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JP2014073465A - 気液接触方法及びそれを応用した水の脱酸素方法 - Google Patents

気液接触方法及びそれを応用した水の脱酸素方法 Download PDF

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Abstract

【課題】気液接触方法において、コンパクトで低動力な構成の気液接触装置により、気液接触を行うことができる気液接触方法を提供する。
【解決手段】気液接触方法は、処理水と対象ガスを混合循環しながら、その一部を処理済み水及び処理済みガスとして系外に排出し、バランスした量の処理前水と処理前ガスを流入させる循環型の気液接触方法であって、貯留槽1と、上部に給水口、下部に排水口および気室部を備える気液接触塔10と、前記貯留槽と前記給水口とを接続する循環管路15と、前記貯留槽と前記排水口とを接続する接触管路13と、前記貯留槽と前記気液接触塔との間の液体を循環する液体移送手段4と、を備え、前記接触管路の断面積、前記気液接触塔の水平方向の断面積、前記気液接触塔の垂直方向の高さは、所定範囲内に設定されることを特徴とする。
【選択図】図1d

Description

本発明は、水中の溶存酸素等を窒素やアルゴン等の不活性ガスと置換することで除去するストリッピング技術による気液接触方法、及びそれを応用した水の脱酸素方法に関する。
〔溶存酸素〕
溶存酸素は、一般的には空気中の21%の酸素濃度分圧に比例した液体への酸素の溶解量である。水の場合には、図7に示す様な温度に依存した溶解特性を示す。
〔ガスストリッピング技術〕
ガスストリッピングとは、液相と気相のガス組成の比率を等しくすることで、液体中のガス成分の調整を行う方法である。
〔脱酸素技術〕
(蒸気式脱気法)
従来からボイラの給水の脱気で実施されていた方法であり、高所に設置された脱気槽中に、蒸気を吹込み、給水を大気圧下で沸点付近の温度に保つことにより、水中のガス成分を脱気する。
(真空脱気法)
水を沸点に保つに当たり、大気圧よりも低い圧力中で実施する方法である。
(膜脱気法)
酸素透過膜と呼ばれる酸素が溶解しやすい膜を用い、膜の反対側を低圧にすることで、水中の溶存酸素が膜を通過して、低圧側に移行することを利用して脱酸素を行う方法である。
(窒素置換法)
窒素置換法とは、リアクターと呼ばれる接触器若しくはエアレーターと呼ばれる散水器等を用いて、水中の溶存酸素と窒素をヘンリーの法則に従って置換することにより、水中の溶存酸素を減少させる方法で、ガスストリッピング技術の一形態である。
(窒素置換−気中水滴接触型)
静止型リアクターや分散板等を配置した接触塔の上部から水を散水し、塔内に窒素を吹き込むことで、霧状になった水滴と気液接触させる方法である。
(窒素置換−水中気泡接触型)
エアレーターと呼ばれる機械式の攪拌機により水を運動させるとともに、水中に微細気泡を分散させるものや、圧縮気体を水中に噴出させる際に微細気泡を発生させる方法である。
(窒素置換−単段接触法)
窒素ガスと水との接触を1つの接触装置で行い、純度の低下した窒素ガスを外部に排出する方法である。装置がコンパクトになり、装置も簡単に構成できるが、水中の酸素濃度を低下させる為には、大量の窒素が必要になる。
(窒素置換−多段接触法)
窒素ガスと水との接触を複数の接触装置で行い、最終段の接触装置の窒素ガスをその前段の接触装置のガスとして再利用することで、窒素の消費量を抑制できるが、装置が大型化し、装置も複雑化する。
〔過飽和〕
溶液の中に溶質が過剰に含まれた状態を言い、本発明においては、水の中にその温度及び圧力条件下でヘンリーの法則に従った溶存気体の存在量より過剰に溶存気体が含まれている状態を言う。例えば、廃水処理等で用いられる加圧浮上法は、高圧水の中に空気を溶存させ、常圧に戻すことで、過飽和状態の空気が微細気泡を発生する原理を利用している。
〔気体移送手段〕
気体を移送する手段であるが、低差圧のものは送風機、高差圧のものはコンプレッサーと呼ばれる。又、大気圧以下の圧力から大気圧へ気体を移送する場合には真空ポンプ等と呼ばれる。低差圧のものは遠心式や摩擦式で構成され、高差圧のものは多段の遠心式や容積式等が用いられる。又、高速流体の運動エネルギーで気体を移送する手段として、エゼクターやアスピレーター等がある。気体の移送は、圧力の変化に伴う熱エネルギーと運動エネルギーの変化を伴う為、液体移送と同一質量で比べた場合に極めて大きな動力を必要とする。
〔インゼクター/エゼクター〕
高速の流体のエネルギーを利用して、負圧を生み出すことの出来る器具である。空気や蒸気等を駆動気体として用いる気体インゼクター(エゼクター)や、アスピレーターと呼ばれる水を駆動流体とした負圧発生装置が一般的である。
〔不活性ガス〕
不活性ガスとは、対象となる環境下において、酸化や還元或いは酸性やアルカリ性等を示さず、且つ他の元素等との結合等を行うことの無いガスをいう。代表的なガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス族元素であるが、窒素ガスも一般的な環境下においては、不活性ガスとして用いることができる。
〔気体吸引手段〕
気体吸引手段とは、一般的には回転動力を利用した真空ポンプ(水流式、レシプロ式、スクリュー式、スクロール式等)を示すが、流体の高速気流を利用するインゼクターやエゼクターも気体吸引手段である。
〔液体移送手段〕
液体移送手段とは、一般的に回転動力により駆動されるポンプを示すが、気体エネルギーを利用したダイヤフラムやピストン等の往復動を利用したポンプや高速気流による吸引力を利用したインゼクター等も液体移送能力を持つ。
〔温度検知手段〕
