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JP2011211086A - 有機薄膜太陽電池素子 - Google Patents

有機薄膜太陽電池素子 Download PDF

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JP2011211086A
JP2011211086A JP2010079396A JP2010079396A JP2011211086A JP 2011211086 A JP2011211086 A JP 2011211086A JP 2010079396 A JP2010079396 A JP 2010079396A JP 2010079396 A JP2010079396 A JP 2010079396A JP 2011211086 A JP2011211086 A JP 2011211086A
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Nagaharu Ra
永春 羅
Takeshi Kondo
健 近藤
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Lintec Corp
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Abstract

【課題】 導電性の微細な凹凸(微細突起)構造を有し、光電変換効率の高い有機薄膜太陽電池素子を提供する。
【解決手段】 微細突起を有する基層20と、基層20上に設けられた第1電極30Aと、第1電極30A上に設けられた光電変換層40Aと、光電変換層40A上に設けられた第2電極50Aと、を具備し、第1電極30A及び第2電極50Aのうち少なくとも一方は、二層以上の導電膜を積層した導電層であり、導電層は光電変換層40Aとの接触面に導電性微細突起を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機薄膜太陽電池素子に関する。
近年、有機薄膜太陽電池として、原料の低コスト化、柔軟性、形成の容易性、吸光係数の高さ等の観点から、光電変換活性層に有機化合物を用いた有機薄膜太陽電池が注目されている。有機薄膜太陽電池は、相分離を利用したバルクヘテロ構造体が第3世代の有機薄膜太陽電池として提案されている(特許文献1)。しかし、相分離を利用した素子は、無秩序のナノ構造体となっており、エキシトンの拡散距離に適した構造体ではない。
そこで、樹脂フィルム/凹凸を有するテクスチャ層/金属酸化物よりなる層の層構成を有する有機薄膜太陽電池用透明電極基板において、凹凸を有するテクスチャ層が光硬化性組成物を硬化してなる有機薄膜太陽電池用透明電極基板が提案されている(特許文献2)。特許文献2に記載の有機薄膜太陽電池用透明電極基板は、所定のテクスチャ層を設けることにより、透明電極の表面形状を適度な表面粗さに制御し、有機薄膜太陽電池の光電変換効率の優れたものにするというものである。
特開2000−286479号公報 特開2008−177549号公報
ところで、有機薄膜太陽電池において、透明導電層は、例えば、金属酸化物よりなる層(導電層)から形成されるが、前記導電層の膜厚が薄くなると抵抗率が高くなるため、有機薄膜太陽電池として使用可能なものとするためには前記導電層の膜厚をある程度厚くし、抵抗率を低くする必要がある。しかしながら、膜厚が厚すぎると、透過率が低下し、光変換効率が低下するという問題があった。
一方、特許文献2の方法では、凹凸を有するテクスチャ層に金属酸化物よりなる層(導電層)を途切れなく均一に薄く形成することが困難であった。また、金属酸化物よりなる層の膜厚を厚くして、均一に形成しようとすると、テクスチャ層の凹凸を埋めてしまうため、金属酸化物よりなる層(導電層)の表面を微細な凹凸構造とすることは困難であった。したがって、テクスチャ層を設けることによる効果が得られない、すなわち、十分な光電変換効率向上が得られるものではなかった。
本発明はこのような事情に鑑み、導電性の微細な凹凸(微細突起)構造を有し、光電変換効率の高い有機薄膜太陽電池素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、微細突起を有する基層と、前記基層上に設けられた第1電極と、前記第1電極上に設けられた光電変換層と、前記光電変換層上に設けられた第2電極と、を具備し、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくとも一方は、二層以上の導電膜を積層した導電層であり、前記導電層は前記光電変換層との接触面に導電性微細突起を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池素子にある。
かかる態様によれば、導電性微細突起を有するように構成することにより、導電層の表面積が非常に大きくなっているため、導電層と光電変換層との接触面積が大きくなり、光電変換層でのキャリアの移動に有効な界面が広がる。これにより、エネルギー変換効率を向上させることができる。さらに、微細突起構造は入射光に対して光を閉じ込める受光機能があるため、有機薄膜太陽電池の光変換効率の向上に有利である。これにより、光電変換効率の高い有機薄膜太陽電池を実現することができるものとなる。
本発明の好適な実施態様としては、前記導電性微細突起は、高さが10〜1000nmであり、該導電性微細突起間のピッチが10〜1000nmとなるように設けられているものが挙げられる。
前記導電層は、金属からなる導電膜及び金属酸化物からなる導電膜を積層して形成したものであるのが好ましい。これによれば、高い光透過率及び低い抵抗率を実現することができる。
前記金属は白金、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、イリジウム及びクロムからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、前記金属酸化物は、酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム、酸化スズ、酸化イリジウム、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化亜鉛、及びドーパントとしてガリウム又はアルミニウムを含むこれらの金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
前記導電層は光透過率が50%以上であるのが好ましい。これによれば、導電層を透明電極(陽極)として好適に用いることができる。
前記導電膜は、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、化学気相蒸着(iCVD:Initiated chemical vapor deposition)法、自公転式抵抗加熱蒸着法、自公転式EB蒸着法、自公転式スパッタリング法、自公転式イオンプレーティング法からなる群から選択される方法により形成されたものであるのが好ましい。これによれば、導電層の下に設けられる微細突起を有する基層の表面全体に均一に、途切れのない薄膜状の導電膜を容易に形成することができる。すなわち、薄膜状の導電膜は、導電層の下に設けられる微細突起を有する基層の微細突起の形状を維持し、導電性の微細な凹凸構造(突起)を有するものとすることができる。
本発明の好適な実施態様としては、前記光電変換層は、p型有機半導体層とn型有機半導体層とを具備し、前記p型有機半導体層と前記n型有機半導体層との間に、前記p型有機半導体層の有機半導体材料と前記n型有機半導体の有機半導体材料とが混合された混合層が設けられているものが挙げられる。
本発明の好適な実施態様としては、前記光電変換層は、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とが混合された真性半導体層からなるものが挙げられる。
前記基層は、硬化前の貯蔵弾性率が1×10〜1×10Paである硬化型樹脂組成物からなるのが好ましい。
