JP2013155295A - 伸長性加熱剥離型粘着シート - Google Patents
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Abstract
【課題】被着体を切断して切断片を得る際の加工温度や加熱剥離温度を高温に設定でき、また、均一かつ容易に伸長させることができるため、切断加工により形成された切断片の間に十分な間隔を形成、確保することができる、耐熱性及び伸長性に優れた伸長性加熱剥離型粘着シートを提供する。
【解決手段】基材と、該基材の一方の表面側に熱膨張性微小球を含む熱膨張性粘着層とを有し、前記基材がフッ素樹脂フィルムからなることを特徴とする伸長性加熱剥離型粘着シート。
【選択図】図1
【解決手段】基材と、該基材の一方の表面側に熱膨張性微小球を含む熱膨張性粘着層とを有し、前記基材がフッ素樹脂フィルムからなることを特徴とする伸長性加熱剥離型粘着シート。
【選択図】図1
Description
本発明は、加熱処理により被着体から容易に剥離できる伸長性加熱剥離型粘着シート、該伸長性加熱剥離型粘着シートを用いた切断片の製造方法、並びに、該切断片の製造方法により得られる電子部品及び半導体ウエハ部品に関する。
伸縮性を有するフィルムを基材とし、該基材に発泡剤を含有させた感圧接着層を設け、加熱による発泡ないし膨張処理で接着力を低減させ得るようにした伸長性加熱剥離型粘着シートが知られている(引用文献1参照)。当該伸長性加熱剥離型粘着シートの使用方法としては、該粘着シートを半導体や電子部品の切断加工時の仮固定用途に用い、切断加工後には、上記加熱剥離型粘着シートの基材の伸縮性を利用して各切断片間に隙間を生じさせ、なおかつ加熱処理による剥離を行って、これら切断片を回収する方法の提案がなされている(引用文献1参照)。
しかしながら、引用文献1において上記伸長性加熱剥離型粘着シートの基材(基材フィルム)として具体的に例示されている軟質塩化ビニルフィルム、軟質ポリオレフィンフィルム、伸縮性ポリエステルフィルムなどのフィルムは、十分に高い耐熱性を有しないことから、電子部品等の切断工程、その他の切断前の加工工程、切断加工後の加熱剥離工程などにおける各工程温度をおよそ140℃以下に設定する必要があるといった制約が生じていた。また、上記フィルムの表面は各種材料に対して比較的高い摩擦係数を示すため、上記フィルムを基材とする粘着シートを使用して被切断体を切断加工後、該粘着シートを伸長させて切断片間に隙間を生じさせる際に、粘着シートを均一かつ容易に伸長させることができないといった問題が生じる。このため、上記フィルムを基材とした粘着シートを前記用途に用いる場合は、その基材背面の滑り性を確保するために離型処理やエンボス処理といった易成型処理を基材背面に施す必要がある。
従って、本発明の目的は、被着体を切断して切断片を得る際の加工温度や加熱剥離温度を高温(例えば、140℃以上)に設定でき、また、均一かつ容易に伸長させることができるため、切断加工により形成された切断片の間に十分な間隔を形成、確保することができる、耐熱性及び伸長性に優れた伸長性加熱剥離型粘着シートを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、上記伸長性加熱剥離型粘着シートを用いた切断片の製造方法、及び、該製造方法により製造された切断片としての電子部品、半導体ウエハ部品を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、上記伸長性加熱剥離型粘着シートを用いた切断片の製造方法、及び、該製造方法により製造された切断片としての電子部品、半導体ウエハ部品を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、基材と、該基材の一方の表面に熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着層とを有する伸長性加熱剥離型粘着シートであって、上記基材をフッ素樹脂フィルム(好ましくは最高連続使用温度が140℃以上であるフッ素樹脂フィルム、特にポリテトラフルオロエチレンフィルム)からなる基材としたものが、耐熱性及び伸長性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、伸長性加熱剥離型粘着シートを均一かつ容易に伸長させ、切断加工により形成された切断片間に十分な間隔を形成、確保するためには、特に、該粘着シートの基材背面の10mmφの鋼球に対する静摩擦係数が0.2以下であることや10%伸び時の引張応力(機械方向)及び10%伸び時の引張応力(幅方向)が25MPa以下であることが好ましいことを見出した。
また、伸長性加熱剥離型粘着シートを均一かつ容易に伸長させ、切断加工により形成された切断片間に十分な間隔を形成、確保するためには、特に、該粘着シートの基材背面の10mmφの鋼球に対する静摩擦係数が0.2以下であることや10%伸び時の引張応力(機械方向)及び10%伸び時の引張応力(幅方向)が25MPa以下であることが好ましいことを見出した。
すなわち、本発明は、基材と、該基材の一方の表面側に熱膨張性微小球を含む熱膨張性粘着層とを有し、前記基材がフッ素樹脂フィルムからなる基材であることを特徴とする伸長性加熱剥離型粘着シートを提供する。
さらに、前記基材の最高連続使用温度(UL746Bに準拠)が140℃以上である前記の伸長性加熱剥離型粘着シートを提供する。
さらに、前記基材がポリテトラフルオロエチレンフィルムからなる基材である前記の伸長性加熱剥離型粘着シートを提供する。
さらに、基材背面の静摩擦係数(ASTM D1894に準拠、対10mmφの鋼球)が0.2以下である前記の伸長性加熱剥離型粘着シートを提供する。
さらに、10%伸び時の引張応力(機械方向)及び10%伸び時の引張応力(幅方向)が25MPa以下である前記の伸長性加熱剥離型粘着シートを提供する。
さらに、前記ポリテトラフルオロエチレンフィルムが、圧縮成形切削法にて製造されたポリテトラフルオロエチレンフィルムである前記の伸長性加熱剥離型粘着シートを提供する。
さらに、前記ポリテトラフルオロエチレンフィルムが、ディッピング法にて製造されたポリテトラフルオロエチレンフィルムである前記の伸長性加熱剥離型粘着シートを提供する。
さらに、前記基材と前記熱膨張性粘着層の間にゴム状有機弾性層を有する前記の伸長性加熱剥離型粘着シートを提供する。
さらに、前記ゴム状有機弾性層が粘着性物質により形成された粘着層である前記の伸長性加熱剥離型粘着シートを提供する。
また、本発明は、前記の伸長性加熱剥離型粘着シートの熱膨張性粘着層上に被切断体を載置し、前記被切断体を切断して切断片とし、次いで、前記切断片間の間隔を拡げる処理を施した後、前記切断片を回収することを特徴とする切断片の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記の製造方法により製造された切断片である電子部品を提供する。
また、本発明は、前記の製造方法により製造された切断片である半導体ウエハ部品を提供する。
