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JP2013089346A - 非水電解質二次電池とその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池とその製造方法 Download PDF

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JP2013089346A JP2011226562A JP2011226562A JP2013089346A JP 2013089346 A JP2013089346 A JP 2013089346A JP 2011226562 A JP2011226562 A JP 2011226562A JP 2011226562 A JP2011226562 A JP 2011226562A JP 2013089346 A JP2013089346 A JP 2013089346A
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Takumi Tamaki
匠 玉木
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】分散剤の効果がより適切に発揮されて出力特性が向上した非水電解質二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明によって提供される非水電解質二次電池において、正極は、正極集電体と、該正極集電体上に形成された少なくとも正極活物質及び導電材及び分散剤を含む正極合材層と、を有している。正極活物質のDBP吸収量[mL/100g]は30mL/100g以上である。ここで、正極活物質のDBP吸収量[mL/100g]をAとし、正極合材層中の全固形分に占める該正極活物質の質量割合をx[質量%]とし、且つ、導電材のDBP吸収量[mL/100g]をBとし、正極合材層中の全固形分に占める該導電材の質量割合をy[質量%]としたときの以下の式により求められる計算値a:a=yB/xA;が0.28〜0.47である。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池とその製法に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、例えば、電気を駆動源として利用する車両に搭載される電源、或いはパソコンや携帯端末その他の電気製品等に用いられる電源として重要性が高まっている。特に軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましい。
非水電解質二次電池の一つの典型的な例では、正極活物質を含む正極合材層と負極活物質を含む負極合材層との間を電荷担体(例えばリチウムイオン)が行き来することによって、充電および放電が行われる。かかる正極合材層は、例えば、正極活物質と、導電材と、結着材とを、適量の溶媒に加えて混練することでペースト状の組成物(ペースト状の組成物には、スラリー状組成物及びインク状組成物が包含される。)を調製し、これを正極集電体(導電性部材)上に塗布して乾燥することにより形成される。
特開2009−193805号公報 特開2001−110424号公報 特開2005−285606号公報
ところで、導電材(例えば炭素材料)は凝集しやすい性質を持っているため組成物(ペースト)の混練時(調製時)に再凝集してしまい、組成物の粘度が大きくなってしまう虞がある。組成物の粘度が大きすぎると、集電体上に組成物を塗布する際に塗布ムラが発生してしまう虞がある。混練時に溶媒を多く用いることで導電材の凝集を防止して導電材の分散状態を高める(即ち粘度を低下させ、導電性を向上させる)ことは可能であるが、その後の乾燥工程において溶媒の除去量が増大するため溶媒除去にかかるコストが高くなる虞がある。このため、混練時に分散剤を添加することによって導電材の凝集を防止し組成物の粘度を下げることが考えられる。
しかしながら、分散剤の添加量が多すぎると、添加した分散剤が正極活物質に吸着されて該正極活物質の表面を覆ってしまうため、電荷担体の吸蔵及び放出が妨げられる結果、反応抵抗が増大してしまう虞がある。このように導電材の凝集を防止して組成物の粘度の増加を抑制するために、単に分散剤を加えただけでは、所望の高出力特性を得ることが難しいという課題があった。
そこで、本発明は、上述した課題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、分散剤の効果がより適切に発揮されて出力特性が向上した非水電解質二次電池を提供することであり、該非水電解質二次電池を好適に製造する方法を提供することである。
本発明により提供される非水電解質二次電池は、正極及び負極を備える非水電解質二次電池である。即ちここで開示される非水電解質二次電池において、上記正極は、正極集電体と、該正極集電体上に形成された少なくとも正極活物質及び導電材(典型的には粒状)及び分散剤を含む正極合材層と、を有している。上記正極活物質は、JIS K6217−4に基づくDBP吸収量[mL/100g]が30ml/100g以上である。ここで、上記正極活物質のDBP吸収量[mL/100g]をAとし、上記正極合材層中の全固形分に占める該正極活物質の質量割合をx[質量%](即ちx[質量%]は、正極合材層中の正極活物質の全質量p[g]と正極合材層中の全固形分の全質量S[g]との比(p/S)×100で表すことができる。)とし、且つ、上記導電材のDBP吸収量[mL/100g](JIS K6217−4参照)をBとし、上記正極合材層中の全固形分に占める該導電材の質量割合をy[質量%](即ちy[質量%]は、正極合材層中の導電材の全質量q[g]と正極合材層中の全固形分の全質量S[g]との比(q/S)×100で表すことができる。)としたときの以下の式(1)により求められる計算値a:
a=yB/xA (1);
が0.28〜0.47であることを特徴とする。
なお、本明細書において「非水電解質二次電池」とは、非水電解質(典型的には、非水溶媒中に支持塩(支持電解質)を含む電解液)を備えた電池をいう。また、「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な電池一般をいい、リチウムイオン二次電池等のいわゆる化学電池ならびに電気二重層キャパシタ等の物理電池を包含する用語である。
本発明によって提供される非水電解質二次電池では、DBP吸収量A[mL/100g]が30mL/100g以上(例えば30ml/100g〜45ml/100g)という比較的DBP吸収量が大きい(即ち分散剤を吸着可能な表面積が大きい)正極活物質を備えており、且つ上記式(1)によって導き出される計算値aが上記範囲内にある正極合材層を備えている。このため、正極活物質の表面に吸着する分散剤の割合を小さくすることができ、且つ、導電材の良好な分散性を確保することができる。この結果、反応抵抗が低減されて出力性能が向上した非水電解質二次電池となり得る。
なお、上記特許文献1〜3には、正極活物質、導電材、又は正極活物質と導電材との混合粉体のDBP吸収量について規定した技術が開示されているが、かかる特許文献1〜3の技術では正極合材層に分散剤を添加した際に正極活物質の大部分が分散剤によって被覆されるため、ここで開示される発明の作用効果を奏するものではない。
ここで開示される非水電解質二次電池の好適な一態様では、上記導電材(典型的には粒状の導電材)は、上記DBP吸収量B[mL/100g]が130mL/100g〜180mL/100gのカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック等)であることを特徴とする。導電材としてこのようなカーボンブラックを備える非水電解質二次電池では、良好な導電性を得ることができる。アセチレンブラックが使用するカーボンブラックとして特に好ましい。
ここで開示される非水電解質二次電池の好適な他の一態様では、上記正極合材層に含まれる上記導電材を100質量%としたときに、該正極合材層に含まれる上記分散剤の質量割合は、1質量%以上5質量%以下であることを特徴とする。
かかる構成によると、導電材の凝集が抑制されて導電材が良好に分散しており、且つ正極活物質への分散剤の過度な吸着が抑制された正極合材層を備える非水電解質二次電池となるので反応抵抗の低減が実現され得る。好ましくは、上記分散剤は、疎水性基と親水性基とを有する高分子化合物、又は極性官能基を有するアニオン性化合物或いはカチオン性化合物から選択される少なくとも一種である。ポリビニルブチラール及び/又はポリビニルピロリドンが上記高分子化合物として好ましい。