前記硬化型樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、エネルギー線硬化型のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有するのが好ましい。
前記硬化型樹脂組成物は、側鎖に重合性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有することを特徴とするのが好ましい。
本発明によれば、導電性の微細な凹凸構造(突起)を有し、光電変換効率の高い有機薄膜太陽電池素子を実現することができる。
実施形態1に係る有機薄膜太陽電池素子の断面図である。 実施形態2に係る有機薄膜太陽電池素子の断面図である。 サンプル1の基層のSEM写真である。 サンプル1のSEM写真である。 サンプル2のSEM写真である。 サンプル1のTEM写真である。 サンプル3のTEM写真である。 サンプル5のTEM写真である。 サンプル7のTEM写真である。 サンプル9のTEM写真である。
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る有機薄膜太陽電池素子の断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池素子100Aは、基材10と、基材10上に設けられ微細突起を有する基層20と、基層20上に設けられる第1電極30Aと、第1電極30A上に設けられる光電変換層40Aと、光電変換層40A上に設けられる第2電極50Aとから構成される。そして、第1電極30Aは、第1の導電膜31Aと、第2の導電膜32Aとからなり、表面に導電性微細突起33Aを有する。
この導電性微細突起33Aは、第1電極30Aが微細突起を有する基層20の表面全体に途切れなく成膜されることで形成されるものである。本実施形態の有機薄膜太陽電池素子100Aは、第1電極30Aの表面に導電性微細突起33Aが欠点なく正確に形成されているため、第1電極30Aの表面積は、微細突起の無い平らな面の表面積と比較して、非常に大きくなり、この上に形成される光電変換層40Aとの接合面積を大きくすることができる。
なお、本実施形態の有機薄膜太陽電池素子100Aは、第1電極30Aが透明電極(陽極)であり、第2電極50Aが陰極となった、光を基材10側から入射させる、いわゆるボトム型の有機薄膜太陽電池素子である。
第1の導電膜31Aは金属からなり、第2の導電膜32Aは金属酸化物からなる。本実施形態のように、金属膜(第1の導電膜)31Aと金属酸化物膜(第2の導電膜)32Aとを積層して形成した導電層は、高い光透過率と低い抵抗率を両立させたものとすることができる。
第1電極30Aが金属酸化物膜(第2の導電膜)32Aのみで形成される場合、第1電極30Aは、太陽電池として使用可能な高い光透過率を有する透明電極となるが、太陽電池として低い抵抗率を得るためには、金属酸化物膜(第2の導電膜)32Aの膜厚を厚くする必要がある。しかしながら、膜厚が厚すぎると、表面に導電性微細突起33Aを得ることができない。また、第1電極30Aが金属膜(第1の導電膜)31Aのみで形成される場合、第1電極30Aは、太陽電池として使用可能な高い光透過率を得ることが困難である。
本実施形態では、第1電極30Aは、基層20上に、金属膜(第1の導電膜)31Aと金属酸化物膜(第2の導電膜)32Aとを順に積層していることにより、高い光透過率と低い抵抗率を両立することができる。
ここで、第1の導電膜31Aを構成する金属としては、例えば、白金、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、イリジウム、クロム、等の金属やこれらの合金が挙げられる。また、第2の導電膜32を構成する金属酸化物としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化インジウム(In)、酸化イリジウム(IrO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、ドーパントとしてガリウム又はアルミニウムを含むこれらの金属酸化物等が挙げられる。
金属膜(第1の導電膜)31Aの厚さは、2〜20nmであるのが好ましく、さらに好ましくは3〜15nmである。金属膜31Aの厚さが20nmより大きくなると、光透過率が低下してしまう虞がある。また、微細突起と微細突起の間(ピッチ)を埋めてしまい、第1電極30Aの表面に導電性微細突起33Aを形成できなくなってしまう虞がある。また、2nm未満となると、均一な膜を得ることが難しくなる。
金属酸化物膜(第2の導電膜)32Aの厚さは15〜100nmであるのが好ましく、さらに好ましくは20〜60nmである。金属酸化物膜32Aの厚さが15nm未満となると、基層20の微細突起上に均一に膜を形成することが困難となり、また抵抗値が高くなってしまう。厚くなりすぎると、微細突起と微細突起の間(ピッチ)を埋めてしまい、第1電極30Aの表面に導電性微細突起を形成できなくなってしまう。
金属からなる第1の導電膜31Aと金属酸化物からなる第2の導電膜32Aとを積層して形成した第1電極30Aは、例えば、光透過率が50%以上で表面抵抗率が50Ω/□以下とすることができる。光透過率は、好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。表面抵抗率は、好ましくは40Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω/□以下である。
第1電極30Aは、光透過率の観点から、基層20上に金属膜(第1の導電膜)31Aと金属酸化物膜(第2の導電膜)32Aとが順次積層されることが好ましい。これ以外の場合は、光透過率が低下する場合がある。
上述したように、金属膜(第1の導電膜)31Aと金属酸化物膜(第2の導電膜)32Aとを積層することで、高い光透過率と低い抵抗率を両立させた薄膜の第1電極30Aとすることができる。さらに、第1電極30Aが薄膜であることにより、基層20に形成された導電性微細突起の溝を埋めることなく、第1電極30Aは、基層20の表面に途切れなく均一に形成され、導電性微細突起33Aを有するものとすることができる。
ここでいう導電性微細突起とは、ナノサイズの微細突起のことを指す。導電性微細突起の形状は、特に限定されず、一方向に延びる畝状であってもよく、柱状、錐状であってもよい。
導電性微細突起33Aは、高さが10〜1000nmであり、10〜500nmであるのが好ましく、さらに好ましくは20〜400nmである。ここでいう高さとは、導電層表面(第2の導電膜32A)の凹部を基準としたときの凸部(突起)の高さをいう。また、導電性微細突起33Aのピッチ(隣り合う突起と突起と頂点間の距離)は、10〜1000nmであるのが好ましく、特に50〜500nmであることが好ましい。また、ナノピラーの直径(円柱状の場合)は、10〜500nmであることが好ましく、特に50〜300nmであることが好ましい。
上述した導電性微細突起33Aを有することにより、第1電極30Aの表面積が大きくなって、この上に形成される光電変換層40Aとの接触面積が大きくなり、光電変換層のキャリア移動に有効な界面が広がり、エネルギー変換効率を向上させることができる。さらに、第1電極30Aの光電変換層40Aとの接触面が導電性微細突起を有するため、入射した光を光散乱しやすく、入射光を有効に活用できるため、有機薄膜太陽電池素子の光電変換効率を著しく向上させることができる。
導電膜の形成方法としては、例えば、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)、化学気相蒸着(iCVD:Initiated chemical vapor deposition)法、自公転式抵抗加熱蒸着法、自公転式電子線(EB)蒸着法、自公転式スパッタリング法、自公転式イオンプレーティング法などが挙げられる。なお、ここでいう「自公転式」とは、複数の被成膜対象を保持する保持部を回転(公転)させると共に被成膜対象を回転(自転)させて成膜を行う方法である。
