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JP2013128363A - 回転電機およびその製造方法 - Google Patents

回転電機およびその製造方法 Download PDF

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JP2013128363A JP2011276886A JP2011276886A JP2013128363A JP 2013128363 A JP2013128363 A JP 2013128363A JP 2011276886 A JP2011276886 A JP 2011276886A JP 2011276886 A JP2011276886 A JP 2011276886A JP 2013128363 A JP2013128363 A JP 2013128363A
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Abstract

【課題】波巻き巻線の渡り導体部の絶縁信頼性を向上しつつ性能確保と両立でき、小形軽量でコスト低廉な回転電機およびその製造方法を提供する。
【解決手段】軸線AX方向に延在するスロット41が周方向に並んで複数個形成されるとともに軸線方向の両側にそれぞれエンド空間が形成されるコア4と、コアの第1のスロットを挿通し一側のエンド空間を経由して第2のスロットへ渡りさらに前記第2のスロットを挿通し他側のエンド空間を経由して第3のスロットへ渡ることを繰返すように導体が波巻きされて形成された波巻き巻線5とをステータ3に備える回転電機1であって、導体のうちスロット41内に位置するスロット導体部(U12、U31等)の絶縁被覆の厚みよりも、導体のうちエンド空間に位置する渡り導体部52U13、53U35の被覆の厚みのほうが厚いことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、モータや発電機などの回転電機およびその製造方法に関し、より詳細には、波巻き巻線の絶縁信頼性を向上した回転電機およびその製造方法に関する。
近年、走行駆動源としてエンジンおよびジェネレータモータ(回転電機)を搭載したハイブリッド車両が急速に普及してきており、ジェネレータモータの性能向上、小形軽量化、およびコストダウンの要望が強まっている。車載のジェネレータモータでは、ステータコアのスロットに導体を巻回して巻線を形成したステータを外周側に配置し、ロータコアに永久磁石を埋め込んで形成したロータを軸心側に配置した構造が主流となっている。ステータ巻線の種類には、特定のスロットに所定巻回数だけ導体を巻回した後に次のスロットに渡る集中巻き巻線と、複数のスロットを順番に渡ってゆくように導体を波状に巻回した波巻き巻線とがある。そして、製造が容易でありかつ製造コストが低廉であることから波巻き巻線が多用されている。
この波巻き巻線を備える回転電機の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の回転電機では、波巻き巻線の渡り導体部の中央部が略180度屈曲して形成され、さらに、同一のコイル導体の互いに隣り合う一対の渡り導体部が同一回転方向に折り曲げられている(屈曲している)。これにより、単に折り曲げで作成したコイル導体をスロットに収容するだけで巻装(巻回作業)をほとんど完了することができ、工程が格段に簡素となる、とされている。また、コイルエンドを従来より格段に小型化することができ、冷却しにくいという不具合も生じない、とされている。
特許第3952346号公報
ところで、特許文献1に限らず波巻き巻線では一般的に、渡り導体部の導体本数が集中巻き巻線より多数となって狭隘な配置となり、導体間の離隔距離を確保することが難しくなっている。このため、導体間の絶縁信頼性が低下し、特に異相間には高電圧が発生しやすいので絶縁破壊するおそれがあった。この対策として、渡り導体部を遠回りさせて導体間に大きな離隔距離を確保すると、波巻き巻線のエンド部の軸線方向や半径方向の寸法が大きくなり、回転電機の大形化およびコストの上昇を招いてしまう。さらには、漏洩磁束が増加し、巻線抵抗も増加して回転電機の性能低下を引き起こすため得策でなかった。
