本発明は、積層型多芯ケーブルに関し、より特定的には、高周波信号の伝送に用いられる複数の信号線を備えた積層型多芯ケーブルに関する。
従来の積層型多芯ケーブルとしては、例えば、特許文献1に記載のフレキシブルフラットケーブルが知られている。図19は、特許文献1に記載のフレキシブルフラットケーブル500の断面構造図である。
フレキシブルフラットケーブル500は、図19に示すように、平角導体502、絶縁性接着シート504a,504b及び金属薄膜506a,506bを備えている。
平角導体502は、同じ層に等間隔に複数並べて設けられている。平角導体502は、上下方向から絶縁性接着シート504a,504bにより挟まれている。また、絶縁性接着シート504aの上層には金属薄膜506aが設けられている。絶縁性接着シート504bの下層には金属薄膜506bが設けられている。以上のようなフレキシブルフラットケーブル500は、複数のストリップラインが並んだ構造を有している。
しかしながら、特許文献1に記載のフレキシブルフラットケーブル500は、平角導体502同士が近接しているので、平角導体502間のアイソレーションを確保しにくいという問題を有している。
そこで、本発明の目的は、複数の信号線路間のアイソレーションを確保できる積層型多芯ケーブルを提供することである。
本発明の一形態に係る積層型多芯ケーブルは、複数の基材層が積層されて構成されている積層体と、前記積層体に設けられている第1のグランド導体と、前記積層体において前記第1のグランド導体と異なる層に設けられている第2のグランド導体と、積層方向において、前記第1のグランド導体と前記第2のグランド導体との間に設けられている第1の信号線路と、積層方向において、前記第1のグランド導体と前記第2のグランド導体との間であって、前記第1の信号線路よりも該第2のグランド導体の近くに設けられている第2の信号線路であって、所定領域において、積層方向から平面視したときに、前記第1の信号線路に沿って延在している第2の信号線路と、を備えており、前記第1のグランド導体には、前記所定領域において、積層方向から平面視したときに、前記第1の信号線路と重なる第1の開口が設けられていること、を特徴とする。
本発明によれば、複数の信号線路間のアイソレーションを確保できる。
一実施形態に係る積層型多芯ケーブルの外観斜視図である。
一実施形態に係る積層型多芯ケーブルの分解斜視図である。
図1の積層型多芯ケーブルのX−Xにおける断面構造図である。
図1の積層型多芯ケーブルの信号線路及びグランド導体を平面視した図である。
積層型多芯ケーブルのコネクタの外観斜視図及び断面構造図である。
積層型多芯ケーブルが用いられた電子機器をy軸方向及びz軸方向から平面視した図である。
第1の変形例に係る積層型多芯ケーブルの外観斜視図である。
第1の変形例に係る積層型多芯ケーブルの分解斜視図である。
積層型多芯ケーブルのコネクタの外観斜視図及び断面構造図である。
積層型多芯ケーブルが用いられた電子機器をy軸方向及びz軸方向から平面視した図である。
第2の変形例に係る積層型多芯ケーブルの信号線路及びグランド導体を平面視した図である。
第3の変形例に係る積層型多芯ケーブルの信号線路及びグランド導体を平面視した図である。
第4の変形例に係る積層型多芯ケーブルの外観斜視図である。
第4の変形例に係る積層型多芯ケーブルの並走領域における分解斜視図である。
積層型多芯ケーブルが用いられた電子機器をz軸方向から平面視した図である。
第5の変形例に係る積層型多芯ケーブルの接続部における分解斜視図である。
その他の実施形態に係る積層型多芯ケーブルの断面構造図である。
その他の実施形態に係る積層型多芯ケーブルの断面構造図である。
特許文献1に記載のフレキシブルフラットケーブルの断面構造図である。
以下に、本発明の実施形態に係る積層型多芯ケーブルについて図面を参照しながら説明する。
(積層型多芯ケーブルの構成)
以下に、本発明の一実施形態に係る積層型多芯ケーブルの構成について図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る積層型多芯ケーブル10の外観斜視図である。図2は、一実施形態に係る積層型多芯ケーブル10の分解斜視図である。図3は、図1の積層型多芯ケーブル10のX−Xにおける断面構造図である。図4は、図1の積層型多芯ケーブル10の信号線路20,21及びグランド導体22,24を平面視した図である。図1ないし図4において、積層型多芯ケーブル10の積層方向をz軸方向と定義する。また、積層型多芯ケーブル10の長手方向をx軸方向と定義し、x軸方向及びz軸方向に直交する方向をy軸方向と定義する。
積層型多芯ケーブル10は、図1及び図2に示すように、積層体12、外部端子16a〜16d,信号線路20,21、グランド導体22,24、コネクタ100a,100b及びビアホール導体b1〜b18を備えている。
積層体12は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在しており、線路部12a及び接続部12b〜12eを含んでいる。積層体12は、図2に示すように、保護層14、誘電体シート(基材層)18a〜18c及び保護層15がz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に積層されて構成されている可撓性の積層体である。以下では、積層体12のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、積層体12のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
線路部12aは、x軸方向に延在している。接続部12bは、線路部12aのx軸方向の負方向側の端部からx軸方向の負方向側に延在する矩形状をなしている。接続部12cは、線路部12aのx軸方向の正方向側の端部からx軸方向の正方向側に延在する矩形状をなしている。接続部12dは、線路部12aのx軸方向の負方向側の端部からy軸方向の負方向側に延在する矩形状をなしている。これにより、接続部12bと接続部12dとは、線路部12aのx軸方向の負方向側の端部から2つに枝分かれした構造をなしている。接続部12eは、線路部12aのx軸方向の正方向側の端部からy軸方向の負方向側に延在した後、x軸方向の正方向側に延在するL字型をなしている。これにより、接続部12cと接続部12eとは、線路部12aのx軸方向の正方向側の端部から2つに枝分かれした構造をなしている。接続部12b〜12eのy軸方向の幅は、線路部12aのy軸方向の幅と等しい。
誘電体シート18a〜18cは、z軸方向から平面視したときに、積層体12と同じ形状をなしている。誘電体シート18a〜18cは、ポリイミド等の可撓性を有する熱可塑性樹脂により構成されている。誘電体シート18a〜18cの積層後の厚さは、例えば、25μm〜200μmである。以下では、誘電体シート18a〜18cのz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、誘電体シート18a〜18cのz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
また、誘電体シート18aは、線路部18a−a及び接続部18a−b〜18a−eにより構成されている。誘電体シート18bは、線路部18b−a及び接続部18b−b〜18b−eにより構成されている。誘電体シート18cは、線路部18c−a及び接続部18c−b〜18c−eにより構成されている。線路部18a−a〜18c−aは、線路部12aを構成している。接続部18a−b,18c−bは、接続部12bを構成している。接続部18a−c,18c−cは、接続部12cを構成している。接続部18a−d,18b−d,18c−dは、接続部12dを構成している。接続部18a−e,18b−e,18c−eは、接続部12eを構成している。
グランド導体22(第1のグランド導体)は、図2に示すように、積層体12に設けられており、より詳細には、誘電体シート18aの表面に設けられている。グランド導体22は、z軸方向から平面視したときに、積層体12と略同じ形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体22は、図2に示すように、線路部22a及び端子部22b〜22eにより構成されている。線路部22aは、線路部18a−aの表面に設けられ、x軸方向に延在する長方形状をなしている。
端子部22bは、図2に示すように、接続部18a−bの表面に設けられており、線路部22aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部22bのx軸方向の負方向側の端部は、四角形の枠状をなしている。端子部22cは、図2に示すように、接続部18a−cの表面に設けられており、線路部22aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。端子部22cのx軸方向の正方向側の端部は、ロ字型をなしている。端子部22dは、図2に示すように、接続部18a−dの表面に設けられており、線路部22aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部22dのy軸方向の負方向側の端部は、ロ字型をなしている。端子部22eは、図2に示すように、接続部18a−eの表面に設けられており、線路部22aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。端子部22eのx軸方向の正方向側の端部は、ロ字型をなしている。
グランド導体24(第2のグランド導体)は、図2に示すように、積層体12においてグランド導体22と異なる層に設けられており、より詳細には、誘電体シート18cの裏面に設けられている。グランド導体24は、z軸方向から平面視したときに、積層体12と略同じ形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体24は、図2に示すように、線路部24a及び端子部24b〜24eにより構成されている。線路部24aは、線路部18c−aの裏面に設けられ、x軸方向に延在する長方形状をなしている。
端子部24bは、図2に示すように、接続部18c−bの裏面に設けられており、線路部24aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部24cは、図2に示すように、接続部18c−cの裏面に設けられており、線路部22aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。端子部24dは、図2に示すように、接続部18c−dの裏面に設けられており、線路部24aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部24eは、図2に示すように、接続部18c−eの裏面に設けられており、線路部24aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
信号線路20は、図2及び図3に示すように、z軸方向において、グランド導体22とグランド導体24との間に設けられており、より詳細には、誘電体シート18bの線路部18b−a及び接続部18b−b,18b−cの表面に設けられている。信号線路20は、線路部18b−aの表面のy軸方向の中央よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に延在している線状導体であり、z軸方向から平面視したときに、グランド導体22,24と重なっている。これにより、信号線路20及びグランド導体22,24は、ストリップライン構造をなしている。信号線路20は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、信号線路20とグランド導体22とのz軸方向における距離D1は、図3に示すように、信号線路20とグランド導体24とのz軸方向における距離D2よりも小さい。距離D1は、誘電体シート18aの厚さと略等しく、距離D2は、誘電体シート18b,18cの厚さの合計と略等しい。
信号線路21は、図2及び図3に示すように、z軸方向において、グランド導体22とグランド導体24との間であって、信号線路20よりもグランド導体24の近くに設けられており、より詳細には、誘電体シート18cの線路部18c−a及び接続部18c−d,18c−eの表面に設けられている。また、信号線路21は、線路部18c−aの表面のy軸方向の中央よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に延在している線状導体であり、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と重なっていない。信号線路21は、図4に示すように、並走領域A1において、z軸方向から平面視したときに、信号線路20に沿って延在している。並走領域A1とは、線路部12aに相当する。また、沿って延在するとは、平行である状態及び平行から僅かに傾いた状態を意味する。ただし、信号線路21は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体22,24と重なっている。これにより、信号線路21及びグランド導体22,24は、ストリップライン構造をなしている。信号線路21は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、信号線路21とグランド導体22とのz軸方向における距離D3は、図3に示すように、信号線路21とグランド導体24とのz軸方向における距離D4よりも大きい。距離D3は、誘電体シート18a,18bの厚さの合計と略等しく、距離D4は、誘電体シート18cの厚さと略等しい。
ここで、グランド導体22には、図4に示すように、長方形状をなす複数の開口30が設けられている。複数の開口30は、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と重なっていると共に、該信号線路20に沿って並ぶように設けられている。そして、グランド導体22において、隣り合う開口30間に設けられている部分をブリッジ部32と呼ぶ。これにより、開口30とブリッジ部32とがx軸方向に交互に並んでいる。信号線路20には、開口30とブリッジ部32とが交互に重なっている。ブリッジ部32は、信号線路20を伝送される高周波信号の1/2波長の半分より短い間隔で、信号線路20に沿って設けられている。
また、グランド導体24には、図4に示すように、長方形状をなす複数の開口31が設けられている。複数の開口31は、z軸方向から平面視したときに、信号線路21と重なっていると共に、該信号線路21に沿って並ぶように設けられている。そして、グランド導体24において、隣り合う開口31間に設けられている部分をブリッジ部33と呼ぶ。これにより、開口31とブリッジ部33とがx軸方向に交互に並んでいる。信号線路21には、開口31とブリッジ部33とが交互に重なっている。ブリッジ部32は、信号線路21を伝送される高周波信号の1/2波長の半分より短い間隔で、信号線路21に沿って設けられている。
外部端子16aは、接続部18a−bの表面に設けられている長方形状の導体であり、端子部22bに囲まれている。外部端子16aは、z軸方向から平面視したときに、信号線路20のx軸方向の負方向側の端部と重なっている。外部端子16aは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、外部端子16aの表面には、金めっきが施されている。
外部端子16bは、接続部18a−cの表面に設けられている長方形状の導体であり、端子部22cに囲まれている。外部端子16bは、z軸方向から平面視したときに、信号線路20のx軸方向の正方向側の端部と重なっている。外部端子16bは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、外部端子16bの表面には、金めっきが施されている。
外部端子16cは、接続部18a−dの表面に設けられている長方形状の導体であり、端子部22dに囲まれている。外部端子16cは、z軸方向から平面視したときに、信号線路21のx軸方向の負方向側の端部と重なっている。外部端子16cは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、外部端子16cの表面には、金めっきが施されている。
外部端子16dは、接続部18a−eの表面に設けられている長方形状の導体であり、端子部22eに囲まれている。外部端子16dは、z軸方向から平面視したときに、信号線路21のx軸方向の正方向側の端部と重なっている。外部端子16dは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、外部端子16dの表面には、金めっきが施されている。
ビアホール導体b1は、誘電体シート18aの接続部18a−bをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b1のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16aに接続されており、ビアホール導体b1のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路20のx軸方向の負方向側の端部と接続されている。