白金測温対、熱電対、サーミスター等の温度センサーとそのアンプから構成され、温度信号を電気的な信号に変換したり、予め設定された温度に到達した時にON・OFFする信号を出力するタイプの電気的検知手段等である。この他に、バイメタルや流体の温度膨張を利用した機械的動作により、予め設定された温度に到達した時にON・OFFの信号を出力する機械的検知手段等がある。
〔流量検知手段〕
流量検知手段とは、流体の差圧、流速、容積、質量等を計測して電気的な信号に変換する流量計と呼ばれるもの等である。この他には、一定容量のタンクの減量や増量を検知したり、ポンプの規定流量から作動時間等により流量を推定する方法等がある。
〔脱酸素における処理効率、容積効率、エネルギー使用率、窒素使用率〕
本発明において、処理効率とは、ヘンリーの法則に従った溶存ガス濃度が気相の組成とバランスした状態を100%とした場合の効率のことである。順流式では、 最高でも100%であるが、 対向流式気液接触機構の場合には、100%以上の処理効率も容易に得られる。
容積効率とは、定格処理能力の流量を水及びガスの貯留槽の容積で除した値若しくは装置全体の容積で除した値を言い、通常1時間当たりの処理能力を除したものが判りやすい。容積効率が高いほど装置がコンパクトとなる。
エネルギー使用率は、動力エネルギーを定格処理能力で除した値である。この値が少ない程効率の良い装置である。
窒素使用率は、1t当たりの必要窒素量のことであり、処理効率100%の場合が理論窒素使用率となる。単段の場合と2段以上の接触単位で水と窒素ガスを対向させる場合で使用率は異なるが、理論値は計算で求めることができる。尚、実際の窒素使用率は、水温に応じて変化可能な設備と固定的である設備とで大幅に変動を生じる。また、負荷変動に追従できる設備と、できない設備とでも大幅に変動を生じる。
〔カルマン渦〕
流れの中にその流れの一部を障害する障害物を置いた時に、その下流側に交互に現れる渦列のことである。
〔水中での気泡の浮上速度〕
水中での気泡の浮上速度は、気泡が完全な球体であると仮定した場合には、浮力と水中での球体の抵抗力がバランスする速度となることから計算される。
気泡の直径が0.3mmで約0.05m/s、0.5mmで約0.15m/s、1mmで約0.6m/s、1.5mmで約1. 4m/s、2mmで約2.4m/sである。又、水深が深くなるに従い、気泡径が小さくなる為、浮上速度は低下する。
〔対向流式多段窒素脱気装置の課題〕
多段式窒素脱気装置は、水質や水温の制約が無く、窒素の使用量を抑制できる優れた脱気方法である(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、従来実用化されていた気液接触機構は、対向流式気液接触式である為、処理流速を上げることが困難な為、コンパクトに設計することに限界がある。ガスを循環利用すると、対向流の効果が無くなることから、ガス量を概ね150NL/t以下に低下させることが困難である(水温の高い水でも窒素ガス量が変わらない。)。さらに、処理流量の変化への対応が困難で、常に定格状態での運転となる為、低負荷時の窒素使用率が大幅に悪化する。以上のような課題があった。
〔エアレーター式の課題〕
エアレーターとは、水中で羽根車を回転させ、中心部に生じる負圧により気液混合を行う方法であり、水中気泡型の気液接触を行う方法である(例えば、特許文献3参照)。しかし、流速の殆ど無い槽内に1〜2ヶ所の攪拌装置を備えても、エアレーションを複数回受ける場所と殆ど受けないでショートパスする領域を生じてしまい、脱気効率を高める為には長い滞留時間を必要とする。また、接触効率を上昇させる為に、槽内の水の流速が乱流になる程度の大量の気体を水中に噴霧するか、水流を生じさせるには、大きなエネルギーが必要になる。さらに、回転軸の気体シールを行わないとガス純度が低下し、処理効率が低下するが、回転軸の気体シールは機構が複雑となり、コスト低減が困難等の課題があった。
〔順流式多段窒素脱気装置の課題〕
一方で、順流式多段脱気装置では、流速が上げられることや流速の変化にも対応しやすいこと等対向流式の課題を解決できるメリットがある(例えば、特許文献4〜6参照)。しかし、密度差の問題から順流式では水中気泡型の気液接触となる為、気体の液体への注入や流体の攪拌を行う為に大きなエネルギーが必要となる。これらのこと等から、多段式で採用することは容易ではなく、実用例が無かった。
特開2004−261691号公報 特開2009−106943号公報 特開平11−137989号公報 特開2001−129304号公報 特開2003−001008号公報 特開2004−298793号公報
本発明は、気液接触方法において、コンパクトで低動力な構成の気液接触装置により、気液接触を行うことができる気液接触方法、及びそれを応用した水の脱酸素方法を提供することを目的とする。そして、より具体的には、多段式窒素脱気方法において、コンパクトで低動力且つ多段構成を取り、窒素ガスの消費量を抑制できる脱酸素装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる気液接触方法は、処理水と対象ガスを混合循環しながら、その一部を処理済み水及び処理済みガスとして系外に排出し、バランスした量の処理前水と処理前ガスを流入させる循環型の気液接触方法であって、対象ガスが大気である場合を除き密閉構造で、貯留部および気相部を備える貯留槽と、対象ガスが大気である場合を除き密閉構造で、上部に給水口、下部に排水口および気室部を備える気液接触塔と、前記貯留槽と前記給水口とを接続する循環管路と、前記貯留槽と前記排水口とを接続する接触管路と、前記貯留槽と前記気液接触塔との間の液体を循環する液体移送手段と、を備え、前記貯留槽の気相部と、前記気液接触塔の気室部とは、対象ガスが大気である場合を除きガス循環管路により連通され、前記接触管路の断面積は、前記貯留槽の喫水面と、前記接触管路の流速と圧力損失から決まる下流側水面が前記給水口より低くなり、且つ流速が0.15m/s以上となる値に設定され、前記気液接触塔の水平方向の断面積は、循環する水量が、重力加速度に従って落下する時の流速に対応する断面積よりも大きく、下流側水面以降の下降流速が0.15m/s以上となる値に設定され、前記気液接触塔の垂直方向の高さは、前記下流側水面と前記給水口との距離が0以上で、前記給水口から落下する自由落下水の下流側水面への衝突速度が0.5m/s以上となる値に設定されることを特徴とする方法である。
