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JP2013220061A - パン生地及びパン類 - Google Patents

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JP2013220061A
JP2013220061A JP2012093531A JP2012093531A JP2013220061A JP 2013220061 A JP2013220061 A JP 2013220061A JP 2012093531 A JP2012093531 A JP 2012093531A JP 2012093531 A JP2012093531 A JP 2012093531A JP 2013220061 A JP2013220061 A JP 2013220061A
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milk
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Tetsushige Yabushita
哲成 藪下
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Adeka Corp
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Adeka Corp
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Abstract

【課題】親油性乳化剤の水和物をパン類に使用した場合であっても、ねちゃつきがなく、口どけがよいパン類を提供することを課題とする。さら焼成直後のソフトでしとりのある食感を経日的に維持でき、ボリュームのあるパン類を提供することを課題とする。
【解決手段】澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料を固形分として0.05〜7質量部、親油性乳化剤の水和物を0.05〜3質量部、アルギン酸類を0.01〜1質量部含有するパン生地である。
【選択図】なし

Description

本発明は、焼成直後のソフトでしとりがあり、口どけのよい食感を、経日的に維持できるパン類を提供できるパン生地に関する。
従来より、パン類の食感改良については、乳化剤、増粘剤、酵素等様々な手法を用いた研究がなされている。その中でも、乳化剤はパン類をソフトにする効果が高く、多くの研究がなされている。
さらに乳化剤については、乳化剤そのものの粉末、基材を使用した水分散性の粉末、乳化剤の水和物などについて研究されてきている。特に乳化剤の水和物は、パン類をソフトにする効果が高いことが知られている。
この乳化剤の水和物を用いた先行技術としては例えば特許文献1〜3を挙げることができる。
特許文献1には固体脂含量が特定の範囲にあり、水和された乳化剤と構成脂肪酸中にトランス酸のモノエン酸を含むモノグリセライド及び糊剤を含有した練り込み用油中水型乳化油脂組成物をパン類に用いることが記載されている。しかし特許文献1は乳化剤の効果によりソフトなパン類が得られるが、食感がねちゃつくため、口どけが悪いという欠点があった。
特許文献2には少なくとも一部が液晶状態あるいはα結晶ゲル状態の乳化剤を添加してなる電子レンジ加熱に適したパン類が記載されている。特許文献3には電子レンジ調理可能な冷凍パン生地について記載され、水和グリセリルモノステアレートを乳化剤として用いることが記載されている。しかし特許文献2や特許文献3には、電子レンジ加熱後、しわがなく、外観が良好なパン類が得られるが、食感がねちゃつくため、口どけが悪いという欠点があった。
特開平4−144632号公報 特開平5−68466号公報 特表2009−534037号公報
従って、本発明は親油性乳化剤の水和物をパン類に使用した場合であっても、ねちゃつきがなく、口どけがよいパン類を提供することを目的とする。さら焼成直後のソフトでしとりのある食感を経日的に維持でき、ボリュームのあるパン類を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、特定の乳原料と親油性乳化剤の水和物とアルギン酸類をパン生地に用いることにより上述の問題を解決できることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料を固形分として0.05〜7質量部、親油性乳化剤の水和物を0.05〜3質量部、アルギン酸類を0.01〜1質量部含有するパン生地を提供するものである。
本発明により、焼成直後のソフトでしとりがあり、口どけがよい食感を、経日的に維持できるパン類を提供することができる。またボリュームのあるパン類を提供することができる。
以下に、本発明のパン生地について詳細に説明する。
本発明のパン生地は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料(以下乳原料ともいう)を含有させる。本発明において上記乳原料を用いることにより口どけが良く、風味良好なパン類を提供することができる。
