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JP2013164501A - 光学フィルム - Google Patents

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JP2013164501A
JP2013164501A JP2012027240A JP2012027240A JP2013164501A JP 2013164501 A JP2013164501 A JP 2013164501A JP 2012027240 A JP2012027240 A JP 2012027240A JP 2012027240 A JP2012027240 A JP 2012027240A JP 2013164501 A JP2013164501 A JP 2013164501A
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JP
Japan
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bis
film
optical film
acid
hydroxyphenyl
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Application number
JP2012027240A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Motoyoshi
哲也 本吉
Teruyuki Shigematsu
輝幸 重松
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】所望の波長分散特性を有し、溶融加工性に優れたゲル数が少ない色相が良好な光学フィルムを提供する。
【解決手段】下記式(A)
Figure 2013164501

で表される単位(A)を20モル%以上の割合で含む熱可塑性樹脂からなる光学フィルムであって、特定のフェニルビニルエーテルの含有量が50ppm以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、所望の波長分散特性を有し、溶融加工性に優れたゲル数が少ない色相が良好な光学フィルムの製造方法に関するものである。
一般に光学フィルム、特に位相差フィルムは、液晶表示装置等の表示装置に用いられ、色補償、視野角拡大、反射防止等の機能を有している。
位相差フィルムとしては、λ/4板、λ/2板が知られており、その材料としてはビスフェノールAを重縮合したポリカーボネートやポリエーテルサルフォン、ポリサルフォンなどの熱可塑性ポリマーが用いられている。これら材料のフィルムを延伸して得られたλ/4板、λ/2板は、短波長ほど位相差が大きくなるという性質がある。そのため、λ/4板、λ/2板として機能しうる波長が特定の波長に限られるという問題点があった。
広帯域において波長を制御する方法として、位相差の波長依存性が異なる特定の2枚以上の複屈折性フィルムを特定の角度で積層して製造する方法が知られている。(例えば特許文献1参照)これらの場合、位相差フィルムを複数枚用いるので、それらを貼り合わせたり、貼り合わせる角度を調整する工程が必要であり、生産性に問題がある。また、位相差フィルム全体の厚さが大きくなるために、光線透過率が低下して、装置に組み込んだときに厚くなったり暗くなるという問題もある。
近年、このような積層をせずに、一枚のフィルムにより広帯域化する方法が提案されている(特許文献2参照)。該フィルムは正の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位と負の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位とからなる高分子フィルムを延伸する方法である。しかしながら、フルオレン系ビスフェノール骨格からなる芳香族系ポリカーボネートを用いているため、溶融加工する場合、溶融温度が高く分解によるゲル物が発生しやすいという問題がある。また、高いTg(ガラス転移温度)を有しているためフィルムの延伸加工等のために高い温度を必要とし、従来と異なる特別な加工設備を必要とする等、加工性が必ずしも十分なものとはいえない。また、光弾性定数が高いため、応力による複屈折が大きく、位相差フィルムとして使用する場合に光抜けが起こるという問題があった。
光弾性定数を低くする方法として、脂肪族ジオールを用いたポリカーボネート樹脂が報告されている(特許文献3参照)。しかしながら、脂肪族ジオールからなるポリカーボネート樹脂は耐熱性が低いため、実際に工業的に製膜した際に分解、劣化が起こり易く、得られたフィルムにゲル状物質が発生し易くなり、実用上問題となることがあった。
特開平02−120804号公報 特許第3325560号公報 国際公開第2010/064721号パンフレット
本発明の目的は、所望の波長分散特性を有し、溶融加工性に優れたゲル数が少ない色相が良好な光学フィルムを提供することにある。
本発明者らはこの目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、特定の副生成物の含有量を制御した9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンから合成される熱可塑性樹脂により、上記目的を達成できる事を見出し本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、
1.下記式(A)
Figure 2013164501
で表される単位(A)を20モル%以上の割合で含む熱可塑性樹脂からなる光学フィルムであって、下記式(1)で表されるフェニルビニルエーテルの含有量が50ppm以下であることを特徴とする光学フィルム。
Figure 2013164501
2.下記式(2)で表されるアセトアルデヒドの含有量が100ppm以下である前項1記載の光学フィルム。
Figure 2013164501
3.下記式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が50ppm以下である前項1記載の光学フィルム。
Figure 2013164501
4.熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびポリエステルカーボネート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である前項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
5.9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの純度が99%以上である前項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
6.熱可塑性樹脂は、単位(A)を20〜90モル%および下記式(B−1)、(B−2)および(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位(B)を80〜10モル%含む熱可塑性樹脂である前項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
Figure 2013164501
Figure 2013164501
Figure 2013164501
7.前項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムを延伸した延伸フィルムからなり、下記式(1)
R(450)<R(550)<R(650) (1)
[但し、R(450)、R(550)およびR(650)は夫々、波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルム面内の位相差値を示す。]
を満たす光学フィルム。
8.厚さ50μmに換算したゲル数が100個/m以下である前項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルム。
9.厚さ50μmに換算したフィルムのb値が1以下である前項1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルム。
10.前項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルムと偏向板を積層してなる円偏向板、又は楕円偏向板。
11.前項10に記載の円偏向板、又は楕円偏向板を用いた光学表示装置。
が提供される。
本発明により、溶融製膜等において、樹脂の劣化が極めて小さい光学フィルムを提供することができる。さらに、ゲル等の異物を極めて少なくした光学フィルムが得られるため極めて有用である。
本発明の9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが、全ジヒドロキシ成分の20モル%以上の割合で含まれる熱可塑性樹脂からなる光学フィルムは、上記式(1)で表されるフェニルビニルエーテルの含有量が、フィルムに対して50ppm以下である。上記式(2)で表されるアセトアルデヒドの含有量がフィルムに対して100ppm以下が好ましく、また上記式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量がフィルムに対して50ppm以下が好ましい。
