以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキンに基づき図面を参照して説明する。本実施形態のナプキン1は、図1及び図2に示すように、肌当接面側に配置された表面シート2、非肌当接面側に配置された裏面シート3、及び両シート2,3間に介在された吸収体4を具備しており、縦長(一方向に長い形状)である。ナプキン1は、図1に示すように、装着時に装着者の排泄部(膣口)に対向配置される排泄部対向部11と、装着時に排泄部対向部11よりも装着者の腹側に配される前方部12と、装着時に排泄部対向部11よりも装着者の背中側に配される後方部13とを、長手方向Xに有している。排泄部対向部11は、後述する、左右に一対のウイング部6,6を有する部分である。一対のウイング部6,6は、ナプキン1をショーツ等の下着に固定する際に、下着の股下部(クロッチ部)に巻かれて使用される部位である。尚、本発明の吸収性物品(生理用ナプキン)がウイング部を有していない場合、該生理用ナプキンの排泄部対向部は、製品長手方向の全長が25cm以下のいわゆる短時間昼用のナプキンでは、該ナプキンを長手方向に3等分して前方部、中央部、後方部とした場合の中央部(前から2番目の領域)であり、製品長手方向全長が25cmを超えるいわゆる長時間昼用及び夜用のナプキンでは、これらのナプキンを長手方向に4等分した場合の前から2番目の領域(後から3番目の領域)である。
尚、本明細書において、肌当接面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の装着時に装着者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、吸収性物品又はその部材における、吸収性物品の装着時に肌側とは反対側(衣類側)に向けられる面である。また、長手方向は、吸収性物品又はその構成部材の長辺に沿う方向であり、幅方向は、該長手方向と直交する方向である。図中、符号Xで示す方向は、吸収性物品(吸収体、吸収性コア)の長手方向であり、符号Yで示す方向は、吸収性物品(吸収体、吸収性コア)の幅方向である。
図2に示すように、表面シート2は、吸収体4の肌当接面4aの全域を被覆し、更に吸収体4の長手方向Xに沿う左右両側縁から幅方向Yの外方に延出しており、また、裏面シート3は、吸収体4の非肌当接面4bの全域を被覆し、更に吸収体4の両側縁から幅方向Yの外方に延出している。また、表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の長手方向Xの前端及び後端それぞれから長手方向Xの外方にも延出しており、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されている。
ナプキン1の長手方向Xに沿う左右両側部には、図1及び図2に示すように、一対のサイドシート5,5がナプキン1の長手方向Xの全長に亘って配されている。サイドシート5は、その幅方向Yの内方側の側部が、公知の接合手段によって表面シート2の肌当接面2aに接合されており、外方側の側部が、吸収体4の長手方向Xに沿う側縁から幅方向Yの外方に延出し、その延出部が、公知の接合手段によって、裏面シート3における、吸収体4の側縁からの延出部に接合されている。裏面シート3及びサイドシート5は、排泄部対向部11において、吸収体4の側縁からの幅方向Yの外方への延出長さが最大となっており、それらの最大延出部によって一対のウイング部6,6が形成されている。
ナプキン1の非肌当接面(裏面シート3の非肌当接面3b)は、装着時にショーツのクロッチ部等、衣類側に向けられる。非肌当接面3bには、ナプキン1をショーツ等の下着のクロッチ部に固定するための粘着部(図示せず)が設けられている。また、一対のウイング部6,6の非肌当接面(裏面シート3の非肌当接面3b)には、ショーツの外面(非肌当接面)に固定するための粘着部(図示せず)が設けられている。これらの粘着部は、ホットメルト粘着剤を所定箇所に塗布することにより設けられており、ナプキン1の使用前においてはフィルム、不織布、紙などからなる図示しない剥離シートによって被覆されている。
吸収体4は、吸収性材料(パルプ等の繊維材料、吸水性ポリマー等)を含む吸収性コア40を含んで構成されている。本実施形態における吸収体4は、吸収性コア40を、ティッシュペーパーや透水性の不織布からなるコアラップシート(図示せず)で被覆して構成されている。吸収性コア40は、パルプ等の繊維材料のみから構成されていても良く、あるいは該繊維材料及び吸水性ポリマーを含んで構成されていても良く、また、後者の場合、繊維材料間に吸水性ポリマーが均一に混合された形態でも良く、あるいは繊維材料を主体とする繊維層と吸水性ポリマーを主体とするポリマー層とを含み、上下2層の該繊維層の間に該ポリマー層が挟持された形態でも良い。表面シート2と吸収体4との間、吸収体4と裏面シート3との間は、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターン塗工された接着剤(ホットメルト接着剤等)により互いに接合されていても良い。
吸収性コア40は、図2及び図3に示すように、吸収性材料が相対的に多い高坪量部41と、吸収性材料が相対的に少ない低坪量部42(42X,42Y)とを有し、高坪量部41と低坪量部42とは、長手方向X及び幅方向Yそれぞれに交互に形成されている。より具体的には、吸収性コア40には、図3に示すように、長手方向Xに沿って延びる直線状の低坪量部42Xと幅方向Yに沿って延びる直線状の低坪量部42Yとがそれぞれ複数形成され、低坪量部42全体として格子状に形成されており、これら直線状の低坪量部42X,42Yで区画された部位が、高坪量部41となっている。複数の直線状の低坪量部42Xは、それぞれ、吸収性コア40の長手方向Xの全長に亘って延びて形成されており、複数の直線状の低坪量部42Yは、それぞれ、吸収性コア40の幅方向Yの全長に亘って延びて形成されている。複数の高坪量部41は、それぞれ、図3(a)に示す如き平面視において矩形形状となっている。
また、本実施形態においては、図2に示すように、高坪量部41は低坪量部42(42X,42Y)に比して厚みが大きく、そのため吸収性コア40は、高坪量部41が低坪量部42に比して隆起した凹凸構造を有している。吸収性コア40が凹凸構造を有していると、凹凸構造を有しておらず肌当接面及び非肌当接面の何れも略平坦な場合に比して、ナプキン1の装着時に吸収性コア40(吸収体4)の変形、具体的には、吸収性コア40のナプキン装着者の肌に向かって隆起するような形状への変形が誘導され易い。このような吸収性コア40の変形容易性によって、ナプキン1の装着時に排泄部対向部11がナプキン装着者の肌に押し当てられるような形状に容易に変形するため、フィット性が向上し、装着者に快適な装着感を与えると共に、経血の漏れが効果的に抑制される。
