JP2011081693A - 非接触型情報媒体とその製造方法および非接触型情報媒体付属冊子 - Google Patents
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Abstract
【課題】ICチップとこれに接続されたアンテナコイルからなるICインレットを多孔質熱可塑性シートの間に挟み込んで非接触型情報媒体とし、さらにはこの非接触型情報媒体を表表紙または裏表紙に接着された非接触型情報媒体付属冊子を提供する手段において、前記非接触型情報媒体の加工工程を簡便化するとともに、表紙や用紙との接着性にすぐれ、かつ耐久性や耐偽変造性などに優れた非接触型情報媒体と、その製造方法並びに、これを使用した非接触型情報媒体付属冊子を提供する。
【解決手段】アンテナコイル32とこれに接続されたICチップ31を含むICインレットが、内側の面に熱可塑性樹脂接着剤を設けた2枚の多孔質熱可塑性樹脂シートに挟まれて積層され、接着されてなる非接触型情報媒体20において、前記多孔質熱可塑性樹脂シートのうち少なくとも一方の表面は、マット加工されている。
【選択図】図1
【解決手段】アンテナコイル32とこれに接続されたICチップ31を含むICインレットが、内側の面に熱可塑性樹脂接着剤を設けた2枚の多孔質熱可塑性樹脂シートに挟まれて積層され、接着されてなる非接触型情報媒体20において、前記多孔質熱可塑性樹脂シートのうち少なくとも一方の表面は、マット加工されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ICチップとアンテナコイルを有する非接触型情報媒体とその製造方法、並びに非接触型情報媒体が接着された非接触型情報媒体付属冊子に関する。
近年、非接触ICカードや非接触ICタグを用いたシステムが普及する中、例えばパスポートや預貯金通帳等の冊子に非接触ICモジュールとそれに接続されたアンテナからなるICインレットを外装基材で挟み込んで非接触型情報媒体となし、この非接触型情報媒体を表紙等に貼り合わせて装填した、電子データの記入や印字が可能な非接触型情報媒体付属冊子が開発され公知となっている。
その非接触型情報媒体付属冊子の一例として、第1の基材シートの上面側に、所定の広さの開口部を有する第2の基材シートが接着されて凹部が形成され、この凹部内にICチップとこれに接続されたコイルアンテナが備えられ、前記第1の基材シートの下面側に接着剤層が設けられている非接触型データキャリアと、この非接触型データキャリアが裏表紙の内面に貼付されてなる非接触型データキャリアを有する冊子がある(特許文献1参照)。
上記の従来技術によって得られた非接触型情報媒体は、凹部にICチップとこれに接続されたコイルアンテナを備えるための開口部を第2の基材シートに設け、第1の基材とを接着するといった加工工程の増加があり、開口部の貼合わせ精度や貼合わせ後の空隙の発生、さらに開口シートとICモジュールの厚みのバラツキによる凹凸が原因で平面性に劣る等の問題があった。
このような凹凸や空隙の問題を解決する方法としてはたとえば以下のようなものが考えられる。すなわち、一般に流通しているクレジットカードやICカードのように、熱可塑性の基材、例えばPVC(ポリ塩化ビニル樹脂)やPET−G(変性ポリエチレンテレフタレート樹脂)などのシートの間にICチップおよびアンテナ等を挟みこみ、強い熱圧をかけることで基材を流動させて平滑にするものである。このようにして得られた非接触型情報媒体を上記冊子の表又は裏の表紙と内貼り用紙の間に接着することで非接触型情報媒体付属冊子を作成することが出来る。
また、熱圧によって流動するような基材ではなく、熱可塑性で基材中に空隙を有する多孔質のシートを利用することが出来る。このようなシートは樹脂を発泡させることで得られるため一般に材料が柔らかく剛度が低い。また、基材に空隙があるために各種接着剤とのなじみが良く、たとえば紙の冊子と接着することも容易である。さらに適度な圧力をかけることで凹凸も吸収する事が可能である。しかしながらこのような多孔質基材を積層して接着する際、高温高圧を加えて融着させようとするとその空隙自体もつぶれてしまうため、より低温低圧でも接着できるように基材に熱可塑性の接着剤を塗布するなどの処理が行われたりもする。この接着剤の融点が低ければ加工時に加えられる熱圧も低くて済み、多孔質基材のつぶれも抑えることができる。
