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JP2012122505A - ウォーム減速機および電動パワーステアリング装置 - Google Patents

ウォーム減速機および電動パワーステアリング装置 Download PDF

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JP2012122505A
JP2012122505A JP2010271580A JP2010271580A JP2012122505A JP 2012122505 A JP2012122505 A JP 2012122505A JP 2010271580 A JP2010271580 A JP 2010271580A JP 2010271580 A JP2010271580 A JP 2010271580A JP 2012122505 A JP2012122505 A JP 2012122505A
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worm
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JP2010271580A
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Toshiaki Oya
敏明 應矢
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JTEKT Corp
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Abstract

【課題】ウォームとウォームホイールとの噛み合い部分での歯打ち音の発生を抑制しつつ、作動初期時においてウォームおよびウォームホイールを円滑に動作させることができるウォーム減速機および電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】ウォーム16は第1の歯31およびその先端に形成された第2の歯32を備えてなる。ウォームホイール17は第1の歯溝42およびその底部に形成された第2の歯溝43を備えてなる。ウォームホイール17が回転した際には、まず第2の歯32が第2の歯溝43に接触して弾性的に撓む。これによりウォーム16とウォームホイール17との歯面間の衝突が吸収される。その後、第1の歯31が第1の歯溝42に接触して噛み合うことにより本格的な動力伝達が開始される。すなわち、ウォーム16が回転し始めてから第1の歯31が第1の歯溝42に噛み合うので円滑な動作が得られる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ウォーム減速機および電動パワーステアリング装置に関する。
従来、自動車の電動パワーステアリング装置としては、トルクセンサを通じて検出される操舵トルクに基づいて操舵補助用のモータを駆動制御するものが知られている。モータの回転は、ウォーム減速機を介して減速され、この減速された回転力が操舵補助力としてステアリングシャフトに印加される。ウォーム減速機は、モータの回転軸に連結されるウォームと、ステアリングシャフトに一体回転可能に設けられるウォームホイールとを有してなる。
ウォーム減速機において、ウォームおよびウォームホイールの円滑な噛み合いには適度なバックラッシが必要であるところ、当該バックラッシに起因して、ウォームおよびウォームホイールの噛み合い部分において、いわゆる歯打ち音が発生するおそれがある。そこで、この歯打ち音の発生を抑制するために、たとえば特許文献1に記載されるウォーム減速機が従来提案されている。このウォーム減速機では、ウォームホイールの歯先面に形成された突部により、ウォームホイールの歯とウォームの歯底との間の頂隙が詰められている。そして、ウォームおよびウォームホイールの噛み合い部分において、突部の先端は、ウォームの歯底上を適度な摩擦抵抗を発生しつつ摺動する。バックラッシに起因する歯当たり時の衝突速度が抑制されることにより、歯打ち音の発生が低減される。
特開2004−239371号公報
ステアリングホイールの回転操作が開始されたとき(すなわち、操舵初期時)、ウォームホイールを介して、ウォームには自身を回転させようとする力が作用する。ウォームが回転するためには、ウォームホイールを介してウォームに伝達される力が、ウォームとウォームホイールとの間に働く静止摩擦力に打ち勝つ必要がある。この点、特許文献1のウォーム減速機では、突部とウォームの歯底との間に働く摩擦抵抗の分だけウォームとウォームホイールとの間に働く静止摩擦が大きくなる。そしてその静止摩擦が大きくなる分だけウォームおよびウォームホイールの円滑な回転が阻害されることにより、操舵初期時において、いわゆる引っ掛かり感が発生することも懸念される。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ウォームとウォームホイールとの噛み合い部分での歯打ち音の発生を抑制しつつ、作動初期時においてウォームおよびウォームホイールを円滑に動作させることができるウォーム減速機および電動パワーステアリング装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、ウォームおよびこれに噛み合うウォームホイールを備えてなるウォーム減速機において、前記ウォームは、第1の歯、および当該第1の歯の先端に形成される第2の歯を備え、前記ウォームホイールは、前記第1の歯に噛み合う第1の歯溝、および当該第1の歯溝の底部に形成されて前記第2の歯に噛み合う第2の歯溝を備え、前記第1の歯と前記第1の歯溝とが噛み合う前に、前記第2の歯と前記第2の歯溝との接触を通じて当該第2の歯が弾性的に撓むことにより、前記第1の歯と前記第1の歯溝との噛み合いが許容されることをその要旨とする。
この構成によれば、ウォームホイールが回転したときには、まずウォームの第2の歯がウォームホイールの第2の歯溝に当接する。そしてさらにウォームホイールが同じ方向へ回転すると、これに伴い第2の歯が、第1の歯との連結部分を支点として、ウォームホイールの回転方向へ弾性変形する。この弾性変形によりウォームホイールの回転が許容されるとともに、若干の動力伝達が行われる。すなわち、ウォームはわずかに回転し始める。そしてウォームが回転し始めてからウォームホイールがさらに同じ方向へ回転すると、第2の歯の弾性変形量はさらに増大して、ついには第1の歯が第1の歯溝に静かに当接する。すなわち、この第1の歯と第1の歯溝とが滑らかに噛み合い始めることにより、本格的な動力伝達が開始される。
第1の歯と第1の歯溝とが接触する際、第2の歯が弾性的に撓んでばねとして機能することにより、第1の歯と第1の歯溝との間の衝撃が吸収される。このため、歯打ち音の発生が抑制される。また、第1の歯が第1の歯溝に当接して本格的な動力伝達が開始される際には、ウォームはすでに回転し始めている。すなわち、ウォームおよびウォームホイールの歯面間に働く静止摩擦力が低減された状態にある。このため、ウォームホイールは、ウォームとの間に働く静止摩擦抵抗に対して簡単に打ち勝つことができる。したがって、ウォームとウォームホイールとの噛み合い部分での歯打ち音の発生を抑制しつつ、ウォーム減速機の作動初期時においてウォームおよびウォームホイールを円滑に動作させることができる。
請求項2に記載の発明は、ウォームおよびこれに噛み合うウォームホイールを備えてなるウォーム減速機において、前記ウォームは、第1の歯溝、および当該第1の歯溝の底部に形成される第2の歯溝を備え、前記ウォームホイールは、前記第1の歯溝に噛み合う第1の歯、および当該第1の歯の先端に形成されて前記第2の歯溝に噛み合う第2の歯を備え、前記第1の歯と前記第1の歯溝とが噛み合う前に、前記第2の歯と前記第2の歯溝との接触を通じて当該第2の歯が弾性的に撓むことにより、前記第1の歯と前記第1の歯溝との噛み合いが許容されることをその要旨とする。この構成によれば、請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のウォーム減速機において、前記第2の歯の歯厚は、当該第2の歯の先端に向かうにつれて小さくなるように設定されるとともに、前記第2の歯はその先端から基端へ向けて徐々に前記第2の歯溝に接触するように撓むことをその要旨とする。
この構成によれば、ウォームの軸方向において、第2の歯の剛性は、当該歯の先端に向かうにつれて減少する。そしてウォームホイールが回転した際にはまず、弾性に富む第2の歯の先端部がウォームホイールの第2の歯溝に接触することにより、ウォームの歯とウォームホイールの歯との衝突が好適に吸収される。この後、ウォームホイールの回転に伴い第2の歯の弾性変形量は徐々に減少する反面、ウォームホイールおよびウォーム間において伝達される動力が徐々に増大する。すなわち、作動初期時における歯打ち音の抑制を主たる目的とする状態から、ウォームおよびウォームホイール間の動力伝達を主たる目的とする状態へ円滑に移行する。したがって、ウォーム減速機のいっそう円滑な作動が可能になる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のウォーム減速機において、前記ウォームおよびウォームホイールは、それぞれ単一のハウジングに収容された状態に保持されて、前記ウォームは、前記ハウジングに対する自身の軸方向への相対変位が許容されてなるウォーム減速機。
