JP2011031840A - タイヤ - Google Patents

Abstract

【課題】 製造コストの上昇を抑制しつつ、ロードノイズを低減したタイヤを提供する。
【解決手段】本発明に係る空気入りタイヤ１は、タイヤ周方向ＴＣに延びるリブ状の陸部を備え、陸部に隣接し、タイヤ周方向ＴＣに延びる周方向溝が形成される。陸部には、周方向溝よりも溝深さが浅く、タイヤ周方向ＴＣに沿って連続して延びる周方向浅溝７０が形成される。周方向浅溝７０には、周方向浅溝７０よりもタイヤ径方向ＴＲ内側に凹む複数のサイプが形成されることを要旨とする。
【選択図】図２

Description

本発明は、タイヤ周方向に延びるリブ状の陸部を備え、当該陸部に隣接し、タイヤ周方向に延びる周方向溝が形成されたタイヤに関する。

従来、乗用自動車などに装着されるタイヤでは、路面の凹凸に起因するロードノイズを低減するため、タイヤの内部に設けられる補強層を規定することが広く採用されている。例えば、ベルト層のタイヤ径方向外側に、コードをゴムでコーティングしたコーデッドコードをトレッド幅方向に所定間隔（例えば、２〜１０ｍｍ）を置いて螺旋状に巻き付ける補強層が設けられるタイヤが知られている（例えば、特許文献１）。

このようなタイヤによれば、コードデッドコードをトレッド幅方向に所定間隔を空けないように螺旋状に巻き付けた補強層に比べて、タイヤ自体の剛性が低くなる。このため、路面の凹凸に対してタイヤが変形しやすく、ロードノイズが低減する。

特開２００４−６６９２２号公報（第４頁、第１図）

しかしながら、上述した従来のタイヤには、次のような問題があった。すなわち、コードデッドコードをトレッド幅方向に所定間隔を置いて螺旋状に巻き付ける工程が必要であるとともに、当該工程が煩雑であるため、タイヤの製造コストが上昇するという問題があった。

そこで、本発明は、製造コストの上昇を抑制しつつ、ロードノイズを低減したタイヤの提供を目的とする。

上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第１の特徴は、タイヤ周方向（タイヤ周方向ＴＣ）に延びるリブ状の陸部（陸部）を備え、前記陸部に隣接し、タイヤ周方向に延びる周方向溝（周方向溝）が形成されたタイヤ（例えば、空気入りタイヤ１）であって、前記陸部には、前記周方向溝よりも溝深さが浅く、タイヤ周方向に沿って連続して延びる周方向浅溝（周方向浅溝７０）が形成され、前記周方向浅溝には、前記周方向浅溝よりもタイヤ径方向内側に凹む複数のサイプ（サイプ８１やサイプ８２）が形成されることを要旨とする。

かかる特徴によれば、陸部には、周方向溝に加えて、周方向浅溝が形成されることによって、周方向浅溝が形成されたトレッド踏面の一部が路面に接しにくくなる。このため、路面の凹凸からの入力が減少し、当該路面の凹凸に起因するロードノイズを低減できる。

また、周方向浅溝がタイヤ周方向に沿って連続して延びる。このため、周方向浅溝がタイヤ周方向に所定間隔毎に分断される場合と比較して、陸部に形成されるエッジが路面と接することに起因するノイズ（パターンノイズ）をも低減できる。

また、複数のサイプが設けられることによって、陸部の剛性（圧縮剛性）を調整できる（すなわち、下げることができる）。このため、路面の凹凸に起因するロードノイズをさらに低減できるとともに、摩耗後のロードノイズをも低減できる。

このように、陸部に周方向浅溝及び複数のサイプを形成するのみで、上述したようにロードノイズやパターンノイズを低減できるため、従来のようにコードデッドコードをトレッド幅方向に所定間隔を置いて螺旋状に巻き付ける工程が必要なく、かつ、タイヤの製造が簡素化されるため、タイヤの製造コストの上昇を抑制できる。

