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JP2013226784A - 積層体とその製造方法及びそれを用いたデバイス構造体の製造方法 - Google Patents

積層体とその製造方法及びそれを用いたデバイス構造体の製造方法 Download PDF

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JP2013226784A
JP2013226784A JP2012122031A JP2012122031A JP2013226784A JP 2013226784 A JP2013226784 A JP 2013226784A JP 2012122031 A JP2012122031 A JP 2012122031A JP 2012122031 A JP2012122031 A JP 2012122031A JP 2013226784 A JP2013226784 A JP 2013226784A
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JP2012122031A
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English (en)
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Tetsuo Okuyama
哲雄 奥山
Kazuyuki Oya
量之 應矢
Naoki Watanabe
直樹 渡辺
Toshiyuki Tsuchiya
俊之 土屋
Satoshi Maeda
郷司 前田
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

【課題】ポリイミドフィルムと支持体との積層体であって、高い耐熱性を有するとともに、ポリイミドフィルム上にデバイスを形成する際のプロセスにおいて剥がれることがなく、しかもデバイス形成後にはポリイミドフィルムを支持体から容易に分離できる積層体を提供する。
【解決手段】積層体の製造方法は、支持体とポリイミドフィルムとの積層体の製造方法であって、前記支持体の前記ポリイミドフィルムに対向する側の面に対して、カップリング剤を塗布してカップリング剤層を形成した後、前記支持体と前記ポリイミドフィルムとを重ね合わせて加圧加熱処理することとし、前記カップリング剤層を形成するにあたり、カップリング剤量が異なる領域からなる所定のパターンを形成することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルムと無機基板等の支持体との積層体であって、必要に応じて支持体からポリイミドフィルムを容易に分離できる積層体およびその製造方法と、該積層体を利用したデバイス構造体の製造方法とに関するものである。
情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダー、高速情報処理装置等における電子部品として、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子などの機能素子(デバイス)が用いられるが、これらは従来、セラミック基材の上に搭載されるのが一般的であった。しかし、近年、電子部品の軽量化、小型・薄型化、フレキシビリティ化が求められるなか、フレキシビリティ性に欠け薄型化もしにくいセラミック基材に代え、高分子フィルム上に各種機能素子を形成する試みがなされている。
各種機能素子を高分子フィルム表面に形成するにあたっては、高分子フィルムの特性であるフレキシビリティを利用した、いわゆるロール・トゥ・ロールプロセスにて加工することが理想とされる。しかしながら、半導体産業、MEMS産業、ディスプレイ産業等の業界においては、これまでウエハベースまたはガラス基板ベース等のリジッドな平面基板を対象としたプロセス技術が主流であった。そこで、既存インフラを利用して各種機能素子を高分子フィルム表面に形成するために、高分子フィルムを無機物(ガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属板など)からなるリジッドな支持体に貼り合わせておき、所望の素子を形成した後に支持体から分離することが望まれる。
ところで、高分子フィルムと無機物からなる支持体とを貼り合わせた積層体に所望の機能素子を形成するプロセスにおいては、該積層体は高温に曝されることが多い。例えば、ポリシリコンや酸化物半導体などの機能素子の形成においては200〜500℃程度の温度域での工程が必要であり、低温ポリシリコン薄膜トランジスターの作製においては脱水素化のために450℃程度の加熱が必要になる場合があり、水素化アモルファスシリコン薄膜の作製においては200〜300℃程度の温度がフィルムに加わる場合がある。したがって、積層体を構成する高分子フィルムには耐熱性が求められる。また、支持体への高分子フィルムの貼り合わせには一般に粘着剤や接着剤を用いることが考えられるが、その際の高分子フィルムと支持体との接合面(すなわち貼り合せ用の接着剤や粘着剤)にも耐熱性が求められる。しかし、通常の貼り合せ用の接着剤や粘着剤は十分な耐熱性を有していないので、機能素子の形成温度が高い場合には接着剤や粘着剤による貼り合わせは適用できない。
このような事情に鑑み、機能素子を形成するための高分子フィルムと支持体との積層体として、耐熱性に優れ強靭で薄膜化が可能なポリイミドフィルムを、シランカップリング剤を介して無機物からなる支持体(無機層)に貼り合わせてなる積層体が提案されている(特許文献1〜3)。
特開2010−283262号公報 特開2011−11455号公報 特開2011−245675号公報
しかしながら、上述した特許文献1〜3に記載の積層体では、ポリイミドフィルムと支持体とが一様に同じ接着力で貼り付けられているため、機能素子(デバイス)を形成する際の熱や応力によって剥離しないよう接着力を高めに設定すると、デバイス形成後にフィルムを支持体から分離し難くなり、逆に、デバイス形成後のフィルムを支持体から容易に分離し得るよう接着力を弱めに設定すると、デバイス形成時の熱や応力の負荷に耐えられず剥離してしまうことがあった。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、ポリイミドフィルムと支持体との積層体であって、高い耐熱性を有するとともに、ポリイミドフィルム上にデバイスを形成する際のプロセスにおいて剥がれることがなく、しかもデバイス形成後にはポリイミドフィルムを支持体から容易に分離できる積層体およびその製造方法と、該積層体を利用したデバイス構造体の製造方法とを提供することである。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討した結果、支持体とポリイミドフィルムとをカップリング剤層を介して積層するにあたり、カップリング剤層を、カップリング剤量が異なる領域からなる所定のパターンを有するものとすれば、カップリング剤が多く介在する領域でデバイス形成時に剥がれを生じさせないだけの十分な接着力を発現させつつ、カップリング剤が少量しか介在しないか或いは全く存在しない領域においてポリイミドフィルムに切り込みを入れて剥離することによってデバイスを搭載したポリイミドフィルムを支持体から容易に分離できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
1)支持体とポリイミドフィルムとの積層体の製造方法であって、前記支持体の前記ポリイミドフィルムに対向する側の面に対して、カップリング剤を塗布してカップリング剤層を形成した後、前記支持体と前記ポリイミドフィルムとを重ね合わせて加圧加熱処理することとし、前記カップリング剤層を形成するにあたり、カップリング剤量が異なる領域からなる所定のパターンを形成することを特徴とする積層体の製造方法。
2)前記ポリイミドフィルムとして、予めプラズマ処理を施したフィルムを用いる前記1)に記載の積層体の製造方法。
3)前記ポリイミドフィルムとして、前記プラズマ処理の後に酸処理を施したフィルムを用いる前記2)に記載の積層体の製造方法。
4)前記カップリング剤の塗布は、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷、マイクロコンタクト印刷およびディスペンサー塗布からなる群より選ばれる1種以上で行う前記1)〜3)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
5)前記加圧加熱処理はロールを用いて大気圧雰囲気下で行う前記1)〜4)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
6)前記加圧加熱処理は加圧プロセスと加熱プロセスとに分離して行い、120℃未満の温度で加圧した後に、低圧もしくは常圧にて120℃以上の温度で加熱する前記1)〜5)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
7)支持体とポリイミドフィルムとの積層体であって、前記支持体と前記ポリイミドフィルムの間にカップリング剤層が介在し、該カップリング剤層が、カップリング剤量が異なる領域からなる所定のパターンを有することを特徴とする積層体。
8)前記ポリイミドフィルムの厚さ斑が20%以下である前記7)に記載の積層体。
9)ポリイミドフィルム上にデバイスが形成されてなる構造体を製造する方法であって、支持体とポリイミドフィルムとカップリング剤層とを有する前記7)または8)に記載の積層体を用いることとし、該積層体のポリイミドフィルム上にデバイスを形成した後、
前記カップリング剤量が少ない領域におけるポリイミドフィルムに切り込みを入れて該ポリイミドフィルムを前記支持体から剥離することを特徴とするデバイス構造体の製造方法。
10)前記デバイスを形成するにあたり前記積層体が250℃以上の高温に曝される工程を含む前記9)に記載のデバイス構造体の製造方法。
本発明によれば、支持体とポリイミドフィルムとをカップリング剤層を介して積層するにあたり、カップリング剤量が異なる領域からなる所定のパターンを形成するので、ポリイミドフィルム上にデバイスを形成する際のプロセスにおいて剥がれることがなく、しかもデバイス形成後にはポリイミドフィルムを支持体から容易に分離できる。しかも本発明の積層体は、耐熱性が高いポリイミドフィルムを接着剤や粘着剤を用いることなく貼り合わせたものであるので、高い耐熱性を示し、デバイスを形成する際に積層体が高温(例えば200℃以上、特に250℃以上)に曝される工程を含むデバイス形成プロセスにも良好に適用できる。このような本発明の積層体は、例えば半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子等のデバイスをフィルム基材上に形成したデバイス構造体の作製に有用である。
図1は、本発明の積層体の製造方法の一実施態様を示す模式図である。 図2は、本発明のデバイス構造体の製造方法の一実施態様を示す模式図である。 図3は、パターン例を示す模式図である。 図4は、クレーター部を示すAFM像である。 図5は、図4に示すクレーター部の直線部分における断面AFM像である。 図6は、クレーター部を含むAFM像(10μm四方)である。 図7は、クレーター部の直径の測定方法を説明するための説明図である。 図8は、クレーター数の測定方法を説明するための説明図である。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体の製造方法は、支持体とポリイミドフィルムとの積層体を製造する方法である。
<支持体>
本発明における支持体は、無機物からなり基板として用いることのできる板状のものであればよく、例えば、ガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属等を主体としているもの、および、これらガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有されているものなどが挙げられる。
前記ガラス板としては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラス等が含まれる。これらの中でも、線膨張係数が5ppm/℃以下のものが望ましく、市販品であれば、液晶用ガラスであるコーニング社製の「コーニング(登録商標)7059」や「コーニング(登録商標)1737」、「EAGLE」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA10」、SCHOTT社製の「AF32」などが望ましい。
前記セラミック板としては、Al、Mullite、AlN、SiC、Si、BN、結晶化ガラス、Cordierite、Spodumene、Pb−BSG+
CaZrO+Al、Crystallized glass+Al、Cr
