JP2012077241A - ガスインジェクション用ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
ガスインジェクション用ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物及び成形品 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)100質量部、ポリエステル樹脂(A2)1〜100質量部、ゴム性重合体(A3)0.5〜30質量部、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した平均粒子径が0.5〜5.0μmであり、かつ粒子径が15μm以上の粒子を実質的に含まない無機充填材(A4)1〜60質量部を含むポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(A)100質量部に対して、芳香族ポリカーボネート樹脂(B1)、ポリエチレンテレフタレート(B2)、ゴム性重合体(B3)及びポリカーボネートと反応する官能基を有するオレフィン系重合体(B4)から成る複合樹脂組成物を含むガスインジョクション用ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物。
【選択図】図1
Description
即ち、ガスインジェクション射出成形においては、射出成形された樹脂組成物が円滑に流動して金型内に行きわたるための流動性が要求され、このためには、溶融張力がある程度小さいことが望まれる。一方で、樹脂組成物の射出後、中空部形成のために注入されるガスの圧力に対応して設計通りの肉厚の成形部を形成するためには、溶融張力がある程度大きいことが要求される。しかして、この溶融張力については、特にロット間での肉厚のバラツキがなく、肉厚の均一性に優れた成形品を得るべく、ガスインジェクションによる中空成形を連続して行っても製品間で肉厚のバラツキがないこと、即ち、溶融張力の安定性に優れることが要求される。
また、添加剤の使用量が多いと、樹脂成形品の耐熱性や耐薬品性、及び低温衝撃特性の低下が問題となり、物性、表面外観、更には中空成形性等の諸特性がバランス良く向上した、ガスインジェクション用として安定生産に適した樹脂組成物としては、未だ問題があった。
この問題を解決するために、本出願人は先に、ポリカーボネート−ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物のポリエチレンテレフタレートとして、重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレートを用いる技術を提案した(特許文献4〜7)。
即ち、ポリカーボネート−ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物における滞留熱劣化の問題は、ポリエチレンテレフタレートの製造工程で使用され、製品として提供されるポリエチレンテレフタレート中に含有される重縮合触媒に起因するものであり、従って、ポリエチレンテレフタレートとして、この重縮合触媒を失活させたポリエチレンテレフタレートを用いることにより、滞留熱劣化を抑制することができる。
ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(A):以下の(A1)〜(A4)を含むポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物
芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)100質量部、
ポリエステル樹脂(A2)1〜100質量部、
ゴム性重合体(A3)0.5〜30質量部、
レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した平均粒子径が0.5〜5.0μmであり、かつ粒子径が15μm以上の粒子を実質的に含まない無機充填材(A4)1〜60質量部
ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(B):以下の(B1)〜(B4)を含み、ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(A)とポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(B)の溶融張力(但し、溶融張力は、JIS K7199に準拠し、温度260℃、引き取り速度3.8m/minで測定された値(mN)を示す。)をそれぞれMT(A),MT(B)としたときに、MT(B)がMT(A)に対して100〜500%大きいポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物
芳香族ポリカーボネート樹脂(B1)100質量部、
重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレート(B2)1〜100質量部、
ゴム性重合体(B3)0.5〜30質量部、
ポリカーボネートと反応する官能基を有するオレフィン系重合体(B4)0.5〜20質量部
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/T …(1)