また、本発明によると、上記目的を実現する他の側面として、少なくとも正極活物質及び導電材を含む正極合材層が正極集電体上に形成された正極と、少なくとも負極活物質を含む負極合材層が負極集電体上に形成された負極と、を備える非水電解質二次電池の製造方法が提供される。即ち、ここで開示される非水電解質二次電池の製造方法は、上記導電材と、分散剤と、結着材とを所定の溶媒に分散させてなる導電材分散液を用意(準備)すること、上記用意した導電材分散液と、上記正極活物質としてJIS K6217−4に基づくDBP吸収量[mL/100g]が30mL/100g以上の正極活物質と、を混合してなるペースト状の正極合材層形成用組成物を用意(準備)すること、上記用意した正極合材層形成用組成物を上記正極集電体の表面に塗布して乾燥させることによって正極合材層を形成すること、を包含する。ここで、上記正極活物質のDBP吸収量[mL/100g]をAとし、上記正極合材層形成用組成物中の全固形分に占める該正極活物質の質量割合をx[質量%]とし、且つ、上記導電材のDBP吸収量[mL/100g]をBとし、上記正極合材層形成用組成物中の全固形分に占める該導電材の質量割合をy[質量%]としたときの以下の式(1)により求められる計算値a:
a=yB/xA (1);
が0.28〜0.47となるように、上記DBP吸収量Aと上記質量割合xと上記DBP吸収量Bと上記質量割合yとを決定することを特徴とする。
このように、DBP吸収量A[mL/100g]が30mL/100g以上(例えば30ml/100g〜45ml/100g)の正極活物質を用いて正極合材層を形成する際に、上記式(1)によって導きだされる計算値aを求めて、計算値aが上記範囲となるように上記DBP吸収量Aと上記質量割合xと上記DBP吸収量Bと上記質量割合yとを決定することにより、正極活物質に吸着する分散剤の割合を減少させることができ、導電材を良好に分散させることができる。これにより、非水電解質二次電池の反応抵抗の増加を抑制して出力性能を向上させることを実現することができる。
ここで開示される製造方法の好適な一態様では、上記導電材として、上記DBP吸収量B[mL/100g]が130mL/100g〜180mL/100gのカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック等)を用いる。カーボンブラックは導電性に優れる一方、凝集しやすい性質を有する。従って、導電材として上記カーボンブラックを用いた非水電解質二次電池を製造する場合には、分散剤を用いると共に正極活物質の物性及び質量割合と導電材の物性及び質量割合とのバランスを規定するという本発明の構成を採用することによる効果が特に発揮され得る。
ここで開示される製造方法の好適な他の一態様では、上記導電材分散液に含まれる上記導電材を100質量%としたときに、該導電材分散液に含まれる上記分散剤の質量割合が1質量%以上5質量%以下となるように該分散剤の量を調整する。
かかる構成によると、分散剤の添加に伴う内部抵抗の増加を抑制しつつ導電材を良好に分散させることができる。また、溶媒も低減することができるため高固形分で低粘度の正極合材層形成用組成物となり得る。
ここで開示される製造方法の好適な他の一態様では、上記分散剤として、疎水性基と親水性基とを有する高分子化合物、又は極性官能基を有するアニオン性化合物或いはカチオン性化合物から選択される少なくとも一種を用いる。例えば、上記高分子化合物として、ポリビニルブチラール及び/又はポリビニルピロリドンを用いる。かかる分散剤は、導電材を良好に分散させることができる。
上述のように、ここで開示されるいずれかの非水電解質二次電池或いはいずれかの製造方法により得られた非水電解質二次電池は、充放電時(特に低温(例えば−30℃程度)ハイレート(例えば5C〜50C)充放電時)の反応抵抗が低減されて高出力を発揮し得る非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)となり得る。このため、車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)の駆動電源として用いることができる。また、本発明の他の側面として、ここで開示されるいずれかの非水電解質二次電池(複数個の電池が典型的には直列に接続された組電池の形態であり得る。)を駆動電源として備える車両を提供する。
本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1中のII‐II線に沿う断面図である。 本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法を説明するためのフローチャートである。 式(1)の計算値aとIV抵抗との関係を示すグラフである。 本発明に係る非水電解質二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識に基づいて実施することができる。
ここで開示される非水電解質二次電池の好適な実施形態の一つとして、リチウムイオン二次電池を例にして詳細に説明するが、本発明の適用対象をかかる種類の非水電解質二次電池に限定することを意図したものではない。例えば、他の金属イオン(例えばマグネシウムイオン)を電荷担体とする非水電解質二次電池にも適用することができる。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池(非水電解質二次電池)の製造方法は、図3に示すように、導電材分散液準備(用意)工程(S10)と、正極合材層形成用組成物準備(用意)工程(S20)と、正極合材層形成工程(S30)とを包含する。
まず、導電材分散液準備(用意)工程(S10)について説明する。導電材分散液準備(用意)工程には、導電材と、分散剤と、結着材とを所定の溶媒に分散させてなる導電材分散液を用意することが含まれている。
上記導電材としては、一般的なリチウムイオン二次電池の正極に使用される導電材と同様のものを適宜採用することができる。例えば、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等)、グラファイト粉末等のカーボン粉末を用いることができる。これらのうち一種又は二種以上を併用してもよい。好ましくは、導電性に優れるアセチレンブラックが用いられる。
上記導電材の質量割合(使用量)は、後述する式(1)の計算値aが所定の範囲に収まる限り特に限定されない。例えば、正極合材層中に含まれる正極活物質を100質量%としたときに1質量%〜20質量%(好ましくは5質量%〜15質量%、より好ましくは7質量%〜12質量%)とすることができる。
また、上記導電材のJIS K6217−4「ゴム用カーボンブラック‐基本特性‐第4部:DBP吸収量の求め方」に基づくDBP吸収量B[mL/100g]は、凡そ130mL/100g〜180mL/100g(例えば、凡そ135mL/100g〜175mL/100g)であることが好ましい。
上記分散剤としては、例えば、疎水性基(鎖)と親水性基(鎖)とを有する高分子化合物(例えばポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等)を好ましく用いることができる。また、分散剤の他の例として、所定の極性官能基(例えばスルホン基、カルボキシル基、アミノ基等)を有するアニオン性化合物(例えば該化合物の硫酸塩、スルホン酸塩、燐酸塩等)、カチオン性化合物(例えば脂肪族アミン等)などが挙げられる。これらのうち一種又は二種以上を併用してもよい。例えば、ポリビニルピロリドンや、ポリビニルブチラールを好ましく用いることができる。上記分散剤は組成物の混練時に凝集しやすい上記導電材に吸着することにより、該導電材の凝集を防止して導電材の分散状態を高めることができると共に組成物の粘度を低下させることができる。
また、導電材分散液(及び後述する正極合材層)に含まれる分散剤の質量割合(使用量)は、該導電材分散液(及び後述する正極合材層)に含まれる上記導電材を100質量%としたときに1質量%以上5質量%以下(好ましくは2質量%以上3質量%以下)とすることができる。分散剤の使用量が1質量%よりも少なすぎる場合には、導電材を良好に分散させることができない虞がある。一方、分散剤の使用量が5質量%よりも多すぎる場合には、導電材自体は良好に分散させ得るものの、分散剤自体が過剰に含まれるため内部抵抗が上昇してしまう虞がある。
上記結着材(バインダ)としては、一般的なリチウムイオン二次電池の正極に使用される結着材と同様のものを適宜採用することができる。例えば、溶剤系の溶媒(有機溶媒)を用いて正極合材層形成用組成物を調製する場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等の有機溶媒(非水溶媒)に溶解するポリマー材料を用いることができる。有機溶媒としては、例えばN‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)等が挙げられる。
