本発明に係る携帯端末の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る携帯端末として携帯電話機1を例にあげて説明する。
図1は、携帯電話機1の斜視図である。携帯電話機1は、図1に示すように、矩形の板状の筐体10を備えていて、筐体10の内部にCPU(Central Processing Unit)などの様々な電子回路が搭載された基板や、アンテナが実装された基板、ディスプレイやキーボード(後述する操作キー13)の基板、電池パックなどが搭載されたアンテナ一体フレーム部材20などが収納されている。
筐体10の一方の面には、データを表示するディスプレイ11、音声を出力するスピーカ12、ユーザ操作によりデータを入力する操作キー13、音声を入力するマイクロフォン14が設けられている。操作キー13は、例えばカーソルや表示画面を上下左右に移動させるための十字キーや、項目を選択するための選択キーや、数字を入力するための数字キー、発信処理を行うための発信キーなどである。
図2(A)は、筐体10の内部に収納されるアンテナ一体フレーム部材20の分解された状態を示す分解斜視図であり、図2(B)は、アンテナ一体フレーム部材20の一体成形された状態を示す組立斜視図である。図2(A)に示すように、アンテナ一体フレーム部材20は、携帯電話機1に内蔵される各々の部品を保持するための樹脂フレーム21、アンテナがパターニング化された基板であるアンテナ基板22、導電体の強度保持部材である板金23を備えている。
樹脂フレーム21は、アンテナ基板22、板金23、ディスプレイやキーボードなどの様々な基板、電池パックなどの各々の部品をそれぞれ所定位置に固定しつつ保持するためのフレームである。樹脂フレーム21は、図2(B)に示すように、アンテナ基板22、板金23を所定位置に固定するようにして、これらのアンテナ基板22、板金23と一体成形される。その際の成形方法は、例えば、金型の内部において板金22及びアンテナ基板23を所定位置に固定した状態で、その金型に樹脂を流し込むことで一体成形する方法である。
樹脂フレーム21は様々な電子部品を収納する役割を担っているため、全体として例えば矩形の外枠を形成する必要があるが、外力に対する強度を維持するために更に内部に支持棒を備えていることが好ましい。そのため樹脂フレーム21は例えば正面視「日」の字の形状に形成されている。樹脂フレーム21をこの形状に形成することで、フレームの開口部に多数の部品を容易に格納することができるとともに、強度を保持しつつ軽量化を図ることができる。なお、樹脂フレーム21の形状はこれに限定されず、「田」の字の形状や「目」の字の形状など、開口部を有しつつ強度を保持できる形状であれば任意の形状で良い。
アンテナ基板22は、携帯電話機1のメインアンテナが実装されていて、例えば樹脂フレーム21の一部に固定されるように樹脂フレーム21の一部と同形状の正面視「コ」の字状に形成されている。そして、図2(B)に示すように、アンテナ基材22は樹脂フレーム21の一部に沿うような状態で樹脂フレーム21と一体形成される。これにより、アンテナ基板22が樹脂フレーム21の所定位置に確実に固定されて、携帯電話機1のメインアンテナの位置のバラツキを防ぐことができる。
板金23は、アンテナ一体フレーム部材20の外力に対する強度を維持するための金属板であり、外形が樹脂フレーム21と同形状になるように形成されている。そして板金23は、樹脂フレーム21と一体成形される際に、樹脂フレーム21の内部の全面を覆うようにして一体形成される。
図3(A)は、アンテナ基板22の拡大斜視図であり、図3(B)は、樹脂フレーム21にアンテナ基板22及び板金23が一体成形された状態を示す斜視図であり、図3(C)は、アンテナ一体フレーム部材20のアンテナ基板22にケーブルが接続された状態を示す斜視図である。
図3(A)に示すように、アンテナ基板22の一部には同軸コネクタ24が実装されている。そして、図3(B)に示すように、アンテナ基板22及び板金23が樹脂フレームに一体成形される際に、アンテナ基板22が樹脂フレーム21と一体成形された状態においてアンテナ基板22の同軸コネクタ24が外部に露出するように一体成形される。アンテナ一体フレーム部材20において同軸コネクタ24が外部に露出していることにより、図3(C)に示すように、露出されている同軸コネクタ24に外部から同軸ケーブル25を接続することで、アンテナ基板22に対して簡単に給電することができる。なお、接続方法は任意であり、例えば板バネを用いた方法などである。
