JP2010266061A - ディスクブレーキ - Google Patents
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Abstract
【課題】非制動時、制動時を問わず、キャリパ5aに対するインナ側、アウタ側両パッド10a、11aの姿勢を安定させて、非制動時だけでなく制動時にも、これら両パッド10a、11a部分で異音や振動が発生するのを防止する。
【解決手段】上記両パッド10a、11aと上記キャリパ5aとの間にパッドスプリング14aを組み付ける。そして、非制動時に上記両パッド10a、11aに加わるモーメントの方向と、上記パッドスプリング14aを構成する両付勢部33及び両係止部34から付与される力により上記両パッド10a、11aに作用するモーメントの方向とをそれぞれ同じとする。これにより、これら両パッド10a、11aの姿勢を非制動時と制動時とで同じ状態に保つ事ができて、上記課題を解決できる。
【選択図】図2
【解決手段】上記両パッド10a、11aと上記キャリパ5aとの間にパッドスプリング14aを組み付ける。そして、非制動時に上記両パッド10a、11aに加わるモーメントの方向と、上記パッドスプリング14aを構成する両付勢部33及び両係止部34から付与される力により上記両パッド10a、11aに作用するモーメントの方向とをそれぞれ同じとする。これにより、これら両パッド10a、11aの姿勢を非制動時と制動時とで同じ状態に保つ事ができて、上記課題を解決できる。
【選択図】図2
Description
この発明に係るディスクブレーキは、自動車の制動に使用するものである。特に、本発明は、非制動時に一対のパッドががたつく事を防止する為のパッドスプリングの構造を改良し、制動時に於けるこれら両パッドの姿勢を安定させて、非制動時だけでなく制動時にも、これら両パッド部分で異音や振動が発生するのを防止するものである。
自動車の制動を行う為に、ディスクブレーキが広く使用されている。ディスクブレーキによる制動時には、車輪と共に回転するロータの軸方向両側に配置された一対のパッドを、ピストンによりこのロータの両側面に押し付ける。この様なディスクブレーキとして従来から各種構造のものが知られている。例えば、ロータの両側にピストンを、互いに対向する状態で設けた、対向ピストン型ディスクブレーキは、安定した制動力を得られる事から、近年使用例が増えている。特許文献1には、この様な対向ピストン型ディスクブレーキに関する発明が記載されている。
図21〜22は、上記特許文献1に記載された構造を示している。ディスクブレーキ1は、ロータ2を挟む位置にアウタボディ部3及びインナボディ部4から成るキャリパ5を設け、これら両ボディ部3、4内に、1乃至複数個ずつのアウタシリンダ6及びインナシリンダ7を、それぞれの開口部を上記ロータ2を介して互いに対向させた状態で設けている。そして、これらアウタシリンダ6及びインナシリンダ7内に、アウタピストン8及びインナピストン9を、液密に且つ上記ロータ2の軸方向(図21の上下方向、図22の左右方向)に関する変位自在に嵌装している。又、アウタパッド10及びインナパッド11は、上記ロータ2の外周縁よりも径方向外寄り部分で、上記アウタボディ部3とインナボディ部4との間に掛け渡された2本のパッドピン12、12にそれぞれ吊り下げられた状態で、上記ロータ2の軸方向に変位自在としている。この為に、上記両パッド10、11のプレッシャプレート13、13の外周縁部にそれぞれガイド孔を形成し、これら両ガイド孔に上記両パッドピン12、12を緩く挿通している。
又、これら両パッドピン12、12と上記アウタパッド10及びインナパッド11との間に、パッドスプリング14を配置している。このパッドスプリング14は、それぞれが弾性を有する2枚の金属板15a、15bを交差させた状態で結合して成る。このうちの一方の金属板15aは、上記両パッド10、11同士の間に、上記ロータ2の円周方向(図21の左右方向)と平行に配置される。これに対して他方の金属板15bは、これら両パッド10、11の上記ロータ2の円周方向に関してほぼ中央部に、上記ロータ2の軸方向に配置される。
又、上記一方の金属板15aは、上記ロータ2の円周方向に関して両端部を、径方向内方にそれぞれクランク状に折り曲げて折り曲げ部16、16とし、これら両折り曲げ部16、16を、上記両パッドピン12、12の径方向内側の外周面に係合させている。又、上記他方の金属板15bは、上記ロータ2の軸方向両端部を、それぞれ内側に折り返して弾性係合部17、17としている。そして、これら両弾性係合部17、17の径方向内側面を、上記両パッド10、11のプレッシャプレート13、13の外周縁部で、上記ロータ2の円周方向に関してほぼ中央部に、弾性的に当接させている。
上述の様に構成されるディスクブレーキ1は、制動時には、前記アウタシリンダ6及びインナシリンダ7内に圧油を送り込み、前記アウタピストン8及びインナピストン9により、上記アウタパッド10及びインナパッド11のライニング18、18を、上記ロータ2の内外両側面に押し付ける。又、制動解除に伴って、上記パッドスプリング14を構成する上記両弾性係合部17、17から付与される弾力により、上記両パッド10、11を上記ロータ2の側面から引き離す。一方、非制動時には、上記両弾性係合部17、17により、上記両パッド10、11に対し径方向内方に向く力を付与して、これら両パッド10、11のプレッシャプレート13、13の外周縁部にそれぞれ形成したガイド孔の一部を、これら各ガイド孔を挿通した前記両パッドピン12、12の外周面に押し付ける事により、上記両パッド10、11が、上記キャリパ5に対しがたつくのを防止する。
上述の特許文献1に記載された構造の場合、上記両パッド10、11を、上記パッドスプリング14を構成する上記両弾性係合部17、17により径方向内方に向けて押圧する事により、非制動時の上記両パッド10、11のがたつきを防止する事を意図している。但し、この様な構造を採用した場合には、制動時に上記ロータ2の側面と上記両ライニング18、18との摩擦に伴って上記両パッド10、11に加わるモーメントの方向(偶力回転方向)と、上記パッドスプリング14による押圧方向とが、上記両パッド10、11の回入側(前進時にロータ2が進入する側)部分と回出側(前進時にロータ2が抜け出る側)部分との何れか一方で逆になる。この為、制動時に上記両パッド10、11の姿勢が不安定になり、制動に伴ってこれら両パッド10、11を構成する各プレッシャプレート13、13の側縁部と、上記キャリパ5側に形成したトルク受面とが勢い良く当接し、異音(クロンク音)が発生し易くなる。更に、上記特許文献1に記載された構造の場合には、上記両パッド10、11の円周方向に関するがたつきを十分に防止できない。この為、非制動時に異音が生じる事を十分に防止できない可能性がある。又、制動開始時に、クロンク音も発生し易くなる。
これに対して、前記特許文献2には、図23に示す様に、パッド19をパッドスプリング14aにより、ロータ2(図21〜22参照)の回転方向であるFx方向、及び、ロータ2の径方向であるFy方向にそれぞれ押圧する構造が記載されている。但し、この様な特許文献2に記載された構造の場合にも、この押圧方向と制動時に上記パッド19に加わるモーメントの方向とは一致しない。又、特許文献1、2に記載された何れの発明の場合にも、2本のパッドピン12、12でパッドを支持している為、パッドスプリングにより、制動時にパッドに作用するモーメントと同方向に付勢した場合、逆に、このパッドにがたつきが生じる可能性がある。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、非制動時、制動時を問わず、キャリパに対するインナ側、アウタ側両パッドの姿勢を安定させて、非制動時だけでなく制動時にも、これら両パッド部分で異音や振動が発生するのを防止すべく発明したものである。
本発明の(請求項1及び請求項6に記載した)ディスクブレーキは何れも、前述した従来から知られているディスクブレーキと同様に、一対のパッドと、キャリパと、パッドピンと、トルク受面と、パッドスプリングとを備える。
このうちの両パッドは、車輪と共に回転するロータを挟んで設けられる。
又、上記キャリパは、上記両パッドをこのロータの軸方向に移動可能に支持すると共に、これら両パッドをこのロータの両側面に押し付けるピストンを備える。
又、上記トルク受面は、上記キャリパの回出側に配置され、制動時に上記両パッドに作用するトルクを支承する。
又、上記パッドピンは、上記キャリパの一部で上記ロータの外周縁よりも径方向外側部分に、このロータの軸方向に掛け渡す状態で配置されている。そして、上記両パッドを構成するプレッシャプレートに設けたガイド孔にそれぞれ挿通している。
