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JP2013200997A - 導電性部材、導電性部材の製造方法、及びタッチパネル - Google Patents

導電性部材、導電性部材の製造方法、及びタッチパネル Download PDF

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JP2013200997A
JP2013200997A JP2012068119A JP2012068119A JP2013200997A JP 2013200997 A JP2013200997 A JP 2013200997A JP 2012068119 A JP2012068119 A JP 2012068119A JP 2012068119 A JP2012068119 A JP 2012068119A JP 2013200997 A JP2013200997 A JP 2013200997A
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Tadashi Miyagishima
規 宮城島
Kenji Naoi
憲次 直井
Shinichi Nakahira
真一 中平
Tomohito Tanaka
智史 田中
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Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】パターン形状が視認されにくく、かつマイグレーションの問題が改良された、耐久性の高い導電性部材の提供。
【解決手段】基材上10の少なくとも一方の面にパターン状に配置された導電性領域と非導電性領域を有する導電性層20を有し、導電性領域における単位面積あたりの導電性金属繊維の存在量をA(mol/m)、非導電性領域における導電性金属繊維の存在量をB(mol/m)としたときの比B/Aが0.2未満であり、導電性領域のヘイズ値Aに対する非導電性領域のへイズ値Bの比が0.5〜1.0である導電性部材1。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶ディスプレイ・有機EL・タッチパネルなどの表示装置などに用いる電極用の導電性部材、該導電性部材を作製するための製造方法に関する。
液晶ディスプレイ・有機EL・タッチパネルなどの表示装置などに用いる電極用の透明導電材料としてITOが広く利用されている。しかし、インジウム金属の埋蔵量が少ないこと、長波長領域の透過率が低いことに起因する色味、低抵抗化には高温の熱処理が必要であること、屈曲耐性がないことなどの問題がある。
近年、透明導電材料として、従来のITO電極に代わり銀ナノワイヤー等の極細導電性繊維を用いた透明電極の利用が提案されている。これらはITO電極に比べ、製造の際に必要となる真空装置が不要になりコストを下げられる、曲げや伸張に対しひび割れが生じにくく、可撓性に優れる等の利点がある。
しかし一方で、導電性領域と非導電性領域とを有するようにパターニングした際のパターニング形状の視認性が悪く、液晶ディスプレイ・有機ELディスプレイ・タッチパネルなどの表示装置等に利用した際の品質を損ねる問題があった。これは、導電性領域と、導電性繊維をエッチング等により除去して形成される非導電性領域との光学特性の差が、従来のITO電極に比べ大きいためと考えられている。ここで、パターン形状の視認性とは、導電性領域と非導電性領域とを有する透明導電性部材において、パターン形状が目視で確認できる度合いのことを指し、視認性が悪化するとは、パターン形状が目視で確認しやすいということを指す。
パターン形状の視認性良化手段として、特許文献1には、非導電性領域の形成の際、銀ナノワイヤーを完全に除去するのではなく、部分除去(パーシャルエッチング)、酸化、あるいは塩化銀化する等で導電性を低下させて、銀成分を非導電性領域に残存させたまま非導電化し、導電性領域と非導電性領域との曇り度(ヘイズ)の差を減らすことが提案されている。
また、特許文献2には、非導電性領域の形成の際、プラズマ又はコロナ処理によって銀ナノワイヤーを酸化することによって、銀成分を非導電性領域に残存させたまま非導電化し、視認性を改善することが開示されている。
しかしながら、いずれにおいても、銀成分が非導電性領域に残存することから、エレクトロケミカルマイグレーション現象により、絶縁不良を起こすことが問題であった。特にパターン密度が高まり、導電性領域間の距離が短くなると、絶縁不良の問題がより顕著であった。
米国特許第8018568号明細書 特開2010−287540号公報
本発明は上記事情に着目してなされたものであって、パターン形状が視認されにくく、かつマイグレーションの問題が改良された、耐久性の高い導電性部材、該導電性部材の製造方法、および該導電性部材を用いたタッチパネルを提供することを目的とする。
本願発明者が鋭意検討を行った結果、以下の手段により上記課題は達成された。
[1]
基材と、基材上の少なくとも一方の面にパターン状に配置された導電性領域および非導電性領域を有する導電性層とを有し、
導電性層は、導電性金属繊維およびマトリクスを含み、
導電性金属繊維の主成分である金属の、導電性領域における単位面積あたりの存在量をA(mol/m)、非導電性領域における存在量をB(mol/m)としたときのAとBの比(B/A)が0.2未満であり、かつ
導電性領域のヘイズ値Aに対する非導電性領域のへイズ値Bの比(B/A)が、0.5〜1.0の範囲である導電性部材。
[2]
導電性領域が互いに接触することなく複数存在し、各々の導電性領域間の最短距離が、300μm以下である[1]に記載の導電性部材。
[3]
導電性金属繊維が、短軸径が150nm以下の銀ナノワイヤーである[1]又は[2]に記載の導電性部材。
[4]
導電性金属繊維が、短軸径が20nm以下の銀ナノワイヤーである[3]に記載の導電性部材。
[5]
導電性領域における、導電性金属繊維の主成分である金属の、導電性領域における単位面積あたりの存在量が、5〜20mg/mである[1]〜[4]のいずれか1項に記載の導電性部材。
[6]
導電性領域における、導電性金属繊維とマトリクスとの質量比が、1:5から1:10の範囲である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の導電性部材。
[7]
基材のヘイズ値が0.7%〜2.0%である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の導電性部材。
[8]
導電性領域の表面抵抗が150Ω/□以下、ヘイズ値が2.0%以下、透過率が92%以上である[1]〜[7]のいずれか1項に記載の導電性部材。
[9]
マトリクスが、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれた元素のアルコキシド化合物の少なくとも一つを加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物を含む[1]〜[8]のいずれか1項に記載の導電性部材。
[10]
非導電性領域の形成が、基材上に導電性金属繊維およびマトリクスを含む導電性層を形成後、導電性金属繊維を除去することによって行われる[1]〜[9]のいずれか1項に記載の導電性部材の製造方法。
[11]
[1]〜[9]のいずれか1項に記載の導電性部材を用いたタッチパネル。
本発明によれば、パターン形状が視認されにくく、かつマイグレーションの問題が改良された、耐久性の高い導電性部材、該導電性部材の製造方法、および該導電性部材を用いたタッチパネルを提供することができる。
本発明の導電性部材の一例を示す概略断面図である。 本発明の導電性部材の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の代表的な実施形態に基づいて記載されるが、本発明の主旨を超えない限りにおいて、本発明は記載された実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「光」という語は、可視光線のみならず、紫外線、エックス線、ガンマ線などの高エネルギー線、電子線のような粒子線等を含む概念として用いる。
本明細書中、アクリル酸、メタクリル酸のいずれか或いは双方を示すため「(メタ)アクリル酸」と、アクリレート、メタクリレートのいずれか或いは双方を示すため「(メタ)アクリレート」と、それぞれ表記することがある。
また、含有量は特に断りのない限り、質量換算で示し、特に断りのない限り、質量%は、組成物の総量に対する割合を表し、「固形分」とは、組成物中の溶剤を除く成分を表す。
<<<導電性部材>>>
本発明の導電性部材は、基材と、前記基材上の少なくとも一方の面にパターン状に配置された導電性領域および非導電性領域を有する導電性層とを有し、
前記導電性層は、導電性金属繊維およびマトリクスを含み、
前記導電性金属繊維の主成分である金属の、導電性領域における単位面積あたりの存在量をA(mol/m)、非導電性領域における存在量をB(mol/m)としたときのAとBの比(B/A)が0.2未満であり、かつ
導電性領域のヘイズ値Aに対する非導電性領域のへイズ値Bの比(B/A)が、0.5〜1.0の範囲である。
本発明において導電性領域とは、5000Ω/□(Ω/sq.)未満のシート抵抗値を有する領域であり、非導電性領域とは1MΩ/□以上のシート抵抗値を有する領域を示すものである。
本発明の導電性部材においては、導電性金属繊維の主成分である金属の、導電性領域における単位面積あたりの存在量をA(mol/m)、非導電性領域における存在量をB(mol/m)としたときのAとBの比(B/A)が0.2未満であることを要する。金属の非導電性領域における存在量を低減し、B/Aを0.2未満にすることによって、マイグレーション現象の発生を抑制でき、非導電性領域における絶縁性が良好となる。B/Aは0〜0.1であることが好ましく、0〜0.05であることがより好ましい。また、導電性領域に対する非導電性領域のへイズ値の比を制御する手段として後述の(2)の方法以外の手段を用いる場合においては、0であることが好ましい。
本発明の導電性部材は、導電性領域のヘイズ値Aに対する非導電性領域のへイズ値Bの比(B/A)が、0.5〜1.0の範囲であることを要する。へイズ値の比を上記範囲内とすることによって、パターンの視認性が良好となる。へイズ値の比(B/A)は0.6〜1.0であることがより好ましく、0.7〜1.0であることがさらに好ましい。
なお、導電性領域のヘイズ値とは、導電性領域と、該導電性領域の垂直方向に存在する、基材や後述する中間層など、導電性部材に含まれる全ての構成要素のヘイズ値の合計値である。
また、非導電性領域のヘイズ値とは、非導電性領域と、該非導電性領域の垂直方向に存在する、基材や後述する中間層など、導電性部材に含まれる全ての構成要素のヘイズ値の合計値である。
導電性領域と非導電性領域のヘイズ値の比を本発明の範囲に制御する手段としては、具体的には以下の方法が考えられる。
(1)導電性領域のヘイズのみを低下させる方法。
(2)非導電性領域のヘイズのみを増加させる方法。
(3)非導電性領域および非導電性領域の両方のヘイズを上げ、両者の比を小さくする方法。
これらの方法の中で、(1)の方法としては、ヘイズの原因となる導電性繊維の目付け量を減らすことが考えられる。このとき、導電性の低下を回避するために、ネットワークを形成する導電性繊維同士を効率的に接触させることが望ましく、導電性繊維同士を効率的に接触させるには、導電性繊維の凝集が起こらない範囲で、導電性層に含まれるマトリクスを減量することが望ましい。
また、導電性繊維に起因するヘイズを低減させるために、導電性繊維の短軸径を細くすることも有効である。導電性繊維の短軸径を細くする態様は、導電性繊維とマトリクス界面での光散乱を低減する効果と、導電性繊維間の接点数を増やすという観点で好ましい。
(2)の方法として、非導電性領域に導電性繊維を部分的に残存させて非導電性領域のヘイズ値を上げる際には、前述のように導電性金属繊維の主成分である金属の、導電性領域における単位面積あたりの存在量をA(mol/m)、非導電性領域における存在量をB(mol/m)としたときのAとBの比率B/Aが0.2未満となるようにすることでマイグレーションの悪化を生じない。
(3)の方法としては、基材全体のヘイズ値を高めることが好ましい。基材全体のヘイズ値を高めることにより、導電性領域と非導電性領域のヘイズ値の比が縮まり、パターンの視認性が改善できる。
以下、上記ヘイズ値の制御手段の詳細と共に、本発明の導電性部材につき説明する。
<<基材>>
本発明の導電性部材における基材としては、導電性層を担うことができるものである限り、目的に応じて種々のもの使用することができる。一般的には、板状またはシート状のものが使用される。
本発明において基材は、透明であることが好ましく、基材の全可視光透過率が70%以上のもの、より好ましくは85%以上のもの、更に好ましくは、90%以上のものが好ましい。
また、画像表示装置の視認者側表面に用いる場合、無色であることが望ましい。
基材としては、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラスや、各種透明プラスチックが好ましく使用できる。
プラスチックとしては、セルロースアシレート(例えば富士フイルム株式会社製、TAC−TD80U、TD80UF等のセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR株式会社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン株式会社製)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリペットVRL20A:商品名、三菱レイヨン株式会社製、特開2004−70296号公報や特開2006−171464号公報記載の環構造含有アクリル系樹脂)などが挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートが好ましく、セルローストリアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートが特に好ましい。
また、基材は可撓性を有することが好ましい。
これらの基材の導電性層が形成される表面は、所望により、アルカリ性水溶液による清浄化処理、シランカップリング剤などの薬品処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの前処理を行うことができる。これらの表面処理を施すことにより、基材表面を親水化処理した場合、基材表面の水に対する接触角は、好ましくは、0°〜40°、より好ましくは0°〜20°、最も好ましくは0°〜10°の範囲内である。
基材の厚さは、用途に応じて所望の範囲のものが使用される。一般的には、1μm〜500μmの範囲から選択され、3μm〜400μmがより好ましく、5μm〜300μmが更に好ましい。