絶縁信頼性を確保するために絶縁被覆の厚い導体を用いる方法もあるが、スロット内に位置するスロット導体部の占積率(スロット容積に占める導体の体積比率)が減少し、回転電機の性能が低下してしまう。また、エンド部で隣り合う異相の導体の間に後から相間絶縁紙を挿入して絶縁を強化する方法も行われているが、その分だけ製造コストが上昇する。加えて、波巻き巻線の巻回方法には多様なバリエーションがあり、異相の導体の隣り合う箇所数が多い構成では相間絶縁紙を挿入する対策は煩雑かつ困難となっていた。
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、波巻き巻線の渡り導体部の絶縁信頼性を向上しつつ性能確保と両立でき、小形軽量でコスト低廉な回転電機およびその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する請求項1に係る回転電機の発明は、軸線方向に延在するスロットが周方向に並んで複数個形成されるとともに軸線方向の両側にそれぞれエンド空間が形成されるコアと、前記コアの第1のスロットを挿通し一側のエンド空間を経由して第2のスロットへ渡りさらに前記第2のスロットを挿通し他側のエンド空間を経由して第3のスロットへ渡ることを繰返すように導体が波巻きされて形成された波巻き巻線と、をロータおよびステータの少なくとも一方に備える回転電機であって、前記導体のうち前記スロット内に位置するスロット導体部の絶縁被覆の厚みよりも、前記導体のうち前記エンド空間に位置する渡り導体部の絶縁被覆の厚みのほうが厚いことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の回転電機であって、前記波巻き巻線は三相の導体からなり、異相の導体が前記エンド空間で相互に隣り合って配置されることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の回転電機であって、均一な厚みの絶縁被覆を有する導体の一部分に絶縁追加処理を施して、前記渡り導体部の絶縁被覆の厚みを大きくしたことを特徴とする。
請求項4に係る回転電機の製造方法の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機の製造方法であって、前記コアのスロットの形状に適合するように、均一な厚みの絶縁被覆を有する導体を波状に折り曲げて波巻き導体を製作する折り曲げ工程と、前記コアから離れた位置で、複数の前記波巻き導体を相互の位相関係が適合するように重ね合わせてシート状巻線を製作する重ね合わせ工程と、前記重ね合わせ工程の前、途中、または後で、前記波巻き導体または前記シート状巻線の前記渡り導体部に相当する部分に樹脂コーティングあるいは粉体塗装による絶縁追加処理を施して絶縁被覆の厚みを大きくする絶縁追加工程と、絶縁追加処理を施した後のシート状巻線を前記コアに組み付けて前記波巻き巻線とする組み付け工程と、を有することを特徴とする。
請求項1に係る回転電機の発明では、コアおよび波巻き巻線をロータおよびステータの少なくとも一方に備え、波巻き巻線のスロット導体部の絶縁被覆の厚みよりも渡り導体部の絶縁被覆の厚みのほうが厚くなっている。このため、波巻き巻線の渡り導体部の絶縁信頼性が向上するとともに、スロット導体部の絶縁被覆の厚みおよび占積率(スロット容積に占める導体の体積比率)は従来と同等になるので性能確保と両立できる。また、エンド空間で渡り導体部を遠回りさせて導体間に大きな離隔距離を確保する必要がないので、回転電機は小形軽量でコスト低廉になり、性能も確保できる。
請求項2に係る発明では、異相の導体がエンド空間で相互に隣り合って配置されている。このような場合、異相の導体の間には高電圧が発生しやすいので、従来技術では導体の全長に亘って絶縁被覆を厚くする対策、あるいは隣り合う異相の渡り導体部の間に相間絶縁紙を挿入する対策を施して絶縁信頼性を確保していた。これに対して本発明では、渡り導体部の部分的に厚い絶縁被覆により絶縁信頼性が確保されている。したがって、スロット導体部の絶縁被覆が厚くなることによるスロット内の占積率の低下は生じず、渡り導体部の間に相間絶縁紙を挿入することによる製造コストの上昇も生じない。
