本発明は、様々な変更を加えることができ、複数の実施例を有することができるので、特定の実施例を図面に例示し、詳細の説明に詳細に説明しようとする。しかしながら、これは、本発明を特定の実施例に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。本発明を説明するに際して、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用できるが、当該構成要素は、当該用語により限定されるものではない。当該用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本明細書において、“含む”または“持つ”などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするだけであり、一つまたはその以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたもの存在または付加可能性を予め排除するわけではないと理解されるべきである。
本発明を説明するに際して、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
本発明において、初期に採取した血液サンプルを抗凝固剤があるチューブ(tube)に保管する場合、ピブリノゲンが除去されていないままとなり、この血液を用いる場合、メンブレインを通るのは、血漿(plasma)である。しかし、血液サンプルを抗凝固剤がないチューブに保管する場合、一定時間経過後に血液凝固が起こることにあり、薄いスティックを凝固された血液に入れて攪拌することで、フィブリン(ピブリノゲンに酵素トロンビンが作用して生じた不溶性タンパク質)を除去できるようになり、この血液を用いる場合、メンブレインを通るのは、血清(serum)である。
以下、本明細書では、発明の理解と説明の便宜のために、前述の血漿または血清を含む概念である血漿成分がメンブレインを通って所定の経路に沿って進行することを想定して説明することにし、本発明の実施形態に対して関連図面を参照して詳細に説明することにする。
図1は、本発明の一実施形態に係る血球分離チップの上部基板の平面図であり、図2は、図1に示された上部基板を下側から見た斜視図であり、図3は、本発明の一実施形態に係る血球分離チップの下部基板の平面図であり、図4は、図3に示された下部基板を上側から見た斜視図であり、図5及び図6は、本発明の一実施形態に係る血球分離チップの上部基板と下部基板とが結合された状態を示した平面図及び斜視図である。図1から図6を参照すると、血球分離チップ1と、上部基板10と、下部基板20と、メンブレイン30と、血液注入口11と、反応チャンネル部14と、ウォッシング部15と、ウォッシング部孔16と、フィルタ固定ガイド12と、フィルタ折りバー13と、第1の微細チャンネル部21と、第2の微細チャンネル部23と、誘導チャンネル部22と、フィルタガイド孔24a、24b、24cと、整合溝19と、整合突起29と、が示されている。
本実施形態に係る血球分離チップ1は、血液を用いた診断時に妨害になり得る要因である血球成分をメンブレイン30を介して分離し、上部基板10と下部基板20とが貼り合わされ、メンブレイン30を介して分離された血漿成分が一方向に進行するようにする経路を提供する。
血漿成分は、メンブレイン30の下面の一側に接触する第1の微細チャンネル部21に収集され、毛細管力によって誘導チャンネル部22を経て、上部基板10の反応チャンネル部14と下部基板20の上面とがなす反応チャンネルに流れ込まれ、ウォッシング部15内に位置する第2の微細チャンネル部23に至る経路に進行することになる。ここで、上部基板10に形成された反応チャンネル部14とウォッシング部15とは、血漿成分の進行経路を提供するためのチャンネルの一部に該当し、下部基板20に形成された第1の微細チャンネル部21と、誘導チャンネル部22と、第2の微細チャンネル部23とは、チャンネルの他の一部に該当することになる。
メンブレイン30は、上側と下側とが非対称な形状を有し、上から下向きに行けば行くほどメンブレイン30を構成する気孔(pore)のサイズが徐々に小さくなる。したがって、血液内に異なるサイズを持つ構成成分が気孔のサイズに応じてメンブレイン30の下方向に進行しながら、特定のサイズの気孔内に血球がかかることになり、最終的に血球が分離された血漿成分がろ過されることになる。メンブレイン30の材質は、例えば、ポリスルホン(polysulfone)であることもある。