上述のように、導電性領域と非導電性領域のヘイズ値の比を本発明の範囲に制御する手段として、基材全体のヘイズ値を高めることが好ましい。基材のヘイズ値を高める手段としては、光学散乱体となる微粒子を支持体内に含有させるか、もしくは微粒子およびマトリクスを含有する層を支持体に積層させる方法が好ましく、微粒子を含有する層を支持体上に積層させる方法がより好ましい。微粒子含有層の配置に特に制限は無いが、支持体と、導電性層の間に配置するか、あるいは支持体上の導電性層と反対側の面に配置することが好ましい。
光学散乱体となる微粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリメチルメタクリレート、メラミン、エポキシ、ベンゾグアナミン等の有機、無機の素材を使用することができる。
これら微粒子の平均粒径は、0.05μm以上10.0μm以下が好ましく、0.2μm以上5.0μm以下がより好ましく、0.5μm以上2.0μm以下が更に好ましい。また、これら微粒子は着色していないことが好ましい。
微粒子として無機微粒子を用いる場合、無機微粒子は表面処理を施して用いることも好ましい。表面処理法としてはプラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理とカップリング剤を使用する化学的表面処理があるが、カップリング剤の使用が好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。該無機微粒子がシリカの場合はシランカップリング処理が特に有効である。
導電性領域と非導電性領域のヘイズ値の比を本発明の領域に制御する手段として、基材のヘイズ値の制御のみで行う場合、基材のヘイズ値は0.50%以上2.5%未満であることが好ましく、0.7%以上2.0%未満であることがより好ましい。他の制御因子を併用する場合には、基材のヘイズ値は0.1%以上2.0%未満であることが好ましく、0.3%以上1.50%未満であることがより好ましい。基材のヘイズ値を高めることにより、基材表面の光反射が抑制でき、光学透過率を高める効果が得られ、好ましい。一方ヘイズ値が高すぎると表示装置に用いた場合の画像の解像度を損なう恐れがあるため、表示画像の解像度が優先される用途においては、導電性領域と非導電性領域のヘイズ値の比を本発明の領域に制御する手段としては、基材のヘイズ値を高める以外の手段を用いるか、これらの手段を併用することが望ましい。
<<導電性層>>
本発明に係る導電性層は、パターン状に配置された導電性領域および非導電性領域を有し、前記導電性層は、導電性金属繊維およびマトリクスを含む。
<導電性金属繊維>
本発明に係る導電性層には、導電性金属繊維(以下、導電性繊維とも表す)を含有する。導電性繊維は、中実構造、多孔質構造及び中空構造のいずれの態様をとるものであってもよいが、中実構造及び中空構造のいずれかであることが好ましい。本発明においては、中実構造の繊維をワイヤー、中空構造の繊維をチューブと、それぞれ称することがある。
前記繊維を形成する導電性材料としては、例えば、ITOや酸化亜鉛、酸化スズのような金属酸化物、金属性カーボン、金属元素単体、複数金属元素からなるコアシェル構造、複数金属からなる合金などが挙げられる。また、繊維状とした後、表面処理されていてもよく、例えば、鍍金された金属繊維なども用いることができる。
(金属ナノワイヤー)
透明導電膜を形成しやすいという観点からは、導電性繊維として、金属ナノワイヤーを用いることが好ましい。本発明における金属ナノワイヤーとは、例えば、アスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が30以上である金属微粒子であって、平均短軸長さが1nm〜150nmであって、平均長軸長さが1μm〜100μmのものが好ましい。
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さ(「平均長さ」と称することがある)としては、1μm〜40μmであることが好ましく、3μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。金属ナノワイヤーの平均長軸長さが長すぎると金属ナノワイヤー製造時に凝集物が生じる懸念があり、平均長軸長さ短すぎると、十分な導電性を得ることができないことがある。
ここで、前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(平均直径)及び平均長軸長さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)と光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができ、本発明においては、金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(平均直径)及び平均長軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーの短軸方向断面が円形でない場合の短軸長さは、短軸方向の測定で最も長い箇所の長さを短軸長さとした。また、金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長さとした。
本発明においては、金属ナノワイヤーの短軸長さ(平均直径)が150nm以下であることが好ましい。150nm以下であると、導電性に優れ、光散乱等による光学特性の悪化が生じにくい。短軸長さ(直径)が150nm以下であり、かつ長軸長さが5μm以上500μm以下である金属ナノワイヤーが、全導電性繊維中に金属量で50質量%以上含まれていることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましい。
前記短軸長さ(直径)が150nm以下であり、長さが5μm以上500μm以下である金属ナノワイヤーの割合が、50質量%以上含まれることで、十分な導電性が得られるとともに、電圧集中が生じがたく、これに起因する耐久性の低下を抑制しうるため好ましい。繊維状以外の導電性粒子が感光性層に含まれると、プラズモン吸収が強い場合には透明度が低下するおそれがあり好ましくない。
耐酸化性に優れ、耐久性に優れるという観点から、金属ナノワイヤーの短軸長さは5nm以上であることが好ましい。
導電性領域と非導電性領域のヘイズ値の比を本発明の範囲に制御する手段として、導電性繊維の短軸径を細くすることも好ましい。この場合、導電性繊維の短軸径は、好ましくは100nm以下、より好ましくは30nm以下、更に好ましくは25nm以下、最も好ましくは20nm以下である。導電性繊維を細くすることは、導電性繊維とマトリクス界面での光散乱を低減する効果と、導電性繊維間の接点数を増やすこと効果が期待され、好ましい。
本発明に係る導電性層に用いられる金属ナノワイヤーの短軸長さ(直径)の変動係数は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
前記変動係数が40%を超えると、短軸長さ(直径)の細いワイヤーに電圧が集中してしまうためか、耐久性が悪化することがある。
前記金属ナノワイヤーの短軸長さ(直径)の変動係数は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像から300個のナノワイヤーの短軸長さ(直径)を計測し、その標準偏差と平均値を計算することにより、求めることができる。
前記金属ナノワイヤーの形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であって鋭角的な角が存在しない断面形状であるものが好ましい。
前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
前記金属ナノワイヤーにおける金属としては、特に制限はなく、いかなる金属であってもよく、1種の金属以外にも2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金として用いることも可能である。これらの中でも、金属又は金属化合物から形成されるものが好ましく、金属から形成されるものがより好ましい。
前記金属としては、長周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、主成分として含むことが特に好ましい。
前記金属としては、具体的には銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、亜鉛、ニッケル又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金が好ましく、パラジウム、銅、銀、金、白金、錫及びこれらの合金がより好ましく、銀又は銀を含有する合金が特に好ましく、主成分が銀であることが最も好ましい。前記金属が銀を主成分とする場合には、銀の含有量はモル比率で90%〜100%であることが好ましく、95%〜100%であることがより好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤーの構成金属成分の中で、モル比率が最も多い成分が銀である金属ナノワイヤーを銀ナノワイヤーと定義する。銀ナノワイヤーが銀以外の金属を含む場合には、銀以外の金属は、金、パラジウム、亜鉛、ニッケルが特に好ましく、これらの銀以外の金属は銀ナノワイヤーの表面に存在させることで、銀ナノワイヤーの酸化、腐食、マイグレーション等を軽減でき好ましい。また、これらの銀以外の金属を銀の表面に存在させるためには、銀ナノワイヤー形成後、これら銀以外の金属からなる金属イオンを還元剤によって銀表面に析出させることが好ましい。これら銀以外の金属は、銀に対して0.01mol%〜10mol%含有させることが好ましく、0.01mol%〜2mol%含有させることがより好ましい。
(金属ナノワイヤーの製造方法)
前記金属ナノワイヤーは、特に制限はなく、いかなる方法で作製してもよいが、以下のようにハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。また、金属ナノワイヤーを形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、感光性層の経時安定性の観点から好ましい。
また、金属ナノワイヤーの製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報、米国公開特許2008/0210052号明細書などに記載の方法を用いることができる。
金属ナノワイヤーの製造に用いられる溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
加熱する場合、その加熱温度は、250℃以下が好ましく、20℃以上200℃以下がより好ましく、30℃以上180℃以下が更に好ましく、40℃以上170℃以下が特に好ましい。上記温度を20℃以上とすることで、形成される金属ナノワイヤーの長さが分散安定性を確保しうる好ましい範囲となり、且つ、250℃以下とすることで、金属ナノワイヤーの断面外周が鋭角を有しない、なめらかな形状となるため、透明性の観点から好適である。
なお、必要に応じて、粒子形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更は核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果があることがある。
前記加熱の際には、還元剤を添加して行うことが好ましい。
前記還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。
これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
前記還元剤によっては、機能として分散剤や溶媒としても機能する化合物があり、同様に好ましく用いることができる。
前記金属ナノワイヤー製造の際には分散剤と、ハロゲン化合物又はハロゲン化金属微粒子を添加して行うことが好ましい。
分散剤とハロゲン化合物の添加のタイミングは、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよいナノワイヤーを得るためには、核形成と成長を制御できるためか、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けることが好ましい。
前記分散剤を添加する段階は、粒子調製する前に添加し、分散ポリマー存在下で添加してもよいし、粒子調整後に分散状態の制御のために添加しても構わない。分散剤の添加を2段階以上に分けるときには、その量は必要とする金属ワイヤーの長さにより変更する必要がある。これは核となる金属粒子量の制御による金属ワイヤーの長さに起因しているためと考えられる。
前記分散剤としては、例えばアミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、又はこれらに由来するゲル等の高分子類、などが挙げられる。
分散剤として好適に用いられるポリマーとしては、例えば保護コロイド性のあるポリマーであるゼラチン、ポリビニルアルコール(P−3)、メチルセルロース、ヒドロキシプルピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン構造を含む共重合体、アミノ基やチオール基を有するポリアクリル酸、等の親水性基を有するポリマーが好ましく挙げられる。
分散剤として用いるポリマーはGPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が、3000以上300000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがより好ましい。
前記分散剤として使用可能な化合物の構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
使用する分散剤の種類によって得られる金属ナノワイヤーの形状を変化させることができる。
前記ハロゲン化合物としては、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリハライドや下記の分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
前記ハロゲン化合物によっては、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
前記ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
また、分散剤とハロゲン化合物とは双方の機能を有する単一の物質を用いてもよい。即ち、分散剤としての機能を有するハロゲン化合物を用いることで、1つの化合物で、分散剤とハロゲン化合物の双方の機能を発現する。
