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JP2011184492A - 可溶性末端変性イミドオリゴマーおよびワニス並びにその硬化物 - Google Patents

可溶性末端変性イミドオリゴマーおよびワニス並びにその硬化物 Download PDF

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JP2011184492A JP2010048501A JP2010048501A JP2011184492A JP 2011184492 A JP2011184492 A JP 2011184492A JP 2010048501 A JP2010048501 A JP 2010048501A JP 2010048501 A JP2010048501 A JP 2010048501A JP 2011184492 A JP2011184492 A JP 2011184492A
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Hiroaki Yamaguchi
裕章 山口
Yukio Kaneko
幸夫 金子
Yoshiyuki Watanabe
祥行 渡辺
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Ube Industries Ltd
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Abstract

【課題】有機溶媒に対する溶解性が良好で保存安定性に優れ、かつ、硬化物の耐熱性および弾性率、引張強度等の機械的特性にも優れた末端変性イミドオリゴマーおよびワニスを提供する。
【解決手段】3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類を主成分とする芳香族テトラカルボン酸類と、2,4−および/または2,6−トリレンジアミンを主成分とする芳香族ジアミン化合物と、4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸のような不飽和基を有する末端変性剤とからなる末端変性イミドオリゴマー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、末端変性イミドオリゴマーおよびワニス並びにその硬化物に関する。特に、この末端変性イミドオリゴマーを繊維状補強材に含浸させた繊維強化プリプレグを熱硬化して得られる複合材料は、耐熱性、機械特性等に優れ、航空機や宇宙産業用機器等の用途に好適である。
末端変性イミドオリゴマーは、その硬化物が優れた耐熱性を有することから、成形品や繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として従来から知られている。なかでも、末端を4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸で変性したイミドオリゴマーが成形性、耐熱性、力学特性のバランスに優れているとされ、例えば、特許文献1には硬化物の耐熱性および機械的特性が良好で、実用性の高い末端変性イミドオリゴマーおよびその硬化物を提供することを目的とし、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物と4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸とを反応させて得られ、対数粘度が0.05−1である末端変性イミドオリゴマーおよびその硬化物が開示されている。そして、その発明の効果として、実用性の高い新規な末端変性イミドオリゴマーを得ることができること、また、耐熱性や弾性率、引張強度および伸び等の機械的特性が良好な新規な末端変性ポリイミドの硬化物を得ることができると記載されている。
しかし、これらの末端変性イミドオリゴマーは、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略称する。)などの有機溶媒に室温(本明細書で室温とは23℃±2℃を意味する。)で20重量%以下しか溶解せず、高濃度の溶液組成物(ワニス)を得るのは困難であった。また、このワニスを保存しておくとしばしば数日後にゲル化する現象が見られ、保存安定性にも問題があった。
特許文献2および3には、フルオレン環構造を有するジアミンを用いることにより有機溶媒への溶解性を改善した末端変性イミドオリゴマーおよびその硬化物が開示されている。得られた末端変性イミドオリゴマーのNMPへ溶解性は良好で、40重量%以上の濃度のワニスが得られると記載されている。しかし、特許文献2に開示されている末端変性イミドオリゴマーは、その硬化物の耐熱性は十分であるものの、ワニスとして保存した場合には1−2ヶ月でゲルが発生する場合が多く、長期保存安定性が十分であるとはいえない。また、特許文献3に開示されている末端変性イミドオリゴマーは、ワニスとして数ヶ月保存してもゲルの発生はないものの、その硬化物のガラス転移温度(Tg)が350℃以下であり、耐熱性が十分に優れているとはいえない。