ystallized Ca−BSG、BSG+Quartz、BSG+Quartz、BSG+Al、Pb+BSG+Al、Glass−ceramic、ゼロデュア材などの基板用セラミックス、TiO、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、アルミナ、MgO、ステアタイト、BaTi、BaTiO、BaTi4+CaZrO3、BaSrCaZrTiO3、Ba(TiZr)O3、PMN−PTやPFN−PFWなどのキャパシター材料、PbNb26、Pb0.5Be0.5Nb26、PbTiO3、BaTiO3、PZT、0.855PZT−95PT−0.5BT、0.873PZT−0.97PT−0.3BT、PLZTなどの圧電材料が含まれる。
前記シリコンウエハとしては、n型或はp型にドーピングされたシリコンウエハ、イントリンシックシリコンウエハ等の全てが含まれ、また、シリコンウエハの表面に酸化シリコン層や各種薄膜が堆積されたシリコンウエハも含まれ、シリコンウエハのほか、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、アルミニウム−ガリウム−インジウム、窒素−リン−ヒ素−アンチモンがよく用いられている。さらに、InP(インジウム燐)、InGaAs、GaInNAs、LT、LN、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(カド
ミウムテルル)、ZnSe(セレン化亜鉛) などの汎用の半導体ウエハも含まれる。
前記金属としては、W、Mo、Pt、Fe、Ni、Auといった単一元素金属、インコネル、モネル、ニモニック、炭素銅、Fe−Ni系インバー合金、スーパーインバー合金、といった合金等が含まれる。また、これら金属に、他の金属層、セラミック層を付加してなる多層金属板も含まれる。この場合、付加層との全体のCTEが低ければ、主金属層にCu、Alなども用いられる。付加金属層として使用される金属としては、ポリイミドフィルムとの密着性を強固にするもの、拡散がないこと、耐薬品性や耐熱性が良いこと等の特性を有するものであれば限定されるものではないが、クロム、ニッケル、TiN、Mo含有Cuが好適な例として挙げられる。
前記支持体の平面部分は、充分に平坦である事が望ましい。具体的には、表面粗さのP−V値が50nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。これより粗いと、ポリイミドフィルムと支持体との剥離強度が不充分となる虞がある。
<ポリイミドフィルム>
一般にポリイミドフィルムは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液を、ポリイミドフィルム作製用支持体(ここで言う支持体は、本発明の積層体の構成部材として上述した「支持体」とは異なる)に塗布、乾燥してグリーンフィルム(「前駆体フィルム」または「ポリアミド酸フィルム」ともいう)となし、さらにポリイミドフィルム作製用支持体上で、あるいは該支持体から剥がした状態でグリーンフィルムを高温熱処理して脱水閉環反応を行わせることによって得られる。
ポリアミド酸を構成するジアミン類としては、特に制限はなく、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、脂環式ジアミン類等を用いることができるが、特に芳香族ジアミン類が好ましく、さらにはベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類がより好ましい。ジアミン類は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
ポリアミド酸を構成するジアミン類としては、特に制限はなく、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、脂環式ジアミン類等を用いることができる。耐熱性の観点からは、芳香族ジアミン類が好ましく、芳香族ジアミン類の中では、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類がより好ましい。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を用いると、高い耐熱性とともに、高弾性率、低熱収縮性、低線膨張係数を発現させることが可能になる。ジアミン類は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、特に限定はなく、例えば、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2,2’−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2’−p−フェニレンビス(6−アミノベンゾオキサゾール)、1−(5−アミノベンゾオキサゾロ)−4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール等が挙げられる。
上述したベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類以外の芳香族ジアミン類としては、例えば、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスアニリン)、1,4−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1
,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、および上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てが、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記脂肪族ジアミン類としては、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン等が挙げられる。
前記脂環式ジアミン類としては、例えば、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
芳香族ジアミン類以外のジアミン(脂肪族ジアミン類および脂環式ジアミン類)の合計量は、全ジアミン類の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。換言すれば、芳香族ジアミン類は全ジアミン類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
ポリアミド酸を構成するテトラカルボン酸類としては、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂肪族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂環族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)を用いることができる。中でも、芳香族テトラカルボン酸無水物類、脂環族テトラカルボン酸無水物類が好ましく、耐熱性の観点からは芳香族テトラカルボン酸無水物類がより好ましく、光透過性の観点からは脂環族テトラカルボン酸類がより好ましい。これらが酸無水物である場合、分子内に無水物構造は1個であってもよいし2個であってもよいが、好ましくは2個の無水物構造を有するもの(二無水物)がよい。テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環族テトラカルボン酸類としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸等の脂環族テトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、2個の無水物構造を有する二無水物(例えば、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物等)が好適である。なお、脂環族テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環式テトラカルボン酸類は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
芳香族テトラカルボン酸類としては、特に限定されないが、ピロメリット酸残基(すなわちピロメリット酸由来の構造を有するもの)であることが好ましく、その酸無水物であることがより好ましい。このような芳香族テトラカルボン酸類としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸類は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
ジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応(重合)させてポリアミド酸を得る際に用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし二種以上を併用して用いてもよい。これら溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、反応液(モノマーを溶解した溶液)に占める全モノマーの量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は、従来公知の条件を適用すればよく、例えば、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割して行ったり、反応温度を上下させてもかまわない。モノマーの添加順序には特に制限はないが、ジアミン類の溶液中にテトラカルボン酸類を添加するのが好ましい。
また重合反応中に真空脱泡することも、良質なポリアミド酸溶液を製造するのに有効である。さらに重合反応の前にジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御してもよい。末端封止剤としては、ジカルボン酸無水物、トリカルボン酸無水物、アニリン誘導体などが挙げられる。これらの中でも具体的には、無水フタル酸、無水マレイン酸、4−エチニル無水フタル酸、4−フェニルエチニル無水フタル酸、エチニルアニリンが好ましく、特に好ましくは無水マレイン酸がよい。末端封止剤を使用する場合の使用量は、ジアミン類1モルに対して、好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。前記ポリアミド酸溶液の粘度は、送液の安定性の点から、ブルックフィールド粘度計による測定(25℃)において、10〜2000Pa・sであることが好ましく、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
重合反応によって得られるポリアミド酸溶液には、さらにポリイミドフィルムの性能向上を目的として、消泡剤、レベリング剤、難燃剤などの各種添加物を加えてもよい。これらの添加方法、添加時期は特に限定されるものではない。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを形成するには、ポリアミド酸溶液をポリイミドフィルム作製用支持体上に塗布して乾燥することによりグリーンフィルム(自己支持性の前駆体フィルム)を得、次いでグリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が採用できる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、例えば、スピンコート、ドクターブレード、アプリケーター、コンマコーター、スクリーン印刷法、スリットコート、リバースコート、ディップコート等のほか、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。ポリアミド酸溶液の塗布量は、所望するポリイミドフィルムの膜厚に応じて適宜設定すればよい。塗布したポリアミド酸溶液を乾燥する際の加熱温度は、50℃〜120℃が好ましく、80℃〜100℃がさらに好ましい。乾燥時間は5分〜3時間が好ましく、15分〜2時間がさらに好ましい。乾燥後のグリーンフィルム中の残溶媒量は25〜50質量%が好ましく、35〜45質量%がさらに好ましい。グリーンフィルムを熱処理する際の温度は、例えば150〜550℃が好ましく、より
好ましくは280〜520℃である。熱処理時間は、0.05〜10時間が望ましい。
ポリイミドフィルムは、ガラス転移温度が250℃以上、好ましくは300℃以上、さらに好ましくは350℃以上であり、あるいは500℃以下の領域においてガラス転移点が観測されないことが好ましい。本発明におけるガラス転移温度は、示差熱分析(DSC)により求めるものである。
ポリイミドフィルムの30℃から300℃の間の平均の線膨張係数(CTE)は、好ましくは、−5ppm/℃〜+20ppm/℃であり、より好ましくは−5ppm/℃〜+15ppm/℃であり、さらに好ましくは1ppm/℃〜+10ppm/℃である。CTEが前記範囲であると、一般的な支持体との線膨張係数の差を小さく保つことができ、熱を加えるプロセスに供してもポリイミドフィルムと無機物からなる支持体とが剥がれることを回避できる。