分散剤としての機能を有するハロゲン化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、アミノ基と塩化物イオンを含むHTAC(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含むドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリド、などが挙げられる。
なお、金属ナノワイヤー形成後の脱塩処理は、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
前記金属ナノワイヤーは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンをなるべく含まないことが好ましい。前記金属ナノワイヤーを水性分散物させたときの電気伝導度は1mS/cm以下が好ましく、0.1mS/cm以下がより好ましく、0.05mS/cm以下が更に好ましい。
前記金属ナノワイヤーを水性分散物させたときの20℃における粘度は、0.5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。
金属ナノワイヤー以外の、好ましい導電性繊維としては、中空繊維である金属ナノチューブが挙げられる。
(金属ナノチューブ)
金属ナノチューブの材料としては、特に制限はなく、いかなる金属であってもよく、例えば、前記した金属ナノワイヤーの材料などを使用することができる。
前記金属ナノチューブの形状としては、単層であってもよく、多層であってもよいが、導電性及び熱伝導性に優れる点で単層が好ましい。
前記金属ナノチューブの厚み(外径と内径との差)としては、3nm〜80nmが好ましく、3nm〜30nmがより好ましい。
前記厚みが、3nm以上であることで、十分な耐酸化性が得られ、80nm以下であることで、金属ナノチューブに起因する光散乱の発生が抑制される。
前記金属ナノチューブの平均短軸長さは、金属ナノワイヤーと同様に150nm以下であることが好ましい。好ましい短軸径は金属ナノワイヤーにおけるのと同様である。また、長軸長さは、1μm〜40μmが好ましく、3μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。
前記金属ナノチューブの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、米国出願公開2005/0056118号明細書等に記載の方法などを用いることができる。
(導電性繊維のアスペクト比)
本発明に用いうる導電性繊維のアスペクト比としては、10以上であることが好ましい。アスペクト比とは、一般的には繊維状の物質の長辺と短辺との比(平均長軸長さ/平均短軸長さの比)を意味する。
アスペクト比の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子顕微鏡等により測定する方法などが挙げられる。
前記導電性繊維のアスペクト比を電子顕微鏡で測定する場合、前記導電性繊維のアスペクト比が10以上であるか否かは、電子顕微鏡の1視野で確認できればよい。また、前記導電性繊維の長軸長さと短軸長さとを各々別に測定することによって、前記導電性繊維全体のアスペクト比を見積もることができる。
なお、前記導電性繊維がチューブ状の場合には、前記アスペクト比を算出するための直径としては、該チューブの外径を用いる。
前記導電性繊維のアスペクト比としては、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜1,000,000が好ましく、100〜1,000,000がより好ましい。
前記アスペクト比が、10未満であると、前記導電性繊維によるネットワーク形成がなされず導電性が十分取れないことがあり、1,000,000を超えると、導電性繊維の形成時やその後の取り扱いにおいて、成膜前に導電性繊維が絡まり凝集するため、安定な液が得られないことがある。
導電性層中、導電性領域における導電性繊維の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよい。
導電性領域と非導電性領域のヘイズ値の比を本発明の範囲に制御する手段として、ヘイズの原因となる導電性繊維の目付け量を減らすことも好ましい。この場合の導電性領域における導電性繊維量としては、2〜50mg/mであることが好ましく、より好ましくは5〜20mg/mである。
このとき、導電性の低下を回避するために、ネットワークを形成する導電性繊維同士を効率的に接触させることが望ましく、導電性繊維同士を効率的に接触させるには、導電性繊維の凝集が起こらない範囲で、導電性層に含まれるマトリクスを減量することが望ましい。導電性繊維同士を効率的に接触させるためには、導電性領域における、導電性金属繊維とマトリクスとの質量比(導電性金属繊維:マトリクス)が、1:2から1:15の範囲であることが好ましく、1:3から1:10の範囲であることがより好ましく、1:5から1:10の範囲であることが更に好ましく、1:5から1:8の範囲であることが特に好ましい。膜強度を高める観点では、マトリクスの比率は5以上であることが好ましい。
導電性層中、非導電性領域における導電性繊維の含有量としては、0、又はマイグレーションの悪化を生じない程度に微量であることが好ましい。導電性領域と非導電性領域のヘイズ値の比を本発明の範囲に制御する手段として上述の(2)を採用する場合、導電性繊維量は好ましくは30μmol/m以下、より好ましくは15μmol/m以下、さらに好ましくは10μmol/m以下とすることが好ましい。
<マトリクス>
導電性層は、さらにマトリクスを含む。
ここで、「マトリクス」とは、導電性繊維を含んで層を形成する物質の総称であり、本発明においては、導電性層における導電性繊維以外の全ての固形成分のことを指す。
マトリクスは、導電性繊維の分散を安定に維持させる機能を有するもので、非感光性のものであっても、感光性のものであってもよい。マトリクスを含むことにより、導電性層における導電性繊維の分散が安定に維持される上、基材表面に導電性層を、接着層を介することなく形成した場合においても基材と導電性層との強固な接着が確保される。
マトリクスは、有機高分子ポリマーのような非感光性のものであっても、フォトレジスト組成物のような感光性のものであっても良い。また、本発明の導電性層は粘度調整剤、界面活性剤、架橋剤、防食剤、防腐剤、酸化防止剤、重合開始剤、重合禁止剤、導電性繊維以外のフィラー等、各種の添加剤を含んでも良く、本発明においてこれらの添加剤の固形成分は全てマトリクスに含まれるものとする。
導電性層中、導電性繊維とマトリクスの含有比率は、質量比で1:0.001〜1:100の範囲が適当である。このような範囲に選定することにより、基材への導電性層の接着力、及び表面抵抗の適切なものが得られる。
また、導電性領域と非導電性領域のヘイズ値の比を本発明の範囲に制御する手段としてヘイズの原因となる導電性繊維の目付け量を減らす場合、既述のように、導電性の低下を回避するために、導電性層に含まれるマトリクスを減量することが望ましく、導電性繊維同士を効率的に接触させるためには、1:2から1:15の範囲であることが好ましく、1:3から1:10の範囲であることがより好ましく、1:5から1:10の範囲であることが更に好ましく、1:5から1:8の範囲であることが特に好ましい。導電性層の導電性繊維とマトリクスの含有比率をこれらの範囲に設定する方法としては、支持体上に導電性繊維およびマトリクスを同時または逐次に設置することで好ましく実施可能である。また、導電性繊維およびマトリクスの含有比率を調整する手段として、予め導電性繊維とマトリクスを含む導電性層を形成した後、マトリクスの質量をマトリクスの溶媒による溶出、あるいは縮合反応等の方法によって減じることも好ましく実施可能である。
マトリクスは、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれた元素のアルコキシド化合物の少なくとも一つを加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物を含むことが好ましい。上記ゾルゲル硬化物を使用することによって、マトリクスを減量する場合においても膜強度の低下が避けられるため好ましい。さらに、キズおよび磨耗に対して高い耐性を有するものが容易に製造できるという点からも好ましい。
アルコキシド化合物は、下記一般式(II)又は(III)で示される化合物であることが、入手が容易である点で好ましい。
(OR 4−a (II)
Al(OR 3−b (III)
(一般式(II)及び(III)中、MはSi、Ti、Zrからなる群より選ばれる元素を示し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。bは2〜3の整数を示す。)
一般式(II)におけるRおよびRの各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。
アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
以下に、一般式(II)で示される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
がSiでaが2の場合、即ち2官能のアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
がSiでaが3の場合、即ち3官能のアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
がSiでaが4である場合、即ち4官能のアルコキシドシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。
がTiでaが2の場合、即ち2官能のアルコキシチタネートとしては、例えば、ジメチルジメトキシチタネート、ジエチルジメトキシチタネート、プロピルメチルジメトキシチタネート、ジメチルジエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、ジプロピルジエトキシチタネート、フェニルエチルジエトキシチタネート、フェニルメチルジプロポキシチタネート、ジメチルジプロポキシチタネート等を挙げることができる。
がTiでaが3の場合、即ち3官能のアルコキシチタネートとしては、例えば、メチルトリメトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、プロピルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、プロピルトリエトキシチタネート、クロロメチルトリエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート、フェニルトリプロポキシチタネート等を挙げることができる。
がTiでaが4の場合、即ち4官能のアルコキシチタネートとしては、例えば、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート等を挙げることができる。
がZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
一般式(III)の場合、即ち、アルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
アルコキシド化合物は市販品として容易に入手できるし、公知の合成方法、たとえば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
アルコキシド化合物は、一種類の化合物を単独で用いても、二種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
ゾルゲル反応を促進させるために、酸性触媒または塩基性触媒を併用することが反応効率を高められるので、実用上好ましい。以下、この触媒について、説明する。
〔触媒〕
触媒としては、アルコキシド化合物の加水分解および重縮合の反応を促進させるものであれば使用することができる。
このような触媒としては、酸、あるいは塩基性化合物が含まれ、そのまま用いるか、又は、水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)で使用される。
酸、あるいは塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸或いは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高過ぎる塩基性触媒を用いると、沈殿物が生成して導電性層に欠陥となって現れる場合があるので、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には、導電性層中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで示される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
金属錯体からなるルイス酸触媒もまた好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期律表の2A,3B,4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg,Ca,Sr,Baなどの2A族元素、Al,Gaなどの3B族元素,Ti,Zrなどの4A族元素及びV,Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液の経時安定性、並びに導電性層の皮膜面質および高耐久性に優れるものを得られる。
上記の金属錯体触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
本発明に係る触媒は、前記ゾルゲル塗布液中に、その不揮発性成分に対して、好ましくは0〜50質量%、更に好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。触媒は、単独で用いても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
〔溶剤〕
上記のゾルゲル塗布液には、基板上に均一な塗布液膜の形成性を確保するために、所望により、有機溶剤を含有させてもよい。
このような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、VOC(揮発性有機溶剤)の関連から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、ゾルゲル塗布液の総質量に対して50質量%以下の範囲が好ましく、更に30質量%以下の範囲がより好ましい。