(ここで、[η]sは、当該ポリエチレンテレフタレートを窒素気流下210℃で3時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレートの固有粘度(dl/g)であり、[η]mは、当該ポリエチレンテレフタレートを窒素気流下210℃で2時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレートの固有粘度(dl/g)である。Tは1(時間)である。)
特に、ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(A)のポリエステル樹脂(A2)として、重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレートを用いることにより、上記効果はより一層顕著となる。
即ち、重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレートによる樹脂組成物の劣化抑制によって、樹脂組成物の溶融張力低下が抑制され、ガスインジェクションによる中空成形を連続して行っても、中空樹脂成形品の肉厚の振れが抑制されるので、安定した生産を行うことができる。
本発明の組成物(A)は、芳香族ポリカーボネ−ト樹脂(A1)100質量部に対し、ポリエステル樹脂(A2)1〜100質量部、ゴム性重合体(A3)0.5〜30質量部、及び特定の無機充填材(A4)1〜60質量部を含有する。
本発明の組成物(A)に用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)は、芳香族ヒドロキシ化合物と、ホスゲン又は炭酸のジエステルとを反応させることによって得られる、分岐していてもよい芳香族ポリカーボネート重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)、溶融法(エステル交換法)等の従来法によることができる。また、溶融法で製造され、末端基のOH基量を調整して製造されたポリカーボネート樹脂であってもよい。
さらに、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の分子中に3個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール等を分岐化剤として少量併用することもできる。
これらの芳香族ジヒドロキシ化合物のなかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」とも言い、「BPA」と略記することもある。)が好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明の組成物(A)に用いられるポリエステル樹脂(A2)としては、従来公知の任意のポリエステル樹脂を使用できるが、中でも芳香族ポリエステル樹脂が好ましい。ここで芳香族ポリエステル樹脂とは、芳香環を重合体の連鎖単位に有するポリエステル樹脂を示し、例えば、芳香族ジカルボン酸成分と、ジオール(及び/又はそのエステルやハロゲン化物)成分とを主成分とし、これらを重縮合して得られる重合体又は共重合体である。
ポリエステル樹脂(A2)としては、特にポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。ここで、ポリエチレンテレフタレートとは、全構成繰り返し単位に対するテレフタル酸及びエチレングリコールからなるオキシエチレンオキシテレフタロイル単位(以下「ET単位」と称す場合がある。)の比率(以下「ET比率」と称す場合がある。)が好ましくは90当量%以上であるポリエチレンテレフタレート樹脂であり、本発明におけるポリエチレンテレフタレートはET単位以外の構成繰り返し単位を10当量%未満の範囲で含んでいてもよい。本発明におけるポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその低級アルキルエステルとエチレングリコールとを主たる原料として製造されるが、他の酸成分及び/又は他のグリコール成分を併せて原料として用いてもよい。
即ち、前述の如く、ポリカーボネート樹脂にポリエステル樹脂を複合化して得られる樹脂組成物は熱安定性が悪く、成形工程においてシリンダー内で高温に保持されることにより、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とでエステル交換反応を起こし、反応による分解ガスの発生で泡、シルバーと称される成形品の外観不良の原因となる;ポリカーボネート樹脂の分子量低下によりポリカーボネート樹脂本来の耐衝撃性、耐熱変形性等が損なわれる;更には、高温下での滞留によりポリカーボネート樹脂組成物の粘度変化が生じることにより射出成形時の成形安定性が損なわれ、成形品のショートショットやバリが発生する;といった問題が起こる上に、溶融張力の低下の問題もある。
この滞留熱劣化の問題は、ポリエチレンテレフタレートの製造工程で使用され、製品として提供されるポリエチレンテレフタレート中に含有される重縮合触媒に起因するものであり、従って、ポリエチレンテレフタレートとして、この重縮合触媒を失活させたポリエチレンテレフタレートを用いることにより、滞留熱劣化を抑制することができる。
ポリエチレンテレフタレートを熱水(蒸気)処理してポリエチレンテレフタレート中のゲルマニウム触媒を失活させる方法。
具体的には、ポリエチレンテレフタレートを容器に充填し、70〜150℃、例えば約100℃の水蒸気をポリエチレンテレフタレートに対して毎時1〜100質量%の量で5〜6000分間通蒸して、蒸気処理を行った後乾燥する。
