JP2013186049A - バイオセンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイオセンサに用いられる導電性のカーボンを含む電極と、リード配線となる金属パターンとの接触抵抗を低い状態で安定させること。
【解決手段】本発明の実施形態におけるバイオセンサの製造方法は、絶縁性を有する基材上に金属パターンを形成し、カーボン、バインダ樹脂、SP値が7以上9.5以下の第1溶媒、及び前記第1溶媒よりもSP値が高い第2溶媒を少なくとも含む塗工液を、前記金属パターンの少なくとも一部上に展開して電極を形成する。
【選択図】図4
【解決手段】本発明の実施形態におけるバイオセンサの製造方法は、絶縁性を有する基材上に金属パターンを形成し、カーボン、バインダ樹脂、SP値が7以上9.5以下の第1溶媒、及び前記第1溶媒よりもSP値が高い第2溶媒を少なくとも含む塗工液を、前記金属パターンの少なくとも一部上に展開して電極を形成する。
【選択図】図4
Description
本発明はバイオセンサの製造方法に関し、特に溶液中の物質の濃度を電気化学的に測定するバイオセンサの製造方法に関する。
血液等の生体試料中の特定成分について迅速かつ簡便に濃度等を測定する方法として、電気化学的検出手段によるバイオセンサが実用化されている。バイオセンサは、一般に、作用極と対極を含む電極系、酵素及び電子受容体を基本構成として備えている。このようなバイオセンサの一例として、電気化学的に血液中のグルコースを定量化するグルコースセンサがある。
グルコースセンサにおいては、酵素は血液中のグルコースを選択的に酸化してグルコン酸を生成し、また同時に電子受容体を還元して還元体を生じる。この還元体に電極系で一定の電圧を印加することで還元体が再び酸化され、その際に電流が発生する。この電流が血液中のグルコース濃度に依存することから、血液中のグルコースを定量化することができる。
従来、銀ペーストをスクリーン印刷することでリード配線を形成し、リード配線となる金属パターン上に導電性カーボンペーストを印刷して電極を形成し、バイオセンサが製造されていた(特許文献1、特許文献2参照)。このような製造方法を用いた従来のバイオセンサでは金属パターンと電極との接触抵抗が高くなったり不安定になったりする場合があった。
本発明の目的は、バイオセンサに用いられる導電性のカーボンを含む電極と、リード配線となる金属パターンとの接触抵抗を低い状態で安定させることにある。
本発明の一実施形態によると、絶縁性を有する基材上に金属パターンを形成し、カーボン、バインダ樹脂、SP値が7以上9.5以下の第1溶媒、及び前記第1溶媒よりもSP値が高い第2溶媒を少なくとも含む塗工液を、前記金属パターンの少なくとも一部上に展開して電極を形成することを特徴とするバイオセンサの製造方法が提供される。
電極を形成するための塗工液にSP値が7以上9.5以下の溶媒を含むようにすることにより、従来に比べて金属パターンと電極との接触抵抗を低い状態で安定させることができる。
前記第1溶媒および前記第2溶媒を含む全溶媒100重量部に対して、前記第1溶媒が5重量部以上含まれていてもよい。これにより、さらに、金属パターンと電極との接触抵抗を低い状態で安定させやすくなる。
本発明によると、バイオセンサに用いられる導電性のカーボンを含む電極と、リード配線となる金属パターンとの接触抵抗を低い状態で安定させることができる。
本発明の一実施形態について説明する前に、従来のバイオセンサの電極と金属パターンについて詳述する。
図5は、従来のバイオセンサにおける電極40と金属パターン20との接触界面の状態を示す断面模式図である。従来のバイオセンサでは、バインダ樹脂420に分散された粒子状の導電性のカーボン410を有する電極40と、リード配線である金属パターン20との界面には、不純物成分90が偏析する場合がある。この不純物成分90は、例えば、電極40を形成する過程または形成後に、その表面に付着したり析出したりした有機物などが挙げられる。
この不純物成分90の存在により、金属パターン20とカーボン410との結合状態が悪くなる。そのため、接触界面の場所によっては接触抵抗が高くなったり、時間の経過に伴いその抵抗値が変化したりすることがあり、安定性、保存性の観点から望ましくなかった。一方で、金属パターン20の表面に電極40を形成する前に、予めその表面を洗浄して不純物成分90を除去することを試みることが考えられるが、一般的な洗浄では大きな改善が見られず、洗浄条件によっては、金属パターン20の表面に酸化膜が形成されるなどして、更に接触抵抗が高くなる場合もあった。
本発明者は、上述の問題を解決すべく鋭意検討した結果、電極40と金属パターン20との接触抵抗を低い状態で安定させることができるバイオセンサの製造方法を見出した。
以下、図面を参照して本発明に係るバイオセンサの製造方法について説明する。但し、本発明のバイオセンサは多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサ100の模式図である。図2は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサ100の分解斜視図である。バイオセンサ100は、例えば、可撓性を有する第1の基材10の第1の面(上面)に、金属パターン20と、金属パターン20の一端上に配設された電極40と、電極40上に配設された反応部70とを備える。また、バイオセンサ100は、第1の基材10の第1の面とは反対側の第2の面(下面)に配設された第2の基材30と、金属パターン10上に配設された絶縁層50と、電極40上に配設され、試料を導入する切欠部を備えた第3の基材60とを備えてもよい。また、バイオセンサ100は、反応部70を覆うカバーである第4の基材80をさらに備えてもよい。
(第1の基材)
