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JP2010235740A - 燃料油組成物 - Google Patents

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JP2010235740A
JP2010235740A JP2009084619A JP2009084619A JP2010235740A JP 2010235740 A JP2010235740 A JP 2010235740A JP 2009084619 A JP2009084619 A JP 2009084619A JP 2009084619 A JP2009084619 A JP 2009084619A JP 2010235740 A JP2010235740 A JP 2010235740A
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fuel
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JP2009084619A
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Yuji Suzuki
祐史 鈴木
Kazuya Nasuno
一八 那須野
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Eneos Corp
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JX Nippon Oil and Energy Corp
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Abstract

【課題】異なる燃料油基材を試験的にブレンドして低温性能に優れているかどうかを確認するための試製を行うことなく、低温性能に優れた燃料油組成物を提供する。
【解決手段】異なる2種類以上の燃料油基材の混合後に予測される燃料油組成物の下式1で表されるP値が−3〜3の範囲にあり、かつ下式2で表される低温流動性指標Sが1.3以上である燃料油組成物。
Figure 2010235740

S=−0.211×nC12+0.56×nC13−0.137×nC14+0.177×nC15+0.244×nC16+0.083×nC17−0.117×nC18−0.09×nC19+0.409×nC20−0.645×nC21+0.537×nC22−1.159×nC23−1.168×nC24+0.32×nC25+6.482×nC26−5.555×nC27−0.00356×(4次モーメント)+0.00643×Mw−0.841・・・・(式2)
【選択図】なし

Description

本発明は燃料油組成物に関し、特にディーゼル自動車における排出ガスの効果的な低減と良好な低温性能を両立させた軽油組成物に関する。
近年、ディーゼル乗用車においては排出ガス中のPM(粒子状物質)、NOx(窒素酸化物)、HC(炭化水素の未燃分)、CO(一酸化炭素)といった環境汚染物質の排出量の大幅な低減が求められている。このために、酸化触媒、NOx還元触媒、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)等の後処理装置の採用などによるディーゼル自動車の排出ガスのクリーン化が進められている。
また、ディーゼル自動車においては、後処理装置の機能をより発揮させるため、燃料噴射系制御の高精度化が進められている。噴射系が精密になると、燃料中のより細かいゴミを取り除くことが必要となるため、目の細かいフィルタが設けられることになる。このような目の細かいフィルタは、低温時に軽油から析出するワックス分による閉塞を起こし易い。また、こうした精密な噴射制御を行うディーゼル自動車では、排出ガス対策のために燃料噴射圧の高圧化が図られている。燃料噴射圧の高圧化に伴い、フィルタを通過する燃料量が増加することによっても、低温時に軽油から析出するワックス分によるフィルタ閉塞を起こし易くなる。
このような課題に対して従来の技術では、炭素数が20〜27のノルマルパラフィン含有量から求めた線形回帰直線の傾きなどをパラメータとして用いることで低温での実用性能上問題の無い燃料を製造していたが、これは直留系基材中に含まれるノルマルパラフィンの分布が正規分布のように連続的に分布していることを前提としていた(特許文献1〜3参照)。
一方近年になると、ディーゼル乗用車に利用する軽油燃料については、エネルギーセキュリティーの観点から燃料の材料、つまり燃料基材の多様化が予測され、従来からの石油由来の直留系中間基材だけではなく、水素化分解装置や流動接触分解装置からの軽油留分などの分解系軽油基材の増加、動植物油脂を水素化処理することによって得られる基材の利用、フィッシャー・トロプシュ合成法により天然ガスから炭化水素を合成することによって得られるGTL由来の基材利用などが検討されるようになった。従来からの直留系中間基材(直留系基材)に比べ、前述の他の基材は基材中のノルマルパラフィンの分布に偏りがあることが多く、またこれらの基材を混合することによって出来上がる製品燃料中のノルマルパラフィン分布が大きく変わってくる可能性があり、低温における実用性能(低温性能)が予測不能となることが懸念される。