なお上記乳原料は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、該固形分を基準として、3質量%以上である乳原料を使用することが好ましく、より好ましくは4質量%以上である乳原料を使用する。
また上記乳由来の固形分中のリン脂質とは、乳由来の固形分中に含まれる乳由来のリン脂質のことを指す。
上記乳原料は、液体状でも、粉末状でも、濃縮物でも構わない。但し、溶剤を用いて乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上となるように濃縮した乳原料は、風味上の問題から、本発明においては、上記乳原料として用いないのが好ましい。
乳由来のリン脂質を含有する乳原料の固形分中のリン脂質の定量方法としては、例えば下記の定量方法が挙げられる。但し、抽出方法等については乳原料の形態等によって適正な方法が異なるため、下記の定量方法に限定されるものではない。
まず、乳由来のリン脂質を含有する乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から、以下の計算式を用いて、乳由来のリン脂質を含有する乳原料の固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳由来のリン脂質を含有する乳原料−乳由来のリン脂質を含有する乳原料の水分(g))×25.4×(0.1/1000)
上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料としては、例えば、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分が挙げられる。該クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクとは組成が大きく異なり、リン脂質を多量に含有しているという特徴がある。バターミルクは、その製法の違いによって大きく異なるが、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、通常0.5〜1.5質量%程度であるのに対して、上記クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、大凡2〜15質量%であり、多量のリン脂質を含有している。
本発明において、上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料として、通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクそのものを用いることはできないが、バターミルクを乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上となるように濃縮した濃縮物、あるいはその乾燥物を用いることは可能である。
上記クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる上記水相成分の製造方法の一例を以下に説明する。
上記クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。
先ず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
一方、上記バターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。
先ず、バターを溶解機で溶解し、熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明で用いることができる上記水相成分としては、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上であれば、上記クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分をそのまま用いてもよく、また、噴霧乾燥、濃縮、冷凍等の処理を施したものを用いてもよい。
但し、乳由来のリン脂質は、高温加熱するとその機能が低下するため、上記加温処理や上記濃縮処理中あるいは殺菌等により加熱する際の温度は、100℃未満であることが好ましい。
また、本発明では、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料として、上記乳原料中のリン脂質の一部又は全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできる。該リゾ化物は、上記乳原料をそのままリゾ化したものであってもよく、また上記乳原料を濃縮した後にリゾ化したものであってもよい。また、得られたリゾ化物に、さらに濃縮あるいは噴霧乾燥処理等を施してもよい。
上記乳原料の一部又は全部として、上記リゾ化物を本発明で用いることにより、さらに乳化安定性を改良させることができる。
乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料中のリン脂質をリゾ化するには、ホスホリパーゼAで処理すればよい。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
なお、上記乳原料の起源となる乳としては、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳を例示することができるが、特に牛乳が好ましい。