本発明の第２の特徴は、本発明の第１の特徴に係り、前記周方向浅溝は、路面と接する前記タイヤのショルダー部に位置する陸部に形成されることを要旨とする。

本発明の第３の特徴は、本発明の第２の特徴に係り、前記周方向浅溝は、トレッド幅方向に隣接して複数形成されることを要旨とする。

本発明の第４の特徴は、本発明の第１乃至３の特徴に係り、一方の周方向浅溝に形成される前記サイプの位置は、隣接する他方の周方向浅溝に形成される前記サイプとタイヤ周方向に対して異なる位置に設けられることを要旨とする。

本発明の第５の特徴は、本発明の第１乃至４の特徴に係り、前記サイプの深さ（Ｄ_８０）は、前記周方向浅溝の深さ（Ｄ_７０）よりも深いことを要旨とする。

本発明の第６の特徴は、本発明の第１乃至５の特徴に係り、前記サイプは、タイヤ周方向に沿った縦長状をなしていることを要旨とする。

本発明の特徴によれば、製造コストの上昇を抑制しつつ、ロードノイズを低減したタイヤを提供することができる。

図１は、本実施形態に係る空気入りタイヤ１のトレッド踏面１０の一部を示す展開図である。 図２は、本実施形態に係る空気入りタイヤ１のトレッド踏面１０の一部を示す斜視図である。 図３（ａ）は、本実施形態に係る空気入りタイヤ１のトレッド踏面１０の一部を示すトレッド幅方向断面図（図１のＡ−Ａ断面図）である。図３（ｂ）は、図３（ａ）の周方向浅溝７０を示す拡大模式図である。 図４は、変更例１に係る空気入りタイヤ１Ａのトレッド踏面１０Ａの一部を示す展開図である。 図５は、変更例１に係る空気入りタイヤ１Ａのトレッド踏面１０Ａの一部を示す斜視図である。 図６（ａ）は、本実施形態に係る空気入りタイヤ１のトレッド踏面１０Ａの一部を示すトレッド幅方向断面図（図４のＡ−Ａ断面図）である。図６（ｂ）は、図６（ａ）の周方向溝３１のみを示す拡大模式図である。 図７は、浅溝部４０及び深溝部５０を示す拡大模式図である。

次に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、（１）空気入りタイヤの全体構成、（２）周方向浅溝の詳細構成、（３）変更例、（４）比較評価、（５）作用・効果、（６）その他の実施形態について説明する。

なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。

したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。

（１）空気入りタイヤの全体構成
まず、本実施形態に係る空気入りタイヤ１の全体構成について、図面を参照しながら説明する。図１は、本実施形態に係る空気入りタイヤ１のトレッド踏面１０の一部を示す展開図である。なお、空気入りタイヤ１には、空気ではなく、窒素ガスなどの不活性ガスが充填されてもよい。

図１に示すように、空気入りタイヤ１は、タイヤ周方向ＴＣに延びるリブ状の陸部を備える。陸部のトレッド踏面１０には、当該陸部に隣接し、タイヤ周方向ＴＣに延びる矩形状の周方向溝が形成される。

陸部は、図１の左側から右側にかけて、陸部２１と、陸部２２と、陸部２３と、陸部２４と、陸部２５とによって構成される。周方向溝は、図１の左側から右側にかけて、周方向溝３１と、周方向溝３２と、周方向溝３３と、周方向溝３４とによって構成される。

陸部には、複数の補助横溝が設けられる。具体的には、陸部２１には、周方向溝よりも溝深さが浅く、タイヤ周方向ＴＣに沿って延びる周方向浅溝７０が形成される。すなわち、周方向浅溝７０は、路面と接する空気入りタイヤ１のショルダー部に位置する陸部２１に形成される。なお、周方向浅溝７０の構成については、後述する。