図2に示す如き吸収性コア40の断面視において、低坪量部42(42X,42Y)は、吸収性コア40の厚み方向に偏在している。より具体的には、本実施形態においては、低坪量部42は、図2に示すように、吸収性コア40の厚み方向Tにおいて肌当接面4a側に偏在している。そして、低坪量部42がこのように厚み方向Tにおいて肌当接面4a側に偏在していることにより、高坪量部41は、肌当接面4aとは反対側、即ち、厚み方向Tにおいて非肌当接面4b側に突出している。従って、吸収性コア40においては、肌当接面4a(表面シート2との対向面)は、後述する溝7の形成部位を除き、実質的に凹凸が無く略平坦であるのに対し、非肌当接面4b(裏面シート3との対向面)は、突出形成された高坪量部41(凸部)と高坪量部41,41間に位置する低坪量部42(非凸部あるいは凹部)とによる凹凸を有している。このように吸収性コア40において低坪量部42が肌当接面4a側に偏在していると、図2に示すように、肌当接面4a側とは反対側の非肌当接面4b側に、低坪量部42が存在しないことによる空間部(非凸部あるいは凹部)が形成されることから、吸収性コア40は、肌当接面4a側の低坪量部42を基軸としてナプキン装着者の肌に向かって隆起するような形状に変形し易く、そのため、フィット性の向上効果や経血の漏れ防止効果が奏される。
尚、本発明において、吸収性コア40の厚み方向Tにおける低坪量部42(42X,42Y)の偏在位置は、図2に示す如き肌当接面4a側に制限されず、例えばこれとは逆に、非肌当接面4b側でも良い。即ち、吸収性コア40の断面視において、低坪量部42は、吸収性コア40の厚み方向Tにおいて非肌当接面4b側に偏在していても良い。その場合、高坪量部41は、非肌当接面4b側とは反対側、即ち、厚み方向Tにおいて肌当接面4a側に突出し、吸収性コア40全体として、図2に示すものとは上下が逆になる。従って、低坪量部42が非肌当接面4b側に偏在している吸収性コア40においては、非肌当接面4b(裏面シート3との対向面)は、実質的に略平坦であるのに対し、肌当接面4a(表面シート2との対向面)は、突出形成された高坪量部41(凸部)と高坪量部41,41間に位置する低坪量部42(非凸部あるいは凹部)とによる凹凸を有し、肌当接面4a側に、低坪量部42が存在しないことによる空間部(非凸部あるいは凹部)が形成される。この肌当接面4a側の空間部は、隣接する2個の高坪量部41,41間に挟まれるように形成されるため、ナプキン装着時も該空間部の形状が保持され易く、そのため、該空間部によってナプキン装着者の肌とナプキン1との間に存在する空気が換気され、ナプキン装着者が感じるムレが低減される。
また、本発明においては、吸収性コア40の断面視において、低坪量部42(42X,42Y)は、吸収性コア40の厚み方向Tにおいて肌当接面4aと非肌当接面4bとの略中央部に偏在していても良い。その場合、高坪量部41は、厚み方向Tにおいて肌当接面4a側及び非肌当接面4b側それぞれに突出する。従って、低坪量部42が肌当接面4aと非肌当接面4bとの略中央部に偏在している吸収性コア40においては、肌当接面4a及び非肌当接面4bそれぞれが、突出形成された高坪量部41(凸部)と高坪量部41,41間に位置する低坪量部42(非凸部あるいは凹部)とによる凹凸を有し、肌当接面4a側及び非肌当接面4b側それぞれに、低坪量部42が存在しないことによる空間部(非凸部あるいは凹部)が形成される。このような形態の吸収性コア40は、その厚み方向Tの略中央部(吸収性コア40の見掛け厚みの略中央部)に位置する低坪量部42を基軸としてナプキン装着者の肌に向かって隆起するような形状に変形し易く、且つ、前記空間部によってナプキン装着者の肌とナプキン1との間に存在する空気が換気される効果も奏する。
このように、本発明においては、吸収性コア40の厚み方向Tにおける低坪量部42(42X,42Y)の偏在位置は、それに起因して奏される効果(吸収性コア40の変形誘導効果、換気効果)の何れを特に所望するか等に応じて、図2に示す如き肌当接面4a側、あるいは非肌当接面4b側、あるいは肌当接面4aと非肌当接面4bとの略中央部、の中から適宜選択することが可能である。
本実施形態に係る吸収性コア40(前記凹凸構造)は、その外観が、薄板状に成形された吸収性材料の一面側に、吸収性材料からなる平面視矩形形状の複数の吸収部が互いに離間配置されて構成されている点で、特許文献2及び3に記載の吸収体(複数の吸収部をシートに固定してなる吸収体)と類似するように見えるかもしれない。しかし、本実施形態に係る吸収性コア40は、後述するように、前記凹凸構造を有するように吸収性材料を成形して製造されるものであって、高坪量部41及び低坪量部42が、接着剤や熱融着等の接合手段を介さずに一体化されており、同一の材料による境界(高坪量部41と低坪量部42との境界)を有しないように形成されているのに対し、特許文献2及び3に記載の吸収体は、複数の前記吸収部を該吸収部とは別体の前記シートに固定して製造されたものであって、前記吸収部と前記シートとが接合手段を介して互いに接合されていて、前記吸収部と前記シートとの境界を有しているものであり、この点で両者は異なる。そして、このような構成の相違により、本実施形態に係る高坪量部41と低坪量部42とは、液がスムーズに移動し得る連続性を有しているのに対し、特許文献2及び3に記載の吸収体における前記吸収部と前記シートとは、両者間(境界)に接合手段からなる界面が存在するため、境界部分での液拡散が起こり易く、液がスムーズに移動し得る連続性を有しているとは言い難い。
ナプキン1には、図1〜図3に示すように、表面シート2及び吸収性コア40が一体的に凹陥してなる溝7が形成されている。溝7は、後述する底壁部71と側壁部72とによって画成された、空間(ナプキン1の形成材料が存していない部位)である。溝7は、図3(a)に示すように、長手方向Xに連続的に延びる一対の縦溝7X,7Xと、幅方向Yに連続的に延びる2本の横溝7Y1,7Y2とを含んで構成されており、これら4本の溝がそれぞれの端部で繋がって全体として環状の溝を形成している。一対の縦溝7X,7Xは、吸収性コア40の長手方向Xに沿う左右両側部において、排泄部対向部11の長手方向Xの全長に亘って延びており、更に、前方部12及び後方部13それぞれにも延びている。横溝7Y1は前方部12に、横溝7Y2は後方部13にそれぞれ形成されている。両横溝7Y1,7Y2は、何れも平面視において、長手方向Xの外方に向かって凸に湾曲した横長の形状を含んで形成されており、両横溝7Y1,7Y2それぞれの凸の頂部は、幅方向Yの中央に位置している。
溝7(7X,7Y1,7Y2)は、熱を伴うか又は伴わないエンボス、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。即ち、ナプキン1の製造工程において、吸収体4(凹凸構造を有する吸収性コア40)の一面上に表面シート2を供給した後、エンボス加工により所定部位を表面シート2側から吸収体4側に向けて凹状に押し込む(圧搾する)ことにより、該所定部位に溝7を形成することができる。溝7においては、表面シート2及び吸収体4が熱融着等により一体化している。溝7は、平面視において長方形、正方形、菱形、円形、十字等の多数の深窪み部(相対的に深く窪んでいる部分。高エンボス部。)と浅窪み部(相対的に浅く窪んでいる部分。低エンボス部。)とが、交互に連なって全体として連続線を形成していても良く、あるいは多数の窪み部が間欠的に配されて形成されていても良い。間欠的にとは、窪み部の隣り合う間隔が5mm以上離れていることをいう。