本発明によれば、前記液体移送手段の運転により水が気液接触塔上部から自由落下空間内(気室部)で落下し、自由落下空間内に形成される下流側水面に衝突することで、自由落下空間に存在していたガスを気泡として巻き込み、接触管路内で順流型の水中気泡型の気液接触を行う。また、水がガスと共に貯留槽に戻ることで、水の自由落下空間内が貯留槽内気圧より低圧となり、下流側水面の上流側と貯留槽の気相をガス循環管路で連通させると、水の循環を行うだけで貯留槽のガスを吸引し循環させることができる。
本構成を一段として、この様に水とガスが循環している状態で、水経路の最前段の水循環系に原水を供給し、最後段の水循環系から処理水を得る場合、最後段のガス循環系に必要量の窒素ガスを供給し、最前段のガス循環系から排気することで、処理水量に応じた窒素ガス量で脱酸素処理を行うことができる。
尚、対象ガスが大気である場合には、対象ガスを循環再利用するメリットが少ないので、気液接触塔から直接空気を吸込み、貯留槽で直接外気排気する方法が合理的である。
本発明の請求項2にかかる気液接触方法は、前記接触管路が、下降管路と、前記貯留槽内に開口部を持つ上昇管路とを備えることを特徴とする。
本発明においては、下降管路を備えることで、下降管効果により接触効率が向上し、上昇管路を備えることで上昇管効果により、管路の圧力損失と気液分離速度が向上する。
本発明の請求項3にかかる気液接触方法は、前記気液接触塔が、前記気室部を流下する液体流中に液体流の一部の速度を低下させる障害手段と、その下流側に前記ガス循環管路またはガス供給管路の開口部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、液体の粘性と表面張力及びカルマン渦の効果により液体流内にガスが巻き込まれ、下流側水面に自由落下水が衝突する際における気泡の巻き込み量が増大し、気体吸引量が増加する事から処理効率が向上する。
本発明の請求項4にかかる気液接触方法は、前記ガス循環管路の経路上に、気体移送手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、処理水量が増加した場合に、気体移送手段を用いることで、気体循環量を増加させることができるので、処理効率を向上できる。更に、この気体移送手段に蒸気エゼクターを用いると、気体循環量の増大と同時に、蒸気の凝集効果により処理効率が更に上昇すると伴に、エゼクター排気蒸気が直ちに凝縮する事による負圧効果により、エゼクター効率を高めることができる。また、蒸気エネルギーを給水の熱として回収できるので、極めて高効率の装置となる。
本発明の請求項5にかかる水の脱酸素方法は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の気液接触方法において、前記対象ガスとして不活性ガスを用い、前記処理水中のガス組成を前記不活性ガスのガス組成に置換させることを特徴とする。
本発明によれば、上記のように、コンパクトで低動力な構成の気液接触装置により、気液接触を行うことができるので、コンパクトな脱酸素技術を提供することができる。
〔順流方式の採用〕
(対向流式の限界)
気液接触を行う方法としては、対向流式が接触効率が高いとされ、従来の高効率脱酸素装置ではこの方法が採用されていた。対向流式では、接触器単位で濃度勾配を持たせることができるので、接触器の流速を下げ、接触段数を増やすことにより、単段であっても少ない窒素量で脱酸素が行える。例えば、脱酸素を窒素で行うことを考えた場合に、単段で理論上接触効率100%の場合700NL/tの窒素ガスが必要な場合でも、対向流式の場合には接触部を複数段に分けることにより、200L程度の窒素ガス量で同一の溶存酸素水を作成することも可能である。しかし、この特性は、水流速を上げるとガスが水と同一方向に流れることから、コンパクトに設計することが困難であることと、先に提出した特許出願(特願2011−147584)でも述べているが、窒素ガス量が150NL/t程度を下回ると、ガスの過飽和現象により、窒素ガスが水に吸収されてしまい、処理効率が急激に悪化することが判っており、窒素使用率を減少させるには限界があった。又、水やガスの循環を行うと、濃度勾配がなくなる為、一定量の処理水を流し続ける必要があり、負荷の要求水量に応じたオンデマンド対応が困難であるので、部分負荷時には窒素ガス量を無駄に消費してしまう欠点も解決が困難であった。
(順流方式の課題)
順流方式は、水とガスが同一流を構成する気液接触方法であり、流速を早くすることができるので、コンパクト化しやすく、接触単位でガスの循環を行うことや水の循環を行うことが可能で、オンデマンド対応が容易である。しかし、接触器単位では濃度勾配が無い為、処理効率が最高でも100%であることや、繰り返し気液接触させる為の動力コストの増大等克服しなければならない課題も多かった。
(順流方式の改善の要点)
順流式で処理効率を高めながら、コンパクト化と省エネルギーを図るには、下記(i)〜(iv)の課題をクリアする必要がある。
(i)水に対しての接触ガス量を増加させること。
(ii)水の運動量を増加させること。
(iii)気体の混合の為に大きなエネルギーや装置を必要としないこと。
(iv)単段当たりのエネルギー投入量を出来るだけ抑制すること。
これらの課題をクリアする為に、順流式で投入エネルギーを最小としながら、多量のガスを気液接触させることができる水の自由落下効果を利用した気液接触方法を考案した。
〔水の自由落下効果を利用した水循環式気液接触方法〕
(気液の混合)
