JP2010275988A - 内燃機関の弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温室への燃焼ガスの流れに分岐流が発生しないようにして、掃気効率を著しく高める。
【解決手段】排気口2aを開閉する主弁4と、主弁4の開弁時に排気口2aから排出された排気初期の燃焼ガスを導入して排気する高温室22と、排気中期から排気終了まで排気口から排出された燃焼ガスを導入して排気する低温室24と、高温室と低温室への燃焼ガスの流れを切り替える副弁31とを備えた内燃機関の弁装置20において、副弁31は、排気口から排出された燃焼ガスを内部通過させる筒部32と、筒部の上方に配設されて筒部の上端開口部から排出された燃焼ガスを排気初期には高温室へ及び排気中期から排気終了までは低温室へ導く案内翼33とからなる。
【選択図】図1
【解決手段】排気口2aを開閉する主弁4と、主弁4の開弁時に排気口2aから排出された排気初期の燃焼ガスを導入して排気する高温室22と、排気中期から排気終了まで排気口から排出された燃焼ガスを導入して排気する低温室24と、高温室と低温室への燃焼ガスの流れを切り替える副弁31とを備えた内燃機関の弁装置20において、副弁31は、排気口から排出された燃焼ガスを内部通過させる筒部32と、筒部の上方に配設されて筒部の上端開口部から排出された燃焼ガスを排気初期には高温室へ及び排気中期から排気終了までは低温室へ導く案内翼33とからなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の弁装置に関する。
内燃機関の弁装置、例えば2サイクルディーゼル機関の排気弁装置として、図6及び図7に示すものがある。図6及び図7に示すように、排気弁装置10は、シリンダブロック1の燃焼室2の頂部に設けられた排気口2aの弁座3の真上に配設されており、排気弁装置10の一部であるシリンダヘッド11内には、上部に高温室12とこの高温室12に連通する高温排気通路13とが形成され、下部には低温室14とこの低温室14に連通する低温排気通路15とが形成されている。
この高温室12及び低温室14は排気口2aの上方に配設されてており、排気口2aと連通している。油圧シリンダブロック16の下端部16aには、高温室12の中央下部近傍に、高温の燃焼ガス(排気ガス)を高温室12及び高温排気通路13に円滑に導くための案内翼17が設けられている。
一方、シリンダブロック1の燃焼室2の排気口2aを開閉するための傘状の主弁4は、弁ステム5の上端に設けられると共に空気ばね室18内に収容された図示しない空気ピストンが、空気圧により押し上げられることにより閉弁する。また、主弁4は、弁ステム5の図示しない上端面に高圧の油圧が供給され、この弁ステム5が上記空気ピストンが受ける空気圧に抗して押し下げられたときに開弁する。
他方、副弁7は略円筒形状をなし、複数の輻(スポーク)7aにより副弁ステム8の下端部に固定されており、副弁ステム8の上端部には、空気ばね室18内に収容された空気ピストン9が取り付けられている。主弁4の弁ステム5は、副弁7のパイプ状の副弁ステム8内を、図示しないシール部材を介して摺動自在に気密に貫通しており、主弁4と副弁7は、同軸弁とされている。
副弁7は、副弁ステム8の上端に設けられた空気ピストン9に付与される空気圧により押し下げられて、図6に示すように低温室14を閉塞する。また、副弁7は、油圧シリンダブロック16内の油圧シリンダ19により副弁ステム8が空気ピストン9の空気圧に抗して上方に押し上げられたときに、図7に示すように低温室14を開口すると共に、上記案内翼17と共働して高温室12を閉塞する。
副弁7は、主弁4の閉弁時及び開弁初期(排気初期)において低温室14を閉塞し、図6に示すように、開弁初期に燃焼室2から排気口2aを通して排出された高温高圧の燃焼ガス(排気ガス)を、矢印で示すように上端部7bの開口部から排出し、案内翼17により高温室12に導入して、高温排気通路13を通して排気させる。
また、副弁7は、主弁4の開弁中期から閉弁するまでの間(排気の途中から排気が終了するまでの間)は、図7に示すように油圧シリンダ19により上方に押し上げられて、その下端部7cが低温室14を開口すると共に、上端部7bの開口部が案内翼17により密閉されて高温室12を閉塞する。