ポリエチレンテレフタレートを容器内でポリエチレンテレフタレートの0.3〜10重量倍の蒸留水に浸漬させ、次に、ポリエチレンテレフタレート及び蒸留水が入った容器を外部より加熱し、内温を70〜110℃にコントロールし、3〜3000分間保持して熱水処理を行なった後、脱水し、乾燥する。
上記乾燥は、通常、窒素等の不活性ガス中、120〜180℃で3〜8時間行われる。
ポリエチレンテレフタレートにリン化合物を添加して、ポリエチレンテレフタレート中のチタニウム触媒を失活させる。この場合、リン原子の添加量は、ポリエチレンテレフタレートの重量を基準として7〜145ppmの範囲であることが好ましい。リン化合物の添加量が7ppm以上であると、触媒の失活を十分に行って、目的とする効果を得ることができ、リン原子の添加量が145ppm以下であると、リン化合物自体が粗大凝集粒子となって、外観不良や耐衝撃性の低下といった問題が生じることが防止される。
(式中、R1及びR2は炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−又は−CH(Y)−(Yはフェニル基を示す。)であり、R1及びR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/T …(1)
ここで、[η]sは、当該ポリエチレンテレフタレートを窒素気流下210℃で3時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレートの固有粘度(dl/g)であり、[η]mは、当該ポリエチレンテレフタレートを窒素気流下210℃で2時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレートの固有粘度(dl/g)である。Tは1(時間)である。即ち、本発明では、窒素気流下210℃にて3時間保持した後の固有粘度を[η]s、そして同条件下で2時間保持した後の固有粘度を[η]mとし、これらの値を用いて、上述した(1)式により算出した固相重合速度Ksを、固相重合速度Ksとした。そしてTは1時間となる。
ポリエステル樹脂(A2)としては、ポリブチレンテレフタレートを用いてもよい。ここで、ポリブチレンテレフタレートとは、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有する樹脂をいう。本発明では、ジカルボン酸単位の50モル%以上がテレフタル酸単位であり、ジオール成分の50モル%以上が1,4−ブタンジオール単位であるポリブチレンテレフタレートを用いるのが好ましい。全ジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位の割合は、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、最適には98モル%以上である。全ジオール単位中の1,4−ブタンジオール単位の割合は、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、最適には98モル%以上である。テレフタル酸単位又は1,4−ブタンジオール単位が上記範囲であると、結晶化速度が適切な範囲であるので、成形性が良好となる。
本発明では、固有粘度の異なる2種以上のポリブチレンテレフタレートを併用してもよい。
本発明の組成物(A)の樹脂成分は、前述の芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)の1種又は2種以上と、上述の失活PET等のポリエステル樹脂(A2)の1種又は2種以上とからなり、本発明の組成物(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)100質量部に対してポリエステル樹脂(A2)を1〜100質量部、特に10〜80質量部、とりわけ25〜60質量部含有することが好ましい。
本発明の組成物(A)に用いるゴム性重合体(A3)は、ガラス転移温度が0℃以下、中でも−20℃以下のゴム性重合体又はこれと共重合可能な単量体成分を共重合した共重合体であり、一般にポリカーボネート樹脂組成物等に配合されて、その機械的特性を改良し得る、従来公知の任意のものを使用することができる。
ゴム性重合体(A3)の含有割合が上記下限値以上であることにより、ゴム性重合体(A3)を配合したことによる衝撃強度の改良効果と成形安定性の改良効果を十分に得ることができ、上記上限値以下であることにより、ゴム性重合体の過剰配合による熱安定性や剛性の低下を防止することができる。
本発明の組成物(A)に用いる無機充填材(A4)としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、これらのミルドファイバー、並びにスラグ繊維、ロックウール、ウォラストナイト、ゾノトライト、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、ボロンウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカーなどの繊維状無機充填材や、ガラスフレーク、ガラスビーズ、黒鉛、タルク、マイカ、カオリナイト、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイトなどの珪酸塩化合物、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機フィラーが挙げられ、これらのうち、特に補強効果と物性及び外観のバランスが優れていることから、ガラス繊維、タルク、ウォラストナイトが好ましい。これらの無機充填材は、例えば、金属コートガラス繊維や金属コート炭素繊維などのように異種材料で表面を被覆したものであってもよい。これらの無機充填材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、粒子径が15μm以上の粒子を実質的に含まないとは、このような平均粒子径の測定において、粒子径が15μm以上の粒子を観察し得ないことをさす。