通常管路内を流れる水に気体を吸引させる為には、ベルヌーイの定理に従った流速により管路内を負圧にする必要があること。又、水とガスとは表面張力、粘度、密度等の物性が全く異なることから水の中に気体を分散させることも、気体の中に水を分散させることもどちらも、エネルギーを消費しやすい気液混合の工程がエネルギー消費を抑制する上で課題となっていた。
(自由落下効果)
水を自由落下させると、自由落下中は気体と液体の密度差が無視できるので、水塊の全周にガスが存在する、分散の第一条件を容易に実現できる。管路内で自由落下状態を作るには、垂直に立てた管路に上部から水を供給する時、その液体が落下する時に、気体抵抗を無視すれば重力加速度に従った流下速度になるが、その速度において必要な断面積よりも太い口径の管路を用い、その管路内に気体を満たすことで自由落下条件を作ることができる。本発明に必要な自由落下の距離は、下流側水面への衝突速度から求めることができる。有効な最低衝突速度は0.5m/s以上でこれ以下の衝突速度では気泡が殆ど生じない。衝突速度は水の落下方法により異なり、自由落下部入口における下降流速がゼロである場合には1.5m、流速3mの場合で凡そ0.5mで、下流側水面に落下する時の速度が4m/s程度になり、この衝突速度が処理効率や容積効率の面で有利である。又、自由落下による水の加速は、水の摩擦抵抗や粘性の影響を除外できるので極めて高効率である。
(自由落下後の下流側水面での周囲気体の巻き込み効果)
自由落下している液体が、下流側水面に衝突すると、衝突部分の周囲の気体を巻き込み、水中に気泡が生じる。これは丁度滝つぼが気泡で白くなる状況と同一である。これは、落下する水と下流側水面の間に挟まれた気体が、水の表面張力により閉じ込められ気泡を形成するので、水中に気体を噴射する方法に比べて、極めて効率が良い。尚、自由落下部の管路径が、落下速度に応じた必要断面積と近い場合には、管路内面に水流が接触しやすく、気泡の発生効率が低下する為、一般的には必要管路の2倍以上の断面積であることが望ましい。自由落下させる水のノズルは、配管の端面の様な単純なものでも良いし、複数の ノズルやパンチプレートの様な多穴式のものでも良いが、整い過ぎた直線流の場合は、落下水と下流側水面の衝突面の気体が少なくなること、水滴径が小さくなりすぎると、空気抵抗による速度低下により水面への打撃力が弱まることから、衝突面での気泡生成が悪化する。
(接触管の効果)
下流側水面(衝突面)の位置は、概ね気液接触器と連通している貯留槽の液面に、接触管内流速から求められる水頭分を加算した位置に調整される。接触管流速が0.5m/sの場合には、+12mm程度であるが、3m/sの場合には460mm程度、下流側水面が上昇することになるので、自由落下部の必要高さ、循環流量とを考慮した上で、接触管の口径を選定する必要がある。又、自由落下部の衝突面以降の下降流速が概ね0.15m/s以下である場合、直径0.5mm以上の気泡は浮上してしまうので、下降流速が低すぎることは処理効率の低下を伴う。この様に、気泡が接触管内に巻き込まれることにより、自由落下部の気体量が減少する為、自由落下部の気相や上流側に開口部を設ければ、外部の気体を吸引する様になる。尚、自由落下部と接触管間に狭窄部を設ける場合には、流体の抵抗を少なくする為、テーパー状に狭窄することが望ましく、位置は貯留槽の喫水面付近とするのが効率が良い。狭窄部を喫水面より高い位置とした場合には、その位置から狭窄部を通過する為の水頭を生じるので、自由落下部の高さを高くする必要があること。狭窄部を喫水面より低い位置とした場合には、喫水面以下は水頭とならないので、低流速部の距離が長くなるだけでメリットが少ない為である。
(下降管の効果)
接触管は下降流を形成し、流速は1m/s以上が望ましく、0.15m/sより遅いと0.5mm以上の気泡は逆流してしまう他、設備コストの面からも不利である。下降流においては、気泡径が大きいと管内滞留時間が増加し、微細気泡は乱流に沿った動きとなることから接触効率の向上が期待できると共に、気泡が会合して成長しても、水流により扁平となり、再分散する為処理効率の悪化やガスの逆流を防止できる。又、水深が深くなると、気体の溶解量が増加し、気液接触効率が上がる。尚、5m/s以上の高流速では、高い水頭圧を必要とする為、自由落下の水面と狭窄部の距離が大きくなる為、自由落下部の長さを長くする必要があり、ポンプの動力や設備面でのメリットが少なくなる。
(上昇管の効果)
上昇管は、接触管(下降管)の最下部と接続され、貯留槽内に開口部を有する管路であるが、中を流れる混合流体の水深が浅くなるに従い、気泡の容積が大きくなることと、上昇流においては、気泡径が大きい程上昇速度が速くなる為、周囲の微小気泡を巻き込み上昇力が増加するので、接触管路と上昇管路の圧力損失を相殺することができる。更に、その効果により過飽和になっていた気体分子の微細気泡を巻き込み易く、微細な気泡を残さないことで、気液分離の向上が期待できる。特に開口部が上向きであると、気泡の上昇力を有効に活用できるので有利である。従って、上昇管を備えることで、接触管の下降する深度を深くすることができるので、気液接触時間と水圧効果により、気液接触効率が向上する。
(ガス混合比と循環率)
順流式気液接触により、ガス交換を行う場合、気泡径と接触時間が同一であると仮定した場合には、水に対するガス体積が多い方が処理効率は高くなる。一方で、ガスの体積を増加させる為には、エネルギーの投入量も多くなることが一般的である。この為、オンデマンドで使用する場合に、処理水量が少ない場合には、自動的に循環回数が増加するので、ガス容積を少なめとし、処理水量が増加する場合には循環回数が減少することからガス容積を多めにすることで、処理効率と投入エネルギーのバランスを取ることができる。
(投入エネルギー)
