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JP2011111567A - 難燃性樹脂組成物、成形体、および絶縁電線 - Google Patents

難燃性樹脂組成物、成形体、および絶縁電線 Download PDF

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JP2011111567A
JP2011111567A JP2009270608A JP2009270608A JP2011111567A JP 2011111567 A JP2011111567 A JP 2011111567A JP 2009270608 A JP2009270608 A JP 2009270608A JP 2009270608 A JP2009270608 A JP 2009270608A JP 2011111567 A JP2011111567 A JP 2011111567A
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JP
Japan
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mass
component
resin composition
ethylene
copolymer
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Application number
JP2009270608A
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English (en)
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Yusuke Kuwasaki
悠介 桑崎
Masami Nishiguchi
雅己 西口
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

【課題】 本発明は、上記の問題点を解決し、難燃性、機械特性および耐電圧特性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することを課題とする。また本発明は、各種のコネクタ、チューブ、およびシートなどの成形体、および耐電圧用絶縁電線を提供することを課題とする。
【解決手段】 (a)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、およびエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種100〜60質量%、(b)ポリエチレン樹脂および/または不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリエチレン樹脂0〜40質量%を含有する熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、(B)金属水和物120〜300質量部、(C1)二重結合を2つ以上有する多官能性単量体0.1〜10質量部、および(C2)有機過酸化物0〜5質量部を含有し、前記樹脂成分(A)中、酸共重合成分および酸エステル共重合成分を合わせた含有量が30質量%以下である組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練してなる難燃性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイのバックライト用高圧リード線や電子機器類の高圧配線に使用される絶縁電線の被覆材として好適な難燃性樹脂組成物に関する。また本発明は、各種のコネクタ、チューブ、およびシートなどの成形体や耐電圧用絶縁電線に関する。
電気・電子機器の配線材に求められる難燃性、耐熱性、機械特性(例えば引張特性、耐摩耗性)などの規格は、UL、JISなどで要求水準に応じて定められている。特に、難燃性に関しては、さらに用途に応じてその試験方法が定められている。したがって実際は、少なくともこの試験に合格する難燃性を有すればよい。例えば、UL1581(電線、ケーブルおよびフレキシブルコードのための関連規格(Reference Standard for Electrical Wires,Cables and Flexible Cords))に規定される垂直燃焼試験(Vertical Flame Test)(VW−1)や、JIS C 3005(ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法)に規定される水平試験や傾斜試験などがそれぞれ挙げられる。
この中でも電子機器用に使用される電子機器用配線においてはUL規格で規定されている特に厳しい垂直難燃規格(UL1581 VW−1)に合格することが必要となる。このため、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのエチレン系共重合体を主体とした樹脂成分に、金属水和物を多量に配合した樹脂組成物で被覆された絶縁電線が、難燃性と機械特性を両立させるものとして使用されている。
しかし、この絶縁電線は耐電圧特性が低く、液晶ディスプレイのバックライト用高圧リード線や、電子機器類の高圧配線に使用する場合、耐電圧特性が不十分である。特に、これらの高圧配線に使用する場合には、高温で耐電圧が要求される。これに対し、従来の配線材では高温での耐電圧が十分とはいえなかった。