なかでも、自公転式抵抗加熱蒸着法、自公転式電子線(EB)蒸着法、自公転式スパッタリング法、自公転式イオンプレーティング法などの自公転式成膜法が好ましい。ナノスケールの突起に対して、容易に途切れなく均一に成膜を行うことができるためである。自公転回転速度と回転軸の角度を最適化することにより、微細突起を有する基層20上の微細突起側面と底面の膜厚比をコントロールすることができ、途切れのない均一な導電膜を形成することができる。
上述した方法により、導電膜は、基層20上に途切れなく且つ基層20の表面に追従して成膜され、導電性微細突起が形成される。
基材10の材料としては、一般的には、ガラス(板)またはプラスチック(板またはフィルム)が使用される。本実施形態の有機薄膜太陽電池素子100Aでは、基材10側から光を透過させるため、基材10の材料は透明である必要がある。また、有機薄膜太陽電池素子100Aをフレキシブルなものにする場合には、基材10の材料としては、プラスチックフィルムを使用する。
プラスチックの種類としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テトラアセチルセルロース、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエステルスルホン、ポリエーテルイミド、環状ポリオレフィン等の機械的強度、耐久性等に優れたものが好ましい。
基材10の厚さは、例えば、3μm〜5mmであり、好ましくは5μm〜1mmであり、特に好ましくは10μm〜300μmである。
基層20は、微細突起を有するものである。基層20の厚さは、形成すべき微細突起の深さ/高さや要求される強度に応じて適宜決定されるが、通常は1〜100μmであり、好ましくは10〜50μmである。
基層20の微細突起は、上述した第1電極30Aの表面の導電性微細突起で要求される大きさに応じて適宜決定されるものである。したがって、例えば、微細突起は、高さが10〜1000nmであり、10〜500nmであるのが好ましく、さらに好ましくは20〜400nmであり、微細突起のピッチ(隣り合う突起と突起の頂点間の距離)は、10〜1000nmであるのが好ましく、特に50〜500nmであることが好ましい。なお、ここでいう高さとは、基層20表面の凹部を基準としたときの凸部(突起)の高さをいう。
微細突起は、例えば、後述するような基層材料からなる微細突起形成用層に対して、表面に微細突起を有するスタンパーの当該微細突起を転写することにより形成したものが挙げられる。
基層20は、ガラス等の無機材料やプラスチック等の有機材料が基層材料として使用でき、特に限定されない。有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テトラアセチルセルロース、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエステルスルホン、ポリエーテルイミド、環状ポリオレフィン、硬化型樹脂組成物等の機械的強度、耐久性等に優れたものが好ましい。
上記基層材料は、硬化型樹脂組成物からなるのが好ましい。硬化型樹脂組成物を用いた基層材料からなる微細突起形成用層に対して、表面に微細突起を有するスタンパーの当該微細突起を転写して、硬化することにより、微細突起を容易に形成することができる。
上記の硬化型樹脂組成物は、例えば、硬化前の貯蔵弾性率が1×10〜1×10であるのが好ましい。
ここで、「硬化前の貯蔵弾性率」の測定温度は、スタンパーと基層材料とを重ね合わせる(圧着する)作業環境と同じ温度であるものとし、スタンパーと基層材料とを室温で重ね合わせる場合、貯蔵弾性率は、室温下で測定したものであり、スタンパーと基層材料とを加熱下で重ね合わせる場合、貯蔵弾性率は、加熱温度と同じ温度で測定したものである。
硬化型樹脂組成物の硬化前の貯蔵弾性率は、25℃において1×10〜1×10Paの範囲にあることが好ましい。25℃における貯蔵弾性率が1×10〜1×10Paの範囲にあると、加熱操作を行わずにスタンパーの微細突起を容易に転写することができる。転写の容易性の点から、硬化前の貯蔵弾性率は、25℃において1×10〜1×10Paの範囲にあることがより好ましい。
硬化型樹脂組成物の硬化前の貯蔵弾性率の測定は、以下のようにして行う。
<硬化型樹脂組成物の硬化前の貯蔵弾性率の測定方法>
厚さ20μmの硬化型樹脂組成物層を形成し、これを積層して厚さ3mm、直径8mmの円板状の試験片とする。そして、ねじり剪断法により、下記の装置および条件で貯蔵弾性率を測定する。
測定装置:レオメトリック社製,動的粘弾性測定装置「DYNAMIC ANALYZER RDAII」
周波数 :1Hz
昇温速度:3℃/分
硬化型樹脂組成物の硬化前の貯蔵弾性率が上記のような範囲にあると、基層材料は液状ではなく、固体または半固体となって形状保持性があるため、厚さを制御する特別な操作を要することなく、容易に均一な厚さの微細突起形成用層が得られる。また、かかる硬化型樹脂組成物には気泡が発生し難いため、気泡を除去する手間がなく、微細突起形成用層には気泡に起因する欠点のない微細突起が形成される。さらに、硬化型樹脂組成物の硬化前の貯蔵弾性率が上記のような範囲にあると、スタンパーを基層材料に圧着するだけで、スタンパーの微細突起が基層材料に精密に転写されるため、微細突起を有する基層20を簡便に製造することができる。
一方、硬化型樹脂組成物の硬化後の貯蔵弾性率は、1×10Pa以上であるのが好ましく、特に1×10〜1×1010Paであるのが好ましい。ここで、「硬化後の貯蔵弾性率」の測定温度は、太陽電池素子100Aの保管環境と同じ温度、すなわち室温(25℃)であるものとする。
ここで、硬化樹脂組成物の硬化後の貯蔵弾性率の測定は、以下のようにして行う。
<硬化型樹脂組成物の硬化後の貯蔵弾性率の測定方法>
厚さ20μmの硬化型樹脂組成物層を形成し、これを積層して厚さ3mm、直径8mmの円板とし、さらに窒素雰囲気下で紫外線(光量300mJ/cm)を照射して硬化させ、これを試験片とする。そして、ねじり剪断法により、下記の装置および条件で貯蔵弾性率を測定する。
測定装置:TAインスツルメント社製,Q800DMA
周波数 :11Hz
昇温速度:3℃/分
硬化型樹脂組成物の硬化後の貯蔵弾性率が上記のような範囲にあると、基層材料に転写された微細突起が硬化によって確実に固定され、スタンパーと基層20とを分離する際に、微細突起が破壊されたり、変形したりするおそれがなくなる。
上記基層材料を構成する硬化型樹脂組成物は、エネルギー線硬化型樹脂組成物が好ましく、側鎖に重合性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有するもの、あるいは、エネルギー線硬化性を有しない(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、エネルギー線硬化型のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有するものであることが特に好ましい。かかる材料は透明度が高いため、本実施形態の有機薄膜太陽電池素子100Aに好適である。
本実施形態の有機薄膜太陽電池素子100Aに用いられる基層20は、光透過率が80%以上であることが好ましい。
先に、硬化型樹脂組成物が、側鎖に重合性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有する場合について説明する。
側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、側鎖にエネルギー線硬化性基を有することで、得られる基層20が耐熱性に優れ、熱変形し難いものとなる。したがって、熱によって微細突起が変形し難く、各層相互の接合面積が減少することを防止することができる。
側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と、その官能基に結合する置換基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させて得られる、側鎖にエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化型共重合体(A)であることが好ましい。
