電気通信インフラストラクチャを制御するネットワーク制御システムを開示する。このネットワークは、エネルギ消費を制御するため、トラフィック・ルーティングの最適化のため、そして電気通信インフラストラクチャにおける他の目的のために構成されている。電気通信インフラストラクチャは、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークおよび第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークを備えている。第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークおよび第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークによって共有される少なくとも1つの重複するカバレッジ・エリア、例えば、セル(の大部分)を含む。第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークおよび第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、それぞれ、重複するカバレッジ・エリアにおいて複数の第1端末および複数の第2端末にサービスを提供することができる。第1および第2端末は、例えば、それぞれの端末における内部設定の結果、これらのネットワーク双方が重複するカバレッジ・エリアにおいてカバレッジを提供するとき、初期状態では第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークと通信する。第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、例えば、異なる無線アクセス・ネットワーク技術を有する異なるネットワークを指す。
ネットワーク制御システムは、電気通信インフラストラクチャの1つ以上のノードまたはエレメントにおいて実装することができ、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおいて少なくとも重複するカバレッジ・エリアにおける第1端末による請求容量を監視し、少なくとも重複するカバレッジ・エリアにおいてサービスを提供するために、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの空き容量を監視するように構成されている監視システムを内蔵する。
本開示において、「容量」という用語は、異なる複数の意味を有することができ、したがって、2つの異なるワイヤレス・アクセス・ネットワークがある場合、第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワーク間における容量変換が必要となることもある。
「容量」という用語は、1時間単位(例えば、秒)においてワイヤレス・ネットワークによって送信される生データ・ビット(つまり、オーバーヘッドが全くない)の量として定義される絶対値に関係することができる。このような場合、通常、容量変換は必要ない。
「容量」という用語は、1時間単位においてワイヤレス・ネットワークによって送信される無線チャネル・ビット(つまり、エラー訂正コーディング、訓練シーケンス/パイロット信号などによって引き起こされる冗長性のような、オーバーヘッドを有するまたは含む生データ・ビット)の量として定義される絶対値に関係することもある。このような場合、容量変換が必要となることがある。第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークが、1時間単位においてB1オーバーヘッド・ビットを有するA1生データ・ビットを送信し、一方第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークでは、A2生データ・ビットおよびB2オーバーヘッド・ビットが送信されると仮定する。この場合、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークに対するC1の容量は、例えば、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークに対するC1−B1+B2の容量に変換することができる。
「容量」という用語は、ワイヤレス・ネットワークによって送信される生データ・ビット(または無線チャネル・ビット)の量の、1時間単位において送信可能な生データ・ビット(または無線チャネル・ビット)の最大数に対する比として定義される相対値(例えば、百分率)に関係することもできる。このような場合も、容量変換が必要となる場合がある。第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークが1時間単位において最大Am1生データ・ビット(または無線チャネル・ビット)を送信することができ、一方第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークでは、Bm1生データ・ユニットを送信することができると仮定する。第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークに対するR1の容量は、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークに対するR1.Am1/Am2の容量に変換することができる。
その結果、容量変換は必要とされないこと、あるいは2つの異なるワイヤレス・アクセス・ネットワークの容量を関係付けるまたは比較する必要があるときには、容量変換は暗示的に行われることが理解されてしかるべきである。
第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける請求容量は、特定の動作性能に対して特定の時点において第1端末によって実際に用いられる容量である(comprise)。第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの空き容量は、特定の動作性能において特定の時点でこのネットワークにおいてアクティブな第2端末によって用いられていない容量である。言い換えると、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの空き容量は、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの割り当て容量(installed capacity)から、第2端末の請求容量を減算した値として定義することができる。