しかしながら、前記熱可塑性接着剤の融点が低ければ加工に要する熱圧も低くて済む反面、基材同士のブロッキングが発生しやすく、高温環境下において剥がれやすくなるという問題がある。このため十分な接着性能と作業性を維持しつつも、空隙のつぶれを全くなくすというのは困難であった。
多孔質熱可塑性基材の空隙がつぶれることによる不具合には以下のようなものがある。すなわち、
基材に接着剤を塗布して冊子や表紙など別の材料と接着する際に、表面の濡れ性が悪くなって接着剤をはじいたり、接着したとしてもアンカー効果が不足することにより接着強度が低くなったりする。また、空隙がつぶれると基材表面の光沢が増して製品の外観に影響する場合がある。この問題は特に基材間にアンテナを挟んでいる箇所において顕著に現れ、アンテナのある部分は厚みが大きいので圧力がかかりやすく、より多くの空隙がつぶれて光沢が増しやすい。その結果、基材表面を観察した際にアンテナのある部分だけが光沢があるという外観不具合を引き起こしたり、光沢部分での接着性能が低下したりするといった問題が発生する。
基材に接着剤を塗布して冊子や表紙など別の材料と接着する際に、表面の濡れ性が悪くなって接着剤をはじいたり、接着したとしてもアンカー効果が不足することにより接着強度が低くなったりする。また、空隙がつぶれると基材表面の光沢が増して製品の外観に影響する場合がある。この問題は特に基材間にアンテナを挟んでいる箇所において顕著に現れ、アンテナのある部分は厚みが大きいので圧力がかかりやすく、より多くの空隙がつぶれて光沢が増しやすい。その結果、基材表面を観察した際にアンテナのある部分だけが光沢があるという外観不具合を引き起こしたり、光沢部分での接着性能が低下したりするといった問題が発生する。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、ICチップとこれに接続されたアンテナコイルからなるICインレットを多孔質熱可塑性シートの間に挟み込んで非接触型情報媒体とし、さらにはこの非接触型情報媒体を表表紙または裏表紙に接着された非接触型情報媒体付属冊子を提供する手段において、前記非接触型情報媒体の加工工程を簡便化するとともに、表紙や用紙との接着性にすぐれ、かつ耐久性や耐偽変造性などに優れた非接触型情報媒体と、その製造方法並びに、その非接触型情報媒体を使用した非接触型情報媒体付属冊子を提供することにある。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、アンテナコイルと該アンテナコイルに接続されたICチップを含むICインレットが、内側の面に熱可塑性樹脂接着剤を設けた2枚の多孔質熱可塑性樹脂シートに挟まれて積層され、接着されてなる非接触型情報媒体において、前記多孔質熱可塑性樹脂シートのうち少なくとも一方の表面は、マット加工されていることを特徴とする非接触型情報媒体である。
また、請求項2に記載の発明は、前記マット加工された多孔質熱可塑性樹脂シート表面の粗さが、算術平均粗さが0.2μm以上でありかつ最大高さが1.5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の非接触型情報媒体である。
また、請求項3に記載の発明は、内側の面に熱可塑性樹脂接着剤層を設けた2枚の多孔質熱可塑性樹脂シートにICインレットを挟み積層する積層工程と、前記積層された多孔質熱可塑性樹脂シートの少なくとも1枚の外側の面を所定の粗さにマット加工するマット加工工程と、前記積層されたインレットと多孔質熱可塑性樹脂シートに熱圧をかけて接着する形成工程と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の非接触型情報媒体の製造方法である。
また、請求項4に記載の発明は、前記マット加工工程と、前記形成工程において、所定の粗さにマット加工されたプレス面を用いて、ICインレットを挟み積層された多孔質熱可塑性樹脂シートを加熱プレスすることにより、少なくとも1枚の多孔質熱可塑性樹脂シートの外側の面を所定の粗さにマット加工すると同時に、積層された複数の多孔質熱可塑性樹脂シートとICインレットを接着することを特徴とする請求項1または2に記載の非接触型情報媒体の製造方法である。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の非接触型情報媒体の、マット加工された側の多孔質熱可塑性樹脂シートが冊子の内張り用紙と接着され、反対側の多孔質熱可塑性樹脂シートが表または裏のいずれかの表紙用部材に接着されたことを特徴とする非接触型情報媒体付属冊子である。
