セルラー移動通信の無線アクセス方式および無線ネットワークの進化(以下、「Long Term Evolution (LTE)」、または、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (EUTRA)」と称する。)が、第三世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project;3GPP)において検討されている。LTEでは、基地局装置から移動局装置への無線通信(下りリンク)の通信方式として、マルチキャリア送信である直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;OFDM)方式が用いられる。また、移動局装置から基地局装置への無線通信(上りリンク)の通信方式として、シングルキャリア送信であるSC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が用いられる。
図8は、LTEにおける無線フレームの構成の一例を示す図である。図8において、横軸方向は、時間軸を示し、縦軸方向は、周波数軸を示している。無線フレームは、例えば、周波数軸方向に12サブキャリア(sc)と、時間軸方向に複数のOFDMシンボルの集合であるスロットを一単位として構成される。12サブキャリアと1スロット長で区切られた割り当ての単位となる領域をリソースブロックと呼ぶ。サブフレームは、2つのスロットから構成され、更に、無線フレームは、10個のサブフレームから構成される。周波数方向には複数のリソースブロックが連続して配置される。
図8において、#0、#5サブフレームには、移動局装置やリレー局装置が、基地局装置配下のセルとの同期をとるために用いるプライマリ同期チャネル(Primary Synchronization Channel;P−SCH)、セカンダリ同期チャネル(Secondary Synchronization Channel;S−SCH)、及び、物理報知情報チャネル(Physical Broadcast Channel;PBCH)が含まれる。
移動局装置は、前記同期チャネルを利用して当該セルへ同期し、物理セルIDを取得する。次にPBCHを復調して、送信アンテナポート数などの主要なパラメータを取得し、その他の報知情報を下りリンク共有チャネル(Downlink Shared Channel;DL−SCH)に配置される動的報知チャネル(Dynamic Broadcast Channel;D−BCH)から取得する。D−BCHに含まれる情報は、情報の種類により複数のブロックに分けられ、それぞれシステム情報ブロック(System Information Block;SIB)と呼ばれる単位で、ブロックごとに個別の周期で報知される。
また、1サブフレームの先導のOFDMシンボルには、下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel;PDCCH)が配置され、制御フォーマット指示チャネル(Physical Control Format Indicator Channel;PCFICH)により、PDCCHを配置するOFDMシンボル数を指定する。
また、サブフレーム内には、復調、及び、受信品質測定に必要な参照信号(Downlink Reference Signal;DL−RS)が含まれる。参照信号のサブキャリア配置は、前述の物理セルIDによって一意に定められる。移動局装置は、参照信号を用いて受信品質の測定や、PDCCHに対して伝播路補償を行い、PDCCHにより自局宛のデータ割り当てを検出すると、当該PDCCH以降のODFMシンボルを復調して、自局宛のデータを取得する。
また、LTEでは、マルチメディアの同報通信サービス(Multimedia Broadcast/Multicast Service;MBMS)の実施が検討されている。MBMSは、複数セルに亘る広範囲なエリアにおいて同一情報の同報サービスを行うことが想定される。MBMSの送信過程でセル間を移動する移動局装置が周波数切り替えを行うことによるサービスの中断が生じることを減らすために、エリア内で単一周波数ネットワーク(Single Frequency Network;SFN)の搬送波を用いる複数のセルで、同一のMBMSを送信するマルチメディア同報通信単一周波数ネットワーク(Multimedia Broadcast Single Frequency Network;MBSFN)の仕組みがある。
LTEでは、MBSFN送信を行うサブフレームでは、参照信号の配置が他のサブフレームと異なるため、移動局装置での処理に不具合が生じる。そのため、MBSFN送信を行うサブフレームがSIB2と呼ばれる情報ブロックで報知される仕組みとなっている。
またLTEでは、MBSFNの送信用に物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel;PMCH)が用意され、PMCHの配置されるサブフレームの情報ブロックがSIBのひとつであるSIB13で報知される(非特許文献1)。LTEでは1つのセルで複数のMBSFNエリアを構成することができるため、SIB13では、MBSFNエリアを識別するための識別子と、前記識別子のサービスが使用するサブフレームの情報が通知される。
ここで、SIB13で指定されるサブフレームは、SIB2で報知されるすべてのサブフレームであるとは限らない。SIB13で指定されなかったサブフレームは、MBMSの送信以外に用いることができる。例えば、送信を行わないことによって電力消費を抑えたり、後述するリレー局装置で用いることによってリレー局装置と基地局装置との通信などに利用されたりする。
MBSFNサブフレームの場合、先頭から2OFDMシンボルまでの参照信号は通常のサブフレームと同じ構造である。また、PDCCHも配置される。残りのOFDMシンボルは、MBMSのために使用される。
このように、LTEにおける、MBSFNのサブフレームでは、先頭から2OFDMシンボルに含まれる参照信号のみを用いてPDCCHの伝播路補償や、受信品質測定を行うことが検討されている。
更に、LTEでは、移動局装置の通信可能範囲(カバレッジ)の拡大や、通信容量(キャパシティ)の増大を目的として、リレー局装置を用いることが検討されている。リレー局装置は、通常セルの基地局装置(DeNB)との無線リンク(バックホールリンク)によりコアネットワークとの通信を行い、更に、移動局装置との無線リンク(アクセスリンク)により移動局装置との通信を行う。すなわちリレー局装置は、前記2つの無線リンクを用いて、移動局装置と基地局装置との間の通信を中継する。LTEでは、リレー局装置はバックホールリンクの通信にアクセスリンクのMBSFNサブフレームを利用できることが規定されている。