また、機械特性についても、UL1581では、例えば、伸び150%、抗張力10.3MPa以上がUL規格で規定されている。これに対し、従来の樹脂組成物を使用した絶縁電線では難燃性、機械特性および耐電圧を同時に満足することは困難であった。
特開2001−135142号公報 特開2007−316537号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、難燃性、機械特性および耐電圧特性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することを課題とする。また本発明は、各種のコネクタ、チューブ、およびシートなどの成形体、および耐電圧用絶縁電線を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、特定のエチレン系共重合体を用い、さらに該共重合体中の共重合体成分含量を特定の範囲内とした樹脂成分を含有する熱可塑性樹脂成分に対し、金属水和物を特定量配合した難燃性樹脂組成物が上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、
<1>(a)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、およびエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種100〜60質量%、(b)ポリエチレン樹脂および/または不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリエチレン樹脂0〜40質量%を含有する熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、(B)金属水和物120〜300質量部、(C1)二重結合を2つ以上有する多官能性単量体0.1〜10質量部、および(C2)有機過酸化物0〜5質量部を含有し、前記樹脂成分(A)中、酸共重合成分および酸エステル共重合成分を合わせた含有量が30質量%以下である組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練してなる難燃性樹脂組成物、
<2>前記酸共重合成分および酸エステル共重合成分が、前記(a)成分中の酢酸ビニル成分、(メタ)アクリル酸成分、および(メタ)アクリル酸エステル成分であることを特徴とする<1>記載の難燃性樹脂組成物、
<3>前記(C1)多官能性単量体が、二重結合を3つ以上有することを特徴とする<1>または<2>記載の難燃性樹脂組成物、
<4>前記(A)熱可塑性樹脂成分100質量部に対し、(D)トリアジン誘導体化合物を80質量部以下含むことを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物、
<5><1>〜<4>のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物を用いて成形された架橋体からなることを特徴とする成形体、および
<6><1>〜<4>のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物を用いた架橋体で導体を被覆したことを特徴とする絶縁電線、
を提供するものである。
本発明の難燃性樹脂組成物の架橋体は、難燃性および機械特性に優れるため、導体に本発明の難燃性樹脂組成物を被覆して架橋することにより難燃性および機械特性に優れた絶縁電線を提供することができる。特に、本発明の難燃性樹脂組成物を用いて成形された架橋体を用いることにより、難燃性と機械特性を両立しながら高い耐電圧特性を維持することができる。
またトリアジン誘導体化合物を含有する本発明の難燃性樹脂組成物は、該組成物を用いて架橋することで、優れた難燃性と機械的特性を維持しながら高温下における耐電圧特性の低下を抑えることができる。
以下、本発明の熱可塑性樹脂成分(A)、金属水和物(B)および(C)二重結合を2つ以上有する多官能性単量体を含有する難燃性樹脂組成物について説明する。
(A)熱可塑性樹脂成分
本発明の難燃性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂成分(A)に(a)成分と(b)成分を含有する。
熱可塑性樹脂成分(A)は、(a)成分として、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種を含有する。本発明において、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とは、エチレン−アクリル酸共重合体とエチレン−メタクリル酸共重合体の両者を含むものである。またエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、エチレン−アクリル酸エステル共重合体とエチレン−メタクリル酸エステル共重合体の両者を含むものである。
(a)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