<フィルム中の不純物>
本発明におけるフィルム中に式(1)で表されるフェニルビニルエーテルの含有量は、フィルムに対して50ppm以下であり、好ましくは30ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下である。上記範囲外であると、色相が悪化し、溶融製膜時のゲルなどが発生し好ましくない。
また、本発明におけるフィルム中に、式(2)で表されるアセトアルデヒドの含有量がフィルムに対して100ppm以下であることが好ましい。さらに、該樹脂中に含まれる式(2)で表されるアセトアルデヒドの含有量は、より好ましくは70ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下である。式(2)で表される化合物の含有量が、100ppmを超えると金属系の触媒と作用し色相が悪化し、更に溶融製膜時に架橋や分解しゲルが発生することがある。
式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドを上記範囲内にするには、重合時の温度や重合触媒種、重合触媒量などの重合条件を変えるなどの方法があり、最も効果的な方法は、熱可塑性樹脂の原料となる9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中のフェニキシエタノールの量を抑えることである。9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中には、製造する際に使用されるフェノキシエタノールが残留する。このフェノキシエタノール量が多くなると熱可塑性樹脂の重合時に式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生しやすくなり、本発明の効果が得られない。
また、本発明におけるフィルム中における、式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が50ppm以下であることが好ましい。該フィルム中に含まれる式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が50ppm以下であるとゲルが少なく、色相の良好なフィルムが得られる。該フィルム中の式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量は、フィルムに対してより好ましくは45ppm以下であり、特に好ましくは40ppm以下である。上記範囲外であると、ゲルが発生し、フィルムが着色し、色相が良好なフィルムが得られない場合がある。
式(3)で表されるフルオレン−9−オンを上記範囲内にするには、重合時の温度や重合時の真空度、重合時間などの重合条件を変えるなどの方法があるが、最も効果的な方法は、熱可塑性樹脂の原料となる9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中の式(3)で表されるフルオレン−9−オン量を抑えることである。9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの製造時にフルオレン−9−オンが使用されており、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中にはフルオレン−9−オンが残留する。この9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中のフルオレン−9−オン量が多くなると、重合後の熱可塑性樹脂中にも残存しやすく、フィルム中のフルオレン−9−オン含有量も増え本発明の効果が得られない。
式(1)、(2)、(3)で表される物質のフィルム中の含有量は少なければ少ない方が樹脂色相に良いが、重合時の温度、真空度、重合時間等製造における制約により含有量の低減には下限があり、好ましく1ppm以上となる。
<9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとその他ジオール成分、ジカルボン酸成分の純度>
本発明に使用されるジオール成分及びジカルボン酸成分の純度は、HPLCによって測定することができる。純度は、好ましくは99.0重量%以上、より好ましくは99.5重量%以上、さらに好ましくは99.9重量%以上である。純度が上記範囲外であると色相の良い樹脂が得られにくく好ましくない。
<9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中の不純物量>
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンに含まれるフェニキシエタノール量が好ましくは500ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下で、フルオレン−9−オン量が好ましくは500ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下である。フェニキシエタノール量が上記の量以上では、重合時に着色原因となる副生成物である式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが発生しやすくなり、ゲルが発生しやすく、色相の良い樹脂が得られにくく好ましくない。同様に、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中のフルオレン−9−オン量が上記の量以上となる場合、重合後の樹脂中に残存し、色相の良い樹脂が得られにくく好ましくない。
また、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンに含まれるイオウ量は150ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。
<9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの製造方法>
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの精製方法の一例としては、脂肪族アルコールを用いた再精製と活性炭を用いた精製が有効である。9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの脂肪族アルコールへの溶解性が低いのに対し、式(3)で表される化合物やフェノキシエタノール等の不純物は高い溶解性を示す。具体的には、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの85℃、16重量%トルエン溶液を脂肪族アルコールに再沈殿させ、濾過回収、乾燥し粗結晶を得るのが有効である。具体的な脂肪族アルコールには炭素数1〜2の、メタノール、エタノール等を挙げることができる。この粗結晶を85℃、16重量%トルエン溶液に調製し、撹拌しながら室温、もしくは、冷水で容器の回りを冷却しながら固体を析出させ,次いで、得られた結晶を濾過し、乾燥させ回収する。その後、再度85℃、16重量%トルエン溶液とし、再結晶化を行い、結晶を回収する。さらに、結晶をアセトンに完全溶解し、活性炭(NoritSX Plus)を加え1時間攪拌する。その後、活性炭をろ過し、アセトンを留去、精製結晶を得る。上記精製方法により、所望の不純物含有量の9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを得ることが出来る。
本発明の熱可塑性樹脂は、式(3)やフェノキシエタノール等の不純物を上記の含有量以下にした9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを原料として使用する。フェノキシエタノールや式(3)で表わされる成分が多く含有させた9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン使用する場合、重合時に副生成物が発生しやすく、着色要因物質となることがあり好ましくない。また、これらの副生成物は射出成形時のガス発生の原因にもなり好ましくない。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明の一実施形態は、ポリカーボネート樹脂がある。本実施形態は、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを少なくとも含有するジヒドロキシ成分を炭酸エステル成分と、塩基性化合物触媒の存在下反応させた樹脂である。本実施形態において、利用するジヒドロキシ成分及び炭酸ジエステル成分は、それぞれ単一成分であっても良く、又はジヒドロキシ成分及び/又は、炭酸ジエステル成分が2種類以上の化合物を含む、即ち、共重合成分を含んでも良い。