上記導電材、分散剤及び結着材を溶媒中で混ぜ合せる(混練)操作は、例えば、適当な混練機(プラネタリーミキサー、ホモディスパー、クレアミックス、フィルミックス等)を用いて行うことができる。上記導電材分散液を調製(用意)するにあたっては、先ず、導電材と分散剤とを溶媒中で混練し、分散剤を導電材に吸着させた後で結着材を添加して混練してもよい。
次に、正極合材層形成用組成物準備(用意)工程(S20)について説明する。正極合材層形成用組成物準備(用意)工程には、上記工程で用意した導電材分散液と正極活物質とを混合してなるペースト状の正極合材層形成用組成物を用意することが含まれている。
上記正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料であって、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素を含むリチウム含有化合物(例えばリチウム遷移金属酸化物)が挙げられる。例えば、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn)、或いは、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3)のような三元系リチウム含有複合酸化物が挙げられる。
また、一般式がLiMPO或いはLiMVO或いはLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素)等で表記されるようなポリアニオン系化合物(例えばLiFePO、LiMnPO、LiFeVO、LiMnVO、LiFeSiO、LiMnSiO、LiCoSiO)を上記正極活物質として用いてもよい。
また、上記正極活物質(典型的には粒子状)のJIS K6217−4に基づくDBP吸収量A[mL/100g]は、30mL/100g以上(例えば30ml/100g〜45ml/100g)である。上記DBP吸収量A[mL/100g]が30mL/100gよりも小さすぎる場合には、かかる正極活物質を備える非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)において高い出力を得ることができない。
一般に、緻密な中実構造の粒子からなる正極活物質(例えば、層状構造のリチウム遷移金属酸化物の粉末)のDBP吸収量は、概ね10mL/100g〜20mL/100g程度である。他の条件(粒子サイズ等)が同程度であれば、かかる中実粒子のDBP吸収量に比べて、多孔質構造または中空構造の粒子のDBP吸収量は大きくなる傾向にある。ここで開示される技術における上記正極活物質としては、このような多孔質構造または中空構造の粒子である。
ここで、多孔質構造とは、実体のある部分と空隙部分とが粒子全体にわたって混在している構造(スポンジ状構造)を指す。多孔質構造を有する正極活物質の代表例として、いわゆる噴霧焼成製法(スプレードライ製法と称されることもある。)により得られた正極活物質(典型的には、一次粒子が集まった二次粒子の形態を呈する。)が挙げられる。また、中空構造とは、殻部とその内側の中空部(空洞部)とを有する構造を指す。好ましい一態様において、上記殻部は、粒子外部と上記中空部とを連通させる貫通孔を有していてもよい(以下、殻部に上記貫通孔を有する中空構造を「孔空き中空構造」といい、かかる構造を有する活物質粒子を「孔空き中空活物質粒子」ということがある。)。このような中空構造(特記しない限り、孔空き中空構造を包含する意味である。)の粒子は、実体のある部分が殻部に偏っており、上記中空部にまとまった空間が確保されている点で、多孔質構造の粒子とは、構造上、明らかに区別されるものである。
かかる孔空き中空構造の活物質粒子の材質としては、リチウム遷移金属酸化物(典型的には、層状構造のリチウム遷移金属酸化物)が好ましい。遷移金属として少なくともNiを含むリチウム遷移金属酸化物(典型的にはリチウムニッケル酸化物)が特に好ましい。
≪孔空き中空活物質粒子の製造方法≫
上記リチウム遷移金属酸化物を構成材質とする孔空き中空活物質粒子は、例えば以下のようにして好適に製造することができる。その製造方法は、該活物質粒子を構成するリチウム遷移金属酸化物に含まれる遷移金属元素の少なくとも一つ(好ましい一態様では、該酸化物に含まれるリチウム以外の金属元素の全部)を含む水性溶液から、該遷移金属の水酸化物を適切な条件で析出させること(原料水酸化物生成工程)を含む。また、その遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合すること(混合工程)を含む。さらに、その混合物を焼成すること(焼成工程)を含み得る。以下、かかる製造方法の好適な一形態につき、層状構造のLiNiCoMn酸化物からなる孔開き中空活物質粒子を製造する場合を例として詳しく説明するが、この製造方法の適用対象をかかる組成の孔開き中空活物質粒子に限定する意図ではない。
ここで開示される正極活物質粒子を製造する方法の好ましい一態様では、上記原料水酸化物生成工程が、遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオン(NH )を供給して該水性溶液から遷移金属水酸化物の粒子を析出させることを含む。上記水性溶液を構成する溶媒(水性溶媒)は、典型的には水であり、水を主成分とする混合溶媒であってもよい。この混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール等)が好適である。上記遷移金属化合物の水性溶液(以下、「遷移金属溶液」ともいう。)は、製造目的たる活物質粒子を構成するリチウム遷移金属酸化物の組成に応じて、該リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素(ここではNi,CoおよびMn)の少なくとも一つ(好ましくは全部)を含む。例えば、水性溶媒中にNiイオン,CoイオンおよびMnイオンを供給し得る一種または二種以上の化合物を含む遷移金属溶液を使用する。これらの金属イオン源となる化合物としては、該金属の硫酸塩、硝酸塩、塩化物等を適宜採用することができる。例えば、水性溶媒(好ましくは水)に硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンが溶解した組成の遷移金属溶液を好ましく使用し得る。
上記NH は、例えば、NH を含む水性溶液(典型的には水溶液)の形態で上記遷移金属溶液に供給されてもよく、該遷移金属溶液にアンモニアガスを直接吹き込むことにより供給されてもよく、これらの供給方法を併用してもよい。NH を含む水性溶液は、例えば、NH 源となり得る化合物(水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、アンモニアガス等)を水性溶媒に溶解させることにより調製することができる。好ましい一態様では、水酸化アンモニウム水溶液(すなわちアンモニア水)の形態でNH を供給する。
≪核生成段階≫
好ましい一態様では、上記原料水酸化物生成工程が、上記遷移金属溶液から遷移金属水酸化物の核を析出させる段階(核生成段階)と、その核を成長させる段階(粒子成長段階)とを含む。好ましい一態様において、上記核生成段階および上記粒子成長段階は、いずれもアンモニウムイオンの存在下で行われる。少なくとも、上記粒子成長段階は、上記溶液中のアンモニウムイオン濃度(アンモニア濃度)を制御しつつ(例えば、所定値以下に制御しつつ)行うことが好ましい。また、上記粒子成長段階は、上記核生成段階におけるpHより低pHであって且つアルカリ性の条件下で実施することが好ましい。
バラツキの少ない(例えば、粒径や粒子構造等が平均から大きく外れた粒子の個数割合が少ない)孔空き中空活物質粒子が得られやすいという観点から、上記核生成段階において、上記遷移金属溶液から短時間のうちに(例えば、ほぼ同時に)多数の核を析出させることが好ましい。例えば、上記遷移金属水酸化物が過飽和の状態にある溶液から(例えば、該溶液を臨界過飽和度に到達させることにより)上記核を析出させるとよい。かかる析出態様を好適に実現するには、上記核生成段階をpH12以上(典型的にはpH12以上14以下、例えばpH12.2以上13以下)の条件で行うことが有利である。
核生成段階におけるNH 濃度(アンモニウムイオン濃度)は特に限定されないが、通常は凡そ25g/L以下とすることが適当であり、例えば3〜25g/L程度とするとよい。上記pHおよびNH 濃度は、上記アンモニア水の使用量とアルカリ剤(液性をアルカリ性に傾ける作用のある化合物)の使用量とを適切にバランスさせることにより調整することができる。上記使用量は、例えば、反応系への供給レートとしても把握し得る。アルカリ剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を、典型的には水溶液の形態で用いることができる。好ましい一態様では水酸化ナトリウム水溶液を使用する。なお、本明細書中において、pHの値は、液温25℃を基準とするpH値をいうものとする。