このようにノルマルパラフィン分布が通常の直留系基材と異なる燃料油基材または製品燃料の低温性能を予測する場合、非特許文献1に紹介されるように、基材または製品に含まれる各炭素数のノルマルパラフィンの効果を全て考慮した熱力学計算により、軽油中のワックス析出開始温度を推定する方法などが挙げられる。
非特許文献1でも述べられている通り、実際のワックスの析出は熱力学的に求められる飽和溶解温度よりも若干過飽和な状態になった時点で析出を開始する。しかし、どれだけ過飽和になった状態でワックスの析出が開始するかについては推定が困難である。
また、各炭素数のノルマルパラフィンの効果を取り入れた非特許文献1の方法では、将来予測されるエネルギーソースの多様化に対応した燃料油基材から製造される燃料の低温における実用性能の予測が不可能であり、十分な低温性能を持った燃料を試行せずに製造することができない。
そこで本発明者らは鋭意検討を行った結果、エネルギーソースの多様化で検討されている燃料油基材のノルマルパラフィンの分布が、従来の直留系基材のノルマルパラフィン分布と大きく異なることに着目し、飽和溶解温度よりどれだけ過飽和になった状態でワックスの析出が開始するかを推定でき、従来の直留系基材の場合にも、直留系以外の燃料油基材を利用した場合にも適用可能な低温流動性指標を見出した。
特開2004−75723号公報 特開2004−75724号公報 特開2004−75732号公報
S.R.Reddy,「フューエル(Fuel)」,65巻,1986年,p.1647−1652
本発明は、今後のエネルギーセキュリティーを考慮に入れた際に利用が増加してくると予測される直留系基材以外の燃料油基材を用いた場合において、低温における実用性能を精度よく推測でき、従来と同様、もしくはそれ以上の低温実用性能を有する燃料油組成物を提供することを目的とするものである。すなわち、本発明は、2種以上の異なる燃料油基材を混合して燃料油を製造するに場合に、基材を試験的にブレンドして低温性能に優れているかどうかを確認するための試製を行うことなく、低温性能に優れた燃料油組成物を提供するものである。
本発明者らは、従来の直留系基材にも、直留系以外の基材を利用した場合にも適用可能な式1及び式2で表される指標P及び低温流動性指標Sを見出し、飽和溶解温度よりどの程度過飽和になったポイントでワックスが析出開始するかを整理することを可能とした。また、異なる2種類以上の燃料油基材を混合して製造した燃料油組成物の指標Pがー3以上3以下の範囲となり、かつ低温流動性指標Sの値が1.3以上となった場合に飽和溶解温度よりも大幅にワックス析出開始温度を低減することができることを見出し、本発明を
完成したものである。
すなわち、本発明は、異なる2種類以上の燃料油基材を混合して製造してなる燃料油組成物であり、混合後に予測される燃料油組成物の下記式1で表されるP値が−3以上3以下の範囲にあり、
Figure 2010235740
かつ下記式2で表される低温流動性指標Sが1.3以上であることを特徴とする燃料油組成物に関する。
S=−0.211×nC12+0.56×nC13−0.137×nC14
+0.177×nC15+0.244×nC16+0.083×nC17
−0.117×nC18 −0.09×nC19+0.409×nC20
−0.645×nC21+0.537×nC22−1.159×nC23
−1.168×nC24+0.32×nC25+6.482×nC26
−5.555×nC27−0.00356×(4次モーメント)
+0.00643×Mw−0.841 ・・・・(式2)
(上記式1中のnCiは、燃料油組成物中の炭素数iのノルマルパラフィン含有量(質量%)であり、上記式1及び式2中の(4次モーメント)は、燃料油組成物中の炭素数iのノルマルパラフィン含有量(質量%)をnCi、燃料油組成物中の炭素数12から27ノルマルパラフィンの含有量(質量%)の平均値を
Figure 2010235740
と定義した場合、下記式3で表される値であり、上記式1及び式2中のMwは燃料油組成物の重量平均分子量である。)
Figure 2010235740
また、本発明は、低温流動性向上剤を50〜500mg/Lおよび潤滑性向上剤を25〜500mg/L含有することを特徴とする前記の燃料油組成物に関する。
さらに、本発明は、酸化防止剤を1〜500mg/L含有することを特徴とする前記の燃料油組成物に関する。
本発明により、異なる2種類以上の燃料油基材を混合して燃料油組成物を製造するに際し、いかなる燃料油基材を用いた場合でも、指標Pの値をー3以上3以下、かつ低温流動性指標Sの値を1.3以上にすることにより、低温実用性能の優れた燃料油組成物を得ることができる。
試料油のガスクロマトグラフを示す。
以下、本発明について説明する。
本発明は、異なる2種類以上の燃料油基材を混合して作成した燃料油組成物であり、混合後に予測される燃料油組成物の下記式1で表されるP値が−3以上3以下の範囲にある必要がある。
Figure 2010235740
なお、式1中のnCiは、燃料油組成物中の炭素数iのノルマルパラフィンの含有量(質量%)を意味し、
Figure 2010235740
は、燃料油組成物中の炭素数12から27のノルマルパラフィンの含有量(質量%)の合計である。また、式1中の(4次モーメント)は、燃料油組成物中の炭素数12から27までのノルマルパラフィン含有量(質量%)の平均値を
Figure 2010235740
と定義した場合、以下の式3で表される値である。
