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JP2012064633A - 半導体発光素子 - Google Patents

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JP2012064633A JP2010205387A JP2010205387A JP2012064633A JP 2012064633 A JP2012064633 A JP 2012064633A JP 2010205387 A JP2010205387 A JP 2010205387A JP 2010205387 A JP2010205387 A JP 2010205387A JP 2012064633 A JP2012064633 A JP 2012064633A
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Masahiro Watanabe
優洋 渡邊
Kazuyuki Iizuka
和幸 飯塚
Tsunehiro Unno
恒弘 海野
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Abstract

【課題】光の高出力化及び取出効率並びに低動作電圧化を向上させることができる半導体発光素子を提供する。
【解決手段】本発明の半導体発光素子1は、活性層を有する半導体積層体14の一方の表面に設けられる複数の分配電極12と、半導体積層体14の一方の表面側に設けられ、複数の分配電極12を覆う透明導電膜21と、半導体積層体14の他方の表面側に設けられる導電反射層9と半導体積層体14との間に位置する誘電体層15と、誘電体層15の内部で導電反射層9と半導体積層体14とを電気的に接続し、平面視にて複数の分配電極12に重ならない位置に設けられる界面電極8と、透明導電膜21を介して複数の分配電極12に電気的に接続し、平面視にて分配電極12及び界面電極8に重ならない位置に設けられる表面電極17とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体発光素子に関する。特に、本発明は、活性層を有する半導体積層体と支持基板との間に導電反射層を有する基板張替型構造を有する発光素子に好適に利用できる半導体発光素子に関する。
従来の半導体発光素子は、光の取出効率を向上させるため、少なくとも、半導体積層体、透明電極及び表面電極を備えていた。透明電極は、半導体積層体の一方の表面において、ITOなどの透明導電材料を用いて形成されていた。表面電極は、例えば、透明電極の表面中央において柱状に形成されていた。
特開2006−100569号公報
しかしながら、従来の半導体発光素子においては、光の高出力化及び取出効率並びに低動作電圧化がまだ不十分であるという問題があった。
したがって、本発明の目的は、光の高出力化及び取出効率並びに低動作電圧化を向上させることができる半導体発光素子を提供することである。
本発明は、上記目的を解決するため、活性層を有する半導体積層体の一方の表面に設けられる複数の分配電極と、前記半導体積層体の一方の表面側に設けられ、前記複数の分配電極を覆う透明導電膜と、前記半導体積層体の他方の表面側に設けられる導電反射層と前記半導体積層体との間に位置する誘電体層と、前記誘電体層の内部で前記導電反射層と前記半導体積層体とを電気的に接続し、平面視にて前記複数の分配電極に重ならない位置に設けられる界面電極と、前記透明導電膜を介して前記複数の分配電極に電気的に接続し、平面視にて前記分配電極及び前記界面電極に重ならない位置に設けられる表面電極とを備える半導体発光素子が提供される。
また、上記半導体発光素子において、前記透明導電膜が、前記分配電極にオーミック接触し、前記半導体積層体の前記一方の表面にショットキー接触することが好ましい。
また、上記半導体発光素子において、前記分配電極が、金属から主として構成されてもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記分配電極が、Au、Ni、Ge、Si、及びPdからなる群から選択される金属、又はAu、Ni、Ge、Si、及びPdからなる群から選択される金属が主成分である合金から主として形成されてもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記界面電極が複数形成されていると共に、複数の前記界面電極のそれぞれと前記分配電極との間隔が、平面視にて、複数の前記界面電極のそれぞれ毎に予め定められた間隔であってもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記半導体積層体の前記一方の表面を形成する一方の表面層はn型半導体層であり、前記他方の表面を形成する他方の表面層はp型半導体層であってもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記半導体積層体が、前記一方の表面に凹状若しくは凸状に形成された粗面加工部を有することもできる。
また、上記半導体発光素子において、前記粗面加工部が、前記一方の表面の一部の領域であって平面視にて前記分配電極及び前記表面電極が設けられる領域とは異なる領域に設けられてもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記半導体積層体の前記一方の表面を有する一方の表面層が、前記活性層よりバンドギャップエネルギーが大きな材料から形成されてもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記一方の表面層と前記分配電極との間に介在する層が、AlGa1−XAs(0≦X≦0.3)から形成されてもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記半導体積層体を前記他方の表面側から支持する支持基板は、Siから形成されてもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記誘電体層が、SiOから形成されてもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記導電反射層が、Au若しくはAuを主成分とする合金から形成されてもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記透明導電膜が、ITO(錫ドープ酸化インジウム)薄膜、In(酸化インジウム)薄膜、ZnO(酸化亜鉛)薄膜、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)薄膜、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)薄膜のいずれかから形成される単層構造、又はそれらのうちの2以上を積層した積層構造であってもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記透明導電膜の抵抗率が、1×10−3Ω・cm以下であり、前記透明導電膜の膜厚が、50nm以上であってもよい。
また、上記半導体発光素子において、前記表面電極に電気的に接続し、前記透明導電膜の表面に設けられる補助電極を更に備えてもよい。
本発明の半導体発光素子によれば、光の高出力化及び取出効率並びに低動作電圧化を向上させることができるという効果を奏する。