≪粒子成長段階≫
上記粒子成長段階では、上記核生成段階で析出した遷移金属水酸化物の核(典型的には粒子状)を、好ましくは上記核生成段階よりも低pH域のアルカリ性条件下で成長させる。例えば、pH12未満(典型的にはpH10以上12未満、好ましくはpH10以上11.8以下、例えばpH11.0以上11.8以下)で成長させるとよい。この粒子成長段階を経て得られる遷移金属水酸化物粒子(原料水酸化物粒子)は、好ましくは、該粒子の外表面部の密度に比べて、該粒子の内部の密度が低い構造を有する。かかる構造の遷移金属水酸化物粒子を安定して得るためには、上記粒子成長段階におけるNH 濃度を高くしすぎない(低く抑える)ことが肝要である。このことによって、遷移金属水酸化物(ここでは、Ni,CoおよびMnを含む複合水酸化物)の析出速度が速くなり、ここで開示される孔開き中空活物質粒子の形成に適した原料水酸化物粒子(換言すれば、孔開き中空構造の焼成物を形成しやすい原料水酸化物粒子)が効果的に生成し得る。通常は、粒子成長段階におけるNH 濃度を25g/L以下とすることが適当であり、好ましくは15g/L以下、より好ましくは10g/L以下(例えば8g/L以下)である。NH 濃度の下限は特に限定されないが、製造条件の管理しやすさ、品質安定性、得られる活物質粒子の機械的強度(例えば硬度)等の観点から、通常は、NH 濃度を1g/L以上(好ましくは3g/L以上)とすることが適当である。粒子成長段階におけるpHおよびNH 濃度は、核生成段階と同様にして調整することができる。
好ましい一態様では、粒子成長段階におけるNH 濃度を7g/L以下(典型的には1〜7g/L、例えば3〜7g/L)とする。この粒子成長段階におけるNH 濃度は、例えば、核生成段階におけるNH 濃度と概ね同程度としてもよく、核生成段階におけるNH 濃度より低くしてもよい。なお、遷移金属水酸化物の析出速度は、例えば、反応液に供給される遷移金属溶液に含まれる遷移金属イオンの合計モル数に対して、反応液の液相中に含まれる遷移金属イオンの合計モル数(合計イオン濃度)の推移を調べることにより把握され得る。
核生成段階および粒子成長段階のそれぞれにおいて、反応液の温度は、凡そ30℃〜60℃の範囲のほぼ一定温度(例えば、所定の温度±1℃)となるように制御することが好ましい。核生成段階と粒子成長段階とで反応液の温度を同程度としてもよい。また、反応液および反応槽内の雰囲気は、核生成段階および粒子成長段階を通じて非酸化性雰囲気に維持することが好ましい。また、反応液に含まれるNiイオン,CoイオンおよびMnイオンの合計モル数(合計イオン濃度)は、核生成段階および粒子成長段階を通じて、例えば凡そ0.5〜2.5モル/Lとすることができ、凡そ1.0〜2.2モル/Lとすることが好ましい。かかる合計イオン濃度が維持されるように、遷移金属水酸化物の析出速度に合わせて遷移金属溶液を補充(典型的には連続供給)するとよい。反応液に含まれるNiイオン,CoイオンおよびMnイオンの量は、目的物たる活物質粒子の組成(すなわち、該活物質粒子を構成するLiNiCoMn酸化物におけるNi,Co,Mnのモル比)に対応する量比とすることが好ましい。
≪混合工程≫
好ましい一態様では、このようにして生成した遷移金属水酸化物粒子(ここでは、Ni,CoおよびMnを含む複合水酸化物粒子)を反応液から分離し、洗浄して乾燥させる。そして、この遷移金属水酸化物粒子とリチウム化合物とを所望の量比で混合して未焼成の混合物を調製する(混合工程)。この混合工程では、典型的には、目的物たる活物質粒子の組成(すなわち、該活物質粒子を構成するLiNiCoMn酸化物におけるLi,Ni,Co,Mnのモル比)に対応する量比で、Li化合物と遷移金属水酸化物粒子とを混合する。上記リチウム化合物としては、加熱により酸化物となり得るリチウム化合物、例えば炭酸リチウム,水酸化リチウム等を好ましく用いることができる。
≪焼成工程≫
そして、上記混合物を焼成して孔空き中空構造の活物質粒子を得る(焼成工程)。この焼成工程は、典型的には酸化性雰囲気中(例えば大気中)で行われる。この焼成工程における焼成温度は、例えば700℃〜1100℃とすることができる。最高焼成温度が800℃以上(好ましくは800℃〜1100℃、例えば800℃〜1050℃)となるように行われることが好ましい。この範囲の最高焼成温度によると、リチウム遷移金属酸化物(好ましくはNi含有Li酸化物、ここではLiNiCoMn酸化物)の一次粒子の焼結反応を適切に進行させることができる。好適には、焼成工程後に焼成物を解砕し、篩分けを行ない、活物質粒子の粒径を調整するとよい。
好ましい一態様では、上記混合物を700℃以上900℃以下の温度T1(すなわち700℃≦T1≦900℃、例えば700℃≦T1≦800℃、典型的には700℃≦T1<800℃)で焼成する第一焼成段階と、その第一焼成段階を経た結果物を800℃以上1100℃以下の温度T2(すなわち800℃≦T2≦1100℃、例えば800℃≦T2≦1050℃)で焼成する第二焼成段階とを含む態様で行う。このことによって、孔開き中空構造の活物質粒子をより効率よく形成することができる。T1およびT2は、T1<T2となるように設定することが好ましい。
第一焼成段階と第二焼成段階とは、連続して(例えば、上記混合物を第一焼成温度T1に保持した後、引き続き第二焼成温度T2まで昇温して該温度T2に保持することにより)行ってもよく、あるいは、第一焼成温度T1に保持した後、いったん冷却(例えば、常温まで冷却)し、必要に応じて解砕および篩い分けを行ってから第二焼成段階に供してもよい。
なお、ここで開示される技術において、上記第一焼成段階は、目的とするリチウム遷移金属酸化物の焼結反応が進行し且つ融点以下の温度域であって第二焼成段階よりも低い温度T1で焼成する段階として把握することができる。また、上記第二焼成段階は、目的とするリチウム遷移金属酸化物の焼結反応が進行し且つ融点以下の温度域であって第一焼成段階よりも高い温度T2で焼成する段階として把握することができる。T1とT2との間には50℃以上(典型的には100℃以上、例えば150℃以上)の温度差を設けることが好ましい。
以上のようにしてDBP吸収量A[mL/100g]が30mL/100g以上の正極活物質の好ましい例、ここでは孔空き中空活物質粒子を製造することができる。
上記DBP吸収量A[mL/100g]が30mL/100g以上の正極活物質と上記用意した導電材分散液とを混合して正極合材層形成用組成物を調製する操作は、上記導電材分散液を調製した場合と同様の方法で行うことができる。
このとき、正極合材層形成用組成物において、上記正極活物質のDBP吸収量[mL/100g]をAとし、上記正極合材層形成用組成物中の全固形分に占める該正極活物質の質量割合をx[質量%]とし、且つ、上記導電材のDBP吸収量[mL/100g]をBとし、上記正極合材層形成用組成物中の全固形分に占める該導電材の質量割合をy[質量%]としたときの以下の式(1)により求められる計算値a:
a=yB/xA (1);
が0.28〜0.47となるように、上記DBP吸収量Aと上記質量割合xと上記DBP吸収量Bと上記質量割合yとを決定する。
上記式(1)の計算値aが0.47よりも大きすぎる場合には、正極合材層中の正極活物質の量が少ないため(即ち正極活物質全体の表面積(反応面積)が小さいため)充放電時の電荷担体(リチウムイオン)の吸蔵及び放出が良好に行われず反応抵抗が増大してしまう虞があり、且つ、正極合材層中の導電材の割合が大きいため十分な電池容量が得られず、結果として高出力を得ることができない虞がある。
一方、上記式(1)の計算値aが0.28よりも小さすぎる場合には、正極合材層中の導電材の量が少ないため、より多くの分散剤が正極活物質の表面に吸着してしまう虞がある。この結果、正極活物質全体の表面積(反応面積)が小さくなり、充放電時の電荷担体の吸蔵及び放出が良好に行われず反応抵抗が増大してしまう虞がある。
このときの正極合材層形成用組成物の固形分濃度:固形分濃度[質量%]=(組成物中の全固形分の質量)/(組成物中の全固形分及び溶媒の合計質量);は、凡そ50質量%〜70質量%(例えば55質量%〜60質量%)となる。本実施形態にかかる組成物は、従来の組成物(例えば固形分濃度45質量%程度)と比べて固形分濃度が高くなるため、該組成物を乾燥させて正極合材層を形成する際に必要な総熱量が少なくて済み乾燥に要する時間が短縮される。この結果、従来よりも小規模な乾燥設備(例えば乾燥炉)を用いることができコストの削減が実現され得る。