この循環と気液接触を行う為に必要なエネルギーは、水を3循環させた場合を考えると、ポンプ効率0.5の場合で、0.03kw/t(0.1666666×液密度×0.05t/分×1.6m)/0.5(ポンプ効率)と極めて少ない投入エネルギーで気液接触を行うことができる。因みに、3循環とは自由落下効果の基本的な方法により、処理効率が90%以上となる最低循環数であり、前提として循環量1tに対して200NLのガスを混合することが出来、3循環で600NLのガスが、処理水1tに対して接触する。尚、ガスの混合効率の改善により、循環量1tに対して300NLのガスを混合することが出来れば、2循環で600NLのガスが処理水1tに対して接触するので、容積効率やエネルギー使用率を高めることができる。
(水の自由落下効果を利用した水循環式気液接触方法のまとめ)
本方式は、低圧損大流量の水循環を行う過程で、気液混合と気液接触を効率的に行うことができるので、処理効率が高く、エネルギー効率も高い。同時に、貯留槽を含めた気液接触機構において、気泡発生と水循環がシリーズであるので、ショートパスや過多接触が無く、エアレーター式と比較した場合に、滞留時間を大幅に短縮できるので容積効率が高い。従って、気液接触機構が順流式であることによる流速の高速化と、ガスを繰り返し循環できることから、下記(i)〜(iv)の作用が達成できる。
(i)気液接触機構がコンパクトになる。
(ii)消費電力が少なくなる。
(iii)オンデマンド運転が可能になる。
(iv)原水の溶存酸素(DO)に応じた窒素使用率での運転が可能になる。
水の自由落下を利用した気液接触機構の一例を示す説明図。 水の自由落下を利用した気液接触機構の一例を示す説明図。 水の自由落下を利用した気液接触機構の一例を示す説明図。 水の自由落下を利用した気液接触機構の一例を示す説明図。 水の自由落下を利用した気液接触機構の一例を示す説明図。 自由落下部の気体吸引力を高める気液接触機構の一例を示す説明図。 蒸気インゼクターを用いた気液接触機構の一例を示す説明図。 送風機を用いた気液接触機構の一例を示す説明図。 自由落下を利用した4段脱気装置の構成の一例を示す説明図。 4段自由落下式と蒸気アシストを併用した場合の処理効率を示すグラフ。 4段オンデマンド式と2段対向流式の負荷変動による窒素使用率を示すグラフ。 大気バランス下の水への溶存酸素及び溶存窒素量を示すグラフ。
〔実施形態1〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1dは、気液接触機構の構成と動作を説明する一例である。貯留槽(1)には、水入口(7)、水出口(8)、排気管路(17)、ガス循環管路(15)が接続されている他、貯留槽内に設置された液体移送手段(4)から連通する水循環管路(5)を経由して、気液接触塔(10)、接触管路(13)を経由する水循環を行う構成となっている。気液接触塔(10)は、上部が水循環管路(5)と接続されており、その下部の口径が太くなっており、自由落下部(11)を構成している。なお、貯留槽(1)にて液体が貯留している貯留部を貯留槽水側(2)といい、気体のある気相部を貯留槽気室側(3)という。
水循環管路(5)の自由落下部への接続が下向きの場合には、流速が自由落下部(11)の高さを補うことが可能である。水循環管路(5)は、流速として1〜4m/s程度が望ましく、それに合わせて水循環量から口径を決定する。尚、自由落下部(11)への噴出し部は、図の様に直角や内部に突き出した様な形状が、自由落下部の側面部を伝わる水流量を減少させるので望ましい。自由落下部(11)の口径は、最低でも水循環管路(5)の口径を上回る必要があるが、同一口径の場合には、壁面に水が付着する為、落下効果が減少する。この為、直径で2倍以上、断面積で4倍以上の口径の管路を用いることが望ましい。衝突面(18)は、貯留槽喫水面(19)に接触管路の流速に相当する水頭圧を加えた高さ付近に自動的に生成される。
液体移送手段(4)は、水中ポンプを使用しており、揚程1.5mの時に吐出量60m/hの能力を持っている。
本実施形態では、 自由落下部(11)、 接触管路(13)を同一口径としており、循環流量60m/hで内径150mmであり、気泡を除いた流速は接触管路(13)で1m/sとなっている。貯留槽は500Lの容積で、約350Lが水で150Lが気相となる構成であり、60m/hの循環量の時に1循環は約21秒となる。自由落下空間には約800mm自由落下後に3.9m/sの下向きの流速で、衝突面(18)の水面で気泡を生成している。衝突面(18)は下流側の流速により、約50mm程貯留槽喫水面(19)より上の位置となっている。この条件で、大気圧の気体の吸引量は、12Nm/h程度で循環水量の20%(容積比)程度である。
ガス循環管路(15)は貯留槽の気相部と自由落下部を連通しており、前記の量のガスを貯留槽との間で循環しながら気液接触を行う。新たなガスはガス循環管路(15)の途中のガス供給管路(16)から供給され、自由落下部(11)に供給され、余剰のガスは排気管路(17)を経由して系外に排気される。
図1eは、前記の構成と大きな変化は無いが、自由落下部(11)にガス循環管路(15)とガス供給管路(16)が備えられており、自由落下部下部は接触管路(13)と同一口径で、貯留槽(1)の貯留槽喫水面(19)下に開口している。図1dも図1eも、自由落下を利用することで、極めて単純な構造でありながら、水循環を行うだけで、ガスを吸引しながら循環させ、気液接触することができることと、ガス経路の上流側からの純度の高いガスを、自由落下部(11)に導入することができる。
〔実施形態2〕