Figure 2010235740
Mwは、燃料油組成物中の重量平均分子量を意味し、後述のGC−FID法による全組成分析の結果から算出しても、前述の非特許文献1の記載に基づく下記式4を用いて、蒸留50容量%留出温度(℃)(JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」)から算出しても良い。
Figure 2010235740
式1から求められる指標Pの値は本発明者らが数多くの燃料油基材を使って鋭意検討を行ったことによって得られたもので、P値が−3以上3以下の範囲に入れば、通常のディーゼル機関で燃焼特性などの実用性能について問題の無い燃料が得られることを見出した。
例えばP値が−3以上3以下とならない燃料としては、ほぼノルマルパラフィンからなる燃料が挙げられるが、この場合、その他の蒸発特性が特殊になってしまうことで燃焼特性などに問題を与えたり、ノルマルパラフィンの含有量が多すぎて低温での実用性能に問題が起こったりする可能性が高くなるため好ましくない。従って、本発明の燃料組成物ではP値が−3以上3以下の値の燃料のみを対象とする。
本発明の燃料油組成物は以下の式2で表されるSの値が1.3以上であることが必要である。Sの値は、飽和溶解温度と比べてワックス析出温度を低くすることができるため1.3以上が必要であり、1.35以上が好ましく、1.4以上がより好ましく、1.45以上が最も好ましい。
S=−0.211×nC12+0.56×nC13−0.137×nC14
+0.177×nC15+0.244×nC16+0.083×nC17
−0.117×nC18 −0.09×nC19+0.409×nC20
−0.645×nC21+0.537×nC22−1.159×nC23
−1.168×nC24+0.32×nC25+6.482×nC26
−5.555×nC27−0.00356×(4次モーメント)
+0.00643×Mw−0.841 ・・・・(式2)
なお、式2中の(4次モーメント)は、燃料油組成物中の炭素数iのノルマルパラフィン含有量(質量%)をnCi、燃料油組成物中の炭素数12から27ノルマルパラフィンの含有量(質量%)の平均値を
Figure 2010235740
と定義した場合、下記式3で表される値であり、Mwは、燃料油組成物の重量平均分子量である。
Figure 2010235740
nCiの値は、無極性カラムとFID(水素炎イオン化検出器)を装着し、所定の温度プログラムで作動させたガスクロマトグラフ(GC−FID法)より定量した燃料油組成物中の炭素数iにおけるノルマルパラフィンの含有量(質量%)をいう。なお、炭素数が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27のノルマルパラフィンの含有量は、それぞれnC12、nC13、nC14、nC15、nC16、nC17、nC18、nC19、nC20、nC21、nC22、nC23、nC24、nC25、nC26、nC27で表される。
なお、ガスクロマトグラフとは、試料中の各組成物の物性(沸点、極性等)を利用して各組成物を分離・定量分析する分析手法のことである。一般的に軽油のガスクロマトグラフ分析ではブロードなハローピークと各炭素数のノルマルパラフィンに対応するシャープなピークが混在したチャートが得られるが、本発明で定義したnCiの値は図1で示す通りノルマルパラフィンのピークをチャートの立ち上がりの接線に沿って切り取った面積をチャートの全面積で割った値である。
また、式1及び式2中の重量平均分子量Mwの値は、上記式4以外に上記ガスクロマトグラフ分析(GC−FID)の結果から求めても良い。以下にGC−FID法によるMwの値の計算方法を示す。ガスクロマトグラフ分析で得られるチャート中の炭素数i−1のノルマルパラフィンのピークの終了点から炭素数iのノルマルパラフィンのピークの終了点までの間の面積の部分を、炭素数iの炭化水素であると規定し、炭素数iの炭化水素の分子量を12.011×i+(2×i+2)×1.00794と定義する。次に各炭素数の炭化水素の質量単位の含有量をピーク面積比と定義し、先に定義した各炭素数の分子量を用いて燃料油組成物の重量平均分子量Mwを算出することができる。
なお、Mwの値は上記式4及びGC−FID法による計算方法のどちらの方法から算出しても大きな誤差は生じないため、どちらの方法で求めた値を用いても構わないが、GC−FID法による計算方法を用いた方が相関式を用いて求める方法よりも精度が高いために好ましい。
本発明の燃料油組成物は、ディーゼル自動車のフィルタ閉塞防止の点から低温流動性向上剤を含有することが好ましい。
低温流動性向上剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体に代表されるエチレン−不飽和エステル共重合体、アルケニルこはく酸アミド、ポリエチレングリコールのジベヘン酸エステルなどの線状の化合物、フタル酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ酢酸などの酸又はその酸無水物などとヒドロカルビル置換アミンの反応生成物からなる極性窒素化合物、アルキルフマレートまたはアルキルイタコネート−不飽和エステル共重合体などからなるくし形ポリマーなどの低温流動性向上剤の1種または2種以上が使用できる。この中でも汎用性の点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体系添加剤を好ましく使用することができる。
