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JP2013223985A - 電気絶縁用フィルム - Google Patents

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與倉  三好
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Abstract

【課題】ポリエステル系フィルムとPPSフィルムとを積層するものにおいて、接着剤を用いずに接合可能で、接合後の水分(湿気)に対する剥がれ防止効果を高める。
【解決手段】ポリエステル系フィルムAの少なくとも片面に、PPSフィルムBを積層して構成される電気絶縁用フィルム1は、ポリエステル系フィルムA及びPPSフィルムBの接合面に、夫々低温プラズマ処理を施し、接着剤を用いずに、それら処理面同士を重ね合せて熱接合してなると共に、熱接合後に加熱処理がなされており、前記ポリエステル系フィルムAの厚み寸法が、25μm以上、350μm以下であり、前記PPSフィルムBの厚み寸法が、9μm以上、50μm以下であり、且つ、180度剥離強度が、ウェット状態で、0.2N/cm以上、ドライ状態で、1.0N/cm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル系フィルムAの少なくとも片面に、PPSフィルムBを積層してなる電気絶縁用フィルムに関する。
例えば電気自動車やハイブリッド車の駆動用モータや、コンプレッサ用モータ等(業務用、家庭用、車載用エアコン向け)に用いられる耐熱性電気絶縁材料として、従来より、機械的強度に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系フィルムと、耐熱性や耐加水分解性に優れた二軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィド(PPS)フィルムとを積層した積層フィルムが知られている。
例えば特許文献1には、PPSフィルムとPETフィルムとを、ポリウレタン系の接着剤を介して積層した積層体が開示されている。また、特許文献2には、中心層をポリエステル系フィルムとし、表面層をPPSフィルムとした複合化フィルムにおいて、共押出法を用いて積層することが開示されている。
特開昭62−292431号公報 特開昭62−255142号公報
しかしながら、上記した特許文献1のように、接着剤を用いて2枚のフィルムを貼合せたものでは、接着剤を用いたことによる耐熱性や耐加水分解性の低下を招き、コンプレッサ用モータのように冷媒に浸かる場合は接着剤が溶け出して積層界面で剥がれたり、冷媒特性の悪化を招いてしまう。また、特許文献2のような共押出法を用いるものでは、2種類のフィルムが十分に接合せず、水分(湿気)等により容易に剥がれてしまう欠点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ポリエステル系フィルムとPPSフィルムとを積層するものにおいて、接着剤を用いずに接合可能で、接合後の水分(湿気)に対する剥がれ防止効果に優れる電気絶縁用フィルムを提供するにある。
本発明者は、上記した目的を達成するために、つまり、接着剤を用いることなくポリエステル系フィルムとPPSフィルムとを積層可能とするべく、様々な試験、研究を重ねた。その結果、ポリエステル系フィルム及びPPSフィルムの接合面に対し低温プラズマ処理を施して表面の改質を行うことにより、従来の知見では接着剤なしでの熱接合は不可能と考えられていたポリエステル系フィルムとPPSフィルムとが熱接合できることを見出した。更に、熱接合後の積層フィルムに対し、適切な加熱処理を行うことにより、ポリエステル系フィルムとPPSフィルムとの接合強度(剥離強度)を大幅に高めることができることを確認し、本発明を成し遂げたのである。