アクリル系共重合体(a1)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位とからなる。
アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマーは、重合性の炭素−炭素二重結合と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであり、好ましくはヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物が用いられる。
このような官能基含有モノマーのさらに具体的な例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシル基含有アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
アクリル系共重合体(a1)を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が用いられる。これらの中でも、特に好ましくはアルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が用いられる。
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を通常3〜100質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%の割合で含有し、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を通常0〜97質量%、好ましくは60〜95質量%、特に好ましくは70〜90質量%の割合で含有してなる。
アクリル系共重合体(a1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体とを常法で共重合することにより得られるが、これらモノマーの他にも少量(例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下)の割合で、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン等が共重合されてもよい。
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)を、その官能基に結合する置換基を有する不飽和基含有化合物(a2)と反応させることにより、エネルギー線硬化型共重合体(A)が得られる。
不飽和基含有化合物(a2)が有する置換基は、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、官能基がヒドロキシル基、アミノ基または置換アミノ基の場合、置換基としてはイソシアナート基またはエポキシ基が好ましく、官能基がカルボキシル基の場合、置換基としてはイソシアナート基、アジリジニル基、エポキシ基またはオキサゾリン基が好ましく、官能基がエポキシ基の場合、置換基としてはアミノ基、カルボキシル基またはアジリジニル基が好ましい。このような置換基は、不飽和基含有化合物(a2)1分子毎に一つずつ含まれている。
また不飽和基含有化合物(a2)には、エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合が、1分子毎に1〜5個、好ましくは1〜2個含まれている。このような不飽和基含有化合物(a2)の具体例としては、例えば、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、メターイソプロペニルーα,α−ジメチルベンジルイソシアナート、メタクリロイルイソシアナート、アリルイソシアナート;ジイソシアナート化合物またはポリイソシアナート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアナート化合物;ジイソシアナート化合物またはポリイソシアナート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアナート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマー100当量当たり、通常20〜100当量、好ましくは40〜95当量、特に好ましくは60〜90当量の割合で用いられる。
アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応は、通常は常圧、不活性ガス雰囲気下、室温〜70℃にて、酢酸エチル等の有機溶媒中で12〜48時間程度行われる。反応に際しては、触媒や重合禁止剤等を適宜使用することができる。例えば、官能基がヒドロキシル基であるアクリル系共重合体と、置換基がイソシアナート基である不飽和基含有化合物との反応の場合は、ジブチルスズラウレート等の有機スズ系の触媒を用いるのが好ましい。また、官能基と置換基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(a1)中の側鎖に存在する官能基と、不飽和基含有化合物(a2)中の置換基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、エネルギー線硬化型共重合体(A)が得られる。この反応における官能基と置換基との反応率は、通常70%以上、好ましくは80%以上であり、未反応の官能基がエネルギー線硬化型共重合体(A)中に残留していてもよい。
このようにして得られるエネルギー線硬化型共重合体(A)の質量平均分子量は、100,000以上であることが好ましく、150,000〜1,500,000であることがより好ましく、200,000〜1,000,000であることが特に好ましい。なお、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
ここで、エネルギー線として紫外線を用いる場合には、上記エネルギー線硬化型共重合体(A)に光重合開始剤(B)を添加することにより、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
このような光重合開始剤(B)としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニ
ル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメートなどが挙げられる。光重合開始剤(B)は、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して0.1〜10質量部、特には0.5〜5質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
上記基層材料を構成する硬化型樹脂組成物は、上記エネルギー線硬化型共重合体(A)および光重合開始剤(B)以外に、適宜他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、エネルギー線硬化性を有しないポリマー成分および/またはオリゴマー成分(C)、エネルギー線硬化性の多官能モノマーおよび/またはオリゴマー成分(D)、架橋剤(E)、その他の添加剤(F)が挙げられる。
エネルギー線硬化性を有しないポリマー成分および/またはオリゴマー成分(C)としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられ、質量平均分子量が3,000〜250万のポリマーまたはオリゴマーが好ましい。
エネルギー線硬化性の多官能モノマーおよび/またはオリゴマー成分(D)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
架橋剤(E)としては、エネルギー線硬化型共重合体(A)等が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアナート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。
その他の添加剤(F)としては、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、粘着付与剤、顔料、染料、カップリング剤等が挙げられる。
