JP2014034521A - ミチグリニドカルシウム水和物の結晶を製造する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 (S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの粗体から、再結晶によって、粒子径が小さく粒度の均一性が良好で、高純度の(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウム・2水和物を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】 (S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの粗体の再結晶において、炭素数1〜4のアルコールと水の混合溶媒を使用し、溶液から結晶を析出させる際に、特定の温度範囲で一定時間保持する。
【選択図】 なし
【解決手段】 (S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの粗体の再結晶において、炭素数1〜4のアルコールと水の混合溶媒を使用し、溶液から結晶を析出させる際に、特定の温度範囲で一定時間保持する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、糖尿病治療薬として有用なミチグリニドカルシウム水和物(化学名称:((S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウム・2水和物)の新規な製造方法に関する。
下記式(1)
で示されるミチグリニドカルシウム水和物(化学名称:((S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウム・2水和物)は、膵β細胞のスルホニルウレア受容体への結合を介して、ATP感受性K+チャネル電流を阻害することによりインスリンの分泌を促進し、2型糖尿病における食後の過血糖を改善する作用を有する。
このような治療薬として有用なミチグリニドカルシウム水和物は非常に高純度であることが望まれている。高純度の結晶性化合物を得る方法としては、再結晶やリスラリーなどが一般的に用いられており、ミチグリニドカルシウム水和物においても、種々の製造方法によって得られた下記式(2)
で示される(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウム(以下、プロピオン酸カルシウム体とも言う。)の粗体から、再結晶によってミチグリニドカルシウム水和物が得られることが知られている。
例えば、特許文献1には、下記式(3)
で示される(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸(以下、プロピオン酸体とも言う。)をアンモニア水及び塩化カルシウムで処理して得られたプロピオン酸カルシウム体の粗体を、イソプロピルアルコールで再結晶してミチグリニドカルシウム水和物を製造する方法が示されている。
また、特許文献2及び3には、プロピオン酸体を水酸化ナトリウム、次いで塩化カルシウムで処理した後、クロロホルムで抽出、濃縮し得られた残渣を、95%含水エタノールで再結晶する方法が示されている。
さらに、特許文献4及び5には、下記式(4)
で示される(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸メチル(以下、プロピオン酸メチル体とも言う。)を水酸化ナトリウム等の苛性アルカリ水溶液を用いて加水分解した後、その反応液に直接塩化カルシウムを加えカルシウム塩化して得られたプロピオン酸カルシウム体の粗体を、メタノール/水より再結晶してミチグリニドカルシウム水和物を製造する方法が示されている。
しかしながら、本発明者が、プロピオン酸カルシウム体の粗体を再結晶させる条件について、上記特許文献記載の溶媒を用いて検討したところ、含液率の高い結晶が得られることが明らかとなった。当該結晶は、含液率が高く、濾過性が悪いことから、濾過操作および乾燥操作に非常に長い時間と労力を要し、工業的に実施するにも問題があった。また、濾液が残存することによって、結晶の純度が低下するおそれがあった。さらに、当該結晶の粒度分布は非常に広範囲に広がっており、結晶の粒度が均一ではないことが明らかとなった。そのため、医薬品用途として使用するためには、さらに、粉砕や篩い分けなどの工程を実施する必要があった。
