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JP2013224476A - 加工性に優れた高強度薄鋼板及びその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた高強度薄鋼板及びその製造方法 Download PDF

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JP2013224476A JP2012110705A JP2012110705A JP2013224476A JP 2013224476 A JP2013224476 A JP 2013224476A JP 2012110705 A JP2012110705 A JP 2012110705A JP 2012110705 A JP2012110705 A JP 2012110705A JP 2013224476 A JP2013224476 A JP 2013224476A
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太郎 木津
Yoshimasa Funakawa
義正 船川
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JFE Steel Corp
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Abstract

【課題】促進時効後の降伏伸びが抑制され、加工性に優れた高強度薄鋼板を、その有利な製造方法と共に提供する。
【解決手段】質量%で、C :0.05〜0.20%、Si:0.10%以下、Mn:0.2〜1.7%、P :0.10%以下、S:0.10%以下、Al:0.01〜0.10%及びN :0.010%以下を含有し、かつ、〔%Mn〕/〔%C〕≧2.0を満足し、残部がFe及び不可避不純物の組成からなり、引張強度(TS)が390MPa以上、伸び(EL)が30%以上、促進時効後の降伏伸び(YP−EL)が1.0%以下であることを特徴とする。ただし、〔%M〕は、鋼中のM元素の含有量(質量%)を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車のドアやフードなどのパネル部品をはじめ、自販機、デスク、家電・OA機器、建材などの構造部品に最適な加工性に優れた高強度薄鋼板と、その製造方法に関する。
なお、本発明において、薄鋼板とは、板厚が2.0mm以下の冷延鋼板を意味する。
近年、地球環境に対する関心の高まりを受けて、製造の際にCO2排出量の大きい鋼板の使用を削減したいという要望が増している。また、自動車分野などでは、車体を軽くすることで燃費を向上させるとともに、排ガスを低減するというニーズが益々大きくなっている。
そのため、鋼板を高強度化し薄肉化することが有効であると考えられる。ただし、鋼板を非常に高強度化する場合、穴広げ性が低下したり、プレス成形時に割れが発生するという問題があった。
ここで、加工性に優れた鋼板として、例えば特許文献1には、重量%でC:0.02〜0.20%、Mn:0.8〜2.0%、B/C≧0.04、B−0.7×N:0.0003〜0.0050%を含む鋼を、熱間圧延に際しAr3点以上で仕上圧延後、30〜150℃/sの冷却速度で冷却し、680℃以下で巻き取ったのち冷延、焼鈍することで、降伏比を下げ加工性を高めた390〜590MPa級鋼板の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術では、降伏点伸びを十分に抑制することができないため、プレス成型時にしわが発生するという問題があった。
特公昭60−47886号公報
本発明は、上記した従来技術が抱える問題を有利に解決するもので、促進時効後の降伏伸びを抑制しつつ、加工性に優れた高強度薄鋼板を、その有利な製造方法と共に提供することを目的とする。
発明者らは、上述した課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた。その結果、特定の組成からなる鋼を熱間圧延した後、巻取温度を500℃以上として巻取った後、酸洗、冷延を施し、均熱までの温度域を平均200℃/h以下の加熱速度で加熱し、均熱温度を550〜800℃、均熱時間を1.0〜100時間とした焼鈍を行った後、平均200℃/h以下の冷却速度で室温まで冷却し、製造された薄鋼板については、高い引張強度(TS)及び伸び(EL)を有するとともに、促進時効後の降伏伸び(YP−EL)が抑制された高強度薄鋼板が得られることを見出した。