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、ICチップおよびアンテナコイルを備えたICインレットを熱可塑性樹脂接着剤の塗布された多孔質熱可塑性樹脂シートに挟みこんで接着することにより、簡便で安定的な方法によって非接触型情報媒体を作成することが出来る。多孔質熱可塑性樹脂シートを使用することでアンテナシートを挟みこんで熱圧をかけて接着した際、空隙部分が縮むと共に基材自身が変形することで、平滑性に優れた柔軟な非接触型情報媒体を作成することができる。また少なくとも一方の面がマット加工されていることにより、多孔質熱可塑性樹脂シートの空隙がつぶれた場合でも接着剤の濡れ性を保持したり、アンテナ跡などの外観上の不具合を防いだりすることが出来る。
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、ICチップおよびアンテナコイルを備えたICインレットを熱可塑性樹脂接着剤の塗布された多孔質熱可塑性樹脂シートに挟みこんで接着することにより、簡便で安定的な方法によって非接触型情報媒体を作成することが出来る。多孔質熱可塑性樹脂シートを使用することでアンテナシートを挟みこんで熱圧をかけて接着した際、空隙部分が縮むと共に基材自身が変形することで、平滑性に優れた柔軟な非接触型情報媒体を作成することができる。また少なくとも一方の面がマット加工されていることにより、多孔質熱可塑性樹脂シートの空隙がつぶれた場合でも接着剤の濡れ性を保持したり、アンテナ跡などの外観上の不具合を防いだりすることが出来る。
上記のようなマット加工による効果を得るためには請求項2に示すようにマット加工部分の算術平均粗さが0.2μm以上、最大高さが1.5μm以上である事が望ましい。この値よりも粗さが大きければ、外観の改善や接着強度の改善という点において、マット加工を施した効果がさらに十分に発揮される。
上記多孔質シートは熱可塑性であるため、これにマット加工を施すためには、請求項4に示すようにマット加工されたプレス面を用いてシートに熱圧をかける事が望ましい。そもそも上記非接触型情報媒体の製造においては請求項1に示すように基材を積層して熱圧をかける工程が含まれているので、この工程内において基材の接着とマット加工を同時に行う事が可能になるため効率が良い。
上記のようにして得られた非接触型情報媒体は、請求項5に示すように冊子の表紙材として使用することができる。この場合の冊子の材料は紙である事が多く、その紙と非接触型情報媒体を形成する多孔質シートを接着する場合においても、上記のように表面がマット加工されている事によって各種接着剤を使用することができ、接着強度も向上する。
以下本発明を実施するための形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る非接触型情報媒体付属冊子の一例を説明する斜視図であり、図2は本発明に使用する非接触ICインレットの一例を示す平面説明図であり、図3は本発明に係る非接触型情報媒体と表紙用部材、内貼り用紙を接着した状態を示した断面模式図であ
る。
図1は、本発明に係る非接触型情報媒体付属冊子の一例を説明する斜視図であり、図2は本発明に使用する非接触ICインレットの一例を示す平面説明図であり、図3は本発明に係る非接触型情報媒体と表紙用部材、内貼り用紙を接着した状態を示した断面模式図であ
る。
本発明に係る非接触型情報媒体20を使用した非接触型情報媒体付属冊子10は、例えば図1および図3に示すような構造であり、表紙用部材11とその内面に貼着する内貼り用紙12との間に非接触型情報媒体20を挟み込んで接着され、これに複数の本文用紙13が加わったものである。この非接触型情報媒体20の一部であるICインレットは例えば図2に示すようにアンテナシート基材30とICチップ31とアンテナコイル32とから構成される。このICインレットは例えば図3に示すように、2枚の外装基材21および22の間に挟み込まれることで非接触型情報媒体20を構成している。
図2に示すICインレットにおいては、アンテナ基材30上にエッチング方式やワイヤボンディング方式、印刷アンテナ方式などによってアンテナが形成される。このアンテナに、ICチップが溶接方式などによって接続される。場合によってはこのようなICインレットについて、上記アンテナシート基材30における、アンテナコイル32の内側に開口部を設けて外装基材同士の密着を向上させることもできる。また場合によってはシート基材を設けずに、外装基材22上に直接アンテナを設けることも可能である。
