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JP2013146254A - 呈味改善剤及びこれを含有する飲料 - Google Patents

呈味改善剤及びこれを含有する飲料 Download PDF

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JP2013146254A JP2012011504A JP2012011504A JP2013146254A JP 2013146254 A JP2013146254 A JP 2013146254A JP 2012011504 A JP2012011504 A JP 2012011504A JP 2012011504 A JP2012011504 A JP 2012011504A JP 2013146254 A JP2013146254 A JP 2013146254A
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Nozomi Toyomura
望 豊村
Yoshihiro Nakao
嘉宏 中尾
Ei Muneguchi
瑛 宗口
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Abstract

【課題】乳化剤が添加された飲料において、その呈味を向上させる食品素材を提供する。また、呈味が改善された乳化剤含有飲料を提供する。
【解決手段】γ−アミノ酪酸及び/又はグルコバニリンをA呈味改善剤を乳化剤含有飲料に添加する。A:バニラ豆の熱水抽出物であるバニラ豆抽出物として添加した。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳化剤を含有する飲料の呈味改善剤および風味の改善された乳化剤含有飲料に関する。
乳分を原料として使用し、加熱殺菌工程を経て製造される容器詰めの乳入り飲料が、数多く開発されている。容器の形態で分類すると、缶入り、ペットボトル入り、紙パック入りなどがある。これら容器詰めの乳入り飲料においては、調合液のpHや加熱処理の影響等により、調合工程や殺菌工程において、乳分の凝集が発生して沈殿を引き起こすという問題があり、この沈殿防止ために、通常、乳化剤が添加されている(特許文献1)。
しかし、乳化剤には特有の苦味があり、乳化剤の添加により飲料自体の呈味が損なわれることがある。そこで、乳化剤を含有するコーヒー飲料において、水酸化ナトリウムを少量配合することで、乳化剤特有の香味、特に後味に感じるぬめりや後味のキレの悪さ等に起因する不快な味を改善することができることが報告されている(特許文献2)。
一方、γ−アミノ酪酸(GABA)は、血圧降下作用、精神安定作用、脳機能改善作用、更年期障害症状緩和作用、肥満防止作用等の健康志向の高い現代人にとって有効な生理作用を有しており、様々なGABA含有食品の開発が行われている。例えば、微生物を利用してGABAを富化したコーヒー抽出液等がある(特許文献3)。GABAには特有の苦味があることが知られているが、GABAの知覚特性、すなわち飲食品に配合して飲食品自体の呈味を改善することに関する文献はほとんど存在しない。
また、バニラの生のさやを極性溶媒で抽出して得られる抽出物中に含まれる配糖体の一つであるグルコバニリンについて、飲食物が本来有しているこく味、クリーミー感、濃厚感等の好ましい香味を増強したり、または改善したりする作用があることが報告されている(特許文献4)。
特開平8−228686号公報 特開2009−268397号公報 特開2010−187554号公報 特許第3280179号公報
近年、健康に対する意識向上やダイエット志向などから、飲料の分野においてもより低カロリー化乃至ノンカロリー化の要望が大きくなっており、糖アルコールなどの低カロリー甘味料や、スクラロース、ステビア、アスパルテーム及びアセスルファムカリウムなどの高甘味度甘味料を使用した低カロリー又はゼロカロリー飲料が既に実用化されている。このような低カロリー乃至ノンカロリーの飲料では、ボディ感の不足から、乳化剤特有の苦味、特に後味に感じるぬめりや後味のキレの悪さ等に起因する不快な苦味が、より顕著に知覚されるため、従来の乳化剤含有飲料の香味改善方法だけでは十分満足に対応できないことがあった。