陸部２１、陸部２３、陸部２４及び陸部２５のぞれぞれには、タイヤ周方向ＴＣに向かって所定間隔置きに複数の補助横溝６１、複数の補助横溝６３、複数の補助横溝６４及び複数の補助横溝６５が形成される。なお、陸部２２には、補助横溝が形成されていない。

補助横溝６１、補助横溝６３、補助横溝６４及び補助横溝６５のぞれぞれは、トレッド踏面視においてトレッド幅方向ＴＷに沿って湾曲し、周方向溝に開口する。補助横溝６３及び補助横溝６４は、補助横溝６５に沿った延長線上に設けられる。なお、補助横溝６１、補助横溝６３、補助横溝６４及び補助横溝６５のぞれぞれは、周方向溝のトレッド幅方向ＴＷに沿ったそれぞれの幅よりも細い幅を有する。

（２）周方向浅溝の詳細構成
次に、上述した周方向浅溝７０の詳細構成について、図面を参照しながら説明する。図２は、本実施形態に係る空気入りタイヤ１のトレッド踏面１０の一部を示す斜視図である。図３（ａ）は、本実施形態に係る空気入りタイヤ１のトレッド踏面１０の一部を示すトレッド幅方向断面図（図１のＡ−Ａ断面図）である。図３（ｂ）は、図３（ａ）の周方向浅溝７０を示す拡大模式図である。なお、トレッド幅方向断面図は、トレッド幅方向ＴＷ及びタイヤ径方向ＴＲに沿った断面視を示す。

図１〜図３に示すように、周方向浅溝７０は、トレッド幅方向ＴＷに隣接して複数形成される。本実施形態では、周方向浅溝７０は、内側浅溝７１と、外側浅溝７２とによって構成される。

内側浅溝７１は、タイヤ赤道線ＣＬ側に位置する。内側浅溝７１は、トレッド幅方向断面図において湾曲している。内側浅溝７１と陸部２１のトレッド踏面１０との境目（図３（ｂ）のＲ１）は、トレッド幅方向断面において、曲線状に連なる。内側浅溝７１には、周方向浅溝７０よりもタイヤ径方向ＴＲ内側に凹む複数のサイプ８１が形成される。

サイプ８１は、タイヤ周方向ＴＣに向かって所定間隔置きに配置される。サイプ８１は、タイヤ周方向ＴＣに沿った縦長状（いわゆる、ブレードサイプ）をなしている。サイプ８１の深さ（Ｄ_８０）は、周方向浅溝７０の深さ（Ｄ_７０）よりも深い。なお、サイプ８１と内側浅溝７１との境目（図３（ｂ）のＲ２）は、トレッド幅方向断面において、曲線状に連なっていてもよい。

外側浅溝７２は、内側浅溝７１よりもトレッド幅方向ＴＷ外側に位置する。外側浅溝７２は、トレッド幅方向断面図において湾曲している。外側浅溝７２と陸部２１のトレッド踏面１０との境目（図３（ａ）のＲ１）は、トレッド幅方向断面において、曲線状に連なる。外側浅溝７２には、周方向浅溝７０よりもタイヤ径方向ＴＲ内側に凹む複数のサイプ８２が形成される。

サイプ８２は、タイヤ周方向ＴＣに向かって所定間隔置きに配置される。サイプ８２は、タイヤ周方向ＴＣに沿った縦長状（いわゆる、ブレードサイプ）をなしている。サイプ８２の深さ（Ｄ_８０）は、サイプ８１の深さ（Ｄ_８０）と同様であり、周方向浅溝７０の深さ（Ｄ_７０）よりも深い。なお、サイプ８２と外側浅溝７２との境目（図３（ｂ）のＲ２）は、トレッド幅方向断面において、曲線状に連なっていてもよい。

ここで、内側浅溝７１に形成されるサイプ８１の位置は、トレッド幅方向ＴＷに隣接する外側浅溝７２に形成されるサイプ８２とタイヤ周方向ＴＣに対して異なる位置に設けられる。