ビアホール導体b2は、誘電体シート18aの接続部18a−cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b2のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16bに接続されており、ビアホール導体b2のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路20のx軸方向の正方向側の端部と接続されている。これにより、信号線路20は、外部端子16a,16b間に接続されている。
ビアホール導体b3は、誘電体シート18aの接続部18a−dをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b4は、誘電体シート18bの接続部18b−dをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b3,b4は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b3のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16cに接続されており、ビアホール導体b4のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路21のx軸方向の負方向側の端部と接続されている。
ビアホール導体b5は、誘電体シート18aの接続部18a−eをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b6は、誘電体シート18bの接続部18b−eをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b5,b6は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b5のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16dに接続されており、ビアホール導体b6のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路21のx軸方向の正方向側の端部と接続されている。
ビアホール導体b7は、誘電体シート18aの線路部18a−a及び接続部18a−b,18a−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b8は、誘電体シート18bの線路部18b−a及び接続部18b−b,18b−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b9は、誘電体シート18cの線路部18c−a及び接続部18c−b,18c−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b7〜b9は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b7のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体22と接続されている。ビアホール導体b9のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体24と接続されている。
ビアホール導体b10は、誘電体シート18aの線路部18a−a及び接続部18a−b,18a−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b11は、誘電体シート18bの線路部18b−a及び接続部18b−b,18b−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b12は、誘電体シート18cの線路部18c−a及び接続部18c−b,18c−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b10〜b12は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b10のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体22と接続されている。ビアホール導体b12のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体24と接続されている。
ビアホール導体b13は、誘電体シート18aの線路部18a−a及び接続部18a−d,18a−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b14は、誘電体シート18bの線路部18b−a及び接続部18b−d,18b−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b15は、誘電体シート18cの線路部18c−a及び接続部18c−d,18c−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b13〜b15は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b13のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体22と接続されている。ビアホール導体b15のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体24と接続されている。
ビアホール導体b16は、誘電体シート18aの線路部18a−a及び接続部18a−d,18a−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b17は、誘電体シート18bの線路部18b−a及び接続部18b−d,18b−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b18は、誘電体シート18cの線路部18c−a及び接続部18c−d,18c−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b16〜b18は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b16のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体22と接続されている。ビアホール導体b18のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体24と接続されている。これにより、グランド導体22とグランド導体24とは、ビアホール導体b7〜b18により接続されている。
ビアホール導体b1〜b18は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。なお、ビアホール導体b1〜b18の代わりに、貫通孔の内周面にめっき等の導体層が形成されたスルーホールが用いられてもよい。
保護層14は、誘電体シート18aの表面の略全面を覆っている。これにより、保護層14は、グランド導体22を覆っている。保護層14は、例えば、レジスト材等の可撓性樹脂からなる。
また、保護層14は、図2に示すように、線路部14a及び接続部14b〜14eにより構成されている。線路部14aは、線路部18a−aの表面の全面を覆うことにより、線路部22aを覆っている。
接続部14bは、線路部14aのx軸方向の負方向側の端部に接続されており、接続部18a−bの表面を覆っている。ただし、接続部14bには、矩形状の開口Haが設けられている。外部端子16a及び端子部22bは、開口Haを介して外部に露出している。端子部22bは、開口Haを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
接続部14cは、線路部14aのx軸方向の正方向側の端部に接続されており、接続部18a−cの表面を覆っている。ただし、接続部14cには、矩形状の開口Hbが設けられている。外部端子16b及び端子部22cは、開口Hbを介して外部に露出している。端子部22cは、開口Hbを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
接続部14dは、線路部14aのx軸方向の負方向側の端部に接続されており、接続部18a−dの表面を覆っている。ただし、接続部14dには、矩形状の開口Hcが設けられている。外部端子16c及び端子部22dは、開口Hcを介して外部に露出している。端子部22dは、開口Hcを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
接続部14eは、線路部14aのx軸方向の正方向側の端部に接続されており、接続部18a−eの表面を覆っている。ただし、接続部14eには、矩形状の開口Hdが設けられている。外部端子16d及び端子部22eは、開口Hdを介して外部に露出している。端子部22eは、開口Hdを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
保護層15は、誘電体シート18cの裏面の略全面を覆っている。これにより、保護層15は、グランド導体24を覆っている。保護層15は、例えば、レジスト材等の可撓性樹脂からなる。
コネクタ100a,100bはそれぞれ、接続部12b,12cの表面上に実装され、信号線路20及びグランド導体22,24と電気的に接続される。また、コネクタ100c,100dはそれぞれ、接続部12d,12eの表面上に実装され、信号線路21及びグランド導体22,24と電気的に接続される。コネクタ100a〜100dの構成は同じであるので、以下にコネクタ100bの構成を例に挙げて説明する。図5は、積層型多芯ケーブル10のコネクタ100bの外観斜視図及び断面構造図である。
コネクタ100bは、図5に示すように、コネクタ本体102、外部端子104,106、中心導体108及び外部導体110により構成されている。コネクタ本体102は、矩形状の板に円筒が連結された形状をなしており、樹脂等の絶縁材料により作製されている。
外部端子104は、コネクタ本体102のz軸方向の負方向側の面において、外部端子16bと対向する位置に設けられている。外部端子106は、コネクタ本体102のz軸方向の負方向側の面において、開口Hbを介して露出している端子部22cに対応する位置に設けられている。
中心導体108は、コネクタ本体102の円筒の中心に設けられており、外部端子104と接続されている。中心導体108は、信号線路20を伝送される高周波信号が入力又は出力する信号端子である。
外部導体110は、コネクタ本体102の円筒に設けられており、外部端子106と接続されている。外部導体110は、接地電位に保たれるグランド端子である。
以上のように構成されたコネクタ100bは、外部端子104が外部端子16bと接続され、外部端子106が端子部22cと接続されるように、接続部12cの表面上に実装される。これにより、信号線路20は、中心導体108に電気的に接続されている。また、グランド導体22,24は、外部導体110に電気的に接続されている。
積層型多芯ケーブル10は、以下に説明するように用いられる。図6は、積層型多芯ケーブル10が用いられた電子機器200をy軸方向及びz軸方向から平面視した図である。
電子機器200は、積層型多芯ケーブル10、回路基板202a〜202d、レセプタクル204a〜204d(レセプタクル204c,204dは図示せず)、バッテリーパック(金属体)206及び筐体210を備えている。
バッテリーパック206は、例えば、リチウムイオン2次電池であり、その表面が金属カバーにより覆われた構造を有している。回路基板202a、バッテリーパック206及び回路基板202bは、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。また、回路基板202cは、回路基板202aのy軸方向の負方向側に設けられている。回路基板202dは、回路基板202dのy軸方向の負方向側に設けられている。
積層体12の表面(より正確には、保護層14)は、バッテリーパック206に対して接触している。そして、積層体12の表面とバッテリーパック206とは、接着剤等により固定されている。
レセプタクル204a〜204dはそれぞれ、回路基板202a〜202dのz軸方向の負方向側の主面上に設けられている。レセプタクル204a〜204dにはそれぞれ、コネクタ100a〜100dが接続される。これにより、コネクタ100a,100bの中心導体108には、回路基板202a,202bとの間を伝送される例えば0.8GHz〜5GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル204a,204bを介して印加される。また、コネクタ100c,100dの中心導体108には、回路基板202c,202dとの間を伝送される例えば0.8GHz〜5GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル204c,204dを介して印加される。また、コネクタ100a〜100dの外部導体110はそれぞれ、回路基板202a〜202dを介して、グランド電位に保たれる。これにより、積層型多芯ケーブル10は、回路基板202aと回路基板202bとの間、及び、回路基板202cと回路基板202dとの間を接続している。
ここで、バッテリーパック206のz軸方向の負方向側の主面とレセプタクル204a〜204dとの間には段差が存在する。よって、積層体12の線路部12aの両端が湾曲させられることによって、コネクタ100a〜100dはそれぞれ、レセプタクル204a〜204dに接続されている。
(高周波信号線路の製造方法)
以下に、積層型多芯ケーブル10の製造方法について図2を参照しながら説明する。以下では、一つの積層型多芯ケーブル10が作製される場合を例にとって説明するが、実際には、大判の誘電体シートが積層及びカットされることにより、同時に複数の積層型多芯ケーブル10が作製される。
まず、表面の全面に銅箔が形成された熱可塑性樹脂からなる誘電体シート18a,18bを準備する。また、表面及び裏面の全面に銅箔が形成された熱可塑性樹脂からなる誘電体シート18cを準備する。誘電体シート18a〜18cの銅箔の表面は、例えば、防錆のための亜鉛鍍金が施されることにより、平滑化されている。銅箔の厚さは、10μm〜20μmである。
次に、フォトリソグラフィ工程により、図2に示す外部端子16a〜16d及びグランド導体22を誘電体シート18aの表面に形成する。具体的には、誘電体シート18aの表面側の銅箔上に、図2に示す外部端子16a〜16d及びグランド導体22と同じ形状のレジストを印刷する。そして、銅箔に対してエッチング処理を施すことにより、レジストにより覆われていない部分の銅箔を除去する。その後、レジストを除去する。これにより、図2に示すような、外部端子16a〜16d及びグランド導体22が誘電体シート18aの表面に形成される。
次に、フォトリソグラフィ工程により、図2に示す信号線路20を誘電体シート18bの表面に形成する。また、フォトリソグラフィ工程により、図2に示す信号線路21を誘電体シート18cの表面に形成する。また、フォトリソグラフィ工程により、図2に示すグランド導体24を誘電体シート18cの裏面に形成する。信号線路20,21及びグランド導体24の形成方法は、外部端子16a〜16d及びグランド導体22の形成方法と同じであるので説明を省略する。
次に、誘電体シート18a〜18cのビアホール導体b1〜b18が形成される位置に対して、裏面側からレーザービームを照射して、貫通孔を形成する。その後、誘電体シート18a〜18cに形成した貫通孔に対して、導電性ペーストを充填する。
次に、誘電体シート18a〜18cをz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に積み重ねる。そして、誘電体シート18a〜18cに対してz軸方向の正方向側及び負方向側から熱及び圧力を加えることにより、誘電体シート18a〜18cを軟化させて圧着・一体化するとともに、貫通孔に充填された導電性ペーストを固化して、図2に示すビアホール導体b1〜b18を形成する。なお、ビアホール導体b1〜b18は必ずしも貫通孔が導体で完全に埋められている必要はなく、例えば貫通孔の内周面のみに沿って導体を形成することによって形成されてもよい。
最後に、樹脂(レジスト)ペーストを塗布することにより、誘電体シート18aの表面及び誘電体シート18cの裏面のそれぞれに保護層14,15を形成する。
(効果)
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10によれば、2本の信号線路20,21間のアイソレーションを確保できる。より詳細には、特許文献1に記載のフレキシブルフラットケーブル500では、平角導体502が同じ層に設けられているので、平角導体502間のアイソレーションを確保しにくいという問題を有している。