溝7は、少なくとも、長手方向X又は幅方向Yに並んだ2個の高坪量部(凸部)41,41とこれら2個の高坪量部41,41に挟まれた1個の低坪量部(非凸部あるいは凹部)42とに連なって形成されている。即ち、溝7は、吸収性コア40の凹凸を跨ぐように形成されている。本実施形態においては、図3(a)に示すように、長手方向Xに関しては、排泄液を直接受ける部位である排泄部対向部11において、溝7の一部である一対の縦溝7X,7Xそれぞれが、長手方向Xに隣接する2個の高坪量部41,41及びそれらの間に位置する1個の低坪量部42Yに連なって形成されており、長手方向Xに連なる吸収性コア40の凹凸を跨ぐように形成されている。また、幅方向Yに関しては、前方部12において、溝7の一部である横溝7Y1が、幅方向Yに隣接する2個の高坪量部41,41及びそれらの間に位置する1個の低坪量部42Xに連なって形成されており、更に、後方部13において、溝7の一部である横溝7Y2が、同様に連なって形成されている。
このような溝7と高坪量部41及び低坪量部42との位置関係は、後述する本発明による排泄液の吸収・拡散作用をより確実に奏させるようにする上で重要であり、特に前述したように、溝7(縦溝7X)が長手方向Xに連なる吸収性コア40の凹凸を跨ぐように形成されていることは、排泄液の幅方向Yへの移動に起因する外部への漏れ出し(いわゆる横漏れ)の防止効果にかかわるものであり、重要である。そこで、本実施形態においては、斯かる溝7の凹凸を跨ぐ配置がより確実に得られるようにするための工夫として、ナプキン1の長手方向Xにおいて、低坪量部42を、前述したように、平面視して長手方向Xに延びる直線状の部分42Xを含むように形成し、また溝7を、平面視して湾曲部を有し且つ長手方向Xに延びる形状の部分7Xを含むように形成している。即ち、本実施形態においては、溝7の一部である一対の縦溝7X,7Xは、それぞれ、平面視において図3(a)に示すように、排泄部対向部11におけるナプキン1の長手方向Xに沿う両側部それぞれに、ナプキン1の幅方向Yの外方に向かって凸に湾曲した縦長の形状を含んでいる。このように、吸収性コア40の低坪量部42Xを、吸収性コア40の長手方向Xに完全に一致する直線状に形成する一方で、縦溝7Xを、長手方向Xとは完全には一致しない(部分的に一致する)湾曲部を有するように形成することにより、少なくとも縦溝7Xの該湾曲部は、平面視において、長手方向Xに延びる直線状の低坪量部42Xと完全には一致することがなく、縦溝7Xが、長手方向Xに連なる吸収性コア40の凹凸を跨ぐように形成されやすくなる。
また、本実施形態においては、前記と同様の観点から、低坪量部42を、前述したように、平面視して幅方向Yに延びる直線状の部分42Yを含むように形成し、また溝7を、平面視して湾曲部を有し且つ幅方向Yに延びる形状の部分7Y1,7Y2を含むように形成している。即ち、本実施形態においては、溝7の一部である横溝7Y1,7Y2は、それぞれ、平面視において図3(a)に示すように、ナプキン1の前方部12又は後方部13において、ナプキン1の長手方向Xの外方に向かって凸に湾曲した横長の形状を含んでおり、それによって、少なくとも横溝7Y1,7Y2それぞれの湾曲部は、平面視において、幅方向Yに延びる直線状の低坪量部42Yと完全には一致することがなく、横溝7Y1,7Y2が、幅方向Yに連なる吸収性コア40の凹凸を跨ぐように形成されやすくなる。
図4〜図6には、吸収性コア40の各部における溝7の断面が模式的に示されている。溝7(7X,7Y1,7Y2)は、図4〜図6に示すように、底壁部71と該底壁部71から立設する側壁部72とによって画成されている。溝7を画成する底壁部71は、図5及び図6に示すように、高坪量部41及び低坪量部42の何れにおいても、吸収性コア40の厚み方向中央Tcよりも非肌当接面4b側に位置している。厚み方向中央Tcは、本実施形態のように吸収性コア40が凹凸構造を有している場合は、その凹凸構造を有する吸収性コア40の見掛け厚みの中央であり、該吸収性コア40において肌当接面4aと非肌当接面4b側に最も突出している部位との中間に位置する。尚、吸収性コア40が凹凸構造を有していない場合における厚み方向中央Tcは、該吸収性コア40の実質厚みの中央であり、該吸収性コア40において肌当接面4aと非肌当接面4bとの中間に位置する。
このように、溝7を画成する底壁部71が厚み方向中央Tcよりも非肌当接面4b側に位置するように設計すると、溝7の形成時における吸収性コア40の肌当接面4a側からの圧搾において、1)高坪量部41では、前記圧搾後に溝7を画成する底壁部71となる部分及び側壁部72となる部分がそれぞれ圧搾されることで溝7の形状が安定し、2)低坪量部72では、該低坪量部72が前記圧搾によって肌当接面4a側から溝7の形状に合わせて変形することで該低坪量部72が部分的に伸ばされる。そして、前記圧搾後に得られた溝7、即ち、底壁部71が厚み方向中央Tcよりも非肌当接面4b側に位置している溝7は、高坪量部41においては、溝7の形状が安定していることで、毛管力による液の吸引性が高められており、また低坪量部72においては、溝7が伸ばされて厚みが薄くなっていることで、液の拡散量が低下しており、それによって溝7(主に側壁部72)において、高坪量部41への液移動が起こり易くなっている。斯かる効果をより確実に奏させるようにする観点から、溝7を画成する底壁部71は、厚み方向中央Tcから非肌当接面4b側に0.1mm以上、特に0.2mm以上離れた位置に存することが好ましい。
溝7を画成する底壁部71を吸収性コア40の厚み方向中央Tcよりも非肌当接面4b側に位置させることは、溝7を形成する際の圧搾力等を調整することで基本的には可能であるが、吸収性コア40の構成を工夫することでより確実になる。前述したように、溝7は吸収性コア40を表面シート2と共に圧搾することによって形成されるところ、特に低坪量部42のような比較的厚みの薄い部位は、前述したように溝7が吸収性コア40の凹凸を跨ぐように形成されることで、高坪量部41に比べ圧搾の程度が低く抑えられて圧搾後に嵩がある程度回復する傾向がある。また、高坪量部41では、溝7の形成時において、圧搾後に溝7を画成する底壁部71となる部分から側壁部72となる部分にかけて圧搾されることによって、溝7の形状が比較的維持され易い状態にあるのに対し、低坪量部42では、溝7の形成によって圧搾される部分は底壁部71及びその周辺であり、高坪量部41に比して圧搾される部分が少ないため、圧搾後に圧搾された部分の嵩が回復しやすい。そのため、圧搾直後は、圧搾によって形成された溝7を画成する底壁部71が厚み方向中央Tcよりも非肌当接面4b側に位置していても、経時による嵩の回復によって底壁部71が肌当接面4a側に移動し、最終的に低坪量部42においては、底壁部71が厚み方向中央Tcよりも肌当接面4a側に位置してしまうおそれがある。これを防止し、高坪量部41のみならず低坪量部42においても、溝7を画成する底壁部71を厚み方向中央Tcよりも非肌当接面4b側に確実に位置させるためには、溝7が低坪量部42を横断する距離L1(図3参照)、即ち、直線状の低坪量部42(42X,42Y)の幅L1を長くとり過ぎないようにすることが有効である。低坪量部42の幅L1をある程度短くすることで、溝7の形成のための圧搾後における、低坪量部42の嵩回復が抑制され、溝7を画成する底壁部71を厚み方向中央Tcよりも非肌当接面4b側に位置させることがより確実になる。このような観点から、低坪量部42の幅L1は、好ましくは1〜5mm、更に好ましくは1〜3mmである。低坪量部42Xと42Yとで、幅L1は同じでも良く、異なっていても良い。
