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JP2013233705A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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JP2013233705A
JP2013233705A JP2012106907A JP2012106907A JP2013233705A JP 2013233705 A JP2013233705 A JP 2013233705A JP 2012106907 A JP2012106907 A JP 2012106907A JP 2012106907 A JP2012106907 A JP 2012106907A JP 2013233705 A JP2013233705 A JP 2013233705A
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Taketomo Tsutsumi
健智 堤
Hidetaka Amauchi
英隆 天内
Yasutsugu Yamauchi
康嗣 山内
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Mitsubishi Plastics Inc
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Abstract

【課題】生産性が良好であり、透明性が高く、高いガスバリア性を示し、かつ構成層間の優れた密着強度を有し、カールの発生のないガスバリア性フィルム、及び該フィルムを製造する方法を提供する。
【解決手段】基材の少なくとも一方の面に、真空蒸着法により形成した無機層、リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層及び真空蒸着法により形成した無機層をこの順で有するガスバリア性フィルム及び該フィルムの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品や医薬品等の包装材料や電子デバイス等のパッケージ材料、太陽電池用、電子ペーパー用、有機EL(エレクトロルミネッセンス)用の材料等として主に用いられるガスバリア性フィルム及びその製造方法に関する。
ガスバリア性フィルムは、主に、内容物の品質を変化させる原因となる酸素や水蒸気等の影響を防ぐために、食品や医薬品等の包装材料として用いられたり、液晶表示パネルやEL表示パネル、電子ペーパー、太陽電池等に形成されている素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを避けるために、電子デバイス等のパッケージ材料やEL表示パネル、電子ペーパー、太陽電池の材料として用いられている。また、近年においては、従来ガラス等を用いていた部分にフレキシブル性や耐衝撃性を持たせる等の理由から、ガスバリア性フィルムが用いられる場合もある。
このようなガスバリア性フィルムは、プラスチックフィルムを基材として、その片面又は両面にガスバリア層を形成する構成をとるのが一般的である。そして、当該ガスバリア性フィルムは、化学蒸着法(CVD法)、物理蒸着法(PVD法)等の様々な方法で形成されるが、何れの方法を用いた場合であっても、従来のガスバリア性フィルムは、2cc/m2/day程度の酸素透過率(OTR)や、2g/m2/day程度の水蒸気透過率(WVTR)を有するにすぎず、より高いガスバリア性を必要とする用途に使用される場合には、未だ不十分なものであった。
以上のようなガスバリア性フィルムとして、特許文献1には、酸化珪素単独からなる第1層と炭素を5〜40at.%含む酸化珪素からなる第2層を、それぞれ真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVD法又はプラズマ活性化反応蒸着法により順次形成した積層構成の透明ガスバリア材が開示されている。また、特許文献2にはプラスチック基材の片面又は両面に、酸化珪素膜(SiOx)をバリア層として積層してなるバリアフィルムにおいて、前記バリア層が少なくとも2層以上の酸化珪素膜で構成されており、前記酸化珪素膜1層あたりの膜厚が10nm以上50nm以下であり、前記2層以上の酸化珪素膜で構成されているバリア層の膜厚が20nm以上200nm以下であり、前記バリア層中の炭素原子の割合が10at.%以下である、ガスバリア性フィルムが開示されている。
特許第3319164号公報 特開2009−101548号公報
前記特許文献1に記載のガスバリア材は、実際に炭素を5〜40at.%含む酸化珪素からなる第2層の厚みをバリア層の柔軟性を充分に発揮させる程度に厚くすると、着色が過大となる問題があった。またこのような炭素を含む酸化珪素からなる第2層は、表面エネルギーが低いため密着性が悪く、ある程度厚くしないと層間の剥離を生じる恐れがある。一方で炭素を含む酸化珪素からなる第2層を形成するにはプラズマCVD法によることが好適であるが、一般的にプラズマCVD法は物理蒸着による真空蒸着法よりも成膜レートが低いため、そのような厚膜を形成するためには成膜速度を低くせざるを得ず、生産性に劣るという問題がある。
また、特許文献2記載のガスバリア性フィルムにおいては、プラズマCVD法によって形成された同種の膜同士を積層することで炭素含有量の低いバリア層を形成しているが、物理蒸着による真空蒸着法と比較すると圧倒的に成膜レートが低く、また実際に充分なバリア性を発揮させるにはある程度の膜厚が必要となるため、生産性の問題がある。さらに、特許文献2に例示されているプラズマCVD法では、基材がプラズマ励起空間を通過するため、基材がプラズマに曝され、プラズマによるダメージが懸念される。また、成膜レートを上げるためには高密度プラズマの生成が必要になるが、同時にプラズマによる基板へのダメージが大きくなるがことが懸念され、特許文献2に例示されているようなプラズマCVD法では基板上のプラズマ密度を下げざるを得ず、原料ガスの分解が促進されずに膜堆積速度が低くなるという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、以上の従来技術の問題を解決することにあり、特に、生産性が良好であり、透明性が高く、高いガスバリア性を示し、かつ構成層間の優れた密着強度を有し、カールの発生のないガスバリア性フィルム、及び該フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、リモートプラズマ方式の化学蒸着法により形成した無機層及び真空蒸着法により形成した無機層を、特定の順で積層させたガスバリア性フィルムにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下に関するものである。
