白剤は必ずしも満足に足りるものではなかった。
コスツノライドは、植物に広く分布するセスキテルペン化合物であり、下記構造式(2)で示される。本化合物については、飲食品や飼料への応用や、コラーゲン及びヒアルロン酸に着目した抗しわ剤への応用等の提案がされている(特許文献4、5)。
一方、上記コスツノライドの水素添加体は、有機合成の中間体、または構造決定を目的とする誘導体化の検討に用いられたのみであり、それらの工業的な応用はされていなかった(非特許文献1〜3)。
Indian Journal of Chemistry,pp.122−123,1968.
Indian Journal of Chemistry,pp.101−103,1971.
Journal of the Chemical Society Chemical Communications,pp.620−621,1973.
本発明は、美白効果と安全性に優れたメラニン生成抑制剤を提供することにある。
発明者等は、上記事情に鑑みて各種検討を進めた結果、セスキテルペン化合物であるコスツノライドに水素添加処理を施した化合物が優れた美白作用を有し、安全性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で示される水素添加コスツノライドを有効成分とするメラニン生成抑制剤を提供するものである。
(式中、破線部は単結合又は二重結合を示す。)
また、本発明は、下記一般式(1)で示される水素添加コスツノライドを含有する皮膚外用剤を提供するものである。
(式中、破線部は単結合又は二重結合を示す。)
本発明に用いられる水素添加コスツノライドは、メラニン生成抑制作用に優れるのみならず、安全性にも優れており、安全で良好な美白作用を有する皮膚外用剤を提供することが可能である。
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
本発明に係る水素添加コスツノライドは、コスツノライドに適当な方法で水素添加反応を施し、オレフィン部の一部又は全部を還元することで得ることができる。コスツノライドとしては、コスツノライドを含有する植物から分離精製したものや化学合成したものを用いることができ、市販品を利用することもできる。また、本発明に係る水素添加コスツノライドは、コスツノライドを含有する植物の抽出物又は粗分画物に対して水素添加反応を施した後に分離精製することで得ることもできる。この場合、効果を損なわない範囲であれば、粗精製の状態で使用することもできる。
コスツノライドを含有する植物としては、例えばクスノキ科Laurus Nobilis(ローレル)やキク科Saussurea Lappa(モッコウ)等が挙げられ、これら植物の全草又は含有量の多い部分(例えばローレルならば葉、モッコウならば根等)を抽出源として用いる。抽出方法は、特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン等の有機溶媒を用いて一般的な公知の方法に従って抽出することができる。抽出溶媒量としては、抽出原料に対して重量比で1〜50倍、好ましくは3〜10倍であり、0℃〜100℃の範囲で、かつ抽出溶媒の沸点より低い温度条件下で、0.1〜50時間、好ましくは0.5〜24時間抽出すればよい。抽出は静置状態でも良いが、より効率的に抽出を行うには適度に攪拌させて抽出を行うのが望ましい。
コスツノライドを化学合成する場合は、公知の方法、例えばSHIBUYAらの報告(Chemistry Letters,pp85−86,1986)やGriecoらの報告(J.Org.Chem.,pp1717−1720,1997)等に従って、合成することができる。
コスツノライドは、下記構造式(2)に示したように、水素添加反応により還元される(a)、(b)、(c)3つの不飽和結合を有しており、水素添加反応の条件によりジヒドロコスツノライド、テトラヒドロコスツノライド、ヘキサヒドロコスツノライドの3種類の水素添加反応生成物が生成する。
よりマイルドな反応条件下ではジヒドロコスツノライドが生成するが、水素添加反応の受け易さに差があるため、ほぼ選択的に(a)の不飽和結合が水素添加を受け、下記構造式(1a)で示されるジヒドロコスツノライドが生成する。
反応条件を強くすることで、さらに不飽和結合が水素添加を受けテトラヒドロコスツノライドが生成するが、残った(b)、(c)の不飽和結合の反応の受け易さにほとんど差がないため、下記構造式(1b)又は(1c)で示される2種類のテトラヒドロコスツノライドが生成する。本発明ではいずれのテトラヒドロコスツノライドでも使用でき、適当な方法により分離して一方のみを使用することも可能であり、混合物として使用することも可能である。