これにより燃焼室2内の低温低圧の燃焼ガスが、矢印で示すように低温室14に導入され、低温排気通路15を通して排気(掃気)される。このようにして、排気弁装置10は、1つの筒状の副弁7によって高温室12と低温室14への燃焼ガスの流れの切り替えを行っている。
内燃機関の吸排気弁装置として、シリンダヘッドの上部に排気口及び排気通路を配設すると共に、下部に吸気口及び吸気通路を配設して、吸排気管制弁(副弁に相当)により排気口と吸気口を交互に切り替える内燃機関の吸排気弁の作動機構が提案されている(例えば、特許文献1,2など参照)。
しかしながら、上述の図6に示す従来の排気弁装置10は、シリンダヘッド11の上部に配設された高温室12と、高温室12の下部に配設された低温室14への燃焼ガスの切り替えを1つの筒状の副弁7で行っているため、構造上主弁4の開弁中期から閉弁するまでの間は、図7に示すように、副弁7の上端部7bの開口部が案内翼17により密閉されて、上部が有底の円筒形状となる。
この結果、燃焼室2から排気口2aを通して排出された燃焼ガスの低温室14への流れが、矢印で示すように分岐流となるため、分岐損失が発生し、流路抵抗が大きくなる。この結果、低温排気通路15への燃焼ガスの流れが悪くなり、掃気効率が著しく悪くなるという問題がある。
なお、上述の特許文献1,2に記載されている内燃機関の吸排気弁の作動機構は、シリンダヘッドの上部に排気口及び排気路を、下部に吸気口及び吸気路をそれぞれ配設して、吸排気管制弁(副弁に相当)により排気口と吸気口とを交互に切り替える構造である。
したがって、排気路は高温室と低温室との2つの排気室により構成されていないために、吸排気管制弁により排気口に切り替えた際に、シリンダ側から排気される燃焼ガスに、上述のような分岐流を生じることはない。すなわち、吸気時には吸気が外部からシリンダ内へ流れ込むため、排気管制弁がこのような構成であっても分岐流の問題は発生しない。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、高温室と、その下方に配設された低温室への燃焼ガスの流れの切り替えを副弁で行う内燃機関の弁装置において、低温室への燃焼ガスの流れに分岐流が発生しないようにして掃気効率を著しく高めることができる、内燃機関の弁装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明が採用する手段は、シリンダブロックの燃焼室の頂部に設けられた排気口を開閉する主弁と、シリンダヘッド内に配設されると共に主弁の開弁時に排気口から排出された排気初期の燃焼ガスを導入して排気する高温室と、シリンダヘッド内に高温室の下方に配設されると共に排気中期から排気終了まで排気口から排出された燃焼ガスを導入して排気する低温室と、シリンダヘッド内に収容されると共に高温室と低温室への燃焼ガスの流れを切り替える副弁とを備えた内燃機関の弁装置において、副弁は、排気口から排出された燃焼ガスを内部通過させる筒部と、筒部の上方に配設されて筒部の上端開口部から排出された燃焼ガスを排気初期には高温室へ及び排気中期から排気終了までは低温室へ導く案内翼とからなることにある。
副弁は、主弁の開弁初期において筒部が低温室を閉塞しており、主弁の開弁初期に燃焼室の排気口から排出された高温高圧の燃焼ガスがこの副弁の筒部内を通って上端開口部から排出され、筒部の上方に配設された案内翼により高温室に導入され、その後に外部へ排気される。
副弁は、主弁のほぼ開弁中期に切り替えられ、主弁の開弁中期から閉弁するまでの間、燃焼室の排気口から排出された低温低圧の燃焼ガスが副弁の筒部内を通って上端開口部から排出され、案内翼により低温室に導入され、その後に外部へ排気される。このように、燃焼室の排気口から排出された燃焼ガスは、副弁の上端開口部から排出されるから、従来のように副弁近傍において分岐流が発生することはない。
上述の内燃機関の弁装置において、副弁の筒部は、排気口に連通する低温室の開口部内を気密に摺動して低温室を開閉し、案内翼は、略漏斗状をなして筒部と共働して筒部の上端開口部との間に環状の通路を形成すると共に上端部が排気口に連通する高温室の開口部を開閉することが望ましい。
