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JP2013216276A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置 Download PDF

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JP2013216276A
JP2013216276A JP2012090565A JP2012090565A JP2013216276A JP 2013216276 A JP2013216276 A JP 2013216276A JP 2012090565 A JP2012090565 A JP 2012090565A JP 2012090565 A JP2012090565 A JP 2012090565A JP 2013216276 A JP2013216276 A JP 2013216276A
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abnormal
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JP2012090565A
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Shin Kumagai
紳 熊谷
Tomoyasu Aoki
友保 青木
Shuji Endo
修司 遠藤
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】操舵補助力を発生する電動モータの駆動制御に関わる機能部において使用される物理値について、当該物理値が故障検出マージン内の異常値である場合の当該異常値による操舵の異常挙動を低減することができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】電動パワーステアリング装置のモータ制御手段は、電動モータの駆動制御に関わる機能部で使用される物理値と、当該物理値に対して予め設定された正常値の範囲と故障検出しきい値との間に予め設定された故障の誤検出を抑制する数値範囲である故障検出マージン内の値であって、物理値が異常値であるか否かを判定するためのしきい値である異常判定しきい値とに基づき、物理値が異常値であるか否かを判定し、当該物理値が異常値であると判定すると、当該異常値によって生じる操舵挙動である異常挙動を低減する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、ステアリング機構に与える操舵補助力を発生する電動モータと、電動モータを制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置に関する。
従来、パワーステアリング装置の異常診断において、異常の過剰検出による不要なアシストの停止を低減する技術として、例えば、特許文献1に記載された技術がある。
特開平2010−221771号公報
上記従来技術では、診断精度を向上させた場合の過剰な誤検出によるアシストの不要な停止を抑制するために、2つの異常判定部を設けている。そして、これら2つの異常判定部の両方が異常を検出したときはアシストを停止し、片方のみが異常を検出したときはアシストを継続する。また、重度な異常から軽度の異常へと段階的な異常診断を行い、片方のみが異常を検出したときは、異常の段階(重さ)に応じてアシストトルクを段階的に制限する。
しかしながら、上記従来技術は、メインマイコンとサブマイコンとを備えたシステムに対して適用可能な異常診断方法である。そして、診断内容もメインマイコンとサブマイコンとにおけるプログラムの動作の異常診断、マイコン間の通信周期の異常診断、受信データの異常診断といった内容となる。つまり、2つのマイコンの動作状態を基準にアシストトルクを制限する制御を行うことになる。従って、例えば、操舵トルクセンサの電源電圧等のモータの駆動制御に関わる機能部で使用される物理値が、正常値では無いが故障として検出するに至らない故障検出マージン内の異常値であった場合に、この異常値による異常挙動に対して適切な挙動の低減処理(例えば、アシストトルクの制限等)を行うことは困難であった。例えば、設計上で故障として検出する境界の値の方が、製品上で危険挙動が発生する境界の値よりも正常値から離れている場合などに、適切な挙動の低減処理を行って危険挙動が発生するのを防ぐのは困難である。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、操舵補助力を発生する電動モータの駆動制御に関わる機能部において使用される物理値について、故障の誤検出を抑制するための故障検出マージンを削ることなく、当該物理値が故障検出マージン内の異常値である場合の当該異常値による操舵の異常挙動を低減することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
〔形態1〕 上記目的を達成するために、形態1の電動パワーステアリング装置は、ステアリング機構に与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、前記電動モータの駆動制御に関わる機能部で使用される物理値が予め設定された故障検出範囲の値であるか否かを判定するためのしきい値である故障検出しきい値と、前記物理値に対して予め設定された正常値の範囲と前記故障検出しきい値との間に予め設定された故障の誤検出を抑制する数値範囲である故障検出マージン内の値であって、前記物理値が異常値であるか否かを判定するためのしきい値である異常判定しきい値と、前記物理値と前記故障検出しきい値とに基づき、前記物理値が前記故障検出範囲の値であるか否かを判定する故障判定手段と、前記物理値と前記異常判定しきい値とに基づき、前記物理値が異常値であるか否かを判定する異常判定手段と、前記異常判定手段の判定結果に基づき、前記物理値が、前記異常値であると判定すると、当該異常値によって生じる操舵挙動である異常挙動を低減する異常挙動低減手段と、を備えることを特徴とする。
このような構成であれば、故障判定手段によって、物理値と故障検出しきい値とに基づき、物理値が故障検出範囲の値か否かを判定することが可能である。更に、異常判定手段によって、物理値と異常判定しきい値とに基づき、物理値が異常値であるか否かを判定することが可能である。更に、異常挙動低減手段によって、異常判定手段の判定結果に基づき、物理値が異常値であると判定されると、当該異常値によって生じる操舵挙動である異常挙動を低減することが可能である。
〔形態2〕 更に、形態2の電動パワーステアリング装置は、形態1の構成に対して、前記モータ制御手段は、前記機能部の出力値を使用して前記電動モータの駆動制御に関わる制御動作を実行する制御部を備え、前記異常挙動低減手段は、前記機能部からの出力値を、当該出力値が前記制御部に入力される前に補正することによって、前記異常挙動を低減することを特徴とする。
このような構成であれば、異常挙動低減手段によって、機能部からの出力値が制御部に入力される前に、当該出力値を補正して異常挙動を低減することが可能である。
〔形態3〕 更に、形態3の電動パワーステアリング装置は、形態2の構成に対して、前記モータ制御手段は、マイクロコンピュータを含んで構成され、アナログの入力値をデジタルの値に変換して前記マイクロコンピュータに入力するA/D変換器を備え、前記物理値は、前記マイクロコンピュータに供給されると共に前記A/D変換器の基準電圧としても使用される電源電圧値を含み、前記異常挙動検出手段は、前記電源電圧値が前記異常値であると判定すると、前記A/D変換器の出力値を、当該出力値が当該出力値を使用する前記制御部に入力される前に補正して、前記異常挙動を低減することを特徴とする。
このような構成であれば、故障判定手段によって、マイクロコンピュータに供給される電源電圧と故障検出しきい値とに基づき、当該電源電圧が故障範囲の値か否かを判定することが可能である。更に、異常判定手段によって、マイクロコンピュータに供給される電源電圧と異常判定しきい値とに基づき、当該電源電圧が異常値であるか否かを判定することが可能である。更に、異常挙動低減手段によって、電源電圧が異常値であると判定すると、マイクロコンピュータに供給される電源電圧を基準電圧として使用するA/D変換器の出力値を、当該出力値が当該出力値を使用する制御部に入力される前に補正して、異常挙動を低減することが可能である。
〔形態4〕 更に、形態4の電動パワーステアリング装置は、形態1乃至3のいずれか1の構成に対して、前記モータ制御手段は、前記機能部の出力値を使用して前記電動モータの駆動制御に関わる制御動作を実行する制御部を備え、前記異常挙動低減手段は、前記制御部の出力値を補正することによって、前記異常挙動を低減することを特徴とする。
このような構成であれば、異常挙動低減手段によって、機能部の出力値を使用して制御動作を実行する制御部の出力値を補正することによって、異常挙動を低減することが可能である。
〔形態5〕 更に、形態5の電動パワーステアリング装置は、形態4の構成に対して、前記モータ制御手段は、マイクロコンピュータを含んで構成されると共に、当該マイクロコンピュータの動作クロック信号によってサンプリング周波数が決定される、位相進み特性又は位相遅れ特性を有する制御部である位相特性制御部を備え、前記物理値は、前記マイクロコンピュータの動作クロック信号を含み、前記異常挙動低減手段は、前記動作クロック信号の周波数が前記異常値であると判定すると、前記位相特性制御部の制御出力値を補正して、前記異常挙動を低減することを特徴とする。
このような構成であれば、故障判定手段によって、マイクロコンピュータの動作クロック信号の周波数と、当該周波数に対して設定された故障検出しきい値とに基づき、当該周波数が故障範囲の値か否かを判定することが可能である。更に、異常判定手段によって、マイクロコンピュータ動作クロック信号の周波数と、当該周波数に対して設定された異常判定しきい値とに基づき、当該周波数が異常値であるか否かを判定することが可能である。更に、異常挙動低減手段によって、周波数が異常値であると判定すると、位相進み特性又は位相遅れ特性を有する制御部の出力値を補正して、異常挙動を低減することが可能である。
〔形態6〕 更に、形態6の電動パワーステアリング装置は、形態4の構成に対して、前記動作クロック信号の周波数に対応する前記故障検出しきい値は、前記周波数が低下する側のしきい値である故障検出下限しきい値を含み、前記動作クロック信号の周波数に対応する前記異常判定しきい値は、前記周波数が低下する側のしきい値である異常判定下限しきい値を含み、前記故障判定手段は、位相進み特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記周波数と前記故障検出下限しきい値とに基づき、前記周波数が前記故障検出範囲の値であるか否かを判定し、前記異常判定手段は、位相進み特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記周波数と前記異常判定下限しきい値とに基づき、前記物理値が異常値であるか否かを判定し、前記異常挙動低減手段は、位相進み特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記動作クロック信号の周波数が前記異常判定下限しきい値を低下する側に超えた異常値であると判定すると、前記位相進み特性を有する位相特性制御部の制御出力値を予め設定された値だけ低減させる補正を行うことを特徴とする。
このような構成であれば、故障判定手段によって、マイクロコンピュータの動作クロック信号の周波数と、故障検出下限しきい値とに基づき、当該周波数が低下する側の故障範囲の値か否かを判定することが可能である。更に、異常判定手段によって、マイクロコンピュータ動作クロック信号の周波数と、異常判定下限しきい値とに基づき、当該周波数が低下する側の異常値であるか否かを判定することが可能である。更に、異常挙動低減手段によって、周波数が低下する側の異常値であると判定すると、位相進み特性を有する制御部の出力値を低減させる補正を行って、異常挙動を低減することが可能である。
