JP2014008513A - 連続鋳造スラブの製造方法および高強度冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.10〜0.20%、Si:0.6〜2.0%、Mn:1.8〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.003%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.006%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、鋳型の振動数80〜200サイクル/分、鋳造速度1.30〜1.70m/分、曲げ帯出側でのスラブコーナー温度720〜780℃および矯正帯出側でのスラブコーナー温度720〜780℃でスラブに鋳込むことを特徴とする連続鋳造スラブの製造方法。
【選択図】なし
Description
特許文献1で開示される技術では、C当量(=(C(%)+Si(%)/24+Mn(%)/7.4)×100)が39以下の範囲の成分組成を有する鋼スラブのスラブコーナー割れが改善されているが、上記範囲外のC当量を有する鋼スラブのスラブコーナー割れについては検討されていない。
特許文献2で開示される技術では、高Mn量を有する成分組成の鋼スラブに適用すると、特許文献2中の鋼と比較してフェライト変態およびパーライト変態が遅いため、曲げ矯正前に鋼スラブをフェライト単相組織またはパーライト組織に制御することは極めて困難である。
特許文献3で開示される技術では、具体的にスラブコーナー温度の管理範囲を規定していないため、鋼スラブの表面性状が十分に改善されるとは言えない。更に、特許文献3では、高強度冷延鋼板として必要な引張強度で1180MPa以上の強度と破断伸びで9.0%以上の延性のいずれも満足する高強度冷延鋼板は得られていない。
特許文献4で開示される技術では、連続鋳造鋳型の振動方法を制御することにより鋼スラブのオシレーション深さを浅くすることで連続鋳造スラブの表面性状を改善することを特徴としているが、高Mn量を有する成分組成の鋼スラブの表面性状が改善されるわけではない。さらに、特許文献4では、C、Si、Mn等最終製品の引張強度に寄与する成分組成の含有量は少なく、高強度冷延鋼板として必要な引張強度で1180MPa以上の強度と破断伸びで9.0%以上の延性の両方を満足する高強度冷延鋼板を安定的に製造するのは困難である。
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]質量%で、C:0.10〜0.20%、Si:0.6〜2.0%、Mn:1.8〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.003%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.006%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、鋳型の振動数80〜200サイクル/分、鋳造速度1.30〜1.70m/分、曲げ帯出側でのスラブコーナー温度720〜780℃および矯正帯出側でのスラブコーナー温度720〜780℃でスラブに鋳込むことを特徴とする連続鋳造スラブの製造方法。
[2]質量%で、さらに、Nb、Ti、Vのいずれか1種以上をそれぞれ0.01〜0.10%含むことを特徴とする[1]に記載の連続鋳造スラブの製造方法。
[3]質量%で、さらに、MoまたはCrのいずれか1種以上をそれぞれ0.01〜0.30%含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の連続鋳造スラブの製造方法。
[4]質量%で、さらに、CuまたはNiのいずれか1種以上をそれぞれ0.01〜0.30%含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の連続鋳造スラブの製造方法。
[5]質量%で、さらに、Bを0.0003〜0.0020%含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の連続鋳造スラブの製造方法。
[6]前記スラブは、冷延鋼板用連続鋳造スラブであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の連続鋳造スラブの製造方法。
