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JP2013184727A - 植物由来のポリオレフィンを含有するトグル構造を備えるキャップ - Google Patents

植物由来のポリオレフィンを含有するトグル構造を備えるキャップ Download PDF

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JP2013184727A
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Makoto Umetani
梅谷  誠
Yasuo Sakashita
保夫 坂下
Yuya Tayasu
祐也 田安
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Abstract

【課題】カーボンオフセット性で、オーバーキャップの開蓋仰角が大きく、スナップ性やキャップ取付け工程でのキャップ移送性が良好な、トグル構造キャップの提供。
【解決手段】キャップ本体1、オーバーキャップ2及びトグル構造を備え、モダン炭素比率が56.7-118pMCのポリオレフィンを含む植物由来ポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体成形されたキャップであって:a)トグル構造は、屈曲可能な結合片3aと一対の支持部材3bを有し:b)結合片は、両端部がキャップ本体の外周面とオーバーキャップの天板部2aに連結され、天板部とは周縁内方で連結する端部のみで連結し、該天板部に連結する端部近傍に、断面厚みが薄い領域を有し、かつ、断面厚みが薄い領域に、天板部の外表面に連なる側の面に凹部3a11を有し:c)トグル構造の合成樹脂が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドを100-4500ppm含有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、容器から取り外すことなく容器の内容物を注出することのできるキャップに関し、特に、カーボンオフセット性で温室効果ガスの排出削減に寄与するとともに、キャップに用いられる蓋の開閉機構に特徴を有する、ポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形されたトグル構造を備えるキャップに関する。
物品または材料の保管、または輸送には、容器が用いられることが通常である。容器の内容物としては、マヨネーズ、ケチャップ、ソース、ゼリー等の粘稠な液状物、ジュース、酒類等の比較的流動性が高い液状物、粉粒体など多様なものがある。容器の形状は、全体形状及び部分形状において、多種多様なものがあり、容器の材料としては、金属、合成樹脂、ゴム、紙、陶磁器、ガラスなどが使用され、これらの複合材や積層体も使用される。
例えば、合成樹脂材料製容器としては、合成樹脂材料製の筒状のパリソンを押し出し、続いて、成形金型内で容器の形状にブロー成形されて得られるダイレクトブロー成形容器や、射出成形により得られる射出成形容器などが知られている。合成樹脂材料製容器の層構成としては、単層の容器または多層の容器があり、合成樹脂材料としては、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミドなどが用いられている。多層の合成樹脂材料製容器としては、表層(外層及び/または内層)として、ポリオレフィンを使用し、中間層に、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのバリア層を備えた多層構造のものが広く使用されている。
金属製容器としては、アルミニウム、スチール等の金属薄板を巻き回して略円筒状としたものや、金属厚板を略コップ状に深絞り成形したものなどがある。また、紙製容器としては、板状紙材を巻き回して略円筒状や角柱状としたものなどがある。
〔容器リサイクル〕
これら各種容器は、容積比で家庭ゴミの過半を占めることや、循環型社会構築の世論の高まりにより、リサイクルや分別処理が進んでいる。容器包装リサイクル法や資源有効利用促進法の制定も相まって、アルミニウム容器やPETボトル等のリサイクル率は向上し、資源の再利用率も向上している。
これら容器としては、胴部に比較して小径の首部(以下、「口頚部」ということがある。)を備える容器(「瓶」ということもある。)が広く知られており、通例、天部(瓶を正立させた場合の上方部をいう。)に、内容物を充填したり、注出したりするための開口部を有する。該開口部には、容器の首部(口頚部)と略同径の蓋またはキャップ(以下、総称して、「キャップ」ということがある。)が取り付けられる。キャップの材料としては、金属、合成樹脂、紙等、またはこれらの複合材や積層材が使用されており、合成樹脂としては、ポリオレフィンが広く使用されている。キャップも、前記の容器包装リサイクル法によるリサイクルの対象であるが、資源の再利用は容器本体ほど進んでおらず、例えば、合成樹脂材料製のキャップは、最終的に燃焼処理されることも少なくない。
〔カーボンオフセット〕
ポリオレフィン等の合成樹脂材料製のキャップを始め、有機物であるポリオレフィン等の合成樹脂を燃焼させると、二酸化炭素が発生する。二酸化炭素は、地球環境を温暖化するガス、すなわち温室効果ガス(「グリーンハウスガス」ともいう。)の一つであり、人による産業活動とともに増え続け、特に産業革命以後、急増し続けている。人の生存が持続可能な地球環境を維持するために、二酸化炭素については、地球の海や大気に循環する二酸化炭素の総量を現在以上に増やさない理念が共有されている。
現在、合成樹脂材料のほとんど、例えばポリオレフィン等は、石油、石炭、天然ガス等の化石燃料由来の化合物を出発原料として使用して製造されたものが使用されている。化石燃料は、周知のとおり、長年月の間、地中に固定されてきた炭素を含有する。化石燃料、または化石燃料由来の化合物を出発原料とする製品を燃焼させて、二酸化炭素を大気中に放出することは、地中深くに固定され、大気中には存在しなかった炭素を、二酸化炭素として急激に大気中に放出することになるので、大気中の二酸化炭素が大きく増加し、地球温暖化の原因となる。
一方、地球環境内において循環する二酸化炭素を、吸収したり有機物に変化させたりして育つ生物(植物、動物)を、地球の大気で燃やして二酸化炭素を発生しても、地球環境内に存在する二酸化炭素の循環であるので、その二酸化炭素を構成する炭素の総量には変化がない。この炭素の出入りは、炭素の相殺〔カーボンオフセット(carbon offset) 〕または出入りのない〔カーボンニュートラル(carbon neutral) 〕の状態といわれ、地球環境内に存在する二酸化炭素を増大させるカーボンネガティブ(carbon negative)と区別される。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成し、現存する炭素は、再生可能な炭素(renewable carbon)、モダン炭素(modern carbon、contemporary carbon)、バイオ起源炭素(bio-resourced carbon、biogenic carbon)、バイオマス由来炭素(bio mass derived carbon)、グリーン炭素(green carbon)、地球環境炭素(atmospheric carbon、environmentally friendly carbon) またはライフサイクル炭素(life-cycle carbon)等といわれ、その対極である化石燃料由来の炭素(fossil carbon、fossil fuel based carbon、petrochemical based carbon、carbon of fossil origin)と区別される。
特に、植物は、地球環境内で循環する二酸化炭素を吸収し、二酸化炭素と水とを原料とする光合成反応を行い、有機体に変化させて生育する生物であることから、炭素源として注目されている。例えば、サトウキビやトウモロコシ等の植物原料から抽出する糖の発酵物またはセルロース発酵物からアルコール成分、特にエチルアルコールを蒸留分離し、その脱水反応によりアルケンであるエチレンを得て、通常の樹脂合成手段を介してエチレン系樹脂またはオレフィン系樹脂を得ることができる。この履歴を有する合成樹脂は、カーボンオフセットポリオレフィン(carbon offset polyolefin)、バイオ起源ポリオレフィン(biogenic polyolefin)または植物由来の合成樹脂(plant based resin)などといわれる。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する炭素は、同位体(アイソトープ)である放射性の炭素14(「14C」ということもある。)、安定な炭素12(「12C」ということもある。)及び準安定な炭素13(「13C」ということもある。)の混合物であり、その質量比率が、12C(98.892質量%)、13C(1.108質量%)及び14C(痕跡量である1.2×10−12質量%〜1.2×10−10質量%)であることは周知である。12Cと13Cとの比率は安定している。また、放射性の14Cは、大気上層で一次宇宙線によって生成された二次宇宙線に含まれる中性子が、大気中の窒素原子(14N)に衝突することによって生成されるので、太陽の黒点活動の強弱等により若干変動するものの、常に供給され続けており、一方、半減期5730年で減少する。
地球環境内で循環する二酸化炭素を絶えず呼吸する、または、吸収して、有機体に変化させて育つ生物(植物または動物)は、その生存中、地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する3種類の炭素同位体の質量比率を引き継ぎ続ける。生物が死滅すれば、生物内部における3種類の炭素同位体の質量比率は、死滅時点の比率で固定化される。14Cの半減期は、5730年であり、これを利用して種々の試料の年代を推定する考古学的年代測定法が周知である。一方、太古に生息した生物の死滅から長期間が経過して形成された化石燃料中の14Cは、ほぼ0(測定機器の検出限界未満)とみなすことができるので、化石燃料由来の合成樹脂中の14Cは、ほぼ0とみなすことができる。
したがって、植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂とは、含有される14Cの比率によって区別することが可能である。なお、生育している植物を収穫して、それを糖化してアルコールとし、その脱水反応によるアルケンであるエチレンを原料として、通常の樹脂合成手段を介して植物由来の合成樹脂とするまでの時間は、数か月間程度で、14Cの半減期5730年からみれば、無視できるので、植物由来の合成樹脂を製造するまでのタイムラグは、植物由来の合成樹脂か、化石燃料由来の合成樹脂かの判別に、実質的な影響がない。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する放射性の14Cの比率は、産業革命以来、人類が大量の化石燃料を燃焼させることで、希釈され、低減されていたが、西暦1950年以降の大気圏内核実験によって増加に転じた。すなわち、大気圏内核実験により放射性の14Cの生成量は、14Nの原子核反応による放射性の14Cの生成量を超えていた。その後、1964年の核実験停止条約により、放射性の14Cの比率は、1963年をピークとして減少に転じ、その後の原発事故等による変動があるものの、1950年における放射性の14Cの比率には至っていない。
そこで、植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂との区別については、1950年時点の放射性の14Cの存在比率を参照基準とする標準化方法が知られており、米国国立標準局(NIST)による、ASTM D6866−11(Determining the Biobased Control of Solid, Liquid, and Gaseous Samples Using Radiocarbon Analysis)がある。ASTM D6866は、放射性炭素年代測定法を利用した固体・液体・気体試料中の生物起源炭素濃度を決定するASTM(米国材料試験協会;American Society for Testing and Materials)の標準規格であり、2004年に承認されて以来、改訂が重ねられ、現在の最新規格ASTM D6866−11は、2011年7月改訂のものである。
ASTM D6866−11が規定する原理は、概略以下のとおりである。すなわち、化石燃料由来の有機物質は、1950年よりはるか昔の時代に、生物(動物・植物)の死滅または刈取りがあり、そのときの炭素同位体の比率組成が固定されているので、植物由来の有機物質を構成する炭素の存在比率は0(zero)である。そこで、炭素同位体の比率組成において、安定比率である13C/12Cと、放射性の14Cとの関数で規定するモダン炭素比率(percent modern carbon:pMC)単位を用いて、化石燃料由来の有機物質のモダン炭素比率を、0pMCとする(測定機器の検出限界未満。ただし、1950年以後に行われた核実験や原発事故に由来する放射性の14Cの混入により、化石燃料由来の有機物質が、0.01〜0.03pMCを示すことがある。)。また、1950年時点の炭素存在比率の標準物質〔NISTが供給するシュウ酸(SRM4990)、または同等有機物質〕を100pMCとする。この0〜100%pMCを基準として、試料のモダン炭素比率を求めることにより、化石燃料由来の有機物質と植物由来の有機物質との割合を決定するものである。現在製造される植物由来の合成樹脂のモダン炭素比率は、1950年以降に行われた大気圏内核実験等により人為的に増加した14Cの影響により、少なくとも103pMCを下回ることはない。核実験停止条約前の1963年におけるモダン炭素比率は、118pMCであった。したがって、合成樹脂のモダン炭素比率が、103〜118pMCであれば、確実に植物由来の合成樹脂が含有されているということができる。
また、既知の植物由来の合成樹脂のモダン炭素比率の値から、該植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂(モダン炭素比率は、0pMCである。)との混合物である合成樹脂材料(樹脂組成物)における植物由来の合成樹脂の含有比率を算出することができ、植物由来の合成樹脂の質量比率を、「%Corg.renew」と記載することがある。例えば、樹脂組成物における植物由来の合成樹脂(モダン炭素比率:104pMCとする。)と化石燃料由来の合成樹脂との質量比率が50:50であるときは、この樹脂組成物は50%Corg.renewであり、モダン炭素比率は52pMC(104pMC×0.50=52pMCとして計算される。)である。また、その樹脂組成物の前記の質量比率が55:45であるときは、55%Corg.renewであり、モダン炭素比率は57.2pMC(104pMC×0.55=57.2pMCとして計算される。)である。先に述べたように、植物由来の合成樹脂のモダン炭素比率は、103pMCを下回ることはないので、ある植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂との混合物である合成樹脂材料(樹脂組成物)のモダン炭素比率が、56.7pMC以上であれば、植物由来の合成樹脂のモダン炭素比率が55質量%以上(56.7pMC>103pMC×0.55=56.65pMCとして計算される。)であるといえる。
植物由来の合成樹脂を使用した樹脂製品と、化石燃料由来の合成樹脂を使用した樹脂製品とは、原理的には、モダン炭素比率において相違するのみであるので、地球環境に与える影響を除くほかは、取扱いにおける変化や差異はないと考えられている。しかし、現実には、例えば、相溶性や機械的特性において差異がある場合があることも知られている(特許文献1)
〔キャップ〕
容器の開口部に取り付けられるキャップとしては、容器の内容物を注出するために容器から取り外すものと、容器から取り外すことなく容器の内容物を注出することができるものとがある。
容器から取り外すことなく容器の内容物を注出することのできるキャップとしては、例えば、図8及び9に示されるような、容器(b)の口頚部に取り付けられるキャップ本体(11)、キャップ本体の天部を覆うオーバーキャップ(12)、及び、キャップ本体(11)に対してオーバーキャップ(12)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結する蓋開閉機構(13)を備えるキャップが知られている。なお、通例、キャップ本体(11)の内周面には、容器の口頚部外周面と螺合するためのネジ部(11a)が設けられ、外周面には、滑り防止のためのローレット加工(「刻み加工」ともいう。図示しない。)が施されている。
図8に示される閉蓋状態のキャップは、オーバーキャップ(12)を、キャップ本体(11)に対して蓋開閉機構(13)を揺動させて、図9に示すような開蓋状態とすることにより、容器の天部に、容器の内容物を注出するための注出口(14)を形成することができる。このようなキャップは、容器の内容物を注出するに際し、キャップ全体を容器から取り外す必要がないため、近年では液体調味料等の容器のキャップとして広く用いられており、射出成形法などによりポリオレフィン等の合成樹脂材料から一体に成形することができる。
蓋開閉機構(13)としては、種々の機構が知られており、例えば、三点ヒンジ機構や膜状ヒンジ機構などが知られている。図8〜10に示した例では、キャップ本体(11)とオーバーキャップ(12)とを互いに揺動可能に接続するヒンジ本体(13a)、及び、その両側に配置されオーバーキャップ(12)を閉蓋状態または開蓋状態に引っ張る一対の弾性片(13b)から構成される三点ヒンジ機構が採用されている。三点ヒンジ機構においては、オーバーキャップ(12)を開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる場合、オーバーキャップ(12)が、所定位置(「思案点」または「死点」ということがある。)に達するまでは、弾性片(13b)が徐々に伸長し、この過程では、オーバーキャップ(12)を揺動させるのに抵抗を感じることとなる。オーバーキャップ(12)が思案点を越えると、弾性片(13b)はそれ自体の弾性復元力により収縮し、オーバーキャップ(12)を閉蓋状態の方向に引っ張る。オーバーキャップ(12)が、思案点を越えるときに感じる抵抗感(クリック感)や思案点から閉蓋状態に移動する際、または、思案点から開蓋状態に移動する際の動作特性(スナップ性)は、弾性片(13b)の寸法や弾性係数、伸び量等により定まる。