基板上に形成されたゾルゲル塗布液の塗布液膜中においては、アルコキシド化合物の加水分解及び縮合の反応が起こるが、その反応を促進させるために、上記塗布液膜を加熱、乾燥することが好ましい。ゾルゲル反応を促進させるための加熱温度は、30℃〜200℃の範囲が適しており、50℃〜180℃の範囲がより好ましい。加熱、乾燥時間は10秒間〜300分間が好ましく、1分間〜120分間がより好ましい。
好適な非感光性マトリクスには、有機高分子ポリマーが含まれる。有機高分子ポリマーの具体例には、ポリメタクリル酸(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル))、ポリアクリレート、およびポリアクリロニトリルなどのポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、フェノールまたはクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、およびポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、および環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース、シリコーンおよびその他のシリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサンおよびポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、およびフッ素重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、またはポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンの共重合体、および炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子株式会社製「LUMIFLON」(登録商標))、および非晶質フルオロカーボン重合体または共重合体(例えば、旭硝子株式会社製の「CYTOP」(登録商標)またはデュポン社製の「Teflon」(登録商標)AF)が挙げられるがそれだけに限定されない。
感光性のマトリクスには、リソグラフィック・プロセスに好適なフォトレジスト組成物が含まれる。マトリクスとして、フォトレジスト組成物が含まれ場合には、導電性層を導電性領域と非導電性領域とをパターン上に有するものを、リソグラフィック・プロセスにより形成することが可能となる点で好ましい。このようなフォトレジスト組成物のうち、特に好ましいものとして、透明性および柔軟性に優れ、かつ基材との接着性に優れた導電性層が得られるという点から、光重合性組成物が挙げられる。以下、この光重合性組成物について、説明する。
(光重合性組成物)
光重合性組成物は、(a)付加重合性不飽和化合物と、(b)光に照射されるとラジカルを発生する光重合開始剤とを基本成分として含み、更に所望により(c)バインダー、(d)その他、上記成分(a)〜(c)以外の添加剤を含むものである。
以下、これらの成分について、説明する。
[(a)付加重合性不飽和化合物]
成分(a)の付加重合性不飽和化合物(以下、「重合性化合物」ともいう。)は、ラジカルの存在下で付加重合反応を生じて高分子化される化合物であり、通常、分子末端に少なくとも一つの、より好ましくは二つ以上の、更に好ましくは四つ以上の、更により好ましくは六つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が使用される。
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
このような重合性化合物としては、種々のものが知られており、それらは成分(a)として使用することができる。
このうち、特に好ましい重合性化合物としては、膜強度の観点から、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
[(b)光重合開始剤]
成分(b)の光重合開始剤は、光に照射されるとラジカルを発生する化合物である。このよう光重合開始剤には、光照射により、最終的には酸となる酸ラジカルを発生する化合物及びその他のラジカルを発生する化合物などが挙げられる。以下、前者を「光酸発生剤」と呼び、後者を「光ラジカル発生剤」と呼ぶ。
−光酸発生剤−
光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸ラジカルを発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
このような光酸発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することがで
き、例えば、ジ−又はトリ−ハロメチル基を少なくとも一つ有するトリアジン又は1,3,4−オキサジアゾール、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルハライド、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートなどが挙げられる。これらの中でも、スルホン酸を発生する化合物であるイミドスルホネート、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネートが特に好ましい。
また、活性光線又は放射線の照射により酸ラジカルを発生する基、あるいは化合物を樹脂の主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号の各公報等に記載の化合物を用いることができる。
更に、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等の各明細書に記載の化合物も、酸ラジカル発生剤として使用することができる。
前記トリアジン系化合物としては、例えば2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)一s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−光ラジカル発生剤−
光ラジカル発生剤は、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応若しくは水素引き抜き反応を起こし、ラジカルを発生する機能を有する化合物である。光ラジカル発生剤としては、波長300nm〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
このような光ラジカル発生剤としては、多数の化合物が知られており、例えば特開2008−268884号公報に記載されているようなカルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物、が挙げられる。これらは目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシムエステル化合物、及びアシルホスフィン(オキシド)化合物が露光感度の観点から特に好ましい。
前記ベンゾフェノン化合物としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アセトフェノン化合物としては、例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などが挙げられる。市販品の具体例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア907などが好適である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、米国特許第4,311,783号、米国特許第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記オキシムエステル化合物としては、例えばJ.C.S.Perkin II(1979)1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。具体例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアOXE−01、OXE−02等が好適である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
光ラジカル発生剤としては、露光感度と透明性の観点から、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]が特に好ましい。
[(c)バインダー]
バインダーとしては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
これらの中でも、有機溶剤に可溶でアルカリ水溶液に可溶なものが好ましく、また、酸解離性基を有し、酸の作用により酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶となるものが特に好ましい。
ここで、前記酸解離性基とは、酸の存在下で解離することが可能な官能基を表す。
前記バインダーの製造には、例えば公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。前記ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めることができる。
前記線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。
前記側鎖にカルボン酸を有するポリマーとしては、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等であり、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が特に好ましい。
更に、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体や(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/他のモノマーからなる多元共重合体も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
前記以外にも、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体、などが挙げられる。
前記アルカリ可溶性樹脂における具体的な構成単位としては、(メタ)アクリル酸と、該(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体とが好適である。
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。これらは、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート又はアリール(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR、CH=C(R)(COOR)〔ただし、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダーの重量平均分子量は、アルカリ溶解速度、膜物性等の点から、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜300,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。
ここで、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
[(d)その他、上記成分(a)〜(c)以外の添加剤]
上記成分(a)〜(c)以外のその他の添加剤としては、例えば、連鎖移動剤、架橋剤、分散剤、溶媒、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種の添加剤などが挙げられる。
(d−1)連鎖移動剤
連鎖移動剤は、光重合性組成物の露光感度向上のために使用されるものである。このような連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどの複素環を有するメルカプト化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の含有量は、前述の導電性繊維を含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。
(d−2)架橋剤
架橋剤は、フリーラジカル又は酸及び熱により化学結合を形成し、導電層を硬化させる化合物で、例えばメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物もしくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、又はアジド系化合物、メタクリロイル基又はアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点でエポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
また、前記オキセタン樹脂は、1種単独で又はエポキシ樹脂と混合して使用することができる。特にエポキシ樹脂との併用で用いた場合には反応性が高く、膜物性を向上させる観点から好ましい。
なお、架橋剤としてエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を用いる場合、当該架橋剤も、また、前記(c)重合性化合物に包含され、その含有量は、本発明における(c)重合性化合物の含有量に含まれることを考慮すべきである。
架橋剤の含有量は、前述の導電性繊維を含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、1質量部〜250質量部が好ましく、3質量部〜200質量部がより好ましい。
(d−3)分散剤
分散剤は、光重合性組成物中における前述の導電性繊維が凝集することを防止しつつ分散させるために用いられる。分散剤としては、前記導電性繊維を分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適否選択することができる。例えば、顔料分散剤として市販されている分散剤を利用でき、特に導電性繊維に吸着する性質を持つ高分子分散剤が好ましい。このような高分子分散剤としては、例えばポリビニルピロリドン、BYKシリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパースシリーズ(日本ルーブリゾール社製など)、アジスパーシリーズ(味の素株式会社製)などが挙げられる。
なお、分散剤として高分子分散剤を、前記導電性繊維の製造に用いたもの以外をさらに別に添加する場合、当該高分子分散剤も、また、前記成分(c)のバインダーに包含され、その含有量は、前述の成分(c)の含有量に含まれることを考慮すべきである。