これらの他の成分を硬化型樹脂組成物に配合することにより、硬化前における微細突起の転写の容易性、硬化後の強度、他の層との接着性および剥離性、保存安定性などを改善することが可能になる。
上記他の成分の配合量としては、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して、他の成分の合計で0〜50質量部であることが好ましく、特に0〜20質量部であることが好ましい。
次に、上記基層材料を構成する硬化型樹脂組成物が、エネルギー線硬化性を有しない(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、エネルギー線硬化型のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有する場合について説明する。
エネルギー線硬化性を有しない(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、前述したアクリル系共重合体(a1)と同様の成分が使用できる。また、エネルギー線硬化型のモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、前述の成分(D)と同様の成分が使用できる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体とエネルギー線硬化型のモノマーおよび/またはオリゴマーとの配合比は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対して、エネルギー線硬化型のモノマーおよび/またはオリゴマー10〜150質量部であることが好ましく、特に25〜100質量部であることが好ましい。なお、この場合も、前述した架橋剤(E)やその他の添加剤(F)を配合することができる。
上記基層20を製造するには、最初に、基材上に、基層材料からなる微細突起形成用層を形成する。具体的には、前述した硬化型樹脂組成物と、所望によりさらに溶媒とを含有する塗布剤を調製し、キスロールコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、ダイコーター等の塗工機によって基材上に塗布して乾燥させ、微細突起形成用層を形成する。この微細突起形成用層の貯蔵弾性率は、1×10〜1×10Paであり、固体または半固体であるため、微細突起形成用層は厚み精度が高いものとなり、また、当該微細突起形成用層には気泡が発生し難い。
次に、上記微細突起形成用層に対して、表面に微細突起を有するスタンパーを圧着し、スタンパーの微細突起を転写する。このとき、微細突起形成用層の貯蔵弾性率が1×10〜1×10Paであることで、スタンパーを微細突起形成用層に圧着するだけで、スタンパーの微細突起が微細突起形成用層に精密に転写される。
この状態で、エネルギー線照射装置を使用して、スタンパー側または基材側から微細突起形成用層に対してエネルギー線を照射し、基層材料を硬化させて基層20とする。そして、スタンパーを基層20から分離する。
エネルギー線としては、通常、紫外線、電子線等が用いられる。エネルギー線の照射量は、エネルギー線の種類によって異なるが、例えば紫外線の場合には、光量で100〜500mJ/cm程度が好ましく、電子線の場合には、10〜1000krad程度が好ましい。
上述の製造方法によれば、基層20に、微細突起を欠点なく正確に、かつ簡便に形成することができる。すなわち、得られる基層20においては、欠点のない微細突起が高度に制御されて形成されてなる。
また、光電変換層40Aは、光電変換を行う層であり、有機半導体からなるものである。光電変換層40Aは、単層からなってもよいし、複数層からなってもよい。単層の場合には、光電変換層40Aは、通常、真性半導体(i型半導体)から形成される。また、複数層の場合には、光電変換層40Aは、例えば、下から(第1電極30A側から)順に、p型半導体層/n型半導体層、またはp型半導体層/真性半導体層/n型半導体層から構成される。また、光電変換層40Aには、バッファ層が積層されていてもよい。
真性の有機半導体層は、p型有機半導体の有機半導体材料とn型有機半導体の有機半導体材料とが混合された混合層である。真性の有機半導体の有機半導体材料としては、例えば、フラーレン、フラーレン誘導体、半導体性を有するカーボンナノチューブ(CNT)およびCNT化合物の少なくとも1種類からなる第1の材料と、ポリフェニレンビニレン(PPV)の誘導体またはポリチオフェン系高分子材料からなる第2の材料とを、得られる半導体が真性半導体となるように混合した混合物を使用することができる。
フラーレン誘導体としては、例えば、[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチル(PCBM)等を用いることができ、また、フラーレンの二量体、またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属等を導入したフラーレン化合物なども用いることができる。また、CNTとしては、フラーレンまたは金属内包フラーレンを内包したカーボンナノチューブ等を用いることができる。さらに、CNTの側壁や先端に、種々の分子を付加したCNT化合物等も用いることができる。
ポリフェニレンビニレンの誘導体としては、ポリ[2−メトキシ,5−(2’−エチル−ヘキシロキシ)−p−フェニレン−ビニレン](MEH−PPV)等を用いることができ、ポリチオフェン系高分子材料としては、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリ(3−アルキルチオフェン),ジオクチルフルオレンエン−ビチオフェン共重合体(F8T2)、ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等を用いることができる。
特に好ましい真性の有機半導体としては、PCBMとP3HTとを質量比で1:0.3〜1:4で混合した混合物が挙げられる。
p型の有機半導体としては、例えば、ポリアルキルチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、ポリアルキルチオフェンおよびその誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等フタロシアニン誘導体、有機金属ポリマー等が挙げられるが、中でもポリアルキルチオフェンおよびその誘導体が好ましい。また、これら有機材料の混合物であってもよい。
バッファ層は、p型半導体層又はn型半導体層の少なくとも一方において、電極の間に設けられるものである。バッファ層としては、例えば、正孔ブロッキング材としてのBCP(Bathocuproine:2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、PEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリ(4−スチレンスルホネート)からなる錯体)、酸化モリブデン(MoO)、5酸化バナジウム(V)、酸化チタン(TiO2)等を挙げることができる。このようなバッファ層を設けることにより、有機薄膜太陽電池の変換効率をさらに向上させることができる。このようなバッファ層を設けることにより、有機薄膜太陽電池の変換効率をさらに向上させることができる。
n型の有機半導体としては、フラーレン、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ誘導体が挙げられ、特にフラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体としては、例えば、[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチル(PCBM)等を用いることができる。また、これら有機材料の混合物であってもよい。
光電変換層40Aの厚さは、単層または複数層の場合で異なるが、20nm〜2μmであることが好ましく、特に30nm〜300nmであることが好ましく、40nm〜100nmであることがさらに好ましい。