本発明の実施例1の半導体発光素子を示す縦断面図である。 実施例1の半導体発光素子を示す平面図である。 誘電体層に屈折率1.45の材料を用いた場合の反射層における平均反射率を示すグラフである。 誘電体層に屈折率2.0の材料を用いた場合の反射層における平均反射率を示すグラフである。 実施例1の半導体発光素子において透明導電膜の表面に補助電極が形成された状態を示す平面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第1工程を示す縦断面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第2工程を示す縦断面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第3工程を示す縦断面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第4工程を示す縦断面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第5工程を示す縦断面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第6工程を示す縦断面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第7工程を示す縦断面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第8工程を示す縦断面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第9工程を示す縦断面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第10工程を示す縦断面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第11工程を示す縦断面図である。 実施例1の基板貼替型半導体発光素子の製造方法の第12工程を示す縦断面図である。 実施例1における透明導電膜の透過率測定を示すグラフである。 比較例1における半導体発光素子を示す平面図である。 比較例1における半導体発光素子を示す縦断面図である。 比較例2における半導体発光素子を示す平面図である。 比較例2における半導体発光素子を示す縦断面図である。 実施例3における半導体発光素子を示す縦断面図である。 実施例3における半導体発光素子を示す平面図である。面図である。 実施例4における半導体発光素子の動作電圧評価結果を示すグラフである。
以下、本発明の半導体発光素子の一実施例である実施例1から実施例7を説明する。
はじめに、実施例1の半導体発光素子1を説明する。
実施例1の半導体発光素子1は、図1及び図2に示すように、図1の下方から順に、裏面電極13、支持基板10、第1の合金化バリア層18、第1の金属接合層11b、第2の金属接合層11a、第2の合金化バリア層16、導電反射層9、誘電体層15、界面電極8、半導体積層体14、分配電極12、透明導電膜21及び表面電極17を備えている。
裏面電極13としては、図1の下方から順に、例えば、厚み300nmのAu(金)層(図示せず)及び厚み10nmのTi(チタン)層(図示せず)からなる積層電極が用いられていることが好ましい。もちろん、この実施条件は一例であって、例えば、裏面電極13の形状を四角形状、菱形形状又は多角形状にするなど、適宜、裏面電極13の形状や厚みを変更してもよい。
支持基板10としては、例えば、Si(シリコン)基板、Ge(ゲルマニウム)基板、GaP(ガリウム・リン)基板などの半導体基板材料を用いて作成された基板が用いられていることが好ましい。本実施例においては、支持基板10としてSi基板を用いることがより好ましい。
ここで、支持基板10に低抵抗型Si基板を採用する場合、その支持基板10の抵抗率は、0.010Ω・cm以下のものを使用することが好ましく、0.0050Ω・cm以下であることがより好ましい。一方、支持基板10に高抵抗型Si基板を採用する場合、その支持基板10の抵抗率は、少なくとも1×10Ω・cm以上の抵抗率を有していることが好ましく、2.5×10Ω・cm程度であることがより好ましい。
第1の合金化バリア層18としては、例えば、厚さ300nm程度のTi層が用いられることが好ましい。この第1の合金化バリア層18は、オーミック電極としても用いられる。
第1の金属接合層11bとしては、例えば、厚さ500nm程度のAu層が用いられることが好ましい。
第2の金属接合層11aとしては、例えば、厚さ500nm程度のAu層など、第1の金属接合層11bと同様に形成された金属層が用いられることが好ましい。
第2の合金化バリア層16としては、例えば、厚さ100nm程度のTi(チタン)層が用いられることが好ましい。
導電反射層9としては、Au若しくはAuを主成分とする合金を用いて形成された金属層であることが好ましい。この場合、導電反射層9の厚さは400nm程度に設定されていることが好ましい。
誘電体層15は、図1に示すように、半導体積層体14の他方の表面(本実施例においては導電反射層9側の表面)側に積層された導電反射層9と半導体積層体14との間に設けられている。誘電体層15としては、例えば、厚さ340nmのシリコン酸化膜(SiO)を用いて形成されていることが好ましい。
もちろん、屈折率1.45のSi0だけでなく、屈折率が2.2前後のSiNなどを用いることも可能である。ただし、図3及び図4に示す通り、誘電体層15の屈折率が高くなると導電反射層9の平均反射率は屈折率1.45の場合に比べて低くなる。この反射率は半導体発光素子1の発光出力と密接な関係にあるので、誘電体層15材料の屈折率はできるだけ低いことが好ましい。
界面電極8は、図1に示すように、誘電体層15の内部において導電反射層9と半導体積層体14とを電気的に接続する電極である。この界面電極8としては、例えば、誘電体層15と同様の厚さのAuBe合金(金・ベリリウム合金、Au:99wt%/Be:1wt%)を用いて形成されていることが好ましい。
また、界面電極8は、図1に示すように、平面視にて複数の分配電極12に重ならない位置に形成されている。ここで、界面電極8は、半導体積層体14の他方の表面において、均一に分布していることが好ましい。また、界面電極8は、複数形成されていると共に、複数の界面電極8のそれぞれと分配電極12との間隔が、平面視にて、複数の界面電極8のそれぞれ毎に予め定められた間隔であること、すなわち、複数の界面電極8のそれぞれが、分配電極12から一定の間隔をおいて配置されていることが好ましい。本実施例においては、上記条件を満たす一例として、界面電極8は分配電極12を中心軸とする円環形状に形成されている。
もちろん、上記の実施条件は一例であって、界面電極8の形状を矩形環状にするなど、適宜、界面電極8の形状や厚みを変更してもよい。
半導体積層体14は、図1に示すように、発光層としての活性層5を有している。ここで、この半導体積層体14において一方の表面(本実施例においては透明導電膜21側の表面)を形成する一方の表面層は、n型半導体層であることが好ましい。また、半導体積層体14において他方の表面を形成する他方の表面層は、p型半導体層であることが好ましい。また、一方の表面層は、活性層5よりバンドギャップエネルギーが大きな材料を用いて形成されていることが好ましい。
上記を満たすため、半導体積層体14は、図1に示すように、図1の下方から順に、p型コンタクト層7、p型クラッド層6、活性層5、n型クラッド層4、n型コンタクト層3を有している。この場合、n型クラッド層4が本発明の「一方の表面層」になり、p型コンタクト層7が本発明の「他方の表面層」になる。また、本発明の「一方の表面層と分配電極12との間に介在する層」は本実施例においてn型コンタクト層3であり、AlGa1−XAs(0≦X≦0.3)を用いて形成されていることが好ましい。
また、半導体積層体14は、一方の表面において凹状若しくは凸状に形成された粗面加工部22を有することが好ましい。この半導体積層体14の粗面加工部22は、一方の表面における一部の領域であって平面視にて分配電極12及び表面電極17が設けられる領域とは異なる領域、すなわち、両電極のいずれにも重ならない領域に形成されていることが好ましい。
複数の分配電極12は、例えば平面視ドットの円柱状に形成されており、半導体積層体14の一方の表面に分布するように形成されている。ここで、これら複数の分配電極12の分布は均一であることが好ましい。
また、分配電極12は、透明導電材料よりも金属材料であることが好ましい。この場合、分配電極12は、Au、Ni(ニッケル)、Ge、Si、Pd(パラジウム)のなかから任意に選択された金属若しくはそれらのいずれかを主成分とする合金を1又は2種以上用いて形成されていることが好ましい。本実施例において、分配電極12は、図1の下方から順に、厚さ50nmのAuGe(金・ゲルマニウム合金)、厚さ10nmのNi、厚さ50nmのAuの順に積層した他層構造になっている。
もちろん、上記の実施条件は一例であって、適宜、分配電極12の厚みや形状を変更してもよい。