(1)顆粒状タルクを目開きが1.4mmの篩上に載せ、ハケで均等に軽く掃きながら篩を通す。
(2)篩に通した顆粒状タルクをJIS K5101に規定された嵩密度測定装置に付属する受器に山盛りになるまで投入する。
(3)受器の投入口から上部の山盛りになった顆粒状タルクをヘラで削り取り、受器内の顆粒状タルクの重量を測定し、下式にて嵩密度を算出する。
嵩密度(g/ml)=受器内の顆粒状タルクの重量(g)/受器の容量(ml)
(1)顆粒状タルクを目開きが2mmの篩上に載せ、ハケで均等に軽く掃きながら篩を通す。
(2)篩に通した上記顆粒状タルクを200mlのビーカー一杯に入れ、吉田製作所製試料縮分器「1305
6号」(溝幅6mm)を用いて、30ml程度になるまで縮分を行う。
(3)目開き500μmの篩を用いて、縮分した上記顆粒状タルクの篩分けを行い、500μmの篩を通過しないもの(篩上)の重量を求め、全体量からの割合を求める。なお、篩分けは、筒井理化学器機製「電磁式振動篩い器M−100形」を用い、振動数120回/秒で10分間行う。
無機充填材(A4)の含有割合が上記下限値以上であることにより、無機充填材を配合したことによる寸法安定性や剛性の改良効果を十分に得ることができ、上記上限値以下であることにより、無機充填材の過剰配合による衝撃強度の低下の問題を防止することができる。
本発明の組成物(A)は、熱安定剤として、リン系熱安定剤及び/又はヒンダードフェノール系熱安定剤を含んでいてもよく、これらの特定の熱安定剤を含むことにより、耐滞留熱劣化性に優れた樹脂組成物を実現することができる。即ち、リン系熱安定剤は、過酸化物の分解作用により、また、ヒンダードフェノール系熱安定剤は過酸化物ラジカルを捕捉する作用により、熱劣化を抑止することができる。
本発明の組成物(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(A2)、ゴム性重合体(A3)、無機充填材(A4)、熱安定剤の他、通常のポリカーボネート樹脂組成物に含有される他の種々の添加剤を含有していてもよい。
本発明の組成物(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(A2)、ゴム性重合体(A3)、無機充填材(A4)、その他必要に応じて用いられるリン系熱安定剤及び/又はヒンダードフェノール系熱安定剤や他の添加剤を用いて、従来公知の任意の方法を適宜選択して製造することができる。
本発明の組成物(B)は、芳香族ポリカーボネート樹脂(B1)100質量部、重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレート(B2)1〜100質量部、ゴム性重合体(B3)0.5〜30質量部、及びポリカーボネートと反応する官能基を有するオレフィン系重合体(B4)0.5〜20質量部を含み、本発明の組成物(A)と本発明の組成物(B)の溶融張力(但し、溶融張力は、JIS K7199に準拠し、温度260℃、引き取り速度3.8m/minで測定された値(mN)を示す。)をそれぞれMT(A),MT(B)としたときに、MT(B)がMT(A)に対して100〜500%大きいものである。
本発明の組成物(B)に用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂(B1)としては、前述の本発明の組成物(A)に用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)を用いることができ、その好適な芳香族ポリカーボネート樹脂についても芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)の説明をそのまま適用することができる。
本発明の組成物(B)に用いられる重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレート(B2)としては、前述の本発明の組成物(A)において好適に用いられる前述の失活PETを用いることができ、その説明をそのまま適用することができる。
また、ポリエステル樹脂として失活PETを用いることにより、後述の鎖延長剤であるポリカーボネートと反応する官能基を有するオレフィン系重合体(B4)との反応において、芳香族ポリカーボネート樹脂(B1)とのエステル交換反応が防止され、結晶化度を高く維持することにより、賦型性向上剤として安定した機能を発揮することが可能となる。
本発明の組成物(B)に用いられるゴム性重合体(B3)としては、前述の本発明の組成物(A)に用いられるゴム性重合体(A3)を用いることができ、好適なゴム性重合体や配合量についても前述の本発明の組成物(A)におけるものと同様である。