本実施形態において、第1の基材10は金属パターン20、電極40を支持する基材であり、可撓性を有することが好ましい。第1の基材10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。第1の基材の厚みは、特に制限はないが、可撓性を有する程度に薄いものであるとよく、例えば、PETであれば、12μm以上400μm以下の範囲のものを好適に用いることができる。
本実施形態において、第1の基材10は金属パターン20、電極40を支持する基材であり、可撓性を有することが好ましい。第1の基材10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。第1の基材の厚みは、特に制限はないが、可撓性を有する程度に薄いものであるとよく、例えば、PETであれば、12μm以上400μm以下の範囲のものを好適に用いることができる。
(金属パターン)
本実施形態において、金属パターン20は電極に接続する配線部と、バイオセンサ100を測定装置1000(図7参照)に接続するための端子21とを備える。金属パターン20は、第1の基材10に2本以上、典型的には3本配設される。端子21とは反対側の金属パターン20の上面の一部には、後述する電極40により構成される作用極41、対極43及び参照極45が配設される。図2においては、2本配設された金属パターン20の一方に作用極41を配設し、他方の金属パターン20に対極43及び参照極45を配置した例を示したが、本実施形態に係るバイオセンサ100はこれに限定されるものではなく、第1の基材10に3本の金属パターン20を配設して、作用極41、対極43及び参照極45を金属パターン20に別々に配設してもよい。
本実施形態において、金属パターン20は電極に接続する配線部と、バイオセンサ100を測定装置1000(図7参照)に接続するための端子21とを備える。金属パターン20は、第1の基材10に2本以上、典型的には3本配設される。端子21とは反対側の金属パターン20の上面の一部には、後述する電極40により構成される作用極41、対極43及び参照極45が配設される。図2においては、2本配設された金属パターン20の一方に作用極41を配設し、他方の金属パターン20に対極43及び参照極45を配置した例を示したが、本実施形態に係るバイオセンサ100はこれに限定されるものではなく、第1の基材10に3本の金属パターン20を配設して、作用極41、対極43及び参照極45を金属パターン20に別々に配設してもよい。
本実施形態に係る金属パターン20は、アルミニウム(Al)である。なお、金属パターン20は、バイオセンサの電極に用いられる公知の金属、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)などであってもよい。また、本実施形態に係る金属パターン20は、被検出物を検出するに十分な導電率を確保できる範囲で可能な限り薄く形成することが好ましい。金属パターン20の膜厚は、20nm以上100nm以下が好ましい。薄い金属パターンで金属パターン20を形成するためには、物理蒸着法を用いるとよい。本実施形態では、真空蒸着法を用い、ロール・ツー・ロール方式で金属パターン20を形成する。なお、金属パターン20は、真空蒸着法により形成される場合に限られず、例えば、金属箔をエッチングすることにより形成されてもよいし、金属箔抜き加工、メッキ法など、様々な方法により用いて形成されてもよい。金属箔をエッチングすることにより形成する方法については、後述する変形例において詳述する。
(電極)
本実施形態において、電極40は、導電性を有するカーボンを含む材料で形成した被覆層であり、金属パターン10の少なくとも一部の表面保護を行うとともに、電極として機能するものである。上述したように、電極40は、作用極41、対極43及び参照極45を構成する。作用極41は還元体の電子受容体に電圧を印加するための電極である。対極43は電子受容体から作用極41に放出された電子によって流れた電流を計測するための電極である。また、参照極45は、作用極41の電位を決定する際の基準となる電極である。
本実施形態において、電極40は、導電性を有するカーボンを含む材料で形成した被覆層であり、金属パターン10の少なくとも一部の表面保護を行うとともに、電極として機能するものである。上述したように、電極40は、作用極41、対極43及び参照極45を構成する。作用極41は還元体の電子受容体に電圧を印加するための電極である。対極43は電子受容体から作用極41に放出された電子によって流れた電流を計測するための電極である。また、参照極45は、作用極41の電位を決定する際の基準となる電極である。
電極40は、カーボンとバインダ樹脂の混合物により形成することができる。本実施形態に係るバイオセンサ100に用いるカーボンとしては、例えば、黒鉛、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンファイバー、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー等を用いることができる。バインダ樹脂としてはアクリル樹脂、エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩酢ビニル樹脂等を用いることができる。
本実施形態に係る電極40においては、カーボン、バインダ樹脂はそれぞれ5重量%以上60重量%以下、10重量%以上40重量%以下とすることが好ましい。カーボンが5重量%未満であるとカーボン同士が電気的接続を有する確率が急激に低下して電極層としての導電性が失われる虞がある。また、カーボンが60重量%より多いと顔料間の切欠部が多くなり、物理的な賦型強度、接着強度、耐摩擦強度が失われて、要求される構造・機能が保持できなくなる虞がある。さらに、カーボン表面の酸化還元状態が安定せず、後工程で添加する酵素や電子受容体も切欠部に不均一に吸着するようになる。また、バインダ樹脂が10重量%未満であると、電極40の塗工特性が低下して塗膜強度も低下することとなり、40重量%より多いと、同様に電極40の塗工特性が低下して導電性も低下することとなる。なお、上記の重量%については、塗工液における比率を示したものであるため、カーボン、バインダ樹脂の他、溶媒などが含まれている。したがって、カーボンとバインダ樹脂との重量%を合計しても、100重量%にならない場合もある。