光電変換層40Aは、上記有機半導体を含有させたジクロロベンゼン等の有機溶液を、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート(スピンキャスト)法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法等のウェットプロセスによって塗工することにより、第1電極30Aの表面に被膜される。また、光電変換層40Aは、真空蒸着、共蒸着、スピンコーティングなどによって形成することもでき、これら以外の手法を用いても良く、例えば、インクジェット、グラビア印刷等により形成しても良い。
第2電極50Aは、導電体によって形成される。この第2電極50Aを形成する導電体は、n型半導体のLUMOレベルに対してエネルギー障壁が小さく、仕事関数が比較的小さいものが好ましい。
上記導電体としては、例えば、白金、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、イリジウム、クロム、酸化亜鉛等の金属、金属酸化物もしくは合金の他、カーボンナノチューブ、またはカーボンナノチューブと上記金属、金属酸化物もしくは合金との複合体が挙げられる。
第2電極50Aの厚さは、20nm〜1μmであることが好ましく、特に30〜200nmであることが好ましい。
第2電極50Aは、例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVD(物理気相蒸着)、もしくは熱CVD、原子層堆積法(ALD)、化学気相蒸着法(iCVD)等のドライプロセス、またはディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレード等の各種コーティングや電気化学的ディポジションなどのウェットプロセスによって、光電変換層40Aの表面に被膜される。
上述したように、本実施形態の有機薄膜太陽電池素子100Aは、第1電極30Aを金属膜31Aと金属酸化物膜32Aとを積層したものとすることにより、薄膜で高い光透過率と低い抵抗率を両立したものとすることができる。
本実施形態の有機薄膜太陽電池素子100Aは、第1電極30Aの表面に導電性微細突起33Aが欠点なく正確に形成されているため、第1電極30Aの表面積は非常に大きくなり、この上に形成される光電変換層40Aとの接合面積を大きくすることができる。第1電極30Aの表面が微細突起33Aを有するため、入射した光を光散乱しやすく、有機薄膜太陽電池素子100Aのエネルギー変換効率を向上させることができる。したがって、光電変換効率の高い有機薄膜太陽電池素子を実現することができる。
(実施形態2)
図2は、実施形態2に係る有機薄膜太陽電池素子の断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図2に示すように、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池素子100Bは、基材10と、基材10上に設けられ微細突起を有する基層20と、基層20上に設けられる第1電極30Bと、第1電極30B上に設けられる光電変換層40Bと、光電変換層40B上に設けられる第2電極50Bとから構成される。そして、第1電極30Bは、第1の導電膜31Bと、第2の導電膜32Bとからなり、表面に導電性微細突起33Bを有する。また、第2電極50Bは、第1の導電膜51Bと、第2の導電膜52Bとからなり、表面に導電性微細突起53Bを有する。
なお、本実施形態の有機薄膜太陽電池素子100Bは、第1電極30Bが陰極であり、第2電極50Bが透明電極(陽極)となった、いわゆるトップから光を入射させるトップ型の有機薄膜太陽電池素子である。
本実施形態の有機薄膜太陽電池素子100Bは、第1電極30A及び第2電極50Bがそれぞれ導電膜を積層したものであり、図2に示すように光電変換層40Bの表面には微細突起が形成されている。
基材10、基層20、第1電極30B、第1の導電膜31B、第2の導電膜32Bは、各々、実施形態1の基材10、基層20、第1電極30A、第1の導電膜31A、第2の導電膜32Aと同様のものとしたので説明を省略する。
また、光電変換層40Bは、単層からなってもよいし、複数層からなってもよい。単層の場合には、光電変換層40Bは、通常、真性半導体(i型半導体)から形成される。また、複数層の場合には、光電変換層40Bは、例えば、下から(第1電極30B側から)順に、n型半導体層/p型半導体層、またはn型半導体層/真性半導体層/p型半導体層から構成される。また、光電変換層40Bには、バッファ層が積層されていてもよい。なお、これらの材料については、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
本実施形態の有機薄膜太陽電池素子100Bにおいて、光電変換層40B上に設けられる第2電極50Bは、第1の導電膜51Bと、第2の導電膜52Bとからなる。第2の導電膜51B及び第2の導電膜52Bは、金属膜又は金属酸化物膜からなる。本実施形態のように、第1の導電膜51B及び第2の導電膜52Bが金属膜と金属酸化物膜とを積層して形成した導電層は、高い光透過率と低い抵抗率を両立させたものとすることができる。
本実施形態の有機薄膜太陽電池の場合、光は第2電極50B側から入射されるので、第2電極50Bの第1の導電膜51Bは金属酸化物膜であることが好ましく、第2の導電膜52Bは金属膜であることが好ましい。これにより、高い光透過率と低い抵抗率を両立させたものとすることができる。上記第1の導電膜51B及び第2の導電膜52Bの金属膜又は金属酸化物膜は、実施形態1の第1電極31A、第1電極32Aで説明した金属膜又は金属酸化物膜と同様であるので説明を省略する。
本実施形態の有機薄膜太陽電池素子100Bは、第1電極30Bの表面に導電性微細突起33Bが欠点なく正確に形成されているため、第1電極30Bの表面積は非常に大きく、この上に形成される光電変換層40Bとの接触面積を大きくすることができる。また、光電変換層40Bが第1電極30Bの表面に追従して成膜され、微細突起を有するようにすることで、光電変換層40Bの表面積は非常に大きくなり、この上に形成される第2電極50Bとの接合面積を大きくすることができる。これにより、入射した光を光錯乱しやすく、太陽電池素子100Bのエネルギー変換効率を向上させることができる。したがって、光電変換効率の高い太陽電池素子100Bを実現することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、実施形態1及び2では、第1電極30A、第1電極30B、第2電極50Bを二層からなるものとしたが、これに限定されず、三層以上積層したものであってもよい。
また、本発明は、第1電極及び第2電極のうち少なくとも一方が二層からなる導電層となっていればよい。
また、本発明の有機薄膜太陽電池素子は、例えば、有機薄膜太陽電池素子の第2電極上には、カバー層等が積層されてもよい。
また、実施形態1ではボトム型、実施形態2ではトップ型の有機薄膜太陽電池素子の構成を示したが、これに限定されるものではない。例えば、実施形態1では、第2電極50Aが一層からなるものとしたが、第2電極は二層の金属膜からなるものとしてもよい。また、実施形態2では、第1の導電膜31B及び第2の導電膜32Bとして、それぞれ実施形態1の第1の導電膜31A及び第2の導電膜32Aと同様のものとしたが、第1の導電膜31B及び第2の導電膜32Bはいずれも金属膜からなるものとしてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
[微細突起を有する基層に設けられた第1の導電膜からなる電極の製造]
(サンプル1)
ブチルアクリレート62質量部と、メチルメタクリレート10質量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート28質量部とを酢酸エチル中で反応させて、官能基にヒドロキシル基を有するアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