メンブレイン30を介して分離された血漿成分は、外部動力がなくても、後述するチャンネル構造による毛細管力によって、上部基板10と下部基板20との貼合せにより形成されたチャンネルに沿って進行することになり、その回収率が高くなる。したがって、反応チャンネル部14内に生物試薬が塗布された場合、生物試薬との抗原/抗体反応を最大化して、診断チップの敏感度を向上させることができる。
上部基板10には、血液が注入される血液注入口11と、メンブレイン30を介して分離された血漿成分が毛細管力によって進行する通路である反応チャンネル部14と、反応チャンネル部14を通った血漿成分が満たされるウォッシング部15と、が形成されている。ウォッシング部15の末端に連結され、チャンネル内の圧力及び空気の流れを作るウォッシング部孔16がさらに形成されることができる。
血液注入口11、反応チャンネル部14、ウォッシング部15、及びウォッシング部孔16を所定の高さの接合壁17が取り囲んでおり、上部基板10と下部基板20との接合時の接合壁17の下面、即ち、接合面が下部基板20と当接して貼り合わされる。接合面と反応チャンネル部14とのチャンネル面は、段差があり、今後上部基板10と下部基板20とが貼り合わされると、接合壁17は、チャンネル壁を形成することになる。
接合壁17の外側の周りの一つ以上の位置に接合溶剤注入部18が形成されており、上部基板10と下部基板20とを貼り合わせる際に接合溶剤を注入することができる。接合面のエッジは、微細面取りで形成され、接合溶剤がよく流れ込んで行くようにすることができる。接合方法としては、超音波接合、熱接合、圧力による接合など、様々な方法が利用可能である。
例えば、上部基板10と下部基板20とは、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエチレン誘導体、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、またはアクリル系のプラスチックなどの材質であることができ、接合溶剤は、これらの基板材質を溶かせる任意の有機溶剤であって、例えば、ケトン、芳香族炭化水素またはハロゲン化炭化水素、またはこれらの混合物などが使用され、好ましくは、アセトン、シアノアクリレート、クロロホルム、塩化メチレンまたは四塩化炭素、またはこれらの混合物が使用できる。
血液注入口11は、メンブレイン30が置かれる位置、即ち、下部基板20の第1の微細チャンネル部21に対応する位置に貫通形成され、下部基板20に置かれるメンブレイン30の上面に血液がローディングされるように、メンブレイン30をオープン(open)させる形態を取る。
メンブレイン30が血液注入口11内に置かれると、予め決められた位置に固定され得るようにするフィルタ固定ガイド12が血液注入口11の内側の周りに形成されている。複数のフィルタ固定ガイド12は、例えば、上部基板10から血漿成分が進行する方向への中心線であるAA線を中心にして互いに向かい合うように位置されるように示されているが、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではない。
フィルタの固定ガイド12とメンブレイン30の上面とが当接する面積が広いほど、失われる血液量が多くなることがあるので、フィルタ固定ガイド12は、それ自体の面積が最小化されるか、またはメンブレイン30と接触する部分が最小化されるように形成することができる。
また、フィルタ固定ガイド12は、接合面と段差を設け、失われた血液が接合面を介して漏れるか、進行することを防止することができる。
フィルタ折りバー13は、メンブレイン30の一端に相応するエッジ(E1)が反応チャンネル部14に当接して、血液が進行することを防止するために、反応チャンネル部14に向かうメンブレイン30の一端を上側に折り上げて、エッジ(E1)が上部基板10に非接触になるようにする。フィルタ折りバー13も最小限の面積を持つように形成することができ、接合面とは段差を設け、メンブレイン30の上面が当接する部分で失われた血液が接合面の方向に進行することを防止する。
反応チャンネル部14は、下部基板20の上面との間で進行経路中に反応チャンネルを形成し、メンブレイン30を介して血球成分が分離された血漿成分が進行する通路である。反応チャンネル部14の長さ、幅、高さ、ボリュームのうち一つ以上によって、血漿成分の流動速度が変わることがある。