したがって、本発明の目的は、粒度の均一性が良好で、高純度の(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウム・2水和物(ミチグリニドカルシウム水和物)の結晶を効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意研究を行った。具体的には、アルコールと水の混合溶媒を用いて、プロピオン酸カルシウム体の粗体を再結晶させる際の条件を検討した。その結果、再結晶の操作において、プロピオン酸カルシウム体の粗体を溶解させた溶液から結晶を析出させる際の冷却速度を遅くすることによって、驚くべきことに、粒子径が小さく、粒度分布が狭くシャープな結晶が得られる傾向があることを見出した。これは、従来の再結晶操作において、溶液の冷却速度を遅くすることによって粒子径が大きい結晶が得られるという知見とは異なるものであり、プロピオン酸カルシウム体の粗体をアルコールと水の混合溶媒から再結晶させる際に特有の現象であると考えられる。この理由は明らかではないが、プロピオン酸カルシウム体では、冷却速度が速い場合に結晶の凝集が起こりやすく、粒度の均一性が悪くなっていることが考えられる。さらに、本発明者は、溶液から結晶を析出させる際の冷却速度を遅くすることによって、含液率が低く、濾過性が良好な結晶が得られることを見出した。すなわち、これによって、結晶中に多量の濾液が残存することによる純度の低下を生じさせることなく、高純度の結晶が得られ、また、濾過工程および乾燥工程にかかる時間や労力を大幅に省くことができることを見出した。
そこで、本発明者がさらに検討したところ、特に、炭素数1〜4のアルコールと水の混合溶媒を使用し、プロピオン酸カルシウム体を溶解させた後で、その溶液を35〜70℃で一定時間保持することによって、粒子径が小さく均一性の良好な粒度を有し、且つ、含液率の低いプロピオン酸カルシウム体の結晶を、純度を低下させることなく、得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
そこで、本発明者がさらに検討したところ、特に、炭素数1〜4のアルコールと水の混合溶媒を使用し、プロピオン酸カルシウム体を溶解させた後で、その溶液を35〜70℃で一定時間保持することによって、粒子径が小さく均一性の良好な粒度を有し、且つ、含液率の低いプロピオン酸カルシウム体の結晶を、純度を低下させることなく、得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの粗体を、炭素数1〜4のアルコールと水からなる混合溶媒から再結晶させ、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウム・2水和物の結晶を製造する方法において、上記(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの粗体と上記混合溶媒との混合液の温度を60〜80℃として、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの溶液を得る工程、上記溶液の温度を35〜70℃とし、1〜10時間保持して、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの結晶を析出させる一次保持工程、および、上記一次保持工程で得られた液の温度を30℃以下とし、1時間以上保持して、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの結晶をさらに析出させる二次保持工程を含んでなることを特徴する製造方法である。
また、本発明において、前記混合溶媒は、アルコール/水の容積比率が80/20〜99/1であることが好ましい。
また、本発明において、前記混合溶媒は、アルコール/水の容積比率が80/20〜99/1であることが好ましい。
本発明によれば、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウム(プロピオン酸カルシウム体)の粗体から、再結晶によって、粒子径が小さく粒度の均一性が良好で、高純度の(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウム・2水和物(ミチグリニドカルシウム水和物)を効率的に製造することができる。
本発明は、プロピオン酸カルシウム体の粗体を、炭素数1〜4のアルコールと水からなる混合溶媒(以下、単に混合溶媒とも言う。)から再結晶させ、ミチグリニドカルシウム水和物の結晶を製造する方法において、上記プロピオン酸カルシウム体の粗体と上記混合溶媒との混合液の温度を60〜80℃として、プロピオン酸カルシウム体の溶液を得る工程(以下、溶解工程とも言う。)、上記溶液の温度を35〜70℃とし、1〜10時間保持して、プロピオン酸カルシウム体の結晶を析出させる一次保持工程、および、上記一次保持工程で得られた液の温度を30℃以下とし、1時間以上保持して、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの結晶をさらに析出させる二次保持工程を含んでなることを特徴する製造方法である。
まず、本発明において使用する、プロピオン酸カルシウム体の粗体、および混合溶媒について説明する。
((S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウム(プロピオン酸カルシウム体)の粗体)