この構成によれば、ウォーム減速機の作動初期時において、ウォームホイールとの接触を通じてウォームが自身の軸方向へ変位することにより、ウォームとウォームホイールとの間の静摩擦力が低減される。ウォームホイールの回転を阻害する要因が低減することにより、ウォーム減速機の作動初期時におけるウォームおよびウォームホイールの、より円滑な動作が確保される。
請求項5に記載の発明は、電動パワーステアリング装置において、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のウォーム減速機を備えてなることをその要旨とする。
前述したように、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のウォーム減速機によれば、ウォームとウォームホイールとの噛み合い部分での歯打ち音の発生を抑制しつつ、ウォーム減速機の作動初期時においてウォームおよびウォームホイールを円滑に動作させることができる。このため、これらウォーム減速機は、電動パワーステアリング装置の減速機構として好適である。操舵初期時の、いわゆる引っ掛かり感の発生が抑制されるので、操舵感覚を向上させることが可能である。
本発明によれば、ウォームとウォームホイールとの噛み合い部分での歯打ち音の発生を抑制しつつ、作動初期時においてウォームおよびウォームホイールを円滑に動作させることができる。
電動パワーステアリング装置の概略構成を示す構成図。 減速機の断面図。 (a),(b),(c)は、本実施の形態のウォームとウォームホイールとの噛合い部分を拡大した断面図。 他の実施の形態のウォームとウォームホイールとの噛合い部分を拡大した断面図。 他の実施の形態のウォームとウォームホイールとの噛合い部分を拡大した断面図。
以下、本発明を、電動パワーステアリング装置に具体化した一実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
<電動パワーステアリング装置の概要>
図1に示すように、電動パワーステアリング装置1において、ハンドル2(ステアリングホイール)と一体回転するステアリングシャフト3は、ハンドル2側からコラムシャフト8、インターミディエイトシャフト9及びピニオンシャフト10の順に連結されてなる。ピニオンシャフト10はこれに直交して設けられるラック軸5のラック部分5aに噛合されている。ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ピニオンシャフト10及びラック部分5aからなるラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動が、ラック軸5の両端に連結されたタイロッド11を介して図示しないナックルアームに伝達されることにより、転舵輪12の舵角が変更される。
また、電動パワーステアリング装置1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置(パワーアシストユニット)13、及び操舵力補助装置13の作動を制御する電子制御装置(ECU)14を備えてなる。
操舵力補助装置13の駆動源であるモータ15は、ウォーム16及びウォームホイール17からなる減速機構18を介してコラムシャフト8に作動連結されている。モータ15の回転力は減速機構18により減速されて、この減速された回転力がアシスト力として操舵系、正確にはコラムシャフト8に伝達される。電子制御装置(ECU)14は、このアシスト力を次のようにして制御する。すなわち、電子制御装置14は、転舵輪12等に設けられる車速センサ19を通じて車速Vを、またコラムシャフト8に設けられるトルクセンサ7を通じてハンドル2に印加される操舵トルクτを取得する。そして電子制御装置14は、これら車速V及び操舵トルクτに基づき目標アシスト力を算出し、この算出される目標アシスト力を発生させるべくモータ15の給電制御を行う。このモータ15の給電制御を通じて操舵系に印加されるアシスト力が制御される。
<減速機構>
つぎに、減速機構18の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、減速機構18のハウジング20は、第1、第2および第3の収容部21,22,23を備えてなる。第1の収容部21は、ハウジング20の側部(図中の右側部)に開口して形成されている。第2の収容部22は、第1の収容部21の内底部分に連通するとともに、第1の収容部21と反対側(図中の左側)へ向けて延びる円筒状に形成されている。また、第2の収容部22において、第1の収容部21と反対側の端部は、ハウジング20の外部に開口している。当該開口部分は、蓋24により閉塞されている。第3の収容部23は、第2の収容部22の中心軸に直交する方向(紙面に対して直交する方向)へ延びる円筒状に形成されている。また第3の収容部23は、自身の中心軸と、第2の収容部22の中心軸とが捻れの関係、すなわち互いに平行でなく、かつ交わらない位置関係をもって第2の収容部22に連通している。