[7][6]に記載の方法で製造されたスラブを加熱温度1150〜1300℃、仕上げ圧延温度820〜920℃、巻取温度520〜600℃で熱間圧延したのち、冷間圧延率30〜65%で冷間圧延し、次いで焼鈍温度750〜860℃で1〜10分間均熱した後、600〜700℃まで平均冷却速度10℃/s以下で一次冷却し、平均冷却速度500℃/s以上で50℃以下まで二次冷却した後、100〜450℃まで再加熱して1〜15分間均熱保持することを特徴とする高強度冷延鋼板の製造方法。
なお、本発明における高強度冷延鋼板とは、1180MPa以上の引張強度と9.0%以上の破断伸びを有する冷延鋼板をいう。
なお、以下、質量%は、単に%と記すこともある。
C:0.10〜0.20質量%
Cは鋼の強化に有効である。C量が0.10質量%未満では、安定した1180MPa以上の引張強度と9.0%以上の破断伸びの両立が困難となる。また、0.20質量%を超えると、連続鋳造時に溶鋼の凝固殻の厚みが不均一になり易く、凝固殻の薄い部分に対して凝固収縮に伴う熱応力の集中により、スラブ表面割れが著しくなる。このようなスラブ表面割れが発生すると、鋳造段階、熱間圧延段階に生成する酸化スケールが熱間圧延により表層部に噛み込み易くなり、最終製品の表面欠陥となる。このため、C量は0.10〜0.20質量%とする。また、好ましくは0.12〜0.16質量%とする。
Siは鋼の強化に有効である。1180MPa以上の引張強度を有する高強度鋼板においては、Si量が0.6質量%未満では、高強度冷延鋼板において、1180MPa以上の引張強度が安定して得られない。また、2.0質量%を超えると、鍛造時にSi酸化物の生成量が多くなり、スラブの曲げ矯正時に表面割れが発生する。また、熱間圧延時にファイヤライト生成に起因した赤スケールの発生が顕著となったり、連続焼鈍時に表層にSi酸化物層が形成されるため、その結果、最終製品の表面性状が劣化する。このため、Si量は0.6〜2.0質量%とする。また、好ましくは0.6〜1.5質量%とする。
Mnは鋼板の強化に有効な元素である。Mn量が1.8質量%未満では、高強度冷延鋼板において、1180MPa以上の引張強度が安定して得られない。一方、3.0質量%を超えると、鋳造時の偏析によりスラブの割れ感受性が上昇する。また、熱間圧延時に鋼板表面に形成される酸化スケールの剥離性が著しく低下し、スケール性表面欠陥の発生率が高まる。また、鋳造時のMnの偏析により、伸びの低下が顕著となる。このため、Mn量は1.8〜3.0質量%とする。また、好ましくは2.0〜2.5質量%とする。
Pは鋼板の強化に有効な元素であり、また、熱間圧延時のスケール剥離性に作用する元素である。P量が0.02質量%を超えると、鋳造時のオーステナイト粒界へのP偏析に伴う粒界脆化によりスラブに表面割れが発生する。さらに、自動車用鋼板に必要なスポット溶接性も劣化する。このため、P量は0.02質量%以下とする。また、スケール剥離性の観点から0.005質量%以上が好ましく、スラブ表面割れおよびスポット溶接性の観点から0.015質量%以下が好ましい。
S量が0.003質量%を超えると、熱間脆性を引き起こし、スケール表面欠陥の発生を助長する。このため、S量は0.003質量%以下とする。また、スケールの剥離性の観点から、Sは0.001質量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.002質量%とする。
Alは酸化物を形成することによってSi系などの酸化物の生成量を低減するとともに、鋳造時にスラグ中へ遊離するため、表面性状を改善する効果がある。Al量が0.01質量%未満では、有意な効果は得られない。また、Al量が0.10質量%を超えると、AlとNとが結合して形成される窒化物は鋳造時にオーステナイト粒界上に微細析出し、粒界脆化させるため、スラブの曲げ矯正の際にスラブコーナー部に表面割れを引き起こす。スラブの表面割れにより、鋳造時および熱間圧延時に形成された酸化スケールが、熱間圧延時に表層部に埋め込まれ易くなる。スケールが埋め込まれた状態で冷延鋼板が製造されると、その部分はスケール性表面欠陥となり、プレス成形に適用することができない。このため、Al量は0.01〜0.10質量%とする。また、好ましくは0.01〜0.05質量%とする。
NとAlとが結合して形成される窒化物は、上記のように表面性状に悪影響を及ぼす。N量が0.006質量%を超えると、Al窒化物による表面性状の低下が大きくなり、また、固溶Nの増加による伸びの低下が著しい。このため、N量は0.006質量%以下とする。
NbとCとが結合して形成される炭化物は、鋼板の析出強化に寄与するので、Nbを必要に応じて含有してもよい。Nb量が0.01質量%未満では、効果が小さい。また、0.10質量%を超えると、過剰な炭化物の生成により、鋼板の伸びが著しく低下する。このため、Nbを含有する場合には、0.01〜0.10質量%とすることが好ましい。また、0.01〜0.06質量%とすることがより好ましい。