電極40の厚さは0.3μm以上30μm以下の範囲とすることが好ましい。厚さが0.3μm未満であると電極40を挟んで反応部70と金属パターン10の隔絶が製造、保管、酵素反応の各条件、経時安定を保証する上で困難となり、また30μmより大きくなると電極層が脆弱になる等の問題が生じる。電極40は、カーボンで金属パターン10を被覆することで、金属パターン10の防錆に寄与し、酵素と金属パターン10との直接の接触を防止する。
電極40は、必要に応じて他の導電性顔料、硬化剤や架橋剤のような反応試薬、加工適性改善のための助剤や添加剤等をカーボンとバインダ樹脂とに混合してもよい。また、電極40の表面に機械的研磨やコロナ・プラズマのような放電手法による物理的エッチング等を施して、表面の活性化を向上させてもよい。
(反応部)
本実施形態において、反応部70は生体由来物質を含み、基質特異的な物質の変化移動に伴う、化学ポテンシャル、熱あるいは光学的な変化を電気信号へ変換する。反応部70は、生体由来物質として、例えば、酵素と電子受容体とを含む。グルコース濃度を測定する場合には、酵素としてグルコースオキシダーゼ(GOD)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を用いることができる。電子受容体はフェリシアン化カリウム、フェロセン誘導体、キノン誘導体、オスミューム誘導体等を用いることができる。酵素と電子受容体は、適宜溶媒で希釈して用いる。本実施形態に係る溶媒としては、例えば、水、アルコール、水−アルコール混合溶媒がある。また、直鎖、環状の炭化水素貧溶媒に均一分散させてもよい。酵素と電子受容体とをそれぞれ1試験体当り0.3ユニット以上10ユニット以下と0.5μg以上200μg以下とすることが好ましい。グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼは、純度の高いものが好ましく、上述の範囲の活性を有するものであれば、特に由来となる生物種は限定されず、例えば、グルコースオキシダーゼとしては、東洋紡社製GLO−201を用いることができる。反応部70の酵素及び電子受容体は、酵素量(力価/ユニット)に準じた反応量が得られるが、反応部70の性能を担保する最適重量部の小過剰でよい。
本実施形態において、反応部70は生体由来物質を含み、基質特異的な物質の変化移動に伴う、化学ポテンシャル、熱あるいは光学的な変化を電気信号へ変換する。反応部70は、生体由来物質として、例えば、酵素と電子受容体とを含む。グルコース濃度を測定する場合には、酵素としてグルコースオキシダーゼ(GOD)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を用いることができる。電子受容体はフェリシアン化カリウム、フェロセン誘導体、キノン誘導体、オスミューム誘導体等を用いることができる。酵素と電子受容体は、適宜溶媒で希釈して用いる。本実施形態に係る溶媒としては、例えば、水、アルコール、水−アルコール混合溶媒がある。また、直鎖、環状の炭化水素貧溶媒に均一分散させてもよい。酵素と電子受容体とをそれぞれ1試験体当り0.3ユニット以上10ユニット以下と0.5μg以上200μg以下とすることが好ましい。グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼは、純度の高いものが好ましく、上述の範囲の活性を有するものであれば、特に由来となる生物種は限定されず、例えば、グルコースオキシダーゼとしては、東洋紡社製GLO−201を用いることができる。反応部70の酵素及び電子受容体は、酵素量(力価/ユニット)に準じた反応量が得られるが、反応部70の性能を担保する最適重量部の小過剰でよい。
また、反応部70は、その面積に比例した検出電流が得られるため、可能な範囲で広く設定することが好ましい。反応部70は親水性高分子と混合したり、あるいは親水性高分子及び界面活性剤と混合したりして構成してもよい。親水性高分子としては、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニル酢酸、ポリビニルブチラール等、またはこれらの混合物を用いることができる。親水性高分子と混合すると、血液はゲル状となり応答電流値は若干低下するが、赤血球や他のタンパク質などのセンサ応答への影響を低減することができる。界面活性剤を含有させると粘度の高い試料液であっても、センサの内部へ試料液を容易に導くことができるので、好ましい。反応部70に用いる界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、若しくはポリエチレングリコール類等が挙げられる。反応部70を形成する場合、酵素は40℃以上で長時間放置すると活性を失うため、溶媒の乾燥は40℃以下で行い、乾燥後は速やかに室温にもどすことが好ましい。
(第2の基材)
本実施形態において、第2の基材30は、第1の基材10を支持して補強する基材である。第2の基材30には、第1の基材10よりも剛性の高い基材であることが好ましい。第2の基材30としては、例えば、樹脂基材、セラミック基材、ガラス基材、半導体基材や金属基材などを用いることができ、これら材料に応じて第1の基材10を支持するに充分な厚さを設定するとよい。第2の基材30としては、第1の基材10よりも厚いPET製の基材を用いることが好ましい。PETを用いることで安価にバイオセンサを作製することができるからである。第2の基材30がPET製である場合、例えば、50μm以上1mm以下の範囲で第1の基材10の厚さを考慮して適宜設定するとよい。バイオセンサ100は、第2の基材30を備えることにより、測定時の取り扱い性能を向上させることができる。