更に、上記パッドスプリングは、上記両パッドと上記キャリパとの間に設けられ、非制動時にこれら両パッドのがたつきを防止する。
このうちの両パッドは、車輪と共に回転するロータを挟んで設けられる。
又、上記キャリパは、上記両パッドをこのロータの軸方向に移動可能に支持すると共に、これら両パッドをこのロータの両側面に押し付けるピストンを備える。
又、上記トルク受面は、上記キャリパの回出側に配置され、制動時に上記両パッドに作用するトルクを支承する。
又、上記パッドピンは、上記キャリパの一部で上記ロータの外周縁よりも径方向外側部分に、このロータの軸方向に掛け渡す状態で配置されている。そして、上記両パッドを構成するプレッシャプレートに設けたガイド孔にそれぞれ挿通している。
更に、上記パッドスプリングは、上記両パッドと上記キャリパとの間に設けられ、非制動時にこれら両パッドのがたつきを防止する。
特に、本発明のうち請求項1に記載したディスクブレーキに於いては、上記キャリパの外周部の回出側部分に、上記両パッドの回出側部分の径方向外方を覆う、覆い部が設けられている。
又、上記両プレッシャプレートのうち、回入側部分には係止孔が、同じく回出側部分の外周縁部には被付勢突部が、それぞれ設けられている。
又、上記パッドピンは、回入側部分にのみ(1本だけ)設けられている。
更に、上記パッドスプリングは、弾性を有する1本の線材を曲げ形成する事により造られたもので、係合部と、この係合部とほぼ平行に配置された一対の付勢部と、上記線材の両端部を上記ロータの軸方向に折り曲げる事により形成された一対の係止部とを備える。
そして、このうちの係合部を上記覆い部の内周面に形成した係合凹部に係合させると共に、上記両付勢部を上記両被付勢突部の回入側側面に弾性的に当接させた状態で、上記両係止部を上記両係止孔に係止する事により、上記両付勢部から上記両被付勢突部の回入側側面に対して、その作用線の方向が、上記両プレッシャプレートの回出側側縁部に設けた被トルク受部を上記トルク受面に向けて押し付ける方向であり、且つ、上記両パッドの回動中心から上記ロータの径方向外方に外れた方向の力を付与すると共に、上記両係止部から上記両係止孔に対して上記ロータの径方向外方に向いた力を付与する。
これにより、制動時に上記両パッドに加わるモーメントの方向と、上記両付勢部及び上記両係止部から付与される力(押圧力)によりこれら両パッドにそれぞれ作用するモーメントの方向とを同じとして、これら両パッドのがたつきを防止している。
又、上記両プレッシャプレートのうち、回入側部分には係止孔が、同じく回出側部分の外周縁部には被付勢突部が、それぞれ設けられている。
又、上記パッドピンは、回入側部分にのみ(1本だけ)設けられている。
更に、上記パッドスプリングは、弾性を有する1本の線材を曲げ形成する事により造られたもので、係合部と、この係合部とほぼ平行に配置された一対の付勢部と、上記線材の両端部を上記ロータの軸方向に折り曲げる事により形成された一対の係止部とを備える。
そして、このうちの係合部を上記覆い部の内周面に形成した係合凹部に係合させると共に、上記両付勢部を上記両被付勢突部の回入側側面に弾性的に当接させた状態で、上記両係止部を上記両係止孔に係止する事により、上記両付勢部から上記両被付勢突部の回入側側面に対して、その作用線の方向が、上記両プレッシャプレートの回出側側縁部に設けた被トルク受部を上記トルク受面に向けて押し付ける方向であり、且つ、上記両パッドの回動中心から上記ロータの径方向外方に外れた方向の力を付与すると共に、上記両係止部から上記両係止孔に対して上記ロータの径方向外方に向いた力を付与する。
これにより、制動時に上記両パッドに加わるモーメントの方向と、上記両付勢部及び上記両係止部から付与される力(押圧力)によりこれら両パッドにそれぞれ作用するモーメントの方向とを同じとして、これら両パッドのがたつきを防止している。
又、本発明のうち請求項6に記載したディスクブレーキに於いては、上記両プレッシャプレートの回入側部分の外周縁部に被付勢突部が設けられている。
又、上記パッドピンは、回入側部分にのみ(1本だけ)設けられている。
更に、上記パッドスプリングは、弾性を有する金属板を曲げ形成する事により造られたもので、上記キャリパの外周面に係止する為の係止板部と、上記両被付勢突部を付勢する一対の付勢板部と、これら両付勢板部と上記係止板部との間部分に設けられた撓み部とを備える。
そして、このうちの係止板部を上記キャリパの回入側部分の外周面に係止すると共に、上記撓み部を撓ませた状態で、上記両付勢板部を上記両被付勢突部の回入側側面に弾性的に当接させる事により、これら両付勢板部からこれら両被付勢突部の回入側側面に対して、その作用線の方向が、回出側に且つ上記ロータの径方向外方に向いた力を付与する。
これにより、制動時に上記両パッドに加わるモーメントの方向と、上記両付勢板部から付与される力(押圧力)によりこれら両パッドに作用するモーメントの方向とを同じとして、これら両パッドのがたつきを防止している。
又、上記パッドピンは、回入側部分にのみ(1本だけ)設けられている。
更に、上記パッドスプリングは、弾性を有する金属板を曲げ形成する事により造られたもので、上記キャリパの外周面に係止する為の係止板部と、上記両被付勢突部を付勢する一対の付勢板部と、これら両付勢板部と上記係止板部との間部分に設けられた撓み部とを備える。
そして、このうちの係止板部を上記キャリパの回入側部分の外周面に係止すると共に、上記撓み部を撓ませた状態で、上記両付勢板部を上記両被付勢突部の回入側側面に弾性的に当接させる事により、これら両付勢板部からこれら両被付勢突部の回入側側面に対して、その作用線の方向が、回出側に且つ上記ロータの径方向外方に向いた力を付与する。
これにより、制動時に上記両パッドに加わるモーメントの方向と、上記両付勢板部から付与される力(押圧力)によりこれら両パッドに作用するモーメントの方向とを同じとして、これら両パッドのがたつきを防止している。
尚、本明細書及び特許請求の範囲で「軸方向」とは、特に断らない限り、上記ロータの軸方向を言い、同じく「径方向」とは、このロータの径方向を言い、同じく「円周方向」とは、このロータの円周方向(=回転方向)を言う。又、「回出側」とは、特に断らない限り、このロータの前進時の回出側を言い、同じく「回入側」とは、このロータの前進時の回入側を言う。
前述の様な請求項1に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、上記両パッド同士の間にパッドスプリングを組み付けた状態で、上記両係止部が互いに離れる方向の弾力を有するものとする。
又、請求項1〜2に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、上記両付勢部を、上記両被付勢突部の先端部乃至中間部の回入側側面に当接させて、これら両付勢部と上記両プレッシャプレートの外周縁部のうちで上記両被付勢突部の回入側に隣接した部分との間に隙間を設ける。
又、請求項1〜3に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した発明の様に、上記各被付勢突部の回入側側面の、上記両パッドの円周方向中央位置での径方向に対する傾斜角度を、上記係合凹部の回入側側面の同じく径方向に対する傾斜角度よりも大きくする。
更に、請求項1〜4に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した発明の様に、上記キャリパの一部と上記両プレッシャプレートの回入側側縁部との間に、金属板を曲げ形成して成るパッドクリップを設ける。そして、このパッドクリップにより、上記両プレッシャプレートの回入側端縁部に対して上記ロータの径方向外方に向いた力を付与する。
又、前述の様な請求項6に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項7に記載した発明の様に、前記一対の付勢板部のうちで前記両被付勢突部の回入側側面に当接する部分を、前記ロータの軸方向に関して互いに離れる方向に向かう程回入側に向かう方向にそれぞれ傾斜させる。そして、前記一対のパッド同士の間に前記パッドスプリングを組み付けた状態で、これら両パッドに対して、これら両パッドの回入寄り部分同士の間隔を拡げる方向の力を付与する。
上述の様な本発明のディスクブレーキによれば、非制動時、制動時を問わず、キャリパに対するインナ側、アウタ側両パッドの姿勢を安定させられる。この為、非制動時だけでなく制動時(制動開始時)にも、これら両パッド部分で異音や振動が発生する事を防止できる。
即ち、先ず、請求項1に記載した発明の場合には、制動時にロータの側面と上記両パッドを構成するライニングとの摩擦に伴ってこれら両パッドに加わるモーメントの方向(偶力回転方向)と、線材製のパッドスプリングを構成する両付勢部及び両係止部から付与される力により上記両パッドにそれぞれ作用するモーメントの方向とを同じとしている。
