JP2011057081A - 二層甲板貨物船及びその設計方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】総トン数が500トン未満の貨物船の推進性能を向上と、船員室環境の改善。
【解決手段】総トン数が500トン未満である二層甲板船1は、船員室23が機器室22の上側で乾舷甲板5と上甲板4とに挟まれた領域に形成されている。また機器室22内にプロペラ41の駆動用の電気モータ26が設けられ、船首領域1Bの乾舷甲板5より上側の領域に主機室12が形成され、この主機室12内に電気モータ26へ電力を供給する発電機が設置されている。
【選択図】図1
【解決手段】総トン数が500トン未満である二層甲板船1は、船員室23が機器室22の上側で乾舷甲板5と上甲板4とに挟まれた領域に形成されている。また機器室22内にプロペラ41の駆動用の電気モータ26が設けられ、船首領域1Bの乾舷甲板5より上側の領域に主機室12が形成され、この主機室12内に電気モータ26へ電力を供給する発電機が設置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、内航船として使用される499総トン型貨物船及びその設計方法に関する。
船舶の大きさを表すトン数には総トン数,載貨重量トン数,排水量トン数などがあるが、このうち船舶の登録税,入港料などの算出基礎とされているのは、船体内部の総容積を法定の計算式によりトン数に換算した「総トン数」である。船舶関連法にあっては、この総トン数が例えば300トン,500トン,700トンといった所定の総トン数以上となるたびに税額などが高くなるように規定されている。このような事情から、総トン数が前記所定の総トン数の枠を超えない範囲内において、できるだけ貨物艙の容積を増やしたり貨物の積付けなどを良好にして輸送の効率性及び経済性を向上させることが行われている。
また、船舶のトン数の測度に関する法律第5条第3項では、上甲板の下層に乾舷甲板を持つ二層の船舶についてその総トン数の計算について規定しており、一層の船舶より優遇されている。また、総トン数が500トンを区切りとして、船舶等の設備規程で要求されている設備が異なっており、総トン数が500トン未満(以下、499総トン型船と称する)の二層甲板船は経済的に建造でき、かつ運用できる船舶として広く利用されている。
499総トン型船は、ディーゼル機関を主機とした場合、その大きさから船尾に船底から上甲板に至るまでの範囲に機関室が形成される。貨物艙の容積を纏まった1つの立方体状とするために、機関室の上には上甲板を介して操舵室を含む居住区が形成される。上甲板を介してはいるものの、主機であるディーゼル機関が発する振動と騒音は凄まじく、居住区にある船員室の居住環境を悪化させていた。居住区を上甲板の外側に設置しているのは、上甲板と船首隔壁、船尾隔壁で囲まれた空間の中は閉空間として水没を防止しなければならず、居住区を設置できないからである(測度法施行規則第35条第2項)。このような499総トン型船を開示した例としては、特許文献1、2、3等がある。
また近年、二酸化炭素の排出などといった環境負荷を低減して地球環境保全に寄与することが要請されており、国土交通省では、スーパーエコシップ(SES)として物流効率化、環境負荷低減等に資する電気推進システム等の新技術を採用した次世代の内航船の建造促進を支援している。スーパーエコシップの促進活動では、電気推進システムやバトックフロー船型等の新技術の活用を提案しており、このようなスーパーエコシップの一例として、非特許文献1には、電気推進システムを利用した一層甲板の499総トン型船が開示されている。非特許文献1によると、船尾領域の船底から上甲板に及ぶ大きさの機関室内に、プロペラへ回転を伝達する電気モータや、主機としてのディーゼル発電機が設けられている。しかしながら、この499総トン型船においても、上甲板を挟んでディーゼル機関と居住区が重なり合っており、居住環境は決して良いものとはいえない。
なお、499総トン型船ではないが特許文献4には、プロペラへ回転を伝達する電動機を設置した機器室を船尾領域に、そして船首側に発電機を備えた発電機室を設けた一層甲板のコンテナ船が開示されている。このコンテナ船では、電気推進システムを利用することにより得られる発電機室の設置場所の自由度を利用し、発電機室とともに操舵室を船首側に配置しているが、居住区も発電機室の直上に設置されている。発電機としてガス・タービンを用いる例が示されている。ガス・タービンは一般に静寂性等を求められるクルーズ船等に利用されるものでありディーゼル機関よりも振動と騒音が少ないが、燃料費がかかるため貨物船としては適用できない。発電機としてディーゼル発電機を採用した場合には、先の従来船舶と同様に居住環境は良いものとはならない。