請求項3に係る発明では、均一な厚みの絶縁被覆を有する導体の一部分に絶縁追加処理を施して渡り導体部の絶縁被覆の厚みを大きくしているので、渡り導体部の絶縁信頼性を向上できる。また、絶縁追加処理の方法として、例えば、請求項4に開示した樹脂コーティングあるいは粉体塗装を採用できる。これらの方法は、相間絶縁紙の挿入と異なって一度に多数箇所への処理を容易に行えるので製造コストが低廉になり、特に異相の導体の隣り合う箇所数が多い構成では製造コストを大幅に低減できる。
請求項4に係る回転電機の製造方法の発明では、重ね合わせ工程の前、途中、または後の絶縁追加工程で、波巻き導体またはシート状巻線の渡り導体部に相当する部分に樹脂コーティングあるいは粉体塗装による絶縁追加処理を施して絶縁被覆の厚みを大きくする。つまり、エンド空間に多数の渡り導体部が配置されて狭隘になる以前に絶縁追加処理を施すので、隣り合う導体同士が接触して絶縁追加処理を良好に行えなくなるおそれが生じない。これにより、渡り導体部の絶縁信頼性を確実に向上できる。また、相間絶縁紙の挿入と異なって一度に多数箇所への処理を容易に行えるので製造コストが低廉になり、特に異相の導体の隣り合う箇所数が多い構成では製造コストを大幅に低減できる。
実施形態の回転電機のステータのエンド部の外観を示す斜視図である。 ステータを軸線方向から見たときの中心角90°強の部分を示す図である。 実施形態の回転電機の製造方法を説明する図であり、ステータの製造工程図を示している。 折り曲げ工程で製作された波巻き導体の形状を示す外観図である。 重ね合わせ工程(前期)で製作されたシート状巻線の形状を示す外観図である。
本発明の実施形態の回転電機1およびその製造方法について、図1〜図5を参考にして説明する。実施形態の回転電機1は、車両に搭載されるジェネレータモータであり、ロータ2を軸心に配置し、ステータ3を外周側に配置した三相同期機である。図1は、実施形態の回転電機1のステータ3のエンド部の外観を示す斜視図であり、紙面の上下方向が軸線AX方向となっている。また、図2は、ステータ3を軸線方向から見たときの中心角90°強の部分を示す図である。図2において、渡り導体部52、53は一部を除いて省略され、スロット導体部51の配置が示されている。ロータ2は、円筒状のロータコアの外周面寄りに永久磁石が埋め込まれて形成されている。一方、ステータ3は、本発明の構成要件であるコア4および波巻き巻線5を備えている。
ステータ3のコア4は、図1および図2に示されるように略円筒状であり、軸線AXを中心として概ね軸対称構造になっている。コア4は、電磁鋼板が軸線AX方向に積層され、図略の締結部材によりバインドされて構成されている。コア4の内周面側には、軸線方向に延在するスロット41が周方向に並んで48個形成されている。スロット41は、導体が挿通される空間であり、コア4の内周面側に軸線方向に延在する48個のティース42の間にそれぞれ形成されている。また、コア4の軸線方向の両側にそれぞれエンド空間43が形成される。エンド空間43では、導体が或る第1のスロットから別の第2のスロットに渡っている。コア4の軸線AX方向の端部、エンド空間43、および導体のうちエンド空間43に配置される渡り導体部52を含んで、ステータ3のエンド部と称する。
波巻き巻線5は、コア4の第1のスロットを挿通し一側のエンド空間43を経由して第2のスロットへ渡りさらに第2のスロットを挿通し他側のエンド空間を経由して第3のスロットへ渡ることを繰返すように導体が波巻きされて形成されている。図2に示されるように、導体は、面取りされた矩形断面を有し、材質としては例えば銅線を用いることができる。また、導体の表面にはエナメル樹脂製の絶縁被覆が施されている。絶縁被覆の厚みは、波巻きする以前は全長に亘って均一である。導体の形状、材質、および絶縁被覆の材質は上記に限定されない。