1. 基材の少なくとも一方の面に、真空蒸着法により形成した無機層、リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層及び真空蒸着法により形成した無機層をこの順で有するガスバリア性フィルム。
2. 前記基材の少なくとも一方の面に、アンカーコート層が形成されている、前記1に記載のガスバリア性フィルム。
3. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層上の真空蒸着法により形成した無機層の上に、さらに、リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層及び真空蒸着法により形成した無機層をこの順に有する構成単位を1単位以上有する、前記1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
4. 前記真空蒸着法による無機層及び前記リモートプラズマ方式化学蒸着法による無機層の各層が、減圧下で連続的に形成された、前記1〜3のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
5. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層の炭素含有量が20at.%未満であり、かつ膜厚が20nm未満である、前記1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
6. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層の炭素含有量が10at.%未満であり、かつ膜厚が10nm未満である、前記1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
7. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層の炭素含有量が5at.%未満であり、かつ膜厚が5nm未満である、前記1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
8. 前記真空蒸着法により形成した無機層の膜厚が0.5〜100nmであり、前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層の炭素含有量が2at.%以上5at.%未満であり、かつ前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層の膜厚が0.1nm以上5nm未満である、前記1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
9. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層が2層以上からなる、請求項1〜8のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
10. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法の原料ガスが有機金属化合物である、前記1〜9のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
11. 前記真空蒸着法により形成した無機層の少なくとも1層が酸化珪素からなる、前記1〜10のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
12. 基材の少なくとも一方の面に、真空蒸着法による無機層、リモートプラズマ方式化学蒸着法による無機層及び真空蒸着法による無機層をこの順で形成するガスバリア性フィルムの製造方法であって、前記真空蒸着法による無機層の形成を1×10-7Pa以上1Pa以下の減圧下で行い、前記リモートプラズマ方式化学蒸着法による無機層の形成を1×10-1Pa以上100Pa以下の減圧下で行い、かつ前記基材の搬送速度が20m/分以上である、ガスバリア性フィルムの製造方法。
13. 前記真空蒸着法による無機層及び前記リモートプラズマ方式化学蒸着法による無機層の各層を減圧下連続的に形成する、前記12に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
14. 前記ガスバリア性フィルムが前記1〜11のいずれかに記載のものである、前記12又は13に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
本発明は、生産性が良好であり、透明性が高く、高いガスバリア性を示し、かつ構成層間の優れた密着強度を有し、カールの発生のないガスバリア性フィルム、及び該フィルムを製造する方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ガスバリア性フィルム>
本発明のガスバリア性フィルムは、基材の少なくとも一方の面に、PVD法により形成した無機層(以下、「PVD無機層(1)」と称すことがある)、リモートプラズマ方式のCVD法により形成した無機層(以下、「RP−CVD無機層」と称すことがある)及びPVD法により形成した無機層(以下、「PVD無機層(2)」と称すことがある)をこの順で有するものである。
[基材]