副弁は、筒部が低温室を閉塞したときに、筒部の上端開口部との間の環状の通路が高温室に開口して、主弁の開弁初期に排出される高温高圧の燃焼ガスを高温室に導く。副弁は、主弁のほぼ開弁中期に切り替えられて筒部が低温室を開口すると共に、案内翼の上端部が高温室を閉塞して環状の通路が高温室に開口し、主弁の開弁中期から閉弁までの間、排出される低温低圧の燃焼ガスを筒部内を通して環状の通路から低温室に導く。これにより、低温室への燃焼ガスの流れに、分岐流が確実に発生しないようにすることができる。
上述の内燃機関の弁装置において、副弁は、筒部が低温室を閉塞しているときに環状の通路が高温室に開口し、案内翼の上端部が高温室を閉塞しているときに環状の通路が低温室に開口することが望ましい。
副弁は、筒部が低温室を閉塞しているときに環状の通路が高温室に開口して主弁の開弁初期に排出される高温高圧の燃焼ガスを高温室に導き、案内翼の上端部が高温室を閉塞しているときに環状の通路が低温室に開口して主弁の開弁中期から閉弁までの間、低温低圧の燃焼ガスを低温室に導く。これにより、1つの副弁で高温室と低温室への燃焼ガスの流れの切り替えを行い、低温室への排気流に分岐流が確実に発生しないようにすることができる。
上述の内燃機関の弁装置において、副弁の筒部と案内翼は、副弁を作動させる副弁ステムに一体に取り付けられていることが望ましい。このように、1つの副弁ステムに副弁の筒部と案内翼を一体に取り付けることにより、副弁の筒部と案内翼を簡単な構造で確実に連動させることができる。
上述の内燃機関の弁装置において、副弁の筒部は、内側下部が排気口に滑らかに連通するようにテーパ状をなしていることが望ましい。このように、副弁の筒部が、その内側下部が排気口に滑らかに連通するようにテーパ状をなしていることにより、特に副弁が下降して燃焼ガスが低温室へ導かれる際に、燃焼室の排気口から排出された燃焼ガスが、筒部内へ円滑に流入することができる。
上述の内燃機関の弁装置において、副弁の筒部は、内側下部の下端部が外側に折曲されて拡径され、その先端部により低温室を閉塞可能とされていることが望ましい。このように、筒部の下端部が拡径されることにより、その端面によって低温室をより確実に閉塞することができる。
上述の内燃機関の弁装置において、案内翼は、筒部の上端開口部に面する側が滑らかな曲面からなる案内面とされて、筒部の上端開口部から排出される燃焼ガスを高温室及び低温室へ円滑に導くことが望ましい。
このように、案内翼が、筒部の上端開口部に面する側が滑らかな曲面からなる案内面とされることにより、筒部内を通って上端開口部から排出された燃焼ガスは、筒部の上端開口部との間に形成された環状の通路から、案内翼の案内面に沿って排出される。これにより、燃焼ガスが高温室及び低温室に円滑に導入される。
上述の内燃機関の弁装置において、筒部と案内翼と副弁ステムとが一体に精密鋳造により形成されてなることが望ましい。このように、副弁の筒部と案内翼及び副弁ステムが一体に精密鋳造により形成されることにより、例えば鍛造削りだし等による場合に比し、複雑な形状の副弁の製造コストを大幅に低減することができる。
上述のように、本発明の内燃機関の弁装置は、シリンダブロックの燃焼室の頂部に設けられた排気口を開閉する主弁と、シリンダヘッド内に配設されると共に主弁の開弁時に排気口から排出された排気初期の燃焼ガスを導入して排気する高温室と、シリンダヘッド内に高温室の下方に配設されると共に排気中期から排気終了まで排気口から排出された燃焼ガスを導入して排気する低温室と、シリンダヘッド内に収容されると共に高温室と低温室への燃焼ガスの流れを切り替える副弁とを備えた内燃機関の弁装置において、副弁は、排気口から排出された燃焼ガスを内部通過させる筒部と、筒部の上方に配設されて筒部の上端開口部から排出された燃焼ガスを排気初期には高温室へ及び排気中期から排気終了までは低温室へ導く案内翼とからなる。
したがって、高温室とその下方に配設された低温室への燃焼ガスの流れの切り替えを副弁で行う内燃機関の弁装置において、低温室への燃焼ガスの流れに分岐流が発生しないようになり、掃気効率を著しく高めることができるという優れた効果を奏する。
