以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係る作業機の昇降用油圧制御構造を、作業機の一例である乗用田植機に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜4に示すように、本実施形態で例示する乗用田植機は、走行車体1の後部に、油圧アクチュエータの一例である昇降シリンダ2の作動で上下揺動する平行四連リンク式のリンク機構3を連結し、このリンク機構3の遊端部(後端部)に、作業装置の一例である4条植え仕様の苗植付装置4を前後向きの支軸5などを介してローリング可能に連結することで4条植え用に構成してある。
図1に示すように、走行車体1は、前部フレーム6に防振搭載したエンジン7からの動力を、ベルトテンション式の主クラッチ(図示せず)、主変速装置として備えた静油圧式の無段変速装置(図示せず)、及び、トランスミッションケース(以下、T/Mケースと称する)8の内部に副変速装置として備えたギア式の変速装置(図示せず)、などを介して左右一対の前輪9及び後輪10に走行用として伝達する4輪駆動型に構成してある。又、T/Mケース8の内部において分岐した動力のうちの正転動力のみを、T/Mケース8の内部に備えた株間変速装置(図示せず)などを介して苗植付装置4に作業用として伝達するように構成してある。
図1及び図2に示すように、走行車体1の後部には、前輪操舵用のステアリングホイール11、主変速レバー12、副変速レバー13、苗植付装置4の昇降操作を可能にする昇降レバー14、及び運転座席15などを配備して搭乗運転部16を形成してある。
図1及び図3〜5に示すように、昇降シリンダ2には単動型の油圧シリンダを採用してある。昇降シリンダ2は、その短縮作動によりリンク機構3が上昇揺動して苗植付装置4が上昇し、又、その伸長作動によりリンク機構3が下降揺動して苗植付装置4が下降するように、走行車体1とリンク機構3とにわたって架設してある。
図1〜4に示すように、苗植付装置4は、走行車体1からの作業用の動力をフィードケース17の内部に備えた動力分配機構(図示せず)が分配することで、最大4条のマット状苗を載置する苗載台18が横送り機構(図示せず)の作動で左右方向に一定ストロークで往復移動し、左右方向に一定間隔をあけて並ぶように配備したクランクアーム式の4つの植付機構19が、苗載台18の下端から植付苗を所定量ずつ取り出して、左右方向に並ぶ3つの整地フロート20で整地した圃場の泥土部に植え付けるように作動し、苗載台18が左右のストローク端に到達するごとにベルト式の縦送り機構21が作動して各マット状苗を苗載台18の下端に向けて所定ピッチで縦送りするように構成してある。
各整地フロート20は、それらの後部側を、左右向きのフロート支点軸22から後下向きに延設した3組の支持アーム23のうちの対応する支持アーム23の遊端部(後端部)に左右向きの支軸24を介して、その支軸24を支点にした上下揺動が可能となるように連結してある。
図示は省略するが、フロート支点軸22には、このフロート支点軸22を支点にして各支持アーム23と一体揺動する植付深さ調節レバーを、走行車体1に向けて延出するように装備してある。苗植付装置4には、植付深さ調節レバーの任意の操作位置での係合保持を可能にする植え付け深さ調節用の係合部を備えてある。これにより、植付深さ調節レバーを上下方向に揺動操作して任意の操作位置に係合保持することにより、各植付機構19に対する各整地フロート20の高さ位置を一律に変更することができ、各植付機構19による苗植え付け深さを調節することができる。
図1、図2及び図5〜13に示すように、走行車体1の後部右側には、昇降シリンダ2に対するオイルの流れを制御することで昇降シリンダ2の作動による苗植付装置4の昇降を制御する制御弁ユニット25を配備してある。制御弁ユニット25は、エンジン7からの動力で作動する油圧ポンプ26に接続する供給油路27A、昇降シリンダ2に接続する給排油路27B、及び、オイルタンクを兼ねるT/Mケース8に接続する排出油路27C、などを形成したバルブボディ27に、スプール弁28とリリーフ弁29と油圧ロック弁30とを組み込んで構成してある。
図5〜13に示すように、スプール弁28は、前後方向への摺動操作で昇降シリンダ2に対するオイルの流れを制御するように、前後向きの姿勢で、その前端部がバルブボディ27の前端から前方に突出する状態でバルブボディ27に組み込んであり、バルブボディ27の内部に備えた圧縮バネ31の作用で前方に突出付勢してある。そして、その操作ストロークにおける前端の「下降」位置に位置する状態では、供給油路27Aと給排油路27Bとを排出油路27Cに接続し、その操作ストロークにおける前後中間の「中立」位置に位置する状態では、給排油路27Bを閉じて供給油路27Aを排出油路27Cに接続し、その操作ストロークにおける後端の「上昇」位置に位置する状態では、排出油路27Cを閉じて供給油路27Aを給排油路27Bに接続するように構成してある。又、「下降」位置と「中立」位置と「上昇」位置のそれぞれに不感帯を備え、「中立」位置と「下降」位置の間では、「下降」位置に近づくほど、昇降シリンダ2からの単位時間あたりのオイル排出量が多くなるように給排油路27Bと排出油路27Cとの連通開度が大きくなり、「中立」位置と「上昇」位置の間では、「上昇」位置に近づくほど、昇降シリンダ2への単位時間あたりのオイル供給量が多くなるように供給油路27Aと給排油路27Bとの連通開度が大きくなるとともに供給油路27Aと排出油路27Cとの連通開度が小さくなるように構成してある。