本発明の(a)成分としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(例えばエチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)の少なくとも1種が用いられる。本発明においては、これらの共重合体を単にエチレン系共重合体ということがある。これらのエチレン系共重合体は、金属水和物などをはじめとする各種フィラーに対する受容性が高いため、フィラーを多量に配合しても機械的強度を維持する効果がある。また、これらのエチレン系共重合体自体が難燃性を有する。
具体的には、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体としては、エバフレックス(商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製)、レバプレン(商品名、バイエル社製)を挙げることができる。またエチレン・メタクリル酸共重合体ではニュクレル(商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製)などを挙げることができる。
また本発明の(a)成分として用いられるエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体を挙げることができる。エチレン・アクリル酸エチル共重合体としては、エバルロイ(商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製)などを挙げることができる。
(a)成分として用いられるエチレン−アクリル酸エステル共重合体としては、単量体成分として少なくともエチレン成分とアクリル酸アルキル成分を有するアクリルゴムも使用することができる。例えば、エチレンとアクリル酸アルキルとの2元共重合体のアクリルゴムを使用することができる。またエチレン、アクリル酸アルキル、及びカルボキシル基を側鎖に有する不飽和炭化水素との3元共重合体のアクリルゴムも使用することができる。これらのアクリルゴムのうち、単量体成分のアクリル酸アルキルとしては、アクリル酸メチルを使用するのが好ましい。
具体的には、2元共重合体アクリルゴムとして、ベイマックDP(商品名、デュポン社製)を挙げることができる。また3元共重合体アクリルゴムとして、ベイマックG、ベイマックHVG、ベイマックGLS(商品名、いずれもデュポン社製)を挙げることができる。
(a)成分のエチレン系共重合体は、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。フィラー受容性および難燃性の点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましい。本発明の(a)成分は熱可塑性樹脂成分(A)中、100〜60質量%である。(a)成分は熱可塑性樹脂成分(A)中、好ましくは100〜70質量%、より好ましくは95〜75質量%である。熱可塑性樹脂成分(A)中の(a)成分の配合量が少なすぎると、本発明の難燃性樹脂組成物の機械的強度が低下し、該組成物の架橋体で導体が被覆された絶縁電線の機械特性に問題が生じる。
(a)成分のエチレン系共重合体のメルトフローレート(以下、MFRと記し、ASTM D−1238に準拠して測定した値をいうものとする。)は、絶縁電線を製造する際の成形性の点から0.1g/10分以上が好ましく、機械強度の点から10g/10分以下であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂成分(A)中、酸共重合成分および酸エステル共重合成分を合わせた含有量が30質量%以下であることが必要である。本発明の難燃性樹脂組成物は、(a)成分以外の共重合体を含有してもよい。その場合でも、酸共重合成分および酸エステル共重合成分を合わせた含有量が30質量%以下であることが必要である。
酸共重合成分および酸エステル共重合成分を合わせた含有量(X)は以下の(式1)により求めることができる。
X(%)=Σ(Ai×Bi)/100 式(1)
式(1)中、
Ai=各共重合体の含有量(%)
Bi=各共重合体の酸共重合成分および酸エステル共重合成分の含有量(%)
熱可塑性樹脂成分(A)中の酸共重合成分および酸エステル共重合成分の含有量(%)は、合計で好ましくは28質量%以下である。耐電圧、特に高温での耐電圧の点からは、酸共重合成分および酸エステル共重合成分の含有量(%)が少ないほうが好ましい。しかし難燃性の点からは、酸共重合成分および酸エステル共重合成分の含有量(%)は熱可塑性樹脂成分(A)中、15〜28質量%が好ましい。さらに好ましくは、15〜25質量%である。
これらの成分の合計が多すぎると、本発明の難燃性樹脂組成物の架橋体で導体が被覆された絶縁電線の絶縁抵抗や耐電圧特性が低下する。特に高温での耐電圧特性が著しく低下する。
(a)成分中の酢酸ビニル成分、(メタ)アクリル酸成分、および(メタ)アクリル酸エステル成分のような極性の高い成分の含量の合計を30質量%以下とすることにより、電圧印加時の分極を少なくすることができ、これにより、耐電圧、特に高温での耐電圧特性の低下を抑制することができる。
共重合体として、(a)成分のエチレン系共重合体のほかに、酸共重合成分または酸エステル共重合成分を有する共重合体を、本発明の難燃性樹脂組成物に配合することができる。(a)成分のエチレン系共重合体のほかに、酸共重合成分または酸エステル共重合成分を有する共重合体を、本発明の難燃性樹脂組成物に配合する場合には、これらの成分の含有量を加えて、酸共重合成分および酸エステル共重合成分を合わせた含有量(X)を計算する。