反応条件をさらに強くすることにより、最終的に3つの不飽和結合全てが還元された、下記構造式(1d)で示されるヘキサヒドロコスツノライドが生成する。
本発明に係る水素添加コスツノライドは、水素添加方法によっては数種の立体異性体が生成する場合があるが、本発明ではいずれの異性体を用いることができる。また、これらの異性体の混合物の状態で用いることもできる。上記水素添加コスツノライドのうち、ジヒドロコスツノライド(1a)、ヘキサヒドロコスツノライド(1d)がより好ましい。
本発明に係る水素添加コスツノライドは、従来の美白剤と比較して優れたメラニン生成抑制作用を有しており、メラニン生成抑制剤として有用である。さらに、本発明に係る水素添加コスツノライドは安全性においても優れており、皮膚外用剤として様々な製剤に、特に皮膚の美白を目的とする美白化粧料に効果的かつ安全に配合することが可能である。
本発明の水素添加コスツノライドの皮膚外用剤中の含有量は、美白作用及び安全性の点から、皮膚外用剤の総量を基準として下限は0.001質量%(以下、単に%と略す。)以上が好ましく、0.005%以上がより好ましく、0.01%以上がさらに好ましい。またその上限は、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.001〜10%が好ましく、より好ましくは0.005〜5%であり、さらに好ましくは0.01〜3%である。
本発明に係る水素添加コスツノライドは、美白作用を有する従来公知の成分と併用することにより、そのメラニン生成抑制効果を増強或いは補強することが可能である。従って、本発明の皮膚外用剤、特に美白化粧料において、従来公知の美白成分を併用して配合することも可能である。
従来公知の美白成分としては、ハイドロキノン、アルブチン、エラグ酸、ビタミンC又はその誘導体(例えば、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸イソパルミチン酸エステル、アスコルビン酸エチルエステル等)、ビフェニル誘導体(例えば、デヒドロジクレオソール、2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジプロピルビフェニル等)、特許第3340935号に記載の4−(4−ヒドロキシフェニル−)−2−ブタノン又はその誘導体、4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノール又はその誘導体等のメラニン生成抑制剤、火棘エキス、ジオスコレアコンポジータエキス、ニワトコエキス、岩白菜エキス、カミツレ抽出物、アデノシン5’−1−リン酸又はその塩、リノール酸誘導体、ビタミンB3又はその誘導体、トラネキサム酸、トラネキサム酸塩、トラネキサム酸誘導体等が挙げられ、これら美白成分を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の皮膚外用剤は、一般に皮膚に塗布する形の化粧料として水溶液、W/O型又はO/W型エマルション、適当な賦形剤等を用いて顆粒剤その他の粉末、錠剤等とすることが考えられ、具体的にはクリーム、乳液、化粧水、パック、ジェル、スティック、シート、ハップ等が挙げられる。この皮膚外用剤は、例えば、乳液等の場合、油相及び水相をそれぞれ加熱溶解し、乳化分散して冷却する通常の方法により製造することができる。
尚、本発明の皮膚外用剤には上記の他にタール系色素、酸化鉄等の着色顔料、パラベン、フェノキシエタノール等の防腐剤、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン等のシリコーン油、パラフィン、ワセリン等の炭化水素類、オリーブスクワラン、米スクワラン、米胚芽油、ホホバ油、ヒマシ油、紅花油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油等の植物油、ミツロウ、モクロウ、カルナバロウ等のロウ類、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油、エタノール等の低級アルコール類、セタノール、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、長鎖分岐脂肪族アルコール等の高級アルコール類、コレステロール、フィトステロール、分岐脂肪酸コレステロールエステル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルエステル等のステロール類及び誘導体、硬化油等の加工油類、ステアリン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、イソ型長鎖脂肪酸、アンテイソ型長鎖脂肪酸等の高級脂肪酸、リモネン、水素添加ビサボロール等のテルペン類、トリカプリル・カプリン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソ型長鎖脂肪酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル等のトリグリセリド、セチル硫酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸塩等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、変性シリコーン、蔗糖脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、ベタイン型、スルホベタイン型、スルホアミノ酸型等の両性界面活性剤、レシチン、リゾフォスファチジルコリン、セラミド、セレブロシド等の天然系界面活性剤、酸化チタン、酸化亜鉛等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、塩化カルシウム等の無機塩類、クエン酸ナトリウム、酢酸カリウム、琥珀酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ジクロロ酢酸、メバロン酸、グリチルリチン酸等の有機酸又はその塩、塩酸エタノールアミン、硝酸アンモニウム、塩酸アルギニン、ジイソプロピルアミン、尿素、デカルボキシカルノシン等の有機アミン類又はその塩、エデト酸等のキレート剤、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ペクチン、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、寒天等の増粘剤、水酸化カリウム、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の中和剤、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルフォン酸塩等の紫外線吸収剤、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、ジグリセリン、ラフィノース等の多価アルコール、各種アミノ酸、アスコルビン酸、ビオチン、トコフェロール等のビタミン類、アスコルビン酸硫酸エステル塩、アスコルビン酸燐酸エステル塩、ニコチン酸トコフェロール等のビタミン誘導体等を、本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合することができる。
次に本発明及び好ましい実施態様を例示する。
<1>下記一般式(1)で示される水素添加コスツノライドを有効成分とするメラニン生成抑制剤。
<1>下記一般式(1)で示される水素添加コスツノライドを有効成分とするメラニン生成抑制剤。
(式中、破線部は単結合又は二重結合を示す。)
<2>下記一般式(1)で示される水素添加コスツノライドを含有する皮膚外用剤。
(式中、破線部は単結合又は二重結合を示す。)
<3>水素添加コスツノライドの含有量が、皮膚外用剤の総量を基準として、下限が0.001%以上、好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.01%以上であり、上限が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である<2>の皮膚外用剤。
<4>美白化粧料である<2>又は<3>の皮膚外用剤。
<4>美白化粧料である<2>又は<3>の皮膚外用剤。
以下、製造例、試験例及び実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。尚、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1(コスツノライドの分離精製)
ローレル葉粉砕物(1kg)を酢酸エチルで抽出・濃縮し、得られた乾燥エキス(100g)についてシリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィーとオクタデシルシリル化シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィーを繰り返し行うことにより、750mg(純度97%)のコスツノライドを得た。得られたコスツノライドは、市販のコスツノライド(和光純薬工業社製)を標準品とし、HPLCクロマトグラム及びNMRスペクトルを比較して同一であることを確認した。13C−NMRスペクトル(低磁場領域)のシグナルを以下に示す。