本発明の組成物(B)に用いられるポリカーボネートと反応する官能基を有するオレフィン系重合体(B4)(以下「反応性オレフィン系重合体(B4)」と称す場合がある。)の「ポリカーボネートと反応する官能基」としては、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基などが挙げられる。これらの官能基はポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂の末端カルボキシル基や末端水酸基と反応して所謂橋掛け効果を奏し、樹脂組成物の溶融張力を改良する。
本発明の組成物(B)は、本発明の組成物(A)と同様に熱安定剤を含んでいてもよく、その熱安定剤としては、前述の本発明の組成物(A)に用いられる熱安定剤を用いることができ、好適な熱安定剤や配合量についても前述の本発明の組成物(A)におけるものと同様である。
本発明の組成物(B)は、本発明の組成物(A)と同様に無機充填材、その他の成分を含んでいてもよく、無機充填材、その他の成分としては、前述の本発明の組成物(A)に用いられる無機充填材(A4)、及びその他の成分を用いることができ、好適なその他の成分や配合量についても前述の本発明の組成物(A)におけるものと同様である。
本発明の組成物(B)は、芳香族ポリカーボネート樹脂(B1)、失活PET(B2)、ゴム性重合体(B3)、反応性オレフィン系重合体(B4)及び熱安定剤等のその他必要に応じて用いられる添加剤を用いて、前述の本発明の組成物(A)の製造方法と同様に製造される。この本発明の組成物(B)の製造工程における各種成分の溶融混練時において、芳香族ポリカーボネート樹脂(B1)と失活PET(B2)と反応性オレフィン系重合体(B4)が反応して溶融張力改善に寄与する反応物を形成する。
即ち、本発明の組成物(B)は、ポリエステル樹脂として失活PET(B2)を用いているため、このように熱履歴を繰り返しても溶融張力の低下が少ないという特長を有する。
同様に、前述の本発明の組成物(A)についても、各成分を溶融混練して得られるバージン材に限らず、これを再度熱と圧力を付与してペレット化したもの、例えば各種成分の溶融混練により得られた組成物(A)を成形し、得られた樹脂成形体を破砕したもの、或いは溶融混練したものを単に冷却して破砕したものであってもよいが、この場合、本発明の組成物(A)に用いるポリエステル樹脂(A2)は失活PETであることが好ましい。
本発明の組成物(B)は、本発明の組成物(A)の溶融張力(但し、溶融張力は、JIS K7199に準拠し、温度260℃、引き取り速度3.8m/minで測定された値(mN)を示す。)をMT(A)、本発明の組成物(B)の溶融張力(但し、溶融張力は、JIS K7199に準拠し、温度260℃、引き取り速度3.8m/minで測定された値(mN)を示す。)をMT(B)としたとき、MT(B)がMT(A)に対して100〜500%大きいこと、即ち、以下の式で算出される溶融張力の高さ率(%)が100〜500%であることを必須とする。
溶融張力の高さ率(%)=(MT(B)−MT(A))/MT(A) ×100
溶融張力の低下率(%)=(MT(B0)−MT(B1))/MT(B0) ×100
本発明の組成物(A/B)は、前述の本発明の組成物(A)100質量部に対して本発明の組成物(B)を5〜80質量部配合してなるものである。
従って、本発明の組成物(A/B)を調製する際には、前述の溶融張力の高さ率だけでなく、本発明の組成物(A)及び本発明の組成物(B)の各々の溶融張力MT(A),MT(B)の値も考慮して上記の配合範囲内で適当な溶融張力となるようにその混合割合を適宜調整することが好ましい。
本発明のポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂成形品は、本発明の組成物(A/B)を常法に従ってガスインジェクション成形してなるものである。
以下の実施例及び比較例において用いた原料成分は次のとおりである。
(1)PC−A:
界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ノバレックス(登録商標)7030PJ」、粘度平均分子量:30,000、末端ヒドロキシル基含有量:50ppm
界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロン(登録商標)E−2000」、粘度平均分子量:28,000、末端ヒドロキシル基含有量:150ppm
(1)未処理PET−1:
重縮合触媒として二酸化ゲルマニウム触媒を用いたポリエチレンテレフタレート 三菱化学(株)製「GG500S」、固有粘度[η]:0.76dl/g、末端カルボキシル基濃度AV:28μeq/g、ET比率:97.8当量%、固相重合速度Ks:0.0085dl/g・hr(物性値はいずれも後述の測定方法による。)
上記未処理PET−1に対して、以下の重縮合触媒の失活処理を施したもの、固有粘度[η]:0.75dl/g、末端カルボキシル基濃度AV:30μeq/g、ET比率:97.8当量%、固相重合速度Ks:0.0031dl/g・hr(物性値はいずれも後述の測定方法による。)
<失活処理方法>
未処理PET−1 50kgを100℃の蒸留水50kg中で1時間煮沸処理した後、脱水し、窒素雰囲気中、120℃で6時間時間乾燥した。
以下の未処理PETに対して、以下の重縮合触媒の失活処理を施したもの、固有粘度[η]:0.73dl/g、末端カルボキシル基濃度AV:12μeq/g、ET比率:97.6当量%、固相重合速度Ks:0.0042dl/g・hr(物性値はいずれも後述の測定方法による。)