また、膜状ヒンジ機構(図示しない)は、キャップ本体とオーバーキャップとを互いに揺動可能に接続する、薄膜状、厚膜状、フィルム状またはシート状等の厚みに対して面積が顕著に大きい膜状体(図示しない)を、ヒンジ機構の主要な部分として備えるヒンジ機構である。膜状ヒンジにおいて、オーバーキャップを開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる場合、オーバーキャップが、思案点(死点)に達するまでは、膜状ヒンジが徐々に伸長し、この過程では、オーバーキャップを揺動させるのに適度な抵抗を感じることとなる。オーバーキャップが思案点(死点)を越えると、膜状ヒンジはそれ自体の弾性復元力により収縮し、オーバーキャップを閉蓋状態の方向に引っ張る。オーバーキャップが、思案点(死点)を越えるときに感じる抵抗感(クリック感)や思案点から閉蓋状態に移動する際、または、思案点(死点)から開蓋状態に移動する際の動作特性(スナップ性)は、膜状ヒンジの弾性係数、寸法や伸び量等により定まる。
すなわち、三点ヒンジ機構や膜状ヒンジ機構など、キャップの蓋開閉機構として慣用されているヒンジ機構の動作特性(スナップ性)は、ヒンジを構成する部材の弾性係数、寸法や伸び量等により調整することができる。
キャップの蓋開閉機構としては、これらヒンジ機構と作動原理を異にするトグル構造が知られている。例えば、特許文献2には、図11〜13に示されるように、2枚の板状部材(101’)、(102’)、一方の板状部材(101’)に対して移動可能な弾性部材(116)、及び、他方の板状部材(102’)と前記弾性部材(116)の前記板状部材(101’)から遠い方の部分(117)との間に延びる接続アーム(119)、並びに、該弾性部材(116)及び接続アーム(119)の両側に配置され、該板状部材(101’)、(102’)を互いに旋回可能に結合する第1の柔軟部分(120)、(121)を備える、一体成形された蓋開閉機構が開示され、さらに、弾性部材(116)と接続アーム(119)との接続部(117)が、板状部材(101’)、(102’)を互いに旋回可能に結合する第1の柔軟部分(120)、(121)に対してオフセット(偏位)されていることにより、板状部材(101’)、(102’)の図12から図13の状態の位置への旋回力または、図13から図12の状態位置への復元力を作り出すことが開示されている。
すなわち、図12及び13に示されるように、弾性部材(116)と接続アーム(119)との接続部(117)は、板状部材(101’)、(102’)の旋回可能な柔軟部分(120)、(121)に対して、水平方向にx、鉛直方向にyだけオフセット(偏位)されている。この屈曲箇所または旋回箇所のオフセット(偏位)があることにより、図12の状態から、板状部材(102’)を時計回りに旋回させる場合、ある転回点(turning point)までは抵抗力(反力)を受けるが、該転回点を過ぎると、該板状部材(102’)は、図13の状態への引張力を受ける。反対に、図13の状態から、板状部材(102’)を反時計回りに旋回させる場合、転回点までは抵抗力(反力)を受けるが、該転回点を過ぎると、該板状部材(102’)は、図12の状態への引張力を受ける。弾性部材(116)や接続アーム(119)の形状を変更することによって、オフセット(偏位)x及びyの値を調整することにより、抵抗力(反力)及び引張力を調整することができる。
このように、構成部材の形状を変更することによって、屈曲箇所または旋回箇所のオフセット(偏位)を設けることで、入力に対して、ある点までは反力が働き、当該点を超えると反力がなくなり入力と同じ方向の力が発生する、この作用は、いわゆるトグルスイッチの作用と同様であるため、この機構は、トグル構造といわれるものであり、トグル構造の蓋開閉機構は、特許文献3及び4などにも記載されている。なお、トグル構造の蓋開閉機構を、単にヒンジ機構と称していることもある。
トグル構造の蓋開閉機構を備えるキャップは、例えば、図1、2の斜視図、図3、4の断面図、及び図5の開蓋状態の平面図で示すように、キャップ本体(1)、キャップ本体(1)の天部を覆うオーバーキャップ(2)、及び、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造(3)を備えるものである。トグル構造(3)は、図3及び4に示すように、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を回動自在に支持する屈曲可能な結合片(3a)と、オーバーキャップ(2)の回動軸に沿い該結合片(3a)の両側に配置される一対の支持部材(3b)を有する。該結合片(3a)は、両端部(3a、3a)を備え、端部(3a)は、前記オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に、及び、端部(3a)は、キャップ本体(1)の外周面に、それぞれ連結されている。この例では、両端部(3a、3a)と、キャップ本体(1)の外周面及びオーバーキャップ(2)の天板部(2a)との連結部の形状は、図5に示されるようにいずれも略直線状である。また、該結合片(3a)は、前記オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の周縁の内方で連結する端部(3a)のみにおいて、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結している。したがって、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)には、結合片(3a)が、両端部(3a、3a)を屈曲点として揺動することが可能なように、結合片(3a)の幅とほぼ等しい幅で周縁方向に延在する切欠部(スリット)が設けられている。なお、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に設けられた切欠部(スリット)は、結合片(3a)が揺動することがない三点ヒンジ機構や膜状ヒンジ機構においては設けられる必要がないものである。
トグル構造(3)における結合片(3a)が、上記のような形状を有するものである結果、図6に示した仰角180°の開蓋状態のトグル構造を備えるキャップの断面図のように、結合片(3a)の天板部(2a)との連結点である端部(3a)は、オーバーキャップ(2)の回動軸に沿って設けられている支持部材(3b)の中心点に対して、水平方向にh、鉛直方向にvだけオフセット(偏位)されている。
トグル構造を備えるキャップにおいて、オーバーキャップ(2)を、図2または図4に示す開蓋状態から、図1または図3に示す閉蓋状態に揺動させる場合、上記のように、端部(3a)が、支持部材(3b)の中心点に対して、水平方向にh、鉛直方向にvだけオフセット(偏位)されていることから、オーバーキャップ(2)を図において反時計回りに旋回させると、転回点(思案点)までは抵抗力(反力)を受けるが、該転回点(思案点)を過ぎると、オーバーキャップ(2)は、キャップ本体(1)に接近する閉蓋状態への引張力を受けることとなる。反対に、オーバーキャップ(2)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させる場合、オーバーキャップ(2)を図において時計回りに旋回させると、転回点(思案点)までは抵抗力(反力)を受けるが、該転回点(思案点)を過ぎると、オーバーキャップ(2)は、開蓋状態への引張力を受けることとなる。結合片(3a)の形状を変更して、オフセット(偏位)(h)及び/または(v)を変更することによって、オーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動させるときの抵抗力(反力)と引張力とを調整することができる。例えば、水平方向のオフセット(偏位)(h)を大きくするためには、結合片(3a)が、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と周縁の内方で連結する端部(3a)の位置を、該天板部(2a)において、周縁のより内方の位置に変更すればよい。この場合、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に設けられている切欠部(スリット)は、周縁のより内方の位置まで設けられることとなる。
トグル構造を備えるキャップとしては、更に種々の態様のものが想定されている。例えば、結合片(3a)の輪郭形状は、図示した略L字形の輪郭形状を有するもののほかに、湾曲した輪郭形状を有するものでもよい。また、2以上の結合片(3a)を有するものであってもよい。
合成樹脂材料から一体に成形された、トグル構造を備えるキャップは、射出成形その他のそれ自体公知の合成樹脂の成形方法によって成形される。通例、射出成形により成形されることが多く、その際、主として成形加工上の理由から、図6に示すようなオーバーキャップ(2)が180°開蓋したキャップとして成形される。すなわち、180°開蓋状態としたキャップの形状を備える成形金型を使用して射出成形を行って、キャップを成形し、次いで、成形されたキャップを金型から取り出した後、成形品の養生や熱固定を行うが、保管スペースの節約等のために、閉蓋状態として保存することが多い。
トグル構造(3)を備える、合成樹脂から一体に成形されたキャップを使用するときは、キャップを装着した容器の内容物を注出させるために、オーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、内容物の注出後は、オーバーキャップ(2)を開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作が行われる。オーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させて、オーバーキャップ(2)が安定した開蓋状態となったときの開蓋角度、すなわち、開蓋状態の仰角は、合成樹脂が有する粘弾性などにより、図4に示すように、通常180°より小さい角度となり、支持部材(3b)はやや屈曲した状態となっている。また、長期間にわたって、開蓋状態と閉蓋状態との揺動操作を繰り返していると、オーバーキャップ(2)の開蓋状態の仰角が小さくなっていく場合もある。
オーバーキャップ(2)の開蓋状態の仰角が180°であると、オーバーキャップ(2)を閉蓋状態にするために揺動を開始するときの抵抗力が大きくなるので、必ずしも開蓋状態の仰角が180°である必要はない。しかし、開蓋状態の仰角が余り小さくなると、開蓋状態での前記オフセット(偏位)h及びvが小さくなる結果、オーバーキャップ(2)の開閉にメリハリ感が少なくなったり、オーバーキャップ(2)を確実な閉蓋状態とすることができなくなったり、反対に、安定した開蓋状態を維持しにくくなるばかりでなく、キャップ本体(1)の口部に立設する注出口(4)から出る内容物が、蓋開閉機構側に誤って注出され、オーバーキャップ(2)を汚すことがあるので好ましくない。そこで、オーバーキャップを安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分大きい、合成樹脂から一体に成形されたキャップが望まれていた。
一方、蓋開閉機構としてトグル構造を備える、合成樹脂材料から一体に成形されたキャップは、他の蓋開閉機構を備える蓋やキャップと同様に、内容物を充填した容器(以下、「充填容器」ということがある。)の製造工程において、内容物を容器に充填した後に、容器の口頚部に取り付けられる。容器へのキャップの取り付け装置としては、例えば、図14に示されるような装置が知られている(特許文献5)。この装置においては、図示されないキャップ供給部(以下、「ホッパー」ということがある。)から順次送り出されてくるキャップ(c)は、傾斜したシュート等のキャップ供給手段(d)によって、整列しながら滑り移送され、受渡装置であるキャップ支持装置(D)を介して、キャッパー(e)にキャップ(c)が一個ずつ受け渡される。キャッパー(e)は、グリッパー(f)でキャップ(c)を把持し、充填容器(b)の上方に移動した後、グリッパー(f)に把持されたキャップ(c)を充填容器(b)の口頚部に当接させ、キャップ(c)を口頚部に嵌着または螺着する。次いで、通常、グリッパー(f)に把持されたキャップ(c)を回転させることにより、キャップ(c)が充填容器(b)の口頚部に螺合して口頚部に取り付けられるとともに、グリッパー(f)によるキャップ(c)の把持が開放されて、キャップ(c)が取り付けられた充填容器(b)が製造される。なお、キャップ供給手段(d)としては、図示した傾斜状のもののほかに、ほぼ垂直にキャップ(c)を供給するものや、スプロケットやギアの回転によりキャップ(c)を供給するもの、キャップ(c)を並列して移送するものやキャップ(c)を上下に積み重ねた状態で移送するものなど、種々の装置が知られており、シュート等の径、形状または長さは、種々のものが知られている。
近年、生産性向上のために、充填容器の製造装置の高速化が進み、容器へのキャップ(c)の取り付け装置も操作の高速化が求められている。それに伴い、キャップ供給手段(d)においては、キャップ(c)が、迅速かつ確実に、整列しながら移送されることが求められる。
キャップ本体、オーバーキャップ及びトグル構造を備えるキャップ(c)は、キャップ供給手段(d)においては、通常、閉蓋状態で、供給、移送される。キャップ(c)は、キャップ本体(1)及びオーバーキャップ(2)に加えて、キャップ本体(1)及びオーバーキャップ(2)を揺動可能に連結するトグル構造(3)を備えるので、通常、キャップ(c)に突出部または突起部が存在する。キャップ供給手段(d)において、キャップ(c)が、キャップ供給手段(d)の内面に接触したり、引っかかったりすることがあり、また、複数のキャップのトグル構造(3)が相互に干渉したりすることがあるため、迅速かつ確実な整列や移送が行われにくい場合がある。
キャップの迅速かつ確実な整列や滑り移送がしにくい結果、キャッパー(e)に受け渡されるキャップ(c)の姿勢や位置が所定範囲外であったり、場合によっては、キャップ供給手段(d)内で、キャップが詰まったり、キャッパー(e)へのキャップ(c)の供給が滞ることにより、充填容器(b)の製造装置が停止することがあるなどの問題点があるので、キャップ供給における良好な移送性の解決も求められるようになってきた。
一方、ポリオレフィン等の合成樹脂材料製容器については、容器内外表面の滑り性を改善するために、ポリオレフィン等の原料樹脂に、滑剤(スリップ剤)を添加することが行われている(特許文献6)。滑剤は、通常、原料樹脂に、マスターバッチ方式で添加されたり、練り込まれたりする。合成樹脂材料製容器が多層容器である場合は、表面層(最外層または最内層)に滑剤を添加することが多い。滑剤としては、例えば、脂肪酸アミドが汎用され、具体的には、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド(ベヘニン酸アミド)などが使用される。これらの滑剤は、2種以上を混合して使用することも行われてきた。
特開2011−132525号公報 米国特許第3289877号明細書 実開平2−69857号公報 特開2007−261660号公報 特開平8−119386号公報 特開平6−72422号公報
本発明の課題は、カーボンオフセット性を有し、化石燃料由来の合成樹脂を含有する合成樹脂材料から一体に成形されたトグル構造を備えるキャップと遜色がない成形性を有するとともに、オーバーキャップを安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分大きく、かつ、スナップ性、耐久性及び操作性が良好であって、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好である、植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形された、トグル構造を備えるキャップを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決することについて鋭意研究した結果、合成樹脂材料から一体に成形されたトグル構造を備えるキャップにおいて、トグル構造の結合片の厚みを特定のものとし、かつ、該トグル構造を形成する合成樹脂材料の組成を特定のものとしたキャップとすることにより、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体、該キャップ本体の天部を覆うオーバーキャップ、及び、キャップ本体に対してオーバーキャップを閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造を備え、かつ、ASTM D6866−11に規定されるモダン炭素比率が56.7〜118pMCであるポリオレフィンを含む、植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形されたキャップであって、以下のa)〜c):
a)トグル構造は、キャップ本体に対してオーバーキャップを回動自在に支持する屈曲可能な結合片と、オーバーキャップの回動軸に沿い結合片の両側に配置される一対の支持部材とを有する;
b)結合片は、
b−1)両端部を備え、該両端部は、キャップ本体の外周面及びオーバーキャップの天板部にそれぞれ連結され、
b−2)オーバーキャップの天板部の周縁の内方で連結する端部のみにおいて、オーバーキャップの天板部と連結し、
b−3)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、
かつ、
b−4)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップの天板部の外表面に連なる側の面に凹部を有する;及び、
c)トグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる;
ことを特徴とする、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップが提供される。なお、本発明において、「合成樹脂材料から一体に成形された」とは、植物由来のポリオレフィン単独、または、植物由来のポリオレフィンと化石燃料由来のポリオレフィンに加えて、合成樹脂の成形に際して通常使用される添加剤や配合剤等を含有する合成樹脂材料(以下、「樹脂材料」または「樹脂組成物」ということがある。)から一体に成形されたことを意味する。
