以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の画像形成処理システムのシステム構成を示す図である。本実施形態の画像形成処理システムは、携帯端末からの印刷指示やクラウドコンピューティング(クラウド)を利用した印刷指示にもとづいて、画像形成装置1によって画像形成処理を行うシステムである。具体的には図1には、携帯端末100から画像形成装置1に直接印刷を指示する処理と、携帯端末100(または100’)やPC150(またはPC150’)からクラウドを経由して印刷を指示するシステムとを含む、画像形成処理システムを示す。いずれの場合も、PCから画像形成装置に印刷を指示する場合に利用されるプリンタドライバが利用されないで、画像形成装置1に印刷が指示される。
図1に示す画像形成処理システムは、オフィス内と、オフィス外と、クラウドを利用したサービス(クラウドサービス)のプロバイダと、にある装置がインターネットや有線、無線のネットワークを介して接続されるシステムである。
オフィス内には、画像形成装置1と、携帯端末100と、PC150と、アクセスポイント200と、ネットワーク250とが含まれる。
オフィス外には、携帯端末100’と、PC150’と、アンテナ300とが含まれる。
クラウドサービスのプロバイダ側にはサーバ400と、プリントサーバ450と、があり、これらはネットワーク500で互いに接続される。以下、各装置の構成を説明する。
図2は画像形成装置1の構成を示す構成図である。画像形成装置1は、コピーやスキャンやFAXなどの複数の機能を備えるMFP(Multi Function Peripheral)である。画像形成装置1は、制御部2と、補助記憶装置8と、プリンタ部10と、スキャナ部12と、操作パネル14と、通信インターフェース(通信I/F)16と、ファクシミリコントロールユニット(FCU)18と、を備える。画像形成装置1の各コンポーネントは、バス20を介して接続される。
制御部2は、画像形成装置1の様々な処理を制御する。制御部2は、プロセッサ4と、メモリ6と、補助記憶装置8に格納されるOS(Operating System)により機能する。プロセッサ4は、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)である。メモリ6は、たとえば、半導体メモリである。メモリ6は、プロセッサ4の制御プログラムを格納するROM6aと、プロセッサ4に一時的な作業領域を提供するRAM6bを備える。
制御部2は、ROM6aあるいは補助記憶装置8に格納された制御プログラム等に基づいて、プリンタ部10、スキャナ部12、操作パネル14、通信I/F16、FCU18などを制御する。制御部2はさらに、さまざまな画像処理機能を有してもよい。なお、制御部2は、画像形成装置1が備える機能の一部又は全部を実現するASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含んでもよい。
補助記憶装置8は、アプリケーションプログラムおよびOSなどの各種プログラムや画像処理対象のデータやその他の画像形成装置1で扱う情報を記憶する。アプリケーションプログラムは、コピー機能、プリント機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、ネットワークファイル機能といった画像形成装置1が有する機能を実行するプログラムを含む。アプリケーションプログラムは、更に、Webクライアント用のアプリケーション(Webブラウザ)やその他のアプリケーションを有する。また補助記憶装置8は、スキャナ部12で原稿を読み取って生成した画像データや、通信I/F16に接続される外部の機器から取得したデータ等を記憶する。補助記憶装置8は、画像形成装置1における画像処理の処理単位であるジョブをジョブの実行時まで一時的に保管する。ジョブとしては、クライアント端末などから出力される印刷を指示する印刷ジョブや、コピー処理を指示するコピージョブや、ファックスで受信した画像の印刷を指示するファックスジョブなどがある。
さらに本実施形態の補助記憶装置8は、設定値データベース(DB)8aを格納する。設定値DB8aは印刷設定項目の設定値が、その設定値を設定する場合の条件と対応付けられて登録されたデータベースである。設定値DB8aに格納された設定値を利用した本実施形態の画像形成処理方法については後述する。
補助記憶装置8としては、たとえば、ハードディスクドライブ等の磁気記憶装置、光学式記憶装置、半導体記憶装置(フラッシュ・メモリ等)またはこれら記憶装置の任意の組合せでもよい。補助記憶装置8は、ソフトウェア更新、保護された電子ドキュメント、テキストデータ、アカウント情報、ポリシー情報等を適切に保存する。
プリンタ部10は、たとえば、スキャナ部12で原稿を読み取って得られる画像や、携帯端末100などのコンピュータからネットワーク250を介して送られてきた印刷ジョブや、後述するクラウド上のプリントサーバ450から出力された印刷ジョブに基づきシート上に画像形成する。プリンタ部10は、たとえば、プロセスユニットや、トナー像を用紙に転写させるための転写ユニットや、定着装置などで構成される。
スキャナ部12は、走査読取ユニットと、原稿載置台と、読取位置に原稿を搬送する自動原稿送り装置などを備える。走査読取ユニットは、原稿載置台あるいは自動原稿送り装置にセットされた原稿を読み取る。
操作パネル14は、表示部14aと各種の操作キー14bとを備える。表示部14aは、たとえば、用紙サイズ、コピー枚数、印刷濃度設定、Nin1設定、あるいは綴じや折りなどの仕上げ等の印刷条件に関する設定内容を表示する。また表示部14aはタッチ操作で入力が可能なタッチパネルである。操作キー14bはたとえば、テンキー、リセットキー、ストップキー、スタートキー等である。ユーザはたとえば、コピー等の各種処理の実行を指示する操作入力や、印刷条件の設定操作や変更操作をタッチパネル14aまたは操作キー14bにより行うことができる。なお表示部14aはタッチパネルではない通常の液晶画面でもよい。
通信I/F16は、ネットワーク250を介して外部の機器と画像形成装置1とを接続するインターフェースである。また通信I/F16は、フラッシュメモリなどの外部の機器を直接接続するインターフェースであってもよい。通信I/F16は、たとえばBluetooth(登録商標)、赤外線接続、光接続といったIEEE802.15、IEEE802.11、IEEE802.3、IEEE1284等に準拠した適切な無線通信またはUSBなどの有線通信により外部機器と接続する。通信I/F16はバッファを含み、ネットワーク250を介して受信したデータの一部あるいは全部を一時的にバッファへ保持する。制御部2は通信I/F16およびネットワーク250を介してPC150などの外部機器と通信する。
ファクシミリコントロールユニット(FCU)18は、画像形成装置1におけるファクシミリの送信処理及び受信処理を行う。
以上が本実施形態の画像形成装置1の装置構成である。
次に図3は、携帯端末100とPC150との構成を示す構成図である。
まず携帯端末100は、携帯電話回線や無線LANなどを利用してデータ通信が可能な通信装置である。携帯端末100は具体的にはスマートフォン(多機能携帯電話)や携帯電話などである。本実施形態では携帯端末100はスマートフォンであるとして説明する。図3に示す携帯端末100は、オフィス内のアクセスポイント200からネットワーク250に接続することで画像形成装置1に印刷指示をしたり、さらにインターネットに接続することができる。携帯端末100は携帯電話回線網からインターネットに接続することもできる。携帯端末100から画像形成装置1への印刷指示は、ネットワーク250を介して画像形成装置1に印刷を指示する方法以外に、クラウドサービスを利用して行うこともできる。クラウドサービスを利用する場合には、携帯端末100からプリントサーバ450を介して画像形成装置1に印刷指示がなされる。
携帯端末100の構成を説明する。携帯端末100は、制御部102と、補助記憶装置108と、入力インターフェース(入力I/F)110と、入力部112と、表示インターフェース(表示I/F)114と、表示部116と、通信I/F118と、アンテナ120などを備える。これらの各コンポーネントはバス140を介して互いに接続される。
制御部102は、携帯端末100における様々な処理を制御する。制御部102はプロセッサ104と、メモリ106と、OS108aとにより機能する。
プロセッサ104は、メモリ106に格納される制御プログラム(たとえばBIOSなどのファームウェア)や補助記憶装置108に格納されるOS108aを実行して、携帯端末100を制御する。プロセッサ104は、たとえばCPUやMPUである。
メモリ106は、制御プログラムを格納したりプロセッサ104に一時的な作業領域を提供したりする。メモリ106は半導体メモリであり、プロセッサ104の制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)106aやプロセッサ4に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)106bなどを有する。