又、請求項6に記載した発明の場合には、制動時にロータの側面と上記両パッドを構成するライニングとの摩擦に伴ってこれら両パッドに加わるモーメントの方向(偶力回転方向)と、板材製のパッドスプリングを構成する両付勢板部から付与される力により上記両パッドに作用するモーメントの方向とを同じとしている。
この為、本発明の場合には、上記両パッドの非制動時の姿勢を、制動時の姿勢と同じ状態に保つ(拘束する)事ができる。従って、制動時の上記両パッドの姿勢を安定させる事ができる。これにより、制動開始時にも、被トルク受部とトルク受面とが、或いは、ガイド孔の一部とパッドピンの外周面とが衝突する事を防止できて、不快なクロンク音の発生を防止できる。
更に、請求項1に記載した発明の場合には、上記両付勢部によって付与する力により、上記被トルク受部を上記トルク受面に向けて押し付ける事ができる為、上記両パッドの円周方向のがたつきを防止できる。又、上記両係止部によって付与する力により、上記ガイド孔の一部を上記パッドピンの径方向内側の外周面に向けて押し付ける事ができる為、上記両パッドの径方向のがたつきを防止する事もできる。
又、請求項6に記載した発明の場合には、上記両付勢板部によって付与する力により、上記被トルク受部を上記トルク受面に向けて押し付ける事ができると共に、上記ガイド孔の一部を上記パッドピンの径方向内側の外周面に向けて押し付ける事ができる。この為、上記両パッドの円周方向のがたつきを防止できると共に、これら両パッドの径方向のがたつきを防止する事もできる。
従って、本発明の場合には、非制動時のこれら両パッドの姿勢を十分に安定させる事ができて、これら両パッド部分でのがたつきや異音の発生を有効に防止できる。
この結果、本発明の場合には、非制動時、制動時を問わず、上記キャリパに対する上記両パッドの姿勢を安定させられて、非制動時だけでなく制動時にも、これら両パッド部分で異音や振動が発生する事を防止できる。
即ち、先ず、請求項1に記載した発明の場合には、制動時にロータの側面と上記両パッドを構成するライニングとの摩擦に伴ってこれら両パッドに加わるモーメントの方向(偶力回転方向)と、線材製のパッドスプリングを構成する両付勢部及び両係止部から付与される力により上記両パッドにそれぞれ作用するモーメントの方向とを同じとしている。
又、請求項6に記載した発明の場合には、制動時にロータの側面と上記両パッドを構成するライニングとの摩擦に伴ってこれら両パッドに加わるモーメントの方向(偶力回転方向)と、板材製のパッドスプリングを構成する両付勢板部から付与される力により上記両パッドに作用するモーメントの方向とを同じとしている。
この為、本発明の場合には、上記両パッドの非制動時の姿勢を、制動時の姿勢と同じ状態に保つ(拘束する)事ができる。従って、制動時の上記両パッドの姿勢を安定させる事ができる。これにより、制動開始時にも、被トルク受部とトルク受面とが、或いは、ガイド孔の一部とパッドピンの外周面とが衝突する事を防止できて、不快なクロンク音の発生を防止できる。
更に、請求項1に記載した発明の場合には、上記両付勢部によって付与する力により、上記被トルク受部を上記トルク受面に向けて押し付ける事ができる為、上記両パッドの円周方向のがたつきを防止できる。又、上記両係止部によって付与する力により、上記ガイド孔の一部を上記パッドピンの径方向内側の外周面に向けて押し付ける事ができる為、上記両パッドの径方向のがたつきを防止する事もできる。
又、請求項6に記載した発明の場合には、上記両付勢板部によって付与する力により、上記被トルク受部を上記トルク受面に向けて押し付ける事ができると共に、上記ガイド孔の一部を上記パッドピンの径方向内側の外周面に向けて押し付ける事ができる。この為、上記両パッドの円周方向のがたつきを防止できると共に、これら両パッドの径方向のがたつきを防止する事もできる。
従って、本発明の場合には、非制動時のこれら両パッドの姿勢を十分に安定させる事ができて、これら両パッド部分でのがたつきや異音の発生を有効に防止できる。
この結果、本発明の場合には、非制動時、制動時を問わず、上記キャリパに対する上記両パッドの姿勢を安定させられて、非制動時だけでなく制動時にも、これら両パッド部分で異音や振動が発生する事を防止できる。
又、請求項2及び請求項7に記載した発明によれば、非制動時に上記両パッドのライニングと上記ロータの両側面とが擦れ合う事を防止できる。この為、このロータを固定した車輪の回転抵抗を低く抑え、加速性能、燃費性能を初めとする、自動車の走行性能の向上を図れる。
又、請求項3に記載した発明によれば、線材製の前記パッドスプリングを構成する両付勢部によって付与する力の径方向分力(径方向内方への分力)を小さく抑えられる。この為、上記両パッドに、非制動時に加わるモーメントと反対方向のモーメントが作用する事を有効に防止できる。従って、上述した請求項1に記載した発明の効果を、より効果的に得られる。
又、請求項4に記載した発明によれば、線材製の上記パッドスプリングが径方向内方に脱落する事を有効に防止できる。従って、悪路走行時等に、このパッドスプリングが脱落すると言った不都合が生じる事を防止できて、ディスクブレーキの品質を確保できる。
更に、請求項5に記載した発明によれば、線材製の上記パッドスプリングとは別途設けたパッドクリップにより、上記両プレッシャプレートの回入側端縁部に上記ロータの径方向外方に向いた力を付与できる。この為、上記パッドクリップを設けない場合に比べて、上記パッドスプリングから上記両パッドに付与する力を小さく抑えられる。従って、このパッドスプリングを構成する付勢部によって、上記プレッシャプレートの回出側側縁部を上記キャリパに向けて押圧する力が過大になる事を防止できる。この結果、上記両パッドの軸方向に関する摺動性能が低下する事を防止できる。
[実施の形態の第1例]
図1〜6は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、キャリパ5aと、特許請求の範囲に記載した一対のパッドであるアウタパッド10a及びインナパッド11aとの間に設ける、線材製のパッドスプリング14aにより、これら両パッド10a、11aに制動時に加わるモーメントと同じ方向のモーメントを作用させて、これら両パッド10a、11aの姿勢を非制動時と制動時とで同じ状態に保つ点にある。対向ピストン型ディスクブレーキの基本的な構造及び作用・効果に就いては、前述の図21〜23に示した従来構造とほぼ同様である。この為、重複部分に就いての図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
図1〜6は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、キャリパ5aと、特許請求の範囲に記載した一対のパッドであるアウタパッド10a及びインナパッド11aとの間に設ける、線材製のパッドスプリング14aにより、これら両パッド10a、11aに制動時に加わるモーメントと同じ方向のモーメントを作用させて、これら両パッド10a、11aの姿勢を非制動時と制動時とで同じ状態に保つ点にある。対向ピストン型ディスクブレーキの基本的な構造及び作用・効果に就いては、前述の図21〜23に示した従来構造とほぼ同様である。この為、重複部分に就いての図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合にも、上記両パッド10a、11aはそれぞれ、プレッシャプレート13a、13aとライニング18a、18aとから成り、それぞれのライニング18a、18a同士を互いに対向させた状態で、車輪と共に回転するロータ2(図21〜22参照)を挟んで設けられている。
又、上記キャリパ5aは、上記両パッド10a、11aを上記ロータ2の軸方向(図1の上下方向、図2の表裏方向)の移動可能に支持すると共に、上記両パッド10a、11aを上記ロータ2の両側面に押し付ける為の、アウタ、インナ各ピストン8、9(図22参照)を備える。本例の場合、上記キャリパ5aは、それぞれこれら各ピストン8、9を油密に内嵌するアウタ、インナ各シリンダ6、7(図22参照)を設けたアウタ、インナ両ボディ部3a、4aの回入側(前進時にロータ2が進入する側で、図1、2の右側)端部と回出側(前進時にロータ2が抜け出る側で、図1、2の左側)端部とを、それぞれ連結部20a、20bにより連結固定している。本例の場合、これら両連結部20a、20bの上記ロータ2の回転方向に関する長さを、回出側の連結部20bで回入側の連結部20aよりも長くしている。そして、この回出側の連結部20bのうちで、上記両パッド10a、11bの回出側部分の径方向外方を覆う部分を、覆い部21としている。この様なキャリパ5aは、インナボディ部4aに設けた一対の取付座22a、22bにより、車体側(懸架装置のナックル)に支持固定される。