本発明の伸長性加熱剥離型粘着シートは上記構成を有するため、被着体の切断加工などの加工工程温度や加熱剥離温度を高温(例えば、140℃以上)に設定でき、その適用範囲(工程種、部品種など)を拡げることができる。さらには、切断加工により形成された切断片間に十分な間隔を形成し確保する際には均一かつ容易に伸長できるため、このような作業の操作性及び作業性を著しく高めることができ、ひいては、切断片(例えば、電子部品や半導体ウエハ部品など)の生産性を大きく向上できる。
本発明の伸長性加熱剥離型粘着シート(単に「粘着シート」と称する場合がある)は、基材(基材層)と、該基材の一方の表面側に1層以上の熱膨張性微小球を含む熱膨張性粘着層とを少なくとも有する粘着シートである。また、本発明の粘着シートは、必要に応じて、さらに、上記基材と上記熱膨張性粘着層の間にゴム状有機弾性層を有していてもよい。なお、本明細書において「粘着シート」という場合には、テープ状のもの、即ち、「粘着テープ」も含まれるものとする。
図1は、本発明の粘着シートの一例を示す概略断面図である。図1に示す本発明の粘着シートは、基材1の一方の表面に熱膨張性粘着層3を有し、さらに、該熱膨張性粘着層3の表面(基材1側に対する反対側の表面)にセパレータ(剥離ライナー)4を有する形態の粘着シートである。図2は、本発明の粘着シートの他の一例を示す概略断面図である。図2に示す本発明の粘着シートは、基材1の一方の表面にゴム状有機弾性層2を有し、該ゴム状有機弾性層2の表面(基材1側に対する反対側の表面)に熱膨張性粘着層3を有し、さらに、該熱膨張性粘着層3の表面(ゴム状有機弾性層2側に対する反対側の表面)にセパレータ4を有する形態の粘着シートである。なお、本発明の粘着シートは、セパレータを必ずしも有している必要はなく、例えば、図1、図2に示す粘着シートからセパレータ4を除いた形態の粘着シートであってもよい。本発明の粘着シートがセパレータを有しない場合、熱膨張性粘着層の表面は、例えば、該表面と粘着シートにおける基材の表面(「基材背面」と称する場合がある)とが接触するようにロール状に巻回されることによって保護されていてもよい。
[基材]
本発明の粘着シートにおける基材(図1、図2における1)は、熱膨張性粘着層等の支持母体(支持体)となるものであり、上記基材はフッ素樹脂フィルムからなる基材である。上記フッ素樹脂フィルムは、分子構造中にフッ素原子が含まれるフッ素樹脂より形成されたフィルムである。上記フッ素樹脂フィルム(100重量%)におけるフッ素樹脂の含有量は、特に限定されないが、50重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上である。上記フッ素樹脂フィルムは単層の形態を有するものであってもよいし、多層(複層)の形態を有するものであってもよい。なお、上記「フッ素樹脂フィルム」の形態には、シート状の形態も含まれるものとする。
本発明の粘着シートにおける基材(図1、図2における1)は、熱膨張性粘着層等の支持母体(支持体)となるものであり、上記基材はフッ素樹脂フィルムからなる基材である。上記フッ素樹脂フィルムは、分子構造中にフッ素原子が含まれるフッ素樹脂より形成されたフィルムである。上記フッ素樹脂フィルム(100重量%)におけるフッ素樹脂の含有量は、特に限定されないが、50重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上である。上記フッ素樹脂フィルムは単層の形態を有するものであってもよいし、多層(複層)の形態を有するものであってもよい。なお、上記「フッ素樹脂フィルム」の形態には、シート状の形態も含まれるものとする。
上記基材は、上記フッ素樹脂フィルムであってもよいし、本発明の効果を損なわない限り、上記フッ素樹脂フィルムとその他の層(例えば、フィルム、シートなど)との積層体であってもよい。なお、上記「基材」には、粘着シートの使用(貼付)時に剥離されるセパレータは含まれない。
上記基材(特に、フッ素樹脂フィルム)の最高連続使用温度は、特に限定されないが、耐熱性の観点から、140℃以上(例えば、140〜300℃)が好ましく、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。なお、上記最高連続使用温度は、基材(特に、フッ素樹脂フィルム)の引張強度のUL746Bに準拠して求められる4万時間経過後の値が、初期値から半減する温度である。
上記基材(特に、フッ素樹脂フィルム)は、特に限定されないが、少なくとも一方の表面の10mmφの鋼球(直径10mmの鋼球)に対する静摩擦係数が0.2以下であることが好ましく、より好ましくは0.15以下である。上記基材の静摩擦係数が0.2以下である表面を基材背面とした粘着シートは、基材背面の滑り性が高く、伸長作業における操作性及び作業性が著しく向上する傾向がある。一方、静摩擦係数が高過ぎる場合には、基材背面とこれと接触する伸長装置(粘着シートを伸長させる装置)との摩擦力が大きくなり、粘着シートの均一な伸長性が損なわれるおそれが生じる。なお、上記静摩擦係数は、10mmφの鋼球を摩擦対象とし、ASTM D1894に準拠して、例えば、荷重200gf、滑り速度150mm/分の条件で測定することができる。
上記基材(特に、フッ素樹脂フィルム)の機械方向(長手方向)の10%伸び時の引張応力(「引張応力(機械方向)」と称する)は、特に限定されないが、25MPa以下が好ましく、より好ましくは20MPa以下である。10%伸び時の引張応力(機械方向)が25MPaを超えるような硬めのフィルムを基材として用いた場合、粘着シートにおける基材を伸長させるために過度の力が必要となり、伸長作業における作業性に支障が生じるおそれがある。なお、上記10%伸び時の引張応力(機械方向)は、例えば、JIS K7127に準拠し、試験片タイプ5、試験速度300mm/分、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件にて測定することができる。
上記基材(特に、フッ素樹脂フィルム)の幅方向の10%伸び時の引張応力(「引張応力(幅方向)」と称する)は、特に限定されないが、25MPa以下が好ましく、より好ましくは20MPa以下である。10%伸び時の引張応力(幅方向)が25MPaを超えるような硬めのフィルムを基材として用いた場合、粘着シートにおける基材を伸長させるために過度の力が必要となり、伸長作業における作業性に支障が生じるおそれがある。なお、上記10%伸び時の引張応力(幅方向)は、例えば、JIS K7127に準拠し、試験片タイプ5、試験速度300mm/分、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件にて測定することができる。
上記基材(特に、フッ素樹脂フィルム)の機械方向の伸び率(「伸び率(機械方向)」と称する)は、特に限定されないが、20%以上が好ましく、より好ましくは150%以上である。上記伸び率(機械方向)の上限は、特に限定されないが、被着体の自重で垂れなくするため、好ましくは1000%、より好ましくは800%程度である。なお、上記基材の伸び率(機械方向)は、例えば、JIS K7127に準拠し、試験片タイプ5、試験速度300mm/分、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件にて測定することができる。