本発明のガスバリア性フィルムの基材としては、通常の包装材料や電子デバイス等のパッケージ材料や、太陽電池用部材、電子ペーパー用部材、有機EL用部材に使用し得るプラスチックフィルムであれば特に制限なく用いることができる。該プラスチックフィルムを構成する樹脂としては、具体的には、エチレン、プロピレン、イソブテン等の単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリ乳酸等の生分解性樹脂等が挙げられる。さらに、フィルム強度、コスト等の点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが好ましく、表面平滑性、フィルム強度、耐熱性等の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステルが特に好ましい。
プラスチックフィルム中の樹脂の含有量は50〜100質量%であることが好ましい。
また、上記基材は、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、光安定剤等の安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
上記基材としてのプラスチックフィルムは、上記の原料を用いて成形してなるものであるが、未延伸であってもよいし延伸したものであってもよい。また、単層又は多層のいずれでもよい。かかる基材は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、原料を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、多層ダイを用いることにより、1種の樹脂からなる単層フィルム、多種の樹脂からなる多層フィルム等を製造することができる。
この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、フィルムの流れ方向(縦軸方向)又はフィルムの流れ方向及びそれに直角な方向(横軸方向)に延伸することにより、一軸方向又は二軸方向に延伸したフィルムを製造することができる。
基材の厚さは、本発明のガスバリア性フィルムの基材としての機械強度、可撓性、透明性等の点から、その用途に応じ、通常5〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲で選択される。基材には厚さが厚いシート状のものも含む。また、フィルムの幅や長さについては特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。
[真空蒸着法(PVD法)により形成された無機層]
本発明のガスバリア性フィルムは、上記基材の少なくとも一方の面にPVD無機層(1)、RP−CVD無機層及びPVD無機層(2)をこの順で有する。RP−CVD無機層の上下層に設けられるPVD無機層の各々を構成する無機物質としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、ダイヤモンドライクカーボン等、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物又はそれらの混合物が挙げられるが、ガスバリア性の点から、好ましくは酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化珪素、酸化炭化窒化珪素、酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン等である。なかでも、酸化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化窒化珪素及び酸化アルミニウムは、高いガスバリア性が安定に維持できる点で好ましい。PVD無機層(1)及び(2)は上記無機物質を1種単独で含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特に本発明のガスバリア性フィルムは、PVDにより形成した無機層(1)又は(2)の少なくとも1層が、珪素酸化物からなることが好ましい。
本発明において上記基材上のPVD無機層(1)及び(2)の各々の形成には、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で物理蒸着法の中でも真空蒸着法を用いる。
PVD無機層(1)及び(2)の各々の厚さは、その下限値が、一般に0.1nm、好ましくは0.5nm、より好ましくは1nm、さらに好ましくは10nmであり、その上限値が一般に500nm、好ましくは100nm、より好ましくは50nmである。PVD無機層の厚さは、ガスバリア性、フィルムの生産性の点から、0.1以上500nm以下が好ましく、0.5nm以上100nm以下がより好ましく、さらに好ましくは1nm以上100nm以下、特に好ましくは10nm以上50nm以下である。
PVD無機層の厚さは蛍光X線を用いて測定することができ、具体的には次の方法で行うことができる。
蛍光X線を用いて測定する方法とは、原子にX線を照射すると、その原子特有の蛍光X線を放射する現象を利用した方法であり、放射される蛍光X線強度を測定することにより原子の数(量)を知ることができる。具体的には、フィルム上に既知の2種の厚みの薄膜を形成し、それぞれについて放射される特定の蛍光X線強度を測定し、この情報より検量線を作成する。測定試料について同様に蛍光X線強度を測定し、検量線からその膜厚を測定することができる。
上記PVD無機層(1)及び(2)の各々の形成は、緻密な薄膜を形成するため1×10-7Pa以上1Pa以下の減圧下で、フィルムを搬送しながら行う。PVD無機層(1)及び(2)の各々を形成する際の圧力は真空排気能力とバリア性の観点から、好ましくは1×10-6〜1×10-1Paの範囲、より好ましくは1×10-4〜1×10-2Paの範囲である。上記範囲内であれば、十分なガスバリア性が得られ、また、PVD無機層に亀裂や剥離を発生させることなく、透明性にも優れている。
[リモートプラズマ方式化学蒸着法(RP−CVD)により形成された無機層]