本発明におけるポリイミドフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、1μm〜200μmが好ましく、より好ましくは3μm〜120μm、さらに好ましくは3μm〜60μmである。狭小部への適用が容易になり、センサーなどの素子の高性能化や電子部品の軽小短薄化に大きく貢献できる。ポリイミドフィルムの厚さが1μm未満では、厳密に厚さを制御することが難しく、また支持体からの剥離が困難になり、一方、200μmを超えると、支持体から剥がす際にポリイミドフィルムの折れ曲がりなどが起こり易くなる。
本発明におけるポリイミドフィルムの厚さ斑は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは4%以下である。厚さ斑が20%を超えると、狭小部へ適用し難くなる傾向がある。なお、フィルムの厚さ斑は、例えば接触式の膜厚計にて被測定フィルムから無作為に10点程度の位置を抽出してフィルム厚を測定し、下記式に基づき求めることができる。
フィルムの厚さ斑(%)
=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
ポリイミドフィルムは、その製造時において幅が300mm以上、長さが10m以上の長尺ポリイミドフィルムとして巻き取られた形態で得られるものが好ましく、巻取りコアに巻き取られたロール状ポリイミドフィルムの形態のものがより好ましい。
ポリイミドフィルムにおいては、ハンドリング性および生産性を確保する為、フィルムを構成するポリイミド中に滑材(粒子)を添加・含有させて、ポリイミドフィルム表面に微細な凹凸を付与して滑り性を確保することが好ましい。
前記滑材(粒子)とは、無機物からなる微粒子であり、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭素化物、金属酸塩、リン酸塩、炭酸塩、タルク、マイカ、クレイ、その他粘土鉱物、等からなる粒子を用いることができる。好ましくは、酸化珪素、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、ガラスフィラーなどの金属酸化物、リン酸塩、炭酸塩を用いることができる。滑材は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記滑材(粒子)の体積平均粒子径は、通常0.001〜10μmであり、好ましくは0.03〜2.5μm、より好ましくは0.05〜0.7μm、さらに好ましくは0.05〜0.3μmである。かかる体積平均粒子径は光散乱法で得られる測定値を基準とする。粒子径が下限より小さいとポリイミドフィルムの工業的生産が困難となり、また上限を超えると表面の凹凸が大きくなりすぎて貼り付け強度が弱くなり、実用上の支障が出る虞がある。
前記滑材の添加量は、ポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対する添加量として、0.05〜50質量%であり、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜1質量%である。滑材の添加量が少なすぎると滑材添加の効果が期待し難く、滑り性の確保がそれほどなくポリイミドフィルム製造に支障をきたす場合があり、多すぎると、フィルムの表面凹凸が大きくなり過ぎて、滑り性の確保が見られても平滑性の低下を招いたり、ポリイミドフィルムの破断強度や破断伸度の低下を招いたり、CTEの上昇を招くなどの課題を招く虞がある。
ポリイミドフィルムに滑材(粒子)を添加・含有させる場合、滑材が均一に分散した単層のポリイミドフィルムとしてもよいが、例えば、一方の面が滑材を含有させたポリイミドフィルムで構成され、他方の面が滑材を含有しないか含有していても滑材含有量が少量であるポリイミドフィルムで構成された多層のポリイミドフィルムとしてもよい。このような多層ポリイミドのフィルムにおいては、一方の層(フィルム)表面に微細な凹凸が付与されて該層(フィルム)で滑り性を確保することができ、良好なハンドリング性や生産性を確保できる。以下、かかる多層のポリイミドフィルムの製造について説明する。
多層のポリイミドフィルムは、例えば、ポリアミド酸溶液(ポリイミドの前駆体溶液)として、滑材(好ましくは平均粒子径0.05〜2.5μm程度)をポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.05質量%〜50質量%(好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.20〜1質量%)含有したものと、滑材を含有しないか又はその含有量が少量(好ましくはポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.3質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下)である2つのポリアミド酸溶液を用いて製造することが好ましい。
多層ポリイミドフィルムの多層化(積層)方法は、両層の密着に問題が生じなければ、特に限定されるものではなく、かつ接着剤層などを介することなく密着するものであればよい。例えば、i)一方のポリイミドフィルムを作製後、このポリイミドフィルム上に他方のポリアミド酸溶液を連続的に塗布してイミド化する方法、ii)一方のポリアミド酸溶液を流延しポリアミド酸フィルムを作製後このポリアミド酸フィルム上に他方のポリアミド酸溶液を連続的に塗布した後、イミド化する方法、iii)共押し出しによる方法、iv)滑材を含有しないか又はその含有量が少量であるポリアミド酸溶液で形成したフィルムの上に、滑材を多く含有するポリアミド酸溶液をスプレーコート、Tダイ塗工などで塗布してイミド化する方法などが挙げられる。好ましくは、上記i)や上記ii)の方法がよい。
多層のポリイミドフィルムにおける各層の厚さの比率は、特に限定されないが、滑材を多く含有するポリアミド酸溶液で形成されたフィルム(層)を(a)層、滑材を含有しないか又はその含有量が少量であるポリアミド酸溶液で形成されたフィルム(層)を(b)層とすると、(a)層/(b)層は0.05〜0.95が好ましい。(a)層/(b)層が0.95を超えると(b)層の平滑性が失われがちとなり、一方0.05未満の場合、表面特性の改良効果が不足し易滑性が失われることがある。
前記ポリイミドフィルムには、少なくとも前記支持体に対向させる面に、予めプラズマ処理を施しておくことが好ましい。プラズマ処理を施すことにより、ポリイミドフィルム表面は官能基が存在する状態(いわゆる活性化した状態)に改質され、支持体に対する接着が向上する。
プラズマ処理は、特に限定されるものではないが、真空中でのRFプラズマ処理、マイクロ波プラズマ処理、マイクロ波ECRプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理などがあり、フッ素を含むガス処理、イオン源を使ったイオン打ち込み処理、PBII法
を使った処理、フレーム処理、イトロ処理なども含める。これらの中でも真空中でのRFプラズマ処理、マイクロ波プラズマ処理、大気圧プラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理の適当な条件としては、酸素プラズマ、CF4、C26などフッ素を含む
プラズマなど化学的にエッチング効果が高いことが知られるプラズマ、或はArプラズマのように物理的なエネルギーをポリイミド表面に与えて物理的にエッチングする効果の高いプラズマによる処理が望ましい。また、CO2、H2、N2などプラズマ、およびこれら
の混合気体や、さらに水蒸気を付加することも好ましい。短時間での処理を目指す場合、プラズマのエネルギー密度が高く、プラズマ中のイオンの持つ運動エネルギーが高いもの、活性種の数密度が高いプラズマが望ましい。この観点からは、マイクロ波プラズマ処理、マイクロ波ECRプラズマ処理、高いエネルギーのイオンを打ち込みやすいイオン源によるプラズマ照射、PBII法なども望ましい。
プラズマ処理の持つ効果としては、上述した表面官能基の付加、およびこれに伴う接触角の変化、接着性の向上、表面汚染の除去などのほか、デスミアと呼ばれる、加工に伴う不規則形状物の除去などの表面のエッチング効果がある。特に高分子とセラミックではエッチングされやすさが全く異なる為、セラミックに比べて結合エネルギーの低い高分子のみが選択的にエッチングされることになる。このため、エッチング作用のあるガス種や放電条件では、選択的に高分子のみがエッチングされて滑材(粒子、フィラーともいう)を露出させるという作用も生じる。なお、前記プラズマ処理以外にフィルム表面のエッチング作用を得られる手段として、薬液を併用した場合も含めたパッドによる研磨、ブラシ研磨、薬液をしみこませたスポンジによる研磨、研磨パッド中に研磨粒子を入れたものによる研磨、サンドブラスト、ウェットブラストなどが挙げられ、これら手段をプラズマ処理とともに採用してもよい。
前記プラズマ処理は、ポリイミドフィルムの片面のみに施してもよいし、両面に施してもよい。片面にプラズマ処理を行う場合、並行平板型電極でのプラズマ処理で片側の電極上にポリイミドフィルムを接して置くことにより、ポリイミドフィルムの電極と接していない側の面のみにプラズマ処理を施すことができる。また2枚の電極間の空間に電気的に浮かせる状態でポリイミドフィルムを置くようにすれば、両面にプラズマ処理が行える。また、ポリイミドフィルムの片面に保護フィルムを貼った状態でプラズマ処理を行うことで片面処理が可能となる。なお保護フィルムとしては粘着剤付のPETフィルムやオレフィンフィルムなどが使用できる。
前記プラズマ処理を施したポリイミドフィルムには、プラズマ処理の後に酸処理を施すことが好ましい。滑材(粒子)を含有したポリイミドフィルム表面では、滑材は表面付近で凸形状を形成していても、その表面にはごく薄いポリイミド層が存在する。ポリイミドは酸に対する耐性が強い為、極薄い層でもポリイミドが滑材表面にあると、酸処理を施した際に酸は滑材表面と直接接することはなく酸によって侵食されないが、プラズマ処理によるエッチング効果により選択的に高分子(ポリイミド)のみがエッチングされた後では、酸は滑材表面と直接接するため、適切な酸の種類を選んで酸処理を行えば、ごく短時間で滑材のみの溶解除去を行うことができ、クレーターが形成される。
このクレーターは、プラズマ処理によってポリイミドフィルム表面から露出した滑材が酸によって溶出された残部と考えられ、単なる凹みではなく、その縁部が盛り上がった状態の窪みである。参考として、図4に、クレーター部を示すAFM像を、図5に、図4に示すクレーター部の直線部分における断面像を、図6に、クレーター部を含むAFM像(10μm四方)を示す。クレーターの縁部分は、中に滑材粒子が内包された状態の突起に比較して柔らかく、ポリイミドフィルムと支持体とを加圧密着させる際に比較的弱い力で変形する。滑材を内包した突起は変形しがたく、ポリイミドフィルムと支持体との密着を阻害するが、滑材部分をこのようなクレーター様の形状にすることにより、ポリイミドフ
ィルムと支持体との密着性が高まり、ポリイミドフィルムと支持体との剥離強度をより向上させることができる。
前記酸処理は、酸を含む薬液中にプラズマ処理を施したポリイミドフィルムを浸漬するか、もしくはプラズマ処理を施したポリイミドフィルムに該薬液を塗布またはスプレーすることにより行うことができる、このとき超音波洗浄などを併用しても良い。またポリイミドフィルムの片面に保護フィルムを貼った状態で酸処理を行うことで片面のみの酸処理も可能となる。保護フィルムとしては粘着剤付のPETフィルムやオレフィンフィルムなどが使用できる。
前記酸処理に用いる酸としては、滑材のみをエッチングできるものが好ましく、例えばSiO2やガラスを溶解する作用があるHFやBHF等が好ましく挙げられ、これらは通
常水溶液として用いられる。例えば、10質量%のHF水溶液のSiO2(エッチング溶
解効率)は常温で12Å/sec程度であるので、80nm程度のSiO2滑材は1分程
度の薬液との接触で充分に処理できる事になる。したがって、HF水溶液やBHF水溶液による酸処理を行う場合には、SiO2を滑材とすることが好ましいが、勿論、滑材種類
はSiO2に限られたものではない。
薬液中の酸濃度は、20質量%以下が好ましく、より好ましくは3〜10質量%である。薬液中の酸濃度が薄すぎるとエッチング時間がかかり生産性が落ち、濃すぎるとエッチング時間が早すぎて必要以上に薬液に曝すことになる。
ポリイミドフィルム(原反)にプラズマ処理と酸処理を加える工程は、処理の効率化の点からはロールツーロールで行うことが好ましい。プラズマ処理を行なったポリイミドフィルムロールにも滑材が存在するので、ロールとしてのハンドリング性はプラズマ処理前と同等である。また、ロールでプラズマ処理を行った後、カットシートにしてから酸処理を行うことも、簡便な実施が可能となる点で有用である。
以上のようにプラズマ処理および酸処理を施したポリイミドフィルムの表面形態は、その一面を後述するAFM法で観察したときに、直径10〜500nmのクレーターを100μm2当り2〜100個有していることが好ましく、他の一面のRaは0.3nm〜0