なお制御部102は携帯端末100が備える機能の一部又は全部を実現するASICを含んでもよい。
補助記憶装置108は、OS108aやその他のプログラムを格納したり、画像データや音声データやアプリケーションソフトのデータなどの様々なデータを格納する記憶装置である。補助記憶装置108はフラッシュメモリ等の半導体記憶装置である。補助記憶装置108としてはその他にハードディスクドライブやその他の磁気記憶装置、光学式記憶装置などを用いてもよいし、これらの任意の組合せであってもよい。
入力I/F110は、入力部112を接続するインターフェースである。入力部112は操作キーやタッチパネルなどの入力デバイスであり、これらのいずれかを備えてもよいし複数種類備えてもよい。
表示I/F114は、表示部116を接続するインターフェースである。表示I/F114はバス140に接続された他のコンポーネントから表示部116に表示するデータを受け取る。表示I/F114は、表示部116へ表示データを出力する。表示部116は、出力された表示データを表示する。表示部116がタッチパネルである場合には、表示部116が入力手段も兼ねる。
通信I/F118は、外部の機器と接続するインターフェースである。通信I/F18はたとえば、Bluetooth(登録商標)、赤外線接続、光接続といったIEEE802.15、IEEE802.11、IEEE802.3、IEEE1284等に準拠した適切な無線通信またはUSBなどの有線通信により外部の機器と通信する。無線通信する場合には、アンテナ120を介してデータを送受信する。制御部102は、通信I/F118やアンテナ120による外部との通信を制御する。
以上が携帯端末100の装置構成である。
次にPC150の構成を説明する。PC150は、ネットワーク250に接続されるコンピュータである。PC150は、ネットワーク250を介して画像形成装置1に直接印刷を指示したり、クラウドサービスを利用して、プリントサーバ450経由で画像形成装置1に印刷を指示したりすることができる。なおネットワーク250内で画像形成装置1に直接印刷を指示する場合には、プリンタドライバを利用して印刷ジョブを生成して画像形成装置1に印刷させる通常の印刷処理である。
PC150の構成は基本的には携帯端末100と同様であり、制御部152と、補助記憶装置158と、入力I/F160と、入力部162と、表示I/F164と、表示部166と、通信I/F168などを備える。各コンポーネントはバス170によって互いに接続される。各コンポーネントは、携帯端末用の構成が通常のパーソナルコンピュータ用の構成に置き換えられたものである。例えば、入力部162はキーボードやマウスやタッチパッドであり、プロセッサ154やメモリ156や補助記憶装置158などもパーソナルコンピュータに適したものが用いられる。各コンポーネントの構成は携帯端末100の構成と同様であるので詳細な説明は省略する。
次にアクセスポイント200は、ネットワーク250に無線通信で接続するための中継装置である。たとえば、図1に示すように、アクセスポイント200と無線通信可能な空間であるオフィス内の携帯端末100が、アクセスポイント200と無線通信をすることにより、ネットワーク250に接続される。
ネットワーク250は、画像形成装置1やPC150や無線通信で接続される携帯端末100を互いに通信可能に接続する。ネットワーク150は、たとえばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などで構成されればよい。本実施形態ではネットワーク250は、画像形成装置1が配置されるオフィス内の通信ネットワークであるとする。
次に、図1においてオフィス外の機器を説明する。オフィス外は、画像形成装置1が接続されるネットワーク250には直接アクセスできないネットワーク250外の環境一般を意味する。このオフィス外からは、たとえば携帯端末100’が携帯電話回線網からクラウドコンピューティングを利用してプリントサーバ450にアクセスし、プリントサーバ450からクラウドサービスを利用して画像形成装置1に印刷を指示することができる。またPC150’がインターネットに接続してクラウドサービスを利用し、同じくプリントサーバ450から画像形成装置1に印刷指示をすることもできる。
図1においてオフィス外には、携帯端末100’と、PC150’と、アンテ300とを示す。携帯端末100’の構成はオフィス内の携帯端末100と同様であり、PC150’の構成はPC150と同様であるので、説明は省略する。
アンテナ300は無線通信機能を有する装置と通信して、インターネットへの接続を中継する。アンテナ300から接続される通信網は無線通信端末をインターネット等に接続できれば特に限定されない。アンテナ300はたとえば、携帯電話回線網の基地局や、無線LANのアクセスポイントである。
オフィス外にある携帯端末100’やPC150’は画像形成装置1が接続されるネットワーク250に接続されていないので、オフィス外から画像形成装置1に直接印刷を指示することはできないが、クラウドサービスを利用してプリントサーバ450を介して画像形成装置1に印刷を指示することができる。
次に、図1に示すクラウドサービスを提供するプロバイダ側のシステム構成を説明する。なお、本実施形態において「クラウドサービス」とは、インターネットを経由してデータセンタなどに蓄積されたコンピュータ資源をサービスとしてユーザに提供することを示す。
図1ではクラウドサービスを提供するシステム構成としてサーバ400と、プリントサーバ450と、を含み、これらの装置がネットワーク500で接続されたシステムを示す。このような装置構成のシステムによって提供しうるクラウドサービスのうち本実施形態において対象となるのは、クライアント端末からインターネット経由で画像形成装置1に印刷指示を行う処理を少なくとも含むクラウドサービスである。そのため、クラウド側の装置には少なくともプリントサーバ450(あるいは以下説明するプリントサーバ450の機能を実現可能なシステム)が含まれる。クラウドサービスの内容によってはサーバ400は処理に関与しない場合もあるので、本実施形態において必須の構成ではない。
本実施形態において対象となるクラウドサービスの形態は限定されないが、例えば(1)クライアント端末が保持するデータをインターネットを介してクラウドサービス提供側のプリントサーバ450に送信(アップロード)し、プリントサーバ450を経由して画像形成装置1に印刷させるケース、(2)クラウド側にファイルを保存するストレージが存在し、クライアント端末からの操作によりそのストレージ上のファイルをプリントサーバ450経由で画像形成装置1に印刷させるケース、(3)SaaS(Software as a Service)としてクライアント端末にアプリケーションを提供し、そのアプリケーション利用して作成したファイル等のデータをプリントサーバ450経由で画像形成装置1に印刷させるケース、などが挙げられる。
(1)の場合は、印刷対象のデータが携帯端末100(100’)やPC150(150’)などのクライアント端末に存在し、印刷対象のデータを画像形成装置1で印刷可能なデータに変換して、変換したデータをインターネット経由で画像形成装置1に送信し、画像形成装置1に印刷させる処理が行われる。従って(1)のケースでは、プリントサーバ450によって行われる処理だけが、クラウド側で行われる。
(2)の場合は、印刷対象のデータがクラウド側で管理される。そして、クライアント端末からの指示によりクラウド側で保存されている印刷対象のデータをプリントサーバ450が印刷可能なデータに変換し、インターネットを経由して画像形成装置1に送信し印刷させる処理が行われる。データの保存・管理は、例えばサーバ400によって行われればよい。ただし、サーバ400とプリントサーバ450の組み合わせは一例であり、データの保存機能とプリントサーバ450の機能はどのような装置構成で実現されてもよい。また、データを格納するサーバ400とプリントサーバ450とはネットワーク500などの特定のネットワーク内(例えば、1つのデータセンター内)に存在している必要は無く、互いに通信可能であればインターネットなどの他のネットワークで接続されていてもよい。また、データの保存・管理のサービスと、プリントサーバ450の提供とが別々のプロバイダ(サービス提供者)によって提供されてもよい。