油圧ロック弁30には、「閉」位置ではチェック弁として機能し、「開」位置ではスロットルチェック弁として機能して、バルブボディ27に対する前後移動で給排油路27Bを開閉する開閉弁を採用してある。油圧ロック弁30は、バルブボディ27の内部に備えた圧縮バネ32の作用で給排油路27Bを閉じる「閉」位置に復帰するようにバルブボディ27に組み込んである。そして、その操作ストロークにおける前端の「閉」位置に位置する状態では、圧縮バネ32の作用でバルブボディ27に形成した弁座(図示せず)に密着して昇降シリンダ2からスプール弁28へのオイルの流動を阻止し、操作ストローク前端の「閉」位置から「開」方向(後方向)に移動するほど弁座から大きく離間して、スプール弁28を経由した昇降シリンダ2に対するオイルの給排許容量が多くなる(開度が大きくなる)ように構成してある。
つまり、油圧ロック弁30を「閉」位置から「開」方向に操作した状態で、スプール弁28を「中立」位置から「上昇」位置側又は「下降」位置側に操作することで、昇降シリンダ2の作動で苗植付装置4を昇降させることができる。又、スプール弁28を「中立」位置に操作して昇降シリンダ2による苗植付装置4の昇降を停止させた状態では、油圧ロック弁30を「閉」位置に操作することにより、昇降シリンダ2からスプール弁28へのオイルの流動を阻止することができ、スプール弁28でのオイルのリークに起因して苗植付装置4が下降する不都合の発生を防止することができる。
図1、図2及び図5〜12に示すように、制御弁ユニット25は、運転座席15の右側方に配備した昇降レバー14によるスプール弁28の手動操作が可能となるように構成してある。以下、その操作構造について説明する。
制御弁ユニット25は、そのバルブボディ27の前端に平面視略コの字状のブラケット33をボルト連結してあり、このブラケット33に左右向きの支軸34をその軸心回りに相対回転可能に装備してある。支軸34の右端部には、支軸34を支点にして揺動する扇状の揺動板35を固着してある。揺動板35には、前後一対の支持片35Aを右向きに切り起こし形成してあり、これらの前後の支持片35Aにクランク状に屈曲させた昇降レバー14における前後向きの支点軸部14Aをその軸心回りに相対回転可能に支持させてある。つまり、昇降レバー14を、その支点軸部14Aを支点にした左右方向への独立揺動操作が可能で、かつ、左右向きの支軸34を支点にした前後方向への揺動板35との一体揺動操作が可能となるように揺動板35に装備してある。
揺動板35の上部には、左右向きの支軸34を支点にした揺動板35との一体揺動で前後方向に揺動変位する左右向きの操作軸36を装備してある。操作軸36は、揺動板35との一体揺動でスプール弁28の前端右半部に前方から接当して押圧作用することで、圧縮バネ31で前方に突出付勢したスプール弁28の操作位置を変更するように構成してある。
具体的には、操作軸36は、揺動板35と前後方向に一体揺動する昇降レバー14を「中立」位置に操作した場合にはスプール弁28の操作位置を「中立」位置に変更し〔図6及び図9参照〕、昇降レバー14を「中立」位置よりも後側の「上昇」位置に操作した場合にはスプール弁28の操作位置を「上昇」位置に変更し〔図10参照〕、昇降レバー14を「中立」位置よりも前側の「下降」位置に操作した場合にはスプール弁28の操作位置を「下降」位置に変更する〔図11参照〕。そして、昇降レバー14を「下降」位置よりも前側の「植付」位置に操作した場合には、スプール弁28の前端から離間してスプール弁28との連係を解除する〔図12参照〕。
揺動板35における円弧状の外周縁には、位置決め用の4つの凹部35a〜35dを所定間隔をあけて形成してある。走行車体1の後部右側に固定装備した支持板37には、下端部に位置決め用のローラ38を備えた位置決めアーム39を前後揺動可能に装備してあり、支持板37と位置決めアーム39の上端部とにわたって、ローラ38が揺動板35の外周縁に接当するように位置決めアーム39を揺動付勢する引っ張りバネ40を架設してある。そして、これらにより、昇降レバー14を前後方向に揺動操作して、ローラ38を引っ張りバネ40の作用で4つの凹部35a〜35dに択一的に係入させることで、昇降レバー14を、「上昇」位置と「中立」位置と「下降」位置と「植付」位置との4位置に選択保持することができるように構成してある。
上記の構成から、昇降レバー14を「上昇」位置に操作することで昇降レバー14及びスプール弁28を「上昇」位置に保持することができ、昇降レバー14を「中立」位置に操作することで昇降レバー14及びスプール弁28を「中立」位置に保持することができ、昇降レバー14を「下降」位置に操作することで昇降レバー14及びスプール弁28を「下降」位置に保持することができる。