上記基材(特に、フッ素樹脂フィルム)の幅方向の伸び率(「伸び率(幅方向)」と称する)は、特に限定されないが、20%以上が好ましく、より好ましくは150%以上である。上記伸び率(幅方向)の上限は、特に限定されないが、被着体の自重で垂れなくするため、好ましくは1000%、より好ましくは800%程度である。なお、上記基材の伸び率(幅方向)は、例えば、JIS K7127に準拠し、試験片タイプ5、試験速度300mm/分、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件にて測定することができる。
上記基材におけるフッ素樹脂フィルムとしては、フッ素樹脂(フッ素原子を構成原子として少なくとも含む樹脂)により形成されたフィルムを使用することができ、特に限定されないが、具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム(PTFEフィルム)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム(PFAフィルム)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体フィルム(FEPフィルム)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルム(ETFEフィルム)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体フィルム(ECTFEフィルム)、ポリクロロトリフルオロエチレンフィルム(PCTFEフィルム)、ポリビニリデンフルオライドフィルム(PVDFフィルム)などが挙げられる。中でも、諸物性(例えば、最高連続使用温度、静摩擦係数、10%伸び時の引張応力など)の観点で、PTFEフィルムが好ましいが、これに限定されるものではない。
上記基材(特に、フッ素樹脂フィルム)の厚さは、特に限定されず、被着体への貼着、被着体の切断、切断片の剥離及び回収などの各工程における操作性や作業性を損なわない範囲で選択できるが、例えば、10μm〜1mmが好ましく、より好ましくは20〜300μmである。
上記基材(特に、フッ素樹脂フィルム)は、公知乃至慣用の方法により製造することができ、特に限定されないが、特に上述の範囲の厚さを有する基材を製造(製膜)する観点で、例えば、圧縮成形切削法、ディッピング法、ペースト押し出し法、溶融押し出し法などが挙げられる。中でも、特に、10%伸び時の引張応力の等方性の観点から、ディッピング法が好ましい。
上記基材(特に、フッ素樹脂フィルム)の熱膨張性粘着層やゴム状有機弾性層が設けられる側の表面には、隣接する層との密着性、保持性などを高めるため、慣用のクロム酸処理、オゾン処理、火炎曝露、高圧電撃曝露、イオン化放射線処理、アルカリ金属のアンモニウム溶液による表面易接着処理等の、化学的又は物理的な易接着処理を施すことが好ましい。このような処理が施されていない場合、加熱剥離する際等の粘着シートを被着体から剥がす際に、隣接する熱膨張性粘着層やゴム状有機弾性層が基材から脱落してしまい、糊残りなどの不具合が誘発される可能性がある。
[熱膨張性粘着層]
本発明の粘着シートにおける熱膨張性粘着層は、被着体に接着した該粘着シートを加熱処理により被着体より簡単に剥離できるようにするため、熱膨張性微小球(マイクロカプセル)を含有する。これにより、任意な特に熱膨張性粘着層を加熱して、該熱膨張性粘着層中の熱膨張性微小球を発泡及び/又は膨張処理することにより、熱膨張性粘着層(発泡及び/又は膨張処理後)と被着体との接着面積が減少し、その結果、容易に粘着シートを剥離することができる。熱膨張性微小球の代わりにマイクロカプセル化されていない発泡剤を用いた場合には、良好な剥離性(加熱剥離性)を安定して発現させることができない。
本発明の粘着シートにおける熱膨張性粘着層は、被着体に接着した該粘着シートを加熱処理により被着体より簡単に剥離できるようにするため、熱膨張性微小球(マイクロカプセル)を含有する。これにより、任意な特に熱膨張性粘着層を加熱して、該熱膨張性粘着層中の熱膨張性微小球を発泡及び/又は膨張処理することにより、熱膨張性粘着層(発泡及び/又は膨張処理後)と被着体との接着面積が減少し、その結果、容易に粘着シートを剥離することができる。熱膨張性微小球の代わりにマイクロカプセル化されていない発泡剤を用いた場合には、良好な剥離性(加熱剥離性)を安定して発現させることができない。
上記熱膨張性微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンのように容易にガス化して熱膨張性を示す物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球が挙げられる。上記殻は、熱により軟化(溶融)したり、熱膨張により破壊される物質で形成される場合が多く、上記殻を形成する物質としては、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。上記熱膨張性微小球は、慣用の方法、例えば、コアセルベーション法、界面重合法などにより製造できる。
なお、上記熱膨張性微小球としては、例えば、「マツモトマイクロスフェア」(商品名、松本油脂製薬(株)製)、「ダイフォーム」(商品名、大日精化工業(株)製)などの市販品を使用することもできる。
上記熱膨張性微小球の膨張開始温度(発泡開始温度)は、特に限定されないが、本発明の趣旨、具体的には粘着シートに対して優れた耐熱性と加熱剥離性とを両立させる観点から、150℃以上(例えば、150〜300℃)が好ましく、より好ましくは170℃以上である。膨張開始温度が150℃未満であると、例えば、切断加工などの加工工程において熱を加えた場合に粘着シートの剥離が生じ、作業性が低下する場合がある。一方、膨張開始温度が300℃を超えると、例えば、加熱剥離工程における加熱により切断片(電子部品、半導体ウエハ部品)に不具合が生じたり、基材の溶融が起こる場合がある。なお、上記「膨張開始温度」とは、熱膨張性微小球を熱分析装置(「TMA/SS6100」、SII・ナノテクノロジー(株)製)を使用し、膨張法(荷重:0.1N、プローブ:3mmφ、昇温速度5℃/分)にて測定した際の、熱膨張性微小球の膨張が開始した温度である。
上記熱膨張性微小球の平均粒径(膨張前)は、特に限定されないが、分散性や薄層形成性などの観点から、1〜50μm程度が好ましい。
上記熱膨張性微小球としては、特に、加熱処理による熱膨張性粘着層の接着力の低下性などの観点で、好ましくは体積膨張率が2倍以上、より好ましくは7倍以上、さらに好ましくは10倍以上となるまで破裂しない熱膨張性微小球が好ましい。
上記熱膨張性微小球の含有量(配合量)は、熱膨張性粘着層の膨張倍率や接着力の低下性などに応じて適宜決定することができ、特に限定されないが、熱膨張性粘着層を構成するベースポリマー100重量部に対して、1〜150重量部が好ましく、より好ましくは10〜130重量部、さらに好ましくは25〜100重量部である。