特開2000−219741号公報 特開2006−104440号公報 特開2006−312699号公報
本発明は、有機溶媒に対する溶解性が良好で保存安定性に優れ、かつ、硬化物の耐熱性および弾性率、引張強度等の機械的特性にも優れた末端変性イミドオリゴマーおよびワニスを提供することを目的とする。
本発明は、特定の芳香族テトラカルボン酸類と、芳香族ジアミン化合物あるいは芳香族ジイソシアネート化合物と、末端変性剤とからなる下記化学式(1)で表される末端変性イミドオリゴマーである。
Figure 2011184492
但し、化学式(1)において、
は、その60モル%以上が下記化学式(2)で示される4価のユニットであり、
は、その60モル%以上が下記化学式(3)で示される2価のユニットであり、
Xは、不飽和基を有する2価のユニットである。
Figure 2011184492
Figure 2011184492
上記化学式(1)におけるXは、下記化学式(4)で表される2価のユニット、およびそれらの誘導体である2価のユニットからなる群から選択される2価のユニットであるのが好ましい。
Figure 2011184492
本発明により、有機溶媒に対する溶解性が良好で長期保存安定性に優れ、かつ、硬化物の耐熱性および弾性率、引張強度等の機械的特性に優れた末端変性イミドオリゴマー並びにワニスを提供することができる。本発明の末端変性イミドオリゴマーを繊維状補強材に含浸させた繊維強化プリプレグを熱硬化して得られる複合材料は、耐熱性、機械特性等に優れ、航空機や宇宙産業用機器等の用途に好適である。
本発明の一般式(1)で表される末端変性イミドオリゴマーは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類を主成分とする芳香族テトラカルボン酸類と、2,4−および/または2,6−トリレンジアミンを主成分とする芳香族ジアミン化合物あるいは2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネートを主成分とする芳香族ジイソシアネート化合物と、4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸(以下、PEPAと略記することもある)のような不飽和基を有する末端変性剤とを、各酸基の当量の合計と各アミノ基あるいは各イソシアネート基の当量とが概略等量となるようにして、好適には溶媒中で反応させて得られる。
前記の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類とは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、あるいは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸のエステルまたは塩などの酸誘導体であり、特に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が最適である。
本発明で用いる芳香族テトラカルボン酸類は、前記の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類を、好ましくは60モル%以上、特に85モル%以上含有するのが好ましく、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類のみを用いることもできる。混合して用いる他の芳香族テトラカルボン酸類の例として、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−カルボキシフェニル)エーテル二無水物などが挙げられる。
本発明で用いる芳香族ジアミン化合物は、2,4−および/または2,6−トリレンジアミンを、好ましくは60モル%以上、特に85モル%以上含有するのが好ましく、2,4−および/または2,6−トリレンジアミンのみを用いることもできる。また、これらのアミノ基をイソシアネート基に変性した誘導体である2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネートを代わりに用いることもできる。混合して用いる他の芳香族ジアミン化合物の例として、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、2,6−ジエチル−1,3−ジアミノベンゼン、4,6−ジエチル−2−メチル−1,3−ジアミノベンゼン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−ODA)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−ODA)、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(2,6−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)、ビス(2−エチル−6−メチル−4−アミノフェニル)メタン、4,4’−メチレン−ビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェノキシ)プロパン、2,2−ビス[4’−(4’’−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