図6〜12に示すように、左右向きの支軸34の左端部には、支軸34を支点にして昇降レバー14及び揺動板35と一体揺動する揺動アーム41を装備してある。揺動アーム41は、その遊端部をレリーズワイヤ42を介してフィードケース17の内部に備えた植付クラッチ43の操作アーム44に連係してある。そして、この連係により、昇降レバー14を「上昇」位置と「中立」位置と「下降」位置のいずれかに操作した場合には、植付クラッチ43に備えたバネ(図示せず)の作用で植付クラッチ43が苗植付装置4への伝動を阻止する「切」状態となり、昇降レバー14を「植付」位置に操作した場合には、バネの作用に抗して植付クラッチ43が苗植付装置4への伝動を許容する「入」状態となるように構成してある。
図1〜12に示すように、制御弁ユニット25は、昇降レバー14を「下降」位置又は「植付」位置に操作した場合に、苗植付装置4の対地高さを検出するセンサフロートとして使用する左右中央の整地フロート(以下、センサフロートと称する)20の上下揺動によるスプール弁28の自動操作が可能となるように構成してある。以下、その操作構造について説明する。
スプール弁28の前下方に位置する左右向きの支軸34に操作アーム45を前後方向に相対揺動可能に外嵌装備してある。操作アーム45は、左右向きの支軸24を支点にしたセンサフロート20の上下揺動に連動して左右向きの支軸34を支点にして前後揺動するように、その遊端部(上端部)をレリーズワイヤ46及びリンク部材47などを介してセンサフロート20の遊端部(前端部)に連係してある。そして、その前後揺動で遊端部がスプール弁28の前端左半部に前方から接当して押圧作用することで、圧縮バネ31で前方に突出付勢したスプール弁28を操作軸36に優先して摺動操作するように構成してある。
具体的には、操作アーム45は、センサフロート20が予め設定したスプール弁操作領域よりも下方の領域で位置している場合には、スプール弁28の前端から離間してスプール弁28との連係を解除する〔図11参照〕。センサフロート20がスプール弁操作領域内で揺動している場合には、スプール弁28の前端に前方から接当して押圧作用する〔図12参照〕。そして、スプール弁操作領域内において、センサフロート20が予め設定した基準姿勢に揺動した場合にはスプール弁28を「中立」位置に操作し、センサフロート20が基準姿勢から上方に揺動した場合には、基準姿勢から上方への揺動変位量(揺動角)が大きくなるほどスプール弁28を「上昇」位置側に操作し、センサフロート20が基準姿勢から下方に揺動した場合には、基準姿勢から下方への揺動変位量(揺動角)が大きくなるほどスプール弁28を「下降」位置側に操作するように構成してある。
レリーズワイヤ46は、インナワイヤ46Aの一端部(前端部)を操作アーム45の遊端部(上端部)に連結し、インナワイヤ46Aの他端部(後端部)を、リンク部材47に形成した上下向きの長孔47Aに挿通してある左右向きの支持ピン48に引っ張りバネ49を介して連結してある。又、アウタワイヤ46Bの一端部(前端部)を、車体後部右側の支持板37に前後揺動可能で位置切り換え保持可能に装備した操作レバー50の下端部に連結し、アウタワイヤ46Bの他端部(後端部)をリンク部材47の上端部に連結してある。
支持ピン48は、フィードケース17に上下揺動可能に装備した天秤アーム51の前端部に装備してあり、天秤アーム51の後端部には長孔51Aを形成してある。天秤アーム51の長孔51Aには、フロート支点軸22を支点にして植付深さ調節レバー及び各支持アーム23と一体揺動する連係ロッド52の前端部を挿通してある。そして、これらにより、植付深さ調節レバーを任意の操作位置に係合保持させた状態では、連係ロッド52が天秤アーム51の上下揺動を阻止して支持ピン48を植付深さ調節レバーの操作位置に対応する高さ位置に固定保持するように構成してある。
天秤アーム51及び連係ロッド52は、植付深さ調節レバーの上下揺動操作で各植付機構19に対する各整地フロート20の高さ位置(左右向きの支軸24の高さ位置)を一律に変更した場合には、それに連動して、各植付機構19に対する各整地フロート20の高さ方向での変位量と同じ変位量で支持ピン48の高さ位置を変更するように構成してある。これにより、植付深さ調節レバーの操作による植え付け深さ調節にかかわらずセンサフロート20の揺動姿勢(上下揺動角度)とスプール弁28の操作位置との関係を一定の関係に維持することができる。
図1、図3、図4、図6及び図7に示すように、操作レバー50には、前後方向に所定間隔をあけて並ぶように支持板37に形成した複数の係合凹部37aに択一的に係入可能な係合突起50aを形成してある。又、係合突起50aを係合凹部37aに係入付勢する引っ張りバネ53を支持板37と操作レバー50とにわたって架設してある。この構成により、操作レバー50の保持位置を任意に切り換えることができ、この切り換えにより、レリーズワイヤ42におけるインナワイヤ46Aとアウタワイヤ46Bとの位置関係を設定変更することができ、センサフロート20の揺動姿勢(上下揺動角度)とスプール弁28の操作位置との関係を変更することができる。