上記熱膨張性粘着層は、上記熱膨張性微小球と粘着性物質とを含有する組成物(粘着剤組成物)により形成される。上記粘着性物質としては、熱膨張性粘着層に対して粘着性(粘着特性)を発現させることができるものであって、加熱時に熱膨張性微小球の発泡及び/又は膨張を許容し、加熱時には熱膨張性微小球の発泡及び/又は膨張を可及的に拘束しないものを好ましく使用できる。上記粘着性物質としては、具体的には、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、融点が約200℃以下等の熱溶融性樹脂を配合してクリープ特性を改良した粘着剤などの公知の粘着剤(例えば、特開昭56−61468号公報、特開昭61−174857号公報、特開昭63−17981号公報、特開昭56−13040号公報に記載の粘着剤など)の1種又は2種以上を用いることができる。なお、粘着剤は、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤等の適宜な添加剤を配合したものであってもよい。
上記粘着性物質としては、より具体的には、例えば、天然ゴムや各種の合成ゴムをベースポリマーとするゴム系粘着剤;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基(アミル基)、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などの炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸やメタクリル酸等のエステル((メタ)アクリル酸アルキルエステル)の1種又は2種以上を重合したアクリル系重合体(又はアクリル系共重合体)をベースポリマーとするアクリル系粘着剤などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のいずれか一方又は両方)を意味する。
上記アクリル系重合体(又はアクリル系共重合体)は、必要に応じて、熱膨張性粘着層の凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルメタクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノ系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能モノマー;イソプレン、イソブチレン、ビニルエーテルなどの適宜なモノマー成分の1種又は2種以上を共重合したものであってもよい。
上記粘着性物質(粘着剤)を構成するベースポリマーとしては、加熱処理前の適度な接着力と加熱処理後の接着力の低下性のバランスの点より、特に、常温(例えば、25℃)から150℃における動的弾性率が5万〜1000万dyn/cm2の範囲にあるものが好ましい。なお、上記動的弾性率は、例えば、動的粘弾性測定により測定でき、具体的には、2.5〜3.5mm程度の厚さのベースポリマーの層を形成し、Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて、剪断モードで、周波数1Hzの条件で、−70〜200℃の範囲で昇温速度5℃/分で測定することができる。
上記熱膨張性粘着層を形成するための粘着剤組成物(粘着性物質及び熱膨張性微小球を含む組成物)には、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、ポリウレタン系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン系樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を配合してもよい。
上記熱膨張性粘着層の形成は、例えば、必要に応じて溶媒を用いて上述の熱膨張性微小球、粘着性物質などを混合して粘着剤組成物を調製し、当該粘着剤組成物を基材上(又はゴム状有機弾性層上)に塗布する方式や、当該方法に準じてセパレータ上に形成した熱膨張性粘着層を基材上(又はゴム状有機弾性層上)に移着する方式などの適宜な方式により実施することができる。
上記熱膨張性粘着層(加熱処理前)の厚さは、特に限定されないが、300μm以下が好ましく、より好ましくは100μm以下である。厚さが厚過ぎると(例えば、300μmを超えると)、加熱処理後の剥離時に熱膨張性粘着層(加熱処理後)の凝集破壊が生じて被着体を汚染する糊残りが生じやすくなる。一方、上記熱膨張性粘着層の厚さが薄過ぎると、加熱処理による熱膨張性粘着層の変形度が小さく、接着力が低下しにくくなったり、包含させる熱膨張性微小球の粒径を過度に小さくする必要が生じる。このような点より、上記熱膨張性粘着層の厚さは、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。
なお、上記熱膨張性粘着層は単層の形態を有するものであってもよいし、多層(複層)の形態を有するものであってもよい。
[ゴム状有機弾性層]
本発明の粘着シートにおいて、必要に応じて上記基材と上記熱膨張性粘着層の間に配置されるゴム状有機弾性層は、粘着シートを被着体に接着する際にその表面を被着体の表面形状に良好に追従させて大きな接着面積を提供する働きと、加熱剥離する際に熱膨張性粘着層の加熱膨張をコントロールしやすくして、極力厚さ方向に優先的に膨張し、膨張後の厚さの均一性に優れた熱膨張性粘着層の形成を可能とする働きを有する。
本発明の粘着シートにおいて、必要に応じて上記基材と上記熱膨張性粘着層の間に配置されるゴム状有機弾性層は、粘着シートを被着体に接着する際にその表面を被着体の表面形状に良好に追従させて大きな接着面積を提供する働きと、加熱剥離する際に熱膨張性粘着層の加熱膨張をコントロールしやすくして、極力厚さ方向に優先的に膨張し、膨張後の厚さの均一性に優れた熱膨張性粘着層の形成を可能とする働きを有する。
上記ゴム状有機弾性層は、特に限定されないが、上記働きの点などにより、ショアー硬さ(ASTM D1706に準拠)が好ましくはD50以下(より好ましくはD40以下)の天然ゴムや合成ゴム、又はゴム弾性を有する合成樹脂により形成することが好ましい。
上記ゴム状有機弾性層を形成するための構成材としての合成ゴムとしては、例えば、ニトリル系合成ゴム、ジエン系合成ゴム、アクリル系合成ゴムなどの合成ゴムが挙げられる。上記構成材としての合成樹脂(ゴム弾性を有する合成樹脂)としては、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリブタジエン、軟質ポリ塩化ビニルなどのゴム弾性を有する合成樹脂が挙げられる。なお、ポリ塩化ビニルなどの本質的には硬質系のポリマーであっても可塑剤や柔軟剤等の配合材との組み合わせによりゴム弾性を発現させたものも本発明においては用いることができる。また、上記粘着性物質(粘着剤)などもゴム状有機弾性層を形成するための構成材として好ましく使用できる。即ち、上記ゴム状有機弾性層は、粘着性物質により形成された粘着層であってもよい。
上記ゴム状有機弾性層の厚さは、特に限定されないが、500μm以下が好ましく、より好ましくは3〜300μm、さらに好ましくは5〜150μmである。厚さが500μmを超えると、粘着シートが柔らかくなり過ぎて、切断加工における不具合(例えば、チップ欠けや切断寸法不良など)が生じる場合がある。一方、厚さが薄過ぎると、被着体が有する凹凸面への追従性が低下して十分な接着力が得られなくなる場合がある。