図9は、リレー局装置を含む通信システムの概略図である。図9において、基地局装置Naはリレー局装置RaのDeNBである。リレー局装置Raは、アクセスリンクの一部のサブフレームにMBSFNサブフレームを設定して、前記MBSFNサブフレームを利用してNaからの信号を受信する。また、リレー局装置Raには移動局装置UaおよびUbが接続しており、前記MBSFNサブフレーム以外のサブフレームを用いてUaおよびUb宛の信号を送信する。
また、図10にリレー局装置が始動する際の処理を示す。図10において、リレー局装置の始動は2つのフェーズで構成される。
最初のフェーズ(フェーズ1)で、リレー局装置は通常の移動局装置として基地局装置に接続し(ステップS1001)、リレー局装置の保守・管理を行うOAM(operations,administration,maintenance)と通信を行い、DeNBとなる基地局装置に関する情報を取得する(ステップS1002)。その後、移動局装置としての接続を終了する(ステップS1003)。
次のフェーズ(フェーズ2)で、リレー局装置は、前記DeNBとなる基地局装置に関する情報に基づき、DeNB候補の基地局装置とリレー局装置として接続し(ステップS1004)、再度OAMとの通信によりサービス開始のための設定を行い(ステップS1005)、基地局装置との間のインターフェースを確立し(ステップS1006)、リレーのサービスを開始する(ステップS1008)。また、基地局装置は、前記リレー局装置とのインターフェースを確立する際に、隣接基地局装置および制御局装置(MME)に対してセル情報の更新を通知する(ステップS1007)。
なお、リレー局装置には、同一周波数帯でバックホールリンクとアクセスリンクを切り替えて動作したり、あるいはバックホールリンクとアクセスリンクが異なる周波数帯であっても一つの送受信部を切り替えて動作することにより、前述のMBSFNサブフレームの仕組み等でリレー局装置用のリソースの割り当てが必要となるタイプのリレー局装置(以下、タイプAリレー局装置と称する)のほかに、複数の送受信部を具備し、バックホールリンクとアクセスリンクとで異なる周波数帯を利用したり、バックホールリンクとアクセスリンクとが同一周波数帯を利用していても各リンクで用いるアンテナの向きを調整することで、バックホールリンクとアクセスリンクとで同時に通信することができ、リレー局装置用のリソースの割り当てを必要としないタイプのリレー局装置(以下、タイプBリレー局装置と称する)が存在する。
また、現在のリレー局装置は固定設置されることが前提であるため、移動局装置に実装されているようなハンドオーバ等の移動(モビリティ)に関する仕組みは規定されていない。
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関する物理チャネルについて説明する。
LTEで使用される物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。物理チャネルは、基地局装置から移動局装置へ送信される下りリンクにおける下りリンクチャネルと、移動局装置から基地局装置へ送信される上りリンクにおける上りリンクチャネルとが存在する。物理チャネルは、LTEにおいて、今後追加、または、その構造が変更される可能性もあるが、変更された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、サブキャリアごとに互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(物理セルID、Physical Cell Identifier;PCI)と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。移動局装置やリレー局装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルから送信タイミング(フレームタイミング)やセルの物理セルIDなどを特定する。
物理報知情報チャネル(Physical Broadcast Channel;PBCH)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報);System information)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、下りリンク制御チャネルで無線リソースが通知され、下りリンクデータチャネルを用いてレイヤ3メッセージ(システムインフォメーション)で送信される。報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(Cell Global Identifier;CGI)、アクセスできる端末のクラス、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identifier;TAI)、セルの周波数帯域幅や下りリンクと上りリンクの周波数帯域の対応関係、MBSFNサブフレームやMBMSサービスで用いられるMBSFNサブフレーム割り当ての情報などが通知される。アイドル状態の移動局装置やリレー局装置は、セルサーチによって検出されたセルから上記の報知情報を取得して自局が通信するための最適なセルを選択する。
下りリンクリファレンスシグナルは、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルである。また、下りリンクリファレンスシグナルは、所定の規則に基づき周波数・時間位置で周期的に繰り返される既知の信号であり、信号の位置や系列は物理セルIDによって一意に定められる。移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルを受信することでセル毎の受信品質(受信電力や信号対干渉雑音比など)を測定する。また、移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルと同時に送信される下りリンク制御チャネル、または下りリンクデータチャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクリファレンスシグナルを使用する。下りリンクリファレンスシグナルに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。なお、下りリンクリファレンスシグナルはセル固有RS(Cell-specific reference signals)と記載される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel;PDCCH)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、移動局装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する目的で使用される。移動局装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバーコマンドなど)を送受信する前に自局宛の下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自局宛の下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラントと呼ばれる無線リソース割当て情報を取得する必要がある。