ローレル葉粉砕物(1kg)を酢酸エチルで抽出・濃縮し、得られた乾燥エキス(100g)についてシリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィーとオクタデシルシリル化シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィーを繰り返し行うことにより、750mg(純度97%)のコスツノライドを得た。得られたコスツノライドは、市販のコスツノライド(和光純薬工業社製)を標準品とし、HPLCクロマトグラム及びNMRスペクトルを比較して同一であることを確認した。13C−NMRスペクトル(低磁場領域)のシグナルを以下に示す。
・コスツノライド(製造例1)
δ(ppm、CDCl3);170.6、141.6、140.2、137.0、127.4、127.1、119.7
δ(ppm、CDCl3);170.6、141.6、140.2、137.0、127.4、127.1、119.7
これらのうち、170.6ppmのシグナルはカルボニル炭素に帰属され、残りの6つのシグナルは、3つの不飽和結合に係るエチレン炭素に帰属される。
製造例2(ジヒドロコスツノライドの製造)
製造例1で得られたコスツノライドをエタノールに溶解し、触媒量のパラジウムカーボンを添加し、水素雰囲気下、常温常圧で24時間攪拌した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、72%の収率で水素添加反応生成物を得た。13C−NMRスペクトル(低磁場領域)のシグナルを以下に示す。
製造例1で得られたコスツノライドをエタノールに溶解し、触媒量のパラジウムカーボンを添加し、水素雰囲気下、常温常圧で24時間攪拌した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、72%の収率で水素添加反応生成物を得た。13C−NMRスペクトル(低磁場領域)のシグナルを以下に示す。
・製造例2の水素添加反応生成物
δ(ppm、CDCl3);178.7、140.4、137.0、127.4、127.1
δ(ppm、CDCl3);178.7、140.4、137.0、127.4、127.1
コスツノライドの13C−NMRスペクトルと比較し、エチレン炭素に帰属される2つのシグナルが消失していることから、製造例2で得られた水素添加反応生成物は、コスツノライドの(a)の不飽和結合が還元された、式(1a)で示されるジヒドロコスツノライドであると同定した。
製造例3(ヘキサヒドロコスツノライドの製造)
製造例1で得られたコスツノライドをエタノールに溶解し、触媒量のパラジウムカーボンを添加し、水素雰囲気下、50℃、10バールの条件で4時間攪拌した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、63%の収率で水素添加反応生成物を得た。13C−NMRスペクトル(低磁場領域)のシグナルを以下に示す。
製造例1で得られたコスツノライドをエタノールに溶解し、触媒量のパラジウムカーボンを添加し、水素雰囲気下、50℃、10バールの条件で4時間攪拌した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、63%の収率で水素添加反応生成物を得た。13C−NMRスペクトル(低磁場領域)のシグナルを以下に示す。
・製造例3の水素添加反応生成物
δ(ppm、CDCl3);179.2
δ(ppm、CDCl3);179.2
コスツノライドの13C−NMRスペクトルのうち、カルボニル炭素に帰属されるシグナル以外の、全てのエチレン炭素に帰属されるシグナルが消失していることから、製造例3で得られた水素添加反応生成物が、コスツノライドの3つの不飽和結合全てが還元された、式(1d)で示されるヘキサヒドロコスツノライドであると同定した。
製造例4(コスツノライド高含有画分の製造)
ローレル葉粉砕物(1kg)を酢酸エチルで抽出・濃縮し、乾燥エキス(100g)を得た。本乾燥エキスをポリスチレン多孔質樹脂(DIAION HP−20、三菱化学社製)を充填したカラムに付し、70%メタノールで十分に溶出させた後、80%メタノールで吸着物を回収した。得られた80%メタノール溶出画分を減圧下濃縮し、コスツノライド高含有画分を得た。本画分は、HPLCによる定量分析から、コスツノライドを25.0%含有することを確認した。