反応チャンネル部14の生物試薬が存在する場合、抗原/抗体反応が起こるようになり、生物的な処理によって測定(assay)をすることができる。例えば、下部基板20に一次捕獲抗体を均一に塗布した後、メンブレイン30を通った血漿成分が流動する場合、血漿成分に含まれた抗原が1次捕獲抗体と結合することになる。一次捕獲抗体によって捕獲された抗原を、反応チャンネル部14内に塗布された蛍光物質が標識された2次抗体と反応させることで、抗原と2次抗体とを結合させることによって測定が行われることになる。
ウォッシング部15は、一端が反応チャンネル部14と連結され、反応チャンネル部14を介して進行した血漿成分が満たされて溜まる空間である。ウォッシング部15の長さ、幅、高さ、ボリュームのうち一つ以上を調節して、その流動速度を変化させることができる。また、ウォッシング部15は、反応チャンネル部14との段差の違いによって、毛細管力を増加させることができる。
これは、限定されたボリュームに対して、流体である血漿成分が進行する場合に、水頭圧と毛細管力とが一緒に適用されるが、ウォッシング部15の長さが長くなるほど、血漿成分の前段(頭)に作用する水頭圧が低くなることによって進行しにくくなるためである。この場合、血漿成分の進行方向に向かってチャンネルの幅を縮めて行ったり、高さ、即ち段差を減らしたりすると、毛細管力が増加して進行を容易にすることができる。したがって、ウォッシング部15は、メンブレイン30を介して分離された血漿成分の全体の流体量よりも大きなボリュームを持ち、最大限広い表面積を持つようにして毛細管力を大きくすることができる。
ウォッシング部孔16は、ウォッシング部15の他端に連結して形成されている貫通孔であって、チャンネル内の圧力及び空気の流れを作って、血漿成分がウォッシング部15に向かうようにその進行を導く。
下部基板20には、一側に血漿成分の進行方向に沿って、即ち、+X軸方向に幅が縮まるように突出形成されている第1の微細チャンネル部21と、他側に血漿の進行方向に沿って幅が広くなるように突出形成されている第2の微細チャンネル部23と、が形成されている。
第1の微細チャンネル部21は、メンブレイン30が置かれる位置、即ち上部基板10の血液注入口11に対応する位置に形成され、メンブレイン30の下面と接触可能な陽刻構造となっている(図4のBを参照)。メンブレイン30を介してろ過された血漿成分が、毛細管力によって反応チャンネル部14に方向性を持って集まるようにして、血漿成分のデッドボリューム(dead volume)を減少させる。
第1の微細チャンネル部21は、血漿成分の進行方向にその幅が狭くなり、反応チャンネル部14への流入に有利であるように反応チャンネル部14と同じ幅を持つ形状、例えば、扇形状に配列された複数の微細チャンネルからなり、各微細チャンネル間の間隔、高さのうち一つ以上によって効率が変わる。例えば、毛細管力を用いた流体の流れにおいて、表面積が広くなるほど効率がよくなるので、所定の臨界点までは、各微細チャンネル間の間隔が狭いほど表面積が増加して効率よくなる。
第1の微細チャンネル部21に対して、表面改質作業(例えば、プラズマ処理など)を行うことにより、表面の材質の特性に応じて、毛細管力の発生を制限することができるようになる。第1の微細チャンネル部21は、同じボリュームに比較して、他チャンネルに比べて微細チャンネルのサイズが数マイクロメートルと非常に小さく、チャンネル内で表面積が増加することにより、毛細管力も増加することになり、血液量に比較して多くの収率の血漿成分の回収が有利であり、少量の血漿成分がろ過されても反応チャンネル部14に容易に流れ込まれるようにする。
下部基板20には、第1の微細チャンネル部21の一端に連結され、メンブレイン30を介して分離された血漿成分を反応チャンネル部14に導く誘導チャンネル部22がさらに形成されていることがある。第1の微細チャンネル部21を構成する微細チャンネルと実質的に同一または類似した形状、同じサイズで形成され、第1の微細チャンネル部21の延長として機能する。
上部基板10と下部基板20との接合時に、誘導チャンネル部22の各誘導チャンネルを区別する誘導チャンネル壁の上面は、上部基板10の下面と段差がないように具現することができる。この場合、同一区間に満たされるボリュームが少なくなり、少量の血漿成分であっても反応チャンネル部14に導くことが容易である。