本実施形態において、第2の基材30は、第1の基材10を支持して補強する基材である。第2の基材30には、第1の基材10よりも剛性の高い基材であることが好ましい。第2の基材30としては、例えば、樹脂基材、セラミック基材、ガラス基材、半導体基材や金属基材などを用いることができ、これら材料に応じて第1の基材10を支持するに充分な厚さを設定するとよい。第2の基材30としては、第1の基材10よりも厚いPET製の基材を用いることが好ましい。PETを用いることで安価にバイオセンサを作製することができるからである。第2の基材30がPET製である場合、例えば、50μm以上1mm以下の範囲で第1の基材10の厚さを考慮して適宜設定するとよい。バイオセンサ100は、第2の基材30を備えることにより、測定時の取り扱い性能を向上させることができる。
(絶縁層)
本実施形態において、絶縁層50は、金属パターンで形成された金属パターン20を被覆する。絶縁層50には、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができる。金属パターン20の上層に絶縁層50を配設することにより、電極40が配設されていない部分の金属パターン20の酸化を防ぐとともに、ショートを防ぐことができる。
本実施形態において、絶縁層50は、金属パターンで形成された金属パターン20を被覆する。絶縁層50には、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができる。金属パターン20の上層に絶縁層50を配設することにより、電極40が配設されていない部分の金属パターン20の酸化を防ぐとともに、ショートを防ぐことができる。
(第3の基材)
本実施形態において、第3の基材60は、試料を導入する切欠部を備え、外部からバイオセンサ100へ試料供給を行うための流路を設けるための基材である。図では、第3の基材60が「U」の字状となるように切欠部を備えた例が示されているが、切欠部の態様はこれに限定されるものはない。例えば、切欠部が「T」の字状となるように、バイオセンサの長手方向に延びる溝と、この溝に交わるように短手方向に延びる溝とが、第3の基材に形成されていてもよい。第3の基材60には、例えば、第1の基材と同様のものを用いることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。また、第3の基材60として、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を用い、これらを硬化させたものを基材として取り扱うことができる。電極40の上層に、第3の基材60を配設することにより、検出に必要な試料を導入し、被検出物と酵素との反応による電気信号を電極40から検出することができる。
本実施形態において、第3の基材60は、試料を導入する切欠部を備え、外部からバイオセンサ100へ試料供給を行うための流路を設けるための基材である。図では、第3の基材60が「U」の字状となるように切欠部を備えた例が示されているが、切欠部の態様はこれに限定されるものはない。例えば、切欠部が「T」の字状となるように、バイオセンサの長手方向に延びる溝と、この溝に交わるように短手方向に延びる溝とが、第3の基材に形成されていてもよい。第3の基材60には、例えば、第1の基材と同様のものを用いることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。また、第3の基材60として、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を用い、これらを硬化させたものを基材として取り扱うことができる。電極40の上層に、第3の基材60を配設することにより、検出に必要な試料を導入し、被検出物と酵素との反応による電気信号を電極40から検出することができる。
(第4の基材)
本実施形態において、第4の基材80は、反応部70を覆うカバーである。第4の基材80は、第3の基材60の切欠部に対応する位置に貫通孔81を有していてもよい。第4の基材80の貫通孔81は、第3の基材60の切欠部に試料を導入するための空気抜きであり、第3の基材60の切欠部への試料の導入を促進する。第4の基材80は、剛体であってもよく、弾性体であってもよい。第3の基材60には、電気絶縁性を有する弾性体を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。
本実施形態において、第4の基材80は、反応部70を覆うカバーである。第4の基材80は、第3の基材60の切欠部に対応する位置に貫通孔81を有していてもよい。第4の基材80の貫通孔81は、第3の基材60の切欠部に試料を導入するための空気抜きであり、第3の基材60の切欠部への試料の導入を促進する。第4の基材80は、剛体であってもよく、弾性体であってもよい。第3の基材60には、電気絶縁性を有する弾性体を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。
なお、図2においては、反応部70を第3の基材60の上面に配置した例を示したが、本実施形態に係るバイオセンサ100はこれに限定されるものではなく、反応部70は、電極40の上層であれば、他の位置でもよく、電極40の上面または絶縁層50の上面に配設されてもよい。また、反応部70が電極40の上面または絶縁層50の上面に配設される場合には、第4の基材80は、第3の基材60と一体形成されてもよい。
図2には図示していないが、後述するように、本実施形態に係るバイオセンサ100においては、第1の基材10から金属パターン20が剥離するのを防止するために、第1の基材10の上面に密着層15(図3参照)を形成するのが好ましい。また、第1の基材10と第2の基材30との間、及び第3の基材60と第4の基材80との間には、接着層を配設することにより、それぞれの基材を貼り合わせることができる。なお、上記実施形態は一例であって、多くの異なる態様で実施可能である。