本発明のパン生地は、上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料を、澱粉類100質量部に対して、固形分として、0.05〜7質量部、好ましくは0.1〜5質量部、最も好ましくは0.15〜2質量部含有する。
本発明において、上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料の含有量が、澱粉類100質量部に対して、固形分として、0.05質量部よりも少ないとパン類の口どけが悪く、ねちゃつきのある食感となり、7質量部よりも多くても、口どけ改善効果が向上しない。
上記澱粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などの小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉などのその他の穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉、カシューナッツ粉、オーナッツ粉、松実粉などの堅果粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉などの澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼなどの酵素で処理したものや、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理などの中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した化工澱粉等が挙げられる。本発明では、澱粉類中、好ましくは小麦粉類を50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、最も好ましくは100質量%使用する。
また上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料は後述する可塑性乳化油脂組成物に存在する形態でパン生地に含有させることも可能である。
本発明のパン生地は、澱粉類100質量部に対して、親油性乳化剤の水和物を0.05〜3質量部、好ましくは0.07〜2.5重量部、最も好ましくは0.1〜2質量部含有する。
本発明において、上記親油性乳化剤の水和物の含有量が澱粉類100質量部に対して0.05質量部よりも少ないとソフトなパン類が得られないので好ましくなく、3質量部よりも多くても、ソフトさ改善効果が向上しないので好ましくない。
なお上記の親油性乳化剤の水和物の含有量は、親油性乳化剤の水和物に含まれる水分を除いた、純乳化剤の量である。
上記の親油性乳化剤の水和物は、親水基が表面に向けて配列した状態にあり、通常の表面が親油性の乳化剤よりも水や生地に対する分散性が良好である。上記の親油性乳化剤の水和物は通常、温水に乳化剤を攪拌しながら分散溶解させて水和させることにより得られる、水に親油性乳化剤を懸濁しただけでは親油性乳化剤の水和物は得られない。
上記の温水の温度は50〜70℃の範囲であり、乳化剤の種類にもよるが、一般的に乳化剤の融点以上、特に5℃程度高い温度が好ましい。また乳化剤の種類にもよるが、温水における乳化剤の濃度が、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%、最も好ましくは2〜25質量%となるように調製することにより親油性乳化剤の水和物を得ることができる。
上記の親油性乳化剤は、好ましくはHLBが10未満、より好ましくはHLBが8以下である乳化剤である。
上記の親油性乳化剤の種類としては、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。本発明では、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルの中から選ばれた1種または2種以上を用いることが好ましく、グリセリンモノ脂肪酸エステルを用いることがより好ましい。
上記の親油性乳化剤を構成する脂肪酸の鎖長、即ち炭素数は特に制限されないが、炭素数12〜24が一般的である。また結合脂肪酸の種類としては、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもかまわないが、飽和脂肪酸が好ましい。
また本発明において上記の親油性乳化剤の水和物は市販品を用いることも可能である。
本発明では、上記の親油性乳化剤の水和物は後述する可塑性乳化油脂組成物の水相に存在する形態でパン生地に含有させることが好ましい。これは、親油性乳化剤の水和物のパン生地への分散性が向上するためである。
本発明のパン生地は、澱粉類100質量部に対して、アルギン酸類を0.01〜1質量部、好ましくは0.03〜0.5質量部、最も好ましくは0.05〜0.1質量部含有する。本発明においてアルギン酸類の含有量が、澱粉類100質量部に対して0.01質量部よりも少ないとボリュームのあるパン類が得られないので好ましくなく、1質量部よりも多いとパン類の食感が硬くなるので好ましくない。