上記ゴム状有機弾性層の形成は、例えば、上記構成材を基材上に塗布する方式;これに準じてセパレータ上にゴム状有機弾性層を形成し、これを基材上に移着する方式;上記構成材からなるフィルム等を基材と接着する方式などの適宜な方式で行うことができる。なお、本発明におけるゴム状有機弾性層は、天然ゴム、合成ゴム、ゴム弾性を有する合成樹脂を主成分とする粘着性物質で形成されていてもよく、また、天然ゴム、合成ゴム、ゴム弾性を有する合成樹脂を主体(主成分)とする発泡フィルム等により形成されていてもよい。
なお、上記ゴム状有機弾性層は単層の形態を有するものであってもよいし、多層(複層)の形態を有するものであってもよい。
[セパレータ]
上述のように、本発明の粘着シートはセパレータを有していてもよい。上記セパレータとしては、公知乃至慣用のセパレータを使用することができ、特に限定されないが、例えば、シリコーン系樹脂、長鎖アルキルアクリレート樹脂、フッ素樹脂などの離型剤により表面がコートされたプラスチックや紙等からなるセパレータ、ポリエチレンやポリプロピレンなどの無極性ポリマーからなる粘着性の小さいセパレータなどが使用できる。
上述のように、本発明の粘着シートはセパレータを有していてもよい。上記セパレータとしては、公知乃至慣用のセパレータを使用することができ、特に限定されないが、例えば、シリコーン系樹脂、長鎖アルキルアクリレート樹脂、フッ素樹脂などの離型剤により表面がコートされたプラスチックや紙等からなるセパレータ、ポリエチレンやポリプロピレンなどの無極性ポリマーからなる粘着性の小さいセパレータなどが使用できる。
本発明の粘着シートは、基材、熱膨張性粘着層、ゴム状有機弾性層、セパレータ以外の層(例えば、下塗り層、中間層など)を有していてもよい。
本発明の粘着シートにおける基材背面の10mmφの鋼球に対する静摩擦係数は、特に限定されないが、0.2以下が好ましく、より好ましくは0.15以下である。基材背面の静摩擦係数が0.2以下であると、伸長作業における操作性及び作業性が著しく向上する傾向がある。一方、静摩擦係数が0.2を超える場合には、基材背面とこれと接触する伸長装置(粘着シートを伸長させる装置)との摩擦力が大きくなり、粘着シートの均一な伸長性が損なわれるおそれが生じる。なお、上記静摩擦係数は、10mmφの鋼球を摩擦対象とし、ASTM D1894に準拠して、例えば、荷重200gf、滑り速度150mm/分の条件で測定することができる。
本発明の粘着シートの10%伸び時の引張応力(機械方向)は、特に限定されないが、25MPa以下が好ましく、より好ましくは20MPa以下である。10%伸び時の引張応力(機械方向)が25MPa以下である場合には、粘着シートを容易に伸長させることができるため、伸張作業における操作性及び作業性が向上する傾向がある。10%伸び時の引張応力(機械方向)が25MPを超えると、粘着シートを伸長させるために過度の力が必要となり、伸長作業における作業性に支障が生じるおそれがある。なお、上記10%伸び時の引張応力(機械方向)は、例えば、JIS K7127に準拠し、試験片タイプ5、試験速度300mm/分、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件にて測定することができる。
本発明の粘着シートの10%伸び時の引張応力(幅方向)は、特に限定されないが、25MPa以下が好ましく、より好ましくは20MPa以下である。10%伸び時の引張応力(幅方向)が25MPa以下である場合には、粘着シートを容易に伸長させることができるため、伸張作業における操作性及び作業性が向上する傾向がある。10%伸び時の引張応力(幅方向)が25MPを超えると、粘着シートを伸長させるために過度の力が必要となり、伸長作業における作業性に支障が生じるおそれがある。なお、上記10%伸び時の引張応力(幅方向)は、例えば、JIS K7127に準拠し、試験片タイプ5、試験速度300mm/分、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件にて測定することができる。
本発明の粘着シートは、特に、該粘着シート上に被切断体を仮固定し、該被切断体を切断して切断片とし、その後、上記粘着シートから上記切断片を剥離して回収する用途(切断加工用)に好ましく使用できる。より具体的には、本発明の粘着シートは、粘着シートの熱膨張性粘着層上に被切断体を載置(仮固定)し、上記被切断体を切断して切断片とし、次いで、上記切断片間の間隔を拡げる処理を施した後、上記切断片を回収する切断片の製造方法において好ましく使用できる。
図3及び図4は、本発明の粘着シートの使用状態(本発明の粘着シートを使用した切断片の製造方法)の説明図である。より詳細には、図3は、図1に示す加熱剥離型粘着シート上に被着体(被切断体;切断前)を貼り付けて保持(載置)し、所定の寸法に切断した状態を示す概略断面図である。また、図4は、図3に示す状態から、さらに伸長処理及び加熱処理を施した後の状態を示す概略断面図である。図3において、5は被着体(被切断体)を示し、6は被着体5の切断線を示す。また、図4において、3′は加熱処理後の熱膨張性粘着層、7は被着体5が切断されて形成された切断片を示す。
本発明の粘着シートの熱膨張性粘着層(図3における3)表面に対する被着体(図3における5)の貼着は、ゴムローラ、ラミネートロール、プレス装置などの適宜な押圧手段により圧着処理する方法により行うことができる。なお、上記貼着の際には、必要に応じて、熱膨張性粘着層を構成する粘着性物質のタイプに応じて、熱膨張性微小球が膨張しない温度範囲で(例えば、熱膨張性微小球の膨張開始温度未満の温度で)加熱してもよい。
被着体(図3における5)の切断は、慣用の切断手段、例えば、ダイサーや押切切断装置などを用いることにより実施することができる。
被着体を切断した後、本発明の粘着シートを伸長させる処理(伸長処理)、即ち、粘着シートを伸長させることによって切断片間の間隔を拡げる処理は、例えば、シート類を二次元的に伸長させる際に用いる慣用の伸長手段、例えば、伸長処理機能付きのダイボンダーなどを用いることにより実施することができる。
本発明の粘着シートを伸長処理した後、該粘着シートを加熱剥離するための加熱処理の条件は、被着体(図3における5)又は切断片(図4における7)の表面状態や耐熱性、熱膨張性粘着層中の熱膨張性微小球の種類、粘着シートの耐熱性などに応じて適宜設定することができるが、本発明における一般的な加熱処理の条件としては、例えば、温度350℃以下、処理時間(加熱時間)30分以下が好ましく、より好ましくは温度150〜300℃、処理時間1〜90秒間(ホットプレートなど)又は5〜15分間(熱風乾燥機など)である。かかる加熱条件で加熱することにより、熱膨張性粘着層中の熱膨張性微小球が膨張及び/又は発泡して熱膨張性粘着層が膨張変形し、通常、接着力が低下ないし喪失する。なお、加熱処理は使用目的に応じて適宜な段階で行うことができる。また、加熱処理の方式としては、例えば、熱風加熱方式、熱板接触方式、赤外線加熱方式などが挙げられるが、熱膨張性粘着層を均一に発泡ないし膨張させることができ、なおかつ被着体を汚染したり破損するものでなければ、特に限定されない。