又、上記両パッド10a、11aは、1本のパッドピン12aにより吊り下げられている。このパッドピン12aは、上述の様なキャリパ5aの一部で上記ロータ2の外周縁よりも径方向外側部分に、このロータ2の軸方向に掛け渡す状態で配置されている。即ち、上記両ボディ部3a、4aの回入寄り部分で、上記回入側の連結部20aよりも少しだけ中央に寄った部分に、上記パッドピン12aを配置している。そして、このパッドピン12aの中間部両端寄り部分を、上記両パッド10a、11aを構成するプレッシャプレート13a、13aに設けたガイド孔23に、それぞれ軸方向に関する相対変位を自在に緩挿している。この様に、本例の場合には、上記パッドピン12aは1本のみであり、前述の図21〜23に示した従来構造とは異なり、回出側にはパッドピンを設けていない。尚、上記ガイド孔23は、上記ロータ2の回転方向に長い長孔とし、上記パッドピン12aを、このガイド孔23の長さ方向中間部に挿通している。
又、本例の場合、上記アウタボディ部3a及びインナボディ部4aの回出側(図1、2の左側)部分のうちの上記ロータ2の径方向内寄り部分に、制動時に上記両パッド10a、11aに作用するトルクを支承する為のトルク受面24を、それぞれ形成している。この為に、本例の場合には、上記両ボディ部3a、4aの回出側の互いに対向する側面部分に、図2、5に示す様に、互いに近づく方向に突出した壁部25を、それぞれ設けている。更に、これら両壁部25の径方向中間部に、凹溝26をそれぞれ形成している。これら両凹溝26は、これら両壁部25の円周方向両側面及び上記ロータ2と対向する面に開口しており、これら両壁部25の回入側の側面に対してほぼ直交する方向に、これら両壁部25の厚さ方向(図2、5の左右方向)全体に亙って形成されている。又、これら両壁部25の回入側の側面のうち、上記両凹溝26よりも内径側部分をトルク支承用平坦面27としている。そして、これら両トルク支承用平坦面27と上記両凹溝26の内径側側面とを、上記両トルク受面24としている。
一方、上記両パッド10a、11aを構成するプレッシャプレート13a、13aの回出側側縁部の径方向中間部に、回出側に突出する状態で、突部28をそれぞれ設けている。又、上記両プレッシャプレート13a、13aの回出側側縁部のうち、上記両突部28よりも内径側部分を、平坦面29としている。そして、本例の場合には、これら両突部28の内径側側面と両平坦面29とを、被トルク受部30としている。又、これら両突部28と両平坦面29とを、回入側に湾曲した凹入部31により、互いに滑らかに連続させている。そして、上記両パッド10a、11aを上記キャリパ5aの所定位置に配置した状態で、上記両突部28を上記両凹溝26内にそれぞれ緩く係合させると共に、上記両平坦面29を上記各トルク支承用平坦面27に対して対向させている。この様に、上記両突部28を上記両凹溝26内に係合させる事により、本例の場合には、上記両パッド10a、11aの回出側の径方向に関する位置決めを図っている。又、上記両凹入部31を設ける事によって、上記両突部28と上記両平坦面29との連続部に、過大な応力が集中する事を防止している。又、本例の場合には、上記両突部28の先端部内径側側面と上記両凹溝26の内径側側面との当接部が、上記両パッド10a、11aの回動中心(図2、5中のC点)となり、この回動中心Cは、これら両パッド10a、11aの摩擦面中心(図2中のO点で、ライニング18a、18aの中央部)よりも径方向内方に位置する。従って、本例の場合には、制動時に前記ロータ2と上記両ライニング18a、18aとの摩擦に伴って、上記両パッド10a、11aに、図2の反時計方向のモーメント(偶力)が加わる。
特に、本例の場合には、上記キャリパ5aと上記両パッド10a、11aとの間に、パッドスプリング14aを設けている。本例の場合、このパッドスプリング14aは、ステンレスのばね鋼等の弾性を有する1本の線材を曲げ形成する事により、図3に示す様な形状に、一体に造っている。即ち、上記パッドスプリング14aは、軸方向中央部に係合部32を、この係合部32の軸方向両側にこの係合部32とほぼ平行に一対の付勢部33、33を、それぞれ設けており、これら係合部32と両付勢部33、33とを、それぞれ略く字形の連結部34、34により連結している。又、これら両付勢部33、33の先端部を、互いに近づく方向に(パッドスプリング14aの中央に向けて)それぞれ180度折り返す事により、折り返し部35、35を形成し、これら両折り返し部35、35の先端部を上記係合部32と反対側に折り曲げて、弾性腕部36、36としている。これら両弾性腕部36、36は、自由状態での形状を図3の(A)に鎖線で示す様に、自由状態で先端部同士の間隔が拡がる方向の弾力を有する。即ち、上記両弾性腕部36、36の先端部同士の自由状態での幅は、上記両パッド10a、11aを構成する一対のプレッシャプレート13a、13aの内側面同士の間隔よりも広い。又、この様な弾性腕部36、36の先端部を、互いに離れる方向(ロータ2の軸方向)に折り曲げて、それぞれ係止部37、37とし、これら両係止部37、37の先端部をほぼ直角に折り曲げて、抜け止め部38、38としている。
上述の様なパッドスプリング14aは、図2に示す様に、上記キャリパ5aと上記両パッド10a、11aとの間に組み付ける。即ち、上記パッドスプリング14aを構成する上記係合部32を、上記キャリパ5aに設けられた前記覆い部21の内周面に形成した係合凹部39に係合させる。又、上記両付勢部33、33を、上記両プレッシャプレート13a、13aの回出寄り部分の外周縁部に形成した、略三角柱状の被付勢突部40の回入側側面41に、それぞれ弾性的に当接させる。そして、上記両弾性腕部36、36を、図2〜3の鎖線で示す位置から実線で示す位置まで(図2の時計方向に)弾性的に撓ませつつ、先端部同士の間隔を弾性的に縮めて、上記両係止部37、37を、上記両プレッシャプレート13a、13aの回入寄り部分で前記ガイド孔23よりも回出側に形成した係止孔42に、それぞれ係止する。尚、本例の場合には、これら両係止孔42を、前記ロータ2の回転方向に長い長孔とし、上記両係止部36を、これら各係止孔42の長さ方向中間部に係合させる。
上述の様にして、上記パッドスプリング14aを、上記キャリパ5aと上記両パッド10a、11aとの間に組み付ける事により、このパッドスプリング14aには、上記係合部32と上記係合凹部39の回入側側面43との当接部(図2、4、5中のA点)を支点として、時計方向のモーメントが加わる。これにより、上記両付勢部33、33から上記両被付勢突部40の回入側側面41に対して、図2、4、5に矢印f1 で示す様に、この回入側側面41に対して直角方向に力f1 が付与される。特に、本例の場合には、この回入側側面41の傾斜角度を規制する事により、上記力f1 の作用線の方向を、前記被トルク受部30を前記トルク受面24に向けて押し付ける方向であり、且つ、上記両パッド10a、11aの回動中心(図2、5中のC点であり、突部28の先端部内径側側面と凹溝26の内径側側面との当接部)から、上記ロータ2の径方向外方に外れた(図示の例ではL分だけ外れた)方向に規制している。従って、本例の場合には、上記両付勢部33、33から付与される力f1 により、上記両パッド10a、11aに、図2の反時計方向のモーメントが作用する。
一方、前記両係止孔42に係止された前記両係止部37、37は、前記両弾性腕部36、36の弾性復元力に基づいて径方向外方に付勢されているので、上記両係止孔42には、上記ロータ2の径方向外方に向いた力f2 が付与される。従って、本例の場合には、上記両係止部37から付与される力f2 によってもまた、上記両パッド10a、11aに、図2の反時計方向のモーメントが作用する。更に、上記両弾性腕部36、36の先端部が、前記両プレッシャプレート13a、13a同士の間で突っ張る事により、上記両パッド10a、11aの回入寄り部分に、互いに離れる方向の力が付与される。
上述の様な本例のディスクブレーキによれば、非制動時、制動時を問わず、上記キャリパ5aに対する上記両パッド10a、11aの姿勢を安定させられる。この為、非制動時だけでなく制動時にも、これら両パッド10a、11a部分で異音や振動が発生する事を防止できる。
即ち、本例の場合には、制動時に上記ロータ2の側面と前記ライニング18a、18aとの摩擦に伴って加わるモーメントの方向(偶力回転方向)と、前記パッドスプリング14aを構成する両付勢部33、33及び両係止部37、37から付与される力(f1 、f2 )により上記両パッド10a、11aにそれぞれ作用するモーメントの方向とを同じとしている。この為、これら両パッド10a、11aの非制動時の姿勢を、制動時の姿勢と同じ状態に保つ(拘束する)事ができる。従って、制動時の上記両パッド10a、11aの姿勢を安定させる事ができる。これにより、制動開始時にも、前記被トルク受部30と前記トルク受面24とが、或いは、前記ガイド孔23の一部と前記パッドピン12aの外周面とが衝突する事を防止できて、不快なクロンク音の発生を防止できる。