ローレル葉粉砕物(1kg)を酢酸エチルで抽出・濃縮し、乾燥エキス(100g)を得た。本乾燥エキスをポリスチレン多孔質樹脂(DIAION HP−20、三菱化学社製)を充填したカラムに付し、70%メタノールで十分に溶出させた後、80%メタノールで吸着物を回収した。得られた80%メタノール溶出画分を減圧下濃縮し、コスツノライド高含有画分を得た。本画分は、HPLCによる定量分析から、コスツノライドを25.0%含有することを確認した。
製造例5(コスツノライド高含有画分の水素添加反応)
製造例4で得られたコスツノライド高含有画分をエタノールに溶解し、触媒量のパラジウムカーボンを添加し、水素雰囲気下、常温常圧で8時間攪拌した。反応液より触媒を分離除去し、反応生成物を得た。HPLCによる分析から、製造例4のコスツノライド高含有画分に含まれるコステノライドは、ほぼ定量的にジヒドロコスツノライドに変換されていることを確認した。以下、この反応生成物を「ジヒドロコスツノライド高含有画分」と称す。
製造例4で得られたコスツノライド高含有画分をエタノールに溶解し、触媒量のパラジウムカーボンを添加し、水素雰囲気下、常温常圧で8時間攪拌した。反応液より触媒を分離除去し、反応生成物を得た。HPLCによる分析から、製造例4のコスツノライド高含有画分に含まれるコステノライドは、ほぼ定量的にジヒドロコスツノライドに変換されていることを確認した。以下、この反応生成物を「ジヒドロコスツノライド高含有画分」と称す。
試験例1(細胞毒性試験)
B16メラノーマ細胞を、10%(v/v)牛胎児血清含有MEM培地で、12穴培養プレートに1×104個/wellとなるように播種し、常法にて24時間前培養した。前培養後、各種濃度の評価試料を添加した試験培地に培地交換し、72時間培養を行なった。培養終了後、細胞を10%(v/v)トリクロロ酢酸、次いでエタノール/ジエチルエーテル(1:1(v/v))で処理した。処理後、10%(v/v)ジメチルスルホキシドを含有する1mol/L水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、溶解液の総タンパク質量をCoomasie Plus Protein Assay Reagent Kit(PIERCE社製)を用いて定量した。算出したタンパク質量に基づき、下式により各種添加濃度毎に細胞毒性率を求めた。そして、横軸に試料添加濃度、縦軸に細胞毒性率をプロットしたグラフを作成し、このグラフから各評価試料が細胞増殖を50%抑制する濃度(IC50)を決定した。結果を表1に示す。
B16メラノーマ細胞を、10%(v/v)牛胎児血清含有MEM培地で、12穴培養プレートに1×104個/wellとなるように播種し、常法にて24時間前培養した。前培養後、各種濃度の評価試料を添加した試験培地に培地交換し、72時間培養を行なった。培養終了後、細胞を10%(v/v)トリクロロ酢酸、次いでエタノール/ジエチルエーテル(1:1(v/v))で処理した。処理後、10%(v/v)ジメチルスルホキシドを含有する1mol/L水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、溶解液の総タンパク質量をCoomasie Plus Protein Assay Reagent Kit(PIERCE社製)を用いて定量した。算出したタンパク質量に基づき、下式により各種添加濃度毎に細胞毒性率を求めた。そして、横軸に試料添加濃度、縦軸に細胞毒性率をプロットしたグラフを作成し、このグラフから各評価試料が細胞増殖を50%抑制する濃度(IC50)を決定した。結果を表1に示す。
(細胞毒性率の算出式)
細胞毒性率(%)=(A−B)/A×100
(A:試料無添加時のタンパク質量、B:試料添加時のタンパク質量)
細胞毒性率(%)=(A−B)/A×100
(A:試料無添加時のタンパク質量、B:試料添加時のタンパク質量)
表1に示す通り、本発明の各水素添加コスツノライド(製造例2、3、5)は製造例1又は4と比して細胞毒性が顕著に低いことが確認された。
試験例2(メラノーマ細胞に対するメラニン生成抑制作用)
B16メラノーマ細胞を、試験例1と同様の条件にて前培養し、各種濃度の評価試料を添加した試験培地で72時間培養した。培養後、試験例1と同様の処理にて細胞溶解液を調製し、タンパク質量を定量した。定量後、10%のDMSOを含む1mol/LのNaOH溶液にてメラニンを溶解させ、475nmの吸光度(OD475)を測定した。さらに、横軸に試料添加濃度、縦軸にタンパク質濃度で割り返したOD475をプロットしたグラフを作成し、このグラフから評価試料において、タンパク質当りのOD475が半分となる濃度、即ちメラニン生成が50%抑制される濃度(IC50)を決定した。尚、比較対象として、メラニン生成抑制作用が公知であるアルブチン、アスコルビン酸、コウジ酸、リノール酸を用いた。結果を表2に示す。