下りリンクデータチャネル(Physical Downlink Shared Channel;PDSCH)は、下りリンクデータの他、下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージとしてページングや報知情報を通知するためにも使用される。下りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
また、リレー局装置用の下りリンク制御チャネルと下りリンクデータチャネルもあり、それぞれ、R−PDCCH、R−PDSCHと呼ばれる。R−PDCCHおよびR−PDSCHが配置されるリソースは、RRCレイヤにおけるリレー局サブフレーム設定メッセージ(RN−SubframeConfig)を用いて基地局装置からリレー局装置に通知される。リレー局サブフレーム設定メッセージには、リレー局装置用下りリンクリソース(R−PDCCHおよびR−PDSCH)の配置(サブフレーム)情報、R−PDCCHのタイプ情報、復調に用いる参照信号の設定、サブフレーム内におけるR−PDSCHの開始OFDMシンボル位置情報、上りリンク制御チャネルに関する情報などが含まれる。さらに、R−PDCCH、R−PDSCHと同様のシグナリングの仕組みを通常の移動局装置にも適用するために、E−PDCCH、E−PDSCHと呼ばれるチャネルも検討されている。
上りリンクデータチャネル(Physical Uplink Shared Channel;PUSCH)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、下りリンクと同様に上りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel;PRACH)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを持つ。ランダムアクセスチャネルは、移動局装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。移動局装置は、上りリンク制御チャネル未設定時の送信データのスケジューリング要求や、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報の要求にランダムアクセスチャネルを用いる。送信タイミング調整情報を受信した移動局装置は、送信タイミング調整情報の有効時間を設定し、有効時間中は送信タイミング調整状態、有効期間外は、送信タイミング非調整状態として状態を管理する。基地局装置は、移動局装置に対して個別プリアンブル系列(Dedicated preamble)を割り当てて、ランダムアクセスを開始させることも可能である。
マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel;PMCH)は、マルチキャスト信号の送信に使用されるチャネルであり、MBMSの制御情報であるマルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel;MCCH)やMBMSのトラフィックデータであるマルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic Channel;MTCH)の送信に利用される。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に直接関わらないため詳細な説明は省略する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。
図1は、本発明の実施形態による基地局装置1の一例を示すブロック図である。本基地局装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、制御部104、符号部105、変調部106、送信部107、ネットワーク信号送受信部108、上位レイヤ109から構成される。
上位レイヤ109は、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データを符号部105へ出力する。符号部105は、入力された各データを符号化し、変調部106へ出力する。変調部106は、符号部105から入力された信号の変調を行なう。また、変調部106において変調された信号は、下りリンクリファレンスシグナルが多重され、周波数領域の信号としてマッピングされる。送信部107は、変調部106から入力された信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に送信する。下りリンク制御データが配置される下りリンクデータチャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRC(Radio Resource Control)メッセージ)を構成する。
また、受信部101は、リレー局装置2(図2参照)や図示しない移動局装置からの受信信号をベースバンドのデジタル信号に変換する。受信部101で変換されたデジタル信号は、復調部102へ入力されて復調される。復調部102で復調された信号は、続いて復号部103へ入力されて復号される。復号部103は、受信信号を上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ109へ出力する。
これら各ブロックの制御に必要な基地局装置制御情報は、上位レイヤ109より制御部104へ入力され、制御部104からは、送信に関連する基地局装置制御情報が送信制御情報として、符号部105、変調部106、送信部107の各ブロックに、受信に関連する基地局装置制御情報が受信制御情報として、受信部101、復調部102、復号部103の各ブロックに適切に入力される。