なお、発明により、特に促進時効後の降伏伸び(YP−EL)を抑制できるメカニズムは本発明を規定するものではないが、次のように考えられる。
すなわち、Cに対するMn量を大きくし、CとMnの相互作用によりCの拡散を抑止するとともに、焼鈍時に徐加熱および徐冷却を行うことで、セメンタイトを微細に析出させ、固溶Cを少なくすることができる結果、促進時効後の降伏伸びの抑制が可能となる。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたもので、その要旨構成は次のとおりである。
(1)質量%で、C :0.05〜0.20%、Si:0.10%以下、Mn:0.2〜1.7%、P :0.10%以下、S:0.10%以下、Al:0.01〜0.10%及びN :0.010%以下を含有し、かつ、〔%Mn〕/〔%C〕≧2.0を満足し、残部がFe及び不可避不純物の組成からなり、
引張強度(TS)が390MPa以上、伸び(EL)が30%以上、促進時効後の降伏伸び(YP−EL)が1.0%以下であることを特徴とする加工性に優れた高強度薄鋼板。
ただし、〔%M〕は、鋼中のM元素の含有量(質量%)を示す。
(2)さらに質量%で、B:0.0002〜0.0030%、Cr:0.002〜0.10%、Ni:0.002〜0.10%及びCu:0.002〜0.10%のうちから選択される一種又は二種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の加工性に優れた高強度薄鋼板。
(3)さらに質量%で、Ti 、Nb、V、Ta、W及びMoのうちから選択される一種又は二種以上を、それぞれ0.002〜0.050%含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の加工性に優れた高強度薄鋼板。
(4)さらに質量%で、Sb:0.005〜0.050%を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の加工性に優れた高強度薄鋼板。
(5)さらに質量%で、Ca及びREMのうちから選択される一種又は二種をそれぞれ0.0005〜0.01%含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の加工性に優れた高強度薄鋼板。
(6)鋼板の表面に、めっき層をさらに備えることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の加工性に優れた高強度薄鋼板。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の組成からなる鋼素材に対し、熱間圧延後、冷却してコイルに巻き取り、ついで酸洗後、冷間圧延した後に焼鈍を行って薄鋼板を製造するに当たり、
前記熱間圧延後の巻取り温度を500℃以上とし、前記焼鈍を、均熱温度域までの加熱速度:200℃/h以下、均熱温度:550〜800℃、均熱時間:1.0〜100h、室温までの冷却速度:200℃/h以下の条件で行うことを特徴とする加工性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
(8) 前記焼鈍後に、板厚減少率が0.1〜3.0%である調質圧延を施すことを特徴とする上記(7)に記載の加工性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
本発明によれば、促進時効後の降伏伸びが抑制され、加工性に優れた高強度薄鋼板を、その有利な製造方法と共に提供することが可能となる。
〔%Mn〕/〔%C〕と促進時効後の降伏伸び(YP−EL)との関係を示す図である。 焼鈍における昇温速度(℃/h)と促進時効後の降伏伸び(YP−EL)との関係を示す図である。 焼鈍における冷却速度(℃/h)と、促進時効後の降伏伸び(YP−EL)との関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、薄鋼板の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、以下の成分組成を表す%は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C: 0.05〜0.20%
Cはパーライトを生成して高強度化に寄与できる。そのためCは0.05%以上とする必要があり、好ましくは0.07%以上である。
一方、多量のCは固溶Cの増大を招き、YP-Elを大きく上昇させるとともに、溶接性も大きく低下させることからC量は0.20%以下とする必要があり、好ましくは0.15%以下、より好ましくは0.10%以下である。