ICチップ31とアンテナコイル32とアンテナシート基材30からなるICインレットは、ICチップ自身の厚みや、アンテナの厚み、ジャンパ線とアンテナの接合部や、アンテナシート基材自体の厚みなどにより、凹凸のあるシートとなっている。このICインレットを外装基材21、22の間に挟んで非接触型情報媒体20に加工する際、外観上はこれらの凹凸を無くすことが望ましい。ここで本発明のように外装基材として多孔質熱可塑性樹脂シートを使用し、加工時に熱圧をかけることで外装基材21、22が軟化して変形し、ICインレットの凹凸を吸収し、全体として平滑な非接触型情報媒体20を作成することが出来る。このような加工の方法としては、従来からある一般のICカードなどの製造方法が利用でき、例えば熱プレス機を使用することが出来る。
ここで使用される多孔質熱可塑性樹脂シートとしては、例えば 、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、 ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂など各種の熱可塑性樹脂を単体もしくは組み合わせて使用し、シリカなどの多孔質粒子を混合したり、混練時に空気を加えて発泡させたり、延伸後に穿孔加工したりすることで得ることが出来る。このような材料は一般にインクジェット印刷やオフセット印刷などに対する印刷適性を付与した樹脂シート又は合成紙として市販されている。
上記多孔質熱可塑性樹脂シート単体では熱圧による融着は困難であり、仮に融着させたとしてもその特徴である空隙がつぶれてしまうといった問題が生じる。このため、あらかじめ熱可塑性樹脂接着剤を塗布しておいてから、ICインレットを挟んで積層し、熱圧をかけて接着する事がのぞましい。ここで使用可能な熱可塑性樹脂接着剤としては、EVA(エチレン/酢酸ビニル共重合体)系、EAA(エチレン/アクリル酸共重合体)系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、オレフィン系など、一般的な各種熱可塑性樹脂接着剤を使用することができる。
熱可塑性樹脂接着剤を設けた多孔質熱可塑性樹脂シートにICインレットを挟んで積層したものは、図6に示すように熱圧44をかけられて接着される。例えば2枚の金属板の間に挟まれて、プレス機等で熱圧44をかけて接着するような工程が用いられる。ICカード等の従来からある非接触型情報媒体の場合にはこの金属板として一般にグロス面を有するSUS(ステンレス鋼)板を用いている。しかしながら、上記に述べたようにこの多孔質熱可塑性樹脂シートに熱圧44をかけた場合、シートの空隙がつぶれてしまうという問題があった。この問題を解決するために、従来のようなグロスの板ではなく、例えばマット面に加工されたSUS板などを用いて積層された基材を挟み、熱圧をかけることによって、多孔質熱可塑性樹脂シートの表面をマットに加工することができる。図4に従来技術と同様に例えばグロスのSUS板等を使用して加熱加圧を行なった非接触型情報媒体の断面模式図を、図5に本発明のように例えばマット加工されたSUS板等を使用して加熱加圧を行なった非接触型情報媒体の断面を示す。本発明の請求項4および5のような製造方法によれば、図5に示されたように非接触型情報媒体の表面がマット加工された面23が得られる。仮に従来技術と同様に多孔質熱可塑性基材にアンテナやICチップ等を挟んだものをグロスのSUS板を使用して加熱加圧した場合、アンテナやICチップ部に大きな圧力がかかり、図7に示すようにアンテナやICチップの部分51が、アンテナやICチップのない部分50と比べて、より空隙がつぶされるために光沢の高い面となり、この部分の接着強度が低下することがあった。
また、多孔質熱可塑性樹脂シートの表面をマット加工する方法は上記に述べたものに限らず、例えばグロスのSUS板の上にマットフィルムを挟むこともできる。またここでは熱圧と同時工程においてマット加工する手法を述べたが、熱圧で接着した後に別工程としてマット加工することもできる。この場合の加工方法としては、サンディングやサンドブラスト等の物理的な方法や、化学エッチング、紫外線照射法等が利用できる。また、非接触型情報媒体の両面をマット加工することが望ましいが、場合によっては片面だけを加工しても構わない。