（３）変更例
次に、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ１のトレッド踏面１０の変更例について、図面を参照しながら説明する。図４は、変更例１に係る空気入りタイヤ１Ａのトレッド踏面１０Ａの一部を示す展開図である。図５は、変更例１に係る空気入りタイヤ１Ａのトレッド踏面１０Ａの一部を示す斜視図である。

図６（ａ）は、本実施形態に係る空気入りタイヤ１のトレッド踏面１０Ａの一部を示す断面図である。すなわち、図６（ａ）は、図１のＡ−Ａ線におけるタイヤ径方向ＴＲに沿った断面を図１のＢ方向から見た図を示す。図６（ｂ）は、図６（ａ）の周方向溝３１を示す拡大模式図である。図７は、浅溝部４０及び深溝部５０を示す拡大模式図である。

上述した実施形態では、周方向溝は、矩形状をなしている。これに対して、変更例1では、図４〜図７に示すように、周方向溝のうちの周方向溝３１及び周方向溝３３は、浅溝部４０と、深溝部５０とを含む。なお、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ１のトレッド踏面１０と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。

変更例１では、周方向溝は、周方向溝３１、周方向溝３２及び周方向溝３３によって構成される。また、陸部は、陸部２１、陸部２２、陸部２３及び陸部２４によって構成される。陸部には、補助横溝が形成されていない。

浅溝部４０は、互いに隣接する陸部２１及び陸部２２の間に形成される。浅溝部４０の側壁４０ａの形状は、トレッド幅方向断面において、タイヤ径方向ＴＲ内側に凹む半月状である（図５及び図６参照）。

図６（ｂ）に示すように、浅溝部４０と深溝部５０とのうち、少なくとも浅溝部４０の側壁４０ａは、トレッド幅方向断面において、陸部の周方向溝側端を通り、タイヤ赤道線ＣＬと平行な直線ＰＬとの距離ＣＰが浅溝部４０の最深部４０ｂに向かうに連れて長くなるように傾斜している。浅溝部４０は、内側浅溝４１と、外側浅溝４２とによって構成される（図４〜図６参照）。

内側浅溝４１は、周方向溝３１及び周方向溝３３のトレッド幅方向ＴＷを通る溝内中心線ＤＣＬよりもタイヤ赤道線ＣＬ側に位置する。外側浅溝４２は、内側浅溝４１と連なるとともに、溝内中心線ＤＣＬよりもトレッド幅方向ＴＷ外側に位置する。

内側浅溝４１及び外側浅溝４２は、タイヤ周方向ＴＣに対して逆向きになるように、それぞれ湾曲している。具体的には、図７に示すように、内側浅溝４１が湾曲することによって突出する外凸部４１ａ、及び外側浅溝４２が湾曲することによって突出する外凸部４２aは、それぞれ溝内中心線ＤＣＬ側に位置している。つまり、内側浅溝４１と外側浅溝４２とは、溝内中心線ＤＣＬ上に位置する浅溝部４０の中心点Ｐ１を基準として、点対称に設けられる。また、内側浅溝４１における陸部２２側の端部４１ｐと、外側浅溝４２における陸部２１の端部４２ｐとは、タイヤ周方向ＴＣにずれて配置されている。

深溝部５０は、タイヤ周方向ＴＣにおいて浅溝部４０に隣接し、トレッド幅方向ＴＷに延びる。具体的には、深溝部５０は、トレッド踏面視においてトレッド幅方向ＴＷに沿って湾曲するように延びる。深溝部５０は、浅溝部４０の溝底４０ｃを上端として、浅溝部４０よりもタイヤ径方向ＴＲ内側に凹んでいる。

深溝部５０は、トレッド幅方向断面において、浅溝部４０よりも矩形状である。具体的には、深溝部５０の側壁５０ａの形状は、トレッド幅方向断面おいて、タイヤ径方向ＴＲに沿った直線状である。深溝部５０の溝底５０ｂの形状は、トレッド幅方向断面において、トレッド幅方向ＴＷに沿った直線状である。側壁５０ａと溝底５０ｂとの境目は、トレッド幅方向断面において、曲線状に連なる。深溝部５０は、内側深溝５１と、外側深溝５２とによって構成される（図４〜図７参照）。