第1の収容部21には、モータ15の出力軸15aおよび本体15bの一部分が挿入された状態で固定されている。第2の収容部22には、ウォーム16が収容されている。ウォーム16の2つの端部は、第2の収容部22の内部に設けられた2つの軸受25,26を介してそれぞれ回転可能に支持されている。また、ウォーム16のモータ15側の端部と、モータ15の出力軸15aとは、フランジ形の軸継手27を介して、互いに連結されている。第3の収容部23には、ウォームホイール17が回転可能に収容されている。このウォームホイール17は、第2および第3の収容部22,23の連通部分を介して、ウォーム16に噛合している。また、このウォームホイール17には、先のコラムシャフト8が貫通した状態で連結されている。したがって、コラムシャフト8の回転力は、モータ15にトルクが発生していない場合において、ウォームホイール17を介してウォーム16に伝達される。また、モータ15の回転力は、ウォーム16およびウォームホイール17を介して、コラムシャフト8に伝達される。
<ウォームおよびウォームホイール>
つぎに、ウォームおよびウォームホイールの構造について詳細に説明する。
図2に示すように、ウォーム16の条数(歯数)は1条とされている。またウォーム16の歯30は、らせん状の第1の歯31、および同じく第2の歯32を備えてなる。図3(a)に併せて示されるように、第1の歯31の歯厚(ウォーム16の軸方向における歯の厚み)は、第2の歯32の歯厚よりも大きく設定されている。第2の歯32は、第1の歯31の歯先面に形成されている。第2の歯32は、その先端に向かうにつれて歯厚が小さくなるように形成されている。すなわち、第2の歯32におけるウォーム16の軸方向における剛性は、第2の歯32の先端に向かうほど小さくなる。
図3(a)に示すように、ウォームホイール17の回転方向において互いに隣り合う2つの歯40の間には歯溝41が形成されている。この歯溝41は、ウォーム16の歯30の形状に対応して形成されている。すなわち、歯溝41は、第1の歯溝42および第2の歯溝43を備えてなる。第1の歯溝42はウォーム16の第1の歯31が噛み合う部分として、また第2の歯溝43はウォーム16の第2の歯32が噛み合う部分として形成されている。ウォームホイール17の回転方向において、ウォーム16の歯30と歯溝41との間には、バックラッシ44が形成されている。
第1の歯溝42は、ウォームホイール17の回転方向において、互いに隣り合う2つの歯40の歯面45,46からなる。これら歯面45,46は、ウォームホイール17の回転方向において、互いに近接する方向へ緩やかに凸となる曲面状に形成されている。これら歯面45,45のピッチ点Pにおける接線は、第1の角度θ1をなしている。
第2の歯溝43は、図3(a)に二点鎖線で示す第1の歯溝42の底部からウォームホイール17の回転中心(図中の下方)へ向けて延びている。第2の歯溝43は、ウォームホイール17の回転中心へ向かうにつれて互いに近接する2つの斜面47,48を備えてなる。これら斜面47,48のなす第2の角度θ2は、第1の角度θ1よりも小さく設定されている。第2の歯溝43の内底面には、第2の歯32の先端が軽く接触した状態に維持されている。
ウォームホイール17が回転したとき、第1の歯31が第1の歯溝42に接触する前に、第2の歯32が第2の歯溝43に接触するように、第1および第2の角度θ1,θ2は設定される。
<減速機構の動作>
つぎに、前述のように構成した減速機構の動作を説明する。
まず図3(a)に示されるように、無負荷、すなわちウォーム16とウォームホイール17との間における動力伝達が行われていない状態においては、歯30の歯面と歯溝41とは非接触状態にある。第2の歯32の先端部は、ウォームホイール17の歯溝41(正確には、第2の歯溝43)の内底面に接触している。
この状態において、ハンドル2が回転操作されて、ウォームホイール17が時計方向(図中の右方向)へ回転したときには、図3(b)に示されるように、まず第2の歯32の先端が第2の歯溝43に当接する。そしてさらにウォームホイール17が時計方向へ回転すると、これに伴い第2の歯32が、第1の歯31との連結部分を支点として、ウォームホイール17の回転方向へ弾性変形する。この弾性変形によりウォームホイール17の回転が許容されるとともに、若干の動力伝達が行われる。すなわち、ウォーム16は円滑に回転し始める。なお、この段階では、第1の歯31と第1の歯溝42とは、バックラッシ44により非接触状態に維持される。