即ち、本発明の電気絶縁用フィルムは、ポリエステル系フィルムAの少なくとも片面に、PPSフィルムBを積層してなる電気絶縁用フィルムにおいて、前記ポリエステル系フィルムA及び前記PPSフィルムBの接合面に、低温プラズマ処理を施し、接着剤を用いずに、それら処理面同士を重ね合せて熱接合してなると共に、熱接合後に加熱処理がなされており、前記ポリエステル系フィルムAの厚み寸法が、25μm以上、350μm以下であり、前記PPSフィルムBの厚み寸法が、9μm以上、50μm以下であり、且つ、180度剥離強度が、ウェット状態で、0.2N/cm以上、ドライ状態で、1.0N/cm以上であるところに特徴を有する(請求項1の発明)。
本発明においては、ポリエステル系フィルムA及びPPSフィルムBの接合面に、低温プラズマ処理が施されることにより、それらフィルムの表面に酸素原子が取込まれ、具体的にはフィルム表面にCOOH基やOH基が付加されるようになり、このことが、それらフィルムA、B間での直接接合性を付与するものと推測される。
本発明における低温プラズマ処理とは、電極間に直流または交流の高電圧を印加することによって開始持続する放電、例えば大気圧下でのコロナ放電あるいは真空でのグロー放電などに処理基材を曝すことによって成される処理をいう。このとき、特に限定されないが、処理ガスの選択が広い真空での処理が好ましい。処理ガスとしては、特に限定されないが、He、Ne、Ar、窒素、酸素、炭酸ガス、空気、水蒸気等が単独あるいは混合した状態で使用される。なかでもAr、炭酸ガスが放電開始効率の点から好ましい。処理圧力は特に限定されないが、0.1Pa乃至1330Paの圧力範囲で持続放電するグロー放電処理、いわゆる低温プラズマ処理が処理効率の点で好ましい。さらに好ましくは、1Pa乃至266Paの範囲である。
このとき、内部電極方式のプラズマ処理機を採用して低温プラズマ処理を行う場合にあっては、ポリエステル系フィルムA、及び、PPSフィルムBに対する低温プラズマ処理の処理強度(E値)を、共に、50W・min/m2 ないし5000W・min/m2 の範囲とすることが好ましい。これにより、良好なる直接接合性が得られる。
ポリエステル系フィルムAとPPSフィルムBとを、接着剤を介することなく直接熱接合する積層方法は特に限定されるものではない。例えば熱プレスによる方法、加熱ロールによる方法、熱風による方法、超音波利用による方法など公知の方法を目的に応じ、適宜選定すれば良い。この場合、上記接合温度を、ポリエステル系フィルムAの融点以下の可能な限り低い温度、例えば180℃ないし250℃とすることが望ましく、ポリエステル系フィルムの変質などを防止でき、高品質の積層体を得ることができる。より好ましくは、190℃ないし230℃の範囲内である。
そして、熱接合(ラミネート)後に、積層フィルムに対して加熱処理(エージング処理)を行うことにより、剥離強度、特にウェット状態における剥離強度(接着力)を高めることができた。この加熱処理は、例えば210℃〜235℃で行うことができ、210℃の場合には例えば150分、235℃の場合には例えば15分程度の処理で、所望の剥離強度を得ることができた。この加熱処理は、例えば熱風オーブン等を採用して行うことができる。加熱処理の、温度及び時間については、温度が低ければ時間を長くし、温度が高ければ短時間だけ行うようにすれば良い。この加熱処理が不十分であると、積層フィルムの特にウェット状態での十分な剥離強度を得ることができない。但し、加熱処理を過剰に行うと、ポリエステル系フィルムAの変質(結晶化)を招き、脆弱となる。
ところで、この加熱処理を行うことにより、無色(自然色)で透明であった積層フィルム(特にPPSフィルムB)が、透明でありながら薄い黄色(褐色)に着色(変色)される。この変色は、加熱処理の度合いが大きい(温度が高い、時間が長い)ほど大きくなることが確認されている。逆に言えば、得られたフィルムの色調を調べることにより、どれくらいの加熱処理が行われたか、ひいてはどれほどの剥離強度(特にウェット状態)を有しているかを調べることが可能となる。