ネットワーク制御システムは、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける空き容量が第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける請求容量を超えた後に、重複するカバレッジ・エリアの中にある第1端末の内1つ以上を、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークから第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーし、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおいて第1端末にサービスを提供するように構成されている。エネルギ消費を制御するため、ここではエネルギ消費を低減するために、電気通信インフラストラクチャでは、本発明の一応用として、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークの1つ以上のリソースを調節する。リソースの調節には、このようなリソースのパラメータの調節が含まれる。
本開示では、「リソース」という用語は、システムまたはコンポーネントの機能において役割を果たすシステムまたはコンポーネントのいずれかの態様として定義することができる。通例、リソースは、おそらく使い切ることができ、したがってシステムまたはコンポーネントの性能(capabilities)、あるいはその限度を定義することができるあらゆる態様に関係する。「リソース」は、システムにおいて一般に認められるサブシステム、モジュール、またはコンポーネントにおいて見ることができ、送信機(の数)またはプロセッサ(の数)、および、例えば、信号処理、チャネル・コーディング/デコーディング等を実行する関連機器(「チャネル・エレメント」とも呼ばれ、何らかの製造業者(manufacturers)によって提供される)、あるいはシグナリングまたは動作および保守タスクを実行する関連機器等に見ることができる。システムには、ある数のこのようなサブシステム/コンポーネントが存在し、設置されている場合がある。同じ種類または同様の種類のアクティブなサブシステム/コンポーネントの数を制御すると(例えば、アクティブとなるように制御される送信機の数)、システムに利用可能なリソース全体を制御することができる。
また、「リソース」という用語は、別個のエンティティとして容易に区別することができない特定のサブシステム/モジュール/コンポーネントの態様に関することもできる。このようなリソースの例には、とりわけ、所与のキャリア(周波数)で送信するために用いられる電力、特定の信号が送信される期間、特定の信号を送信するためのコーディング方式および/または変調の種類(達成可能なユーザ・ビット・レートに影響を及ぼす可能性がある、信号を送信するスペクトルの幅、送信が行われる異なる周波数の数(例えば、周波数帯域、キャリア周波数、サブキャリア等)、プロセッサ(「チャネル・エレメント」)によって処理されるトラフィック・ストリーム(例えば、呼)の数、および/またはするコア(core)の数、および/またはプロセッサが動作するクロック周波数および/または電圧が含まれる。以上の例では、リソースは、別個のエンティティとして容易に区別することができない。とは言え、モジュール/コンポーネントの性能(の限度)を定義する態様として一般に認識されている。特定の時点では、このようなリソースは「使用中」(用いられている)であると言うことができ、そのモジュール上にかかるある種の「負荷」に対応し、あるいは「利用可能」(「空いている」)と言うこともできる。
最終的な場合、重複カバレッジ・エリアの中にある全ての第1端末が、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークから第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーされ、これらのリソースをオフに切り替えることによって、第1ワイヤレス・ネットワークのリソースの内1つ以上を調節する。しかしながら、エネルギ消費は、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークの基地局の送信電力を低減する(この基地局のカバレッジ・エリアの縮小が起こる可能性がある)というような、それほど厳しくない手段によって低減することもできる。この場合、第1端末はもはや第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークとは通信することができず(例えば、基地局の範囲から、例えば、外れたとき)、このエリアをカバーする第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーされる。ハンド・オフが行われる前には異なる第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークが同時に動作していたので、第1デバイスおよび第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、ハンドオーバー後もそのまま動作状態でい続け(何らかの適合化を伴う可能性もある)、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、しかるべき動作性能を有し続ける可能性が高い。
また、先に定義したような電気通信インフラストラクチャを制御する方法も開示する。制御の目的は、この場合も、トラフィック・ルーティングの最適化および/または他の目的のために、エネルギ消費を制御することに関係するとして差し支えない。
第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークの少なくとも重複カバレッジ・エリアにおいて第1端末によって用いられる請求容量を監視する。また、重複カバレッジ・エリアにおいてサービスを提供するために、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける空き容量も監視する。第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの重複カバレッジ・エリアにおける空き容量が、重複カバレッジ・エリアにおいて請求容量を大きく超えた後、エネルギ消費リソースの削減が可能であるならば、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおいて、ハンドオーバー指示を与える。