具体的には、操作レバー50の保持位置を操作レバー50の操作範囲での前後中間位置に切り換えた場合には、スプール弁28の「中立」位置に対応するセンサフロート20の基準姿勢が水平姿勢になるように、レリーズワイヤ42におけるインナワイヤ46Aとアウタワイヤ46Bとの位置関係を設定してある。そして、操作レバー50の保持位置を前方側に切り換えるほど、インナワイヤ46Aに対してアウタワイヤ46Bがセンサフロート側(後方側)に変位するとともにリンク部材47が支持ピン48に対して下降変位し、これにより、スプール弁28の「中立」位置に対応するセンサフロート20の基準姿勢が前下がり方向に切り換わる。逆に、操作レバー50の保持位置を後方側に切り換えるほど、インナワイヤ46Aに対してアウタワイヤ46Bがスプール弁側(前方側)に変位するとともにリンク部材47が支持ピン48に対して上昇変位し、これにより、スプール弁28の「中立」位置に対応するセンサフロート20の基準姿勢が前上がり方向に切り換わる。
センサフロート20は、天秤アーム51の前端部とリンク部材47の上端部とにわたって架設した引っ張りバネ54によって下方に揺動付勢してある。これにより、操作レバー50の操作でスプール弁28の「中立」位置に対応するセンサフロート20の基準姿勢を切り換える場合には、この切り換えに伴う支持ピン48に対するリンク部材47の上下変位によってセンサフロート20の接地圧が変化してセンサフロート20の感度が切り換わるように構成してある。
具体的には、操作レバー50の保持位置を前方側に切り換えるほど、リンク部材47が支持ピン48に対して下方に大きく変位して、スプール弁28の「中立」位置に対応するセンサフロート20の基準姿勢が前下がり方向に切り換わることで、引っ張りバネ54の張力が弱くなってセンサフロート20の接地圧が小さくなる。その結果、センサフロート20が、圃場耕盤の起伏などに起因する走行車体1の上下動や前後傾斜などに応じて鋭い感度で上下揺動してスプール弁28を操作するようになる。逆に、操作レバー50の操作位置を後方側の操作位置に切り換えるほど、リンク部材47が支持ピン48に対して上方に大きく変位して、スプール弁28の「中立」位置に対応するセンサフロート20の基準姿勢が前上がり方向に切り換わることで、引っ張りバネ54の張力が強くなってセンサフロート20の接地圧が大きくなる。その結果、センサフロート20が、圃場耕盤の起伏などに起因する走行車体1の上下動や前後傾斜などに応じて鈍い感度で上下揺動してスプール弁28を操作するようになる。
つまり、操作レバー50の操作位置を切り換えることにより、センサフロート20の感度を圃場の泥土硬さなどに応じて任意に切り換えることができ、これにより、例えば圃場の泥土が硬い場合には、それに応じてセンサフロート20の感度を鈍感に切り換えることで、センサフロート20が敏感に上下揺動してスプール弁28の切り換え操作が頻繁に行われることを防止することができ、又、圃場の泥土が軟らかい場合には、それに応じてセンサフロート20の感度を敏感に切り換えることで、センサフロート20があまり上昇揺動しなくなってスプール弁28の上昇位置への切り換え操作が適切に行われ難くなることを防止することができる。
ちなみに、スプール弁28の切り換え操作が頻繁に行われると、苗植付装置4が不必要に昇降して苗植付装置4による苗の植え付け深さが安定し難くなるなどの不都合を招き易くなる。又、スプール弁28の上昇位置への切り換え操作が適切に行われ難くなると、苗植付装置4が適切に上昇しなくなって各整地フロート20による泥押しが強くなり、各整地フロート20の泥押しによる苗倒れが発生し易くなるなどの不都合を招き易くなる。
図6〜13に示すように、バルブボディ27の上部には、油圧ロック弁30を前後方向に開閉操作する上下向きのカム軸55をその軸心回りに相対回転可能に装備してある。カム軸55の下端部には、油圧ロック弁30の前端に作用する横断面形状が半円状の操作部55Aを形成してある。
図13に示すように、カム軸55は、その操作部55Aの平面部分55aが油圧ロック弁30の前端と所定間隔をあけて対向する回転位置を回転基準位置に設定してある。これにより、カム軸55が回転基準位置に位置する状態では、油圧ロック弁30が圧縮バネ32の作用で弁座に密着して給排油路27Bを閉じる「閉」位置に位置するように構成してある。又、油圧ロック弁30の「閉」位置が不感帯を有するように構成してある。つまり、カム軸55の回転基準位置が、油圧ロック弁30が「閉」位置に位置してスプール弁28でのオイルのリークによる苗植付装置4の下降を防止する「油圧ロック」位置であり、この「油圧ロック」位置に不感帯を備えてある。
又、カム軸55は、その軸心回りの回転で操作部55Aが油圧ロック弁30の前端に接当して押圧作用することにより、その回転方向に関係なく、回転基準位置からの変位量(回転角)に応じた操作量で油圧ロック弁30を「閉」位置から「開」方向(後方向)に操作するように構成してある。