第2の微細チャンネル部23は、反応チャンネル部14を通った血漿成分がウォッシング部15に迅速かつ容易に流れ込まれるように複数の微細チャンネルで具現される。第2の微細チャンネル部23は、メンブレイン30によってろ過された血漿成分が満たされるようになるので、多くのボリュームを収容できる形状であればよい。例えば、第2の微細チャンネル部23は、血漿成分の進行方向に沿って幅が広くなる扇形状に複数の微細チャンネルが配列されており、毛細管力を極大化することができる。毛細管力の最大化により最大の領域(例えば、第2の微細チャンネル部23の末端部)の端部まで血漿成分を充填することができる。
メンブレイン30のエッジのうち、フィルタ折りバー13によって上側に折り上げられたエッジ以外の他のエッジが下部基板20と最小限に接触するように、第1の微細チャンネル部21の周りに複数のフィルターガイド孔24a、24b、24cが形成されることができる。これは、メンブレイン30の各エッジ、つまり、切断面が下部基板20又は/及び上部基板10の構造物と当接すると、親水性の表面を介してメンブレイン30の上面にローディングされた血液が漏れる可能性があるので、これを防止するためである。
また、メンブレイン30の上面にローディングされた血液が下部基板20又は/及び上部基板10の構造物と当接する場合、メンブレイン30の下面側に染み込むことができ、メンブレイン30の下面に染み込んだ血液は、反応チャンネル部14に流れ込まれる可能性がある。メンブレイン30の下面には、メンブレイン30によってろ過された血漿成分のみが存在するようにしなければならないので、血液が染み込んで反応チャンネル部14に流れ込まれる現状を除去するために、一つ以上のフィルタガイド孔24a、24b 、24cが形成されることができる。
したがって、フィルタガイド孔24a、24b、24cは、メンブレイン30の上に血液が過剰量注入されても、他の部位に流れ込むことを防止し、メンブレイン30が基板の構造物、特に下部基板20と当接する面積を最小化して、メンブレイン30の場合に接触する第1の微細チャンネル部21でろ過された血漿成分が集中され得るようにする。
各フィルタガイド孔24a、24b、24cがY軸方向に長い矩形状と、第1の微細チャンネル部21を中心にして互いに対称な2つの台形形状を有するものとして示されているが、これは一実施形態に過ぎず、メンブレイン30の他のエッジが下部基板20と最小限に接触するようにする形状であれば十分である。
図5と図6を参照すると、メンブレイン30の第1のエッジE1は、上側(+Z軸)に折り上げられ、第2のエッジE2は、第1のフィルタガイド孔24a上に位置し、第3エッジE3と第4のエッジE4のほとんどは、第2の及び第3のフィルタガイド孔24b、24c上に位置して、メンブレイン30の各エッジが、基板構造、即ち上部基板10及び下部基板20と最大限非接触になり得るようにする。
上部基板10と下部基板20とを貼り合わせる場合、整合溝19と整合突起29とを用いて、上部基板10と下部基板20とが定位置に配置されて貼り合わされるようにする。図面では、上部基板10に整合溝19が形成され、下部基板20に整合突起29が形成されるものとして示されているが、実施形態に基づいて、上部基板に整合突起が形成され、下部基板に整合溝が形成されたり、上部基板と下部基板に整合溝と整合突起が交差して形成されていることもある。
本実施形態において、メンブレイン30は、上部基板10と下部基板20との接合前に挿入されたり、接合後に挿入されることができる。
上部基板10と下部基板20との接合前にメンブレイン30が挿入される場合、メンブレン30を定められた位置に固定させる際に、ボンディング、有機溶剤、圧力、加熱などの化学的/物理的な作用を必要としないフィルタ固定ガイド12を用いることにより、メンブレイン30の変性要素をなくし、血液分離を最大化する効果がある。
または、上部基板10と下部基板20との接合後にメンブレイン30が挿入される場合、メンブレン30の変性要素を完全に排除することができ、フィルタ固定ガイド12は、接合面と段差を置き、その挿入及び固定が容易であるようにする。
本実施形態では、上部基板10及び下部基板20には、プラズマ処理が行われることができる。これにより、微細チャンネルの小さな構造物サイズによる表面張力を減少させ、反応チャンネル部14などのマイクロ単位のチャンネルにおいて、その表面を親水性(hydrophilic)があるように改質してくれ、毛細管力を上げて、血漿成分の流動が更にスムーズに行われる。
