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JP2012204744A - 軟磁性金属粉末及びその製造方法、圧粉磁心及びその製造方法 - Google Patents

軟磁性金属粉末及びその製造方法、圧粉磁心及びその製造方法 Download PDF

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JP2012204744A JP2011069906A JP2011069906A JP2012204744A JP 2012204744 A JP2012204744 A JP 2012204744A JP 2011069906 A JP2011069906 A JP 2011069906A JP 2011069906 A JP2011069906 A JP 2011069906A JP 2012204744 A JP2012204744 A JP 2012204744A
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Abstract

【課題】 耐酸化性に優れた軟磁性金属粉末、高透磁率で高密度を有する圧粉磁心、およびそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】 酸化鉄粉末を固相還元する還元剤として炭素粉末と共にAl粉末を添加することによって得られ、平均粒径が1μm超であり、表面が炭素および酸化アルミで被覆された金属Fe粒子粉末であり、大気中で加熱する熱重量分析における重量上昇が1.0%以上となる温度が450℃以上である軟磁性金属粉末を用いる。この軟磁性金属粉末と、有機樹脂または無機酸化物の少なくとも一方とで、密度が6.0Mg/m以上である圧粉磁心を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に被覆が形成された耐酸化性の軟磁性金属粉末とその製造する方法に関するものである。
チョークコイルやインダクタ素子、トランス等の磁心材料として軟磁性のフェライトや金属材料が用いられている。近年の電子部品においては小型で高周波でも低損失で駆動することが要求されており、動作電流は大電流化する傾向にある。これらの要求に応えるためには従来のフェライトに比べて飽和磁化が大きい金属材料が望まれている。飽和磁化が大きければ小型化が実現するだけでなく、例えばインダクタ用途の場合は直流重畳特性を大電流領域まで維持することができるので、大きな動作電流にも対応することができる。
しかし、金属材料は電気抵抗が低いために、渦電流が流れやすく、渦電流損失が発生してしまう。渦電流損失は周波数の二乗に比例するため、特に高周波磁界の下では損失が大きくなってしまう(実部の透磁率が低下してしまう)。このため、金属材料をバルク体のまま用いることが困難であった。これを解決するべく、たとえばFe系合金の粉末間を樹脂によって絶縁した状態で成形することで、50kHzの高周波でもコアロスの低い圧粉磁心が開発されている(特許文献1)。
また、金属材料の粉末を圧粉して成形すると、金属粉末内部に応力歪みが残存して磁気特性の劣化を招く。すなわち保磁力が増大してしまい、ヒステリシス損失が増加してしまう。ヒステリシス損失を低減するためには成形体を熱処理して応力歪みを除去しなければならない。この熱処理において粉末間絶縁に用いた樹脂が分解する問題を回避するため、樹脂ではなく水ガラスを用いることが特許文献2に報告されている。また、ヒステリシス損失を極小とすべく、磁気異方性の小さいアモルファス材料や金属粉末をナノ結晶サイズまで微細化したナノ結晶材が開発されている。
すなわち軟磁性材料として、近年では高磁化でなおかつ高周波用途で安定に使用でき、低損失であることを兼ね備えた金属材料が望まれている。これを実現するためには耐熱性に優れた被覆層を有する軟磁性金属粉末が必要とされている。
特開2006−274300号公報(表1) 特開2004−259807号公報(表1) 特開2009−249739号公報(実施例9〜11) 特開2009−272615号公報
従来のフェライトに比べて金属磁性材料は磁化が高いものの、容易に酸化することが問題であった。圧粉磁心用途に適用する場合は歪除去焼鈍による被覆層の劣化に伴う軟磁気特性の低下抑制が困難であった。積層インダクタ等の磁心コア材料へ適用する場合は電極焼成工程で酸化してしまい、高磁化を活用することが困難であった。したがって、磁性コアを構成する軟磁性金属粉末において耐酸化性に優れる被覆層が必要であった。