〔形態7〕 更に、形態7の電動パワーステアリング装置は、形態4の構成に対して、前記動作クロック信号の周波数に対応する前記故障検出しきい値は、前記周波数が上昇する側のしきい値である故障検出上限しきい値を含み、前記動作クロック信号の周波数に対応する前記異常判定しきい値は、前記周波数が上昇する側のしきい値である異常判定上限しきい値を含み、前記故障判定手段は、位相遅れ特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記周波数と前記故障検出上限しきい値とに基づき、前記周波数が前記故障検出範囲の値であるか否かを判定し、前記異常判定手段は、位相遅れ特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記周波数と前記異常判定上限しきい値とに基づき、前記周波数が異常値であるか否かを判定し、前記異常挙動低減手段は、位相遅れ特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記周波数が前記異常判定上限しきい値を前記上昇する側に超えた異常値であると判定すると、前記位相遅れ特性を有する位相特性制御部の制御出力値を予め設定された値だけ増加させる補正を行うことを特徴とする。
このような構成であれば、故障判定手段によって、マイクロコンピュータの動作クロック信号の周波数と、故障検出上限しきい値とに基づき、当該周波数が上昇する側の故障範囲の値か否かを判定することが可能である。更に、異常判定手段によって、マイクロコンピュータ動作クロック信号の周波数と、異常判定上限しきい値とに基づき、当該周波数が低下する側の異常値であるか否かを判定することが可能である。更に、異常挙動低減手段によって、周波数が上昇する側の異常値であると判定すると、位相遅れ特性を有する制御部の出力値を上昇させる補正を行って、異常挙動を低減することが可能である。
〔形態8〕 更に、形態8の電動パワーステアリング装置は、形態1乃至7のいずれか1の構成に対して、前記異常挙動低減手段は、補正対象値に対して最大値を制限するリミッタ処理、前記補正対象値に対してゲインを乗じるゲイン補正処理、及び前記補正対象値に対してオフセット値を加算するオフセット補正処理のうちいずれか1の補正処理を行うことによって、前記異常挙動を低減することを特徴とする。
このような構成であれば、異常挙動低減手段によって、補正対象値に対して、最大値を制限するリミッタ処理、ゲインを乗じるゲイン補正処理、及びオフセット値を加算するオフセット補正処理のうちいずれか1の補正処理を行うことによって、異常挙動を低減することが可能である。
〔形態9〕 更に、形態9の電動パワーステアリング装置は、形態1乃至8のいずれか1の構成に対して、前記機能部として、前記ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出部を備え、前記物理値は、前記操舵トルク検出部に供給される電源電圧値を含み、前記モータ制御手段は、前記制御部として、少なくとも前記操舵トルク検出部で検出した前記操舵トルクに基づきトルク指令値を演算する制御部を備えることを特徴とする。
このような構成であれば、異常判定手段によって、操舵トルク検出部で使用される電源電圧について、異常値であるか否かの判定を行うことが可能であり、異常挙動低減手段によって、電源電圧が異常値であると判定すると、操舵トルク検出部の出力値、又は、当該出力値を使用して制御動作を行う制御部の出力値等を補正して、異常挙動を低減することが可能である。
本発明によれば、故障が検出されないギリギリの領域で物理値が異常値となった場合に、当該異常値によって生じる操舵の異常挙動を低減することができる。これにより、高精度、高コストの部品を使用することなく、かつ故障検出マージンを削らなくても、危険挙動が発生する虞れを低減し、システムを安全な状態に保つことが可能となる。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示す 図である。 コントローラ15の概略構成図である。 コントローラ15の具体的な構成の一例を示すブロック図である。 (a)は、設計段階及び製品段階で定義される故障診断に係るしきい値等の一例を示す図であり、(b)は、故障検出しきい値及び異常判定しきい値の設定例を示す図である。 故障診断処理部50の具体的な構成例を示すブロック図である。 モータ角速度演算部201の具体的な構成例を示すブロック図である。 モータ駆動回路24の具体的な構成例を示すブロック図である。 トルクセンサ電源電圧値に対する第1の故障診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2の故障診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 故障検出しきい値に対してギリギリの異常が発生時に危険挙動が発生する場合の第2動作しきい値と故障検出しきい値との関係の一例を示す図である。 トルクセンサ電源電圧Vtsに対して異常判定しきい値を設定して異常挙動低減処理を実施した場合の各しきい値の関係の一例を示す図である。 (a)は、トルクセンサ電源電圧Vtsが低下時に生じる異常の一例を示す図であり、(b)は、(a)の異常に対して異常挙動低減処理を施した一例を示す図である。 動作クロック周波数fに対して異常判定しきい値を設定して異常挙動低減処理を実施した場合の各しきい値の関係の一例を示す図である。 本実施形態の故障診断処理部50の具体的構成の一例を示すブロック図である。 トルクセンサ電源電圧値に対する第3の故障診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 マイコン電源電圧Vccに対して異常判定しきい値を設定して異常挙動低減処理を実施した場合の各しきい値の関係の一例を示す図である。 本実施形態のコントローラ15の具体的な構成の一例を示すブロック図である。 本実施形態の故障診断処理部50の具体的な構成の一例を示すブロック図である。 本実施形態のモータ駆動回路24の具体的な構成の一例を示すブロック図である。 トルクセンサ電源電圧値に対する第4の故障診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 マイコン電源電圧値に対する第5の故障診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づき説明する。図1〜図13は、本発明に係るパワーステアリング装置の第1実施形態を示す図である。
(構成)
まず、ステアリング機構の構成について説明する。
図1は、本発明に係るパワーステアリング装置のステアリング機構の概略構成図である。
図1に示すように、ステアリング機構SMは、ステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が伝達される入力軸2aとこの入力軸2aに図示しないトーションバーを介して連結された出力軸2bとを有するステアリングシャフト2を備えている。このステアリングシャフト2は、ステアリングコラム3に回転自在に内装され、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は図示しないトーションバーに連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、2つのヨーク4a,4bとこれらを連結する十字連結部4cとで構成されるユニバーサルジョイント4を介して中間シャフト5に伝達される。さらに、この中間シャフト5に伝達された操舵力は、2つのヨーク6a,6bとこれらを連結する十字連結部6cとで構成されるユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ機構8で車両幅方向の直進運動に変換されて左右のタイロッド9に伝達され、これらタイロッド9によって転舵輪WL,WRを転舵させる。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速機構11と、この減速機構11に連結された操舵補助力を発生する電動機としての例えばブラシレスモータで構成される電動モータ12とを備えている。
また、減速機構11のステアリングホイール1側に連接されたハウジング13内に操舵トルク検出手段としての操舵トルクセンサ14が配設されている。この操舵トルクセンサ14は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するものである。この操舵トルクセンサ14は、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を非接触の磁気センサで検出するように構成されている。
次に、図2及び図3に基づき、電動モータ12を駆動制御するコントローラ15の構成を説明する。
図2は、コントローラ15の概略構成図である。図3は、コントローラ15の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
コントローラ15は、図2に示すように、電動モータ12の制御処理を実行するマイクロコンピュータ19(以下、マイコン19と称す)と、マイコン19から出力される補償後操舵補助トルク指令値Iref´に基づき電動モータ12に供給する駆動電流を制御するモータ駆動回路24とを含んで構成される。
マイコン19には、操舵トルクセンサ14で検出したトルク検出値TがA/D変換器18でデジタル値Tdに変換されて入力される。
マイコン19は、トルク検出値Td、車速検出値Vsおよびモータ回転角θが入力される入力インタフェース回路19aと、トルク検出値Td、車速検出値Vsおよびモータ回転角θに基づき電動モータ12を駆動制御して操舵トルクに応じた操舵補助力を発生する操舵補助制御処理を実行する中央処理装置19bとを有する。マイコン19は、さらに、中央処理装置19bで実行する操舵補助制御処理に必要なプログラム及びデータを記憶する記憶部としてのROM19cと、トルク検出値Tdおよびモータ回転角θ等の検出データ、中央処理装置19bで実行する操舵制御処理の処理過程で必要とするデータや処理結果を記憶するRAM19dと、出力インタフェース回路19eとを有する。
ROM19cは、操舵補助制御処理を中央処理装置19bに実行させるためのメインプログラムとなる操舵補助制御処理プログラム、故障診断処理および異常挙動低減処理を中央処理装置19bに実行させるためのサブプログラムとなる故障診断処理プログラム等のプログラムを格納するプログラム記憶領域を備えている。さらに、ROM19cは、操舵補助制御処理、故障診断処理および異常挙動低減処理に必要とするパラメータ等の変更することのないデータを記憶するデータ記憶領域を備えている。具体的に、ROM19cは、データ記憶領域に、後述する異常判定しきい値、故障検出しきい値等を記憶している。
コントローラ15は、具体的な機能構成部として、図3に示すように、故障診断処理部50と、回転情報演算部20と、操舵補助トルク指令値演算部21と、トルク指令値補償部22と、SAT(セルフアライニングトルク)推定フィードバック部23と、逆起電圧算出部25と、加算部46とを備えている。
なお、本実施形態において、上記各部の機能は、マイコン19によってプログラムを実行することによって実現されるもの、ハードウェア構成のみで実現されるもの、及びプログラムの実行によってハードウェアを制御することで実現されるものが混在する。
また、本実施形態において、コントローラ15は、操舵トルクセンサ14の電源電圧、マイコン19の電源電圧、マイコン19の動作クロック周波数、各センサの検出値等の電動モータ12の駆動制御に関わる機能部において使用される物理値について、故障診断処理及び異常挙動低減処理を実施する。
具体的に、コントローラ15は、各物理値が、予め設定された異常判定しきい値を超える値か否か、及び予め設定された故障検出しきい値を超える値か否かを判定する。そして、異常判定しきい値を超える値であると判定すると、後述する異常挙動低減処理を実施する。
一方、コントローラ15は、物理値が、故障検出しきい値を超えたと判定すると、故障検出信号を出力する。これにより、不図示の故障対応部において、該当の物理値が用いられている機能部や、当該機能部の出力値を用いる制御部などの動作を停止等する。
以下、図4に基づき、故障検出しきい値及び異常判定しきい値について説明する。
図4(a)は、設計段階及び製品段階で定義される故障診断に係るしきい値等の一例を示す図であり、(b)は、故障検出しきい値及び異常判定しきい値の設定例を示す図である。
まず、電動モータ12の駆動制御に関わる各機能部で使用される物理値(操舵トルクセンサ14の電源電圧、マイコン19の電源電圧、マイコン19の動作クロック周波数、各センサの検出値など)に対して、図4(a)に示す、〔1〕〜〔4〕の4つの値を定義する。ここで、図4における縦軸は故障診断対象の検出値(物理値)となる。
〔1〕第1動作しきい値:正常な操舵性が得られる正常動作範囲の物理値と、性能は劣化するが危険挙動ではない動作範囲(許容できる操舵挙動となる動作範囲)の物理値との境界値。
〔2〕第2動作しきい値:許容できる操舵挙動となる動作範囲の物理値と、危険挙動となる動作範囲の物理値との境界値。
〔3〕ハードウェア(H/W)設計値:H/Wの設計上とりうる限界値。
〔4〕故障検出しきい値:予め設定された故障検出マージンの値と、故障として検出される範囲の物理値との境界の値。