そこで、積層型多芯ケーブル10では、信号線路20と信号線路21とが異なる層に設けられている。これにより、積層型多芯ケーブル10における信号線路20と信号線路21との間の距離は、フレキシブルフラットケーブル500における平角導体502間の距離よりも大きくなる。これにより、信号線路20,21間に形成される容量は、平角導体502間に形成される容量よりも小さくなる。これにより、信号線路20,21間においてノイズが伝搬されることが抑制される。その結果、積層型多芯ケーブル10におけるアイソレーションは、フレキシブルフラットケーブル500におけるアイソレーションに比べて確保されるようになる。特に、2本の信号線路20,21が差動伝送用のデジタル信号線路である場合には、信号線路20,21間のクロストークが低減される。
また、積層型多芯ケーブル10によれば、以下の理由によっても、信号線路20,21間のアイソレーションを確保できる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10では、グランド導体22では、開口30は、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と重なっている。そのため、信号線路20とグランド導体22との間には容量が形成されにくくなり、信号線路20が放射したノイズがグランド導体22へと伝搬されにくくなる。これにより、信号線路20が放射したノイズが、グランド導体22を介して信号線路21に伝送されることが抑制される。その結果、積層型多芯ケーブル10では、アイソレーションが更に確保されるようになる。
また、積層型多芯ケーブル10では、グランド導体24では、開口31は、z軸方向から平面視したときに、信号線路21と重なっている。そのため、信号線路21とグランド導体24との間には容量が形成されにくくなり、信号線路21が放射したノイズがグランド導体24へと伝搬されにくくなる。これにより、信号線路21が放射したノイズが、グランド導体24を介して信号線路20に伝送されることが抑制される。その結果、積層型多芯ケーブル10では、アイソレーションが更に確保されるようになる。
また、積層型多芯ケーブル10によれば、積層体12の薄型化を図ることができる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10では、開口30は、グランド導体22に設けられており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と重なっている。これにより、信号線路20とグランド導体22との間に容量が形成されにくくなる。よって、信号線路20とグランド導体22との間に形成される容量を大きくすることなく、信号線路20とグランド導体22との距離D1を小さくすることができる。すなわち、信号線路20の特性インピーダンスを小さくすることなく、信号線路20とグランド導体22とを近づけて、積層体12の薄型化を図ることができる。
また、積層型多芯ケーブル10によれば、積層体12の薄型化を図ることができる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10では、開口31は、グランド導体24に設けられており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21と重なっている。これにより、信号線路21とグランド導体24との間に容量が形成されにくくなる。よって、信号線路21とグランド導体24との間に形成される容量を大きくすることなく、信号線路21とグランド導体24との距離D4を小さくすることができる。すなわち、信号線路21の特性インピーダンスを小さくすることなく、信号線路21とグランド導体24とを近づけて、積層体12の薄型化を図ることができる。また、積層体12の薄型化が図られると、積層型多芯ケーブル10を容易に湾曲させることが可能となる。
以上のように、積層型多芯ケーブル10によれば、信号線路20と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
また、積層型多芯ケーブル10によれば、低い周波数のノイズが信号線路20から発生することを抑制できる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10では、信号線路20は、z軸方向から平面視したときに、開口30とブリッジ部32と交互に重なっている。これにより、開口30と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ1は、ブリッジ部32と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ2よりも小さくなる。これにより、信号線路20の特性インピーダンスは、特性インピーダンスZ1と特性インピーダンスZ2との間を周期的に変動するようになる。その結果、信号線路20では、ブリッジ部32間において短い波長(すなわち、高い周波数)の定在波が発生するようになる。一方、外部端子16a,16b間に長い波長(すなわち、低い周波数)の定在波が発生しにくくなる。以上より、積層型多芯ケーブル10では、低い周波数のノイズが信号線路20から発生することを抑制できる。なお、同様の理由により、積層型多芯ケーブル10では、低い周波数のノイズが信号線路21から発生することを抑制できる。
なお、積層型多芯ケーブル10では、ブリッジ部32間において発生した定在波により高い周波数のノイズが発生する。そこで、ブリッジ部32間の距離を十分に短く設計することによって、信号線路20を伝送される高周波信号の帯域外にノイズの周波数を設定することが可能である。そのためには、ブリッジ部32は、信号線路20を伝送される高周波信号の1/2波長より短い間隔で、信号線路20に沿って設けられていればよい。同様の理由により、ブリッジ部32は、信号線路21を伝送される高周波信号の1/2波長より短い間隔で、信号線路21に沿って設けられていればよい。
また、積層型多芯ケーブル10では、信号線路20の両端の特性インピーダンスZ3は、開口30と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ1とブリッジ部32と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ2との間の大きさであることが好ましい。これにより、信号線路20では、ブリッジ部32間において短い波長の定在波が発生しやすくなり、信号線路20の両端間において長い波長の定在波が発生しにくくなる。その結果、積層型多芯ケーブル10では、低い周波数のノイズの発生がより効果的に抑制される。なお、同様の理由により、信号線路21の両端の特性インピーダンスZ6は、開口31と重なっている部分の信号線路21の特性インピーダンスZ4とブリッジ部33と重なっている部分の信号線路21の特性インピーダンスZ5との間の大きさであることが好ましい。
また、信号線路20,21をペア線として用いられる差動伝送線路として用いた場合には、アイパターンが理想値から外れることを防止できる。
また、信号線路20,21を異なる種類の高周波信号(例えば、GSM(登録商標)900とGSM(登録商標)1800)の線路として用いた場合には、互いのアイソレーションを確保できる。
(第1の変形例)
次に、第1の変形例に係る積層型多芯ケーブル10aについて図面を参照しながら説明する。図7は、第1の変形例に係る積層型多芯ケーブル10aの外観斜視図である。図8は、第1の変形例に係る積層型多芯ケーブル10aの分解斜視図である。
積層型多芯ケーブル10aは、図7及び図8に示すように、x軸方向に延在する長方形状をなしている点において積層型多芯ケーブル10と相違する。すなわち、積層型多芯ケーブル10aでは、枝分かれしていない。
また、積層型多芯ケーブル10aでは、コネクタ100a〜100dの代わりにコネクタ300a,300bが用いられている。コネクタ300a,300bはそれぞれ、接続部12b,12cの表面上に実装され、信号線路20,21及びグランド導体22,24と電気的に接続される。コネクタ300a,300bの構成は同じであるので、以下にコネクタ300bの構成を例に挙げて説明する。図9は、積層型多芯ケーブル10aのコネクタ300bの外観斜視図及び断面構造図である。
コネクタ300bは、図7及び図9に示すように、コネクタ本体302、外部端子304a,304b,306、中心導体308,310及び外部導体312により構成されている。コネクタ本体302は、矩形状の板に円筒が連結された形状をなしており、樹脂等の絶縁材料により作製されている。
外部端子304aは、コネクタ本体302のz軸方向の負方向側の面において、外部端子16bと対向する位置に設けられている。外部端子304bは、コネクタ本体302のz軸方向の負方向側の面において、外部端子16dと対向する位置に設けられている。外部端子306は、コネクタ本体302のz軸方向の負方向側の面において、開口Hbを介して露出している端子部22cに対応する位置に設けられている。
中心導体308は、コネクタ本体302の円筒の中心に設けられており、外部端子304aと接続されている。中心導体308は、信号線路20を伝送される高周波信号が入力又は出力する信号端子である。
中心導体310は、コネクタ本体302の内側の円筒に設けられており、外部端子304bと接続されている。中心導体310は、信号線路21を伝送される高周波信号が入力又は出力する信号端子である。
外部導体312は、コネクタ本体302の外側の円筒の内周面に設けられており、外部端子306と接続されている。外部導体312は、接地電位に保たれるグランド端子である。
以上のように構成されたコネクタ300bは、外部端子304aが外部端子16bと接続され、外部端子304bが外部端子16dと接続され、外部端子306が端子部22cと接続されるように、接続部12cの表面上に実装される。これにより、信号線路20は、中心導体308に電気的に接続されている。また、信号線路21は、中心導体310に接続されている。また、グランド導体22,24は、外部導体312に電気的に接続されている。
積層型多芯ケーブル10aは、以下に説明するように用いられる。図10は、積層型多芯ケーブル10aが用いられた電子機器200をy軸方向及びz軸方向から平面視した図である。
電子機器200は、積層型多芯ケーブル10a、回路基板202a、液晶パネル203、レセプタクル404a,404b、バッテリーパック(金属体)206及び筐体210を備えている。
回路基板202aには、例えば、液晶パネル203を駆動させるための駆動回路が設けられている。バッテリーパック206は、例えば、リチウムイオン2次電池であり、その表面が金属カバーにより覆われた構造を有している。回路基板202a、バッテリーパック206及び液晶パネル203は、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。
積層体12の表面(より正確には、保護層14)は、バッテリーパック206に対して接触している。そして、積層体12の表面とバッテリーパック206とは、接着剤等により固定されている。
レセプタクル404a,404bはそれぞれ、回路基板202a及び液晶パネル203のz軸方向の負方向側の主面上に設けられている。レセプタクル404a,404bにはそれぞれ、コネクタ300a,300bが接続される。これにより、コネクタ300a,300bの中心導体308には、回路基板202aと液晶パネル203との間を伝送される例えば0.8GHz〜5GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル404a,404bを介して印加される。また、コネクタ300a,300bの中心導体310には、回路基板202aと液晶パネル203との間を伝送される例えば0.8GHz〜5GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル404a,404bを介して印加される。これら2つの高周波信号は、位相が180°異なる差動伝送信号である。また、コネクタ300a,300bの外部導体312には、回路基板202a、液晶パネル203及びレセプタクル404a,404bを介して、グランド電位に保たれる。これにより、積層型多芯ケーブル10aは、回路基板202a、液晶パネル203間を接続している。
ここで、バッテリーパック206のz軸方向の負方向側の主面とレセプタクル404a,404bとの間には段差が存在する。よって、積層体12の線路部12aの両端が湾曲させられることによって、コネクタ300a,300bはそれぞれ、レセプタクル404a,404bに接続されている。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10aによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、信号線路20と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10aによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、低い周波数のノイズが信号線路20,21から発生することを抑制できる。
(第2の変形例)
次に、第2の変形例に係る積層型多芯ケーブル10bについて図面を参照しながら説明する。図11は、第2の変形例に係る積層型多芯ケーブル10bの信号線路20,21及びグランド導体22,24を平面視した図である。なお、積層型多芯ケーブル10bの外観斜視図及び分解斜視図については、図1及び図2を援用する。
積層型多芯ケーブル10bは、図11に示すように、開口30,31の形状及び信号線路20,21の形状において積層型多芯ケーブル10と相違する。
まず、開口30,31において、x軸方向の中央部分の領域を領域a1と定義する。開口30,31において、x軸方向の負方向側の端部の領域を領域a2と定義する。開口30,31において、x軸方向の正方向側の端部の領域を領域a3と定義する。領域a1と領域a2との間の領域を領域a4と定義する。領域a1と領域a3との間の領域を領域a5と定義する。
図11に示すように、領域a1における開口30のy軸方向の幅は、幅W1である。また、領域a2,a3における開口30のy軸方向の幅は、幅W1より小さい幅W2である。そして、領域a4において、開口30がx軸方向の正方向側に行くにしたがって広くなるテーパー状をなすことにより、開口30の幅が連続的に増加している。領域a5において、開口30がx軸方向の正方向側に行くにしたがって狭くなるテーパー状をなすことにより、開口30の幅が連続的に減少している。
図11に示すように、領域a1における開口31のy軸方向の幅は、幅W1である。また、領域a2,a3における開口31のy軸方向の幅は、幅W1より小さい幅W2である。そして、領域a4において、開口31がx軸方向の正方向側に行くにしたがって広くなるテーパー状をなすことにより、開口31の幅が連続的に増加している。領域a5において、開口31がx軸方向の正方向側に行くにしたがって狭くなるテーパー状をなすことにより、開口31の幅が連続的に減少している。
また、信号線路20の線幅は、図11に示すように、周期的に変動している。開口30と重なっている部分の信号線路20の線幅W3は、ブリッジ部32と重なっている部分の信号線路20の線幅W4よりも大きい。更に、信号線路20において開口30と重なっている部分のx軸方向の負方向側の端部は、x軸方向の正方向側に行くにしたがって広くなるテーパー状をなしている。これにより、信号線路20の線幅が連続的に増加している。また、信号線路20において開口30と重なっている部分のx軸方向の正方向側の端部は、x軸方向の正方向側に行くにしたがって狭くなるテーパー状をなしている。これにより、信号線路20の線幅が連続的に減少している。
また、信号線路21の線幅は、図11に示すように、周期的に変動している。開口31と重なっている部分の信号線路21の線幅W3は、ブリッジ部33と重なっている部分の信号線路21の線幅W4よりも大きい。更に、信号線路21において開口31と重なっている部分のx軸方向の負方向側の端部は、x軸方向の正方向側に行くにしたがって広くなるテーパー状をなしている。これにより、信号線路21の線幅が連続的に増加している。また、信号線路21において開口31と重なっている部分のx軸方向の正方向側の端部は、x軸方向の正方向側に行くにしたがって狭くなるテーパー状をなしている。これにより、信号線路21の線幅が連続的に減少している。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10bによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、信号線路20と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10bによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、低い周波数のノイズが信号線路20,21から発生することを抑制できる。
また、積層型多芯ケーブル10bによれば、領域a1における開口30,31の幅W1は、領域a2,a3における開口30,31の幅W2よりも大きい。そのため、領域a1において信号線路20,21との間に形成される容量は、領域a2,a3において信号線路20,21との間に形成される容量よりも小さくなる。よって、領域a1における信号線路20,21の特性インピーダンスは、領域a2,a3における信号線路20,21の特性インピーダンスよりも大きくなる。これにより、信号線路20,21の特性インピーダンスは、開口30,31内においてx軸方向の負方向側から正方向側に行くにしたがって増加した後に減少するようになる。よって、信号線路20,21の特性インピーダンスが不連続に大きく変動することが抑制される。その結果、信号線路20,21において高周波信号の反射が発生することが抑制される。