図7は、本発明の他の実施形態に係る血球分離チップの下部基板の平面図であり、図8は、本発明の他の実施形態に係る血球分離チップの上部基板の平面図であり、図9及び図10は、本発明の他の実施形態に係る血球分離チップに含まれるサンプラーの第1の実施形態に係る斜視図及び側面図であり、図11は、本発明の他の実施形態に係る血球分離チップの下部基板と上部基板とが貼り合わされた基板構造物とメンブレインが挿入されたサンプラーとが結合された状態を示す斜視図であり、図12は、本発明の他の実施形態に係る基板構造物とサンプラーとが結合された状態でのメンブレインの位置を示す図であり、図13及び図14は、本発明の他の実施形態に係る血球分離チップに含まれるサンプラーの第2の実施形態に係る斜視図及び側面図である。図7〜図14を参照すると、血球分離チップ100と、上部基板110と、下部基板120と、基板構造物102と、サンプラー130、130a、130bと、メンブレイン140と、血液収集構造物104と、血液注入チャンネル部131、150と、血液注入チャンネル132、152と、フィルタ押圧片133、151と、チャンネル支持部153と、支持台134、154と、フィルタ挿入溝135、155と、基板締結部136、156と、基板挿入溝136a、156aと、反応チャンネル部114と、ウォッシング部115と、ウォッシング部孔116と、第1の微細チャンネル部121と、第2の微細チャンネル部123と、誘導チャンネル部122と、サンプラー締結部124と、陥入部124aと、係合突起片124bと、が示されている。
本実施形態に係る血球分離チップ100は、下部基板120の上側に上部基板110が貼り合わされた基板構造物102と、サンプラー130にメンブレイン140が挿入された血液収集構造物104と、を含む。血液収集構造物104は、サンプラー130を用いて、血液の注入が容易に行われるようにし、所定のボリュームの血液が内部に満たされた状態で基板構造物102に締結され、収集された血液に対してメンブレイン140を介した分離が行われ、血漿成分が第1の微細チャンネル部121を介して反応チャンネル部114に流れ込まれてウォッシング部115に進行されるようにする。
本実施形態に係る上部基板110は、図1及び2に示された上部基板10と比較すれば、血液注入口11と、フィルタ固定ガイド12と、フィルタ折りバー13とが削除された構造である。
上部基板110には、メンブレイン140を介して分離された血漿成分が毛細管力によって進行する通路である反応チャンネル部114と、反応チャンネル部114を通った血漿成分が満たされるウォッシング部115とが形成されている。また、ウォッシング部115の末端に連結され、チャンネル内の圧力及び空気の流れを作るウォッシング部孔116がさらに形成されることができる。
反応チャンネル部114と、ウォッシング部115と、ウォッシング部孔116とを所定の高さの接合壁117が取り囲んでおり、上部基板110と下部基板120との接合時に、接合壁117の下面、即ち、接合面が下部基板120と当接して貼り合わされる。接合面と反応チャンネル部114のチャンネルとは、段差があり、今後下部基板120と貼り合わされると、接合壁117は、チャンネル壁を形成することになる。
接合壁117の外側の周りの一つ以上の位置に接合溶剤注入部118が形成されており、上部基板110と下部基板120とを組み合わせる際に接合溶剤を注入することができる。接合面のエッジは、微細面取りで形成され、接合溶剤がよく流れ込んで行くようにすることができる。接合方法としては、超音波接合、熱接合、圧力による接合など、様々な方法が利用可能である。
反応チャンネル部114は、下部基板120の上面との間で進行経路中に反応チャンネルを形成し、メンブレイン140を介して血球成分が分離された血漿成分が進行する通路である。
反応チャンネル部114の長さ、幅、高さ、ボリュームのうち一つ以上によって、血漿成分の流動速度が変わることがある。
また、反応チャンネル部114は、生物試薬が塗布されており、抗原/抗体反応が起こることができ、生物的な処理を介して測定が行われることができる。