一方、ネットワーク信号送受信部108は、複数の基地局装置1間(または制御局装置(MME)、ゲートウェイ装置(Gateway)、MCE)と基地局装置1との間の制御メッセージの送信または受信を行なう。制御メッセージはネットワーク回線を経由して送受信される。制御メッセージは、S1インターフェースやX2インターフェースやM1インターフェースやM2インターフェースと呼ばれる論理インターフェース上でやり取りされる。
また、基地局装置1のRRC部は、上位レイヤ109の一部として存在する。図1において、その他の基地局装置1の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
図2は、本発明の実施形態によるリレー局装置2の一例を示すブロック図である。本基地局装置1は、第1の受信部201、第1の復調部202、第1の復号部203、ランダムアクセス処理部204、受信品質測定部217、第1の制御部205、第1の符号部207、第1の変調部208、第1の送信部209、上位レイヤ206、第2の受信部210、第2の復調部211、第2の復号部212、第2の制御部213、第2の符号部214、第2の変調部215、第2の送信部216から構成される。
リレー局装置2は基地局装置1とバックホールリンクで通信を行い、図示しない移動局装置とアクセスリンクで通信を行う。
上位レイヤ206は、バックホールリンクの通信として、Un上りリンクトラフィックデータとUn上りリンク制御データを第1の符号部207へ出力する。また、上位レイヤ206は、ランダムアクセス処理を行うための情報をランダムアクセス処理部204へ出力する。第1の符号部207は、上位レイヤ206から入力された各データや、ランダムアクセス処理部204から入力されたランダムアクセスのための信号を符号化し、第1の変調部208へ出力する。第1の変調部208は、符号部207から入力された信号の変調を行なう。また、第1の変調部208において、変調された信号は、上りリンクリファレンスシグナルが多重され、周波数領域の信号としてマッピングされる。第1の送信部209は、第1の変調部208から入力された信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に送信する。
また、第1の受信部201は、基地局装置1からの受信信号をベースバンドのデジタル信号に変換する。第1の受信部201で変換されたデジタル信号は、第1の復調部202へ入力されて復調される。第1の復調部202で復調された信号は続いて第1の復号部203へ入力されて復号される。第1の復号部203は、受信信号をUn下りリンクトラフィックデータとUn下りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ206へ出力する。また、第1の復号部203で復号されたランダムアクセス処理に関する情報はランダムアクセス処理部204に入力される。また、受信品質測定部217は第1の復調部202で検出された下りリファレンスシグナルや同期シグナルなどの受信電力から算出される受信品質を測定し、物理セルIDと対にして保持して、上位レイヤ206に通知する。
これらバックホールリンクに関する各ブロックの制御に必要なバックホールリンク制御情報は、上位レイヤ206より第1の制御部205へ入力され、第1の制御部205からは、送信に関連する制御情報が送信制御情報として、ランダムアクセス処理部204、第1の符号部207、第1の変調部208、第1の送信部209の各ブロックに、受信に関連する制御情報が受信制御情報として、第1の受信部201、第1の復調部202、第1の復号部203の各ブロックに適切に入力される。
また、上位レイヤ206は、アクセスリンクの通信として、Uu下りリンクトラフィックデータとUu下りリンク制御データを第2の符号部214へ出力する。第2の符号部214は、上位レイヤから入力された各データを符号化し、第2の変調部215へ出力する。第2の変調部215は、第2の符号部214から入力された信号の変調を行なう。また、第2の変調部215において、変調された信号は、下りリンクリファレンスシグナルが多重され、周波数領域の信号としてマッピングされる。第2の送信部216は、第2の変調部215から入力された信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に送信する。
また、第2の受信部210は、移動局装置からの受信信号をベースバンドのデジタル信号に変換する。変換されたデジタル信号は、第2の復調部211へ入力されて復調される。第2の復調部211で復調された信号は続いて第2の復号部212へ入力されて復号される。第2の復号部212は、受信信号をUu上りリンクトラフィックデータとUu上りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ206へ出力する。
これらアクセスリンクに関する各ブロックの制御に必要なアクセスリンク制御情報は、上位レイヤ206より第2の制御部213へ入力され、第2の制御部213からは、送信に関連する制御情報が送信制御情報として、第2の符号部214、第2の変調部215、第2の送信部216の各ブロックに、受信に関連する制御情報が受信制御情報として、第2の受信部210、第2の復調部211、第2の復号部212の各ブロックに適切に入力される。図2において、その他の基地局装置1の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。また、図2においてバックホールリンクの送受信に用いる各処理部と、アクセスリンクに用いる各処理部とはその一部あるいは全てを共通化してもよい。この場合、バックホールリンクの処理とアクセスリンクの処理は時分割で行われる。また、ランダムアクセス処理部204は、リレー局装置2のデータリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)の一部として存在する。
続いて、本実施形態の通信システムにおけるリレー局装置2のハンドオーバ手順について、図3を用いて説明を行なう。なお、本実施形態ではリレー局装置2がハンドオーバによりハンドオーバ前の基地局装置(Source eNB)とハンドオーバ後の基地局装置(Target eNB)が異なる場合のセルに移る例を説明するが、これに限らず、同一基地局装置のセル間の移動にも適用することもできる。この場合、基地局装置間のX2インターフェースを用いた通信は行われず、基地局装置単体で閉じたハンドオーバ制御が行われる。