本発明で使用されるプロピオン酸カルシウム体の粗体は、特に制限されるものではなく、公知の方法、例えば、特許文献1〜5に記載の方法で製造することができる。また、当該プロピオン酸カルシウム体の粗体の形態は、特に制限されるものではなく、結晶、アモルファス、またはこれらが混合した形態であってもよく、無水物、水和物、溶媒和物またはこれらが混合した形態であってもよく、水和物または溶媒和物であるときの水または溶媒の分子数は特に制限されない。さらに、当該プロピオン酸カルシウム体の粗体は、下記に詳述する混合溶媒に溶解できればよく、粉末、塊状物、またはこれらが混合した形状であってもよい。また、本発明においては、下記混合溶媒中にプロピオン酸カルシウム体の粗体が溶解している混合液とするため、下記混合溶媒に使用される炭素数1〜4のアルコールおよび/または水を含む湿体であってもよく、再結晶に影響を及ぼさない範囲でその他の溶媒を含んでいてもよい。
本発明において、当該プロピオン酸カルシウム体の粗体の製造方法は、具体的には、特許文献1に記載の方法、すなわち、プロピオン酸体の水懸濁液にアンモニア水を加え、次いで塩化カルシウムを加えて、析出したプロピオン酸カルシウム体の固体を濾取する方法が挙げられる。また、特許文献4および5に記載の方法、すなわち、プロピオン酸メチル体を水酸化ナトリウム等の苛性アルカリ水溶液を用いて加水分解した後、その反応液に直接塩化カルシウムを加えてカルシウム塩化させる方法が挙げられる。また、当該プロピオン酸カルシウム体の粗体の純度は制限されず、上記方法などによって得られたものをそのまま使用することができるが、最終的に得られるミチグリニドカルシウム水和物の純度をより高くするために、一般的な精製方法、例えば再結晶やリスラリーなどの方法により、必要に応じて1回以上精製したものを、上記プロピオン酸カルシウム体の粗体として利用しても良い。
本発明で使用されるプロピオン酸カルシウム体の粗体は、特に制限されるものではなく、公知の方法、例えば、特許文献1〜5に記載の方法で製造することができる。また、当該プロピオン酸カルシウム体の粗体の形態は、特に制限されるものではなく、結晶、アモルファス、またはこれらが混合した形態であってもよく、無水物、水和物、溶媒和物またはこれらが混合した形態であってもよく、水和物または溶媒和物であるときの水または溶媒の分子数は特に制限されない。さらに、当該プロピオン酸カルシウム体の粗体は、下記に詳述する混合溶媒に溶解できればよく、粉末、塊状物、またはこれらが混合した形状であってもよい。また、本発明においては、下記混合溶媒中にプロピオン酸カルシウム体の粗体が溶解している混合液とするため、下記混合溶媒に使用される炭素数1〜4のアルコールおよび/または水を含む湿体であってもよく、再結晶に影響を及ぼさない範囲でその他の溶媒を含んでいてもよい。
本発明において、当該プロピオン酸カルシウム体の粗体の製造方法は、具体的には、特許文献1に記載の方法、すなわち、プロピオン酸体の水懸濁液にアンモニア水を加え、次いで塩化カルシウムを加えて、析出したプロピオン酸カルシウム体の固体を濾取する方法が挙げられる。また、特許文献4および5に記載の方法、すなわち、プロピオン酸メチル体を水酸化ナトリウム等の苛性アルカリ水溶液を用いて加水分解した後、その反応液に直接塩化カルシウムを加えてカルシウム塩化させる方法が挙げられる。また、当該プロピオン酸カルシウム体の粗体の純度は制限されず、上記方法などによって得られたものをそのまま使用することができるが、最終的に得られるミチグリニドカルシウム水和物の純度をより高くするために、一般的な精製方法、例えば再結晶やリスラリーなどの方法により、必要に応じて1回以上精製したものを、上記プロピオン酸カルシウム体の粗体として利用しても良い。
(混合溶媒)
本発明では、炭素数1〜4のアルコールと水からなる混合溶媒が用いられる。当該炭素数1〜4のアルコールは、特に制限されるものではないが、好適に使用される溶媒を例示すれば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等が挙げられる。これら溶媒は、一種類だけを用いてもよく、複数種類を適宜混合して用いてもよい。
また、本発明において、当該混合溶媒におけるアルコールと水の比率は特に制限されるものではないが、操作性および回収率を考慮すると、アルコール/水の容積比率が、1/99〜99.9/0.1であればよく、さらには50/50〜99.5/0.5とすることが好ましく、80/20〜99/1とすることがより好ましい。
本発明において、当該混合溶媒の使用量は前記プロピオン酸カルシウム体の粗体が溶解する量であれば特に制限されるものではないが、操作性および回収率を考慮すると、前記プロピオン酸カルシウム体の粗体1gに対して、反応溶媒を0.1mL以上200mL以下とすることが好ましく、さらには0.5mL以上100mL以下とすることが好ましく、特に1.0mL以上50mL以下とすることが好ましい。