ちなみに、溝7が、前述したように、深窪み部と浅窪み部とが交互に連なって形成されている場合において、低坪量部41のみに溝7の深窪み部が形成されるように吸収性コア40を圧搾すると、圧搾された部分の嵩が圧搾後に回復しにくいため、前述した効果が得られにくい。そこで、前述した効果を確実に得るためには、深窪み部のナプキン1の長手方向Xの長さを、直線状の低坪量部42(42X,42Y)の幅L1よりも長くする方法が有効である。斯かる方法以外には、溝7の形成方向(線状の溝7の延びる方向)を低坪量部の形成方向(線状の低坪量部の延びる方向)に対して傾斜させる(両形成方向間に所定の角度をつける)方法が有効である。
本実施形態においては、高坪量部41、低坪量部42並びに溝7及びその近傍に、高坪量部41が低坪量部42より高密度とされ、更に溝7が形成されていることによって、密度勾配が存在する。即ち、図3(b)及び図4〜図6中、符号A〜Eで示した部位の密度は、A≦B<<C<<E、より好ましくはA<B<<C<D<Eとなっており、溝7(縦溝7X)から離れるほど密度が低く(部位A)、溝7に近づくほど密度が高くなり(部位B及び/又はC)、溝7(底壁部71)において密度が最大となる(部位D及びE)。また、溝7(底壁部71)については、低坪量部42(42Y)における部位Dは、高坪量部41における部位Eに比べ、やや密度が低くなされていることで溝7に沿った液の拡散性(横漏れ防止効果)が高められており、高坪量部41における溝7の近傍である部位Cに比べると、密度が高いことがより好ましい。溝7に近づくほど密度が高くなるという密度勾配は、主として、前述したエンボス加工による溝7の形成(吸収性コア40の圧搾)に起因するもので、従来の防漏溝が形成された吸収体においても存在する。密度勾配に関し本実施形態において特徴的なのは部位Cが部位Bよりも高密度(B<<C)という点であり、溝7の近傍は、高坪量部41と低坪量部42とで密度が異なるということである。尚、「溝の近傍」とは、溝7を画成する側壁部72(図4〜図6参照)及びその近傍を意味し、主として、溝7(側壁部72の外面)から溝7の長さ方向と直交する方向(溝7の幅方向)の外方に5mm以内の部位を意味する。
このように、溝7(縦溝7X)の近傍である部位B及びCは、溝7から距離が同じであるにもかかわらず、高坪量部41に位置する部位Cの方が、低坪量部42(42Y)に位置する部位Bよりも密度が高い理由は、吸収性コア40の圧搾による溝7の形成前において、高坪量部41の方が低坪量部42よりも吸収性材料が多く存在し密度が高いためである。即ち、本実施形態に係る吸収性コア40は、後述するように、高坪量部41及び低坪量部42を有するように吸収性材料を堆積して凹凸構造を有する堆積物を得、該堆積物全体を加圧ロール等によって均一の圧縮力で圧縮することにより製造されるところ、斯かる圧縮工程においては、凸部としての高坪量部41の方が、非凸部あるいは凹部としての低坪量部42よりも強く圧縮されるため、高坪量部41(部位C)の方が低坪量部42(部位B)よりも高密度になるのである。このように、部位Bと部位Cとには溝7の形成前から密度差が存在しており、更に圧搾によって部位B及び部位Cに溝7を形成すると、溝7を画成する側壁部72及びその近傍においてこの密度差が反映され、その結果として密度に関しB<<Cとなるのである。
本実施形態のナプキン1は、溝7が形成される吸収性コアとして、高坪量部(凸部)41と低坪量部(非凸部あるいは凹部)42とで形成された凹凸構造を有する吸収性コア40を採用したことにより、従来の凹凸の無い平坦な吸収性コアと防漏溝との組み合わせを採用した吸収性物品が有する前記課題ii)を解決することができ、吸収体4(吸収性コア40)に高密度な溝7が形成されているにもかかわらず、吸収体4の部分的な硬化が生じ難く、フィット性に優れる。また、図3に示すように、低坪量部42が溝7よりもナプキン1の外方(溝7の外方部位)に形成されていると、溝7による防漏効果が一層高まり、ナプキン1の周縁部(特にナプキン1の長手方向Xに沿う両側縁部)に柔らかい感触を与えることができる。また、図3に示すように、吸収性コア40の略全体に、高坪量部41が低坪量部42で囲まれた部位が配されていると、ナプキン1の装着時において装着者に対する当たりが柔らかくなり、柔軟な感触を提供できる。
また、本実施形態のナプキン1は、主として、溝7が、所定方向に隣接する2個の高坪量部41,41とそれらの間に位置する1個の低坪量部42とに連なって形成されており、吸収性コア40の凹凸を跨ぐように形成されていることにより、経血等の排泄液を、その量の多少にかかわらず、素早く吸収・拡散することができ、それによって、従来の凹凸の無い平坦な吸収性コアと防漏溝との組み合わせを採用した吸収性物品が有する前記課題i)を解決することができ、防漏性(横漏れ防止性)に優れ、吸収体のサイズダウン、延いては吸収性物品のコンパクト化に対応できる。
本実施形態のナプキン1における排泄液の吸収・拡散作用について、図3(b)を参照して説明すると、ナプキン1の装着者が排泄した経血等の排泄液Wは、通常、排泄部対向部11の幅方向Yの中央部で受け止められ、肌当接面(表面シート2の肌当接面2a)上から溝7(縦溝7X)に向かって幅方向Yに移動し、例えば図3(b)において、部位A(排泄部対向部11の幅方向Yの中央部近傍)から部位B(低坪量部42における溝7の近傍)に向かって、ナプキン1の各種構成部材(表面シート2、吸収性コア40等)を伝って移動する。前述したように、部位Bと部位Cとには密度差が存在し密度がB<<Cとなっているため、部位Bに到達した排泄液Wは、毛管力により高坪量部41における溝7の近傍である部位Cに移動しやすく、部位Bには滞留し難い。こうして、排泄液Wは、溝7の近傍で且つ溝7よりも幅方向Yの内方において、溝7に沿ってナプキン1の前後方向に移動し、排泄部対向部11から長手方向Xに速やかに拡散する。
部位Bは、隣接する高坪量部41,41間に位置する単なる隙間(空間)ではなく、吸収性コア40の一部(低坪量部42)として存しているため、排泄液の保持機能を有している。従って、排泄液Wの量が多く、部位Aから部位Bへの排泄液Wの移動速度の方が、部位Bから部位Cへの排泄液Wの移動速度(長手方向Xの拡散速度)よりも速い場合でも、部位Bで一時的に排泄液を保持することができ、そのため、部位Bよりもナプキン1の幅方向Yの外方に位置する部位D(低坪量部42における溝7を画成する底壁部71)に大量の排泄液が一度に移動することが防止され、延いては、排泄液Wが溝7を越えてナプキン1の幅方向Yの外方に移動して横漏れにつながることが防止される。また、部位B自体が、溝7の形成時における圧搾によって比較的高密度となっていることも、部位Bから部位Dへの液の移動を抑制すること、延いては横漏れ防止に寄与している。
排泄液Wは、溝7の近傍で且つ溝7よりも幅方向Yの内方において部位Bから部位Cへ移動する途中で、高坪量部41に素早く吸収・保持され、高坪量部41の吸収容量を超えた分が、図6に示すように、部位Cよりも幅方向Yの外方に位置する部位E(高坪量部41における溝7を画成する底壁部71)に移動する。部位Eは、溝7の形成時において最も圧縮された部位であり、幅方向Yに隣接する部位Cに比して圧倒的に密度が高いため、排泄液Wの部位Eから部位Cへの移動は起こり難く、従って、排泄液Wが溝7を越えてナプキン1の幅方向Yの外方に移動することは起こり難い。これは、前述した、低坪量部42における部位Bと部位Dとの関係と同じである。部位Cを経由して部位Eに移動した排泄液Wは、溝7の外側に漏れ出すことなく溝7を通って、隣接する部位D(低坪量部42における溝7を画成する底壁部71)に移動し、更に、これに隣接する別の部位Eに移動する。こうして、溝7を移動する排泄液Wは、その移動中に、主に高坪量部41に吸収・保持される。