低温流動性向上剤を添加する場合の添加量は、50〜500mg/Lであることが好ましく、50〜300mg/Lであることが特に好ましい。なお、低温流動性向上剤と称して市販されている商品は、低温流動性に寄与する有効成分が適当な溶剤で希釈されていることがあるため、こうした市販品を本発明の燃料油組成物に添加する場合にあたっては、上記の添加量は、有効成分としての添加量を意味している。
また、本発明の燃料油組成物は、噴射ポンプ内の潤滑性確保の点から潤滑性向上剤を含有することが好ましい。
潤滑性向上剤の種類は特に限定されるものではないが、エステル系、カルボン酸系、アルコール系、フェノール系、アミン系等の潤滑性向上剤の1種または2種以上を使用することができる。この中でも、汎用性の点から、エステル系、カルボン酸系の潤滑性向上剤の使用が好ましい。さらに添加濃度に対する添加効果が飽和に達しにくく、HFRRのWS1.4値をより小さくできる点からはエステル系潤滑性向上剤が好ましく、添加濃度に対する添加効果の初期応答性が高く、潤滑性向上剤の添加量を少なくできる可能性があるという点からはカルボン酸系潤滑性向上剤が好ましい。
エステル系の潤滑性向上剤としては、例えば、グリセリンのカルボン酸エステル等が挙げられる。カルボン酸エステルを構成するカルボン酸は1種であっても2種以上であってもよく、その具体例としては、リノール酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセン酸等が挙げられる。また、カルボン酸系の潤滑性向上剤としては、例えば、リノール酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセン酸等が挙げられ、これらの1種または2種以上が任意に使用可能である。なお、低温流動性向上剤が潤滑性改善効果を併せ持つ場合には、低温流動性向上剤と潤滑性向上剤を組み合わせて、潤滑性の改善を図ることができる。
潤滑性向上剤を添加する場合の添加量は、25〜500mg/Lであることが好ましく、25〜300mg/Lであることがより好ましく、25〜200mg/Lであることがさらに好ましい。これによりHFRRのWS1.4値が好ましくは460μm以下、より好ましくは420μm以下、最も好ましくは400μm以下となるように添加するのがよい。潤滑性向上剤と称して市販されている商品は、それぞれ潤滑性に寄与する有効成分が適当な溶剤で希釈された状態で入手されるのが通例である。こうした市販品を本発明の燃料油組成物に添加する場合にあたっては、上記の添加量は、有効成分としての添加量を意味している。
本発明の燃料油組成物は、貯蔵安定性の点から必要に応じて酸化防止剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤の種類は特に限定されるものではないが、フェノール系、アミン系等の酸化防止剤が好ましく用いられる。例えば、フェノール系酸化防止剤としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられ、アミン系酸化防止剤としてはフェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミンなどが挙げられる。
酸化防止剤を添加する場合の添加量は、1〜500mg/Lであることが好ましく、5〜300mg/Lであることが特に好ましい。酸化防止剤と称して市販されている商品は、それぞれ酸化安定性向上に寄与する有効成分が適当な溶剤で希釈された状態で入手されるのが通例である。こうした市販品を本発明の燃料油組成物に添加する場合にあたっては、上記の添加量は、有効成分としての添加量を意味している。
本発明の燃料油組成物は、所定の性状を有する限りは特に限定されるものではないが、以下の性状を有することが好ましい。
本発明の燃料油組成物の流動点は、燃料ラインでの流動性確保の点から、5℃以下であることが好ましく、−2.5℃以下であることがより好ましく、−7.5℃以下であることがさらに好ましく、−15.0℃以下であることが最も好ましい。ここでいう流動点とは、JIS K2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物の目詰まり点は、ディーゼル自動車のフィルタ閉塞性防止の点から、5℃以下であることが好ましく、−1℃以下であることがより好ましく、−5℃以下であることがさらに好ましく、−10℃以下であることが特に好ましく、−15℃以下であることが最も好ましい。ここでいう目詰まり点とは、JIS K2288「軽油−目詰まり点試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物のセタン指数は、エンジン着火性の点から、45.0以上であることが好ましく、50.0以上であることがより好ましく、51.0以上であることがさらに好ましく、52.0以上であることが最も好ましい。