また、本発明に類似した非接触型情報媒体において、人間が肉眼で確認できる凹凸の程度は0.1〜1μmぐらいであった。すなわち基材表面の一部で1μm以上の段差がある場合にはその部分が外観的な不具合となる可能性があるが、逆に基材表面が全体的に1μm以上の凹凸を持っている場合には不具合が目立たなくなる。請求項2に示すように、本発明の非接触型情報媒体のマット加工された面の算術平均粗さが、0.2μm以上、最大高さが1.5μm以上である場合には、非接触型情報媒体上の段差などの外観上の不具合を軽減する効果が得られる。
上記請求項5に係る発明はこの非接触型情報媒体20を表紙用部材11と内貼り用紙12との間に挟み込んで接着し、冊子形状に加工されたものである。非接触型情報媒体20は内貼り用紙12と接着剤42によって接着されるが、この接着剤42は作業性や環境の側面からも水系のエマルジョン接着剤を使用する場合が多く、また、実際にはこれまで冊子を製造してきた設備を使用することも多いので、布と紙の貼り合わせ用としての接着剤が選ばれてきた。仮に非接触型情報媒体付属冊子に使用する非接触型情報媒体を、一般のICカードに使われるような外装基材、例えばPVCやPET−Gを使用して作成した場合、既存の設備および接着剤で内貼り用紙を接着することはできない上、剛度が高いことによる問題が生じる。このような問題を解決するため、本発明では多孔質熱可塑性樹脂シートを外装用基材として使用するとともに、この多孔質熱可塑性樹脂シートの表面をマット加工することによって柔軟性が高く、接着性にも優れた非接触型情報媒体を作製することが出来る。
非接触型情報媒体20と表紙用部材11を接着する際には例えば、2液混合型エポキシ系接着剤、湿気硬化型シリコン系接着剤、1液硬化型ウレタン系接着剤、などが使用できる。また、EVA系、EAA系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、オレフィン系等、各種のホットメルト接着剤なども使用可能である。このような接着剤においても非接触型情報媒体の表面性が接着強度に影響するため、非接触型情報媒体の表面をマット加工することによって接着強度を高めることが出来る。
以下実施例に基づき、本発明に係る非接触型情報媒体とその製造方法および非接触型情報媒体付属冊子について、さらに具体的に説明する。
以下実施例に基づき、本発明に係る非接触型情報媒体とその製造方法および非接触型情報媒体付属冊子について、さらに具体的に説明する。
(ICインレットの作成)
図3に示したように、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂シートをアンテナシート基材30とし、両面にアルミ蒸着とアンテナ状のマスク層の印刷を行い、パターンエッチングによって表面にアンテナコイル32と裏面にジャンパ線を形成した。さらに、かしめ接合により、アンテナコイルとジャンパ線を接合し、アンテナコイルの接続端子部にICチップ31を溶接した。アンテナコイルの外周は80mm×48mmで、内周は67mm×37mmである。さらに、アンテナコイルの内側を65mm×35mmの大きさで打ち抜いて除去した。さらに、アンテナコイルの外周およびICから2mm離れた輪郭を取ってその外側のアンテナシート基材を打ち抜いて除去しICインレットを得た。アンテナ部の厚みは基材を含めて約80μmである。
図3に示したように、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂シートをアンテナシート基材30とし、両面にアルミ蒸着とアンテナ状のマスク層の印刷を行い、パターンエッチングによって表面にアンテナコイル32と裏面にジャンパ線を形成した。さらに、かしめ接合により、アンテナコイルとジャンパ線を接合し、アンテナコイルの接続端子部にICチップ31を溶接した。アンテナコイルの外周は80mm×48mmで、内周は67mm×37mmである。さらに、アンテナコイルの内側を65mm×35mmの大きさで打ち抜いて除去した。さらに、アンテナコイルの外周およびICから2mm離れた輪郭を取ってその外側のアンテナシート基材を打ち抜いて除去しICインレットを得た。アンテナ部の厚みは基材を含めて約80μmである。
(外装基材1および2の準備)
外装基材として、厚さ380μmの「TESLINシート」(登録商標)(PPG Industry社製合成紙)を準備し、このシートの片面にヒートシール剤「アクアテックス」(登録商標)(中央理化工業社製ポリオレフィン系接着剤)を5g/m2の厚みで塗工した。乾燥後に150mm×200mmのシート2枚を断裁し、外装基材1(21)および外装基材2(22)を得た。