ハンドオーバー指示を得た後、重複カバレッジ・エリアの中にある第1端末の内1つ以上が、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークからこれらの第1端末にサービスを提供するために、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークから第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーされる。エネルギ消費は、例えば、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークの1つ以上のリソースを調節することによって、制御する、即ち、この場合では低減することができる。最終的な場合、重複カバレッジ/エリアの中にある全ての第1端末が、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークから第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンド/オーバーされ、これらのリソースをオフに切り替えることによって、第1ワイヤレス・ネットワークのリソースの内1つ以上を調節する。この場合も、エネルギ消費は、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークの基地局の送信電力を低減する(この基地局のカバレッジ・エリアの縮小が起こる可能性がある)というような、それほど厳しくない手段によって低減することもできる。この場合、第1端末はもはや第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークとは通信することができず(例えば、基地局の範囲から、例えば、外れたとき)、このエリアをカバーする第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーされる。
したがって、第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワーク間における協同を用いて、電気通信インフラストラクチャ全体に対するエネルギ低減が得られつつ、電池通信インフラストラクチャによって全体として容認可能なネットワーク・カバレッジおよび満足できる動作性能を可能にすることができる。協同とは、ワイヤレス・アクセス・ネットワーク双方がアクティブになっているとき、特定のエリアにおいて提供することができる重複するカバレッジを指し、そして一時的にこれらのワイヤレス・アクセス・ネットワークの1つのリソースを一時的に調節する(例えば、オフに切り替える)ために、協同するネットワーク間でトラフィックを切り替えることができることを指す。このように、容認可能な品質で十分なサービス・カバレッジおよび容量を維持するという制約の下で、エネルギ低減に関して、電気通信インフラストラクチャの動作を最適化することができる。
尚、ハンドオーバーの決定に際して、第2ネットワークにおける容量に対するハンドオーバーの影響を推定するために、第1端末による第1ネットワークのリソースの使用状況が用いられることは注記してしかるべきである。しかしながら、第1および第2ネットワーク間におけるこれらのパラメータの1対1の対応が非現実的である場合には、請求容量および/または空き容量に対する少なくとも1つの補正係数を適用することができる。この補正係数は、例えば、第1ネットワークの基地局および第2ネットワークの基地局からの第1端末の距離の差に関係付けることができる。更に、本願において既に述べたように、第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおけるリソース単位が異なる表現になっている場合には、変換係数も適用するとよい場合もある。
本願において既に詳細に既定したように、エネルギ消費を低減するために、様々なリソースを選択して調節または一時的にオフに切り替えることができる。既に示したように、例には、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークの基地局全体、セルの1セクタのような、基地局の一部、割り当てられたスペクトル(の一部)、処理ボード、送信キャリア等、またはそのパラメータを含むことができる。
尚、第1端末をハンドオーバーする判断はネットワーク制御システムによって行われるが、端末の実際のハンドオーバーおよび/またはリソースの調節は、ネットワーク制御システムの命令時に、当業者には知られているやり方で、電気通信インフラストラクチャにおいて実行してもよいことは認められてしかるべきである。
また、第1端末が第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおいて用いることができるサービスの内少なくとも一部(異なる品質の可能性もある)を得るために第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークを用いることができるか否か検証するために、第1端末の能力をネットワーク制御システムに伝達することもできる(これらの能力を端末からワイヤレス・アクセス・ネットワークに送るまたはインフラストラクチャにおける他のエンティティから端末からの能力を求めることによって明示的に、あるいはどのサービスが端末によって用いられているのか監視することによって暗示的に伝達する)。ハンドオーバー決定アルゴリズムは、端末の能力を考慮に入れることもできる。
ネットワーク制御システムは、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおいて1つ以上の第1端末にサービスを提供するために、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの1つ以上のネットワーク・エレメントを適合化し、ワイヤレス・アクセス・ネットワークの1つのリソースを調節したことを補うように構成することができる。第1および第2端末に対するカバレッジおよび品質を容認できるレベルに維持するためには、他のワイヤレス・アクセス・ネットワークのリソース(またはそのパラメータ)を電気通信インフラストラクチャによって、調節する必要が生ずることもある。調節する必要があるかもしれないリソース(のパラメータ)の例には、送信電力、ビーム形成パターン、ハンドオーバー閾値、近隣セル・リスト等が含まれる。
尚、1つ以上の第1端末から第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークへのハンドオーバーは、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける空き容量が、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける第1端末による請求容量を超えたことを検出した後必ずしも直ちに行われる訳ではないことを注記しておく。一例として、請求容量および空き容量の変動による切りがないハンドオーバーを回避するために、何らかの遅延を考慮に入れ、ハンドオーバー手順にヒステリシス・ループや時間間隔を規定するとよい。