また、積層型多芯ケーブル10bでは、領域a4,a5における開口30の幅は連続的に変化している。これにより、領域a4,a5において、信号線路20とグランド導体22との間の隙間の幅が漸増又は漸減するようになる。同様に、信号線路21とグランド導体24との間の隙間の幅が漸増又は漸減するようになる。よって、信号線路20の周囲に発生する磁束であって、信号線路20とグランド導体22との間の隙間を通過する磁束は、領域a4,a5において漸増又は漸減するようになる。信号線路21の周囲に発生する磁束であって、信号線路21とグランド導体24との間の隙間を通過する磁束は、領域a4,a5において漸増又は漸減するようになる。すなわち、領域a4,a5において、磁界エネルギーが大きく変動することが抑制される。その結果、領域a1と領域a2,a3との境界近傍において、高周波信号の反射が発生することが抑制されるようになる。
また、開口30内では、信号線路20とグランド導体22とが対向していないので、信号線路20とグランド導体22との間に形成される容量は微小である。そのため、信号線路20の線幅を大きくしても、信号線路20とグランド導体22との間に形成される容量が殆ど大きくならず、信号線路20の特性インピーダンスが低下しない。そこで、積層型多芯ケーブル10bでは、z軸方向から平面視したときに、開口30と重なっている部分の信号線路20の線幅W3は、ブリッジ部32と重なっている部分の信号線路20の線幅W4よりも大きい。これにより、信号線路20の抵抗値が小さくなり、積層型多芯ケーブル10bにおける高周波抵抗が低減されるようになる。なお、同様の理由により、信号線路21の抵抗値も小さくなる。
(第3の変形例)
次に、第3の変形例に係る積層型多芯ケーブル10cについて図面を参照しながら説明する。図12は、第3の変形例に係る積層型多芯ケーブル10cの信号線路20,21及びグランド導体22,24を平面視した図である。なお、積層型多芯ケーブル10cの外観斜視図及び分解斜視図については、図1及び図2を援用する。
積層型多芯ケーブル10cでは、y軸方向において開口30,31が一致していない点において積層型多芯ケーブル10と相違する。より詳細には、ブリッジ部32は、x軸方向(信号線路20が延在している方向)において開口31の中央に位置している。また、ブリッジ部33は、x軸方向(信号線路21が延在している方向)において開口30の中央に位置している。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10cによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、信号線路20と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10cによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、低い周波数のノイズが信号線路20,21から発生することを抑制できる。
また、積層型多芯ケーブル10cによれば、以下の理由によっても、アイソレーションの確保が図られる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10cでは、開口30と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ1は、ブリッジ部32と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ2よりも高い。そのため、信号線路20を高周波信号が伝送されると、信号線路20において開口30と重なっている部分は、電圧の振幅が最大となる腹になる。信号線路20においてブリッジ部32と重なっている部分は、電圧の振幅が最小となる節になる。同様の理由により、信号線路21において開口31と重なっている部分は、電圧の振幅が最大となる腹になる。信号線路21においてブリッジ部33と重なっている部分は、電圧の振幅が最小となる節になる。
ここで、積層型多芯ケーブル10cでは、前記の通り、ブリッジ部32は、x軸方向において開口31の中央に位置している。これにより、信号線路20における節と信号線路21における腹とがy軸方向に隣り合うようになる。また、積層型多芯ケーブル10cでは、ブリッジ部33は、x軸方向において開口30の中央に位置している。これにより、信号線路20における腹と信号線路21における節とがy軸方向に隣り合うようになる。信号線路20,21における節では、電位が殆ど変動しない。そのため、信号線路20,21における節での電位の変動は、信号線路20,21における腹での電位の変動に殆ど影響を及ぼさない。また、信号線路20,21における節での電位の変動は、信号線路20,21における腹での電位の変動に殆ど影響を受けない。よって、信号線路20の電位の変動と信号線路21の電位の変動とはお互いに殆ど影響を受けない。その結果、積層型多芯ケーブル10cでは、アイソレーションの確保が図られる。
(第4の変形例)
以下に、第4の変形例に係る積層型多芯ケーブル10dについて図面を参照しながら説明する。図13は、第4の変形例に係る積層型多芯ケーブル10dの外観斜視図である。図14は、第4の変形例に係る積層型多芯ケーブル10dの並走領域A1における分解斜視図である。
積層体12は、図13に示すように、x軸方向に延在しており、x軸方向の正方向側の端部及び負方向側の端部のそれぞれにおいて2つに枝分かれした構造を有している。積層体12は、図14に示すように、保護層14及び誘電体シート(基材層)18a〜18eがz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に積層されて構成されている可撓性の積層体である。以下では、積層体12のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、積層体12のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
誘電体シート18a〜18eは、z軸方向から平面視したときに、積層体12と同じ形状をなしている。誘電体シート18a〜18eは、ポリイミド等の可撓性を有する熱可塑性樹脂により構成されている。誘電体シート18a〜18eの積層後の厚さは、例えば、25μm〜200μmである。以下では、誘電体シート18a〜18eのz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、誘電体シート18a〜18eのz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
グランド導体22(第1のグランド導体)は、図14に示すように、積層体12に設けられており、より詳細には、誘電体シート18aの表面に設けられている。グランド導体22は、z軸方向から平面視したときに、積層体12と略同じ形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
グランド導体24(第2のグランド導体)は、図14に示すように、積層体12においてグランド導体22と異なる層に設けられており、より詳細には、誘電体シート18eの表面に設けられている。グランド導体24は、z軸方向から平面視したときに、積層体12と略同じ形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
信号線路20は、図14に示すように、z軸方向において、グランド導体22とグランド導体24との間に設けられており、より詳細には、誘電体シート18bの表面に設けられている。信号線路20は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体22,24と重なっている。これにより、信号線路20及びグランド導体22,24は、ストリップライン構造をなしている。信号線路20は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
信号線路21は、図14に示すように、z軸方向において、グランド導体22とグランド導体24との間であって、信号線路20よりもグランド導体24の近くに設けられており、より詳細には、誘電体シート18dの表面に設けられている。信号線路21は、z軸方向から平面視したときに、並走領域A1において信号線路20に沿って延在している。ただし、信号線路20と信号線路21とは、並走領域A1のx軸方向の中央において、z軸方向から平面視したときに、交差している。
ここで、グランド導体22には、図14に示すように、長方形状をなす複数の開口30が設けられている。複数の開口30は、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と重なっていると共に、該信号線路20に沿って並ぶように設けられている。
更に、グランド導体22において、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と信号線路21とが交差している部分と重なる位置には、メッシュ部22fが設けられている。同様に、グランド導体24において、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と信号線路21とが交差している部分と重なる位置には、メッシュ部24fが設けられている。メッシュ部22f,24fは、x軸方向に延在する複数の線状導体とy軸方向に延在する複数の線状導体とが網状に配置されて構成されている。
また、積層型多芯ケーブル10dは、グランド導体50を更に備えている。グランド導体50は、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と信号線路21とが交差している部分と重なり、かつ、z軸方向において、信号線路20と信号線路21との間に設けられている。具体的には、グランド導体50は、誘電体シート18cの表面上に設けられている。グランド導体50は、グランド導体22,24とビアホール導体により接続されている。
保護層14は、誘電体シート18aの表面の略全面を覆っている。これにより、保護層14は、グランド導体22を覆っている。保護層14は、例えば、レジスト材等の可撓性樹脂からなる。
積層型多芯ケーブル10dのその他の構成は、積層型多芯ケーブル10の構成と同じであるので説明を省略する。
積層型多芯ケーブル10dは、以下に説明するように用いられる。図15は、積層型多芯ケーブル10dが用いられた電子機器200をz軸方向から平面視した図である。
電子機器200は、積層型多芯ケーブル10d、回路基板202a,202b、バッテリーパック(金属体)206、筐体210及びアンテナ212を備えている。
バッテリーパック206は、例えば、リチウムイオン2次電池であり、その表面が金属カバーにより覆われた構造を有している。回路基板202a、バッテリーパック206及び回路基板202bは、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。また、アンテナ212は、回路基板202aに接続されている。
積層型多芯ケーブル10dは、回路基板202aと回路基板202bとの間を接続している。また、積層体12の表面(より正確には、保護層14)は、バッテリーパック206に対して接触している。そして、積層体12の表面とバッテリーパック206とは、接着剤等により固定されている。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10dによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、信号線路20と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10dによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、低い周波数のノイズが信号線路20,21から発生することを抑制できる。
また、積層型多芯ケーブル10dでは、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と信号線路21とが交差している部分と重なり、かつ、z軸方向において、信号線路20と信号線路21との間にグランド導体50が設けられている。これにより、信号線路20と信号線路21との間におけるアイソレーションの確保を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10dでは、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と信号線路21とが交差している部分と重なる位置には、メッシュ部22f,24fが設けられている。これにより、信号線路20と信号線路21とが交差している部分において、信号線路20,21とメッシュ部22f,24fとの間には容量が形成されにくくなる。よって、かかる部分において信号線路20,21の線幅を大きくすることができる。その結果、信号線路20,21の抵抗値が小さくなり、積層型多芯ケーブル10dにおける高周波抵抗が低減されるようになる。
(第5の変形例)
以下に、第5の変形例に係る積層型多芯ケーブル10eについて図面を参照しながら説明する。図16は、第5の変形例に係る積層型多芯ケーブル10eの接続部12cにおける分解斜視図である。積層型多芯ケーブル10eの外観斜視図は、図14を援用する。
積層型多芯ケーブル10eは、開口30内に浮き導体60が設けられている点において積層型多芯ケーブル10dと相違する。より詳細には、浮き導体60は、誘電体シート18aの表面に設けられており、開口30内に位置している。浮き導体60は、信号線路20,21(信号線路20は図示せず)及びグランド導体22,24とは接続されておらず、浮遊電位に保たれている。浮遊電位とは、信号線路20,21(信号線路20は図示せず)の電位と接地電位との間の電位である。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10eによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、信号線路20(信号線路20は図示せず)と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10eによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、低い周波数のノイズが信号線路20(信号線路20は図示せず)から発生することを抑制できる。
更に、積層型多芯ケーブル10eは、保護層14がバッテリーパック206に接触するように、バッテリーパック206に接着される。よって、グランド導体22は、バッテリーパック206に対向する。そこで、グランド導体22の開口30に浮き導体60が設けられることにより、信号線路20(信号線路20は図示せず)とバッテリーパック206とが開口30を介して対向することを防止している。これにより、開口30からノイズが輻射されることが低減される。その結果、積層体12の材質や間隔が変動しても、信号線路20(信号線路20は図示せず)の高周波特性に変動が生じにくくなる。
(その他の実施形態)
本発明に係る積層型多芯ケーブルは、前記積層型多芯ケーブル10,10a〜10eに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
図17は、その他の実施形態に係る積層型多芯ケーブル10fの断面構造図である。図17に示すように、信号線路20a〜20c及び信号線路21a〜21cが設けられていてもよい。
また、図18は、その他の実施形態に係る積層型多芯ケーブル10gの断面構造図である。図18に示すように、積層型多芯ケーブル10gは、積層型多芯ケーブル10fがz軸方向に2段積み重ねられた構造をなしていてもよい。
なお、積層型多芯ケーブル10,10a〜10eの構成を組み合わせて用いてもよい。
なお、積層型多芯ケーブル10,10a〜10eの並走領域A1の一部において、信号線路20とグランド導体24とが重ならない領域が設けられていてもよい。すなわち、並走領域A1の一部において、信号線路20とグランド導体22とは、マイクロストリップライン構造をなしていてもよい。同様に、積層型多芯ケーブル10,10a〜10eの並走領域A1の一部において、信号線路21とグランド導体22とが重ならない領域が設けられていてもよい。これにより、かかる領域において、積層体12を容易に曲げることが可能となる。
本発明は、積層型多芯ケーブルに有用であり、特に、アイソレーションを確保できる点において優れている。
10,10a〜10e 積層型多芯ケーブル
12 積層体
14,15 保護層
16a〜16d 外部端子
18a〜18e 誘電体シート
20,21 信号線路
22,24 グランド導体
30,31 開口
32,33 ブリッジ部
本発明は、高周波信号線路に関し、より特定的には、高周波信号の伝送に用いられる複数の信号線を備えた高周波信号線路に関する。