外装基材として、厚さ380μmの「TESLINシート」(登録商標)(PPG Industry社製合成紙)を準備し、このシートの片面にヒートシール剤「アクアテックス」(登録商標)(中央理化工業社製ポリオレフィン系接着剤)を5g/m2の厚みで塗工した。乾燥後に150mm×200mmのシート2枚を断裁し、外装基材1(21)および外装基材2(22)を得た。
(非接触型情報媒体の作成)
上記で準備した外装基材2(22)に上記ICインレットを配置し、スポット加熱により固定した。さらに外装基材1(21)を積層し、スポット加熱により固定した。
この積層されたシートを2枚のマット加工されたSUS板に挟み込み、加熱加圧することで接着して非接触型情報媒体20を得た。マット加工されたSUS板の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)において、0.8μm〜1.1μmであり、最大高さ(Ry)においては、6.0μm〜8.0μmであった。
加熱加圧条件は、加熱部温度100℃〜160℃、圧力0.49MPa〜2.94MPa、処理時間15秒〜120秒の間で調整し、最適なものを選択した。このようにして得られた非接触型情報媒体の表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.8μm程度であり、また最大高さ(Ry)は、4μm程度であった。また比較用として、積層されたシートを2枚のグロスSUS板に挟み、同じ条件で加工して比較用の非接触型情報媒体を得た。得られた比較用の非接触型情報媒体の基材表面は本発明のものに比べて全体的に光沢感があり、特にアンテナ部分が目立って光沢があった。この光沢部分の算術平均粗さ(Ra)は、0.2μm程度であり、また最大高さ(Ry)は、1μm程度であった。
上記で準備した外装基材2(22)に上記ICインレットを配置し、スポット加熱により固定した。さらに外装基材1(21)を積層し、スポット加熱により固定した。
この積層されたシートを2枚のマット加工されたSUS板に挟み込み、加熱加圧することで接着して非接触型情報媒体20を得た。マット加工されたSUS板の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)において、0.8μm〜1.1μmであり、最大高さ(Ry)においては、6.0μm〜8.0μmであった。
加熱加圧条件は、加熱部温度100℃〜160℃、圧力0.49MPa〜2.94MPa、処理時間15秒〜120秒の間で調整し、最適なものを選択した。このようにして得られた非接触型情報媒体の表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.8μm程度であり、また最大高さ(Ry)は、4μm程度であった。また比較用として、積層されたシートを2枚のグロスSUS板に挟み、同じ条件で加工して比較用の非接触型情報媒体を得た。得られた比較用の非接触型情報媒体の基材表面は本発明のものに比べて全体的に光沢感があり、特にアンテナ部分が目立って光沢があった。この光沢部分の算術平均粗さ(Ra)は、0.2μm程度であり、また最大高さ(Ry)は、1μm程度であった。
(非接触型情報媒体と表紙用部材の貼り合わせ)
冊子表紙用クロス「Enviro-Mate」(登録商標)(ICG Holliston社製表紙用クロス材)を非接触型情報媒体サイズに断裁し、表紙用部材11を得た。接着剤41として「エスダイン」(登録商標)(積水フーラー社製湿気硬化型ホットメルト接着剤)をヒートロールコータで溶融させ、20g/m2の厚みで上記表紙用部材11に塗工した。接着剤41が塗工された表紙用部材11に非接触型情報媒体20の外装基材1(21)側を接着させ、ローラで加圧し、その後エージングした。比較用の非接触型情報媒体についても同様の加工を行った。
冊子表紙用クロス「Enviro-Mate」(登録商標)(ICG Holliston社製表紙用クロス材)を非接触型情報媒体サイズに断裁し、表紙用部材11を得た。接着剤41として「エスダイン」(登録商標)(積水フーラー社製湿気硬化型ホットメルト接着剤)をヒートロールコータで溶融させ、20g/m2の厚みで上記表紙用部材11に塗工した。接着剤41が塗工された表紙用部材11に非接触型情報媒体20の外装基材1(21)側を接着させ、ローラで加圧し、その後エージングした。比較用の非接触型情報媒体についても同様の加工を行った。