.95nmであることが好ましく、これにより、接着性が向上し、支持体との接着剤なしでの接合・積層により適した平滑度合いが付与された面を有するものとなる。
片面に直径10〜500nmのクレーターを100μm2当り2〜100個有している
ポリイミドフィルムは、支持体との接着剤なしでの接合積層において、より適正な剥離強度を有するものとなる。好ましくは、クレーターの数は100μm2当り5〜30個であ
り、クレーターの直径は30〜100nmである。クレーターの直径が10nmに満たない場合は、接着性向上効果が小さくなり、500nmを超える場合は、過度なエッチングをすることとなり、ポリイミドフィルム強度に悪影響を及ぼしたり、接着性向上にも効果が現れにくくなる。クレーターの数が2個に満たない場合は、接着性向上効果が小さくなり、100個を超える場合は、ポリイミドフィルム強度に悪影響を及ぼしかつ接着性向上にも効果が現れにくくなる。
ポリイミドフィルムの他の一面のRaが0.3nm〜0.95nmの平滑面であることは、精緻な電気回路や半導体デバイスを作製するうえで特に好ましく、例えばRaが2.0nmを超える場合には、必要な平滑度合いを有さないことになり、その上に形成された金属箔膜などに接着性、平滑性などの点で悪影響を及ぼすことがある。このような表面が平滑なポリイミドフィルムは、ポリイミド形成用ポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)として、滑材を添加したものと、添加しないか極めて少量のみ添加したものとを併用使用することで製造することができ、ポリイミドフィルム作製時のロール巻き取り性や適
宜のすべり性も付与されポリイミドフィルム製造も容易となる。
<カップリング剤層>
本発明の積層体では、前記支持体と前記ポリイミドフィルムとの間に、カップリング剤を塗布して形成されたカップリング剤層が介在しており、該カップリング剤層はカップリング剤量が異なる領域からなる所定のパターンを有するものである。ここで所定のパターンを有するとは、カップリング剤の量(付着量;詳しくは各領域におけるカップリング剤の付着総量)が多い領域と少ない領域とが所定のパターンで存在することと、カップリング剤が存在する領域とカップリング剤が存在しない領域とが所定のパターンで存在することを意味し、さらに前者は、網点を変えて所定のパターンを印刷する場合のように、微細な点の大小あるいは細線の太細により微細な被覆面積に差を設けてカップリング剤を塗布し、被覆面積の多い領域と少ない領域とを所定のパターンで存在させた態様を包含する。このようにカップリング剤量(被覆面積)の多少あるいは有無によってパターン化すれば、カップリング剤が多く介在する領域(以下「良好接着部」ともいう)でデバイス形成時に剥がれを生じさせないだけの十分な接着力を発現させつつ、カップリング剤が少量しか介在しないか或いは全く存在しない領域(以下「易剥離部」ともいう)においてポリイミドフィルムに切り込みを入れて剥離することによってデバイスを搭載したポリイミドフィルムを支持体から容易に分離することが可能になる。
カップリング剤量の有無によって所定のパターンを形成するには、カップリング剤を直接もしくは溶剤などで希釈して、支持体に部分的に塗布するようにすればよく、例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷、マイクロコンタクト印刷およびディスペンサー塗布からなる群より選ばれる1種以上の塗布方法により良好接着部とする領域のみに選択的に塗布するか、または易剥離部とする領域を予めマスク等で被覆しておき、その上から全面塗布した後、マスクを取り除くようにすればよい。さらに別の部分的塗布方法として、例えば口の字形状や田の字形状などのスタンプを用いて良好接着部とする領域のみにカップリング剤を付着させる方法や、易剥離部とする領域を囲む形状(例えば口の字形状など)のスタンプを用いて支持体にカップリング剤を付着させた後、スピンコートして易剥離部とする領域の周囲にカップリング剤を広げる方法を採用することもできる。
カップリング剤量の多少によって所定のパターンを形成するには、カップリング剤を直接もしくは溶剤などで希釈して、パターンに従い部分的に塗布量を変えて塗布するようにすればよい。塗布量は、印刷の網点のように微細な点の大小により、カップリング剤による微視的な被覆面積を変える方法が好ましい。被覆面積を変えて塗り分けるには、例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷、マイクロコンタクト印刷およびディスペンサー塗布からなる群より選ばれる1種以上の塗布方法を採用することができる。かかる印刷技術や直描技術によれば、網点密度(面積密度)の設定を変更することによりカップリング剤量が異なる領域(良好接着部と易剥離部)を形成することができる。このとき良好接着部の網点による面積密度が易剥離部の網点による面積密度に対して1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは2.5倍以上であることが好ましい。
またカップリング剤の塗布量を変えて塗り分ける別の方法としては、例えば、易剥離部とする領域を囲むとともに該領域の内部にラインを有する形状(例えば日の字形状や田の字形状など)のスタンプを用いて支持体にカップリング剤を付着させた後、支持体を適度な回転条件でスピンコートさせる方法を採用することもできる。このとき支持体の回転速度が速すぎたり、回転時間が長すぎたりすると、カップリング剤を直接付着させた領域と、それ以外の領域との塗布量の差がなくなることがあるので、適度な条件(例えば回転速度500〜1800rpmで10〜30秒程度)で回転させることが望ましい。
またカップリング剤の塗布量を変えて塗り分けるさらに別の方法としては、例えば支持体の全面にカップリング剤を印刷し、必要に応じて乾燥させた後、良好接着部とする領域にさらに重ねてカップリング剤を印刷するなど、複数回に分けて部分的に塗布量を増やしていく方法を採用することもできる。
カップリング剤を塗布した後には、通常、熱処理が施される。熱処理の際の条件は、50〜250℃が好ましく、より好ましくは75〜165℃、さらに好ましくは95〜155℃程度の温度で、好ましくは30秒以上、より好ましくは2分以上、さらに好ましくは5分以上、加熱すればよい。加熱温度が高すぎると、カップリング剤の分解ないし不活性化が生じる場合があり、低すぎると定着が不十分となる。また加熱時間が長すぎても同様の問題が生じる場合があり、加熱時間の上限は好ましくは5時間、さらに好ましくは2時間程度である。
カップリング剤層の膜厚(良好接着部における膜厚および易剥離部における膜厚)は、支持体、ポリイミドフィルムもしくは一般的な接着剤や粘着剤と比較しても極めて薄く、機械設計的な観点からは無視される程度の厚さであり、原理的には最低限、単分子層オーダーの厚さがあれば十分である。一般には400nm未満(0.4μm未満)であり、200nm以下(0.2μm以下)が好ましく、さらに実用上は100nm以下(0.1μm以下)が好ましく、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは10nm以下である。カップリング剤が極力少ないことを望むプロセスでは、5nm以下も可能である。ただし、1nm未満では、剥離強度が低下するか、部分的に付かない部分が出る虞があるため、1nm以上が好ましい。なお、カップリング剤層の膜厚は、エリプソメトリー法または塗布時のカップリング剤溶液の濃度と塗布量から計算して求めることができる。
パターン形状は、積層するデバイスの種類等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。一例を挙げると図3に示す通りであり、図3の(1)に示すように、積層体の外周部のみに良好接着部10が配置され、積層体の内部に易剥離部20が配置されているパターン(口の字形状など)や、図3の(2)に示すように、積層体の外周部とともに内部にも線状に良好接着部10が配置されたパターン(田の字形状など)が挙げられる。
カップリング剤としては、支持体とポリイミドフィルムとの間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の接着力を高める作用を有する化合物であればよく、例えば、シラン系カップリング剤、リン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。これらの中でも特に、シラン系カップリング剤が好ましく、特にアミノ基あるいはエポキシ基を持ったシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の好ましい具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリ
メトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
本発明で用いることのできるカップリング剤としては、上記のほかに、例えば、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプトプロピオン酸ブチル、3−(ジメトキシメチルシリル)−1−プロパンチオール、4−(6−メルカプトヘキサロイル)ベンジルアルコール、11−アミノ−1−ウンデセンチオール、11−メルカプトウンデシルホスホン酸、11−メルカプトウンデシルトリフルオロ酢酸、2,2’−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、11−メルカプトウンデシルトリ(エチレングリコール)、(1−メルカプトウンデイック−11−イル)テトラ(エチレングリコール)、1−(メチルカルボキシ)ウンデック−11−イル)ヘキサ(エチレングリコール)、ヒドロキシウンデシルジスルフィド、カルボキシウンデシルジスルフィド、ヒドロキシヘキサドデシルジスルフィド、カルボキシヘキサデシルジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、n−プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ドデシルリクロロシラン、ドデシルトリメトキシラン、エチルトリクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、トリアセトキシメチルシラン、トリクロロヘキシルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクタデシルシラン、トリクロロプロピルシラン、トリクロロテトラデシルシラン、トリメトキシプロピルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリクロロ−2−シアノエチルシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2,3−ブタンジチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、シクロヘキサンチオール、シクロペンタンチオール、1−デカンチオール、1−ドデカンチオール、3−メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸エチル、1−ヘプタンチオール、1−ヘキサデカンチオール、ヘキシルメルカプタン、イソアミルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸−3−メトキシブチル、2−メチル−1−ブタンチオール、1−オクタデカンチオール、1−オクタンチオール、1−ペンタデカンチオール、1−ペンタンチオール、1−プロパンチオール、1−テトラデカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−(12−メルカプトドデシル)イミダゾール、1−(11−メルカプトウンデシル)イミダゾール、1−
(10−メルカプトデシル)イミダゾール、1−(16−メルカプトヘキサデシル)イミダゾール、1−(17−メルカプトヘプタデシル)イミダゾール、1−(15−メルカプト)ドデカン酸、1−(11−メルカプト)ウンデカン酸、1−(10−メルカプト)デカン酸などを使用することもできる。
特に好ましいカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
<加圧加熱処理>
本発明の積層体は、カップリング剤層を設けた前記支持体と前記ポリイミドフィルムとを重ね合わせて加圧加熱処理することにより作製される。
加圧加熱処理は、例えば、大気圧雰囲気下あるいは真空中で、プレス、ラミネート、ロールラミネート等を、加熱しながら行えばよい。またフレキシブルなバッグに入れた状態で加圧加熱する方法も応用できる。生産性の向上や、高い生産性によりもたらされる低加工コスト化の観点からは、大気雰囲気下でのプレスまたはロールラミネートが好ましく、特にロールを用いて行う方法(ロールラミネート等)が好ましい。