また共重合体として、エチレン−α−オレフィン共重合体やスチレン−エチレンプロピレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレンブチレン−スチレン共重合体、又はスチレン−エチレン−エチレンプロピレン−スチレン共重合体などのスチレン系エラストマーのような、酸共重合成分および酸エステル共重合成分を有しない共重合体を、本発明の難燃性樹脂組成物に配合してもよい。これらの共重合体が配合されていても、酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有しないため、該共重合体中の共重合成分の量は上記含有量(X)として計算されない。
難燃性を確保しつつ耐電圧、特に高温での耐電圧特性の低下を抑制するためには、(a)成分のエチレン系共重合体を用いる必要がある。本発明の難燃性樹脂組成物には、後述の不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィン樹脂を配合することができる。この場合も、酸共重合成分および酸エステル共重合成分を有しないため、該共重合体中の共重合成分の量は上記含有量(X)として計算されない。
(b)ポリエチレン樹脂および/または不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリエチレン樹脂
本発明の難燃性樹脂組成物には、(b)成分として、ポリエチレン樹脂および/または不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリエチレン樹脂を配合することができる。
本発明のポリエチレン樹脂としては、HDPE(高密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)を挙げることができる。この中でも、機械強度とフィラー受容性の点から、LLDPEが好ましい。強度と柔軟性の点から、密度は0.88〜0.93g/cmが好ましい。またMFRは成形性の点から、0.1〜10g/10分が好ましい。
不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリエチレンとは、直鎖状ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂を、不飽和カルボン酸やその誘導体(以下、これらを併せて不飽和カルボン酸等という)で変性したものである。
変性に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸などを挙げることができる。
ポリエチレンの変性は、例えば、ポリエチレンと不飽和カルボン酸等を有機過酸化物の存在下に加熱、混練することにより行うことができる。不飽和カルボン酸等による変性量は通常、ポリエチレン樹脂100質量部に対し、0.1〜7質量%程度である。
(b)成分のうち、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリエチレン樹脂が好ましい。不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリエチレンを加えることにより、機械強度が増大する。
(b)成分の配合量は、熱可塑性樹脂成分(A)中、0〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%である。(b)成分の配合量が多すぎると、絶縁電線を製造する際に粘度が高く、押出負荷が著しく高くなるため、成形性に問題が発生する。
(B)金属水和物
本発明において用いることのできる金属水和物の種類は特に制限はないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、オルト珪酸アルミニウム、ハイドロタルサイトなどの水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物があげられ、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの金属水和物のうち、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。
また、上記金属水和物は未処理でも表面処理されていてもよい。本発明で用いることができる水酸化アルミニウムとしては、表面未処理のもの(「ハイジライトH42M」(商品名、昭和電工製)など)、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸で表面処理されたもの(「ハイジライトH42S」(商品名、昭和電工製)など)などがあげられる。また、本発明で用いることができる水酸化マグネシウムとしては、表面無処理のもの(「キスマ5」(商品名、協和化学社製)など)、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸で表面処理されたもの(「キスマ5A」(商品名、協和化学社製)など)、リン酸エステル処理されたもの(「キスマ5J」(商品名、協和化学社製)など)、ビニル基またはエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤により表面処理されたもの(「キスマ5L」(商品名、協和化学社製)など)がある。