更に、ネットワーク制御システムは、第1端末による請求容量を監視して、請求容量閾値よりも低いとき、および/または第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおいて監視した空き容量が空き容量閾値よりも高いときに、1つ以上の第1端末を第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーするように構成することができる。言い換えると、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける空き容量が第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける請求容量を超える毎に1つ以上の第1端末がハンドオーバーされることを避けるために、第1端末の第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークへのハンドオーバーは、1つ以上の閾値条件に応じて行うとよい。これによって、電気通信ネットワークにおける不必要なシグナリングを回避すること、および/または過剰なハンドオーバーおよび/または余りに細か過ぎる時間目盛り上でのリソースの非効率的な調節を防止することができる。
本出願人は、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける第1端末の請求容量は、第2ネットワークにハンドオーバーされると、例えば、第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの基地局までの距離が異なるために、通常第2ネットワークにおけるこの端末による請求容量とは異なることを確認した。更に、本出願人は、ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける請求容量および空き容量は、これらのネットワークにおける端末に対するサービス品質(動作性能)に関係することも確認した。これらの知見によって、請求項2、3、10、および11において定義するように、満足できる動作性能を保証しつつ、ネットワーク制御の改善が可能となる。
請求項2および10の実施形態では、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーする前に、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける1つ以上の第1端末についての(最低)動作性能(上ではサービス品質と呼んだ)を考慮に入れることが可能となる。ハンドオーバーが行われるのは、最低サービス品質が第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおいても予期できるときだけである。勿論、考慮に入れるとよい他の態様には、第1ユーザ端末に対するサービス品質要求に加えてまたはその代わりに、第2ユーザ端末に対する(最低)サービス品質も満たすことができるか否かということがある。分析するとよいサービス品質パラメータの一例に、端末またはサービスに対する(最低)スループットがある。これは、主に、会話音声、ライブ・ビデオ・ストリーミング、およびリアル・タイム・ネットワーク・ゲームというような、リアル・タイム・サービスには有効である。2つの他の例を挙げると、差し支えない遅れ、およびパケット損失率である。これらは、サービスの種類毎に異なる。例えば、3GPP TS 23.203に指定されているように、TCP系サービスに対する遅延計画(budget)は300msであり、一方リアル・タイム・ネットワーク・ゲームに対する遅延計画は50msである。更に、従来の音声のパケット損失率は10−2であり、一方TCP系サービスのパケット損失率は10−6となる。
請求項3および11の実施形態では、ワイヤレス・アクセス・ネットワークの少なくとも1つにおいて、請求容量および/または空き容量の操作を可能にする。これらの実施形態では、第1端末による請求容量は、これらの端末に対する最低サービス品質目標が第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークによって提供されるときに、第1端末によって取られる容量として定義することができ、それよりも高いサービス品質レベルで第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおいて元々請求された容量を低下させることができる。空き容量は、ここでは、アクティブな第2端末が第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークによって最低サービス品質目標でサービスを受けるときの未使用容量として定義され、これによって元の空き容量が大きくなる。したがって、1つ以上の端末の第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークから第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークへのハンドオーバーを促進する。
ある時点において、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークの調節したリソースの1つ以上が再度必要になることもある。
したがって、本発明の他の態様では、電気通信インフラストラクチャを制御するように構成されているネットワーク制御システムを開示する。ここでも、電気通信インフラストラクチャは、第1ワイヤレス・ネットワークおよび第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークを備えており、第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークが、重複するカバレッジ・エリアにおいて、複数の端末にサービスを提供することができる。このシステムは、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークが少なくとも重複カバレッジ・エリアにおいて端末にサービスを提供しないときに、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークによって、端末による請求容量、および/または第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける空き容量を監視するように構成されている監視システムを備えている。