加圧加熱処理の際の圧力としては、1MPa〜20MPaが好ましく、さらに好ましくは3MPa〜10MPaである。圧力が高すぎると、支持体を破損する虞があり、圧力が低すぎると、密着しない部分が生じ、接着が不充分になる場合がある。加圧加熱処理の際の温度としては、150℃〜400℃、さらに好ましくは250℃〜350℃である。温度が高すぎると、ポリイミドフィルムにダメージを与える虞があり、温度が低すぎると、密着力が弱くなる傾向がある。
また加圧加熱処理は、上述のように大気圧雰囲気中で行うこともできるが、全面の安定した剥離強度を得る為には、真空下で行うことが好ましい。このとき真空度は、通常の油回転ポンプによる真空度で充分であり、10Torr以下程度あれば充分である。
加圧加熱処理に使用することができる装置としては、真空中でのプレスを行うには、例えば井元製作所製の「11FD」等を使用でき、真空中でのロール式のフィルムラミネーターあるいは真空にした後に薄いゴム膜によりガラス全面に一度に圧力を加えるフィルムラミネーター等の真空ラミネートを行うには、例えば名機製作所製の「MVLP」等を使用できる。
前記加圧加熱処理は加圧プロセスと加熱プロセスとに分離して行うことが可能である。この場合、まず、比較的低温(例えば120℃未満、より好ましくは95℃以下の温度)でポリイミドフィルムと支持体とを加圧(好ましくは0.2〜50MPa程度)して両者の密着確保し、その後、低圧(好ましくは0.2MPa未満、より好ましくは0.1MPa以下)もしくは常圧にて比較的高温(例えば120℃以上、より好ましくは120〜250℃、さらに好ましくは150〜230℃)で加熱することにより、密着界面の化学反応が促進されてポリイミドフィルムと支持体とを積層できる。
なお一般に、支持体とポリイミドフィルムとの積層体を得る方法としては、支持体の上にポリイミドワニス(上述したポリアミド酸溶液)を直接塗布しイミド化させて製膜する方法も考えられるが、本発明では、ポリイミドをフィルム化した後、支持体に積層する。これは、ポリアミド酸溶液を支持体上で加熱してイミド化すると、例えば、支持体にもよるが同心円状の膜厚分布ができやすくなったり、ポリイミドフィルムの表と裏の状態(熱の伝わり方等)が異なるために反りや支持体からの浮きがあるフィルムになりやすいのに対して、予めフィルム化しておけば、これらの問題を回避できるからである。さらに、支持体にフィルムを重ね合わせるようにすることで、後述する加圧加熱処理を行い得る範囲において、重ね合わせる前にフィルムにデバイス(回路等)を形成しておくことも可能になる。
<応用>
本発明の積層体の製造方法においては、応用例として、必要に応じて、積層体中のポリイミドフィルムまたは積層体全体の膜厚方向に貫通する孔部分を設けることにより、非ポリイミド部分を設けてもよい。該部分としては、特に限定はされるものではないが、好ましくは、Cu、Al、Ag、Auなどの金属を主たる成分としている金属で充填されているもの、機械式のドリルやレーザー穴あけによって形成された空孔、および、空孔の壁面に金属膜がスパッタリングや無電解めっきシード層形成などにより形成されているもの等が挙げられる。
(積層体)
本発明の積層体は、支持体とポリイミドフィルムとの間にカップリング剤層が介在し、該カップリング剤層が、カップリング剤量が異なる所定のパターンを有している。これにより、デバイス作製時の高温プロセスにおいても剥がれることなく、しかもポリイミドフィルム上にデバイスを作製した後には容易に支持体からポリイミドフィルムを剥離することができる積層体となる。本発明の積層体は、本発明の積層体の製造方法により得ることができ、支持体、ポリイミドフィルム、カップリング剤層等の詳細については、上述した通りである。
本発明において、支持体とポリイミドフィルムとの間の180度剥離強度は、この上に積層するデバイスの種類やプロセスに応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、少なくとも、前記易剥離部の180度剥離強度は、良好接着部の180度剥離強度の1/2以下であることが好ましく、より好ましくは、1/5以下である。一般論としては、良好接着部の180度剥離強度は、0.5N/cm以上、5N/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.8N/cm以上、2N/cm以下である。前記易剥離部の180度剥離強度は、0.01N/cm以上、0.4N/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.01N/cm以上、0.2N/cm以下である。ここで易剥離部の180度剥離強度の下限は、ポリイミドフィルムの曲げエネルギーなども加味された値となっている。本発明における180度剥離強度は、実施例で後述する方法で測定することができる。また、実施例で後述する耐熱剥離強度、耐酸剥離強度および耐アルカリ剥離強度についても、それぞれ0.5N/cm以上、5N/cm以下であることが望ましいが、プロセスによってこの要請の数字は変わることがありえる。
(デバイス構造体の製造方法)
本発明のデバイス構造体の製造方法は、支持体とポリイミドフィルムとを有する本発明の積層体を用いて、基材であるポリイミドフィルム上にデバイスが形成されてなる構造体を製造する方法である。
本発明のデバイス構造体の製造方法においては、本発明の積層体のポリイミドフィルム上にデバイスを形成した後、前記積層体の易剥離部のポリイミドフィルムに切り込みを入れて該ポリイミドフィルムを前記支持体から剥離する。
前記積層体の易剥離部のポリイミドフィルムに切り込みを入れる方法としては、刃物などの切削具によってポリイミドフィルムを切断する方法や、レーザーと積層体を相対的にスキャンさせることによりポリイミドフィルムを切断する方法、ウォータージェットと積層体を相対的にスキャンさせることによりポリイミドフィルムを切断する方法、半導体チップのダイシング装置により若干ガラス層まで切り込みつつポリイミドフィルムを切断する方法などがあるが、特に方法は限定されるものではない。例えば、上述した方法を採用するにあたり、切削具に超音波を重畳させたり、往復動作や上下動作などを付け加えて切削性能を向上させる等の手法を適宜採用することもできる。
前記積層体の易剥離部のポリイミドフィルムに切り込みを入れるにあたり、切り込みを入れる位置は、少なくとも易剥離部の一部を含んでいればよく、基本的にはパターンに従って切断するのが通常である。ただし、正確にパターンに従い良好接着部と易剥離部の境で切断しようとすると誤差も生じることから、パターンより若干易剥離部側に切り込むことが生産性を上げる点で好ましい。また、剥離させるまでに勝手に剥離してしまうことを防ぐうえでは、該パターンより若干良好接着部に切り込む生産方式もありえる。更には、良好接着部の巾を狭く設定するようにすれば、剥離時に良好接着部に残存するポリイミドフィルムを減らすことができ、フィルムの利用効率が向上し、該積層体面積に対するデバイス面積が多くなり、生産性が向上する。更には、積層体の外周部の一部に易剥離部を設けるようにしておき、該外周部を切断位置として、実際には切り込みを入れずに剥がす方式も、本発明の極端な一形式となりえる。
ポリイミドフィルムを支持体から剥離する方法としては、特に制限されないが、ピンセットなどで端から捲る方法、デバイス付きのポリイミドフィルムの切り込み部分の1辺に粘着テープを貼着させた後にそのテープ部分から捲る方法、デバイス付きのポリイミドフィルムの切り込み部分の1辺を真空吸着した後にその部分から捲る方法等が採用できる。なお、剥離の際に、デバイス付きのポリイミドフィルムの切り込み部分に曲率が小さい曲がりが生じると、その部分のデバイスに応力が加わることになりデバイスを破壊する虞があるため、極力曲率の大きな状態で剥がすことが望ましい。例えば、曲率の大きなロールに巻き取りながら捲るか、あるいは曲率の大きなロールが剥離部分に位置するような構成の機械を使って捲ることが望ましい。
なお、本発明のデバイス構造体(デバイス付きのポリイミドフィルム)は、最終製品とするまでに補強部材を固定しておくことができる。この場合、支持体から剥離した後に補強部材を固定してもよいが、補強部材を固定させた後にポリイミドフィルムに切り込みを入れて支持体から剥離するか、もしくはポリイミドフィルムに切り込みを入れた後に該切り込み部分に補強部材を固定させ、その後剥離することが好ましい。剥離する前に補強部材を固定させる場合には、ポリイミドフィルムおよび補強部材の弾性率や膜厚を考慮することにより、デバイス部分に極力応力が加わりにくい構成とすることが可能となる。例えば、本発明の積層体の易剥離部のみに補強部材として粘着剤付きPETフィルムを貼り付けておき、この粘着剤付きPETフィルムが貼りついた状態で易剥離部に切り込みを入れてデバイス付きのポリイミドフィルムを剥がすようにしてもよいし、本発明の積層体全体に補強部材として粘着剤付きPETフィルムを貼り付けておき、該積層体の易剥離部に切り込みを入れて粘着剤付きPETフィルムが貼りついた状態でデバイス付きのポリイミドフィルムを剥がすようにしてもよい。
剥離する前に補強部材を固定させる場合には、補強部材としては、高分子フィルム、極薄ガラス、SUSなどが好ましく用いられる。高分子フィルムには、デバイスの軽量性が保たれる利点があり、さらに透明性、各種加工性、割れ難さも利点として挙げられる。極薄ガラスには、ガスバリア性、対薬品安定性、透明性が得られるという利点がある。SU
Sには、電気的にシールドできる点、割れ難さといった利点がある。なお、高分子フィルムとしては、既に高温を必要とするプロセスを通過した後であるため、耐熱性の制約は少なく、さまざまな高分子フィルムを選択しうる。これら補強部材の固定は、接着あるいは粘着により行うことができる。
本発明において、基材であるポリイミドフィルム上にデバイスを形成する方法は、従来公知の方法に従い適宜行えばよい。
本発明におけるデバイスとしては、特に制限はなく、例えば、電子回路用配線のみ、電気抵抗のほか、コイル、コンデンサーといった受動デバイス、半導体素子などを含む能動デバイス、およびそれらを組み合わせてなる電子回路システムがある。半導体素子としては、太陽電池、薄膜トランジスター、MEMS素子、センサー、論理回路等が挙げられる。
例えば、本発明の積層体を使用したフィルム状太陽電池は、本発明の積層体のポリイミドフィルムを基材とし、該基材上に半導体からなる光電変換層を含む積層体Xが形成されてなる。この積層体Xは、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層を必須の構成として有し、通常、得られた電気エネルギーを取出すための電極層などをさらに有するものである。
以下、フィルム状太陽電池を構成するよう形成される上記積層体Xの典型例として、光電変換層を一対の電極層で挟んでなる積層構造を説明する。しかし、光電変換層を何層か積み重ねた構成なども、PVDやCVDでの作製ならば、本発明の太陽電池といえる。勿論、積層体Xの積層構造は、以下に記載される態様に限定されず、従来技術の太陽電池が有する積層体の構成を適宜参照してよく、保護層や公知補助手段を付加してもよいものである。
前記一対の電極層における一方の電極層(以下、裏面電極層とも記載する)は、好ましくは、ポリイミドフィルム基材の一主面上に形成される。裏面電極層は従来公知の方法、例えばCVD(ケミカル・ベーパー・デポジション)法やスパッタ法によって導電性無機材料を積層することによって得られる。導電性無機材料としては、Al、Au、Ag、Cu、Ni、ステンレス鋼などの金属薄膜や、In23、SnO2、ZnO、Cd2SnO4
、ITO(In23にSnを添加したもの)などの酸化物半導体系の導電材料などが挙げられる。好ましくは、裏面電極層は金属薄膜であるのがよい。裏面電極層の厚さは特に限定はなく、通常、30〜1000nm程度である。また、一部の電極引き出しで、Agペーストといった真空を利用しない膜形成法を採用してもよい。
太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層は、半導体からなる層であり、I族元素とIII族元素とVI族元素とからなる化合物半導体薄膜(カルコパイライト構
造半導体薄膜)であるCuInSe2(CIS)膜、またはこれにGaを固溶したCu(
In,Ga)Se2(CIGS)膜(以下、両者をまとめてCIS系膜ともいう)、シリ
コン系半導体からなる層である。シリコン系半導体には、薄膜シリコン層、無定形シリコン層、多結晶シリコン層などが挙げられる。光電変換層は、異なる半導体からなる複数の層を有する積層体であってもよい。また、色素を用いた光電変換層であってもよい。さらに導電性ポリマーやフラーレンなどの有機化合物よる有機薄膜半導体を用いるものでもよい。
薄膜シリコン層は、プラズマCVD法、熱CVD法、スパッタリング法、クラスタイオンビーム法、蒸着法などによって得られるシリコン層である。
無定形シリコン層は、実質的に結晶性をもたないシリコンからなる層である。実質的に結晶性をもたないことは、X線を照射しても回折ピークを与えないことによって確かめることができる。無定形シリコン層を得る手段は公知であり、そのような手段には、例えば
、プラズマCVD法や熱CVD法などが含まれる。