図3において、まず第1の基地局装置1は、第2の基地局装置1に対してリレー局装置2のハンドオーバ要求メッセージを通知する(ステップS31)。ここでハンドオーバ要求メッセージはリレー局装置専用のメッセージであっても既存の基地局装置用のメッセージ(HANDOVER REQUEST)の流用であってもよい。前記ハンドオーバ要求メッセージには、リレー局装置2の通信能力に関する情報やネットワークリソースの割り当て情報、無線リソースの割り当て情報が含まれる。ステップS31によってハンドオーバ要求メッセージを受け取った第2の基地局装置1は、ハンドオーバを承認する場合、第1の基地局装置1に対してハンドオーバ要求承認メッセージを通知する(ステップS32)。ここでハンドオーバ要求承認メッセージはリレー局装置専用のメッセージであっても既存の基地局装置用のメッセージ(HANDOVER REQUEST ACK)の流用であってもよいし、また複数のメッセージで構成されてもよい。前記ハンドオーバ要求承認メッセージには、後述するランダムアクセスレスポンスの受信リソースとして移動局装置向けの下りリンクリソース(PDCCHおよびPDSCH)を用いるかリレー局装置用下りリンクリソース(R−PDCCHおよびR−PDSCH)を用いるかを識別可能な情報、およびリレー局装置用下りリンクリソースの配置されるサブフレーム情報が含まれる。
第1の基地局装置1は、ランダムアクセスプリアンブル送信リソースに関する情報(プリアンブル送信リソース情報(PRACH Mask Index)、プリアンブル番号(Preamble Index)など)、前記ランダムアクセスレスポンスの受信リソース情報およびハンドオーバ先セルにおいてリレー局装置2に割り当てられるセル無線ネットワーク一時識別子(Cell-Radio Network Temporary Identity;C−RNTI)を含むRRC接続再設定メッセージを、リレー局装置2に対して通知し、ハンドオーバをリレー局装置に指示する(ステップS33)。ここでRRC接続再設定メッセージはリレー局装置専用のメッセージであっても既存の移動局装置用のメッセージ(RRCConnectionReconfiguration)の流用であってもよい。また、RRC接続再設定メッセージには第2の基地局装置1のリレー局リンク用下りリンクリソースの配置情報を含んでもよい。この際、第2の基地局装置1から通知されたリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報が、現状リレー局装置2に割り当てられているリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報と異なる場合にのみ通知してもよいし、常に通知してもよい。また、リレー局装置2がタイプBリレー局装置である場合には通知する必要はないが、リレー局装置用下りリンクリソースを明示的に割り当てる(タイプAリレー局装置として動作させる)ために通知してもよい。
RRC接続再設定メッセージを受信したリレー局装置2は、前記ランダムアクセスレスポンスの受信リソース情報に基づいて、自局宛メッセージを抽出するためのセル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソースを設定する(ステップS34)。
ここでステップS34のセル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソース設定の具体的な一例を図4および図5のフローチャートを用いて説明する。
まず図4において、リレー局装置2は、RRC接続再設定メッセージを確認し、ランダムアクセスレスポンスの受信リソースとしてリレー局装置用下りリンクリソースが指定されているか(セル無線ネットワーク一時識別子を監視する制御チャネルにR−PDCCHが指定されているか)を判断する(ステップS41)。ステップS41でリレー局装置用下りリンクリソースが指定されなかった場合、セル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソース(制御チャネル)をPDCCHに設定し(ステップS46)、処理を終了する。
ステップS41でリレー局装置用下りリンクリソースが指定された場合、RRC接続再設定メッセージにリレー局サブフレーム設定が含まれているかを判断する(ステップS42)。ステップS42でリレー局サブフレーム設定指示がない場合、現在設定されているリレー局装置用下りリンクリソースの配置でR−PDCCHを監視するように設定し(ステップS45)、処理を終了する。
ステップS42でリレー局サブフレーム設定指示がある場合、設定指示により設定されるリレー局装置用下りリンクリソースの配置と現在設定されているリレー局装置用下りリンクリソースの配置を比較する(ステップS43)。ステップS43で配置が同一である場合、ステップS45に遷移し、現在設定されているリレー局装置用下りリンクリソースの配置でR−PDCCHを監視するように設定し、処理を終了する。
ステップS43で配置が異なる場合、リレー局装置2は、指示されたリレー局サブフレーム設定に基づきバックホールリンクのサブフレーム設定を変更し、さらに必要に応じてアクセスリンクのMBSFNサブフレーム設定を変更し、配下の移動局装置に変更を通知する(ステップS44)。次にリレー局装置2はステップS45に遷移し、新たに設定されたリレー局装置用下りリンクリソースの配置でR−PDCCHを監視するように設定し、処理を終了する。
リレー局装置2は、ステップS42でリレー局サブフレーム設定指示がある場合、ステップS43における配置の比較を行わず、ステップS44の処理を実行してもよい。
また別の例として図5において、リレー局装置2は、RRC接続再設定メッセージを確認し、ランダムアクセスレスポンスの受信リソースとしてリレー局装置用下りリンクリソースが指定されているかを判断する(ステップS51)。ステップS51でリレー局装置用下りリンクリソースが指定されなかった場合、セル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソースをPDCCHに設定し(ステップS57)、処理を終了する。
ステップS51でリレー局装置用下りリンクリソースが指定された場合、RRC接続再設定メッセージにリレー局サブフレーム設定が含まれているかを判断する(ステップS52)。ステップS52でリレー局サブフレーム設定指示がない場合、現在設定されているリレー局装置用下りリンクリソースの配置でR−PDCCHを監視するように設定し(ステップS55)、処理を終了する。