なお、上記〔1〕及び〔2〕は、実際の製品に対して定義される値であり、上記〔3〕及び〔4〕は、製品の設計段階において定義される値である。
なお、上記故障検出マージンは、故障の誤検出を抑制するために設けられるマージンである。
上記各値が、〔2〕>〔4〕>〔1〕>〔3〕、または〔3〕>〔1〕>〔4〕>〔2〕の関係となるようにシステムを設計することが望ましい。
ここで、故障検出しきい値をH/W設計値に近づけると、故障検出マージンが小さくなり、誤検出に対する耐性が悪化する。これを防ぐためには高精度な部品が必要となる(コスト上昇)。また、逆に故障検出マージンを大きくすると故障の検出性が悪化する。つまり、故障の検出性と、誤検出耐性とはトレードオフの関係にある。
図4(a)の例では、故障検出しきい値が、第2動作しきい値よりも物理値の正常値の範囲側に設定されているので、診断対象の物理値が危険挙動領域に入る前に先に故障として検出される。一方、例えば、故障検出しきい値が、第2動作しきい値よりも正常範囲から離れている場合は、診断対象の物理値が故障として検出されないギリギリの領域において危険挙動が発生する可能性がある。
そこで、本実施形態においては、故障検出マージンの範囲内において、図4(a)に示す範囲W内に、異常判定しきい値を設定した。そして、異常判定しきい値を超える物理値(以下、異常値と称す)について、当該異常値によって生じる操舵の異常挙動を低減する処理(異常挙動低減処理)を実施するようにした。つまり、異常判定しきい値によって、危険挙動領域に入ってしまう可能性があるが、故障として検出されない異常値を検出したことに応じて異常挙動を低減する処理を実施する。これにより、故障検出しきい値はそのままで、第2動作しきい値を引き上げることが可能となる。
異常判定しきい値は、例えば、図4(b)に示すように、故障検出マージンを挙動低減範囲として、挙動低減範囲と正常範囲との境界に設定する。
なお、本実施形態では、上記の故障診断機能及び異常挙動低減機能を、操舵トルクセンサ14の電源電圧Vtsと、マイコン19の動作クロック信号CLKに対して適用している。そして、電源電圧Vtsが異常判定しきい値を超えている(異常値である)と判定した場合に、A/D変換器18から出力される操舵トルクTdに対して異常挙動低減処理を実施する。また、動作クロック信号CLKの周波数が異常値であると判定した場合に、モータ角速度演算部201で演算されるモータ角速度ωに対して異常挙動低減処理を実施する。
図5は、故障診断処理部50の具体的な構成例を示すブロック図である。
故障診断処理部50は、図5に示すように、故障診断部500と、異常挙動低減部501とを含んで構成される。
故障診断部500は、操舵トルクセンサ14の電源電圧であるトルクセンサ電源電圧Vtsと、予め設定された異常判定しきい値Thv1とを比較して、トルクセンサ電源電圧Vtsが、異常判定しきい値Thv1を超えているか否かを判定する。これにより、トルクセンサ電源電圧Vtsが、異常判定しきい値Thv1を超えていると判定した場合は、異常挙動の低減指令を異常挙動低減部501に出力する。一方、トルクセンサ電源電圧Vtsが、異常判定しきい値Thv1を超えていないと判定した場合は、正常通知を異常挙動低減部501に出力する。
故障診断部500は、更に、トルクセンサ電源電圧Vtsが、予め設定された故障検出しきい値Thv1eを超えているか否かを判定する。これにより、トルクセンサ電源電圧Vtsが、故障検出しきい値Thv1eを超えていると判定した場合は、故障検出信号を故障対応部(不図示)に出力する。
異常挙動低減部501は、故障診断部500から低減指令を受信した場合、A/D変換器18から出力される操舵トルクTdに対して異常挙動低減処理を実施する。具体的には、操舵トルクTdを、操舵の異常挙動が低減されるように補正する。補正方法としては、例えば、操舵トルクTdの最大値を制限する、操舵トルクTdにオフセット値を加算する、操舵トルクTdにゲインを乗じるなどの方法がある。
異常挙動低減部501は、異常挙動低減処理を施した操舵トルクTd´を、操舵補助トルク指令値演算部21、SAT推定フィードバック部23等の操舵トルクを用いて処理を行う構成部にそれぞれ出力する。なお、異常挙動低減部501は、故障診断部500から正常通知を受信した場合、A/D変換器18から出力される操舵トルクTdに補正を施さずに、そのままTd´=Tdとして操舵補助トルク指令値演算部21に出力する。
以下、故障診断処理部50で行われる故障診断処理及び異常挙動低減処理を第1の故障診断処理と称す。
図3に戻って、回転情報演算部20は、モータ角速度ωを算出するモータ角速度演算部201と、このモータ角速度演算部201で算出されたモータ角速度ωを微分してモータ角加速度αを算出するモータ角加速度演算部202とを備えている。
本実施形態において、モータ角速度演算部201は、マイコン19の動作クロック信号CLKに基づき故障を診断する機能を有している。
以下、図6に基づき、モータ角速度演算部201の構成を説明する。図6は、モータ角速度演算部201の具体的な構成例を示すブロック図である。
モータ角速度演算部201は、図6に示すように、角速度演算部210と、故障診断部502と、異常挙動低減部503とを含んで構成される。
モータ角速度演算部201は、回転角センサ17で検出されるモータ回転角θを微分してモータ角速度ωを演算する。角速度演算部210は、演算したモータ角速度ωを、異常挙動低減部503に出力する。
ここで、マイコン19の動作クロック信号CLKが異常になると、サンプリング周波数が変化するため、制御特性が変化する。特に位相進み特性又は位相遅れ特性を有する制御機能は大きな影響を受ける。モータ角速度演算部201は、回転角センサ17で検出したモータ回転角θを微分してモータ角速度ωを演算するため位相進み(微分)特性を有している。そのため、動作クロック信号CLKの影響を大きく受ける。
故障診断部502は、マイコン19の動作クロック信号CLKを読み込み、当該動作クロック信号CLKの周波数を検出する。本実施形態では、この動作クロック信号CLKとして、外部のクロックジェネレータで生成された基準クロック信号を動作クロック信号CLKとして読み込む。また、故障診断部502をマイコン19の外部に設けて独立に動作させる構成としてもよい。
故障診断部502は、検出した周波数fと、異常判定しきい値Thfとを比較して、周波数fが、予め設定された異常判定しきい値Vtfを超えているか否かを判定する。これにより、周波数fが、異常判定しきい値Vtfを超えていると判定した場合は、異常挙動の低減指令を異常挙動低減部503に出力する。一方、周波数fが、異常判定しきい値Vtfを超えていないと判定した場合は、正常通知を異常挙動低減部503に出力する。
故障診断部502は、更に、周波数fが、故障検出しきい値Vtfeを超えているか否かを判定する。これにより、周波数fが、故障検出しきい値Vtfeを超えていると判定した場合は、故障検出信号を故障対応部に出力する。
異常挙動低減部503は、故障診断部502から低減指令を受信した場合、角速度演算部210から出力されるモータ角速度ωに対して異常挙動低減処理を実施する。具体的に、モータ角速度ωを、操舵の異常挙動が低減するように補正する。補正方法としては、上記操舵トルクTdの場合と同様の方法が採用可能である。
異常挙動低減部503は、異常挙動低減処理を施したモータ角速度ω´を、SAT推定フィードバック部23、トルク指令値補償部22、逆起電圧算出部25等のモータ角速度ωを処理に用いる各構成部にそれぞれ出力する。なお、異常挙動低減部503は、故障診断部502から正常通知を受信した場合、角速度演算部210から出力されるモータ角速度ωに補正を施さずに、そのままω´として各構成部に出力する。
以下、故障診断部502及び異常挙動低減部503で行われる故障診断処理及び異常挙動低減処理を第2の故障診断処理と称す。
図3に戻って、操舵補助トルク指令値演算部21は、トルク指令値算出部311と、位相補償部312と、センタ応答性改善部313と、加算部314とを備えている。
トルク指令値算出部311は、操舵トルクTd’及び車速Vsをもとに不図示の操舵補助トルク指令値算出マップを参照して電流指令値でなる操舵補助トルク指令値Irefbを算出する。操舵補助トルク指令値算出マップは、例えば、横軸に操舵トルクTd´をとり、縦軸に操舵補助トルク指令値Irefbをとると共に、車速Vsをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成される。
位相補償部312は、トルク指令値算出部311から出力される操舵補助トルク指令値Irefbの位相補償を行って位相補償値Irefb′を算出する。
センタ応答性改善部313は、故障診断処理部50から入力される操舵トルクTd’に基づき、操舵トルクTd’を微分演算処理して、アシスト特性不感帯での安定性確保、静摩擦の補償を行うセンタ応答性改善指令値Irを算出する。このセンタ応答性改善指令値Irによる補償は、ステアリング中立付近の制御の応答性を高め、滑らかでスムーズな操舵を実現することを目的としている。
加算部314は、位相補償部312の位相補償出力とセンタ応答性改善部313のセンタ応答性改善指令値Irとを加算して操舵補助トルク指令値Irefを算出する。
トルク指令値補償部22は、収斂性補償部43と、慣性補償部44と、加算部45とを少なくとも有する。
収斂性補償部43は、回転情報演算部20のモータ角速度演算部201で演算されたモータ角速度ωに基づいてヨーレートの収斂性を補償する。具体的に、収斂性補償部43は、モータ角速度演算部201で算出されたモータ角速度ωが入力され、ステアリングホイール1が振れ回る動作に対して、ブレーキをかけるように、モータ角速度ωに収斂性制御ゲインKcを乗じて収斂性補償値Icを算出する。この収斂性補償値Icにより、車両のヨーの収斂性を改善する。
慣性補償部44は、回転情報演算部20のモータ角加速度演算部202で演算されたモータ角加速度αに基づいて電動モータ12の慣性により発生するトルク相当分を補償する慣性補償値Iiを算出する。この慣性補償値Iiにより、慣性感又は制御応答性の悪化を防止する。
加算部45は、慣性補償部44で算出された慣性補償値Iiと収斂性補償部43で算出された収斂性補償値Icとを加算して、指令補償値Icomを算出する。加算部45は、算出した指令補償値Icomを加算部46に出力する。
SAT推定フィードバック部23は、操舵トルクT、モータ角速度ω、モータ角加速度α及び操舵補助トルク指令値演算部21で算出した操舵補助トルク指令値Irefbが入力され、これらに基づいてセルフアライニングトルクSATを推定演算する。
セルフアライニングトルクSATが発生する原理を説明すると、ドライバがステアリングホイール1を操舵することによって操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTに従って電動モータ12がアシストトルクTmを発生する。その結果、転舵輪WL,WRが転舵され、反力としてセルフアライニングトルクSATが発生する。また、その際、電動モータ12の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってステアリングホイール1の操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、下記(1)式のような運動方程式が得られる。
J・α+ Fr・sign(ω) + SAT = Tm + T …(1)
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、セルフアライニングトルクSATについて解くと下記(2)式が得られる。
SAT(s) = Tm(s) + T(s) - J・α(s) + Fr・sign(ω(s)) …(2)
上記(2)式から分かるように、電動モータ12の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ω、モータ角加速度α、アシストトルクTm及び操舵トルクT(本実施形態ではTd’)よりセルフアライニングトルクSATを推定することができる。ここで、アシストトルクTmは操舵補助トルク指令値Irefbに比例するので、アシストトルクTmに代えて操舵補助トルク指令値Irefbを適用する。
加算部46は、加算部45で算出された指令補償値Icomと、操舵補助トルク指令値演算部21から出力される操舵補助トルク指令値Irefと、SAT推定フィードバック部23から出力されるSATとを加算して、補償後操舵補助トルク指令値Iref′を算出する。加算部46は、算出した補償後操舵補助トルク指令値Iref′をモータ駆動回路24に出力する。
逆起電圧算出部25は、モータ角速度演算部201からのモータ角速度ωに予め設定された誘起電圧定数Keを乗算することで、逆起電圧EFMを算出する。