本発明においては、前記PVD無機層(1)上に、RP−CVD無機層を形成する。
リモートプラズマ方式化学蒸着法で無機層を形成することにより、基材及びPVD無機層(1)の表面は直接プラズマに曝されることはなく、熱やプラズマによるダメージを受けることがない。また付着原子の表面移動度を増すことができるため、緻密かつ表面粗さが小さな無機層が形成される。このようにRP−CVDによって緻密かつ表面粗さが小さな無機層が得られるため、膜厚が薄くとも高いガスバリア性を示すことができる。
またRP−CVDによって形成された、緻密かつ表面粗さが小さな無機層上に形成したPVD無機層(2)は、下層の凹凸の影響を殆ど受けることがないため、欠陥が少ない緻密な無機層になる。さらに、PVD無機層(1)、RP−CVD無機層及びPVD無機層(2)の順で積層構造とすることにより、RP−CVD無機層は、PVD無機層(1)に対しては目止め効果、またPVD無機層(2)に対してはアンカー効果を発揮するため、単にPVD無機層を厚く成膜した場合やPVD無機層同士を積層した場合と比較して、飛躍的にガスバリア性が向上する。
RP−CVD無機層の原料ガスが有機金属化合物である場合、原料が分解されるプラズマ形成部と基材が離れているため、原料が分解されて生成した炭素含有種は、通常のプラズマCVDよりも基材へ到達する可能性が低くなる。また上記炭素含有種は、基材到達前に酸化又は還元され、排気される可能性がある。
よって、RP−CVD無機層は、通常のプラズマCVDにより形成された無機層よりも炭素含有量が少なく、着色が少ない。
リモートプラズマに関して明確な定義はないが、本発明におけるリモートプラズマ方式の化学蒸着法に用いられる成膜装置において、基材、プラズマ生成部及び膜堆積部等の位置関係の具体例は次の通りである。
1.同一の真空チャンバー内にプラズマ生成部と膜堆積部とが存在し、基材とプラズマ生成部の間に、プラズマ生成部で励起されたプラズマが、基材上では十分に減衰されているような物理的距離がある位置関係。
2.同一の真空チャンバー内にプラズマ生成部と膜堆積部とが存在し、これらが多孔板又は荷電粒子捕獲器等で仕切られている位置関係。
3.プラズマ生成部があるチャンバーと膜堆積部があるチャンバーとが伝送管で接続され、プラズマ生成部と膜体積部とが隔離されている位置関係。
上記1、2はダウンフロー型と称され、本発明において上記の具体例のなかでも成膜レートの点で、1又は2の位置関係であることが好ましい
リモートプラズマ方式におけるプラズマ源は、ガスバリア性が向上する緻密な膜質が得られる点及び成膜レートの点で、高密度プラズマ源であることが好ましい。
高密度プラズマの生成としては、直流(DC)、交流(AC)、低周波、高周波(RF)、マイクロ波等を利用してプラズマを生成する方法があり、こられのなかではプラズマの安定性の点から高周波(RF)及びマイクロ波が好ましい。
高周波(RF)やマイクロ波等を利用する高密度プラズマ源としては、例えば、ヘリコン波励起プラズマ(HWP)、誘導結合型プラズマ(ICP)、電子サイクロトロン共鳴プラズマ(ECR)及び表面波プラズマ(SWP)(マイクロ波表面波プラズマ、又はマイクロ波励起表面波プラズマと称すこともある)等のプラズマ源が挙げられる。
上記プラズマ源のなかでも、本発明においてマイクロ波励起表面波プラズマが好ましい。マイクロ波励起表面波プラズマであれば、高いプラズマ密度が得られることから、成膜レートが向上し、良質な膜質とすることができ、またプラズマの低電子温度変化が図れることから基材へのプラズマダメージが軽減され、さらに大面積のプラズマを形成できるため生産性に優れる。
本発明においてRP−CVD無機層は、X線光電子分光法(XPS法)により測定された炭素含有量が、好ましくは20at.%未満、より好ましくは10at.%未満、さらに好ましくは5at.%未満である。炭素含有量を20at.%未満とすることにより、該無機層の表面エネルギーが大きくなり、無機層同士の間の密着性を妨げることがなくなる。そのためバリアフィルムの耐折曲げ性、耐剥離性が向上する。
また、RP−CVD無機層の炭素含有量は、0.5at.%以上であることが好ましく、1at.%以上であることがより好ましく、2at.%以上であることがさらに好ましい。中間層に炭素が僅かながら含まれることで、応力の緩和が効率よくなされ、バリアフィルムのカールが低減される。
以上の点から、上記RP−CVD無機層における炭素含有量は、好ましくは0.5at.%以上20at.%未満の範囲にあり、より好ましくは0.5at.%以上10at.%未満の範囲にあり、より好ましくは0.5at.%以上5at.%未満の範囲にあり、より好ましくは1at.%以上5at.%未満の範囲にあり、さらに好ましくは2at.%以上5at.%未満の範囲にある。
ここで、「at.%」とは、原子組成百分率(atomic %)を示す。
本発明における上記X線光電子分光法(XPS法)により測定された炭素含有量を達成する方法としては、特に制限はなく、例えば、RP−CVDにおける原料を選択することにより達成する方法、原料や反応ガス(酸素、窒素等)の流量や比率によって調整する方法、成膜時の圧力や投入電力によって調整する方法等が挙げられる。
X線光電子分光法(XPS法)による炭素含有量の具体的な測定方法は次の通りである。
例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製のXPS分析装置K−Alphaを使用し、XPS(X線光電子分光法)により結合エネルギーを測定し、Si2P、C1S、N1S、O1S等に対応するピークの面積から換算することによって元素組成(at.%)を算出することができる。