このように、本実施形態のナプキン1においては、排泄部対向部11の幅方向Yの中央部に排泄された排泄液は、縦溝7X、及び縦溝7Xの近傍で且つ縦溝7Xよりも幅方向Yの内方に位置する部位の両方において、ナプキン1の前後方向に速やかに拡散され、斯かる拡散の途中で主に高坪量部41に速やかに吸収・保持される。従って、本実施形態のナプキン1は、このような吸収体4(吸収性コア40)と溝7との連携による排泄液の拡散・吸収作用により、排泄された排泄液を素早く拡散・吸収でき、横漏れを起こし難く、装着者の濡れに起因する不快感を解消できる。このようなナプキン1における作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、各部の寸法等は以下のように設定することが好ましい。
吸収性コア40の高坪量部41の坪量S41と低坪量部42の坪量S42との比(S41/S42)は、好ましくは1.25〜10、更に好ましくは3〜6である。
高坪量部41の坪量S41は、好ましくは100〜600g/m2、更に好ましくは150〜500g/m2であり、低坪量部42の坪量S42は、好ましくは10〜150g/m2、更に好ましくは30〜100g/m2である。
高坪量部41の厚みT41と低坪量部42の厚みT42との比(T41/T42)は、好ましくは1〜20、更に好ましくは1.5〜10である。
高坪量部41の厚みT41は、好ましくは0.5〜10mm、更に好ましくは1〜8mmであり、低坪量部42の厚みT42は、好ましくは0.1〜5mm、更に好ましくは0.2〜3.0mmである。
高坪量部41の図3(a)に示す如き平面視における大きさは、吸収性物品の種類・用途等によって異なるが、ナプキン1の如き生理用ナプキンにおいては、長手方向Xの長さL2(図3(a)参照)が、好ましくは5〜50mm、更に好ましくは10〜30mmであり、幅方向Yの長さL3(図3(a)参照)が、好ましくは3〜30mm、更に好ましくは5〜20mmである。
高坪量部41は、面積50cm2当たり、5〜70個、特に10〜60個形成されていることが好ましい。
溝7(7X,7Y1,7Y2)の幅L5(図3(b)参照)は、好ましくは0.5〜5.0mm、更に好ましくは1.0〜4.0mmである。
溝7の深さL6(図5参照)は、好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは1.0mm以上ある。
尚、前述した溝7の各部の寸法は、肉眼で定規等を使って測定しても良いが、好ましくは、デジタルマイクロスコープを用いて測定する。例えば、KEYENCE社製デジタルマイクロスコープVHX−1000を用いて溝7を拡大撮影し、各部の寸法を測定することができる。前記条溝7の幅L5は、条溝7の底面で測定したものである。また、前記条溝7の深さL6は、条溝7の断面をデジタルマイクロスコープにより測定したものである。
ナプキン1における各部の形成材料について説明すると、表面シート2及び裏面シート3としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、例えば、不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。裏面シート3としては、例えば、透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等を用いることができる。また、サイドシート5としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、撥水性の不織布や樹脂フィルム製のシートを用いることができる。
吸収性コア40の形成材料である吸収性材料としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば繊維材料として、木材パルプ、コットン、麻等の天然繊維;ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂からなる合繊繊維;アセテートやレーヨン等の半合成繊維等を用いることができる。また、吸収性材料としてこれらの繊維材料に加えて、更に粒子状等の各種形状の吸水性ポリマーを用いることもできる。
以下に、本発明に係る吸収体(吸収性コア)の製造方法について、前述した吸収体4(吸収性コア40)の製造方法を例にとり説明する。図7には、吸収体4の製造方法の一実施態様及びそれに用いる製造装置が示されている。吸収体の製造装置は、矢印R1方向に回転駆動される回転ドラム50と、回転ドラム50の外周面に吸収性コア40の原料である吸収性材料45を供給するダクト60と、回転ドラム50の斜め下方に配置され、矢印R2方向に回転駆動されるトランスファーロール70と、回転ドラム50の周方向におけるダクト60とトランスファーロール70との間に配置されたバキュームボックス65と、バキュームボックス65と回転ドラム50との間及びトランスファーロール70と回転ドラム50との間を通るように配された、シート状の通気性部材であるメッシュベルト75と、トランスファーロール70の下方に配されたバキュームコンベア80とを備えている。
回転ドラム50は、図7に示すように、円筒状をなし、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周面を形成する部材が水平軸回りを回転する。回転ドラム50の内側(回転軸側)の非回転部分には内部を減圧可能な空間56が形成されている。空間56には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間56内を負圧に維持可能である。他方、回転ドラム50の内側(回転軸側)の空間57及び58には、装置外の空気を取り込み可能な配管(図示せず)が接続されている。
図8に示すように、回転ドラム50の外周面には、製造する吸収性コア40の形状に対応する形状の凹部51が形成されている。凹部51の底面部52には、多数の細孔が形成されており、凹部51が、負圧に維持された空間56上を通過している間、凹部51の底面部52の細孔が吸収性材料45の吸引孔として機能する。一方、凹部51が形成されていない、回転ドラム50の外周面の左右両側部は、金属製の剛体からなる回転ドラム50のフレーム体からなり、非通気性である。
凹部51の底面部52には、図8に示すように、凹部51内を複数の領域に区画する、区画部材53が複数突出して形成されている。各区画部材53は、非通気性の板状部材からなる。凹部51内は、複数の区画部材53によって、前述した吸収性コア40における複数の高坪量部41に対応する、複数の領域54に区画されている。各区画領域54の平面視における形状は、高坪量部51の平面視における形状と同形状(矩形形状)である。また、後述するように、吸収性材料が区画部材53の底面部52からの突出高さを超えて凹部51内に堆積されるようにするため、区画部材53の底面部52からの突出高さは、凹部51の深さよりも短くなっている。
ダクト60は、図7に示すように、その一端側が、負圧に維持される空間56上に位置する回転ドラム50の外周面を覆っており、図示しない他端側には、繊維材料導入装置を有している。繊維材料導入装置は、例えば、シート状の木材パルプを粉砕して解繊パルプとし、その解繊パルプ(繊維材料)をダクト内に送り込む粉砕器を備えている。ダクト60の途中に吸水性ポリマーを導入する吸水性ポリマー導入部を設けることもできる。