内側深溝５１は、溝内中心線ＤＣＬよりもタイヤ赤道線ＣＬ側に位置する。外側深溝５２は、内側深溝５１と連なるとともに、溝内中心線ＤＣＬよりもトレッド幅方向ＴＷ外側に位置する。

内側深溝５１及び外側深溝５２は、タイヤ周方向ＴＣに対して逆向きになるように、それぞれ湾曲している。具体的には、図７に示すように、内側深溝５１が湾曲することによって突出する外凸部５１ａ、及び外側深溝５２が湾曲することによって突出する外凸部５２aは、それぞれ溝内中心線ＤＣＬ側に位置している。つまり、内側深溝５１と外側深溝５２とは、溝内中心線ＤＣＬ上に位置する深溝部５０の中心点Ｐ２を基準として、点対称に設けられる。また、内側深溝５１における陸部２２側の端部５１ｐと、外側深溝５２における陸部２１の端部５２ｐとは、タイヤ周方向ＴＣにずれて配置されている。

なお、周方向溝の本数については、実施形態や変更例で説明したものに限定されず、目的に応じて適宜選択できる。つまり、浅溝部４０及び深溝部５０は、全ての周方向溝に設けられていてもよく、少なくとも１つの周方向溝に設けられていることが好ましい。

また、陸部には、補助横溝が形成されていてもよい。この場合、陸部のトレッド踏面１０Ａは、空気入りタイヤ１に正規荷重が加えられた状態、かつ路面と接地した状態において、空隙がない平滑面を形成することが好ましい。

また、内側浅溝４１における陸部２２側の端部４１ｐと、外側浅溝４２における陸部２１の端部４２ｐとは、タイヤ周方向ＴＣに対して同一位置に配置されていてもよい。つまり、内側浅溝４１及び外側浅溝４２は、タイヤ赤道線ＣＬを基準として、線対称に設けられてもよい。同様に、内側深溝５１における陸部２２側の端部５１ｐと、外側深溝５２における陸部２１の端部５２ｐとは、タイヤ周方向ＴＣに対して同一位置に配置されていてもよい。つまり、内側深溝５１及び外側深溝５２は、タイヤ赤道線ＣＬを基準として、線対称に設けられてもよい。

また、浅溝部４０及び深溝部５０は、トレッド踏面視においてトレッド幅方向ＴＷに沿って湾曲するように延びるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、直線状に延びていてもよい。なお、浅溝部４０の形状や深溝部５０の形状についても、変更例で説明したものに限定される必要はなく、目的に応じて適宜設定できる。

（４）比較評価
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の比較例及び実施例に係る空気入りタイヤを用いて行った比較評価について説明する。具体的には、（４−１）各空気入りタイヤの構成、（４−２）評価結果について説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。

（４−１）各空気入りタイヤの構成
まず、比較例及び実施例に係る空気入りタイヤについて、簡単に説明する。なお、空気入りタイヤに関するデータは、以下に示す条件において測定された。
・ タイヤサイズ ： ２２５／４５Ｒ１７
・ リムサイズ ： ８Ｊ−１７
・ 車両条件 ： 国産ＦＦ車（排気量２０００ｃｃ）
・ 内圧条件 ： 正規内圧
・ 荷重条件 ： ドライバーの荷重＋６００Ｎ

比較例に係る空気入りタイヤでは、陸部に周方向浅溝が形成されていない。一方、実施例に係る空気入りタイヤは、陸部に周方向浅溝７０（内側浅溝７１及び外側浅溝７２）が形成されている。

なお、比較例及び実施例に係る空気入りタイヤは、上述した実施形態（図１〜図３）に示すトレッドパターンであるものとする。比較例及び実施例に係る空気入りタイヤでは、周方向浅溝（サイプ）の構成以外については同様である。