ウォッシング部115は、一端が反応チャンネル部114と連結され、反応チャンネル部114を介して進行された血漿成分が満たされて溜まる空間である。ウォッシング部115の長さ、幅、高さ、ボリュームのうち一つ以上によって、その流動速度は変わることがある。ウォッシング部115は、反応チャンネル部114との段差の違いによって、毛細管力を増加させることができる。
ウォッシング部孔116は、ウォッシング部115の他端に連結されて形成されている貫通孔であって、チャンネル内の圧力及び空気の流れを作り、血漿成分がウォッシング部115に向かうようにその進行を導く。
下部基板120には、一側に血漿成分の進行方向に沿って、即ち、+X軸方向に幅が狭くなるように突出形成されている第1の微細チャンネル部121と、他側に血漿の進行方向に沿って幅が広くなるように突出形成されている第2の微細チャンネル部123と、が形成されている。
第1の微細チャンネル部121は、メンブレイン140が置かれる位置、即ちサンプラー130が締結された位置に形成され、メンブレイン140の下面と接触する陽刻の構造からなる。メンブレイン140を介してろ過された血漿が毛細管力によって反応チャンネル部114に方向性を持って集まるようにする。
第1の微細チャンネル部121は、血漿成分の進行方向にその幅が狭くなり、反応チャンネル部114への流入に有利であるよう反応チャンネル部114と同じ幅を持つ形状、例えば、扇形状に配列された複数の微細チャンネルからなり、各微細チャンネル間の間隔、高さのうち一つ以上によって効率が変わる。
第1の微細チャンネル部121の両側には、血液収集構造物102、特にサンプラー130が結合されるようにするサンプラー締結部124が形成されている。サンプラー締結部124は、後述するサンプラ130の基板締結部136と締結され、サンプラー130が所定の位置に固定結合されるようにする。サンプラー締結部124と基板締結部136の形状によって、様々な締結方法が利用可能である。
サンプラー締結部124の間隔d2は、サンプラー130の支持台134の両末端の間に形成された基板締結部136間の間隔d2に相応する。したがって、下部基板120の幅がサンプラー130の支持台134の両末端間の間隔よりも相対的に大きい場合に、下部基板120で第1の微細チャンネル部121の両側に相応する位置の基板エッジが第1の微細チャンネル部121に向かって陥入(recess)される構造で形成され、陥入部内にサンプラー締結部124が形成されることができる。
第1の微細チャンネル部121に対して表面改質処理(例えば、プラズマ処理など)を実行することにより、表面の材質の特性に応じて、毛細管力の発生を制限できるようになる。
第1の微細チャンネル部121は、同じボリュームに比較して、他チャンネルに比べて微細チャンネルのサイズが数マイクロメートルと非常に小さく、チャンネル内で表面積が増加することにより、毛細管力も増加することになり、血液量に比較して多くの収率の血漿の回収が有利であり、少量の血漿がろ過されても反応チャンネル部114に容易に流れ込まれるようにする。
下部基板120には、第1の微細チャンネル部121の一端に連結され、メンブレイン140を介して分離された血漿を反応チャンネル部114に導く誘導チャンネル部122がさらに形成されることができる。第1の微細チャンネル部121を構成する微細チャンネルと実質的に同一または類似した形状、同じサイズで形成され、第1の微細チャンネル部121の延長として機能する。
上部基板110と下部基板120との接合時に、誘導チャンネル部122の各誘導チャンネルを区別する誘導チャンネル壁の上面は、上部基板110の下面と段差がないように具現することができる。この場合、同一区間に満たされるボリュームが少なくなり、少量の血漿成分であっても反応チャンネル部114に導くことが容易である。
第2の微細チャンネル部123は、反応チャンネル部114を通った血漿成分がウォッシング部115に迅速かつ容易に流れ込まれるように複数の微細チャンネルで具現される。第2の微細チャンネル部123は、メンブレイン140によってろ過された血漿成分が満たされるようになるので、多くのボリュームを収容できる形状であればよい。例えば、第2の微細チャンネル部123は、血漿成分の進行方向に沿って幅が広くなる扇形状に複数の微細チャンネルが配列されており、毛細管力を極大化することができる。毛細管力の最大化により最大の領域(例えば、第2の微細チャンネル部123の末端部)の端部まで血漿と生物試薬を充填することができる。