また、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンとともに使用可能なジオール化合物、ジヒドロキシ化合物の例には、直鎖脂肪族ジオール化合物として、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコール、1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,3−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、1,12−オクタデカンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられるなどを挙げることができる。これらのうち、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。これらの直鎖脂肪族ジオール類は単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
また、脂環式ジオールとしては、例えば1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどのシクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール、イソソルビド、イソマンニド、イソイディッド、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、デカリンジメタノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。これらのうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルビド、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。これらの脂環式ジオール類は単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
また芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−4,4’−ビフェノール、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(通常“ビスフェノールM”と称される)、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通常“ビスフェノールA”と称される)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(通常“ビスフェノールC”と称される)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシー3−フェニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(2,3−ジメチルー4−ヒドロキシフェニル)デカン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(通常“ビスフェノールAF”と称される)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、および2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロー4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチルー4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。
上記の中でも、ビスフェノールM、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールAF、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカンが好ましい。これらの芳香族ジオール類は単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。これらの芳香族炭酸ジエステルは単独で用いても、二種以上併用してもよい。
熱可塑性樹脂は、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが、全ジヒドロキシ成分の20モル%以上の割合で含まれる熱可塑性樹脂である。
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの割合を前記範囲とすることで、位相差が短波長になるほど低くなる逆波長分散性になるため、光学特性の優れたポリカーボネート樹脂となる。
一方、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの含有量は90モル%以上では、逆波長分散性が得られなくなるため、90モル%以下であるのが好ましい。
上記より9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの含有量が、該樹脂中に含まれる全構成単位に対して、30〜90モル%であることがより好ましい。さらに好ましくは35〜80モル%、特に好ましくは35〜70モル%、最も好ましくは35〜50モル%である。
他のジオール化合物、ジヒドロキシ化合物の含有量は、該樹脂中に含まれる全構成単位に対して、70〜10モル%であることが好ましい。より好ましくは65〜20モル%、さらに好ましくは65〜30モル%、特に好ましくは65〜50モル%である。
本実施形態のポリカーボネート樹脂を製造する方法としては、通常のポリカーボネート樹脂の製造に用いる方法が任意に採用される。例えばジオールとホスゲンとの反応、又はジオールとビスアリールカーボネートとのエステル交換反応が好ましく採用される。
ジオールとホスゲンとの反応では、非水系で酸結合剤及び溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えばピリジン、ジメチルアミノピリジン、第三級アミン等が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間が好ましい。
エステル交換反応では、不活性ガス存在下にジオールとビスアリールカーボネートを混合し、アルカリ金属化合物触媒もしくはアルカリ土類金属化合物もしくはその双方からなる混合触媒の存在下にて、減圧下通常120〜350℃、好ましくは150〜300℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして生成したアルコール類を系外に留去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。しかしながら、重合温度が、350℃以上では式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生し易くなり、120℃以下では、反応が進行せず好ましくない。
重合触媒としてはアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を主成分として用い、必要に応じて含窒素塩基性化合物を従成分として用いても良い。
触媒として使用するアルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
助触媒として使用する含窒素塩基性化合物としてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
これらの触媒は単独で用いても、二種以上併用してもよく、これらの重合触媒の使用量はジオール成分の合計1モルに対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。しかしながら触媒量が上記以上では、式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生しやすくなり、色相が悪化し好ましくない。また、色相改善のために酸化防止剤や熱安定剤等を加えてもよい。
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、重合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させてもよい。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物については、一般的に、公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法が好適に実施される。これらの失活を行うとしては、具体的には、安息香酸ブチル等のエステル類、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル類、亜リン酸、リン酸、ホスホン酸等のリン酸類、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジn−プロピル、亜リン酸ジn−ブチル、亜リン酸ジn−ヘキシル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸モノオクチル等の亜リン酸エステル類、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノオクチル等のリン酸エステル類、ジフェニルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸等のホスホン酸類、フェニルホスホン酸ジエチル等のホスホン酸エステル類、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、ホウ酸、フェニルホウ酸等のホウ酸類、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類、ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p−トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物、ジメチル硫酸等のアルキル硫酸、塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。これらの失活剤は、触媒量に対して0.01〜50倍モル、好ましくは0.3〜20倍モル使用される。触媒量に対して0.01倍モルより少ないと、失活効果が不充分となり好ましくない。また、触媒量に対して50倍モルより多いと、耐熱性が低下し、成形体が着色しやすくなるため好ましくない。