図6〜13に示すように、バルブボディ27から上方に突出するカム軸55の上端部には、昇降レバー14による油圧ロック弁30の操作を可能にする連係部材56をボルト連結してある。
連係部材56は、カム軸55の上端部に縦向き姿勢でボルト連結する連結軸57の上端に連係ロッド58を横向き姿勢で溶接してT字状に形成してある。連結軸57の下端部には、回転基準位置に位置するカム軸55の上端部に前方から接合することでカム軸55とのボルト連結が可能になる横断面形状が円弧状の連結部57Aを一体形成してある。連係ロッド58は、カム軸55が回転基準位置に位置するときに油圧ロック弁30の操作方向と直交する左右向き姿勢となるようにカム軸55に対する組み付け姿勢を設定してある。つまり、連係ロッド58が左右向き姿勢になる連係部材56の回転位置が、カム軸55の回転基準位置と一致する連係部材56の回転基準位置であり、油圧ロック弁30が「閉」位置に位置する「油圧ロック」位置に対応するように構成してある。
連係ロッド58の中間部側には、連係ロッド58から後向きに延出するように係止片59を溶接してあり、この係止片59の延出端部と走行車体1における後部左側の固定部(図示せず)とにわたって、連係部材56を平面視右回りに回転付勢する引っ張りバネ60を架設してある。連係ロッド58の前方に位置する揺動アーム41の遊端部には、連係ロッド58に向けて延出する連係杆61を溶接してある。連係杆61は、引っ張りバネ60の作用で前方に変位する連係ロッド58の左側部分58Aに前方から接当して作用する上向きの接当部(接当具の一例)61Aを有するように屈曲形成してある。連係ロッド58の後方に位置する支持板37には、引っ張りバネ60の作用で後方に変位する連係ロッド58の右側部分58Bを受け止めることで連係部材56の平面視右回りでの回転を制限する受止部(受止具の一例)37Aを備えてある。
連係杆61は、揺動アーム41に備えることで左右向きの支軸34を支点にして昇降レバー14と一体揺動する。そして、昇降レバー14を「中立」位置に保持した状態では、接当部61Aが連係ロッド58の左側部分58Aに作用して連係部材56を「油圧ロック」位置に保持する〔図6及び図9参照〕。昇降レバー14を「中立」位置と「上昇」位置との間で操作している状態では、昇降レバー14の「中立」位置からの操作量(揺動角)に応じた変位量(回転角)で連係ロッド58の左側部分58Aが連係部材56の回転基準位置から後退した位置に位置するように、接当部61Aが連係ロッド58の左側部分58Aに作用する。そして、昇降レバー14を「上昇」位置に保持した状態では、連係部材56を昇降レバー14の「上昇」位置に対応する回転位置である上昇側の「ロック解除」位置に保持する〔図11参照〕。一方、昇降レバー14を「中立」位置と「下降」位置との間で操作している状態では、支持板37の受止部37Aが連係ロッド58の右側部分58Bを受け止めるまでの間は、昇降レバー14の「中立」位置からの操作量(揺動角)に応じた変位量(回転角)で連係ロッド58の左側部分58Aが連係部材56の回転基準位置から前進した位置に位置するように、接当部61Aが連係ロッド58の左側部分58Aに作用する。そして、支持板37の受止部37Aが連係ロッド58の右側部分58Bを受け止めると、接当部61Aが連係ロッド58の左側部分58Aから離間して連係ロッド58との連係を解除し、昇降レバー14を「下降」位置又は「植付」位置に保持した状態では連係ロッド58との連係を解除した状態を維持する〔図11及び図12参照〕。
図9〜13に示すように、支持板37は、その受止部37Aで連係ロッド58の右側部分58Bを受け止めることで、連係部材56を、その「油圧ロック」位置から上昇側の「ロック解除」位置までの変位量(回転角)よりも「油圧ロック」位置からの変位量(回転角)が小さい回転位置で保持するように構成してある。そして、この支持板37で保持する連係部材56の回転位置を下降側の「ロック解除」位置に設定してある。
つまり、連係部材56の「油圧ロック」位置から上昇側の「ロック解除」位置までの変位量(回転角)よりも「油圧ロック」位置から下降側の「ロック解除」位置までの変位量(回転角)が小さくなるように構成してあり、これにより、昇降レバー14を「上昇」位置に保持した状態よりも「下降」位置に保持した状態の方が、カム軸55の操作部55Aによる油圧ロック弁30の「閉」位置から「開」方向(後方向)への操作量が小さくなり、油圧ロック弁30の開度が小さくなる。
以上の構成から、苗植付装置4が地面から浮上して昇降停止している状態において、昇降レバー14を「中立」位置から「下降」位置に操作すると、これに連動して、昇降レバー14と一体揺動する操作軸36が前方に変位してスプール弁28の操作ストロークから外れることで、圧縮バネ31の作用によってスプール弁28の操作位置が「中立」位置から「下降」位置に切り換わる〔図9及び図11参照〕。又、昇降レバー14と一体揺動する連係杆61が前方に変位して連係部材56の操作領域から外れることで、引っ張りバネ60の作用によって連係部材56とともにカム軸55が「油圧ロック」位置から下降側の「ロック解除」位置に回転して、圧縮バネ32の作用に抗して油圧ロック弁30を下降用の小さい操作量で「閉」位置から「開」方向に押圧操作する〔図9、図11及び図13の(A),(C)参照〕。これにより、油圧ロック弁30が下降用の小さい開度で開弁し、その結果、油圧ロック弁30により昇降シリンダ2からの単位時間あたりのオイル排出量を制限した好適な下降速度で苗植付装置4が自重下降する。