また、本発明によれば、実施の態様として、以下(1)〜(15)のトグル構造を備えるキャップが提供される。
(1)キャップ本体、オーバーキャップ及びトグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(2)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、以下の(A)、(A)及び(A):
(A)HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(A)HN−CO−(−CH−)m−2−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(A)HN−CO−(−CH−)k+4−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる一つの式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドを含有する前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(3)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A)の式で表される脂肪酸アミドと、前記の(A)または(A)の式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドとの混合物である前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(4)前記の(A)の式で表される脂肪酸アミドにおけるmが、m=n+1またはm=n−1である前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(5)前記の(A)の式で表される脂肪酸アミドにおけるkが、k=nである前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(6)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A)の式で表される脂肪酸アミドと、以下の(A11):
(A11)HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、jは、6≦j≦10の範囲の整数であり、j≠nである。);
の式で表される脂肪酸アミドとの混合物である前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(7)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物を含有する前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(8)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を含有する合成樹脂材料が、更に飽和脂肪酸アミドを含有する前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(9)植物由来のポリオレフィンが、植物由来のエチレン系樹脂である前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(10)結合片が、略L字形の輪郭形状を有する前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(11)結合片が、湾曲した輪郭形状を有する前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(12)凹部が、直線状の溝である前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(13)直線状の溝が、前記他の領域より断面厚みが薄い領域の断面厚みに対して、5〜30%の比率の範囲の深さを有する溝である前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(14)トグル構造が、2以上の結合片を有する前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
(15)閉蓋状態で熱固定されてなる前記の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
本発明によれば、容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体、該キャップ本体の天部を覆うオーバーキャップ、及び、キャップ本体に対してオーバーキャップを閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造を備え、かつ、ASTM_D6866−11に規定されるモダン炭素比率が56.7〜118pMCであるポリオレフィンを含む、植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形されたキャップであって、以下のa)〜c):
a)トグル構造は、キャップ本体に対してオーバーキャップを回動自在に支持する屈曲可能な結合片と、オーバーキャップの回動軸に沿い結合片の両側に配置される一対の支持部材とを有する;
b)結合片は、
b−1)両端部を備え、該両端部は、キャップ本体の外周面及びオーバーキャップの天板部にそれぞれ連結され、
b−2)オーバーキャップの天板部の周縁の内方で連結する端部のみにおいて、オーバーキャップの天板部と連結し、
b−3)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、
かつ、
b−4)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップの天板部の外表面に連なる側の面に凹部を有する;及び、
c)トグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる;
ことを特徴とする、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップであることによって、カーボンオフセット性を有し、化石燃料由来の合成樹脂を含有する合成樹脂材料から一体に成形されたトグル構造を備えるキャップと遜色がない成形性を有するとともに、オーバーキャップを安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分大きく、かつ、スナップ性、耐久性及び操作性が良好であって、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好である、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを提供することができる、という効果を奏する。
トグル構造を備えるキャップの閉蓋状態における斜視図である。 トグル構造を備えるキャップの開蓋状態における斜視図である。 閉蓋状態のトグル構造を備えるキャップを容器に装着したときの断面図である。 開蓋状態のトグル構造を備えるキャップを容器に装着したときの断面図である。 トグル構造を備えるキャップの開蓋状態における平面図である。 射出成形によって、仰角180°の開蓋状態で一体に成形されたトグル構造を備えるキャップの断面図である。 結合片がオーバーキャップの天板部と連結する端部の近傍における、結合片の拡大断面図である。 従来例である閉蓋状態の三点ヒンジ機構を備えるキャップを容器に装着したときの断面図である。 従来例である開蓋状態の三点ヒンジ機構を備えるキャップを容器に装着したときの断面図である。 従来例である三点ヒンジ機構を備えるキャップの平面図である。 トグル構造を備える蓋開閉機構の従来例を示す平面図である。 従来例のトグル構造を備える蓋開閉機構の開蓋状態における線105−105での断面図である。 従来例のトグル構造を備える蓋開閉機構の閉蓋状態における線105−105での断面図である。 キャップ装着装置の一例を示す図である。
I.トグル構造を備えるキャップ
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体(1)、キャップ本体(1)の天部を覆うオーバーキャップ(2)、及び、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造(3)を備える、植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形された、トグル構造を備えるキャップである。なお、本発明を(図1〜7)を参照しつつ説明するに当たっては、図面中の番号及び記号は、先に従来技術の説明において使用したものと同じものを用いる。また、図面は、本発明を理解するために、縮尺や形状を、強調または省略して記載している場合がある。
1.キャップ本体
容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体(1)は、容器の口頚部に、嵌合または螺合により、直接取り付けられるカップ状の部材である。キャップ本体(1)は、通常、図3、4及び6に示すように、容器の口頚部を囲む略円筒状の部分と、該容器の口頚部の先端面(上端)に当接する天板部分とを、更に有してもよい。キャップ本体(1)の天板部分の中央部には開口部が形成されており、この開口部が、容器の内容物を注出するための注出口(4)を形成する。キャップ本体(1)の天板部分には、注出口(4)を囲むようにして略円筒状部材を突設してもよく、これにより、容器の内容物を注出することが容易となる。なお、容器の内容物の腐敗防止の観点から、必要に応じて、容器の内容物が接触する天板部分の内面に、酸素ガスバリヤー性の単層または多層のシートまたはフィルム(図示せず)を配設してもよい。キャップ本体(1)の内周面に、容器の口頚部外周面と螺合するためのネジ部(1a)を設け、外周面には、滑り防止のためのローレット加工(刻み加工)を施してもよい。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップにおけるキャップ本体(1)の大きさは特に限定されないが、通常、口頚部を囲む略円筒状の部分は、径(外径及び内径)10〜80mm、高さ5〜50mm程度の大きさであり、また、キャップ本体(1)の厚みは、200μm〜4mm程度〔ネジ部(1a)の高さを含まない。〕である。オーバーキャップ(2)及びトグル構造(3)の大きさや厚みは、キャップ本体(1)の大きさに対応して、定めることができる。
2.オーバーキャップ
キャップ本体(1)の天部を覆うオーバーキャップ(2)は、キャップ本体(1)の天板部分を覆い、前記注出口(4)を閉じるためのものであり、トグル構造(3)を介して、キャップ本体(1)に対して揺動可能に取り付けられている。図2〜4に示すように、オーバーキャップ(2)の内面(図3に示す閉蓋状態においてキャップ本体(1)側となる面)には、閉蓋時にキャップ本体(1)の天板部分に形成した開口部に嵌合され、容器の内容物が注出口(4)から漏出することを防止する円筒状の部材を設けてもよい。また、所望により、オーバーキャップ(2)を閉蓋状態で維持するために、係止手段を設けてもよい。係止手段の形状は、特に限定されず、例えば、図示するように、キャップ本体(1)の上部に設けた段部とオーバーキャップ(2)の内周面とが、弾性変形を利用する係止関係となるようにしてもよいし、また、キャップ本体(1)の天板部分の外周部に係止リングを設け、オーバーキャップ(2)の内周面とが、弾性変形を利用する係止関係となるようにしてもよい。
オーバーキャップ(2)の天板部(2a)には、後述のとおり、トグル構造(3)の結合片(3a)が、両端部(3a、3a)を屈曲点として揺動することが可能なように、結合片(3a)の幅とほぼ等しい幅で周縁方向に延在する切欠部(スリット)が設けられている。
3.トグル構造
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造(3)を備えるものである。該トグル構造(3)自体は、蓋の開閉機構として使用することが本出願前に知られたものであり、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を回動自在に支持する屈曲可能な結合片(3a)と、オーバーキャップ(2)の回動軸に沿い結合片(3a)の両側に配置される一対の支持部材(3b)とを有するものである。
4.結合片
本発明におけるトグル構造(3)が有する結合片(3a)は、
両端部(3a、3a)を備え、該両端部(3a、3a)は、キャップ本体(1)の外周面及びオーバーキャップ(2)の天板部(2a)にそれぞれ連結され、
オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の周縁の内方で連結する端部(3a)のみにおいて、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結し、
オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、かつ、
オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に凹部(3a11)を有するものである。
結合片(3a)は、両端部、すなわち2つの端部(3a、3a)を備え、該両端部(3a、3a)の間に延在し、屈曲可能であって、オーバーキャップ(2)を回動自在に支持する。両端部(3a、3a)は、キャップ本体(1)の外周面及び前記オーバーキャップ(2)の天板部(2a)にそれぞれ連結されている。図示した具体例においては、結合片(3a)の前記端部(3a)が、前記オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結しており、該端部(3a)は、オーバーキャップ(2)の回動軸に沿い結合片(3a)の両側にある一対の支持部材(3b)の中心点に対して、水平方向にh、鉛直方向にvだけオフセット(偏位)されている。また、結合片(3a)の他の端部(3a)は、キャップ本体(1)の外周面に連結されている。この具体例では、両端部(3a、3a)と、キャップ本体(1)の外周面及びオーバーキャップ(2)の天板部(2a)との連結部の形状は、いずれも略直線状であり、該連結部の長さは結合片(3a)の幅と同一である。
〔結合片の幅〕
結合片(3a)の幅は、オーバーキャップ(2)の径に対して、通常0.1〜0.5、好ましくは0.15〜0.4、より好ましくは0.2〜0.35の比率の範囲で定めることができる。結合片(3a)の幅が小さすぎると、オーバーキャップ(2)の揺動に捩れが生じて、きちんと蓋が閉まらず、内容物がこぼれることがあったり、トグル構造(3)を備えるキャップの耐久性が低下したりすることがある。結合片(3a)の幅が大きすぎると、オーバーキャップ(2)を開閉するために揺動を開始するときの抵抗力や転回点(思案点)を過ぎた後の引張力が大きくなり、スナップ性やクリック感が悪くなることがある。また、トグル構造(3)が、2以上の結合片(3a)を有することもでき、この場合は、2以上の結合片(3a)の幅の合計が、上記の範囲に入るようにすればよい。
〔結合片の厚み〕
結合片(3a)の厚みは、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結することができる限り、特に制限がないが、先に述べたオーバーキャップ(2)を開閉するために揺動を開始するときの抵抗力や転回点(思案点)を過ぎた後の引張力、及び、結合片(3a)の強度、成形加工上の観点などから、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の厚みに対して、通例0.1〜2の比率、好ましくは0.15〜1.5、より好ましくは0.2〜1.2の比率となるように定めればよい。キャップの取り扱い性や成形加工上の観点からは、結合片(3a)の大半を占める部位、すなわち、結合片(3a)の主要部の厚みは、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の厚みに対して0.8〜1.1程度、特に好ましくは0.9〜1.05程度とすることが好ましい。なお、結合片(3a)の主要部とは、結合片(3a)の両端部(3a、3a)の間に延在する領域であって、後に詳述するように、両端部(3a、3a)、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域、及び、前記オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に有する凹部(3a11)以外の領域を意味する。
〔他の領域より断面厚みが薄い領域〕
結合片(3a)の厚みは、部分的に異なるようにしてもよい。特に、後に詳述する結合片(3a)が、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有することによって、キャップ本体(1)に対するオーバーキャップ(2)の閉蓋状態と開蓋状態との間での揺動を、一層容易なものとすることができる。オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域における結合片(3a)の厚みは、結合片(3a)の主要部(「他の領域」に相当する。)の厚みに対して、通常30〜95%、好ましくは40〜90%、より好ましくは50〜85%の厚みとなるようにすればよい。オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域における結合片(3a)の厚みが小さすぎると、該端部(3a)の強度が不足し、キャップの耐久性が低下することがある。他方、前記他の領域より断面厚みが薄い領域における結合片(3a)の厚みが大きすぎると、キャップ本体(1)に対するオーバーキャップ(2)の閉蓋状態と開蓋状態との間での揺動がしにくくなることがある。