次に、正極合材層形成工程(S30)について説明する。正極合材層形成工程には、上記用意した正極合材層形成用組成物を正極集電体の表面に塗布すること、該正極集電体上に塗布した組成物を乾燥して正極合材層を形成することが含まれている。
上記正極集電体としては、従来のリチウムイオン二次電池の正極に用いられている集電体と同様、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウム材又はアルミニウム材を主体とする合金材を用いることができる。正極集電体の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状等の種々の形態であり得る。
正極集電体に上記正極合材層形成用組成物を塗布する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の適当な塗布装置を使用することにより、正極集電体に該組成物を好適に塗布することができる。
そして、正極集電体上に塗布された上記組成物を乾燥することで正極合材層を形成することができる。
正極集電体に塗布された組成物を乾燥する際の乾燥温度は、例えば、100℃〜180℃程度(例えば150℃)であり、乾燥時間は、例えば、10秒〜120秒程度(例えば90秒)である。組成物から溶媒(例えばNMP)を除去することによって正極集電体の表面に正極合材層が形成される。なお、正極合材層が形成された後に、必要に応じて圧延(プレス)してもよい。圧延方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧延方法を採用することができる。
上記のようにして作製された正極は、DBP吸収量[mL/100g]が30mL/100g以上の正極活物質を含んでおり、正極活物質のDBP吸収量[mL/100g]をAとし、正極合材層中の全固形分に占める該正極活物質の質量割合をx[質量%]とし、且つ、導電材のDBP吸収量[mL/100g]をBとし、正極合材層中の全固形分に占める該導電材の質量割合をy[質量%]としたときの以下の式(1)により求められる計算値a:
a=yB/xA (1);
が0.28〜0.47であるため、反応抵抗が低減されて出力性能が向上したリチウムイオン二次電池(非水電解質二次電池)となり得る。
次に、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池(非水電解質二次電池)に備えられる負極について説明する。かかる負極は、負極集電体と、該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極合材層とを備えている。
上記負極活物質としては、例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料、リチウム遷移金属複合酸化物((例えば、LiTi12等のリチウムチタン複合酸化物)、リチウム遷移金属複合窒化物等が挙げられる。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛(人工黒鉛)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)等が挙げられる。また、上記負極活物質の表面を非晶質炭素膜で被覆してもよい。例えば、負極活物質にピッチを混ぜて焼くことによって、少なくとも一部が非晶質炭素膜で被覆された負極活物質を得ることができる。
上記負極合材層は、上記負極活物質の他に、結着材(バインダ)、増粘材等の任意の成分を必要に応じて含有し得る。
上記結着材としては、一般的なリチウムイオン二次電池の負極に使用される結着材と同様のものを適宜採用することができる。例えば、負極合材層を形成するために水系のペースト状組成物を用いる場合には、水に溶解または分散するポリマー材料を好ましく採用し得る。水に分散する(水分散性の)ポリマー材料としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム類;ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル共重合体等が例示される。
ここで、「水系のペースト状組成物」とは、上記所定の溶媒(分散媒)として水または水を主体とする混合溶媒(水系溶媒)を用いた組成物を指す概念である。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。
また、上記増粘材としては、水若しくは溶剤(有機溶媒)に溶解又は分散するポリマー材料を採用し得る。水に溶解する(水溶性の)ポリマー材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);等が挙げられる。
上記負極合材層は、例えば、上記負極活物質と、他の任意成分(結着材、増粘材等)とを適当な溶媒(例えば水)に分散させたペースト状の負極合材層形成用組成物を用意(調製、購入等)し、該組成物を負極集電体の表面に塗布(付与)して該組成物を乾燥させた後に、必要に応じてプレス(圧縮)することによって負極合材層が形成される。これにより、負極集電体と、負極合材層を備える負極を作製することができる。なお、上記負極集電体としては、従来のリチウムイオン二次電池の負極に用いられている集電体と同様、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、銅又はニッケル或いはこれらを主成分とする合金を用いることができる。
以下、上記正極及び負極を用いて構築されるリチウムイオン二次電池の一形態を図面を参照しつつ説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。以下の実施形態では、捲回電極体および電解質を角型形状の電池ケースに収容した構成のリチウムイオン二次電池を例にして説明する。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(非水電解質二次電池)10を模式的に示す斜視図である。図2は、図1中のII−II線に沿う縦断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)の電池ケース15を備える。このケース(外容器)15は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体30と、その開口部20を塞ぐ蓋体25とを備える。溶接等により蓋体25は、ケース本体30の開口部20を封止している。ケース15の上面(すなわち蓋体25)には、捲回電極体50の正極シート(正極)64と電気的に接続する正極端子60および該電極体の負極シート84と電気的に接続する負極端子80が設けられている。また、蓋体25には、従来のリチウムイオン二次電池のケースと同様に、電池異常の際にケース15内部で発生したガスをケース15の外部に排出するための安全弁40が設けられている。ケース15の内部には、正極シート64および負極シート84を計二枚のセパレータシート95とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体50及び電解質(例えば非水電解液)が収容されている。
上記積層の際には、図2に示すように、正極シート64の正極合材層非形成部分(即ち正極合材層66が形成されずに正極集電体62が露出した部分)と負極シート84の負極合材層非形成部分(即ち負極合材層90が形成されずに負極集電体82が露出した部分)とがセパレータシート95の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート64と負極シート84とを幅方向にややずらして重ね合わせる。その結果、捲回電極体50の捲回方向に対する横方向において、正極シート64および負極シート84の電極合材層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分(すなわち正極シート64の正極合材層形成部分と負極シート84の負極合材層形成部分と二枚のセパレータシート95とが密に捲回された部分)から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分に正極端子60を接合して、上記扁平形状に形成された捲回電極体50の正極シート64と正極端子60とを電気的に接続する。同様に負極側はみ出し部分に負極端子80を接合して、負極シート84と負極端子80とを電気的に接続する。なお、正負極端子60,80と正負極集電体62,82とは、例えば、超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。