そして、この下降により各整地フロート20が接地してセンサフロート20がスプール弁操作領域まで上昇揺動すると、センサフロート20と連動する操作アーム45が、スプール弁28の操作ストローク内に入り込んで、操作ストローク前端の「下降」位置に位置するスプール弁28の前端に押圧作用するようになり、これにより、昇降レバー14によるスプール弁28の手動操作状態からセンサフロート20の上下揺動によるスプール弁28の自動操作状態に切り換わり、その後のスプール弁操作領域内でのセンサフロート20の上昇揺動に伴って、操作アーム45が圧縮バネ31の作用に抗してスプール弁28を「下降」位置から「中立」位置に向けて押圧操作する〔図12参照〕。すると、この操作では、スプール弁28が「中立」位置に近づくほど、給排油路27Bと排出油路27Cとの連通開度が小さくなって昇降シリンダ2からの単位時間あたりのオイル排出量が低下することから、苗植付装置4の下降速度が低下する。
その後、苗植付装置4の下降に伴う各整地フロート20の上昇揺動でセンサフロート20が操作レバー50で設定した基準姿勢に到達すると、このときの操作アーム45の押圧操作でスプール弁28の操作位置が「中立」位置に切り換わって昇降シリンダ2に対するオイルの給排を停止することから、苗植付装置4が下降を停止する。そして、この下降停止後に圃場耕盤の起伏などに起因してセンサフロート20が上下揺動すると、それに連動して、操作アーム45がセンサフロート20の基準姿勢からの揺動方向及び揺動変位量(揺動角)に応じた操作方向及び操作量でスプール弁28を「中立」位置から操作し、これにより、スプール弁28が昇降シリンダ2に対するオイルの給排量を適切に制御するようになり、その結果、センサフロート20の揺動姿勢が基準姿勢に復帰するように苗植付装置4が昇降して所定の接地高さ位置を維持するようになる〔図12参照〕。
この状態において、昇降レバー14を「下降」位置から「植付」位置に操作すると、これに連動して、昇降レバー14と一体揺動する揺動アーム41が前方に揺動し、レリーズワイヤ42を介して植付クラッチ43を「切」状態から「入」状態に切り換えることで、苗植付装置4が植え付け作動を開始する。そして、このときの昇降レバー14の操作では、操作軸36及び連係杆61が昇降レバー14との一体揺動で更に前方に変位してスプール弁28の操作ストローク又は連係部材56の操作領域から大きく外れるだけであることから、センサフロート20の上下揺動によるスプール弁28の自動操作状態を維持することになり、これにより、苗植付装置4が所定の接地高さ位置を維持するようになることから、苗植付装置4による苗の植え付けを植付深さ調節レバーで設定した植え付け深さで安定して行うことができる〔図12参照〕。
その後、昇降レバー14を「植付」位置から「下降」位置に操作すると、これに連動して、昇降レバー14と一体揺動する揺動アーム41が後方に揺動し、植付クラッチ43に備えたバネの作用による植付クラッチ43の「入」状態から「切」状態への切り換えを許容することで、植付クラッチ43が「切」状態に切り換わって苗植付装置4の植え付け作動が停止する。そして、このときの昇降レバー14の操作では操作軸36がスプール弁28の操作ストローク内に移動しないことから、センサフロート20の上下揺動によるスプール弁28の自動操作状態を維持することになり、苗植付装置4が所定の接地高さ位置を維持するようになる〔図11及び図12参照〕。
そして、この接地状態の苗植付装置4を地面から浮上させるために、昇降レバー14を「下降」位置から「中立」位置を経由して「上昇」位置に操作すると、昇降レバー14の「下降」位置から「中立」位置への操作に連動して、操作軸36が後方に変位してスプール弁28の操作ストローク内に復帰し、圧縮バネ31の作用によるスプール弁28の「中立」位置から「下降」位置への摺動を阻止することにより、センサフロート20の上下揺動によるスプール弁28の自動操作状態から昇降レバー14によるスプール弁28の手動操作状態に切り換わる〔図9参照〕。又、連係杆61が後方に変位して連係部材56の操作領域内に復帰し、引っ張りバネ60の作用に抗して連係部材56とともにカム軸55を下降側の「ロック解除」位置から「油圧ロック」位置に回転させることで、圧縮バネ32の作用によって油圧ロック弁30が「閉」位置に移動して昇降シリンダ2からスプール弁28へのオイルの流動を阻止することから、苗植付装置4が下降しなくなる〔図9及び図13の(A)参照〕。そして、その後の昇降レバー14の「中立」位置から「上昇」位置への操作に連動して、操作軸36が更に後方に変位して圧縮バネ31の作用に抗してスプール弁28を「中立」位置から「上昇」位置に押圧操作することで、スプール弁28の操作位置が「中立」位置から「上昇」位置に切り換わる〔図10参照〕。又、連係杆61が更に後方に変位して引っ張りバネ60の作用に抗して連係部材56とともにカム軸55を「油圧ロック」位置から上昇側の「ロック解除」位置に回転させることで、カム軸55が圧縮バネ32の作用に抗して油圧ロック弁30を上昇用の大きい操作量で「閉」位置から「開」方向に押圧操作する〔図10及び図13の(B)参照〕。これにより、油圧ロック弁30が上昇用の大きい開度で開弁し、その結果、昇降シリンダ2への単位時間あたりのオイル供給量を多くした好適な上昇速度で苗植付装置4が速やかに上昇する。そして、このときの苗植付装置4の上昇に伴ってセンサフロート20が下降揺動してスプール弁操作領域から外れることで、操作アーム45がスプール弁28の操作ストロークから外れる〔図9参照〕。