ネットワーク制御システムは、前記端末による請求容量が、前記第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークに対する請求容量閾値を超えた後、および/または前記第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける空き容量が空き容量閾値未満に低下した後、前記第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークの1つ以上のリソースを調節するように構成されている。また、ネットワーク制御システムは、前記第2ワイヤレス・アクセス・ネットワーク内に残っている端末による請求容量が少なくとも前記請求容量閾値まで低下するように、および/または前記第2ネットワークにおける空き容量が少なくとも前記空き容量閾値まで増加するように、前記第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークの前記調節したリソースを用いて、前記重複カバレッジ・エリアの中にある前記端末の内1つ以上を、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークから第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーするように構成されている。
更に、第1ワイヤレス・ネットワークおよび第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークを備えている電気通信インフラストラクチャを制御する方法を開示する。前記第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、重複するカバレッジ・エリアにおいて、複数の端末にサービスを提供することができる。第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークが重複カバレッジ・エリアにある端末にサービスを提供しないとき、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークによって、端末による請求容量を監視する。
端末による請求容量が第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークに対する請求容量閾値を超えた後、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークのリソースを調節する。第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークに残っている端末による請求容量が少なくとも請求容量閾値まで低下するように、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークの調節したリソースを用いて、端末の内1つ以上を第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークから第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーする。
第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける請求容量は、特定の時点および特定の動作性能で端末によって実際に用いられる容量である。第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの空き容量は,特定の動作性能において特定の時点でこのネットワークにおいてアクティブな端末によって用いられていない容量である。言い換えると、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの空き容量は、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの割り当て容量から、アクティブな端末の請求容量を減算した値として定義することができる。
このように、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおいてリソースを調節する必要があるか否か、そして、端末を第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーすべきか否か判断するために情報を得るために用いられる。これが利点となるのは、前述のように端末を第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーした後における第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークのリソースの調節が、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワーク自体がもはやこの情報を得ることができないことを暗示することができる。端末による請求容量を第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークによって監視し、監視した請求容量が請求容量閾値を超えている場合、第1ネットワークのリソースを調節した後、端末の内1つ以上を第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーする。
尚、前述のように第1端末を第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーした後、未だ重複エリア内にある場合、これら同じ端末を特定することや、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける請求容量閾値を超えた後にこれら同じ端末の内1つ以上を逆に第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーすることは常に可能という訳ではないことは、認められてしかるべきである。したがって、1つ以上の端末を第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーする場合、元々の第2端末の内1つ以上を含むこともある。可能であれば、このプロセスには、例えば、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークのエネルギ消費を低減するために、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの1つ以上のリソースを調節することを付帯させるとよい。