導体のうちスロット41内に位置する部分がスロット導体部51であり、導体のうちエンド空間43に位置する部分が渡り導体部52、53である。図1には、一側のエンド空間43の渡り導体部すなわち表渡り導体部52だけが見えており、スロット導体部51および他側のエンド空間の裏渡り導体部53は見えていない。図2に示されるように、各スロット41には8本のスロット導体部51が半径方向に一列に並んで配置されている。8本のスロット導体部51とコア4との間には、絶縁部材45が細長いコ字断面状に介挿されており、所定の絶縁性能が確保されている。
次に、導体の巻回方法について説明する。各スロット41は、隣り合う2箇所が組になり、同じ相の導体が挿通されるようになっている。図2の例では時計回りに順番に、U相第1スロット41U1、U相第2スロット41U2、W相第15スロット41W15、W相第16スロット41W16、V相第1スロット41V1、V相第2スロット41V2、U相第3スロット41U3、U相第4スロット41U4、W相第1スロット41W1、W相第2スロット41W2、V相第3スロット41V3、V相第4スロット41V4、およびU相第5スロット41U5の合計13スロット41が例示されている。そして、U相第1スロット41U1に配置される8本のスロット導体部51を、外周側から順番にスロット導体部U11、U12、……、U18とする。同様に、U相第3スロット41U3のスロット導体部51を外周側から順番にスロット導体部U31、U32、……、U38とし、U相第5スロット41U5のスロット導体部51を外周側から順番にスロット導体部U51、U52、……、U58とする。
上記のように符号を付したとき、U相第1スロット41U1の最外周のスロット導体部U11の上側(紙面表側)から、U相第3スロット41U3の2番目のスロット導体部U32の上側(紙面表側)に、表渡り導体部52U13で渡っている。また、U相第3スロット41U3の2番目のスロット導体部U32の下側(紙面裏側)から、U相第5スロット41U5の最外周のスロット導体部U51の下側(紙面裏側)に、裏渡り導体部53U35(破線示)で渡っている。
表渡り導体部52U13は、コア4の紙面表側の一側のエンド空間43に位置し、裏渡り導体部53U35は、コア4の紙面裏側の他側のエンド空間に位置している。また、表渡り導体部52U13および裏渡り導体部53U35はともに、軸線方向に山形状に拡がる山形部55を有している。さらに、山形部55の頂部付近では、導体を約半回転捻回して捻回部56を形成している。山形部55と捻回部56とを組み合わせることで、並行して配置される複数の渡り導体部52、53の相互間の干渉をできるだけ回避できる。
また、図には省略するが、U相第1スロット41U1の2番目のスロット導体部U12の下側(紙面裏側)から、U相第3スロット41U3の最外周のスロット導体部U31の下側(紙面裏側)に、裏渡り導体部で渡っている。さらに、U相第3スロット41U3の最外周のスロット導体部U31の上側(紙面表側)から、U相第5スロット41U5の2番目のスロット導体部U52の上側(紙面表側)に、表渡り導体部で渡っている。
U相第1スロット41U1、U相第3スロット41U3、およびU相第5スロット41U5の外周側から3番目および4番目のスロット導体部51も、上述したU相の最外周および2番目と同様にして渡っている。さらに、U相第1スロット41U1、U相第3スロット41U3、およびU相第5スロット41U5の外周側から5番目および6番目のスロット導体部51、ならびに外周側から7番目および最内周のスロット導体部U17、U18、U37、U38、U57、U58も、同様にして渡っている。例えば、U相第1スロット41U1の5番目のスロット導体部U15の上側(紙面表側)から、U相第3スロット41U3の6番目のスロット導体部U36の上側(紙面表側)に、表渡り導体部で渡っている。また、U相第3スロット41U3の6番目のスロット導体部U36の下側(紙面裏側)から、U相第5スロット41U5の5番目のスロット導体部U55の下側(紙面裏側)に、裏渡り導体部で渡っている。