本発明におけるポリエステル系フィルムAとは、主鎖にエステル結合を持つ直鎖状の熱可塑性のポリマーを、例えば二軸延伸したフィルムをいい、特に低オリゴマータイプのものが望ましい。代表的なものとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブタジエンテレフタレート(PBT)などがある。これらのフィルムには共重合成分や、例えば特性改良のための添加剤(有機または無機のフィラーなど)、可塑剤などが含まれていても良く、あるいはそれらを含まないピュアなものでも良い。
PPSフィルムBとしては、二軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィド(PPS)フィルムを用いることができる。PPS樹脂には無機および有機フィラーなどを必要に応じて添加することもできる。共重合可能なスルフィド結合がランダムまたはブロックに共重合されていても良い。共重合する場合は、PPS樹脂が持つ耐熱性、耐加水分解性、結晶性等の溶融特性の保持の点から、30モル%未満が好ましい。
本発明の電気絶縁用フィルムは、ポリエステル系フィルムAの有する優れた機械的強度と、PPSフィルムBの有する優れた耐熱性や耐加水分解性とを兼ね備えた積層体である。ポリエステル系フィルムAの厚み寸法は、25μm以上、350μm以下とすることが、電気絶縁用フィルムとしての十分な機械的強度を得る観点から望ましい。
PPSフィルムBの厚み寸法は、9μm以上、50μm以下とすることが望ましい。この場合、PPSフィルムBは比較的高価であるため、コスト的な観点からは薄いほうが好ましいが、厚み寸法が9μmを下回ると、表面に損傷を受けた際に容易に破損してしまい、ポリエステル系フィルムAが露出してしまう虞がある。厚み寸法が50μmを越えると、柔軟性が損なわれて加工時に割れが発生してしまう問題がある。
尚、電気絶縁用フィルム全体の厚み寸法としては、75μm〜450μmとすることが望ましく、より好ましくは100μm〜400μmである。また、各フィルム(層)の厚み寸法(厚み構成)については、積層フィルムの切断面を顕微鏡で観察することにより、容易に測定(評価)することができる。
本発明の電気絶縁用フィルムは、180度剥離強度が、ウェット状態で、0.2N/cm以上、ドライ状態で、1.0N/cm以上である。これにより、使用時における接着性を確保して、剥がれを防止することができる。
本発明の電気絶縁用フィルムの用途としては、高耐熱性や、耐加水分解が要求されるハイブリッド自動車の駆動モータおよび電気自動車などの駆動用モータおよびジェネレータなどの絶縁材料として使用することができる。さらに、一部水素化されたハロゲン化炭素を主成分とする冷媒と有極性オイルとの混合物雰囲気下で電気絶縁用途に使用する絶縁システムに好ましく用いられる。特に好ましくは、密閉型コンプレッサ中、冷媒(R22等の特定フロン、R410A,R407C,HFO1234yf,R32等の代替フロン)と有極性オイル(鉱物油,エステル,エーテル等の有機オイル)との混合物雰囲気下で使用されるモータの、励磁用コイルの絶縁用、に使用される。
現在、フロンガスによるオゾン層破壊の問題を解決するために、いわゆる「モントリオール議定書」に基づく代替フロンの開発、「京都議定書」に基づく地球温暖化防止フロンの開発、及び、代替フロンを用いた冷凍・空調機システムの開発が精力的に行われている。この場合、従来の完全ハロゲン化されたハロゲン化炭素に対し、ハロゲンの一部が水素に置き換わった冷媒いわゆる代替フロンが用いられる。代替フロンはハロゲン原子の代わりに水素が結合しており、極性を有することから従来の無極性鉱物オイルやアルキルベンゼン系オイルは溶解しにくく使用が困難であり、ポリオールエステルやポリアルキレングリコール、炭酸エステル、エーテル、フッ素化合物などの有極性オイルとの組み合わせで用いられようとしている。これら混合物雰囲気中で従来のポリエステルフィルムを使用した場合には、特に有極性オイルの誘電率の高さに起因すると考えられる絶縁システムの容量の増大による漏れ電流の増大が懸念されている。本発明の電気絶縁用フィルムを用いた場合は、漏れ電流の低減により、安全性、信頼性の向上を図ることができる。特に密閉型コンプレッサ中で使用されるモータの励磁用コイル周辺の絶縁に用いた場合に効果が大きい。