RP−CVD無機層を構成する無機物質としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、ダイヤモンドライクカーボン等、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物又はそれらの混合物等が挙げられるが、ガスバリア性、密着性の点から、好ましくは酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化珪素、酸化炭化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム、酸化チタン、ダイヤモンドライクカーボン等である。なかでも、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化窒化珪素及び酸化アルミニウムは、高いガスバリア性が安定に維持できる点でより好ましい。RP−CVD無機層は上記無機物質を1種単独で含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
酸化珪素等からなるRP−CVD無機層形成のための原料としては、例えば、珪素化合物が挙げられる。また、酸化チタン等からなるRP−CVD無機層形成のための原料としては、チタン化合物が挙げられる。珪素化合物やチタン化合物等の化合物であれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても使用できる。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。また、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサン等の有機溶媒及びこれらの混合溶媒を使用することができる。本発明においてRP−CVD無機膜形成のための原料として好ましくは気体(ガス)であり、該原料ガスが有機金属化合物であることが好適である。
上記珪素化合物としては、例えば、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、酸化チタン、塩化チタン等のチタン無機化合物や、チタンテトラブトキシド、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート及びテトラメチルチタネート等のチタンアルコキシド類や、チタンラクテート、チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート及びチタントリエタノールアミネート等のチタンキレート類等が挙げられる。
上記RP−CVD無機層は、PVD無機層への目止め効果を確実とするために、2層以上から構成されることが好ましく、より好ましくは2〜5層から構成されることが好ましい。
上記RP−CVD無機層の厚さは、断面TEM法により測定した値が、20nm未満であることが好ましい。20nm未満であることにより、PVD無機層同士の分子間力が有効に作用することで、密着性がより向上する。また同時にリモートプラズマ方式の化学蒸着法による生産速度を真空蒸着法と同等程度に高めることができるため、生産効率が向上すると共に製造設備も小型化、簡素化できるため、安価なバリアフィルムを製造することができる。上記観点から、RP−CVD無機層の厚さは、10nm未満であることがより好ましく、5nm未満であることがさらに好ましく、3nm未満であることが特に好ましい。
また、RP−CVD無機層の厚さの下限値は、PVD無機層への目止め効果が発現するための最低限の膜厚として、0.01nmであることが好ましく、0.1nmであることがより好ましく、0.5nmであることがさらに好ましい。厚さの下限値が0.01nmであれば、密着性、ガスバリア性等が良好であり好ましい。
またRP−CVD無機層の厚みを0.1nm以上とすることで、上記した下層のPVD無機層の開放空孔の目止め効果が発現すると同時に表面が滑らかになり、上層のPVD無機層を蒸着した際に、蒸着粒子の表面拡散が良好となり、粒子同士がより密に堆積するため、バリア性がさらに向上する。
上記観点から、RP−CVD無機層の厚さは、0.01nm以上20nm未満であることが好ましく、0.1nm以上20nm未満であることがより好ましく、0.1nm以上10nm未満であることがさらに好ましく、0.1nm以上5nm未満であることが特に好ましく、0.5nm以上3nm未満であることが最も好ましい。
また、本発明においては、隣接するRP−CVD無機層とPVD無機層において、その厚さの比(RP−CVD無機層厚さ/PVD無機層厚さ)が、好ましくは0.0001〜1であり、より好ましくは0.0005〜0.5であり、さらに好ましくは0.001〜0.2である。PVD無機層厚さに比してRP−CVD無機層厚さが0.0001以上であれば、全体の無機層に対するRP−CVD無機層の割合が小さくなりすぎず、PVD無機層のみでは得られない、RP−CVD無機層による目止め効果、及び応力緩和等の効果を得ることができる。また、PVD無機層厚さに比してRP−CVD無機層厚さが1以下であれば、RP−CVD法の成膜レートはPVD法に比べ極端に低くなることがなく、Roll to RollプロセスにてPVD無機層とRP−CVD無機層を連続して成膜する場合、RP−CVD無機層の成膜レートに基材の搬送速度を合わせても搬送速度が低下することなく生産性が良好となる。
PVD無機層の表面粗さ(AFMにより測定)は概ね5nm以下とすることが、蒸着粒子が密に堆積するため、バリア性発現のためには好ましい。この際にRP−CVD無機層の厚みを上記値未満とすることで、蒸着粒子間の谷間の部分に存在する開放空孔を埋めながらも蒸着粒子の山の部分は極めて薄くしか被覆しない(もしくは部分的に露呈する)ため、PVD無機層間の密着性をさらに高めることができる。
上記RP−CVD無機層の厚さの断面TEM法による測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて行い、具体的には、次の方法により行うことができる。
エポキシ樹脂包埋超薄切片法で試料を調整し、断面TEM装置により例えば加速電圧120KVの条件で測定することができる。なお、10nm以下のCVD無機層の厚みについては、断面TEM法による測定においても正確な値を得ることは難しいため、本発明においては、同様の成膜条件にて成膜した20nm以上の比較的厚いCVD無機層を、断面TEM法により測定して単位走行速度当たりの成膜レートを算出し、所定の走行速度で成膜した場合の厚みを算出し膜厚とする。