また、上述したU相第1、第3、および第5スロット41U1、41U3,41U5内のスロット導体部51と同じ渡り方で、U相第2、第4、および第6スロット41U2、41U4内のスロット導体部51も渡っている。つまり、U相奇数番目のスロット51を順次渡って行く導体が2本で対になっており、U相偶数番目のスロット51を順次渡って行く導体が2本で対になっており、2対で合計4本の導体が用いられる。対になっている導体は、まず各スロットの最外周および2番目を互い違いに挿通しながら時計回りに波巻きされ、次にコア4を1周すると各スロットの3番目および4番目に入る。以下同様に、時計回りに波巻きされて順番に内周側に進み、最後に各スロットの7番目および最内周を互い違いに挿通してコア4を1周すると巻終わりになる。U相の4本の導体は直列接続、並列接続、直並列併用接続のいずれによって接続されてもよく、これにより電気的に接続された波巻き巻線5のU相部分が形成される。
さらに、V相およびW相のスロット導体部51も、周方向の位相は異なるものの、U相と同様の渡り方で渡っている。例えば、V相第1スロット41V1の最外周のスロット導体部V11の上側(紙面表側)から、V相第3スロット41V3の2番目のスロット導体部V32の上側(紙面表側)に、表渡り導体部で渡っている。また、V相およびW相のそれぞれの4本の導体もU相と同じ接続方法で電気的に接続され、波巻き巻線5のV相部分およびW相部分が形成される。
波巻き巻線5の全体の結線方法には、周知の三相Y結線または三相Δ結線を用いることができる。例えば、三相Y結線の場合には、各相の4本の導体を接続した後の波巻き巻線5の各相部分の一端を印加端として引き出して外部の電源に接続する。また、波巻き巻線5の各相部分の他端を中性端として引き出し、回転電機1内で三相の中性端を一括接続して中性点を形成する。
ここで、図1に示されるように、一側のエンド空間43には各相の表渡り導体部52、が多数配置される。そして、多数の箇所で異相の表渡り導体部52が相互に隣り合い、概ね並行して配置される。同様に、他側のエンド空間の多数の箇所でも、裏渡り導体部53、が相互に隣り合い、概ね並行して配置される。異相の導体の間には高電圧が発生しやすいので、従来技術では、隣り合う表渡り導体部52および裏渡り導体部53の間に相間絶縁紙を挿入する対策を施して絶縁信頼性を確保することがあった。ところが、実施形態の波巻き巻線5で例示説明した巻回方法では、異相の導体が隣り合って配置される箇所数が非常に多数あり、相間絶縁紙を挿入する対策は実施困難である。
そこで、本実施形態では、スロット導体部51の絶縁被覆の厚みよりも、表渡り導体部52、52U13および裏渡り導体部53、53U35の絶縁被覆の厚みを厚くしている。より詳細に言えば、均一な厚みの絶縁被覆を有する導体の一部分に絶縁追加処理を施して、部分的に渡り導体部52、53の絶縁被覆の厚みを大きくしている。具体的な絶縁追加処理の方法は、次の製造方法で述べる。
図3は、実施形態の回転電機1の製造方法を説明する図であり、ステータ3の製造工程図を示している。ステータ3の製造工程は、コア組立工程P1、折り曲げ工程P2、重ね合わせ工程(前期)P3、絶縁追加工程P4、重ね合わせ工程(後期)P5、および組み付け工程P6を有している。このうち、コア組立工程P1と、折り曲げ工程P2〜重ね合わせ工程(後期)P5とは、並行して実施することができる。
コア組立工程P1は、コア4を組み立てる工程であり、細分化された複数の詳細工程で構成することができる。例えば、定尺の大きな電磁鋼板の原板からコア4の断面形状に合致した多数枚の電磁鋼板を打ち抜く工程、電磁鋼板を積層する工程、および積層された電磁鋼板をバインドする工程などを組み合わせてコア組立工程P1とする。コア組立工程P1には、従来の製造方法を適宜採用することができる。