(製造方法)
上述した本実施形態に係るバイオセンサ100を製造方法について、詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサ100の製造方法を示す断面模式図である。この図は、図2におけるA−A’断面に対応する。
上述した本実施形態に係るバイオセンサ100を製造方法について、詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサ100の製造方法を示す断面模式図である。この図は、図2におけるA−A’断面に対応する。
可撓性を有する第1の基材10を準備する(図3(a))。第1の基材10は、枚葉状のシートであってもよいが、本実施形態においては、第1の基材10には、上述した薄いフィルムをロール状に巻いた原反の基材とする。薄いフィルムを原反から送り出し、第1の基材10を連続体として用いることにより、以下に説明する金属パターン20の形成工程を、ロール・ツー・ロール方式で連続して行うことができる。
本実施形態においては、好ましくは、第1の基材10の一方の面に密着層15を形成する(図3(b))。密着層15は、ニトロセルロース系、アクリルポリオール系等の公知のプライマー剤の中から第1の基材10の材料に応じて適宜選択すればよく、例えば、第1の基材10がPETである場合には、大日精化工業株式会社製 VM−DやVM−ALなどを用いることができる。密着層15の形成には、印刷法などを用いることができる。密着層15を形成することにより、第1の基材10と物理蒸着法で形成される金属パターン20との密着性を向上させるとともに、バイオセンサ100の使用時に、第1の基材10から金属パターン20が剥離するのを防止することができる。
水溶性レジストを用いて、金属パターン20のネガパターンを印刷し、水溶性レジスト層25を形成する(図3(c))。水溶性レジストには、典型的には水溶性樹脂であり、例えば、水溶性ビニル樹脂などを用いてもよい。水溶性レジスト層25は、0.5μm以上10μm以下で形成することが好ましい。水溶性レジスト層25は、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷またはインクジェット印刷から選択される何れかの方法により、第1の基材10の第1の面(上面)に、金属パターン20のネガパターンで形成される。
所定のパターンで水溶性レジスト層25が形成された面に、金属パターン27を形成する(図3(d))。上述したように、金属パターン27は、物理蒸着法により形成され、例えば、ロール・ツー・ロール方式での加工が可能な真空蒸着法により形成される。本実施形態においては、アルミニウムを蒸着して金属パターン27を形成することが好ましい。このとき、金属パターン27の膜厚は、20nm以上100nm以下とする。
金属パターン27を形成した後、第1の基材10をロール状に巻取る。水洗ユニットにロール状の第1の基材を移動し、第1の基材を適宜送り出して水洗を行う。水洗は、例えば、第1の基材の上面に対してノズルなどから水を供給し、水溶性レジスト層を溶解させる。必要に応じて温水により水洗を行うとよい。水溶性レジスト層25と、水溶性レジスト層25の上面に形成された金属パターン27は水洗により除去され、第1の基材10の第1の面に金属パターン27がパターン状に加工されてなる金属パターン20が形成される(図3(e))。
金属パターン20の上面の一部に、グラビア印刷またはスクリーン印刷により、カーボンとバインダ樹脂の混合物を含む塗工液が印刷され、塗工液中の溶媒が乾燥することにより電極40が形成される(図3(f))。カーボンとバインダ樹脂の混合物を印刷するときに用いられる塗工液は、カーボン、バインダ樹脂、SP(Solubility Parameter)値が7以上9.5以下の第1溶媒、及び第1溶媒よりもSP値が高い第2溶媒を有している。第2溶媒は、印刷の種類、インクの粘度、印刷条件、カーボンの種類、バインダ樹脂の種類などに基づいて、適宜選択されればよい。第2溶媒は、SP値が9.5より大きいことが望ましい。また、第1溶媒および第2溶媒を含む全溶媒100重量部に対して、第1溶媒が5重量部以上含まれていることが望ましく、より望ましくは30重量部以上、さらに望ましくは50重量部以上である。
SP値が7以上9.5以下の溶媒としては、例えば、n−ヘキサン(7.3)、メチルイソブチルケトン(8.4)、酢酸ブチル(8.5)、キシレン(8.8)、トルエン(8.8)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(8.8)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(8.85)、酢酸エチル(9.0)、ベンゼン(9.2)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(9.2)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(9.2)、メチルエチルケトン(9.3)、ジブチルフタレート(9.4)があり、第1溶媒として使用される。なお、()内の数値は各溶媒のSP値である。
SP値が9.5より大きい溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(9.9)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(10.9)、二塩基酸エステル/DBE(16.5〜20.5)、エチレングリコールモノエチルエーテル(23.0)、エタノール(26.0)があり、第2溶媒として使用される。なお、()内の数値は各溶媒のSP値である。
なお、各溶媒のSP値は、Fedorsの式、Hansenの式、Hoyの式などを用いて構造式から算出したり、濁点滴定法などによる測定をして算出したりすることができる。どの算出方法によっても、同じ溶媒のSP値が大きく異なることはない。第1溶媒として上記に例示した溶媒以外であっても、いずれかの算出方法により得られたSP値が7以上9.5以下であれば、第1溶媒に該当する。