触媒失活後、樹脂中の低沸点化合物を133〜13.3Paの圧力、200〜320℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良い。
<ポリエステル樹脂>
本発明の一実施形態は、ポリエステル樹脂がある。本実施形態では、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを少なくとも含むジオール成分と、ジカルボン酸及び/又はこれらの反応性誘導体を含むジカルボン酸成分とを、反応させたポリエステル樹脂である。
本実施形態で利用するジオール成分及びジカルボン酸成分は、それぞれ単一の成分であってもよく、又はジオール成分及び/又はジカルボン酸成分が2種以上の化合物を含む、即ち、共重合成分を含んでいてもよい。
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンとともに使用可能な他のジオール化合物としては、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、テトラメチレングリコール(1,4−ブタンジオール)、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、デカンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状のC2−12のアルキレングリコールなど);(ポリ)オキシアルキレングリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール);などが挙げられる。これらのジオールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
式(1)で表される化合物と組み合わせて用いるジオールの好ましい例は、直鎖状又は分岐鎖状C2−10のアルキレングリコールであり、より好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C2−6のアルキレングリコール、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール(1,4−ブタンジオール)である。
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン以外のジオール(例えばエチレングリコール)は、重合反応性を高めるとともに樹脂に柔軟性を付与させるための共重合成分として有用である。なお、共重合成分の導入により、屈折率、耐熱性、吸水性が低下する場合があるため、それらの点では、一般的には共重合比率は小さいほうがよい。
代表的なジカルボン酸としては、例えばアルカンジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等)、アルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸等)の脂肪族ジカルボン酸;シクロアルカンジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、ジ又はトリシクロアルカンジカルボン酸(デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等)等の脂環族ジカルボン酸;アレーンジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸等)ビフェニルジカルボン酸(2,2’−ビフェニルジカルボン酸等)の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。さらにこれらの反応性誘導体(ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水物、ジメチルエステル、ジエチルエステルなどの低級(C1−4)アルキルエステル、ジカルボン酸に対応する酸ハライドなどのエステル形成可能な誘導体)を使用することができる。
これらのジカルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でもシクロヘキサンジカルボン酸、及びテレフタル酸が安価で工業的に入手しやすいため好ましい。
本実施の形態のポリエステル樹脂は、前記熱可塑性樹脂中に含まれる。
熱可塑性樹脂は、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが、全ジヒドロキシ成分の20モル%以上の割合で含まれる熱可塑性樹脂である。
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの割合を前記範囲とすることで、位相差が短波長になるほど低くなる逆波長分散性になるため、光学特性の優れたポリカーボネート樹脂となる。
一方、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの含有量は90モル%以上では、逆波長分散性が得られなくなるため、90モル%以下であるのが好ましい。
上記より9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの含有量が、該樹脂中に含まれる全構成単位に対して、30〜90モル%であることがより好ましい。特に好ましくは35〜80モル%、さらに好ましくは35〜70モル%、より好ましくは35〜50モル%である。
本実施の形態では、ジカルボン酸成分(ジカルボン酸及び/又はエステル形成性ジカルボン酸誘導体)と、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを含むジオール成分とを、エステル交換法、直接重合法などの溶融重合法、溶液重合法、界面重合法等の種々の方法に従って反応させて、ポリエステル樹脂を得ることができる。中でも、反応溶媒を用いない溶融重合法が好ましい。
溶融重合法の一つであるエステル交換法は、触媒存在下、ジカルボン酸エステルとジオール化合物とを反応させ、生成するアルコールを留去しながらエステル交換を行うことによりポリエステルを得る方法であり、一般にポリエステル樹脂の合成に用いられている。
エステル交換反応の触媒としては、少なくとも一種類以上の金属化合物を使用すること
が望ましい。好ましい金属化合物中に含まれる金属元素としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、チタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、スズ、コバルト等が挙げられる。これらの中でも、カルシウム及びマンガン化合物は反応性が高く、得られる樹脂の色調が良好なことから好ましい。エステル交換触媒の使用量は、生成するポリエステル樹脂に対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。しながら触媒量が上記以上では、式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生しやすくなり、色相が悪化し好ましくない。
また、直接重合法は、ジカルボン酸とジオール化合物との脱水反応を行い、エステル化合物を形成したのち、減圧下にて過剰のジオール化合物を留去しながらエステル交換反応を行うことによりポリエステル樹脂を得る方法である。直接重合法はエステル交換法のようにアルコールの留出がなく、原料に安価なジカルボン酸を用いることができることが利点である。
これら溶融重合法を実施する際の重合反応の触媒としては、少なくとも一種類以上の金属化合物を使用することが望ましい。好ましい金属元素としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、チタン及びゲルマニウム化合物は反応性が高く、得られる樹脂の透明性及び色調に優れていることから、光学用樹脂においては特に好ましい。重合触媒の使用量は、生成するポリエステル樹脂に対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。