上記電解質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒(有機溶媒)に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等から選択される一種又は二種以上を用いることができる。また、上記支持塩(支持電解質)としては、例えば、LiPF,LiBF等のリチウム塩を用いることができる。さらに上記非水電解液に、ジフルオロリン酸塩(LiPO)やリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を溶解させてもよい。
また、上記セパレータシートとしては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の多孔質ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。例えば、PEシート、PPシート、PE層の両側にPP層が積層された三層構造(PP/PE/PP構造)のシート等を好適に使用し得る。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[正極活物質の作製]
以下の実験における正極活物質としては、次のようにして作製された孔空き中空構造の活物質粒子を使用した。
槽内温度40℃に設定された反応槽内にイオン交換水を入れ、攪拌しつつ窒素ガスを流通させて、該イオン交換水を窒素置換するとともに反応槽内を酸素ガス(O)濃度2.0%の非酸化性雰囲気に調整した。次いで、25%水酸化ナトリウム水溶液と25%アンモニア水とを、液温25℃を基準として測定するpHが12.5となり且つ液中NH 濃度が5g/Lとなるように加えた。
硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを、Ni:Co:Mnのモル比が0.33:0.33:0.33となり且つこれら金属元素の合計モル濃度が1.8モル/Lとなるように水に溶解させて、混合水溶液を調整した。この混合水溶液と25%NaOH水溶液と25%アンモニア水とを上記反応槽内に一定速度で供給することにより、反応液をpH12.5、アンモニア濃度5g/Lに制御しつつ、該反応液からNiCoMn複合水酸化物を晶析させた(核生成段階)。
上記混合水溶液の供給開始から2分30秒経過したところで、25%NaOH水溶液の供給を停止した。上記混合水溶液および25%アンモニア水については引き続き一定速度で供給を行った。反応液のpHが11.6まで低下した後、25%NaOH水溶液の供給を再開した。そして、反応液をpH11.6且つ後述するアンモニア濃度に制御しつつ、上記混合水溶液、25%NaOH水溶液および25%アンモニア水を供給する操作を4時間継続してNiCoMn複合水酸化物粒子を成長させた(粒子成長段階)。その後、生成物を反応槽から取り出し、水洗し、乾燥させた。このようにして、Ni0.33Co0.33Mn0.33(OH)2+α(ここで、式中のαは0≦α≦0.5である。)で表わされる組成の複合水酸化物粒子を得た。
上記複合水酸化物粒子に対し、大気雰囲気中、150℃で12時間の熱処理を施した。次いで、リチウム源としてのLi2CO3と上記複合水酸化物粒子とを、リチウムのモル数(MLi)と上記複合水酸化物を構成するNi,CoおよびMnの総モル数(MMe)との比(MLi:MMe)が1.15:1となるように混合した。この混合物を760℃で4時間焼成し(第一焼成段階)、次いで950℃で10時間焼成した(第二焼成段階)。その後、焼成物を解砕し、篩分けを行った。このようにして、Li1.15Ni0.33Co0.33Mn0.332で表わされる組成の活物質粒子サンプルを得た。
上記の活物質粒子サンプル作製過程において、複合水酸化物粒子の作製時に使用する反応液等の条件を調節することにより、より具体的には、粒子成長段階において反応液のアンモニア濃度を1〜15g/mLの間の異なる濃度にそれぞれ維持(制御)することにより、上述した方法によるDBP吸収量xがそれぞれ43mL/100g(サンプルS1)、39mL/100g(サンプルS2)、38mL/100g(サンプルS3)、37mL/100g(サンプルS4)、36mL/100g(サンプルS5)、34mL/100g(サンプルS6)及び32mL/100g(サンプルS7)である7種類の活物質粒子を作製した。
[リチウムイオン二次電池の作製]
<例1>
正極活物質としての上記サンプルS1の活物質粒子(DBP吸収量A:43mL/100g)と、導電材としてのアセチレンブラック(DBP吸収量B:140mL/100g)と、結着材としてのPVDFと、分散剤としてのポリビニルブチラールとの質量比が90:8:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料(即ち導電材、結着材及び分散剤)を溶媒NMPに分散させて導電材分散液を調製した。該導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することによりペースト状の正極合材層形成用組成物を調製した。該組成物を厚さ15μmの正極集電体(アルミニウム箔)上に塗布量10mg/cmで塗布してNMPを揮発させることにより、該正極集電体上に正極合材層が形成されてなる正極シートを作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.29であった。
一方、負極活物質としての天然黒鉛と、結着材としてのSBRと、増粘材であるCMCとの質量比が98:1:1となるように秤量し、これら材料をイオン交換水に分散させてペースト状の負極合材層形成用組成物を調製した。該組成物を厚さ10μmの負極集電体(銅箔)上に塗布してイオン交換水を揮発させることにより、該負極集電体上に負極合材層が形成されてなる負極シートを作製した。
そして、上記作製した正極シート及び負極シートをセパレータシート(ポリプロピレン/ポリエチレン複合体多孔質膜)を挟んで対向配置させ(積層させ)、これを電解液と共にラミネート型のケース(ラミネートフィルム)に収容することにより例1に係るリチウムイオン二次電池(定格容量150mAh)を作製した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との体積比3:7の混合溶媒に1mol/LのLiPFを溶解させたものを使用した。
<例2>
上記サンプルS2(DBP吸収量A:39mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:142mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が90.5:7.5:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例2に係る導電材分散液を調製した。例2に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例2に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例2に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例2に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.3であった。
<例3>
上記サンプルS3(DBP吸収量A:38mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:175mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が93:5:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例3に係る導電材分散液を調製した。例3に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例3に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例3に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例3に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.25であった。
<例4>
上記サンプルS3(DBP吸収量A:38mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:175mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が90:8:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例4に係る導電材分散液を調製した。例4に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例4に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例4に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例4に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.41であった。