図4は、本発明の一実施形態に係る電極40の形成過程を示す断面模式図である。図4(a)は、金属パターン20に塗工液400を展開(印刷)した状態の図である。塗工液400には、カーボン410が分散されている。金属パターン20と塗工液400との界面には、金属パターン20の形成において付着するなどして形成された不純物成分90が存在している。
図4(b)に模式的に示すように、塗工液400における溶媒が乾燥していく過程において、第2溶媒よりも低いSP値(7以上9.5以下)の第1溶媒の影響により不純物成分90が塗工液400中に溶解して拡散する。ここで、本実施形態で付着する不純物成分90は、SP値が9.5より大きい溶媒よりも、9.5以下のSP値が低い溶媒に溶解されやすい。一方、第1溶媒のSP値が低すぎると塗工液400の塗工性を悪化させる場合があるため、第1溶媒は、SP値が7以上の溶媒であることが望ましい。したがって、本実施形態においては、第1溶媒は、SP値が7以上9.5以下であることが望ましい。なお、第1溶媒のSP値は、8以上9.5以下であることがより望ましく、8.5以上9.5以下であるとさらに望ましい。そして、溶媒の乾燥に伴って、金属パターン20と塗工液400との界面に存在した不純物成分90が塗工液400の表面に移動していく。溶媒が乾燥すると、図4(c)に示すように、バインダ樹脂420に分散したカーボン410を含む電極40が形成される。不純物成分90が、電極40の表面に移動したことにより、金属パターン20と電極40との界面には、不純物成分90が除去されている。
なお、図4(c)においては、金属パターン20と電極40との界面には、不純物成分90が存在しない記載となっているが、一部残存していてもよい。その場合であっても、電極40が形成された後の金属パターン20と電極40との界面の不純物成分90の量が、少なくとも塗工液400が展開される前より減少していればよい。
一方、7以上9.5以下のSP値の第1溶媒が含まれない従来の塗工液を用いた場合においては、溶媒が乾燥したとしても、図5に示すように、不純物成分90が金属パターン20と電極40との間に多量に存在したままとなる。
このように、7以上9.5以下のSP値の第1溶媒を含む塗工液400を用いることで、金属パターン20と電極40との界面の不純物成分90を減少させることができる。その結果、金属パターン20と電極40におけるカーボン410との結合状態を、従来の塗工液を用いた場合よりも改善することができる。この結合状態の改善により、例えば、金属パターン20と電極40との接触抵抗の低減、経時変化の安定性向上という効果が得られる。
再び、バイオセンサ100の製造方法に戻って説明を続ける。金属パターン20を形成した第1の基材10の第1の面とは反対側の第2の面(下面)に、第1の基材10よりも剛性の高い第2の基材30を配設する。これにより、第1の基材10を支持することができる。第1の基材10が薄く可撓性を有する場合には、第2の基材30を配設することが好ましい。上述したように、第1の基材10と第2の基材30とは、例えば、接着層(図示せず)を配設することにより貼り合わせる。接着層には、合成接着剤としてはアクリル系接着剤、エステル系接着剤、ビニル系接着剤、シリコン系接着剤等、天然接着剤としてはニカワ、天然ゴム、樹液等の澱粉のり・天然高分子等を用いることができる。
図6は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサ100の電極群110を示す模式図である。第2の基材30が配設された後においては、電極群110として、図6に示すように、金属パターン20および電極40が形成される。
続いて、電極群110の金属パターン20の上層に、グラビア印刷またはスクリーン印刷により絶縁層50を配設する。絶縁層50には、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができる。絶縁層は、予めパターニングして塗布されたものを硬化して絶縁層50としてもよいし、全面に塗布した後、硬化したい部位のみにエネルギーを加えて硬化して絶縁層50としてもよい。本実施形態においては、バイオセンサ100を測定装置に接続するために、金属パターン20の端子21の上面には絶縁層50を配設しない。このような絶縁層50の位置合わせは、印刷法を用いることにより、精度よく行うことができる。
電極40の上層に、試料を導入する切欠部を備えた第3の基材60を配設する。第3の基材60は、グラビア印刷またはスクリーン印刷により形成することができる。このような切欠部を備えた第3の基材60の位置合わせは、印刷法を用いることにより、精度よく行うことができる。
電極40または絶縁層50の上層に、反応部70を配設する。反応部70は、例えば、酵素及び電子受容体を含む溶液をディスペンサーで塗布した後、40℃で乾燥させ、溶媒成分を除去することにより形成することができる。
反応部70を形成した後に、反応部70を第4の基材80で覆ってもよい。第4の基材80は、上述した接着層を形成することにより、第3の基材60と貼り合わせることにより実施可能である。
以上説明したように、本実施形態に係るバイオセンサの製造方法によると、7以上9.5以下のSP値の第1溶媒を含む塗工液400を用いることで、金属パターン20と電極40との界面の不純物成分90を減少させることができる。これにより、従来の塗工液を用いた場合よりも、金属パターン20と電極40におけるカーボン410との結合状態が改善され、金属パターン20と電極40との接触抵抗を低い状態で安定させることができる。
(測定装置)