本発明の内燃機関の弁装置の発明を実施するための形態を、図1ないし図4を参照して詳細に説明する。図1及び図2は、本発明に係る内燃機関の弁装置を実施した2サイクルのディーゼル機関の排気弁装置の要部断面図である。
図1及び図2に示すように、排気弁装置20は、シリンダブロック1の燃焼室2の頂部に設けられた排気口2aに装着された弁座3の真上に配設されている。シリンダヘッド21は、上部には高温室22とこの高温室22に連通する高温排気通路23が形成され、高温室22の真下位置(下方)には、低温室24とこの低温室24に連通する低温排気通路25が形成されている。高温室22と低温室24は、排気口2aの真上に位置しており、それぞれ排気口2aと連通している。
これらの高温室22と低温室24は、排気口2aよりも大径の略ドーナツ形状とされ、その内径、すなわち排気口2aに連通する開口部22a、24aが略同径とされ、かつ、排気口2aよりも僅かに大径とされている。高温排気通路23と低温排気通路25は、開口方向の中心線が、シリンダヘッド21を上方から見て、例えば45°程度の角度をなして配置されている(図2参照)。
これにより、高温室22の直下に低温室24を配設して、高温室22の開口部22aと低温室24の開口部24aの上端とを一致させることが可能となる。すなわち、図1に示すように、高温室22の開口部22aと低温室24の開口部24aの上端が一体に形成されている。
燃焼室2の排気口2aを開閉する傘状の主弁4の弁ステム5は、後述する副弁31のパイプ状の副弁ステム34内を軸方向に摺動自在に貫通し、さらにケーシング44の空気ばね室45を貫通し、上部5aがケーシング47の油圧シリンダ48内に嵌挿されて油圧ピストンとされている。
また、弁ステム5の上部に、空気ばね室45内に収容されている空気ピストン6が、図示しない固定部材により固定されている。主弁4は、空気ピストン6が空気ばね室45の空気圧により押し上げられて閉弁し、弁ステム5の上端面5bに高圧の油圧が供給され、空気ピストン6が空気圧に抗して押し下げられると開弁する。
すなわち、主弁4の開弁動作は、高圧の油圧によって動作する油圧シリンダ48が、弁ステム5を図中下方に押動することにより行われ、閉弁動作は、弁ステム5に取り付けられた空気ピストン6が、弁ステム5を図中上方に引き上げることにより行われる。そして、空気ピストン6の下方に形成された空気ばね室45内の空気圧が、主弁4の閉弁動作の作動源となっている。
副弁31は、例えば、筒部32と、この筒部32の上方に配設された案内翼33と、筒部32と案内翼33を支持するパイプ状の副弁ステム34とが一体に形成され、主弁4と同軸弁とされている。
筒部32は、低温室24の開口部24a内を気密に摺動可能とされ、図2に示すように、上限位置まで移動したときに低温室24の開口部24aを閉塞可能となっている。筒部32は、内周面の略中央部が複数の輻(スポーク)32aによって副弁ステム34の下端部に連設されている。
筒部32の下部32bは、排気口2aに向ってテーパ状をなして下方に向かって縮径して、排気口2aと略同径とされる。また、その下端部32cが外側に略直角に折り返されて拡径し、その端面が、図2に示すように低温室24の開口部24aの内周面に気密に摺接可能となっている。
これにより、図1に示すように、排気口2aから排出された燃焼ガスを円滑に筒部32内へ導入することが可能となると共に、図2に示すように、下端部32cにより低温室24を閉塞することが可能になっている。
案内翼33は、図1に示すように、その下端部33aが小径をなし、上端部33bが大径をなす略漏斗状をなしている。下端部33aは、副弁ステム34の筒部32の上端開口部近傍に連設され、上端部33bが、筒部32の上端部32dの上方に所定の間隔を存して配設されている。そして、筒部32の上端部32dと案内翼33との間に環状の通路(開口部)35が形成されている。この環状の通路35は、筒部32の上端開口部から排出された燃焼ガスを高温室22又は低温室24に導くためのものである。
案内翼33の上端部33bは、筒部32の外径と略同径とされ、図1に示すように、筒部32が下限位置まで下降したときに、高温室22の開口部22aを閉塞可能となっている。また、案内翼33の下端部33aから上端部33bに至る上記筒部32の開口部側の外面33cは、燃焼ガスの案内面33cとされ、筒部32内を通って上端開口部から排出される燃焼ガスを、図1に示す低温室24又は図2に示す高温室22に円滑に導く形状となっている。