このように、導電性の強度保持部材を有する携帯端末(携帯電話機1)において、アンテナ基板22とを樹脂で一体成形して、アンテナ基板22を樹脂フレーム21の所定位置に固定させるすることで、部品点数および取付け工数を削減し、取付け位置のばらつきを低減することができる。また、板金23などの強度保持部材を樹脂で一体成形して、板金23を樹脂フレーム21の外枠内部に固定させるすることで、アンテナ一体フレーム部材20の薄型化を実現しつつ強度を向上させることができる。
さらに、この携帯電話機1において、例えばアンテナ一体フレーム部材20に同軸コネクタ24を実装することで、アンテナへの給電を簡単に行うことができるなど、樹脂フレーム21と一体成形する基板に、様々な部品を実装させることで、部品点数および取付け工数を削減しつつ携帯電話機1に実装される機能を増加させることができる。
図4(A)は、携帯電話機1のアンテナ一体フレーム部材20Aの分解された状態を示す分解斜視図であり、図4(B)は、携帯電話機1のアンテナ一体フレーム部材20Aの一体成形された状態を示す組立斜視図である。
図4(A)に示すように、アンテナ一体フレーム部材20Aのアンテナ基板22Aは、フレーム基板21と同形状の「日」の字の形状に形成され、所定の位置(例えば第1の位置)にメインアンテナ26が「コ」の字の形状にパターニング化されており、また、他の位置(例えば第2の位置)には第2の通信規格により通信するアンテナ27が「口」の字の形状にパターニング化されている。
そして、図4(B)に示すように、アンテナ基板22Aが樹脂フレーム21の形状に沿うようにして樹脂フレーム21と一体成形されることにより、フレーム樹脂21にメインアンテナ26と第2の通信規格により通信するアンテナ27とがそれぞれ所定位置に固定される。これらのアンテナは、図3(B)に示すように、樹脂フレーム21と一体成形された状態において、同軸コネクタが外部に露出するように一体成形される。
このように、アンテナ基板22、22Aの形状は、樹脂フレーム21と一体化できる形状であれば任意であり、また、アンテナ基板22、22Aに複数のアンテナがパターニング化されていても良い。なお、アンテナ一体フレーム部材20に2つのアンテナがパターニング化されている例について説明したが、これに限定されない。すなわち、図5(A)及び図5(B)に示すように、アンテナ基板22には3つ以上のアンテナがパターニング化されていても良い。
図5(A)は、携帯電話機1のアンテナ一体フレーム部材20Bの分解された状態を示す分解斜視図であり、図5(B)は、携帯電話機1のアンテナ一体フレーム部材20Bの一体成形された状態を示す組立斜視図である。
図5(A)に示すように、アンテナ一体フレーム部材20Bのアンテナ基板22Bは、フレーム基板21と同形状の「日」の字の形状に形成され、所定の位置(例えば第1の位置)にメインアンテナ26が「コ」の字の形状にパターニング化されており、また、他の位置(例えば第2の位置)には第2の通信規格により通信するアンテナ27が「口」の字の形状にパターニング化されており、さらに、他の位置(例えば第3の位置)には第3の通信規格により通信するアンテナ28が線状にパターニング化されている。
そして、図5(B)に示すように、アンテナ基板22Bが樹脂フレーム21の形状に沿うようにして樹脂フレーム21に一体成形されることにより、フレーム樹脂21の一部にメインアンテナ26と第2の通信規格により通信するアンテナ27と第3の通信規格により通信するアンテナ28とが固定される。これらのアンテナは、図3(B)に示すように、樹脂フレーム21と一体成形された状態において、同軸コネクタが外部に露出するように一体成形される。
なお、各々のアンテナの通信規格(第2の通信規格、第3の通信規格など)は任意であり、例えばNFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)などである。