図7は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサ100と測定装置1000に接続した様子を示す模式図である。図6(a)はバイオセンサ100が接続された測定装置1000の全体図である。測定装置1000は、公知の測定装置であって、本発明に係るバイオセンサ100を接続して、試料中に含まれる被検出物を検出する装置である。測定装置1000は、例えば、バイオセンサ100で生じた電気信号を受信するための接続電極1011及び1013、演算部(図示せず)、電源(図示せず)、表示部1100及び操作部1200を備える。
図7は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサ100と測定装置1000に接続した様子を示す模式図である。図6(a)はバイオセンサ100が接続された測定装置1000の全体図である。測定装置1000は、公知の測定装置であって、本発明に係るバイオセンサ100を接続して、試料中に含まれる被検出物を検出する装置である。測定装置1000は、例えば、バイオセンサ100で生じた電気信号を受信するための接続電極1011及び1013、演算部(図示せず)、電源(図示せず)、表示部1100及び操作部1200を備える。
図6(b)は、図6(a)のバイオセンサ100を接続した破線部における測定装置1000の内部を説明する図である。バイオセンサ100は、測定装置1000の装着部に装着されると、バイオセンサ100の2つの端子21が測定装置1000の接続電極1011及び1013にそれぞれ接続する。この接続により、バイオセンサ100で生じた電気信号は、測定装置1000に伝達される。なお、上述したように、第1の基材10に3本の金属パターン20を配設して、作用極41、対極43及び参照極45を別々の金属パターン20に配設した場合は、測定装置1000の接続電極は3本となる。
測定方法としては、例えば、測定者がバイオセンサ100を測定装置1000に装着し、バイオセンサ100の先端から第3の基材60に設けられた切欠部に試料を導入し、操作部1200を操作して、測定を開始する。第3の基材60の切欠部に導入された試料に被検出物が含まれる場合は、被検出物と、反応部70に配設された生体由来物質とが反応し、電気信号がバイオセンサ100の電極40で検出され、金属パターン20から端子21、測定装置1000の接続電極1011及び1013を介して、測定装置1000に伝達される。このとき、電極40と金属パターン20との接触抵抗が低い状態で安定しているため、検出された電気信号を精度よく伝達することができる。測定装置1000は、バイオセンサ100から受信した電気信号を演算部で測定値に変換する。得られた測定値は、表示部1100に表示され、測定者は測定結果を視覚的に認識することができる。
(変形例)
上記の実施形態では、金属パターン20は、物理蒸着法を用いて形成されていたが、金属箔を用いて形成されてもよい。
上記の実施形態では、金属パターン20は、物理蒸着法を用いて形成されていたが、金属箔を用いて形成されてもよい。
図8は、本発明の変形例に係る金属パターン20の形成過程を示す断面模式図である。第1の基材10の上部表面に接着層16を配設し、さらに金属箔28(この例ではアルミニウムの箔)を貼り合わせる(図8(a))。接着層16は、塗布された接着剤であってもよいし、接着層として第1の基材10に貼り合わされたものであってもよい。
そして、金属箔21上にレジストを塗布法、印刷法等により形成し、所望のレジストパターン26を形成する(図8(b))。レジストパターン26をエッチングマスクとして金属箔28をエッチングして金属パターン20を形成し(図8(c))、レジストパターン26を除去する(図8(d))。エッチングはドライ方式、ウェット方式のいずれを用いてもよい。このように、物理蒸着法以外の方法により金属パターン20が形成されてもよい。
上述した実施形態において説明した電極40を形成するための塗工液400の溶媒の一例を実施例として説明し、その場合の電極40と金属パターン20との接触抵抗について説明する。また、従来の塗工液の場合についても比較例として説明する。
図9は、各実施例および比較例に用いられる抵抗測定用の素子の構成を示す模式図である。接触抵抗の測定用の素子として、図9に示すパターンの素子を作製した。金属パターン20は、アルミニウムである。電極40(作用極41、対極43及び参照極45)は、以下で説明する各実施例、比較例の塗工液を用いて、スクリーン印刷により形成された電極である。作用極41、対極43及び参照極45のそれぞれの間隔は0.3mmであり、各電極の長さ(図示縦方向の長さ)は2.5mmである。
この測定素子において、作用極41と金属パターン20との接触抵抗は、測定位置Bと測定位置G1との間の抵抗値を測定することにより得た。同様に、対極43と金属パターン20との接触抵抗は、測定位置Cと測定位置G2測定位置との間の抵抗値を測定し、参照極45と金属パターン20との接触抵抗は、測定位置Aと測定位置G2との間の抵抗値を測定することにより得た。なお、測定位置G1、G2は、金属パターン20の先端(図示右側先端)から約3mmの位置であり、測定位置A、B、Cは、電極40の先端(金属パターン20と接していない端部)から約0.5mm〜1mmの位置である。
この測定素子を約1000個作製し、複数箇所を抽出して抵抗測定を行った。なお、以下に説明する図10から図12において、測定アドレスとは、作製した素子のうち抵抗測定を行った素子であり、凡例の「A」、「B」、「C」は、電極40側の測定位置に対応する。
(実施例1)
実施例1では、塗工液400の第1溶媒として、SP値が8.8のエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートとSP値が9.2のジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを用いた。第2溶媒としては、SP値が9.9のシクロヘキサノンを主体とした芳香族炭化水素を用いた。全溶媒100重量部に対して、第1溶媒エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが15.8重量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが63.4重量部、第2溶媒が15.8重量部含まれている。この塗工液400を用いて電極40を形成して測定素子を作製した。