折り曲げ工程P2は、コア4のスロット41の形状に適合するように、均一な厚みの絶縁被覆を有する導体を波状に折り曲げて波巻き導体7を製作する工程である。折り曲げ工程P2は、適宜治具を用いて実施することができる。図4は、折り曲げ工程P2で製作された波巻き導体7の形状を示す外観図である。図示されるように、波巻き導体7は、直線状のスロット導体部51と、山形部55および捻回部56からなる表渡り導体部52または裏渡り導体部53とが交互に波状に形成される。このとき、図2で導体が渡るスロット41間の距離に一致するように、隣り合うスロット導体部51の間の距離Ddを適合させる。つまり、U相第1スロット41U1とU相第3スロット41U3との距離に例示される如く、ティース45を6個分だけ跨いだ距離に距離Ddを適合させる。
重ね合わせ工程(前期)P3は、コア4から離れた位置で、複数の波巻き導体7を相互の位相関係が適合するように重ね合わせてシート状巻線8を製作する工程である。重ね合わせ工程(前期)P3は、複数の波巻き導体7を所定の位相関係で保持する治具を用いて実施できる。ただし、位相関係の適合は必ずしも厳密でなくともよく、複数の波巻き導体7の間に間隔を設けてふんわりと重ね合わせ、並行配置される複数の表渡り導体部52および裏渡り導体部53の相互間に寸法の余裕を確保する。これにより、次の絶縁追加工程P4に支障が生じないようにできる。
図5は、重ね合わせ工程(前期)P3で製作されたシート状巻線8の形状を示す外観図である。シート状巻線8は、コア4から離れた位置の平面上に載置でき、屈曲可能なフレキシビリティを有する。なお、波巻き巻線5を構成するすべての波巻き導体7を1つのシート状巻線8に重ね合わせてもよく、あるいは2つ以上のシート状巻線8に分けて重ね合わせてもよい。
絶縁追加工程P4は、シート状巻線8の表渡り導体部52および裏渡り導体部53に相当する部分に絶縁追加処理を施して絶縁被覆の厚みを大きくする工程である。表渡り導体部52および裏渡り導体部53に相当する部分は、図5中の二点鎖線で囲まれた範囲である。絶縁追加処理の方法としては、樹脂コーティングあるいは粉体塗装を用いる。絶縁追加処理で用いる絶縁材料は、導体の絶縁被覆の材質と同じでもよく、また異なっていてもよい。例えば、導体の絶縁被覆がエナメル樹脂であるときに、絶縁追加処理でエナメル樹脂の厚みを増してもよく、また、エナメル樹脂の外側に別の樹脂をコーティングしたり、別の絶縁塗料を塗布したりしてもよい。ここで、複数の波巻き導体7がふんわりと重ね合わせられていて表渡り導体部52および裏渡り導体部53の相互間に寸法の余裕があるので、絶縁追加処理を容易かつ確実に実施できる。
重ね合わせ工程(後期)P5は、絶縁追加工程P4が終了した後にシート状巻線8を仕上げる工程である。この工程では、複数の波巻き導体7の相互の位相関係を厳密に適合させ、図5に示されるスロット導体部51間の多数の距離Dsがそれぞれティース42の寸法以上となるようにする。また、複数の波巻き導体7の間も、隙間なく重ね合わせる。
組み付け工程は、絶縁追加処理を施した後のシート状巻線8をコア4に組み付けて波巻き巻線5とする工程である。シート状巻線8はフレキシビリティを有しており、これを屈曲させながら軸線エンド方向からコア4の内周側に順次挿入し、スロット41内に収納組み付けすることができる。組み付け後に導体間の接続を行って波巻き巻線5の製作を終え、ステータ3の全製造工程が終了する。
この後、ケースにステータ3を組み込み、ステータ3の軸線AX上にロータ2を組み込むことで、回転電機1を製造できる。
実施形態の回転電機1では、コア4および波巻き巻線5をステータ3に備え、波巻き巻線5のスロット導体部51の絶縁被覆の厚みよりも渡り導体部52、53の絶縁被覆の厚みのほうが厚くなっている。このため、波巻き巻線5の渡り導体部52、53の絶縁信頼性が向上するとともに、スロット導体部51の絶縁被覆の厚みおよび占積率(スロット容積に占める導体の体積比率)は従来と同等になるので性能確保と両立できる。また、エンド空間43で渡り導体部52,53を遠回りさせて導体間に大きな離隔距離を確保する必要がないので、回転電機1は小形軽量でコスト低廉になり、性能も確保できる。
また、異相の導体がエンド空間で相互に隣り合って配置されているが、渡り導体部52、53の部分的に厚い絶縁被覆により絶縁信頼性が確保されている。したがって、スロット導体部51の絶縁被覆が厚くなることによるスロット41内の占積率の低下は生じず、渡り導体部52,53の間に相間絶縁紙を挿入することによる製造コストの上昇も生じない。