そしてウォーム16が回転し始めてからウォームホイール17がさらに回転すると、図3(c)に示されるように、第2の歯32の変形量はさらに増大して、ついには第1の歯31が第1の歯溝42の歯面45に静かに当接する。すなわち、主たる第1の歯31と、主たる第1の歯溝42とが滑らかに噛み合い始めることにより、本格的な動力伝達が行われる。
第1の歯31と第1の歯溝42とが接触する際、第2の歯32が撓んでばねとして機能することにより、第1の歯31と第1の歯溝42との間の衝撃が吸収される。このため、歯打ち音の発生が抑制される。
また、第1の歯31が第1の歯溝42に当接して本格的な動力伝達が開始される際には、ウォーム16はすでに回転し始めている。すなわち、ウォーム16およびウォームホイール17の歯面間に働く静止摩擦力が低減された状態にある。このため、ウォームホイール17は、ウォーム16との間に働く静止摩擦抵抗に対して簡単に打ち勝つことができる。したがって、ハンドル2の操作開始の初期時(操舵力補助装置によるアシスト開始前)であれ、ウォーム16およびウォームホイール17はそれぞれ滑らかに回転する。ひいては、ハンドル2を操作する際の、いわゆる引っ掛かり感が抑制されることにより、円滑なハンドル2の操作が可能となる。
なお、ハンドル2が前述と逆方向へ回転操作されてウォームホイール17が時計方向と反対方向(図3(a)中の左方向)へ回転される場合についても、前述と同様である。
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ウォーム16は、第1の歯31およびその先端に形成された第2の歯32を備えてなる。また、ウォームホイール17は、第1の歯溝42およびその底部に形成された第2の歯溝43を備えてなる。そして、ウォームホイール17が回転した際には、まず第2の歯32が第2の歯溝43に接触して弾性的に撓む。これにより、ウォーム16とウォームホイール17との歯面間の衝突が吸収される。また第2の歯32が第2の歯溝43に噛み合い始めたとき、若干の動力伝達が行われることにより、ウォーム16は緩やかに回転する。その後、第1の歯31が第1の歯溝42に接触して噛み合うことにより、本格的な動力伝達が開始される。このように、ウォーム16が回転し始めてから第1の歯31が第1の歯溝42に噛み合うことにより、操舵初期時において、ウォーム16およびウォームホイール17は、それぞれ滑らかに回転を開始する。
ここで、バックラッシに起因する歯打ち音の発生を抑制するために、ウォームホイールとウォームの歯面同士を押し付け合うことによりバックラッシを最小限に維持する機構を減速機構に組み込むことも考えられる。この場合には、歯面同士が押し付けられる分だけ、減速機構の作動開始時の静止摩擦が大きくなって、滑らかな作動が阻害されるおそれがある。この点、本例によれば、バックラッシを存在させながらも、歯打ち音の発生を抑制することが可能である。また、バックラッシが存在することにより、ウォーム16およびウォームホイール17の円滑な作動、あるいは円滑な噛み合いが確保される。
(2)第2の歯32の歯厚は、当該第2の歯32の先端に向かうにつれて小さくなるように設定した。また、第2の歯32はその先端から基端へ向けて徐々に第2の歯溝43に接触して撓むようにした。このため、ウォーム16の軸方向において、第2の歯32の剛性は、当該歯の先端に向かうにつれて減少する。そしてウォームホイール17が回転した際にはまず、弾性に富む第2の歯32の先端部がウォームホイール17の第2の歯溝43に接触することにより、ウォーム16の歯30とウォームホイール17の歯40との衝突が好適に吸収される。この後、ウォームホイール17の回転に伴い第2の歯32の弾性変形量は徐々に減少する反面、ウォームホイール17間において伝達される動力が徐々に増大する。すなわち、作動初期時における歯打ち音の抑制を主たる目的とする状態から、ウォーム16およびウォームホイール17間の動力伝達を主たる目的とする状態へ円滑に移行する。したがって、減速機構18のいっそう円滑な作動が可能になる。
(3)本例の減速機構18によれば、ウォーム16とウォームホイール17との噛み合い部分での歯打ち音の発生を抑制しつつ、減速機構18の作動初期時においてウォーム16およびウォームホイール17を円滑に動作させることができる。このため、本例の減速機構18は、電動パワーステアリング装置の減速機構として好適である。操舵初期時の、いわゆる引っ掛かり感の発生が抑制されるので、操舵感覚を向上させることが可能である。
<他の実施の形態>