（４−２）評価結果
次に、各タイヤが装着された車両のロードノイズ性能の評価結果について、表１を参照しながら説明する。

ロードノイズ性能は、比較例に係る空気入りタイヤが装着された車両のロードノイズを‘１００’とし、実施例の空気入りタイヤが装着された車両のロードノイズを指数化した。なお、指数が小さいほど、ロードノイズが小さい。

この結果、表１に示すように、実施例に係る空気入りタイヤが装着された車両は、比較例に係る空気入りタイヤが装着された車両と比べ、ロードノイズを低減できることが判った。

（５）作用・効果
以上説明した実施形態では、陸部には、周方向溝に加えて、周方向浅溝７０が形成されることによって、周方向浅溝７０が形成されたトレッド踏面１０の一部が路面に接しにくくなる。このため、路面の凹凸からの入力が減少され、当該路面の凹凸に起因するロードノイズを低減できる。なお、周方向浅溝７０は、周方向溝よりも溝深さが浅いことによって、陸部の剛性低下を抑制し、操縦安定性や駆動性などを維持できる。

また、周方向浅溝７０がタイヤ周方向ＴＣに沿って連続して延びる。このため、周方向浅溝７０がタイヤ周方向ＴＣに所定間隔毎に分断される場合と比較して、陸部に形成される複数のエッジが路面と接することに起因するノイズ（パターンノイズ）をも低減できる。

また、複数のサイプ（サイプ８１またはサイプ８２）が設けられることによって、陸部２１の剛性（圧縮剛性）を調整できる（すなわち、下げることができる）。このため、路面の凹凸に起因するロードノイズをさらに低減できるとともに、摩耗後のロードノイズをも低減できる。

このように、陸部に周方向浅溝７０及び複数のサイプを形成するのみで、上述したようにロードノイズやパターンノイズを低減できるため、従来のようにコードデッドコードをトレッド幅方向ＴＷに所定間隔を置いて螺旋状に巻き付ける工程が必要なく、かつ、空気入りタイヤ１の製造が簡素化されるため、空気入りタイヤ１の製造コストの上昇を抑制できる。

一般的に、ロードノイズは、ホイールのリムに近い空気入りタイヤ１のショルダー部で発生したロードノイズは、車内に伝わりやすい。このため、実施形態では、周方向浅溝７０が空気入りタイヤ１のショルダー部に位置する陸部２１に形成されることによって、陸部２１で発生するロードノイズをさらに低減できる。

実施形態では、周方向浅溝７０は、トレッド幅方向ＴＷに隣接して複数形成される。このため、路面の凹凸からの入力がさらに減少され、陸部２１で発生するロードノイズをさらに低減できる。

実施形態では、内側浅溝７１に形成されるサイプ８１の位置は、トレッド幅方向ＴＷに隣接する外側浅溝７２に形成されるサイプ８２とタイヤ周方向ＴＣに対して異なる位置に設けられる。このため、陸部２１に発生するノイズ（ロードノイズやパターンノイズ）が分散されやすくなる。従って、ロードノイズやパターンノイズの発生をより確実に低減できる。

実施形態では、サイプ８１及びサイプ８２の深さＤ_８０は、周方向浅溝７０の深さ（Ｄ_７０）よりも深い。なお、サイプ８１の深さＤ_５１及びサイプ８２の深さＤ_５２が周方向浅溝７０の深さ（Ｄ_４０）よりも浅いと、陸部２１の剛性（圧縮剛性）を調整しにくく（すなわち、下げにくい）。このため、路面の凹凸に起因するロードノイズの低減効果を十分に得られない場合がある。

実施形態では、サイプ８１は、タイヤ周方向ＴＣに沿った縦長状（いわゆる、ブレードサイプ）をなしている。このため、周方向浅溝７０内にサイプ８１を大きく形成でき、陸部２１の剛性（圧縮剛性）を調整しやすくなる。従って、路面の凹凸に起因するロードノイズを効率的に低減できる。