また、本発明におけるトグル構造(3)が有する結合片(3a)は、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の周縁の内方で連結する端部(3a)のみにおいて、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結している。すなわち、結合片(3a)の前記端部(3a)以外の箇所は、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結していない。先に述べたとおり、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)には、結合片(3a)の幅とほぼ等しい幅で周縁方向に延在する切欠部(スリット)が設けられているので、結合片(3a)は、前記端部(3a)を支点として、前記切欠部(スリット)と干渉することなく、前記切欠部(スリット)によって形成される空間内で屈曲することができ、これに伴って、オーバーキャップ(2)は、閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動することが可能となる。
〔結合片の輪郭形状〕
本発明におけるトグル構造(3)が有する結合片(3a)は、両端部(3a、3a)の間に延在し、屈曲可能であれば、特に、両端部(3a、3a)の間に延在する輪郭形状に制限はなく、図示するように略L字型の輪郭形状を有する結合片のほか、湾曲した輪郭形状を有する結合片などを使用することができる。略L字型の輪郭形状における折れ曲がり部の位置や、湾曲した輪郭形状における曲率半径が最も小さい部分の位置を調整することによって、オーバーキャップ(2)の開蓋状態の仰角、スナップ性や操作性を更にある程度調整できることがある。
〔オーバーキャップの天板部の外表面に連なる側の面に有する凹部〕
さらに、本発明におけるトグル構造(3)が有する結合片(3a)は、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に凹部(3a11)を有することにより、オーバーキャップ(2)を安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分に大きく、かつ、スナップ性、耐久性及び操作性が良好なものとすることができる。スナップ性、耐久性及び操作性が良好な開蓋状態の仰角は、好ましくは150〜180°、より好ましくは152〜177°、更に好ましくは155〜175°の範囲となるようにすればよい。なお、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面とは、図3に示す閉蓋状態のキャップにおいてオーバーキャップ(2)の天板部(2a)の上側の面を意味し、図4または図6に示す開蓋状態のキャップにおいてオーバーキャップ(2)の天板部(2a)の下側の面を意味する。
前記の端部(3a)の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に有する凹部(3a11)は、特に形状が限定されず、凹み、窪み、溝その他の形状のものとすることができる。該凹み、窪み、溝その他の形状の凹部(3a11)は、前記の端部(3a)の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、離散的に配置してもよく、その位置、大きさや数は、適宜定めることができるが、図7に示した前記の端部(3a)の近傍における結合片(3a)の断面図のように、好ましくは線状、より好ましくは直線状、特に好ましくはオーバーキャップ(2)の回動軸を含む面において、該回動軸と略平行に延びる直線状に配置すればよい。最も好ましくは、凹部(3a11)は、直線状の溝である。凹部(3a11)、特に好ましくは直線状の溝の断面形状は、特に限定されず、円弧状、半円状、V字状、U字状、台形状、三角形状、四角形状やこれらを隅取りした形状など種々の断面形状を採用することができ、さらに、円弧の一部または全部や、V字、台形または三角形等の辺の一部または全部を襞状としてもよいし、小さな凹凸を設けてもよい。
前記の凹部(3a11)の深さは、前記オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域の断面厚みに対して、通常5〜30%、好ましくは10〜25%、より好ましくは15〜20%の範囲である。凹部(3a11)の深さが小さすぎると、オーバーキャップ(2)を安定した開蓋状態に維持することができなくなったり、開蓋状態の仰角が小さくなったり、スナップ性、耐久性及び操作性が良好なものでなくなったりする。逆に、凹部(3a11)の深さが大きすぎると、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域の強度が不足し、キャップの耐久性が低下したり、安定した開蓋状態に維持できなくなったりして、場合によっては開蓋状態の仰角が180°を超えるようになり、オーバーキャップ(2)を閉蓋状態に復帰するように揺動させる際の抵抗力が大きくなることがある。したがって、先に述べたように、凹部(3a11)として最も好ましいものである直線状の溝は、前記他の領域より断面厚みが薄い領域の断面厚みに対して、5〜30%の比率の範囲の深さを有する溝であることが好ましい。
〔結合片の他の端部〕
結合片(3a)の、キャップ本体(1)の外周面に連結されている他の端部(3a)は、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動する際に、揺動を妨げないよう屈曲することができる限り、該端部(3a)の近傍に、結合片(3a)の主要部の厚みより断面厚みが薄い領域を有する必要は必ずしもないが、断面厚みが薄い領域を有することによって、オーバーキャップ(2)の開蓋状態の仰角、スナップ性や操作性を更にある程度調整できることがある。
5.支持部材
本発明におけるトグル構造(3)が有する支持部材(3b)は、オーバーキャップ(2)の回動軸に沿い結合片(3a)の両側に配置される一対の支持部材(3b)である。支持部材(3b)は、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動させることができ、また、結合片(3a)の回動や屈曲を妨げることがなければ、その形状、大きさや厚みに特に限定はなく、キャップ本体(1)及び/またはオーバーキャップ(2)からそれぞれの一部として延在するものでもよい。
II.植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形されたトグル構造を備えるキャップ
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造(3)を備え、ASTM D6866−11に規定されるモダン炭素比率が56.7〜118pMCであるポリオレフィンを含む、植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形されたキャップである。なお、先に述べたとおり、「合成樹脂材料から一体に成形された」とは、ポリオレフィンに加えて、合成樹脂の成形に際して通常使用される添加剤や配合剤等を含有する合成樹脂材料から一体に成形されたことを意味する。
キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、トグル構造(3)を形成する植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料の組成は、同一でもよいし、異なってもよいが、成形性や取扱い性等の観点から、同一の組成とすることが好ましい。また、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び/または、トグル構造(3)のそれぞれについても、合成樹脂材料の組成は、同一または均一の組成であってもよいし、それぞれにおいて不均一な組成のものであってもよい。樹脂の組成が連続的に変化する、いわゆる傾斜材料であってもよい。なお、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、または、トグル構造(3)は、単層でもよいし、インモールドラベル成形法などによる積層でもよい。
1.植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、ASTM D6866−11に規定されるモダン炭素比率が56.7〜118pMCであるポリオレフィンを含む、植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形されたものである。
一般に、植物由来の合成樹脂は、2つに大別される。第一は、トウモロコシに由来する乳酸から得られる生分解性樹脂であるポリ乳酸、ひまし油に由来するセバシン酸を使用して得られるナイロン610、ポリウレタン、セルロースを塩基性溶液で分解して得たグルコースに由来する1,3−プロパンジオールを使用して得られるポリトリメチレンテレフタレートなど、従来からの石油化学を利用して人工的に合成することが困難である植物由来の化合物を出発原料に用いて得られる合成樹脂である。第二は、従来からの樹脂合成プロセスを用いる製造プラントを利用して人工的に合成することができる化合物、例えば化石燃料由来のアルコールの脱水反応を介するアルケンを、植物由来の化合物である原料、例えば植物由来のアルコールの脱水反応を介するアルケンに置き換える出発原料を用いて得られる合成樹脂である。例えば、サトウキビやトウモロコシ等の植物原料から抽出する糖の発酵物またはセルロース発酵物から得たエチルアルコールを用いて、アルコール脱水反応を介して植物由来のエチレンやプロピレンを製造し、該植物由来のエチレンやプロピレンを出発原料に用いて得られるポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂であり、生分解性がない合成樹脂である。後者は、化石燃料由来のカーボンネガティブな合成樹脂を、植物由来のカーボンニュートラルな、またはカーボンオフセットに寄与する合成樹脂に転換することとなるので、地球温暖化対策として好ましい。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、植物由来の合成樹脂として、入手の容易性、成形性、機械的特性、及び、トグル構造を備えるキャップに求められる特性の観点、並びに、カーボンオフセットへの寄与の観点から、植物由来のエチレン系樹脂や植物由来のプロピレン系樹脂等の植物由来のポリオレフィン、好ましくは植物由来のエチレン系樹脂を使用するものである。
〔植物由来のポリオレフィン〕
本発明のトグル構造を備えるキャップに含有することができる植物由来のポリオレフィンは、植物由来のエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等の植物由来アルケンのオレフィン系単量体の単独重合体または共重合体である。
〔植物由来のエチレン系樹脂〕
また、植物由来のエチレン系樹脂は、植物由来のエチレンの単独重合体、または、植物由来のエチレンを主成分とする植物由来のエチレン共重合体であり、該共重合体は、植物由来のエチレンと他の植物由来アルケン及び/または他の植物由来の不飽和単量体との共重合体である。好ましい植物由来のエチレン系樹脂としては、植物由来の高密度ポリエチレン、及び植物由来の低密度ポリエチレン等がある。
植物由来の高密度ポリエチレンは、一般に、密度が0.942g/cm以上の植物由来のポリエチレンである。通常は、密度が0.980g/cm以下の植物由来のポリエチレンであり、好ましくは、0.945〜0.970g/cm、より好ましくは0.948〜0.965g/cmである。なお、植物由来のポリエチレンの密度は、JIS K6922−2に準拠して測定したものである。また、植物由来の高密度ポリエチレンは、MFR(温度190℃、荷重21.18Nで測定)が、通常1〜100g/10分、好ましくは5〜80g/10分、より好ましくは10〜50g/10分のものを使用することができる。なお、植物由来のポリエチレンのMFRは、JIS K6922−2に準拠して測定したものである。植物由来の高密度ポリエチレンは、合成品を使用することができるが、市販品の中から選択して使用することもできる。市販品としては、ブラスケム社(ブラジル)製のグリーンポリエチレンに属する植物由来の高密度ポリエチレンなどがある。
植物由来の低密度ポリエチレンは、一般に、密度が0.910〜0.930g/cmの植物由来のポリエチレンであり、好ましくは0.912〜0.928g/cmである。また、植物由来の低密度ポリエチレンは、MFR(温度190℃、荷重21.18Nで測定)が、通常1〜100g/10分、好ましくは5〜80g/10分、より好ましくは10〜50g/10分のものを使用することができる。植物由来の低密度ポリエチレンとしては、いわゆる、チーグラー・ナッタ触媒を用いて得られた植物由来の高圧法ポリエチレン(軟質ポリエチレン)のほか、植物由来の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の植物由来のエチレンと植物由来の他のオレフィンとの共重合体も使用することができる。植物由来の線状低密度ポリエチレン等の植物由来の低密度ポリエチレンとしては、合成品を使用することもできるが、市販品を使用してもよい。市販品としては、ブラスケム社製のグリーンポリエチレンに属する植物由来の線状低密度ポリエチレンなどがある。
なお、周知のとおり、植物由来の合成樹脂と生分解性の合成樹脂とは、直接の関係はないことに留意する必要がある。例えば、植物由来の合成樹脂であるポリ乳酸(植物由来のポリオレフィンには属しない。)は、NatureWorks社製のNatureWorks(登録商標)PLAとして市販されており、生分解性樹脂としても知られている。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、合成樹脂材料中に、ASTM D6866−11に規定されるモダン炭素比率が56.7〜118pMCであるポリオレフィンを含有する、すなわち、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップである。本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、具体的には、合成樹脂材料中に、植物由来のポリオレフィンを55質量%以上含有するポリオレフィン、すなわち、55%Corg.renew以上であるポリオレフィンを含有する合成樹脂材料を意味する。
合成樹脂材料中のポリオレフィンが、植物由来のポリオレフィンを55質量%以上含有することは、先に述べたように、モダン炭素比率が56.7pMC(103pMC×0.55=56.65pMCとして計算された結果に基づいて定めた。)以上であることで確認できる。すなわち、本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップが、合成樹脂材料中のポリオレフィンとして、植物由来のポリオレフィンと化石燃料由来のポリオレフィンとを含有する場合、化石燃料由来のポリオレフィンのASTM D6866−11に規定されるモダン炭素比率は、ほぼ0pMCとみなすことができるので、両者の含有比率は、植物由来のポリオレフィンのモダン炭素比率の値が既知であれば、その植物由来のポリオレフィンのモダン炭素比率の値と、合成樹脂材料中のポリオレフィンのモダン炭素比率の値とを比較することによって、算出することができる。例えば、モダン炭素比率が104pMCであることが知られている植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料中のポリオレフィンのモダン炭素比率の値が57pMCであれば、この合成樹脂材料中のポリオレフィンは、植物由来のポリオレフィン55質量%と、化石燃料由来のポリオレフィン45質量%とからなるものであるということができる。
合成樹脂材料中のポリオレフィンは、植物由来のポリオレフィン100質量%(100%Corg.renew)であるものでもよい(その場合、モダン炭素比率の上限は、118pMCである。)。植物由来のポリオレフィンは、好ましくは60質量%(すなわち、60%Corg.renew)以上(61.8pMC以上であることに相当する。)、より好ましくは70質量%(すなわち、70%Corg.renew)以上(72.1pMC以上であることに相当する。)、更に好ましくは80質量%(すなわち、80%Corg.renew)以上(82.4pMC以上であることに相当する。)であることが、カーボンオフセット性の観点から望まれる。したがって、本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、合成樹脂材料中の合成樹脂中において、化石燃料由来のポリオレフィン等の合成樹脂を45質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、含有することができるが、化石燃料由来のポリオレフィン等の合成樹脂を全く含有しなくてもよい。化石燃料由来のポリオレフィン等の合成樹脂が45質量%を超えると、カーボンネガティブになることがある。
2.化石燃料由来のポリオレフィン
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、先に述べたとおり、植物由来のポリオレフィンに加え、本発明の目的を損なわない範囲内において、化石燃料由来のポリオレフィンを含有することができる。好ましくは、化石燃料由来のポリオレフィンとしては、以下のポリオレフィンが使用できる。
〔化石燃料由来のポリオレフィン〕
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップに含有することができる化石燃料由来の合成樹脂として、好ましく使用される化石燃料由来のポリオレフィンは、化石燃料由来のエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等の化石燃料由来アルケンのオレフィン系単量体の単独重合体または共重合体である。好ましくは、化石燃料由来のエチレン系樹脂または化石燃料由来のプロピレン系樹脂であり、耐繰返し疲労性を重視するときには、化石燃料由来のプロピレン系樹脂を用いることができる。
〔化石燃料由来のエチレン系樹脂〕
化石燃料由来のエチレン系樹脂は、化石燃料由来のエチレンの単独重合体、または、化石燃料由来のエチレンを主成分とする化石燃料由来のエチレン共重合体であり、該共重合体は、化石燃料由来のエチレンと他の化石燃料由来のオレフィン及び/または他の化石燃料由来の不飽和単量体との共重合体である。好ましい化石燃料由来のエチレン系樹脂としては、化石燃料由来の低密度ポリエチレン、化石燃料由来の高密度ポリエチレン及び化石燃料由来のメタロセン触媒エチレン系ポリオレフィン等がある。