上記アルギン酸類としては、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウムなどが挙げられ、これらの中から選択される1種または2種以上を用いることができる。本発明では上記アルギン酸類として、アルギン酸ナトリウム及び/またはアルギン酸プロピレングリコールエステルを用いることが好ましい。
本発明のパン生地は食用油脂を含有することが好ましい。
上記食用油脂としては、特に制限されるものではないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、ハイエルシン酸菜種油、キャノーラ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、落花生油、ゴマ油、オリーブ油、カカオ脂、サル脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに完全水素添加、分別及びエステル交換から選択された一又は二以上の処理を施した加工油脂や、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)等が挙げられる。本発明のパン生地では、これらの食用油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記食用油脂は、通常、食用油脂を含有する食品の形態で用いられる。その代表的な例としては、マーガリン、ショートニング、バターなどの可塑性油脂組成物や、流動状ショートニング、粉末油脂、純生クリーム・ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)・植物性ホイップ用クリーム、クリームチーズ、チョコペースト等をあげることができる。本発明では可塑性油脂組成物の形態で食用油脂を用いることが好ましい。
上記の食用油脂を含有する食品が乳化物である可塑性乳化油脂組成物である場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わないが、油中水型乳化物の形態で使用することが好ましい。
本発明のパン生地は、澱粉類100質量部に対し上記食用油脂を、好ましくは3〜50質量部、より好ましくは4〜40質量部、最も好ましくは5〜30質量部含有する。3質量部よりも少ないと、食用油脂に期待される効果、すなわちパン生地の伸展性向上効果やグルテン膜の保護効果が得られず、得られるパン類が硬くなりやすいので好ましくない。また、50質量部よりも多いと、パン生地のグルテン膜の構造が脆弱になりやすく、十分な窯伸びが得られにくく、更には得られるパン類の食感が、ねちゃつきやすいので好ましくない。
尚、食用油脂の含有量は、上記食用油脂を含有する食品の形態で使用する場合は、その純油脂含量で計算する。
次に上記親油性乳化剤の水和物が、可塑性乳化油脂組成物の水相中に存在する形態で含有する場合について説明する。
上記の可塑性乳化油脂組成物中の上記の親油性乳化剤の水和物の含有量は、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは3〜12質量%である。0.5質量%よりも少ないと、ソフト性のあるパン類が得られにくい。20質量%よりも多いと水相の粘度が増加してしまうため製造しにくい。なお、上記の可塑性乳化油脂組成物中の上記の親油性乳化剤の水和物の含有量は、親油性乳化剤の水和物に含まれる水分を除いた、純乳化剤の量である。
上記の可塑性乳化油脂組成物中の上記食用油脂の含有量は、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは35〜65質量%、最も好ましくは40〜60質量%である。
上記の可塑性乳化油脂組成物は水を含有する。
上記の水としては水道水や天然水等の水や、上記の可塑性乳化油脂組成物で含有させるその他の材料に由来する水分も含めたものとする。上記の水の含有量は上記の可塑性乳化油脂組成物中、好ましくは70質量%以下、より好ましくは55質量%以下、最も好ましくは40質量%以下である。
上記の可塑性乳化油脂組成物はその他の材料を含有してもよい。その他の材料としては、親油性乳化剤の水和物とグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル以外の乳化剤、増粘安定剤(キサンタンガム・グアガム・ローカストビーンガム・カラギーナン・アラビアガム・ペクチン・プルラン・タマリンドシードガム・結晶セルロース・カルボキシメチルセルロース・メチルセルロース・寒天・グルコマンナン・ゼラチン・ファーセルラン・タラガム・カラヤガム・トラガントガム・ジェランガム・大豆多糖類)、卵類、糖類や甘味料、β−カロチン・カラメル・紅麹色素などの着色料、トコフェロール・茶抽出物などの酸化防止剤、デキストリン、酵素類(アミラーゼ・プロテアーゼ・アミログルコシダーゼ・プルラナーゼ・ペントサナーゼ・セルラーゼ・リパーゼ・ホスフォリパーゼ・カタラーゼ・リポキシゲナーゼ・アスコルビン酸オキシダーゼ・スルフィドリルオキシダーゼ・ヘキソースオキシダーゼ・グルコースオキシダーゼ)、乳や乳製品(カゼイン・ホエー・クリーム・脱脂粉乳・発酵乳・牛乳・全粉乳・ヨーグルト・練乳・加糖練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳・純生クリーム・ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)・植物性ホイップ用クリーム)、ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・クリームチーズなどのチーズ類、原料アルコール、焼酎・ウイスキー・ウオッカ・ブランデーなどの蒸留酒、ワイン・日本酒・ビールなどの醸造酒、各種リキュール、無機塩類、食塩、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、野菜類・肉類・魚介類などの食品素材、コンソメ・ブイヨンなどの植物及び動物エキス、食品添加物などを使用することができる。