本発明においては、RP−CVD無機層の形成は、1×10-1Pa以上100Pa以下の減圧環境下、かつ基材の搬送速度が20m/分以上でなされる。
すなわち、リモートプラズマ方式化学蒸着法(RP−CVD)により薄膜を形成する際の圧力は、緻密な薄膜を形成するため減圧下で行うことが好ましく、成膜速度とバリア性の観点から、1×10-1Pa以上100Pa以下の範囲であり、好ましくは1Pa以上100Pa以下の範囲である。このRP−CVD無機層には、耐水性、耐久性を高めるために、電子線照射による架橋処理を行うこともできる。
また、基材の搬送速度は、生産性向上の観点から、20m/分以上であり、50m/分以上であることが好ましい。上記搬送速度については、上限は特にないが、基材搬送の安定性の観点から1000m/分以下が好ましい。
[成膜方法]
本発明においては、ガスバリア性、生産性の点から、上記PVD無機層(1)、RP−CVD無機層及びPVD無機層(2)の形成を減圧下、連続して行うことが好ましい。
また、同様の観点から、前述したように、本発明においては、前記真空蒸着法による無機層の形成を1×10-7Pa以上1Pa以下の減圧下で行い、前記リモートプラズマ方式化学蒸着法による無機層の形成を1×10-1Pa以上100Pa以下の減圧下で行い、かつ前記基材の搬送速度が20m/分以上で、ガスバリア性フィルムを製造する。
また、上記無機層の形成の全てを、減圧下、連続して基材を搬送させながら行うことが好ましい。すなわち、本発明においては、各無機層の形成終了後に、真空槽内の圧力を大気圧近傍にまで戻して、再度真空にして後工程を行うものではなく、真空状態のまま連続的に成膜を行うことが好ましい。PVD無機層の形成及びRP−CVD無機薄膜の形成を減圧下、連続して行うことにより、極めて良好なガスバリア性を発現することができる。
本発明においては、PVD無機層(1)を形成した後に、RP−CVD無機層及びPVD無機層(2)の形成を行うが、このRP−CVD無機層及びPVD無機層の形成は、さらに1回以上繰り返して行ってもよい。すなわち、本発明においては、品質安定性の点からPVD無機層(1)、RP−CVD無機層及びPVD無機層(2)の上に、さらにRP−CVD無機層及びPVD無機層からなる構成単位を1単位以上あるいは複数有することが好ましく、1〜3単位有することがより好ましく、また、1又は2単位有することがさらに好ましい。
なお、上記各無機層の形成を繰り返す場合も、減圧下、連続して行うことが好ましい。
すなわち、本発明においては、PVD無機層(1)により、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得ることができる。また、RP−CVD無機層及びPVD無機層(2)の形成を行うことにより、無機薄膜の多層膜における各層の密着性を向上させることができる。
[アンカーコート層]
本発明においては、前記基材とPVD無機層(1)との密着性を向上させるため、基材とPVD無機層(1)の間に、アンカーコート剤を塗布する等してアンカーコート層を設けることが好ましい。アンカーコート剤としては、生産性の点から、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂やエチレンビニルアルコール系樹脂等のビニルアルコール系樹脂、ビニルエステル系樹脂、イソシアネート基含有樹脂、カルボジイミド系樹脂、アルコキシル基含有樹脂、エポキシ系樹脂、オキサゾリン基含有樹脂及びスチレン系樹脂等を単独あるいは2種以上含むものが好ましい。
また、アンカーコート層は必要に応じ、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルキルチタネート、無機粒子、紫外線吸収剤、耐候安定剤等の安定剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
基材上に設けるアンカーコート層の厚さは通常0.1〜5000nm、好ましくは1〜2000nm、より好ましくは1〜1000nmである。上記範囲内であれば、滑り性が良好であり、アンカーコート層自体の内部応力による基材からの剥離もほとんどなく、また、均一な厚さを保つことができ、さらに層間の密着性においても優れている。
また、基材へのアンカーコート剤の塗布性、接着性を改良するため、アンカーコート剤の塗布前に基材に通常の化学処理、放電処理等の表面処理を施してもよい。
[保護層]
また、本発明のガスバリア性フィルムは、上記各薄膜を形成した側の最上層に保護層を有することが好ましい。該保護層を形成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂系、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂やエチレンビニルアルコール系樹脂等のビニルアルコール系樹脂、エチレン−不飽和カルボン酸共重合樹脂、ビニルエステル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、イソシアネート系樹脂、エポキシ系樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上組み併せて使用することができる。また、保護層には、バリア性、摩耗性、滑り性向上のため、シリカゾル、アルミナゾル等、粒子状無機フィラー及び層状無機フィラーから選ばれる1種以上の無機粒子を配合することができる。
保護層の厚さは、印刷性、加工性の点から、好ましくは0.05〜10μm、さらに好ましくは0.1〜3μmである。その形成方法としては、公知のコーティング方法が適宜採択される。例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター、バーコーター、スプレイを用いたコーティング方法等の方法がいずれも使用できる。また、基材に無機層及び構成単位層等を形成した後、コート液に浸漬して保護層の形成を行ってもよい。コーティング後は、80〜200℃程度の温度での熱風乾燥、熱ロール乾燥等の加熱乾燥や、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法を用いて溶媒を蒸発させることにより、均一な保護層が形成される。