化石燃料由来の高密度ポリエチレンは、密度、MFR等が、植物由来の高密度ポリエチレンと同程度であるものを使用することができ、一般に、密度が0.942g/cm以上の化石燃料由来のポリエチレンである。化石燃料由来の高密度ポリエチレンは、合成品を使用することができるが、市販品の中から選択して使用することもできる。市販品としては、α−オレフィンの立体規則性重合用触媒として周知である、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒(以下、「チーグラー触媒」ということもある。)を用いて得られた化石燃料由来の低圧法高密度ポリエチレンである、日本ポリエチレン株式会社製のノバテックHD(登録商標)、株式会社プライムポリマー製のハイゼックス(登録商標)、ブラスケム社製の高密度ポリエチレン(銘柄名IE59U3)などがある。
化石燃料由来の低密度ポリエチレンは、密度、MFR等が、植物由来の低密度ポリエチレンと同程度のものを使用することができる。化石燃料由来の低密度ポリエチレンとしては、いわゆる、チーグラー・ナッタ触媒を用いて得られた化石燃料由来の高圧法ポリエチレン(軟質ポリエチレン)のほか、化石燃料由来の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の化石燃料由来のエチレンと他の化石燃料由来のオレフィンとの共重合体も使用することができる。化石燃料由来の低密度ポリエチレンとしては、合成品を使用することもできるが、市販品を使用してもよい。市販品としては、日本ポリエチレン株式会社製のノバテックLD(登録商標)、三井・デュポンポリケミカル株式会社製の化石燃料由来の低密度ポリエチレンなどがある。
化石燃料由来のメタロセン触媒エチレン系ポリオレフィンは、メタロセン触媒を用いて得られた化石燃料由来のエチレン系樹脂を意味し、化石燃料由来のエチレン、または、化石燃料由来のエチレンを主成分とし、化石燃料由来のα−オレフィンを副成分とする混合単量体を、メタロセン触媒の存在下に重合させることにより得られるエチレン系樹脂である。したがって、化石燃料由来のメタロセン触媒エチレン系ポリオレフィンは、メタロセン触媒の存在下で重合反応を行って得られる化石燃料由来のポリエチレンまたは化石燃料由来のエチレン・α−オレフィン共重合体を含むものである。化石燃料由来のα−オレフィンとしては、炭素数が3〜10の範囲にあるものが好ましく、化石燃料由来のプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等を挙げることができる。これらの化石燃料由来のα−オレフィンは共重合体中に3〜15モル%の量で存在するのが好ましい。
化石燃料由来のメタロセン触媒エチレン系ポリオレフィンは、分子量分布が狭いのが特徴であり、本発明においては、分子量分布の指標である多分散度(Mw/Mn、JIS K6922−2に準拠して測定)が通常1.2〜6、好ましくは1.5〜4であるものが使用される。なお、成形性を改善する目的で、重合時またはその後の工程にて比較的長鎖の分岐を導入したものも好適に使用される。また、化石燃料由来のメタロセン触媒エチレン系ポリオレフィンは、通常、密度が0.890〜0.920g/cm、好ましくは0.892〜0.918g/cm程度であり、MFR(温度190℃、荷重21.18Nで測定)が、通常1〜100g/10分、好ましくは5〜80g/10分、より好ましくは10〜50g/10分程度のものを使用することができる。化石燃料由来のメタロセン触媒エチレン系ポリオレフィンは、合成品を使用することができるが、市販品の中から選択して使用することもできる。市販品としては、住友化学株式会社製のエクセレン(登録商標)、日本ポリエチレン株式会社製のハーモレックス(登録商標)などがある。
〔化石燃料由来のプロピレン系樹脂〕
化石燃料由来のプロピレン系樹脂は、化石燃料由来のプロピレンの単独重合体、または、化石燃料由来のプロピレンを主成分とする化石燃料由来のプロピレン共重合体であり、該共重合体は、化石燃料由来のプロピレンと、化石燃料由来のエチレン等の他の化石燃料由来のオレフィン(α−オレフィン)及び/または他の化石燃料由来の不飽和単量体との共重合体である。好ましい化石燃料由来のプロピレン系樹脂としては、化石燃料由来のチーグラー触媒プロピレンホモ重合体または化石燃料由来のチーグラー触媒プロピレンランダム共重合体、化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレンホモ重合体または化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレンランダム共重合体、化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレン系ブロック共重合体等がある。
化石燃料由来のチーグラー触媒プロピレンホモ重合体、または、化石燃料由来のチーグラー触媒プロピレンランダム共重合体は、チーグラー・ナッタ触媒を用いて得られた、化石燃料由来のプロピレンホモ重合体、または、化石燃料由来のプロピレンランダム共重合体である。化石燃料由来のチーグラー触媒プロピレンランダム共重合体は、共重合体中における化石燃料由来のプロピレンモノマー単位の含有率が、100〜94質量%(ただし100質量%を除く。)、好ましくは99.7〜95質量%、より好ましくは99.5〜95.5質量%であり、化石燃料由来のα−オレフィンモノマー単位の含有率が、0〜6質量%(ただし0質量%を除く)、好ましくは0.3〜5質量%、より好ましくは0.5〜4.5質量%の割合である化石燃料由来のランダム共重合体である。化石燃料由来のプロピレンと共重合される化石燃料由来のα−オレフィンとしては、化石燃料由来のエチレン及び/または化石燃料由来の炭素数4〜20のα−オレフィンなどが挙げられ、具体的には、化石燃料由来のエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等を挙げることができる。該化石燃料由来のα−オレフィンは、2種以上を併用することもできる。
化石燃料由来のチーグラー触媒プロピレンホモ重合体、または、化石燃料由来のチーグラー触媒プロピレンランダム共重合体は、密度が、通常0.880〜0.930g/cm、好ましくは0.885〜0.925g/cmの範囲であり、MFR(温度190℃、荷重21.18Nで測定)が、通常1〜100g/10分、好ましくは5〜80g/10分、より好ましくは10〜50g/10分程度のものを使用することができる。また、多分散度(Mw/Mn)は、通常1.2〜6、好ましくは1.5〜4の範囲にあるものが成形性の改善等の点で有効である。化石燃料由来のチーグラー触媒プロピレンホモ重合体、または、化石燃料由来のチーグラー触媒プロピレンランダム共重合体としては、合成品を使用することもできるが、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、日本ポリプロ株式会社製のノバテックPP(登録商標)、住友化学株式会社製の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー株式会社製のサンアロマー(登録商標)、プライムポリマー株式会社製のプライムポリプロ(登録商標)などがある。
化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレンホモ重合体、または、化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレンランダム共重合体は、メタロセン触媒を用いて得られた、化石燃料由来のプロピレンホモ重合体、または、化石燃料由来のプロピレンランダム共重合体である。化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレンランダム共重合体は、共重合体中における化石燃料由来のプロピレンモノマー単位の含有率が、100〜94質量%(ただし100質量%を除く。)、好ましくは99.7〜95質量%、より好ましくは99.5〜95.5質量%であり、化石燃料由来のα−オレフィンモノマー単位の含有率が、0〜6質量%(ただし0質量%を除く)、好ましくは0.3〜5質量%、より好ましくは0.5〜4.5質量%の割合であるランダム共重合体である。化石燃料由来のプロピレンと共重合される化石燃料由来のα−オレフィンとしては、化石燃料由来のエチレン及び/または化石燃料由来の炭素数4〜20のα−オレフィンなどが挙げられ、具体的には、化石燃料由来のエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等を挙げることができる。該化石燃料由来のα−オレフィンは、2種以上を併用することもできる。
化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレンホモ重合体、または、化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレンランダム共重合体は、通常、密度が0.880〜0.930g/cm、好ましくは0.885〜0.925g/cm程度であり、MFR(温度190℃、荷重21.18Nで測定)が、通常1〜100g/10分、好ましくは5〜80g/10分、より好ましくは10〜50g/10分程度のものを使用することができる。また、多分散度(Mw/Mn)が、通常1.2〜6、好ましくは1.5〜4の範囲にあるものが成形性の改善の点で有効である。化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレンホモ重合体、または、化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレンランダム共重合体は、合成品を使用することができるが、市販品の中から選択して使用することもできる。市販品としては、例えば、日本ポリプロ株式会社製のウインテック(登録商標)などがある。
化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレン系ブロック共重合体は、メタロセン触媒を用いて得られた、化石燃料由来のポリプロピレンからなる重合体のブロックと、化石燃料由来のエチレン・プロピレン共重合体からなる重合体のブロックと、からなるブロック共重合体である。具体的には、化石燃料由来のポリプロピレンからなる重合体のブロック(以下「PPブロック」ということがある。)と、化石燃料由来のプロピレン・エチレン共重合体からなる重合体のブロック(以下「EPブロック」ということがある。)とが、それぞれ1ブロック以上結合してなる、メタロセン触媒を用いて得られたブロック共重合体であって、ポリプロピレンの剛性を保持しつつ、プロピレン・エチレン共重合体により耐繰返し疲労性を改良した高剛性、耐衝撃性をバランスよく発揮する、それ自体公知の化石燃料由来のブロック共重合体である。
化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレン系ブロック共重合体は、通常、密度が0.880〜0.930g/cm、好ましくは0.885〜0.925g/cm程度であり、MFR(温度190℃、荷重21.18Nで測定)が、通常1〜100g/10分、好ましくは5〜80g/10分、より好ましくは10〜50g/10分程度のものを使用することができる。また、多分散度(Mw/Mn)が、通常1.2〜6、好ましくは1.5〜4の範囲にあるものが成形性の改善の点で有効である。化石燃料由来のメタロセン触媒プロピレン系ブロック共重合体は、合成品を使用することができるが、市販品の中から選択して使用することもできる。市販品としては、例えば、日本ポリプロ株式会社製のノバテックPP(登録商標)、住友化学株式会社製の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー株式会社製のサンアロマー(登録商標)、プライムポリマー株式会社製のプライムポリプロ(登録商標)、日本ポリエチレン株式会社製のカーネル(登録商標)などがある。
なお、植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形されたトグル構造を備えるキャップが、チーグラー触媒やメタロセン触媒を使用して得られた合成樹脂を含有することは、トグル構造を備えるキャップから削りだした樹脂ペレット検体を、エネルギー分散型X線検出器を装着した走査型電子顕微鏡を使用して定性分析を行い、検体に残存する微量の触媒の元素種を検出し、周期律表第4周期の遷移金属である第IVa族のTi、第4周期の遷移金属である第Va族のV若しくは第4周期の遷移金属である第VIa族のCrのエネルギーに相当する出現ピークを確認(チーグラー触媒)、または、周期律表第5周期の遷移金属である第IVa族のZr若しくは第6周期の遷移金属である第IVa族のHfのエネルギーに相当するピークの存在を確認(メタロセン触媒)することにより、確認することができる。
3.改質剤または成形性改良剤
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、先に例示した化石燃料由来のポリオレフィンの外に、さらに、所望により、改質剤または成形性改良剤として、化石燃料由来のエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、無水マレイン酸変性ポリオレフィンなどの化石燃料由来の樹脂成分を含有することができる。これら改質剤または成形性改良剤として含有する化石燃料由来の樹脂成分の含有量は、合成樹脂材料中の樹脂成分において、通常20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
4.不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、トグル構造(3)が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる。すなわち、本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、少なくともトグル構造(3)が、前記の植物由来のポリオレフィン単独、または、植物由来のポリオレフィン及び化石燃料由来のポリオレフィン等の合成樹脂(改質剤または成形性改良剤として含有する化石燃料由来の樹脂成分を含有してもよい。)に加えて、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、トグル構造(3)を形成する合成樹脂材料の全質量に対して、100〜4500ppm含有するものである。また、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)及びトグル構造(3)が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなるものとすることが好ましい。不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)(以下、「(A)の不飽和脂肪酸アミド」ということがある。)とは、脂肪酸アミドの分子構造中に少なくとも1結合の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸アミドであって、該炭素二重結合のすべてが不飽和cis構造の炭素二重結合である不飽和脂肪族アミドである。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、少なくともトグル構造(3)が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなることによって、オーバーキャップ(2)を安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分に大きく、かつ、スナップ性、耐久性及び操作性が良好であるとともに、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好である、合成樹脂材料から一体に成形されたトグル構造を備えるキャップを提供することができる。(A)の不飽和脂肪酸アミドの含有量は、好ましくは110〜4400ppm、より好ましくは115〜4300ppm、更に好ましくは120〜4200ppm、特に好ましくは125〜4100ppmである。なお、前記(A)の不飽和脂肪酸アミドが、後述するように2種類以上の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドの混合物である場合は、脂肪酸アミドの合計含有量が上記の範囲に含まれる必要がある。
(A)の不飽和脂肪酸アミドの含有量が上記の範囲であることにより、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性を良好なものとすることができる。(A)の不飽和脂肪酸アミドの含有量が上記の範囲を外れると、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給手段内で、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップが詰まったり、キャッパーへのトグル構造を備えるキャップの供給が滞ったりすることにより、充填容器の製造装置が停止するなどのトラブルが生じるおそれもある。
脂肪酸アミド、特に不飽和結合を有する脂肪酸アミドは、従来、種々の合成樹脂の滑剤として機能することが知られているが、不飽和脂肪酸アミドが、trans構造の炭素二重結合を有するものであると、合成樹脂材料の均一配合が不十分となったり、該trans構造を有する不飽和脂肪酸アミドが、トグル構造(3)、及び、場合によってはキャップ本体(1)やオーバーキャップ(2)を含むキャップの外表面に、局所発泡による樹脂抜けを生じたり、析出したりすることがあり、その結果、トグル構造(3)等のキャップの外表面の表面光沢や触感が悪化したり、トグル構造を備えるキャップの滑り性が悪化して、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好でなくなる場合がある。
(A)の不飽和脂肪酸アミドは、好ましくは、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を1結合有する不飽和脂肪酸アミドである。また、(A)の不飽和脂肪酸アミドは、分子構造中に複数の不飽和cis構造の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸アミドでもよく、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を、好ましくは6結合以下、より好ましくは5結合以下、更に好ましくは4結合以下有する化合物である。したがって、(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する不飽和cis構造炭素二重結合を有する化合物を含有するものでもよい。