ところで、本発明の電気絶縁用フィルムとしては、PPSフィルムB/ポリエステル系フィルムA/PPSフィルムBの三層構造とすることができる(請求項2の発明)。電気絶縁用フィルムの外面(両面)に耐加水分解性の高いPPSフィルムBが現れるので、上記したコンプレッサモータ(業務用、家庭用、車載用エアコン向け)のような、冷媒及びオイルに含浸されて使用される場合の、耐加水分解性に優れ、オリゴマーの発生を抑制する効果の高いものとすることができる。
本発明の電気絶縁用フィルムによれば、ポリエステル系フィルムAの少なくとも片面にPPSフィルムBを積層するものにおいて、接着剤を用いずに接合可能で、耐熱性や耐加水分解性の向上と、接合後の水分(湿気)に対する剥がれ防止効果に優れるという優れた効果を奏する。
実施例1の電気絶縁用フィルムの断面構成を概略的に示す図 剥離強度試験の様子を模式的に示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。後に掲載する表4に示すように、実施例1〜実施例5は、本発明に係る電気絶縁用フィルム(積層フィルム)である。これら実施例1〜実施例5の電気絶縁用フィルムは、ポリエステル系フィルムAの両面又は片面に、接着剤を用いずにPPSフィルムBを、例えば180℃〜250℃の温度で直接熱接合して構成されている。このとき、ポリエステル系フィルムA及びPPSフィルムBの接合面には、低温プラズマ処理が施されている。更に、熱接合後の積層フィルムに対し、例えば210℃〜235℃の温度で加熱処理がなされている。
そして、ポリエステル系フィルムAの厚み寸法が、25μm以上、350μm以下であり、PPSフィルムBの厚み寸法が、9μm以上、50μm以下である。且つ、これら実施例1〜実施例5の電気絶縁用フィルムは、180度剥離強度が、ウェット状態で、0.2N/cm以上、ドライ状態で、1.0N/cm以上とされている。
図1に模式的に示すように、そのうち実施例1〜4の電気絶縁用フィルム1は、PPSフィルムB/ポリエステル系フィルムA/PPSフィルムBの三層構造とされている。また、図示はしないが、実施例5の電気絶縁用フィルムは、PPSフィルムB/ポリエステル系フィルムAの二層構造とされている。
具体的には、ポリエステル系フィルムAとして、低オリゴマータイプの二軸延伸PETフィルム(例えば東レ(株)製の「ルミラー(登録商標)X10S」)を採用している(以下「PETフィルムA」という)。このとき、ポリエステル系フィルムAの厚み寸法は、実施例1が75μm、実施例2が125μm、実施例3が188μm、実施例4が250μm、実施例5が188μmとされている。
PPSフィルムBとしては、1枚(1層)の厚さ寸法が16μmの二軸配向ポリ−p−ポリフェニレンスルフィド樹脂フィルム(例えば東レ(株)製の「トレリナ(登録商標)タイプ3030」を採用している。
PETフィルムAの接合面(実施例1〜4では両面、実施例5では片面)に対し、内部電極方式のプラズマ処理機を用いて、予めCO2 雰囲気中、圧力0.275torrで、例えば処理強度500W・min/m2で低温プラズマ処理が施される。PPSフィルムBの接合面(片面)に対しても、内部電極方式のプラズマ処理機を用いて、予めCO2雰囲気中で、例えば処理強度500W・min/m2で低温プラズマ処理が施される。
予め低温プラズマ処理されたPETフィルムAの接合面に対し、予め接合面(片面)に対し同様の低温プラズマ処理がなされたPPSフィルムBの接合面を重ね合せ、ロールラミネータで、上下ロール温度220℃、速度0.5m/min、ラミネート線圧4kg/cmの条件で貼合せた。その後、熱接合により得られた積層フィルムを循環熱風オーブンで、加熱条件を変えて加熱処理した。室温まで自然冷却することにより、実施例1〜5の電気絶縁フィルム(積層フィルム)を得た。