「石川島播磨技報」2006年12月 Vol.46 No.4 P145−149
ディーゼル機関は騒音と振動が激しく、499総トン型船における居住環境を著しく悪化させていた。従来の船舶は、いずれも上甲板の外側に操舵室や船員室等が配置されており、ディーゼル機関の直上となる配置を回避することができず、居住環境の改善は図られていない。
一方、輸送の効率性及び経済性を確保しつつ環境負荷を低減するには、載荷重量トン数の減少を抑制した上で、船体の推進性能を向上させるようにすればよい。これを実現するには、船幅に対して船体を長くして細身とすればよいが、前述の通り総トン数は実際の重量ではなく船体内部の容積を算式により算定したものであるため、船体を細身にすると、載荷重量トン数が小さくなって輸送合理性(効率性、経済性)が低下する。
本発明は、総トン数が500トンを未満の貨物船において、居住環境を向上し、かつ推進性能を向上させることのできる貨物船を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明に係る貨物船は、船首から貨物積載領域を経て前記船尾領域まで乾舷甲板を延長し、前記船尾領域の乾舷甲板と船底との間にプロペラを回転させる電気モータを設け、前記電気モータの直上に位置する前記船尾領域の乾舷甲板と上甲板との間に複数の船員室を設けることにより、上甲板から上側の構造物の容積を上甲板の下側に取り込む。そして、前記船首領域の乾舷甲板と上甲板との間には、前記電気モータに電力を供給するディーゼル発電機を配置して、貨物積載領域を隔てて振動と騒音の発生源を反対側に配置し船員室の静寂性を維持する。上甲板から上側の構造物の容積を上甲板の下側に取り込むことを特徴とする。
本発明によれば、振動と騒音の発生源となるディーゼル機関が船首領域に置かれ、船員室の下にはディーゼル機関よりもはるかに静寂な電気モータが配置されることから、船員室の居住環境が向上する。また、上甲板下の容積と上甲板上の閉囲された構造物の容積の合計を算式により算定した総トン数が500トン未満でなければならないという制約の中で、上甲板から上側の構造物の容積を上甲板の下側に取り込むことにより、従来の499総トン型船では船体上部の容積でしかなかった船員室の容積を前記船首領域及び船尾領域に振り分けて、船体の長さを船体幅に対して長くし、船体の推進性能を向上させることができる。
以下、本実施例による499総トン型の二層甲板船1を説明する。
図1及び図2において二層甲板船1は、外板3、上甲板4及び乾舷甲板5、船首隔壁6、機関室後端隔壁7及び船尾隔壁81、82を備えている。8aは機関室前端隔壁である。船底3aには内底板9が設けられて、二重底が形成されている。2は上甲板上部である。
図1及び図2において二層甲板船1は、外板3、上甲板4及び乾舷甲板5、船首隔壁6、機関室後端隔壁7及び船尾隔壁81、82を備えている。8aは機関室前端隔壁である。船底3aには内底板9が設けられて、二重底が形成されている。2は上甲板上部である。
乾舷甲板5は二層甲板船1の前端から機関室後端隔壁7まで連続して設けられている。機関室後端隔壁7は上部7aと下部7bを備えており、下部7bの上端縁から二層甲板船1の後端までの範囲には、船尾床5aが形成されている。
二層甲板船1の長さ中央を跨ぐ半分長さ以上の範囲が貨物積載領域1Aであり、貨物積載領域1Aの左右側部のうち乾舷甲板5よりも下側は二重船殻構造である。乾舷甲板5よりも下側には、スクエアホールド10が形成されている。スクエアホールド10の上面は倉口10aであり、この倉口10aはハッチカバー11で開閉可能に閉鎖される。
貨物積載領域1Aよりも後側である船尾領域1Cには、機器室22、居住区23(船舶設備規程による船員室等をいう。以下同じ)及び操舵機室24などが形成されており、上甲板4上には係留用ウインチ25や図示しない乗降用ラダーなどが設けられている。機器室22は乾舷甲板5及び外板3で上下左右を囲まれると共に機関室前端隔壁8aと機関室後端隔壁7の下部7bとで前後を囲まれており、船尾隔壁82を介しモータ室22mとシャフト室22sとに分離されている。前部内には左右2台の電気モータ26、26が設置され、船尾隔壁82を跨いだ領域にこれら電気モータ26、26のそれぞれによって独立的に回転される回転伝動軸27、27が設置され、後部22s内にはプロペラ軸28、28、及び、各回転伝動軸27に接続した減速機29を装設されており、さらに機器室22内の適宜場所に種々の補機が設置されている。各プロペラ軸28は船尾領域1Cに形成された船尾管30を通じてその後端を船尾領域1Cの外側に導かれている。