即ち、本例の場合には、制動時に上記ロータ2の側面と前記ライニング18a、18aとの摩擦に伴って加わるモーメントの方向(偶力回転方向)と、前記パッドスプリング14aを構成する両付勢部33、33及び両係止部37、37から付与される力(f1 、f2 )により上記両パッド10a、11aにそれぞれ作用するモーメントの方向とを同じとしている。この為、これら両パッド10a、11aの非制動時の姿勢を、制動時の姿勢と同じ状態に保つ(拘束する)事ができる。従って、制動時の上記両パッド10a、11aの姿勢を安定させる事ができる。これにより、制動開始時にも、前記被トルク受部30と前記トルク受面24とが、或いは、前記ガイド孔23の一部と前記パッドピン12aの外周面とが衝突する事を防止できて、不快なクロンク音の発生を防止できる。
更に、本例の場合には、図4に示した様に、上記両付勢部33、33により付与する力f1 の円周方向分力f1xに基づいて、前記両平坦面29を前記両トルク支承用平坦面27に向けて押し付ける事ができる。この為、上記両パッド10a、11aの円周方向のがたつきを防止できる。又、上記力f1 の径方向分力f1yに基づいて、前記両突部28の内径側側面を前記各凹溝26の内径側側面に向けて押し付ける事ができる。更に、上記両係止部37、37により付与する力f2 により、上記ガイド孔23の内周面の一部を上記パッドピン12aの径方向内側の外周面に押し付ける事ができる。この為、上記両パッド10a、11aの径方向のがたつきを防止する事もできる。従って、本例の場合には、非制動時のこれら両パッド10a、11aの姿勢を十分に安定させる事ができて、これら両パッド10a、11a部分でのがたつきや異音(ラトル音)の発生を有効に防止できる。
この結果、本例の場合には、非制動時、制動時を問わず、上記キャリパ5aに対する上記両パッド10a、11aの姿勢を安定させられて、非制動時だけでなく制動時にも、これら両パッド10a、11a部分で異音や振動が発生する事を防止できる。
この結果、本例の場合には、非制動時、制動時を問わず、上記キャリパ5aに対する上記両パッド10a、11aの姿勢を安定させられて、非制動時だけでなく制動時にも、これら両パッド10a、11a部分で異音や振動が発生する事を防止できる。
更に、本例の場合には、前記両弾性腕部36、36の弾力に基づいて、非制動時に上記両パッド10a、11aの回入寄り部分同士の間隔を拡げるので、これら両パッド10a、11aのライニング18a、18aと上記ロータ2の両側面とが擦れ合う事を防止できる。この為、このロータ2を固定した車輪の回転抵抗を低く抑え、加速性能、燃費性能を初めとする、自動車の走行性能の向上を図れる。
又、本例の場合には、上記両付勢部33、33を、前記両被付勢突部40の先端部乃至中間部の回入側側面41に当接させて、これら両付勢部33、33と上記両プレッシャプレート13a、13aの外周縁部のうちで上記両被付勢突部40の回入側に隣接した部分との間に隙間55を設けている。この為、上記両付勢部33、33によって付与する力f1 の径方向分力f1yが、徒に大きくなる事を防止できて、上記両パッド10a、11aに、非制動時に加わる、前記C点を中心として図2の反時計方向のモーメントと反対方向のモーメント(C点を中心として図2の時計方向に加わるモーメント)が作用する事を有効に防止できる。従って、上記両パッド10a、11aの姿勢を十分に安定させる事ができて、これら両パッド10a、11a部分で異音や振動が発生する事を効果的に防止できる。
更に、本例の場合には、図6に示す様に、上記両被付勢突部40の回入側側面41の、(例えば上記両パッド10a、11aの円周方向中央部での)径方向に対する傾斜角度αを、前記係合凹部39の回入側側面43の、同方向に対する傾斜角度βよりも大きくしている(α>β)。この為、上記パッドスプリング14aを組み付けた状態から、このパッドスプリング14aが径方向内方に脱落する事を防止できる。即ち、本例の場合には、上記係合部32と上記回入側側面43との押し付け合いに伴ってこの係合部32が、この回入側側面43に沿って径方向内方にずれる(脱落する)傾向になる。一方、上記両付勢突部33、33と上記両回入側側面41との押し付け合いに伴ってこれら両付勢突部33、33が、これら両回入側側面41に沿って、径方向外方にずれる傾向になる。本例の構造の場合には、上記両傾斜角度α、βの大小関係を、上述の様にα>βとしている為、上記径方向外方にずれようとする力の方が、径方向内方にずれようとする力よりも大きくなる。この為、上記係合部32を上記係合凹部39内に押し込む傾向にして、この係合部32をこの係合凹部39から径方向内方に脱落しにくくする事ができる。従って、上記パッドスプリング14aの脱落防止を有効に図れる。この結果、悪路走行時等に、このパッドスプリング14aが脱落すると言った不都合が生じる事を防止できて、ディスクブレーキの品質を確保できる。尚、上記傾斜角度αと上記傾斜角度βとの差は、上記パッドスプリング14a(係合部32)と前記キャリパ5a(係合凹部39)との間の摩擦係数μと、このパッドスプリング14a(付勢部33)と前記両プレッシャプレート13a、13a(被付勢突部40)との間の摩擦係数μ´との差により決定する事ができ、本例の場合には、上記傾斜角度αと上記傾斜角度βとの差(α−β)を約30°としている。
又、本例の場合には、上記パッドスプリング14aを、上記キャリパ5aと上記両パッド10a、11aとの間に容易に組み付ける事ができる。この為、ディスクブレーキの組立工程の簡素化、並びに、作業効率の向上を図れる。更に、上記パッドピン12aを1本のみ使用している面からも、組立工程の簡素化、並びに、作業効率の向上を図れる。
[実施の形態の第2例]
図7〜12は、請求項1〜5に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の特徴は、キャリパ5bの一部(後進時アンカ部)と両プレッシャプレート13b、13bの回入側端縁部との間に、パッドクリップ44を設けた点にある。その他の部分の構成及び作用・効果に就いては、上述した実施の形態の第1例の場合とほぼ同様である為、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
図7〜12は、請求項1〜5に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の特徴は、キャリパ5bの一部(後進時アンカ部)と両プレッシャプレート13b、13bの回入側端縁部との間に、パッドクリップ44を設けた点にある。その他の部分の構成及び作用・効果に就いては、上述した実施の形態の第1例の場合とほぼ同様である為、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合、上記パッドクリップ44は、ステンレス鋼板等の、弾性及び耐食性を有する金属板を所定形状に打ち抜き、曲げ形成する事により、図11、12に示す様な形状としている。即ち、上記パッドクリップ44は、基板部45と、この基板部45の外径側端縁からほぼ直角に折れ曲がる状態で形成された係止板部46と、この基板部45の軸方向{図12の(A)の上下方向、(C)の左右方向}中間部の内径側端縁部にそれぞれの基端部を連続させた状態で、中間部を折り返す事により全体を略レ字形とした、一対の撓み部47、47と、これら両撓み部47、47の先端部同士を連結する状態で設けられた、付勢板部48とを備える。又、上記基板部45の軸方向両端部には、軸方向中間部分に比べて、径方向内方に垂れ下がった、垂下板部49、49が設けられている。又、上記付勢板部48は、断面略円弧形で、上記基板部45よりも回出側に位置する。
上述の様な構成を有するパッドクリップ44は、図10に示す様に、上記キャリパ5bを構成する回入側の連結部20aの回出側側面と、アウタ、インナ両パッド10a、11aを構成するプレッシャプレート13b、13bの回入側端縁部の外径寄り部分との間に組み付ける。即ち、上記パッドクリップ44を構成する係止板部46を、上記連結部20aの外周面に形成した平坦面50に係止すると共に、上記基板部45をこの連結部20aの回出側側面に当接させる事により、予め上記パッドクリップ44を上記キャリパ5bに対して取り付けておく。そして、上記両パッド10a、11aをこのキャリパ5bに対して組み付ける際に、上記両プレッシャプレート13b、13bの回入側端縁部の外径寄り部分に設けた張出部51の内径側側面によって、上記付勢板部48の両端部を径方向内方に向けて押し付ける。これにより、上記両撓み部47、47を弾性変形させた(撓み部47の開き角度を自由状態での開き角度よりも大きくした)状態で、パッドピン12aをガイド孔23内に挿通する。この結果、上記パッドクリップ44は、上記回入側の連結部20aの回出側側面と、上記両プレッシャプレート13b、13bの回入側端縁部の外径寄り部分との間に組み付けられる。