Si:0.10%以下
Siは、多量に添加すると、焼鈍時のSi酸化物の生成によりめっき性や化成処理性が阻害されてしまう。したがって、Siは0.10%以下とする必要があり、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下、さらに好ましくは0.01%以下である。
Mn:0.2〜1.7%
Mnは固溶強化により高強度化に寄与するだけでなく、Cの拡散を抑制し、セメンタイトを微細化することで固溶Cを低減し、YP−ELを小さくすることができる。さらには有害な鋼中SをMnSとして無害化する作用も有する。このような効果を得るためMnの含有量は0.2%以上とする必要があり、好ましくは0.4%以上、さらに好ましくは0.6%以上である。
一方、多量のMnの含有は、硬質化による延性の低下を招くだけでなく、焼鈍時にMn酸化物の生成を引き起こし、めっき性あるいは化成処理性を阻害する。そのため、Mnの含有量は1.7%以下とする必要があり、好ましくは1.0%以下である。
P:0.10%以下
Pは、粒界に偏析して、延性や靭性を劣化させることから、0.10%以下とする必要があり、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下とする。
一方、Pは固溶強化元素として高強度化に寄与することから、0.02%以上とすることが好ましい。
S:0.10%以下
Sは、熱間での延性を著しく低下させることで、熱間割れを誘発し、表面性状を著しく劣化させる。さらに、Sは、不純物元素として粗大なMnSを形成することにより、延性、穴広げ性を低下させる。これらの問題は、S量が0.10%を超えると顕著となるため、極力低減することが望ましい。したがって、Sの含有量は0.10%以下とする必要があり、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下、さらに好ましくは0.01%以下である。
Al:0.01〜0.10%
Alは、Nを窒化物として固定することで、固溶Nによる時効劣化を抑制することができる。このような効果を得るためにはAlの含有量は0.01%以上とする必要があり、好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.05%である。
一方、多量のAlは、鋼中アルミ酸化物の増加を招き延性が低下することから、Alの含有量を0.10%以下とする必要がある。
N:0.010%以下
Nは多量に含有すると、熱間圧延中にスラブ割れを伴い、表面疵が発生する恐れがある。したがって、Nの含有量は0.010%以下とする必要があり、好ましくは0.006%以下、より好ましくは0.004%以下、さらに好ましくは0.003%以下である。
〔%Mn〕/〔%C〕≧2.0
MnはCと相互作用をもち、Cの拡散を抑制することでセメンタイトを微細に分散させ、固溶Cを少なくすることで促進時効後の降伏伸び(YP−EL)を低減できる。そのため、Cの含有量に対するMnの含有量の比(〔%Mn〕/〔%C〕)は2.0以上とする必要があり、好ましくは5.0以上、さらに好ましくは8.0以上である。
なお、〔%M〕は、鋼中のM元素の含有量(質量%)を示す。
なお、本発明の残部は、Fe及び不可避不純物である。これは、本発明の作用・効果を損なわない限り、不可避的不純物をはじめ、他の微量元素を含有するものが本発明の範囲に含まれることを意味する。
さらに、強度、延性、耐時効性を向上させることを目的として、次の元素を添加することができる。
B:0.0002〜0.0030%、Cr:0.002〜0.10%、Ni:0.002〜0.10%及びCu:0.002〜0.10%のうちから選択される一種又は二種以上
B、Cr、Ni及びCuはセメンタイトの生成を遅らせ、セメンタイトを微細化することで固溶Cを少なくする作用を有する。このような効果を得るため、B、Cr、Ni及びCuの一種又は二種以上を含有し、Bについては0.0002%以上、Cr、Ni及びCuについてはそれぞれ0.002%以上添加することが好ましく、より好ましくは、Bは0.0005%以上、Cr、Ni及びCuはそれぞれ0.005%以上である。
一方、多量のB、Cr、Ni及びCuの添加は、焼入れ性を促進することで熱延板を硬質化し、その後の冷間圧延を困難にすることから、B、Cr、Ni及びCuを添加する場合には、Bの添加量は0.0030%以下、Cr、Ni及びCuの添加量はそれぞれ0.10%以下とすることが好ましく、より好ましくはBを0.0015%以下、Cr、Ni及びCuをそれぞれ0.05%以下とする。