透明導電膜21としては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)薄膜、In(酸化インジウム)薄膜、ZnO(酸化亜鉛)薄膜、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)薄膜、GZO(ガリウムドープ酸化E鉛)薄膜のうちのいずれかを用いて形成された単層構造又はそれらのうちの2以上を積層した積層構造であることが好ましい。また、透明導電膜21の抵抗率は、1×10−3Ω・cm以下に設定されていることが好ましく、その膜厚は、50nm以上に設定されていることが好ましい。本実施例において、透明導電膜21としては、例えば厚さ80nmのITO膜が選択されており、その抵抗率は4.5×10−4Ω・cmである。
また、透明導電膜21は、分配電極12に対してオーミック接触するように形成されていることが好ましい。その一方、この透明導電膜21は、半導体積層体14の一方の表面に対してショットキー接触するように形成されていることが好ましい。
表面電極17は、透明導電膜21を介して複数の分配電極12のすべてに電気的に接続するように形成されている。表面電極17としては、例えば、直径100μmの円形パッド形状に形成されていることが好ましい。
ここで、この表面電極17は、積層方向において界面電極8と重ならないように形成されていることが好ましい。つまり、本実施例において、分配電極12、界面電極8及び表面電極17は、積層方向において互いに重ならないように配設されていることが好ましい。なお、分配電極12は、積層方向において界面電極8及び表面電極17に重ならない領域で、均一に設けられる。
もちろん、上記の実施条件は一例であって、適宜、表面電極17の厚みや形状を変更してもよい。
また、半導体発光素子1が大型素子の場合、半導体発光素子1は、上記の他に、図5に示すような補助電極25を備えることが好ましい。この補助電極25は、表面電極17に電気的に接続しており、かつ、透明導電膜21の表面に線状に張り巡らせて形成されている。これは、ITOなどの透明導電膜21は金属に比べて抵抗が高いためである。大型素子の場合、ITOだけでは電流分散が十分ではないので、パッド電極に細線電極を接続することが好ましい。
次に、本実施例の半導体発光素子1の製造方法を説明する。本製造方法は、基板貼替型半導体発光素子1の製造プロセスを示している。また、本実施例の製造方法によって製造される半導体素子は赤色発光素子である。
図6に示すように、n型GaAsの製造用基板100上に、MOVPE法で、5×1017/cmのキャリア濃度を有するn型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pエッチングストップ層2を100nm、8×1017/cmのキャリア濃度を有するn型コンタクト層3としてのn型GaAsコンタクト層を100nm、5×1017/cmのキャリア濃度を有するn型クラッド層4としてのn型(Al0.7Ga0.30.5In0.5P層を1000nm、アンドープGa0.5In0.5P層とアンドープ(Al0.6Ga0.90.5In0.5P層とのペアによる多重量子井戸構造の活性層5をそれぞれ4nmと8nmの厚さで30ペア繰り返し、合計厚さ360nm、8×1017/cmのキャリア濃度を有するp型クラッド層6としてのp型(Al0.7Ga0.30.5In0.5P層を1000nm、5×1018/cmのキャリア濃度を有するp型コンタクト層7としてのp型GaP層を100nm、記述の通りに順次積層成長させ、半導体積層体14を得た。
MOVPE成長での成長温度は、n型エッチングストップ層2からp型コンタクト層7までを650℃とした。その他の成長条件は、成長圧力50Torr(1Torr=133.322Pa)、各層の成長速度はおよそ0.3から1.1nm/sec、V/III比は約150で行った。なお、V/III比とは、分母をTMGaやTMAlなどのIII族原料のモル数とし、分子をAsH、PHなどのV族原料のモル数とした場合の比率(商)を指す。
MOVPE成長において用いる原料としては、例えばGaの場合、トリメチルガリウム(TMga)、又はトリエチルガリワム(TEGa)、Alの場合、トリメチルアルミニウム(TMAl)、Inの場合はトリメチルインジウム(TMln)等の有機金属を用いた。また、As源としてはアルシン(AsH)、P源としてはホスフィン(PH)等の水素化物ガスを用いた。
また、例えばエッチングストップ層2がn型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pなどのn型半導体層の場合、その添加物原料としてセレン化水素(HSe)を用いた。
また、p型クラッド層6、p型コンタクト層7のようなp型半導体層の添加物原料としては、ビスシクロベンタジエニルマグネシウム(CpMg)を用いた。
その他に、n型半導体層の添加物原料として、ジシラン(Si)、モノシラン(SiH)、ジエチルテルル(DETe)、ジメチルテルル(DMTe)を用いることもできる。
また、p型半導体層の添加物原料としては、Mg(マグネシウム)、Zジメチルジンク(DMZn)やジエチルジンク(DEZn)を用いることができる。本実施例においては、ドーパント拡散の起こりにくいMg(マグネシウム)をp型ドーパントとして用いた。
なお、前述の通り、製造される半導体素子の発光色は赤色なので、本実施例の半導体積層体14の活性層5から生ずる光の波長が発光ピーク波長においておよそ630nmの赤色となるように半導体積層体14を設計している。
なお、橙色の発光波長は610nm、黄色の発光波長は595nmである。本実施形態においては、赤色の発光波長よりも短波長であってもよい。
次に、図7に示すように、この半導体発光素子1に用いられるエピタキシャルウェハをMOCVD装置から搬出した後、p型コンタクト層7の表面に誘電体層15としてSi0膜をプラズマCVD装置により約340nmほど成膜した。なお、Si0の代わりにSiNなどを用いてもよい。
誘電体層15の成膜後、図8に示すように、誘電体層15に貫通孔を形成し、その貫通孔の内部に界面電極8を形成した。誘電体層15の貫通孔は、レジスト塗布装置やマスクアライナなどの一般的なフォトリソグラフィに関する装置や技術を駆使すると共に、純水で希釈したフッ酸エッチング液を用いることにより、形成された。また、界面電極8については真空蒸着法により複数個形成した。
複数個の界面電極8については、AuBe合金(金・ベリリウム合金、Au:99wt%/Be:1wt%)を用いて、半導体積層体14の一方の表面側(すなわち、GaPコンタクト層に接する側)に円環状に形成した。また、界面電極8の厚さは340nmに設定した。これら円環状の界面電極8は、平面視において、平面視ドット状に形成された複数の分配電極12の周囲を囲むように位置し、円環状の界面電極8と平面視ドット状の分配電極12との距離は、概ね一定の距離間隔に保たれている。この場合の界面電極8の線幅は2μmに設計されている。
なお、この界面電極8は、前述したとおり、この後に形成される分配電極12及び表面電極17と平面視において重ならない位置、すなわち、図1において分配電極12及び表面電極17の直下以外の領域に配置されるように設計されている。
次に、図9に示すように、誘電体層15、及び界面電極8が形成されたエピタキシャルウェハの表面に厚さ400nmのAu(金)層をスパッタ法により形成することにより、導電反射層9を形成した。Auは、半導体積層体14の活性層5から放射される赤色や赤外光に対して、優れた反射率を有することから、反射層の材料として好ましい。もちろん、Au以外の金属や合金を選択することも可能である。
同様に、図9に示すように、導電反射層9の表面に厚さ100nmのTi(チタン)層を第2の合金化バリア層16として形成し、更にその上に、厚さ500nmのAu層を第2の金属接合層11aとして形成した。
一方、図10に示すように、支持基板10として用意した導電性p型Si基板の表面に第1の合金化防止バリア層として厚さ300nmのTi層を形成し、更にその第1の合金化防止バリア層の表面に第1の金属接合層11bとして厚さ500nmのAu層を形成した。なお、第1の合金化防止バリア層はオーミックコンタクト金属を兼ねている。また、このときのSi支持基板10の面方位に関しては特に不問であり、後に完成する半導体発光素子1の特性を左右するものではない。
ここで、Si支持基板10は、以下に示す2つの理由により、抵抗率は0.010Ω・cm以下のものを使用するのが好ましく、更に好ましくは基板の抵抗率0.0050Ω・cm以下であることが好ましい。