多結晶シリコン層は、シリコンからなる微小結晶の集合体からなる層である。上述の無定形シリコン層とは、X線の照射により回折ピークを与えることによって区別される。多結晶シリコン層を得る手段は公知であり、そのような手段には、無定形シリコンを熱処理する手段などが含まれる。
光電変換層は、シリコン系半導体層に限られず、例えば、厚膜半導体層であってもよい。厚膜半導体層とは、酸化チタン、酸化亜鉛、ヨウ化銅などのペーストから形成される半導体層である。
半導体材料を光電変換層として構成する手段としては、公知の方法を適宜採用すればよい。例えば、200〜500℃の温度下で、SiH4にフォスフィン(PH3)を添加したガス中で高周波プラズマ放電を行うことにより約20nmのa−Si(n層)を形成し、続いてSiH4ガスのみで約500nmのa−Si(i層)を形成し、続いてSiH4にジボラン(B26)を添加して約10nmのp−Si(p層)を形成することができる。
光電変換層を挟む一対の電極層のうち、ポリイミドフィルム基材とは反対側に設けられる電極層(以下、集電電極層ともいう)は、導電フィラーとバインダー樹脂を含む導電性ペーストを固めてなる電極層であってもよいし、透明電極層であってもよい。透明電極層としては、In23、SnO2、ZnO、Cd2SnO4、ITO(In23にSnを添加
したもの)などの酸化物半導体系の材料を好ましく用いることができる。
かくして、本発明の好適な態様例である、透明電極/p型a−Si/i型a−Si/n型a−Si/金属電極/ポリイミドフィルムの順で積層されてなるフィルム状太陽電池が得られる。また、p層をa−Si、n層を多結晶シリコンとして、両者の間に薄いアンドープa−Si層を挿入した構造にしてもよい。特に、a−Si/多結晶シリコン系のハイブリッド型にすると、太陽光スペクトルに対する感度が改善される。太陽電池の作製においては、上記構成に加えて、反射防止層、表面保護層などを付加せしめてもよい。
前記薄膜トランジスター(TFT)は、トランジスターを構成する半導体層および素子を構成する絶縁膜、電極、保護絶縁膜などが、薄膜を堆積させて作製されているものをいう。通常シリコンウエハのシリコンを半導体層として使用するものとは区別する。通常薄膜を真空蒸着などのPVD(物理的蒸着)、プラズマCVDなどのCVD(化学的蒸着)といった真空を利用する手法によって作製する。このため、シリコンウエハのように単結晶ではないものを含む。Siを使っても、微結晶シリコンTFT、高温ポリシリコンTFT、低温ポリシリコンTFT、そして酸化物半導体TFT、有機半導体TFTなどを含む。
前記MEMS素子とは、MEMS技術を利用して作製した物を意味し、インクジェットプリンターヘッド、走査型プローブ顕微鏡用プローブ、LSIプローバー用コンタクタ、マスクレス露光用光空間変調器、光集積化素子、赤外線センサー、流量センサー、加速度センサー、MEMSジャイロセンサー、RF MEMS スイッチ、体内・体外血圧センサーそして、グレーティングライトバルブ、デジタルマイクロミラーデバイスなどを使ったビデオプロジェクターなどを含む。
前記センサーとしては、ストレインゲージ(ひずみゲージ)、ロードセル、半導体圧力センサー、光センサー、光電素子、フォトダイオード、磁気センサー、接触式温度センサー、サーミスタ温度センサー、抵抗測温体温度センサー、熱電対温度センサー、非接触式温度センサー、放射温度計、マイクロフォン、イオン濃度センサー、ガス濃度センサー、変位センサー、ポテンショメータ、差動トランス変位センサー、回転角センサー、リニアエンコーダ、タコジェネレータ、ロータリエンコーダ、光位置センサー(PSD)、超音波距離計、静電容量変位計、レーザードップラー振動速度計、レーザードップラー流速計、
ジャイロセンサー、加速度センサー、地震センサー、一次元画像・リニアイメージセンサー、二次元画像・CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、液・漏液センサー(リークセンサー)、液検知センサー(レベルセンサー)、硬度センサー、電場センサー、電流センサー、電圧センサー、電力センサー、赤外線センサー、放射線センサー、湿度センサー、においセンサー、流量センサー、傾斜センサー、振動センサー、時間センサー、およびこれらのセンサーを複合した複合センサーや、これらのセンサーで検出した値から何らかの計算式に基づき別の物理量や感性値などを出力するセンサーなどを含む。
前記論理回路としては、NAND、ORを基本とした論理回路および、クロックにより、同期が取られたものも含む。
以上に詳述した本発明の積層体の製造方法および本発明のデバイス構造体の製造方法について、各々の一実施態様を図面を用いて説明すると、図1、図2に示す通りである。
図1は、本発明の積層体の製造方法の一実施態様を示す模式図であり、(1)はガラス基板1を示し、(2)はガラス基板1上にカップリング剤の量を変えて塗布乾燥することによりパターン化したカップリング剤層2を形成した段階を示している。ここでカップリング剤層2のうち、カップリング剤量が少ない領域が易剥離部3となり、カップリング剤量が多い領域が良好接着部4となる。(3)はポリイミドフィルム5を貼り付けした段階を示し、(4)は易剥離部3上のポリイミドフィルム5’に切り込みを入れガラス基板1から剥離した段階を示す。
図2は、本発明のデバイス構造体の製造方法の一実施態様を示す模式図であり、(1)はガラス基板1を示し、(2)はガラス基板1上にカップリング剤の量を変えて塗布乾燥することによりパターン化したカップリング剤層2を形成した段階を示している。ここでカップリング剤層2のうち、カップリング剤量が少ない領域が易剥離部3となり、カップリング剤量が多い領域が良好接着部4となる。(3)はポリイミドフィルム5を貼り付けした段階を示し、(4)はその後に易剥離部3上のポリイミドフィルム5表面へデバイス6を作製した段階を示し、(5)は易剥離部3上のポリイミドフィルム5’に切り込みを入れガラス基板1から剥離した段階を示す。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は下記の通りである。
<ポリアミド酸溶液の還元粘度>
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液についてウベローデ型の粘度管を用いて30℃で測定した。
<ポリイミドフィルムの厚さ>
ポリイミドフィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用いて測定した。
<ポリイミドフィルムの厚さ斑>
ポリイミドフィルムの厚さ斑は、マイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用いて、被測定フィルムから無作為に10点を抽出してフィルム厚を測定し、得られた10個の値の最大値(最大フィルム厚)、最小値(最小フィルム厚)、および平均値(平均フィルム厚)から、下記式に基づき算出した。
フィルムの厚さ斑(%)=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
<ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張強度および引張破断伸度>
測定対象とするポリイミドフィルムから、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)がそれぞれ100mm×10mmである短冊状の試験片を切り出し、引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ(登録商標);機種名AG−5000A」)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張強度および引張破断伸度を測定した。
<ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)>
測定対象とするポリイミドフィルムの流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)について、下記条件にて伸縮率を測定し、15℃の間隔(30℃〜45℃、45℃〜60℃、…)での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行って、MD方向およびTD方向で測定した全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製「TMA4000S」
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/分
雰囲気 ; アルゴン
初荷重 ; 34.5g/mm2
<ガラス転移温度>
DSC示差熱分析装置を用いて、室温から500℃までの範囲での構造変化に起因する吸放熱の有無からポリイミドフィルムのガラス転移温度を求めた。いずれのポリイミドフィルムにおいてもガラス転移温度は観察されなかった。
<ポリイミドフィルムの評価:滑り性>
ポリイミドフィルム2枚を、異なる面同士で重ね合わせ(すなわち、同じ面同士ではなく、フィルムロールとして巻いた場合の巻き外面と巻き内面とを重ね合わせ)、重ねたポリイミドフィルムを親指と人差し指で挟み、軽く摺り合わせたときに、ポリイミドフィルムとポリイミドフィルムが滑る場合を「○」又は「良好」、滑らない場合を「×」又は「不良」と評価した。なお、巻き外面同士あるいは巻き内面同士では滑らない場合もあるが、これは評価項目とはしない。
<ポリイミドフィルムの評価:ロール巻取り性>
長尺状のポリイミドフィルムを巻取りロ−ル(心棒の外径:15cm)に2m/分の速度で巻取る際に、皺が生じず円滑に巻取りが可能である場合を「○」、部分的に皺が発生する場合を「△」、皺が発生したり、ロ−ルに巻きついて円滑に巻取りができない場合を「×」と評価した。
<ポリイミドフィルムの評価:反り度>
得られたポリイミドフィルムから、50mm×50mmの正方形を切り出し、フィルム試験片とした。フィルム試験片を切り出すに際しては、正方形の各辺がフィルムの長手方向および幅方向と一致するようにし、かつ正方形の中心がフィルムの幅方向において(a)中央、(b)左端から全幅長の1/3に当たる点、(c)右端から全幅長の1/3に当たる点、に位置するように、3箇所から切り出した。
上記フィルム試験片(a)〜(c)をそれぞれ平面上に凹状となるように静置し、四隅の平面からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)を測定して、その平均値を反り量(mm)とした。この反り量を試験片の各頂点から中心までの距離(35.36mm)で除して百分率(%)で表わしたもの(100×(反り量(mm))/35.36)を反
り度(%)とし、フィルム試験片(a)〜(c)の反り度を平均して求めた。
<ポリイミドフィルムの評価:カール度>
ポリイミドフィルムの反り度の測定に用いたのと同様のフィルム試験片(a)〜(c)に250℃のドライオーブンにて30分間熱処理を施し、その後、熱処理後のフィルムについて上記と同様に反り度を測定し、熱処理後のフィルムの反り度(%)をカール度とした。
<表面処理ポリイミドフィルム表面のクレーター数>
以下のAFM法により測定した。すなわち、ポリイミドフィルム表面のクレーター数の計測は、表面物性評価機能付走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製「SPA300/nanonavi」)を用いて行った。計測はDFMモードで行い、カンチレバーはエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製「DF3」又は「DF20」を使用し、スキャナーはエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製「FS−20A」を使用し、走査範囲は10μm四方とし、測定分解能は1024×512ピクセルとした。計測像について装置付属のソフトウエアで二次傾き補正を行った後、クレーター部を観測した。図7に示すように、クレーターは平坦部から盛り上がった凸状部の中心が窪んだ形状をしている。よって、盛り上がりの最大高さの位置における断面の直径(最大高さ間の距離)をクレーター部の直径とした(図7において、(1)は、ポリイミドフィルムの凹凸の高さを色の濃淡で表した図(白が高い位置、黒が低い位置)であり、(2)は、(1)の白線部のポリイミドフィルムの凹凸の断面表示例であり、(3)はクレーター部の直径を示す)。
クレーター数は、得られた10μm四方の計測像(AFM像)を画像処理ソフト「ImageJ」にて粒子解析することにより測定した。なお「ImageJ」はアメリカ国立衛生研究所(NIH)で開発されたオープンソースでパブリックドメインの画像処理ソフトウェアである。詳しくは、まず、ある閾値によってそれより位置の高い部分と低い部分の2つに分別する2値化操作を行った(図8の(2)、(3)参照)。このとき閾値としては、AFM像の高さ方向の情報について分布の最大点を基準に、そこから使用した滑材の粒径の12%高い位置(滑材直径が80nmの場合10nm高い位置)を閾値とした。この2値化により白黒のみの画像(図8の(3)参照)を得、この中の円環形状の部分の数を画像処理によって求めた。すなわち、円環形状の認識は、取り囲まれた円環内を塗りつぶす操作を行い、円環内を塗りつぶした画像(図8の(4)参照)と塗りつぶさない画像を反転したもの(図8の(5)参照)との画像論理積(図8の(6)参照)を求めることで、円環内のみが抽出できる(図8において、(1)は、ポリイミドフィルムの凹凸の高さを色の濃淡で表した図(白が高い位置、黒が低い位置)であり、(2)は、(1)の白線部のポリイミドフィルムの凹凸の断面表示例(直線は閾値)であり、(3)は閾値にて2値化した例であり、(4)は、円環部を塗りつぶした例であり、(5)は、(3)を