従来の高周波信号線路としては、例えば、特許文献1に記載のフレキシブルフラットケーブルが知られている。図19は、特許文献1に記載のフレキシブルフラットケーブル500の断面構造図である。
フレキシブルフラットケーブル500は、図19に示すように、平角導体502、絶縁性接着シート504a,504b及び金属薄膜506a,506bを備えている。
平角導体502は、同じ層に等間隔に複数並べて設けられている。平角導体502は、上下方向から絶縁性接着シート504a,504bにより挟まれている。また、絶縁性接着シート504aの上層には金属薄膜506aが設けられている。絶縁性接着シート504bの下層には金属薄膜506bが設けられている。以上のようなフレキシブルフラットケーブル500は、複数のストリップラインが並んだ構造を有している。
しかしながら、特許文献1に記載のフレキシブルフラットケーブル500は、平角導体502同士が近接しているので、平角導体502間のアイソレーションを確保しにくいという問題を有している。
そこで、本発明の目的は、複数の信号線路間のアイソレーションを確保できる高周波信号線路を提供することである。
本発明の一形態に係る高周波信号線路は、複数の基材層が積層されて構成されている積層体と、前記積層体に設けられている第1のグランド導体と、前記積層体において前記第1のグランド導体と異なる層に設けられている第2のグランド導体と、積層方向において、前記第1のグランド導体と前記第2のグランド導体との間において、該第2のグランド導体よりも該第1のグランド導体の近くに設けられている第1の信号線路と、積層方向において、前記第1のグランド導体と前記第2のグランド導体との間であって、前記第1の信号線路よりも該第2のグランド導体の近くに設けられている第2の信号線路であって、所定領域の少なくとも一部において、積層方向から平面視したときに、該第1の信号線路に沿って延在している第2の信号線路と、を備えており、前記第1の信号線路、前記第1のグランド導体及び前記第2のグランド導体は、ストリップライン構造をなしており、前記第2の信号線路、前記第1のグランド導体及び前記第2のグランド導体は、ストリップライン構造をなしており、前記第1のグランド導体には、前記所定領域において、積層方向から平面視したときに、前記第1の信号線路と重なる第1の開口が設けられていること、を特徴とする。
本発明によれば、複数の信号線路間のアイソレーションを確保できる。
一実施形態に係る積層型多芯ケーブルの外観斜視図である。
一実施形態に係る積層型多芯ケーブルの分解斜視図である。
図1の積層型多芯ケーブルのX−Xにおける断面構造図である。
図1の積層型多芯ケーブルの信号線路及びグランド導体を平面視した図である。
積層型多芯ケーブルのコネクタの外観斜視図及び断面構造図である。
積層型多芯ケーブルが用いられた電子機器をy軸方向及びz軸方向から平面視した図である。
第1の変形例に係る積層型多芯ケーブルの外観斜視図である。
第1の変形例に係る積層型多芯ケーブルの分解斜視図である。
積層型多芯ケーブルのコネクタの外観斜視図及び断面構造図である。
積層型多芯ケーブルが用いられた電子機器をy軸方向及びz軸方向から平面視した図である。
第2の変形例に係る積層型多芯ケーブルの信号線路及びグランド導体を平面視した図である。
第3の変形例に係る積層型多芯ケーブルの信号線路及びグランド導体を平面視した図である。
第4の変形例に係る積層型多芯ケーブルの外観斜視図である。
第4の変形例に係る積層型多芯ケーブルの並走領域における分解斜視図である。
積層型多芯ケーブルが用いられた電子機器をz軸方向から平面視した図である。
第5の変形例に係る積層型多芯ケーブルの接続部における分解斜視図である。
その他の実施形態に係る積層型多芯ケーブルの断面構造図である。
その他の実施形態に係る積層型多芯ケーブルの断面構造図である。
特許文献1に記載のフレキシブルフラットケーブルの断面構造図である。
以下に、本発明の実施形態に係る高周波信号線路について図面を参照しながら説明する。
(積層型多芯ケーブルの構成)
以下に、本発明の一実施形態に係る積層型多芯ケーブルの構成について図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る積層型多芯ケーブル10の外観斜視図である。図2は、一実施形態に係る積層型多芯ケーブル10の分解斜視図である。図3は、図1の積層型多芯ケーブル10のX−Xにおける断面構造図である。図4は、図1の積層型多芯ケーブル10の信号線路20,21及びグランド導体22,24を平面視した図である。図1ないし図4において、積層型多芯ケーブル10の積層方向をz軸方向と定義する。また、積層型多芯ケーブル10の長手方向をx軸方向と定義し、x軸方向及びz軸方向に直交する方向をy軸方向と定義する。
積層型多芯ケーブル10は、図1及び図2に示すように、積層体12、外部端子16a〜16d,信号線路20,21、グランド導体22,24、コネクタ100a,100b及びビアホール導体b1〜b18を備えている。
積層体12は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在しており、線路部12a及び接続部12b〜12eを含んでいる。積層体12は、図2に示すように、保護層14、誘電体シート(基材層)18a〜18c及び保護層15がz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に積層されて構成されている可撓性の積層体である。以下では、積層体12のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、積層体12のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
線路部12aは、x軸方向に延在している。接続部12bは、線路部12aのx軸方向の負方向側の端部からx軸方向の負方向側に延在する矩形状をなしている。接続部12cは、線路部12aのx軸方向の正方向側の端部からx軸方向の正方向側に延在する矩形状をなしている。接続部12dは、線路部12aのx軸方向の負方向側の端部からy軸方向の負方向側に延在する矩形状をなしている。これにより、接続部12bと接続部12dとは、線路部12aのx軸方向の負方向側の端部から2つに枝分かれした構造をなしている。接続部12eは、線路部12aのx軸方向の正方向側の端部からy軸方向の負方向側に延在した後、x軸方向の正方向側に延在するL字型をなしている。これにより、接続部12cと接続部12eとは、線路部12aのx軸方向の正方向側の端部から2つに枝分かれした構造をなしている。接続部12b〜12eのy軸方向の幅は、線路部12aのy軸方向の幅と等しい。
誘電体シート18a〜18cは、z軸方向から平面視したときに、積層体12と同じ形状をなしている。誘電体シート18a〜18cは、ポリイミド等の可撓性を有する熱可塑性樹脂により構成されている。誘電体シート18a〜18cの積層後の厚さは、例えば、25μm〜200μmである。以下では、誘電体シート18a〜18cのz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、誘電体シート18a〜18cのz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
また、誘電体シート18aは、線路部18a−a及び接続部18a−b〜18a−eにより構成されている。誘電体シート18bは、線路部18b−a及び接続部18b−b〜18b−eにより構成されている。誘電体シート18cは、線路部18c−a及び接続部18c−b〜18c−eにより構成されている。線路部18a−a〜18c−aは、線路部12aを構成している。接続部18a−b,18c−bは、接続部12bを構成している。接続部18a−c,18c−cは、接続部12cを構成している。接続部18a−d,18b−d,18c−dは、接続部12dを構成している。接続部18a−e,18b−e,18c−eは、接続部12eを構成している。
グランド導体22(第1のグランド導体)は、図2に示すように、積層体12に設けられており、より詳細には、誘電体シート18aの表面に設けられている。グランド導体22は、z軸方向から平面視したときに、積層体12と略同じ形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体22は、図2に示すように、線路部22a及び端子部22b〜22eにより構成されている。線路部22aは、線路部18a−aの表面に設けられ、x軸方向に延在する長方形状をなしている。
端子部22bは、図2に示すように、接続部18a−bの表面に設けられており、線路部22aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部22bのx軸方向の負方向側の端部は、四角形の枠状をなしている。端子部22cは、図2に示すように、接続部18a−cの表面に設けられており、線路部22aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。端子部22cのx軸方向の正方向側の端部は、ロ字型をなしている。端子部22dは、図2に示すように、接続部18a−dの表面に設けられており、線路部22aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部22dのy軸方向の負方向側の端部は、ロ字型をなしている。端子部22eは、図2に示すように、接続部18a−eの表面に設けられており、線路部22aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。端子部22eのx軸方向の正方向側の端部は、ロ字型をなしている。
グランド導体24(第2のグランド導体)は、図2に示すように、積層体12においてグランド導体22と異なる層に設けられており、より詳細には、誘電体シート18cの裏面に設けられている。グランド導体24は、z軸方向から平面視したときに、積層体12と略同じ形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体24は、図2に示すように、線路部24a及び端子部24b〜24eにより構成されている。線路部24aは、線路部18c−aの裏面に設けられ、x軸方向に延在する長方形状をなしている。
端子部24bは、図2に示すように、接続部18c−bの裏面に設けられており、線路部24aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部24cは、図2に示すように、接続部18c−cの裏面に設けられており、線路部22aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。端子部24dは、図2に示すように、接続部18c−dの裏面に設けられており、線路部24aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部24eは、図2に示すように、接続部18c−eの裏面に設けられており、線路部24aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
信号線路20は、図2及び図3に示すように、z軸方向において、グランド導体22とグランド導体24との間に設けられており、より詳細には、誘電体シート18bの線路部18b−a及び接続部18b−b,18b−cの表面に設けられている。信号線路20は、線路部18b−aの表面のy軸方向の中央よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に延在している線状導体であり、z軸方向から平面視したときに、グランド導体22,24と重なっている。これにより、信号線路20及びグランド導体22,24は、ストリップライン構造をなしている。信号線路20は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、信号線路20とグランド導体22とのz軸方向における距離D1は、図3に示すように、信号線路20とグランド導体24とのz軸方向における距離D2よりも小さい。距離D1は、誘電体シート18aの厚さと略等しく、距離D2は、誘電体シート18b,18cの厚さの合計と略等しい。
信号線路21は、図2及び図3に示すように、z軸方向において、グランド導体22とグランド導体24との間であって、信号線路20よりもグランド導体24の近くに設けられており、より詳細には、誘電体シート18cの線路部18c−a及び接続部18c−d,18c−eの表面に設けられている。また、信号線路21は、線路部18c−aの表面のy軸方向の中央よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に延在している線状導体であり、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と重なっていない。信号線路21は、図4に示すように、並走領域A1において、z軸方向から平面視したときに、信号線路20に沿って延在している。並走領域A1とは、線路部12aに相当する。また、沿って延在するとは、平行である状態及び平行から僅かに傾いた状態を意味する。ただし、信号線路21は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体22,24と重なっている。これにより、信号線路21及びグランド導体22,24は、ストリップライン構造をなしている。信号線路21は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、信号線路21とグランド導体22とのz軸方向における距離D3は、図3に示すように、信号線路21とグランド導体24とのz軸方向における距離D4よりも大きい。距離D3は、誘電体シート18a,18bの厚さの合計と略等しく、距離D4は、誘電体シート18cの厚さと略等しい。
ここで、グランド導体22には、図4に示すように、長方形状をなす複数の開口30が設けられている。複数の開口30は、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と重なっていると共に、該信号線路20に沿って並ぶように設けられている。そして、グランド導体22において、隣り合う開口30間に設けられている部分をブリッジ部32と呼ぶ。これにより、開口30とブリッジ部32とがx軸方向に交互に並んでいる。信号線路20には、開口30とブリッジ部32とが交互に重なっている。ブリッジ部32は、信号線路20を伝送される高周波信号の1/2波長の半分より短い間隔で、信号線路20に沿って設けられている。
また、グランド導体24には、図4に示すように、長方形状をなす複数の開口31が設けられている。複数の開口31は、z軸方向から平面視したときに、信号線路21と重なっていると共に、該信号線路21に沿って並ぶように設けられている。そして、グランド導体24において、隣り合う開口31間に設けられている部分をブリッジ部33と呼ぶ。これにより、開口31とブリッジ部33とがx軸方向に交互に並んでいる。信号線路21には、開口31とブリッジ部33とが交互に重なっている。ブリッジ部32は、信号線路21を伝送される高周波信号の1/2波長の半分より短い間隔で、信号線路21に沿って設けられている。
外部端子16aは、接続部18a−bの表面に設けられている長方形状の導体であり、端子部22bに囲まれている。外部端子16aは、z軸方向から平面視したときに、信号線路20のx軸方向の負方向側の端部と重なっている。外部端子16aは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、外部端子16aの表面には、金めっきが施されている。
外部端子16bは、接続部18a−cの表面に設けられている長方形状の導体であり、端子部22cに囲まれている。外部端子16bは、z軸方向から平面視したときに、信号線路20のx軸方向の正方向側の端部と重なっている。外部端子16bは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、外部端子16bの表面には、金めっきが施されている。
外部端子16cは、接続部18a−dの表面に設けられている長方形状の導体であり、端子部22dに囲まれている。外部端子16cは、z軸方向から平面視したときに、信号線路21のx軸方向の負方向側の端部と重なっている。外部端子16cは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、外部端子16cの表面には、金めっきが施されている。
外部端子16dは、接続部18a−eの表面に設けられている長方形状の導体であり、端子部22eに囲まれている。外部端子16dは、z軸方向から平面視したときに、信号線路21のx軸方向の正方向側の端部と重なっている。外部端子16dは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、外部端子16dの表面には、金めっきが施されている。
ビアホール導体b1は、誘電体シート18aの接続部18a−bをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b1のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16aに接続されており、ビアホール導体b1のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路20のx軸方向の負方向側の端部と接続されている。