(非接触型情報媒体付属冊子の作製)
複数枚の本文用紙13と1枚の内貼り用紙12を丁合いし、中央をミシンで縫うことで内貼り用紙12が最外部に取り付けられた本文部分を作成した。上記で得られた表紙用部材11が接着された非接触型情報媒体20の外装基材2(22)側に接着剤42として「SP-2850」(コニシ社製水系エマルジョン接着剤)を10g/m2の厚みで塗工し、上記の内貼り用紙12を接着した。得られた冊子を広げた状態で125mm×180mmに断裁し、非接触型情報媒体付属冊子10を得た。同様にして、比較用の非接触型情報媒体を使用した冊子も作製した。
複数枚の本文用紙13と1枚の内貼り用紙12を丁合いし、中央をミシンで縫うことで内貼り用紙12が最外部に取り付けられた本文部分を作成した。上記で得られた表紙用部材11が接着された非接触型情報媒体20の外装基材2(22)側に接着剤42として「SP-2850」(コニシ社製水系エマルジョン接着剤)を10g/m2の厚みで塗工し、上記の内貼り用紙12を接着した。得られた冊子を広げた状態で125mm×180mmに断裁し、非接触型情報媒体付属冊子10を得た。同様にして、比較用の非接触型情報媒体を使用した冊子も作製した。
(効果の確認)
上記のようにして作成された本発明による非接触型情報媒体付属冊子の表紙および裏表紙は平滑かつ柔軟であった。また、高温高湿環境による保管や、曲げ試験など、各種耐久性評価試験においても良好な結果を示した。しかしながら、グロスSUS板で加熱加圧した比較用の非接触型情報媒体を使用した冊子においては、この非接触型情報媒体と内貼り用紙および、冊子表紙用クロスの接着強度が弱く、特にアンテナが挟まっている部分の接着が顕著に弱かった。アンテナが挟まっている部分に関してクロスと非接触型情報媒体の剥離強度を測定したところ、比較用の非接触型情報媒体においては剥離強度が5〜8N/cmであったのに対し、本発明の非接触型情報媒体においては剥離強度が12〜18N/cmと大きくなり、接着強度が向上している事が確認できた。以上のように、非接触型情報媒体の表面がマット加工されている効果が確認された。
上記のようにして作成された本発明による非接触型情報媒体付属冊子の表紙および裏表紙は平滑かつ柔軟であった。また、高温高湿環境による保管や、曲げ試験など、各種耐久性評価試験においても良好な結果を示した。しかしながら、グロスSUS板で加熱加圧した比較用の非接触型情報媒体を使用した冊子においては、この非接触型情報媒体と内貼り用紙および、冊子表紙用クロスの接着強度が弱く、特にアンテナが挟まっている部分の接着が顕著に弱かった。アンテナが挟まっている部分に関してクロスと非接触型情報媒体の剥離強度を測定したところ、比較用の非接触型情報媒体においては剥離強度が5〜8N/cmであったのに対し、本発明の非接触型情報媒体においては剥離強度が12〜18N/cmと大きくなり、接着強度が向上している事が確認できた。以上のように、非接触型情報媒体の表面がマット加工されている効果が確認された。
10・・・非接触型情報媒体付属冊子
11・・・表紙用部材
12・・・内貼り用紙
13・・・本文用紙
20・・・非接触型情報媒体
21・・・外装基材1
22・・・外装基材2
23・・・マット加工された面
30・・・アンテナシート基材
31・・・ICチップ
32・・・アンテナコイル
41・・・接着剤(表紙用)
42・・・接着剤(内貼り用紙用)
43・・・接着剤(外装基材塗布用)
44・・・熱圧
50・・・アンテナ、ICチップのない部分
51・・・アンテナ、ICチップ部分
11・・・表紙用部材
12・・・内貼り用紙
13・・・本文用紙
20・・・非接触型情報媒体
21・・・外装基材1
22・・・外装基材2
23・・・マット加工された面
30・・・アンテナシート基材
31・・・ICチップ
32・・・アンテナコイル
41・・・接着剤(表紙用)
42・・・接着剤(内貼り用紙用)
43・・・接着剤(外装基材塗布用)
44・・・熱圧
50・・・アンテナ、ICチップのない部分
51・・・アンテナ、ICチップ部分
Claims (5)
- アンテナコイルと該アンテナコイルに接続されたICチップを含むICインレットが、内側の面に熱可塑性樹脂接着剤を設けた2枚の多孔質熱可塑性樹脂シートに挟まれて積層され、接着されてなる非接触型情報媒体において、前記多孔質熱可塑性樹脂シートのうち少なくとも一方の表面は、マット加工されていることを特徴とする非接触型情報媒体。