支持基板10に低抵抗のSiを用いる第1の理由は、Si支持基板10に対する電極の良好なオーミック接触を得るためである。例えば0.020Ω・cm以上の比較的高い抵抗率を有するSi支持基板10に対してオーミック接触を得るには裏面電極13などにAl(アルミニウム)などを形成し、400℃以上の温度で熱処理することが必要である。しかし、400℃以上の高温に加熱しつつ、半導体発光素子1の特性に影響を与えないようにするのは、高効率、高信頼性な半導体発光素子1を作製する上で技術的に難しい。また、Alは難削材であるため、半導体発光素子1のウェハの裏面電極13に純Alなどを形成した場合には素子化するダイシング工程において、裏面チッピングなどの欠けを抑制することが技術的に難しい。
支持基板10に低抵抗のSiを用いる第2の理由は、半導体発光素子1に大きな電流を流して使用する際の動作電圧の低減のためである。基板張替え型の半導体発光素子1においては、支持基板10の熱伝導率を元の出発基板よりも高いものを選択し、大電流駆動を可能とする目的がある。そのため、半導体発光素子1の定格電流は、約300μm角のもので70mA、約800μm角のもので350mA、約1000μm角のもので700mAなどと、従来のGaAsを基板とした半導体発光素子1に比べ、圧倒的に大きな電流を流す用途が多くある。そのため、基板の持つ直列抵抗によって発生する電圧も要因的に大きなものとなり、抵抗率の差が数百mVの差を分けることになる。
したがって、本実施例のように表面電極17及び裏面電極13から構成される上下電極構造を採用する場合、支持基板10の抵抗率は極力低い方が好ましい。上面二電極構造を採用する場合には、支持基板10に電流が流れることはない。この場合、支持基板10の抵抗は高くてもよい。また、半導体発光素子1の実装にもよっては、支持基板10の抵抗は高い方が好ましい。
もちろん、支持基板10の材料として、GeやGaPを選択することもできる。Siを選択した理由は、上記の他、廉価で熱伝導性に優れているからである。
次に、図11に示すように、図9に示したエピタキシャルウェハの第2の金属接合層11aと図10に示した支持基板10側の積層体の第1の金属接合層11bをそれぞれAu層面が接合するように重ね合わせ、熱圧着法によって貼合せた。
貼合せ条件は、圧力0.01Torr(1Torr=133.322Pa)雰囲気においてウェハに圧力を15kgf/cm負荷した状態で、温度350℃に加熱し、更にその状態で30分間加熱保持することによって貼合せたウェハを得た。
次に、図12に示すように、Si支持基板10に貼合わせたエピタキシャルウェハの基板材であるGaAsを、アンモニア水と過酸化水素水との混合エッチャントを用いてウェットエッチングにより除去し、n型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pエッチングストップ層2を露出させた。そして、この露出したエッチングストップ層2を塩酸のウェットエッチングにて除去し、n型コンタクト層3を露出させた。
次に、図13に示すように、露出したn型コンタクト層3の表面にレジスト塗布装置やマスクアライナ、現像装置などを用いてパターニングを行った後、真空蒸着装置により電極構造を蒸着することにより、分配電極12を形成した。分配電極12の構造は、AuGe(金・ゲルマニウム合金)、Ni(ニッケル)、Au(金)を、それぞれ50nm、10nm、50nmの膜厚で順次形成した。なお、分配電極12の形状は前述のとおりである。
分配電極12の形成後、図14に示すように、分配電極12をマスク材として分配電極12の下方以外に位置するn型コンタクト層3を硫酸、過酸化水素水及び水の混合エッチャントを用いてウェットエッチングにて除去する。この選択性エッチングによって、n型クラッド層4を露出させた。
n型クラッド層4を露出させた後、図14に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、n型クラッド層4の表面に粗面加工部22のパターニングするためのマスクを形成した。粗面加工部22の形状は正方格子状に周期的に配列された直径1μm程度の複数の丸穴からなり、それらのピッチを2μmに設定した。ただし、n型クラッド層4の領域であって積層方向において表面電極17と重なる領域にはこの粗面加工部22を形成しない。
上記のマスク形成後、図14に示すように、半導体発光素子1のウェハを純水で希釈した塩酸に浸し、半導体積層体14の最上層であるn型クラッド層4の粗面化エッチングした。このときのエッチング時間はおよそ30秒程度であり、エッチング深さは最も深い所で約1μmであった。この粗面化エッチングにより、半導体積層体14の一方の表面において乱反射を起こす粗面加工部22が形成された。上記エッチング後、マスクとして用いたフォトレジスト膜を有機洗浄にて除去した。
次に、図15に示すように、n型クラッド層4を露出させたウェハの表面にスパッタ装置を用いてITO膜の透明導電膜21を形成した。ITOのスパッタリングターゲットについては、Sn濃度が5wt%のものを使用した。
上記スパッタ装置としてはRFマグネトロンスパッタ装置が好ましい。このときのスパッタ条件は、投入電力50W、酸素ガス導入なし、チャンパー圧力0.5Pa、成膜時間30分である。
なお、透明導電膜21となるITO膜の厚さについて、分光エリプソメトリを用いてITO膜と同じバッチに同時投入したSiダミー基板サンプルを評価した結果、ITO膜の膜厚は80nm、屈折率1.98であった。また、ITO膜の抵抗率をパウ法にて評価した結果、その抵抗率は4.5×10−4Ω・cmであった。更に、反射率測定装置を用いてITO膜単体の透過率を評価したところ、図18に示すように可視光630nmの波長において、97.3%の良好な透過率を有することが確認できた。
次に、図16に示すように、半導体発光素子1の半導体エピタキシャル層の部分だけをウェハ状態で意図的に素子分離するため、レジストマスク20をフォトリソグラフィにより形成した。レジストマスク20は、設計上の素子の中心位置と、280μm角形状のレジストマスク20の中心位置が一致するように形成されている。
まず、透明導電膜21をエッチングするため、図17に示すように、レジストマスク20形成後、市販のITOエッチング液(関東化学株式会社製ITO−07N)に浸し、n型クラッド層4が露出するまで透明導電膜21をエッチングした。
次に、図17に示すように、半導体エピタキシャル層であるn型クラッド層4、活性層5、p型クラッド層6をエッチングするため、レジストマスク20を保持したまま、純水で希釈した塩酸に浸し、AlGalnP系半導体で形成されている上記の3層を除去した。このとき、p型コンタクト層7は塩酸などの比較的容易に入手し得る酸、又は混酸でエッチングすることが容易では無いため、GaP層はエッチングせずにレジストマスク20をアッシングによって除去した。
次に、支持基板10の他方の表面の全面に裏面電極を同じく真空蒸着法によって形成した。裏面電極は、Ti及びAuをそれぞれ10nm及び300nmの膜厚で順次形成し、その後、電極の合金化処理であるアロイ工程を、上下独立ヒータを備えたアロイ装置で実施した。アロイ条件については、窒素ガス雰囲気中において、加熱温度は400℃まで加熱、熱処理時間は5分間である。
その後、図1に示すように、フォトリソグラフィ技術及び真空蒸着技術を用いてパターニングを行うことにより、直径100μmの円形状の表面電極17を形成した。表面電極17の構造は、透明導電膜21の表面側からTi及びAuの順となっており、それぞれの膜厚は30nm及び1000nmとなっている。
なお、前述した通り、図2に示すように、円形状の表面電極17、円環状の界面電極8及び平面視ドット状の分配電極12は、半導体発光素子1の光取出面である一方の表面から積層方向において互いに重ならないように配置されている。
また、この後にワイヤボンディング工程を行うため、表面電極17の形成後にアロイ処理を行わず、半導体発光素子1ができあがるまでノンアロイ状態としておく。
上記工程を経て半導体発光素子1のウェハの形成が終了後、表面電極17が各々の半導体発光素子1の略中央に配置されるようにダイシング装置を用いてチップ化をおこなう。半導体発光素子1のチップサイズは、表面電極17などを形成する際に使用するフォトリソグラフィ用のフォトマスクにおけるマスクピッチに依存しており、本実施例で作製した半導体発光素子1のチップピッチは330μmとなっている。
最後に、ダイシング工程によって加工された半導体発光素子1のチップをTO−18ステムと呼ばれるリードフレームにAgエポキシ樹脂を用いて実装し、更に形成した表面電極17とステムのリードにワイヤボンディングをおこない、半導体発光素子1が発光可能な状態とした。