ビアホール導体b2は、誘電体シート18aの接続部18a−cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b2のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16bに接続されており、ビアホール導体b2のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路20のx軸方向の正方向側の端部と接続されている。これにより、信号線路20は、外部端子16a,16b間に接続されている。
ビアホール導体b3は、誘電体シート18aの接続部18a−dをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b4は、誘電体シート18bの接続部18b−dをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b3,b4は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b3のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16cに接続されており、ビアホール導体b4のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路21のx軸方向の負方向側の端部と接続されている。
ビアホール導体b5は、誘電体シート18aの接続部18a−eをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b6は、誘電体シート18bの接続部18b−eをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b5,b6は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b5のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16dに接続されており、ビアホール導体b6のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路21のx軸方向の正方向側の端部と接続されている。
ビアホール導体b7は、誘電体シート18aの線路部18a−a及び接続部18a−b,18a−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b8は、誘電体シート18bの線路部18b−a及び接続部18b−b,18b−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b9は、誘電体シート18cの線路部18c−a及び接続部18c−b,18c−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b7〜b9は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b7のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体22と接続されている。ビアホール導体b9のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体24と接続されている。
ビアホール導体b10は、誘電体シート18aの線路部18a−a及び接続部18a−b,18a−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b11は、誘電体シート18bの線路部18b−a及び接続部18b−b,18b−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b12は、誘電体シート18cの線路部18c−a及び接続部18c−b,18c−cをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b10〜b12は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b10のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体22と接続されている。ビアホール導体b12のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体24と接続されている。
ビアホール導体b13は、誘電体シート18aの線路部18a−a及び接続部18a−d,18a−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b14は、誘電体シート18bの線路部18b−a及び接続部18b−d,18b−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b15は、誘電体シート18cの線路部18c−a及び接続部18c−d,18c−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b13〜b15は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b13のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体22と接続されている。ビアホール導体b15のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体24と接続されている。
ビアホール導体b16は、誘電体シート18aの線路部18a−a及び接続部18a−d,18a−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b17は、誘電体シート18bの線路部18b−a及び接続部18b−d,18b−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b18は、誘電体シート18cの線路部18c−a及び接続部18c−d,18c−eをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b16〜b18は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b16のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体22と接続されている。ビアホール導体b18のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体24と接続されている。これにより、グランド導体22とグランド導体24とは、ビアホール導体b7〜b18により接続されている。
ビアホール導体b1〜b18は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。なお、ビアホール導体b1〜b18の代わりに、貫通孔の内周面にめっき等の導体層が形成されたスルーホールが用いられてもよい。
保護層14は、誘電体シート18aの表面の略全面を覆っている。これにより、保護層14は、グランド導体22を覆っている。保護層14は、例えば、レジスト材等の可撓性樹脂からなる。
また、保護層14は、図2に示すように、線路部14a及び接続部14b〜14eにより構成されている。線路部14aは、線路部18a−aの表面の全面を覆うことにより、線路部22aを覆っている。
接続部14bは、線路部14aのx軸方向の負方向側の端部に接続されており、接続部18a−bの表面を覆っている。ただし、接続部14bには、矩形状の開口Haが設けられている。外部端子16a及び端子部22bは、開口Haを介して外部に露出している。端子部22bは、開口Haを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
接続部14cは、線路部14aのx軸方向の正方向側の端部に接続されており、接続部18a−cの表面を覆っている。ただし、接続部14cには、矩形状の開口Hbが設けられている。外部端子16b及び端子部22cは、開口Hbを介して外部に露出している。端子部22cは、開口Hbを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
接続部14dは、線路部14aのx軸方向の負方向側の端部に接続されており、接続部18a−dの表面を覆っている。ただし、接続部14dには、矩形状の開口Hcが設けられている。外部端子16c及び端子部22dは、開口Hcを介して外部に露出している。端子部22dは、開口Hcを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
接続部14eは、線路部14aのx軸方向の正方向側の端部に接続されており、接続部18a−eの表面を覆っている。ただし、接続部14eには、矩形状の開口Hdが設けられている。外部端子16d及び端子部22eは、開口Hdを介して外部に露出している。端子部22eは、開口Hdを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
保護層15は、誘電体シート18cの裏面の略全面を覆っている。これにより、保護層15は、グランド導体24を覆っている。保護層15は、例えば、レジスト材等の可撓性樹脂からなる。
コネクタ100a,100bはそれぞれ、接続部12b,12cの表面上に実装され、信号線路20及びグランド導体22,24と電気的に接続される。また、コネクタ100c,100dはそれぞれ、接続部12d,12eの表面上に実装され、信号線路21及びグランド導体22,24と電気的に接続される。コネクタ100a〜100dの構成は同じであるので、以下にコネクタ100bの構成を例に挙げて説明する。図5は、積層型多芯ケーブル10のコネクタ100bの外観斜視図及び断面構造図である。
コネクタ100bは、図5に示すように、コネクタ本体102、外部端子104,106、中心導体108及び外部導体110により構成されている。コネクタ本体102は、矩形状の板に円筒が連結された形状をなしており、樹脂等の絶縁材料により作製されている。
外部端子104は、コネクタ本体102のz軸方向の負方向側の面において、外部端子16bと対向する位置に設けられている。外部端子106は、コネクタ本体102のz軸方向の負方向側の面において、開口Hbを介して露出している端子部22cに対応する位置に設けられている。
中心導体108は、コネクタ本体102の円筒の中心に設けられており、外部端子104と接続されている。中心導体108は、信号線路20を伝送される高周波信号が入力又は出力する信号端子である。
外部導体110は、コネクタ本体102の円筒に設けられており、外部端子106と接続されている。外部導体110は、接地電位に保たれるグランド端子である。
以上のように構成されたコネクタ100bは、外部端子104が外部端子16bと接続され、外部端子106が端子部22cと接続されるように、接続部12cの表面上に実装される。これにより、信号線路20は、中心導体108に電気的に接続されている。また、グランド導体22,24は、外部導体110に電気的に接続されている。
積層型多芯ケーブル10は、以下に説明するように用いられる。図6は、積層型多芯ケーブル10が用いられた電子機器200をy軸方向及びz軸方向から平面視した図である。
電子機器200は、積層型多芯ケーブル10、回路基板202a〜202d、レセプタクル204a〜204d(レセプタクル204c,204dは図示せず)、バッテリーパック(金属体)206及び筐体210を備えている。
バッテリーパック206は、例えば、リチウムイオン2次電池であり、その表面が金属カバーにより覆われた構造を有している。回路基板202a、バッテリーパック206及び回路基板202bは、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。また、回路基板202cは、回路基板202aのy軸方向の負方向側に設けられている。回路基板202dは、回路基板202dのy軸方向の負方向側に設けられている。
積層体12の表面(より正確には、保護層14)は、バッテリーパック206に対して接触している。そして、積層体12の表面とバッテリーパック206とは、接着剤等により固定されている。
レセプタクル204a〜204dはそれぞれ、回路基板202a〜202dのz軸方向の負方向側の主面上に設けられている。レセプタクル204a〜204dにはそれぞれ、コネクタ100a〜100dが接続される。これにより、コネクタ100a,100bの中心導体108には、回路基板202a,202bとの間を伝送される例えば0.8GHz〜5GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル204a,204bを介して印加される。また、コネクタ100c,100dの中心導体108には、回路基板202c,202dとの間を伝送される例えば0.8GHz〜5GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル204c,204dを介して印加される。また、コネクタ100a〜100dの外部導体110はそれぞれ、回路基板202a〜202dを介して、グランド電位に保たれる。これにより、積層型多芯ケーブル10は、回路基板202aと回路基板202bとの間、及び、回路基板202cと回路基板202dとの間を接続している。
ここで、バッテリーパック206のz軸方向の負方向側の主面とレセプタクル204a〜204dとの間には段差が存在する。よって、積層体12の線路部12aの両端が湾曲させられることによって、コネクタ100a〜100dはそれぞれ、レセプタクル204a〜204dに接続されている。
(高周波信号線路の製造方法)
以下に、積層型多芯ケーブル10の製造方法について図2を参照しながら説明する。以下では、一つの積層型多芯ケーブル10が作製される場合を例にとって説明するが、実際には、大判の誘電体シートが積層及びカットされることにより、同時に複数の積層型多芯ケーブル10が作製される。
まず、表面の全面に銅箔が形成された熱可塑性樹脂からなる誘電体シート18a,18bを準備する。また、表面及び裏面の全面に銅箔が形成された熱可塑性樹脂からなる誘電体シート18cを準備する。誘電体シート18a〜18cの銅箔の表面は、例えば、防錆のための亜鉛鍍金が施されることにより、平滑化されている。銅箔の厚さは、10μm〜20μmである。
次に、フォトリソグラフィ工程により、図2に示す外部端子16a〜16d及びグランド導体22を誘電体シート18aの表面に形成する。具体的には、誘電体シート18aの表面側の銅箔上に、図2に示す外部端子16a〜16d及びグランド導体22と同じ形状のレジストを印刷する。そして、銅箔に対してエッチング処理を施すことにより、レジストにより覆われていない部分の銅箔を除去する。その後、レジストを除去する。これにより、図2に示すような、外部端子16a〜16d及びグランド導体22が誘電体シート18aの表面に形成される。
次に、フォトリソグラフィ工程により、図2に示す信号線路20を誘電体シート18bの表面に形成する。また、フォトリソグラフィ工程により、図2に示す信号線路21を誘電体シート18cの表面に形成する。また、フォトリソグラフィ工程により、図2に示すグランド導体24を誘電体シート18cの裏面に形成する。信号線路20,21及びグランド導体24の形成方法は、外部端子16a〜16d及びグランド導体22の形成方法と同じであるので説明を省略する。
次に、誘電体シート18a〜18cのビアホール導体b1〜b18が形成される位置に対して、裏面側からレーザービームを照射して、貫通孔を形成する。その後、誘電体シート18a〜18cに形成した貫通孔に対して、導電性ペーストを充填する。
次に、誘電体シート18a〜18cをz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に積み重ねる。そして、誘電体シート18a〜18cに対してz軸方向の正方向側及び負方向側から熱及び圧力を加えることにより、誘電体シート18a〜18cを軟化させて圧着・一体化するとともに、貫通孔に充填された導電性ペーストを固化して、図2に示すビアホール導体b1〜b18を形成する。なお、ビアホール導体b1〜b18は必ずしも貫通孔が導体で完全に埋められている必要はなく、例えば貫通孔の内周面のみに沿って導体を形成することによって形成されてもよい。
最後に、樹脂(レジスト)ペーストを塗布することにより、誘電体シート18aの表面及び誘電体シート18cの裏面のそれぞれに保護層14,15を形成する。
(効果)
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10によれば、2本の信号線路20,21間のアイソレーションを確保できる。より詳細には、特許文献1に記載のフレキシブルフラットケーブル500では、平角導体502が同じ層に設けられているので、平角導体502間のアイソレーションを確保しにくいという問題を有している。