本発明で用いる不飽和基を有する末端変性剤は、オリゴマーのアミン末端変性(エンドキャップ)用の不飽和基を有するジカルボン酸またはその誘導体であり、具体的には4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸又はその誘導体、例えばテトラヒドロ無水フタル酸メチルなど、無水ナジック酸又はその誘導体、例えばメチル無水ナジック酸、オキシ無水ナジック酸、ジメトキシ無水ナジック酸、ヘキサクロロ無水ナジック酸など、無水マレイン酸又はその誘導体、例えば無水マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸ジイソプロピル、ジクロロ無水マレイン酸などがある。特に、耐熱性や耐酸化性から4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸が好適である。末端変性剤は1種類を用いても良く、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の末端変性イミドオリゴマーを調製する際に用いることができる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルカプロラクタム、γ−ブチロラクトン(GBL)、シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の選択に関しては可溶性ポリイミドについての公知技術を適用することができる。
本発明の末端変性イミドオリゴマーは、例えば、前記の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類(特に、この酸二無水物)と、2,4−トリレンジアミンを含む芳香族ジアミン化合物と、末端変性剤である4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸とが、全成分の酸無水基(または隣接するジカルボン酸基)の全量とアミノ基の全量とがほぼ等量になるように使用して、各成分を、前述の溶媒中で、約120℃以下の反応温度で重合させて、「アミド−酸結合を有するオリゴマー」を生成し、次いで、そのアミド−酸オリゴマー(アミック酸オリゴマーともいう)を、約0−140℃の低温でイミド化剤を添加する方法によるか、あるいは140−275℃の高温に加熱する方法によるかして、脱水・環化させて、末端に4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸残基を有するイミドオリゴマーを得ることができる。芳香族ジアミン化合物の代わりに芳香族ジイソシアネート化合物を用いる場合も同様の方法でイミドオリゴマーを得ることができる。
末端変性剤である不飽和基を有するジカルボン酸またはその誘導体の使用量は、得られる末端変性イミドオリゴマーが所望の特性を有するように調整する。特に、得られる末端変性イミドオリゴマーのNMPなどの有機溶媒への溶解性が室温で40wt%以上であること、数平均分子量が3500以下であること、硬化物のガラス転移温度(Tg)が340℃以上であることが好ましい。具体的には、芳香族テトラカルボン酸類の合計量に対して10−200モル%、特に25−100モル%の範囲内となる割合で使用するのが好ましい。一般に、末端変性剤の使用量が多いとジアミンと末端変性剤との単量体が増加し、溶液中に析出してくる場合がある。一方、少ないとオリゴマーの分子量が大きくなり、有機溶媒への溶解性の低下や溶融粘度上昇による成型性の低下が問題となる場合がある。
イミド化剤としては、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ベンズイミダゾールなどのイミダゾール類、イソキノリンなどのキノリン類、ピリジンなどのピリジン類、トリエチルアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7のようなアミン類など公知のものを用いることができる。
本発明の末端変性イミドオリゴマーの特に好ましい製法としては、例えば2,4−トリレンジアミンを含む芳香族ジアミン化合物を前述の溶媒中に均一に溶解後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を溶液中に加えて均一に溶解後約5−80℃の反応温度で1−180分程度攪拌し、この反応溶液に、4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸を加えて均一に溶解後約5−80℃の反応温度で1−180分程度攪拌しながら反応させて前記の末端変性アミド酸オリゴマーを生成した後、その反応液を140−275℃で5分−24時間攪拌して前記のアミド酸オリゴマーをイミド化反応させて末端変性イミドオリゴマーを生成させ、必要ならば、反応液を室温付近まで冷却する方法を挙げることができる。前記の反応において、全反応工程あるいは一部の反応工程を窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性のガスの雰囲気あるいは真空中で行うことが好適である。