本発明の難燃性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、上記の金属水和物を120〜300質量部配合する。これにより燃焼の際に金属水和物が吸熱分解反応を起こすことで燃焼部分を冷却し、熱可塑性樹脂の分解を抑制することができる。機械強度の点から、金属水和物は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、上記の金属水和物を好ましくは120〜280質量部配合する。さらに好ましい金属水和物の配合量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、150〜250質量部である。
本発明の難燃性樹脂組成物の架橋体で導体が被覆された絶縁電線が、UL1581で規定する垂直難燃試験に合格するためには、上記金属水和物の配合量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し、120〜300質量部、好ましくは150〜250質量部である。金属水和物の配合量が多すぎると、機械強度、電気的特性、耐熱性が著しく低下し、絶縁電線の外観が悪くなる。金属水和物の配合量が少なすぎると、所望の難燃性を有する絶縁電線を得ることができない。
(C1)二重結合を2つ以上有する多官能性単量体
本発明の難燃性樹脂組成物で導体が被覆された絶縁電線が、高温で優れた耐電圧特性を得るためには、本発明の難燃性樹脂組成物を架橋して、本発明の難燃性樹脂組成物の架橋体で導体が被覆された絶縁電線とすることが必要である。そのために、二重結合を2つ以上有する多官能性単量体を架橋助剤として配合する。その中でも特に、該多官能性単量体は、二重結合を3つ以上有することが好ましい。
二重結合を2つ以上有する多官能性単量体としては、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。また、二重結合を3つ以上有する多官能性単量体としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレートなどが挙げられる。
多官能性単量体の配合量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜7質量部である。本発明の難燃性樹脂組成物を架橋させる方法は、従来の電子線架橋法や化学架橋法が採用できる。電子線架橋法の場合は、本発明の難燃性樹脂組成物を導体上に押出成形して、導体を被覆した後に電子線照射して架橋を行う。電子線架橋法で本発明の難燃性樹脂組成物を架橋する場合、電子線の線量は1〜30Mradとすることが好ましい。
(C2)有機過酸化物
本発明の難燃性樹脂組成物を化学架橋法により架橋する場合には、本発明の難燃性樹脂組成物に有機過酸化物を架橋剤として配合し、押出成形後に加熱処理により架橋を完成させる。有機過酸化物としては、例えば、ヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ケトンペルオキシエステル、ケトンペルオキシドなどを使用することができる。有機過酸化物の配合量は(A)熱可塑性樹脂成分100質量部に対して、0.05〜5質量部とすることが好ましい。さらに好ましくは0.2〜4質量部である。有機過酸化物の配合量が少なすぎる場合は、架橋が不十分で耐電圧特性が不十分となる。有機過酸化物の配合量が多すぎる場合は、柔軟性が著しく損なわれる。
なお電子線架橋法により本発明の難燃性樹脂組成物を架橋する場合は、本発明の難燃性樹脂組成物に有機過酸化物を配合する必要はない。
(D)トリアジン誘導体化合物
本発明で用いることができるトリアジン誘導体化合物の粒径は出来るだけ粒径が細かい物が好ましい。平均粒径が好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
また、本発明で用いることができるトリアジン誘導体化合物として、例えばシアヌル酸、メラミン、メラミン誘導体、メラミンシアヌレート化合物などを挙げることができる。
例えば、メラミンシアヌレート化合物としては、MCA−0、MCA−1(いずれも商品名、三菱化学株式会社製)や、Chemie
Linz Gmbh社、日産化学株式会社より上市されているものがあり、これらを適宜使用することができる。
また脂肪酸で表面処理されたメラミンシアヌレート化合物、シラン表面処理されたメラミンシアヌレート化合物として、MC610、MC440、MC640(いずれも商品名、日産化学株式会社製)などがある。メラミンシアヌレート化合物は難燃性樹脂組成物中への分散性の面から表面処理されたものを使用することが好ましい。そのほかトリアジン誘導体としては、STI−300(商品名、四国化成工業株式会社製)を使用することができる。
メラミンシアヌレート化合物の構造は下記の化学構造式で表される。
Figure 2011111567
本発明においてトリアジン誘導体化合物は難燃剤として作用し、金属水和物と併用することにより相乗効果を得られるため、エチレン系共重合体の共重合体含有量を抑えることができる。その結果、優れた耐電圧特性を維持することが可能となる。
本発明においてトリアジン誘導体化合物を配合する場合その含有量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して80質量部以下とすることが好ましい。さらに好ましくは15〜60質量部である。トリアジン誘導体化合物が多すぎると機械強度や耐電圧特性が著しく低下する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、電線、ケーブル、コード、チューブ、電線部品、シート等において、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