上述の様に上記パッドクリップ44を組み付けた状態で、上記両撓み部47、47の弾力に基づいて、上記付勢板部48から上記張出部51に対して、上記ロータ2の径方向外方に向いた力が付与される。この為、上記ガイド孔23の内周面の一部を、上記ガイドピン12aの内径側部分の外周面に対して押し付ける事ができる。従って、本例の場合には、パッドスプリング14bにより上記両パッド10a、11aに付与する力を、上述した実施の形態の第1例の場合に比べて小さく抑えている。即ち、上記パッドスプリング14bから付与する力のみによって、軽制動時に於ける上記両パッド10a、11aの姿勢を安定させる場合、上記パッドスプリング14bを構成する付勢部33a、33aから付与される力f1 の円周方向分力f1x(図4参照)が過大になる。この結果、上記両プレッシャプレート13b、13bの回出側側縁部を上記キャリパ5bに向けて強く押し付け過ぎる事になり、上記両パッド10a、11aの軸方向に関する摺動性能(変位し易さ)が低下すると言った不都合を招く可能性がある。
これに対して、本例の場合には、上記パッドクリップ44によって、上記ガイド孔23の内周面の一部を上記ガイドピン12aの内径側部分の外周面に向けて押し付けられる為、上記パッドスプリング14bから付与する力を小さく抑えた場合にも、軽制動時に於ける上記両パッド10a、11aの姿勢を十分に安定させる事ができる。又、上記パッドスプリング14bにより付与する力を小さく抑えられる事に伴い、上記両パッド10a、11aの軸方向に関する摺動性能が低下する事を有効に防止できる。この様に本例の場合には、比較的簡易な形状を有する上記パッドクリップ44を用いる事によって、上記回入側の連結部20aと上記両プレッシャプレート13b、13bの回入側端縁部との間の狭い空間を有効に利用し、上記パッドスプリング14bのみを用いた場合に比べて、軽制動時に於ける上記両パッド10a、11aの姿勢の安定性と、これら両パッド10a、11aの摺動性能の確保との両立を図り易くしている。
又、本例の場合には、上記両パッド10a、11aの回出側に設けた被トルク受部30aの構成を、上述した実施の形態の第1例の場合とは異ならせている。即ち、本例の場合には、上記両プレッシャプレート13b、13bの回出側側縁部の径方向中間部に設けた突部28の内径側部分に、傾斜面部52と、凸曲面53とを、互いに滑らかに連続させた状態で設けている。そして、上記突部28の内径側側面と上記傾斜面部52と上記凸曲面53とを、上記被トルク受部30aとしている。
又、上記傾斜面部52は、径方向内方に向かう程回出側に向かう方向に傾斜している。又、上記凸曲面53は、上記両パッド10a、11aを上記キャリパ5bの所定位置にそれぞれ配置した状態で、曲率の中心軸が軸方向に配置された、部分円筒面である。この様な本例の場合には、上記凸曲面53の曲率中心が、上記両パッド10a、11aの回動中心(図10中のC´点)となる。又、本例の場合には、上記突部28と上記傾斜面部52とを、回入側に湾曲した凹入部31により、互いに滑らかに連続させている。そして、上記両パッド10a、11aを上記キャリパ5bの所定位置に配置した状態で、上記突部28を、インナ、アウタ両ボディ部3a、4aの壁部25に形成した一対の凹溝26内にそれぞれ緩く係合させると共に、上記傾斜面部52及び上記凸曲面53を、これら両凹溝26の内径側部分に設けたトルク支承用平坦面27に対して対向させている。
更に、本例の場合には、上述した様な被トルク受部30aと、トルク受面24との間に、やはりステンレス鋼板等の耐食性を有する金属板製の第二パッドクリップ54を設けている。この為、制動時には、上記突部28の内径側側面と上記凹溝26の内径側側面とが、並びに、上記傾斜面部52及び上記凸曲面53の一部と上記各トルク支承用平坦面27とが、上記第二パッドクリップ54を介して当接し、前記ロータ2の両側面との摩擦により上記両パッド10a、11aに作用するトルクを支承する。この様に、上記第二パッドクリップ54を設ける事によって、本例の場合には、上記両プレッシャプレート13b、13bと上記両壁部25との摺動部に錆びが発生する事を防止できると共に、この摺動部に生じる摩耗を低減できる。
その他の構成及び作用効果に就いては、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
その他の構成及び作用効果に就いては、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
図13〜20は、請求項6、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の特徴は、キャリパ5cと、アウタパッド10a及びインナパッド11aとの間に設ける、板材製のパッドスプリング14cにより、これら両パッド10a、11aに制動時に加わるモーメントと同じ方向のモーメントを作用させて、これら両パッド10a、11aの姿勢を非制動時と制動時とで同じ状態に保つ点にある。その他の部分の構成及び作用・効果に就いては、前述した実施の形態の第1例及び上述した実施の形態の第2例の場合とほぼ同様である為、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
図13〜20は、請求項6、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の特徴は、キャリパ5cと、アウタパッド10a及びインナパッド11aとの間に設ける、板材製のパッドスプリング14cにより、これら両パッド10a、11aに制動時に加わるモーメントと同じ方向のモーメントを作用させて、これら両パッド10a、11aの姿勢を非制動時と制動時とで同じ状態に保つ点にある。その他の部分の構成及び作用・効果に就いては、前述した実施の形態の第1例及び上述した実施の形態の第2例の場合とほぼ同様である為、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合にも、上記両パッド10a、11aは、1本のパッドピン12aにより吊り下げられている。このパッドピン12aは、上記キャリパ5cの一部でロータ2(図21〜22参照)の外周縁よりも径方向外側部分に、このロータ2の軸方向に掛け渡す状態で配置されている。即ち、上記キャリパ5cを構成するアウタ、インナ両ボディ部3a、4aの回入寄り部分で、これら両ボディ部3a、4aを連結する回入側の連結部20aよりも少しだけ中央に寄った部分に、上記パッドピン12aを配置している。そして、このパッドピン12aの中間部両端寄り部分を、上記両パッド10a、11aを構成するプレッシャプレート13c、13cの回入寄り部分に設けたガイド孔23、23に、それぞれ軸方向に関する相対変位を自在に緩挿している。
又、本例の場合には、上記両プレッシャプレート13c、13cの回入寄り部分の外周縁部で、上記両ガイド孔23、23の径方向外側部分に、被付勢突部40a、40aをそれぞれ設けている。これら両被付勢突部40a、40aの回入側側面41a、41aは、径方向外方に向かう程回入側に向かう方向に傾斜している。
又、本例の場合には、上述した実施の形態の第2例の場合と同様に、上記両プレッシャプレート13c、13cの回出側側縁部の径方向中間部に設けた突部28の内径側部分に、傾斜面部52と、凸曲面53とを、互いに滑らかに連続させた状態で設けている。そして、上記突部28の内径側側面と上記傾斜面部52と上記凸曲面53とを、被トルク受部30aとしている。この様な本例の場合、この凸曲面53の曲率中心が、上記両パッド10a、11aの回動中心(図17中のC´点)となり、この回動中心C´は、これら両パッド10a、11aの摩擦面中心(図17中のO点)よりも径方向内方に位置する。従って、本例の場合にも、制動時に上記ロータ2の側面と両ライニング18a、18aとの摩擦に伴って、上記両パッド10a、11aに、図17の反時計方向のモーメント(偶力)が加わる。