また、軟磁性金属粉末の粒径が1μm以下の微小径であると、加圧成形しても成形体密度が十分に向上せず、磁化や透磁率が低い原因となっていた(特許文献2)。したがって、高密度の成形体を提供できる軟磁性金属粉末が必要であった。
本発明の目的は、耐酸化性に優れた軟磁性金属粉末および高密度で高透磁率を有する圧粉磁心の提供、ならびにその製法を得ることである。
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明に想到した。すなわち本発明の軟磁性金属粉末は、酸化鉄粉末を固相還元する還元剤として炭素粉末と共にAl粉末を添加することによって得られ、平均粒径が1μm超であり、表面が炭素および酸化アルミで被覆された鉄粒子粉末であり、大気中で加熱する熱重量分析における重量上昇が1.0%以上となる温度が450℃以上であることを特徴とする。
さらに前記軟磁性金属粉末において、平均粒径が1μm超、20μm以下である軟磁性金属粉末を提供する。
さらに前記軟磁性金属粉末において、平均粒径が4〜12μmである軟磁性金属粉末を提供する。
前記軟磁性金属粉末は、表面が炭素および酸化アルミで被覆されているため、X線光電子分光法によって分析される表面組成が、Feが1at%未満、Cが80〜85at%、Alが2.8〜3.4at%であることを特徴とする。残部は、Fe、C、及びAl以外の原料由来の元素である。
本発明の軟磁性金属粉末の製造方法は、還元剤である炭素粉末及びAl粉末と、酸化鉄粉末とを混合し、
得られた混合粉に非酸化性雰囲気中で熱処理を施し、
X線光電子分光法で検出される表面組成に炭素及び酸化アルミニウムを有し、核組成に鉄を有する粉末を得ることを特徴とする。
本発明の軟磁性金属粉末を用いて圧粉磁心を作製する場合、当該軟磁性金属粉末と、有機樹脂または無機酸化物の少なくとも一方とで構成することにより、密度が6.0Mg/m以上である圧粉磁心を得られる。これにより高磁化が実現される。
前記圧粉磁心は、100kHzの周波数下で巻線に直流を重畳して発生する直流バイアス磁界が10kA/mの場合に、得られる増分透磁率が20以上であることを特徴とする。これにより優れた直流重畳特性が得られる。
また、前記圧粉磁心は、1MHzの周波数における複素比透磁率の実数部が20以上であることを特徴とする。これによりMHz帯域でも高い透磁率が得られる。
また、前記圧粉磁心は、得られた軟磁性金属粉末に、有機樹脂または無機酸化物を添加した後、1000MPaまたは2000MPa の圧力で成形することによって得られる。
耐酸化性に優れた軟磁性金属粉末、高透磁率で高密度を有する圧粉磁心、およびそれらの製造方法を提供することができる。
図1は、圧粉磁心を用いたトロイダルコイルの直流重畳特性を示すグラフである。
本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(1)出発原料
出発原料として用いる酸化鉄はFeやFe、FeOなどの化学式で表されるが、遷移金属元素を含むフェライトであっても構わない。酸化鉄粉末の平均粒径は0.01〜100μm未満であることが好ましく、より好ましくは20μm未満、更に好ましくは1μm未満である。酸化鉄粉末の平均粒径は最終的に得られる軟磁性金属粉末の平均粒径に大きく影響する。酸化鉄粉末の平均粒径が0.01μm未満であると粉末としての取扱いが困難になるだけでなく、還元後の軟磁性金属粉末の粒径が1μm未満となってしまい、成形体密度が向上しなくなるので好ましくない。また酸化鉄粉末の平均粒径が100μm以上となると還元反応が十分に進行しなくなるので好ましくない。還元された軟磁性金属粉末の平均粒径は1μm超であることが好ましい。1μm未満の場合は加圧後の成形体密度が6.0Mg/mに到達せず好ましくない。より好ましくは1μm超、20μm以下である。20μmを越えると粒内に渦電流が流れて渦電流損失が増大してしまうので好ましくない。更に好ましくは4〜12μmである。この範囲であれば成形体密度を十分高くすることができる。
還元後の軟磁性金属粉末は、目的に応じて鉄基合金としてもよい。すなわちFe−Si、Fe−Al−Si、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Si−Bなどの合金であっても構わない。
(2)還元剤