本発明の目的は、乳化剤が添加された飲料において、その呈味を向上させる食品素材を提供することにある。また、本発明の目的は、呈味が改善された乳化剤含有飲料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、苦味を有するGABAを、その閾値以下の添加量で乳化剤含有飲料に配合することにより、乳化剤に起因する苦味を低減し、飲料の呈味を改善できることを見出した。また、本発明者らは、グルコバニリンにも同様の呈味改善作用があることを見出した。そして、乳化剤含有飲料において、GABA及びグルコバニリンを併用することで、相加的又は相乗的な呈味改善作用を発現させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、これに限定されるものではないが、本発明は以下に関する。
(1)γ−アミノ酪酸及び/又はグルコバニリンを有効成分とする、乳化剤含有飲料の呈味改善剤。
(2)γ−アミノ酪酸及び/又はグルコバニリンが、バニラ豆抽出物として添加されるものである、(1)に記載の呈味改善剤。
(3)バニラ豆抽出物が、バニラ豆の熱水抽出物である、(2)に記載の呈味改善剤。
(4)飲料全体に対して、0.0002〜0.003mg/Lのγ−アミノ酪酸及び0.003〜0.03mg/Lのグルコバニリンを添加して得られる、乳化剤含有飲料。
(5)バニリンに対するグルコバニリンの割合(重量比)が、0.02以上である、(4)に記載の飲料。
(6)γ−アミノ酪酸及び/又はグルコバニリンが、バニラ豆抽出物として添加されたものである、(4)又は(5)に記載の飲料。
(7)バニラ豆抽出物が、バニラ豆の熱水抽出物である、(6)に記載の飲料。
本発明により、乳化剤特有の苦味、特に後味に感じるぬめりや後味のキレの悪さ等に起因する不快な苦味が改善された容器詰め飲料が提供される。
(呈味改善剤)
本発明の呈味改善剤の一つの態様は、γ−アミノ酪酸(GABA)を有効成分として添加することにより、乳化剤を配合した飲料における香味の問題、具体的には乳化剤特有の苦味や雑味をマスキングし、後味に感じるぬめり(後味のキレの悪さ)等を改善するものである。
本発明で用いるGABAとしては、GABA純品を用いてもよいし、GABAを含有する食品(例えば、玄米、紅麹、茶、野菜や果実等)の抽出物の形態で用いてもよい。後者の場合、これら食品に含まれるGABA含量は、微量であることから、乳酸発酵などの公知の方法によりGABAを富化した食品を用いてもよい。
GABA純品を用いる場合も、食品又はその抽出物としてGABAを用いる場合にも、飲料全体に対し、GABAの含有量が0.0002〜0.003mg/L程度、好ましくは0.0003〜0.0025mg/L程度、より好ましくは0.0004〜0.002mg/L程度、特に好ましくは0.0005〜0.002mg/L程度となるように添加する。GABAは、その添加量に応じて呈味改善作用を発揮するが、GABAには特有の苦味があり、その閾値以下で添加することが重要である。
本発明の呈味改善剤の別の態様は、グルコバニリンを有効成分として添加することにより、乳化剤を配合した飲料における香味の問題、具体的には乳化剤特有の苦味や雑味をマスキングし、後味に感じるぬめり(後味のキレの悪さ)等を改善するものである。
本発明で用いるグルコバニリンとしては、グルコバニリン純品を用いてもよいし、グルコバニリンを含有する食品(例えば、バニラ豆)の抽出物の形態で用いてもよい。
グルコバニリン純品を用いる場合も、バニラ豆抽出物としてグルコバニリンを用いる場合にも、飲料全体に対し、グルコバニリンの含有量が0.003〜0.03mg/L程度、好ましくは0.004〜0.025mg/L程度、より好ましくは0.005〜0.02mg/L程度、特に好ましくは0.006〜0.015mg/L程度となるように添加する。この範囲以外の濃度で添加すると、飲料の味や色に影響を及ぼすことがある。
本発明の呈味改善剤は、上記のGABA及びグルコバニリンのいずれか一種を用いてもよいし、併用して用いてもよい。併用して用いると、GABA及びグルコバニリンが相加的又は相乗的に作用し、より一層呈味改善作用を発揮する。
本発明の呈味改善剤は、その形態を問わず、固体状であっても液体状であってもよい。呈味改善剤における有効成分含量、すなわちGABA及びグルコバニリンの総量とブリックス(Bx)の比が、0.1(μg/100g)/Bx以上、好ましくは1.0(μg/100g)/Bx以上、より好ましくは2.0(μg/100g)/Bx以上である。