従来の499総トン型の貨物船では、一般に、プロペラに回転を付与する主機としてのディーゼル機関が設置される機関室(主機室)が船尾領域に形成されており、この機関室は主機であるディーゼル機関の設置や保守に要する高さが大きいために上甲板4から船底3aまでの範囲に渡る容積を有するものとされていたが、本実施例では主機17を発電機としてこれを船首領域1Aに位置させたこと、及び、プロペラ41に回転を付与する電気モータ26の設置や保守に要する高さが従来の主機としてのディーゼル機関に較べて大幅に小さいことの2つの理由から、船尾領域1Cに従来のような上甲板に達する高い主機室を設けないで済むものとなっている。
貨物積載領域1Aよりも前側である船首領域1Bには、主機室12、チェーンロッカー13、バウスラスタ室14、及び、備品倉庫15などが形成されており、上甲板4上には揚錨機16、16などが設けられている。主機室12は上甲板4、乾舷甲板5及び外板3で上下左右を囲まれると共に船首隔壁6とスクエアホールド10の前端隔壁10bとで前後を囲まれている。主機室12には、主機17としての3台のディーゼル発電機17や図示しない補機などが乾舷甲板5上に設置されている。バウスラスタ室14は主機室12の直下に位置して乾舷甲板5と外板3で上下左右を囲まれると共に、船首隔壁6と、備品倉庫15の前端隔壁15aとで前後を囲まれており、内方にはバウスラスタ18が設置されている。19は出入口室であり、この出入口室19や階段20a、20b、20cを使用することにより上甲板4上及び乾舷甲板上5や、主機室12及びバウスラスタ室14及び備品倉庫15などとの間の往来が可能とされている。また21aはスクエアホールド10の前端上部隔壁10bに形成された開閉口で、主機室12内とスクエアホールド10内の乾舷甲板5上との間の往来を可能とするものであり、21bはスクエアホールド10の前端下部隔壁10cに形成された開閉口で、備品倉庫15内とスクエアホールド10内との間の往来を可能とするものである。
これら3台の発電機17は、航行中での電気モータ26、26の負荷の変動に対応して、その使用台数が自動的に変更調整されるようになっている。これにより、発電機17は部分負荷状態での作動を回避されて燃料消費率の小さい高効率状態で作動し、省エネルギー化が図られる。またこれら3台の発電機17は乾舷甲板5上の左右方向へ3列に配置されている。各発電機17は最も効率の高い回転数で運転され、所要電力量に合わせて運転台数が帰られる。発電機17は、その設置や保守のための領域の高さや前後長さが小さくて済むため、主機室12の高さ及び前後長さは比較的小さく、上甲板4乾舷甲板5との間に配置できる。
図3に示すように、居住区23は、上甲板4、乾舷甲板5及び外板3で上下左右を囲まれ、船尾隔壁81と機関室後端隔壁7の上部7aとで前後を囲まれている。居住区23は、寝台30や机などを備えられる船員室31が左右各側に3つずつ備えられ、幅中央部にメスルーム32、厨房33、風呂場34、洗濯及び乾燥用室35などが形成されている。
36は居住区23の前後方向中央部と上甲板4上との間を移動するための階段であり、37は居住区23の後部と上甲板4上との間を移動するための階段である。38は居住区23の前部と機器室22の前部との間を移動するための階段であり、また39は居住区23と機器室22の後部との間を移動するための階段である。
この居住区23の領域は、従来の貨物船の上甲板上部に設けられていた場所であり、従来の主機室をこれよりも高さの低い機器室22で置き換えたことにより新たに生成された空間である。居住区23に設けられる船員室31は、この実施例と同一大きさの従来の貨物船の船員室のそれよりも大幅に大きくなっており、その床面積はILO勧告の1.5倍〜2倍程度の大きさである。
上甲板4と上甲板上部2のボート甲板43との間で四周囲を閉囲まれた領域は、上層又は下層に通じる階段36、49を取り囲む出入り口室46と、便所48とが存在しているのみである。
メスルーム32の前壁面である船尾隔壁81と機関室前端隔壁8aには水密扉8aが形成されており、スクエアホールド10内の乾舷甲板5上を経て主機室12へ到達できるようにされている。