〔分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を1結合有する不飽和脂肪酸アミド〕
不飽和cis構造の炭素二重結合を1結合有する(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、以下の式(A)〜(A):
(A)HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(A)HN−CO−(−CH−)m−2−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(A)HN−CO−(−CH−)k+4−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる一つの式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミド化合物が挙げられる。(以下、(A)の式で表される脂肪酸アミドを、「式(A)の脂肪酸アミド」ということがあり、更に単に「式(A)」ということがある。(A)または(A)の式で表される脂肪酸アミドについても同様である。)
好ましい不飽和cis構造の炭素二重結合を1結合有する(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、以下の式(A)〜(A)で表される化合物が挙げられる。
式(A):HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数)
cis−8,9−hexadecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(n=6に相当)
cis−9,10−octadecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(n=7に相当)
cis−10, 11−eicosenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(n=8に相当)
cis−11, 12− ethaeicosenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(n=9に相当)
cis−12, 13− tetraeicosenoamide〔HN−CO−(−CH−)10−CH=CH−(−CH−)10−CH〕(n=10に相当)
式(A):HN−CO−(−CH−)m−2−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数)
cis−6,7−tetradecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(m=6に相当)
cis−7,8−hexadecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(m=7に相当)
cis−8,9−octadecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(m=8に相当)
cis−9,10−eicosenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(m=9に相当)
cis−10, 11− ethaeicosenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)10−CH〕(m=10に相当)
式(A):HN−CO−(−CH−)k+4−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数)
cis−12,13− eicosenoamide〔HN−CO−(−CH−)10−CH=CH−(−CH−)−CH〕(k=6に相当)
cis−13,14−docosenoamide〔HN−CO−(−CH−)11−CH=CH−(−CH−)−CH〕(k=7に相当)
cis−14,15− tetracosenoamide〔HN−CO−(−CH−)12−CH=CH−(−CH−)−CH〕(k=8に相当)
cis−15,16−hexacosenoamide〔HN−CO−(−CH−)13−CH=CH−(−CH−)−CH〕(k=9に相当)
cis−16,17− octacosenoamide〔HN−CO−(−CH−)14−CH=CH−(−CH−)10−CH〕(k=10に相当)
〔分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する不飽和脂肪酸アミド〕
また、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物である(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を4結合有する以下の化合物が挙げられる。
cis−5,6−8,9−11,12−14,15−arachidonic acid amide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−CH−CH=CH−CH−CH=CH−CH−CH=CH−(−CH−)−CH
分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物である(A)の不飽和脂肪酸アミドは、単独で、または、他の(A)の不飽和脂肪酸アミドとの混合物として使用することもできる。
〔(A)の不飽和脂肪酸アミドの混合物〕
(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、前記式(A)〜(A)の脂肪酸アミド、または、前記の分子構造中に2結合〜4結合の不飽和cis構造の炭素二重結合を有する脂肪酸アミド等から選ばれる1種類の不飽和脂肪酸アミドを使用すれば、十分所期の効果を奏することができるが、2種以上の(A)の不飽和脂肪酸アミドの混合物を使用してもよい。該(A)の不飽和脂肪酸アミドの混合物としては、前記の式(A)の脂肪酸アミドを含有するものであることが好ましい。
したがって、好ましい(A)の不飽和脂肪酸アミドの混合物は、前記の式(A)の脂肪酸アミドと、前記の(A)または(A)の式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドとの混合物である。該混合物中の式(A)の脂肪酸アミドの割合は、0.05〜99.95質量%、好ましくは0.1〜99.9質量%、より好ましくは0.15〜99.85質量%である。したがって、前記の式(A)の脂肪酸アミド、または、式(A)の脂肪酸アミドの割合は、99.95〜0.05質量%、好ましくは99.9〜0.1質量%、より好ましくは99.85〜0.15質量%である。
特に、(A)の不飽和脂肪酸アミドの混合物が、前記の式(A)の脂肪酸アミド、すなわち、HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数)と、前記の式(A)の脂肪酸アミド、すなわち、HN−CO−(−CH−)m−2−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数)であって、m=n+1またはm=n−1である該脂肪酸アミドとの混合物であることが好ましい。
具体的には、式(A)が、cis−9,10−octadecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(n=7に相当)であり、
式(A)が、cis−6,7−tetradecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(m=6=n−1に相当)、または、cis−8,9−octadecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(m=8=n+1に相当)である組み合わせの混合物などが好ましく使用でき、更に、cis−10, 11−ethaeicosenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)10−CH〕(m=10)との組み合わせの混合物も使用できる。
また、(A)の不飽和脂肪酸アミドの混合物が、前記の式(A)の脂肪酸アミド、すなわち、HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数)と、前記の式(A)の脂肪酸アミド、すなわち、HN−CO−(−CH−)k+4−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数)であって、k=nである該脂肪酸アミドとの混合物であることが好ましい。
具体的には、式(A)が、cis−9,10−octadecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(n=7に相当)であり、式(A)が、cis−13,14−docosenoamide〔HN−CO−(−CH−)11−CH=CH−(−CH−)−CH〕(k=7=nに相当)である組み合わせの混合物などが好ましく使用できる。
さらに、(A)の不飽和脂肪酸アミドの混合物としては、前記の式(A)の脂肪酸アミドに属し、nの値が異なる2種以上の化合物の混合物を使用することができる。すなわち、(A)HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数)と(A11)HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、jは、6≦j≦10の範囲の整数であり、j≠nである。)との混合物を使用することができる。
具体的には、例えば、式(A)として、cis−9,10−octadecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(n=7に相当)と、式(A11)として、cis−8,9−hexadecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH〕(j=6に相当)との混合物などが好ましく使用できる。
さらにまた、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物である(A)の不飽和脂肪酸アミドを、他の(A)の不飽和脂肪酸アミドとの混合物として使用することもできる。該他の(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、前記の式(A)〜(A)の脂肪酸アミドが好ましく用いられ、特に、式(A)の脂肪酸アミドが好ましい。具体的には、cis−5,6−8,9−11,12−14,15−arachidonic acid amide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−CH−CH=CH−CH−CH=CH−CH−CH=CH−(−CH−)−CH〕と、式(A)で表されるcis−9,10−octadecenoamideとの混合物などが好ましく使用できる。
〔(A)の不飽和脂肪酸アミドの製造方法〕
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップにおいて、少なくともトグル構造(3)に含有される(A)の不飽和脂肪酸アミドは、市販品を使用してもよいし、市販品が混合物である、または、不純物を含有する場合は、抽出等の操作により、所望の不飽和脂肪酸アミドを分離して得てもよい。また、例えば、前記の式(A)の脂肪酸アミド、すなわち、(A)HN−CO−(−CH−)m−2−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数)は、以下の方法により製造することができるので、合成品として得てもよい。
α,ω位にCHO−CO−末端基と水酸基末端またはカルボン酸末端とを有し、(m−1)連鎖のメチレン基(−CH−)m−1を有する以下の(式a)で表される化合物を出発原料とする。((式a)では、水酸基末端を有する化合物を例示している。)
(式a)CHO−CO−(−CH−)m−1−OH
(式a)で表される化合物の水酸基末端を、四臭化炭素(CBr)を用いて臭素置換し、次いで、トリフェニルフォスフィン(PPh,triphenylphosphine)を用いてシアン化メチル(CHCN)溶媒中で、臭素をPPhと反応させ、(式b)で表されるイオン性中間体を得る。
(式b)[CHO−CO−(−CH−)m−1−PPh]+Br
イオン性中間体(式b)に、デシルアルデヒド(decyl aldehyde)を反応させて、PPh基を不飽和cis構造の炭素二重結合を有するアルキル基末端とした(式c)で表されるα,ω構造化合物とする。
(式c)CHO−CO−(−CH−)m−2−CH=CH−(−CH−)−CH
次いで、(式c)のα,ω構造化合物のCHO−CO−末端基に水酸化リチウムを反応させて水酸基末端とし、これを塩化オキサリル(oxalyl chrolide)と塩化メチレンの溶媒中で飽和アンモニウムと反応させることでアミド基末端に変更し、以下の(式d)で表される不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド、すなわち、(A)の脂肪酸アミドを合成する。
(式d)HN−CO−(−CH−)m−2−CH=CH−(−CH−)−CH
m(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数)を変更することにより、この合成経路を用いて所望の炭素数を有する不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドを得ることができる。
なお、不飽和炭素二重結合を有する脂肪酸アミドの合成においては、周知のように、不飽和cis構造の炭素二重結合を有する化合物と不飽和trans構造の炭素二重結合を有する化合物とが同時に得られるので、酢酸エチルとヘキサンとを100質量%(初展開)〜40質量%の濃度勾配を付けた混合溶媒を用いて、クロマトグラフィー展開を行い、不飽和cis構造と不飽和trans構造の異性体を分離する。その際、あらかじめ、クロマトグラフィー展開時間毎の分画液に対して、プロトンH−NMR核磁気共鳴装置を使用して、化学シフト値に応じた同定をAldorich製標準物質を基に行い、分画液を特定する。その分画液を減圧乾燥して、所望する不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドを回収する。
5.その他の配合剤
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップのキャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、トグル構造(3)においては、少なくともトグル構造(3)が、(A)の不飽和脂肪酸アミドを100〜4500ppm含有することが必須であることの外、必要に応じて、その他の配合剤として、補強材、充填剤、抗酸化剤、光劣化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、または核剤などの添加剤を配合することができる。補強材または充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、マイカ等を使用することができる。これら添加剤の配合量は、樹脂成分100質量部に対して、通常0.01〜100質量部の範囲で添加剤の目的に応じて最適な範囲の量を選定すればよい。例えば、補強材または充填剤は、通常10〜100質量部、好ましくは15〜80質量部、より好ましくは20〜60質量部配合することができる。添加剤の種類によっては、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部の配合でよいことがある。
特に、その他の配合剤としては、滑剤として知られている他の化合物を使用することもできる。該滑剤としては、飽和脂肪酸アミドが好ましく、本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップにおける、少なくともトグル構造(3)が、所定量の(A)の不飽和脂肪酸アミドを含有するとともに、該飽和脂肪酸アミドを含有することにより、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性を更に改善できるなどの効果が奏される。飽和脂肪酸アミドとしては、通常、滑剤として使用されている化合物を使用することができ、例えば、ブチルアミド、吉草酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘン酸アミドなどが挙げられ、好ましくは、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミドである。飽和脂肪酸アミドを含有する場合の含有量は、(A)の不飽和脂肪酸アミドと該飽和脂肪酸アミドの合計量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下であり、その含有量の下限値は、0.5質量%程度であり、1質量%であれば十分な効果が実現できる。
III.植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップの評価
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、オーバーキャップ(2)を安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分に大きく、かつ、スナップ性、耐久性及び操作性が良好であって、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好である、合成樹脂材料から一体に成形された、トグル構造を備えるキャップである。
〔開蓋状態の仰角の評価〕