上述したように、副弁31は、筒部32の上端部32dと案内翼33との間に環状の通路35が形成され、かつ筒部32と案内翼33が副弁ステム34と一体に上下移動して、常時環状の通路35が形成されている構造となっていればよい。従って、筒部32と案内翼33を一体に形成して副弁ステム34の下端部に固定しても、また、筒部32と案内翼33と副弁ステム34とを一体に形成してもよい。
後者の場合、副弁ステム34をさらに上下に分割し、下側の副弁ステムと筒部32と案内翼33とを一体に精密鋳造により形成することができる。このため、例えば鍛造削りだし等による場合に比し、複雑な形状の副弁31の製造コストを大幅に低減することができる。図1は、筒部32と案内翼33と下側の副弁ステム34を一体に形成した場合を示している。上側の副弁ステム34と下側の副弁ステム34は、例えば溶着により連結される。
また、筒部32と案内翼33を別体に形成し、筒部32の上端開口部との間に環状の通路35を形成するように、筒部32と案内翼33とを副弁ステム34に固定するようにしてもよい。
図1に示すように、弁座3のシリンダヘッド21側の開口端3aは、所定の長さ(深さ)にわたり低温室24の開口部24aと略同径とされ、副弁31の筒部32が、図示の下限位置まで下降したときに、下端部32cと弁座3との間に僅かな隙間を設けてある。
そして、筒部32が図示の下限位置まで下降して低温室24の開口部24aを閉塞したときに、その下端部32cが弁座3に着座することを防止している。このように筒部32の下端部32cの弁座3への着座を防止することで衝撃が防止されるから、副弁31を鍛造削りだし等ではなく、精密鋳造により形成することが可能となっている。
副弁ステム34は、油圧ブロック41を貫通してケーシング44の空気ばね室45内に突出し、その上端部に、空気ばね室45に収容されている空気ピストン9が図示しない固定部材により固定されている。図1に示すように、副弁31は、空気ピストン9が空気ばね室45の空気圧により押し下げられると、案内翼33が高温室22の開口部22aを閉塞し、環状の通路35が低温室24に開口する。
図2に示すように、副弁31は、油圧シリンダブロック41に設けられた複数の油圧シリンダ42により空気ピストン9が空気圧に抗して上方に押し上げられると、筒部32が低温室24を閉塞し、環状の通路35が高温室22に開口する。
すなわち、副弁31の低温室24と高温室22への燃焼ガスの流れの切り替え動作は、油圧シリンダブロック41に設けられた複数の油圧シリンダ42が、高圧の油圧によって空気ピストン9を図中上方に押動することにより行われる。また、復旧動作は、この複数の油圧シリンダ42の油圧を逃がして、空気ピストン9により副弁ステム34を下方に押動することにより行われる。空気ピストン9の上方に形成された空気ばね室45内の空気圧が、副弁31の復旧動作の作動源となっている。
なお、図面の煩雑を避けるために、副弁ステム34とこの副弁ステム34内を貫通する主弁4の弁ステム5との間、油圧シリンダブロック41とこの油圧シリンダブロック41を貫通する副弁ステム34との間に介挿されているシール部材は省略されている。
図1に示すように、副弁31は、主弁4が閉弁しているときには案内翼33の上端部33bが高温室22の開口部22aを閉塞し、環状の通路35が低温室24に開口している。燃焼室2内の図示しないピストンが上死点(TDC)を過ぎると、図2に示すように、副弁31が上方に押し上げられて筒部32が低温室24の開口部24aを閉塞すると共に、筒部32の上端33dと案内翼33との間の環状の通路35が高温室22に開口する。
図3に示すように、主弁4が開弁すると、燃焼室2から排気口2aを通して排出された排気初期の高温高圧の燃焼ガスが、副弁31の筒部32内を通り、環状の通路35から案内面33cに沿って矢印で示すように高温室22に円滑に流入し、高温排気通路23へと排出される。
副弁31は、ピストンが下死点(BDC)近傍に達して主弁4が開弁中期になると、図4に示すように押し下げられて、案内翼33の上端部33bが高温室22の開口部22aを閉塞すると共に、環状の通路35が低温室24に開口する。