本発明では、炭素数1〜4のアルコールと水からなる混合溶媒が用いられる。当該炭素数1〜4のアルコールは、特に制限されるものではないが、好適に使用される溶媒を例示すれば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等が挙げられる。これら溶媒は、一種類だけを用いてもよく、複数種類を適宜混合して用いてもよい。
また、本発明において、当該混合溶媒におけるアルコールと水の比率は特に制限されるものではないが、操作性および回収率を考慮すると、アルコール/水の容積比率が、1/99〜99.9/0.1であればよく、さらには50/50〜99.5/0.5とすることが好ましく、80/20〜99/1とすることがより好ましい。
本発明において、当該混合溶媒の使用量は前記プロピオン酸カルシウム体の粗体が溶解する量であれば特に制限されるものではないが、操作性および回収率を考慮すると、前記プロピオン酸カルシウム体の粗体1gに対して、反応溶媒を0.1mL以上200mL以下とすることが好ましく、さらには0.5mL以上100mL以下とすることが好ましく、特に1.0mL以上50mL以下とすることが好ましい。
次に、本発明の反応の詳細について説明する。
(溶解工程)
本発明の溶解工程は、前記プロピオン酸カルシウム体の粗体と前期混合溶媒との混合液の温度を60〜80℃として、プロピオン酸カルシウム体の溶液を得る工程である。
当該溶解工程において、前記プロピオン酸カルシウム体の粗体および前記混合溶媒を混合する順序は特に制限されるものではない。また、前記混合溶媒は、アルコールと水を予め混合したものを使用してもよいし、当該工程においてアルコールと水を順次添加してもよく、この際の混合順序も特に制限されるものではない。具体的には、例えば、プロピオン酸カルシウム体の粗体および混合溶媒を60℃以下の温度で混合した後で、得られた混合液の温度を60℃以上80℃以下としても良いし、予め混合溶媒の温度を60℃以上80℃とした後で、プロピオン酸カルシウム体の粗体を加えても良い。プロピオン酸カルシウム体の粗体の溶解性を考慮すると、プロピオン酸カルシウム体の粗体および炭素数1〜4のアルコールを予め混合し、得られた混合液の温度を60℃以上80℃以下として溶解させた後、同じ温度範囲にて水を加えることが好ましい。
本発明では、当該溶解工程において、混合液の温度を60℃以上80℃以下とすることによって、効率的にプロピオン酸カルシウム体の溶液を得ることができる。また、混合液の温度が80℃を超えると、前記プロピオン酸カルシウム体のラセミ化や分解が起こってミチグリニドカルシウム水和物の純度が下がるおそれがある。
本発明の溶解工程は、前記プロピオン酸カルシウム体の粗体と前期混合溶媒との混合液の温度を60〜80℃として、プロピオン酸カルシウム体の溶液を得る工程である。
当該溶解工程において、前記プロピオン酸カルシウム体の粗体および前記混合溶媒を混合する順序は特に制限されるものではない。また、前記混合溶媒は、アルコールと水を予め混合したものを使用してもよいし、当該工程においてアルコールと水を順次添加してもよく、この際の混合順序も特に制限されるものではない。具体的には、例えば、プロピオン酸カルシウム体の粗体および混合溶媒を60℃以下の温度で混合した後で、得られた混合液の温度を60℃以上80℃以下としても良いし、予め混合溶媒の温度を60℃以上80℃とした後で、プロピオン酸カルシウム体の粗体を加えても良い。プロピオン酸カルシウム体の粗体の溶解性を考慮すると、プロピオン酸カルシウム体の粗体および炭素数1〜4のアルコールを予め混合し、得られた混合液の温度を60℃以上80℃以下として溶解させた後、同じ温度範囲にて水を加えることが好ましい。
本発明では、当該溶解工程において、混合液の温度を60℃以上80℃以下とすることによって、効率的にプロピオン酸カルシウム体の溶液を得ることができる。また、混合液の温度が80℃を超えると、前記プロピオン酸カルシウム体のラセミ化や分解が起こってミチグリニドカルシウム水和物の純度が下がるおそれがある。
(一次保持工程)
本発明の一次保持工程は、前記溶解工程で得られた溶液の温度を35〜70℃とし、1〜10時間保持して、プロピオン酸カルシウム体の結晶を析出させる工程である。
本発明では、当該一次保持工程において、前記溶解工程で得られた溶液の温度を35℃以上70℃以下で保持することによって、粒子径が小さく粒度の均一性が良好で、含液率が低く濾過性の良い結晶を得ることができる。当該温度が35℃未満では、粒度分布が広く、含液率が高く濾過性の悪い結晶が得られるため好ましくなく、反応液の温度が70℃を超えると、回収率が低下するおそれがある。操作性、回収率、得られる結晶の物性を考慮すると、反応液の温度は、40℃以上65℃以下とすることが好ましく、45℃以上55℃以下とすることがより好ましい。また、当該一次保持工程においては、上記温度範囲とした反応液を同じ温度範囲にて1〜10時間保持することによって、十分な量の結晶が析出し、収率よく効率的に、プロピオン酸カルシウム体の結晶を得ることができる。なお、当該一次保持工程において、反応液は攪拌混合しておくことが好ましい。