上部基板110と下部基板120とは、ウォッシング部115と第2の微細チャンネル部123とが対応するように貼り合わされて基板構造物102を成すようになる。このため、上部基板110と下部基板120とを貼り合わせる際に、整合溝と整合突起とを用いて上部基板110と下部基板120とが定位置に配置されて貼り合わされるようにすることができる。
血液収集構造物104は、血液を注入受けて、収容しているサンプラー130と、サンプラー130の下端に挟まれるメンブレイン140と、を含む。メンブレイン140は、先に図5と図6を参照して説明したメンブレイン30と同様であるので、詳細な説明は省略することにある。
血液収集構造物102に含まれるサンプラー130は、メンブレイン140に対して押圧片による押圧力が加わる位置に応じて、以下のように様々な実施形態を持つことができる。
一実施形態に係るサンプラー130aは、図9及び図10に示されるように、アーチ状の支持台134と、支持台134の中心部分に毛細管力によって血液が吸い込まれていく血液注入チャンネル132とが、内部に上下方向、つまり、Z軸方向に形成されている血液注入チャンネル部131を含む。
支持台134の両末端には、メンブレイン140が挿入されるフィルタ挿入溝135及び下部基板120のサンプラー締結部124と結合して、基板構造物102と血液収集構造物104とを締結させる基板締結部136が形成されている。
図面では、サンプラー締結部124の一例として、下部基板120の陥入部124aに所定の厚さと高さを持つ係合突起片124bが形成され、基板締結部136の一例として、支持台134の両末端に係合突起片124bに相当する厚さと深さを持つ係合溝136aが形成されている場合が示されている。
下部基板120に形成された係合突起片124bの先端間の間隔は、d2であり、係合突起片124bが始まる部分間の間隔は、d1(d1<d2)である。これに対応して基板係合溝136a間の間隔もd2なので、サンプラー130aが、基板構造物の下部基板120に対して下降して、基板係合溝136aに係合突起片124bが嵌め合わされて締結される構造を持ち、基板係合溝136aの下部にある支持台134の両末端は、下側に行くほどその幅が広くなる傾斜した構造を持っており、嵌合いが容易に行われるようにする。
血液注入チャンネル部131の上端は、支持台134の中央部分から上側に突出しており、外部から血液を注入される。注入された血液は、毛細管力によって下側に進行して、所定のボリュームの血液が血液注入チャンネル132内に満たされることになる。
ここで、血液注入チャンネル132は、化学的コーティング(例えば、トロンビンコーティング)がなされることで、血液成分のうちピブリノゲンがトロンビンによりピブリンに活性化され、血液の凝固が起こり、この場合、メンブレイン140を介して収集された血清が反応チャンネル部114に流れ込まれたり、血液注入チャンネル132は、化学的コーティングなしに、抗凝固剤(例えば、EDTA)が入った血液がメンブレイン30を介して収集された血漿のみが反応チャンネル部114に流れ込まれることができる。
血液注入チャンネル部131の下端には、血液注入チャンネル132を中心にして両側に逆Y字形状に血漿成分の進行方向に垂直にフィルタ押圧片133が形成されており、フィルタ挿入溝135に挿入されたメンブレイン140が下方向に力を受けるようにして、サンプラー130aと基板構造物102とが締結される際に、メンブレイン140が第1の微細チャンネル部121に密着されるようにする。ここで、フィルタ押圧片133による押圧力が作用する位置は、第1の微細チャンネル部121の外郭領域と接触するメンブレイン140の下面の位置に対応する上面の位置であることが望ましい。
第1の微細チャンネル部121の陽刻構造によりメンブレイン140の中心部分は、上方に凸の形状を持つようになり、血液注入チャンネル132の下端から血液注入チャンネル132内に満たされた血液を吸い込んで血液分離を始まる(図12を参照)。分離された血漿成分は、メンブレイン140がフィルタ押圧片133によって密着された第1の微細チャンネル部121を介して反応チャンネル部114に流れ込まれることができる。
ここで、第1の微細チャンネル部121と、誘導チャンネル部122と、第2の微細チャンネル部123とは、下部基板120の上面からサンプラー130aにおけるフィルタ挿入溝135と基板挿入溝136aとの間の間隔hと実質的に同一の高さを持つように突出した突起部125上に配置することができる。