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図1aは、実施例1の気液接触効率を高めた気液接触機構とその動作を示した一例である。水循環管路(5)から気液接触塔(10)までの構成は図1dと同一であるが、気液接触塔の下部の接触管路(13)が下降管路(13a)と上昇管路(14)より構成されており、更に接触管路(13)の最下部は貯留槽(1)の底面よりも下に設置されている。実施形態1の場合と流速や配管口径が同一条件の場合には、ガスの吸引量は変わらないが、下降管路を水とガスの混合流体が下降するに従い、水圧効果でガスの水への溶け込み量が増加し、気液接触効率が向上する。この気液混合流体は、見かけの密度が低いので、ガス混合比が増加するに従い、深部に到達することが本来は困難となる。しかし、上昇管路(14)を通過する時には、貯留槽(1)内の水よりも密度が低いことから上昇する力を生じさせるので、深い位置まで混合流体を到達させることができる。又、水圧効果により過飽和となった混合流体は、常圧下に戻した場合に、微細気泡を生じて、分離時間が長くなることから容積効率を上げることが困難となる。しかし、上昇管路(14)内で水の上昇に伴い水圧が減少することから、気泡径が大きくなることと、気泡径が大きくなると上昇速度が上昇することから、周囲の微細気泡を巻き込み気液分離を高速に行うことができる。この為、貯留槽は350Lの容積で、約200Lが水で150Lが気相となる構成であり、60m/hの循環量の時に1循環は約10秒となる。
図1bは、前記の構成と大きな変化は無いが、自由落下部(11)の下部は狭窄部(12)を経由して、下降管路(13a)に接続されており、上昇管路(14)は2重管路となり、スペース効率を高めている。狭窄部(12)は、 図1bの様にテーパー状に狭窄することが望ましく、 この部分の流速を3m/s程度まで上昇させると、2mm以上の大きな気泡も下降流に流すことが可能となる。その為、ガスの取り込み量が増加し、接触効率と容積効率の向上が可能となる。
図1cは、図1aと同等の構成であるが、水循環管路(5)の最上部の水平管上にアスピレーター(23)を備えて、水循環管路2次側(5a)を経由して、気液接触塔(10)に接続されている。水循環管路(5)の最上部では、水頭圧がゼロに近いため、アスピレーター(23)の流速が低くても、気体を吸引して気液接触塔(10)に気体を供給することが可能である。自由落下部(11)に到達後は図1aと同等の作用により、気液混合を行うことができる。水循環管路2次側(5a)の配管口径は、気体も含む為太い口径が望ましく、図1cの様に自由落下部(11)と同一口径として、上部にスクリーン(10a)等を設置して、壁面を伝わる水量を減少させる方が、衝突面(18)でのガスの巻き込み量が増加する。尚、水循環管路(5)の経路上では、適宜アスピレーターを設置して、気体の吸引を行い気液接触塔(10)へ気体を供給することは可能である。気体混合部から自由落下部(11)までの距離を長くすることで、自由落下部(11)以前にも気液接触が行えることから、容積効率を向上させる効果が期待できる。しかし、この場合には液体移送手段(4)の出口側の水頭圧の加わる部位では、水頭圧を相殺する以上の流速が必要になることから、動力コストが増加することになる。液体移送手段(4)の一次側では、液体移送手段(4)が気液混合流体を移送することになる為、キャビテーションやウォーターハンマー等が生じ易く故障の原因となったり、液体移送効率が低下することを考慮する必要がある。
〔実施形態3〕
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
図2は、図1bの構成を更に気体吸引量を増加させ、処理効率を高める気液接触機構の一例である。他の構成は、図1bと同様であるが、ガス循環管路(15)に接続されているガス供給管路は、本図では省略している。また、気液接触塔(10)と貯留槽喫水面(19)との位置関係のみを示している。自由落下部(11)にガス循環管路(15) が接続されているが、 水循環管路(5)からの水流が自由落下部(11)に落下する直下に、下側に開口している。本実施形態によると、内径200mmの自由落下部(11)に、自由落下水の下流側に開口部を持つL字管を設けている。この様な、構成とすると、水の粘性と表面張力により開口部付近が水流に覆われ、その水流の中心部にはチューブ状の空間が形成される。L字管の上面が、自由落下水の障害物となることから、その下流ではカルマン渦が発生し、チューブ状の空間の気泡をちぎる様に閉じ込めながら、衝突面/下流側水面(18)に落下するので、気泡の発生量が増大する。実施形態2と同等の条件で水循環を行うと、18Nm/h程度のガスを吸引することが可能となり、循環水量に対して30%の吸引量となり、処理効率を向上させることができる。
〔実施形態4〕
以下、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
図3aは、蒸気インゼクター(40)を用いた気液接触機構の一例である。貯留槽(1)、液体移送手段(4)等は図1a、図1b等とほぼ同様な為、異なる構成部分の説明を行う。ガス循環管路(15)は蒸気インゼクター吸い込み口(43)と接続されており、その経路の途中にガス供給管路(16)も接続されている。蒸気入口(41)から蒸気が供給されると、蒸気インゼクター吸い込み口は負圧となり、蒸気30kg/h使用時に24Nm/hのガスを吸引する。蒸気インゼクター出口(42)に排気された水蒸気とガスは自由落下部(11)に放出される。この時に水蒸気は自由落下する水と接触し、体積を失うので蒸気インゼクター出口管内は低圧となり、吸引効率が極めて高い。一方自由落下部(11)に入ったガスは、 強制供給されている為、 衝突面/下流側水面(18)付近のガス圧は、実施形態1〜3に比べて高くなる。しかし、ガス圧が上昇すると衝突面/下流側水面の位置を下げることになる為、打撃力が大きくなることと、ガス体積が減少することや溶け込み量が増加し、一定のガス圧に上昇した所でバランスする。尚、ガスの強制供給を行うと、前述の様に自由落下の距離に余裕ができる。その為、処理効率をより高める為に、接触管路(13)内に静止型ミキサー(44)の様に、流速により積極的な攪拌を行う機能を追加することも有効である。即ち、この様な静止型の攪拌器は圧力損失を生じることから、衝突面の水位を上昇させる作用を持つ。その一方で蒸気インゼクター(40)を利用すると、自由落下部の内圧が上昇するので、衝突面を下げる作用を持つ為である。その為、自由落下部の高さを変更すること無く、この様な攪拌機能を追加することが可能となる。この様な構成を取ると、実施形態1の条件で、 ガスを24Nm/h供給することができることと、蒸気の凝縮効果により処理効率が極めて良好となり、60t/hの循環量に対して、30t/h以上の処理水量を得ることができる。