ここで、電動モータ12の電圧、電流の関係を式で表わすと下記(3)式のごとく表現できる。
Vm = EMF・(R + s・L)・I …(3)
ここで、Vmはモータの端子電圧、EMFはモータの逆起電圧、Iはモータ巻線電流、Rはモータ巻線抵抗値、Lはモータの巻線インダクタンス値である。sはラプラス演算子でd/dtを表わす。なお、EMFは下記(4)式で表される。
EMF = Ke・ω …(4)
逆起電圧算出部25は、算出したEMFをモータ駆動回路24の後述する加算部242に出力する。
ここで、図7は、モータ駆動回路24の具体的な構成例を示すブロック図である。
モータ駆動回路24は、図7に示すように、減算部240と、電流制御部241と、加算部242と、PWM制御部243と、インバータ回路244と、モータ電流検出部245とを備えている。
減算部240は、加算部46から出力される補償後操舵補助トルク指令値Iref´からモータ電流検出部245で検出されるモータ電流Imを減算して電流偏差ΔIref´を算出する。減算部240は、算出した電流偏差ΔIref´を電流制御部241に出力する。
電流制御部241は、減算部240から出力される電流偏差ΔIrefに基づき比例積分制御を行って電圧指令値Vrefを算出する。電流制御部241は、算出した電圧指令値Vrefを加算部242に出力する。
加算部242は、電流制御部241から出力される電圧指令値Vrefと、逆起電圧算出部25から出力される逆起電圧EMFを加算する。これにより逆起電圧補償が行われ補償後電圧指令値Vref´が算出される。加算部242は、算出した補償後電圧指令値Vref´をPWM制御部243に出力する。
PWM制御部243は、インバータ回路244に印加される電圧を、加算部242から出力される補償後電圧指令値Vref´で割ってPWMデユーティーに変換する。PWM制御部243は、このPWMデューティーに基づいてパルス幅変調(PWM)信号Duを形成する。PWM制御部243は、形成したパルス幅変調信号Duを、インバータ回路244に出力する。
インバータ回路244は、PWM制御部243から出力されるパルス幅変調信号によって電界効果トランジスタのゲートを制御して、補償後操舵補助トルク指令値Irefに応じたモータ電流Imを、電動モータ12に供給する。
(第1の故障診断処理)
次に、図8に基づき、故障診断処理部50の故障診断処理及び異常挙動低減処理(第1の故障診断処理)の処理手順を説明する。図8は、トルクセンサ電源電圧値に対する第1の故障診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第1の故障診断処理は、マイコン19の中央処理装置19bにおいてROM19cに記憶された第1の故障診断処理プログラムを実行することによって開始される。第1の故障診断処理が開始されると、図8に示すように、まず、ステップS100に移行する。ここで、第1の故障診断処理プログラムは、所定時間(例えば1msec)毎にタイマ割込処理として実行される。
ステップS100では、故障診断部500において、操舵トルクセンサ14のトルクセンサ電源電圧Vtsを読み込んで、ステップS102に移行する。
ステップS102では、故障診断部500において、ROM19cから、異常判定しきい値Thv1を読み出す。そして、トルクセンサ電源電圧Vtsと異常判定しきい値Thv1とを比較して、ステップS104に移行する。
ステップS104では、故障診断部500において、ステップS102の比較結果に基づき、トルクセンサ電源電圧Vtsは、異常判定しきい値Thv1を超えているか否かを判定する。そして、超えていると判定した場合(Yes)は、ステップS106に移行し、超えていないと判定した場合(No)は、正常通知を異常挙動低減部501に出力して、ステップS118に移行する。
ステップS106に移行した場合は、故障診断部500において、ROM19cから、故障検出しきい値Thv1eを読み出す。そして、トルクセンサ電源電圧Vtsと故障検出しきい値Thv1eとを比較して、ステップS108に移行する。
ステップS108では、故障診断部500において、ステップS106の比較結果に基づき、トルクセンサ電源電圧Vtsは、故障検出しきい値Thv1eを超えているか否かを判定する。そして、超えていると判定した場合(Yes)は、ステップS110に移行し、超えていないと判定した場合(No)は、低減指令を異常挙動低減部501に出力して、ステップS112に移行する。
ステップS110に移行した場合は、故障診断部500において、故障検出信号Erを出力すると共に、低減指令を異常挙動低減部501に出力して、ステップS112に移行する。
ステップS112では、異常挙動低減部501において、故障診断部500からの低減指令に応じて、操舵トルクTdを読み込んで、ステップS114に移行する。
ステップS114では、異常挙動低減部501において、操舵トルクTdに対して、異常挙動低減処理を実施して、ステップS116に移行する。
ステップS116では、異常挙動低減部501において、ステップS114で低減処理の施された操舵トルクTd´を、操舵トルクを用いて処理を行う各構成部にそれぞれ出力して、一連の処理を終了する。
一方、ステップS104において、トルクセンサ電源電圧Vtsが異常判定しきい値Thv1を超えておらず、ステップS118に移行した場合は、異常挙動低減部501において、故障診断部500からの正常通知に応じて、操舵トルクTdを読み込んで、ステップS120に移行する。
ステップS120では、異常挙動低減部501において、ステップS118で読み込んだ操舵トルクTdに対して低減処理を実施せずに、そのままの値をTd´として出力する。その後、一連の処理を終了する。
(第2の故障診断処理)
次に、図9に基づき、モータ角速度演算部201の故障診断処理及び異常挙動低減処理(第2の故障診断処理)の処理手順を説明する。図9は、第2の故障診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第2の故障診断処理は、マイコン19の中央処理装置19bにおいてROM19cに記憶された第2の故障診断処理プログラムを実行することによって開始される。第2の故障診断処理が開始されると、図9に示すように、まず、ステップS200に移行する。ここで、第2の故障診断処理プログラムは、所定時間(例えば1msec)毎にタイマ割込処理として実行される。
ステップS200では、故障診断部502において、外部のクロックジェネレータからマイコン19に供給される動作クロック信号CLKを読み込んで、ステップS202に移行する。
ステップS202では、故障診断部502において、ステップS200で読み込んだ動作クロック信号CLKに基づき、動作クロック周波数fを検出して、ステップS204に移行する。
ステップS204では、故障診断部502において、ROM19cから、異常判定しきい値Thfを読み出す。そして、周波数fと異常判定しきい値Thfとを比較して、ステップS206に移行する。
ステップS206では、故障診断部502において、ステップS204の比較結果に基づき、周波数fは、異常判定しきい値Thfを超えているか否かを判定する。そして、超えていると判定した場合(Yes)は、ステップS208に移行し、超えていないと判定した場合(No)は、正常通知を異常挙動低減部503に出力して、ステップS220に移行する。
ステップS208に移行した場合は、故障診断部502において、ROM19cから、故障検出しきい値Vtfeを読み出す。そして、周波数fと読み出した故障検出しきい値Vtfeとを比較して、ステップS210に移行する。
ステップS210では、故障診断部502において、ステップS208の比較結果に基づき、周波数fは、故障検出しきい値Vtfeを超えているか否かを判定する。そして、超えていると判定した場合(Yes)は、ステップS212に移行し、超えていないと判定した場合(No)は、低減指令を異常挙動低減部503に出力して、ステップS214に移行する。
ステップS212に移行した場合は、故障診断部502において、故障検出信号Erを出力すると共に、低減指令を異常挙動低減部503に出力して、ステップS214に移行する。
ステップS214では、異常挙動低減部503において、故障診断部502からの低減指令に応じて、角速度演算部210で演算したモータ角速度ωを読み込んで、ステップS216に移行する。
ステップS216では、異常挙動低減部503において、モータ角速度ωに対して、異常挙動低減処理を実施して、ステップS218に移行する。
ステップS218では、異常挙動低減部503において、ステップS216で低減処理の施されたモータ角速度ω´を、モータ角速度を処理に用いる各構成部に出力して、一連の処理を終了する。
一方、ステップS206において、周波数fが異常判定しきい値Thfを超えておらず、ステップS220に移行した場合は、異常挙動低減部503において、故障診断部502からの正常通知に応じて、角速度演算部210で演算したモータ角速度ωを読み込んで、ステップS222に移行する。
ステップS222では、異常挙動低減部503において、ステップS220で読み込んだモータ角速度ωに対して低減処理を実施せずに、そのままの値をω´として、モータ角速度を処理に用いる各構成部に出力する。その後、一連の処理を終了する。
(動作)
次に、図10〜図13に基づき、本実施形態の動作を説明する。
図10は、故障検出しきい値に対してギリギリの異常が発生時に危険挙動が発生する場合の第2動作しきい値と故障検出しきい値との関係の一例を示す図である。図11は、トルクセンサ電源電圧Vtsに対して異常判定しきい値を設定して異常挙動低減処理を実施した場合の第1及び第2動作しきい値と、H/W設計値と、異常判定しきい値と、故障検出しきい値との関係の一例を示す図である。図12(a)は、トルクセンサ電源電圧Vtsが低下時に生じる異常の一例を示す図であり、(b)は、(a)の異常に対して異常挙動低減処理を施した一例を示す図である。図13は、動作クロック周波数fに対して異常判定しきい値を設定して異常挙動低減処理を実施した場合の第1及び第2動作しきい値と、H/W設計値と、異常判定しきい値と、故障検出しきい値との関係の一例を示す図である。
ここでは、操舵トルクセンサ14のトルクセンサ電源電圧Vtsに対して、例えば、図10に示す関係で、上記〔1〕〜〔4〕の値が設定されているとする。
図10に示すように、設計段階において、H/W設計値は4.9[V]に設定されており、故障検出しきい値Thv1eは4.7[V]に設定されている。また、製品において、第1動作しきい値Thm1は4.85[V]となっており、第2動作しきい値Thm2は4.75[V]となっている。
従って、故障検出しきい値Thv1eのギリギリ手前の異常の発生時(例えば、4.72[V])において、トルクセンサ電源電圧Vtsが第2動作しきい値Thm2を超えてしまうため、操舵の挙動が危険挙動の領域に入ってしまう。これにより、故障が検出されない状態で、危険な操舵挙動が発生する恐れがある。
そこで、ここでは、図11に示すように、異常判定しきい値Thv1を4.8[V]に設定した。
いま、故障診断処理部50において、予め設定された割込みタイミングで、第1の故障検出処理が実行されたとする。
故障診断部500は、まず、操舵トルクセンサ14に供給されているトルクセンサ電源電圧Vtsを読み込む(S100)。例えば、電圧検出回路等を介してトルクセンサ電源電圧Vtsを読み込む。ここでは、例えば、「Vts=4.95[V]」が読み込まれたとする。故障診断部500は、読み込んだVts(4.95[V])と、異常判定しきい値Thv1(4.8[V])とを比較する(S102)。なお、トルクセンサ電源電圧Vtsが正常値(5[V])に対して低くなるほど危険挙動が発生するため、ここでは、VtsがThv1未満になった場合にVtsがThv1を超えたとして、Vtsが異常値であると判定する。同様に、Vtsが故障検出しきい値Thv1e未満になった場合にVtsがThv1eを超えたとして、Vtsが故障として検出される範囲の値であると判定する。
トルクセンサ電源電圧Vtsが4.95[V]の場合、VtsがThv1(4.8[V])以上となるので、故障診断部500は、VtsがThv1を超えていないと判定する(S104のNo)。従って、故障診断部500は正常通知を異常挙動低減部501に出力する。
これにより、異常挙動低減部501は、A/D変換器18から出力される操舵トルクTdを読み込み(S118)、読み込んだTdをそのまま低減処理後の操舵トルクTd´として、操舵トルクを用いて処理を行う各構成部に出力する(S120)。