その他の材料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、上記可塑性乳化油脂組成物中、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
上記可塑性乳化油脂組成物の油相と水相の割合は、質量比率で好ましくは、油相:水相=30:70〜70:30、より好ましくは油相:水相は45:55〜65:35である。
上記の可塑性乳化油脂組成物の製造方法は、まず食用油脂に必要によりその他の材料を添加した油相と、加温した水に親油性乳化剤の水和物となる親油性乳化剤や親油性乳化剤の水和物、必要によりその他の材料を添加した水相を乳化し、乳化物とする。
そして、次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。次に、冷却し、可塑化し、可塑性乳化油脂組成物を得る。本発明において、上記の冷却は好ましくは−0.5℃/分以上、より好ましくは−5℃/分以上とする。この際、徐冷却より急速冷却の方が好ましい。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。
また、上記の可塑性乳化油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
本発明のパン生地はグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを含有することが好ましい。本発明のパン生地において、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを含有させることにより、パン類のボリュームが向上し、またケービングや腰折れを防止することができる。
本発明のパン生地は、澱粉類100質量部に対して、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを好ましくは0.05〜1質量部、より好ましくは0.07〜0.7質量部、最も好ましくは0.06〜0.3質量部含有する。
なお上記グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルはパン生地に直接含有させてもよいし、可塑性油脂組成物の油相に存在する形態でパン生地に含有させてもよい。
上記の可塑性油脂組成物の油相に存在する形態でパン生地に含有させる場合は、ショートニングとして含有させてもよいが、好ましくは油中水型、水中油型、及び二重乳化型などの乳化物の形態で含有させることが好ましく、より好ましくは水中油型乳化物の形態で含有させることが好ましい。
上記のグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを可塑性水中油型乳化物の形態で用いる場合、可塑性水中油型乳化物中の上記グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%、最も好ましくは5〜15質量%である。
なお本発明において、上記の親油性乳化剤の水和物を水相に含有し、上記のグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを油相に含有した可塑性乳化油脂組成物を用いることも可能である。
本発明のパン生地では糖類を含有することが好ましい。
上記糖類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖等が挙げられる。本発明で用いるパン生地では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
尚、上記糖類は、加糖練乳、ジャム、果汁、フルーツソース、チョコペースト等の上記糖類を含有する食品の形態で用いることもできる。
本発明のパン生地は、上記澱粉類100質量部に対し、上記糖類を固形分として好ましくは3〜30質量部、より好ましくは5〜25質量部含有する。3質量部よりも少ないと、得られるパン類が硬くなりやすいので好ましくない。また、30質量部よりも多いと、パン生地がベトついた物性になりやすく、更にはパン生地中の酵母の発酵が抑制されやすくなり、得られるパン類は、ボリュームが小さなものになりやすい。尚、糖類の含有量は、上記糖類を含有する食品を使用する場合は、その純糖類含量で計算する。
本発明のパン生地は水を含有する。
上記水としては、天然水や水道水の他に、水分を含有する食品の形態、たとえば牛乳などの乳や乳製品、卵類、液糖、水と油脂を含有する乳化物の形態である場合には、該乳化物に含まれる水分も含むものとする。