酸化防止剤としては、4,4'−ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンヅイミダゾールおよびその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などが挙げられる。
金属不活性剤としては、N,N'−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2,2'−オキサミドビス−(エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などが挙げられる。
さらに難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどが挙げられる。
特に、シリコーンゴム、シリコーンオイルなどのシリコーン化合物は、難燃性を付与、向上させるだけでなく、電線やコードにおいては、絶縁体(前記熱可塑性樹脂組成物を含んでなる被覆層)と導体の密着力を制御する効果があり、ケーブルにおいては、滑性を付与することで、外傷を低減させる効果がある。このような本発明で用いられるシリコーン化合物の具体例としては、「SFR−100」(商品名、GE社製)、「CF−9150」(商品名、東レ・ダウシリコーン社製)などの市販品が挙げられる。
添加する場合、シリコーン化合物は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.5〜5質量部配合される。0.5質量部より少ないと難燃性や滑性に対して実質的に効果がなく、5質量部を越えると電線の外観が低下したり、押出成形速度が低下し量産性が悪くなる場合がある。
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系などが挙げられる。
本発明の難燃性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で前記添加物や他の樹脂を配合することができる。
以下、本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法を説明する。
熱可塑性樹脂成分(A)の成分(a)および(b)、金属水和物(B)、二重結合を2つ以上有する多官能性単量体(C1)、有機過酸化物(C2)、さらに必要に応じて他の樹脂や添加物を加え、加熱混練する。混練温度や混練時間等の混練条件は、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で適宜設定できる。混練温度は、160〜240℃とすることが好ましい。混練方法としては、ゴム、プラスチックなどで通常用いられる方法であれば満足に使用でき、装置としては例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサーあるいは各種のニーダーなどが用いられる。この工程により、各成分が均一に分散された難燃性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物を用いて、導体に被覆し、さらに前述の通り電子線架橋や化学架橋により架橋して、絶縁電線を製造することができる。このように製造された絶縁電線は、電気・電子機器の内部および外部高圧配線に使用される配線材として使用することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物を用いて導体に被覆され、該被覆層が架橋された絶縁電線は、被覆層が多層構造であってもよい。本発明の難燃性樹脂組成物を用いて成形された被覆層のほかに、他の樹脂組成物を用いて成形された層をさらに設けてもよい。本発明の難燃性樹脂組成物を用いて成形された架橋体層は導体上に設けられていればよく、該層は導体に直接設けてもよい。また他の樹脂組成物を用いて成形された層を介して本発明の難燃性樹脂組成物を用いて成形された層を設けてもよい。本発明の難燃性樹脂組成物を用いて成形された層は最外層でもよく、中間層でもよい。
導体としては、軟銅の単線若しくは撚線などを用いることができ、裸線の他に、錫メッキしたものやエナメル被覆絶縁層を有するものを用いてもよい。
本発明の絶縁電線は、本発明の難燃性樹脂組成物を用いて、汎用の押出成形機を用いて、導体周囲に押出被覆することにより製造することができる。このときの押出成形機の温度は、樹脂の種類、導体等の引取り速度の諸条件にもよるがシリンダー部で約180℃、クロスヘッド部で約200℃程度にすることが好ましい。
本発明の絶縁電線においては、導体の周りに形成される、本発明の難燃性樹脂組成物を用いて成形された絶縁層の肉厚は特に限定されない。その絶縁層の厚さは、0.15mm〜5mmが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物を用いて成形された架橋体からなる成形物品としては、その大きさや形状については特に制限されるものではなく、例えば、電源プラグ、コネクタ、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート、等を挙げることができる。本発明の成形物品は、通常の射出成形等の成形方法により、本発明の難燃性樹脂組成物を用いて成形される。また、シートやチューブ等についても電線被覆と同様な方式で製造することができ、必要であれば、絶縁電線と同様、架橋を行うこともできる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜27および比較例1〜17)