トランスファーロール70は、通気性を有する円筒状の外周部を有しており、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周部が水平軸回りを回転する。トランスファーロール70の内側(回転軸側)の非回転部分には、内部を減圧可能な空間71が形成されている。空間71には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間71内を負圧に維持可能である。
バキュームボックス65は、回転ドラム50の回転方向R1において、ダクト60の下流側端部61と、トランスファーロール70との間に配置されている。バキュームボックス65は、上下面、左右の両側面及び背面を有する箱状の形状を有し、背面に対向する部位に、回転ドラム50方向に向かって開口する開口部を有している。バキュームボックス65は、排気管61を介して、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置の作動により、バキュームボックス65内を負圧に維持可能である。
メッシュベルト75は、シート状の通気性部材であり、網目を有する帯状の通気性ベルトが無端状に連結されたものであり、複数のフリーロール及びトランスファーロール70に案内されて所定の経路を連続的に移動する。メッシュベルト75は、トランスファーロール70の回転によって駆動される。メッシュベルト75は、図7に示すように、ダクト60の下流側端部61の近傍において、回転ドラム50の外周面上に導入された後、バキュームボックス65と回転ドラム50との間及びトランスファーロール70と回転ドラム50との間を順次通過するように配されている。メッシュベルト75は、バキュームボックス65の前記開口部の前を通過している間は、回転ドラム50の外周面に接触しており、トランスファーロール70と回転ドラム50とが最も接近している最接近部付近で、回転ドラム50の外周面から離れてトランスファーロール70上へと移行する。
バキュームコンベア80は、駆動ロール81及び従動ロール82に架け渡された無端状の通気性ベルト83と、通気性ベルト83を挟んでトランスファーロール70と対向する位置に配されたバキュームボックス84とを備えている。
次に、前述した吸収体の製造装置を用いて吸収体4(吸収性コア40)を連続的に製造する方法について説明する。前述した吸収体の製造装置を用いて吸収体4を製造するためには、回転ドラム50内の空間56、及びバキュームボックス65内を、それぞれに接続された排気装置を作動させて負圧にする。空間56内を負圧にすることで、ダクト60内に、吸収性材料45を回転ドラム50の外周面に搬送する空気流が生じる。また、回転ドラム50及びトランスファーロール70を回転させ、また、バキュームコンベア80を作動させる。そして、前記繊維材料導入装置を作動させて、ダクト60内に繊維材料を供給し、更には吸水性ポリマーを供給すると、これらの吸収性材料45は、ダクト60内を流れる空気流に乗り、飛散状態となって回転ドラム50の外周面に向けて供給される。
ダクト60に覆われた部分を搬送されている間に、回転ドラム50の凹部51には、吸収性材料(繊維材料と吸水性ポリマーとの混合物)45が吸引される。吸収性材料45は、凹部51の各区画領域54の底面部52上に徐々に堆積していき、最終的には図9に示すように、区画部材53の底面部52からの突出高さを超えて凹部51内に堆積する。こうして得られた堆積物46においては、区画部材53上に吸収性材料45が堆積してなる部位(区画部材対応部)46aが、相対的に吸収性材料45の堆積量が少なく、その他の部位(区画領域対応部)46bが、相対的に吸収性材料45の堆積量が多くなっており、堆積物46全体として凹凸構造を有している。
そして、回転ドラム50が回転して、凹部51がバキュームボックス65の対向位置にくると、凹部51内の堆積物46がバキュームボックス65からの吸引によって、メッシュベルト75に吸い付けられた状態となる。凹部51内の堆積物46は、その状態で、トランスファーロール70と回転ドラム50との最接近部の直前まで搬送され、該最接近部付近で、トランスファーロール70側からの吸引により、メッシュベルト75に吸い付けられた状態のまま凹部51より離型し、トランスファーロール70上へと移行する。
こうして、メッシュベルト75と共にトランスファーロール70上に移行した堆積物46は、トランスファーロール70上のメッシュベルト75に吸着されたまま、バキュームコンベア80との受け渡し部(トランスファーロール70の最下端部)まで搬送され、該受け渡し部において、バキュームボックス84による吸引によりバキュームコンベア80上へと移行する。
本実施形態の吸収体の製造装置においては、図7に示すように、堆積物46が載置される前のバキュームコンベア80上に、ティッシュペーパーや透水性の不織布からなる第1コアラップシート47が導入され、その第1コアラップシート47上に堆積物46が移行する。そして、更に、堆積物46の上面側に第2コアラップシート48が導入された後、両コアラップシート47,48に被覆された状態の堆積物46が所定の間隔で切断され、ナプキン1個分の寸法に切断された吸収体前駆体49が得られる。尚、図1及び図2では、両コアラップシート47,48の図示を省略している。
そして、本実施形態の吸収体の製造装置においては、こうして得られた吸収体前駆体49を加圧手段90によって圧縮し、吸収体前駆体49を構成する堆積物46の厚みを積極的に減少させて、目的とする吸収体4(吸収性コア40)を得る。加圧手段90は、図7に示すように、表面平滑な一対のロール91,92を備え、ロール91,92間に導入された被加圧物を上下面から加圧して厚み方向に圧縮可能に構成されている。
図10には、堆積物46の圧縮前後の状態が模式的に示されている。図10の矢印を挟んで左側の図は圧縮前の堆積物46、右側の図は圧縮後の堆積物46(吸収性コア40)を示し、また、左右両図において、上段は堆積物46(吸収性コア40)の断面図、下段は堆積物46の斜視図を示す。加圧手段90によって堆積物46を圧縮すると、吸収性材料が相対的に多く厚みの大きい区画領域対応部46b(凸部)は、吸収性材料が相対的に少なく厚みの小さい区画部材対応部46a(非凸部あるいは凹部)よりも強く圧縮される。その結果、堆積物46における区画領域対応部46bは、吸収性コア40において相対的に密度の高い高坪量部41となり、堆積物46における区画部材対応部46aは、吸収性コア40において相対的に密度の低い低坪量部42となる。
前述した吸収体の製造方法によれば、相対的に高密度の高坪量部41と相対的に低密度の低坪量部42とが長手方向X及び幅方向Yの両方向に交互に形成されてなる凹凸構造を有する、吸収性コア40を効率良く製造することができる。高坪量部41の密度D41と低坪量部42の密度D42との比(D41/D42)は、好ましくは1.5〜20、更に好ましくは2.0〜10である。高坪量部41及び低坪量部42の密度は次のようにして測定される。
<密度の測定方法>