(3)の場合は、クライアント端末で実行するアプリケーション自体もクラウド側から提供される形式である。たとえば、ワープロソフトをクラウド側からSaaSとしてインターネット経由でクライアント端末に提供し、クライアント端末でこのワープロソフトを利用して文書を作成する。そしてその文書を印刷するようなケースである。この場合には、アプリケーションであるワープロソフトと作成した文書ファイルとがクラウド側に存在し、作成された文書ファイルがプリントサーバ450でデータ変換され、画像形成装置1にインターネット経由で出力されて、印刷処理が行われる。アプリケーションをSaaSとしてインターネット経由で提供する処理は、例えばサーバ400によって行われればよい。なお(3)の場合もアプリケーションの提供を行うサーバ400とプリントサーバ450とが1つのネットワーク内に存在していなくてもよく、インターネットに接続され、互いに通信可能であればよい。また、アプリケーションのSaaSとしての提供とプリントサーバ450の機能の提供は、1つのプロバイダによって提供されてもよいし、別々のプロバイダによって提供されてもよい。
以下、クラウドサービスを提供するシステムの各装置の構成を説明する。図4は、クラウドサービスプロバイダ側のシステムの各装置の構成を示す図である。
サーバ400は、上述のようにプリントサーバ450によって処理されるクラウドプリントに関連するクラウドサービスを提供するためのサーバである。サーバ400は上述のようにプロバイダが提供するサービスによって機能は変化する。サーバ400が備える構成は、基本的には図3に示したコンピュータである携帯端末100やPC150が備える構成と同様であるが、サーバ装置に適した機器が用いられる。また、補助記憶装置408にはサーバ400が提供するクラウドサービスに対応するクラウドサービス処理プログラム408bが格納される。プロセッサ404はこのクラウドサービス処理プログラム408bを実行して、クラウドサービスとして提供するサービスに応じて所定の処理を行う。クラウドサービスプログラム408bは、たとえばSaaSとしてアプリケーションを提供する場合であればそのアプリケーションを提供するためのプログラムであり、サーバ400がクラウドサービスとして文書ファイル等を保存・管理するサービスを提供する場合であればその管理プログラムである。クラウドサービス処理を実現する機能の一部または全部がASIC等の専用回路で実現されてもよい。また、サーバ400がファイルの保存・管理サービスを提供する場合には、ファイルを保存する記憶領域やファイル管理のためのデータベース等を補助記憶装置408に備える。
プリントサーバ450は、クライアント端末(携帯端末100(100’)やPC150(150’)など)からの指示に基づきインターネット経由で画像形成装置1に印刷させる処理(クラウドプリント)を行う。プリントサーバ450が行う処理もクラウドサービスとして提供するサービス内容によって変化する。上述のように、クライアント端末から印刷対象のデータと印刷指示の両方を取得する場合や、印刷対象のデータがサーバ400などクラウド側で保存されている場合にそのデータを印刷するようクライアント端末から指示を受ける場合や、サーバ400からクライアント端末にSaaSとしてアプリケーションを提供している場合に、クライアント端末からの指示に基づきサーバ400から印刷対象のデータと印刷指示を取得する場合などがある。いずれの場合もプリントサーバ450は印刷指示と印刷対象のデータを取得して、それに基づいて印刷対象のデータを画像形成装置1で印刷可能な形式に変換し、画像形成装置1に出力する処理を実行する。
プリントサーバ450が備える構成は、基本的にはサーバ400と同様であるので詳細な説明は省略する。なお補助記憶装置458には、プリントサーバ450が提供するクラウドプリント処理プログラム458bが格納される。プロセッサ454はこのクラウドプリント処理プログラム458bを実行して、クラウドプリント処理を実行する。なお、クラウドプリント処理を実現する機能の一部または全部がASIC等の専用回路で実現されてもよい。プロセッサ454(あるいはASIC)が実現する機能は、プリントサーバ450が提供するクラウドサービスの内容によって異なる。
次に、本実施形態のシステムによって行われる印刷処理を説明する。まず、システムを構成する各装置の機能を説明する。
図5はプリントサーバ450の機能を示す機能ブロック図である。プリントサーバ450は、印刷指示取得部480と、変換部482と、出力部484とを備える。
印刷指示取得部480は、ネットワーク500等を介して印刷の指示を取得する。具体的には、上述した(1)のクラウドサービス形態であれば、印刷指示取得部480は携帯端末100(100’)やPC150(150’)などのクライアント端末から、インターネットを経由して、印刷対象のデータや印刷設定情報等を含む印刷指示を取得する。(2)のクラウドサービス形態であれば、印刷指示取得部480は、クライアント端末から印刷指示を取得し、印刷指示において指定された印刷対象のデータをクラウド側の記憶領域(例えばサーバ400)から取得する。(3)のクラウドサービス形態であれば、印刷指示取得部480は、クライアント端末からの操作に基づいて、アプリケーションを提供する装置(例えばサーバ400)からアプリケーションに関する印刷対象のデータと印刷指示を取得する。印刷指示には、印刷設定や印刷を実行する画像形成装置を指定する情報などが含まれる。本実施形態では、画像形成装置1において印刷する指示であるとして説明する。
変換部482は、印刷指示取得部480が取得した印刷対象のデータを印刷指示に基づいて、画像形成装置1で印刷可能なデータ形式に変換する。なおプリントサーバ450を利用したクラウドプリントではプリンタドライバを介さない。そのため印刷対象のデータおよび印刷指示において、画像形成装置1での印刷のために設定されている必要のある全ての印刷設定項目について設定されていない場合がある。その場合には、設定が必要な項目についてプリントサーバ450が予め備えているデフォルト値を適用してデータを変換してもよい。デフォルト値は、プリントサーバ450の補助記憶装置458などの所定の記憶領域に予め記憶されていればよい。
出力部484は、変換部482によって変換されたデータおよび印刷設定情報などを含む最終的な印刷指示(印刷ジョブ)を指定された画像形成装置1に出力する。具体的には、出力部484は、通信I/F450からデータを送信し、ネットワーク500、インターネット、ネットワーク250を経由して画像形成装置1が取得する。
以上がプリントサーバ450の機能である。これらの機能は、プロセッサ454がクラウドプリント処理プログラム458b等のプログラムを実行して(あるいは機能の一部または全部がASICにより)実現される。
次に、本実施形態の画像形成装置1の機能を説明する。図6は画像形成装置1の機能を示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、印刷ジョブ取得部30と、解析部32と、判定部34と、設定部36と、RIP部38と、画像形成処理制御部40と、を備える。
印刷ジョブ取得部30は、プリントサーバ450が画像形成装置1に対して出力した印刷ジョブを取得する。なお、印刷ジョブ取得部30は、クライアント端末からネットワーク250を介して画像形成装置1に直接送信された印刷ジョブも取得する。
解析部32は印刷ジョブ取得部30が取得した印刷ジョブを解析して、どのような印刷対象のデータや印刷設定の内容を特定する。例えば、印刷対象のデータのコンテンツの種類(画像、アプリケーションなど)やそのファイル形式(JPEG、TIFF、PPTなど)や、カラー/白黒の設定値や印刷部数などの印刷設定の設定値である。
判定部34は、所定の印刷設定項目について設定値を設定するために、設定値DB8aを参照して所定の印刷設定項目についてどの条件を満足するか判定する。ここで、図7には設定値データベースDB8aのデータテーブルの一例を示す。たとえば、印刷モードとして設定される設定値としては、「通常印刷」と、「お試し印刷」と、「ホールド印刷」の3種類が用意されている。そして、印刷ジョブに含まれる印刷設定などの情報から、その印刷ジョブがどの設定値に対応する条件を満たすかを判定部34が判定する。印刷モードについては図7のデータテーブルでは、(i)「クライアント端末のIPアドレス=192.168.0.1〜192.168.0.254」の条件と、「印刷部数<3枚」の条件を満たす場合は、「通常印刷」が設定され、(ii)「クライアント端末のIPアドレス=192.168.0.1〜192.168.0.254」の条件と、「印刷部数≧3枚」の条件を満たす場合には「お試し印刷」が設定され、(iii)それ以外の場合には「ホールド印刷」が設定される。
IPアドレスは、クライアント端末が画像形成装置1に近い位置にあるか否かの判断に用いられる。印刷部数は、お試し印刷を行うか否かの判断に用いられる。具体的には、たとえば携帯端末100がアクセスポイント200を経由してネットワーク250に接続した場合、アクセスポイント200から所定のIPアドレス(プライベートIPアドレス)が付与される。ネットワーク250内のIPアドレスは、たとえば上述のように192.168.0.1〜192.168.0.254のいずれかのアドレスである。そして、クライアント端末からネットワーク250を介して直接印刷を指示した場合には、その付与されたIPアドレスが印刷指示元の位置情報として印刷指示の情報に保持される。そのため、画像形成装置1の判定部34が対象の印刷ジョブに含まれる印刷指示元のIPアドレスがネットワーク250を利用した場合に付与されうるIPアドレスであるか否かの判断をすることで、印刷指示元のクライアント端末がネットワーク250に接続できる画像形成装置1の近傍にあるのか、ネットワーク250外の画像形成装置1から離れた位置にあるのかを識別することができる。