前述のようにして生成した末端変性イミドオリゴマーは、必要があれば反応液を水中等に注ぎ込んで、粉末状の生成物として単離して、粉末状として、あるいは必要なときにその粉末生成物を溶媒に溶解して使用してもよく、また、反応液を、そのままか、あるいは適宜濃縮または希釈するかして、末端変性イミドオリゴマーの溶液組成物(ワニス)として使用してもよい。なお、本発明の末端変性オリゴマーは、分子量の異なるものを混合したものでもよい。また、本発明の末端変性イミドオリゴマーは、他の可溶性ポリイミドと混合してもよい。
本発明の末端変性イミドオリゴマーの硬化物は、末端変性イミドオリゴマー単独またはこれと繊維状補強材との複合材を硬化触媒の存在下または不存在下に熱硬化して得られる。例えば、前記の末端変性イミドオリゴマーのワニスを支持体に塗布し、280−500℃で5−200分間加熱硬化してフィルムとすることができる。また、末端変性イミドオリゴマーの粉体を金型などの型内に充填し、10−280℃で0.1−100MPaで1秒−100分程度の圧縮成形によって予備成形体を形成し、この予備成形体を280−500℃で10分−40時間程度加熱して、硬化物を得ることができる。
さらに、ワニスを繊維状補強材、例えば炭素繊維に含浸させてプリプレグを形成し、140−275℃で5−240分間程度加熱して乾燥およびイミド化した後、280−500℃の温度で、常圧、好適には0.1−100MPaの圧力で、1秒−100分間程度加熱して硬化することにより繊維強化複合材料を得ることができる。また、プリプレグを所定枚数重ねて、オートクレーブやホットプレス等を用いて加熱加圧して硬化させることで積層板を得ることができる。
以下に本発明を説明するためにいくつかの実施例を示すが、これによって本発明を限定するものではない。
以下の例において、各略号は次の化合物を意味する。
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
a−BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
TDA:トリレンジアミン
TDI:トリレンジイソシアネート
ODA:オキシジアニリン
PEPA:4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸
また、各特性の測定条件は、次のとおりとした。
試験方法
(1)示差走査熱量測定:島津製作所製DSC−50を用いて、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で測定した。
(2)数平均分子量(Mn):TOSOH HLC−8220GPCゲル浸透クロマトグラフ分析装置を用い、以下の条件で求めた。N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とし、40℃、0.3ml/minで、カラム(SuperAW2500+SuperAW4000:TOSOH)を通し、重量平均分子量(Mw)3.97×10、1.89×10、9.89×10、3.72×10、1.71×10、9.49×10、5.87×10、2.5×10、1.05×10、4.95×10の分子量既知のポリスチレン(PS)標準物質のRI検出による、溶出時間から求めた検量線を予め作成し、その溶出時間から、MwおよびMnを計算した。
(3)熱重量分析:島津製作所製TGA−50を用いて測定した。窒素雰囲気中、常温から10℃/minの速度で800℃まで昇温した。5%重量減少する温度(Td5)を求めた。
(4)動的粘弾性測定:TAインスツルメンツ(株)製 固体粘弾性アナライザー RSAIII(引張モード 動的測定、周波数62.8rad/sec(10Hz))を用い、雰囲気窒素気流中、25℃から500℃まで温度ステップ3℃で、各温度到達後30秒後に測定を行ない次の温度に昇温して測定を繰り返す方法で、損失弾性率(E'')の極大点を求め、その温度をガラス転移点(Tg)として求めた。
(5)引張試験:フィルムをIEC540規格のダンベル形状に打ち抜いて試験片とし、ORIENTEC社製TENSILONを用いて、チャック間30mm、引張速度2mm/minで、弾性率、破断強度、破断伸びを測定した。
(実施例1)