高坪量部41の密度は、高坪量部41の重量を高坪量部41の体積(厚み×長さ×幅)で除して算出した。低坪量部42の密度は、低坪量部42の重量を低坪量部42の体積(厚み×長さ×幅)で除して算出した。高坪量部41及び低坪量部42それぞれの体積の算出に用いる「厚み」は、次のようにして測定した。縦37mm、横37mm、厚み3mmのアクリルプレートを、測定対象の吸収性コア40上に置き、該吸収性コア40の高坪量部41の厚みについては、KEYENCE社製非接触式レーザー変位計(レーザーヘッドLK−G30、変位計LK−GD500)を用いて測定し、低坪量部42の厚みについては、KEYENCE社製マイクロスコープVHX−1000を用いて該吸収性コア40の断面(図2に示す如き断面)を観察することで測定した。また、高坪量部41及び低坪量部42それぞれの「重量」は、次のようにして測定した。測定対象の吸収性コア40にFEATHER社製カミソリ(フェザー剃刃S片刃)を押し当てて、高坪量部41及び低坪量部42をそれぞれ切り出し、切り出した高坪量部41及び低坪量部42それぞれの重量を電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用い測定した。
本発明は、前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態においては、低坪量部42は、吸収性コア40の厚み方向において肌当接面4a側に偏在していたが、前述したように、これとは逆に、非肌当接面4b側に偏在していても良く、あるいは、肌当接面4aと非肌当接面4bとの略中央部に偏在していても良い。
また、平面視直線状の低坪量部42(42X,42Y)は、図3に示すように吸収性コア40全体に形成(前方部12、排泄部対向部11及び後方部13を跨ぐように形成)されていなくても良く、排泄部対向部11における、少なくとも一対の溝7,7(縦溝7X,7X)及びその近傍(溝周辺領域)に挟まれた領域(排泄部対向部11の幅方向内方部)に形成されていれば良い。また、低坪量部42の平面視形状は、前記実施形態のように直線状に制限されず、曲線状でも良い。
また、吸収性コア40において、高坪量部41は千鳥状に配置されていても良い。即ち、多数の高坪量部41を長手方向Xに所定間隔をおいて配置して高坪量部列を形成し、該高坪量部列を幅方向Yに所定間隔を置いて複数本配置した場合に、互いに隣接する高坪量部列における高坪量部41のピッチがずれていても良い。換言すれば、高坪量部41は、所定の高坪量部列における高坪量部41を、該高坪量部列と直交する方向(幅方向Y)に投影したときに、隣接する高坪量部41の投影像と一致しないように配置されていても良い。このようにすることで、仮に、幅方向Yに延びる溝7(横溝7Y1及び7Y2)が、前記実施形態(図3参照)のように、平面視してナプキン1の長手方向Xの外方に向かって凸に湾曲した横長の形状を含むように形成されていなくても(例えば、横溝7Y1,7Y2が幅方向Yに延びる直線状に形成されていても)、該横溝7Y1,7Y2と低坪量部42とが完全に一致することを防止できる。
また、前述したように溝7を、ナプキン1の長手方向X又は幅方向Yに並んだ2個の高坪量部41,41と2個の該高坪量部41,41に挟まれた1個の低坪量部42とに連なって形成する方法、換言すれば、溝7と吸収性コア40の低坪量部42とを完全には一致させない方法としては、前記実施形態のように、溝7を平面視してナプキン1の外方に向かって凸に湾曲した形状を含むように形成し且つ低坪量部42を平面視して直線状に形成する方法の他に、a)相対的に大きなサイズの高坪量部41の周りに相対的に小さなサイズの低坪量部42を配置する方法、b)低坪量部42と組み合わされる高坪量部41として、平面視形状が5角形以上の多角形形状の高坪量部41の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いる方法、c)溝7の形成方向(線状の溝7の延びる方向)と低坪量部の形成方向(線状の低坪量部の延びる方向)との成す角度を30〜60°に設定する方法、等が挙げられる。
また、本発明の吸収性物品の適用例の一つとして生理用ナプキンを挙げたが、本発明は、例えば使い捨ておむつ、失禁パッド、パンティライナー等にも適用できる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1及び図2に示すナプキン1と同様の構成を有する生理用ナプキンを作製し、それを実施例1のサンプルとした。表面シートとしては、2層構造を有する表面シート(詳細は後述)を用い、裏面シートとしては、坪量30g/m2の非透湿ポリエチレン製フィルムを用い、サイドシートとしては、坪量20g/m2のエアスルー不織布を用い、吸収性コアを被覆するコアラップシートとしては、坪量16g/m2の吸収紙を用いた。吸収性コアとしては、前述した方法に従って製造したものを用いた。実施例1で用いた吸収性コアは、図3に示す吸収性コア40と同様の構成(凹凸構造)を有するブロック型吸収性コアで、吸収性材料として針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP、繊維材料)及び粒子状の吸水性ポリマーを重量比で前者:後者=4:1で含んだ、混合積繊タイプの吸収性コアであり、吸収性コア全体におけるパルプ坪量200g/m2、吸水性ポリマー坪量50g/m2、高坪量部の坪量300g/m2、高坪量部の厚み2.0mm、低坪量部の坪量140g/m2、低坪量部の厚み0.8mm、長手方向の全長200mm、幅方向の全長75mmであった。また、高坪量部に関し、長手方向の長さL2(図3(a)参照)は20mm、幅方向の長さL3(図3(a)参照)は10mmであった。また、高坪量部は、面積50cm2当たり18個形成されていた。また、溝の幅L5(図3(b)参照)は2mm、溝の深さL6(図5参照)は0.5mmであった。
実施例1で用いた2層構造を有する表面シートは、肌当接面側に位置する上層と非肌当接面側に位置する下層とから構成されており、別途製造した該上層と該下層とを一体化して製造した。前記上層は次のようにして製造した。即ち、先ず、非熱収縮性融着繊維として、大和紡績株式会社製の芯鞘型複合繊維(商品名NBF−SH、芯:ポリエチレンテレフタレート、鞘:ポリエチレン、芯/鞘重量比=5/5、繊度2.2dtex、繊維長51mm)を用い、該融着繊維をカード機を用いて解繊してウエブとし、次いで、該ウエブをエアスルー方式により熱処理(120℃)して坪量20g/m2のエアスルー不織布を得、該エアスルー不織布を前記上層とした。また、前記下層は次のようにして製造した。即ち、潜在捲縮性繊維(エチレン−プロピレンランダム共重合体を芯成分とし、ポリプロピレンを鞘成分とした熱収縮性を示す芯鞘型複合繊維、繊度2.2dtex、大和紡績株式会社製、捲縮開始温度90℃)を原料として用いて、前記と同様にカード機を用いて坪量20g/m2のウエブを製造し、該ウエブを前記下層とした。