画像形成装置1が取得する印刷ジョブにネットワーク250で使用されるIPアドレスが含まれていなければ、ネットワーク250外からの印刷指示であるとして、ホールド印刷が設定される。「ホールド印刷」とは、画像形成装置1が印刷ジョブを取得した場合に、印刷実行を一旦保留し、操作パネル14等の操作入力で印刷が指示されたら印刷を実行する印刷モードである。たとえばクライアント端末がネットワーク250外にあるような場合はすぐに印刷してもユーザはすぐに書類を回収できないので書類が長時間放置されてしまう。従ってクライアント端末と印刷指示対象の画像形成装置1との位置関係が分かるIPアドレス等の情報を用いて通常の印刷とホールド印刷とを切り替えることで、出力された書類の放置状態を防止し、情報の漏洩等を抑制できる。
また、印刷部数が多い場合にユーザが望んだ印刷結果が得られないと、多量の用紙を無駄にしてしまう。そのため、印刷対象の文書を所定部数(上記例では3部)以上印刷すると判定部34が判断した場合には、印刷モードとしてお試し印刷モードが設定される。なお「お試し印刷」とは、複数部の印刷が設定された印刷ジョブをまず1部だけ印刷し、印刷結果をユーザが確認後、残りの部数の印刷実行を指示する操作がされた場合に印刷を残りの印刷を実行するモードである。1部印刷して印刷結果を確認できるので、無駄な印刷を抑制できる。
また、図7のデータテーブルにおいて「用紙タイプ」は、印刷設定項目の「カラーモード」が「カラー」であった場合、設定値をカラー印刷に適した「厚紙」に設定し、それ以外の場合は「普通紙」に設定するように設定値が登録されている。同様に「画質設定」は、印刷するデータを作成したアプリケーションやファイル名の拡張子、コンテンツタイプを識別する情報に基づいて「コンテンツタイプがJPEG形式、もしくはTIFF形式、BMP形式」と判定部34が判定した場合は設定値を「写真」とし、「コンテンツタイプがPPT形式」の場合は設定値を「プレゼンテーション」、それ以外の場合は「標準」とするように設定値が登録されている。
次に設定部36は、各印刷設定項目について判定部34の判定結果に対応する設定値を設定する。なお、印刷の際に設定値が必要な印刷設定項目については、通常はプリントサーバ450やクライアント端末において何らかの設定値が設定される。そのため、設定部36は判定部34の判定結果に基づき、上記データテーブルにおいて設定値の設定対象(置き換え対象)となっている印刷設定項目について、よりユーザが所望する印刷結果が得られるような設定値に置き換える処理を行う。例えば設定部36は、印刷モードの設定項目に対応する条件のうち上述の(ii)を満たし、用紙タイプについて「カラーモード=カラー」を満たし、画質設定について「コンテンツタイプ=PPT」を満たすと判定された場合に、すでにこれらの設定項目について設定値が設定されていても、印刷モード:お試し印刷、用紙タイプ:厚紙、画質設定:プレゼンテーションと各設定項目を置き換えて設定する。その他の印刷設定項目がある場合も同様である。設定値が設定されていない印刷設定項目については、設定部36が単に該当する設定値を設定すればよい。
RIP部38は、設定されるべき印刷設定項目について設定部36によって設定値が設定された印刷ジョブに基づき、印刷対象のラスターイメージを生成する。
画像形成処置制御部40は、RIP部38のラスターイメージ生成処理によって生成されたラスターイメージを用いて、画像形成装置1のプリンタ部10に印刷を実行させる処理を制御する。印刷処理では、設定部26によって設定された印刷設定や、予め設定されていた印刷設定が適用されて印刷結果が得られる。
以上が、本実施形態の画像形成装置1の機能である。
次に、本実施形態の画像形成処理システムの処理の流れを説明する。図8は、画像形成処理システムにおいて行われる印刷処理の流れを示すフローチャートである。なお、図8では、画像形成装置1における処理の流れを説明する。
まず、印刷ジョブ取得部30が印刷ジョブを取得する(Act101)。印刷ジョブは、ネットワーク250内のクライアント端末から、あるいは、インターネットを介してプリントサーバ450から出力される。そしてネットワーク250および画像形成装置1の通信I/F16を介して印刷ジョブ取得部30が印刷ジョブを取得する。
次に、解析部32が印刷ジョブ取得部30が取得した印刷ジョブを解析する(Act102)。具体的には、図7に示した設定値DB8aのデータテーブルで判断対象となっている情報(IPアドレスや印刷部数やカラーモードやデータの種類など)を印刷ジョブを解析して抽出する。
次に、判定部34が解析部32が解析した印刷ジョブについて、設定値DB8aに規定される印刷設定項目について、どの設定値に対応する条件を満たすかの判定を行う(Act103)。具体的には、例えば印刷モードの印刷設定項目について、判定部34は解析部32によって解析された印刷ジョブの送信元のIPアドレスが192.168.0.1〜192.168.0.254に含まれるか否か、そして、印刷部数が3部以上であるか否かを判断する。その他の項目についても同様である。
次に、設定部36は判定部34の判定結果に基づいて、各印刷設定項目について設定値DB8aに基づいて設定値を設定する(Act104)。なお、設定部36が設定する印刷設定項目について画像形成装置1が取得した印刷ジョブの段階でプリントサーバ450に登録されるデフォルト値等が設定されている場合には、設定部36はその設定値を置き換え、設定されていない設定項目については新たに設定値を設定する。
なお、ネットワーク250内に接続されるPC150などから、プリンタドライバの機能によって生成された印刷ジョブについては、印刷設定項目の設定値を置き換えずに、もともと設定されていた設定値をそのまま採用すればよい。
次に、RIP部38が印刷ジョブに基づいてラスターイメージを生成する(Act105)。そして、画像形成処理制御部40はプリンタ部10を制御して、生成されたラスターイメージと設定された印刷設定とに基づいて画像形成処理を行う(Act106)。以上が本実施形態の画像形成処理システムによる処理の流れである。
以上の本実施形態によれば、プリンタドライバを利用しないで印刷の指示が行われても、クライアント端末の状況や印刷データの内容に応じて適切な印刷設定が設定されるので、クライアントの状況等に応じた最適な印刷処理結果が得られる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を説明する。本実施形態の画像形成処理システムは、印刷の目的に合せた仮想プリンタを複数設定してクライアント端末から選択できるようにしたシステムである。具体的には、予め印刷の目的に応じて設定条件や設定値が設定されたデータテーブルを複数用意して設定値データベースに登録するとともに、それぞれのデータテーブルに対して印刷の目的を表わす名称が付けられた仮想プリンタを対応付けておく。そしてクライアント端末から印刷を指示する際に、いずれかの仮想プリンタを選択して印刷を指示するようにしたシステムである。本システムにおける複数の仮想プリンタは選択した場合に設定される印刷設定に違いがあるが、いずれを選択して印刷を指示しても所定の画像形成装置(本実施形態では画像形成装置1)に印刷を実行させる仮想的なプリンタである。このようなシステムにより、印刷設定の設定に用いるデータテーブルを印刷の目的等に応じて簡単に切り替えることができるので、よりユーザが所望した印刷結果が得やすくなる。以下、本実施形態をより詳細に説明する。
図9は、本実施形態の画像形成処理システムにおいて印刷を指示するクライアント端末の画面に表示されるプリンタ選択画面180の一例である。プリンタ選択画面180は、携帯端末100(100’)やPC150(150’)などのクライアント端末から印刷を指示する場合に、仮想プリンタを選択する画面として表示される画面例である。本実施形態では、一例として「標準プリンタ」、「コスト優先設定」、「客先配布設定」という名称の仮想プリンタが登録されている場合を説明する。
まず標準プリンタ182は画像形成装置1において取得した印刷ジョブに設定されている設定値を優先し、設定値の変更、置換を行わない仮想プリンタである。従って、この標準プリンタ182が選択された場合には、画像形成装置1の解析部32、判定部34、設定部36は処理を行わず、印刷ジョブ取得部30が取得した印刷ジョブをRIP部38がRIP処理し、画像形成処理制御部40がプリンタ部10にそのまま印刷させる。なお取得された印刷ジョブにおいて設定されていない印刷設定項目が存在した場合には、設定部36が画像形成装置1において予め設定されているデフォルト値をその印刷設定に設定すればよい。