分散剤の含有量としては、成分(c)のバインダー100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部が好ましく、0.5質量部〜40質量部がより好ましく、1質量部〜30質量部が特に好ましい。
分散剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、分散液中での導電性繊維の凝集が効果的に抑制され、50質量部以下とすることで、塗布工程において安定な液膜が形成され、塗布ムラの発生が抑制されるため好ましい。
(d−4)溶媒
溶媒は、前述の導電性繊維を含む光重合性組成物を基材表面に膜状に形成するための塗布液とするために使用される成分であり、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1質量%〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。
(d−5)金属腐食防止剤
導電性繊維として金属ナノワイヤーを使用した場合には、金属腐食防止剤を含有させておくことが好ましい。このような金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類などが好適である。
金属腐食防止剤を含有することで、一段と優れた防錆効果を発揮することができる。金属腐食防止剤は感光性層形成用組成物中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加するか、後述する導電層用塗布液による導電膜を作製後に、これを金属腐食防止剤浴に浸すことで付与することができる。
金属腐食防止剤を添加する場合は、金属ナノワイヤーに対して0.5質量%〜10質量%含有させることが好ましい。金属腐食防止剤としては、特開2010−06714号公報記載の、金属と相互作用可能な複素環化合物を用いることが好ましい。
その他、マトリクスとしては、前述の導電性繊維の製造の際に使用された分散剤としての高分子化合物を、マトリクスを構成する成分の少なくとも一部として使用することが可能である。
本発明に係る導電性層には、導電性繊維に加え、他の導電性材料、例えば、導電性微粒子などを本発明の効果を損なわない限りにおいて併用しうるが、効果の観点からは、前記したアスペクト比が10以上の導電性繊維の比率は、感光性層形成用組成物中に体積比で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。これらの導電性繊維の割合を、以下、「導電性繊維の比率」と呼ぶことがある。
前記導電性繊維の比率が、50%未満であると、導電性に寄与する導電性物質が減少し導電性が低下してしまうことがあり、同時に密なネットワークを形成できないために電圧集中が生じ、耐久性が低下してしまうことがある。また、導電性繊維以外の形状の粒子は、導電性に大きく寄与しない上に吸収を持つため好ましくない。特に金属の場合で、球形などのプラズモン吸収が強い場合には透明度が悪化してしまうことがある。
ここで、前記導電性繊維の比率は、例えば、導電性繊維が銀ナノワイヤーである場合には、銀ナノワイヤー水分散液をろ過して、銀ナノワイヤーと、それ以外の粒子とを分離し、ICP発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定することで、導電性繊維の比率を求めることができる。ろ紙に残っている導電性繊維をTEMで観察し、300個の導電性繊維の短軸長さを観察し、その分布を調べることにより検知される。
導電性繊維の平均短軸長さ及び平均長軸長さの測定方法は既述の通りである。
<その他の成分>
導電性層に含まれてもよいその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適
宜選択すればよく、例えば、導電性層の塗布均一性を向上させる目的で添加される界面活性剤、増粘剤などが挙げられる。
前述の導電性層を基材上に形成する方法としては一般的な塗布方法で行うことができ、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
また、導電性層の形成においては、導電性金属繊維及びマトリクスを含む導電性組成物を塗布する方法の他に、少なくとも前記導電性金属繊維および溶媒を含む導電性組成物を基材上に配置後、溶剤を除去する工程、次いでマトリクスを塗布する工程を含む方法を用いることもできる。また、予めマトリクス層が形成された支持体上に、該マトリクスを溶解可能な溶媒および導電性金属繊維を含む導電性組成物を後から塗布し、予め形成されたマトリクス層に導電性金属繊維の少なくとも一部が埋没するように導電性層を形成してもよい。
本発明の導電性層の厚さは、0.003μm〜1μmが好ましく、0.015μm〜0.8μmがより好ましく、0.05μm〜0.5μmがさらに好ましい。
また、導電性領域と非導電性領域のヘイズ値の比を本発明の範囲に制御する手段としてヘイズの原因となる導電性繊維の目付け量を減らす場合、既述のように、導電性の低下を回避するために、導電性層に含まれるマトリクスを減量することが望ましく、導電性繊維同士を効率的に接触させるためには、膜厚を0.003μm〜0.2μmとすることが好ましい。
本発明の導電層は平坦である必要は無く、凹凸を有していても良く、また導電性繊維がマトリクス層から部分的に突出していても良い。特に導電性繊維がマトリクスに完全に埋もれてしまうと導電性層表面の接触抵抗が増加して電気的接続が取りにくくなったり、あるいは非導電性領域を形成する際に導電性繊維をエッチング等で除去しづらくなったりする弊害があるため、導電性繊維の少なくとも一部がマトリクスから突出していることが好ましい。本発明の導電層の厚さは導電性層全体の厚さの平均値であり、導電性繊維とマトリクスを含む導電性層の体積を基材表面の垂直方向からみた投影面積で割った値と定義する。本発明における導電性層の導電層の表面粗さに制限はないが、Ra値で1nm〜20nmが好ましく、2nm〜15nmがより好ましい。ここでRa値は日本工業規格(JIS B0601:2001)の算術平均粗さである。
<<中間層>>
本発明の導電性部材においては、基材と導電性層との間に少なくとも一層の中間層を有することが好ましい。基材と導電性層との間に中間層を設けることにより、基材と導電性層との密着性、導電性層の全光透過率、導電性層のヘイズ、及び導電性層の膜強度のうちの少なくとも一つの向上を図ることが可能となる。
中間層としては、基材と導電性層との接着力を向上させるための接着剤層、導電性層に含まれる成分との相互作用により機能性を向上させる機能性層などが挙げられ、目的に応じて適宜設けられる。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る導電性部材1を示す概略断面図である。図1において、基材10と導電性層20との間に、基材10との親和性に優れた第1の接着層31と、導電性層20との親和性に優れた第2の接着層32とを含む中間層30を備える。
図2は、本発明の第二の実施形態に係る導電性部材2を示す概略断面図である。図2において、基材10と導電性層20との間に、前記第1の実施形態と同様の第1の接着層31及び第2の接着層32に加え、導電性層20に隣接して機能性層33を備えて構成される中間層30を有する。本明細書における中間層30は、前記第1の接着層31、第2の接着層32、及び、機能性層33から選択される少なくとも1層を含んで構成される層をさす。
中間層30に使用される素材は特に限定されず、上記の特性のいずれか少なくとも一つを向上させるものであればよい。
例えば、中間層として接着層を備える場合、接着剤に使用されるポリマー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、Siのアルコキシド化合物を加水分解および重縮合させて得られるゾルゲル膜などから選ばれる素材が含まれる。
また、導電性層と接する中間層(即ち、中間層30が単層の場合には、当該中間層が、そして中間層30が複数の層を含む場合には、そのうちの導電性層と接する中間層)が、当該導電性層20に含まれる導電性繊維と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む機能性層33であることが、全光透過率、ヘイズ、及び膜強度に優れた導電性層が得られることから好ましい。このような中間層を有する場合においては、膜強度に優れた導電性層が得られる。
この作用は明確ではないが、導電性層20に含まれる導電性繊維と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層を設けることで、導電性層に含まれる導電性繊維と中間層に含まれる上記の官能基を有する化合物との相互作用により、導電性層における導電性材料の凝集が抑制され、均一分散性が向上し、導電性層中における導電性材料の凝集に起因する透明性やヘイズの低下が抑制されるとともに、密着性に起因して膜強度の向上が達成されるものと考えられる。このような相互作用性を発現しうる中間層を、以下、機能性層と称することがある。
上記の導電性繊維と相互作用可能な官能基としては、例えば導電性繊維が銀ナノワイヤーの場合には、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一つであることがより好ましい。さらに好ましくは、アミノ基、メルカプト基、リン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩であることが好ましく、最も好ましくはアミノ基である。
上記のような官能基を有する化合物としては、例えばウレイドプロピルトリエトキシシラン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなどのようなアミド基を有する化合物、例えばN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン四塩酸塩、スペルミン、ジエチレントリアミン、m−キシレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどのようなアミノ基を有する化合物、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾチアゾール、トルエン−3,4−ジチオールなどのようなメルカプト基を有する化合物、例えばポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)などのようなスルホン酸またはその塩の基を有する化合物、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアスパラギン酸、テレフタル酸、ケイ皮酸、フマル酸、コハク酸などのようなカルボン酸基を有する化合物、例えばホスマーPE、ホスマーCL、ホスマーM、ホスマーMH、およびそれらの重合体、ポリホスマーM−101、ポリホスマーPE−201、ポリホスマーMH−301などのようなリン酸基を有する化合物、例えばフェニルホスホン酸、デシルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸などのようなホスホン酸基を有する化合物が挙げられる。
これらの官能基を選択することで、導電性層形成用の塗布液を塗布後、導電性繊維と中間層に含まれる官能基とが相互作用を生じて、乾燥する際に導電性繊維が凝集するのを抑制し、導電性繊維が均一に分散された導電性層を形成することができる。
中間層は、中間層を構成する化合物が溶解した、もしくは分散、乳化した液を基板上に塗布し、乾燥することで形成することができ、塗布方法は一般的な方法を用いることができる。その方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
〔導電性領域と非導電性領域とを含む導電性層(パターン化導電性層)〕
パターン化導電性層は、例えば下記パターニング方法により製造される。
(1)予め導電性金属繊維およびマトリクスを含む非パターン化導電性層を形成しておき、この非パターン化導電性層の所望の領域に含まれる導電性繊維に炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等の高エネルギーのレーザー光線を照射して、導電性繊維の一部または全部を消失させて当該所望の領域を非導電性領域とするパターニング方法。この方法は、例えば、特開2010−4496号公報に記載されている。
(2)予め形成した導電性金属繊維およびマトリクスを含む非パターン化導電性層上に所望のパターンのマスクレジスト層を設け、このマスクレジスト層に保護されていない領域の導電性繊維を、エッチング液で溶解処理するウェットプロセスか、または反応性イオンエッチングのようなドライプロセスで除去する方法。ここで所望のパターンのマスクレジストを形成する方法としては、フォトリソグラフィの手法を用いて、露光および現像によってパターンを形成する方法や、あるいはスクリーン印刷やインクジェット法により必要な部分のみにマスクを形成する方法等を好ましく用いることができる。この方法は、例えば特表2010−507199号公報(特に、段落0212〜0217)に記載されている。
(3)予め形成した導電性金属繊維およびマトリクスを含む非パターン化導電性層上の、非導電性領域を形成したい部分にのみ、導電性繊維を溶解可能な成分を含むエッチング液を、スクリーン印刷やインクジェット法により、接触させる方法。
上記(1)〜(3)の方法のように、非導電性領域の形成が、基材上に導電性金属繊維およびマトリクスを含む導電性層を形成後、導電性金属繊維を除去することによって行われることが好ましい。
上記パターン露光に用いる光源は、フォトレジスト組成物の感光波長域との関連で選定されるが、一般的にはg線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましく用いられる。また、青色LEDを用いてもよい。
パターン露光の方法にも特に制限はなく、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービーム等による走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
前記導電性繊維を溶解する溶解液としては、導電性繊維に応じて適宜選択することができる。例えば導電性繊維が銀ナノワイヤーの場合には、所謂写真科学業界において、主にハロゲン化銀カラー感光材料の印画紙の漂白、定着工程に使用される漂白定着液、強酸、酸化剤(硫酸セリウム(IV)など、4価のセリウムを含む化合物は好ましい)、過酸化水素などが挙げられる。これらの中でも、漂白定着液、希硝酸、過酸化水素が特に好ましい。
前記希硝酸の濃度は、1質量%〜20質量%であることが好ましい。
前記過酸化水素の濃度は、3質量%〜30質量%であることが好ましい。