本発明の燃料油組成物のセタン価は、エンジン着火性の点から、45.0以上であることが好ましく、50.0以上であることがより好ましく、52.0以上であることがさらに好ましく、55.0以上であることが最も好ましい。特に本発明の燃料油組成物のセタン指数が45.0未満の場合、中でもセタン指数が43.0未満の場合には、セタン価向上剤を添加することにより、セタン価を45.0以上とするのが好ましい。また、セタン指数が45.0以上の場合でも、セタン価向上剤を添加することにより、エンジン着火性をさらに向上させ、低温でのエンジン始動性の向上、始動時の白煙の低減を図ることができる。ここでいうセタン価、セタン指数とは、JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」により測定、算出される値を意味する。なお、上記JISにおけるセタン指数は、セタン価向上剤を添加した軽油には適用されないが、本発明においては、セタン価向上剤を添加した軽油のセタン指数も、上記JISによって算出した値を意味する。
本発明の燃料油組成物の30℃における動粘度は、1.7〜6.0mm/sであることが好ましい。30℃における動粘度が1.7mm/s未満のときは、比較的高い温度下で使用された場合に始動不良を起こしたり、アイドリング時のエンジン回転が不安定となったりする可能性があり、また、燃料噴射ポンプの耐久性に問題が生じる可能性がある。高温における始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保および燃料噴射ポンプの耐久性確保の点から、30℃における動粘度は2.7mm/s以上がより好ましく、3.0mm/s以上がさらに好ましい。また、30℃における動粘度が6.0mm/sより大きくなると黒煙が増加するため好ましくない。黒煙増加防止の点から、30℃における動粘度は5.5mm/s以下であることがより好ましく、5.0mm/s以下であることがさらに好ましく、4.5mm/s以下であることが最も好ましい。ここでいう30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物においては、蒸留性状は特に限定されるものではないが、以下のとおりであることが好ましい。
初留点(IBP):140〜230℃
10%留出温度(T10):165〜250℃
50%留出温度(T50):240〜310℃
90%留出温度(T90):300〜350℃
95%留出温度(T95):305〜365℃
終点(EP):310〜380℃
本発明の燃料油組成物のIBPは、始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保の観点から、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは155℃以上、最も好ましくは160℃以上である。IBPが低すぎる場合には、一部の軽質留分が気化して噴霧範囲が広がりすぎ、未燃分として排出ガスに同伴されるHCが増加する懸念がある。一方、IBPが高すぎる場合は低温始動性および低温運転性に不具合を生じる可能性があることから、IBPは230℃以下であることが好ましく、より好ましくは220℃以下、最も好ましくは215℃以下である。
本発明の燃料油組成物のT10は、始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保の観点から、好ましくは165℃以上であり、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは175℃以上、最も好ましくは180℃以上である。T10が低すぎると、IBPが低すぎる場合と同様に、排出ガスに同伴されるHCが増加する懸念がある。一方、T10が高すぎる場合は低温始動性および低温運転性に不具合を生じる可能性があることから、T10は250℃以下であることが好ましく、より好ましくは240℃以下、さらに好ましくは230℃以下であり、最も好ましくは225℃以下である。
本発明の燃料油組成物のT50は、燃料消費率、エンジン出力、および高温における始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保の観点から、好ましくは240℃以上であり、より好ましくは245℃以上、さらに好ましくは250℃以上、さらにより好ましくは255℃以上、最も好ましくは260℃以上である。一方、エンジンから排出されるPM増加防止の点から、T50は310℃以下であることが好ましく、より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは295℃以下であり、最も好ましくは290℃以下である。
本発明の燃料油組成物のT90は、エンジンから排出されるPM増加防止の点から、好ましくは350℃以下であり、より好ましくは345℃以下であり、さらに好ましくは340℃以下であり、最も好ましくは335℃以下である。また、低温流動性向上剤によるCFPP降下能確保、高温における始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保、および燃料消費率の点から、T90は300℃以上であることが好ましく、310℃以上であることがより好ましく、315℃以上であることが最も好ましい。
本発明の燃料油組成物のT95は、低温流動性向上剤によるCFPP降下能確保、高温における始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保、および燃料消費率の点から、好ましくは305℃以上であり、より好ましくは315℃以上、最も好ましくは320℃以上である。一方、エンジンから排出されるPM増加防止の点から、T95は365℃以下であることが好ましく、より好ましくは355℃以下、さらに好ましくは350℃以下、さらにより好ましくは345℃以下、最も好ましくは340℃以下である。