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップが、オーバーキャップ(2)を安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分に大きいものであることは、3名の被験者(年齢18〜60歳)が、閉蓋状態のキャップにおいて、オーバーキャップ(2)を把持して、開蓋状態となるように揺動させるよう手で操作を行い、転回点(思案点)を過ぎた位置で手を離した後、オーバーキャップ(2)が開蓋状態で静止したときの、オーバーキャップ(2)の閉蓋状態の位置を0°としたときの開蓋角度を測定することによって評価する。3名の被験者が操作したときの開蓋角度を、キャップの「開蓋状態の仰角」とする。開蓋状態の仰角が、150〜180°であることが好ましく、152〜177°であることがより好ましく、155〜175°であることが更に好ましい。
〔キャップ供給における移送性の評価(シュート詰まり評価)〕
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップが、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好なものであることは、例えば図14に略示するように、以下の方法により評価することができる。すなわち、ホッパー(図示しない)に、1万個のあらかじめ閉蓋状態としたトグル構造を備えるキャップ(c)を投入し、該ホッパーから、縦40mm、横40mmの正方形の断面を持ち、長さ500mmの角柱状導管(シュート)に、閉蓋状態のトグル構造を備えるキャップ(c)を、2個/秒の供給速度で連続的に投入し、受渡装置(D)を用いてキャッパー装置に移送する。この一連の移送工程において、シュートでのシュート詰まりが発生した回数(1万個中)を数える。測定は3回行い、その平均値をシュート詰まり回数として、以下の基準で、シュート詰まり評価を行う。シュート詰まり評価が「○」であれば、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好であるといえる。
<シュート詰まり評価>
シュート詰まり評価 ○: シュート詰まり回数が、0〜2回
シュート詰まり評価 ×: シュート詰まり回数が、3回以上
〔スナップ性の評価〕
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップのスナップ性は、以下のクリック感評価による判定によって行うことができる。すなわち、植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体成形されたトグル構造を備えるキャップを、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返す試験を、5名の被験者(年齢18〜60歳)が行い、快いクリック感が持続すると感じられるかどうかを感性評価する。過半数の被験者が、快いクリック感が持続すると評価したトグル構造を備えるキャップを、クリック感が良好であると判定する。
IV.合成樹脂材料から一体に成形されたトグル構造を備えるキャップの製造方法
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップの製造方法は、特に限定されないが、例えば、植物由来のポリオレフィン単独、または、植物由来のポリオレフィン及び化石燃料由来のポリオレフィン等の合成樹脂、並びに、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)、必要に応じて、その他の材料を含有する合成樹脂材料を、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、トグル構造(3)を備えるトグル構造を備えるキャップに対応したキャビティ形状の金型を使用して、射出成形、圧縮成形、注型成形、真空成形、圧空成形、粉末成形その他の樹脂の成形方法によって製造することができる。
本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、結合片(3a)と一対の支持部材(3b)とを有するトグル構造(3)を備え、かつ、結合片(3a)は、両端部(3a、3a)を備え、該両端部(3a、3a)は、キャップ本体(1)の外周面及びオーバーキャップ(2)の天板部(2a)にそれぞれ連結され、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の周縁の内方で連結する端部(3a)のみにおいて、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結し、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、かつ、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に凹部(3a11)を有するとともに、該トグル構造(3)が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなることに特徴を有するものである。したがって、本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを製造するに当たっては、トグル構造(3)に対応したキャビティ形状の金型を使用すること、及び、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料を、トグル構造(3)に対応したキャビティ形状の金型に確実に供給することが求められる。
形状の正確性や成形の容易性等の観点から、本発明の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを製造するためには、略180°の開蓋状態としたキャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、トグル構造(3)を備えるキャップに対応するキャビティ形状の金型を使用して、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、トグル構造(3)を一体に成形することが好ましい。特に、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを一体に成形することが好ましい。
さらに、上記した成形方法によって、植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形されたトグル構造を備えるキャップを金型から取り出した後、通常は、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を揺動させて、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを閉蓋状態とし、閉蓋状態で熱固定することにより、トグル構造を備えるキャップの形状や寸法が整えられ、かつ安定したものとなり、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性やスナップ性が一層良好なものとなる。熱固定は、温度30〜80℃、好ましくは35〜75℃、より好ましくは40〜70℃において、恒温室保存、熱風吹き付け等、それ自体周知の方法により熱処理を行う。熱固定を行う時間は、熱処理の温度その他の条件に応じて適宜選択することができるが、通常0.5時間〜3月間、好ましくは5時間〜1月間、より好ましくは1日間〜2週間とすればよい。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を更に説明するが、本発明は、本実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における合成樹脂原料及びトグル構造を備えるキャップの特性または物性の測定方法は、以下のとおりである。
〔密度及びMFR〕
ポリオレフィンの密度及びMFRは、JIS K6922−2に準拠して測定した。
〔モダン炭素比率〕
ポリオレフィンのモダン炭素比率は、ベータ・アナリティック社(日本における総合代理店である株式会社地球科学研究所)に委嘱し、ASTM D6866−11に準拠して測定した。
〔開蓋状態の仰角の評価〕
トグル構造を備えるキャップの開蓋状態の仰角の評価は、3名の被験者(年齢18〜60歳)が、閉蓋状態のキャップにおいて、オーバーキャップ(2)を把持して、開蓋状態となるように揺動させるよう手で操作を行い、転回点(思案点)を過ぎた位置で手を離した後、オーバーキャップ(2)が開蓋状態で静止したときの、該オーバーキャップ(2)の閉蓋状態の位置を0°としたときの開蓋角度を測定することによって行った。3名の被験者が操作したときの開蓋角度を、キャップの「開蓋状態の仰角」とした。
〔シュート詰まり評価〕
トグル構造を備えるキャップが、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好であることは、以下の方法によって評価した。すなわち、ホッパーに、1万個のあらかじめ閉蓋状態としたトグル構造を備えるキャップを投入し、該ホッパーから、縦40mm、横40mmの正方形の断面を持ち、長さ500mmの角柱状導管(シュート)に、閉蓋状態のトグル構造を備えるキャップ(c)を、2個/秒の供給速度で連続的に投入し、受渡装置(D)を用いてキャッパー装置に移送する。この一連の移送工程において、シュートでのシュート詰まりが発生した回数(1万個中)を数えた。測定は3回行い、その平均値をシュート詰まり回数として、以下の基準で、シュート詰まり評価を行った。
<シュート詰まり評価>
シュート詰まり評価 ○: シュート詰まり回数が、0〜2回
シュート詰まり評価 ×: シュート詰まり回数が、3回以上
〔クリック感評価〕
一体成形されたトグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返す試験を、5名の被験者(年齢18〜60歳)が行い、快いクリック感が持続すると感じられるかどうかを感性評価し、過半数の被験者が、快いクリック感が持続すると評価したトグル構造を備えるキャップを、クリック感が良好であると判定した。
[実施例1]
植物由来の高密度ポリエチレン〔ブラスケム社製、銘柄名SGF4950、密度0.956g/cm、MFR(温度190℃、荷重21.18N)28g/10分、モダン炭素比率104pMC。以下、「植物由来ポリエチレン」ということがある。ポリオレフィンは、100%Corg.renewである。〕に対し、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)として、cis−9,10−octadecenoamide〔HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH;式(A)の不飽和脂肪酸アミド〕 (98質量%)、及び、cis-13,14-docosenoamide 〔HN−CO−(−CH−)11−CH=CH−(−CH−)−CH;式(A)の不飽和脂肪酸アミド〕(2質量%)の混合物を、植物由来の高密度ポリエチレンに対して、3500ppmとなるように配合して、(A)の不飽和脂肪酸アミドを含有する樹脂組成物を得た。
得られた(A)の不飽和脂肪酸アミドを含有する樹脂組成物を、射出成形機に供給して、180°の開蓋状態としたキャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、トグル構造(3)を備えるキャップに対応するキャビティ形状の金型を使用して、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを一体に成形した。
トグル構造を備えるキャップのキャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、トグル構造(3)の形状及び大きさは、以下のとおりとした。
1)キャップ本体(1): 外径37mm、内径33mm、高さ27mmの略円筒形。注出口の開口径10mm
2)オーバーキャップ(2): 外径37mm、内径35mm、高さ9mmの略円筒形。天板部(2a)は、径37mm、厚み1mmの円板状、幅8mmで周縁から9mm内方に至る略長方形の切欠部(スリット)が形成されている。
3)トグル構造(3)
結合片(3a): 幅8mm、主要部の厚み1mm、長さ15mmで端部(3a)から6mmの位置で略直角に折れ曲がる略L字形の輪郭形状である。オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結する直線状の形状を有する端部(3a)近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域として、平均厚みが550μm〔すなわち、結合片(3a)の主要部の厚みに対して、55%の厚みに相当する。〕の領域を有し、かつ、この他の領域(具体的には、主要部)より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に有する凹部(3a11)として、深さ110μm〔すなわち、主要部より断面厚みが薄い領域の厚み(550μm)に対して20%の溝深さに相当する。〕の断面半円状の直線状の溝が形成されている。
支持部材(3b): 結合片(3a)の両側に各々幅2mm、厚み500μmの略直方体形状
射出成形によって成形された植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを、金型から取り出した後、オーバーキャップ(2)を揺動させて、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを閉蓋状態として、温度40℃で1週間熱処理して熱固定したところ、形状の歪み等はみられなかった。
〔開蓋状態の仰角の評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
〔クリック感評価及びシュート詰まり評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
[実施例2]
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、植物由来ポリエチレンに対して、130ppmとなるようにした配合の変更を除いて、実施例1と同様にして、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
射出成形によって成形された植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを、金型から取り出した後、オーバーキャップ(2)を揺動させて、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを閉蓋状態として、温度40℃で1週間熱処理して熱固定したところ、形状の歪み等はみられなかった。
〔開蓋状態の仰角の評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
〔クリック感評価及びシュート詰まり評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
[実施例3]
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、cis-13,14-docosenoamide 〔式(A)の不飽和脂肪酸アミド〕(98質量%)、及び、cis−9,10−octadecenoamide〔式(A)の不飽和脂肪酸アミド〕 (2質量%)の混合物に変更し、植物由来ポリエチレンに対して、4000ppmとなるようにした配合の変更を除いて、実施例1と同様にして、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
射出成形によって成形された植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを、金型から取り出した後、オーバーキャップ(2)を揺動させて、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを閉蓋状態として、温度40℃で1週間熱処理して熱固定したところ、形状の歪み等はみられなかった。
〔開蓋状態の仰角の評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
〔クリック感評価及びシュート詰まり評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
[実施例4]
前記の植物由来ポリエチレンの単独使用に代えて、該植物由来ポリエチレン 90質量%、及び、化石燃料由来の高密度ポリエチレン〔ブラスケム社製、銘柄名IE59U3、密度0.959g/cm、MFR(温度190℃、荷重2.12N)5g/10分、モダン炭素比率0pMC。以下、「化石燃料由来ポリエチレン」ということがある。〕 10質量%とした配合の変更(合成樹脂材料は、90%Corg.renewであり、モダン炭素比率は、93pMCである。)、並びに、結合片(3a)のオーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結する直線状の形状を有する端部(3a)近傍において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に有する凹部(3a11)として、深さ90μm〔結合片(3a)の端部(3a)近傍において、他の領域(具体的には、主要部)より断面厚みが薄い領域の断面厚み(550μm)に対して約16%の溝深さに相当する。〕の断面半円状の直線状の溝を設けた形状の変更を除いて、実施例1と同様にして、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
射出成形によって成形されたトグル構造を備えるキャップを、金型から取り出した後、オーバーキャップ(2)を揺動させて、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを閉蓋状態として、温度40℃で1週間熱処理して熱固定したところ、形状の歪み等はみられなかった。
〔開蓋状態の仰角の評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
〔クリック感評価及びシュート詰まり評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
[実施例5]