前記漂白定着液としては、例えば特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。
漂白定着時間は、180秒間以下が好ましく、120秒間以下1秒間以上がより好ましく、90秒間以下5秒間以上が更に好ましい。また、水洗又は安定化時間は、180秒間以下が好ましく、120秒間以下1秒間以上がより好ましい。
前記漂白定着液としては、写真用漂白定着液であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、富士フイルム株式会社製CP−48S、CP−49E(カラーペーパー用漂白定着剤)、コダック社製エクタカラーRA漂白定着液、大日本印刷株式会社製漂白定着液D−J2P−02−P2、D−30P2R−01、D−22P2R−01などが挙げられる。これらの中でも、CP−48S、CP−49Eが特に好ましい。
前記導電性繊維を溶解する溶解液の粘度は、25℃で、5mPa・s〜300,000mPa・sであることが好ましく、10mPa・s〜150,000mPa・sであることがより好ましい。前記粘度を、5mPa・sとすることで、溶解液の拡散を所望の範囲に制御することが容易となって、導電性領域と非導電性領域との境界が明瞭なパターニングが確保され、他方、300,000mPa・s以下とすることで、溶解液の印刷を負荷なく行うことが確保されると共に、導電性繊維の溶解に要する処理時間を所望の時間内で完了させることができる。
前記導電性繊維を溶解する溶解液のパターン状の付与としては、溶解液をパターン状に付与できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばスクリーン印刷、インクジェット印刷、予めレジスト剤などによりエッチングマスクを形成しておきその上に溶解液をコーター塗布、ローラー塗布、ディッピング塗布、スプレー塗布する方法、などが挙げられる。これらの中でも、スクリーン印刷、インクジェット印刷、コーター塗布、ディップ(浸漬)塗布が特に好ましい。
前記インクジェット印刷としては、例えばピエゾ方式及びサーマル方式のいずれも使用可能である。
前記パターンの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、文字、記号、模様、図形、配線パターン、などが挙げられる。
前記パターンの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ナノサイズからミリサイズのいずれの大きさであっても構わない。
本発明の導電性部材は、導電性領域が互いに接触することなく複数存在し、各々の導電性領域間の最短距離が300μm以下であるパターンを形成する際に有効である。本発明の導電性部材の非導電性領域は導電性金属繊維を含まない、または含む場合においても微量であるため、マイグレーションが発生しにくく、微細なパターンを形成する必要がある場合においても非導電性領域の絶縁性が良好となるためである。導電性領域間の最短距離としては、200μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。
本発明に係る導電性部材は、導電性領域の表面抵抗が1,000Ω/□以下となるように調整されることが好ましく、300Ω/□以下であることがより好ましく、150Ω/□以下であることが更に好ましい。上記範囲とすることで、良好な導電性が確保される。
上記表面抵抗は、本発明に係る導電性部材における導電性層の基材側とは反対側の表面を四探針法)により測定された値である。四探針法による表面抵抗の測定方法は、例えばJIS K 7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)などに準拠して測定することができ、市販の表面抵抗率計を用いて、簡便に測定することができる。表面抵抗を1,000Ω/□以下とするには、導電性層に含まれる導電性繊維の種類および含有比率の少なくとも一つを調整すればよい。より具体的には、前述のように、マトリクスと導電性繊維の含有比率を調製することにより、所望の範囲の表面抵抗を有する導電性層を形成することができる。
本発明に係る導電性部材の表面抵抗は、0.1Ω/□〜900Ω/□の範囲とすることが更に好ましい。
本発明に係る導電性部材において、導電性部材の透明性を確保するためには、導電性領域のヘイズ値が2.0%以下、透過率が85%以上であることが好ましく、導電性領域のヘイズ値が2.0%以下、透過率が92%以上であることがより好ましい。
本発明に係る導電性部材は、視認性が良好で、耐久性に優れるので、例えばタッチパネル、ディスプレイ用電極、電磁波シールド、有機ELディスプレイ用電極、無機ELディスプレイ用電極、電子パーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、集積型太陽電池、液晶表示装置、タッチパネル機能付表示装置、その他の各種デバイスなどに幅広く適用される。これらの中でも、タッチパネルおよび太陽電池への適用が特に好ましい。
<<<タッチパネル>>>
本発明に係る導電性部材は、例えば、表面型静電容量方式タッチパネル、投射型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどに適用される。ここで、タッチパネルとは、いわゆるタッチセンサ及びタッチパッドを含むものとする。
前記タッチパネルにおけるタッチパネルセンサー電極部の層構成が、2枚の透明電極を貼合する貼合方式、1枚の基材の両面に透明電極を具備する方式、片面ジャンパーあるいはスルーホール方式あるいは片面積層方式のいずれかであることが好ましい。
前記表面型静電容量方式タッチパネルについては、例えば特表2007−533044号公報に記載されている。
<<<太陽電池>>>
本発明に係る導電性部材は、集積型太陽電池(以下、太陽電池デバイスと称することもある)における透明電極として有用である。
集積型太陽電池としては、特に制限はなく、太陽電池デバイスとして一般的に用いられるものを使用することができる。例えば、単結晶シリコン系太陽電池デバイス、多結晶シリコン系太陽電池デバイス、シングル接合型、又はタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池デバイス、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、色素増感型太陽電池デバイス、有機太陽電池デバイスなどが挙げられる。これらの中でも、本発明においては、前記太陽電池デバイスが、タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、及び銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイスであることが好ましい。
タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイスの場合、アモルファスシリコン、微結晶シリコン薄膜層、また、これらにGeを含んだ薄膜、更に、これらの2層以上のタンデム構造が光電変換層として用いられる。成膜はプラズマCVD等を用いる。
本発明に係る透明導電性部材は、前記全ての太陽電池デバイスに関して適用できる。導電性部材は、太陽電池デバイスのどの部分に含まれてもよいが、光電変換層に隣接して導電性層が配置されていることがいることが好ましい。光電変換層との位置関係に関しては下記の構成が好ましいが、これに限定されるものではない。また、下記に記した構成は太陽電池デバイスを構成する全ての部分を記載しておらず、前記透明導電層の位置関係が分かる範囲の記載としている。ここで、[ ]で括られた構成が、本発明に係る透明導電性部材に相当する。
(A)[基材−導電性層]−光電変換層
(B)[基材−導電性層]−光電変換層−[導電性層−基材]
(C)基板−電極−光電変換層−[導電性層−基材]
(D)裏面電極−光電変換層−[導電性層−基材]
このような太陽電池の詳細については、例えば特開2010−87105号公報に記載されている。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中の含有率としての「%」、及び、「部」は、いずれも質量基準に基づくものである。
以下の例において、金属ナノワイヤーの平均直径(平均短軸長さ)及び平均長軸長さ、平均短軸長さの変動係数、並びに、アスペクト比が50以上の銀ナノワイヤーの比率は、以下のようにして測定した。
<金属ナノワイヤーの平均直径(平均短軸長さ)及び平均長軸長さ>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用いて拡大観察される金属ナノワイヤーから、ランダムに選択した300個の金属ナノワイヤーの直径(平均短軸長さ)と長軸長を測定し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均直径(平均短軸長さ)及び平均長軸長さ求めた。
<金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(直径)の変動係数>
上記電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤーの平均短軸長さ(直径)を測定し、その300個についての標準偏差と平均値を計算することにより、求めた。
<アスペクト比が50以上の銀ナノワイヤーの比率>
上記電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個の粒子につき平均短軸長さ(直径)および長軸長から求めたアスペクト比を測定し、その値が50以上のものの数比率を求めた。
[合成例の略記号]
以下の合成例で用いている成分の略記号の意味は、次のとおりである。
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
St:スチレン
GMA:グリシジルメタクリレート
DCM:ジシクロペンタニルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MFG:1−メトキシ−2−プロパノール
THF:テトラヒドロフラン
(合成例1)
<レジスト組成物用バインダー(A−1)の合成>
共重合体を構成するモノマー成分として、AA(9.64g)、BzMA(35.36g)を使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(0.5g)を使用し、これらを溶剤PGMEA(55.00g)中において重合反応させることによりバインダー(A−1)のPGMEA溶液(固形分濃度:45質量%)を得た。なお、重合温度は、温度60℃乃至100℃に調整した。
分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)を用いて測定した結果、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は11000、分子量分布(Mw/Mn)は1.72、酸価は155mgKOH/gであった。
(調製例1)
―銀ナノワイヤー分散液(1)の調製―
予め、下記の添加液A、B、C、及び、Dを調製した。
〔添加液A〕
ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド60mg、ステアリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド600mg、グルコース2.0gを蒸留水120.0gに溶解させ、反応溶液A−1とした。さらに、硝酸銀粉末70mgを蒸留水2.0gに溶解させ、硝酸銀水溶液A−1とした。反応溶液A−1を25℃に保ち、激しく攪拌しながら、硝酸銀水溶液A−1を添加した。硝酸銀水溶液A−1の添加後から180分間、激しい攪拌をし、添加液Aとした。
〔添加液B〕
硝酸銀粉末42.0gを蒸留水958gに溶解した。
〔添加液C〕
25%アンモニア水75gを蒸留水925gと混合した。
〔添加液D〕
ポリビニルピロリドン(K−30、東京化成工業株式会社製)400gを蒸留水1.6kgに溶解した。
次に、以下のようにして、銀ナノワイヤー分散液(1)を調製した。ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド粉末1.30gと臭化ナトリウム粉末33.1gとグルコース粉末1,000g、硝酸(1N)115.0gを80℃の蒸留水12.7kgに溶解させた。この液を80℃に保ち、500rpmで攪拌しながら、添加液Aを添加速度250cc/分、添加液Bを500cc/分、添加液Cを500cc/分で順次添加した。攪拌速度を250rpmとし、80℃で100分間、加熱攪拌した。次いで、25℃に冷却した。攪拌速度を500rpmに変更し、添加液Dを500cc/分で添加した。この液を銀ナノワイヤー水分散液Aとした。
次に、1−プロパノールを激しく攪拌しながら、そこへ銀ナノワイヤー水分散液Aを混合比率が体積比1対1となるように一気に添加した。攪拌を3分間行った。ついで、分画分子量15万の限外濾過モジュールを用いて、4倍に濃縮した後、蒸留水と1−プロパノールの混合溶液(体積比1対1)の添加と濃縮を、最終的にろ液の伝導度が50μS/cm以下になるまで繰り返した。濃縮を行い、金属含有量0.45%の銀ナノワイヤー分散液を得た。
このようにして得られた銀ナノワイヤー分散液を分散液1とした。分散剤として用いられたポリマーの含有量は0.01%であった。
また、分散液1の銀ナノワイヤーについて、前述のようにして平均短軸長さ、平均長軸長さ、アスペクト比が50以上の銀ナノワイヤーの比率、及び銀ナノワイヤー平均短軸長さの変動係数を測定した。その結果、平均短軸長さ17.8nm、平均長軸長さ8.2μm、平均長さの変動係数が15.2%の銀ナノワイヤーを得た。得られた銀ナノワイヤーのうち、アスペクト比が50以上の銀ナノワイヤーの占める比率は82.5%であった。
(調製例2)
―銀ナノワイヤー分散液(2)の調製―
米国公開特許2008/0210052A1号の実施例3記載の、修正されたポリオール法に従い、銀ナノワイヤーのエチレングリコール分散液を調製した。次いでデカンテーションにより溶媒をイオン交換水に置換した。得られた水分散液100部に、n−プロパノール400部とn−プロパノール500部を添加し、セラミックフィルターを用いたクロスフローろ過機(株)日本ガイシ製)にて100部となるまで濃縮した。次いでn−プロパノールおよびイオン交換水の体積比率1:1の混合溶液900部を加え、再度クロスフローろ過機にて10部となるまで濃縮する操作を3回繰り返した後、n−プロパノールおよびイオン交換水の体積比率1;1混合溶液を加えて濃度調整を行い、得られた銀ナノワイヤー分散液を分散液2とした。分散液2は、銀濃度0.45%であり、前述の方法によって測定した結果、平均短軸長さ65nm、平均長軸長さ8.8μm、長軸長さの変動係数が12.8%の銀ナノワイヤーを有していた。得られた銀ナノワイヤーのうち、アスペクト比が50以上の銀ナノワイヤーの占める比率は79.5%であった。