操舵機室24は上甲板4、船尾乾舷甲板5a、機関室後端隔壁7の上部7a、及び外板3で上下及び前後左右を囲まれており、船尾乾舷甲板5上に左右一対の操舵機40、40を設置されている。
船尾領域1Cの船底形状はバトックフロー型であり、この船底形状に適合するように2本のプロペラ軸30、30の後端が左右対称状に配置され、それぞれの後端に大径のプロペラ41が固定されている。そして、各プロペラ41の真後ろに舵板42がその対応する操舵機40による揺動可能に設けられている。
上甲板上部2は、上甲板4よりも上側に存在するものであって、ボート甲板43、航海船橋甲板44及びコンパス甲板45を備えている。そして上甲板4とボート甲板43との間には上甲板4上とボート甲板43上との間を移動したり上甲板4上と乾舷甲板5上との間を移動するための出入口室46と、階段37の上方を閉囲した出入口室47と、便所48とが形成されている。四周囲を閉囲された出入口室46内には階段36や、上甲板4上とボート甲板43上との間を移動するための階段49が設けられている。各出入口室46、47の壁面には出入り用の開閉口が設けられ、また四周囲を閉囲された便所48の壁面には上甲板4上で出入りするための開閉口と、出入口室46内の上甲板4上で出入りするための開閉口とが設られている。50は上甲板4上とボート甲板43上との間の暴露部を移動するための階段である。51はボート甲板43の外周部を支持するための柱部材であり、52は手すりである。
また図4に示すように、ボート甲板43と航海船橋甲板44の間にはボート甲板43上と航海船橋甲板44との間を移動したりボート甲板43上と上甲板4との間を移動するための出入口室53と、倉庫54が形成されている。四周囲を閉囲まれた出入口室53内には階段49や、ボート甲板43上と航海船橋甲板44上との間を移動するための階段55が設けられている。出入口室53の壁面にはボート甲板43上で出入りするための開閉口が設けられている。56はボート甲板43上と航海船橋甲板44上との間を移動するための階段である。57は手すりである。
航海船橋甲板44上には操舵室58が形成されると共に四周囲を閉囲されて階段55の上方を囲む出入口室59が形成されており、この出入口室59には操舵室58に対し出入りするための開閉口が形成されている。
本実施例の二層甲板船1によれば、上甲板上部2は従来の上甲板上部から船員室が除去されたものとされているため、その分だけ本実施例の上甲板上部2の容積が従来より小さくなる。この一方で、二層甲板船1の容積は従来の船体よりも船員室除去分だけ大きく設計されている。したがって、総トン数は実施例のものも従来のものも共に499トンで変わりない。
二層甲板船1の設計に当たっては、船首領域1Bから貨物積載領域1Aを経て船尾領域1Cまで乾舷甲板5を延長し、船尾領域1Bの乾舷甲板5と船底との間に、プロペラを回転させる機器室22を設置し、電気モータ26を配置するモータ室22mとシャフト室22sとに水密隔壁82で分割する。船尾領域1Cの乾舷甲板5と上甲板4と間に複数の船員室3を配置し、船首領域の乾舷甲板と上甲板との間に、主機室12を設置する。主機室12にはディーゼル発電機17を配置し、図示されないインバータ等の電力機器を介して電気モータ26への電力配線を配置する。総トン数の計算に当たっては、上甲板4よりも下層に配置した複数の船員室の容積分を、船首領域及び船尾領域に振り分ける。なお、これに代えて、船首領域1A又は船尾領域1Cの何れか一方の容積を増大させても良い。
このような容積の割り当ての結果、総トン数は500トン未満としたまま、載荷容積や載荷重量を減少させることなく、上甲板上部2の空気抵抗や、二層甲板船1の推進抵抗などを減少させることができるのであり、その分、従来よりもエネルギー消費が減少し、運航の経済性及び効率性を維持し或いは向上させた上で、環境負荷が軽減されるのである。
図5は、船を航行させるのに必要な出力を示す図であり、二層甲板船1の模型船体により水槽試験を行った結果を示している。実線は発電機の所要電力量を示しており、点線は電動モータ出力の電力量を示している。499総トン型の貨物船の航海速力は11.5ノット程度であり、満載時には、本船の船体模型では発電機出力が900KW必要であり、電動モータは760KWの出力が必要となっている。典型船では、主機出力が、1400KW程度であることから、船員室部分を上甲板の下側に取り込み、船体の長さを船体幅に対して長くした効果が見られる。