前記酸化鉄を還元するための還元剤として固体粉末を用いる。均一かつ薄い被覆層を形成するためにはグラファイトが好ましく、グラファイトを被覆層とするには炭素から成る粉末を用いるのが好ましい。グラファイトはグラフェンシートが積層した構造であるため2次元的に粒成長しやすく被覆物質として好適である。還元剤として用いる炭素から成る粉末としてはグラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、各種炭化水素などの粉末を用いるのが好ましい。ただしグラファイトは導電性物質であるため、金属Alを還元剤として用い、副生成物として生成する酸化アルミニウムを被覆層とすることにより電気絶縁性を確保することが好ましい。
還元剤としては金属Alが好ましい。金属Alの融点は660℃であり、後述する還元反応が進行する温度(1100〜1400℃)よりも低温である。これが被覆構造を形成するには好適である。還元反応が始まる前にAlは液相状態で酸化鉄粒子を均一に濡らし、その後昇温されると液相Alが酸化鉄を還元する。このような反応機構であると、還元反応によって生成する酸化アルミニウムが必然的にFe核粒子を被覆する構造となる。融点が1100℃を越えるAl化合物は還元剤として相応しくない。特許文献3(特開2009−249739号公報)では固相反応においてAlNの粉末を添加して核粒子であるFeにAlを固溶させる方法が開示されているが、被覆層に酸化アルミニウムが含まれることは開示されていない。AlNの融点は2200℃と高温であるため酸化アルミニウムの被覆物質源としては好ましくない。
前記還元剤となる固体粉末の平均粒径としては0.01〜10μmが好ましい。0.01μm未満であると取扱いが困難となる。10μm以上であると酸化鉄粉末との混合が不均一となり、固相還元反応が不均一となって好ましくない。
(3)混合条件
前記酸化鉄粉末と前記還元剤粉末は均一に混合されることが好ましい。これら粉末を混合するにあたり、ボールミルやビーズミル、ライカイ機、乳鉢、V字型ミキサーなどを用いることができる。
(4)反応条件
前記酸化鉄粉末と前記還元剤粉末の混合物は、非酸化性雰囲気中で1100℃〜1400℃の範囲で熱処理することが好ましい。1100℃未満であると還元反応が不十分となるので好ましくない。また1100℃未満であると炭素被覆層の形成が不十分となる。熱処理温度が1400℃を越える場合は軟磁性金属粉末が焼結してバルク化してしまう可能性があるため好ましくない。非酸化性雰囲気とは酸素を含まない雰囲気であり、Ar、N2、H2、He、CO2やそれら混合ガスが好ましく、より好ましくはN2雰囲気である。このとき不純物として酸素が多少混入しても構わないが、酸素濃度は500ppm以下が好ましく、より好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。上記好適条件で熱処理すると、前記酸化鉄粉末は均一に還元されて軟磁性金属粉末が生成する。
(5)生成物の精製
固相還元によって得られた前記軟磁性金属粉末には余剰の還元剤や反応副生成物が含まれているため、磁気分離操作によって強磁性粉末のみを精製回収することが好ましい。所定質量の熱処理済み粉末を有機溶媒や水中に十分分散させた後、永久磁石で軟磁性金属粉末のみを磁気捕集して精製回収することが好ましい。
(6)軟磁性金属粉末の粒子特性
このようにして得られた軟磁性金属粉末の平均粒径は1μm超であることが好ましい。ここで平均粒径は、レーザー回折散乱法にて測定した粒度分布の体積積算50%に達するときの粉末粒径である。平均粒径が1μm未満の場合は加圧後の成形体密度が6.0Mg/mに到達せず好ましくない。より好ましくは1μm超、20μm以下である。20μmを越えると粒内に渦電流が流れて渦電流損失が増大してしまうので好ましくない。更に好ましくは4〜12μmである。この範囲であれば成形体密度を十分高くすることができる。
また前記製法で得られる軟磁性金属粉末は、その表面が炭素および酸化アルミニウムで被覆された鉄粒子である。炭素で被覆されている理由は、還元されたFe粒子表面で余剰の炭素が固溶・析出した、あるいは還元反応の副生成物として生成した炭酸ガスがFe粒子表面で不均化反応を起こした、等によってFe粒子表面にグラファイト状の炭素が析出することによる。また酸化アルミニウムで被覆される理由は、還元剤として添加したAlが昇温過程で液相となり酸化鉄粒子を取り囲み、その後還元反応が進行することによって酸化アルミニウムがFe粒子を被覆する為である。表面組成をX線光電子分光法(X-ray