変更例では、周方向溝３１及び周方向溝３３は、浅溝部４０及び深溝部５０を含む。これによれば、摩耗初期においては、浅溝部４０及び深溝部５０が接地することがないため、パターンノイズが発生しない。一方、摩耗初期から一定量の摩耗後（摩耗後期）において、浅溝部４０及び深溝部５０がトレッド踏面１０に出現する。このため、摩耗後期において、浅溝部４０及び深溝部５０によるトレッド踏面１０でのエッジ成分が増大し、制動性能を向上できる。つまり、摩耗初期から一定量の摩耗後において、パターンノイズや制動性能を両立できる。

このように、変更例では、摩耗初期から一定量の摩耗後において制動性能を向上できるため、陸部に補助横溝を形成する必要がなくなり、補助横溝により陸部に形成されるエッジが路面と接することに起因するパターンノイズを確実に低減できる。

（６）その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。

例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、実施形態では、タイヤとして、空気や窒素ガスなどが充填される空気入りタイヤ１であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、空気や窒素ガスなどが充填されないソリッドタイヤでもあってもよい。

また、実施形態では、空気入りタイヤ１のトレッドパターンは、実施形態で説明したものに限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定できることは勿論である。すなわち、陸部や周方向溝、補助横溝、周方向浅溝７０の構成（形状や本数）などについては、目的に応じて適宜設定できる。

例えば、周方向浅溝７０は、路面と接する空気入りタイヤ１のショルダー部に位置する陸部２１に形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、他方のショルダー部に位置する陸部２５に形成されていてもよい。

また、周方向浅溝７０は、内側浅溝７１と外側浅溝７２とによって構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、１本であってもよく、また、３本以上の浅溝によって構成されていてもよい。

また、実施形態では、サイプ８１及びサイプ８２は、タイヤ周方向ＴＣに沿った縦長状をなしているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、トレッド踏面視において円形状や三角状、矩形状等（いわゆる、ピンサイプ）をなしていてもよい。

このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。

１,１Ａ…空気入りタイヤ、１０,１０Ａ…トレッド踏面、２１〜２５…陸部、３１〜３４…周方向溝、４０…浅溝部、４０ａ…側壁、４０ｂ…最深部、４０ｃ…溝底、４１…内側浅溝、４１ａ…外凸部、４１ｐ…端部、４２…外側浅溝、４２a…外凸部、４２ｐ…端部、５０…深溝部、５０ａ…側壁、５０ｂ…溝底、５１…内側深溝、５１ａ…外凸部、５１ｐ…端部、５２…外側深溝、５２a…外凸部、５２ｐ…端部、６１〜６５…補助横溝、７０…周方向浅溝、７１…内側浅溝、７２…外側浅溝、８１,８２…サイプ

Claims (6)

1. タイヤ周方向に延びるリブ状の陸部を備え、
   前記陸部に隣接し、タイヤ周方向に延びる周方向溝が形成されたタイヤであって、
   前記陸部には、前記周方向溝よりも溝深さが浅く、タイヤ周方向に沿って連続して延びる周方向浅溝が形成され、
   前記周方向浅溝には、前記周方向浅溝よりもタイヤ径方向内側に凹む複数のサイプが形成されるタイヤ。
2. 前記周方向浅溝は、路面と接する前記タイヤのショルダー部に位置する陸部に形成される請求項１に記載のタイヤ。
3. 前記周方向浅溝は、トレッド幅方向に隣接して複数形成される請求項１または２に記載のタイヤ。
4. 一方の周方向浅溝に形成される前記サイプの位置は、隣接する他方の周方向浅溝に形成される前記サイプとタイヤ周方向に対して異なる位置に設けられる請求項１乃至３の何れか一項に記載のタイヤ。
5. 前記サイプの深さは、前記周方向浅溝の深さよりも深い請求項１乃至４の何れか一項に記載のタイヤ。
6. 前記サイプは、タイヤ周方向に沿った縦長状をなしている請求項１乃至５の何れか一項に記載のタイヤ。

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