実施例1では、塗工液400の第1溶媒として、SP値が8.8のエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートとSP値が9.2のジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを用いた。第2溶媒としては、SP値が9.9のシクロヘキサノンを主体とした芳香族炭化水素を用いた。全溶媒100重量部に対して、第1溶媒エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが15.8重量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが63.4重量部、第2溶媒が15.8重量部含まれている。この塗工液400を用いて電極40を形成して測定素子を作製した。
図10は、実施例1における抵抗測定結果を示す図である。この測定結果からわかるように、後述する比較例に比べて、抵抗値が低く安定している。この後、40℃にて1ヶ月保管した後、再び抵抗測定を行ったが、ほとんど抵抗値に変化がなかった。なお、測定位置Bについては、他の測定位置A、Cに比べて、電極40と金属パターン20との接触面積が広いため、より抵抗値が低くなっている。
(実施例2)
実施例2では、塗工液400の第1溶媒として、SP値が8.85のエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを用いた。第2溶媒としては、SP値が16.5〜20.5のDBEとSP値が10.9のジエチレングリコールモノエチルエーテルを用いた。全溶媒100重量部に対して、第1溶媒が50.6重量部、第2溶媒が49.0重量部含まれている。その他、芳香族炭化水素系成分などが含まれている。この塗工液400を用いて電極40を形成して測定素子を作製した。
実施例2では、塗工液400の第1溶媒として、SP値が8.85のエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを用いた。第2溶媒としては、SP値が16.5〜20.5のDBEとSP値が10.9のジエチレングリコールモノエチルエーテルを用いた。全溶媒100重量部に対して、第1溶媒が50.6重量部、第2溶媒が49.0重量部含まれている。その他、芳香族炭化水素系成分などが含まれている。この塗工液400を用いて電極40を形成して測定素子を作製した。
図11は、実施例2における抵抗測定結果を示す図である。図11(a)は素子作製直後の測定結果であり、図11(b)は図11(a)の測定後に40℃にて1ヶ月保管して再度測定した結果である。なお、図11(b)においては一部のアドレスにおいて測定を実施していない。
この測定結果からわかるように、後述する比較例に比べて、抵抗値が低く安定している。この後、40℃にて1ヶ月保管した後、再び抵抗測定を行ったが、ほとんど抵抗値に変化がなかった。
(比較例1)
比較例1では、塗工液400には第1溶媒が含まれず第2溶媒としては、SP値が10.9のジエチレングリコールモノエチルエーテルを用いた。全溶媒100重量部に対して、第2溶媒が86.9重量部含まれている。その他、芳香族炭化水素系成分などが含まれている。ただし、第1溶媒に該当するSP値7以上9.5以下の溶媒が5%以上は含まれていない。この塗工液400を用いて電極40を形成して測定素子を作製した。
比較例1では、塗工液400には第1溶媒が含まれず第2溶媒としては、SP値が10.9のジエチレングリコールモノエチルエーテルを用いた。全溶媒100重量部に対して、第2溶媒が86.9重量部含まれている。その他、芳香族炭化水素系成分などが含まれている。ただし、第1溶媒に該当するSP値7以上9.5以下の溶媒が5%以上は含まれていない。この塗工液400を用いて電極40を形成して測定素子を作製した。
図12は、比較例1における抵抗測定結果を示す図である。この測定結果からわかるように、測定アドレスにより抵抗値のばらつきが大きい。特に金属パターン20との接触面積が小さい対極43および参照極45は、抵抗値のばらつきが大きく、また抵抗値が全体的に高くなっている。これは、接触面積が狭いほど、金属パターン20と電極40との界面に存在する不純物成分90の影響を受けて、カーボン410と金属パターン20との結合部分が少なくなるためと考えられる。
10:第1の基材、15:密着層、16:接着層、20:金属パターン、21:端子、25:水溶性レジスト層、26:レジストパターン、27:金属パターン、28:金属箔、30:第2の基材、40:電極、41:作用極、43:対極、45:参照極、50:絶縁層、60:第3の基材、70:反応部、80:第4の基材、81:貫通孔、90:不純物成分、100:バイオセンサ、400:塗工液、410:カーボン、420:バインダ樹脂、1000:測定装置、1011:接続電極、1013:接続電極、1100:表示部、1200:操作部
Claims (2)
- 絶縁性を有する基材上に金属パターンを形成し、
カーボン、バインダ樹脂、SP値が7以上9.5以下の第1溶媒、及び前記第1溶媒よりもSP値が高い第2溶媒を少なくとも含む塗工液を、前記金属パターンの少なくとも一部上に展開して電極を形成することを特徴とするバイオセンサの製造方法。 - 前記第1溶媒および前記第2溶媒を含む全溶媒100重量部に対して、前記第1溶媒が5重量部以上含まれていることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサの製造方法。
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