次に、本実施例の半導体発光素子1の製造方法により製造された半導体発光素子1の評価を行う。
上記製造方法により得た本実施例の半導体発光素子1について、20mA駆動時の半導体発光素子1の特性を評価したところ、発光出力が10.2mW、動作電圧は1.95Vであり、得られた光出力/投入電力で規定した発光効率は26.2%であった。以下の比較例においても述べるが、本実施例1の半導体発光素子1の発光効率は高いことが明らかとなった。
次に、図19及び図20を用いて、比較例1を説明する。
比較例1と実施例1との相違点は、比較例1の半導体発光素子1に分配電極12及び透明導電膜21がなく、電極パターンが異なる点にある。
比較例1の半導体発光素子1においては、界面電極8は櫛形状に形成されている。この櫛形状の界面電極8と表面電極17との距離は、概ね一定の距離間隔に保たれている。このときの櫛形状の界面電極8の線幅は、実施例1の界面電極8の線幅と同様、2μmに設計した。
また、表面電極17の形状は、櫛形状の界面電極8と相対する形状となっている。具体的には、中央に直径100μmの円を形成し、その円から細線が四方に伸び、更にその細線から枝分かれして細線が伸びることにより、半導体発光素子1の平面内に電流が均一に注入されるような形状になっている。表面電極17において、中央の円から横方向に延伸した細線の太さは15μm、素子の縦方向に延伸している4本の細線の太さがそれぞれ10μmとなっている。
また、比較例1の表面電極17は、実施例1の分配電極12と同じように、半導体積層体14とオーミック接触させている。このため、比較例1の表面電極17の電極構造については、半導体積層体14の表面側からAuGe、Ni、Auを、それぞれ50nm、10nm、500nmの膜厚で順次形成した。
更に、この表面電極17及び界面電極8は、積層方向において互いに重ならないように配置されている。
そして、ワイヤボンディング用電極は、表面電極17の円部に重なるように配置されている。
なお、実施例1及び比較例1の製造方法については、上述したように、電極パターン以外は略同じである。
このような構成で作製された比較例1の半導体発光素子1の素子特性については、発光出力が7.9mW、動作電圧が1.96Vであり、実施例1の半導体発光素子1と比較して、特に発光出力が約2mWも低い結果となった。また、得られた光出力/投入電力で規定した発光効率は20.2%と、実施例1の半導体発光素子1に比べて発光効率が6%も低下している。これは、半導体発光素子1の発光面積に対し、光を透過できない表面電極17の面積が多くなったことによって、活性層5から出射した光が表面電極17に吸収されてしまうというロスが増えたことが原因であると考えられる。
次に、図21及び図22を用いて、比較例2を説明する。
比較例2の半導体発光素子1は、比較例1の形態の半導体発光素子1に対して、実施例1のように面積が小さい表面電極17を付加したものである。
比較例2の界面電極8は、単一の円環状形状に形成されている。この円環状の界面電極8と表面電極17との距離は概ね一定の距離間隔に保たれている。このときの界面電極8の線幅は2μmに設定されている。
比較例2の表面電極17は、直径100μmの円形状に形成されている。比較例2の表面電極17の形状は、実施例1の表面電極17の形状と同じである。なお、比較例1と同様、比較例2の表面電極17及び界面電極8は、積層方向において互いに重ならないように配置されている。
比較例2の表面電極17と半導体積層体14のn型コンタクト層3との間には、実施例1に用いた分配電極12ではなく、表面電極17と同形状のオーミック表面電極23が用いられている。また、ワイヤボンディング用電極は、前述の表面電極17と重なるように配置されている。
なお、比較例2の表面電極17は、比較例1と同様、半導体積層体14とオーミック接触するようになっている。
上述以外の構成及び製造方法については、比較例1と同様である。
このような構成で作製された比較例2の半導体発光素子1の特性については、発光出力が8.3mW、動作電圧が2.65Vであった。これは、実施例1の半導体発光素子1と比較して、発光出力が約2mWほど低く、動作電圧が600mV以上も高い結果となった。また、これについては、比較例1の半導体発光素子1と比較して、発光出力が約0.4mWほど高く、動作電圧が約600mVほど高い結果となった。
また、得られた光出力/投入電力で規定した比較例2の発光効率は15.5%であり、実施例1に比べて約10%も低下し、比較例1と比べても4.7%も低下している。
上記結果の原因は次のように推測する。比較例1に対して比較例2の光出力が高くなった原因は、表面電極17による光を遮蔽する効果がやや低くなったことと考えられるが、それほど高くはなっていない。
また、動作電圧が高くなった原因は、実施例1や比較例1と比較し、素子の発光面の一部にしか電流が注入されないため、発光面積あたりの電流密度が増大し、電流印加による抵抗成分が高くなった結果、このような動作電圧の上昇になったと考えられる。
更に、上記の動作電圧の上昇によって比較例2の半導体発光素子1の温度が高くなり、その発光出力があまり高くならないという結果になったと考えられる。
つまり、比較例2の結果から、半導体発光素子1の発光効率(投入電力に対する発光量)を高めるためには、半導体発光素子1の表面に均一に電流注入を行い、半導体発光素子1の動作電圧を低減させることが好ましい。
次に、本実施例の半導体発光素子1の作用を説明する。
本実施例の半導体発光素子1においては、表面電極17、複数の界面電極8及び複数の分配電極12が積層方向において互いに重ならないように配置されている。これにより、半導体発光素子1の一方の表面及び他方の表面に電流が均一に注入されるので、半導体発光素子1の動作電圧が低減し、半導体発光素子1の温度上昇を抑制することができる。その結果、半導体発光素子1の発光出力を高めることができる。
また、本実施例の半導体発光素子1においては、透明導電膜21が分配電極12に対してオーミック接触するように形成されていることが好ましい。また、その透明導電膜21は、半導体積層体14の一方の表面に対してショットキー接触するように形成されていることが好ましい。これにより、透明導電膜から流入する電流が、複数の分配電極12から流入しやすく、また、半導体積層体14の一方の表面に流入しにくい状態になるため、半導体発光素子1の表面に均一に電流を注入することができる。
また、本実施例の半導体発光素子1において、分配電極12が金属製、特に、Au、Ni、Ge、Si、Pdのなかから任意に選択された金属若しくはそれらのいずれかを主成分とする合金を1又は2種以上用いて形成されていることが好ましい。これにより、分配電極12と透明導電膜21と間及び分配電極12と半導体積層体14のn型コンタクト層3との間のオーミック接触を容易にする。
また、本実施例の半導体発光素子1において、界面電極8は、複数形成されていると共に、平面視にて分配電極12から一定間隔をもって配置されていることが好ましい。また、分配電極12及び界面電極8は、半導体積層体14の一方の表面又は他方の表面において、均一に分布していることが好ましい。これにより、半導体発光素子1の表面に均一に電流を注入することが容易となり、半導体発光素子1の発光出力や発光効率を向上させることができる。
また、本実施例の半導体発光素子1において、半導体積層体14の一方の表面層はn型半導体層であり、その他方の表面層はp型半導体層であることが好ましい。n型半導体層は、一般的にドーピング濃度に限界があり、透明導電膜21と電気的にオーミック接触又はトンネル接合させることが困難である。つまり、本実施例においては、半導体積層体14と透明導電膜21とのオーミック接触を困難にし、ショットキー接触効果を得ることが容易になる。
また、本実施例の半導体発光素子1において、半導体積層体14の一方の表面にはおいて凹状若しくは凸状に形成された粗面加工部22が形成されていることが好ましい。図3及び図4に示すように、半導体発光素子1の光取出面が粗面化されている場合(各図の「乱反射あり」)と、そうでない場合(各図の「平滑面」)とを比較すると明らかなように、粗面加工部22が形成されていると反射率が向上し、半導体発光素子1の発光出力や発光効率を向上させることができる。