Ti 、Nb、V、Ta、W及びMoのうちから選択される一種又は二種以上を、それぞれ0.002〜0.050%
Ti、Nb、V、Ta、W、Moは微細析出物を形成することですることで高強度化に寄与できる。このような効果を得るため、Ti、Nb、V、Ta、W、Moを添加する場合には、一種又は二種以上をそれぞれ0.002%以上添加することが好ましい。
一方、多量にTi、Nb、V、Ta、W、Moを添加すると延性が大きく低下することから、Ti、Nb、V、Ta、W、Moを添加する場合には、一種又は二種以上を、それぞれ0.050%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.030%以下である。
Sb:0.005〜0.050%
Sbは、熱間圧延時の加熱炉において、表面に偏析しスラブが窒化するのを防止することでNによる延性低下と時効性の低下を抑制することができる。このような効果を得るため、Sbを添加する場合には0.005%以上添加することが好ましい。
一方、多量にSbを添加すると製造コストが上昇することから、Sbを添加する場合は0.050%以下とすることが好ましい。
Ca及びREMのうちから選択される一種又は二種をそれぞれ0.0005〜0.01%
Ca及びREMは、硫化物の形態を制御することで延性を向上させることができる。このような効果を得るためCa及びREMの一種又は二種をそれぞれ0.0005%以上添加することが好ましい。一方、多量の添加は製造コストが上昇することから、これらの元素の含有量はそれぞれ0.01%以下とすることが好ましい。
なお、不純物として、Sn、Mg、Co、As、Pb、Zn、O等を、合計で0.5%以下含んでいても、特性には問題ない。
次に、本発明による高強度薄鋼板の機械特性値について説明する。
引張強度(TS):390MPa以上
本発明の高強度薄鋼板は、引張強度(TS)が390MPa以上であることを特徴とする。TSを390MPa以上と高くすることで、鋼板の強度を維持しつつ、薄肉化できるからである。ここで、TSは、圧延直角方向よりJIS5引張り試験片を切り出し、JIS Z 2241に準拠した引張り試験によって測定することができる。
伸び(EL):30%以上
本発明の高強度薄鋼板は、伸び(EL)が30%以上であることを特徴とし、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上である。伸びを30%以上とすることで、プレス成型時の割れの発生を抑制することができるからである。ここで、ELは、圧延直角方向よりJIS5引張り試験片を切り出し、JIS Z 2241に準拠した引張り試験によって測定することができる。
促進時効後の降伏伸び(YP−EL):1.0%以下
本発明の高強度薄鋼板は、促進時効後の降伏伸び(YP−EL)が1.0%以下であることを特徴とする。コイルが製造された後プレス加工にいたるまでには、物流期間等を考慮すると一定の期間を要することから、その間にコイルが時効し、プレス成型時にしわが発生しやすくなるという問題がある。そのため、促進時効後の降伏伸びを1.0%以下とすることで、上記プレス成型時のしわの発生を抑制することができる。ここで、促進時効後のYP−ELは、圧延直角方向よりJIS5引張り試験片を切り出し、100℃で6時間保持した後に引張り試験をおこなったときの降伏点伸びとして測定することができる。
また、本発明の高強度鋼板は、表面にめっき皮膜を有するものとしてもよい。鋼板表面にめっき皮膜を形成することにより、薄鋼板の耐食性が向上する。なお、めっき皮膜としては、例えば電気亜鉛めっき、Zn−Ni電気合金めっき等が挙げられる。
次に、本発明の薄鋼板の製造方法について説明する。
本発明では、好適には連続鋳造で得られたスラブを鋼素材とし、熱間圧延後、冷却してコイルに巻き取り、ついで酸洗後、冷間圧延した後に焼鈍を行って薄鋼板を製造する。
そして、前記熱間圧延後の巻取り温度を500℃以上とし、前記焼鈍を、均熱温度域までの加熱速度:200℃/h以下、均熱温度:550〜800℃、均熱時間:1.0〜100h、室温までの冷却速度:200℃/h以上の条件で行うことを特徴とする。
熱間圧延後の巻取り温度:500℃以上
熱間圧延後の巻取り温度が低いと、ベイナイトやマルテンサイトなど硬質な低温変態相の生成により鋼板が硬質化し、その後の冷延時における荷重も高くなり操業上の困難性を引き起こすことに加えて、焼鈍後の延性も大きく低下してしまう。したがって、巻取り温度は500℃以上とする必要があり、好ましくは550℃以上である。