窒素導入管を備えた4つ口の500mLフラスコに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物21.7715g(0.0740mol)、2,4−トリレンジアミン11.3007g(0.0925mol)及び4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸9.1851g(0.0370mol)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン122.9416gを加えた後、窒素気流下、120℃で反応させ、続けて200℃で5時間攪拌しイミド結合させた。冷却後、反応液を1Lのイオン交換水に投入し、析出した粉末を濾別した。100mLのイオン交換水で30分洗浄し、濾別して得られた粉末を135℃で1日間減圧乾燥し、生成物を得た。
上記で得られた末端変性イミドオリゴマーの未硬化物は、NMP溶媒に室温で40%以上可溶であり、室温保管では3ヶ月ゲル化はみられなかった。この末端変性イミドオリゴマーを、ホットプレスを用いて370℃で1時間加熱して得られたフィルム状の硬化物(厚さ126μm)は、Tgが351℃(固体粘弾性)、TGAによる5%重量減少温度は524℃であった。また、このフィルム形状の硬化物の引張試験による力学的性質は、弾性率が3.3GPa、破断強度が100MPa、破断伸びが3.5%であった。
(実施例2)
窒素導入管を備えた4つ口の500mLフラスコに、2,4−トリレンジアミン15.0055g(0.1228mol)とN−メチル−2−ピロリドン172.0332gを加え、溶解後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物27.0952g(0.0921mol)を入れ、窒素気流下、80℃で2時間重合反応させアミド酸オリゴマーを生成した。この反応溶液に4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸15.2425g(0.0614mol)を入れ、窒素気流下、80℃で2時間反応させ末端変性し、続けて200℃で15時間攪拌しイミド結合させた。冷却後、反応液を1.5Lのイオン交換水に投入し、析出した粉末を濾別した。100mLのイオン交換水で3回洗浄し、濾別して得られた粉末を135℃で1日間減圧乾燥し、生成物を得た。
上記で得られた末端変性イミドオリゴマーの未硬化物は、NMP溶媒に室温で40%以上可溶であり、室温保管では3ヶ月ゲル化はみられなかった。この末端変性イミドオリゴマーを、ホットプレスを用いて370℃で1時間加熱して得られたフィルム状の硬化物(厚さ95μm)は、Tgが404℃(固体粘弾性)、TGAによる5%重量減少温度は496℃であった。また、このフィルム形状の硬化物の引張試験による力学的性質は、弾性率が3.1GPa、破断強度が95MPa、破断伸びが3.3%であった。
(実施例3)
窒素導入管を備えた4つ口の500mLフラスコに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物27.0369g(0.0919mol)、N−メチル−2−ピロリドン175.3630g、1,2−ジメチルイミダゾール0.0738g(0.0008mol)、水0.8413g(0.0467mol)を加え、窒素気流下、130℃に加熱した。溶解後、トリレンジイソシアネート(コロネートT−80:2,4−TDI/2,6−TDI=80/20)19.9984g(0.1149mol)を入れ、130℃で2時間重合反応させオリゴマーを生成した。この反応溶液に4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸11.4018g(0.0459mol)を入れ、窒素気流下、130℃で2時間反応させ末端変性し、続けて200℃で10時間攪拌しイミド結合させた。冷却後、反応液を1.5Lのイオン交換水に投入し、析出した粉末を濾別した。100mLのイオン交換水で3回洗浄し、濾別して得られた粉末を135℃で1日間減圧乾燥し、生成物を得た。
上記で得られた末端変性イミドオリゴマーの未硬化物は、NMP溶媒に室温で40%以上可溶であり、室温保管では1ヶ月ゲル化はみられなかった。この末端変性イミドオリゴマーを、ホットプレスを用いて370℃で1時間加熱して得られたフィルム状の硬化物(厚さ105μm)は、Tgが369℃(固体粘弾性)、TGAによる5%重量減少温度は544℃であった。また、このフィルム形状の硬化物の引張試験による力学的性質は、弾性率が2.5GPa、破断強度が95MPa、破断伸びが4.0%であった。
(比較例1)
窒素導入管を備えた4つ口の500mLフラスコに、4,4’−オキシジアニリン24.9786g(0.1247mol)とN−メチル−2−ピロリドン200.3501gを加え、溶解後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.3844g(0.0999mol)を入れ、窒素気流下、120℃で2時間重合反応させアミド酸オリゴマーを生成した。この反応溶液に4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸12.3837g(0.0499mol)を入れ、窒素気流下、120℃で2時間反応させ末端変性し、続けて200℃へ昇温する途中で結晶が析出し、200℃まで昇温しても溶解しなかった。得られた結晶を用いてフィルム成型を試みたが、流動性を示さず良好なフィルムを得ることはできなかった。