本発明では、当該一次保持工程において、上記プロピオン酸カルシウム体の溶液に、ミチグリニドカルシウム水和物の種結晶を混合することもできる。種結晶を使用する場合には、プロピオン酸カルシウム体の溶液の温度を35℃以上70℃以下とし、保持を開始する際に種結晶を混合することが好ましい。種結晶の使用量は、特に制限されるものではないが、プロピオン酸カルシウム体の粗体1gに対して、0.0001g以上0.1g以下であることが好ましく、0.001g以上0.05g以下であることがより好ましい。
本発明の一次保持工程は、前記溶解工程で得られた溶液の温度を35〜70℃とし、1〜10時間保持して、プロピオン酸カルシウム体の結晶を析出させる工程である。
本発明では、当該一次保持工程において、前記溶解工程で得られた溶液の温度を35℃以上70℃以下で保持することによって、粒子径が小さく粒度の均一性が良好で、含液率が低く濾過性の良い結晶を得ることができる。当該温度が35℃未満では、粒度分布が広く、含液率が高く濾過性の悪い結晶が得られるため好ましくなく、反応液の温度が70℃を超えると、回収率が低下するおそれがある。操作性、回収率、得られる結晶の物性を考慮すると、反応液の温度は、40℃以上65℃以下とすることが好ましく、45℃以上55℃以下とすることがより好ましい。また、当該一次保持工程においては、上記温度範囲とした反応液を同じ温度範囲にて1〜10時間保持することによって、十分な量の結晶が析出し、収率よく効率的に、プロピオン酸カルシウム体の結晶を得ることができる。なお、当該一次保持工程において、反応液は攪拌混合しておくことが好ましい。
本発明では、当該一次保持工程において、上記プロピオン酸カルシウム体の溶液に、ミチグリニドカルシウム水和物の種結晶を混合することもできる。種結晶を使用する場合には、プロピオン酸カルシウム体の溶液の温度を35℃以上70℃以下とし、保持を開始する際に種結晶を混合することが好ましい。種結晶の使用量は、特に制限されるものではないが、プロピオン酸カルシウム体の粗体1gに対して、0.0001g以上0.1g以下であることが好ましく、0.001g以上0.05g以下であることがより好ましい。
(二次保持工程)
本発明の二次保持工程は、前記一次保持工程で得られた液の温度を30℃以下とし、1時間以上保持して、プロピオン酸カルシウム体の結晶をさらに析出させる工程である。
本発明において、当該二次保持工程を行うことによって、収率良く、所望の結晶を得ることができる。当該二次保持工程において、反応液の温度は、回収率、得られる結晶の純度を考慮すると、0℃以上30℃以下とすることが好ましい。また、反応液を保持する時間は、回収率、反応の効率を考慮すると、1時間以上20時間以上とすることが好ましい。
このようにして析出したプロピオン酸カルシウム体の結晶は、含液率が低く濾過性が良いため、濾過や遠心分離などによって容易に固液分離することができ、自然乾燥、送風乾燥、真空乾燥などにより乾燥することによって、ミチグリニドカルシウム水和物として容易に単離することができる。
本発明の二次保持工程は、前記一次保持工程で得られた液の温度を30℃以下とし、1時間以上保持して、プロピオン酸カルシウム体の結晶をさらに析出させる工程である。
本発明において、当該二次保持工程を行うことによって、収率良く、所望の結晶を得ることができる。当該二次保持工程において、反応液の温度は、回収率、得られる結晶の純度を考慮すると、0℃以上30℃以下とすることが好ましい。また、反応液を保持する時間は、回収率、反応の効率を考慮すると、1時間以上20時間以上とすることが好ましい。
このようにして析出したプロピオン酸カルシウム体の結晶は、含液率が低く濾過性が良いため、濾過や遠心分離などによって容易に固液分離することができ、自然乾燥、送風乾燥、真空乾燥などにより乾燥することによって、ミチグリニドカルシウム水和物として容易に単離することができる。
得られたミチグリニドカルシウム水和物は、下記の実施例の測定条件において、累積体積粒子径が50%となる体積平均粒子径(以下、d50とも言う。)が5μm以下、累積体積粒子径が90%となる累積90%粒子径(以下、d90とも言う。)が20μm以下であって、粒子径が小さく、粒度分布が狭くシャープな結晶となる。そのため、粉砕することなく、そのまま医薬品として十分に使用可能である。また、本発明の方法で得られたミチグリニドカルシウム水和物は、篩い分けや、少しの粉砕によって、より粒子径が小さく、より粒度分布の狭い結晶とすることもできる。