<例5>
上記サンプルS3(DBP吸収量A:38mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:175mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が88:10:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例5に係る導電材分散液を調製した。例5に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例5に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例5に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例5に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.52であった。
<例6>
上記サンプルS3(DBP吸収量A:38mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:175mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が85:13:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例6に係る導電材分散液を調製した。例6に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例6に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例6に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例6に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.7であった。
<例7>
上記サンプルS4(DBP吸収量A:37mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:135mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が91:7:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例7に係る導電材分散液を調製した。例7に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例7に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例7に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例7に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.28であった。
<例8>
上記サンプルS4(DBP吸収量A:37mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:135mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が90.5:7.5:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例8に係る導電材分散液を調製した。例8に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例8に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例8に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例8に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.3であった。
<例9>
上記サンプルS5(DBP吸収量A:36mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:140mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が90:8:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例9に係る導電材分散液を調製した。例9に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例9に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例9に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例9に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.35であった。
<例10>
上記サンプルS6(DBP吸収量A:34mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:140mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が88:10:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例10に係る導電材分散液を調製した。例10に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例10に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例10に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例10に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.47であった。
<例11>
上記サンプルS7(DBP吸収量A:32mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:140mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が90:8:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例11に係る導電材分散液を調製した。例11に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例11に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例11に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例11に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.39であった。
<例12>
正極活物質としてのLi1.15Ni0.33Co0.33Mn0.332(DBP吸収量A:28mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:175mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が90.5:7.5:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例12に係る導電材分散液を調製した。例12に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例12に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例12に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例12に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.52であった。
<例13>