本発明の粘着シートは、粘着性物質を含む熱膨張性粘着層を有するため、被着体(図3における5)を切断加工する際には、該被着体のズレや剥離を生じることなく、所定の寸法への切断を効率的に実施することができる。また、本発明の粘着シートは、熱膨張性微小球を含む熱膨張性粘着層を有するため、加熱処理により上記熱膨張性微小球が速やかに発泡及び/又は膨張し、その結果、上記熱膨張性粘着層が体積変化して凹凸状の三次元構造が形成され、切断された切断片(図4における7)との接触面積ひいては接着強度が大幅に低下する。この際、基材が高い耐熱性(例えば、150℃以上の耐熱性)を有しているため、上記加熱処理による基材の変形が抑制され、粘着シート表面の平滑性が保持される。また、被着体の切断加工などの加工工程温度や加熱剥離温度を高温(例えば、150℃以上)に設定できるため、工程種、部品種などの適用範囲を広げることができる。また、本発明の粘着シートは、基材が高い伸縮性及び滑り性を有しているため、加熱剥離処理前又は処理後に面方向に伸長処理を施す際には、各切断片(図4における7)間の間隔を容易かつ均一に所望の間隔に広げることができる。このように、上記加熱処理による接着強度の著しい低下と、伸長処理による各切断片の間隔を均一な拡大が可能となり、切断片の剥離、回収工程における操作性及び作業性が大幅に改善され、切断片の生産効率を大きく向上させることができる。
本発明の粘着シートは、被着体を永久的に接着させる用途にも使用できるが、被着体を所定の期間接着するとともに、接着の目的を達成した後には、その接着状態を解除することが要求若しくは望まれる用途に適している。このような用途の具体例としては、例えば、セラミック部品や半導体ウエハ固定材の他、各種の電気・電子装置、ディスプレイ装置などの組立工程における部品搬送用・仮止め用等のキャリアテープ、仮止め材又は固定材、金属板、プラスチック板、ガラス板等の汚染損傷防止を目的とした表面保護材又はマスキング材などが挙げられる。特に、電子部品(特に、半導体ウエハ部品)の製造工程において、半導体チップなどの切断面の側面を掴んで剥離回収するピックアップ方式を採用する場合や、積層チップコンデンサーの回収などの用途に好ましく使用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
アクリル系共重合体(アクリル酸2−エチルヘキシル50重量部、アクリル酸エチル50重量部、メタクリル酸メチル5重量部、及びアクリル酸ヒドロキシエチル3重量部の共重合体)100重量部と、ポリウレタン系架橋剤2重量部とを含む感圧接着剤100重量部(固形分)に、熱膨張性微小球A(「マツモトマイクロスフェアF−100VSD」、松本油脂製薬(株)製、膨張開始温度130℃、最大膨張温度165〜185℃)30重量部を配合してなる粘着剤組成物(トルエン溶液)を調製した。次に、上記粘着剤組成物を、圧縮成形切削法にて作製された厚さ50μmの片面スパッタ処理PTFEフィルム(「No.901W−UL」、日東電工(株)製)のスパッタ処理面上に乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、乾燥させて熱膨張性粘着層(粘着層)を形成した。その後、さらに、上記熱膨張性粘着層にシリコーン離型処理PETセパレータ(「MRF38」、三菱樹脂(株)製)を貼り合わせて、粘着シート(伸長性加熱剥離型粘着シート)を得た。
アクリル系共重合体(アクリル酸2−エチルヘキシル50重量部、アクリル酸エチル50重量部、メタクリル酸メチル5重量部、及びアクリル酸ヒドロキシエチル3重量部の共重合体)100重量部と、ポリウレタン系架橋剤2重量部とを含む感圧接着剤100重量部(固形分)に、熱膨張性微小球A(「マツモトマイクロスフェアF−100VSD」、松本油脂製薬(株)製、膨張開始温度130℃、最大膨張温度165〜185℃)30重量部を配合してなる粘着剤組成物(トルエン溶液)を調製した。次に、上記粘着剤組成物を、圧縮成形切削法にて作製された厚さ50μmの片面スパッタ処理PTFEフィルム(「No.901W−UL」、日東電工(株)製)のスパッタ処理面上に乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、乾燥させて熱膨張性粘着層(粘着層)を形成した。その後、さらに、上記熱膨張性粘着層にシリコーン離型処理PETセパレータ(「MRF38」、三菱樹脂(株)製)を貼り合わせて、粘着シート(伸長性加熱剥離型粘着シート)を得た。
実施例2
アクリル系共重合体(アクリル酸2−エチルヘキシル40重量部、アクリル酸エチル60重量部、及びアクリル酸ヒドロキシエチル3重量部の共重合体)100重量部と、ポリウレタン系架橋剤1重量部とを含む粘着剤(トルエン溶液)を調製した。上記粘着剤を、セパレータ(「MRF38」、三菱樹脂(株)製)上に乾燥後の厚みが35μmとなるように塗布し、乾燥させてゴム状有機弾性層を形成した。その後、上記ゴム状有機弾性層を圧縮成形切削法にて作製された厚さ100μmの片面易接着処理PTFEフィルム(「No.901UL」、日東電工(株)製)に貼り合わせた。
次いで、上記アクリル系共重合体100重量部とポリウレタン系架橋剤2重量部とを含む感圧接着剤100重量部(固形分)に、熱膨張性微小球B(「ダイフォーム H−1100D」、大日精化工業(株)製、膨張開始温度190℃、最大膨張温度200〜210℃)50重量部を配合してなる粘着剤組成物(トルエン溶液)を調製した。上記粘着剤組成物を、セパレータ(「MRF38」、三菱樹脂(株)製)上に乾燥後の厚さが45μmとなるように塗布し、乾燥させて熱膨張性粘着層(粘着層)を形成した。その後、上記熱膨張性粘着層の表面を上記ゴム状有機弾性層を移着したPTFEフィルムのゴム状有機弾性層側に貼り合わせ、粘着シート(伸長性加熱剥離型粘着シート)を得た。
アクリル系共重合体(アクリル酸2−エチルヘキシル40重量部、アクリル酸エチル60重量部、及びアクリル酸ヒドロキシエチル3重量部の共重合体)100重量部と、ポリウレタン系架橋剤1重量部とを含む粘着剤(トルエン溶液)を調製した。上記粘着剤を、セパレータ(「MRF38」、三菱樹脂(株)製)上に乾燥後の厚みが35μmとなるように塗布し、乾燥させてゴム状有機弾性層を形成した。その後、上記ゴム状有機弾性層を圧縮成形切削法にて作製された厚さ100μmの片面易接着処理PTFEフィルム(「No.901UL」、日東電工(株)製)に貼り合わせた。
次いで、上記アクリル系共重合体100重量部とポリウレタン系架橋剤2重量部とを含む感圧接着剤100重量部(固形分)に、熱膨張性微小球B(「ダイフォーム H−1100D」、大日精化工業(株)製、膨張開始温度190℃、最大膨張温度200〜210℃)50重量部を配合してなる粘着剤組成物(トルエン溶液)を調製した。上記粘着剤組成物を、セパレータ(「MRF38」、三菱樹脂(株)製)上に乾燥後の厚さが45μmとなるように塗布し、乾燥させて熱膨張性粘着層(粘着層)を形成した。その後、上記熱膨張性粘着層の表面を上記ゴム状有機弾性層を移着したPTFEフィルムのゴム状有機弾性層側に貼り合わせ、粘着シート(伸長性加熱剥離型粘着シート)を得た。
実施例3