反転した例であり、(6)は、(4)と(5)の論理積である)。この操作で得た画像論理
積の画像から直径が10〜500nmのクレーターを数えてクレーター数を算出した。そして任意の3箇所について計測を行ってクレーター数を求め、それらの平均値を採用した。
<カップリング剤層の厚さ>
カップリング剤層(SC層)の厚さ(nm)は、別途、洗浄したSiウエハ上に各実施例、比較例と同様の方法でカップリング剤を塗布乾燥させて得たサンプルを作製し、このSiウエハ上に形成したカップリング剤層の膜厚について、エリプソメトリー法にて、分光エリプソメータ(Photal社製「FE−5000」)を用いて下記の条件で測定した。
反射角度範囲 ; 45°から80°
波長範囲 ; 250nmから800nm
波長分解能 ; 1.25nm
スポット径 ; 1mm
tanΨ ; 測定精度±0.01
cosΔ ; 測定精度±0.01
測定 ; 方式回転検光子法
偏向子角度 ; 45°
入射角度 ; 70°固定
検光子 ; 11.25°刻みで0〜360°
波長 ; 250nm〜800nm
非線形最小2乗法によるフィッティングで膜厚を算出した。このとき、モデルとしては、Air/薄膜/Siのモデルで、
n=C3/λ4+C2/λ2+C1
k=C6/λ4+C5/λ2+C4
の式で波長依存C1〜C6を求めた。
<剥離強度>
剥離強度(180度剥離強度)は、JIS C6471に記載の180度剥離法に従い、下記条件で測定した。なお、この測定に供するサンプルには、100mm×1000mmの支持体(ガラス)に対してポリイミドフィルムのサイズを110mm×2000mmに設計することにより片側にポリイミドフィルムの未接着部分を設け、この部分を“つかみしろ”とした。
装置名 ; 島津製作所社製「オートグラフ(登録商標)AG−IS」
測定温度 ; 室温
剥離速度 ; 50mm/分
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 1cm
(1)良好接着部の剥離強度
良好接着部の剥離強度の測定には、インクジェット印刷およびグラビア印刷の場合には、全面が良好接着部となるようにしたこと(全面を良好接着部の網点面積密度で印刷するようにしたこと)以外は各実施例・比較例と同様にして別途作製した積層体を用いた。口の字形状のスタンプを用いた場合や田の字形状のスタンプを用いた場合には、字画に相当するシランカップリング剤が付着した部分(良好接着部)の周囲に切り込みを入れて当該部分のみを剥がすことにより、良好接着部の剥離強度を測定した。
(2)易剥離部の剥離強度
易剥離部の剥離強度の測定には、インクジェット印刷およびグラビア印刷の場合には、全面が易剥離部となるようにしたこと(全面を易剥離部の網点面積密度で印刷するようにしたこと)以外は各実施例・比較例と同様にして別途作製した積層体を用いた。口の字形状のスタンプを用いた場合や田の字形状のスタンプを用いた場合には、字画に相当する部分を避けてシランカップリング剤が付着していない部分(易剥離部)の周囲に切り込みを入れて当該部分のみを剥がすことにより、易剥離部の剥離強度を測定した。
(3)耐熱剥離強度
耐熱剥離強度の測定は、各実施例・比較例の方法で得た積層体を窒素雰囲気としたマッフル炉に入れ、これを昇温速度10℃/分で400℃まで加熱し、そのまま400℃で1時間保持した後、マッフル炉の扉を開放して大気中で放冷することにより得た積層体サンプルを用いて行った。
(4)耐酸性剥離強度
耐酸性剥離強度の測定は、各実施例・比較例の方法で得た積層体を18質量%の塩酸溶液中に室温(23℃)にて30分間浸漬し、3回水洗した後に風乾することにより得た積層体サンプルを用いて行った。
(5)耐アルカリ性剥離強度
耐アルカリ性剥離強度の測定は、各実施例・比較例の方法で得た積層体を2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(室温(23℃))中に30分間浸漬し、3回水洗した後に風乾することにより得た積層体サンプルを用いて行った。
<剥離後のフィルム反り度(易剥離部)>
積層体の易剥離部に切り込みを入れてポリイミドフィルムを支持体から剥離し、剥離したポリイミドフィルムの中央部分から50mm×50mmの正方形を切り出してフィルム試験片とし、該試験片の反り度(%)を上記ポリイミドフィルムの反り度と同様にして測定し、剥離後のフィルム反り度とした。
<ポリイミドフィルムの製造>
〔製造例1−1〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、N、N−ジメチルアセトアミド8000質量部、ピロメリット酸無水物(PMDA)530質量部、パラフェニレンジアミン(PDA)108質量部と、オルソジアニリン(ODA)204質量部、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)をシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量に対して0.1質量%になるように加え、温度を20℃に保ったまま24時間攪拌を行い、表1に示す還元粘度を有するポリアミド酸溶液V1を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
上記で得られたポリアミド酸溶液V1を、スリットダイを用いて幅1050mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が25μmとなるように塗布し、105℃にて20分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅920mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
次いで、得られた自己支持性ポリアミド酸フィルムをピンテンターによって、150℃〜420℃の温度領域で段階的に昇温させて(1段目150℃×5分、2段目250℃×10分、3段目420℃×5分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF1(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF1の特性を表1に示す。
〔製造例1−2〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)398質量部と、パラフェニレンジアミン(PDA)147質量部とを、4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解させて加え、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)をシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量に対して0.15質量%になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V2を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
ポリアミド酸溶液V1に代えて、上記で得られたポリアミド酸溶液V2を用い、熱処理を200℃〜480℃の温度領域で段階的に昇温させて(1段目200℃×5分、2段目320℃×10分、3段目480℃×5分間)とした以外は製造例1−1と同様に操作し、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF2を得た。得られたフィルムF2の特性を表1に示す。
〔製造例1−3〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)223質量部と、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部とを加えて完全に溶解させ、次いで、ピロメリット酸二無水物(PMDA)217質量部とともに、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)とをシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量にて0.12質量%)になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V3を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
ポリアミド酸溶液V1に代えて、上記で得られたポリアミド酸溶液V3を用いたこと以外、製造例1と同様にして、長尺ポリイミドフィルムF3を得た。得られたフィルムF3の特性を表1に示す。
<プラズマ処理フィルムの製造>
〔製造例2−1〕
製造例1−1で得られたポリイミドフィルムF1の片面に真空プラズマ処理を施して、プラズマ処理ポリイミドフィルムP1を得た。得られたフィルムP1の特性を表2に示す。
真空プラズマ処理としては、平行平板型の電極を使ったRIEモード、RFプラズマによる処理を採用し、真空チャンバー内に窒素ガスを導入し、13.54MHzの高周波電力を導入するようにし、処理時間は3分間とした。
〔製造例2−2〕
ポリイミドフィルムF1に代えて製造例1−2で得られたポリイミドフィルムF2を用いたこと以外は、製造例2−1と同様にして、プラズマ処理ポリイミドフィルムP2を得た。得られたフィルムP2の特性を表2に示す。
〔製造例2−3〕
ポリイミドフィルムF1に代えて製造例1−3で得られたポリイミドフィルムF3を用いたこと以外は、製造例2−1と同様にして、プラズマ処理ポリイミドフィルムP3を得
た。得られたフィルムP3の特性を表2に示す。
〔製造例2−4〕
真空プラズマ処理において真空チャンバー内のガスを酸素ガスに変更したこと以外は、製造例2−3と同様にして、プラズマ処理ポリイミドフィルムP4を得た。得られたフィルムP4の特性を表2に示す。
〔製造例2−5〕
真空プラズマ処理において真空チャンバー内のガスをアルゴンガスに変更したこと以外は、製造例2−3と同様にして、プラズマ処理ポリイミドフィルムP5を得た。得られたフィルムP5の特性を表2に示す。
<プラズマ処理・酸処理フィルムの製造>
〔製造例3−1〕
製造例2−1にて得られたプラズマ処理フィルムP1を、10%HF水溶液に1分間浸漬し、十分に水洗した後、120℃にて10分間乾燥し、プラズマ処理・酸処理ポリイミドフィルムT1を得た。得られたフィルムT1の特性を表3に示す。なお、クレーター数は、フィルム表面100μm2当りの直径10nm〜500nmのクレーターの平均数値
である。
〔製造例3−2〜3−5〕
プラズマ処理フィルムP1に代えて製造例2−2〜製造例2−5で得られたポリイミドフィルムP2〜P5を用いたこと以外は、製造例3−1と同様にして、プラズマ処理・酸処理ポリイミドフィルムT2〜T5を得た。得られたフィルムT2〜T5の特性を表3に示す。なお、クレーター数は、フィルム表面100μm2当りの直径10nm〜500n
mのクレーターの平均数値である。
(実施例1−1〜1−5)
シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−603」)1質量部と、イソプロピルアルコール99質量部とからなる溶液をインクとし、ドロップオンデマンド型インクジェットプリンター(Xaar社製;1001式プリントヘッド使用)を用いて、支持体とするガラス(コーニング社製「コーニングEAGLE XG」;100mm×100mm×0.7mm厚)の上に、300lpiのスクリーンパターンにて網点面積密度80%(良好接着部)と、300lpiのスクリーンパターンにて網点面積密度10%(易剥離部)のグレイスケールを印刷した。そして印刷後のガラス基板を100℃のクリーンオーブンに入れ、30分間加熱して、カップリング剤層を形成した。
次に、得られたカップリング剤処理済支持体のカップリング剤層の上に、各実施例ごと
にそれぞれプラズマ処理フィルムP1〜P5を、ラミネーター(クライムプロダクツ社製)を用いて仮ラミネートした。ラミネート条件は、ガラス温度100℃、ラミネート時のロール圧力5kg/cm2、ロール速度5mm/秒とした。仮ラミネート後のポリイミド
フィルムはフィルムの自重では剥がれないが、フィルム端部を引っ掻くと簡単に剥がれる程度の接着性であった。その後、得られた仮ラミネート積層体をクリーンオーブンに入れ、200℃にて30分間加熱した後、室温まで放冷して、本発明の積層体L1〜L5を得た。得られた積層体の特性を表4に示す。
(実施例1−6〜1−10)
シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBE−603」)1.5質量部と、イソプロピルアルコール90質量部と、ミリスチン酸イソプロピル8.5質量部とからなる溶液をインクとし、枚葉式グラビアオフセット印刷機を用いて、支持体とするガラス(コーニング社製「コーニングEAGLE XG」;100mm×100mm×0.7mm厚)の上に、250lpiのスクリーンパターンにて網点面積密度70%(良好接着部)と、250lpiのスクリーンパターンにて網点面積密度5%(易剥離部)のグレイスケールを印刷した。そして印刷後のガラス基板を100℃のクリーンオーブンに入れ、30分間加熱して、カップリング剤層を形成した。
次に、得られたカップリング剤処理済支持体のカップリング剤層の上に、各実施例ごとにそれぞれプラズマ処理フィルムP1〜P5を、ラミネーター(クライムプロダクツ社製)を用いて仮ラミネートした。ラミネート条件は、ガラス温度100℃、ラミネート時のロール圧力5kg/cm2、ロール速度5mm/秒とした。仮ラミネート後のポリイミド
フィルムはフィルムの自重では剥がれないが、フィルム端部を引っ掻くと簡単に剥がれる程度の接着性であった。その後、得られた仮ラミネート積層体をクリーンオーブンに入れ、200℃にて30分間加熱した後、室温まで放冷して、本発明の積層体L6〜L10を得た。得られた積層体の特性を表4に示す。
(実施例2−1)
シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシランをイソプロピルアルコールによって0.5質量%に希釈したカップリング剤希釈液を調製し、内側が1辺80mmの正方形、外側の1辺120mmの正方形で囲まれた部分にシリコーンゴムを有する口の字形状のスタンプ(図3(1)の形状)をカップリング剤希釈液に浸してから、実施例1−1と同様のガラスの概略外周部分にシランカップリング剤希釈液が付くように押し付け、次いで、15秒かけて3000rpmまで回転させ、次いで15秒間3000rpmにて回転し、次いで15秒かけて回転を止めることによりシランカップリング剤希釈液をスピンコートさせて口の字の周囲に液を広げた後、乾燥状態とした。これをクリーンベンチ内に載置した100℃に加熱したホットプレート上で1分間加熱して、厚さ10nmで口の字の外部のみにカップリング剤が塗布されたカップリング剤層を備えたカップリング剤処理済支持体を得た。
次に、得られたカップリング剤処理済支持体を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、本発明の積層体L11を得た。
得られた積層体の特性を表5に示す。
(実施例2−2)
実施例2−1において、口の字形状のスタンプ(図3(1)の形状)に代えて、内側が1辺80mmの正方形、外側の1辺120mmの正方形で囲まれた部分にシリコーンゴムを有するとともに、内側の80mmの正方形の中心部分を縦横に分断するよう配された10mm巾のシリコーンゴムを有する田の字形状のスタンプ(図3(2)の形状)を用い、カップリング剤希釈液に浸してから一旦別のガラス板に押し付け、その後支持体とするガラスに押し付けることによりカップリング剤を付着させ、次いで、カップリング剤が付着したガラスを100℃のクリーンオーブンに入れ30分間加熱して、厚さ50nmで田の字にカップリング剤が部分的に塗布されたカップリング剤層を備えたカップリング剤処理済支持体を得た。
次に、得られたカップリング剤処理済支持体を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、本発明の積層体L12を得た。
得られた積層体の特性を表5に示す。
(比較例1)
シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−603」)1質量部と、イソプロピルアルコール99質量部とからなる溶液をインクとし、ドロップオンデマンド型インクジェットプリンター(Xaar社製;1001式プリントヘッド使用)を用いて、支持体とするガラス(コーニング社製「コーニングEAGLE XG」;100mm×100mm×0.7mm厚)の上に、300lpiのスクリーンパターンにて網点面積密度80%(良好接着部)と、300lpiのスクリーンパターンにて網点面積密度10%(易剥離部)のグレイスケールを印刷した。そして印刷後のガラス基板を100℃のクリーンオーブンに入れ、30分間加熱して、カップリング剤層を形成した。
次に、得られたカップリング剤処理済支持体のカップリング剤層の上に、ワニスとして製造例1−1により得られたポリアミド酸溶液V1を乾燥厚さが25μm程度となるようにアプリケーターで塗布し、105℃にて20分間乾燥後、ドライオーブンにて150℃にて5分間保持した後、50℃/分で昇温し250℃にて10分間保持した後、さらに50℃/分で昇温し420℃にて5分間保持する熱処理を行った。その後、室温まで冷却し積層体L13を得た。
得られた積層体の特性を表5に示す。良好接着部の剥離強度については、フィルムが脆く割れてしまうために測定することができなかった。
(比較例2)
シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−603」)1質量部と、イソプロピルアルコール99質量部とからなる溶液をインクとし、ドロップオンデマンド型インクジェットプリンター(Xaar社製;1001式プリントヘッド使用)を用いて、支持体とするガラス(コーニング社製「コーニングEAGLE XG」;100mm×100mm×0.7mm厚)の上に、300lpiのスクリーンパターンにて網点面積密度が100%、すなわち完全べた塗りで(パターンなしで)印刷した。そして印刷後のガラス基板を100℃のクリーンオーブンに入れ、30分間加熱して、カップリング剤層を形成した。
次に、得られたカップリング剤処理済支持体のカップリング剤層の上に、製造例3−1で得られたプラズマ処理・酸処理ポリイミドフィルムT1を、実施例1−1と同様の操作によりラミネートし、積層体L14を得た。得られた積層体の特性を表5に示す。
(実施例3−1〜3−5)
実施例1−1において用いたプラズマ処理フィルムP1の代わりに、製造例3−1〜3−5で得られたプラズマ処理・酸処理ポリイミドフィルムT1〜T5を用いたこと以外は、実施例1−1と同様に操作し、積層体L15〜L19を得た。
得られた積層体の特性を表5に示す。
(応用例1)
実施例1−1〜1−5、実施例2−1〜2−2、実施例3−1〜3−5、および比較例1で得られた各積層体を、開口部を有するステンレス製の枠を被せてスパッタリング装置内の基板ホルダーに固定した。基板ホルダーと積層体の支持体とを密着するように固定して、基板ホルダー内に冷媒を流すことによって、積層体のフィルムの温度を設定できるようにし、積層体のフィルムの温度を2℃に設定した。まず、フィルム表面にプラズマ処理を施した。プラズマ処理条件は、アルゴンガス中で、周波数13.56MHz、出力200W、ガス圧1×10−3Torrの条件とし、処理時の温度は2℃、処理時間は2分間とした。次いで、周波数13.56MHz、出力450W、ガス圧3×10−3Torrの条件で、ニッケル−クロム(クロム10質量%)合金のターゲットを用いて、アルゴン雰囲気下にてDCマグネトロンスパッタリング法により、1nm/秒のレートで厚さ11nmのニッケル−クロム合金被膜(下地層)を形成した。次いで、基板のスパッタ面の裏面を、3℃に温度コントロールした冷媒を中に流した基板ホルダーのSUSプレートと接する状態とすることで、積層体のフィルムの温度を2℃に設定し、スパッタリングを行った。そして、10nm/秒のレートで銅を蒸着させ、厚さ0.22μmの銅薄膜を形成した。このようにして、各積層体から下地金属薄膜形成フィルム付きの積層板を得た。なお、銅およびNiCr層の厚さは蛍光X線法によって確認した。
次に、各フィルムからの下地金属薄膜形成フィルム付きの積層板をCu製の枠に固定し、硫酸銅めっき浴を用い、電解めっき液(硫酸銅80g/l、硫酸210g/l、HCl、光沢剤少量)に浸漬し、電気を1.5A/dm2流すことにより、厚さ4μmの厚付け
銅メッキ層(厚付け層)を形成した。引き続き120℃で10分間熱処理して乾燥し、金属化ポリイミドフィルム・支持体積層体を得た。
得られた各金属化ポリイミドフィルム・支持体積層体に対して、フォトレジスト(シプレー社製「FR−200」)を塗布乾燥した後に、ガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2質量%KOH水溶液にて現像した。次に、HClおよび過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、
ライン/スペース=20μm/20μmのライン列をテストパターンとして形成した。次いで、0.5μm厚に無電解スズメッキを施した後、125℃で1時間のアニール処理を行った。そして、形成したパターンを光学顕微鏡で観察し、だれ、パターン残り、パターン剥がれなどの有無を評価した。
各実施例のポリイミドフィルム積層体を用いた場合には、だれ、パターン残り、パターン剥がれなどの無い良好なパターンが得られた。また、この後、さらに窒素置換したマッフル炉内で昇温速度10℃/分で400℃まで昇温した後、400℃で1時間保持し、その後自然降温させても、膨れ、剥がれなど発生することは無かった。さらに良好接着部と易剥離部の境界線のやや易剥離側の樹脂層にカミソリ刃によって切り込みを入れ、易剥離部を剥離させたところ、金属パターンが形成されたポリイミドフィルムを支障なく剥離することができた。
これに対して、比較例1の積層体を用いた場合は、剥離後にフィルムの反りが非常に大きかった。さらに反りを強制しようと、反りの逆方向に曲げたところ、フィルムに割れが生じた。
以上の応用例1の結果から、本発明の製造方法により、支持体とポリイミドフィルムとの剥離強度が適正に調整された積層体は、金属化などの各工程に耐え得るものであり、その後のパターン作製においても良好なパターンを形成し得ることが確認できた。
1:ガラス基板
2:カップリング剤層
3:易剥離部
4:良好接着部
5:ポリイミドフィルム
6:デバイス
10:良好接着部
20:易剥離部

Claims (10)

  1. 支持体とポリイミドフィルムとの積層体の製造方法であって、
    前記支持体の前記ポリイミドフィルムに対向する側の面に対して、カップリング剤を塗布してカップリング剤層を形成した後、前記支持体と前記ポリイミドフィルムとを重ね合わせて加圧加熱処理することとし、
    前記カップリング剤層を形成するにあたり、カップリング剤量が異なる領域からなる所定のパターンを形成することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記ポリイミドフィルムとして、予めプラズマ処理を施したフィルムを用いる請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記ポリイミドフィルムとして、前記プラズマ処理の後に酸処理を施したフィルムを用いる請求項2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記カップリング剤の塗布は、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷、マイクロコンタクト印刷およびディスペンサー塗布からなる群より選ばれる1種以上で行う請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  5. 前記加圧加熱処理はロールを用いて大気圧雰囲気下で行う請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  6. 前記加圧加熱処理は加圧プロセスと加熱プロセスとに分離して行い、120℃未満の温度で加圧した後に、低圧もしくは常圧にて120℃以上の温度で加熱する請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  7. 支持体とポリイミドフィルムとの積層体であって、
    前記支持体と前記ポリイミドフィルムの間にカップリング剤層が介在し、該カップリング剤層が、カップリング剤量が異なる領域からなる所定のパターンを有することを特徴とする積層体。
  8. 前記ポリイミドフィルムの厚さ斑が20%以下である請求項7に記載の積層体。
  9. ポリイミドフィルム上にデバイスが形成されてなる構造体を製造する方法であって、支持体とポリイミドフィルムとカップリング剤層とを有する請求項7または8に記載の積層体を用いることとし、該積層体のポリイミドフィルム上にデバイスを形成した後、前記カップリング剤量が少ない領域におけるポリイミドフィルムに切り込みを入れて該ポリイミドフィルムを前記支持体から剥離することを特徴とするデバイス構造体の製造方法。
  10. 前記デバイスを形成するにあたり前記積層体が250℃以上の高温に曝される工程を含む請求項9に記載のデバイス構造体の製造方法。
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