一方、読み込んだトルクセンサ電源電圧Vtsが4.75[V]の場合、VtsがThv1(4.8[V])未満となるので、故障診断部500は、VtsがThv1を超えていると判定する(S104のYes)。従って、故障診断部500は、次に、トルクセンサ電源電圧Vts(4.75[V])と、故障検出しきい値Thv1e(4.7[V])とを比較する(S106)。Vtsが4.75[V]、Thv1eが4.7[V]となっているので、VtsがThv1eを超えていないと判定する(S108のNo)。これにより、故障診断部500は、低減指令を異常挙動低減部501に出力する。
異常挙動低減部501は、故障診断部500からの低減指令に応じて、操舵トルクTdを読み込み(S112)、読み込んだTdに対して異常挙動低減処理を実施する(S114)。
ここで、操舵トルクセンサ14が、操舵トルクの「−10[Nm]〜+10[Nm]」の範囲を、「0〜5[V]」で出力することとする。この場合、トルクセンサ電源電圧Vtsが低下すると、図12(a)に示すように、中立点(0[Nm]、2.5[V])がずれる。つまり、トルクを入力していなくても2.5[V]より低い電圧が検出されるため、マイナスのトルクとして認識されてしまう。
ここで、異常挙動低減部501は、図12(b)に示すように、A/D変換器18から読み込んだ操舵トルクセンサ14の検出値Tのデジタル値Td(以下、単に検出値Tdと称す)に対して、予め設定されたオフセット値を加算して、異常値による操舵挙動への影響を低減する。なお、オフセット値の加算に限らず、検出値Tdに対して、予め設定されたゲインを乗じて、異常値による操舵挙動への影響を低減してもよい。または、操舵トルクTdの上限に制限を設けて、制限値を超える場合に制限値以下に補正することで、異常値による操舵挙動への影響を低減してもよい。
このようにして、検出値Tdに対して異常挙動低減処理を実施すると、異常挙動低減部501は、低減処理の施された操舵トルクTd´を、操舵トルクを用いて処理を行う各構成部に出力する(S116)。
異常挙動低減処理を施すことによって、図11に示すように、故障検出しきい値Thv1eを変更することなく、第2動作しきい値Tm2を4.75[V]から4.5[V]まで引き上げることができる。つまり、異常挙動低減処理を施すことによって、危険挙動が発生する限界値を引き上げることができる。
また、読み込んだトルクセンサ電源電圧Vtsが4.68[V]の場合、VtsがThv1(4.8[V])未満となるので、故障診断部500は、VtsがThv1を超えていると判定する(S104のYes)。従って、故障診断部500は、次に、Vts(4.68[V])と、故障検出しきい値Thv1e(4.7[V])とを比較する(S106)。トルクセンサ電源電圧Vtsが4.68[V]、Thv1eが4.7[V]となっているので、VtsがThv1e未満であると判定する(S108のYes)。これにより、故障診断部500は、故障検出信号Erを故障対応部に出力すると共に、低減指令を異常挙動低減部501に出力する。なお、故障が検出された場合でも、異常挙動低減処理を実施するように構成したが、この構成に限らない。故障が検出された場合は、異常挙動低減処理を実施しない構成としてもよい。
異常挙動低減部501は、故障診断部500からの低減指令に応じて、操舵トルクTdを読み込み(S112)、読み込んだTdに対して異常挙動低減処理を実施する(S114)。そして、異常低減処理の施された検出値Td´を、対応する各構成部に出力する(S116)。
次に、マイコン19の動作クロック周波数fに対して、実施される第2の故障検出処理の動作を説明する。ここでは、例えば、設計段階において、H/W設計値は±2[%]に設定されており、故障検出しきい値Thfeは±10[%]に設定されている。また、製品において、第1動作しきい値Thm1は±5[%]となっており、第2動作しきい値Thm2は±9[%]となっている。例えば、動作クロック周波数が100[MHz]であれば、故障検出しきい値Thfeは110[MHz]及び90[MHz]が設定される。
具体的に、周波数が上昇する側では、設計段階において、H/W設計値は102[%]に設定され、故障検出しきい値Thfeは110[%]に設定されている。また、製品において、第1動作しきい値Thm1は105[%]となっており、第2動作しきい値Thm2は109[%]となっている。
一方、周波数が低下する側では、設計段階において、H/W設計値は98[%]に設定され、故障検出しきい値Thfeは90[%]に設定されている。また、製品において、第1動作しきい値Thm1は95[%]となっており、第2動作しきい値Thm2は91[%]となっている。
従って、故障検出しきい値Thfeのギリギリ手前の異常の発生時(例えば、109.5[%])において、クロック周波数fが第2動作しきい値Thm2を超えてしまうため、操舵の挙動が危険挙動の領域に入ってしまう。これにより、故障が検出されない状態で、危険な操舵挙動が発生する恐れがある。
そこで、ここでは、異常判定しきい値Thfを±7[%]に設定した。
図13は、周波数が上昇する側(+側)の場合の、上記〔1〕〜〔4〕の値と、異常判定しきい値Vtfとの関係の一例を示す図である。
図13の例では、異常判定しきい値Thfは、107[%]に設定される。
いま、モータ角速度演算部201の故障診断部502及び異常挙動低減部503において、予め設定された割込みタイミングで、第2の故障検出処理が実行されたとする。
故障診断部502は、まず、マイコン19に供給されている動作クロック信号CLKを読み込み(S200)、読み込んだ動作クロック信号CLKに基づき動作クロック周波数fを検出する(S202)。ここでは、例えば、100[%]の動作クロック周波数が100[MHz]であるとして、「f=106[MHz]」が検出されたとする。故障診断部502は、「f=106[MHz]」と、異常判定しきい値Thf(=107[MHz])とを比較する(S204)。ここでは、周波数fが上昇する側の異常判定しきい値をThfuとし、低下する側の異常判定しきい値をThfdとする。同様に、周波数fが上昇する側の故障検出しきい値をThfueとし、低下する側の故障検出しきい値をThfdeとする。
そして、周波数fが、Thfuを超えた場合に、周波数fが異常値であると判定する。また、周波数fがThfd未満となった場合に、周波数fが異常値であると判定する。同様に、周波数fが故障検出しきい値Thfueを超えた場合に、周波数fが故障として検出される範囲の値であると判定する。また、周波数fが故障検出しきい値Thfde未満となった場合に、周波数fが故障として検出される範囲の値であると判定する。
周波数fが106[MHz]の場合、周波数fがThfu(107[MHz])以下となるので、故障診断部500は、周波数fがThfuを超えていないと判定する(S206のNo)。従って、故障診断部500は正常通知を異常挙動低減部503に出力する。
これにより、異常挙動低減部503は、モータ角速度演算部201から出力されるモータ角速度ωを読み込み(S220)、読み込んだωをそのまま低減処理後のモータ角速度ω´として、モータ角速度を用いて処理を行う各構成部に出力する(S222)。
一方、検出した周波数fが108[MHz]の場合、周波数fがThfu(107[MHz])を超えるので、故障診断部500は、周波数fがThfuを超えていると判定する(S206のYes)。従って、故障診断部502は、次に、周波数f(108[MHZ])と、故障検出しきい値Thfue(110[MHz])とを比較する(S208)。周波数fが108[MHz]、Thfueが110[MHz]となっているので、周波数fがThfueを超えていないと判定する(S210のNo)。これにより、故障診断部502は、低減指令を異常挙動低減部503に出力する。
異常挙動低減部503は、故障診断部502からの低減指令に応じて、モータ角速度ωを読み込み(S214)、読み込んだωに対して異常挙動低減処理を実施する(S216)。
ここで、異常挙動低減部503は、モータ角速度ωに予め設定されたゲインを乗じて、異常値による操舵挙動への影響を低減する。なお、ゲインを乗じる構成に限らず、モータ角速度ωに対して、予め設定されたオフセット値を加算して、異常値による操舵挙動への影響を低減してもよい。
このようにして、モータ角速度ωに対して異常挙動低減処理を実施すると、異常挙動低減部503は、低減処理の施されたモータ角速度ω´を、モータ角速度を用いて処理を行う各構成部に出力する(S218)。
異常挙動低減処理を施すことによって、図13に示すように、故障検出しきい値Thfueを変更することなく、第2動作しきい値Tm2を109[%]から120[%]まで引き上げることができる。
また、検出した周波数fが111[MHz]の場合、周波数fがThfu(107[MHz])を超えるので、故障診断部502は、周波数fがThfuを超えていると判定する(S206のYes)。従って、故障診断部502は、次に、周波数f(111[MHz])と、故障検出しきい値Thfue(110[MHz])とを比較する(S208)。周波数fが111[MHz]、Thfueが110[MHz]となっているので、周波数fがThfueを超えていると判定する(S210のYes)。これにより、故障診断部502は、故障検出信号Erを故障対応部に出力すると共に、低減指令を異常挙動低減部503に出力する。なお、故障が検出された場合でも、異常挙動低減処理を実施するように構成したが、この構成に限らない。故障が検出された場合は、異常挙動低減処理を実施しない構成としてもよい。
異常挙動低減部503は、故障診断部502からの低減指令に応じて、モータ角速度ωを読み込み(S214)、読み込んだωに対して異常挙動低減処理を実施する(S216)。そして、異常低減処理の施されたモータ角速度ω´を、対応する各構成部に出力する(S218)。
以上説明したように、本実施形態のコントローラ15によれば、故障検出しきい値とH/W設計値との間に設定された、故障検出マージン内に異常判定しきい値を設定した。更に、検出した物理値(トルクセンサ電源電圧Vts、動作クロック周波数f)と、異常判定しきい値とを比較して、物理値が異常値であるか否かを判定する。そして、物理値が異常値であると判定した場合に、当該異常値によって生じる操舵の異常挙動を低減する処理を実施する。具体的に、物理値がトルクセンサ電源電圧Vtsの場合は、A/D変換器18から出力される操舵トルクTdに対して、予め設定されたオフセット値を加算する。また、物理値が動作クロック周波数fの場合は、モータ角速度演算部201から出力されるモータ角速度ωに対して、予め設定されたゲインを乗じる。
これにより、故障が検出されないギリギリの領域で物理値が異常値となった場合に、異常挙動を低減することができるので、実質的に第2動作しきい値を引き上げることが可能となる。つまり、高コストの部品の追加も無く、かつ故障検出マージンを削らなくても、危険挙動が発生する限界値を引き上げることが可能である。
ここで、上記説明において、故障診断部500,502は、故障判定手段及び異常判定手段を構成する。異常挙動低減部501,503は、異常挙動低減手段を構成する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づき説明する。図14〜図16は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の第2実施形態を示す図である。
(構成)
本実施形態は、上記第1実施形態の故障診断処理部50の診断対象をトルクセンサ電源電圧Vtsに代えて、A/D変換器18の基準電圧としても用いられる、マイコン19の電源電圧Vccにした点が異なる。
以下、上記第1実施形態と同様の構成部については同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
図14は、本実施形態の故障診断処理部50の具体的構成の一例を示すブロック図である。
図14に示すように、本実施形態の故障診断処理部50は、故障診断部504と、異常挙動低減部505とを含んで構成される。
ここで、コントローラ15の備えるマイコン19に供給される電源電圧Vcc(以下、マイコン電源電圧Vccと称す)は、同じくコントローラ15の備えるA/D変換器(例えば、A/D変換器18)の基準電圧としても使用される。従って、マイコン電源電圧Vccのずれは、全てのA/D変換器の出力値のずれとして影響する。
故障診断部504は、マイコン19の電源電圧であるマイコン電源電圧Vccと、予め設定された異常判定しきい値Thv2とを比較して、マイコン電源電圧Vccが、異常判定しきい値Thv2を超えているか否かを判定する。本実施形態において、故障診断部504は、マイコン電源電圧Vccの代替として、外部で生成された他の基準電圧をマイコン電源電圧Vccとして入力する。または、故障診断部504をマイコン19の外部で独立して動作させる構成としてもよい。この構成では、異常挙動低減部505は、外部の故障診断部504から診断結果を受信して、異常挙動低減処理を実施する。