ステップS52でリレー局サブフレーム設定指示がある場合、設定指示により設定されるリレー局装置用下りリンクリソースの配置と現在設定されているリレー局装置用下りリンクリソースの配置を比較する(ステップS53)。ステップS43で両者の間で共通の配置(共通サブフレーム)が存在する場合、共通サブフレームでR−PDCCHを監視するように設定し(ステップS56)、処理を終了する。
ステップS43で共通サブフレームが存在しない場合、リレー局装置2は、指示されたリレー局サブフレーム設定に基づきバックホールリンクのサブフレーム設定を変更し、さらに必要に応じてアクセスリンクのMBSFNサブフレーム設定を変更し、配下の移動局装置に変更を通知する(ステップS54)。
次にリレー局装置2はステップS55に遷移し、新たに設定されたリレー局装置用下りリンクリソースでR−PDCCHを監視するように設定し、処理を終了する。
図3の説明に戻り、ステップS34でセル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソースの設定を行ったリレー局装置2は、割り当てられたプリアンブル送信リソースを用いて、指定されたプリアンブル番号に対応するランダムアクセスプリアンブルを送信する(ステップS35)。
第2の基地局装置1は、リレー局装置2からのランダムアクセスプリアンブルを検出すると、ランダムアクセスプリアンブルの受信タイミングから、リレー局装置2から第2の基地局装置1への送信タイミングのずれ量を算出する。
次に第2の基地局装置1は、第1の基地局装置1に通知したランダムアクセスレスポンスの受信リソース情報に基づき、リレー局装置2宛の応答(ランダムアクセスレスポンス)を示すためのセル無線ネットワーク一時識別子をPDCCHかR−PDCCHかの何れかに配置し、前記タイミングのずれ量に基づいた送信タイミング調整情報を含むランダムアクセスレスポンスメッセージを、前記セル無線ネットワーク一時識別子が配置された制御チャネル(PDCCHあるいはR−PDCCH)で指示されるデータチャネル(PDSCHあるいはR−PDSCH)に配置して送信する(ステップS36)。
ここで、第2の基地局装置1は、リレー局装置用下りリンクリソースを用いる際に、第1の基地局装置1から通知されたリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報が第2の基地局装置1で設定されるリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報と異なる場合に、共通サブフレームにR−PDCCHおよびR−PDSCHを配置する。
例えば、第1の基地局装置1のリレー局装置用下りリンクリソースが図8のサブフレーム番号#2、#3、#7であり、第2の基地局装置1のリレー局装置用下りリンクリソースがサブフレーム番号#2、#7、#8である場合、R−PDCCHおよびR−PDSCHをサブフレーム番号#2か#7の何れかに配置する。共通サブフレームが存在しない場合は、第2の基地局装置1で設定されるリレー局装置用下りリンクリソースの何れかに配置する。
リレー局装置2は、ステップS34で設定したリソースで制御チャネル(PDCCHあるいはR−PDCCH)に含まれるセル無線ネットワーク一時識別子を監視し、自局に割り当てられたセル無線ネットワーク一時識別子があることを検出すると、前記制御チャネルで指定されるデータチャネル(PDSCHあるいはR−PDSCH)に配置されたランダムアクセスレスポンスメッセージの中身を確認して、ランダムアクセスレスポンスメッセージに含まれる送信タイミング調整情報を用いて上りリンクの送信タイミングを調整する。
リレー局装置2は、ハンドオーバ先のセルへの接続が成功すると、接続が成功したセルにおいて、RRC接続再設定完了メッセージを送信する(ステップS37)。ここでRRC接続再設定完了メッセージはリレー局装置専用のメッセージであっても既存の移動局装置用のメッセージ(RRCConnectionReconfigurationComplete)の流用であってもよい。
ここで、前記図5のステップS56において、共通サブフレームでR−PDCCHを監視するようにリレー局装置2が設定されていた場合、セルへの接続が成功した後に、通知されていたリレー局サブフレーム設定に基づきバックホールリンクのサブフレーム設定を変更し、必要に応じてアクセスリンクのMBSFNサブフレーム設定を変更し、配下の移動局装置に変更を通知してもよい。
RRC接続再設定完了メッセージを受け取った第2の基地局装置1は第1の基地局装置1に対してハンドオーバ完了を通知する(ステップS38)。また、第2の基地局装置1は、ハンドオーバ完了後にリレー局装置2に対してリソースの割り当てを行う。ここでハンドオーバ完了メッセージはリレー局装置専用のメッセージであっても既存の基地局装置用のメッセージ(HANDOVER COMPLETE)の流用であってもよい。
上述のように、リレー局装置2は、リレータイプおよびハンドオーバ元とハンドオーバ先のセルのリレー局装置用下りリンクリソースの配置の違いに基づいて、ハンドオーバ時のバックホールリンクのサブフレームおよびランダムアクセス処理に使用するリソースを設定し、ハンドオーバ先のセルを管理する第2の基地局装置1は、自局のリレー局サブフレーム設定と第1の基地局装置1のリレー局サブフレーム設定とに基づき、ランダムアクセスプリアンブルを受信するリソースおよびセル無線ネットワーク一時識別子を含む制御情報とランダムアクセスレスポンスメッセージを配置するリソースを設定することにより、ハンドオーバ時のサブフレーム再設定の処理を削減することが可能となる。
なお、本実施形態では、ハンドオーバ先セルのリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報をハンドオーバ要求承認メッセージに含めてハンドオーバ元セルの基地局装置に通知しているがこれに限らず、予め他のメッセージを利用して前記情報を基地局装置間で交換しておいてもよい。
また、本実施形態ではRRC接続再設定メッセージにランダムアクセスレスポンスの受信リソース情報に基づいてセル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソースを設定しているが、これに限らず、例えばRRC接続再設定メッセージにリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報が含まれる場合にはR−PDCCHを監視するように設定し、リレー局装置用下りリンクリソースの配置情報が含まれない場合にはPDCCHを監視するように設定してもよい。すなわち、セル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソースを明示することなく、リレー局装置用リソースの配置情報の有無で判断するようにしてもよい。