本発明者らは、バニラ豆にグルコバニリンだけでなくGABAが含まれることを見出している。また、その水(好ましくは熱水)抽出物は、含水エタノール抽出物よりもブリックス(Brix)あたりの相対的なGABA及びグルコバニリン含有量が高いことを見出している。そして、このバニラ豆の熱水抽出物は、バニラ特有の香気成分であるバニリンが少ないため、濃厚芳醇で天然感に富むバニラの風味はほとんどなく、また、渋味、雑味、えぐ味も少ないことを確認している。したがって、バニラ豆の熱水抽出物は、飲料に対する味や色への影響がほとんどないことから、本発明の呈味改善剤の好適な態様の一つとして例示できる。特に、バニリンとグルコバニリンの含量を指標として、抽出物中のバニリンに対するグルコバニリンの割合が0.03以上、好ましくは0.04以上、より好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.06以上となるバニラ豆の熱水抽出物は風味の観点から好ましく用いられる。
このようなバニラ豆の抽出物を呈味改善剤として用いる場合、本発明の有効成分であるGABA及びグルコバニリンの総量とブリックス(Bx)の比は、上記と同様の範囲、すなわち0.1(μg/100g)/Bx以上、好ましくは1.0(μg/100g)/Bx以上、より好ましくは2.0(μg/100g)/Bx以上である。乳化剤含有飲料の呈味改善剤として、バニラ豆の抽出物を用いる場合、そのブリックスは通常1〜10程度であり、飲料に対する配合割合は、飲料全体に対して0.01〜5mg/L、好ましくは0.03〜3mg/L、より好ましくは0.05〜1mg/L程度である。
本発明の呈味改善剤は、乳化剤に起因する味が知覚されやすい低カロリー飲料又はノンカロリー飲料においても、有効にその効果を奏するものである。
(乳化剤含有飲料)
本発明の飲料は、乳化剤と特定量のGABA及びグルコバニリンを含有することを特徴とする。すなわち、0.0002〜0.003mg/L(好ましくは0.0003〜0.0025mg/L、より好ましくは0.0004〜0.002mg/L、特に好ましくは0.0005〜0.002mg/L)のGABAと、0.003〜0.03mg/L(好ましくは0.004〜0.025mg/L、より好ましくは0.005〜0.02mg/L、特に好ましくは0.006〜0.015mg/L)のグルコバニリンとを0.001〜0.3重量%程度の乳化剤を含有する飲料に配合することにより、乳化剤特有の苦味、特に後味に感じるぬめりや後味のキレの悪さ等に起因する不快な苦味を改善した、嗜好性の高い飲料である。
ここで、本明細書における乳化剤とは、乳化の効果を持つ添加物のことをいい、広義の界面活性剤の一種である。例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、容器詰め飲料の製造時の加熱殺菌工程およびその後の流通、貯蔵時に生じうる沈殿や、陽圧缶における噴出しを防止するために一般的に使用されるものを全て含む。本発明の飲料における乳化剤の量は、使用する乳化剤の種類や目的によって選択されるものであるが、通常、飲料全体に対し、0.001〜0.3重量%程度、好ましくは0.01〜0.2重量%、より好ましくは0.05〜0.15重量%程度である。
上述のとおり、本発明の飲料は、上記特定量のGABA及びグルコバニリンを配合することにより、乳化剤に起因する好ましくない味を改善するものである。飲料中のGABA及びグルコバニリン含量は、従来公知の方法、例えば高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)や逆相HPLC法により測定できる。
上記特定量のGABA及びグルコバニリンは、飲料のコク味を増強したり、高甘味度甘味料の甘味の質を改善したりする効果も奏する。したがって、これらの効果を顕著に知覚できる乳入り飲料や、低カロリー飲料又はノンカロリー飲料は、本発明の飲料の好適な態様として例示できる。ここで、「コク味」とは、フレーバー産業において、持続性、広がり(mouthfulness)、豊かさ及び厚みなどの特徴を現すために用いられる用語であり、訓練を受けたパネリスト(以下、専門パネラーという)による官能テストによって簡単に検出及び識別され得るものである。また、甘味料の質の改善とは、甘味料に起因する不快な味(特に後味のキレの悪さ)を改善し、ショ糖に近い甘味に近づけることを意味し、専門パネラーによる官能テストで識別され得るものである。