なお、前記実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・本例は、いわゆるアンチ・バックラッシ・システム(ABLS)を組み込んだ減速機構に適用することも可能である。当該ABLSは、ウォーム16をウォームホイール17へ向けて常時付勢することにより、ウォーム16およびウォームホイール17の噛み合い部分における軸間距離を最適な状態に維持するものである。
・本例では、第2の歯32の先端は、ウォームホイール17の歯底面(正確には、第2の歯溝43の内底面)に常時接触させるようにしたが、接触させなくてもよい。
・本例では、ウォーム16の歯30を第1および第2の歯31,32からなる2段構成とするとともに、ウォームホイール17の歯溝41を第1および第2の歯溝42,43からなる2段構成としたが、これらの構成をウォーム16とウォームホイール17とで逆転させてもよい。すなわち、ウォーム16の歯溝を第1および第2の歯溝からなる2段構成とするとともに、ウォームホイール17の歯40を第1および第2の歯からなる2段構成とする。
・本例では、ウォームホイール17の歯溝41は、第1および第2の歯溝42,43を段差無く形成するようにしたが、つぎのように形成してもよい。すなわち、図4に示すように、ウォームホイール17の第1の歯溝42と第2の歯溝43との間に、段差部51を形成する。そして第2の歯溝43の内形形状は、第2の歯32の外形形状に対応して形成する。第2の歯溝43を構成する2つの斜面47,48は、第2の歯32の互いに反対側に位置する2つの歯面に沿って延びている。また2つの斜面47,48と第2の歯32との間の距離は、第2の歯32が第2の歯溝43の中間位置に維持されているときの、第2の歯32の先端と第2の歯溝43との間の距離(一定)とされる。そして、第2の歯32のウォームホイール17の回転方向への変位は、当該第2の歯32が2つの斜面47,48のいずれか一方に当接することにより規制される。操舵初期時のウォーム16およびウォームホイール17の動作状態については、前述と同様である。したがって、この構成によれば、第2の歯32が、第2の歯溝43の中間位置に維持されている状態から、ウォームホイール17の第2の歯溝43に当接するまでの、距離あるいは時間などを簡単に調節することが可能となる。ひいては、第1および第2の歯31,32、ならびに第1および第2の歯溝42,43の噛み合いの状態を、第2の歯溝43により簡単に調節することも可能になる。第2の歯溝43の形成も簡単である。
・また先の図4に示す例では、ウォーム16の歯30を第1および第2の歯31,32からなる2段構成とするとともに、ウォームホイール17の歯溝41を第1および第2の歯溝42,43からなる2段構成としたが、これらの構成をウォーム16とウォームホイール17とで逆転させてもよい。すなわち、図5に示すように、ウォーム16の歯溝60を第1および第2の歯溝61,62からなる2段構成とする。また、ウォームホイール17の歯40は、第1および第2の歯63,64からなる2段構成とする。ウォーム16およびウォームホイール17の噛み合いの状態は、先の図4に示される例と同様である。さらに、先の図4および図5に示される2つの例を組み合わせて実施することも可能である。
・本例において、ウォーム16は、その軸方向へ変位可能に設けてもよい。たとえば、ウォーム16の2つの端部を、2つの軸受25,26の内輪に対して隙間嵌め、あるいはスプライン結合などする。ウォーム16と軸継手27との関係についても同様である。また、2つの軸受25,26の外輪をハウジング20(正確には、第2の収容部22)に対して、ウォーム16の軸方向へ変位可能としてもよい。たとえば2つの軸受25,26の外輪は、ハウジング20に対して隙間嵌め、あるいはスプライン結合などする。軸受26と軸継手27との間隔などについては、適宜調節する。これら構成を採用することにより、ウォームホイール17とウォーム16とが噛み合う際には、ウォーム16は自身の軸方向へ若干変位しながらウォームホイール17と噛み合うことになる。これにより、ハンドル2の操舵初期における、ウォームホイール17およびウォーム16の歯面間の衝突が緩和される。また、ウォーム16が軸方向へ変位すること、および第2の歯32が弾性変形することによる、衝突緩和についての相乗効果も期待できる。また、ウォーム16の回転を妨げる要因が低減することにより、いわゆる引っ掛かり感についてもいっそうの低減が期待できる。
・本例では、第2の歯32の歯厚は、当該第2の歯32の先端に向かうにつれて小さくなるように設定したが、当該第2の歯の歯厚は一定としてもよい。このようにしても、本例の(1)〜(3)の効果を得ることができる。