また、本発明のポリエステル樹脂を製造する際、重合反応を円滑に進行するため、エステル交換反応が終了した後に、エステル交換触媒と等モル以上のリン化合物を使用することが望ましい。リン化合物の例としては、リン酸、亜リン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、トリメチルホスフェートが特に好ましい。リン化合物の使用量は、生成するポリエステル樹脂に対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。
エステル交換反応は、必要に応じて用いられる共重合成分とを、加熱装置、攪拌機及び留出管を備えた反応槽に仕込み、反応触媒を加えて常圧不活性ガス雰囲気下で攪拌しつつ昇温し、反応により生じたメタノール等の副生物を留去しつつ反応を進行させることによって行う。反応温度は150℃〜270℃、好ましくは160℃〜260℃であり、反応時間は、通常、3〜7時間である。
重合反応は、例えば、上記のエステル交換反応終了後の生成物を用いて、加熱装置、攪拌機、留出管及び減圧付加装置を備えた反応槽により実施される。なお、これらの条件が満たされるならば、上記エステル交換反応において使用した同一の反応槽により、引き続き重合反応を実施することもできる。
重合反応は、例えば、上記のエステル交換反応終了後の生成物を入れた反応槽内に、触媒を添加した後、反応槽内を徐々に昇温且つ減圧しながら行う。槽内の圧力は、常圧雰囲気下から最終的には0.4kPa以下、好ましくは0.2kPa以下まで減圧する。槽内の温度は、220〜230℃から昇温、最終的には240〜350℃、好ましくは240〜310℃まで昇温、所定のトルクに到達した後、槽底部から反応生成物を押し出して回収する。通常の場合、反応生成物を水中にストランド状に押し出し、冷却した上でカッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂を得ることができる。しかしながら、重合反応の温度が320℃以上では式(1)、(2)で表される化合物が副生し易くなり、好ましくない。
重合反応終了後、樹脂中の低沸点化合物を133〜13.3Paの圧力、200〜320℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良い。
<ポリエステルカーボネート樹脂>
本発明の一実施形態は、ポリエステルカーボネート樹脂である。本実施形態では、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを少なくとも含むジオール成分と、ジカルボン酸及び炭酸エステル成分と、塩基性化合物触媒、エステル交換触媒またはその双方からなる混合触媒とを含有する樹脂である。本実施形態において、利用するジヒドロキシ成分及びジカルボン酸成分及び炭酸ジエステル成分は、それぞれ単一成分であっても良く、又はジヒドロキシ成分及び/又は、ジカルボン酸成分及び/又は、炭酸ジエステル成分が2種類以上の化合物を含んでも良い。
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンとともに本発明において使用可能なジオール成分は、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコール、1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,3−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、1,12−オクタデカンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられるなどを挙げることができる。これらのうち、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。これらの直鎖脂肪族ジオール類は単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
また、脂環式ジオールとしては、例えば1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどのシクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール、イソソルビド、イソマンニド、イソイディッド、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、デカリンジメタノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。これらのうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルビド、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。これらの脂環式ジオール類は単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
また芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−4,4’−ビフェノール、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(通常“ビスフェノールM”と称される)、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通常“ビスフェノールA”と称される)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(通常“ビスフェノールC”と称される)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシー3−フェニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(2,3−ジメチルー4−ヒドロキシフェニル)デカン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(通常“ビスフェノールAF”と称される)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、および2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロー4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチルー4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。
上記の中でも、ビスフェノールM、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールAF、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカンが好ましい。これらの芳香族ジオール類は単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のポリエステルカーボネート樹脂におけるジカルボン酸化合物はテレフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、tert−ブチルイソフタル酸等の単環式芳香族ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸等の多環式芳香族ジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸、1,4−シクロジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、テレフタル酸が好ましい。また、これらの誘導体としては酸クロライドやエステル類が用いられる。
本発明のポリエステルカーボネート樹脂の製造に用いるカーボネート前駆物質としては例えばホスゲン、ジフェニルカーボネート、上記二価フェノール類のビスクロロホーメート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
熱可塑性樹脂は、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが、全ジヒドロキシ成分の20モル%以上の割合で含まれる熱可塑性樹脂である。
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの割合を前記範囲とすることで、位相差が短波長になるほど低くなる逆波長分散性になるため、光学特性の優れたポリカーボネート樹脂となる。
一方、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの含有量は90モル%以上では、逆波長分散性が得られなくなるため、90モル%以下であるのが好ましい。
上記より9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの含有量が、該樹脂中に含まれる全構成単位に対して、30〜90モル%であることがより好ましい。特に好ましくは35〜80モル%、さらに好ましくは35〜70モル%、より好ましくは35〜50モル%である。