そして、こうして別途製造した上層と下層とを重ね合わせて重合体を得、該重合体を彫刻ロールと平滑ロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール装置に通してヒートエンボス加工を施し、それによって両層を部分的に接合一体化し、エンボス部(凹部)を有する不織布を得た。その際、彫刻ロールを下層に当接させ、下層の側からエンボス加工が行われるようにした。彫刻ロールは175℃に、平滑ロールは125℃に設定した。彫刻ロールのエンボスパターンは、いわゆる千鳥格子状のパターンであり、該パターンを構成する個々のエンボス点が円形(エンボス面積0.047cm2)で且つ機械方向に沿うエンボス点の距離(ピッチ)は7mm、横方向に沿うエンボス点の距離(ピッチ)は7mm、斜め45°の方向に沿うエンボス点の距離は5mmであった。この時点でのエンボス面積率は7.2%であった。次いで、得られた不織布を130℃に加熱した熱乾燥機内にて1〜3分間熱処理(エアスルー加工)した。斯かる不織布の熱処理によって、不織布に含まれる熱伸長性を示す繊維(上層の非熱収縮性融着繊維)が、前記エンボス部(凹部)以外の部分において伸長し、このとき、該繊維の一部が前記エンボス部によって固定されていることによって、伸長した該繊維の伸び分は、不織布の平面方向への行き場を失い、該不織布の厚み方向へ移動する。結果として、不織布の肌当接面及び非肌当接面の両面それぞれにおける、千鳥格子状のパターンの前記エンボス部に囲まれた複数の領域それぞれに、凸部が形成される。こうして、両面に突部を有する2層構造の不織布からなる表面シートを得た。この表面シート(2層構造の不織布)において、肌当接面に存する突部の繊維密度は0.04g/cm3、非肌当接面に存する突部の繊維密度は0.10g/cm3、前記エンボス部の繊維密度は0.70g/cm3であった。また、表面シートの表面積(q1)に対する前記エンボス部の合計面積(q2)の割合(q2/q1)は0.29であった。
〔実施例2〕
吸収性コアとして、下記に示すものを用いた以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、それを実施例2とした。
実施例2で用いた吸収性コア:吸収性コアの厚み方向における低坪量部の偏在位置が、実施例1で用いた吸収性コアとは逆に、非肌当接面側である吸収性コア(ブロック型吸収性コア)。この吸収性コアは、以上の点以外は、寸法を含め実施例1で用いた吸収性コアと同様に構成されている。
〔比較例1〕
吸収性コアとして、下記に示すものを用いた以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、それを比較例1とした。
比較例1で用いた吸収性コア:複数の所定坪量の吸収部(実施例1で用いた吸収性コアにおいて高坪量部に相当する部分)が、吸収性コアの長手方向及び幅方向それぞれに所定間隔を置いて互いに独立して存在し、隣接する2個の該吸収部間は、吸収性材料が存在しておらず空間部となっている(即ち、実施例1で用いた吸収性コアにおける低坪量部に相当する部分が存在していない)吸収性コア(ブロック型吸収性コア)。この吸収性コアは、以上の点以外は、寸法を含め実施例1で用いた吸収性コアと同様に構成されている。
〔比較例2〕
吸収性コアとして、下記に示すものを用いた以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、それを比較例2とした。
比較例2で用いた吸収性コア:吸収性材料が均一な坪量でコア全体に分布していて低坪量部及び高坪量部を有しておらず、凹凸構造を有しない、肌当接面及び非肌当接面が略平坦な吸収性コア(フラット型吸収性コア)。この吸収性コアは、以上の点以外は、寸法を含め実施例1で用いた吸収性コアと同様に構成されている。
〔評価〕
実施例及び比較例の各サンプル(生理用ナプキン)について、下記方法に従って、動的最大吸収量、柔軟性、通気性を評価した。それらの結果を下記表1に示す。
<動的最大吸収量の評価方法>
生理用ナプキンを生理用ショーツに固定し、この生理用ショーツを人体の動的モデルに装着した。動的モデルの歩行動作を開始させ、歩行動作開始より1分後に、1回目の液注入操作として、動的モデルの液排泄点より生理用ナプキンに2gの馬血を注入し、更に1回目の液注入操作終了より3分後に、2回目の液注入操作として、動的モデルの液排泄点より生理用ナプキンに3gの馬血を注入し、更に2回目の液注入操作終了より3分後に、3回目の液注入操作として、動的モデルの液排泄点より生理用ナプキンに2gの馬血を注入する。3回目以降の液注入操作は、前回の液注入操作終了より3分後に動的モデルの液排泄点より生理用ナプキンに2gの馬血を注入することで実施する。斯かる液注入操作を、生理用ナプキンのウイング部から液(馬血)が染み出すまで繰り返し、液が染み出す前までに実施した液注入操作によって注入された液の総量を、動的最大吸収量とした。動的最大吸収量の値が大きいほど経血のモレ防止性に優れ、高評価となる。
<柔軟性の評価方法>
JIS L−1096(一般織物試験方法)に準じて、生理用ナプキンにおける吸収性コアの曲げ剛性を評価する。評価装置として、大栄科学精器製作所社製のハンドロメーター(型式:HOM−3)を用いる。ハンドロメーターのスリット幅は40mmに設定する。より具体的には、生理用ナプキンから吸収体(吸収性コアをコアラップシートで被覆したもの)を取り出し、前記ハンドロメーターを用いて、取り出した吸収体(長手方向の全長200mm、幅方向の全長75mm)の前端部より100mmの部位にて該吸収体を長手方向及び幅方向にそれぞれ折り曲げ、そのときの荷重値を測定した。この荷重値が小さいほど柔軟性に優れ、高評価となる。
<通気性の評価方法>
生理用ナプキンから表面シート及び吸収体(吸収性コアをコアラップシートで被覆したもの)の積層体を取り出し、該積層体における表面シート側の中央部に、楕円型の注入口(長さ5cm、横2.2cm、面積11cm2)を設けられたアクリル板を用いて、該注入口から6gの凝血を一括注入後、1分間放置する。その後、前記積層体から表面シートを取り除き、残った吸収体を評価サンプルとして、その通気性を評価した。通気性の評価は、JIS P8117(1998)に規定される「紙及び板紙−透気度試験方法−ガーレー試験機法」を参考とし、ガーレー試験機B型(商品名「GURLEY DENSOMETER」、熊谷理器工業(株)製)を用いて行った。具体的には、図11に示すように、縦横50mmの正方形状の2枚のアクリル板91,92間に、評価サンプル90(吸収性コアをコアラップシートで被覆したもの)を、該評価サンプル90の肌当接面が空気注入側に位置する一方のアクリル板91と当接するように挟んで、ガーレー試験機にセットする。一方のアクリル板91は、その中央部に、該アクリル板91を厚み方向に貫通する縦横10mmの正方形状の貫通孔93を有しているのに対し、他方のアクリル板92は貫通孔を有していない。尚、一方のアクリル板91の重量は9.7gであり、評価サンプル90の大きさはアクリル板91,92の大きさを超えるものとする。そして、JIS P8117(1998)に記載の方法で300mlの空気が通過する時間(注入に要する時間,秒)を測定し、その測定値から通気速度(ml/秒)を算出した。この通気速度の値が大きいほど、通気性に優れ、高評価となる。
表1に示す結果から明らかなように、実施例1及び2は、比較例1及び2に比して動的最大吸収量の値が大きく、経血のモレ防止に優れていると共に、折り曲げたときの荷重値が小さく、柔軟性にも優れていた。この結果より、前述したように、低坪量部と高坪量部とが特定パターンで形成された吸収性コア(ブロック型吸収性コア)に特定構造の溝を特定パターンで形成することは、排泄液の吸収・拡散性に優れ、装着者の濡れに起因する不快感を生じ難い吸収性物品を得る上で有効であることが示唆された。また、実施例1及び2並びに比較例1と比較例2との比較から、凹凸構造を有するブロック型吸収性コアは、凹凸構造を有しないフラット型吸収性コアに比して、通気性に優れ、ナプキン装着者の肌とナプキンとの間に存在する空気の換気効果に優れることが示唆された。