Photoelectron Spectroscopy:XPS )により分析した場合、Feが1at%未満、Cが80〜85at%、Alが2.8〜3.4at%であることが好ましい。Feが1at%以上であると金属Fe粒子が表出している部分が増加することを表しており、粒子の耐酸化性が低下するので好ましくない。またCが80at%未満であると炭素による被覆が不十分で好ましくない。Cが85at%以上の場合は被覆層を形成する炭素が過剰であることを表しており、金属Fe粒子の体積比率が低下して好ましくない。Alが2.8at%未満では酸化アルミニウムの被覆層が不十分で粒子間絶縁がとれず好ましくない。Alが3.4at%では非磁性成分の体積比率が大きく、金属Fe粒子の体積比率が低下して好ましくない。
前記軟磁性金属粉末の飽和磁化は160〜200Am/kgであることが好ましい。160Am/kg未満であると強磁性成分の含有率が低いために高密度な成形体を得られたとしても透磁率が低下してしまい好ましくない。また200Am/kg超であると軟磁性材料としては優れているものの、被覆物質が実効的に不足しており、耐酸化性が低下して好ましくない。積層インダクタなどの磁性部品に適用する場合には部品の製造プロセスや使用環境に応じて優れた耐酸化性が要求される。
前記軟磁性金属粉末は優れた耐酸化性を示す。耐酸化性を測定する手段としては、大気中で加熱して酸化に伴う重量増分を分析する手法、大気中で加熱しながら磁化の温度変化を測定する手法、恒温恒湿試験器に所定の時間放置して磁化の変化を測定する手法、などが挙げられる。特に酸化にともなう重量増分は熱重量測定(TG測定)により精度よく分析することができるので好ましい。本発明においては、熱重量分析において重量増分が1mass%となる温度を「耐酸化温度」と定義して用いた。前記軟磁性鉄系粉末の耐酸化温度は450℃以上であり、耐酸化性に優れる。
(7)圧粉磁心の性能評価
前記軟磁性金属粉末にバインダを混合して圧縮成形を行い、圧粉磁心を作製する。バインダとしてはポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが用いられる。また粒子間絶縁を補強するため、上記バインダの他にコロイダルシリカやアルミナ微粒子などの絶縁性酸化物微粒子を添加しても構わない。バインダ添加量は軟磁性金属粉末の重量対比で0.1〜1mass%が好適である。バインダを添加すると成形性が向上するとともに粒子間を絶縁する作用が得られる。一方で、磁心密度が低下してしまうので、添加量は前記範囲が好適である。
成形体密度を十分高くするためには成形時の圧力は1000〜2000MPaであることが好ましい。特許文献4(特開2009−272615号公報)では成形圧が1000MPaの場合に透磁率の減衰率とコアロスが共に増大することが開示されており、成形圧力は600MPa以下であることが好適としている。特許文献4の磁性粉末はFe粒子を被覆する物質が炭素(導電材料)のみであるため、高圧力で成形した場合は粒子の接触確率が増して圧粉磁心の絶縁性が低下して好ましくないことを表している。本発明ではより高い1000〜2000MPaで成形した圧粉磁心の特性について言及しており、本発明と特許文献4は異なる。
トロイダル形状に成形した成形体に巻線を施し、100kHzの周波数のもとでLCRメータにて直流重畳特性を測定した場合、巻線に発生する直流バイアス磁界が10kA/mの時に得られる増分透磁率は20以上である。ここで増分透磁率とは、巻線に所定の直流電流を流して発生する磁界下で得られる透磁率を表している。増分透磁率が20未満であるとインダクタンスが小さく軟磁性材料として好ましくない。
またトロイダル形状の成形体についてインピーダンスアナライザで複素比透磁率の周波数依存性を計測すると、1MHzの周波数における複素比透磁率の実数部が20以上であることを特徴とする。前記透磁率が20未満の場合は軟磁性材料として相応しくない。ここで複素比透磁率とは、交流磁界下で測定した比透磁率を実数部と虚数部で表したものである。実数部は、交流磁界において磁束密度が磁界の変化に追従する(磁界波と同位相の)成分を表しており、虚数部は磁界の変化に追いつかない(位相の遅れた)成分を表している。
(実施例1)