表1および3に実施例1〜27、表2および4に比較例1〜17の樹脂組成物の各成分の含有量(表中の数字は、断りのない限り質量部である)を示す。表1〜4に示す各成分を室温にてドライブレンドし、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して、各樹脂組成物を製造した。なお、表中の「共重合成分全体の含有量」は、酸共重合成分および酸エステル共重合成分を合わせた含有量である。
表中に示す各成分材料は以下の通りである。
(a)エチレン−酢酸ビニル共重合体
・エバフレックス V5274(商品名、三井デュポンポリケミカル社製)
・ウルトラセン YX−21K(商品名、東ソー社製)
・レバプレン 700HV(商品名、ランクセス社製)
(a)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
・エバフレックスEEA A714(商品名、三井デュポンポリケミカル社製)
・ベイマックDP(商品名、デュポン社製)
(エチレンとアクリル酸メチルの2元共重合体のアクリルゴム)
・ベイマックGLS(商品名、デュポン社製)
(エチレン、アクリル酸メチル、及びアクリル酸との3元共重合体のアクリルゴム)
(a)以外のエチレン系共重合体
・エチレン−αオレフィン共重合体
(カーネル KF360T(商品名、日本ポリエチレン社製))
(b)直鎖低密度ポリエチレン
・ノバテックPE UE320(商品名、日本ポリエチレン社製)
(b)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリエチレン
・アドテックス DU8300(商品名、日本ポリエチレン社製)
(B)金属水和物
・キスマ 5(商品名、協和化学社製)
(表面未処理の水酸化マグネシウム)
・キスマ 5L(商品名、協和化学社製)
(シランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウム)
・ハイジライト H42M(商品名、昭和電工社製)
(表面未処理の水酸化アルミニウム)
(C1)多官能性単量体
・NKエステルTMPTM(商品名、新中村化学工業社製)
(二重結合数:3個、多官能性官能基:メタクリル基3個)
・NKエステルAPG200(商品名、新中村化学工業社製)
(二重結合数:2個、多官能官能基:アクリル基2個)
(C2)有機過酸化物
・パーヘキサ25B(ニチユ社製)
(D)トリアジン誘導体化合物
・MC6000(商品名、日産化学工業社製)
(メラミンシアヌレート)
(架橋絶縁電線の製造)
絶縁電線製造用の押出被覆装置を用いて、予め溶融混練した表1〜4記載の各樹脂組成物を用いて導体(銅体径0.48mmΦの錫メッキ軟銅撚線、構成7本/0.16mmΦ)上に外径1.18mmΦ、もしくは1.58mmΦとなるように押出被覆して、絶縁電線を製造した。実施例14、実施例27、および比較例9においては押出被覆後、150℃で1時間加熱処理して架橋絶縁電線を得た。その他の実施例および比較例においては加速電圧750keV、照射量5Mradの電子線を照射して架橋絶縁電線を得た。
製造した架橋絶縁電線に対して、下記の試験を行い、その性能について評価した。得られた実施例1〜29の評価結果を表1および3に、比較例1〜17の評価結果を表2および4に示す。
(試験方法および性能評価)
以下の方法で架橋絶縁電線について試験を行い、その性能を評価した。
(1)機械特性
UL1581に準拠し、上記の架橋絶縁電線より管状片を切り出し、引張試験を行った。標線間25mm、引張速度500mm/分で試験を行った。伸び150%以上、引張り強さ10.3MPa以上を合格とした。
(2)難燃性(垂直難燃性試験)
各架橋絶縁電線について、UL1581の Vertical Flame Testを行った。同様に5個のサンプルを用いて評価を行った。残炎時間が60秒以内の場合を合格とした。全数合格した場合を「合格」とし、○で示した。それ以外を「不合格」とし、×で示した。
(3)耐電圧特性(常温、高温)
UL758に準拠し、各架橋絶縁電線について、常温下および高温下における耐電圧試験を行った。試験は、電線を金属箔で覆い、導体と金属箔間に電圧を印加し、絶縁破壊電圧を測定した。常温での絶縁破壊電圧は、22℃で1時間以上静置後、試験を行った。高温での絶縁破壊電圧は、105℃のオーブンで1時間加熱後、そのまま105℃で測定した。なお、目標値は、肉厚0.35mmの電線については10kV以上、肉厚0.55mmの電線については15kV以上を合格とした。
(架橋チューブの製造)
絶縁電線製造用の押出被覆装置を用いて、予め溶融混練した表5記載の各樹脂組成物を用いて、表5に示す外径と内径となるように押出して、チューブを製造した。加速電圧750keV、照射量5Mradの電子線を照射して架橋チューブを得た。
製造した架橋チューブに対して、下記の試験を行い、その性能について評価した。得られた実施例30、31および比較例18、19の評価結果を表5に示す。
(試験方法および性能評価)
以下の方法で架橋チューブについて試験を行い、その性能を評価した。
(1)機械特性
UL1581に準拠し、上記の架橋チューブより試験片を切り出し、引張試験を行った。標線間25mm、引張速度500mm/分で試験を行った。伸び150%以上、引張り強さ10.3MPa以上を合格とした。
(2)耐電圧特性