Li1.15Ni0.33Co0.33Mn0.332(DBP吸収量A:28mL/100g)と、アセチレンブラック(DBP吸収量B:175mL/100g)と、PVDFと、ポリビニルブチラールとの質量比が93:5:2:0.2となるように秤量し、正極活物質を除く上記材料を溶媒NMPに分散させて例13に係る導電材分散液を調製した。例13に係る導電材分散液と上記秤量した正極活物質とを混合して混練することにより例13に係る正極合材層形成用組成物を調製した。例13に係る正極合材層形成用組成物を用いた他は例1と同様にして、例13に係るリチウムイオン二次電池を作製した。このときの上記式(1)の計算値aは0.34であった。例1〜例13に係るリチウムイオン二次電池の構成を表1に示す。なお、表1中分散剤は、正極活物質と導電材と結着材との合計量に対する添加量(質量%)である。
Figure 2013089346
[コンディショニング処理]
上記作製した例1〜例13に係るリチウムイオン二次電池に対して、1/3C(1Cは1時間で満充放電可能な電流値)のレートで3時間の定電流(CC)充電を行い、次いで、1/3Cのレートで4.1Vまで充電する操作と、1/3Cのレートで3Vまで放電させる操作とを3回繰り返した。
[IV抵抗測定試験]
上記コンディショニング処理後の各例にかかる二次電池について、IV抵抗(反応抵抗)を測定した。IV抵抗は以下のようにして測定した。即ち、各例に係る二次電池を3Vから1Cの定電流で充電し、SOC(State of Charge)60%の充電状態に調整した後、−30℃の温度条件下、10C(ハイレート放電)で2秒間の定電流(CC)放電を行い、このときの電流(I)‐電圧(V)プロット値の一次近似直線の傾きからIV抵抗[mΩ]を求めた。上記各例に係る二次電池のIV抵抗の測定結果を表1及び図4に示す。
表1及び図4に示すように、例3、例5、例6及び例12に係る二次電池ではIV抵抗(反応抵抗)が他の例に係る二次電池と比較して増大していることが確認された。即ち、上記式(1)の計算値aの値が0.28〜0.47の場合にはIV抵抗が低減されており良好な性能(即ち高出力である)を示すことが確認された。
また、例13に係る二次電池では上記式(1)の計算値aの値は0.34であるが、DBP吸収量Aが28mL/100gと低く、正極活物質の表面積(反応面積)が十分に確保されないため、IV抵抗が増大したものと推察される。
以上の結果から、DBP吸収量A[mL/100g]は30mL/100g以上(例えば32mL/100g以上)であって、上記式(1)により求められる計算値aが0.28〜0.47である二次電池ではIV抵抗(反応抵抗)が低減されて良好な電池性能を示すことが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、上記実施形態及び実施例は例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本発明に係る非水電解質二次電池は、充放電時(特に低温(例えば−30℃)ハイレート充放電時)の内部抵抗の増加が抑制されており、出力性能に優れることから、各種用途向けの非水電解質二次電池として利用可能である。例えば、図5に示すように、自動車等の車両100に搭載される車両駆動用モーターの電源(駆動電源)として好適に利用することができる。車両100に使用される非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)10は、単独で使用されてもよく、直列及び/又は並列に複数接続されてなる組電池の形態で使用されてもよい。
10 リチウムイオン二次電池(非水電解質二次電池)
15 電池ケース
20 開口部
25 蓋体
30 ケース本体
40 安全弁
50 捲回電極体
60 正極端子
62 正極集電体
64 正極シート(正極)
66 正極合材層
80 負極端子
82 負極集電体
84 負極シート(負極)
90 負極合材層
95 セパレータシート
100 車両(自動車)

Claims (13)

  1. 正極及び負極を備える非水電解質二次電池であって、
    前記正極は、正極集電体と、該正極集電体上に形成された少なくとも正極活物質及び導電材及び分散剤を含む正極合材層と、を有しており、
    前記正極活物質は、JIS K6217−4に基づくDBP吸収量[mL/100g]が30mL/100g以上であり、
    ここで、前記正極活物質のDBP吸収量[mL/100g]をAとし、前記正極合材層中の全固形分に占める該正極活物質の質量割合をx[質量%]とし、且つ、
    前記導電材のDBP吸収量[mL/100g]をBとし、前記正極合材層中の全固形分に占める該導電材の質量割合をy[質量%]としたときの以下の式(1)により求められる計算値a:
    a=yB/xA (1);
    が0.28〜0.47であることを特徴とする、非水電解質二次電池。
  2. 前記導電材は、前記DBP吸収量[mL/100g]Bが130mL/100g〜180mL/100gのカーボンブラックであることを特徴とする、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記導電材は、アセチレンブラックであることを特徴とする、請求項2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記正極合材層に含まれる前記導電材を100質量%としたときに、該正極合材層に含まれる前記分散剤の質量割合は、1質量%以上5質量%以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記分散剤は、疎水性基と親水性基とを有する高分子化合物、又は極性官能基を有するアニオン性化合物或いはカチオン性化合物から選択される少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記高分子化合物は、ポリビニルブチラール及び/又はポリビニルピロリドンであることを特徴とする、請求項5に記載の非水電解質二次電池。
  7. 少なくとも正極活物質及び導電材を含む正極合材層が正極集電体上に形成された正極と、少なくとも負極活物質を含む負極合材層が負極集電体上に形成された負極と、を備える非水電解質二次電池の製造方法であって、
    前記導電材と、分散剤と、結着材とを所定の溶媒に分散させてなる導電材分散液を用意すること、
    前記用意した導電材分散液と、前記正極活物質としてJIS K6217−4に基づくDBP吸収量[mL/100g]が30mL/100g以上の正極活物質と、を混合してなるペースト状の正極合材層形成用組成物を用意すること、
    前記用意した正極合材層形成用組成物を前記正極集電体の表面に塗布して乾燥させることによって正極合材層を形成すること、
    を包含し、
    ここで、前記正極活物質のDBP吸収量[mL/100g]をAとし、前記正極合材層形成用組成物中の全固形分に占める該正極活物質の質量割合をx[質量%]とし、且つ、
    前記導電材のDBP吸収量[mL/100g]をBとし、前記正極合材層形成用組成物中の全固形分に占める該導電材の質量割合をy[質量%]としたときの以下の式(1)により求められる計算値a:
    a=yB/xA (1);
    が0.28〜0.47となるように、前記DBP吸収量Aと前記質量割合xと前記DBP吸収量Bと前記質量割合yとを決定することを特徴とする、非水電解質二次電池の製造方法。
  8. 前記導電材として、前記DBP吸収量B[mL/100g]が130mL/100g〜180mL/100gのカーボンブラックを用いる、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記導電材として、アセチレンブラックを用いる、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記導電材分散液に含まれる前記導電材を100質量%としたときに、該導電材分散液に含まれる前記分散剤の質量割合が1質量%以上5質量%以下となるように該分散剤の量を調整する、請求項7から9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記分散剤として、疎水性基と親水性基とを有する高分子化合物、又は極性官能基を有するアニオン性化合物或いはカチオン性化合物から選択される少なくとも一種を用いる、請求項7から10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 前記高分子化合物として、ポリビニルブチラール及び/又はポリビニルピロリドンを用いる、請求項11に記載の製造方法。
  13. 車両の駆動電源として用いられることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池或いは請求項7から12のいずれか一項に記載の製造方法により得られた非水電解質二次電池。
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