本発明では、前記プロピオン酸カルシウム体の粗体と前記炭素数1〜4のアルコールおよび水の混合溶媒との混合液の温度を60〜80℃として、プロピオン酸カルシウム体の溶液を得る工程(溶解工程)、上記溶液の温度を35〜70℃とし、1〜10時間保持して、プロピオン酸カルシウムの結晶を析出させる一次保持工程、および、上記一次保持工程で得られた液の温度を30℃以下とし、1時間以上保持して、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの結晶をさらに析出させる二次保持工程を実施することにより、粒子径が小さく、粒度分布が狭くシャープであり、粒度の均一性が良好なミチグリニドカルシウム水和物の結晶を得ることができる。そのため、粉砕することなくそのまま医薬品として十分に使用可能であるし、必要に応じ、粉砕などの操作を実施することによって、より粒子径が小さく、より粒度分布の狭い結晶とすることもできる。また、当該結晶は、含液率が低く濾過性の良いことから、濾過工程および乾燥工程における時間が短縮され、濾液が結晶に残存して純度を低下させることもなく、高純度のミチグリニドカルシウム水和物の結晶を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
なお、実施例、比較例の純度および粒度分布の測定、含液率の計算は、下記のとおり実施した。
なお、実施例、比較例の純度および粒度分布の測定、含液率の計算は、下記のとおり実施した。
<純度の測定方法>
装置:高速液体クロマトグラフ装置 WATERS社製
検出器:紫外吸光光度検出器 WATERS社製 (測定波長:210nm)
カラム:株式会社和光純薬製 Wakosil 5C18−200T、内径4.6mm、長さ15cm
カラム温度:30℃ 一定温度
サンプル温度:25℃ 一定温度
移動相:アセトニトリル/リン酸水溶液(pH=2.0)=50/50
流量:1.0ml/分
測定時間:30分
上記条件において、ミチグリニドカルシウム水和物は約5.4分にピークが確認される。以下の実施例、比較例において、ミチグリニドカルシウム水和物の純度は、上記条件で測定される全ピークの面積値の合計に対するミチグリニドカルシウム水和物のピークの面積値の割合である。
装置:高速液体クロマトグラフ装置 WATERS社製
検出器:紫外吸光光度検出器 WATERS社製 (測定波長:210nm)
カラム:株式会社和光純薬製 Wakosil 5C18−200T、内径4.6mm、長さ15cm
カラム温度:30℃ 一定温度
サンプル温度:25℃ 一定温度
移動相:アセトニトリル/リン酸水溶液(pH=2.0)=50/50
流量:1.0ml/分
測定時間:30分
上記条件において、ミチグリニドカルシウム水和物は約5.4分にピークが確認される。以下の実施例、比較例において、ミチグリニドカルシウム水和物の純度は、上記条件で測定される全ピークの面積値の合計に対するミチグリニドカルシウム水和物のピークの面積値の割合である。
<粒子径測定方法>
装置:レーザー回折式粒度分布測定装置 Sympatec社製 Helos&Rodos system
計算:Windox5.2
分散圧:1.5bar
引圧:0
回転:なし
以上の条件により、累積体積粒子径が50%となる体積平均粒子径d50、および累積体積粒子径が90%となる累積90%粒子径d90を求めた。
装置:レーザー回折式粒度分布測定装置 Sympatec社製 Helos&Rodos system
計算:Windox5.2
分散圧:1.5bar
引圧:0
回転:なし
以上の条件により、累積体積粒子径が50%となる体積平均粒子径d50、および累積体積粒子径が90%となる累積90%粒子径d90を求めた。
製造例1
(S)−2−ベンジル―3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸ベンジル2.00gとメタノール18mlとの混合液に1N水酸化ナトリウム水溶液6mlを加え、室温で一晩攪拌した。この反応溶液に、酢酸0.1mlを加えた後、さらにメタノール2mlおよび水10mlを加え、塩化カルシウム(含量73%)1.5gの水4ml溶液を50℃で攪拌させながら滴下した。この反応溶液を50℃で1.5時間攪拌後、室温で一晩攪拌した。析出した結晶を濾取し、メタノール4mlおよび水4mlの混合物で洗浄後、減圧乾燥してプロピオン酸カルシウム体の粗体1.58g(収率91%、純度99.3%)を得た。
(S)−2−ベンジル―3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸ベンジル2.00gとメタノール18mlとの混合液に1N水酸化ナトリウム水溶液6mlを加え、室温で一晩攪拌した。この反応溶液に、酢酸0.1mlを加えた後、さらにメタノール2mlおよび水10mlを加え、塩化カルシウム(含量73%)1.5gの水4ml溶液を50℃で攪拌させながら滴下した。この反応溶液を50℃で1.5時間攪拌後、室温で一晩攪拌した。析出した結晶を濾取し、メタノール4mlおよび水4mlの混合物で洗浄後、減圧乾燥してプロピオン酸カルシウム体の粗体1.58g(収率91%、純度99.3%)を得た。
実施例1
プロピオン酸カルシウム体の粗体3.00g(純度99.3%)にエタノール44.1mlを加えた。この混合液を60℃で加熱し、得られた溶液に水0.9mlを加えた。この溶液を50℃まで冷却し、種結晶3.6mgを加え、同温度で8時間攪拌した。この反応液を25℃まで冷却し、同温度で16時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、98%エタノール水溶液で洗浄後、湿体としてプロピオン酸カルシウム体の結晶を得た。得られた湿体を減圧乾燥してミチグリニドカルシウム水和物の結晶2.68g(収率89%、純度99.9%)を得た。得られた結晶は、d50が2.7μm、d90が15.9μmであった。また、含液率は38%であった。