次にコスト優先設定184は、コスト削減を優先するように設定条件や設定値が設定されたデータテーブルを利用する仮想プリンタである。具体的には、判定部34や設定部36が、コスト優先のデータテーブルに基づいて判定処理や設定値の設定処理を行う。コスト優先のデータテーブルでは、印刷品質よりもコストの低減を優先して印刷を行うことができる条件や設定値が登録されている。コスト優先設定184に対応するデータテーブルの例としては、例えばNin1印刷(割付印刷)の印刷設定項目について印刷ページ数が所定ページ数以下の場合に2in1印刷、所定ページ数を超えている場合に3in1印刷や4in1印刷が設定される場合が挙げられる。
次に客先配布設定186は、客に配布する書類として適した印刷結果が得られるように印刷設定が設定される仮想プリンタである。例えば印刷品質が高くなるように設定値が設定される。客先配布設定186が選択された場合には、客先配布に適した設定条件や設定値が登録されたデータテーブルに基づいて判定部34や設定部36により印刷設定処理が行われる。例えば、所定のページ数を超えている場合にステイプルで止めるステイプル処理が設定値として設定される。またデフォルトでカラー/白黒がカラーに設定される。
以上の本実施形態によれば、目的に合った設定条件や設定値が適用される仮想プリンタを複数作成して選択できるようにすることで、プリンタドライバを利用できない場合など詳細に印刷設定ができなくても、よりユーザの要求に則した印刷結果が得られるシステムを提供することができる。なお、上述した仮想プリンタや対応するデータテーブルの内容は一例であり、求める印刷結果に対応した様々な仮想プリンタを設定することができる。
なお、プリンタ選択画面180は携帯端末において印刷指示するケースについては、当該画面を印刷指示を行う際に表示させる画面として携帯端末に予め記憶させておき、仮想プリンタを選択する操作を印刷指示の際に行わせるようにすればよい。またクラウドサービスを利用した印刷指示の場合には、クラウドサービスのプロバイダ側がクライアント端末にプリンタ選択画面180を表示させて、印刷指示を行う際にいずれかの仮想プリンタを選択させるようにすればよい。
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を説明する。本実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態の処理を実行するシステムにおいて、画像形成装置1が実行する処理をより具体的説明する。
図10は画像形成装置1の制御部2等によって実現される機能によって実行される印刷処理のメインルーチンの流れを示すフローチャートである。
まず、本画像形成処理システムの画像形成装置1の電源が投入されると、制御部2が初期化処理を行って(Act201)、必要に応じて画像形成装置1を使用するユーザの個人認証処理を行う(Act202、Act203、Act208〜215)。
認証処理を行う場合には、まず認証済みか否か判断し(Act202)、認証済みでない場合に(Act202のNo)、認証処理を行うよう要求する入力がされたか否か判断される(Act203)。そして認証要求がされた場合に(Act203のYes)、制御部2は操作パネル14の表示部14aに認証画面を表示させる(Act208)。そして制御部2はID等の入力あるいはIDカードの読み取り処理などによってユーザの識別情報を取得し(Act209)、識別情報を認証処理を行う認証用サーバに送信し、認証処理を行わせる(Act210)。認証処理を行う装置は、認証用サーバに限られず、画像形成装置1やその他のサーバ等でもよい。認証サーバによる認証処理の結果、認証処理が成功した場合には(Act211のYes)、認証されたユーザの情報を記録し(Act212)、制御部2は認証処理が行われたユーザのユーザ権限に応じてメニュー画面を表示部14aに表示させ(Act213)、Act202に戻る。また認証処理が成功しなかった場合には(Act211のNo)、制御部2は表示部14aにエラーメッセージを表示させる(Act214)。そして認証処理を終了する場合には(Act215のYes)、Act202に戻る。一方、認証処理を再度行うよう操作された場合など、認証処理を続ける場合にはAct208に戻って認証処理ルーチンを再度行う。
認証処理完了後(認証処理を行わない場合には初期化処理後)、制御部2は印刷ジョブの受付要求があったか否かを判定する(Act204)。なお印刷ジョブは、ネットワーク250内のクライアント端末から、あるいは、インターネットを介してプリントサーバ450から出力されるジョブである。印刷ジョブの受付要求があった場合のルーチンは、図11に示すフローチャートにおいて詳細に説明する。印刷ジョブの受付要求が無かった場合には(Act204のNo)、制御部2は印刷実行キューに実行が要求されているジョブが存在するか否か判定する(Act205)。
実行要求されている印刷ジョブが存在する場合には(Act205のYes)、制御部2は印刷実行キューから印刷対象のデータを取り出す(Act216)。そして制御部2のRIP部38の機能により、取り出された対象のデータに対してRIP処理が行われ(Act217)、RIP処理により生成された印刷対象の画像データがプリンタ部10に出力されて画像形成処理が行われる(Act218)。制御部2は、印刷が完了したことに対するユーザへの課金処理など、印刷ジョブが実行された場合に実行される必要のある処理を実行する(Act219)。次に制御部2は印刷実行キューにジョブまだ存在するか否かを判定する(Act220)。ジョブが存在する(印刷実行キューが空ではない)場合には(Act220のNo)、Act216に戻って処理を繰り返す。ジョブが存在しない(印刷実行キューが空である)場合には(Act220のYes)、Act202に戻る。
印刷実行キューに実行が要求されているジョブが存在しなかった場合には(Act205のNo)、制御部2はその他の画像形成装置1が処理すべきイベントの処理を実行する(Act206)。
そして、画像形成装置1をシャットダウンして終了する場合には(Act207のYes)処理を終了し、終了せず運転状態を維持する場合には(Act207のNo)、Act202に戻る。
次に、図11に基づいて本実施形態の画像形成装置1に対して印刷ジョブの受付要求があった場合(Act204のYes)に、画像形成装置1が行う印刷設定の置き換え処理の流れを説明する。図11は印刷ジョブ受付要求があった場合に画像形成装置1が実行する処理ルーチンを示すフローチャートである。
まず、印刷ジョブの受付要求に基づき制御部2が印刷設定情報や印刷対象データを含む印刷ジョブを取得する(Act301)。次に、制御部2は取得した印刷ジョブを解析して、当該印刷ジョブが第2の実施形態で説明した仮想プリンタを選択して端末から出力された印刷ジョブであるか否かを判定する(Act302)。いずれかの仮想プリンタを選択して出力された印刷ジョブであった場合には(Act302のYes)、制御部2は指定された仮想プリンタに対応する設定値のデータテーブルを設定値DB8aから取得する(Act303)。制御部2は、解析部32および判定部34の機能により印刷ジョブを解析、判定する(Act304)。そして制御部2は、処理対象の印刷ジョブにおいて条件を満たす印刷設定項目が存在する場合には(Act305のYes)、設定部36の機能により該当する印刷設定項目の設定値を置き換える(Act306)。
仮想プリンタが選択された印刷ジョブでなかった場合(Act302のNo)および判定処理の結果条件を満たす印刷設定項目が存在しなかった場合には(Act305のNo)、Act307に進む。
次に、制御部2は取得した処理対象の印刷ジョブに、印刷ジョブを出力したユーザの識別情報(ユーザ情報)が含まれるか否か判定する(Act307)。ユーザ情報が含まれる場合には、そのユーザに対応付けられたデータテーブルが存在するか否か(ユーザに対応する設定値を置き換える置き換え設定が存在するか否か)を判定する(Act308)。
ユーザに対応付けられたデータテーブルが存在する場合には、制御部2は当該ユーザに対応する設定値のデータテーブルを設定値DB8aから取得する(Act309)。
そして制御部2は、処理対象の印刷ジョブを解析して(あるいはAct304での解析結果に基づいて)(Act310)、処理対象の印刷ジョブにおいて条件を満たす印刷設定項目が存在するか否か(置き換え条件に合致する項目があるか否か)を判定する(Act311)。条件に合致する印刷設定項目が存在する場合には(Act311のYes)、制御部2は該当する印刷設定項目の設定値を置き換える(Act312)。
印刷ジョブにユーザ情報が含まれない場合(Act307のNo)、ユーザ情報において特定されるユーザに対応するデータテーブル(印刷設定項目の設定値の置き換え設定)が存在しない場合(Act308のNo)、および、対象の印刷ジョブにおいてデータテーブルに登録されている条件を満たす印刷設定項目が存在しない場合(Act311のNo)には、Act313に進む。