TiとCとが結合して形成される炭化物は鋼板の析出強化に寄与するので、Tiを必要に応じて含有してもよい。また、Tiは、スラブの冷却時に高温で炭窒化物や硫化物として析出し、比較的低温で起こるAlNの析出やNbやVの炭化物の粒界析出を抑制してスラブの表面割れを防止する。Ti量が0.01質量%未満では、効果は小さい。また、0.10質量%を超えると、炭化物の生成量が多くなり、鋼板の伸びの低下が顕著となる。このため、Tiを含有する場合には、0.01〜0.10質量%とすることが好ましい。また、0.01〜0.07質量%とすることがより好ましい。
VとCとが結合して形成される微細炭化物は鋼板の析出強化に有効であり、Vを必要に応じて含有してもよい。V量が0.01質量%未満では、効果が小さい。また、0.10質量%を超えると、スラブの鋳造時にオーステナイト粒界への微細炭化物の形成が促進されてオーステナイト粒界脆化によるスラブ表面割れが顕著となる。このため、Vを含有する場合には、0.01〜0.10質量%とすることが好ましい。また、0.01〜0.06質量%とすることがより好ましい。
Moは鋼板の焼入強化に有効であり、必要に応じて含有してもよい。Mo量が0.01質量%未満では、強化能は小さい。また、0.30質量%を超えると、連続焼鈍時に鋼板表面にMo酸化物の形成が促進され、鋼板の化成処理性が著しく低下する。このため、Moを含有する場合には、0.01〜0.30質量%とすることが好ましい。
Crは鋼板の焼入強化に有効であり、必要に応じて含有してもよい。Cr量が0.01質量%未満では、強化能が小さい。また、0.30質量%を超えると、連続焼鈍時に鋼板表面にCr酸化物の生成が促進されるため、鋼板の化成処理性が著しく低下する。このため、Crを含有する場合には、0.01〜0.30質量%とすることが好ましい。
Cuは連続焼鈍の冷却時にオーステナイトからのフェライト変態を抑制して、マルテンサイトの形成を促進させるため、鋼板の強化に有効であり、必要に応じて含有してもよい。Cu量が0.01質量%未満では、この効果は小さい。また、0.30質量%を超えると、フェライト変態が過度に抑制されて延性が低下する。このため、Cuを含有する場合には、0.01〜0.30質量%とすることが好ましい。
Niは連続焼鈍の冷却時にオーステナイトからのフェライト変態を抑制して、マルテンサイトの形成を促進させるため、鋼板の強化に有効であり、必要に応じて含有してもよい。Ni量が0.01質量%未満では、この効果は小さい。また、0.30質量%を超えると、フェライト変態が過度に抑制されて延性が低下する。このため、Niを含有する場合には、0.01〜0.30質量%とすることが好ましい。
Bは連続焼鈍における加熱時にオーステナイト粒界に偏析し、冷却時にオーステナイトからのフェライト変態を抑制して、マルテンサイトの形成を促進させるため、鋼板の強化に有効であり、必要に応じて含有してもよい。B量が0.0003質量%未満では、この効果は小さい。また、0.0020質量%を超えると、この効果は飽和する。このため、Bを含有する場合には、0.0003〜0.0020質量%とすることが好ましい。
本発明において、連続鋳造スラブは、鋳型振動機構、曲げ帯および矯正帯を有する連続鋳造機を用いて製造すればよい。以下に、製造条件の限定理由について説明する。
鋳型の振動数は、80サイクル/分未満では、オシレーションマークによるスラブ表面の凹凸が発生し、それを基点にスラブコーナー割れが発生する。また、200サイクル/分を超えると、鋳型とスラブとの摩擦が大きくなり、表面割れが発生する。このため、鋳型の振動数は80〜200サイクル/分とする。
鋳造速度は、1.30m/分未満では、著しく生産性を損なう。また、1.70m/分を超えると、鋼スラブが曲げ帯もしくは矯正帯を通過するとき、曲げ帯では鋼スラブの下面、矯正帯では鋼スラブの上面に加わる引張応力のひずみ速度が過度に高くなるため曲げ割れが発生する。このため、鋳造速度は1.30〜1.70m/分とする。
曲げ帯出側でのスラブコーナー温度は、720℃未満では、曲げ変形の変形抵抗が大きい。また、780℃を超えると、スラブコーナーの延性が著しく低下し、スラブコーナー割れが発生する。このため、曲げ帯出側でのスラブコーナー温度は720〜780℃とする。また、スラブコーナーの延性をより高位安定化させる観点から、760℃以下が好ましい。