この昇降レバー14による苗植付装置4の上昇操作によって苗植付装置4が上限位置に到達すると、リンク機構3と揺動アーム41とにわたって架設した連係ロッド62が、連係ロッド62のリンク機構側に外嵌した圧縮バネ63を介して受けるリンク機構3の上昇揺動を利用した操作力で、昇降レバー14を「上昇」位置から「中立」位置に切り換える〔図9及び図10参照〕。そして、このときの昇降レバー14の「上昇」位置から「中立」位置への切り換えに連動して、操作軸36が前方に変位して圧縮バネ31の作用によるスプール弁28の「上昇」位置から「中立」位置への移動を許容することで、スプール弁28の操作位置が「上昇」位置から「中立」位置に切り換わり、これにより、苗植付装置4が上限位置で自動停止する〔図9参照〕。又、連係杆61が前方に変位して引っ張りバネ60の作用による連係部材56及びカム軸55の上昇側の「ロック解除」位置から「油圧ロック」位置への回転を許容することで連係部材56とともにカム軸55が「油圧ロック」位置に移動し、この移動でカム軸55が圧縮バネ32の作用による油圧ロック弁30の「閉」位置への移動を許容することで、油圧ロック弁30が「閉」位置に移動して昇降シリンダ2からスプール弁28へのオイルの流動を阻止することから、スプール弁28でのオイルのリークに起因した苗植付装置4の下降を防止することができる〔図9、図10及び図13の(A),(B)参照〕。
又、昇降レバー14による苗植付装置4の上昇操作の途中において昇降レバー14を「上昇」位置から「中立」位置に操作した場合においても、その操作に連動してスプール弁28の操作位置が「上昇」位置から「中立」位置に切り換わって苗植付装置4が上昇を停止するとともに、油圧ロック弁30が「閉」位置に移動して昇降シリンダ2からスプール弁28へのオイルの流動を阻止することから、スプール弁28でのオイルのリークに起因した苗植付装置4の下降を防止することができる〔図9、図10及び図13の(A),(B)参照〕。
図6〜8に示すように、センサフロート20と連動する操作アーム45には、バルブボディ27の前端に備えたブラケット33との接当により、操作アーム45によるスプール弁28の押圧操作量を制限する接当ボルト64を出退調節可能に螺合装備してある。この構成により、接当ボルト64の操作アーム45からブラケット33に向けた突出長さを長くするほど、操作アーム45によるスプール弁28の「中立」位置から「上昇」位置への押圧操作量が少なくなり、供給油路27Aと給排油路27Bとの最大連通開度が小さくなって昇降シリンダ2への単位時間あたりの最大オイル供給量が少なくなることから、苗植付装置4の最大上昇速度が遅くなる。逆に、接当ボルト64の操作アーム45からブラケット33に向けた突出長さを短くするほど、操作アーム45によるスプール弁28の「中立」位置から「上昇」位置への押圧操作量が多くなり、供給油路27Aと給排油路27Bとの最大連通開度が大きくなって昇降シリンダ2への単位時間あたりの最大オイル供給量が多くなることから、苗植付装置4の最大上昇速度が速くなる。つまり、接当ボルト64の操作アーム45からの突出長さを調節することにより、センサフロート20の上下揺動によるスプール弁28の自動操作で苗植付装置4を自動的に昇降させる自動昇降制御状態での苗植付装置4の上昇速度を調節することができる。
図1、図2及び図6〜8に示すように、支持板37には、連係ロッド58の右側部分58Bを受け止めることで連係部材56の「油圧ロック」位置から下降側の「ロック解除」位置への回転を阻止する「ロック」位置と、連係ロッド58の右側部分58Bに対する受け止めを解除することで連係部材56の「油圧ロック」位置から下降側の「ロック解除」位置への回転を許容する「解除」位置とにわたって、左右向きの支軸65を支点にした揺動操作が可能なロックレバー(規制部材の一例)66を備えている。
ロックレバー66は、その揺動範囲を走行車体1の固定部(図示せず)との接当で「ロック」位置と「解除」位置との間に制限してある。ロックレバー66には、連係ロッド58の右側部分58Bに対して受け止め作用する受止部66Aを備えている。そして、支持板37とロックレバー66とにわたってトグルバネ67を架設してあり、このトグルバネ67の作用により、ロックレバー66をデッドポイントを越えて後方に揺動操作した場合には、ロックレバー66を「解除」位置に接当保持することができ、又、ロックレバー66をデッドポイントを越えて前方に揺動操作した場合には、ロックレバー66を「ロック」位置に接当保持することができる。