次に、制御部2は印刷ジョブを出力した端末に対応付られたデータテーブル(端末に対応する置き換え設定)が存在するか否かを判定する(Act313)。端末に対応付けられたデータテーブル(端末に対応する置き換え設定)とは、端末ごとあるいは端末の種類などに応じて設定値を置き換える条件や設定値が登録されたデータテーブルである。具体的には、特定の端末を識別する情報と対応付けられたデータテーブルや、携帯端末に対応するデータテーブルやPCに対応するデータテーブル、あるいは、端末の機種に対応するでーたテーブルなどが挙げられる。
制御部2は取得した印刷ジョブを出力した端末に対応するデータテーブル(置き換え設定)が存在すると判定した場合には(Act313のYes)、制御部2は対応するデータテーブルを設定値DB8aから取得し(Act314)、対象の印刷ジョブが取得されたデータテーブルに規定される条件を満たす場合には、該当する印刷設定項目の設定値をデータテーブルに基づいて置き換える(Act315〜317)。
一方、印刷ジョブを出力した端末に対応するデータテーブルが存在しなかった場合(Act313のNo)およびデータテーブルに規定される条件を満たす項目が存在しなかった場合(Act316のNo)には、それぞれAct318に進む。
そして、制御部2は、設定値が置き換えられた印刷ジョブについては置き換えられた設定値と印刷対象のデータとを印刷実行キューに登録し、設定値が置き換えられなかった印刷ジョブについては、取得した状態のままの印刷設定と印刷対象のデータとを印刷実行キューに登録する(Act318)。印刷実行キューに登録された印刷ジョブは、Act205の判定処理を経て、Act216〜219の処理によって印刷処理が実行される。以上が本実施形態の処理の流れである。
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態を説明する。本実施形態の画像形成処理システムは、画像形成装置1が、各印刷設定項目について設定値が様々に設定された設定値のセット(設定値セット)であるフィルタを複数保持しておき、印刷の条件や印刷対象物の属性等に応じて適当なフィルタを適用して印刷設定を行って印刷を行うシステムである。
図12は、画像形成装置1が保持する各フィルタの設定値内容が登録されたデータテーブルの一例であるフィルタデータテーブル300である。このフィルタデータテーブル300は、補助記憶装置8において格納される設定値DB8aに登録されればよい。
フィルタデータテーブル300は、各フィルタについて印刷設定項目の設定値が対応付けられたデータテーブルである。例えば、フィルタ1は、用紙向きが横、Nin1が2in1、部数が1に設定され、印刷モード、用紙サイズ、用紙タイプ、カラーモード、両面指定、拡大縮小の項目については画像形成装置1のデフォルト値が適用されるフィルタである。フィルタ3であれば、印刷モードがホールド印刷で、用紙タイプが普通紙、カラーモードがモノクロ、両面指定が両面、Nin1が2in1に設定され、用紙サイズ、用紙向き、拡大縮小、部数指定の項目についてはデフォルト値が適用されるフィルタである。
さらに画像形成装置1は、これらのフィルタデータテーブル300に登録されているフィルタのうちどのフィルタを適用するのかが、ユーザごとに印刷条件や印刷対象物の属性などと対応付けられているフィルタ決定テーブルを有する。フィルタ決定用データテーブルは同様に補助記憶装置8の設定値DB8aに格納されればよい。
図13は、フィルタ決定用データテーブルの一例である、どの印刷サービスの場合にどのフィルタが適用されるかが対応づけられた、印刷サービスフィルタテーブル302である。印刷サービスはどのような方法で印刷ジョブが画像形成装置1に出力されたかを示す情報であり、具体的には印刷サービスごとに画像形成装置1に対して行われた印刷指示のプロトコルが異なる。たとえばLPR印刷サービスはLPR(Line Printer Daemon protocol)で、IPP印刷サービスはIPP(Internet Printing Protocol)で印刷指示がされたものである。クラウドサービスを利用して印刷した場合であれば、図13のクラウド印刷サービスが利用される。また、クライアント端末が携帯端末であり、ネットワーク250を介して直接画像形成装置1に印刷指示をした場合には、モバイル印刷サービスが利用される。
そして印刷サービスフィルタテーブル302においては、各印刷サービスに適用するフィルタがユーザごとに登録されることができる。たとえば、テーブル302において、LPR印刷サービスの場合にはユーザ1にはフィルタ1が適用されるが、ユーザ2にはフィルタ5が適用される。また、ユーザ登録していない未登録ユーザやユーザ情報が不明なユーザのジョブに対して特定のフィルタが適用される。
本実施形態において印刷設定を設定するためにフィルタを決定する場合には、図6に示した画像形成装置1の機能の解析部32が印刷ジョブを解析し、判定部34が解析結果に基づいて対象の印刷ジョブはいずれの印刷サービスを利用したか、およびいずれのユーザによる印刷ジョブかを判定し、設定部36が印刷サービスと利用ユーザに対応するフィルタを印刷サービスフィルタテーブル302を参照して設定することができる。
また、フィルタの適用は、印刷サービス以外の種類の情報に基づいて行われてもよい。たとえば、印刷対象のデータに対応するアプリケーションソフトに応じて変えてもよいし、印刷対象のファイルのファイル名に応じて変えてもよいし、印刷指示を行ったクライアントの画像形成装置1に対する位置に応じて変えてもよい。
図14は、アプリケーションソフトに応じてフィルタを設定する場合に用いるテーブルの一例であるアプリケーションフィルタテーブル304を示す。このテーブル304では、たとえば、ユーザ1がアプリ1を利用して印刷指示した場合にはフィルタ8が適用され、ユーザ1がアプリ2を利用した場合にはフィルタ9が適用される。またユーザ2はアプリ1〜3のいずれでもフィルタ9が適用されるようにフィルタが決められている。また、未登録ユーザやユーザ情報が不明の場合にはフィルタを適用せずにデフォルトの設定値を採用するように登録されている。
また、図15はファイル名に含まれる文字列に応じてフィルタを設定するためのテーブルの一例である文字列別フィルタテーブル306である。たとえば、印刷対象のファイル名に「_2in1.」というファイル名が含まれる場合に、ユーザ1についてはフィルタ2が適用され、ユーザ2についてはフィルタ3が適用される。たとえば、2in1印刷を行いたいファイルのファイル名には「_2in1.」を含めるというルールにしておき、フィルタデータテーブル302において2in1が設定されているフィルタが設定されるようにテーブル306に登録しておけば、2in1の設定をしなくても、あるいはクライアント端末において2in1の設定ができなくても、2in1印刷を行うことができる。その他には、ファイル名に「_col.」が含まれる場合にはカラー印刷が設定されるフィルタが適用されるようにしたり、ファイル名に「_f1.」が含まれる場合にはフィルタ1が適用されるようにしたりすることもできる。設定したい印刷設定とファイル名に含める文字列のルールを決めておき、適用するフィルタとファイル名の文字列とを対応付けておけば、ファイル名に特定の文字列を入れることで所望の印刷設定が適用された印刷を行うことができる。
さらにその他に、取得した印刷指示を解析して印刷指示を行ったクライアント端末の位置に関する情報が得られる場合には、その位置に関する情報の内容に応じてフィルタが設定されてもよい。例えば、印刷指示をしたクライアント端末に付与されたIPアドレスなどの位置情報から、印刷指示を行ったクライアント端末が、画像形成装置1が設置された事務所内なのか、事務所外なのかを判別したり、同じ事務所内でも、画像形成装置1から近い位置か、遠い位置かを判別して、それぞれの区分に応じてフィルタが設定されてもよい。
いずれの場合であっても、まず画像形成装置1が取得した印刷ジョブを解析部32が解析し、適用するテーブルに応じて必要な情報(印刷サービスやアプリケーションやファイル名やユーザなど)を取得する。そして判定部34が、取得した情報に基づいてその印刷ジョブがテーブルのどの枠に該当するか判定し、設定部36がフィルタデータテーブル300に登録されている該当したフィルタの印刷設定を設定することで、処理対象の印刷ジョブに対して印刷設定を設定することができる。
なお、本実施形態ではユーザごとにフィルタを設定するとして説明したが、ユーザごとに区分されていなくてもよく、全てのユーザに対して同じフィルタが設定されてもよい。
以上、本実施形態によれば、プリンタドライバが利用できない場合など、詳細に印刷設定がされていなくても印刷ジョブの内容に応じて適切に印刷設定がされた印刷を行うことができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態を説明する。本実施形態では、上述の実施形態において説明した印刷システムで行う印刷処理方法のうち、クラウドサービスを利用して印刷を行う場合に特に関する。