このミチグリニドカルシウム水和物の粒度分布を図1に示した。このミチグリニドカルシウム水和物の粒度分布は、粒径2μm付近にピークを1つ有するものであり、粒径20μm以上の粒子の累積体積は10%未満で、狭くシャープな分布を示した。
プロピオン酸カルシウム体の粗体3.00g(純度99.3%)にエタノール44.1mlを加えた。この混合液を60℃で加熱し、得られた溶液に水0.9mlを加えた。この溶液を50℃まで冷却し、種結晶3.6mgを加え、同温度で8時間攪拌した。この反応液を25℃まで冷却し、同温度で16時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、98%エタノール水溶液で洗浄後、湿体としてプロピオン酸カルシウム体の結晶を得た。得られた湿体を減圧乾燥してミチグリニドカルシウム水和物の結晶2.68g(収率89%、純度99.9%)を得た。得られた結晶は、d50が2.7μm、d90が15.9μmであった。また、含液率は38%であった。
このミチグリニドカルシウム水和物の粒度分布を図1に示した。このミチグリニドカルシウム水和物の粒度分布は、粒径2μm付近にピークを1つ有するものであり、粒径20μm以上の粒子の累積体積は10%未満で、狭くシャープな分布を示した。
実施例2
プロピオン酸カルシウム体の粗体3.00g(純度99.2%)にエタノール44.4mlを加えた。この混合液を60℃で加熱し、得られた溶液に水0.9mlを加えた。この溶液を50℃まで冷却し、種結晶3.0mgを加え、同温度で3時間攪拌した。この反応液を20℃まで冷却し、同温度で16時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、98%エタノール水溶液で洗浄後、減圧乾燥してミチグリニドカルシウム水和物の結晶2.66g(収率89%、純度99.8%)を得た。得られた結晶は、d50が2.5μm、d90が13.7μmであった。また、含液率は35%であった。
プロピオン酸カルシウム体の粗体3.00g(純度99.2%)にエタノール44.4mlを加えた。この混合液を60℃で加熱し、得られた溶液に水0.9mlを加えた。この溶液を50℃まで冷却し、種結晶3.0mgを加え、同温度で3時間攪拌した。この反応液を20℃まで冷却し、同温度で16時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、98%エタノール水溶液で洗浄後、減圧乾燥してミチグリニドカルシウム水和物の結晶2.66g(収率89%、純度99.8%)を得た。得られた結晶は、d50が2.5μm、d90が13.7μmであった。また、含液率は35%であった。
実施例3
プロピオン酸カルシウム体の粗体2.00g(純度99.3%)にエタノール28.5mlを加えた。この混合液を70℃で加熱し、得られた溶液に水1.5mlを加えた。この溶液に種結晶2.5mgを加え、同温度で4時間攪拌した。この反応液を25℃まで冷却し、同温度で18時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、95%エタノール水溶液で洗浄後、減圧乾燥してミチグリニドカルシウム水和物の結晶1.70g(収率85%、純度99.9%)を得た。得られた結晶は、d50が2.8μm、d90が14.8μmであった。また、含液率は34%であった。
プロピオン酸カルシウム体の粗体2.00g(純度99.3%)にエタノール28.5mlを加えた。この混合液を70℃で加熱し、得られた溶液に水1.5mlを加えた。この溶液に種結晶2.5mgを加え、同温度で4時間攪拌した。この反応液を25℃まで冷却し、同温度で18時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、95%エタノール水溶液で洗浄後、減圧乾燥してミチグリニドカルシウム水和物の結晶1.70g(収率85%、純度99.9%)を得た。得られた結晶は、d50が2.8μm、d90が14.8μmであった。また、含液率は34%であった。
実施例4
エタノール44.1mlの代わりに、メタノール44.1mlを用いた以外は実施例1と同様の方法で晶析を行い、ミチグリニドカルシウム水和物2.63g(収率88%、純度99.8%)を得た。得られた結晶の結晶は、d50が2.8μm、d90が15.1μmであった。また、含液率は33%であった。
エタノール44.1mlの代わりに、メタノール44.1mlを用いた以外は実施例1と同様の方法で晶析を行い、ミチグリニドカルシウム水和物2.63g(収率88%、純度99.8%)を得た。得られた結晶の結晶は、d50が2.8μm、d90が15.1μmであった。また、含液率は33%であった。
比較例1