第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークのセル上に滞在する端末が第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークに戻ることを可能にするために、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、請求項5および13において定義するように、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークの利用可能性を知らせ、更に特性を公表することもできる。このような特性の例には、無線アクセス技術(例えば、GSM、UMTS、LTE、WiMax)、使用する周波数スペクトル、および/またはネットワーク運営業者(PLMN ID)が含まれる。
請求項6および14の実施形態は、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークのリソースの内、実際に要求されているリソースのみを、ハンドオーバーされた端末にサービスを提供するために調節する(例えば、再度オンに切り替える)ことができるように、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークへのハンドオーバーを可能にするために調節すべき第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークのリソースを、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークによって現在サービスを受けている端末の決定されているパラメータに応じて決定することができるという利点がある。これによって、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークのリソースのインテリジェントな調節が可能となり、したがって、例えば、電気通信インフラストラクチャのエネルギ消費を制御するのに役立つことができる。尚、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークが判断プロセスに関与してもよいことは、注記してしかるべきである。
一般に、本開示では、第1および第2アクセス・ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、それぞれ、(限定ではないが)、(i)第1無線アクセス技術を用いる第1ネットワークおよび第2の異なる無線アクセス技術を用いる第2ネットワーク(例には、GSMを用いる第1ネットワークおよびUMTSを用いる第2ネットワーク、UMTSを用いる第1ネットワークおよびLTEを用いる第2ネットワーク、UMTSを用いる第1ネットワークおよびWiMAXを用いる第2ネットワークが含まれる)、(ii)第1無線アクセス技術を用いる第1ネットワーク、および第1ネットワークと同じ無線アクセス技術を用いるが独立して運用され、第1ネットワークとは別の物理的リソースを用いる第2ネットワーク(一例は、GSMネットワークを所有し運営する運営者が、他の完全に別の(機器および運用に関して)GSMネットワークを他の運営者から取得するまたは協同することができることである)、(iii)第1ネットワーク運営者の第1ネットワーク、および第2ネットワーク運営者の第2ネットワーク(例には、運営者Aが所有するGSMネットワークおよび運営者Bが所有するGSMネットワーク、運営者Aが所有するGSMネットワーク、および運営者Bが所有するUMTSネットワークが含まれるが、これらに限定されるのではない)、(iv)第1範囲のセルを備えている第1ネットワーク、および第1範囲とは異なる、第2範囲のセルを備えている第2ネットワーク(例には、マクロ・セルを備えている第1ネットワーク、およびマイクロ・セルを備えている第2ネットワーク、マクロ・セルを備えている第1ネットワーク、およびフェムト・セルを備えている第2ネットワークが含まれるが、これらに限定されるのではない)。
このように、第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、無線アクセス技術(例えば、GSMおよびUMTS、またはUMTSおよびLTE)、配備された所与の無線アクセス技術の始動(deployed release)、使用周波数スペクトル(例えば、GSMでは900MHzおよび1800MHz周波数帯域(後者をDCSネットワークと呼んでいる)、UMTSでは異なる5MHzキャリア)が異なること、および/または移動体運営者が異なることがある。また、ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、提供するセルの種類がことなる場合もあり、例えば、マクロ・セルおよびピコ・セルがある。一例として、例えば、エネルギ消費を低減するために、UMTSネットワークにおける請求容量が低く、GSMネットワークにおける空き容量が、UMTSネットワークにおける第1端末による使用容量を受け入れるのに十分である場合、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークとしてUMTSネットワークのセル上に滞在している第1端末を、そのセルのために、GSMネットワークにハンドオーバーすることができる(可能であれば、端末の能力がGSMネットワークとの通信を可能にするか否か、および最低サービス品質をGSMネットワークにおいて保証できるか否かについても検証する)。次いで、エネルギを節約するために、UMTSネットワークを調節することができる(例えば、UMTS NodeBをオフに切り替えることによって)。他の例として、第2キャリアの容量および動作性能が、第1の5MHzキャリア上における第1端末による請求容量を受け入れるのに十分であるとき、第1の5MHzキャリアを通じて第1端末にサービスを提供し、第2の5MHzキャリアを通じて第2端末にサービスを提供するNodeBが、第1端末を第25Mhzキャリアにハンドオーバーし、第1の5MHzキャリアをオフに切り替えることができる。