(調製例3)
−図1に示す構成を有するPET基板101の作製−
以下の方法により、PET基板101を作製した。
下記の配合で接着用溶液1を調製した。
[接着用溶液1]
・タケラックWS−5100(固形分濃度30%、三井化学(株)製)
2.28質量部
・酸化スズ−酸化アンチモンの水分散体(屈折率調整用)(FS−10D、固形分濃度20%、石原産業社製)
4.47質量部
・カルボジイミド構造を複数個有する化合物(日清紡(株)製、固形分濃度10%、カルボジライトV−02−L2)
3.42質量部
・界面活性剤(ナローアクティCL−95、固形分濃度10%、三洋化成工業(株)製)
0.14質量部
・界面活性剤(サンデットBL、固形分濃度10%、三洋化成工業(株)製)
0.14質量部
・水 89.7質量部
厚さ125μmのPETフィルム10の一方の表面にコロナ放電処理を施し、このコロナ放電処理を施した表面に、上記の接着用溶液1をバーコート法により塗布し、120℃で2分間乾燥させて、厚さが0.10μmの第1の接着層31を形成した。
以下の配合で、接着用溶液2を調製した。
[接着用溶液2]
・テトラエトキシシラン(KBE−04、信越化学工業(株)製)8.98質量部
・3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−403、信越化学工業(株)製)
7.74質量部
・酢酸水溶液(酢酸濃度=1%) 19.8質量部
・硬化剤(アルミキレートA(W)、川研ファインケミカル(株)製)
0.26質量部
・コロイダルシリカ(スノーテックスO−33、平均粒子径10nm〜15nm、固形分濃度33%、pH=2.4、日産化学工業(株)製)
12.0質量部
・界面活性剤(ナローアクティCL−95、固形分濃度10%、三洋化成工業(株)製)
0.10質量部
・界面活性剤(サンデットBL、固形分濃度10%、三洋化成工業(株)製)
2.36質量部
・水 48.1質量部
前述の第1の接着層31の表面をコロナ放電処理したのち、その表面に、上記の接着用溶液2をバーコート法により塗布し、180℃で2分間加熱して乾燥し、厚さ0.6μmの第2の接着層32を形成した。さらに支持体の反対面にも、同様の手順によって、厚さ0.10μmの第一の接着層および厚さ0.6μmの第2の接着層を積層した。こうして、図1に示す構成を有するPET基板101を得た。
上記のPET基板101に対し、以下の手順により表面処理を行い、図2に示す構成を有するPET基板101Sを作製した。
まず、基板101の第2の接着層32の表面にコロナ放電処理を施した。ついで、シランカップリング溶液として、シランカップリング剤(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製 製品名KBM−603)の0.02質量%の水溶液を、バーコート法でKBM−603塗布量が0.007g/mとなるように塗布し、140℃で1分間乾燥して、機能層33を形成した。かくして、図2に示す構成を有する、接着層31、接着層32および機能層33の三層構成よりなる中間層30を有するPET基板101Sを作製した。
ここで、コロナ処理は、2.0J/cmの処理量で行った。また、コロナ処理後の接着層32の接触角および機能層33形成後(導電層塗布基材表面)それぞれの基材表面の純水に対する接触角を測定した結果、それぞれ、7.2°および20°であった。接触角の測定は、協和発酵(株)製接触角計PCA−1を用いて25°の条件で行った。
また、PET基板101Sの作製方法に対して、接着用溶液2に、下記量のマット剤(シーホスターKF−P100 日本触媒(株)製、球状アモルファスシリカ微粒子 平均粒径1.1μm 固形分濃度5%)を添加したことのみ異なる方法によってPET基板を作製し、PET基板102S〜105Sとした。
PET基板102S:シーホスター KF−P100 0.006質量部
PET基板103S:シーホスター KF−P100 0.01質量部
PET基板104S:シーホスター KF−P100 0.02質量部
PET基板105S:シーホスター KF−P100 0.04質量部
得られたPET基板のヘイズ値を、ガードナー社製のヘイズガードプラスを用いて測定した結果、下記の値が得られた。測定はC光源下のCIE視感度関数yについて、測定角0°で行った。
PET基板101S:0.42%
PET基板102S:0.75%
PET基板103S:1.15%
PET基板104S:1.75%
PET基板105S:2.25%
(実施例1)
(導電性組成物1−1の作製)
下記組成のアルコキシシラン化合物を含有する溶液(以下、ゾルゲル液ともいう)を45℃で5時間撹拌して、均一になったことを確認した。
<アルコキシシラン化合物の溶液>
・テトラエトキシシラン(化合物(II)) 5.0部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1%酢酸水溶液 10.0部
・蒸留水 4.2部
得られたゾルゲル液を上記の銀ナノワイヤー分散液(1)に攪拌しながら加え、さらに1−プロパノールおよびイオン交換水を攪拌しながら順次加えることにより、銀ナノワイヤーを含む導電性組成物を作製し、得られた導電性組成物を導電性組成物1−1とした。ここで、導電性組成物の調製は、銀とマトリクスであるテトラエトキシシラン(化合物(II))の質量比が1:7であり、導電性組成物中の銀濃度が0.25質量%、溶媒におけるイオン交換水と1−プロパノールの質量比が66:34となるように行った。
(導電性組成物1−2〜1−4の作製)
導電性組成物1−1の調製方法に対し、銀とテトラエトキシシランの質量比のみを変更する調製方法により、下記分散を調製した。
導電性組成物1−2 銀:テトラエトキシシラン=1:5
導電性組成物1−3 銀:テトラエトキシシラン=1:10
導電性組成物1−4 銀:テトラエトキシシラン=1:12
(導電性組成物2−1の作製)
導電性組成物1−1の作製方法に対して、分散液を銀ナノワイヤー分散液(1)に代えて銀ナノワイヤー分散液(2)を用いたことのみ異なる方法によって導電性組成物を作製し、導電性組成物2−1とした。
(導電性部材1−1の作製)
前述のPET基板101Sの機能層33の表面に、銀量が0.015g/mとなるように上記導電性組成物1−1を塗布した後、140℃で1分間乾燥してゾルゲル反応を起こさせて、導電性層20を形成した。かくして、図2の断面図で示される構成を有する非パターン化導電性部材1−1を得た。ここで塗布は、特開2006−95454号公報に例示される、バックアップローラを備えたエクストルージョン型の塗布ヘッドを有するスロットダイコーターにより行った。ここで、ダイ先端部と支持体塗布面間のクリアランスは50μm、塗布液ビート部上流の下流に対する減圧度は30Paとした。導電性部材1−1の導電性層の平均膜厚は0.1μmであった。
(パターニングされた導電性部材の作製)
上記の導電性部材1−1に対し、後述の、パターニング工程Aによって、基材上に導電性領域および非導電性領域を有するパターニングされた導電性部材を作製し、得られた試料を導電性部材1−1Aとした。
また、導電性部材1−1Aの作製方法に対し、パターニング工程Aの代わりに後述のパターニング工程B、C、D、E、F、又はGによってパターニングされた導電性部材を作製し、得られた試料をそれぞれ、導電性部材1−1B、1−1C、1−1D、1−1E、1−1F、1−Gとした。
また、導電性部材1−1Aの作製方法に対し、導電性組成物1−1の代わりに導電性組成物2−1を用いたことのみ異なる方法によって、パターニングされた導電性部材を作製し、得られた試料を導電性部材2−1Aとした。
また、導電性部材1−1Aおよび2−1Aの作製方法に対し、用いるPET基板および導電性組成物の種類、導電性組成物の塗布量、およびパターニング工程を、表1に示す如く変更し、導電性部材を作製した。なお、表には導電性組成物の塗布量を銀の塗布量換算で示した。
後述のパターニング工程における非マスク領域である非導電性領域について、後述の方法によって表面抵抗を測定した結果、いずれも10Ω/□以上の表面抵抗値を有する非導電性であることを確認した。
<<評価>>
得られた各導電性部材に対し、以下の評価を行った。
<視認性(パターン見え)評価>
得られた各導電性部材に対し、後述する方法により、パターニング試料を作製した。ストライプパターン(ライン/スペースが100/100μm、細線長さが1.5cm(両端に、テスターの接続用先端を接触させるための3mm角のパターンを有する)のパターンを有する)の導電性部材について、黒紙の上に導電性部材を置き、斜め45°から見た時のパターン視認性を評価し、以下のランク付けを行った。
視認性5: 導電パターンが殆ど認識できず、最も好ましいレベル。
視認性4: 導電パターンがかろうじて認識できるが、好ましいレベル。
視認性3: 導電パターンがあることが認識できるが、許容レベル。
視認性2: 導電パターンがあることが明瞭に認識でき、好ましくないレベル。
<導電性領域のヘイズ値と非導電性領域のヘイズ値の比の測定>
得られた各導電性部材に対し、後述する方法により、パターニング試料を作製した。導電性領域および非導電性領域それぞれ5cm×5cmの正方形領域につき、前述の方法によってヘイズ値を測定した。導電性領域のヘイズ値をA、非導電性領域のヘイズ値をBとし、その比B/Aを求めた。
<光学特性(全光透過率)>
上記ヘイズ値測定用のパターニング試料につき、各導電性部材の全光透過率(%)をガードナー社製のヘイズガードプラスを用いて測定した。測定はC光源下のCIE視感度関数yについて、測定角0°で行った。
得られた全光透過率について下記のランク付けを行った。
A:透過率92%以上で、最も好ましいレベル
B:透過率80%以上、92%未満で、好ましいレベル
C:透過率80%未満で、問題なレベル。
<導電性(表面抵抗)>
上記ヘイズ値測定用のパターニング試料につき、各導電性部材の導電性領域の表面抵抗値を、三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600を用いて、四端子法にて測定した。得られた表面抵抗について、以下のランク付けを行った。
A:表面抵抗値 70Ω/□以上90Ω/□未満で、最も好ましいレベル。
B:表面抵抗値 90Ω/□以上120Ω/□未満で、さらにより好ましいレベル。
C:表面抵抗値 120Ω/□以上150Ω/□未満で、より好ましいレベル。
D:表面抵抗値 150□Ω/□以上300Ω/□未満で、好ましいレベル。
E:表面抵抗値 300Ω/□以上500Ω/□未満で、許容レベル。
F:表面抵抗値 500Ω/□以上で、問題なレベル。
<導電性領域および非導電性領域の導電性金属繊維の比率の測定>
上述のヘイズ値測定に用いた導電性領域および非導電性領域の試料につき、導電性金属繊維の残存量を下記の方法で測定した。
エッチング液を試料と接触させることにより、導電性金属繊維を溶解した。得られた導電性金属繊維の溶解液をイオン交換水で希釈後、希釈液中に溶存している銀の量をICP−OES装置を用いて求め、それぞれの試料に残存していた単位面積あたりの銀量を算出した。
<耐マイグレーション性>
得られた各導電性部材に対し、下記方法により、パターニング試料を作製した。マイグレーション評価用のストライプパターンの導電性部材について、パターン透明導電膜を、40℃/70%RH(相対湿度)の環境下で、隣り合う電極間で直流1.0Vの電圧を印加し続け、電極間の電圧降下をモニタリングすることにより電極間の絶縁不良を評価し、以下のランク付けを行った。
〔評価基準〕
A:パターン間の絶縁不良による電圧降下が10時間を超えて認められない、良好なレベル。
B:パターン間の絶縁不良による電圧降下が5時間から10時間の間で認められる、許容レベル。
C:パターン間の絶縁不良による電圧降下が1時間から5時間の間で認められる、問題なレベル。
D:パターン間の絶縁不良による電圧降下が1時間以内に認められる、極めて問題なレベル。
(パターニングされた導電性部材の作製方法)
各試料の導電層表面に対し、ドラフト内で1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン蒸気に室温下で60秒間暴露した。次いで下記組成からなるポジレジスト(光可溶性組成物)を乾燥膜厚が2μmとなるようワイヤーバーコーターを用いて塗設した。90℃120秒間ホットプレート上でプリベイクを行った後、光学マスクを介して、高圧水銀灯を用いて密着露光を施した。露光後の試料に対して後述の現像処理を施した。ここで、光学マスクは、視認性およびマイグレーション評価用のストライプパターン領域(ライン/スペースが100/100μm、細線長さが1.5cm(両端に、テスターの接続用先端を接触させるための3mm角のパターンを有する)のパターンを有する))、ヘイズ値測定用の正方形パターン領域(マスク部および非マスク部それぞれ5cm×5cm)を有していた。このようにして、導電性部材上に、マスクレジストパターンを形成した。次いで、後述のエッチング処理工程を施すことによりマスクレジスト残存部以外の銀ナノワイヤーを溶解し、導電性金属繊維をパターニングした。さらに、後述のポスト露光および剥離現像処理を施すことにより、残存したマスクレジストを完全に溶解した。このようにして、導電性領域および非導電性領域を有するパターニングされた導電性部材を作製した。得られた各導電性部材に対して、前述の評価を行った。
上記パターニング工程の各工程条件は以下の通りであった。以下に示す条件で行ったパターニング工程を、パターニング工程Aとした。
(露光)
高圧水銀灯i線(365nm)にて150mJ/cm(照度20mW/cm)の条件で露光を行った。
(現像処理)
0.4質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(23℃)にてシャワー現像を90秒間行い、露光部を除去した。シャワー圧は0.04MPa、パターンが出現するまでの時間は30秒であった。次いで純水(23℃)にて90秒間水洗を行い、水洗後、室温にて試料を乾燥した。
(エッチング処理)
下記エッチングAを用いて23℃90秒間エッチングを行い、さらに純水(23℃)にて90秒間水洗を行った。次いで純水(23℃)にて90秒間水洗を行い、水洗後、室温にて試料を乾燥した。
−エッチング液A−
・エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム・・・・2.71g
・エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物・・・0.17g
・チオ硫酸アンモニウム(70質量%)・・・3.61g
・亜硫酸ナトリウム・・・0.84g
・氷酢酸・・・0.43g
・水を加えて全量1,000mL
(ポスト露光)
高圧水銀灯i線(365nm)にて300mJ/cm(照度20mW/cm)の条件で露光を行った。
(剥離現像処理)
0.4質量%のTMAH水溶液(23℃)にてシャワー現像を行い、残存していたマスクレジストを溶解除去した。次いで純水(23℃)にて90秒間水洗を行い、水洗後、室温にて試料を乾燥した。