B16メラノーマ細胞を、試験例1と同様の条件にて前培養し、各種濃度の評価試料を添加した試験培地で72時間培養した。培養後、試験例1と同様の処理にて細胞溶解液を調製し、タンパク質量を定量した。定量後、10%のDMSOを含む1mol/LのNaOH溶液にてメラニンを溶解させ、475nmの吸光度(OD475)を測定した。さらに、横軸に試料添加濃度、縦軸にタンパク質濃度で割り返したOD475をプロットしたグラフを作成し、このグラフから評価試料において、タンパク質当りのOD475が半分となる濃度、即ちメラニン生成が50%抑制される濃度(IC50)を決定した。尚、比較対象として、メラニン生成抑制作用が公知であるアルブチン、アスコルビン酸、コウジ酸、リノール酸を用いた。結果を表2に示す。
表2に示す通り、本発明の各水素添加コスツノライド(製造例2、3、5)は、メラニン生成抑制効果を有する公知の化合物と比較して、同等以上の優れたメラニン生成抑制効果を示すことが分かった。
以下、本発明の水素添加コスツノライドの皮膚外用剤としての実施例を示す。尚、実施例における配合濃度は全て質量%である。
実施例1〜3(ローション)
本発明の水素添加コスツノライドを含有する下記組成のローションを、下記調製法にて製造した。
本発明の水素添加コスツノライドを含有する下記組成のローションを、下記調製法にて製造した。
(1)組成
(2)調製法
各成分をそれぞれ混合溶解し、攪拌して、ローションを製造した。
各成分をそれぞれ混合溶解し、攪拌して、ローションを製造した。
実施例4〜6(ジェル)
本発明の水素添加コスツノライドを含有する下記組成のジェルを、下記調製法にて製造した。
本発明の水素添加コスツノライドを含有する下記組成のジェルを、下記調製法にて製造した。
(1)組成
(2)調製法
(A)成分及び(B)成分を各々60℃に加熱溶解した後混合して、攪拌しつつ30℃まで冷却して、ジェルを製造した。
(A)成分及び(B)成分を各々60℃に加熱溶解した後混合して、攪拌しつつ30℃まで冷却して、ジェルを製造した。
実施例7〜9(親油クリーム)
本発明の水素添加コスツノライドを含有する下記組成の親油クリームを、下記調製法にて製造した。
本発明の水素添加コスツノライドを含有する下記組成の親油クリームを、下記調製法にて製造した。
(1)組成
(2)調製法
(A)成分及び(B)成分を各々60℃に加熱溶解した後混合して、攪拌しつつ30℃まで冷却して、親油クリームを製造した。
(A)成分及び(B)成分を各々60℃に加熱溶解した後混合して、攪拌しつつ30℃まで冷却して、親油クリームを製造した。
本発明のメラニン生成抑制剤は優れた美白作用と安全性を有し、ローション類、乳液類、クリーム類、パック類等の皮膚外用剤への応用が可能であり、皮膚の美容の面で非常に有用である。
Claims (3)
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JP2012224012A JP2014076951A (ja) | 2012-10-09 | 2012-10-09 | メラニン生成抑制剤 |
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JP2012224012A JP2014076951A (ja) | 2012-10-09 | 2012-10-09 | メラニン生成抑制剤 |
Publications (1)
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ID=50782584
Family Applications (1)
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JP2012224012A Pending JP2014076951A (ja) | 2012-10-09 | 2012-10-09 | メラニン生成抑制剤 |
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JP (1) | JP2014076951A (ja) |
-
2012
- 2012-10-09 JP JP2012224012A patent/JP2014076951A/ja active Pending
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