本発明のパン生地は、上記澱粉類100質量部に対し、上記水を好ましくは50〜100質量部、より好ましくは60〜80質量部含有する。50質量部よりも少ないと、得られるパン類のソフト感が持続しないので好ましくない。100質量部よりも多いと、パン生地がべたつきやすくなり、作業性が悪化しやすい。
本発明で用いるパン生地は、上記の各成分以外に、通常のパン生地に使用可能な成分(以下、その他の成分という)を特に限定せず使用することができる。該その他の成分としては、例えば、親油性乳化剤の水和物とグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル以外の乳化剤、増粘安定剤(キサンタンガム・グアガム・ローカストビーンガム・カラギーナン・アラビアガム・ペクチン・プルラン・タマリンドシードガム・結晶セルロース・カルボキシメチルセルロース・メチルセルロース・寒天・グルコマンナン・ゼラチン・ファーセルラン・タラガム・カラヤガム・トラガントガム・ジェランガム・大豆多糖類)、酵素類(アミラーゼ・プロテアーゼ・アミログルコシダーゼ・プルラナーゼ・ペントサナーゼ・セルラーゼ・リパーゼ・ホスフォリパーゼ・カタラーゼ・リポキシゲナーゼ・アスコルビン酸オキシダーゼ・スルフィドリルオキシダーゼ・ヘキソースオキシダーゼ・グルコースオキシダーゼ)、乳や乳製品(カゼイン・ホエー・クリーム・脱脂粉乳・発酵乳・牛乳・全粉乳・ヨーグルト・練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳)、チーズ類(ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・クリームチーズ)、イースト、甘味料、卵類、デキストリン、アルコール類、膨張剤、無機塩類、食塩、イーストフード、生地改良剤、チョコチップ等のカカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、調味料、香辛料、香料、着色料、酸化防止剤、野菜類・肉類・魚介類等の食品素材、コンソメ・ブイヨン等の植物及び動物エキス、食品添加物等が挙げられる。
本発明のパン生地は、本発明の目的を損なわない限り、上記のその他の成分を任意に使用することができるが、パン生地で用いる澱粉類100質量部に対し、合計で好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、最も好ましくは70質量部以下となる範囲で含有させる。
本発明のパン生地は速成法、ストレート法、中種法、液種法、サワー種法、湯種法、酒種法、ホップ種法、中麺法、チョリーウッド法、連続製パン法、冷蔵生地法、冷凍生地法等の製パン法を適宜選択して製造することができ、ストレート法または中種法で製造することが好ましい。なお上記冷凍生地法は、混涅直後に冷凍する板生地冷凍法、分割丸め後に生地を冷凍する玉生地冷凍法、成形後に生地を冷凍する成形冷凍法、最終発酵(ホイロ)後に生地を冷凍するホイロ済み冷凍法等の種々の方法が採用できる。
本発明のパン生地は、パン生地であれば特に制限はないが、例えば食パン生地、菓子パン生地、デニッシュ・ペストリー生地、パイ生地、ドーナツ生地をあげることができる。なお上記のデニッシュ・ペストリー生地とパイ生地は、ロールイン用油脂を折り込む前の生地を指すものとする。
本発明のパン類は、澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料を、固形分として0.05〜7質量部、親油性乳化剤の水和物を0.05〜3質量部、アルギン酸類を0.01〜1質量部含有するパン生地を必要によりフロアータイム、分割、ベンチタイム、成形、ホイロをとり、焼成することにより得ることができる。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(可塑性乳化油脂組成物1の製造)
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油47.5質量%とパームステアリン2.5質量%を60℃前後に加熱し、乳化剤としてグリセリンモノオレイン酸エステル2質量%とグリセリンモノパルミチン酸エステル7質量%を混合した油相59質量%と、コーンスターチ1.8質量%、水和物となる親油性乳化剤であるHLB2のグリセリンモノパルミチン酸エステル2質量%を70℃に加温した温水37.2質量%に混合した水相41質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分)にかけ、可塑性乳化油脂組成物1を製造した。得られた可塑性乳化油脂組成物1を電子顕微鏡で確認したところ親油性乳化剤の水和物を含有していた。
(可塑性乳化油脂組成物2の製造)
大豆油24質量%、パームスーパーオレインのランダムエステル交換油23.5質量%とパームステアリン2.5質量%を60℃前後に加熱し、乳化剤としてグリセリンモノオレイン酸エステル2質量%とグリセリンモノパルミチン酸エステル7質量%を混合した油相59質量%と、コーンスターチ1.8質量%、水和物となる親油性乳化剤であるHLB2のグリセリンモノパルミチン酸エステル2質量%を70℃に加温した温水37.2質量%に混合した水相41質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分)にかけ、可塑性乳化油脂組成物2を製造した。得られた可塑性乳化油脂組成物2を電子顕微鏡で確認したところ親油性乳化剤の水和物を含有していた。