矯正帯出側でのスラブコーナー温度は、720℃未満では、矯正変形の変形抵抗が大きい。また、780℃を超えると、スラブコーナーの延性が著しく低下し、スラブコーナー割れが発生する。このため、矯正帯出側でのスラブコーナー温度は720〜780℃とする。また、スラブコーナーの延性をより高位安定化させる観点から、760℃以下が好ましい。
連続鋳造されたスラブは、熱片のまま再加熱してもよいし、一度室温まで冷却したあと再加熱してもよい。スラブ加熱時に生成する表層一次スケールをデスケーリングによって剥離することで表面性状を改善することができる。スラブ加熱温度が1150℃未満では、十分なスケール剥離量が得られないため、目的とする表面性状効果が得られない。また、1300℃を超えると、燃料原単位が増加したり、過剰なスケール剥離により歩留まりが低下し、生産性を著しく低下させる。このため、連続鋳造スラブの加熱温度は1150〜1300℃とする。また、表面性状の改善と製造性の観点から、1200〜1280℃が好ましい。
仕上げ圧延温度が820℃未満では、熱延板の組織が不均一になって焼鈍後の冷延鋼板の延性を著しく損なう。また、920℃を超えると、仕上げ圧延の直前に生成したスケールが除去されないまま圧延されるため、スケール性欠陥が発生し、表面性状を劣化させる。このため、仕上げ圧延温度は820〜920℃とする。また、焼鈍後の冷延鋼板の延性を高位安定化するため、Ar3点以上が好ましい。
巻取温度が520℃未満では、熱延板組織の硬質化により冷間圧延抵抗が増加するため、生産性を低下させる。また、600℃を超えると、主に巻取後の鋼帯内側の鋼板表層で粒界酸化が発生して、粒界酸化部がその後の工程で剥離したり、剥離物がロールに付着することにより鋼板に押し傷を発生させたりするため、表面性状が劣化する。このため、巻取温度は600℃以下とする。また、冷間圧延抵抗の低減および粒界酸化抑制の観点から、540〜580℃が好ましい。
冷間圧延率が30%未満では、焼鈍時のフェライト相の再結晶が十分に起こらず、局部延性が低下するため、所望の延性が得られない。また、65%を超えると、冷間圧延抵抗が増加するため、生産性を低下させる。このため、冷間圧延率は30〜65%とする。また、焼鈍時の再結晶促進の観点から、40%以上が好ましい。
焼鈍温度が750℃未満では、均熱時のオーステナイト相が少なく、強度確保に必要なマルテンサイトの生成量が得られないため、1180MPa以上の引張強度が得られない。また、860℃を超えると、均熱中に鋼板表層にSi系の酸化物が形成されるため、加工ひずみ付与時に、酸化物を起点に表層が剥離して表面性状が劣化する。このため、焼鈍温度は750〜860℃とする。また、高強度化と表面性状改善の観点から、780〜830℃が好ましい。
均熱時間が1分未満では、均熱時のオーステナイト相が少なく強度確保に必要なマルテンサイトの生成量が得られないため、1180MPa以上の引張強度が得られない。また、10分を超えると、均熱中に鋼板表層でSi系の酸化物が増加し、表面性状が劣化する。このため、均熱時間は1〜10分とする。また、強度と延性の観点から、2分以上が好ましい。
上記の条件で焼鈍された後の鋼板は、高強度化と高延性化の両立を図るために、一次冷却温度まで冷却後、急速冷却される。一次冷却温度600℃未満では、1180MPa以上の引張強度が得られない。また、700℃を超えると、強度増加に伴い延性が低下するため9.0%以上の破断伸びが得られない。このため、一次冷却温度は600〜700℃とする。また、強度と延性のバランス向上の観点から、620〜680℃が好ましい。
一次冷却時の平均冷却速度10℃/sを超えると、強度増加に伴い延性が低下するため、9.0%以上の破断伸びが得られない。このため、一次冷却時の平均冷却速度は10℃/s以下とする。また、強度と延性のバランス向上の観点から、3〜8℃/sが好ましい。
平均冷却速度が500℃/s未満では、冷却中に過度にフェライト相が生成するため、1180MPa以上の引張強度が得られない。このため、平均冷却速度は500℃/s以上とする。また、強度確保の観点から1000℃/s以上が好ましい。
50℃以下まで急冷しない場合、冷却中に過度にフェライト相が生成するため、1180MPa以上の引張強度が得られない。このため、二次冷却は50℃以下まで行う。また、強度確保の観点から、35℃以下が好ましい。なお、冷却は水冷が好ましいが、ガス冷却、ミスト冷却、ロール冷却などを用いて組み合わせて冷却を行うことも可能である。