本実施形態のポリエステルカーボネート樹脂を製造する方法としては、通常のポリエステルカーボネート樹脂の製造に用いる方法が任意に採用される。例えばジオールとジカルボン酸又はジカルボン酸クロライドとホスゲンとの反応、又はジオールとジカルボン酸とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応が好ましく採用される。
ジオール、ジカルボン酸又はその酸クロライドとホスゲンとの反応では、非水系で酸結合剤及び溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えばピリジン、ジメチルアミノピリジン、第三級アミン等が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間が好ましい。
エステル交換反応では、不活性ガス存在下にジオールとジカルボン酸又はそのジエステルとビスアリールカーボネートを混合し、減圧下通常120〜350℃、好ましくは150〜300℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には1mmHg以下にして生成したアルコール類を系外に留去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。しかしながら、重合温度が、350℃以上では式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生し易くなり、好ましくない。
また、エステル交換反応では反応促進のために重合触媒を用いることができる。このような重合触媒としてはアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物又は重金属化合物を主成分として用い、必要に応じて含窒素塩基性化合物を従成分として用いても良い。
アルカリ金属化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ビスフェノールAのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属化合物としては水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
含窒素塩基性化合物としてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
その他のエステル交換触媒としては亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、オスミウム、アルミニウムの塩が挙げられ、例えば、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)チタンテトラブトキシド(IV)等が用いられる。
これらの触媒は単独で用いても、二種以上併用してもよく、これらの重合触媒の使用量はジオールとジカルボン酸の合計1モルに対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。これらは単独で用いても、二種以上併用してもよい。また、エステル交換反応ではヒドロキシ末端基を減少するために重縮合反応の後期又は終了後に電子吸引性の置換基を持ったジアリールカーボネートを加えも良い。更に、色相改善のために酸化防止剤や熱安定剤等を加えてもよい。
本実施形態のポリエステルカーボネート樹脂は、重合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させてもよい。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物については、一般的に、公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法が好適に実施される。これらの物質としては、具体的には、安息香酸ブチル等のエステル類、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル類、亜リン酸、リン酸、ホスホン酸等のリン酸類、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジn−プロピル、亜リン酸ジn−ブチル、亜リン酸ジn−ヘキシル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸モノオクチル等の亜リン酸エステル類、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノオクチル等のリン酸エステル類、ジフェニルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸等のホスホン酸類、フェニルホスホン酸ジエチル等のホスホン酸エステル類、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、ホウ酸、フェニルホウ酸等のホウ酸類、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類、ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p−トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物、ジメチル硫酸等のアルキル硫酸、塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。これらの失活剤は、触媒量に対して0.01〜50倍モル、好ましくは0.3〜20倍モル使用される。触媒量に対して0.01倍モルより少ないと、失活効果が不充分となり好ましくない。また、触媒量に対して50倍モルより多いと、耐熱性が低下し、成形体が着色しやすくなるため好ましくない。
触媒失活後、樹脂中の低沸点化合物を133〜13.3Paの圧力、200〜320℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良い。
<光学フィルム>
本発明の樹脂を用いてなる光学フィルムは、具体的には、位相差フィルム、プラセル基板フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルム、輝度上昇フィルム、光ディスクの保護フィルム、拡散フィルム等の用途が挙げられる、なかでも位相差フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルムが好ましい。
光学フィルムの製造方法としては、例えば、溶液キャスト法、溶融押出法、熱プレス法、カレンダー法等公知の方法を挙げることが出来る。なかでも、溶液キャスト法、溶融押出法が好ましく、特に生産性の点から溶融押出法が特に好ましい。
溶融押出法においては、Tダイを用いて樹脂を押出冷却ロールに送る方法が好ましく用いられる。このときの溶融押出温度はの分子量、Tg、溶融流動特性等から決められるが、180〜350℃の範囲が好ましく、200℃〜320℃の範囲がより好ましい。180℃より低いと粘度が高くなりポリマーの配向、応力歪みが残りやすくなる。また、350℃より高いと熱劣化、着色、Tダイからのダイライン(筋)等の問題が起きやすい。
また、本発明の樹脂は、有機溶媒に対する溶解性が良好なので、溶液キャスト法も適用することが出来る。溶液キャスト法の場合は、溶媒としては塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジオキソラン、ジオキサン等が好適に用いられる。溶液キャスト法で得られるフィルム中の残留溶媒量は2重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重量%以下である。残留溶媒量が2重量%を超えるとフィルムのガラス転移温度の低下が著しくなり耐熱性の点で好ましくない。
本発明の樹脂を用いてなる未延伸フィルムの厚みとしては、30〜400μmの範囲が好ましく、より好ましくは40〜300μmの範囲である。かかる未延伸フィルムをさらに延伸して位相差フィルムとする場合は、目的とする位相差値と関連するが20〜200μmの範囲であり、より好ましくは20〜150μmである。この範囲であれば、延伸による所望する位相差値が得やすく、製膜も容易で好ましい。未延伸フィルムは、偏光板保護フィルムや光ディスク用透過層フィルムとして好適に用いられる。
本発明の樹脂を用いてなる未延伸フィルムは延伸配向することにより位相差フィルムとなる。なお、フィルムの製膜する機械軸方向を製膜方向または縦方向と称し、製膜方向とフィルムの厚み方向に直交する方向を横方向または幅方向と称する。延伸方法は、縦一軸延伸、テンター等を用いる横一軸延伸、あるいはそれらを組み合わせた同時二軸延伸、逐次二軸延伸等公知の方法を用いることが出来る。また連続で行うことが生産性の点で好ましいが、バッチ式で行っても良い。延伸温度は、樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して、好ましくは(Tg−20℃)〜(Tg+50℃)の範囲、より好ましくは(Tg−10℃)〜(Tg+30℃)の範囲である。この温度範囲であれば、ポリマーの分子運動が適度であり、延伸による緩和が起こり難く、配向制御が容易になり所望する面内位相差が得られ易いため好ましい。延伸温度が低いと位相差が発現しやすくなる傾向がある。