厚さ50μmのPFAフィルム(旭硝子(株)製)の片面にArガス、気圧2.666Pa、30W秒/cm2の条件でスパッタエッチング処理を施した。そして、これを基材として用いた(即ち、片面易接着処理PTFEフィルムの代わりに上記スパッタエッチング処理したPFAフィルムを用いた)こと以外は実施例2と同様の操作を行い、粘着シート(伸長性加熱剥離型粘着シート)を得た。
厚さ50μmのPFAフィルム(旭硝子(株)製)の片面にArガス、気圧2.666Pa、30W秒/cm2の条件でスパッタエッチング処理を施した。そして、これを基材として用いた(即ち、片面易接着処理PTFEフィルムの代わりに上記スパッタエッチング処理したPFAフィルムを用いた)こと以外は実施例2と同様の操作を行い、粘着シート(伸長性加熱剥離型粘着シート)を得た。
実施例4
市販のPTFEディスパージョン(「フルオンAD911L」、旭硝子(株)製、固形分濃度60wt%)に蒸留水を加えて比重を1.50に調整した。電極板として市販の厚さ200μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム(株)製、粗面軟質箔)を用い、この電極板の片面をマスキング粘着テープでマスキングした。マスキングした電極板を上記PTFEディスパージョン(比重を調整したPTFEディスパージョン)中にディッピング速度100mm/分で通過させ、電極板の片面にPTFEディスパージョンを塗布した。次いで、電極板を180℃環境下に10分間置いてPTFEディスパージョンを乾燥させた後、マスキング粘着テープを剥がした。その後、電極板を360℃の環境下に10分間置いてPTFE微粒子を焼成した。焼成後は、全体を常温まで冷却した。これにより、厚さ200μmの電極板上に厚さ(膜厚)35μmのPTFEフィルムを形成した。
次いで、上記ディッピング法で作製した厚さ35μmのPTFEフィルムの片面に、金属ナトリウムのアンモニア溶液にて易接着処理を施した。
次に、市販の付加反応型シリコーン粘着剤(「SD−4560」、東レダウコーニング(株)製)100重量部に、熱膨張性微小球C(「マツモトマイクロスフェア F−2860D」、松本油脂製薬(株)製、膨張開始温度240℃、最大膨張温度260〜280℃)30重量部(固形分比)、及び白金触媒(「SRX−212」、東レダウコーニング(株)製)1.5重量部(固形分比)を配合してなる粘着剤組成物(トルエン溶液)を調製した。上記粘着剤組成物を、上記で得たPTFEフィルムの易接着処理面に乾燥後の厚さが75μmとなるように塗布し、乾燥させて熱膨張性粘着層(粘着層)を形成した。その後、上記熱膨張性粘着層の表面にセパレータ(「PET75_1SS−4A」、ニッパ(株)製)を貼り合わせ、粘着シート(伸長性加熱剥離型粘着シート)を得た。
市販のPTFEディスパージョン(「フルオンAD911L」、旭硝子(株)製、固形分濃度60wt%)に蒸留水を加えて比重を1.50に調整した。電極板として市販の厚さ200μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム(株)製、粗面軟質箔)を用い、この電極板の片面をマスキング粘着テープでマスキングした。マスキングした電極板を上記PTFEディスパージョン(比重を調整したPTFEディスパージョン)中にディッピング速度100mm/分で通過させ、電極板の片面にPTFEディスパージョンを塗布した。次いで、電極板を180℃環境下に10分間置いてPTFEディスパージョンを乾燥させた後、マスキング粘着テープを剥がした。その後、電極板を360℃の環境下に10分間置いてPTFE微粒子を焼成した。焼成後は、全体を常温まで冷却した。これにより、厚さ200μmの電極板上に厚さ(膜厚)35μmのPTFEフィルムを形成した。
次いで、上記ディッピング法で作製した厚さ35μmのPTFEフィルムの片面に、金属ナトリウムのアンモニア溶液にて易接着処理を施した。
次に、市販の付加反応型シリコーン粘着剤(「SD−4560」、東レダウコーニング(株)製)100重量部に、熱膨張性微小球C(「マツモトマイクロスフェア F−2860D」、松本油脂製薬(株)製、膨張開始温度240℃、最大膨張温度260〜280℃)30重量部(固形分比)、及び白金触媒(「SRX−212」、東レダウコーニング(株)製)1.5重量部(固形分比)を配合してなる粘着剤組成物(トルエン溶液)を調製した。上記粘着剤組成物を、上記で得たPTFEフィルムの易接着処理面に乾燥後の厚さが75μmとなるように塗布し、乾燥させて熱膨張性粘着層(粘着層)を形成した。その後、上記熱膨張性粘着層の表面にセパレータ(「PET75_1SS−4A」、ニッパ(株)製)を貼り合わせ、粘着シート(伸長性加熱剥離型粘着シート)を得た。
比較例1
軟質ポリオレフィン樹脂(「CAP350」、宇部レキセン(株)製)を中間層基材とし、ポリエチレンとの共押し出し成形により、総厚さ80μmのポリエチレン/軟質ポリオレフィン樹脂(CAP350)/ポリエチレンの層構成からなる3層フィルムを得、これを基材として使用したこと以外は実施例1に準じて、粘着シートを得た。
軟質ポリオレフィン樹脂(「CAP350」、宇部レキセン(株)製)を中間層基材とし、ポリエチレンとの共押し出し成形により、総厚さ80μmのポリエチレン/軟質ポリオレフィン樹脂(CAP350)/ポリエチレンの層構成からなる3層フィルムを得、これを基材として使用したこと以外は実施例1に準じて、粘着シートを得た。
比較例2
基材として、厚さ100μmのPETフィルム(「ルミラーS10」、東レ(株)製)を用いたこと以外は実施例2に準じて、粘着シートを得た。
基材として、厚さ100μmのPETフィルム(「ルミラーS10」、東レ(株)製)を用いたこと以外は実施例2に準じて、粘着シートを得た。
(評価試験)
実施例及び比較例で得た粘着シートについて、以下の評価試験を実施した。
加えて、粘着シートにおける基材の最高連続使用温度をUL746Bに準じて測定した。具体的には、基材の引張強度のUL746Bに準拠して求められる4万時間経過後の値が初期値から半減する温度を、最高連続使用温度として求めた。
また、粘着シートの基材背面の10mmφ鋼球に対する静摩擦係数を、ASTM D1894に準じて測定した。具体的には、往復摩擦試験機(「MODEL AFT−15B」、オリエンテック(株)製)を用い、相手材:10mmφの鋼球、荷重:200gf、滑り速度:150mm/分の条件で基材背面の静摩擦係数を測定した。
さらに、粘着シートの10%伸び時の引張応力(荷重)(縦(機械)方向及び横(幅)方向)をJIS K7127に準じ、試験片タイプ5、試験速度300mm/分、温度23±2℃、相対湿度50±5℃の条件にて測定した。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で得た粘着シートについて、以下の評価試験を実施した。
加えて、粘着シートにおける基材の最高連続使用温度をUL746Bに準じて測定した。具体的には、基材の引張強度のUL746Bに準拠して求められる4万時間経過後の値が初期値から半減する温度を、最高連続使用温度として求めた。