<未処理PET>
重縮合触媒としてチタン系触媒を用いたポリエチレンテレフタレート 三菱化学(株)製品「ノバペックス(登録商標)RF543DE」、固有粘度[η]:0.74dl/g、末端カルボキシル基濃度AV:8.4μeq/g、ET比率:97.6当量%、固相重合速度Ks:0.0078dl/g・hr(物性値はいずれも後述の測定方法による)。
<失活処理方法>
未処理PET 100質量部に対して、以下のリン系熱安定剤a(アデカスタブAX−71)を0.01質量部と以下のリン系熱安定剤b(イルガフォス168)を0.03質量部添加し、タンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダー温度270℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hrにてバレルより押出機にフィードし、溶融混練することにより失活PET−2のペレットを作製した。
リン系熱安定剤a:ADEKA社製「アデカスタブAX−71」(モノ又はジ−ステアリルアシッドホスフェート)
リン系熱系安定剤b:チバ・スペシャルティ・ケイミカルズ(株)製「イルガフォス168」(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)
ポリブチレンテレフタレート 三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバデュラン(登録商標)5020」、固有粘度:1.20dl/g、末端カルボキシル基濃度:22eq/Ton
ポリブチレンテレフタレート 三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバデュラン(登録商標)5008」、固有粘度:0.85dl/g、末端カルボキシル基濃度:12eq/Ton
ポリブタジエン(コア)/アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合物(シェル)からなるコア/シェル型グラフト共重合体 ローム・アンド・ハース・ジャパン社製「パラロイドEXL2603」
(1)熱安定剤−1:
ブトキシエチルアシッドフォスフェート:C4H9OC2H4O)nP(O)(OH)3−n (n=1,2) 城北化学工業社製「JP−506H」
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト 旭電化工業社製「アデカスタブAS2112」
(1)タルク−A
松村産業社製 顆粒状タルク
原料タルクの平均粒子径:3.0μm、原料タルクの最大粒子径:10μm、
嵩密度0.73g/ml、粒度:目開き500μm篩上の割合が98質量%、粒子形状:円柱状、平均軸径:1.2mm、平均軸長:1.5mm、バインダー種:水溶性ポリエステル(互応化学工業社製「プラスコートZ−221」)、バインダー量:0.5質量%
松村産業社製 顆粒状タルク
原料タルクの平均粒子径:3.7μm、原料タルクの最大粒子径:14μm
嵩密度:0.76g/ml、粒度:目開き500μm篩上の割合が98質量%、粒子形状:円柱状、平均軸径:1.2mm、平均軸長:1.5mm、バインダー種:水溶性ポリエステル(互応化学工業社製「プラスコートZ−221」)、バインダー量:0.5質量%
NycoMinerals,Inc社製
平均粒子径:3.5μm、最大粒子径:12μm、嵩密度:0.45g/ml
(1)グリシジル基含有共重合体−1
エチレン−グリシジルメタクリレート(GMA)ポリマー 住友化学社製「ボンドファーストE(商品名)」、GMA含有量:12質量%、ガラス転移温度:−25℃以下、エポキシ当量:約350g/eq
グリシジルメタクリレート含有ポリスチレンマスターバッチ クラリアント社製「Cesa−Extend1588(商品名)」、グリシジルメタクリレート含有量:50質量%、ガラス転移温度:55℃、エポキシ当量:約285g/eq
<PETの末端カルボキシル基濃度>
樹脂チップ0.5gを精秤し、195℃のベンジルアルコール25ml中に溶解し、氷水中で数十秒間冷却した後エチルアルコール2mlを加え、自動滴定装置(東亜電波製「AUT−301」)を用いて、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で中和滴定した。測定滴定量A(ml)、ブランク滴定量B(ml)、NaOHベンジルアルコールの力価F、及び、試料の秤量値W(g)より、下記式により、末端カルボキシル基量AV(μeq/g)を求めた。
AV=(A−B)×0.01×F×1000/W
凍結粉砕したPET試料0.50gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として、濃度(c)を1.0g/dlの溶液を調製した。ここで試料溶解条件は120℃で30分間で溶解させた。この溶液を30℃にてウベローデ型粘度計を用いて、溶媒のみ(c=0)に対する相対粘度(ηrel)を測定し、この相対粘度(ηrel)−1を比粘度(ηsp)とし濃度(c)との比(ηsp/c)を求めた。同様にして濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとして、それぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度[η](dl/g)として求めた。