故障診断部504は、マイコン電源電圧Vccが、異常判定しきい値Thv2を超えていると判定した場合は、異常挙動の低減指令を異常挙動低減部505に出力する。一方、マイコン電源電圧Vccが、異常判定しきい値Thv2を超えていないと判定した場合は、正常通知を異常挙動低減部505に出力する。
故障診断部504は、更に、マイコン電源電圧Vccが、予め設定された故障検出しきい値Thv2eを超えているか否かを判定する。これにより、マイコン電源電圧Vccが、故障検出しきい値Thv2eを超えていると判定した場合は、故障検出信号を故障対応部(不図示)に出力する。
異常挙動低減部505は、故障診断部504から低減指令を受信した場合、A/D変換器18から出力される操舵トルクTdに対して異常挙動低減処理を実施する。具体的には、操舵トルクTdを、操舵の異常挙動が低減されるように補正する。補正方法としては、例えば、操舵トルクTdの最大値を制限する、操舵トルクTdにオフセット値を加算する、操舵トルクTdにゲインを乗じるなどの方法がある。
異常挙動低減部505は、異常挙動低減処理を施した操舵トルクTd´を、操舵補助トルク指令値演算部21、SAT推定フィードバック部23等の操舵トルクを用いて処理を行う構成部にそれぞれ出力する。なお、異常挙動低減部505は、故障診断部504から正常通知を受信した場合、A/D変換器18から出力される操舵トルクTdに補正を施さずに、そのままTd´=Tdとして操舵補助トルク指令値演算部21に出力する。
以下、本実施形態の故障診断処理部50で行われる故障診断処理及び異常挙動低減処理を第3の故障診断処理と称す。
(第3の故障診断処理)
次に、図15に基づき、本実施形態の故障診断処理部50の故障診断処理及び異常挙動低減処理(第3の故障診断処理)の処理手順を説明する。図15は、マイコン電源電圧値に対する第3の故障診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第3の故障診断処理は、マイコン19の中央処理装置19bにおいてROM19cに記憶された第3の故障診断処理プログラムを実行することによって開始される。第3の故障診断処理が開始されると、図15に示すように、まず、ステップS300に移行する。ここで、第3の故障診断処理プログラムは、所定時間(例えば1msec)毎にタイマ割込処理として実行される。
ステップS300では、故障診断部504において、マイコン19に供給されるマイコン電源電圧値Vccを読み込んで、ステップS302に移行する。
ステップS302では、故障診断部504において、ROM19cから、異常判定しきい値Thv2を読み出す。そして、マイコン電源電圧値Vccと異常判定しきい値Thv2とを比較して、ステップS304に移行する。
ステップS304では、故障診断部504において、ステップS302の比較結果に基づき、マイコン電源電圧値Vccが、異常判定しきい値Thv2を超えているか否かを判定する。そして、超えていると判定した場合(Yes)は、ステップS306に移行し、超えていないと判定した場合(No)は、正常通知を異常挙動低減部505に出力して、ステップS318に移行する。
ステップS306に移行した場合は、故障診断部504において、ROM19cから、故障検出しきい値Thv2eを読み出す。そして、マイコン電源電圧値Vccと故障検出しきい値Thv2eとを比較して、ステップS308に移行する。
ステップS308では、故障診断部504において、ステップS306の比較結果に基づき、マイコン電源電圧値Vccが、故障検出しきい値Thv2eを超えているか否かを判定する。そして、超えていると判定した場合(Yes)は、ステップS310に移行し、超えていないと判定した場合(No)は、低減指令を異常挙動低減部505に出力して、ステップS312に移行する。
ステップS310に移行した場合は、故障診断部504において、故障検出信号Erを出力すると共に、低減指令を異常挙動低減部505に出力して、ステップS312に移行する。
ステップS312では、異常挙動低減部505において、故障診断部504からの低減指令に応じて、操舵トルクTdを読み込んで、ステップS314に移行する。
ステップS314では、異常挙動低減部505において、操舵トルクTdに対して、異常挙動低減処理を実施して、ステップS316に移行する。
ステップS316では、異常挙動低減部505において、ステップS314で低減処理の施された操舵トルクTd´を、操舵トルクを用いて処理を行う各構成部にそれぞれ出力して、一連の処理を終了する。
一方、ステップS304において、マイコン電源電圧値Vccが異常判定しきい値Thv2を超えておらず、ステップS318に移行した場合は、異常挙動低減部505において、故障診断部504からの正常通知に応じて、操舵トルクTdを読み込んで、ステップS320に移行する。
ステップS320では、異常挙動低減部505において、ステップS318で読み込んだ操舵トルクTdに対して低減処理を実施せずに、そのままの値をTd´として出力する。その後、一連の処理を終了する。
(動作)
次に、図16に基づき、本実施形態の動作を説明する。
図16は、マイコン電源電圧Vccに対して異常判定しきい値を設定して異常挙動低減処理を実施した場合の第1及び第2動作しきい値と、H/W設計値と、異常判定しきい値と、故障検出しきい値との関係の一例を示す図である。
ここでは、例えば、設計段階において、H/W設計値は±2[%]に設定されており、故障検出しきい値Thv2eは±20[%]に設定されている。また、製品において、第1動作しきい値Thm1は±5[%]となっており、第2動作しきい値Thm2は±15[%]となっている。例えば、マイコン電源電圧Vccが5[V]であれば、故障検出しきい値Thv2eは6[V]及び4[V]が設定される。
具体的に、電圧が上昇する側では、設計段階において、H/W設計値は5.1[V]に設定され、故障検出しきい値Thv2eは6[V]に設定されている。また、製品において、第1動作しきい値Thm1は5.25[V]となっており、第2動作しきい値Thm2は5.75[V]となっている。
一方、電圧が低下する側では、設計段階において、H/W設計値は4.9[V]に設定され、故障検出しきい値Thv2eは4[V]に設定されている。また、製品において、第1動作しきい値Thm1は4.75[V]となっており、第2動作しきい値Thm2は4.25[V]となっている。
従って、故障が検出されるまでに約20%のアシスト過多状態となる。そのため、ここでは、このぶれ幅を抑えることも考慮して、異常判定しきい値Thv2として、電圧が上昇する側で5.5[V]を設定し、電圧が低下する側で4.5[V]を設定する。
図16は、電圧が上昇する側(+側)の場合の、上記〔1〕〜〔4〕の値と、異常判定しきい値Thv2との関係の一例を示す図である。
いま、故障診断処理部50において、予め設定された割込みタイミングで、第3の故障検出処理が実行されたとする。
故障診断部504は、まず、外部からの基準電圧値をマイコン電源電圧値Vccとして読み込む(S300)。ここでは、例えば、「Vcc=5.25[V]」が読み込まれたとする。故障診断部504は、読み込んだVcc(5.25[V])と、異常判定しきい値Thv2(5.5[V])とを比較する(S302)。なお、マイコン電源電圧値Vccが正常値(5[V])に対して高くなるほど危険挙動が発生する可能性が上昇するため、ここでは、VccがThv2を超えた場合に、Vccが異常値であると判定する。同様に、Vccが故障検出しきい値Thv2e未満になった場合にVccがThv2eを超えたとして、Vccが故障として検出される範囲の値であると判定する。
マイコン電源電圧値Vccが5.25[V]の場合、VccがThv2(5.5[V])以下となるので、故障診断部504は、VccがThv2を超えていないと判定する(S304のNo)。従って、故障診断部504は正常通知を異常挙動低減部505に出力する。
これにより、異常挙動低減部505は、A/D変換器18から出力される操舵トルクTdを読み込み(S318)、読み込んだTdをそのまま低減処理後の操舵トルクTd´として、操舵トルクを用いて処理を行う各構成部に出力する(S320)。
一方、読み込んだマイコン電源電圧値Vccが5.75[V]の場合、VccがThv2(5.5[V])を超えるので、故障診断部504は、VccがThv2を超えていると判定する(S304のYes)。従って、故障診断部504は、次に、マイコン電源電圧値Vcc(5.75[V])と、故障検出しきい値Thv2e(6[V])とを比較する(S306)。Vccが5.75[V]、Thv2eが6[V]となっているので、VccがThv2eを超えていないと判定する(S308のNo)。これにより、故障診断部504は、低減指令を異常挙動低減部505に出力する。
異常挙動低減部505は、故障診断部504からの低減指令に応じて、操舵トルクTdを読み込み(S312)、読み込んだTdに対して異常挙動低減処理を実施する(S314)。
ここで、異常挙動低減部505は、上記第1実施形態の異常挙動低減部501と同様に、A/D変換器18から読み込んだ検出値Tdに対して、予め設定されたオフセット値を加算して、異常値による操舵挙動への影響を低減する。なお、オフセット値の加算に限らず、検出値Tdに対して、予め設定されたゲインを乗じて、異常値による操舵挙動への影響を低減してもよい。または、操舵トルクTdの上限に制限を設けて、制限値を超える場合に制限値以下に補正することで、異常値による操舵挙動への影響を低減してもよい。
このようにして、検出値Tdに対して異常挙動低減処理を実施すると、異常挙動低減部501は、低減処理の施された操舵トルクTd´を、操舵トルクを用いて処理を行う各構成部に出力する(S316)。
異常挙動低減処理を施すことによって、図16に示すように、故障検出しきい値Thv2eを変更することなく、第2動作しきい値Thm2を5.75[V]から6.5[V]まで引き上げることができる。つまり、異常挙動低減処理を施すことによって、危険挙動が発生する限界値を引き上げることができる。
また、読み込んだマイコン電源電圧値Vccが6.1[V]の場合、VccがThv2(5.5[V])を超えるので、故障診断部504は、VccがThv2を超えていると判定する(S304のYes)。従って、故障診断部504は、次に、Vcc(6.1[V])と、故障検出しきい値Thv2e(6[V])とを比較する(S306)。マイコン電源電圧値Vccが6.1[V]、Thv2eが6[V]となっているので、VccがThv2e未満であると判定する(S308のYes)。これにより、故障診断部504は、故障検出信号Erを故障対応部に出力すると共に、低減指令を異常挙動低減部505に出力する。なお、故障が検出された場合でも、異常挙動低減処理を実施するように構成したが、この構成に限らない。故障が検出された場合は、異常挙動低減処理を実施しない構成としてもよい。
異常挙動低減部505は、故障診断部504からの低減指令に応じて、操舵トルクTdを読み込み(S312)、読み込んだTdに対して異常挙動低減処理を実施する(S314)。そして、異常低減処理の施された検出値Td´を、対応する各構成部に出力する(S316)。
以上説明したように、本実施形態のコントローラ15によれば、故障検出しきい値とH/W設計値との間に設定された、故障検出マージン内に異常判定しきい値を設定した。更に、検出した物理値(トルクセンサ電源電圧Vts、動作クロック周波数f)と、異常判定しきい値とを比較して、物理値が異常値であるか否かを判定する。そして、物理値が異常値であると判定した場合に、当該異常値によって生じる操舵の異常挙動を低減する処理を実施する。具体的に、物理値がマイコン電源電圧値Vccの場合は、A/D変換器18から出力される操舵トルクTdに対して、予め設定されたオフセット値を加算する。
これにより、故障が検出されないギリギリの領域で物理値が異常値となった場合に、異常挙動を低減することができるので、実質的に第2動作しきい値を引き上げることが可能となる。つまり、高コストの部品の追加も無く、かつ故障検出マージンを削らなくても、危険挙動が発生する限界値を引き上げることが可能である。
ここで、上記説明において、故障診断部504は、故障判定手段及び異常判定手段を構成する。異常挙動低減部505は、異常挙動低減手段を構成する。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づき説明する。図17〜図21は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の第3実施形態を示す図である。
(構成)