巻取り温度の上限は特に設けないが、巻取り温度が高いとスケール生成が促進され鋼板歩留まりが低下するだけでなく、酸洗時のスケール残りに起因した表面欠陥などが発生することから、750℃以下とすることが好ましく、より好ましくは700℃以下、さらに好ましくは650℃以下、よりさらに好ましくは600℃以下である。
焼鈍における均熱温度域までの昇温速度:200℃/h以下
焼鈍時の昇温速度が大きいと、セメンタイトの再溶解がフェライトの再結晶後におこるため、固溶Cが再結晶したフェライトの粒界に偏析し、その後の冷却過程で粗大なセメンタイトが再析出するために固溶Cが残留する。それに対し、昇温速度を小さくすることで、転位の多く残った未再結晶域でセメンタイトは再溶解し、固溶Cの偏析が起こらないため、昇温速度は200℃/h以下とする必要があり、好ましくは100℃/h以下、より好ましくは50℃/h以下である。
昇温速度の下限は特に設けないが、昇温速度が小さいと作業効率が低下することから10℃/h程度で十分である。
焼鈍における均熱温度:550〜800℃
均熱温度が低いと、再結晶が完了せず延性が大きく低下するだけでなく、オーステナイト変態しないことでC濃化が抑制され、冷却過程でのパーライトの生成が抑制されてしまう。したがって、均熱温度は550℃以上とする必要があり、好ましくは600℃以上である。
一方、均熱温度が高くなると、粒が粗大化し強度が低下することから、均熱温度は800℃以下とする必要があり、好ましくは750℃以下である。
焼鈍における均熱時間:1.0〜100h
均熱時間が短いと再結晶が完了せず伸びが著しく低下してしまうことから、均熱時間は1.0h以上とする必要があり、好ましくは10h以上、より好ましくは20h以上である。
一方、均熱時間が長いと、フェライト粒が粗大化し、強度が低下してしまうことから、均熱時間は100h以下とする必要があり、好ましくは50h以下である。
焼鈍における均熱温度から室温までの冷却速度:200℃/h以下
均熱からの冷却速度が大きいとセメンタイトの析出が不十分となり、固溶Cが残ってしまうことで促進時効後の降伏伸びが大きくなってしまう。そのため、均熱からの冷却速度は200℃/h以下とする必要があり、好ましくは100℃/h以下、より好ましくは50℃/h以下である。
冷却速度の下限はとくに設けないが、冷却速度が小さいと作業効率が低下することから10℃/h程度で十分である。
焼鈍後の調質圧延における板厚減少率:0.1〜3.0%
また、プレス成型時のしわの発生を抑制する目的で、焼鈍後の鋼板に調質圧延を施すこともできる。
焼鈍後に調質圧延をおこなうことで、降伏点伸びを小さくし、プレス成型時のしわの発生を抑制することができる。そのため、焼鈍後の調質圧延における板厚減少率は0.1%以上とすることが好ましく、0.5%以上とすることがより好ましい。
一方、板厚減少率が大きくなると加工硬化により延性が低下することから、焼鈍後の調質圧延における板厚減少率は3.0%以下とすることが好ましく、より好ましくは2.0%以下、さらにより好ましくは1.5%以下である。なお、調質圧延においては、圧延ロールによる圧下を加えてもよいし、鋼板にテンションを加えた引張りによる加工を加えてもよい。さらに、圧延と引張りの複合でもよい。
発明の実施に当たり、溶製方法は、通常の転炉法、電炉法等、適宜適用することができる。溶製された鋼は、スラブに鋳造後そのまま、あるいは、温片や冷片のスラブを再加熱し、熱間圧延を施す。熱間圧延で加熱する場合には、1100〜1250℃程度で加熱すればよい。
粗圧延後の仕上げ圧延ではオーステナイト域で圧延を終了するのが好ましい。
仕上げ圧延後、巻取りまでの冷却速度も、特に規定しないが、空冷以上の冷速があれば十分であるが、20℃/s以上の急冷や100℃/s以上の超急冷をおこなってもよい。
その後、通常の酸洗後に、冷間圧延をおこなうに際しては、40〜80%程度の冷圧率で圧延をおこなえばよい。
めっきは電気めっきなどでおこなえばよく、亜鉛めっき、Alめっき、Niめっき、亜鉛とAlの複合めっき、亜鉛とNiの複合めっきなどをおこなってもよい。さらに、冷延鋼板やめっき鋼板の上に、化成処理などにより皮膜をつけてもよい。
以下、実施例について説明する。
表1にスラブの化学組成、表2に鋼板の製造条件を示す。表1の成分組成になる溶鋼を、連続鋳造してスラブ(鋼素材)とした。得られたスラブを、表2の条件に従って、熱間圧延し、冷却してコイルに巻き取り、ついで酸洗後、冷間圧延した後に焼鈍し、高強度薄鋼板を製造した。また、一部(大部分)の鋼板には焼鈍後に調質圧延を施した。
なお、めっき処理については、Znは亜鉛めっき、Niはニッケルめっきを示す。
Figure 2013224476
Figure 2013224476