更に、本明細書において開示する電気通信インフラストラクチャは、少なくとも1つの運営および保守センタを備えることができ、第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークは、それぞれ、複数の第1および第2基地局を備えることができ、ネットワーク制御システムの少なくとも一部が、運営および保守センタ、および/または第1および/または第2基地局に収容される。第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワーク間の差の本質(nature)に応じて、電気通信インフラストラクチャにおけるネットワーク制御システムの実施態様の階層レベルを決定することができる。第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークが例えばことなる納入業者からのものである場合、これらのワイヤレス・アクセス・ネットワークの運用および保守センタ(または同等のネットワーク・エレメント)を、ネットワーク制御システムの実施態様に用いることができる。第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークがことなるネットワーク運営者からであるが同じ納入業者からのものである場合、運用および保守センタを統合することもできる。第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークが1つの納入業者から得られる場合(例えば、運営者が同じ納入業者からの3Gおよび4Gネットワーク双方を提供する)、ネットワーク制御システムの機能(の一部)を、ワイヤレス・アクセス・ネットワークの中に、例えば、基地局、NodeB、またはeNodeB内に実装することができる。この場合、これらのネットワーク・エレメントは、エネルギ消費制御に関連する情報を、他のネットワーク・エレメント(RNCのようなエレメント)を通じて、または直接、例えば、LTEネットワークにおけるItf−X2を通じて交換することができる。結局、ネットワーク制御システム(の一部)を実現するためには、サード・パーティのシステムも用いることができる。
また、本出願人は、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける端末による請求容量が、第1ネットワークにハンドオーバーされるときには、第1ネットワークにおけるこの端末による請求容量とは異なることを認めた。これは、例えば、第1および第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークの基地局までの距離が異なるからである。更に、本出願人は、ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける請求容量および空き容量が、これらのネットワークにおける端末に対するサービス品質に関係することも認めた。これらの知見により、請求項7、8、15、および16において定義するように、満足できる動作性能を保証しつつ、エネルギ制御を改善することが可能になる。
請求項7および15の実施形態では、第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークにハンドオーバーする前に、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける1つ以上の端末に対する(最低)動作性能(上ではサービス品質と呼んだ)を考慮に入れることを可能にする。ハンドオーバーが行われるのは、第1ネットワークにおいても最低サービス品質を期待できるときだけである。分析するとよいサービス品質パラメータの一例に、端末の(最低)スループットがある。勿論、考慮に入れるとよい他の態様には、第1ユーザ端末に対するサービス品質要求に加えてまたはその代わりに、第2ユーザ端末に対する(最低)サービス品質も満たすことができるか否かということがある。分析するとよいサービス品質パラメータの一例に、端末に対する(最低)スループットがある。
請求項8および16の実施形態では、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける請求容量および/または空き容量の操作を可能にする。これらの実施形態では、端末による請求容量は、これらの端末に対する最低サービス品質目標が第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークによって提供されるときに端末によって使用される容量として定義するとよく、こうして、第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおける本来の請求容量を減少させる。ここでは、空き容量を、アクティブな端末が第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークによって最低サービス品質目標でサービスを提供されているときの未使用容量として定義し、こうして本来の空き容量を増加させる。したがって、1つ以上の端末の第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークから第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークへのハンドオーバーは抑制される。
尚、端末を第1ワイヤレス・アクセス・ネットワークから第2ワイヤレス・アクセス・ネットワークに、そしてその逆にハンドオーバーする判断アルゴリズムの一部では、(相当な)エネルギ低減が実際に得られるか否か検証するために、エネルギ低減推定を伴うとよいことは注記してしかるべきである。これは特に、ネットワーク・リソースが完全にはオフに切り替えられていないが、修正されているだけであるときに該当することである。
本開示において既に示したように、エネルギ節約以外にも、ネットワーク制御システムには、他にも様々な用途があり、以下のことを含むがこれらに限定されるのではない。
・電気通信インフラストラクチャのワイヤレス・アクセス・ネットワークの1つ以上において1つ以上の基地局をオフに切り替えたことによる放射の低減。
・電気通信インフラストラクチャの1つ以上のワイヤレス・アクセス・ネットワークにおいて1つ以上の基地局をオフに切り替えたことによるネットワーク干渉の低減。
・利用可能なスペクトルにアクセスすることを、認知ネットワーク(cognitive network)の二次的ユーザに許容するための、スペクトル・リソースの解放。
・バックホール(送信)容量、コア・ネットワーク容量、およびサービスを含むがこれらに限定されない、電気通信インフラストラクチャのネットワーク・リソースを最適に利用するために、2系統以上のことなるワイヤレス・アクセス・ネットワークに跨がるトラフィック、またはこれらのネットワーク間におけるトラフィックの管理、誘導(steering)、ルーティング、および/または制御。
・過剰容量を解放または販売する可能性の創造(即ち、第1ワイヤレス・ネットワークにおいて放出したリソース)。
以後、本発明の実施形態について詳しく説明する。しかしながら、これらの実施形態が本発明の保護範囲を限定するように解釈してはならないことは、認められてしかるべきである。