- 前記マット加工された多孔質熱可塑性樹脂シート表面の粗さは、算術平均粗さが0.2μm以上でありかつ最大高さが1.5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の非接触型情報媒体。
- 内側の面に熱可塑性樹脂接着剤層を設けた2枚の多孔質熱可塑性樹脂シートにICインレットを挟み積層する積層工程と、前記積層された多孔質熱可塑性樹脂シートの少なくとも1枚の外側の面を所定の粗さにマット加工するマット加工工程と、前記積層されたインレットと多孔質熱可塑性樹脂シートに熱圧をかけて接着する形成工程と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の非接触型情報媒体の製造方法。
- 前記マット加工工程と、前記形成工程において、所定の粗さにマット加工されたプレス面を用いて、ICインレットを挟み積層された多孔質熱可塑性樹脂シートを加熱プレスすることにより、少なくとも1枚の多孔質熱可塑性樹脂シートの外側の面を所定の粗さにマット加工すると同時に、積層された複数の多孔質熱可塑性樹脂シートとICインレットを接着することを特徴とする請求項1または2に記載の非接触型情報媒体の製造方法。
- 請求項1または2に記載の非接触型情報媒体の、マット加工された側の多孔質熱可塑性樹脂シートが冊子の内張り用紙と接着され、反対側の多孔質熱可塑性樹脂シートが表または裏のいずれかの表紙用部材に接着されたことを特徴とする非接触型情報媒体付属冊子。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009234982A JP2011081693A (ja) | 2009-10-09 | 2009-10-09 | 非接触型情報媒体とその製造方法および非接触型情報媒体付属冊子 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2009234982A JP2011081693A (ja) | 2009-10-09 | 2009-10-09 | 非接触型情報媒体とその製造方法および非接触型情報媒体付属冊子 |
Publications (1)
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ID=44075668
Family Applications (1)
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JP2009234982A Pending JP2011081693A (ja) | 2009-10-09 | 2009-10-09 | 非接触型情報媒体とその製造方法および非接触型情報媒体付属冊子 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2011081693A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015001953A1 (ja) * | 2013-07-02 | 2015-01-08 | 大日本印刷株式会社 | Icカード、積層シート、icカードの製造方法 |
JP2017027543A (ja) * | 2015-07-28 | 2017-02-02 | 凸版印刷株式会社 | 非接触型情報媒体用インレイ |
-
2009
- 2009-10-09 JP JP2009234982A patent/JP2011081693A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015001953A1 (ja) * | 2013-07-02 | 2015-01-08 | 大日本印刷株式会社 | Icカード、積層シート、icカードの製造方法 |
JP2015011648A (ja) * | 2013-07-02 | 2015-01-19 | 大日本印刷株式会社 | Icカード、積層シート、icカードの製造方法 |
JP2017027543A (ja) * | 2015-07-28 | 2017-02-02 | 凸版印刷株式会社 | 非接触型情報媒体用インレイ |
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