また、粘着シートの基材背面の10mmφ鋼球に対する静摩擦係数を、ASTM D1894に準じて測定した。具体的には、往復摩擦試験機(「MODEL AFT−15B」、オリエンテック(株)製)を用い、相手材:10mmφの鋼球、荷重:200gf、滑り速度:150mm/分の条件で基材背面の静摩擦係数を測定した。
さらに、粘着シートの10%伸び時の引張応力(荷重)(縦(機械)方向及び横(幅)方向)をJIS K7127に準じ、試験片タイプ5、試験速度300mm/分、温度23±2℃、相対湿度50±5℃の条件にて測定した。結果を表1に示す。
(1)加熱前後の粘着力
実施例及び比較例で得られた各粘着シート(20mm幅)の粘着層表面側の加熱前のステンレス板に対する粘着力測定を行った(JIS Z0237−2000に準拠、引張速度:300mm/分、剥離角度:180°)。また、実施例及び比較例で得られた各粘着シート(20mm幅)をステンレス板に貼り合わせた状態で表1に示す加熱条件で加熱した後、ステンレス板に対する粘着力(加熱後の粘着力)測定を行った(JIS Z0237−2000に準拠、引張速度:300mm/分、剥離角度:180°)。なお、粘着シートのステンレス板に対する貼り合わせ(圧着)は、2kgのローラーを1往復させることにより実施した。
表1に示す各粘着シートの加熱条件における加熱温度は、粘着シートにおける熱膨張性微小球の最大膨張温度付近に設定したものである。加熱時間は10分とした。また、加熱源には、熱風乾燥機を使用した。以下の評価においても同様である。
実施例及び比較例で得られた各粘着シート(20mm幅)の粘着層表面側の加熱前のステンレス板に対する粘着力測定を行った(JIS Z0237−2000に準拠、引張速度:300mm/分、剥離角度:180°)。また、実施例及び比較例で得られた各粘着シート(20mm幅)をステンレス板に貼り合わせた状態で表1に示す加熱条件で加熱した後、ステンレス板に対する粘着力(加熱後の粘着力)測定を行った(JIS Z0237−2000に準拠、引張速度:300mm/分、剥離角度:180°)。なお、粘着シートのステンレス板に対する貼り合わせ(圧着)は、2kgのローラーを1往復させることにより実施した。
表1に示す各粘着シートの加熱条件における加熱温度は、粘着シートにおける熱膨張性微小球の最大膨張温度付近に設定したものである。加熱時間は10分とした。また、加熱源には、熱風乾燥機を使用した。以下の評価においても同様である。
(2)加熱前後の伸縮挙動及び加熱後の基材の溶融有無
実施例及び比較例で得られた各粘着シート(8インチ幅以上)を8インチのダイシングリングに貼り付け、ダイシングリングの周囲からはみ出した部分を除去した。次いで、ダイシングリングに貼り付けた粘着シートをダイボンダー(「CSP−100」、NEC機械(株)製)に装着して10mm引き落とすことにより、加熱前の粘着シートを全周囲に伸長させる方向に荷重を加えた場合の粘着シート(粘着シートにおける基材)の伸縮挙動を確認した。また、表1に示す加熱条件で加熱処理した後(加熱後)の粘着シート(粘着シートにおける基材)の伸縮挙動についても同様に確認した。
さらに、表1に示す加熱条件での加熱処理によって、粘着シートの基材が溶融したか否かを目視で観察し、確認した。
実施例及び比較例で得られた各粘着シート(8インチ幅以上)を8インチのダイシングリングに貼り付け、ダイシングリングの周囲からはみ出した部分を除去した。次いで、ダイシングリングに貼り付けた粘着シートをダイボンダー(「CSP−100」、NEC機械(株)製)に装着して10mm引き落とすことにより、加熱前の粘着シートを全周囲に伸長させる方向に荷重を加えた場合の粘着シート(粘着シートにおける基材)の伸縮挙動を確認した。また、表1に示す加熱条件で加熱処理した後(加熱後)の粘着シート(粘着シートにおける基材)の伸縮挙動についても同様に確認した。
さらに、表1に示す加熱条件での加熱処理によって、粘着シートの基材が溶融したか否かを目視で観察し、確認した。
表1に示すように、実施例で得られた粘着シート(伸長性加熱剥離型粘着シート)は、加熱前後を問わず均一に伸長させることができた。また、加熱後には粘着力を大きく低減させることができ、被着体への糊残りもなく、簡単に剥離することができた。
一方、比較例1で得られた粘着シートは、加熱後に基材の溶融が認められた。比較例2で得られた粘着シートは、加熱前後を問わず、伸長させることができなかった。
一方、比較例1で得られた粘着シートは、加熱後に基材の溶融が認められた。比較例2で得られた粘着シートは、加熱前後を問わず、伸長させることができなかった。
1:基材
2:ゴム状有機弾性層
3:熱膨張性粘着層
3′:加熱処理後の熱膨張性粘着層
4:セパレータ
5:被着体(被切断体)
6:切断線
7:切断片
2:ゴム状有機弾性層
3:熱膨張性粘着層
3′:加熱処理後の熱膨張性粘着層
4:セパレータ
5:被着体(被切断体)
6:切断線
7:切断片
Claims (12)
- 基材と、該基材の一方の表面側に熱膨張性微小球を含む熱膨張性粘着層とを有し、前記基材がフッ素樹脂フィルムからなる基材であることを特徴とする伸長性加熱剥離型粘着シート。
- 前記基材の最高連続使用温度(UL746Bに準拠)が140℃以上である請求項1に記載の伸長性加熱剥離型粘着シート。
- 前記基材がポリテトラフルオロエチレンフィルムからなる基材である請求項1又は2に記載の伸長性加熱剥離型粘着シート。
- 基材背面の静摩擦係数(ASTM D1894に準拠、対10mmφの鋼球)が0.2以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸長性加熱剥離型粘着シート。
- 10%伸び時の引張応力(機械方向)及び10%伸び時の引張応力(幅方向)が25MPa以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸長性加熱剥離型粘着シート。
- 前記ポリテトラフルオロエチレンフィルムが、圧縮成形切削法にて製造されたポリテトラフルオロエチレンフィルムである請求項3〜5のいずれか1項に記載の伸長性加熱剥離型粘着シート。
- 前記ポリテトラフルオロエチレンフィルムが、ディッピング法にて製造されたポリテトラフルオロエチレンフィルムである請求項3〜5のいずれか1項に記載の伸長性加熱剥離型粘着シート。
- 前記基材と前記熱膨張性粘着層の間にゴム状有機弾性層を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の伸長性加熱剥離型粘着シート。
- 前記ゴム状有機弾性層が粘着性物質により形成された粘着層である請求項8に記載の伸長性加熱剥離型粘着シート。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の伸長性加熱剥離型粘着シートの熱膨張性粘着層上に被切断体を載置し、前記被切断体を切断して切断片とし、次いで、前記切断片間の間隔を拡げる処理を施した後、前記切断片を回収することを特徴とする切断片の製造方法。
- 請求項10に記載の製造方法により製造された切断片である電子部品。
- 請求項10に記載の製造方法により製造された切断片である半導体ウエハ部品。
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