延伸倍率は目的とする位相差値により決められるが、縦、横、それぞれ、1.05〜5倍、より好ましくは1.1〜4倍である。この延伸は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。なお、溶液キャスト法により得た未延伸フィルムを延伸する場合の上記Tgとは、該未延伸フィルム中の微量の溶媒を含むガラス転移温度を言う。
また延伸後のフィルムの厚みは、好ましくは20〜200μm、より好ましくは20〜150μmの範囲である。この範囲であれば、延伸による所望する位相差値が得やすく、製膜も容易で好ましい。
(波長分散性)
本発明の樹脂を用いてなる未延伸フィルムを延伸することで、波長400〜800nmの可視光領域において、フィルム面内の位相差が短波長になるほど小さくなるという特徴を有する。即ち、下記式(1)
R(450)<R(550)<R(650) (1)
を満たす。但し、R(450)、R(550)およびR(650)は夫々、波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルム面内の位相差値を示す。
ここで面内の位相差値Rとは下記式で定義されるものであり、フィルムに垂直方向に透過する光のX方向とそれと垂直のY方向との位相の遅れを現す特性である。
R=(n−n)×d
但し、nはフィルム面内の主延伸方向の屈折率であり、nはフィルム面内の主延伸方向と垂直方向の屈折率であり、dはフィルムの厚みである。ここで、主延伸方向とは一軸延伸の場合には延伸方向、二軸延伸の場合にはより配向度があがるように延伸した方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の配向方向を指す。
本発明の樹脂を用いてなる光学フィルムの好ましい波長分散性の範囲として下記式(2)および(3)を満たすいわゆる逆波長分散性を示すフィルム(I)である。
0<R(450)/R(550)<1.00 (2)
1.01<R(650)/R(550)<2.00 (3)
フィルム(I)は、より好ましくは下記式(2−1)および(3−1)を満たす。
0.60<R(450)/R(550)<1.00 (2−1)
1.01<R(650)/R(550)<1.40 (3−1)
さらに好ましくは下記式(2−2)および(3−2)を満たす。
0.65<R(450)/R(550)<0.92 (2−2)
1.01<R(650)/R(550)<1.30 (3−2)
特に好ましくは下記式(2−3)および(3−3)を満たす。
0.70<R(450)/R(550)<0.91 (2−3)
1.01<R(650)/R(550)<1.20 (3−3)
もっとも好ましくは下記式(2−4)および(3−4)を満たす。
0.75<R(450)/R(550)<0.91 (2−4)
1.01<R(650)/R(550)<1.20 (3−4)
また、上記フィルムの条件を満たす本発明の樹脂の光弾性定数は45×10−12Pa−1以下であることが好ましく、さらに好ましくは42×10−12Pa−1以下、特に好ましくは40×10−12Pa−1以下である。
上記フィルムは、逆波長分散性を示すので、積層することなく1枚で液晶表示装置等の位相差フィルムに好適に用いられる。かかる用途では、λ/4板の場合は100nm<R(550)<180nm、λ/2板の場合は220nm<R(550)<330nmであることが望ましい。
<フィルムのb値>
本発明の光学フィルムは、そのb値が好ましくは1以下、より好ましくは−1.0〜1.0、さらに好ましくは−0.8〜0.8、特に好ましくは−0.6〜0.6の範囲である。フィルムのb値が上記範囲外であると色相の良い光学部品が得られないので好ましくない。
<フィルムのゲル数>
本発明の光学フィルムは、厚さ50μmに換算したゲル数が100個/m以下であることが好ましく、50個/m以下がより好ましく、20個/m以下がさらに好ましく、10個/m以下が特に好ましい。ゲル数が多くなると、ディスプレイとして用いたときに輝点となり、問題となる。ゲルは溶融重合中または/および溶融製膜中に樹脂が分解、架橋し発生する。ゲル発生は複合的な要素があり、温度、酸素、不純物などが原因と考えられる。本発明のフィルムは不純物を低減することにより、大幅にゲルを低減できる。ゲル数は、厚さ50μmのフィルムをカラー3Dレーザ顕微鏡を用いて、500mm×1000mmに存在する長軸の直径が300μm以上の干渉縞を有するゲルをフィルム1m中に換算して求められる。
以下に実施例によって本発明の具体例を説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例等に用いた、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの純度、フィルム中の副生成物含有量、フィルムの色相などは、下記の方法で測定した。
(1)9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの純度、不純物量:chemco製KROMASIL 5C18のカラムにて溶離液メタノール/水の混合液を用いて、カラム温度40℃、検出器254nmで0min:メタノール60%、0→20min:メタノール60→95%、20→40min:メタノール100%、40→47min:メタノール100→60%のグラジエントプログラムにてHPLC分析した。測定は、モノマー10mgをメタノール/水(3:2)10mlに溶解させた後、孔径0.2μmのPTFEフィルターでろ過し、測定を行った。不純物量は、検量線にて定量した。
(2)原料中のイオウ量の定量:ヤナコ製SQ−1型/HSU−35型とダイオネクス製ICS−2000型自動燃焼ハロゲン・硫黄分析システムを用いて定量を行った。
(3)樹脂の比粘度
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
(4)樹脂のTg
ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minにて測定した。
(5)フィルム中のフェニルビニルエーテル、アセトアルデヒド含有量:フィルム1gを200℃加熱のHS−GC/MSにて、2時間測定した。フェニルビニルエーテルの標準物は、フィルム脂からアセトニトリルにて抽出し、抽出液からHPLCにて分取することで作成した。この標準物質を用い、ピーク面積割合と含有量についての検量線を作成し、含有量を算出した。また、アセトアルデヒドは標品を用い、ピーク面積割合と含有量について検量線を作成し、含有量を算出した。
(6)フィルム中のフルオレン−9−オン含有量:フィルム50mgを5mlのクロロホルムに溶解し、東ソー(株)TSK−GEL G2000H及びG3000Hカラムを用いて、クロロホルム溶媒にて波長254nmでGPC分析して求めた。具体的には、試料中に予めフルオレン−9−オンを定量加えたものについてGPC測定を行い、ピーク面積割合と含有量について相関式を作成し、これを検量線とし定量した。
(7)フィルムb値:50μmのフィルムをC光源により日立U−3000分光光度計を用いて測定した。
(8)ゲル数:厚さ50μmのフィルムをカラー3Dレーザ顕微鏡を用いて、500mm×1000mmに存在する長軸の直径が300μm以上の干渉縞を有するゲルをフィルム1m中に換算して求めた。
(9)波長分散性:延伸して得られたフィルムを日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用し位相差波長分散性を測定した。
(10)偏光板評価:クロスニコルに配置された一対の偏光子の間に光学フィルムを挿入し、オリンパス社製の微分干渉顕微鏡を用いて行なった。輝点が認められた場合を×、極薄い輝点が認められた場合には△、輝点が認められない場合を○と判断した。
[参考例1]
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えたガラス製反応器に純度99.5重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部を加えて撹拌した混合液に、反応温度を50℃に保持しつつ、98重量%の硫酸570重量部を60分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を50℃に保ち、さらに5時間撹拌することにより反応を完結させた。
反応終了後、メタノール2.5kgを加えて、10℃まで冷却したところ、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンと硫酸ナトリウムの混合結晶が析出した。ろ過により混合結晶を取り出したのち、トルエン3.5kg、水1.0kgを加えて85℃に加熱して硫酸ナトリウムを溶解させた。水相を除去したのち、有機相をさらに85℃の水で2回洗浄した。その後、トルエン相を100倍量のメタノールに再沈殿し、粗結晶を濾過により回収した。この粗結晶を4.0kgのトルエンに85℃で溶解させ、同様の精製を行った。この作業を3回繰り返した後、85℃トルエン相を10℃に冷却することにより、結晶化させ濾過により回収した。その後、アセトンに完全溶解し、活性炭(NoritSX Plus)を加え1時間攪拌した。その後、活性炭を濾過し、アセトンを留去、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(以下“BPEF”と省略することがある)(No.1)630重量部を得た。