また、本実施例の半導体発光素子1において、半導体積層体14の粗面加工部22は、平面視にて分配電極12及び表面電極17の両電極のいずれにも重ならない領域に形成されていることが好ましい。また、本実施例の半導体発光素子1において、支持基板10は、Siを用いて形成されていることが好ましい。これにより、裏面電極13との良好なオーミック接触性、良好な切削性及び熱伝導性に優れた支持基板10を廉価で作成することができる。
また、本実施例の半導体発光素子1において、誘電体層15はSiOを用いて形成されていることが好ましい。これにより、誘電体層15の屈折率を低く設定することができる。また、製造面においてもSiNなどの材料に比較し、成膜容易性及び成膜速度並びにエッチング容易性及びパターニング精度を向上させることができるし、吸収損失も極めて低く設定することができる。その結果、高出力の半導体発光素子1を容易に得ることができる。
また、本実施例の半導体発光素子1において、導電反射層9は、Au若しくはAuを主成分とする合金であることが好ましい。これにより、半導体積層体14の活性層5から放射される赤色や赤外光に対して優れた反射率を有する導電反射層9を得ることができるので、半導体発光素子1を高出力化することができる。
そして、本実施例の半導体発光素子1において、表面電極17に電気的に接続しており、かつ、透明導電膜21の表面に張り巡らせた補助電極が備わることが好ましい。これにより、例えば、半導体発光素子1の大きさを平面視にて500μm角以上の大きさにするような半導体発光素子1の大型化に伴い、表面電極17だけでは分配電極12に電流を均一に供給できなくなる可能性が生じる場合であっても、補助電極を利用して分配電極12に電流を均一に供給することができる。その結果、半導体発光素子1が大型化しても、表面電極17の大型化を招くことなく、半導体発光素子1を高出力化することができる。
次に、実施例2を説明する。
実施例2においては、発光波長が850nmの赤外半導体発光素子1を作製した例について示す。
実施例1との相違点は、半導体積層体14の構成材料が異なる点にある。また、共通点は、表面電極17、分配電極12及び界面電極8の電極パターンの他、半導体積層体14の構成材料以外の事項である。以下にその相違点の詳細について示す。
実施例1においては、図6に示すように、製造用基板100上に、n型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pエッチングストップ層2、n型GaAsコンタクト層3、n型クラッド層4、アンドープ(Al0.1Ga0.90.5In0.5Pとアンドープ(Al0.6Ga0.90.5In0.5Pとのペアによる多重量子井戸構造の活性層5、p型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層6、p型GaPコンタクト層7を順次成長させた半導体発光素子1構造とした。
本実施例2においては、製造用基板100上に、n型Ga0.5In0.5Pエッチングストップ層2、n型コンタクト層3、n型Al0.4Ga0.6Asクラッド層、アンドープAl0.2Ga0.8AsとアンドープGaAsとのペアによる多重量子井戸構造活性層5、p型Al0.4Ga0.6Asクラッド層、p型Al0.15Ga0.85Asコンタクト層を順次成長させた半導体発光素子1構造とした。
なお、各n型半導体層、p型半導体層のドーパントは上記実施例1と同じである。
このような半導体積層体14を用いた半導体発光素子1においては、実施例1と比べ半導体材料がV族にP(リン)を用いたものから、V族にAs(ヒ素)を用いたものに変わっている。このことから、本実施例2においては、上記実施例1に記載した粗面化エッチングの溶液としては、過酸化水素水と臭素と純水との混酸を用いている。また、素子分離のエッチング液としては、300℃前後に冷却した硫酸と過酸化水素水と純水との混酸を用いた。
上述した事柄以外の部分は実施例1と同じ構造で半導体発光素子1を作製し、半導体発光素子1の20mA駆動時の半導体発光素子1特性を評価したところ、本実施例2の半導体発光素子1は、発光出力9.8mW、動作電圧1.43Vであり、得られた光出力/投入電力で規定した発光効率は34.3%であった。これは、上記の比較例1及び2と比較して、高発光効率の赤外半導体発光素子1を得ることができたといえる。
上記結果より、実施例1と同様の表面電極17、分配電極12及び界面電極8の電極パターンが満たされていれば、赤色などの可視光、又は赤外光などを発光する半導体発光素子1において、発光波長に依存することなく、高効率の半導体発光素子1が得られることがわかる。
次に、実施例3を説明する。
本実施例3においては、図23及び図24に示すように、半導体発光素子1に通電するためのワイヤボンディング用電極を半導体積層体14側に2つ備えた、いわゆる上面2電極型の半導体発光素子1について作製した例について示す。
本実施例と実施例1との相違点は、本実施例に裏面電極13がなく、その代わりに、導電反射膜の一部に第2の表面電極24を1個追加した点にある。第2の表面電極24は、素子分離のアイソレーションエッチングと同様の方法により半導体積層体14(例えばその隅部)を導電反射層9まで積層方向にエッチングして得た電極形成面に形成されている。
次に、本実施例3に示す半導体発光素子1の電極パターンを図24に示す。以下にその製造方法について、実施例1との相違点を抜粋して説明する。
本実施例3においては、透明導電膜21形成後の素子分離工程において、形成するレジストマスク20のパターンを第2の表面電極24を形成する領域の部分もエッチングされるように設計されている。
このようなレジストマスク20を用いて実施例1と同様にITO膜のエッチング及び半導体積層体14のエッチングをおこない、更に、残余したGaP層を臭素と過酸化水素水と純水との混酸を用いて除去した。
更に、このままでは第2の表面電極24を形成する領域に誘電体層15が残余するため、純粋で希釈したフッ酸に浸して当該領域の誘電体層15を除去し、導電反射層9を露出させた。
その後、裏面電極13の形成はおこなわず、表面電極17を形成する際のレジストマスク20を、実施例1の表面電極17である第1の表面電極17とその対角に位置する第2の表面電極24が形成されるようにパターニングし、第1の表面電極17及び第2の表面電極24を同時に形成した。したがって、第1の表面電極17及び第2の表面電極24は同じ電極構造を有している。
また、本実施例3においては、支持基板10として高抵抗の半絶縁性Si基板を使用した。より高抵抗が得られるという理由から、実施例1の低抵抗支持基板10のCZ(Czochralski)法で作製したSiと異なり、FZ(Floating Zone)法で作製した高抵抗のSiを用いている。このときのSi基板の抵抗率は2.5×10Ω・cmのSi基板を用いた。
以上のような構成で作製した半導体発光素子1に電圧を印加すると、電流は正極である第2の表面電極24から導電反射層9を通じて界面電極8から半導体積層体14へと流入し、分配電極12と透明導電膜21を介して、第1の表面電極17へと流れる。
本実施例3に示した半導体発光素子1を、実施例1と同様に、半導体発光素子1の20mA駆動時の特性を評価したところ、発光出力9.7mW、動作電圧2.01Vであり、得られた光出力/投入電力で規定した発光効率は24.1%と、高発光効率の赤外半導体発光素子1を得ることができた。
上記結果より、実施例1と同様の表面電極17、分配電極12及び界面電極8の電極パターンが満たされていれば、半導体発光素子1の正極及び負極との関係について表面電極17と裏面電極13との関係や第1の表面電極17及び第2の表面電極24の関係といった違いがあっても、高効率の半導体発光素子1が得られることがわかる。
なお、高抵抗の支持基板10を用いた場合であっても実施例1と同様の結果を得ることができることは明白であり、また、本実施例3よりも低抵抗のSi支持基板10を用いたとしても、実施例1と同様の結果を得ることができることも明白である。
ただし、支持基板10の抵抗が低くなるにしたがい、電流経路的にSi支持基板10に流れる電流成分が増加し、例えば半導体発光素子1の定格電圧以下の低い電圧を印加した場合などにおいて、μAオーダの微小電流がリーク電流として流れてしまうということがある。半導体発光素子1を扱うユニットメーカーなどにおいてはこのような漏れ電流が不都合な場合があるので、上面2電極型半導体発光素子1の場合、Si支持基板10の抵抗率は、少なくとも1×10Ω・cm以上の抵抗率を有していることが好ましい。
次に、実施例4を説明する。
本実施例4においては、n型コンタクト層3の材料を変えた場合の半導体発光素子1について示す。