また、本実施形態ではハンドオーバ元とハンドオーバ先のリレー局装置用下りリンクリソースの配置が異なる場合に、PDCCHを用いてセル無線ネットワーク一時識別子を監視するハンドオーバ処理を行っているが、これに限らず、リレー局装置用下りリンクリソースの配置が異なる場合には図10に示すフェーズ2のセル接続処理を行ってもよい。すなわち、ハンドオーバ元とハンドオーバ先のリレー局装置用下りリンクリソースの配置が同一あるいは共通となるサブフレームがある場合にはハンドオーバ処理を行い、そうでない場合には従来のセル接続処理を行うようにしてもよい。
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態ではRRC接続再設定メッセージにセル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソースを設定するための情報が含まれる例を示したが、本実施形態では別の例を示す。
本実施形態の説明で用いる通信システム(基地局装置1およびリレー局装置2)の構成は第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。また、通信に用いられるメッセージも第1の実施形態と同様に新規のメッセージの利用あるいは既存のメッセージの流用が可能である。
本実施形態の通信システムにおけるリレー局装置2のハンドオーバ手順について、図6を用いて説明を行なう。
図6において、まずリレー局装置2は予め第1の基地局装置1から通知される設定(報告対象の周波数やセルID、および測定結果報告のイベント条件など)に従い、隣接セル測定を行う(ステップS601)。
次にリレー局装置2は、イベント条件が成立した場合、報告条件に合致する測定結果をレイヤ3メッセージである測定報告に含め、第1の基地局装置1へ送信する(ステップS602)。測定報告は、例えばレイヤ3メッセージのMeasurement Reportである。前記測定報告には少なくとも測定されたセルの識別子と当該セルにリレー局装置2が接続した場合のリレータイプ(当該セルをDeNBとする場合にリレー局装置用下りリンクリソースが必要か否か)の情報が含まれる。なお、リレータイプの情報は現状のリレータイプから変更がある場合、あるいは既定のリレータイプと異なるリレータイプとなる場合にのみ通知するようにしてもよい。
前記測定報告を受信した第1の基地局装置1は、前記測定報告に基づいてハンドオーバの要否およびハンドオーバ先を判断する(ステップS603)。ハンドオーバが必要と判断された場合、第1の基地局装置1はハンドオーバ先候補のセルを管理する基地局装置1(ここでは第2の基地局装置1)に対してリレー局装置2のハンドオーバ要求メッセージを通知する(ステップS604)。前記ハンドオーバ要求メッセージには、第1の基地局装置1のリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報およびリレー局装置2から報告されたリレータイプ情報が含まれる。
ハンドオーバ要求メッセージを受け取った第2の基地局装置1は、ハンドオーバを承認する場合、第1の基地局装置1に対してハンドオーバ要求承認メッセージを通知する(ステップS605)。ハンドオーバ要求承認メッセージには第2の基地局装置1のリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報を含めてもよい。
第1の基地局装置1は、ランダムアクセスプリアンブル送信リソースに関する情報(プリアンブル送信リソース情報(PRACH Mask Index)、プリアンブル番号(Preamble Index)など)およびハンドオーバ先セルにおいてリレー局装置2に割り当てられるセル無線ネットワーク一時識別子を含むRRC接続再設定メッセージを、リレー局装置2に対して通知し、ハンドオーバをリレー局装置に指示する(ステップS606)。
また、RRC接続再設定メッセージには第2の基地局装置1のリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報を含んでもよい。この際、第2の基地局装置1から通知されたリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報が、現状リレー局装置2に割り当てられているリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報と異なる場合にのみ通知してもよいし、常に通知してもよい。また、リレー局装置2がタイプBリレー局装置である場合には通知する必要はないが、リレー局装置用下りリンクリソースを明示的に割り当てる(タイプAリレー局装置として動作させる)ために通知してもよい。
RRC接続再設定メッセージを受信したリレー局装置2は、前記RRC接続再設定メッセージに含まれるハンドオーバ先のセル識別子に基づいて、自局宛メッセージを抽出するためのセル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソースを設定する(ステップS607)。
ここでステップS607の具体的なリソース設定の一例を図7のフローチャートを用いて説明する。
まず図7において、リレー局装置2は、RRC接続再設定メッセージを確認し、リレー局サブフレーム設定指示が含まれているかを判断する(ステップS71)。
ステップS71で設定指示が含まれない場合、当該セルに接続した場合のリレータイプを事前の測定報告にて通知したかを判断する(ステップS72)。ステップS72にて事前にタイプBのリレー局装置となることを通知していた場合、セル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソース(制御チャネル)をPDCCHに設定し(ステップS73)、処理を終了する。
ステップS72にて通知を行っていない場合あるいはタイプAのリレー局装置となることを通知していた場合、現在設定されているリレー局装置用リソースの配置でR−PDCCHを監視するように設定し(ステップS74)、処理を終了する。
ステップS71で設定指示が含まれる場合、設定指示により設定されるリレー局装置用下りリンクリソースの配置と現在設定されているリレー局装置用下りリンクリソースの配置を比較する(ステップS75)。ステップS75で両者の間で共通の配置(共通サブフレーム)が存在する場合、共通サブフレームでR−PDCCHを監視するように設定し(ステップS77)、処理を終了する。