・本例では、電動パワーステアリング装置の減速機構を例に挙げて説明したが、他の装置の減速機構として適用してもよい。
<他の技術的思想>
次に、前記実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)ウォームおよびこれに噛み合うウォームホイールを備えてなるウォーム減速機において、前記ウォームは、第1の歯、および当該第1の歯の先端に形成される第2の歯、ならびに第1の歯溝、および当該第1の歯溝の底部に形成される第2の歯溝を備え、前記ウォームホイールは、前記第1の歯に噛み合う第3の歯溝、および当該第3の歯溝の底部に形成されて前記第2の歯に噛み合う第4の歯溝、ならびに前記第1の歯溝に噛み合う第3の歯、および当該第3の歯の先端に形成されて前記第2の歯溝に噛み合う第4の歯を備え、前記第1の歯および前記第3の歯溝、ならびに前記第3の歯および前記第1の歯溝とが噛み合う前に、前記第2の歯および前記第4の歯溝、ならびに前記第4の歯および前記第2の歯溝との接触を通じて前記第2の歯および前記第4の歯が弾性的に撓むことにより、前記第1の歯および前記第3の歯溝、ならびに前記第3の歯および前記第1の歯溝との噛み合いが許容されるウォーム減速機。
このように、請求項1および請求項2の構成を併せ持つウォーム減速機も構築可能である。
(ロ)請求項4に記載のウォーム減速機において、ウォームの2つの端部をそれぞれ回転可能に支持する2つの軸受を備え、前記ウォームの2つの端部を前記2つの軸受の内輪に対して隙間嵌め、あるいはスプライン結合することにより、前記ウォームは、前記ハウジングに対する自身の軸方向への相対変位が許容されてなるウォーム減速機。
(ハ)請求項4に記載のウォーム減速機において、ウォームの2つの端部をそれぞれ回転可能に支持する2つの軸受を備え、これら軸受の外輪を前記ハウジングに対して隙間嵌め、あるいはスプライン結合することにより、前記ウォームは、前記ハウジングに対する自身の軸方向への相対変位が許容されてなるウォーム減速機。
1…電動パワーステアリング装置、16…ウォーム、17…ウォームホイール、18…減速機構(ウォーム減速機)、20…ハウジング、31,63…第1の歯、32,64…第2の歯、42,61…第1の歯溝、43,62…第2の歯溝。

Claims (5)

  1. ウォームおよびこれに噛み合うウォームホイールを備えてなるウォーム減速機において、
    前記ウォームは、第1の歯、および当該第1の歯の先端に形成される第2の歯を備え、
    前記ウォームホイールは、前記第1の歯に噛み合う第1の歯溝、および当該第1の歯溝の底部に形成されて前記第2の歯に噛み合う第2の歯溝を備え、
    前記第1の歯と前記第1の歯溝とが噛み合う前に、前記第2の歯と前記第2の歯溝との接触を通じて当該第2の歯が弾性的に撓むことにより、前記第1の歯と前記第1の歯溝との噛み合いが許容されるウォーム減速機。
  2. ウォームおよびこれに噛み合うウォームホイールを備えてなるウォーム減速機において、
    前記ウォームは、第1の歯溝、および当該第1の歯溝の底部に形成される第2の歯溝を備え、
    前記ウォームホイールは、前記第1の歯溝に噛み合う第1の歯、および当該第1の歯の先端に形成されて前記第2の歯溝に噛み合う第2の歯を備え、
    前記第1の歯と前記第1の歯溝とが噛み合う前に、前記第2の歯と前記第2の歯溝との接触を通じて当該第2の歯が弾性的に撓むことにより、前記第1の歯と前記第1の歯溝との噛み合いが許容されるウォーム減速機。
  3. 請求項1または請求項2に記載のウォーム減速機において、
    前記第2の歯の歯厚は、当該第2の歯の先端に向かうにつれて小さくなるように設定されるとともに、前記第2の歯はその先端から基端へ向けて徐々に前記第2の歯溝に接触するように撓むウォーム減速機。
  4. 請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のウォーム減速機において、
    前記ウォームおよびウォームホイールは、それぞれ単一のハウジングに収容された状態に保持されて、前記ウォームは、前記ハウジングに対する自身の軸方向への相対変位が許容されてなるウォーム減速機。
  5. 請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のウォーム減速機を備えてなる電動パワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108895121A (zh) * 2018-09-07 2018-11-27 浙江森凯汽车科技有限公司 蜗轮蜗杆减速器及减速电机

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