さらに、そのアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液250質量部に、酢酸エチル100質量部と、置換基にイソシアナート基を有する不飽和基含有化合物としてのメタクリロイルオキシエチルイソシアナート30質量部(アクリル系共重合体の2−ヒドロキシエチルアクリレート100当量に対し80.5当量)と、触媒としてのジブチルスズジラウレート0.12質量部とを添加し、窒素置換を行いながら、室温で24時間反応させて、エネルギー線硬化型共重合体を得た。このエネルギー線硬化型共重合体の質量平均分子量(Mw)は、600,000であった。
得られたエネルギー線硬化型共重合体の固形分100質量部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製,イルガキュア184)3.7質量部を溶解させた後、酢酸エチルを加えて固形分濃度を35質量%に調整し、これを硬化型樹脂組成物の塗布剤とした。
得られた硬化型樹脂組成物の塗布剤を、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製,A4100,厚さ:100μm)上に、ナイフコーターにより塗布し、100℃で1分間乾燥して厚さ20μmの硬化型樹脂組成物からなる微細突起形成用層を形成した。硬化型樹脂組成物の硬化前の貯蔵弾性率は、1.4×10Paであった。
得られた微細突起形成用層の表面に、ナノピラーを有するシリコン(Si)製のスタンパー(ナノピラー直径:100nm,ナノピラー高さ:100nm,ピラー間ピッチ:200nmの微細突起を形成することができる)を圧着して、微細突起形成用層に微細突起構造を転写した。その状態で、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から紫外線(光量:300mJ/cm)を照射して、微細突起形成用層を硬化させて微細突起を有する基層を形成した。その後、微細突起を有する基層からスタンパーを剥離して、基板と微細突起を有する基層とからなる積層体を得た。
上記積層体の微細突起を有する基層上に、自公転式EB蒸着により、銀からなる厚さ30nmの金属膜を成膜した。なお、自公転式EB蒸着は、パッチ式高真空蒸着基ME89−0068(ULVAC社製)を用い、下記の条件により行った。
パッチ式高真空蒸着基:ME89−0068(ULVAC社製)
EB GUN :EBG−3M
JIG回転数 :10rpm
速度 :1.0Å/s
B/G圧力 :5.0E−4Pa
POWER :5kV×200mA
(サンプル2)
サンプル1と同様にして、基板と基層とからなる積層体を作製し、その積層体の微細突起を有する基層上に、真空蒸着により、銀からなる厚さ30nmの金属膜を成膜した。
(サンプル3)
サンプル1と同様にして、基板と基層とからなる積層体を作製し、積層体の微細突起を有する基層上に、回転式蒸着により、銀からなる厚さ30nmの金属膜を成膜した。
(サンプル4)
サンプル1と同様にして、基板と基層とからなる積層体を作製し、積層体の微細突起を有する基層上に、自公転式イオンプレーティングにより、銀からなる厚さ20nmの金属膜を下記の条件により成膜した。
ドーム回転速度 :9rpm
基板自公転速度 :27rpm
到達圧力 :9.0E−06Torr
成膜時の圧力 :1.5E−04Torr
Rate :0.53nm
(サンプル5)
サンプル1と同様にして、基板と基層とからなる積層体を作製し、積層体の微細突起を有する基層上に、ALD法により、酸化亜鉛からなる厚さ25nmの金属酸化膜を成膜した。
(サンプル6)
サンプル1と同様にして、基板と基層とからなる積層体を作製し、積層体の微細突起を有する基層上に、自公転式イオンプレーティングにより、スズドープ酸化インジウムからなる厚さ40nmの金属酸化膜を下記の条件により成膜した。
ドーム回転速度 :9rpm
基板自公転速度 :27rpm
到達圧力 :9.0E−06Torr
成膜時の圧力 :2.8E−04Torr
Rate :0.58nm
[微細突起を有する基層/導電層(第1の導電膜/第2の導電膜)からなる積層体の製造]
(サンプル7)
サンプル4の金属膜上に、自公転式イオンプレーティングにより、スズドープ酸化インジウム(ITO)からなる厚さ40nmの金属酸化物膜を形成して、二層の導電膜を積層した導電層を形成した。成膜はサンプル6と同様の条件で行った。
(サンプル8)
サンプル1の金属膜上に、ALD法により、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)からなる厚さ30nmの金属酸化物膜を形成して、二層の導電膜を積層した導電層を形成した。
[有機薄膜太陽電池素子の製造]
(サンプル9)
サンプル1の金属膜上に真空蒸着により、厚さ10nmの正孔ブロッキング材のBCP(Bathocuproine:2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)層(バッファ層)を形成した。このバッファ層上に真空蒸着により、N型有機半導体材料であるフラーレン(C60と表記する)の厚さ20nmの薄膜(N型有機半導体層)を形成した。このN型有機半導体層上に真空蒸着(共蒸着)により、フラーレンとCuPC(銅フタロシアニン)を同量(モル数)ずつ用いて厚さ30nmの薄膜(混合層)を形成した。そして、混合層上に真空蒸着(共蒸着)により、CuPc(銅フタロシアニン)の厚さ20nmの薄膜(P型有機半導体層)を形成した。P型有機半導体層上に、真空蒸着でバッファ層として酸化モリブデン(MoO)からなる厚さ10nmの薄膜を形成した。最後に、真空蒸着法により、Auからなる厚さ20nmの金属膜(第2電極)を形成し、透明なガラスキャップにより封止し、トップ型の有機薄膜太陽電池素子を得た。
有機薄膜太陽電池素子の構造は、以下の通りである。
基層/Ag(30nm)/BCP(10nm)/C60(20nm)/C60:CuPC(30nm)/CuPC(20nm)/MoO3(10nm)/Au (20nm)
(サンプル10)
基層に微細突起を形成しなかった以外は、サンプル9と同様にして、有機薄膜太陽電池素子を得た。
(実施例1)
サンプル7の金属酸化物膜上に、ポリチオフェン系導電性ポリマーPEDOT:PSSの水分散液(Bayer社製、商品名:BaytronP)をスピンコートにより塗布し、140℃で30分乾燥し、厚さ50nmとなるように成膜してバッファ層を形成した。続いて、バッファ層上に、P型有機半導体材料であるP3HT(ポリ−3−ヘキシルチオフェン)及びN型有機半導体材料であるPCBM([6,6]−フェニルC61−酪酸メチル)を含むクロロベンゼン溶液をスピンコートにより塗布し、150℃で10分間乾燥して厚さ100nmの薄膜(光電変換層)を形成した。光電変換層上に、真空蒸着によりアルミニウムからなる厚さ100nmの金属膜(第2電極)を形成し、ガラスキャップにより封止し、有機薄膜太陽電池素子を得た。
有機薄膜太陽電池素子の構造は以下の通りである。
基層/Ag(20nm)/ITO (40nm)/PEDOT:PSS(50nm)/PCBM:P3HT(100nm)/Al(100nm)
(実施例2)
サンプル7の代わりに、サンプル8を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機薄膜太陽電池素子を得た。
有機薄膜太陽電池素子の構造は以下の通りである。
基層/Ag(30nm)/GZO (30nm)/PEDOT:PSS(50nm)/PCBM:P3HT(100nm)/Al(100nm)
(比較例1)
基層に微細突起を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、有機薄膜太陽電池素子を得た。
(比較例2)
基層に微細突起を形成しなかった以外は、実施例2と同様にして、有機薄膜太陽電池素子を得た。
(試験例1)微細突起構造の観察
サンプル1の基層、サンプル1、サンプル2の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて6万倍で観察した。結果を図3〜5に示す。