(比較例2)
温度計、攪拌子、窒素導入管を備えた3つ口の100mLフラスコに、4,4’−オキシジアニリン2.002g(10mmol)とN−メチル−2−ピロリドン12mLを加え、溶解後、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物2.354g(8mmol)を加えて窒素気流下、室温で2時間重合反応させアミド酸オリゴマーを生成した。この反応溶液に4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸0.993g(4mmol)を入れ、窒素気流下、室温で18時間反応させ末端変性し、続けて175℃で5時間攪拌しイミド結合させた。冷却後、反応液を120mLのイオン交換水に投入し、析出した粉末を濾別した。60mLのメタノールで30分洗浄し、濾別して得られた粉末を60℃で1日間減圧乾燥し、生成物を得た。
上記で得られた末端変性イミドオリゴマーの未硬化物は、NMP溶媒に室温で20%程度可溶であるが、室温保管では1日後にゲル化が見られた。この末端変性イミドオリゴマーをホットプレスを用いて370℃で1時間加熱して得られたフィルム状の硬化物(厚さ86μm)は、Tgが337℃(DSC)、TGAによる5%重量減少温度は574℃であった。また、このフィルム形状の硬化物の引張試験による力学的性質は、弾性率が2.6GPa、破断強度が118MPa、破断伸びが15.5%であった。
(参考例)
窒素導入管を備えた4つ口の500mLフラスコに、2,4−トリレンジアミン15.0152g(0.1229mol)とN−メチル−2−ピロリドン161.65gを加え、溶解後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物32.1136g(0.1091mol)を入れ、窒素気流下、80℃で2時間重合反応させアミド酸オリゴマーを生成した。この反応溶液に4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸6.7680g(0.0273mol)を入れ、窒素気流下、80℃で2時間反応させ末端変性し、続けて200℃で10時間攪拌しイミド結合させた。冷却後、反応液を1.5Lのイオン交換水に投入し、析出した粉末を濾別した。100mLのイオン交換水で3回洗浄し、濾別して得られた粉末を135℃で1日間減圧乾燥し、生成物を得た。
上記で得られた末端変性イミドオリゴマーの未硬化物は、NMP溶媒に室温で25%可溶であった。この末端変性イミドオリゴマーを、ホットプレスを用いて370℃で1時間加熱したが、良好なフィルムは得られなかった。硬化物のTgは377℃(固体粘弾性)、TGAによる5%重量減少温度は546℃であった。
Figure 2011184492
本発明は、有機溶媒に対する溶解性、溶液保存安定性および低溶融粘度等の成形性に優れ、フィルム化も容易であり、硬化物の耐熱性および弾性率、引張強度および伸び等の機械的特性の高い新規な末端変性イミドオリゴマーおよびワニス並びにその硬化物であり、航空機や宇宙産業用機器をはじめとして易成形性かつ高耐熱性が求められる広い分野で利用可能な材料である。

Claims (8)

  1. 下記化学式(1)で表される末端変性イミドオリゴマー。
    Figure 2011184492
    但し、化学式(1)において、
    は、その60モル%以上が下記化学式(2)で示される4価のユニットであり、
    は、その60モル%以上が下記化学式(3)で示される2価のユニットであり、
    Xは、不飽和基を有する2価のユニットである。
    Figure 2011184492
    Figure 2011184492
  2. Xが、下記化学式(4)で表される2価のユニット、およびそれらの誘導体である2価のユニットからなる群から選択される2価のユニットである請求項1に記載の末端変性イミドオリゴマー。
    Figure 2011184492
  3. 数平均分子量が3500以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の末端変性イミドオリゴマー。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の末端変性イミドオリゴマーを有機溶媒に溶解してなるワニス。
  5. 末端変性イミドオリゴマーの濃度が30質量%以上である請求項4に記載のワニス。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の末端変性イミドオリゴマーを加熱硬化して得られる硬化物。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の末端変性イミドオリゴマーの有機溶媒溶液と繊維状補強材からなる繊維強化複合材料用のプリプレグ。
  8. 請求項7のプリプレグを加熱硬化して得られる繊維強化複合材料。
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