平均粒径0.05μmの酸化鉄粉末(ケミライト工業:X−21)78gと平均粒径3μmのアルミニウム粉末(添川理化学)1.7gと平均粒径0.01μmのSiC粉末(住友大阪セメント)3.3gと平均粒径0.02μmのカーボンブラック粉末(三菱化学:#44)17gをIPA中でボールミル混合し乾燥させることで、原料混合粉を得た。この原料混合粉を窒素雰囲気中で1400℃で2時間熱処理し、酸化鉄を鉄へと固相還元させた。得られた還元粉から非磁性成分を除去するため、当該粉末5.0gをIPA100ml中に投入して超音波照射し、永久磁石で磁性粒子のみを捕集して上澄み液を捨てる精製操作を実施した。この操作を上澄み液が透明になるまで繰り返し、還元鉄粉を得た。この還元鉄粉の粒度分布をレーザー回折式粒度分布計(HORIBA:LA−920)で測定した。平均粒径(d50)を表1に示す。また飽和磁化を振動試料型磁力計(理研電子:BHV−35)を用いて最大印加磁界0.8MA/m(10kOe)として測定した。得られた結果を表1に示す。また示差熱重量分析装置(リガク:TAS200)を用いて当該還元鉄粉を大気中で加熱するTG分析を行ない、耐酸化性を評価した。昇温速度は10℃/minとし、1000℃まで昇温した。質量が1%増加する温度を「耐酸化温度」と定義し、得られた耐酸化温度を表1に示す。
(実施例2)
平均粒径0.6μmの酸化鉄粉(戸田工業:PF3400)を用い、熱処理温度を1200℃とした以外は実施例1と同様にして還元鉄粉を得た。平均粒径、飽和磁化、耐酸化温度を表1に示す。
(実施例3)
熱処理温度を1300℃とした以外は実施例2と同様にして還元鉄粉を得た。平均粒径、飽和磁化、耐酸化温度を表1に示す。
(実施例4)
熱処理温度を1400℃とした以外は実施例2と同様にして還元鉄粉を得た。平均粒径、飽和磁化、耐酸化温度を表1に示す。
(実施例5)
酸化鉄粉末の重量を76.4g、SiC粉末の重量を4.9gとした以外は実施例1と同様にして還元鉄粉を得た。平均粒径、飽和磁化、耐酸化温度を表1に示す。
(実施例6)
酸化鉄粉末の重量を76.4g、SiC粉末の重量を4.9gとした以外は実施例4と同様にして還元鉄粉を得た。平均粒径、飽和磁化、耐酸化温度を表1に示す。
(比較例1)
酸化鉄粉末を70.5g、Al粉末を0g(無添加)、SiC粉末を4.5g、カーボンブラック粉末を25gとした以外は実施例2と同様にして還元鉄粉を得た。平均粒径、飽和磁化、耐酸化温度を表1に示す。
(比較例2)
熱処理温度を1120℃とした以外は比較例1と同様にして還元鉄粉を得た。平均粒径、飽和磁化、耐酸化温度を表1に示す。
比較例1、2の耐酸化温度はそれぞれ406℃、397℃であり、実施例と比較すると耐酸化温度は低い。表1より、Al粉末を添加すると耐酸化温度が向上することが分かる。これは還元反応を経てAlから生成したAlが鉄粉末の被覆を補強していることを示している。
表2は実施例と比較例の各粉末についてXPS分析(アルバック・ファイ:PHI Quantera SXM)を行なった結果を示す。Fe濃度が実施例では1at%未満であるのに対して比較例では3at%以上であり、実施例においてFe粒子が十分被覆されていることが分かる。このため、本発明の鉄粉の耐酸化温度は高いのである。
(実施例7)
実施例1の粉末にポリビニルブチラールを0.6mass%加えてエタノール中で混錬し乾燥後、500μmアンダーに篩分級して造粒粉を得た。この造粒粉を外径13.4mm、内径7.7mmの金型にて、油圧プレスにて20ton/cmで圧縮し、密度6.1Mg/mのトロイダルリング状成形体を作製した。この成形体に直径0.25mmのエナメル線を170ターン巻いて、LCRメータ(ヒューレット・パッカード:HP−4285A)を用いて周波数100kHzで直流重畳特性を測定した。結果を図1に示す。
(実施例8)
実施例5の粉末を用いた以外は実施例7と同様の手法で成形体密度6.0Mg/mのトロイダルリング状成形体を作製し、直流重畳特性を測定した。結果を図1に示す。
(実施例9)
実施例4の粉末を用いた以外は実施例7と同様の手法で成形体密度6.6Mg/mのトロイダルリング状成形体を作製し、直流重畳特性を測定した。結果を図1に示す。
(実施例10)
実施例6の粉末を用いた以外は実施例7と同様の手法で成形体密度6.6Mg/mのトロイダルリング状成形体を作製し、直流重畳特性を測定した。結果を図1に示す。
(参考例1)
平均粒径3.5μmのカルボニルFe粉末(BASF、SQ)を用いた以外は実施例7と同様の手法で成形体密度7.0Mg/mのトロイダルリング状成形体を作製し、直流重畳特性を測定した。結果を図1に示す。
(比較例3)
平均粒径0.6μmのNi−Znフェライト粉末(NiO:17.7mol%、CuO:8.8mol%、ZnO:25.0mol%、Fe:48.5mol%)を用いた以外は実施例7と同様に成形した。この成形体を900℃で2時間焼成してトロイダルリング状の焼結体とし、この焼結体の直流重畳特性を測定した。結果を図1に示す。
(実施例11)