図3に示すように、サンプル1の基層は、均一な高さ及び直径のナノピラーを有する微細突起構造が形成されていることがわかった。
また、図4に示すように、自公転式EB蒸着により形成したサンプル1は、Agからなる導電膜が途切れなく形成されて、表面が均一な高さの導電性微細突起を有していたのに対し、図5に示すように、真空蒸着により形成したサンプル2は、Agからなる導電膜が基層上のナノピラーの凸部側面には成膜されておらず、均一に形成されていなかった。
また、サンプル1、サンプル3、サンプル5、サンプル7、サンプル9の有機薄膜太陽電池素子の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて6万倍で観察した。結果を図6〜10に示す。
図6に示すように、自公転式EB蒸着により形成したサンプル1は、Agが途切れなく成膜され、導電性微細突起を有していることが確認できた。
一方、図7に示すように、回転式蒸着により形成したサンプル3は、Agが片面のみに成膜されており、途切れてしまっていることが確認された。
図8に示すように、ALD法により形成したサンプル5は、ZnOが均一な薄膜が形成され、導電性微細突起を有していることが確認された。
図9に示すように、自公転式イオンプレーティングにより銀(導電膜)を成膜したサンプル4上に、自公転式イオンプレーティングによりITO(導電膜)を成膜した積層体であるサンプル7は、いずれの導電膜も途切れなく成膜され、導電性微細突起を有していることが確認された。
図10に示すサンプル9の有機薄膜太陽電池素子のように、公転式EB蒸着により形成した銀からなる金属膜は、いずれも途切れなく成膜され、導電性微細突起を有していることが確認された。
以上より、自公転式EB蒸着、ALD法、自公転式イオンプレーティング法によれば、微細突起を有する基層上に、薄膜の導電層を途切れなく成膜でき、これにより導電性微細突起を形成できることがわかった。
(試験例2)表面抵抗率
2.5cm×2.5cmの試験片を用いて、三菱化学社製の4端子法抵抗測定器(ロレスターMP)を用いてサンプル4〜8の導電層の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。結果を表1に示す。
(試験例3)光透過率
2.5cm角の試料を用意し、分光光度計(日本分光(株)製、「V−7200」)を用いて、波長400〜800nmにおけるサンプル4〜8の光線透過率(%)を測定した。ここで、光透過率が波長400〜800nmのすべての領域において25%以上であった場合を25%以上とし、60%以上であった場合を60%以上とし、80%以上であった場合を80%以上とする。結果を表1に示す。
表1に示すように、金属酸化物膜のみからなるサンプル5及び6は、光透過率は高いものの、表面抵抗率が高かった。また、金属膜のみからなるサンプル4の導電層は、表面抵抗率は低いが、光透過率が非常に低かった。
以上より、サンプル4、5及び6のように、導電膜を1層のみで形成する場合、有機薄膜太陽電池素子の電極としては不適切なものであった。
これに対し、金属膜と金属酸化物膜とを積層したサンプル7及び8の導電層は、表面抵抗率が低く、光透過率が高く、有機薄膜太陽電池素子の電極として適していることがわかった。
(試験例4)光電変換効率の測定
サンプル9、10、実施例1〜2、比較例1〜2で得られた有機薄膜太陽電池素子に対し、ソーラーシミュレーターにより擬似太陽光(AM1.5G)を100mw/cmで照射光源として照射し、ソースメジャーユニット(ワコム電創社製)を用いて電流電圧特性を測定することにより、光電変換効率(%)を求めた。結果を表2及び表3に示す。
これより、二層以上の導電膜からなる導電層を具備し、導電層は表面に微細突起を有する有機薄膜太陽電池素子は、光電変換効率が向上することがわかった。
10 基板
20 基層
30A,30B 第1電極
33A,33B,53B 導電性微細突起
40A,40B 光電変換層
50A,50B 第2電極
100A,100B 有機薄膜太陽電池素子

Claims (11)

  1. 微細突起を有する基層と、
    前記基層上に設けられた第1電極と、
    前記第1電極上に設けられた光電変換層と、
    前記光電変換層上に設けられた第2電極と、を具備し、
    前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくとも一方は、二層以上の導電膜を積層した導電層であり、前記導電層は前記光電変換層との接触面に導電性微細突起を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池素子。
  2. 前記導電性微細突起は、高さが10〜1000nmであり、該導電性微細突起間のピッチが10〜1000nmとなるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池素子。
  3. 前記導電層は、金属からなる導電膜及び金属酸化物からなる導電膜を積層して形成したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池素子。
  4. 前記金属は白金、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、イリジウム及びクロムからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、前記金属酸化物は、酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム、酸化スズ、酸化イリジウム、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化亜鉛、及びドーパントとしてガリウム又はアルミニウムを含むこれらの金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項3に記載の有機薄膜太陽電池素子。
  5. 前記導電層は光透過率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機薄膜太陽電池素子。
  6. 前記導電膜は、原子層堆積法、化学気相蒸着法、自公転式抵抗加熱蒸着法、自公転式電子線蒸着法、自公転式スパッタリング法、自公転式イオンプレーティング法からなる群から選択される方法により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機薄膜太陽電池素子。
  7. 前記光電変換層は、p型有機半導体層とn型有機半導体層とを具備し、
    前記p型有機半導体層と前記n型有機半導体層との間に、前記p型有機半導体層の有機半導体材料と前記n型有機半導体の有機半導体材料とが混合された混合層が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機薄膜太陽電池素子。
  8. 前記光電変換層は、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とが混合された真性半導体層からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機薄膜太陽電池素子。
  9. 前記基層は、硬化前の貯蔵弾性率が1×10〜1×10Paである硬化型樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機薄膜太陽電池素子。
  10. 前記硬化型樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、エネルギー線硬化型のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有することを特徴とする請求項9に記載の有機薄膜太陽電池素子。
  11. 前記硬化型樹脂組成物は、側鎖に重合性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有することを特徴とする請求項9又は10に記載の有機薄膜太陽電池素子。


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