[ガスバリア性フィルムの構成]
本発明のガスバリア性フィルムとしては、ガスバリア性、密着性の点から、以下のような態様を好ましく用いることができる。
(1)基材/AC/PVD/RP−CVD/PVD
(2)基材/AC/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD
(3)基材/AC/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD
(4)基材/AC/PVD/RP−CVD/PVD/保護層
(5)基材/AC/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD/保護層
(6)基材/AC/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD/保護層
(7)基材/PVD/RP−CVD/PVD
(8)基材/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD
(9)基材/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD
(10)基材/PVD/RP−CVD/PVD/保護層
(11)基材/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD/保護層
(12)基材/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD/RP−CVD/PVD/保護層
(なお、上記態様中、ACはアンカーコート層、PVDはPVD無機層、RP−CVDはRP−CVD無機層を指す。)
本発明においては、前記構成単位層を構成するアンカーコート層を形成した後、あるいは構成単位層を構成する無機層を形成した後、あるいは保護層を形成した後に、ガスバリア性、密着性、構成層の安定化等の点から加熱処理を施すことが好ましい。
ただし、前記構成単位層を2以上設ける場合、無機層とその上に形成されたアンカーコート層の密着性の点から、後処理としての加熱処理はガスバリア性フィルムを構成する全ての層を形成後に行うことが好ましい。
加熱処理は、ガスバリア性フィルムの各構成層を構成する成分の種類や層の厚さ等によりその条件が異なるが、必要な温度、時間を維持できる方法であれば方法は特に限定されない。例えば、必要な温度に設定したオーブンや恒温室で保管する方法、熱風を吹き付ける方法、赤外線ヒーターで加熱する方法、ランプで光を照射する方法、熱ロールや熱版と接触させて直接的に熱を付与する方法、マイクロ波を照射する方法等が使用できる。また、取り扱いが容易な大きさにフィルムを切断してから加熱処理しても、フィルムロールのままで加熱処理してもよい。さらに必要な時間と温度が得られる限りにおいては、コーター、スリッター等のフィルム製造装置の一部分に加熱装置を組み込み、製造過程で加熱を行うこともできる。
加熱処理の温度は、使用する基材、プラスチックフィルム等の耐熱温度以下の温度であれば特に限定されないが、熱処理の効果が発現するために必要な処理時間を適度に設定できることから60℃以上であることが好ましく、70℃以上で行うことがより好ましい。加熱処理温度の上限は、ガスバリア性フィルムを構成する成分の熱分解によるガスバリア性の低下を防止する観点から、通常200℃以下、好ましくは160℃以下である。処理時間は、加熱処理温度に依存し、処理温度が高い程、短くすることが好ましい。例えば、加熱処理温度が60℃の場合、処理時間は3日〜6ヶ月程度、80℃の場合、処理時間は3時間〜10日程度、120℃の場合、処理時間は1時間から1日程度、150℃の場合、処理時間は3〜60分程度であるが、これらは単なる目安であって、ガスバリア性フィルムを構成する成分の種類や構成層の厚さ等により適宜調整することができる。
さらに、本発明においては、用途や必要に応じて上記構成層に追加の構成層を積層してもよく、例えば、上記無機層あるいは保護層の上にプラスチックフィルムを設ける等の積層を行い各種用途に使用されるガスバリア性積層フィルムが得られる。プラスチックフィルムの厚さは、機械強度、可撓性、透明性等の点から、通常5〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲で用途に応じて選択される。また、該フィルムの幅や長さは特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。例えば、無機層あるいは保護層の面上にヒートシールが可能なプラスチックフィルムを積層することにより、ヒートシールが可能なガスバリア性積層フィルムとなり、種々の容器として使用できる。ヒートシールが可能なプラスチックフィルムとしては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、ポリ乳酸等の生分解性樹脂等の公知の樹脂からなるフィルムが挙げられる。
また、別の実施態様としては、ガスバリア性フィルムの無機層あるいは保護層上に印刷層を形成し、さらにその上にヒートシール層を積層するものが挙げられる。印刷層を形成する印刷インクとしては、水溶性及び溶剤溶解性の樹脂を含有する印刷インクが使用できる。ここで、前記印刷インクに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル樹脂又はこれらの混合物が例示される。さらに、印刷インクには、帯電防止剤、光線遮光剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
印刷層を設けるための印刷方法としては特に限定されないが、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の公知の印刷方法が使用できる。印刷後の溶媒の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法が使用できる。