本実施形態は、上記第1実施形態の故障診断処理部50を操舵補助トルク指令値演算部21の後段に設けて、補正対象を操舵トルクTdに代えて、操舵補助トルク指令値Irefにした点が上記各実施形態と異なる。更に、マイコン電源電圧Vccを診断対象とする故障診断部508を設けると共に、モータ駆動回路24を構成するPWM制御部243の後段に異常挙動低減部509を設け、異常挙動低減部509が、故障診断部508の診断結果に基づきPWM制御部243から出力されるパルス幅変調信号Duを補正する点が上記各実施形態と異なる。
以下、上記各実施形態と同様の構成部については同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
ここで、図17は、本実施形態のコントローラ15の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図18は、本実施形態の故障診断処理部50の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図19は、本実施形態のモータ駆動回路24の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態において、故障診断処理部50は、図17に示すように、操舵補助トルク指令値演算部21の後段に設けられる。
本実施形態において、故障診断処理部50は、図18に示すように、故障診断部506と、異常挙動低減部507とを備えている。
故障診断部506は、上記第1実施形態の故障診断部500と同様の構成となるので記載を省略する。
異常挙動低減部507は、故障診断部506から低減指令を受信した場合、操舵補助トルク指令値演算部21から出力される操舵補助トルク指令値Irefに対して異常挙動低減処理を実施する。具体的には、操舵補助トルク指令値Irefを、操舵の異常挙動が低減されるように補正する。補正方法としては、例えば、操舵補助トルク指令値Irefの最大値を制限する、操舵補助トルク指令値Irefにオフセット値を加算する、操舵補助トルク指令値Irefにゲインを乗じるなどの方法がある。
異常挙動低減部507は、異常挙動低減処理を施した操舵補助トルク指令値Irefcを、加算部46に出力する。なお、異常挙動低減部507は、故障診断部506から正常通知を受信した場合、操舵補助トルク指令値演算部21から出力される操舵補助トルク指令値Irefに補正を施さずに、そのままIrefc=Irefとして加算部46に出力する。
以下、本実施形態の故障診断処理部50で行われる故障診断処理及び異常挙動低減処理を第4の故障診断処理と称す。
次に、本実施形態のコントローラ15は、図19に示すように、故障診断部508と、異常挙動低減部509とを備えている。
ここで、マイコン19の電源電圧Vccのずれに過敏に影響される機能として、逆起電圧補償がある。逆起電圧補償は、逆起電圧算出部25で算出された逆起電圧EMFを、電圧指令値Vrefに加算することで行われる補償である。これにより補償後電圧指令値Vref´が算出される。この補償後電圧指令値Vref´は、PWM制御部243において、インバータ回路244に印加される電圧で割ってPWMデューティーに変換される。PWM制御部243は、このPWMデューティーに基づきパルス変調信号Duを生成する。
従って、マイコン電源電圧Vccが、正常値よりも高い場合に、インバータ電圧が低く検出され、PWMデューティーが高くなる。これにより、アシスト過多の状態が生じる。
故障診断部508は、上記第2実施形態の故障診断部504と同様の構成となるので説明を省略する。
異常挙動低減部509は、図19に示すように、PWM制御部243と、インバータ回路244との間に設けられている。
異常挙動低減部509は、故障診断部508から低減指令を受信した場合、PWM制御部243から出力されるパルス変調信号Duに対して異常挙動低減処理を実施する。具体的には、パルス変調信号Duを、操舵の異常挙動が低減されるように補正する。補正方法としては、例えば、パルス変調信号Duにゲインを乗じるなどの方法がある。
異常挙動低減部509は、異常挙動低減処理を施したパルス変調信号Du´を、インバータ回路244に出力する。なお、異常挙動低減部509は、故障診断部508から正常通知を受信した場合、PWM制御部243から出力されるパルス変調信号Duに補正を施さずに、そのままDu´=Duとしてインバータ回路244に出力する。
以下、本実施形態の故障診断部508及び異常挙動低減部509で行われる故障診断処理及び異常挙動低減処理を第5の故障診断処理と称す。
(第4の故障診断処理)
次に、図20に基づき、本実施形態の故障診断処理部50の故障診断処理及び異常挙動低減処理(第4の故障診断処理)の処理手順を説明する。図20は、トルクセンサ電源電圧値に対する第4の故障診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第4の故障診断処理は、マイコン19の中央処理装置19bにおいてROM19cに記憶された第4の故障診断処理プログラムを実行することによって開始される。第4の故障診断処理が開始されると、図20に示すように、まず、ステップS400に移行する。ここで、第4の故障診断処理プログラムは、所定時間(例えば1msec)毎にタイマ割込処理として実行される。
ここで、ステップS400〜S410の処理は、上記第1実施形態の故障診断部500で行われるステップS100〜S110の処理と同様となるので説明を省略する。
ステップS412では、異常挙動低減部509において、故障診断部508からの低減指令に応じて、操舵補助トルク指令値Irefを読み込んで、ステップS414に移行する。
ステップS414では、異常挙動低減部509において、操舵トルクTdに対して、異常挙動低減処理を実施して、ステップS316に移行する。
ステップS416では、異常挙動低減部509において、ステップS414で低減処理の施された操舵補助トルク指令値Iref´を、加算部46に出力して、一連の処理を終了する。
一方、ステップS404において、トルクセンサ電源電圧Vtsが異常判定しきい値Thv1を超えておらず、ステップS418に移行した場合は、異常挙動低減部509において、故障診断部508からの正常通知に応じて、操舵補助トルク指令値Irefを読み込んで、ステップS420に移行する。
ステップS420では、異常挙動低減部509において、ステップS418で読み込んだ操舵補助トルク指令値Irefに対して低減処理を実施せずに、そのままの値をIref´として加算部46に出力する。その後、一連の処理を終了する。
(第5の故障診断処理)
次に、図21に基づき、本実施形態の故障診断部508及び異常挙動低減部509の故障診断処理及び異常挙動低減処理(第5の故障診断処理)の処理手順を説明する。図21は、マイコン電源電圧値に対する第5の故障診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第5の故障診断処理は、マイコン19の中央処理装置19bにおいてROM19cに記憶された第5の故障診断処理プログラムを実行することによって開始される。第5の故障診断処理が開始されると、図21に示すように、まず、ステップS500に移行する。ここで、第5の故障診断処理プログラムは、所定時間(例えば1msec)毎にタイマ割込処理として実行される。
ここで、ステップS500〜S510の処理は、上記第2実施形態の故障診断部504で行われるステップS300〜S410の処理と同様となるので説明を省略する。
ステップS512では、異常挙動低減部509において、故障診断部508からの低減指令に応じて、パルス変調信号Duを読み込んで、ステップS514に移行する。
ステップS514では、異常挙動低減部509において、パルス変調信号Duに対して、異常挙動低減処理を実施して、ステップS516に移行する。
ステップS516では、異常挙動低減部509において、ステップS514で低減処理の施されたパルス変調信号Du´を、インバータ回路244に出力して、一連の処理を終了する。
一方、ステップS504において、マイコン電源電圧値Vccが異常判定しきい値Thv2を超えておらず、ステップS518に移行した場合は、異常挙動低減部509において、故障診断部508からの正常通知に応じて、パルス変調信号Duを読み込んで、ステップS520に移行する。
ステップS520では、異常挙動低減部509において、ステップS518で読み込んだパルス変調信号Duに対して低減処理を実施せずに、そのままの値をDu´としてインバータ回路244に出力する。その後、一連の処理を終了する。
(動作)
次に、本実施形態の動作を説明する。
ここで、第4の故障診断処理の動作については、異常挙動低減処理を行う対象が異なるのみで、上記〔1〕〜〔4〕の値、異常判定しきい値Thv1の設定内容は上記第1実施形態の第1の故障診断処理と同様となる。また、動作内容についても、上記第1実施形態の第1の故障診断処理の動作と一部同様となる。以下、異なる部分のみを詳細に説明する。
まず、故障診断部506において、トルクセンサ電源電圧Vtsが異常判定しきい値Thv1を超えていないと判定して、正常通知を異常挙動低減部507に出力したとする。
異常挙動低減部507は、故障診断部506からの正常通知に応じて、操舵補助トルク指令値演算部21から出力される操舵補助トルク指令値Irefを読み込み(S418)、読み込んだIrefをそのまま低減処理後の操舵補助トルク指令値Irefcとして、加算部46に出力する(S420)。
次に、故障診断部506において、トルクセンサ電源電圧Vtsが異常判定しきい値Thv1を超えていると判定し、かつ、Vtsが故障検出しきい値Thv1eを超えていないと判定して、低減指令を異常挙動低減部507に出力したとする。
異常挙動低減部507は、故障診断部506からの低減指令に応じて、操舵補助トルク指令値Irefを読み込み(S412)、読み込んだIrefに対して異常挙動低減処理を実施する(S414)。
ここで、異常挙動低減部507は、操舵補助トルク指令値Irefに対して、予め設定されたゲインを乗じて、異常値による操舵挙動への影響を低減する。なお、ゲインを乗じる方法に限らず、上記第1実施形態及び第2実施形態で説明した他の方法を用いてもよい。
このようにして、操舵補助トルク指令値Irefに対して異常挙動低減処理を実施すると、異常挙動低減部507は、低減処理の施された操舵補助トルク指令値Irefcを、加算部46に出力する(S416)。
異常挙動低減処理を施すことによって、故障検出しきい値Thv1eを変更することなく、第2動作しきい値Tm2を引き上げることができる。つまり、異常挙動低減処理を施すことによって、危険挙動が発生する限界値を引き上げることができる。
また、故障診断部506において、トルクセンサ電源電圧Vtsが異常判定しきい値Thv1を超えていると判定し、かつ、Vtsが故障検出しきい値Thv1eを超えていると判定したとする。
これにより、故障診断部506は、故障検出信号Erを故障対応部に出力すると共に、低減指令を異常挙動低減部507に出力する。なお、故障が検出された場合でも、異常挙動低減処理を実施するように構成したが、この構成に限らない。故障が検出された場合は、異常挙動低減処理を実施しない構成としてもよい。
異常挙動低減部507は、故障診断部506からの低減指令に応じて、操舵補助トルク指令値Irefを読み込み(S412)、読み込んだIrefに対して異常挙動低減処理を実施する(S414)。そして、異常低減処理の施された操舵補助トルク指令値Irefcを、加算部46に出力する(S416)。
次に、第5の故障診断処理の動作を説明する。
ここで、第5の故障診断処理の動作については、異常挙動低減処理を行う対象が異なるのみで、上記〔1〕〜〔4〕の値、異常判定しきい値Thv1の設定内容は上記第2の実施形態の第3の故障診断処理と同様となる。また、動作内容についても、上記第2実施形態の第3の故障診断処理の動作と一部同様となる。以下、異なる部分のみを詳細に説明する。
まず、故障診断部508において、マイコン電源電圧Vccが異常判定しきい値Thv2を超えていないと判定して、正常通知を異常挙動低減部509に出力したとする。
この場合、異常挙動低減部509は、故障診断部508からの正常通知に応じて、PWM制御部243から出力されるパルス変調信号Duを読み込み(S518)、読み込んだDuをそのまま低減処理後のパルス変調信号Du´として、インバータ回路244に出力する(S520)。
次に、故障診断部508において、マイコン電源電圧Vccが異常判定しきい値Thv2を超えていると判定し、かつ、Vccが故障検出しきい値Thv2eを超えていないと判定したとする。これにより、故障診断部504は、低減指令を異常挙動低減部505に出力する。
この場合、異常挙動低減部509は、故障診断部508からの低減指令に応じて、パルス変調信号Duを読み込み(S512)、読み込んだDuに対して異常挙動低減処理を実施する(S514)。