ステップS75で共通サブフレームが存在しない場合、リレー局装置2は、指示されたリレー局サブフレーム設定に基づきバックホールリンクのサブフレーム設定を変更し、さらに必要に応じてアクセスリンクのMBSFNサブフレーム設定を変更し、配下の移動局装置に変更を通知する(ステップS76)。
次にリレー局装置2はステップS74に遷移し、新たに設定されたリレー局装置用下りリンクリソースでR−PDCCHを監視するように設定し、処理を終了する。
図6の説明に戻り、ステップS607でセル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソースの設定を行ったリレー局装置2は、割り当てられたプリアンブル送信リソースを用いて、指定されたプリアンブル番号に対応するランダムアクセスプリアンブルを送信する(ステップS608)。
第2の基地局装置1は、リレー局装置2からのランダムアクセスプリアンブルを検出すると、ランダムアクセスプリアンブルの受信タイミングから、リレー局装置2から第2の基地局装置1への送信タイミングのずれ量を算出する。
次に第2の基地局装置1は、第1の基地局装置1から通知されたリレータイプ情報および第1の基地局装置1のリレー局装置用リソースの配置情報に基づき、リレー局装置2宛の応答(ランダムアクセスレスポンス)を示すためのセル無線ネットワーク一時識別子をPDCCHかR−PDCCHかの何れかに配置し、前記タイミングのずれ量に基づいた送信タイミング調整情報を含むランダムアクセスレスポンスメッセージを、前記セル無線ネットワーク一時識別子が配置された制御チャネル(PDCCHあるいはR−PDCCH)で指示されるデータチャネル(PDSCHあるいはR−PDSCH)に配置して送信する(ステップS609)。
ここで、第2の基地局装置1は、リレー局装置用下りリンクリソースを用いる際に、第1の基地局装置1から通知されたリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報が第2の基地局装置1で設定されるリレー局装置用下りリンクリソースの配置情報と異なる場合に、共通サブフレームにR−PDCCHおよびR−PDSCHを配置する。
例えば、第1の基地局装置1のリレー局装置用下りリンクリソースが図8のサブフレーム番号#2、#3、#7であり、第2の基地局装置1のリレー局装置用下りリンクリソースがサブフレーム番号#2、#7、#8である場合、R−PDCCHおよびR−PDSCHをサブフレーム番号#2か#7の何れかに配置する。共通サブフレームが存在しない場合は、第2の基地局装置1で設定されるリレー局装置用下りリンクリソースの何れかに配置する。
リレー局装置2は、ステップS607で設定したリソースで制御チャネル(PDCCHあるいはR−PDCCH)に含まれるセル無線ネットワーク一時識別子を監視し、自局に割り当てられたセル無線ネットワーク一時識別子があることを検出すると、前記制御チャネルで指定されるデータチャネル(PDSCHあるいはR−PDSCH)に配置されたランダムアクセスレスポンスメッセージの中身を確認して、ランダムアクセスレスポンスメッセージに含まれる送信タイミング調整情報を用いて上りリンクの送信タイミングを調整する。
リレー局装置2は、ハンドオーバ先のセルへの接続が成功すると、接続が成功したセルにおいて、RRC接続再設定完了メッセージを通知する(ステップS610)。
ここで、図7のステップS77において、共通サブフレームでR−PDCCHを監視するようにリレー局装置2が設定されていた場合、セルへの接続が成功した後に、通知されていたリレー局サブフレーム設定に基づきバックホールリンクのサブフレーム設定を変更し、必要に応じてアクセスリンクのMBSFNサブフレーム設定を変更し、配下の移動局装置に変更を通知してもよい。
RRC接続再設定完了メッセージを受け取った第2の基地局装置1は第1の基地局装置1に対してハンドオーバ完了を通知する(ステップS611)。また、第2の基地局装置1は、ハンドオーバ完了後にリレー局装置2に対してリソースの割り当てを行う。
上述のように、リレー局装置2は、予め第1の基地局装置1に通知したハンドオーバ先候補セルにおけるリレータイプの情報と、第1の基地局装置1から通知されるリレー局サブフレーム設定に基づきハンドオーバ後のリレータイプと、セル無線ネットワーク一時識別子を監視するリソースとを設定し、ハンドオーバ先のセルを管理する第2の基地局装置1は、第1の基地局装置1から通知されるリレー局装置2のリレータイプとリレー局サブフレーム設定に基づき、ランダムアクセスプリアンブルを受信するリソースおよびセル無線ネットワーク一時識別子を含む制御情報とランダムアクセスレスポンスメッセージを配置するリソースを設定することにより、ハンドオーバ時のサブフレーム再設定の処理やシグナリングを削減して、効率的なハンドオーバ処理を実現することが可能となる。
以上、本発明に係る実施形態の説明を行ってきたが、本発明におけるリレー局装置や基地局装置に関しては、基地局装置の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各実施形態で示した制御を行なってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上記各実施形態に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
また、上記各実施形態においてリレー局装置のDeNBとなるのは基地局装置であるものとして説明を行ったが、これに限らず、基地局装置の代わりにリレー局装置をDeNBとすることも可能である。この場合、リレー局装置がリレー局装置に接続することになる。また、C−RNTIの代わりに、ランダムアクセスレスポンス識別情報(Random Access-Radio Network Temporary Identity;RA−RNTI)を用いることも可能である。
また、上記各実施形態では基地局装置間のインターフェース(X2インターフェース)を用いた場合のハンドオーバ処理について説明したが、これに限らず、X2インターフェースの代わりにS1インターフェースを用いたMMEを経由するハンドオーバ処理を行ってもよい。この場合は、基地局装置間で直接通信を行うのではなく、各基地局装置のMMEを通じたハンドオーバ処理となる。
以上、本発明の実施形態について特定の具体例に基づいて詳述してきたが、本発明の趣旨ならびに特許請求の範囲は、これら特定の具体例に限定されないことは明らかである。すなわち、本明細書の記載は例示説明を目的としたものであり、本発明に対して何ら制限を加えるものではない。