また、本実施例では船体形状を理想船型であるバトックフロー型にすると共に、船尾領域1Cの船底3a下側の左右各側に2つのプロペラ41、41を配置して、左右対称形状としてあり、それぞれのプロペラ41は同一直径で、比較的大径とされ且つ比較的低回転で回転している。ここに、バトックフロー型とは、船底を流れる水流と船の側面を流れる水流の干渉を抑制するようにした船型をいう。
左右のプロペラ41、41のそれぞれは、例えば、単一のプロペラを有する従来の499総トン型貨物船のプロペラとほぼ同一径とし、且つ、回転速度を従来よりも低下させて従来の499総トン型貨物船で得られる推力とほぼ同一の推力が得られるようにして、プロペラ荷重度を従来の例えば半分程度までに低下させる。これにより、1機1軸の従来の貨物船よりもプロペラ効率が10%以上大きくなる。
上記した複数のディーゼル発電機17の運転作動状態の効率化や、理想船型による推進抵抗の減少化や、左右のプロペラ41、41の大直径低回転化による推力発生の効率化などが総合されることにより、さらに省エネルギー化を図ることが可能となる。
これは、エンジンで発電要部を回す形式の発電機17で電力を発生し電気モータ26を回転させプロペラ41を回転させる電気推進システムにおけるエネルギーロスを補って余りあるものである。
さらに本実施例では主機室12が上甲板4より下側で乾舷甲板5より上側に設けられているため、主機室12が乾舷甲板5から船底3aまでの範囲に存在するよりも、発電機17の浸水被害に対する安全性が向上する。さらに主機室12がバウスラスター室14の上側に設けられており、これによりバウスラスタ室14が水密領域となって発電機17の浸水被害に対する安全性がさらに向上する。
上記実施例では上甲板上部2は船員室の全く存在しないものとしたが、一部船員室を備えても良い。
次に本実施例の二層甲板船1の具体的な数値と従来の499総トン型の一般貨物船を示す。
これら各例と本実施例を比較すると、本実施例の貨物船の二層甲板船1は明らかに長く細くなっており、しかも載荷重量トン数が確保されている。
1 船体
1A 貨物積載領域
1B 船首領域
1C 船尾領域
3a 船底
4 上甲板
5 乾舷甲板
12 主機室
14 バウスラスター室
17 発電機
22 機器室
23 居住区画
26 電気モータ
41 プロペラ
1A 貨物積載領域
1B 船首領域
1C 船尾領域
3a 船底
4 上甲板
5 乾舷甲板
12 主機室
14 バウスラスター室
17 発電機
22 機器室
23 居住区画
26 電気モータ
41 プロペラ
Claims (3)
- 船首領域と船尾領域の間に立方体状の貨物積載領域を備え、前記船尾領域の上甲板上に操舵室が設けられ、上甲板下の容積と上甲板上の閉囲された構造物の容積の合計を算式により算定した総トン数が500トン未満である二層甲板貨物船において、
前記船首領域から貨物積載領域を経て前記船尾領域まで延長された乾舷甲板と、
前記船尾領域の乾舷甲板と船底との間に設けられ、プロペラを回転させる電気モータと、
前記電気モータの直上に位置する前記船尾領域の乾舷甲板と上甲板との間に設けられた複数の船員室と、
前記船首領域の乾舷甲板と上甲板との間に設けられ、前記電気モータに電力を供給するディーゼル発電機とを有し、前記複数の船員室の容積が前記船首領域及び/又は船尾領域に振り分けられていることを特徴とする二層甲板貨物船。 - 前記船尾領域の船底がバトックフロー型であり、左右各側に前記プロペラが配設され、これらプロペラのそれぞれが各別の前記電気モータと連動連結されていることを特徴とする請求項1記載の貨物船。
- 船首領域と船尾領域の間に立方体状の貨物積載領域を備え、前記船尾領域の上甲板上に操舵室が設けられ、上甲板下の容積と上甲板上の閉囲された構造物の容積の合計を算式に
より算定した総トン数が500トン未満である二層甲板貨物船の設計方法おいて、
前記船首領域から貨物積載領域を経て前記船尾領域まで乾舷甲板を延長し、
前記船尾領域の乾舷甲板と船底との間に、プロペラを回転させる電気モータを配置し、
前記船尾領域の乾舷甲板と上甲板と間に複数の船員室を配置し、前記船首領域の乾舷甲板と上甲板との間に、前記電気モータに電力を供給するディーゼル発電機を配置し、前記複数の船員室の容積を前記船首領域及び船尾領域に振り分けたことを特徴とする二層甲板貨物船の設計方法。
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