再加熱温度が100℃より低いと、マルテンサイト相が十分に焼戻されず強度と延性とのバランスが低下する。また、硬質相が多くなるので、フェライト相との硬度差も大きくなり、伸びフランジ性や曲げ性が劣化する。450℃を超えると、焼戻しが過度に急激に進行してマルテンサイト相がフェライト相と炭化物に分解し、軟化するため、1180MPa以上の引張強度が得られない。このため、再加熱温度は100〜450℃とする。また、好ましくは200〜400℃とする。
均熱保持時間が1分に満たないと、マルテンサイト相の焼戻しが不十分となり、過度に高強度化し、強度と延性とのバランスが低下する。また、15分を超えると、その効果は飽和する傾向にあるばかりでなく、焼戻しが過度に進行し、1180MPa以上の引張強度が得られない。このため、均熱保持時間は1〜15分とする。また、強度と延性とのバランス向上の観点から、3〜12分が好ましい。なお、再加熱後室温に戻すまでの冷却は、空冷、炉冷却、ガス冷却、ミスト冷却、水冷などで行うことができる。
スラブの表面性状
スラブ表面性状は、スラブ表面を浸透探傷法により検査し、割れの発生状況(個数および長さ)に応じて、「○」、「△」「×」の3水準で評価した。ここで、「○」とは割れが検出されないもの、「△」とは割れが検出されるものの長さ5mm以下の割れが0.5個/m2以下であるもの、「×」とは長さ5mmを超える割れ、もしくは長さ5mm以下であっても0.5個/m2超えの割れが検出されたものとし、「○」及び「△」をスラブ表面性状が良好であると判定した。
冷延鋼板の表面性状
冷延鋼板の表面を目視で検査し、冷延鋼板の表裏面に認められた表面欠陥の発生状況(個数及び長さ)に応じて「○」、「△」「×」の3水準で評価した。ここで、「○」とは欠陥が認められないもの、「△」とは欠陥が認められるものの長さ30mm以下の欠陥が0.5個/m2以下であるもの、「×」とは長さ30mmより長い欠陥が認められたもの、もしくは長さ30mm以下の欠陥が0.5個/m2を超えるものとし、「○」及び「△」を製品表面性状が良好であると判定した。
引張特性
焼鈍後の製品鋼板の圧延方向に対して90°の方向を長手方向とするJIS Z 2201(1998)の5号引張試験片を用いてJIS Z 2241(1998)に準拠した引張試験を行い、引張強さと破断伸びを測定した。
Claims (7)
- 質量%で、C:0.10〜0.20%、Si:0.6〜2.0%、Mn:1.8〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.003%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.006%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、鋳型の振動数80〜200サイクル/分、鋳造速度1.30〜1.70m/分、曲げ帯出側でのスラブコーナー温度720〜780℃および矯正帯出側でのスラブコーナー温度720〜780℃でスラブに鋳込むことを特徴とする連続鋳造スラブの製造方法。
- 質量%で、さらに、Nb、Ti、Vのいずれか1種以上をそれぞれ0.01〜0.10%含むことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造スラブの製造方法。
- 質量%で、さらに、MoまたはCrのいずれか1種以上をそれぞれ0.01〜0.30%含むことを特徴とする請求項1または2に記載の連続鋳造スラブの製造方法。
- 質量%で、さらに、CuまたはNiのいずれか1種以上をそれぞれ0.01〜0.30%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連続鋳造スラブの製造方法。
- 質量%で、さらに、Bを0.0003〜0.0020%含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の連続鋳造スラブの製造方法。
- 前記スラブは、冷延鋼板用連続鋳造スラブであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の連続鋳造スラブの製造方法。
- 請求項6に記載の方法で製造されたスラブを加熱温度1150〜1300℃、仕上げ圧延温度820〜920℃、巻取温度520〜600℃で熱間圧延したのち、冷間圧延率30〜65%で冷間圧延し、次いで焼鈍温度750〜860℃で1〜10分間均熱した後、600〜700℃まで平均冷却速度10℃/s以下で一次冷却し、平均冷却速度500℃/s以上で50℃以下まで二次冷却した後、100〜450℃まで再加熱して1〜15分間均熱保持することを特徴とする高強度冷延鋼板の製造方法。
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