本発明の燃料油組成物のEPは、低温流動性向上剤によるCFPP降下能確保、高温における始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保、および燃料消費率の点から、好ましくは310℃以上であり、より好ましくは320℃以上、最も好ましくは325℃以上である。一方、エンジンから排出されるPM増加防止の点から、EPは380℃以下であることが好ましく、より好ましくは370℃以下、さらに好ましくは365℃以下、さらにより好ましくは360℃以下、最も好ましくは355℃以下である。
ここで蒸留性状とは、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物の15℃における密度は特に限定されるものではないが、エンジンから排出されるPM増加防止の点から、855kg/m以下であることが好ましく、850kg/m以下であることがより好ましく、845kg/m以下であることがさらに好ましく、840kg/m以下であることが特に好ましく、838kg/m以下であることが最も好ましい。一方、燃料消費率、エンジン出力、および高温における始動性、アイドリング時のエンジン回転の安定性確保の観点から、密度は810kg/m以上であることが好ましく、815kg/m以上であることがより好ましく、820kg/m以上であることがさらに好ましく、822kg/m以上であることが最も好ましい。ここでいう15℃における密度とは、JIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」により測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物のHFRRのWS1.4値は、燃料噴射ポンプの潤滑性確保の点から、460μm以下であることが好ましく、420μm以下であることがより好ましく、400μm以下であることが最も好ましい。ここでいうHFRRのWS1.4値とは、社団法人石油学会から発行されている石油学会規格JPI−5S−50−98「軽油−潤滑性試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物は、貯蔵安定性の点から、酸化安定性試験後の全不溶解分が2.0mg/100mL以下であることが好ましく、1.0mg/100mL以下であることがより好ましく、0.5mg/100mL以下であることがさらに好ましく、0.3mg/100mL以下であることがさらに一層好ましく、0.2mg/100mL以下であることがさらにより一層好ましく、0.1mg/100mL以下であることが最も好ましい。ここでいう酸化安定性試験とは、ASTM D2274−94に準拠して、95℃、酸素バブリング下、16時間の条件で実施するものである。
また、貯蔵安定性、部材への適合性の点から、この酸化安定性試験後の過酸化物価は10質量ppm以下であることが好ましく、5質量ppm以下であることがより好ましく、3質量ppm以下であることがさらに好ましく、2質量ppm以下であることがさらにより好ましく、1質量ppm以下であることが最も好ましい。ここでいう過酸化物価とは石油学会規格JPI−5S−46−96に準拠して測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物の引火点は、取り扱い時の安全性確保の点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。ここでいう引火点とは、JIS K2265「原油及び石油製品引火点試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物の10%残油の残留炭素分は、燃焼堆積物低減の点から、0.1質量%以下であることが好ましい。ここでいう10%残油の残留炭素分とは、JIS K2270「原油及び石油製品−残留炭素分試験方法」により測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物の導電率は特に限定されるものではないが、安全性の観点から50pS/m以上であることが好ましい。本発明の燃料油組成物には、導電率を改善するために、適宜、帯電防止剤等を添加することができる。ここでいう導電率とは、JIS K2276「石油製品−航空燃料油試験方法」に準拠して測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物においては、本発明を逸脱しない範囲で、さらに前述の低温流動性向上剤、潤滑性向上剤および酸化防止剤以外の他の任意の添加剤を適宜配合することができる。これらの添加剤としては、2−エチルヘキシルナイトレートに代表される硝酸エステル系、有機過酸化物系等のセタン価向上剤、アルケニルコハク酸誘導体、カルボン酸のアミン塩等の清浄剤、サリチリデン誘導体等の金属不活性化剤、ポリグリコールエーテル等の氷結防止剤、脂肪族アミン、アルケニルコハク酸エステル等の腐食防止剤、アニオン系、カチオン系、両性系界面活性剤等の帯電防止剤、アゾ染料等の着色剤、シリコン系等の消泡剤などを挙げることができる。これらの添加剤は、単独または数種類を組み合わせて添加することができる。添加量も任意であるが、その他の添加剤全量については有効成分としての添加量で、燃料油組成物全量基準で通常0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下である。