図3bの様に蒸気インゼクターの代わりに、送風機(50)を用いても、蒸気の凝縮効果を除けば、ガス量を上昇させることができるので、処理効率の向上を期待できる。自由落下を利用した気液接触法においては、元々ガス注入点の圧力が低い為、使用する気体移送手段は、1KPa程度の静圧で十分であるので、 送風機の様な低圧大流量特性が適しているが、コンプレッサーや真空ポンプの様に容積式の気体移送手段を、処理水量に応じて回転数制御を行う等の方法で、動力費と処理効率のバランスを適正化することも可能である。
〔実施形態5〕
以下、本発明の第5実施形態を図面に基づいて説明する。
図4は、自由落下を利用した4段式の窒素置換脱酸素装置の実施の一例である。この図4では、4段となっているが、一段目気液接触機構(6a)〜四段目気液接触機構(6d)は、その構成要素が図1bとほぼ同一の為、三段目気液接触機構(6c)にのみ各構成要素の記号を付記し、他の接触機構については同一の構成要素に関しては記号を省略している。各気液接触機構は、液体移送手段(4)により循環を行っており、水の流通が無い場合には、各貯留槽(1)の水とガスを循環している状態でバランスしている。
原水は、調整水槽(20)に装置水入口(7a)から給水される。調整水槽(20)は、図では省略してあるが、フロート或いは電極等の水位検出器と制御弁により電気的なレベルコントロールを行う機能か、ボールタップの様に機械的に水位調整を行う水位調整機能を有している。ボイラ等が給水を必要とする場合には、装置水出口(8a)からの処理水を供給する。処理水出口から処理水が供給されると、四段目気液接触機構(6d)の貯留槽の水位が低下し、三段目気液接触機構(6c)の貯留槽水位が四段目より高くなる為、三段目気液接触機構(6c)からの処理水が流入する。その様な構成を取りながら、調整水槽(20)の水位が低下する為、調整水槽(20)の水位コントロールのみで、適正水位を保つことができる。調整水槽(20)の水位コントロール弁の開閉信号や装置水入口部の原水流量信号等の流量信号に応じて、窒素ガスが装置ガス供給管路(16a)を通じて供給されると、四段目気液接触機構(6d)の貯留槽(1)内の循環ガスと伴に自由落下部(11)を経由して、ガス交換を行い貯留槽(1)内の気室に供給される。
本実施形態においては、全てのタンクの水のラインは接続されている為、水位を一定に保とうとするので、四段目の貯留槽(1)内の気圧が、三段目の貯留槽(1)内の気圧より高くなるので流入ガスと見合った量の循環ガス量が三段目の貯留槽(1)に供給される。循環を行いながら純度の低下したガスは最終的に装置ガス排気管路(17a)から外部に排気されるが、給水供給量が少ない時は、比例して排気されるガス量も少なくなる為、僅かな水位の変動でも外気を一段目気液接触機構(6a)の気室に吸込んでしまうこととなる。これを防止する為に、水封水槽(21)を設けている。装置ガス排気管路(17a)からのガスは、水封水槽(21)の水封部を経由してガス排気口(22)から外気に放出される。因みに、調整水槽(20)の水位が低下した場合には、装置ガス排気管路内は負圧となるが、水封高さまでは外気の浸入を阻止する様になっている。但し、調整水槽(20)の水位が、原水の不足や水位コントロール等の不具合で、極端な低水位状態となった場合には、水封を破り外気が貯留槽(1)内に流入することで、タンクの負圧が過大になることが防止できる。
本実施形態では、液体移送手段(4)としての水循環ポンプは、装置の定格能力20t/hの3倍の60t/hの流量を選定している。貯留槽(1)の水面から水循環管路(5)頂部の高さは約1mの為、出口流速や配管の圧力損失を含めてもポンプの必要揚程は2mでポンプ効率50%で0.75kw程度の出力である。20t/hの定格能力に対して、60t/hの水循環量は多い様に考えるかも知れないが、順流式では1回で処理を完結しようとするとエネルギーや設備容積面からも不利である為、標準では3循環で完結できる設計としてある。そして、60t/hの水循環量を採用しているにはもうひとつの理由がある。処理水である脱酸素水は、空気に触れると純度が低下する為、オンデマンドで供給することが望ましい。しかし、ボイラ等はある一定時間における給水量の最大値はボイラの定格能力で決定されるが、瞬間的にはボイラの定格能力の1.5倍程の給水が行われる。オンデマンドで脱酸素水を供給する場合、循環ポンプの循環量がこの瞬間的な給水量を下回ってしまうと、未処理の水がショートパスしてしまうか、処理水が不足する等の不具合を生じてしまう。
本実施形態では、隔壁(9)を水入口部に設置することで、例えば30t/hの流量で数秒間過大流量が流れても、液体移送手段の流量は60t/hである為、装置水入口(7a)からの水は全て液体移送手段に流れ込み、残りの30t/hを隔壁の右側開口部から貯留槽内の処理済の水が液体移送手段に供給することになるので、ショートパスにより上流側の水が直接下流側に流れることが無いので過大流量に対応できる。即ち数秒間の過大流量の後には、必ず定格能力より少ない流量が現れるので、過大流量時の処理性能ではなく、定格運転時の処理性能に合わせて設計することができるので、コストダウンや容積効率の向上に有利であるからである。