実施例1との相違点は、n型コンタクト層3の材料をAlGaAsとした点にある。また、本実施例においては、AlGaAsのAl組成を0.1、0.2、0.3、0.4と変えて作製した。このとき、それぞれのAlGaAsコンタクト層のキャリア濃度は実施例1に記載のn型コンタクト層3と同様に8×1017/cmのキャリア濃度となるよう、適宜HSeの流量設定を変えて作製した。
その他の製造方法や構造は上記実施例1と同じである。作製した半導体発光素子1の20mA駆動時の半導体発光素子1特性を表1及び図25に示す。
Figure 2012064633
表1及び図25に示した結果から、n型AlGaAsコンタクト層のAl組成が大きくなるにしたがって、動作電圧が高くなっていることがわかる。n型AlGaAsコンタクト層のAl組成が大きくなると、半導体のバンドギャップエネルギが高くなり、分配電極12によるオーミック接触が得難くなり、接触抵抗が増大すると考えられる。その結果、動作電圧の上昇へとつながったと考えられる。
ここで、表1に示す通り、Al組成0.4のn型AlGaAsコンタクト層を用いた場合の半導体発光素子1の動作電圧は2.27Vとなっている。また、このときの発光効率は22.2%と、n型コンタクト層3を用いた実施例1の場合に比べて約4%低い値となっており、Al組成の増大によって半導体発光素子1の効率低下になることは明白である。
また、それ以上に半導体発光素子1の動作電圧が定格電流20mAにおいて2.27Vと、本実施例で作製した素子サイズの一般的な半導体発光素子1の電圧仕様範囲である2.2V前後に対して高い値となっている。
電圧は素子の電極構成などによって変化するものであるが、Al組成の増大にしたがって電圧が増加すること、及び、その増加と共に次第に上昇する電圧の値が大きくなっていることから顧みて、Al組成の増大によりオーミック接触が得にくくなっているという傾向が見て取れる。
上記結果より、実施例1と同様の表面電極17、分配電極12及び界面電極8の電極パターンが満たされていれば、例えば半導体コンタクト層の材料が異なったとしても同様の効果が得られることが明らかである。そして、表1より、高出力、低動作電圧という高い発光効率を得るためには、好適にはコンタクト層の材料としてAlGa1−XAs(ただし、0≦X≦0.3)の範囲で選択される材料が好ましい。更に、AlGaAsのコンタクト層を採用する場合、そのAl組成は0.2程度に抑えることが好ましい。
次に、実施例5を説明する。
本実施例5においては、実施例1と異なり、半導体積層体14の光取出面側(一方の表面)を粗面化しない構造とした例を示す。
実施例1との相違点は、n型クラッド層4を露出させた後の粗面化エッチング工程を一切おこなっていない点のみであり、それ以外の点においては実施例1と同じ製造方法で半導体発光素子1を作製した。
実施例5の半導体発光素子1を実施例1と同様に半導体発光素子1の20mA駆動時の半導体発光素子1特性を評価したところ、発光出力5.6mW、動作電圧1.94Vであり、得られた光出力/投入電力で規定した発光効率は14.4%であった。
このように、半導体積層体14の粗面加工部22による粗面化は、半導体発光素子1の発光出力を著しく向上させる効果があり、この加工の有無によって半導体発光素子1の特性は大幅に変化する。もちろん、粗面加工の加工方法によってはその出力向上率は様々であるが、無加工状態の平面状の光取出面の半導体発光素子1と比較すれば、粗面加工の重要性は明白であると考えられる。
つまり、半導体発光素子1の光取出面側(一方の表面)における半導体積層体14の粗面加工が成されていることが好ましい。
次に、実施例6を示す。
本実施例6においては、透明導電膜21の材料を変えた場合について示す。上記実施例1においては、透明導電膜21にITOを用いた例を示した。本実施例6においては、透明導電膜21の材料にIn(酸化インジウム)、ZnO(酸化亜鉛)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、又はGZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)を用いた。上記の透明導電膜21の製造方法は、いずれもRFマグネトロンスパッタを用いて成膜したものである。透明導電膜21の膜厚はおよそ80nmを狙って成膜した。
なお、透明導電膜21の材料を変えたこと及びZnO系材料の素子分離工程時のエッチング液にリン酸、塩酸の混酸を用いたこと以外については、実施例1と同様である。
実施例6の半導体発光素子1の20mA通電時の特性評価並びに透明導電膜21における抵抗率及び透過率を表2に示す。
Figure 2012064633
表2に示す結果から、いずれの透明導電膜21材料においても実施例1と同様の高効率の半導体発光素子1を得られた。
上記結果より、実施例1と同様の表面電極17、分配電極12及び界面電極8の電極パターンが満たされていれば、透明導電膜21の材料の違いによる影響はほとんどないといえる。
次に、実施例7を説明する。
本実施例7においては、実施例1の透明導電膜21の厚みと抵抗率を変えた場合の半導体発光素子1について示す。
本実施例7においては、透明導電膜21の抵抗率をおよそ8×10−4Ω・cm、1×10−3Ω・cm、5×10−3Ω・cmとし、更に、ぞれぞれの抵抗率ついて透明導電膜21の膜厚を30nm、50nm、150nmとした。
透明導電膜21の抵抗率は、スパッタによる成膜時にチャンパー内に酸素ガスを添加及び調整を行うことにより変更された。具体的には、およそ5sccm(sccm:standard cc/min。1atm及び0℃若しくは25℃のいずれか一定温度で規格化された気体の体積)の酸素ガス添加によって8×10−4/cmを狙い、およそ10sccmの酸素ガス添加によって1×10−3/cmを狙い、およそ40sccmの酸素ガス添加によって5×10−3/cmを狙うことにより成膜条件を設定した。
また、透明導電膜21の膜厚は、成膜時間を調整することによって変更された。具体的には、成膜時間を11分にすることで膜厚30nmを狙い、また、成膜時間を19分にすることで膜厚50nmを狙い、また、成膜時間を56分にすることで膜厚150nmを狙うことにより成膜条件を設定した。
なお、実施例1の透明導電膜21の抵抗率4.5×10−4Ω・cm、その膜厚80nmの条件についても、マトリクスのパラメータに加え、複数の半導体発光素子1を作製している。狙った抵抗率及び膜厚に対して多少の誤差は出ているが、およそ設計通りの値が得られた。
なお、これら以外の成膜条件は上記実施例1に記載の条件と同じである。
実施例1と同様の定格電流20mAにおける半導体発光素子1の特性評価を行った結果を表3に示す。
Figure 2012064633
透明導電膜21の抵抗率及び膜厚は、表3に示すように、半導体発光素子1の発光出力及び動作電圧に対して強い影響力を及ぼすことが確認された。透明導電膜21の抵抗率及び膜厚は、半導体発光素子1の分配電極12へ電流を注入する際の電流分散効果に影響を及ぼす要因となる。したがって、透明導電膜21の抵抗率及び膜厚による電流分散効果が弱ければ、実施例1と同様の電極パターンを有する実施例7の半導体発光素子1の場合、発光領域が表面電極17の周囲に集中し、活性層5の発光面から均一に発光させることができなくなる原因となる。
また、透明導電膜21の透過率は、半導体発光素子1の発光出力を左右する要因の一つとして重要である。半導体発光素子1の活性層5から光取出面側(一方の表面)に光が射出される際、光のほとんどは半導体積層体14の一方の表面(光取出面)の全面に形成されている透明導電膜21を通過して射出される。したがって、この透明導電膜21の透過率が低ければ、半導体発光素子1の発光出力が低下することは明白である。
この影響は、透明導電膜21の膜厚を150nmにした場合の傾向に表れている。例えば、表3に示すように、透明導電膜21の抵抗率を実施例1と同じ程度の4.3×10−4Ω・cmとし、その膜厚を150nmとした半導体発光素子1は、実施例1(透明導電膜21の抵抗率:4.5×10−4Ω・cm、その膜厚:80nm、発光出力:10.2mW、動作電圧:1.95V、発光効率:26.2%)と比較して発光出力がわずかに低下していることがわかる。