(可塑性乳化油脂組成物3の製造)
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油49.5質量%とパームステアリン2.5質量%を60℃前後に加熱し、乳化剤としてグリセリンモノオレイン酸エステル2質量%とグリセリンモノパルミチン酸エステル7質量%を混合溶解した油相61質量%と、コーンスターチ1.8質量%を70℃に加温した温水37.2質量%に混合した水相39質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分)にかけ、可塑性乳化油脂組成物3を製造した。得られた可塑性乳化油脂組成物3を電子顕微鏡で確認したところ親油性乳化剤の水和物を含有していなかった。
(可塑性水中油型乳化組成物1の製造)
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油35質量%を60℃前後に加熱し、乳化剤としてグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル10質量%を混合溶解した油相45質量%と、60℃前後に加温した水40質量%とソルビトール15質量%の水相55質量%とを乳化し、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分)にかけ、可塑性水中油型乳化組成物1を製造した。
(懸濁液1の製造)
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)5質量%、水飴35質量%及び蛋白質濃縮ホエイパウダー1.2質量%を、水58.8質量%に加え、混合し、55〜60℃に加温した。さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し懸濁液1を得た。
得られた懸濁液1の固形分は1.9質量%であった。
(実施例1)
上記の可塑性乳化油脂組成物1と乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料を含有する懸濁液1とアルギン酸プロピレングリコールエステルを用い、以下の配合と製法(中種法)にて本発明のパン類である実施例1の菓子パンを製造した。
なお実施例1で製造したパン生地は、澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として9.8質量%である乳原料を、固形分として0.19質量部、親油性乳化剤の水和物を0.3質量部、アルギン酸類を0.07質量部含有するパン生地であった。
<配合>
(中種配合)
強力粉 70質量部
イーストフード 0.1質量部
イースト 3質量部
ブドウ糖 3質量部
水 40質量部
(本捏配合)
強力粉 30質量部
食塩 1質量部
上白糖 20質量部
可塑性乳化油脂組成物1 15質量部
可塑性水中油型乳化組成物1 1質量部
懸濁液1 10質量部
アルギン酸プロピレングリコールエステル 0.07質量部
水 15質量部
<製法>
中種配合の全原料を、縦型ミキサーにて低速3分、中速1分ミキシングし、中種生地(捏ね上げ温度=26℃)を得た。得られた中種生地は28℃、相対湿度80%にて120分の中種発酵を取った。
次に本捏配合の可塑性乳化油脂組成物1と可塑性水中油型乳化組成物1以外の全原料と上記の中種発酵を行った中種生地を、縦型ミキサーにて低速3分、中速4分ミキシングした後、本捏配合の可塑性乳化油脂組成物1と可塑性水中油型乳化組成物1を添加して、低速3分、中速5分ミキシングし、パン生地(捏ね上げ温度=28℃)を得た。
得られたパン生地は、フロアータイムを30分とり、50gに分割した。さらに30分ベンチタイムを取った後、丸め成形をし、38℃、相対湿度85%、50分のホイロを取った後、上火190℃下火190℃オーブンで10分焼成した。
(実施例2)
実施例1において可塑性乳化油脂組成物1のかわりに、可塑性乳化油脂組成物2を用いたほかは、実施例1と同様の配合と製法にて本発明のパン類である実施例2の菓子パンを製造した。
なお実施例2で製造したパン生地は、澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として9.8質量%である乳原料を、固形分として0.19質量部、親油性乳化剤の水和物を0.3質量部、アルギン酸類を0.07質量部含有するパン生地であった。
(実施例3)
実施例2において可塑性水中油型乳化組成物1を用いないほか、実施例2と同様の配合と製法にて本発明のパン類である実施例3の菓子パンを製造した。
なお実施例3で製造したパン生地は、澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として9.8質量%である乳原料を、固形分として0.19質量部、親油性乳化剤の水和物を0.3質量部、アルギン酸類を0.07質量部含有するパン生地であった。
(実施例4)
以下の配合と製法(直捏法)にて本発明のパン類である実施例4の菓子パンを製造した。