本発明の飲料の好適な態様の一つである乳入り飲料とは、乳分を原料として使用した飲料を意味する。本明細書で用いられる「乳分」との用語は、飲料にミルク風味やミルク感を付与するために添加する成分を指し、主に乳等省令に定義されている乳、牛乳及び乳製品のことをいう。例えば、生乳、牛乳、特別牛乳、脱脂乳、加工乳、乳飲料等が挙げられ、乳製品としては、クリーム、調製クリーム、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、調整粉乳などが挙げられる。なお、調製クリームとは、脂肪やタンパク質量を調製された加工クリームを意味する。本明細書でいう乳入り飲料は、上記乳分を原料として含む飲料であれば、その種類を限定されるものではなく、例えば、コーヒー分を含む乳入りコーヒー飲料、紅茶分を含む乳入り紅茶飲料の他、ココア、発酵乳風味飲料などが含まれる。ここで、「コーヒー分」とは、コーヒー豆由来の成分を含有する溶液のことをいい、例えば、コーヒー抽出液、すなわち、焙煎、粉砕されたコーヒー豆を水や温水などを用いて抽出した溶液や、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、コーヒー抽出液を乾燥したインスタントコーヒーなどを、水や温水などで適量に調整した溶液が挙げられる。また、「紅茶分」とは、紅茶葉由来の成分を含有する溶液のことをいい、例えば、紅茶葉抽出液、すなわち紅茶葉を温水などを用いて抽出した溶液や、紅茶葉抽出液を濃縮した紅茶エキス、紅茶葉抽出液を乾燥した粉末紅茶などを水や温水などで適量に調整した溶液が挙げられる。
容器詰めの乳入り飲料においては、調合液のpHや加熱処理の影響等により、調合工程や殺菌工程において、乳分の凝集が発生して沈殿を引き起こすという問題があり、通常乳化剤が用いられているが、乳化剤の味の問題から、乳化剤を多く配合できないという問題があり、結果として乳分を多く配合できなかった。本発明の飲料では、GABA及びグルコバニリンの作用により乳化剤の味をマスキングすることができるので、従来よりも多くの乳化剤を多く配合することが可能となり、結果として乳分を豊富に含む容器詰め乳入り飲料の製造が可能となる。また、従来と同程度の乳分であっても、GABA及びグルコバニリンが乳化剤の味をマスキングし、コク味を付与して乳の味を増強することから、嗜好性の高い乳入り飲料の製造が可能となる。
本発明の飲料の好適な態様の一つである「ノンカロリー飲料」とは飲料100mLあたりの熱量が5kcal未満の飲料をいい、「低カロリー飲料」とは飲料100mLあたりの熱量が5kcal以上20kcal未満の飲料をいう。また、本明細書における「フルカロリー飲料」とは飲料100mLあたりの熱量が20kcal以上の飲料をいう。
低カロリー飲料やノンカロリー飲料で汎用される糖アルコールなどの低カロリー甘味料や、スクラロース、ステビア、アスパルテーム及びアセスルファムカリウムなどの高甘味度甘味料は、甘味料に起因する不快な味があり、また甘味の質(厚み、後味のキレの悪さ等)の点でショ糖に劣ることが指摘されており、特に乳化剤を含有する飲料では、これら甘味料と乳化剤の味が相俟って飲料の風味低下を引き起こすという問題があった。しかし、本発明の飲料では、GABA及びグルコバニリンの作用により乳化剤の味をマスキングすることができ、低カロリー甘味料や高甘味度甘味料に起因する不快な味をマスキングでき、さらにこれら甘味料に不足される厚み(コク味)を増強することができるので、嗜好性の高いフルカロリー飲料に近い味わいの飲料とすることができる。
本発明の飲料に配合されるGABA及びグルコバニリンは、上述の呈味改善剤と同様のものを用いることができ、GABA及びグルコバニリンを多量に含有するバニラ豆の熱水抽出物を好適な態様の一つとして例示できる。ここで、バニラ豆の熱水抽出物について詳述する。
収穫されたばかりのバニラ豆中には、配糖体であるグルコバニリン(Glucovanillin)が存在しており、通常、キュアリングと呼ばれる工程を経ることで加水分解されてバニリン(Vanillin)が遊離し、バニラ特有の香気が発現する。本発明の飲料では、バニリン特有の香気を必要とせず、グルコバニリンの呈味改善作用やコク味増強作用を利用するものであるから、グルコバニリンが加水分解されにくい条件で抽出物を得ることが好ましい。以下にバニラ豆抽出物の製造法を例示するが、これに限定されるものではない。