本発明の燃料油組成物は、目的とする燃料油組成物の性状が得られる限りにおいて、各種燃料基材を2種類以上配合する。かかる基材としては、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯・軽油留分、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧灯・軽油留分、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を接触分解又は水素化分解して得られる接触分解灯・軽油留分、水素化分解灯・軽油留分、これらの石油系炭化水素を水素化精製して得られる水素化精製灯・軽油留分、若しくは水素化脱硫灯・軽油留分等、また、天然ガス、アスファルト、石炭、バイオマスなどを原料にして合成される合成灯・軽油留分、動植物油脂を水素化精製して得られる灯・軽油留分等を好ましく使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜24、比較例1〜6)
表1に実施例1〜24及び比較例1〜6の燃料油組成物を製造するのに用いた燃料基材の性状を示す。なお、本実施例および比較例中のMwの値はGC−FID法による計算方法を用いて算出した。
実施例1〜24および比較例1〜6の燃料油組成物は、表1の性状を有する直留灯油、直留軽油、直留軽油と脱硫接触分解軽油の混合物、植物油脂水素化軽油(ノルマルパラフィン系燃料基材)、植物油脂水素化異性化軽油(ノルマルパラフィン系燃料基材)、GTL軽油(ノルマルパラフィン系燃料基材)、Aroma Rich灯油、水素化分解軽油を表2〜5に示す比率で配合して製造したものである。なお、低温流動性向上剤を添加する場合は、インフィニアム社製のR240(エチレン−酢酸ビニル共重合体)を用い、潤滑性向上剤にはインフィニアム社製のR655(エステル系潤滑性向上剤)を用いた。表2〜5に得られた燃料油組成物の性状を示す。
ここで、表1に示す各種基材は以下のようにして得られる。
直留灯油1及び2は原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油留分を水素化脱硫処理して得られた基材であり、直留HDS−LGO1〜3は原油の常圧蒸留装置から得られる直留軽油留分を水素化脱硫処理して得られた基材であり、直留HDS−LGOとHDS−接触分解軽油混合物は常圧蒸留装置から得られる直留軽油留分を水素化脱硫処理して得られた基材と減圧重質軽油を接触分解して得られる接触分解軽油を水素化脱硫処理して得られた基材との混合物であり、Aroma Rich灯油は重質接触改質油と石油系溶剤の混合物であり、水素化分解軽油は減圧重質軽油を水素化分解して得られる水素化分解軽油留分を水素化脱硫処理して得られた基材である。
また、植物油脂水素化軽油は植物油脂を水素化処理して得られる軽油留分であり、植物油脂水素化異性化軽油1〜3は植物油脂の水素化処理において水素化異性化度を変えた処理を施した軽油留分であり、GTL軽油1〜2は天然ガスを原料にしてフィッシャー・トロプシュ合成により得られた合成軽油である。
指標P(P値)は前記式1に基づき算出した。
低温流動性指標Sは、前記式2に基づき算出した。
4次モーメントは、前記式3に基づき算出した。
飽和溶解温度は、非特許文献1に記載の熱力学的に求められる飽和溶解温度を意味する。
なお、飽和溶解温度を求めるに当たって必要となる各炭素数のノルマルパラフィンの融点および融解エンタルピーについては“NIST Chemistry WebBook−NIST Standard Reference Database Number 69”に基づいた値を表6に示す。
ワックス析出開始温度の指標は、徐冷曇り点(徐冷CP)の値を使って評価を行なった。徐冷曇り点とは、曇り点より10℃以上高い温度から曇り点を検知するまでは0.5℃/分で徐冷し、0.1℃単位で検知して得られた曇り点(℃)のことである。徐冷曇り点の検知方法は、試料に光を照射し、試料容器底のアルミ面における反射光が所定量低下(厚さ15mmの試料液の底面より3mmの高さから照射した光の反射光が7/8以下に低下)した点を徐冷曇り点とする。本発明では、田中科学機器製作株式会社製 自動流動点・曇り点試験 MPC−102形を使用して測定した。
低温流動性指標Sの値が1.3以上の値を持つ実施例1〜24、比較例1については熱力学式から予測される曇り点(飽和溶解温度)よりも、実際の曇り点(実測徐冷曇り点)は2.5℃以上低く抑えられていることが分かる。つまり、燃料油組成物を製造する場合、低温流動性指標Sの値が大きくなるように基材を配合すれば、熱力学式から予測される曇り点の高い燃料油組成物を作ったとしても、十分な低温流動性を有した燃料油組成物が得られる。つまり、低温流動性が悪いために、十分な低温流動性が必要な燃料を作る場合には配合に適さないノルマルパラフィン系燃料基材を、低温流動性指標Sの値が大きくなるようにノルマルパラフィンの分布を調整することにより、より多く配合することができるようになる。