そこで、積層型多芯ケーブル10では、信号線路20と信号線路21とが異なる層に設けられている。これにより、積層型多芯ケーブル10における信号線路20と信号線路21との間の距離は、フレキシブルフラットケーブル500における平角導体502間の距離よりも大きくなる。これにより、信号線路20,21間に形成される容量は、平角導体502間に形成される容量よりも小さくなる。これにより、信号線路20,21間においてノイズが伝搬されることが抑制される。その結果、積層型多芯ケーブル10におけるアイソレーションは、フレキシブルフラットケーブル500におけるアイソレーションに比べて確保されるようになる。特に、2本の信号線路20,21が差動伝送用のデジタル信号線路である場合には、信号線路20,21間のクロストークが低減される。
また、積層型多芯ケーブル10によれば、以下の理由によっても、信号線路20,21間のアイソレーションを確保できる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10では、グランド導体22では、開口30は、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と重なっている。そのため、信号線路20とグランド導体22との間には容量が形成されにくくなり、信号線路20が放射したノイズがグランド導体22へと伝搬されにくくなる。これにより、信号線路20が放射したノイズが、グランド導体22を介して信号線路21に伝送されることが抑制される。その結果、積層型多芯ケーブル10では、アイソレーションが更に確保されるようになる。
また、積層型多芯ケーブル10では、グランド導体24では、開口31は、z軸方向から平面視したときに、信号線路21と重なっている。そのため、信号線路21とグランド導体24との間には容量が形成されにくくなり、信号線路21が放射したノイズがグランド導体24へと伝搬されにくくなる。これにより、信号線路21が放射したノイズが、グランド導体24を介して信号線路20に伝送されることが抑制される。その結果、積層型多芯ケーブル10では、アイソレーションが更に確保されるようになる。
また、積層型多芯ケーブル10によれば、積層体12の薄型化を図ることができる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10では、開口30は、グランド導体22に設けられており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と重なっている。これにより、信号線路20とグランド導体22との間に容量が形成されにくくなる。よって、信号線路20とグランド導体22との間に形成される容量を大きくすることなく、信号線路20とグランド導体22との距離D1を小さくすることができる。すなわち、信号線路20の特性インピーダンスを小さくすることなく、信号線路20とグランド導体22とを近づけて、積層体12の薄型化を図ることができる。
また、積層型多芯ケーブル10によれば、積層体12の薄型化を図ることができる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10では、開口31は、グランド導体24に設けられており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21と重なっている。これにより、信号線路21とグランド導体24との間に容量が形成されにくくなる。よって、信号線路21とグランド導体24との間に形成される容量を大きくすることなく、信号線路21とグランド導体24との距離D4を小さくすることができる。すなわち、信号線路21の特性インピーダンスを小さくすることなく、信号線路21とグランド導体24とを近づけて、積層体12の薄型化を図ることができる。また、積層体12の薄型化が図られると、積層型多芯ケーブル10を容易に湾曲させることが可能となる。
以上のように、積層型多芯ケーブル10によれば、信号線路20と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
また、積層型多芯ケーブル10によれば、低い周波数のノイズが信号線路20から発生することを抑制できる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10では、信号線路20は、z軸方向から平面視したときに、開口30とブリッジ部32と交互に重なっている。これにより、開口30と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ1は、ブリッジ部32と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ2よりも小さくなる。これにより、信号線路20の特性インピーダンスは、特性インピーダンスZ1と特性インピーダンスZ2との間を周期的に変動するようになる。その結果、信号線路20では、ブリッジ部32間において短い波長(すなわち、高い周波数)の定在波が発生するようになる。一方、外部端子16a,16b間に長い波長(すなわち、低い周波数)の定在波が発生しにくくなる。以上より、積層型多芯ケーブル10では、低い周波数のノイズが信号線路20から発生することを抑制できる。なお、同様の理由により、積層型多芯ケーブル10では、低い周波数のノイズが信号線路21から発生することを抑制できる。
なお、積層型多芯ケーブル10では、ブリッジ部32間において発生した定在波により高い周波数のノイズが発生する。そこで、ブリッジ部32間の距離を十分に短く設計することによって、信号線路20を伝送される高周波信号の帯域外にノイズの周波数を設定することが可能である。そのためには、ブリッジ部32は、信号線路20を伝送される高周波信号の1/2波長より短い間隔で、信号線路20に沿って設けられていればよい。同様の理由により、ブリッジ部32は、信号線路21を伝送される高周波信号の1/2波長より短い間隔で、信号線路21に沿って設けられていればよい。
また、積層型多芯ケーブル10では、信号線路20の両端の特性インピーダンスZ3は、開口30と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ1とブリッジ部32と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ2との間の大きさであることが好ましい。これにより、信号線路20では、ブリッジ部32間において短い波長の定在波が発生しやすくなり、信号線路20の両端間において長い波長の定在波が発生しにくくなる。その結果、積層型多芯ケーブル10では、低い周波数のノイズの発生がより効果的に抑制される。なお、同様の理由により、信号線路21の両端の特性インピーダンスZ6は、開口31と重なっている部分の信号線路21の特性インピーダンスZ4とブリッジ部33と重なっている部分の信号線路21の特性インピーダンスZ5との間の大きさであることが好ましい。
また、信号線路20,21をペア線として用いられる差動伝送線路として用いた場合には、アイパターンが理想値から外れることを防止できる。
また、信号線路20,21を異なる種類の高周波信号(例えば、GSM(登録商標)900とGSM(登録商標)1800)の線路として用いた場合には、互いのアイソレーションを確保できる。
(第1の変形例)
次に、第1の変形例に係る積層型多芯ケーブル10aについて図面を参照しながら説明する。図7は、第1の変形例に係る積層型多芯ケーブル10aの外観斜視図である。図8は、第1の変形例に係る積層型多芯ケーブル10aの分解斜視図である。
積層型多芯ケーブル10aは、図7及び図8に示すように、x軸方向に延在する長方形状をなしている点において積層型多芯ケーブル10と相違する。すなわち、積層型多芯ケーブル10aでは、枝分かれしていない。
また、積層型多芯ケーブル10aでは、コネクタ100a〜100dの代わりにコネクタ300a,300bが用いられている。コネクタ300a,300bはそれぞれ、接続部12b,12cの表面上に実装され、信号線路20,21及びグランド導体22,24と電気的に接続される。コネクタ300a,300bの構成は同じであるので、以下にコネクタ300bの構成を例に挙げて説明する。図9は、積層型多芯ケーブル10aのコネクタ300bの外観斜視図及び断面構造図である。
コネクタ300bは、図7及び図9に示すように、コネクタ本体302、外部端子304a,304b,306、中心導体308,310及び外部導体312により構成されている。コネクタ本体302は、矩形状の板に円筒が連結された形状をなしており、樹脂等の絶縁材料により作製されている。
外部端子304aは、コネクタ本体302のz軸方向の負方向側の面において、外部端子16bと対向する位置に設けられている。外部端子304bは、コネクタ本体302のz軸方向の負方向側の面において、外部端子16dと対向する位置に設けられている。外部端子306は、コネクタ本体302のz軸方向の負方向側の面において、開口Hbを介して露出している端子部22cに対応する位置に設けられている。
中心導体308は、コネクタ本体302の円筒の中心に設けられており、外部端子304aと接続されている。中心導体308は、信号線路20を伝送される高周波信号が入力又は出力する信号端子である。
中心導体310は、コネクタ本体302の内側の円筒に設けられており、外部端子304bと接続されている。中心導体310は、信号線路21を伝送される高周波信号が入力又は出力する信号端子である。
外部導体312は、コネクタ本体302の外側の円筒の内周面に設けられており、外部端子306と接続されている。外部導体312は、接地電位に保たれるグランド端子である。
以上のように構成されたコネクタ300bは、外部端子304aが外部端子16bと接続され、外部端子304bが外部端子16dと接続され、外部端子306が端子部22cと接続されるように、接続部12cの表面上に実装される。これにより、信号線路20は、中心導体308に電気的に接続されている。また、信号線路21は、中心導体310に接続されている。また、グランド導体22,24は、外部導体312に電気的に接続されている。
積層型多芯ケーブル10aは、以下に説明するように用いられる。図10は、積層型多芯ケーブル10aが用いられた電子機器200をy軸方向及びz軸方向から平面視した図である。
電子機器200は、積層型多芯ケーブル10a、回路基板202a、液晶パネル203、レセプタクル404a,404b、バッテリーパック(金属体)206及び筐体210を備えている。
回路基板202aには、例えば、液晶パネル203を駆動させるための駆動回路が設けられている。バッテリーパック206は、例えば、リチウムイオン2次電池であり、その表面が金属カバーにより覆われた構造を有している。回路基板202a、バッテリーパック206及び液晶パネル203は、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。
積層体12の表面(より正確には、保護層14)は、バッテリーパック206に対して接触している。そして、積層体12の表面とバッテリーパック206とは、接着剤等により固定されている。
レセプタクル404a,404bはそれぞれ、回路基板202a及び液晶パネル203のz軸方向の負方向側の主面上に設けられている。レセプタクル404a,404bにはそれぞれ、コネクタ300a,300bが接続される。これにより、コネクタ300a,300bの中心導体308には、回路基板202aと液晶パネル203との間を伝送される例えば0.8GHz〜5GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル404a,404bを介して印加される。また、コネクタ300a,300bの中心導体310には、回路基板202aと液晶パネル203との間を伝送される例えば0.8GHz〜5GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル404a,404bを介して印加される。これら2つの高周波信号は、位相が180°異なる差動伝送信号である。また、コネクタ300a,300bの外部導体312には、回路基板202a、液晶パネル203及びレセプタクル404a,404bを介して、グランド電位に保たれる。これにより、積層型多芯ケーブル10aは、回路基板202a、液晶パネル203間を接続している。
ここで、バッテリーパック206のz軸方向の負方向側の主面とレセプタクル404a,404bとの間には段差が存在する。よって、積層体12の線路部12aの両端が湾曲させられることによって、コネクタ300a,300bはそれぞれ、レセプタクル404a,404bに接続されている。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10aによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、信号線路20と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10aによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、低い周波数のノイズが信号線路20,21から発生することを抑制できる。
(第2の変形例)
次に、第2の変形例に係る積層型多芯ケーブル10bについて図面を参照しながら説明する。図11は、第2の変形例に係る積層型多芯ケーブル10bの信号線路20,21及びグランド導体22,24を平面視した図である。なお、積層型多芯ケーブル10bの外観斜視図及び分解斜視図については、図1及び図2を援用する。
積層型多芯ケーブル10bは、図11に示すように、開口30,31の形状及び信号線路20,21の形状において積層型多芯ケーブル10と相違する。
まず、開口30,31において、x軸方向の中央部分の領域を領域a1と定義する。開口30,31において、x軸方向の負方向側の端部の領域を領域a2と定義する。開口30,31において、x軸方向の正方向側の端部の領域を領域a3と定義する。領域a1と領域a2との間の領域を領域a4と定義する。領域a1と領域a3との間の領域を領域a5と定義する。
図11に示すように、領域a1における開口30のy軸方向の幅は、幅W1である。また、領域a2,a3における開口30のy軸方向の幅は、幅W1より小さい幅W2である。そして、領域a4において、開口30がx軸方向の正方向側に行くにしたがって広くなるテーパー状をなすことにより、開口30の幅が連続的に増加している。領域a5において、開口30がx軸方向の正方向側に行くにしたがって狭くなるテーパー状をなすことにより、開口30の幅が連続的に減少している。
図11に示すように、領域a1における開口31のy軸方向の幅は、幅W1である。また、領域a2,a3における開口31のy軸方向の幅は、幅W1より小さい幅W2である。そして、領域a4において、開口31がx軸方向の正方向側に行くにしたがって広くなるテーパー状をなすことにより、開口31の幅が連続的に増加している。領域a5において、開口31がx軸方向の正方向側に行くにしたがって狭くなるテーパー状をなすことにより、開口31の幅が連続的に減少している。
また、信号線路20の線幅は、図11に示すように、周期的に変動している。開口30と重なっている部分の信号線路20の線幅W3は、ブリッジ部32と重なっている部分の信号線路20の線幅W4よりも大きい。更に、信号線路20において開口30と重なっている部分のx軸方向の負方向側の端部は、x軸方向の正方向側に行くにしたがって広くなるテーパー状をなしている。これにより、信号線路20の線幅が連続的に増加している。また、信号線路20において開口30と重なっている部分のx軸方向の正方向側の端部は、x軸方向の正方向側に行くにしたがって狭くなるテーパー状をなしている。これにより、信号線路20の線幅が連続的に減少している。
また、信号線路21の線幅は、図11に示すように、周期的に変動している。開口31と重なっている部分の信号線路21の線幅W3は、ブリッジ部33と重なっている部分の信号線路21の線幅W4よりも大きい。更に、信号線路21において開口31と重なっている部分のx軸方向の負方向側の端部は、x軸方向の正方向側に行くにしたがって広くなるテーパー状をなしている。これにより、信号線路21の線幅が連続的に増加している。また、信号線路21において開口31と重なっている部分のx軸方向の正方向側の端部は、x軸方向の正方向側に行くにしたがって狭くなるテーパー状をなしている。これにより、信号線路21の線幅が連続的に減少している。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10bによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、信号線路20と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10bによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、低い周波数のノイズが信号線路20,21から発生することを抑制できる。