また、印刷層とヒートシール層との間に紙又はプラスチックフィルムを少なくとも1層積層することが可能である。該プラスチックフィルムとしては、本発明のガスバリア性フィルムの基材に用いられる樹脂と同様のものが使用できる。なかでも十分な積層体の剛性及び強度を得る観点から、紙、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂又は生分解性樹脂が好ましい。
<ガスバリア性フィルムの製造方法>
本発明はまた、基材の少なくとも一方の面に、真空蒸着法による無機層、リモートプラズマ方式化学蒸着法による無機層及び真空蒸着法による無機層をこの順で形成するガスバリア性フィルムの製造方法であって、前記真空蒸着法による無機層の形成を1×10-7Pa以上1Pa以下の減圧下で行い、前記リモートプラズマ方式化学蒸着法による無機層の形成を1×10-1Pa以上100Pa以下の減圧下で行い、かつ前記基材の搬送速度を20m/分以上で行うガスバリア性フィルムの製造方法を提供する。
ガスバリア性フィルム、上記圧力、搬送速度については、前述の通りである。
<用語の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」を意味する。
本発明のガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や医薬品等の包装材料や太陽電池や電子ペーパー、有機EL等の材料、電子デバイス等のパッケージ材料として好適に使用できる。また、本発明のガスバリア性フィルムは、生産性がよく、工業生産が可能である。

Claims (14)

  1. 基材の少なくとも一方の面に、真空蒸着法により形成した無機層、リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層及び真空蒸着法により形成した無機層をこの順で有するガスバリア性フィルム。
  2. 前記基材の少なくとも一方の面に、アンカーコート層が形成されている、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層上の真空蒸着法により形成した無機層の上に、さらに、リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層及び真空蒸着法により形成した無機層をこの順に有する構成単位を1単位以上有する、請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記真空蒸着法による無機層及び前記リモートプラズマ方式化学蒸着法による無機層の各層が、減圧下で連続的に形成された、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層の炭素含有量が20at.%未満であり、かつ膜厚が20nm未満である、請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層の炭素含有量が10at.%未満であり、かつ膜厚が10nm未満である、請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  7. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層の炭素含有量が5at.%未満であり、かつ膜厚が5nm未満である、請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  8. 前記真空蒸着法により形成した無機層の膜厚が0.5〜100nmであり、前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層の炭素含有量が2at.%以上5at.%未満であり、かつ前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層の膜厚が0.1nm以上5nm未満である、請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  9. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法により形成した無機層が2層以上からなる、請求項1〜8のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  10. 前記リモートプラズマ方式化学蒸着法の原料ガスが有機金属化合物である、請求項1〜9のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  11. 前記真空蒸着法により形成した無機層の少なくとも1層が酸化珪素からなる、請求項1〜10のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  12. 基材の少なくとも一方の面に、真空蒸着法による無機層、リモートプラズマ方式化学蒸着法による無機層及び真空蒸着法による無機層をこの順で形成するガスバリア性フィルムの製造方法であって、前記真空蒸着法による無機層の形成を1×10-7Pa以上1Pa以下の減圧下で行い、前記リモートプラズマ方式化学蒸着法による無機層の形成を1×10-1Pa以上100Pa以下の減圧下で行い、かつ前記基材の搬送速度が20m/分以上である、ガスバリア性フィルムの製造方法。
  13. 前記真空蒸着法による無機層及び前記リモートプラズマ方式化学蒸着法による無機層の各層を減圧下連続的に形成する、請求項12に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  14. 前記ガスバリア性フィルムが請求項1〜11のいずれかに記載のものである、請求項12又は13に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018523538A (ja) * 2015-08-18 2018-08-23 エスアイオーツー・メディカル・プロダクツ・インコーポレイテッド 低酸素透過速度を有する薬剤包装及び他の包装

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