樹脂試料を重水素化トリフルオロ酢酸に常温で溶解させた3質量%溶液を用いて、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−EX270型」)にて1H−NMRを測定し、各ピークを帰属し、その積分比からテレフタル酸、及びテレフタル酸以外のジカルボン酸成分、並びに、エチレングリコール、及びそれ以外のジオール成分の割合を求め、オキシエチレンオキシテレフタロイル単位の含有率(ET比率)を算出した。
1粒当りの平均粒重が24mgとなるようにカットされたPETチップ10gを直径30mmφ、高さ30mmのステンレス製メッシュで作成した容器に入れ、イナートオーブン(ESPEC社製「IPHH−201型」)中で、40リットル/分の窒素気流下160℃で4時間乾燥させた。その後、窒素流通を保持した状態で160℃から210℃まで1時間かけて昇温し、210℃で保持後3時間後の固有粘度[η]s、2時間後の固有粘度[η]mから、以下の(1)式により算出した。
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/1 …(1)
{組成物の調製及び溶融張力の測定}
上記原料成分を表1に示す割合で含有する組成物1〜13を以下のようにして調製して、以下の方法で溶融張力の測定を行った。
得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥し、東洋精機製「キャピログラフ1C」を用い、シリンダー温度260℃、オリフィス径φ1.0mm、長さ10mm、ピストン降下速度10mm/min、ストランド引き取り速度3.8m/minにて溶融張力を測定した。
表1に示す各成分を表1に示す割合にて、タンブラ−ミキサ−で均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製「TEX30XCT」)にフィードし、溶融混練した組成物を、水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物(以下「未処理組成物」と称す。)1〜13の溶融張力(MT−1)は、表1に示すとおりであった。
上記で得られた各未処理組成物1〜13のペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、ファナック製「α100iA型」射出成形機を使用して、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒の条件で、ISO引張試験片(厚さ4.0mm)を射出成形した。さらにZERMA社製「GSL180/180」にて粉砕した。未処理組成物1〜13からそれぞれ得られた各樹脂組成物(以下「粉砕組成物」と称す。)1〜13の溶融張力(MT−2)は、表1に示す通りであった。
上記の未処理組成物及び粉砕組成物のうち1つを組成物(A)とし、この組成物(A)よりも溶融張力の大きい組成物を組成物(B)として、これらを混合することにより組成物(A/B)を調製し(ただし、比較例1では組成物(A)のみ)、以下の評価を行って結果を表2,3に示した。
組成物(A)と組成物(B)のペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、表2に示す割合で混合し、ファナック製「α100iA型」射出成形機を使用して、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒の条件で、ISO引張試験片(厚さ4.0mm)を射出成形した。ISO 179に準拠して、この試験片から厚さ4.0mmのノッチ付試験片を作製し、23℃の環境下において、ノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定した。
上記(1)において、ISO引張試験片(厚さ4.0mm)を射出成形した際に、射出成形に十分な樹脂組成物量の計量を行った。その後、当該組成物をシリンダー内に10分間保持した後に、同様の条件で射出成形した10分滞留後試験片について、同様にノッチ付き試験片を作製し、23℃の環境下において、ノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定した。
組成物(A)と組成物(B)のペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、表2に示す割合で混合し、日本製鋼所製J−220EV−P型射出成形機に、中央部に握手部分を、両端に車両本体への取り付け部分を有する自動車用アウターハンドル成形用金型(ガス注入用ノズルを有する)を取り付け、シリンダー温度280℃、金型温度70℃、充填時間7秒、ガス射出遅延8秒、ガス圧10MPa、ガス保圧時間35秒、成形サイクル83秒の条件で、30ショット連続成形して、図1に示す断面形状の自動車用アウターハンドル成形品1を成形した。図1中、2はガス注入用ノズルを示す。
この30ショット連続成形において、30ショット中に発生したピンホール数をカウントした。
上記で得られた自動車用アウターハンドル成形品を、長尺方法の中心線から半分に切断し、図2に示すハンドル脚の中空到達目標位置(ゼロ点)に対し、実際の中空先端部の変位を測定した。n=30にて測定を行い、変位の平均を算出した。平均値が小さいほど、賦型性は安定していることを示す。
以上の結果より次のことが分かる。
比較例1は、本発明の組成物(B)を用いていないため、溶融張力が小さく、ガスインジェクション射出成形における耐ピンホール性、ショット安定性に劣り、また、組成物(A)に失活PETを含まないことから、滞留後耐衝撃性も劣る。