ここで、異常挙動低減部509は、PWM制御部243から読み込んだパルス変調信号Duに対して、予め設定されたゲインを乗じて、異常値による操舵挙動への影響を低減する。なお、ゲインを乗じる方法に限らず、上記第1実施形態及び第2実施形態で説明した他の方法を用いてもよい。
このようにして、パルス変調信号Duに対して異常挙動低減処理を実施すると、異常挙動低減部509は、低減処理の施されたパルス変調信号Du´を、インバータ回路244に出力する(S516)。
異常挙動低減処理を施すことによって、故障検出しきい値Thv2eを変更することなく、第2動作しきい値Thm2を引き上げることができる。つまり、異常挙動低減処理を施すことによって、危険挙動が発生する限界値を引き上げることができる。
次に、故障診断部508において、マイコン電源電圧Vccが異常判定しきい値Thv2を超えていると判定し、かつ、Vccが故障検出しきい値Thv2eを超えていると判定したとする。
これにより、故障診断部508は、故障検出信号Erを故障対応部に出力すると共に、低減指令を異常挙動低減部509に出力する。なお、故障が検出された場合でも、異常挙動低減処理を実施するように構成したが、この構成に限らない。故障が検出された場合は、異常挙動低減処理を実施しない構成としてもよい。
異常挙動低減部509は、故障診断部508からの低減指令に応じて、パルス変調信号Duを読み込み(S512)、読み込んだDuに対して異常挙動低減処理を実施する(S514)。そして、異常低減処理の施されたパルス変調信号Du´を、インバータ回路244に出力する(S516)。
以上説明したように、本実施形態のコントローラ15によれば、故障検出しきい値とH/W設計値との間に設定された、故障検出マージン内に異常判定しきい値を設定した。更に、検出した物理値(トルクセンサ電源電圧Vts、動作クロック周波数f)と、異常判定しきい値とを比較して、物理値が異常値であるか否かを判定する。そして、物理値が異常値であると判定した場合に、当該異常値によって生じる操舵の異常挙動を低減する処理を実施する。具体的に、物理値がトルクセンサ電源電圧Vtsの場合は、操舵補助トルク指令値演算部21から出力される操舵補助トルク指令値Irefに対して、予め設定されたゲインを乗じる。また、物理値がマイコン電源電圧Vccの場合は、PWM制御部243から出力されるパルス変調信号Duに対して、予め設定されたゲインを乗じる。
これにより、故障が検出されないギリギリの領域で物理値が異常値となった場合に、異常挙動を低減することができるので、実質的に第2動作しきい値を引き上げることが可能となる。つまり、高コストの部品の追加も無く、かつ故障検出マージンを削らなくても、危険挙動が発生する限界値を引き上げることが可能である。
ここで、上記説明において、故障診断部506,508は、故障判定手段及び異常判定手段を構成する。異常挙動低減部507,509は、異常挙動低減手段を構成する。
(変形例)
(1)上記実施形態では、位相進み特性を有するモータ角速度演算部201の出力値であるモータ角速度ωに対して異常挙動低減処理を実施する構成としたが、この構成に限らない。例えば、モータ角加速度演算部202においてもモータ角速度ωを微分してモータ角加速度αを演算しており位相進み特性を有しているので、モータ角加速度演算部202の出力値についても異常挙動低減処理を施す構成としてもよい。また、位相進み特性に限らず、位相遅れ特性(積分演算)を行う構成部を有している場合は、当該構成部の出力値に対して異常挙動低減処理を実施する構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、各故障診断部及び各異常挙動低減部で行われる処理を、マイコン19の中央処理装置19bにおいて、専用のサブプログラムを実行することで実現する構成としたが、この構成に限らない。各故障診断部及び各異常挙動低減部の一部又は全部をハードウェア主体の構成としてもよい。特に、異常挙動低減部は、オフセットの加算やゲインの乗算等を行って各低減対象の補正を行うので、ハードウェアで構成することが容易である。このことは、回転情報演算部20、操舵補助トルク指令値演算部21、トルク指令値補償部22、SAT推定フィードバック部23、モータ駆動回路24の機能についても同様であり、これらの全てをハードウェア主体で構成してもよいし、マイコン19を用いたソフトウェア主体で処理するように構成してもよい。
また、上記実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、均等物等は本発明に含まれるものである。
SM…ステアリング機構、1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、2a…入力軸、2b…出力軸、3…ステアリングコラム、4,6…ユニバーサルジョイント、5…中間シャフト、8…ステアリングギヤ機構、9…タイロッド、WL,WR…転舵輪、10…操舵補助機構、11…減速機構、12…電動モータ、14…操舵トルクセンサ、15…コントローラ、16…車速センサ、18…A/D変換器、19…マイクロコンピュータ、19a…入力インタフェース回路、19b…中央処理装置、19c…ROM、19d…RAM、19e…出力インタフェース回路、20…回転情報演算部、201…モータ角速度演算部、202…モータ角加速度演算部、21…操舵補助トルク指令値演算部、22…指令値補償部、23…SAT推定フィードバック部、24…モータ駆動回路、240…減算部、241…電流制御部、242…加算部、243…PWM制御部、244…インバータ回路、245…モータ電流検出部、25…逆起電圧算出部、312…位相補償部、313…センタ応答性改善部、314…加算部、43…収斂性補償部、44…慣性補償部、45,46…加算部、500,502,504,506,508…故障診断部、501,503,505,507,509…異常挙動低減部

Claims (9)

  1. ステアリング機構に与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
    前記電動モータの駆動制御に関わる機能部で使用される物理値が予め設定された故障検出範囲の値であるか否かを判定するためのしきい値である故障検出しきい値と、
    前記物理値に対して予め設定された正常値の範囲と前記故障検出しきい値との間に予め設定された故障の誤検出を抑制する数値範囲である故障検出マージン内の値であって、前記物理値が異常値であるか否かを判定するためのしきい値である異常判定しきい値と、
    前記物理値と前記故障検出しきい値とに基づき、前記物理値が前記故障検出範囲の値であるか否かを判定する故障判定手段と、
    前記物理値と前記異常判定しきい値とに基づき、前記物理値が異常値であるか否かを判定する異常判定手段と、
    前記異常判定手段の判定結果に基づき、前記物理値が、前記異常値であると判定すると、当該異常値によって生じる操舵挙動である異常挙動を低減する異常挙動低減手段と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記モータ制御手段は、前記機能部の出力値を使用して前記電動モータの駆動制御に関わる制御動作を実行する制御部を備え、
    前記異常挙動低減手段は、前記機能部からの出力値を、当該出力値が前記制御部に入力される前に補正することによって、前記異常挙動を低減することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記モータ制御手段は、マイクロコンピュータを含んで構成され、
    アナログの入力値をデジタルの値に変換して前記マイクロコンピュータに入力するA/D変換器を備え、
    前記物理値は、前記マイクロコンピュータに供給されると共に前記A/D変換器の基準電圧としても使用される電源電圧値を含み、
    前記異常挙動検出手段は、前記電源電圧値が前記異常値であると判定すると、前記A/D変換器の出力値を、当該出力値が当該出力値を使用する前記制御部に入力される前に補正して、前記異常挙動を低減することを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記モータ制御手段は、前記機能部の出力値を使用して前記電動モータの駆動制御に関わる制御動作を実行する制御部を備え、
    前記異常挙動低減手段は、前記制御部の出力値を補正することによって、前記異常挙動を低減することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記モータ制御手段は、マイクロコンピュータを含んで構成されると共に、当該マイクロコンピュータの動作クロック信号によってサンプリング周波数が決定される、位相進み特性又は位相遅れ特性を有する制御部である位相特性制御部を備え、
    前記物理値は、前記マイクロコンピュータの動作クロック信号を含み、
    前記異常挙動低減手段は、前記動作クロック信号の周波数が前記異常値であると判定すると、前記位相特性制御部の制御出力値を補正して、前記異常挙動を低減することを特徴とする請求項4に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記動作クロック信号の周波数に対応する前記故障検出しきい値は、前記周波数が低下する側のしきい値である故障検出下限しきい値を含み、
    前記動作クロック信号の周波数に対応する前記異常判定しきい値は、前記周波数が低下する側のしきい値である異常判定下限しきい値を含み、
    前記故障判定手段は、位相進み特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記周波数と前記故障検出下限しきい値とに基づき、前記周波数が前記故障検出範囲の値であるか否かを判定し、
    前記異常判定手段は、位相進み特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記周波数と前記異常判定下限しきい値とに基づき、前記物理値が異常値であるか否かを判定し、
    前記異常挙動低減手段は、位相進み特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記動作クロック信号の周波数が前記異常判定下限しきい値を低下する側に超えた異常値であると判定すると、前記位相進み特性を有する位相特性制御部の制御出力値を予め設定された値だけ低減させる補正を行うことを特徴とする請求項5に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記動作クロック信号の周波数に対応する前記故障検出しきい値は、前記周波数が上昇する側のしきい値である故障検出上限しきい値を含み、
    前記動作クロック信号の周波数に対応する前記異常判定しきい値は、前記周波数が上昇する側のしきい値である異常判定上限しきい値を含み、
    前記故障判定手段は、位相遅れ特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記周波数と前記故障検出上限しきい値とに基づき、前記周波数が前記故障検出範囲の値であるか否かを判定し、
    前記異常判定手段は、位相遅れ特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記周波数と前記異常判定上限しきい値とに基づき、前記周波数が異常値であるか否かを判定し、
    前記異常挙動低減手段は、位相遅れ特性を有する前記位相特性制御部に対して、前記周波数が前記異常判定上限しきい値を前記上昇する側に超えた異常値であると判定すると、前記位相遅れ特性を有する位相特性制御部の制御出力値を予め設定された値だけ増加させる補正を行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記異常挙動低減手段は、補正対象値に対して最大値を制限するリミッタ処理、前記補正対象値に対してゲインを乗じるゲイン補正処理、及び前記補正対象値に対してオフセット値を加算するオフセット補正処理のうちいずれか1の処理を行うことによって、前記異常挙動を低減することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  9. 前記機能部として、前記ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出部を備え、
    前記物理値は、前記操舵トルク検出部に供給される電源電圧値を含み、
    前記モータ制御手段は、前記制御部として、少なくとも前記操舵トルク検出部で検出した前記操舵トルクに基づきトルク指令値を演算する制御部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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