この構成により、通常の作業走行時には、ロックレバー66を「解除」位置に保持することで、昇降レバー14による油圧ロック弁30の操作をロックレバー66による規制を受けることなく行うことができ(解除状態)、これにより、昇降レバー14の操作に基づくスプール弁28の作動による苗植付装置4の任意の高さ位置への昇降操作を良好に行うことができる。
そして、この田植機の保管時やメンテナンス時などには、ロックレバー66を「ロック」位置に保持することで、昇降レバー14の「中立」位置から「上昇」位置側での操作では、ロックレバー66による規制を受けることなく昇降レバー14による油圧ロック弁30の操作を行えるようにしながら、昇降レバー14の「中立」位置から「下降」位置側で操作では、ロックレバー66による規制によって昇降レバー14の操作にかかわらず油圧ロック弁30を「閉」位置に保持することができ(規制状態)、これにより、ロックレバー66を「ロック」位置に保持した保管時などにおいて昇降レバー14を誤って「下降」位置に操作した場合であっても、昇降シリンダ2からスプール弁28へのオイルの流動を阻止することができ、苗植付装置4が下降する不都合の発生を防止することができる。
しかも、作業開始前の苗載台18に対する最初の苗供給時には、ロックレバー66を「ロック」位置に保持しておけば、昇降レバー14を「中立」位置から「上昇」位置に操作することで、各植付機構19が圃場泥面から浮上し、かつ、走行車体1から苗載台18への苗供給が行い易い苗補給用の高さ位置に向けて苗植付装置4を上昇させることができ、その苗補給用の高さ位置への苗植付装置4の到達に伴って昇降レバー14を「上昇」位置から「中立」位置に操作することで、苗補給用の高さ位置にて苗植付装置4を昇降停止させることができ、その停止後、昇降レバー14を「中立」位置から「下降」位置を経由して「植付」位置に操作することで、苗植付装置4を下降させることなく苗植付装置4を作動させて苗載台18を作業開始用のストローク端まで横送り移動させることができ、苗載台18のストローク端への到達に伴って昇降レバー14を「植付」位置から「下降」位置を経由して「中立」位置に操作することで、苗植付装置4を下降させることなく苗載台18を作業開始用のストローク端で移動停止させることができる。その結果、苗載台18を左右一方のストローク端に位置させた状態で行う必要のある作業開始前の苗載台18に対する最初の苗供給を簡単かつ良好に行うことができる。
〔別実施形態〕
〔1〕作業機としては、走行車体1の後部に作業装置4の一例である直播装置を油圧制御による昇降操作が可能となるように装備した乗用直播機や、トラクタの後部に作業装置4の一例であるロータリ耕耘装置を油圧制御による昇降操作が可能となるように装備した耕耘作業機などであってもよい。
〔2〕油圧アクチュエータ2として複動型の油圧シリンダや油圧モータなどを採用してもよい。
〔3〕スプール弁28として電磁式のものを採用してもよい。
〔4〕昇降レバー14と油圧ロック弁(開閉弁)30との連係構造は、昇降レバー14と油圧ロック弁(開閉弁)30とを連係部材56を介して機械的に連動可能に連係する構成であれば種々の変更が可能であり、例えば、昇降レバー14を中立位置から上昇位置側に操作すると、その操作に連動してレリーズワイヤがバネ60の作用に抗して連係部材56を引っ張り操作し、昇降レバー14を中立位置から下降位置側に操作すると、その操作に連動してレリーズワイヤがバネ60の作用による連係部材56の移動を許容するように、昇降レバー14と連係部材56とをレリーズワイヤで連係するように構成してもよい。
〔5〕昇降レバー14と油圧ロック弁(開閉弁)30との連係構造においては、規制部材66の規制状態への切り換えにより連係部材56の「油圧ロック」位置からの移動を規制すると、それに伴って昇降レバー14の「中立」位置からの操作も規制されるように構成してもよい。
〔6〕規制部材66としては、規制状態への切り換えにより連係部材56の「油圧ロック」位置からの移動を阻止するように構成したものであってもよい。又、走行車体1の固定部に対する着脱で規制状態と解除状態とに切り換え可能に構成したものであってもよい。更に、規制状態への切り換えにより昇降レバー14の「中立」位置からの移動、又は、昇降レバー14の「中立」位置から「下降」位置側への移動を阻止するように構成したものであってもよい。
〔7〕受止具37Aを位置調節可能に構成して、昇降レバー14の「下降」位置への操作で得られる油圧ロック弁(開閉弁)30の開度を、作業装置4の重量などに応じて変更できるように構成してもよい。
〔8〕連係部材56の移動を受止具37Aで制限する構成に代えて、油圧ロック弁30を開閉操作するカム軸55の操作部55Aを左右非対称に形成することで、昇降レバー14を「下降」位置に操作した場合の油圧ロック弁(開閉弁)30の開度が、昇降レバー14を「上昇」位置に操作した場合の油圧ロック弁(開閉弁)30の開度よりも小さくなるように構成してもよい。