尚、この構成に、実施形態3における気体吸引力を高める技術や、蒸気インゼクターを併用することで、装置の大きさを変えずに連続定格時の処理能力を高めることができる。気体吸引力を高める方法では、25t/hの連続処理能力まで、蒸気を併用した場合には30t/hの連続処理能力まで対応が可能である。更に、蒸気インゼクターの能力を増し、接触管路(13)に静止型ミキサー等の混合促進機能を負荷することにより、45t/h程度まで供給能力を上げることも可能であり、過大流量を生じないプラント向けには有利である。尚、ボイラ用途等で後段にて更に加熱が必要な用途においては、蒸気を使用しても、その熱量は全て回収できるので、動力の無駄にならない点も有利である。因みに、 本実施形態における処理効率は 図5の通りである。 負荷が20t/hまでは蒸気を使用しなくても、ほぼ理論値通りの処理が可能であるので、ボイラ等の立ち上げ時等でも、運用に問題は無い。
尚、オンデマンド型の処理水供給方法の窒素使用率の低減効果は図6で確認できる。本方式では窒素の使用率は全負荷において30〜40NL/t前後で安定しているが、対向流型の処理方法の場合には、定量の処理水を流し続ける必要がある為、負荷が低い時には原水1t当たりの窒素使用量が極めて大きく、非効率であることが判る。
又、蒸気インゼクターや気体移送手段により、強制通気を行う場合、要求される処理水量を検出し、例えば平均処理水量が20t/h以下の場合には、強制換気を行わず、20t/h以上になった場合に、強制換気を行う運用を行うことにより、動力コストを削減しながら容積効率を高めることが可能となる。
〔脱酸素水の利用用途〕
本発明により供給される脱酸素水は、ボイラ等への補給水とすることで、ボイラの腐食を防止することができる。特に、本発明による気液接触装置は、処理効率や容積効率が高く、エネルギー使用率も優れていることや、オンデマンド型の処理水供給方法が可能な為、窒素使用率を大幅に低減できるので、窒素ボンベや液体窒素等の購入窒素を利用する場合でも、低コストである。そのため、窒素発生器やコンプレッサー等のイニシャルコストが削減でき、利用用途の更なる拡大が見込まれる。
〔気液接触装置としての利用用途〕
本発明による自由落下部を用いた気液接触方法は、極めてシンプルで低動力である為、従来水中に空気を吹き込むことで実現されていた廃水や湖沼等の曝気処理の用途にも応用が可能であると考える。
1…貯留槽
2…貯留槽水側
3…貯留槽気室側
4…液体移送手段
5…水循環管路
5a…水循環管路2次側
6…気液接触機構
6a…一段目気液接触機構
6b…二段目気液接触機構
6c…三段目気液接触機構
6d…四段目気液接触機構
7…水入口
7a…装置水入口
8…水出口
8a…装置水出口
9…隔壁
10…気液接触塔
10a…スクリーン
11…自由落下部
12…狭窄部
13…接触管路
13a…下降管路
14…上昇管路
15…ガス循環管路
16…ガス供給管路
16a…装置ガス供給管路
17…排気管路
17a…装置ガス排気管路
18…衝突面・下流側水面
19…貯留槽喫水面
20…調整水槽
21…水封水槽
22…ガス排気口
23…アスピレーター
30…貯留槽上面
31…貯留槽底面
40…蒸気インゼクター
41…蒸気入口
42…蒸気インゼクター出口
43…蒸気インゼクター吸い込み口
44…静止型ミキサー
50…送風機

Claims (5)

  1. 処理水と対象ガスを混合循環しながら、その一部を処理済み水及び処理済みガスとして系外に排出し、バランスした量の処理前水と処理前ガスを流入させる循環型の気液接触方法であって、
    対象ガスが大気では無い場合には密閉構造を持ち、貯留部および気相部を備える貯留槽と、
    対象ガスが大気では無い場合には密閉構造を持ち、上部に給水口、下部に排水口および気室部を備える気液接触塔と、
    前記貯留槽と前記給水口とを接続する循環管路と、
    前記貯留槽と前記排水口とを接続する接触管路と、
    前記貯留槽と前記気液接触塔との間の液体を循環する液体移送手段と、を備え、
    前記貯留槽の気相部と、前記気液接触塔の気室部とは、対象ガスが大気では無い場合にはガス循環管路により連通され、
    前記接触管路の断面積は、前記貯留槽の喫水面と、前記接触管路の流速と圧力損失から決まる下流側水面が前記給水口より低くなり、且つ流速が0.15m/s以上となる値に設定され、
    前記気液接触塔の水平方向の断面積は、循環する水量が、重力加速度に従って落下する時の流速に対応する断面積よりも大きく、下流側水面以降の下降流速が0.15m/s以上となる値に設定され、
    前記気液接触塔の垂直方向の高さは、前記下流側水面と前記給水口との距離が0以上で、前記給水口から落下する自由落下水の下流側水面への衝突速度が0.5m/s以上となる値に設定される
    ことを特徴とする気液接触方法。
  2. 請求項1に記載の気液接触方法において、
    前記接触管路が、前記貯留槽の底面よりも下部に延長した下降管路と、前記貯留槽内に開口部を持つ上昇管路とを備える
    ことを特徴とする気液接触方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の気液接触方法において、
    前記気液接触塔が、前記気室部を流下する液体流中に液体流の一部の速度を低下させる障害手段と、その下流側に前記ガス循環管路またはガス供給管路の開口部とを備える
    ことを特徴とする気液接触方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の気液接触方法において、
    前記ガス循環管路の経路上に、気体移送手段を備える
    ことを特徴とする気液接触方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の気液接触方法において、
    前記対象ガスとして不活性ガスを用い、前記処理水中のガス組成を前記不活性ガスのガス組成に置換させる
    ことを特徴とする水の脱酸素方法。
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