これにより、主弁4の開弁中期から閉弁するまでの間、排気口2aから排出される低温低圧の燃焼ガスが、矢印で示すように筒部32内を通って上端開口部に至り、環状の通路35から案内面33cに沿って低温室24に円滑に流入し、低温排気通路25へと排出される。
副弁31の筒部32は、上端が開口しているために、主弁4の開弁中期から閉弁するまでの間、排気口2aから排出される低温低圧の燃焼ガスが筒部32内を通って上端開口部から排出される。これにより、低温室24への燃焼ガスの流れに、分岐流が発生しないようになる。この結果、分岐損失が解消されて、主弁4の開弁中期から閉弁するまで燃焼ガスを円滑に排気させることができ、掃気効率を著しく向上させる。
そして、弁装置20は、主弁4が閉弁すると図1に示す状態に戻る。図5は、排気弁装置20の上述した主弁4及び副弁31の各動作を示し、太線で示すグラフは主弁4の動作を示し、細線で示すグラフは副弁31の動作を示している。
本発明は、上述した一実施の形態に係る2サイクルのディーゼル機関の弁装置に限定されるものではなく、4サイクルのディーゼル機関の弁装置、及びその他様々な内燃機関の弁装置に対して実施することが可能である。
1 シリンダブロック
2 燃焼室
2a 排気口
3 弁座
3a 開口端
4 主弁
5 弁ステム
5a 上部
5b 上端面
6 空気ピストン
7 副弁
7a 輻(スポーク)
7b 上端部
7c 下端部
8 副弁ステム8
9 空気ピストン
10 排気弁装置
11 シリンダヘッド
12 高温室
13 高温排気通路
14 低温室
15 低温排気通路
16 油圧シリンダブロック
16a 下端部
17 案内翼
18 空気ばね室
19 油圧シリンダ
20 排気弁装置
21 シリンダヘッド
22 高温室
22a 開口部
23 高温排気通路
24 低温室
24a 開口部
25 低温排気通路
31 副弁
32 筒部
32a 輻(スポーク)
32b 下部
32c 下端部
32d 上端部
33 案内翼
33a 下端部
33b 上端部
33c 案内面
34 副弁ステム
35 環状の通路
41 油圧シリンダブロック
42 油圧シリンダ
44 ケーシング
45 空気ばね室
47 ケーシング
48 油圧シリンダ
2 燃焼室
2a 排気口
3 弁座
3a 開口端
4 主弁
5 弁ステム
5a 上部
5b 上端面
6 空気ピストン
7 副弁
7a 輻(スポーク)
7b 上端部
7c 下端部
8 副弁ステム8
9 空気ピストン
10 排気弁装置
11 シリンダヘッド
12 高温室
13 高温排気通路
14 低温室
15 低温排気通路
16 油圧シリンダブロック
16a 下端部
17 案内翼
18 空気ばね室
19 油圧シリンダ
20 排気弁装置
21 シリンダヘッド
22 高温室
22a 開口部
23 高温排気通路
24 低温室
24a 開口部
25 低温排気通路
31 副弁
32 筒部
32a 輻(スポーク)
32b 下部
32c 下端部
32d 上端部
33 案内翼
33a 下端部
33b 上端部
33c 案内面
34 副弁ステム
35 環状の通路
41 油圧シリンダブロック
42 油圧シリンダ
44 ケーシング
45 空気ばね室
47 ケーシング
48 油圧シリンダ
Claims (8)
- シリンダブロック(1)の燃焼室(2)の頂部に設けられた排気口(2a)を開閉する主弁(4)と、シリンダヘッド(21)内に配設されると共に前記主弁(4)の開弁時に前記排気口から排出された排気初期の燃焼ガスを導入して排気する高温室(22)と、前記シリンダヘッド内に前記高温室の下方に配設されると共に排気中期から排気終了まで前記排気口から排出された前記燃焼ガスを導入して排気する低温室(24)と、前記シリンダヘッド内に配設されると共に前記高温室と前記低温室への前記燃焼ガスの流れを切り替える副弁(31)とを備えた内燃機関の弁装置(20)において、前記副弁は、前記排気口から排出された前記燃焼ガスを内部通過させる筒部(32)と、前記筒部の上方に配設されて前記筒部の上端開口部から排出された前記燃焼ガスを前記排気初期には前記高温室へ及び前記排気中期から前記排気終了までは前記低温室へ導く案内翼(33)とからなることを特徴とする内燃機関の弁装置。