[参考例2]
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えたガラス製反応器に純度99.5重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部とし、メタノールへの再沈殿、再結晶化を2回行った以外は、実施例1と同様にしてBPEF(No.2)700重量部を得た。
[参考例3]
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えたガラス製反応器に純度98.0重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部とし、メタノールへの再沈殿・再結晶化と活性炭を用いた精製を行わない以外は、実施例1と同様にしてBPEF(No.3)720重量部を得た。
[参考例4]
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えたガラス製反応器に純度99.5重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部を加えて撹拌した混合液に、反応温度を50℃に保持しつつ、98重量%の硫酸570重量部を60分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を50℃に保ち、さらに5時間撹拌することにより反応を完結させた。
反応終了後、メタノール2.5kgを加えて、10℃まで冷却したところ、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンと硫酸ナトリウムの混合結晶が析出した。ろ過により混合結晶を取り出したのち、3000mlのn−へキサンに加熱溶解させ、3重量部となる量のアルカリを加えた後、加熱しながら撹拌する。回収は、反応液を水で中性になるまで洗浄した後、反応液を撹拌しながら室温で容器の回りを冷却しながら固体を析出させ,次いで、得られた固形物を濾過し、乾燥して回収した。BPEF(No.4)690重量部を得た。
Figure 2013164501
[実施例1]
表1におけるBPEF(No.1)677.1重量部、イソソルビド(以下“ISS”と省略することがある)275.7重量部、ジフェニルカーボネート(以下“DPC”と省略することがある)749.7重量部、炭酸水素ナトリウム5.0×10−4重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素置換を3度行った後、窒素雰囲気101kPaの下、200℃に加熱し、20分間撹拌した。完全溶解後、15分かけて20kPaに調整し、215℃、20kPaの条件下で20分保持し、エステル交換反応を行った。さらに37.5℃/hrの速度で240℃まで昇温、240℃、16kPaで10分保持した。その後、10分かけて13kPaに調整し、240℃、13kPaで70分保持した。その後、10分かけて1.3kPaに調整し、240℃、1.3kPaで10分保持した。さらに40分かけて130Pa以下とし、240℃、130Pa以下の条件下で1時間攪拌下重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成したポリカーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。該ペレットは無色透明であった。
次に、(株)テクノベル製15mmφ二軸押出機に幅150mm、リップ幅500μmのTダイとフィルム引取り装置を取り付け、得られたポリカーボネート樹脂を250℃でフィルム成形することにより厚さ50μmの透明な押出しフィルムを得て、フィルムb値、ゲル数を測定した。また、得られたフィルムを長さ100mm×幅70mmサイズに切り出しをTg+10℃の温度にて長さ方向に2.0倍で一軸延伸し、延伸フィルムを得た。この光学フィルムの波長分散性、偏光板評価を実施した。結果を表2、表3に示した。
[実施例2]
表1におけるBPEF(No.2)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2、表3に示した。
[実施例3]
表1におけるBPEF(No.1)752.3重量部、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(以下“SPG”と省略することがある)521.6重量部を用いた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2、表3に示した。
[実施例4]
表1におけるBPEF(No.1)677.1重量部、ISS200.5重量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下“CHDM”と省略することがある)74.1重量部を用いた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2、表3に示した。
[実施例5]
表1におけるBPEF(No.1)752.3重量部、SPG417.3重量部、CHDM49.4重量部を用いた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2、表3に示した。
[比較例1]
表1におけるBPEF(No.3)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2、表3に示した。
[比較例2]
表1におけるBPEF(No.4)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2、表3に示した。
[比較例3]
表1におけるBPEF(No.3)を用いた以外は実施例4と同様に実施した。結果を表2、表3に示した。
[比較例4]
表1におけるBPEF(No.4)を用いた以外は実施例4と同様に実施した。結果を表2、表3に示した。
なお、表2、表3中のBPEFのNo.1〜4は、それぞれ表1に記載のBPEFNo.1〜4であり所定の不純物を含む。
Figure 2013164501
Figure 2013164501
本発明の光学フィルムはゲルの異物が少なく、色相が優れるため、位相差フィルム等各種光学材料に好適に利用できる。

Claims (11)

  1. 下記式(A)
    Figure 2013164501
    で表される単位(A)を20モル%以上の割合で含む熱可塑性樹脂からなる光学フィルムであって、下記式(1)で表されるフェニルビニルエーテルの含有量が50ppm以下であることを特徴とする光学フィルム。
    Figure 2013164501
  2. 下記式(2)で表されるアセトアルデヒドの含有量が100ppm以下である請求項1記載の光学フィルム。
    Figure 2013164501
  3. 下記式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が50ppm以下である請求項1記載の光学フィルム。
    Figure 2013164501
  4. 熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびポリエステルカーボネート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの純度が99%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 熱可塑性樹脂は、単位(A)を20〜90モル%および下記式(B−1)、(B−2)および(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位(B)を80〜10モル%含む熱可塑性樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
    Figure 2013164501
    Figure 2013164501
    Figure 2013164501
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムを延伸した延伸フィルムからなり、下記式(1)
    R(450)<R(550)<R(650) (1)
    [但し、R(450)、R(550)およびR(650)は夫々、波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルム面内の位相差値を示す。]
    を満たす光学フィルム。
  8. 厚さ50μmに換算したゲル数が100個/m以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  9. 厚さ50μmに換算したフィルムのb値が1以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルムと偏向板を積層してなる円偏向板、又は楕円偏向板。
  11. 請求項10に記載の円偏向板、又は楕円偏向板を用いた光学表示装置。
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