なお、透明導電膜21の厚みは常に80nm前後が好ましいわけではなく、半導体発光素子1のサイズや定格電流に応じてその好適な値が変化する。例えば、半導体発光素子1のサイズが500μm角、800μm角、1000μm角と大きくなった場合、さらにその定格電流が200mA、350mA、700mAなど、通常の半導体発光素子1に印加する大きさの電流よりも大きな電流を流す場合、透明導電膜21の膜厚を80nmに設定した半導体発光素子1の光取出面(一方の表面)側から均一な発光分布を得ることは困難である。そのような場合においては、透明導電膜21の膜厚を適宜厚く設計し、製作することが好ましい。
したがって、半導体発光素子1に設ける透明導電膜21の抵抗率は、1×10−3Ω・cm以下であることが好ましく、8×10−4Ω・cm以下の抵抗率を有していることがより好ましい。現時点の技術力において1×10−4Ω・cm以下の抵抗率の透明導電膜21を得ることは容易ではないが、透明導電膜21の透過率さえ損なわなければ、より低抵抗である方が好ましいものである。
以上の結果から、透明導電膜21の抵抗率が現時点で一般的に得られる最小抵抗率1×10−4Ω・cm以上の場合、その膜厚は50nm以上有することが十分な電流分散効果を得る上で好ましい。素子サイズの大型化や、定格電流の大電流化が求められる半導体発光素子1においては、透明導電膜21の厚さは100nm以上にすることが更に好ましい。
なお、仮に、抵抗率が1×10−4Ω・cm以下の透明導電膜21を形成した場合、半導体の抵抗率が小さいほどキャリア濃度は大きくなることから、その透明導電膜21のキャリア濃度は1×1021/cm以上有すると考えられる。その結果、透明導電膜21と半導体積層体14の一方の表面層とがオーミック接触又はトンネル接合するおそれがある。この場合、透明導電膜21から半導体積層体14に電流が直接注入されてしまうことから、半導体積層体14の一方の表面において表面電極17に近い領域に電流が流入してしまうので、その領域から集中的に発光されてしまい、高い発光出力を得ることができなくなってしまう。
したがって、本発明における半導体発光素子1の場合、透明導電膜21と半導体積層体14の光取出面側(一方の表面)は、直接電流が注入されないように、ショットキー接触等によりその間の接触抵抗を極力高くしておくことが好ましい。
また、透明導電膜21と半導体積層体14との間にオーミック接触又はトンネル接合を発生させ難くする手段として、半導体積層体14の一方の表面層にバンドギャップエネルギーが大きい材料を用いることが好ましい。それに対し、例えば、GaAsやInGaAsなどのナローバンドギャップ材料は半導体積層体14の一方の表面層の材料としては好適ではない。
仮に、発光波長が赤外域のナローバンドギャップ系の半導体発光素子1の場合、透明導電膜21と半導体積層体14との間に薄く低キャリア濃度の半導体層を一層追加するなど、透明導電膜21から半導体積層体14に電流が注入されることを極力抑制することが好ましい。
すなわち、本実施例によって、上記の種々の作用を生じるため、光の高出力化及び取出効率並びに低動作電圧化を向上させることができるという効果を奏する。
なお、本発明は、前述した実施例などに限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
1・・・半導体発光素子、2・・・エッチングストップ層、3・・・n型コンタクト層、4・・・n型クラッド層、5・・・活性層、6・・・p型クラッド層、7・・・p型コンタクト層、8・・・界面電極、9・・・導電反射層、10・・・支持基板、11a・・・第2の金属接合層、11b・・・第1の金属接合層、12・・・分配電極、13・・・裏面電極、14・・・半導体積層体、15・・・誘電体層、16・・・第2の合金化バリア層、17・・・表面電極、18・・・第1の合金化バリア層、20・・・レジストマスク、21・・・透明導電膜、22・・・粗面加工部、23・・・オーミック表面電極、24・・・第2の表面電極、100・・・製造用基板

Claims (16)

  1. 活性層を有する半導体積層体の一方の表面に設けられる複数の分配電極と、
    前記半導体積層体の一方の表面側に設けられ、前記複数の分配電極を覆う透明導電膜と、
    前記半導体積層体の他方の表面側に設けられる導電反射層と前記半導体積層体との間に位置する誘電体層と、
    前記誘電体層の内部で前記導電反射層と前記半導体積層体とを電気的に接続し、平面視にて前記複数の分配電極に重ならない位置に設けられる界面電極と、
    前記透明導電膜を介して前記複数の分配電極に電気的に接続し、平面視にて前記分配電極及び前記界面電極に重ならない位置に設けられる表面電極とを備える半導体発光素子。
  2. 前記透明導電膜が、前記分配電極にオーミック接触し、前記半導体積層体の前記一方の表面にショットキー接触する請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記分配電極が、金属から主として構成される請求項2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記分配電極が、Au、Ni、Ge、Si、及びPdからなる群から選択される金属、又はAu、Ni、Ge、Si、及びPdからなる群から選択される金属が主成分である合金から主として形成される請求項3に記載の半導体発光素子。
  5. 前記界面電極が複数形成されていると共に、複数の前記界面電極のそれぞれと前記分配電極との間隔が、平面視にて、複数の前記界面電極のそれぞれ毎に予め定められた間隔である
    請求項4に記載の半導体発光素子。
  6. 前記半導体積層体の前記一方の表面を形成する一方の表面層はn型半導体層であり、前記他方の表面を形成する他方の表面層はp型半導体層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  7. 前記半導体積層体が、前記一方の表面に凹状若しくは凸状に形成された粗面加工部を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  8. 前記粗面加工部が、前記一方の表面の一部の領域であって平面視にて前記分配電極及び前記表面電極が設けられる領域とは異なる領域に設けられる請求項7に記載の半導体発光素子。
  9. 前記半導体積層体の前記一方の表面を有する一方の表面層が、前記活性層よりバンドギャップエネルギーが大きな材料から形成される請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  10. 前記一方の表面層と前記分配電極との間に介在する層が、AlGa1−XAs(0≦X≦0.3)から形成される請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  11. 前記半導体積層体を前記他方の表面側から支持する支持基板は、Siから形成される請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  12. 前記誘電体層が、SiOから形成される請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  13. 前記導電反射層が、Au若しくはAuを主成分とする合金から形成される請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  14. 前記透明導電膜が、ITO(錫ドープ酸化インジウム)薄膜、In(酸化インジウム)薄膜、ZnO(酸化亜鉛)薄膜、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)薄膜、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)薄膜のいずれかから形成される単層構造、又はそれらのうちの2以上を積層した積層構造である請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  15. 前記透明導電膜の抵抗率が、1×10−3Ω・cm以下であり、
    前記透明導電膜の膜厚が、50nm以上である請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  16. 前記表面電極に電気的に接続し、前記透明導電膜の表面に設けられる補助電極を更に備える請求項1〜15のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
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