前記の植物由来ポリエチレン58質量%、及び、前記の化石燃料由来ポリエチレン42質量%とした配合の変更(合成樹脂材料は、58%Corg.renewであり、モダン炭素比率は、60pMCである。)を除いて、実施例4と同様にして、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
射出成形によって成形された植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを、金型から取り出した後、オーバーキャップ(2)を揺動させて、トグル構造を備えるキャップを閉蓋状態として、温度40℃で1週間熱処理して熱固定したところ、形状の歪み等はみられなかった。
〔開蓋状態の仰角の評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
〔クリック感評価及びシュート詰まり評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
[参考例]
前記の植物由来ポリエチレンを配合せず、前記の化石燃料由来ポリエチレンの単独使用とした配合の変更(合成樹脂材料は、0%Corg.renewであり、モダン炭素比率は、0pMCである。)を除いて、実施例1と同様にして、射出成形によって、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
射出成形によって成形されたトグル構造を備えるキャップを、金型から取り出した後、オーバーキャップ(2)を揺動させて、トグル構造を備えるキャップを閉蓋状態として、温度40℃で1週間熱処理して熱固定したところ、形状の歪み等はみられなかった。
〔開蓋状態の仰角の評価〕
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
〔クリック感評価及びシュート詰まり評価〕
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
[比較例1]
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、植物由来ポリエチレンに対して、5500ppmとなるようにした配合の変更、並びに、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結する直線状の端部(3a)近傍の領域において、深さ110μmの断面半円状の直線状の溝を設けなかった(すなわち、溝深さ0μm)形状の変更を除いて、実施例1と同様にして、射出成形によって、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
射出成形によって成形された植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを、金型から取り出した後、オーバーキャップ(2)を揺動させて、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを閉蓋状態として、温度40℃で1週間熱処理して熱固定したところ、形状の歪み等はみられなかった。
〔開蓋状態の仰角の評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
〔クリック感評価及びシュート詰まり評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、やや強めのクリック感が感じられた。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
[比較例2]
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、trans−9,10−octadecenoamide〔式(A)の不飽和脂肪酸アミドのtrans構造に相当する。〕(単独使用)に変更し、植物由来ポリエチレンに対して、2000ppmとなるようにした配合の変更を除いて、比較例1と同様にして、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
射出成形によって成形された植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを、金型から取り出した後、オーバーキャップ(2)を揺動させて、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップを閉蓋状態として、温度40℃で1週間熱処理して熱固定したところ、形状の歪み等はみられなかった。
〔開蓋状態の仰角の評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
〔クリック感評価及びシュート詰まり評価〕
熱固定後の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、やや強めのクリック感が感じられた。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
Figure 2013184727
表1の結果から、実施例1〜5の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ、すなわち、ASTM D6866−11に規定されるモダン炭素比率が56.7〜118pMCである、植物由来ポリエチレン、または、植物由来ポリエチレンと化石燃料由来ポリエチレンとを含有し、かつ、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を130〜4000ppm含有する合成樹脂材料から一体成形された、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造(3)を備える、合成樹脂材料から一体に成形された、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップであって、
該トグル構造(3)は、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を回動自在に支持する屈曲可能な結合片(3a)と、オーバーキャップの回動軸に沿い結合片(3a)の両側に配置される一対の支持部材(3b)とを有し、該結合片(3a)は、両端部(3a、3a)を備え、該両端部(3a、3a)は、キャップ本体(1)の外周面及びオーバーキャップ(2)の天板部(2a)にそれぞれ連結され、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の周縁の内方で連結する端部(3a)のみにおいて、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結し、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、かつ、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に有する凹部(3a11)として、深さ110μmまたは90μmの断面半円状の直線状の溝を有する実施例1〜5の合成樹脂材料から一体に成形された、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップは、
i)カーボンオフセット性を有し、
ii)植物由来のポリエチレンを含有せず、化石燃料由来のポリエチレンからなる参考例のトグル構造を備えるキャップと同等に、射出成形及び熱処理によって形状の歪み等が生じない形状安定性を有するとともに、
iii)開蓋状態の仰角が159〜171°であり、水平開蓋状態に近く、かつ、快いクリック感が持続して得られることからスナップ性に優れるとともに、シュート詰まり評価が「○」であり、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好であることが分かった。
これに対して、モダン炭素比率が104pMCである植物由来ポリエチレンを含有するが、いずれも、トグル構造(3)の結合片(3a)が、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a)の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に凹部(3a11)を有せず、さらに、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を5500ppmと多量に含有する比較例1の合成樹脂材料から一体に成形された、トグル構造を備えるキャップ、及び、さらに、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を含有しない比較例2の合成樹脂材料から一体に成形された、トグル構造を備えるキャップは、開蓋状態の仰角が144〜145°と水平開蓋状態には隔たりがあり、かつ、強めのクリック感があるとともに、シュート詰まり評価が「×」であり、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好ではないことが分かった。
本発明は、容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体、キャップ本体の天部を覆うオーバーキャップ、及び、キャップ本体に対してオーバーキャップを閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造を備え、かつ、ASTM D6866−11に規定されるモダン炭素比率が56.7〜118pMCであるポリオレフィンを含有する、合成樹脂材料から一体に成形されたキャップであって、以下のa)〜c):
a)トグル構造は、キャップ本体に対してオーバーキャップを回動自在に支持する屈曲可能な結合片と、オーバーキャップの回動軸に沿い該結合片の両側に配置される一対の支持部材とを有する;
b)結合片は、
b−1)両端部を備え、該両端部は、キャップ本体の外周面及びオーバーキャップの天板部にそれぞれ連結され、
b−2)オーバーキャップの天板部の周縁の内方で連結する端部のみにおいて、オーバーキャップの天板部と連結し、
b−3)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、
かつ、
b−4)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップの天板部の外表面に連なる側の面に凹部を有する;及び、
c)トグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる;
ことを特徴とする、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップであることによって、カーボンオフセット性を有し、化石燃料由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形されたトグル構造を備えるキャップと遜色がない成形性を有するとともに、オーバーキャップを安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分大きく、かつ、スナップ性、耐久性及び操作性が良好であって、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好である、植物由来のポリオレフィンを含有する、合成樹脂材料から一体に成形された、トグル構造を備えるキャップを提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。
1: キャップ本体
1a: ネジ部
2: オーバーキャップ
2a: オーバーキャップの天板部
3: トグル構造
3a: 結合片
3a、3a: 端部
3a11: 凹部
3b: 支持部材
4: 注出口
D: キャップ支持装置(受渡装置)
b: 容器
c: キャップ
d: キャップ供給手段
e: キャッパー
f: グリッパー
h: 水平方向のオフセット
v: 鉛直方向のオフセット

Claims (16)

  1. 容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体、キャップ本体の天部を覆うオーバーキャップ、及び、キャップ本体に対してオーバーキャップを閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造を備え、かつ、ASTM D6866−11に規定されるモダン炭素比率が56.7〜118pMCであるポリオレフィンを含む、植物由来のポリオレフィンを含有する合成樹脂材料から一体に成形されたキャップであって、以下のa)〜c):
    a)トグル構造は、キャップ本体に対してオーバーキャップを回動自在に支持する屈曲可能な結合片と、オーバーキャップの回動軸に沿い結合片の両側に配置される一対の支持部材とを有する;
    b)結合片は、
    b−1)両端部を備え、該両端部は、キャップ本体の外周面及びオーバーキャップの天板部にそれぞれ連結され、
    b−2)オーバーキャップの天板部の周縁の内方で連結する端部のみにおいて、該オーバーキャップの天板部と連結し、
    b−3)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、
    かつ、
    b−4)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップの天板部の外表面に連なる側の面に凹部を有する;及び、
    c)トグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂からなる;
    ことを特徴とする、植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  2. キャップ本体、オーバーキャップ及びトグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂材料からなる請求項1記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  3. 不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、以下の(A)、(A)及び(A):
    (A)HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
    (A)HN−CO−(−CH−)m−2−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
    (A)HN−CO−(−CH−)k+4−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
    からなる群より選ばれる一つの式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドを含有する請求項1または2記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  4. 不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A)の式で表される脂肪酸アミドと、前記の(A)または(A)の式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドとの混合物である請求項3記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  5. 前記の(A)の式で表される脂肪酸アミドにおけるmが、m=n+1またはm=n−1である請求項4記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  6. 前記の(A)の式で表される脂肪酸アミドにおけるkが、k=nである請求項4記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  7. 前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A)の式で表される脂肪酸アミドと、以下の(A11):
    (A11)HN−CO−(−CH−)−CH=CH−(−CH−)−CH(ただし、jは、6≦j≦10の範囲の整数であり、j≠nである。);
    の式で表される脂肪酸アミドとの混合物である請求項4記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  8. 不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物を含有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  9. 不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を含有する合成樹脂材料が、更に飽和脂肪酸アミドを含有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  10. 植物由来のポリオレフィンが、植物由来のエチレン系樹脂である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  11. 結合片が、略L字形の輪郭形状を有する請求項1乃至10のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  12. 結合片が、湾曲した輪郭形状を有する請求項1乃至10のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  13. 凹部が、直線状の溝である請求項1乃至12のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  14. 直線状の溝が、前記他の領域より断面厚みが薄い領域の断面厚みに対して、5〜30%の比率の範囲の深さを有する溝である請求項13記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  15. トグル構造が、2以上の結合片を有する請求項1乃至14のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
  16. 閉蓋状態で熱固定されてなる請求項1乃至15のいずれか1項に記載の植物由来のポリオレフィンを含有する、トグル構造を備えるキャップ。
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