なお実施例4で製造したパン生地は、澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として9.8質量%である乳原料を、固形分として0.19質量部、親油性乳化剤の水和物を0.3質量部、アルギン酸類を0.07質量部含有するパン生地であった。
<配合>
(配合)
強力粉 100質量部
イーストフード 0.1質量部
イースト 3質量部
食塩 1質量部
上白糖 20質量部
可塑性乳化油脂組成物1 15質量部
可塑性水中油型乳化組成物1 1質量部
懸濁液1 10質量部
アルギン酸プロピレングリコールエステル 0.07質量部
懸濁液1 10質量部
水 57質量部
<製法>
配合の可塑性乳化油脂組成物1と可塑性水中油型乳化組成物1以外の全原料を、縦型ミキサーにて低速3分、中速1分ミキシングした後、可塑性乳化油脂組成物1と可塑性水中油型乳化組成物1を添加して、低速3分、中速5分ミキシングし、パン生地(捏ね上げ温度=28℃)を得た。
得られたパン生地は、フロアータイムを60分とり、パンチ後更にフロアータイムを30分とった。その後、50gに分割し、30分ベンチタイムを取った後、丸め成形をし、38℃、相対湿度85%、50分のホイロを取った後、上火190℃下火190℃オーブンで10分焼成した。
(比較例1)
実施例1において可塑性乳化油脂組成物1のかわりに、可塑性乳化油脂組成物3を用いたほかは、実施例1と同様の配合と製法にて比較例1の菓子パンを製造した。
なお比較例1で製造したパン生地は、澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として9.8質量%である乳原料を、固形分として0.19質量部含有し、親油性乳化剤の水和物を含有せず、アルギン酸類を0.07質量部含有するパン生地であった。
(比較例2)
実施例1において懸濁液1を用いないほかは、実施例1と同様の配合と製法にて比較例2の菓子パンを製造した。
なお比較例2で製造したパン生地は、澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料を含有せず、親油性乳化剤の水和物を0.3質量部含有し、アルギン酸類を0.07質量部含有するパン生地であった。
(比較例3)
実施例1においてアルギン酸プロピレングリコールエステルを用いないほかは、実施例1と同様の配合と製法にて比較例3の菓子パンを製造した。
なお比較例3で製造したパン生地は、澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として9.8質量%である乳原料を、固形分として0.19質量部、親油性乳化剤の水和物を0.3質量部含有し、アルギン酸類を含有しないパン生地であった。
<評価>
実施例1〜4、比較例1〜3で得られた菓子パンについて以下の基準で評価し、結果を表1に示した。
(硬さ)
焼成した菓子パンを室温で1時間置き、熱が取れた後、ポリエチレン袋に密封し、室温(25℃)に保管した。焼成1日後、焼成3日後のパンを高さ30mmにカットした後、レオメーター(株式会社レオテック製)にて、厚さ50%まで加圧した時の荷重を測定した。測定条件は、測定速度6cm/min、接触面積314mm2(アダプター:直径2cm円盤使用)、1サンプルを3回測定し、その平均値を求め、これを硬さの評価とした。
(比容積)
焼成した菓子パンを室温で1時間置き、熱が取れた後、ポリエチレン袋に密封し、室温(25℃)に保管し、焼成1日後、3Dレーザースキャナー(株式会社アステックス製)にて体積(ml)を測定し、体積(ml)/質量(g)を比容績とした。
(食感)
焼成した菓子パンを室温で1時間置き、熱が取れた後、ポリエチレン袋に密封し、室温(25℃)に保管した。
焼成1日後、焼成3日後の菓子パンをパネラー8人にてソフトさ、しとり、口どけについて、下記基準にて評価し、その合計点にて評価をした。
(ソフトさ)
3点:きわめて良好
2点:良好
1点:やや悪い
(しとり)
3点:きわめて良好
2点:良好
1点:やや悪い
(口どけ)
3点:きわめて良好
2点:良好
1点:やや悪い
(合計点)
◎:20〜24点、○:12〜19点、×:11点以下
Figure 2013220061

Claims (4)

  1. 澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料を固形分として0.05〜7質量部、親油性乳化剤の水和物を0.05〜3質量部、アルギン酸類を0.01〜1質量部含有するパン生地。
  2. さらにグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを含有する請求項1に記載のパン生地。
  3. 上記親油性乳化剤の水和物が、可塑性乳化油脂組成物の水相中に存在する形態で含有する請求項1または2に記載のパン生地。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のパン生地を焼成したパン類。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016140311A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 ミヨシ油脂株式会社 製菓製パン用粉末油脂

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