更に、本例に使用する前記パッドスプリング14cは、ステンレス鋼等の、弾性及び耐食性を有する弾性金属板を曲げ形成して成る一体型の板ばねで、図19に示す様な形状としている。即ち、上記パッドスプリング14cは、係止板部56と、この係止板部56の回出側端縁から径方向内方にほぼ直角に折り曲げられ、その中間部を180度折り返す事により略U字形とした撓み部57と、この撓み部57の先端部にそれぞれの基端部を連続させた状態で、軸方向に関して互いに離れる方向(アウタ、インナ両側)にそれぞれ張り出した一対の付勢板部58、58とを備える。又、これら両付勢板部58、58の回出側端部には、それぞれの中間部を軸方向全長に亙り略U字形に折り曲げて成る、部分略円筒凸面状の押圧面59、59を設けている。この様な構成を有する上記パッドスプリング14cのうち、上記係止板部56は、上記キャリパ5cの外周面に係止する部分であり、上記両付勢板部58、58(のうちの押圧面59、59)は、上記両被付勢突部40a、40aを付勢する部分である。又、上記撓み部57は、上記両付勢板部58、58と上記係止板部56との間部分に位置し、撓み変形自在である。
又、本例の場合、図19の(C)及び図20に示す様に、上記両押圧面59、59を、軸方向に関して互いに離れる方向{図19の(C)の左右方向、図20の上下方向}に向かう程回入側{図19の(C)の上側、図20の右側}に向かう方向に、それぞれ傾斜させている。具体的には、図20に示した様に、上記両押圧面59、59は、上記ロータ2の中心軸と平行な仮想線Iに対して、角度θの傾斜を有している。
上述の様なパッドスプリング14cは、図17に示す様に、上記キャリパ5cと前記両パッド10a、11aとの間に組み付ける。即ち、上記パッドスプリング14cを構成する上記係止板部56を、上記キャリパ5cを構成する回入側の連結部20aの外周面に係止すると共に、上記撓み部57の回入側の側面をこの連結部20aの回出側側面に当接させて、予め上記パッドスプリング14cを上記キャリパ5cに対して取り付けておく。そして、上記両パッド10a、11aをこのキャリパ5cに対して組み付ける際に、上記両被付勢突部40a、40aの回入側側面41a、41aによって、上記両付勢板部58、58の押圧面59、59を回入側に向けて押し付ける。これにより、上記撓み部57を、図18の鎖線で示す状態から実線で示す位置まで弾性的に撓ませた(撓み部57の開き角度を自由状態での開き角度よりも小さくした)状態で、前記パッドピン12aを前記両ガイド孔23、23内に挿通する。
上述の様に上記パッドスプリング14cを組み付けた状態で、上記撓み部57の弾性復元力に基づいて、上記両付勢板部58、58の押圧面59、59から上記両被付勢突部40a、40aの回入側側面41a、41aに対して、図17、18に矢印f3 で示す様に、これら両回入側側面41a、41aに対して直角方向に力f3 が付与される。特に、本例の場合には、これら両回入側側面41a、41aの傾斜角度(径方向に対する傾斜角度)を規制する事により、上記力f3 の作用線の方向を、回出側に且つ上記ロータ2の径方向外方に向いた方向に規制している。従って、上記両付勢板部58、58から付与される力f3 により、上記両パッド10a、11aに、図17の反時計方向のモーメントが作用する。
更に、本例の場合には、上述した様に、上記両付勢板部58、58を構成する上記両押圧面59、59を、軸方向に関して互いに離れる方向に向かう程回入側に向かう方向にそれぞれ傾斜させている為、上記両パッド10a、11aに対して、これら両パッド10a、11aの回入寄り部分同士の間隔を拡げる方向の力が付与される。
上述の様な本例のディスクブレーキによれば、非制動時、制動時を問わず、上記キャリパ5cに対する上記両パッド10a、11aの姿勢を安定させられる。この為、非制動時だけでなく制動時にも、これら両パッド10a、11a部分で異音や振動が発生する事を防止できる。
即ち、本例の場合にも、制動時に上記ロータ2の側面と前記ライニング18a、18aとの摩擦に伴って加わるモーメントの方向(偶力回転方向)と、上記パッドスプリング14cを構成する両付勢板部58、58のうちの押圧面59、59から付与される力(f3 )により上記両パッド10a、11aに作用するモーメントの方向とを同じとしている。この為、これら両パッド10a、11aの非制動時の姿勢を、制動時の姿勢と同じ状態に保つ(拘束する)事ができる。従って、制動時の上記両パッド10a、11aの姿勢を安定させる事ができる。これにより、制動開始時にも、前記被トルク受部30aと前記トルク受面24とが、或いは、前記両ガイド孔23、23の一部と前記パッドピン12aの外周面とが衝突する事を防止できて、不快なクロンク音の発生を防止できる。
即ち、本例の場合にも、制動時に上記ロータ2の側面と前記ライニング18a、18aとの摩擦に伴って加わるモーメントの方向(偶力回転方向)と、上記パッドスプリング14cを構成する両付勢板部58、58のうちの押圧面59、59から付与される力(f3 )により上記両パッド10a、11aに作用するモーメントの方向とを同じとしている。この為、これら両パッド10a、11aの非制動時の姿勢を、制動時の姿勢と同じ状態に保つ(拘束する)事ができる。従って、制動時の上記両パッド10a、11aの姿勢を安定させる事ができる。これにより、制動開始時にも、前記被トルク受部30aと前記トルク受面24とが、或いは、前記両ガイド孔23、23の一部と前記パッドピン12aの外周面とが衝突する事を防止できて、不快なクロンク音の発生を防止できる。
更に、本例の場合には、図17、18に示した様に、上記両付勢板部58、58により付与する力f3 の円周方向分力f3xに基づいて、上記被トルク受部30aを構成する傾斜面部52乃至凸曲面53を、上記トルク受面24を構成するトルク支承用平坦面27に向けて押し付ける事ができる。この為、上記両パッド10a、11aの円周方向のがたつきを防止できる。又、上記力f3 の径方向分力f3yに基づいて、上記両ガイド孔23、23の内周面の一部を上記パッドピン12aの径方向内側の外周面に押し付ける事ができる。この為、上記両パッド10a、11aの径方向のがたつきを防止する事もできる。従って、本例の場合には、非制動時のこれら両パッド10a、11aの姿勢を十分に安定させる事ができて、これら両パッド10a、11a部分でのがたつきや異音(ラトル音)の発生を有効に防止できる。
この結果、本例の場合には、非制動時、制動時を問わず、上記キャリパ5cに対する上記両パッド10a、11aの姿勢を安定させられて、非制動時だけでなく制動時にも、これら両パッド10a、11a部分で異音や振動が発生する事を防止できる。
この結果、本例の場合には、非制動時、制動時を問わず、上記キャリパ5cに対する上記両パッド10a、11aの姿勢を安定させられて、非制動時だけでなく制動時にも、これら両パッド10a、11a部分で異音や振動が発生する事を防止できる。
更に、本例の場合には、上記両付勢板部58、58により、非制動時に上記両パッド10a、11aの回入寄り部分同士の間隔を拡げるので、これら両パッド10a、11aのライニング18a、18aと上記ロータ2の両側面とが擦れ合う事を防止できる。この為、このロータ2を固定した車輪の回転抵抗を低く抑え、加速性能、燃費性能を初めとする、自動車の走行性能の向上を図れる。又、本例に使用するパッドスプリング14cは、前述した実施の形態の第1例及び第2例の場合の様な線材製のパッドスプリング14a、14bに比べても、組み付け性に優れる。この為、ディスクブレーキの組立工程の簡素化、並びに、作業効率の一層の向上を図れる。更に、本例のパッドスプリング14cは、組み付け状態で、前記係止板部56を前記連結部20aの外周面に係止すると共に、前記撓み部57の回入側の側面をこの連結部20aの回出側側面に弾性的に押し付ける事ができる為、悪路走行時等にも、上記パッドスプリング14cが脱落する事を有効に防止できる。
その他の構成及び作用効果に就いては、前述した実施の形態の第1例及び上述した実施の形態の第2例の場合と同様である。
その他の構成及び作用効果に就いては、前述した実施の形態の第1例及び上述した実施の形態の第2例の場合と同様である。
本発明を実施する場合に使用するパッドスプリング及びパッドクリップの形状は、図示の形状に限らず、パッドを構成するプレッシャプレートを以上に説明した方向に押圧できる範囲で、各種形状を採用できる。
1 ディスクブレーキ
2 ロータ
3、3a アウタボディ部
4、4a インナボディ部
5、5a、5b、5c キャリパ
6 アウタシリンダ
7 インナシリンダ
8 アウタピストン
9 インナピストン
10、10a アウタパッド
11、11a インナパッド
12、12a パッドピン
13、13a、13b、13c プレッシャプレート
14、14a、14b、14c パッドスプリング
15a、15b 金属板
16 折り曲げ部
17 弾性係合部
18、18a ライニング
19 パッド
20a、20b 連結部
21 覆い部
22a、22b 取付座
23 ガイド孔
24 トルク受面
25 壁部
26 凹溝
27 トルク支承用平坦面
28 突部
29 平坦面
30、30a 被トルク受部
31 凹入部
32 係合部
33、33a 付勢部
34 連結部
35 折り返し部
36 弾性腕部
37 係止部
38 抜け止め部