1)バニラ豆を凍結粉砕してバニラ豆粉砕物を得る工程
2)バニラ豆粉砕物を熱水で抽出する工程
3)固液分離して抽出液を回収する工程
工程1)において原料となるバニラ豆としては、例えばブルボンバニラビーンズ、メキシカンバニラビーンズ、インドネシアバニラビーンズ、タヒチバニラビーンズ及びその他のハイブリッド種などを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。通常、バニラビーンズ(バニラ豆)は、キュアリングと呼ばれる工程、すなわち、発酵、熟成、乾燥からなる一連の工程を経た後、大きさ、品種などに応じて、グレード分けされて供給される。グルコバニリンの加水分解を少なくする目的からは、キュアリングの工程を経ないものを用いるのが好ましいが、グルコバニリンがバニラ豆に残存していれば、キュアリング工程を経たものを用いてもよい。
工程2)の抽出では、抽出溶媒として水を使用する。通常、バニラ豆の抽出にはアルコール含量20〜80重量%程度の含水アルコールが多く用いられるが、本発明に好適なバニラ豆抽出物ではアルコールを含まない水で抽出するのが好ましい。水で抽出することで、GABA及びグルコバニリンを多く抽出することが可能となる。水の使用量は、使用するバニラ豆1重量部に対して2〜50重量部程度、好ましくは5〜30重量部程度の範囲である。
抽出条件は、90〜125℃、より好ましくは95〜120℃に加熱還流して、攪拌しながら1分〜5時間、好ましくは10分〜3時間程度抽出する。バニラエキスの製造では、通常、温度が90℃を超えるとバニラの香味香気成分が蒸発したり、変質したりしてしまうため好ましくないとされているが、本発明で好適なバニラ豆抽出物はGABA及びグルコバニリンを多く抽出するために、上記温度帯を選択する。
抽出後、30℃以下になるまで冷却した後、工程3)において濾過、遠心分離などの固液分離を行ってバニラ豆の不溶性固形分を除去して、バニラ豆熱水抽出物を得る。必要に応じて、ブリックス1.0〜10程度になるまで、濃縮を行ってもよい。
このようにして得られるバニラ豆の熱水抽出物は、20%含水エタノールを使用して得られる抽出物と比較して1.5〜2倍量のGABA及びグルコバニリンを含有する。また、抽出物中のバニリンに対するグルコバニリンの割合は、20%含水エタノールを使用して得られる抽出物では0.019であるのに対し、熱水抽出物では0.05以上(好ましくは0.06以上)となる。
一般に、天然物を水で抽出処置して得られる抽出物は、貯蔵中に沈殿物を生成する恐れがあるため、かかる沈殿物の生成を防止するために、従来からプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、砂糖、果糖、ブドウ糖などの多価アルコール類や糖類を抽出物に添加することが、しばしば行われている。本発明のバニラ豆熱水抽出物に対しても、抽出物100重量部あたり約5〜約10重量部の割合で上記例示の如き多価アルコール類又は糖類を添加してもよい。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明において数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
<実施例1>呈味改善作用(1)
コーヒー飲料を製造し、GABA及びグルコバニリンの呈味改善作用を検証した。コーヒー分として、インスタントコーヒーを用い、表1に示す配合で乳分、甘味料、乳化剤、適量の温水を添加してコーヒー固形分:1.3重量%、乳分(乳タンパク質として):0.8重量%、乳化剤:0.13重量%、のコーヒー調合液を調製し、さらに、pH調整剤として重曹を添加して、pH6.5の低カロリー(19kcal/100 ml)のコーヒー飲料Aを得た。
このコーヒー飲料Aに、表2の処方となるようにGABA純品(GABA-S、協和発酵株式会社)及び/又はグルコバニリン純品(GLUCOVANILLIN、クロマデックス)を添加してコーヒー飲料Bを得、専門パネラー5名で官能テストした。評価項目は、クリア感(乳化剤由来の苦味・雑味がない感じ)(5点:全く苦味等を感じない、4点:苦味等をほとんど感じない、3点:苦味等を僅かに感じる、2点:苦味等がやや感じられる、1点:苦味等を強く感じる)、コク味(5点:大変ある、4点:ややある、3点:あるともないとも言えないレベル、2点:ややない、1点:全くない)とし、パネラーの平均値を算出した。