他の実施形態に係るサンプラー130bは、図13及び図14に示されるように、アーチ状の支持台154と、支持台154の中心部分に毛細管力によって血液が吸い込まれていく血液注入チャンネル152とが、内部に上下方向、つまり、Z軸方向に形成されている血液注入チャンネル部150を含む。
支持台154の両末端には、メンブレイン140が挿入されるフィルタ挿入溝155及び下部基板120のサンプラー締結部124と結合して、基板構造物102と血液収集構造物104とを締結させる基板締結部156が形成されている。
血液注入チャンネル部150は、支持台154との間にチャンネル支持部153が備えられており、血液注入チャンネル部150を両側から支持することで、今後基板構造物102との締結時に、血液注入チャンネル部150の下側の第1の微細チャンネル部121が位置するようにする。
図面では、サンプラー締結部124の一例として、下部基板120の陥入部124aに所定の厚さと高さを持つ係合突起片124bが形成され、基板締結部156の一例として、支持台154の両末端に係合突起片124bに相当する厚さと深さを持つ係合溝156aが形成されている場合が示されている。
下部基板120に形成された係合突起片124bの先端間の間隔は、d2であり、係合突起片124bが始まる部分間の間隔は、d1(d1<d2)である。これに対応して基板係合溝156a間の間隔もd2なので、ここで、サンプラー130bが、基板構造物の下部基板120に対して下降して、基板係合溝156aに係合突起片124bが嵌め合わされて締結される構造を持ち、基板係合溝156aの下部にある支持台134の両末端は、下側に行くほどその幅が広くなる傾斜した構造を持っており、嵌合いが容易に行われるようにする。
血液注入チャンネル部150の上端は、支持台154の中央部分から上側に突出しており、外部から血液を注入される。注入された血液は、毛細管力によって下側に進行して、所定のボリュームの血液が血液注入チャンネル152内に満たされることになる。ここで、血液注入チャンネル152の内径は、非常に小さくて、大きな表面張力が作用することになり、これにより、血液注入チャンネル152内に血液が収集されていることがある。
血液注入チャンネル部150の下端には、血液注入チャンネル152を中心にして両側に逆Y字形状に血漿成分の進行方向に平行にフィルタ押圧片151が形成されている。ここで、フィルタ押圧片151は、図9及び図10に示されたフィルタ押圧片133と比較する場合、90度回転した形状を持つ。このように90度回転したフィルタ押圧片151は、血液注入チャンネル152内に満たされた血液が反応チャンネル部114の方に狭い幅を持って進行できるようにする。
フィルタ押圧片151は、フィルタ挿入溝155に挿入されたメンブレイン140が下方向に力を受けるようにし、サンプラー130bと基板構造物102とが締結される際に、メンブレイン140が第1の微細チャンネル部121に密着されるようにする。ここで、フィルタ押圧片151による押圧力が作用する位置は、血漿成分の進行方向を基準に第1の微細チャンネル部121の前段と後端に接触するメンブレイン140の下面の位置に対応する上面の位置であることが望ましい。
この場合、第1の微細チャンネル部121の陽刻構造によりメンブレイン140の中央は、上方に凸の形状を持つようになり、血液注入チャンネル152の下端から血液注入チャンネル152内に満たされた血液を吸い込んで血液分離を始まる。分離された血漿成分は、メンブレイン140がフィルタ押圧片151によって密着された第1の微細チャンネル部121を介して反応チャンネル部114に流れ込まれることができる。
本実施形態でも第1の微細チャンネル部121と、誘導チャンネル部122と、第2の微細チャンネル部123とは、下部基板120の上面からサンプラー130bにおけるフィルタ挿入溝155と基板挿入溝156aとの間の間隔hと実質的に同一の高さを持つように突出した突起部125上に配置することができる。
上記では、本発明の実施形態を参照して述べたが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、本願の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び範囲から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更できることが理解できるだろう。