また、携帯電話機1において、アンテナ基板22、22A、22Bにおいて複数のアンテナがパターニング化されていて、そのアンテナ基板22、22A、22Bが樹脂フレーム21と一体成形されることにより形成されたアンテナ一体フレーム部材20、20A、20Bは、複数のシステムに対応することができるとともに、取付けのばらつきを押さえ、アンテナをデザインに影響しない範囲で板金23から離れた位置に設置できるためアンテナ性能を向上させることができる。
また、樹脂フレーム21が全体として「日」の字の形状に形成されていて、アンテナ基板22全体が樹脂フレームに覆われるような状態で一体成形され、板金23が樹脂フレーム21の内部を支持することにより、アンテナ一体フレーム部材20全体の剛性を高めることができるとともに、多数の部品を実装することで携帯電話機1を大型化せずとも多くの機能を持たせることができる。
図6は、携帯電話機1のアンテナ一体フレーム部材20において、アンテナ基板22の同軸コネクタ24を、例えば板バネ29を用いて板金と接触させる例を示す分解斜視図である。図6に示すように、アンテナ基板22の同軸コネクタ24は、板バネ29及び実装部品を介して板金23や別の基板と接続される。これにより、携帯電話機1におけるアンテナの給電や接地を容易にしている。
図7は、携帯電話機1のアンテナ一体フレーム部材20において、アンテナ基板22の同軸コネクタ24を、例えば板バネ29を用いて板金と接触させる別例を示す分解斜視図である。図7に示すように、樹脂フレーム21とは一体成形されないサブ基板30を用意し、そのサブ基板30上に板バネ31や同軸コネクタ24Aを実装し、給電する方法もある。
図8は、携帯電話機1において、アンテナ基板22Cをフレキシブルプリント基板32により形成したアンテナ一体フレーム部材20Cを示す概略図である。図6に示すように、フレキシブルプリント基板32、磁性体33を一体成形することにより形成されたアンテナ基板22Cが樹脂フレーム21に一体成形される。磁性体としては、例えば酸化鉄を主成分とするフェライトなどを用いると良い。ゴム系の磁性体は60℃〜70℃で特性が劣化してしまうのに対し、フェライトは数百℃まで特性が劣化しないからである。また、フレキシブルプリント基板を用いると、はがれやすいという弱点があるが、触媒などで貼り付けることによりこの弱点を克服することができる。
このように、アンテナ基板22Cがフレキシブル性を有する場合であっても同様の効果を実現することができる。また、携帯電話機1において、強度保持部材(板金23など)と基板とさらに磁性体を樹脂で一体成形することにより、RFIDや磁性体を装荷したアンテナに対しても上述した技術を適用することができる。
なお、アンテナが搭載されたアンテナ基板22と板金23とが樹脂フレーム21に一体成形される例について説明したが、これに限定されず、ICやLSIなどのアクティブ素子などの複数の部品が搭載された基板を樹脂フレーム21と一体成形されるようにしても良い。
また、アンテナ一体フレーム部材20、20A、20B、20Cは、一方の面にディスプレイやキーボードの基板が固定され、他方の面にはCPUの基板や電池パックが固定された状態で、携帯電話機1に内蔵される。
また、実施形態として、アンテナ一体フレーム部材20、20A、20B、20Cが筐体10に内蔵される例について説明したが、これに限定されず、アンテナ一体フレーム部材20、20A、20B、20Cの一方の面にディスプレイやキーボードの基板などが例えば両面テープなどで固定され、他方の面にCPUの基板や電池パックなどが例えば両面テープなどで固定されるとともに、表面を装飾シートなどで装飾することにより、筐体10を用いずに携帯電話機1として使用しても良い。
一般に筐体の厚さは0.6mm程度であるため、正面・背面の双方が筐体で覆われることを考えると、筐体だけで1.2mmの厚さを占有することになる。よって、アンテナ一体フレーム部材20、20A、20B、20Cを用いることにより筐体の使用を省略することにより、携帯電話機1は、外力に対する強度や機能性を維持しつつ薄型化を実現することができる。
本発明に係る携帯端末(携帯電話機1)によると、基板や板金をフレーム樹脂と一体成形することにより、部品点数や取り付け工数を削減して取り付け位置のばらつきを抑制することが可能となる。
本発明の説明として、携帯電話機1について説明したが、これに限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、ネットブック、携帯ゲーム機、携帯テレビ等、任意の電子機器であって良い。