比較例2,3は、組成物(B)に失活PETを含まず、耐ピンホール性、ショット安定性に劣り、滞留後耐衝撃性も十分でなく、特に、組成物(A)に粉砕組成物を用いた比較例3は、すべての性能において劣る結果が得られている。
比較例4は、組成物(B)の組成物(A)に対する溶融張力の高さ率が本発明の範囲を超えて大きいために、耐衝撃性、滞留後耐衝撃性は良好であるものの、耐ピンホール性、ショット安定性に劣る。
2 ガス注入ノズル
Claims (5)
- 以下のポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(A)100質量部に対して、以下のポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(B)を5〜80質量部含有するガスインジェクション用ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物。
ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(A):以下の(A1)〜(A4)を含むポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物
芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)100質量部、
ポリエステル樹脂(A2)1〜100質量部、
ゴム性重合体(A3)0.5〜30質量部、
レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した平均粒子径が0.5〜5.0μmであり、かつ粒子径が15μm以上の粒子を実質的に含まない無機充填材(A4)1〜60質量部
ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(B):以下の(B1)〜(B4)を含み、ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(A)とポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物(B)の溶融張力(但し、溶融張力は、JIS K7199に準拠し、温度260℃、引き取り速度3.8m/minで測定された値(mN)を示す。)をそれぞれMT(A),MT(B)としたときに、MT(B)がMT(A)に対して100〜500%大きいポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物
芳香族ポリカーボネート樹脂(B1)100質量部、
重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレート(B2)1〜100質量部、
ゴム性重合体(B3)0.5〜30質量部、
ポリカーボネートと反応する官能基を有するオレフィン系重合体(B4)0.5〜20質量部 - ポリエステル樹脂(A2)が、重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載のガスインジェクション用ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物。
- 前記重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレートは、末端カルボキシル基濃度が5〜40μeq/g、固有粘度[η]が0.6〜1.5dl/g、全構成繰り返し単位に対するオキシエチレンオキシテレフタロイル単位の比率が90当量%以上であり、下記式(1)で算出される固相重合速度Ksが0.006(dl/g・hr)以下であることを特徴とする請求項2に記載のガスインジェクション用ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物。
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/T …(1)
(ここで、[η]sは、当該ポリエチレンテレフタレートを窒素気流下210℃で3時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレートの固有粘度(dl/g)であり、[η]mは、当該ポリエチレンテレフタレートを窒素気流下210℃で2時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレートの固有粘度(dl/g)である。Tは1(時間)である。) - 溶融張力(但し、溶融張力は、JIS K7199に準拠し、温度260℃、引き取り速度3.8m/minで測定された値(mN)を示す。)が20mN以上40mN以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガスインジェクション用ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のガスインジェクション用ポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂組成物をガスインジェクション成形してなるポリカーボネート−ポリエステル複合樹脂成形品。
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