これに対し、表3に示すように、比較例1、2は、上記実施例1〜4と同様の製造方法により、厚み寸法が125μmのPETフィルムAの両面に、接着剤を用いずにPPSフィルムBを直接熱接合して構成された積層フィルムである。但し、これらは、PPSフィルムBの厚み寸法が、特許請求の範囲から外れており、比較例1では6μm、比較例2では60μmとされている。更に、比較例3、4は、厚み寸法が75μm及び250μmのPETフィルムAの両面に、耐熱性ポリウレタン接着剤を用いて、厚み寸法が16μmのPPSフィルムBを接着したものである。尚、各接着剤層の厚みは硬化後で7μmとされている。
さて、本発明の適正を検証するため、上記した実施例1〜5及び比較例1〜4などの電気絶縁用フィルム(積層フィルム)に対して、以下に述べる各種の試験を行った。
(1)ラミネート温度と接着力との関係
実施例4と同様の厚み構成(B/A/B=16/250/16(μm))の積層フィルムに関して、ラミネート(熱接合)温度を150℃〜250℃で様々に変更し、熱接合後の接着性、割れ、反りを調べた。その結果を次の表1に示す。表中、評価の項は、極めて良好なものを二重丸「◎」、良好なものを丸「○」、普通のものを三角「△」、不可(或いは評価不能)のものをかける「×」、で示している。
Figure 2013223985
この結果から、PETフィルムAとPPSフィルムBとを直接熱接合する際の熱接合温度は、PETフィルムAの融点以下の可能な限り低い温度、180℃ないし250℃とすることができる。これにより、ポリエステル系フィルムの変質などを防止でき、高品質の積層体を得ることができる。190℃ないし230℃の範囲内がより好ましい。
(2)加熱処理温度及び時間と接着力との関係
実施例4と同様の積層フィルム(熱接合までを行ったもの)に関して、次の表2に示すように、熱接合後に各種温度及び時間で加熱処理を行った。JIS C-6481 に準拠し、加熱処理を行った積層フィルムを、幅10mm、長さ120mmに裁断した試料に対し、テンシロン試験機を用いて、下側のPETフィルムAの端部と上側のPPSフィルムBの端部とを夫々クランプし、引張速度50mm/分で、180度剥離強度試験(ピール強度試験)を行った。図2には、その試験時の様子を模式的に示している。この剥離試験は、ドライ状態とウェット状態との双方について行った。そのうちウェット状態の試験は、図示のように、引張り界面に、例えばスポイド2等で純水を滴下することにより行われる。
その剥離強度試験の結果を表2に示す。但し、ウェット状態で剥離強度に優れたもの(普通以上)は、ドライ状態でも同様に優れた結果(全て1.0N/cm以上)を得ることができているので、ドライ状態についての試験結果を省略する。
このとき、評価としては、2.0N/cm以上(極めて良好)を二重丸「◎」、1.0N/cm以上2.0N/cm未満(良好)を丸「○」、0.2N/cm以上1.0N/cm未満(普通)を三角「△」、0.2N/cm未満(不可)をかける「×」、で示している。
Figure 2013223985
この結果からも明らかなように、熱接合後に、積層フィルムに対して加熱処理を行うことにより、剥離強度、特にウェット状態における剥離強度(接着力)を高めることができた。この加熱処理は、210℃〜235℃で行うことができ、210℃の場合には例えば150分、235℃の場合には例えば15分程度の処理で、所望の剥離強度を得ることができた。
加熱処理の温度及び時間については、温度が低ければ時間を長くし、温度が高ければ短時間だけ行うようにすれば良い。加熱処理が不十分であると、積層フィルムの特にウェット状態での十分な剥離強度を得ることができなかった。但し、加熱処理の温度が比較的高い場合には、外観の悪化を招いていた。また、加熱処理を過剰に行うと、ポリエステル系フィルムAの変質(結晶化)を招き、脆弱となる。従って、剥離強度及び外観の双方を満足するためには、210℃〜220℃の比較的低温で、比較的長い時間の加熱処理を行うことが望ましい。
(3)色調