また、積層型多芯ケーブル10bによれば、領域a1における開口30,31の幅W1は、領域a2,a3における開口30,31の幅W2よりも大きい。そのため、領域a1において信号線路20,21との間に形成される容量は、領域a2,a3において信号線路20,21との間に形成される容量よりも小さくなる。よって、領域a1における信号線路20,21の特性インピーダンスは、領域a2,a3における信号線路20,21の特性インピーダンスよりも大きくなる。これにより、信号線路20,21の特性インピーダンスは、開口30,31内においてx軸方向の負方向側から正方向側に行くにしたがって増加した後に減少するようになる。よって、信号線路20,21の特性インピーダンスが不連続に大きく変動することが抑制される。その結果、信号線路20,21において高周波信号の反射が発生することが抑制される。
また、積層型多芯ケーブル10bでは、領域a4,a5における開口30の幅は連続的に変化している。これにより、領域a4,a5において、信号線路20とグランド導体22との間の隙間の幅が漸増又は漸減するようになる。同様に、信号線路21とグランド導体24との間の隙間の幅が漸増又は漸減するようになる。よって、信号線路20の周囲に発生する磁束であって、信号線路20とグランド導体22との間の隙間を通過する磁束は、領域a4,a5において漸増又は漸減するようになる。信号線路21の周囲に発生する磁束であって、信号線路21とグランド導体24との間の隙間を通過する磁束は、領域a4,a5において漸増又は漸減するようになる。すなわち、領域a4,a5において、磁界エネルギーが大きく変動することが抑制される。その結果、領域a1と領域a2,a3との境界近傍において、高周波信号の反射が発生することが抑制されるようになる。
また、開口30内では、信号線路20とグランド導体22とが対向していないので、信号線路20とグランド導体22との間に形成される容量は微小である。そのため、信号線路20の線幅を大きくしても、信号線路20とグランド導体22との間に形成される容量が殆ど大きくならず、信号線路20の特性インピーダンスが低下しない。そこで、積層型多芯ケーブル10bでは、z軸方向から平面視したときに、開口30と重なっている部分の信号線路20の線幅W3は、ブリッジ部32と重なっている部分の信号線路20の線幅W4よりも大きい。これにより、信号線路20の抵抗値が小さくなり、積層型多芯ケーブル10bにおける高周波抵抗が低減されるようになる。なお、同様の理由により、信号線路21の抵抗値も小さくなる。
(第3の変形例)
次に、第3の変形例に係る積層型多芯ケーブル10cについて図面を参照しながら説明する。図12は、第3の変形例に係る積層型多芯ケーブル10cの信号線路20,21及びグランド導体22,24を平面視した図である。なお、積層型多芯ケーブル10cの外観斜視図及び分解斜視図については、図1及び図2を援用する。
積層型多芯ケーブル10cでは、y軸方向において開口30,31が一致していない点において積層型多芯ケーブル10と相違する。より詳細には、ブリッジ部32は、x軸方向(信号線路20が延在している方向)において開口31の中央に位置している。また、ブリッジ部33は、x軸方向(信号線路21が延在している方向)において開口30の中央に位置している。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10cによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、信号線路20と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10cによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、低い周波数のノイズが信号線路20,21から発生することを抑制できる。
また、積層型多芯ケーブル10cによれば、以下の理由によっても、アイソレーションの確保が図られる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10cでは、開口30と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ1は、ブリッジ部32と重なっている部分の信号線路20の特性インピーダンスZ2よりも高い。そのため、信号線路20を高周波信号が伝送されると、信号線路20において開口30と重なっている部分は、電圧の振幅が最大となる腹になる。信号線路20においてブリッジ部32と重なっている部分は、電圧の振幅が最小となる節になる。同様の理由により、信号線路21において開口31と重なっている部分は、電圧の振幅が最大となる腹になる。信号線路21においてブリッジ部33と重なっている部分は、電圧の振幅が最小となる節になる。
ここで、積層型多芯ケーブル10cでは、前記の通り、ブリッジ部32は、x軸方向において開口31の中央に位置している。これにより、信号線路20における節と信号線路21における腹とがy軸方向に隣り合うようになる。また、積層型多芯ケーブル10cでは、ブリッジ部33は、x軸方向において開口30の中央に位置している。これにより、信号線路20における腹と信号線路21における節とがy軸方向に隣り合うようになる。信号線路20,21における節では、電位が殆ど変動しない。そのため、信号線路20,21における節での電位の変動は、信号線路20,21における腹での電位の変動に殆ど影響を及ぼさない。また、信号線路20,21における節での電位の変動は、信号線路20,21における腹での電位の変動に殆ど影響を受けない。よって、信号線路20の電位の変動と信号線路21の電位の変動とはお互いに殆ど影響を受けない。その結果、積層型多芯ケーブル10cでは、アイソレーションの確保が図られる。
(第4の変形例)
以下に、第4の変形例に係る積層型多芯ケーブル10dについて図面を参照しながら説明する。図13は、第4の変形例に係る積層型多芯ケーブル10dの外観斜視図である。図14は、第4の変形例に係る積層型多芯ケーブル10dの並走領域A1における分解斜視図である。
積層体12は、図13に示すように、x軸方向に延在しており、x軸方向の正方向側の端部及び負方向側の端部のそれぞれにおいて2つに枝分かれした構造を有している。積層体12は、図14に示すように、保護層14及び誘電体シート(基材層)18a〜18eがz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に積層されて構成されている可撓性の積層体である。以下では、積層体12のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、積層体12のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
誘電体シート18a〜18eは、z軸方向から平面視したときに、積層体12と同じ形状をなしている。誘電体シート18a〜18eは、ポリイミド等の可撓性を有する熱可塑性樹脂により構成されている。誘電体シート18a〜18eの積層後の厚さは、例えば、25μm〜200μmである。以下では、誘電体シート18a〜18eのz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、誘電体シート18a〜18eのz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
グランド導体22(第1のグランド導体)は、図14に示すように、積層体12に設けられており、より詳細には、誘電体シート18aの表面に設けられている。グランド導体22は、z軸方向から平面視したときに、積層体12と略同じ形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
グランド導体24(第2のグランド導体)は、図14に示すように、積層体12においてグランド導体22と異なる層に設けられており、より詳細には、誘電体シート18eの表面に設けられている。グランド導体24は、z軸方向から平面視したときに、積層体12と略同じ形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
信号線路20は、図14に示すように、z軸方向において、グランド導体22とグランド導体24との間に設けられており、より詳細には、誘電体シート18bの表面に設けられている。信号線路20は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体22,24と重なっている。これにより、信号線路20及びグランド導体22,24は、ストリップライン構造をなしている。信号線路20は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
信号線路21は、図14に示すように、z軸方向において、グランド導体22とグランド導体24との間であって、信号線路20よりもグランド導体24の近くに設けられており、より詳細には、誘電体シート18dの表面に設けられている。信号線路21は、z軸方向から平面視したときに、並走領域A1において信号線路20に沿って延在している。ただし、信号線路20と信号線路21とは、並走領域A1のx軸方向の中央において、z軸方向から平面視したときに、交差している。
ここで、グランド導体22には、図14に示すように、長方形状をなす複数の開口30が設けられている。複数の開口30は、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と重なっていると共に、該信号線路20に沿って並ぶように設けられている。
更に、グランド導体22において、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と信号線路21とが交差している部分と重なる位置には、メッシュ部22fが設けられている。同様に、グランド導体24において、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と信号線路21とが交差している部分と重なる位置には、メッシュ部24fが設けられている。メッシュ部22f,24fは、x軸方向に延在する複数の線状導体とy軸方向に延在する複数の線状導体とが網状に配置されて構成されている。
また、積層型多芯ケーブル10dは、グランド導体50を更に備えている。グランド導体50は、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と信号線路21とが交差している部分と重なり、かつ、z軸方向において、信号線路20と信号線路21との間に設けられている。具体的には、グランド導体50は、誘電体シート18cの表面上に設けられている。グランド導体50は、グランド導体22,24とビアホール導体により接続されている。
保護層14は、誘電体シート18aの表面の略全面を覆っている。これにより、保護層14は、グランド導体22を覆っている。保護層14は、例えば、レジスト材等の可撓性樹脂からなる。
積層型多芯ケーブル10dのその他の構成は、積層型多芯ケーブル10の構成と同じであるので説明を省略する。
積層型多芯ケーブル10dは、以下に説明するように用いられる。図15は、積層型多芯ケーブル10dが用いられた電子機器200をz軸方向から平面視した図である。
電子機器200は、積層型多芯ケーブル10d、回路基板202a,202b、バッテリーパック(金属体)206、筐体210及びアンテナ212を備えている。
バッテリーパック206は、例えば、リチウムイオン2次電池であり、その表面が金属カバーにより覆われた構造を有している。回路基板202a、バッテリーパック206及び回路基板202bは、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。また、アンテナ212は、回路基板202aに接続されている。
積層型多芯ケーブル10dは、回路基板202aと回路基板202bとの間を接続している。また、積層体12の表面(より正確には、保護層14)は、バッテリーパック206に対して接触している。そして、積層体12の表面とバッテリーパック206とは、接着剤等により固定されている。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10dによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、信号線路20と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10dによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、低い周波数のノイズが信号線路20,21から発生することを抑制できる。
また、積層型多芯ケーブル10dでは、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と信号線路21とが交差している部分と重なり、かつ、z軸方向において、信号線路20と信号線路21との間にグランド導体50が設けられている。これにより、信号線路20と信号線路21との間におけるアイソレーションの確保を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10dでは、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と信号線路21とが交差している部分と重なる位置には、メッシュ部22f,24fが設けられている。これにより、信号線路20と信号線路21とが交差している部分において、信号線路20,21とメッシュ部22f,24fとの間には容量が形成されにくくなる。よって、かかる部分において信号線路20,21の線幅を大きくすることができる。その結果、信号線路20,21の抵抗値が小さくなり、積層型多芯ケーブル10dにおける高周波抵抗が低減されるようになる。
(第5の変形例)
以下に、第5の変形例に係る積層型多芯ケーブル10eについて図面を参照しながら説明する。図16は、第5の変形例に係る積層型多芯ケーブル10eの接続部12cにおける分解斜視図である。積層型多芯ケーブル10eの外観斜視図は、図14を援用する。
積層型多芯ケーブル10eは、開口30内に浮き導体60が設けられている点において積層型多芯ケーブル10dと相違する。より詳細には、浮き導体60は、誘電体シート18aの表面に設けられており、開口30内に位置している。浮き導体60は、信号線路20,21(信号線路20は図示せず)及びグランド導体22,24とは接続されておらず、浮遊電位に保たれている。浮遊電位とは、信号線路20,21(信号線路20は図示せず)の電位と接地電位との間の電位である。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10eによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、信号線路20(信号線路20は図示せず)と重なる開口30をグランド導体22に設け、信号線路21と重なる開口31をグランド導体24に設けることによって、アイソレーションの確保と積層体12の薄型化との両立を図ることができる。
更に、積層型多芯ケーブル10eによれば、積層型多芯ケーブル10と同様に、低い周波数のノイズが信号線路20(信号線路20は図示せず)から発生することを抑制できる。
更に、積層型多芯ケーブル10eは、保護層14がバッテリーパック206に接触するように、バッテリーパック206に接着される。よって、グランド導体22は、バッテリーパック206に対向する。そこで、グランド導体22の開口30に浮き導体60が設けられることにより、信号線路20(信号線路20は図示せず)とバッテリーパック206とが開口30を介して対向することを防止している。これにより、開口30からノイズが輻射されることが低減される。その結果、積層体12の材質や間隔が変動しても、信号線路20(信号線路20は図示せず)の高周波特性に変動が生じにくくなる。
(その他の実施形態)
本発明に係る積層型多芯ケーブルは、前記積層型多芯ケーブル10,10a〜10eに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
図17は、その他の実施形態に係る積層型多芯ケーブル10fの断面構造図である。図17に示すように、信号線路20a〜20c及び信号線路21a〜21cが設けられていてもよい。
また、図18は、その他の実施形態に係る積層型多芯ケーブル10gの断面構造図である。図18に示すように、積層型多芯ケーブル10gは、積層型多芯ケーブル10fがz軸方向に2段積み重ねられた構造をなしていてもよい。
なお、積層型多芯ケーブル10,10a〜10eの構成を組み合わせて用いてもよい。
なお、積層型多芯ケーブル10,10a〜10eの並走領域A1の一部において、信号線路20とグランド導体24とが重ならない領域が設けられていてもよい。すなわち、並走領域A1の一部において、信号線路20とグランド導体22とは、マイクロストリップライン構造をなしていてもよい。同様に、積層型多芯ケーブル10,10a〜10eの並走領域A1の一部において、信号線路21とグランド導体22とが重ならない領域が設けられていてもよい。これにより、かかる領域において、積層体12を容易に曲げることが可能となる。
本発明は、高周波信号線路に有用であり、特に、アイソレーションを確保できる点において優れている。
10,10a〜10e 積層型多芯ケーブル
12 積層体
14,15 保護層
16a〜16d 外部端子
18a〜18e 誘電体シート
20,21 信号線路
22,24 グランド導体
30,31 開口
32,33 ブリッジ部