プロピオン酸カルシウム体の粗体3.00g(純度99.4%)にエタノール42.8mlを加えた。この混合液を70℃で加熱し、得られた溶液に水2.3mlを加えた。この溶液を30分かけて25℃まで冷却し、同温度で3.5時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、95%エタノール水溶液で洗浄後、減圧乾燥してミチグリニドカルシウム水和物の結晶2.80g(収率93%、純度99.6%)を得た。得られた結晶は、d50が5.7μm、d90が102.5μmであった。また、含液率は60%であった。
このミチグリニドカルシウム水和物の粒度分布を図2に示した。このミチグリニドカルシウム水和物の粒度分布は、粒径2μm付近にピークを有する一方、粒径20μm以上の粒子が累積体積で30%以上、粒径50μm以上の粒子が20%以上存在することが確認され、広範囲に広がった分布を示した。
プロピオン酸カルシウム体の粗体3.00g(純度99.4%)にエタノール42.8mlを加えた。この混合液を70℃で加熱し、得られた溶液に水2.3mlを加えた。この溶液を30分かけて25℃まで冷却し、同温度で3.5時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、95%エタノール水溶液で洗浄後、減圧乾燥してミチグリニドカルシウム水和物の結晶2.80g(収率93%、純度99.6%)を得た。得られた結晶は、d50が5.7μm、d90が102.5μmであった。また、含液率は60%であった。
このミチグリニドカルシウム水和物の粒度分布を図2に示した。このミチグリニドカルシウム水和物の粒度分布は、粒径2μm付近にピークを有する一方、粒径20μm以上の粒子が累積体積で30%以上、粒径50μm以上の粒子が20%以上存在することが確認され、広範囲に広がった分布を示した。
比較例2
プロピオン酸カルシウム体の粗体3.00g(純度99.4%)にエタノール44.1mlを加えた。この混合液を70℃で加熱し、得られた溶液に水0.9mlを加えた。この溶液を1時間かけて20℃まで冷却し、種結晶3.0mgを加え、20℃で20時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、98%エタノール水溶液で洗浄後、減圧乾燥してミチグリニドカルシウム水和物の結晶2.63g(収率88%、純度99.6%)を得た。得られた結晶は、d50が4.9μm、d90が90.5μmであった。また、含液率は55%であった。
プロピオン酸カルシウム体の粗体3.00g(純度99.4%)にエタノール44.1mlを加えた。この混合液を70℃で加熱し、得られた溶液に水0.9mlを加えた。この溶液を1時間かけて20℃まで冷却し、種結晶3.0mgを加え、20℃で20時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、98%エタノール水溶液で洗浄後、減圧乾燥してミチグリニドカルシウム水和物の結晶2.63g(収率88%、純度99.6%)を得た。得られた結晶は、d50が4.9μm、d90が90.5μmであった。また、含液率は55%であった。
表1に実施例および比較例の結果のまとめを示した。
Claims (2)
- (S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの粗体を、炭素数1〜4のアルコールと水からなる混合溶媒から再結晶させ、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウム・2水和物の結晶を製造する方法において、
上記(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの粗体と上記混合溶媒との混合液の温度を60〜80℃として、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの溶液を得る工程、上記溶液の温度を35〜70℃とし、1〜10時間保持して、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの結晶を析出させる一次保持工程、および、上記一次保持工程で得られた液の温度を30℃以下とし、1時間以上保持して、(S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸カルシウムの結晶をさらに析出させる二次保持工程を含んでなることを特徴する製造方法。 - 前記混合溶媒において、アルコール/水の容積比率が80/20〜99/1である請求項1または2に記載の方法。
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2012
- 2012-08-07 JP JP2012174938A patent/JP2014034521A/ja active Pending
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