具体的にはまずクラウドサービスを利用して印刷する場合に、プリントサーバ450において印刷対象のデータに対して変換処理がされたか否かを画像形成装置1が判別し、変換処理が行われた場合にはその印刷ジョブをホールド印刷に切り替える。また、プリントサーバ450においてデータが変換されてホールド印刷に切り替えられた印刷ジョブについて、画像形成装置1においてホールド印刷対象のリストで表示させる際に、プリントサーバ450で行われた変換処理の精度である変換精度を表示するとともに、プレビュー表示を可能とする。
ここで、本実施形態における変換精度とは、同じ変換処理がされた印刷ジョブが画像形成装置1において最終的に印刷された回数(つまりジョブのキャンセルがされずに印刷が完了した回数)を、画像形成装置1が当該同じ変換処理がされた印刷ジョブを取得した総数(つまり、最終的に印刷まで完了したか否かに関わらず、その変換処理がされた印刷ジョブの取得総数)で割った数値である。本実施形態では、この数値が大きい方が変換精度が高く、小さい方が変換精度が低いとして扱う。
これは、上述の通りホールド印刷で最終的に印刷しない場合というのは、プレビュー表示で印刷結果を確認して所望の印刷結果が得られないと判断したと考えられるためである。上述のように、ホールド印刷の場合には、対象の印刷ジョブをプレビュー表示させて印刷結果を前もって確認できる。ユーザがプレビューを確認した結果所望の印刷結果が得られないと考えた場合、最終的に印刷を行わない可能性がある。よって、ある変換処理について、その印刷ジョブを取得した総数に対して最終的に印刷した回数の比率が低ければ、ユーザが所望の印刷結果が得られないと考えて印刷しなかった場合が多いと考えられる。そのため、上述した数値が小さい場合には、データが正確に変換されない傾向にある変換処理であるということができる。反対に、上述した数値が大きい場合には、データが正確に変換される傾向にある変換処理であると言うことができる。
一例として、プリントサーバ450でJPEGからpdfに変換されたデータについて説明する。プリントサーバ450においてJPEGからpdfに変換されて画像形成装置1が取得したジョブ数が165であり、そのうち最終的に画像形成装置1で印刷された回数が160回である場合には、このJPEGからpdfへの変換処理の変換精度は、160/165=0.97(97%)となる。つまり、元のデータがJPEGでプリントサーバ450においてpdfに変換されて画像形成装置1に出力された印刷ジョブは、ホールド印刷で保留されるが、97%が最終的に印刷されたと言うことになる。
そして、本実施形態では以上のように求められる変換精度に基づいて、ホールド印刷のジョブリスト画面に変換精度を3段階に区分して表示する。具体的には、変換精度を変換精度が高い方から「◎」、「○」、「△」で表示する。
図16にはジョブリスト画面の一例として本実施形態の画像形成装置1において表示部14aに表示されるジョブリスト画面308を示す。ユーザは、クラウドサービスを利用して印刷を指示してそのジョブがホールド印刷に切り替わった場合に、ジョブリスト画面308に表示されるジョブリスト308aの1項目である3段階で表示される変換精度を見て、印刷を実行するか否か判断することができる。対象のジョブの変換精度が「◎」や「○」であればこれまでの処理結果からは変換精度が比較的高い変換処理のパターンであると考えることができる。また、「△」であれば最終的に印刷が実行される確率が低い処理であるので、ユーザに印刷前にプレビュー表示で印刷結果を前もって確認することを促すことができる。
以下、本実施形態を具体的に説明する。まず、システム構成および各装置の装置構成は第1の実施形態と同様であり、図1〜図4に示したものと同様である。ただし、画像形成装置1の補助記憶装置8等の記憶装置に、変換処理の種類ごとの変換精度に関するデータが記憶される変換精度データベース(DB)を備える。図17には変換精度DBに格納されるデータテーブルの一例として変換精度データテーブル312を示す。変換精度データテーブル312は、ある変換前のデータ形式から別のデータ形式に変換される各処理ごとに、プリントサーバ450で変換処理が行われた回数(画像形成装置1が各変換処理がされた印刷ジョブを取得した回数)と、印刷された回数とが計数されて登録されている。そして、それぞれの変換処理の変換精度の数値から求められる3段階評価(◎、○、△)も対応付けて登録されている。後述の画像形成装置1の機能によって、この変換精度データテーブル312から変換精度情報を取得して、ジョブリスト画面308において3段階の変換精度が表示される。
次に、本実施形態の処理を行う画像形成装置1の機能を説明する。図18は、本実施形態の画像形成装置1の機能ブロックを示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、印刷ジョブ取得部30と、解析部32と、判定部34と、設定部36と、RIP部38と、画像形成処理制御部40と、変換前データ取得部42と、データ形式判定部44と、印刷モード変更部46と、変換精度情報取得部48と、表示制御部50と、操作入力取得部52と、データ変換部54と、を備える。
印刷ジョブ取得部30と、解析部32と、判定部34と、設定部36と、RIP部38は、第1の実施形態と同様の機能であるので説明を省略する。
変換前データ取得部42は、印刷ジョブ取得部30がクラウドサービスでの印刷ジョブをプリントサーバ450から取得した場合に、その印刷ジョブについて変換処理前のデータをプリントサーバ42に対して要求して取得する。
なお、本実施形態では、プリントサーバ450における変換前のデータをプリントサーバ450から取得する必要があるので、本実施形態のプリントサーバ450は変換処理を行った印刷ジョブについては変換前のデータを所定の記憶領域に少なくとも一時的に記憶しておく必要がある。
データ形式判定部44は、取得した変換処理前のデータと、変換後のデータとを対比して、データ形式が一致するか否かを判定する。プリントサーバ450がデータ形式が変わるようにデータ変換処理を行っている場合には、データ形式判定部44はデータ形式が不一致であると判定する。
印刷モード変更部46は、データ形式判定部44が変換処理前のデータと変換後のデータのデータ形式が一致していないと判定した場合に、その印刷ジョブの印刷モードを通常の印刷モードからホールド印刷モードに変更する。上述の通り、変換形式が一致していない場合には所望の印刷結果が得られない場合があるので、一旦ホールド印刷に切り替えて、ユーザがジョブリスト画面308で変換精度を確認したり、プレビュー表示で印刷結果を確認できるようしたりするためである。なお、印刷モードがホールド印刷に切り替えられた印刷ジョブは、補助記憶装置8などの所定の記憶領域に保存される。また、変換前データ取得部42が取得したプリントサーバ450での変換処理前のデータについても、対応する印刷ジョブと対応付けて所定の記憶領域に保存される。
変換精度情報取得部48は、変換精度を表示する処理を行う際などに、ホールド印刷の対象となっている印刷ジョブについて変換処理方法を特定し、その処理方法の変換精度についての情報を変換精度データテーブル312から取得する。例えば、ホールド印刷の対象となっている印刷ジョブとして、プリントサーバ450においてJPEGの画像データからpdfに変換された印刷ジョブが含まれる場合には、変換精度情報取得部48は変換精度データテーブル312から変換精度が「◎」であるという情報を取得する。もちろん、3段階の変換精度情報ではなく、変換精度のパーセンテージをそのまま取得してもよい。
表示制御部50は、表示部14aへの画面の表示処理を制御する。本実施形態に関しては表示制御部50は、ホールド印刷のジョブリスト画面308やホールド印刷の対象の印刷データをプレビュー表示するプレビュー表示画面の表示制御を行う。
操作入力取得部52は、操作パネル14等から画像形成装置1に対して入力される様々な操作入力を取得する。本実施形態では特に、ホールド印刷のジョブリスト画面308や、プレビュー表示画面に対する操作入力を取得する。操作入力は、タッチパネルである表示部14aに対するタッチ操作や操作キー14bに対する操作入力である。ジョブリスト画面308に対する操作はジョブリスト画面308aに表示されるジョブリスト308aからいずれかのジョブを選択する操作や、プレビューボタン308bを押す操作や印刷を指示する印刷ボタン308cを押す操作などである。
ここで、図19はプレビューボタン308bが押下されて表示される画面の一例であるプレビュー画面312を示す。プレビュー画面312では、選択した印刷ジョブの印刷結果を表示するプレビュー表示312aが中央部分に表示され、その周囲に様々な操作を行うボタンが配置される。右側には変換方式選択ボタン312bが表示される。変換方式選択ボタン312bは、プリントサーバ450によるデータ変換処理前の変換前データに対して行う変換処理を選択して実行させる指示を入力するボタンである。例えば、プリントサーバ450によって変換されたデータをプレビュー画面312で確認して所望の印刷結果が得られないとユーザが判断した場合に、変換方式選択ボタン312bを押して、現在のデータの変換方法とは別の変換方法を選択することで、変換方法を切り替えることができる。変換方法選択ボタン312bが押されて変換方法が切り替えられた場合には、選択された変換方法で変換した変換後の画像がプレビュー表示312aに表示される。