各鋼板の、降伏点(YP)引張強度(TS)及び伸び(EL)を測定するための引張試験には、圧延直角方向よりJIS5号引張り試験片を切り出し、JIS Z 2241に準拠して行った。また、促進時効後の降伏伸び(YP−EL)については、各鋼板を100℃で6h保持することで、25℃で6ヶ月相当時効させた状態を模擬することで、測定を行った。
測定・算出した結果については表3に示す。
Figure 2013224476
表3の結果から、本発明に係る鋼板(No.1〜9及び16〜19)は、いずれの特性についても良好な値を示すことがわかった。
一方、比較例に係る鋼板(No.10〜15び20〜26)は、いずれかの特性が発明例に比べて劣っていることがわかった。
また、図1に鋼板No. 1〜10及び16〜19について、〔%Mn〕/〔%C〕と、促進時効後の降伏伸び(YP−EL)との関係を示す。図1から、〔%Mn〕/〔%C〕≧2.0とすることで、促進時効後のYP−ELを1.0%以下にできることがわかった。
図2に鋼板No.1〜9、16〜19及び21について、焼鈍における昇温速度(℃/h)と、促進時効後の降伏伸び(YP−EL)との関係を示す。昇温速度200℃/h以下とすることで、促進時効後のYP−ELを1.0%以下にできることがわかった。
図3に鋼板No.1〜9、16〜19及び26について、焼鈍における冷却速度(℃/h)と、促進時効後の降伏伸び(YP−EL)との関係を示す。冷却速度200℃/h以下とすることで、促進時効後のYP−ELを1.0%以下にできることがわかった。
本発明によれば、促進時効後の降伏伸びが抑制され、加工性に優れた高強度薄鋼板を、その有利な製造方法と共に提供することが可能となり、産業上格段の効果を奏する。

Claims (8)

  1. 質量%で、C :0.05〜0.20%、Si:0.10%以下、Mn:0.2〜1.7%、P :0.10%以下、S:0.10%以下、Al:0.01〜0.10%及びN :0.010%以下を含有し、かつ、〔%Mn〕/〔%C〕≧2.0を満足し、残部がFe及び不可避不純物の組成からなり、
    引張強度(TS)が390MPa以上、伸び(EL)が30%以上、促進時効後の降伏伸び(YP−EL)が1.0%以下であることを特徴とする加工性に優れた高強度薄鋼板。
    ただし、〔%M〕は、鋼中のM元素の含有量(質量%)を示す。
  2. さらに質量%で、B:0.0002〜0.0030%、Cr:0.002〜0.10%、Ni:0.002〜0.10%及びCu:0.002〜0.10%のうちから選択される一種又は二種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の加工性に優れた高強度薄鋼板。
  3. さらに質量%で、Ti 、Nb、V、Ta、W及びMoのうちから選択される一種又は二種以上を、それぞれ0.002〜0.050%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の加工性に優れた高強度薄鋼板。
  4. さらに質量%で、Sb:0.005〜0.050%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加工性に優れた高強度薄鋼板。
  5. さらに質量%で、Ca及びREMのうちから選択される一種又は二種をそれぞれ0.0005〜0.01%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加工性に優れた高強度薄鋼板。
  6. 鋼板の表面に、めっき層をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の加工性に優れた高強度薄鋼板。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の組成からなる鋼素材に対し、熱間圧延後、冷却してコイルに巻き取り、ついで酸洗後、冷間圧延した後に焼鈍を行って薄鋼板を製造するに当たり、
    前記熱間圧延後の巻取り温度を500℃以上とし、前記焼鈍を、均熱温度域までの加熱速度:200℃/h以下、均熱温度:550〜800℃、均熱時間:1.0〜100h、室温までの冷却速度:200℃/h以下の条件で行うことを特徴とする加工性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
  8. 前記焼鈍後に、板厚減少率が0.1〜3.0%である調質圧延を施すことを特徴とする請求項7に記載の加工性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
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