(ポジレジスト組成)
・アクリル系バインダー(A−1) 固形分として 11.0質量部
・感光剤(東洋合成工業(株)製TAS−200 6.2質量部
・EHPA−3150(ダイセル化学工業株式会社製) 5.2質量部
・密着促進剤(信越化学工業(株)製KBM−403) 0.1質量部
・溶剤 PGMEA 45.0質量部
・溶剤 MFG 32.5質量部
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MFG:1−メトキシ−2−プロパノール
TAS−200:
上記パターニング工程Aの条件に対し、エッチング工程の条件を以下のように変更したことのみ異なるパターニング工程を、それぞれパターニング工程B、C、D、E、Fとした。
パターニング工程B:エッチング時間 70秒
パターニング工程C:エッチング時間 60秒
パターニング工程D:エッチング時間 45秒
パターニング工程E:エッチング時間 30秒
パターニング工程F:エッチング時間 10秒
また、上記パターニング工程Aに対し、エッチング液Aに代え、米国特許8,018,568号の実施例14に記載されている漂白液である、0.5%次亜塩素酸水溶液を用いたこと以外はパターニング工程Aと同様の方法によって導電性部材を作製した。この工程をパターニング工程Gとした。
上記の評価内容および試料内容を表1に記載した。表から、以下のことが分かる。すなわち、試料1−1Aに対し、従来技術で示されている、非導電性領域に導電性金属繊維の構成成分である銀を残存させることで導電性領域と非導電領域のヘイズの比を本発明の範囲に調節した試料は、確かに視認性が改善するものの、耐マイグレーション性が悪化する弊害が認められる(例えば、導電性部材1−1Aに対する導電性部材1−1E〜1−1G)。非導電性領域の銀の除去率を低下させるのではなく、基板を変更することによって導電性領域と非導電性領域のヘイズ比を本発明の領域に設定した試料は、耐マイグレーション性の悪化を伴うことなく、視認性が改善していることが分かる(例えば、導電性部材1−1Aに対する導電性部材1−2A〜1−5A)。基板を変更することで導電性領域と非導電性領域のヘイズ比を本発明の領域に設定した試料は、視認性が改善するものの、導電性領域のヘイズ値が増加してしまうが、この場合において、導電性繊維の短軸径が本発明の好ましい範囲である銀ナノワイヤーを用いることにより、導電性繊維の短軸径が本発明の好ましい範囲から外れる試料に対して相対的に低いヘイズ値で、視認性が改善可能なことが分かる(例えば、導電性部材2−3Aに対する導電性部材1−3A)。
(実施例2)
導電性部材1−1Aの作製方法に対して、導電性組成物の種類および塗布量を変更したことのみ異なる方法によってパターニングされた導電性部材を作製し、得られた試料を導電性部材1−6A〜1−14Aとした。また、導電性部材1−2Aの作製方法に対して、導電性組成物の種類および塗布量を変更したことのみ異なる方法によってパターニングされた導電性部材を作製し、得られた試料を導電性部材1−15A〜1−21Aとした。同様の評価を行い、得られた結果を表2に示した。導電性部材1−1Aおよび1−6A〜1−14Aを比較することにより、銀ナノワイヤーとマトリクスの率比率を本発明の好ましい範囲に設定することが、導電性と視認性の両立に有効なことが明らかである。また、導電性部材1−2Aおよび1−15A〜1−21Aを比較することにより、銀ナノワイヤーの単位面積当たりの存在量を本発明の好ましい範囲に設定することが、導電性および透過率の両立に有効なことが明らかである。
(実施例3)
−銀ナノワイヤー分散液(3)の作製−
銀ナノワイヤー分散液(1)の調製方法に対し、添加液Aの硝酸銀の添加量を60mgに変更したことのみ異なる方法によって分散液を作製し、銀ナノワイヤー分散液(3)を作製した。
銀ナノワイヤー分散液(3)は、溶媒がn−プロパノール:水=1:1(体積比)の混合溶媒からなり、銀濃度0.45%、分散剤として用いられたポリマーの含有量は0.01%であった。
また、銀ナノワイヤー分散液(3)の銀ナノワイヤーについて、前述のようにして平均短軸長さ、平均長軸長さ、アスペクト比が50以上の銀ナノワイヤーの比率、及び銀ナノワイヤー平均短軸長さの変動係数を測定した。その結果、平均短軸長さ23.8nm、平均長軸長さ14.2μm、平均長さの変動係数が16.9%の銀ナノワイヤーを得た。得られた銀ナノワイヤーのうち、アスペクト比が50以上の銀ナノワイヤーの占める比率は79.5%であった。
−銀ナノワイヤー分散液(4)の作製−
銀ナノワイヤー分散液(1)の調製方法に対し、添加液Aの硝酸銀の添加量を50mgに変更したことのみ異なる方法によって分散液を作製し、銀ナノワイヤー分散液(4)を作製した。
銀ナノワイヤー分散液(4)は、溶媒がn−プロパノール:水=1:1(体積比)の溶媒からなり、銀濃度0.45%、分散剤として用いられたポリマーの含有量は0.01%であった。
また、銀ナノワイヤー分散液(4)の銀ナノワイヤーについて、前述のようにして平均短軸長さ、平均長軸長さ、アスペクト比が50以上の銀ナノワイヤーの比率、及び銀ナノワイヤー平均短軸長さの変動係数を測定した。その結果、平均短軸長さ28.7nm、平均長軸長さ19.5μm、平均長さの変動係数が18.1%の銀ナノワイヤーを得た。得られた銀ナノワイヤーのうち、アスペクト比が50以上の銀ナノワイヤーの占める比率は79.0%であった。
−導電性組成物3−1および導電性組成物4−1の作製−
導電性組成物1−1の調製方法に対し、銀ナノワイヤー分散液(1)に代え、銀ナノワイヤー分散液(3)を用い、得られた組成物を導電性組成物3−1とした。また、銀ナノワイヤー分散液(1)に代え、銀ナノワイヤー分散液(4)を用い、得られた組成物を導電性組成物4−1とした。
導電性部材1−2Aの作製方法に対し、導電性組成物1−1の代わりに導電性組成物3−1および4−1を用いたことのみ異なる方法によってパターニングされた導電性部材を作製した。得られた導電性部材をそれぞれ導電性部材3−2Aおよび4−2Aとし、同様の評価を行った。これらの試料の評価結果を、導電性部材1−2A、2−2Aの評価結果とともに表3に示した。表3から、導電性組成物の短軸径を本発明の好ましい範囲に設定することが、視認性改善に有効な手段となることが明らかである。
(実施例4)
−導電性部材5−1の作製−
前述のPET基板101Sの上に、分散液1塗布銀量が15mg/mとなるように塗布を行い、100℃1分間乾燥した。得られた試料を導電性部材5とした。
次いで、前述のゾルゲル液を、マトリクスとして導電性部材5の上に、固形分塗布量が0.12g/mとなるようにバーコート法で塗布を行い、120℃にて2分間乾燥を行った。得られた試料を導電性部材5−1とした。
前述のパターニングされた導電性部材1−1Aの作製方法に対し、用いる導電性部材を上記の導電性部材5−1に代えたことのみ異なる方法によってパターニングされた導電性部材を作製し、得られた試料を導電性部材5−1Aとした。
導電性部材5−1Aの作製方法に対し、用いるPET基板およびパターニング工程を表4に示す如く変更したことのみ異なる方法によって導電性部材を作製し、導電性部材5−2A、5−3A、5−1D、5−1Gを得た。
−導電性部材6−1の作製−
前述の導電性部材5の上に、下記組成の塗布液Aを固形分量0.12g/mになるように塗布し、窒素雰囲気下で超高圧水銀灯i線(365nm)を用いて、露光量40mJ/cmで露光し、導電性部材を作製した。得られた試料を導電性部材6−1とした。
<塗布液A>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 8.01部
・光重合開始剤:2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン
0.79部
・界面活性剤:メガファックF784F(DIC(株)製) 2.70部
・溶媒(PGMEA) 356.54部
前述のパターニングされた導電性部材1−1Aの作製方法に対し、用いる導電性部材を上記の導電性部材6−1に代えたことのみ異なる方法によってパターニングされた導電性部材を作製し、得られた試料を導電性部材6−1Aとした。
導電性部材6−1Aの作製方法に対し、用いるPET基板およびパターニング工程を表2に示す如く変更したことのみ異なる方法によって導電性部材を作製し、導電性部材6−2A、6−3A、6−1D、6−1Gを得た。
得られた導電性部材について実施例1同様の評価を行った結果を表4に示した。導電性部材のマトリクスを変更した場合においても本発明の効果が確認できた。
(実施例5)
−導電性部材7−3Aの作製−
前述の導電性部材6−3Aの作製方法に対し、マトリクスを下記組成に変更しさらに露光量を200mJ/cmに変更したことのみ異なる方法によって導電性部材を作製し、同様の評価を行った。
・2−エチルヘキシルアクリレート 7.5質量部
・リン酸トリメチロールトリアクリレート 2質量部
・3−アミノプロピルトリエトキシシラン 0.1質量部
・酸化防止剤 IRGANOX 1010 FF(BASF社製) 0.01質量部
・光開始剤 イルガキュア 754 (BASF社製) 0.4質量部
・PGMEA 90質量部
−導電性部材8−3Aの作製−
前述の導電性部材6−3Aの作製方法に対し、マトリクスを下記組成に変更したことのみ異なる方法によって導電性部材を作製し、同様の評価を行った。
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1質量部
・界面活性剤(ナローアクティCL−95、固形分濃度10%、三洋化成工業(株)製)
0.10質量部
・界面活性剤(サンデットBL、固形分濃度10%、三洋化成工業(株)製)
0.1質量部
・水 99質量部
−導電性部材9−3Aの作製−
前述の導電性部材5−3Aの作製方法に対し、マトリクスの比率を表5に示す如く変更したことのみ異なる方法によって導電性部材を作製し、同様の評価を行った。
導電性部材1−3A、5−3A、6−3A、7−3A、8−3A、9−3Aの各試料に対し、下記の耐磨耗性試験を行った。
<耐摩耗性>
導電性部材のストライプパターン部の表面をガーゼ(FCガーゼ、白十字株式会社製)を用いて20mm×20mmのサイズで500g荷重で50往復擦り、その前後の傷の有無および導電性領域の抵抗値の変化(摩耗後抵抗値/摩耗前抵抗値)を観察した。摩耗試験には、新東科学株式会社製の連続加重引掻試験機Type18sを用い、抵抗値はテスター(カスタム製 CDM−5000E)を用いて測定した。傷が無く、抵抗値の変化の少ないほど耐摩耗性に優れることを意味する。結果を表5に示す。表におけるOLの表記は、抵抗値が100MΩ/□以上の非導電性であることを示している。本発明の導電性部材はいずれも視認性が改善されるが、耐摩耗性に関しては、本発明の好ましいマトリクスを用いた場合に良好となることが表5の結果から明らかである。また、本発明の好ましいマトリクスを用いた場合においては、マトリクスの比率を本発明の好ましい範囲に設定することが耐摩耗性に有効なことが表5の結果から明らかである。
(実施例6)
−タッチパネルの作製−
『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行、株式会社テクノタイムズ)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004年12月発行)、「FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック」、「Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292」等に記載の方法により、タッチパネルを作製した。透明電極として導電性部材1−6を用い、露光マスクパターンを変更したこと以外は導電性部材1−6Aと同様のパターニング方法により、透明電極を作製した。
良好な応答性を示し、視認性に優れたタッチパネルが製作できることが分かった。
1、2 導電性部材
10 基材
20 導電性層
30 中間層

Claims (11)

  1. 基材と、前記基材上の少なくとも一方の面にパターン状に配置された導電性領域および非導電性領域を有する導電性層とを有し、
    前記導電性層は、導電性金属繊維およびマトリクスを含み、
    前記導電性金属繊維の主成分である金属の、導電性領域における単位面積あたりの存在量をA(mol/m)、非導電性領域における存在量をB(mol/m)としたときのAとBの比(B/A)が0.2未満であり、かつ
    導電性領域のヘイズ値Aに対する非導電性領域のへイズ値Bの比(B/A)が、0.5〜1.0の範囲である導電性部材。
  2. 前記導電性領域が互いに接触することなく複数存在し、各々の導電性領域間の最短距離が、300μm以下である請求項1に記載の導電性部材。
  3. 前記導電性金属繊維が、短軸径が150nm以下の銀ナノワイヤーである請求項1又は2に記載の導電性部材。
  4. 前記導電性金属繊維が、短軸径が20nm以下の銀ナノワイヤーである請求項3に記載の導電性部材。
  5. 前記導電性領域における、前記導電性金属繊維の主成分である金属の、導電性領域における単位面積あたりの存在量が、5〜20mg/mである請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性部材。
  6. 前記導電性領域における、導電性金属繊維とマトリクスとの質量比が、1:5から1:10の範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性部材。
  7. 前記基材のヘイズ値が0.7%〜2.0%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性部材。
  8. 導電性領域の表面抵抗が150Ω/□以下、ヘイズ値が2.0%以下、透過率が92%以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性部材。
  9. 前記マトリクスが、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群より選ばれた元素のアルコキシド化合物の少なくとも一つを加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性部材。
  10. 前記非導電性領域の形成が、基材上に導電性金属繊維およびマトリクスを含む導電性層を形成後、導電性金属繊維を除去することによって行われる請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性部材の製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性部材を用いたタッチパネル。
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