結果を表2に示す。GABA及びグルコバニリンを含有しないサンプルNo.1は、クリア感、コク味に欠けており、乳化剤に起因する苦味があり、コク味が不足していた。これにGABAを添加すると、その添加量に応じてクリア感、コク味が向上した(サンプルNo.4,3)。グルコバニリンは、ごく微量の添加でクリア感、コク味に効果を奏する(サンプルNo.1,2,5)が、0.000325〜0.0065mg/Lの添加量では、効果の大きさに差が感じられなかった(サンプルNo.5,2)。グルコバニリン量を固定してGABA添加量を多くすると、GABAの添加量に応じてクリア感、コク味ともに顕著な効果を奏した(サンプルNo.7-12)。以上の結果から、GABA及び/又はグルコバニリンに乳化剤含有飲料の呈味改善作用があることが判明した。また、GABA及びグルコバニリンを併用すると、呈味改善作用の点で大きな効果が得られることが判明した。
また、GABA及びグルコバニリンを併用したコーヒー飲料では、クリア感、コク味だけでなく、Contに比較して高甘味度甘味料に起因する甘味の質の改善、乳感の増強が知覚され、低カロリー飲料でありながら、フルカロリー飲料のようなバランスの取れた飲料となった。
<実施例2>呈味改善作用(2)
以下の方法により、バニラ豆の熱水抽出物を調製した。すなわち、マダガスカル産バニラ豆(ブルボンバニラビーンズ)を凍結粉砕して得られた粉砕物に20倍量の熱水(100℃)を加え、還流して攪拌しながら2時間抽出した。抽出後、30℃以下になるまで冷却してから、遠心分離により固液分離して抽出液を回収し、減圧濃縮してバニラ豆の熱水抽出物を得た(ブリックス≒3.8)。この抽出物には、GABAが0.0069mg/ml(HPLC法による)、グルコバニリンが0.065mg/ml(逆相HPLC法による)の割合で含まれており、GABAとグルコバニリンの総量とブリックス(Bx)の比は、2.4(μg/100g)/Bxであった。また、比較として、熱水の代わりに20%含水エタノールで抽出を行う以外は同様にしてバニラ豆のエタノール抽出物を調製した。
実施例1で調製したコーヒー飲料Aに、バニラ豆の熱水抽出物又はエタノール抽出物を0.1g/Lの割合で添加してコーヒー飲料Cを調製し、実施例1と同様に官能評価を行った。結果を表3に示す。GABA及びグルコバニリンを含有するバニラ豆の熱水抽出物及びエタノール抽出物は、いずれの場合もクリア感、コク味における呈味改善作用を有したが、その効果の大きさは、熱水抽出物の方が大きかった。また、エタノール抽出物はバニリンの香気が飲料の香味に大きな影響を及ぼすが、熱水抽出物は飲料の香味にほとんど影響を及ぼさなかった。以上より、バニリンに対するグルコバニリン含量が大きい抽出物(具体的には、グルコバニリン/バニリン≧0.03(好ましくは≧0.04、より好ましくは≧0.05、特に好ましくは≧0.06))が呈味改善剤として特に有用であることがわかった。また、パネラー全員が、バニラ豆の熱水抽出物に高甘味度の甘味質の改善作用があると評価した。

Claims (7)

  1. γ−アミノ酪酸及び/又はグルコバニリンを有効成分とする、乳化剤含有飲料の呈味改善剤。
  2. γ−アミノ酪酸及び/又はグルコバニリンが、バニラ豆抽出物として添加されるものである、請求項1に記載の呈味改善剤。
  3. バニラ豆抽出物が、バニラ豆の熱水抽出物である、請求項2に記載の呈味改善剤。
  4. 飲料全体に対して、0.0002〜0.003mg/Lのγ−アミノ酪酸及び0.003〜0.03mg/Lのグルコバニリンを添加して得られる、乳化剤含有飲料。
  5. バニリンに対するグルコバニリンの割合(重量比)が、0.02以上である、請求項4に記載の飲料。
  6. γ−アミノ酪酸及び/又はグルコバニリンが、バニラ豆抽出物として添加されたものである、請求項4又は5に記載の飲料。
  7. バニラ豆抽出物が、バニラ豆の熱水抽出物である、請求項6に記載の飲料。
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