データ変換部54は、上述したプレビュー画面312において変換方式選択ボタン312bを押下する操作がされた場合に、選択された変換方法でデータを変換する処理を行う。具体的には、変換前データ取得部42が取得した変換前のデータに対して、変換方式選択ボタン312bが押下されて選択された変換方式でデータ変換を改めて行う。表示制御部50はデータ変換部54によって新たに変換されたデータに基づいて、プレビュー画面312にプレビュー表示を行う。ユーザは変換方式を変更しながらプレビュー表示312aにおいて印刷結果を確認できるので、所望の印刷結果をより得やすくなる。
以上が本実施形態の印刷処理システムの画像形成装置1の機能である。
次に、本実施形態の処理の流れを説明する。図20は本実施形態の印刷処理システムにおける画像形成装置1の処理のうち、画像形成装置1が印刷ジョブを取得した際の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、印刷ジョブ取得部30が印刷ジョブを取得する(Act401)。本実施形態では、プリントサーバ450で変換処理がされた印刷ジョブが対象であるので、画像形成装置1はプリントサーバ450からインターネットおよびネットワーク250を介して印刷ジョブを取得する。
次に、変換前データ取得部42がプリントサーバ450に対して取得した印刷ジョブの変換処理前のデータを要求し、取得する(Act402)。
次に、データ形式判定部44が、印刷ジョブ取得部30が取得した印刷ジョブにおける印刷対象のデータのデータ形式と、Act402で変換前データ取得部42が取得した変換前データのデータ形式と、が一致するか否かを判定する(Act403)。
データ形式が一致している場合には(Act403のYes)、レイアウト崩れなどの問題が発生する可能性は低いので、画像形成装置1が取得した印刷ジョブに基づき印刷を実行する(Act404)。なお、印刷処理は、第1の実施形態等で説明した解析部32〜画像形成処理制御部40などの機能によって実行されればよい。
データ形式が一致していない場合には(Act403のNo)、印刷モード変更部46が取得した印刷ジョブの印刷モードをホールド印刷に切り替える(Act405)。印刷ジョブがホールド印刷に切り替えられると、印刷ジョブの印刷実行は保留され、画像形成装置1の補助記憶装置8などの所定の記憶領域に印刷ジョブが保存される。なお、変換前データ取得部42が取得した変換前データも、データの再変換において使用するので対応する印刷ジョブと対応付けて所定の記憶領域に記憶されればよいが、再度プリントサーバ450から取得する場合には記憶しておく必要はない。
以上が画像形成装置1が印刷ジョブを取得してからホールド印刷に切り替えられるまでの処理の流れである。
次に、ホールド印刷の印刷ジョブを印刷する際の処理の流れを説明する。図21はホールド印刷の対象のジョブリスト画面が表示されてから、プレビュー表示やデータ変換処理を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、タッチパネルの表示部14aや操作キー14bに対してホールド印刷のジョブリスト画面308の表示を指示する操作がされた場合に、操作入力取得部52がその操作入力を取得し、表示制御部50がジョブリスト画面308を表示部14aに表示させる(Act501)。なお、この際変換精度情報取得部48はホールド印刷のジョブリストに含まれる印刷ジョブについて、対応する変換形式の変換精度を変換精度データベースから取得し、表示制御部50がジョブリスト画面308に変換精度を表示する。
次に、操作入力取得部52がリストに表示されるある印刷ジョブを選択し、その選択したジョブをプレビュー画面312に表示させる操作入力を取得したか否か判定する(Act502)。選択操作はタッチパネルである表示部14aに対するタッチ操作や、操作キー14bによる操作で行われ、プレビュー画面312を表示させる操作入力は、ジョブリスト画面308に表示されるプレビューボタン308bを押下する操作によって行われればよい。
プレビュー画面312に表示する操作がされた場合には(Act502のYes)、表示制御部50は、指定された印刷ジョブを所定の記憶領域から読み込んで、印刷設定などを反映させた状態でプレビュー画面312にプレビューを表示させる(Act503)。
次に、操作入力取得部52はプレビュー画面312の変換方式選択ボタン312bが押されて変換方式を現状の方式から切り替える操作入力が行われたか否かを判定する(Act504)。
変換方式選択ボタン312bが押されて変換方式を変更する必要がある場合には(Act504のYes)、データ変換部54が処理対象の印刷ジョブの変換前のデータを所定の記憶領域から取得し、指定された変換方法でデータを改めて変換する処理を行い、表示制御部50がプレビュー画面312のプレビュー表示312aに変換後のデータに基づいてプレビュー表示を行う(Act505)。
プレビュー表示処理が指示されない場合(Act502のNo)には操作入力部52が印刷処理を指示する操作入力がされたか否かを判定する(Act506)。印刷実行を指示する操作入力が行われた場合には(Act506のYes)、印刷処理を行う解析部32〜画像形成処理制御部40等の機能によって、対象の印刷ジョブに基づき印刷処理が実行され(Act507)、処理は終了する。また、変換方式を変更する操作が行われない場合(Act504のNo)にも、印刷指示の操作入力があるか判定され(Act508)、印刷実行が指示された場合には印刷を実行する(Act507)。
Act506で印刷実行指示がされない場合には(Act506のNo)、Act502に戻る。また、Act508で印刷実行指示がされない場合には(Act508のNo)、Act504に戻る。
以上が、ホールド印刷の印刷ジョブを印刷する際の処理の流れである。
以上の本実施形態によれば、プリントサーバ450でデータ形式が変換される場合において、一旦ホールド印刷に切り替えられるとともに、変換精度やプレビュー表示を確認することができる。従って、所望の印刷結果が得られないとユーザが考えた場合には印刷を中止することができ、無駄な印刷を抑制できる。また、ホールド印刷に切り替えた印刷ジョブについては、画像形成装置1において他の変換方式に切り替えることができる。従って、そのままでは所望の印刷結果が得られないとユーザが考えた場合でも、所望の印刷結果が得られるように処理方法を変更することができるので、よりユーザの所望の印刷結果が得られるような印刷処理システムを提供することができる。
(第6の実施形態)
次に第6の実施形態を説明する。本実施形態は、第3の実施形態の変形例である。図22および図23は本実施形態の画像形成装置1の制御部2等によって実現される機能によって実行される印刷処理の流れを示すフローチャートである。
第3の実施形態と重複する部分があるため、簡単に以下にフローを説明する。まずMFP装置は初期化処理を行い、操作するユーザを認証する処理の要求があるかをチェックする。つづいて印刷ジョブの受付要求があるかをチェックし、次に印刷実行キューに実行要求ジョブがあるかをチェックする。その後MFP装置の他の機能のイベント処理を行う。ユーザの認証要求があった場合は、認証画面の表示を行い個人情報の入力を行わせる。入力された情報を元に認証サーバへ問い合わせを行い認証が失敗した場合はエラーメッセージを表示し再入力を促す。成功した場合は認証ユーザを記憶し、ユーザ権限に応じたメニュー画面を表示する。印刷ジョブの受付要求があった場合には、ユーザ情報と印刷サービス情報を取得し、印刷設定および印刷データを受信する。そして印刷データや印刷設定、それに付随するデータからロケーション情報、アプリ種別情報、ファイル名情報、端末種別情報が取得できる場合は取得処理を行い、その後スプール処理を行う。スプール処理が完了し印刷実行キューにジョブが登録されると、スプール処理時に取得されたメタ情報を使用し使用するフィルタを決定する。その後スプールから対象の印刷データを取り出し、印刷設定の各項目に対してフィルタに設定された処理内容(置換、削除)を行う。その後RIP処理を行い印刷用画像データが生成された時点で印刷装置へ生成画像が送られ印刷がおこなわれる。以上が、本実施形態の処理の流れである。
(第7の実施形態)
次に第7の実施形態を説明する。本実施形態は、第5の実施形態の処理を実行するシステムにおいて、画像形成装置1が実行するより具体的な処理の一例である。図24〜図27は本実施形態の画像形成装置1の制御部2等によって実現される機能によって実行される印刷処理の流れを示すフローチャートである。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。