実施例4と同様の積層フィルム(熱接合までを行ったもの)に関して、次の表3に示すように、熱接合後に各種温度及び時間で加熱処理を行い、サンプルフィルムを得た。各サンプルフィルムの色調とウェット状態の剥離強度との関係を調べた。剥離強度については上記(2)と同様の試験方法で調べた。サンプルフィルムの色調については、積分球式カラーメーターを用いて、JIS K-7105に準拠して測定した。ここでは、サンプルフィルムに、光源である標準光Cの光を透過させた際の、三刺激値X,Y,Zを測定し、そこからL,a,bを算出した。加熱処理後のb値と加熱処理前のb値との差であるΔb値と、剥離強度(Wet peel)との関係を調べた結果を、表3に示す。評価については、やはり、極めて良好なものを二重丸「◎」、良好なものを丸「○」、普通のものを三角「△」、不可(或いは評価不能)のものをかける「×」、で示している。
Figure 2013223985
加熱処理を行わない積層フィルム(Δb値の欄が「−」)では、無色(自然色)で透明度が比較的高いものであったが、加熱処理を行うことにより、透明でありながら薄い黄色(褐色)に着色(変色)される。この変色は、加熱処理の度合いが大きい(温度が高い、時間が長い)ほど大きくなり、加熱処理の度合い(ひいてはウェット状態の剥離強度)に応じてb値が大きくなる。逆に言えば、得られたフィルムの色調(Δb値)を調べることにより、どれくらいの加熱処理が行われたか、ひいてはどれほどの剥離強度(ウェット状態)を有しているかを調べることが可能となる。本発明者の知見によれば、Δb値が、0.5以上、4.5未満であれば、良好な剥離強度を得ることができた。
(4)耐衝撃性及び耐熱性
実施例1〜5並びに比較例1〜4に関し、耐衝撃性及び耐熱性の試験を行った。
耐衝撃性の試験(いわゆるモミ試験)は、スコット耐揉摩耗試験機(東洋ボールドウイン社製)を用いて、JIS K-6404-6に準拠して測定した。試料のサイズは、幅10mm、長さ200mmとし、チャック間距離30mm、ストローク距離50mm、荷重2.5kg、速度120回/分で、往復運動を与え、目視でフィルムが破断するまでの揉み回数を求めた。
耐熱性(耐加水分解性)の試験は、試料を180℃のオーブン中に収容し、240時間毎に試料を取出し、引張り伸び率を測定することを繰返し、引張り伸び率が初期値の1/2以下の値になるまでの時間を求めた。尚、引張り伸び率の測定は、ASTM D882−61Tにより行った。
実施例1〜5並びに比較例1〜4に関する、それら耐衝撃性及び耐熱性の試験結果を、次の表3に示す。尚、便宜上、試験結果は、回数、時間共に概数で示している。また、厚さ構成比の欄は、(PPSフィルムBの総厚み)/(PETフィルムAの厚み)の値で示している。
Figure 2013223985
実施例1〜5の電気絶縁用フィルムは、全て優れた耐衝撃性及び耐熱性を得ることができた。これに対し、PPSフィルムBの厚みの小さい比較例1は、耐熱性に劣るものとなった。また、PPSフィルムBの厚み寸法が大きすぎる比較例2では、耐衝撃性に劣るものとなった。比較例3、4は接着剤を用いており、接着剤の劣化の影響で積層体全体の耐熱性が低下する。更にコンプレッサモータのように冷媒に浸かる場合は接着剤が溶け出して積層体界面が剥がれたり、冷媒を変質させたりする可能性がある。
図面中、1は電気絶縁用フィルム、Aはポリエステル系フィルム、BはPPSフィルムを示す。

Claims (2)

  1. ポリエステル系フィルムAの少なくとも片面に、PPSフィルムBを積層してなる電気絶縁用フィルムにおいて、
    前記ポリエステル系フィルムA及び前記PPSフィルムBの接合面に、低温プラズマ処理を施し、接着剤を用いずに、それら処理面同士を重ね合せて熱接合してなると共に、熱接合後に加熱処理がなされており、
    前記ポリエステル系フィルムAの厚み寸法が、25μm以上、350μm以下であり、前記PPSフィルムBの厚み寸法が、9μm以上、50μm以下であり、且つ、
    180度剥離強度が、ウェット状態で、0.2N/cm以上、ドライ状態で、1.0N/cm以上であることを特徴とする電気絶縁用フィルム。
  2. PPSフィルムB/ポリエステル系フィルムA/PPSフィルムBの三層構造とされていることを特徴とする請求項1記載の電気絶縁用フィルム。
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