さらに、実施形態の回転電機1の製造方法では、重ね合わせ工程P3、P5の途中の絶縁追加工程P4で、シート状巻線8の渡り導体部に相当する部分に樹脂コーティングあるいは粉体塗装による絶縁追加処理を施す。つまり、エンド空間に多数の渡り導体部52,53が配置されて狭隘になる以前に絶縁追加処理を施すので、隣り合う導体同士が接触して絶縁追加処理を良好に行えなくなるおそれが生じない。これにより、渡り導体部52,53の絶縁信頼性を確実に向上できる。また、樹脂コーティングあるいは粉体塗装による絶縁追加処理は、相間絶縁紙の挿入と異なって一度に多数箇所への処理を容易に行えるので製造コストが低廉になり、特に異相の導体の隣り合う箇所数が多い構成では製造コストを大幅に低減できる。
なお、実施形態の波巻き巻線4の巻回方法は一例であって、本発明は波巻き巻線4の巻回方法の様々なバリエーションに対して適用できる。また、製造工程図の絶縁追加工程P4は、重ね合わせ工程の途中としているが、これに限定されず重ね合わせ工程の前、あるいは後であってもよい。絶縁追加工程P4を重ね合わせ工程(前期)P3の前に行う場合は、図4に示される波巻き導体7に対し、二点鎖線で囲まれた渡り導体部に相当する部分に絶縁追加処理を実施することになる。また、絶縁追加工程P4を重ね合わせ工程(後期)P5の後で行う場合は、シート状巻線8の隣り合う表渡り導体部52および裏渡り導体部53の相互間に絶縁追加処理を実施できるだけの寸法の余裕が確保されていることが条件になる。本発明は、その他さまざまな変形や応用が可能である。
1:回転電機
2:ロータ
3:ステータ
4:コア 41:スロット 42:ティース 43:エンド空間 45:絶縁部材
5:波巻き巻線
51:スロット導体部 52、52U13:表渡り導体部
53、53U35:裏渡り導体部 55:山形部 56:捻回部
7:波巻き導体
8:シート状巻線

Claims (4)

  1. 軸線方向に延在するスロットが周方向に並んで複数個形成されるとともに軸線方向の両側にそれぞれエンド空間が形成されるコアと、前記コアの第1のスロットを挿通し一側のエンド空間を経由して第2のスロットへ渡りさらに前記第2のスロットを挿通し他側のエンド空間を経由して第3のスロットへ渡ることを繰返すように導体が波巻きされて形成された波巻き巻線と、をロータおよびステータの少なくとも一方に備える回転電機であって、
    前記導体のうち前記スロット内に位置するスロット導体部の絶縁被覆の厚みよりも、前記導体のうち前記エンド空間に位置する渡り導体部の絶縁被覆の厚みのほうが厚いことを特徴とする回転電機。
  2. 請求項1に記載の回転電機であって、前記波巻き巻線は三相の導体からなり、異相の導体が前記エンド空間で相互に隣り合って配置されることを特徴とする回転電機。
  3. 請求項1または2に記載の回転電機であって、均一な厚みの絶縁被覆を有する導体の一部分に絶縁追加処理を施して、前記渡り導体部の絶縁被覆の厚みを大きくしたことを特徴とする回転電機。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機の製造方法であって、
    前記コアのスロットの形状に適合するように、均一な厚みの絶縁被覆を有する導体を波状に折り曲げて波巻き導体を製作する折り曲げ工程と、
    前記コアから離れた位置で、複数の前記波巻き導体を相互の位相関係が適合するように重ね合わせてシート状巻線を製作する重ね合わせ工程と、
    前記重ね合わせ工程の前、途中、または後で、前記波巻き導体または前記シート状巻線の前記渡り導体部に相当する部分に樹脂コーティングあるいは粉体塗装による絶縁追加処理を施して絶縁被覆の厚みを大きくする絶縁追加工程と、
    絶縁追加処理を施した後のシート状巻線を前記コアに組み付けて前記波巻き巻線とする組み付け工程と、を有することを特徴とする回転電機の製造方法。
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