- 前記副弁(31)の前記筒部(32)は、前記排気口(2a)に連通する前記低温室(24)の開口部(24a)内を気密に摺動して前記低温室を開閉し、前記案内翼(33)は、略漏斗状をなして前記筒部(32)と共働して前記筒部の上端開口部との間に環状の通路(35)を形成すると共に上端部(33b)が前記排気口(2a)に連通する前記高温室(22)の開口部(22a)を開閉することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の弁装置。
- 前記副弁(31)は、前記筒部(32)が前記低温室(24)を閉塞しているときに前記環状の通路(35)が前記高温室(22)に開口し、前記案内翼(33)の上端部(33b)が前記高温室(22)を閉塞しているときに前記環状の通路(35)が前記低温室(24)に開口することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の弁装置。
- 前記副弁(31)の前記筒部(32)と前記案内翼(33)は、前記副弁を作動させる副弁ステム(34)に一体に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関の弁装置。
- 前記副弁(31)の前記筒部(32)は、内側下部(32b)が前記排気口(2a)に滑らかに連通するようにテーパ状をなしていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の内燃機関の弁装置。
- 前記副弁(31)の前記筒部(32)は、前記内側下部(32b)の下端部(32c)が外側に折曲されて拡径され先端部により前記低温室(24)を閉塞可能とされていることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の弁装置。
- 前記案内翼(33)は、前記筒部(32)の上端開口部に面する側が滑らかな曲面からなる案内面(33c)とされて前記筒部(32)の上端開口部から排出される前記燃焼ガスを前記高温室(22)及び前記低温室(24)へ円滑に導くことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の内燃機関の弁装置。
- 前記筒部(32)と前記案内翼(33)と前記副弁ステム(34)とが一体に精密鋳造により形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の内燃機関の弁装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009131941A JP2010275988A (ja) | 2009-06-01 | 2009-06-01 | 内燃機関の弁装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009131941A JP2010275988A (ja) | 2009-06-01 | 2009-06-01 | 内燃機関の弁装置 |
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ID=43423162
Family Applications (1)
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2010275988A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013019364A (ja) * | 2011-07-12 | 2013-01-31 | Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd | 内燃機関 |
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2009
- 2009-06-01 JP JP2009131941A patent/JP2010275988A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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