39 係合凹部
40、40a 被付勢突部
41、41a 回入側側面
42 係止孔
43 回入側側面
44 パッドクリップ
45 基板部
46 係止板部
47 撓み部
48 付勢板部
49 垂下板部
50 平坦面
51 張出部
52 傾斜面部
53 凸曲面
54 第二パッドクリップ
55 隙間
56 係止板部
57 撓み部
58 付勢板部
59 押圧面
2 ロータ
3、3a アウタボディ部
4、4a インナボディ部
5、5a、5b、5c キャリパ
6 アウタシリンダ
7 インナシリンダ
8 アウタピストン
9 インナピストン
10、10a アウタパッド
11、11a インナパッド
12、12a パッドピン
13、13a、13b、13c プレッシャプレート
14、14a、14b、14c パッドスプリング
15a、15b 金属板
16 折り曲げ部
17 弾性係合部
18、18a ライニング
19 パッド
20a、20b 連結部
21 覆い部
22a、22b 取付座
23 ガイド孔
24 トルク受面
25 壁部
26 凹溝
27 トルク支承用平坦面
28 突部
29 平坦面
30、30a 被トルク受部
31 凹入部
32 係合部
33、33a 付勢部
34 連結部
35 折り返し部
36 弾性腕部
37 係止部
38 抜け止め部
39 係合凹部
40、40a 被付勢突部
41、41a 回入側側面
42 係止孔
43 回入側側面
44 パッドクリップ
45 基板部
46 係止板部
47 撓み部
48 付勢板部
49 垂下板部
50 平坦面
51 張出部
52 傾斜面部
53 凸曲面
54 第二パッドクリップ
55 隙間
56 係止板部
57 撓み部
58 付勢板部
59 押圧面
Claims (7)
- 車輪と共に回転するロータを挟んで設けられた一対のパッドと、これら両パッドをこのロータの軸方向に移動可能に支持すると共に、このロータの両側面に押し付けるピストンを備えたキャリパと、このキャリパの回出側に配置され、制動時に上記両パッドに作用するトルクを支承するトルク受面と、上記キャリパの一部で上記ロータの外周縁よりも径方向外側部分に、このロータの軸方向に掛け渡す状態で配置され、上記両パッドを構成するプレッシャプレートに設けたガイド孔にそれぞれ挿通するパッドピンと、これら両パッドと上記キャリパとの間に設けられ、非制動時にこれら両パッドのがたつきを防止するパッドスプリングとを備えたディスクブレーキに於いて、
上記キャリパの外周部の回出側部分に、上記両パッドの回出側部分の径方向外方を覆う覆い部が設けられており、上記両プレッシャプレートのうち、回入側部分には係止孔が、同じく回出側部分の外周縁部には被付勢突部が、それぞれ設けられており、上記パッドピンは、回入側部分にのみ設けられており、上記パッドスプリングは、弾性を有する1本の線材を曲げ形成する事により造られたもので、係合部と、この係合部とほぼ平行に配置された一対の付勢部と、上記線材の両端部を上記ロータの軸方向に折り曲げる事により形成された一対の係止部とを備え、このうちの係合部を上記覆い部の内周面に形成した係合凹部に係合させると共に、上記両付勢部を上記両被付勢突部の回入側側面に弾性的に当接させた状態で、上記両係止部を上記両係止孔に係止する事により、上記両付勢部から上記両被付勢突部の回入側側面に対して、その作用線の方向が、上記両プレッシャプレートの回出側側縁部に設けた被トルク受部を上記トルク受面に向けて押し付ける方向であり、且つ、上記両パッドの回動中心から上記ロータの径方向外方に外れた方向の力を付与すると共に、上記両係止部から上記両係止孔に対して、上記ロータの径方向外方に向いた力を付与し、制動時に上記両パッドに加わるモーメントの方向と上記両付勢部及び上記両係止部から付与される力によりこれら両パッドにそれぞれ作用するモーメントの方向とを同じとして、これら両パッドのがたつきを防止している事を特徴とするディスクブレーキ。 - 一対のパッド同士の間にパッドスプリングを組み付けた状態で、一対の係止部が互いに離れる方向の弾力を有する、請求項1に記載したディスクブレーキ。
- 付勢部が被付勢突部の先端部乃至中間部の回入側側面に当接しており、この付勢部とプレッシャプレートの外周縁部のうちで上記被付勢突部の回入側に隣接する部分との間に隙間が設けられている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したディスクブレーキ。
- 被付勢突部の回入側側面の径方向に対する傾斜角度が、係合凹部の回入側側面の径方向に対する傾斜角度よりも大きい、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したディスクブレーキ。
- キャリパの一部と両プレッシャプレートの回入側端縁部との間に、金属板を曲げ形成して成るパッドクリップが設けられており、このパッドクリップが上記両プレッシャプレートの回入側端縁部にロータの径方向外方に向いた力を付与する、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したディスクブレーキ。
- 車輪と共に回転するロータを挟んで設けられた一対のパッドと、これら両パッドをこのロータの軸方向に移動可能に支持すると共に、このロータの両側面に押し付けるピストンを備えたキャリパと、このキャリパの回出側に配置され、制動時に上記両パッドに作用するトルクを支承するトルク受面と、上記キャリパの一部で上記ロータの外周縁よりも径方向外側部分に、このロータの軸方向に掛け渡す状態で配置され、上記両パッドを構成するプレッシャプレートに設けたガイド孔にそれぞれ挿通するパッドピンと、これら両パッドと上記キャリパとの間に設けられ、非制動時にこれら両パッドのがたつきを防止するパッドスプリングとを備えたディスクブレーキに於いて、
上記両プレッシャプレートの回入側部分の外周縁部に被付勢突部が設けられており、上記パッドピンは、回入側部分にのみ設けられており、上記パッドスプリングは、弾性を有する金属板を曲げ形成する事により造られたもので、上記キャリパの外周面に係止する為の係止板部と、上記両被付勢突部を付勢する一対の付勢板部と、これら両付勢板部と上記係止板部との間部分に設けられた撓み部とを備え、このうちの係止板部を上記キャリパの回入側部分の外周面に係止すると共に、上記撓み部を撓ませた状態で、上記両付勢板部を上記両被付勢突部の回入側側面に弾性的に当接させる事により、これら両付勢板部からこれら両被付勢突部の回入側側面に対して、その作用線の方向が、回出側に且つ上記ロータの径方向外方に向いた力を付与し、制動時に上記両パッドに加わるモーメントの方向と上記両付勢板部から付与される力によりこれら両パッドに作用するモーメントの方向とを同じとして、これら両パッドのがたつきを防止している事を特徴とするディスクブレーキ。 - 一対の付勢板部のうちで両被付勢突部の回入側側面に当接する部分が、ロータの軸方向に関して互いに離れる方向に向かう程回入側に向かう方向にそれぞれ傾斜しており、一対のパッド同士の間にパッドスプリングを組み付けた状態で、これら両パッドに対して、これら両パッドの回入寄り部分同士の間隔を拡げる方向の力を付与する、請求項6に記載したディスクブレーキ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2022124328A1 (ja) * | 2020-12-10 | 2022-06-16 | ||
JP7710983B2 (ja) | 2018-12-20 | 2025-07-22 | ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ | ブレーキキャリパ用のパッド・スプリングアセンブリ |
-
2009
- 2009-08-03 JP JP2009180382A patent/JP2010266061A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7710983B2 (ja) | 2018-12-20 | 2025-07-22 | ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ | ブレーキキャリパ用のパッド・スプリングアセンブリ |
JPWO2022124328A1 (ja) * | 2020-12-10 | 2022-06-16 | ||
WO2022124328A1 (ja) * | 2020-12-10 | 2022-06-16 | 日立Astemo株式会社 | ディスクブレーキ |
JP7486607B2 (ja) | 2020-12-10 | 2024-05-17 | 日立Astemo株式会社 | ディスクブレーキ |
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