実施例2の粉末を用い、外径7.2mm、内径3.9mmの金型にて、成形圧力を10ton/cmとした以外は実施例圧縮し、密度6.3Mg/mのトロイダルリング状成形体を作製した。この成形体について透磁率の周波数特性をインピーダンスアナライザー(アジレント、4291B)を用いて測定し、1MHzにおける複素比透磁率の実部は41であった。
(実施例12)
実施例3の粉末を用いた以外は実施例11と同様の手法でトロイダルリング状成形体を作製・評価し、1MHzにおける複素比透磁率の実部23を得た。
(実施例13)
実施例4の粉末を用いた以外は実施例11と同様の手法でトロイダルリング状成形体を作製・評価し、1MHzにおける複素比透磁率の実部21を得た。
(実施例14)
実施例6の粉末を用いた以外は実施例11と同様の手法でトロイダルリング状成形体を作製・評価し、1MHzにおける複素比透磁率の実部23を得た。
(比較例4)
比較例1の粉末を用いた以外は実施例11と同様の手法でトロイダルリング状成形体を作製・評価し、1MHzにおける複素比透磁率の実部13を得た。
(比較例5)
比較例2の粉末を用いた以外は実施例11と同様の手法でトロイダルリング状成形体を作製・評価し、1MHzにおける複素比透磁率の実部13を得た。
図1より、実施例8、9の試料は市販Fe粉末から成る圧粉磁心と同等の透磁率、ならびに直流重畳特性を発現している。一方、比較例3のフェライト焼結体試料の場合は直流が重畳すると透磁率の低下が著しい。磁界10kA/mの時に得られる増分透磁率は実施例8、9においてはいずれも20以上であるが、比較例3では5未満となっている。これはフェライト材料の磁束密度が低磁界で飽和してしまうことに起因している。すなわち本発明によれば、耐酸化性に優れた高透磁率の軟磁性金属粉末を提供することができる


Claims (10)

  1. 酸化鉄粉末を固相還元する還元剤として炭素粉末と共にAl粉末を添加することによって得られ、平均粒径が1μm超であり、表面が炭素および酸化アルミで被覆された鉄粒子粉末であり、大気中で加熱する熱重量分析における重量上昇が1.0%以上となる温度が450℃以上であることを特徴とする軟磁性金属粉末。
  2. 平均粒径が1μm超、20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の軟磁性金属粉末。
  3. 平均粒径が4〜12μmであることを特徴とする請求項1に記載の軟磁性金属粉末。
  4. X線光電子分光法によって分析される表面組成が、Feが1at%未満、Cが80〜85at%、Alが2.8〜3.4at%であることを特徴とする、請求項1に記載の軟磁性金属粉末。
  5. 還元剤である炭素粉末及びAl粉末と、酸化鉄粉末とを混合し、
    得られた混合粉に非酸化性雰囲気中で熱処理を施し、
    X線光電子分光法で検出される表面組成に炭素及び酸化アルミニウムを有し、核組成に鉄を有する粉末を得ることを特徴とする軟磁性金属粉末の製造方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の軟磁性金属粉末と、有機樹脂または無機酸化物の少なくとも一方とで構成されており、
    密度が6.0Mg/m以上であることを特徴とする圧粉磁心。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載の軟磁性金属粉末と、有機樹脂または無機酸化物の少なくとも一方とで構成されており、
    100kHzの周波数下で巻線に直流を重畳して発生する直流バイアス磁界が10kA/mの場合に、得られる増分透磁率が20以上であることを特徴とする圧粉磁心。
  8. 請求項1に記載の軟磁性金属粉末と、有機樹脂または無機酸化物の少なくとも一方とで構成されており、
    1MHzの周波数における複素比透磁率の実数部が20以上であることを特徴とする圧粉磁心。
  9. 請求項1乃至4のいずれかに記載の軟磁性金属粉末に有機樹脂または無機酸化物を添加した後、1000MPa〜2000MPaの圧力で成形することを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  10. 請求項5に記載の製造方法で得られた軟磁性金属粉末に、有機樹脂または無機酸化物を添加した後、1000MPa〜2000MPaの圧力で成形することを特徴とする圧粉磁心の製造方法。


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