一方、Sの値が1.3未満の比較例2〜6の燃料油組成物については、実際の曇り点は熱力学式より予測される曇り点の値とそれほど大きく変わらないために、十分な低温流動性を確保するためには、熱力学式より予測される曇り点の値を十分低い値にしなければならない。実際に実施例5、6、比較例2、3はそれぞれ熱力学式より予測される曇り点は0.85℃、−1.02℃、−1.2℃、−1.07℃と、ノルマルパラフィンの質や量から見ると実施例5、6の方が比較例2、3よりも高い値(高い温度でWAXが析出する)となっている。しかし、実施例5,6の低温流動性指標Sの値はそれぞれ1.855、1.741であり、比較例2、3はそれぞれ、1.207、1.105である。このため、実際の曇り点は実施例5,6についてはそれぞれ−5.9℃、−6.9℃と予測される値よりも大幅に下がっており十分な低温流動性を示すのに対し、比較例2、3は、−3.3℃、−2.7℃とそれほど予測値と変わらず、実施例の燃料と比べて十分な低温流動性が得られているとは言えない。
(低温実車試験)
環境温度の制御可能なシャーシダイナモメータ上で、室温にて(1)供試ディーゼル自動車の燃料系統を評価燃料でフラッシング(洗浄)、(2)フラッシング燃料の抜き出し、(3)メインフィルタの新品への交換、(4) 燃料タンクに評価燃料の規定量( 供試車両の燃料タンク容量の1/2)の張り込みを行う。その後、(5)環境温度を室温から−4℃まで急冷し、(6)−4℃で1時間保持した後、(7)−1℃/hの冷却速度で−10℃に達するまで徐冷し、(8)−10 ℃ で1時間保持した後、走行試験を開始する。走行試験は、(9)エンジン始動、(10)5分間アイドリング、(11)50km/hまで加速、(12)50km/hで1時間走行から構成され、その間の運転状況により合格、不合格を判定する。エンジン始動、アイドリング、加速に問題がなく、全走行に渡って50km/h走行が維持できた場合や走行中一時的に車速が低下したがその後回復した場合など、軽微の不具合を生じたが、走行が継続できた場合は可(○)とした。一方、始動不可(10秒間のクランキングを30秒間隔で5回繰り返しても始動しない場合)、アイドリングストール、エンジン停止などにより走行維持ができなかった場合は不可(×)とした。低温実車試験には、下記のディーゼル自動車を用いた。
車両は、短期規制適合のディーゼルトラックに、東京都指定のPM 減少装置(低硫黄軽油使用)を装着したものである。諸元は以下の通り。
(車両諸元)
最大積載量:2t
エンジン種類:直列4気筒ディーゼル
エンジン総排気量:4.3L
燃料噴射ポンプ:列型
適合規制:短期排出ガス規制適合(ベース車両)
排出ガス後処理装置: 東京都指定のPM減少装置(カテゴリー4適合)
PM 減少装置の使用燃料:低硫黄軽油(硫黄分50質量ppm以下)
実施例1、5〜8、11、13〜18および、比較例1〜6の燃料について低温実車試験をした結果も表1に記載した。実施例1、5〜8、11、13〜18は、低温流動性指標Sが大きく、低温流動性に優れているため低温実車試験結果にも問題が無い。一方低温流動性指標Sの値が大きい比較例1については、ノルマルパラフィン含有量が極度に多くP値が3を超えているため、曇り点は十分降下しているが、低温での実車性能は十分ではなく、低温実車試験の結果では不可となった。その他の比較例2〜6の燃料についてはS値が小さいために、十分な曇り点の降下が起きず実車試験の結果も不可であった。
Figure 2010235740
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本発明により、2種以上の異なる燃料油基材を混合して燃料油を製造するに場合に、試製を行うことなく、低温性能に優れた燃料油組成物を製造することが可能であり、産業上きわめて有用である。

Claims (3)

  1. 異なる2種類以上の燃料油基材を混合して製造してなる燃料油組成物であり、混合後に予測される燃料油組成物の下記式1で表されるP値が−3以上3以下の範囲にあり、
    Figure 2010235740
    かつ下記式2で表される低温流動性指標Sが1.3以上であることを特徴とする燃料油組成物。
    S=−0.211×nC12+0.56×nC13−0.137×nC14
    +0.177×nC15+0.244×nC16+0.083×nC17
    −0.117×nC18 −0.09×nC19+0.409×nC20
    −0.645×nC21+0.537×nC22−1.159×nC23
    −1.168×nC24+0.32×nC25+6.482×nC26
    −5.555×nC27−0.00356×(4次モーメント)
    +0.00643×Mw−0.841 ・・・・(式2)

    (上記式1中のnCiは、燃料油組成物中の炭素数iのノルマルパラフィン含有量(質量%)であり、上記式1及び式2中の(4次モーメント)は、燃料油組成物中の炭素数iのノルマルパラフィン含有量(質量%)をnCi、燃料油組成物中の炭素数12から27ノルマルパラフィンの含有量(質量%)の平均値を
    Figure 2010235740
    と定義した場合、下記式3で表される値であり、上記式1及び式2中のMwは燃料油組成物の重量平均分子量である。)
    Figure 2010235740
  2. 低温流動性向上剤を50〜500mg/Lおよび潤滑性向上剤を25〜500mg/L含有することを特徴とする請求項1に記載の燃料油組成物。
  3. 酸化防止剤を1〜500mg/L含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料油組成物。
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