各架橋チューブについて、水中耐電圧試験を行った。試験は、チューブに内径と同径の単芯導体を挿入し、10kVで1分間課電した。同様に5個のサンプルを用いて評価を行った。全数合格した場合を「合格」とし、○で示した。それ以外を「不合格」とし、×で示した。
(3)難燃性(垂直難燃性試験)
各架橋チューブについて、UL1581の Vertical Flame Testを行った。同様に5個のサンプルを用いて評価を行った。残炎時間が60秒以内の場合を合格とした。全数合格した場合を「合格」とし、○で示した。それ以外を「不合格」とし、×で示した。
Figure 2011111567
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表1および2の結果から、本発明の実施例1〜16のものは、優れた機械特性(引張り強さ、伸び)、難燃性、耐電圧特性等を有することが明らかとなった。
これに対し、難燃性樹脂組成物中に(a)成分のエチレン系共重合体を含有しない比較例1は、難燃性に劣り、伸びも不合格であった。また、エチレン系共重合体の含有量が40%を越える比較例2は、伸びが不合格であった。熱可塑性樹脂成分中の共重合成分全体の含有量が30質量%を越える比較例3は、高温時の耐電圧特性が不合格であった。さらに、熱可塑性樹脂成分中の共重合成分全体の含有量が40質量%を越える比較例4は、さらに常温の耐電圧特性に劣り、加えて引張強度も劣ることがわかった。金属水和物が少ない比較例5は、難燃性および高温時の耐電圧特性も不合格であった。金属水和物が320質量部と多い比較例6は、耐電圧特性および伸びが不合格であった。多官能性単量体を含有しない比較例7は、高温時の耐電圧特性が不合格であった。多官能性単量体が、12質量部と多い比較例8では、金属水和物を配合しているにもかかわらず難燃性が不合格であった。有機過酸化物が多い比較例9は難燃性に劣り、伸びも不合格であった。
さらに実施例17〜29のものは、優れた機械特性(引張り強さ、伸び)、難燃性、耐電圧特性等を有することが明らかとなった。
これに対し、難燃性樹脂組成物中に(a)成分のエチレン系共重合体を含有しない比較例10は、難燃性に劣り、伸びも不合格であった。また、エチレン系共重合体の含有量が60%未満の比較例11は、伸びが不合格であった。熱可塑性樹脂成分中の共重合成分全体の含有量が30質量%を越える比較例12は、高温時の耐電圧特性が不合格であった。さらに熱可塑性樹脂成分中の共重合成分全体の含有量が40質量%を越える比較例13は、さらに常温の耐電圧特性も劣ることがわかった。金属水和物の配合量が少ない比較例14は、難燃性および高温時の耐電圧が不合格であった。金属水和物が320質量部と多い比較例15は、伸びが劣ることがわかった。多官能性単量体を含有していない比較例16は、高温時の耐電圧特性が不合格であった。多官能性単量体の配合量が多すぎる比較例17では、難燃性に劣り、伸びが不合格であった。
また、表5の結果から、実施例30および31のものは、優れた機械特性(引張り強さ、伸び)、難燃性、耐電圧特性等を有することが明らかとなった。
これに対し、金属水和物の配合量が多い比較例18は伸びおよび耐電圧特性が不合格であった。また、熱可塑性樹脂成分中の共重合成分全体の含有量が30質量%を越える比較例19は、耐電圧特性が不合格であった。

Claims (6)

  1. (a)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、およびエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種100〜60質量%、(b)ポリエチレン樹脂および/または不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリエチレン樹脂0〜40質量%を含有する熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、(B)金属水和物120〜300質量部、(C1)二重結合を2つ以上有する多官能性単量体0.1〜10質量部、および(C2)有機過酸化物0〜5質量部を含有し、前記樹脂成分(A)中、酸共重合成分および酸エステル共重合成分を合わせた含有量が30質量%以下である組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練してなる難燃性樹脂組成物。
  2. 前記酸共重合成分および酸エステル共重合成分が、前記(a)成分中の酢酸ビニル成分、(メタ)アクリル酸成分、および(メタ)アクリル酸エステル成分であることを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記(C1)多官能性単量体が、二重結合を3つ以上有することを特徴とする請求項1または2記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記(A)熱可塑性樹脂成分100質量部に対し、(D)トリアジン誘導体化合物を80質量部以下含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物を用いて成形された架橋体からなることを特徴とする成形体。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物を用いた架橋体で導体を被覆したことを特徴とする絶縁電線。
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