[go: up one dir, main page]

JP2010235689A - 無機微粒子分散用バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シート - Google Patents

無機微粒子分散用バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シート Download PDF

Info

Publication number
JP2010235689A
JP2010235689A JP2009082732A JP2009082732A JP2010235689A JP 2010235689 A JP2010235689 A JP 2010235689A JP 2009082732 A JP2009082732 A JP 2009082732A JP 2009082732 A JP2009082732 A JP 2009082732A JP 2010235689 A JP2010235689 A JP 2010235689A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inorganic fine
fine particle
sheet
paste composition
binder resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009082732A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Hiraike
宏至 平池
Kenji Yamauchi
健司 山内
Takeharu Morita
健晴 森田
Hiroko Miyazaki
寛子 宮崎
Koji Fukui
弘司 福井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2009082732A priority Critical patent/JP2010235689A/ja
Publication of JP2010235689A publication Critical patent/JP2010235689A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

【課題】無機微粒子分散ペースト組成物に使用した場合に、無機微粒子の分散性に優れ、焼結後の残留炭素が少なく低温雰囲気下であっても脱脂処理が可能であり、かつ、機械的強度の高いシートを得ることが可能な無機微粒子分散用バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シートを提供する。
【解決手段】無機微粒子分散シートに用いられる無機微粒子分散用バインダー樹脂であって、エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートに由来するセグメント、及び、ポリエチレングリコールモノメタクリレートに由来するセグメントを有し、ポリエチレングリコールモノメタクリレートに由来するセグメントの含有量が30〜50重量%であり、かつ、前記ポリエチレングリコールモノメタクリレートは、エチレンオキサイドの繰り返し数が20〜50である無機微粒子分散用バインダー樹脂。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機微粒子分散ペースト組成物に使用した場合に、無機微粒子の分散性に優れ、焼結後の残留炭素が少なく低温雰囲気下であっても脱脂処理が可能であり、かつ、機械的強度の高いシートを得ることが可能な無機微粒子分散用バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シートに関する。
近年、導電性粉末、セラミック粉末、ガラス粒子等の無機微粒子をバインダー樹脂に分散させた無機微粒子分散ペースト組成物や、それらを用いて得られる無機微粒子分散シートが、様々な形状の焼成体を得るために用いられている。例えば、導電性粉末として金属微粒子を分散させたペースト組成物は、回路形成やコンデンサーの製造等に用いられ、ガラス粒子を分散させたガラスペーストは、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう)の誘電体層やリブ層の製造に用いられ、セラミック粉末を分散させたセラミックペーストをシート化して得られるセラミック粉末分散シートは積層セラミックコンデンサの製造等に用いられている。
積層セラミックコンデンサ等の積層型の電子部品は、例えば、特許文献1に開示されているように、一般に次のような工程を経て製造される。
まず、バインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック原料粉末を加える。次いで、ボールミル等により均一に混合し脱泡を行って一定粘度を有するセラミックスラリー組成物を得る。得られたセラミックスラリー組成物をドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム又はステンレス鋼プレート等の支持体面で流延成形する。次いで、加熱等により有機溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
得られたセラミックグリーンシート上に内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷等により塗工したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体を製造する。この積層体中に含まれるバインダー樹脂成分等を熱分解させて除去する処理(いわゆる「脱脂処理」)を行った後、焼成して得られたセラミック焼成物の端面に外部電極を焼結によって形成させる工程を経て、積層セラミックコンデンサが得られる。
このように積層セラミックスコンデンサの製造方法では、PDP等の製造方法のように無機微粒子分散ペースト組成物を基板の上に直接印刷して、多種の無機粉末を順次焼結する方法ではなく、別工程でセラミックグリーンシートを各々作製した後、最終工程でセラミックグリーンシートの積層、焼結工程を行うため、使用するバインダー樹脂には、粘度等の性能に加え、シート強度やしなやかさが求められ、最終製品によっては打ち抜き性等も併せて求められる。特に、積層コンデンサー、積層圧電素子、積層インダクタ、積層基板、積層型熱交換器等に用いられるグリーンシートについては、このような性能が強く求められる。
近年、積層セラミックコンデンサ等の電子部品に対しては、軽量小型化及び価格の低廉化が強く求められている。従って、これらを製造する際に必要となるセラミック積層体においては一層当たりのシート厚みを薄くしたり、さらなる多層化を推し進めたりすることが行われる一方、その内部電極を形成するにあたっては高価なPt、Pd、Ag等に代わる安価な卑金属材料、例えば、Niや高周波特性に優れたCu等を主成分として含む導電性ペーストを使用することが行われている。
このような卑金属材料を主成分とする導電性ペーストを用いて電極層を形成する場合、製造工程の途中で、積層素体の脱バインダー処理及び焼成処理を非酸化性雰囲気中で行う必要があるが、特に、導電性ペーストがCuを主成分とするものである場合には、酸素含有雰囲気中で高温加熱すると、良質の絶縁体である酸化物が形成されてしまうため、非酸化性雰囲気中で焼成温度を低くして焼成する必要がある。
しかしながら、非酸化性雰囲気中での焼成を行った際には、グリーンシート中のバインダーが炭素として残存し、炭素の存在に起因して発生した気孔(ポア)が焼成体中に残ることになるため、製造後の電子部品における特性上の不都合が生じていた。
そこで、低温分解性に優れるアクリル樹脂をバインダーとして用いることが検討されている。即ち、アクリル樹脂は低温下においても解重合(重合体が単量体に分解する化学反応)を起こし得るから、グリーンシート中における炭素の残存率(以下、残炭率という)を低下させることが可能であると考えられるからである。例えば、特許文献2には、高温残留重量が極めて少ないアクリル系樹脂を用いる方法が開示されている。
しかし、アクリル樹脂は、原料粉末の分散性が悪く、グリーンシートの均質性が損なわれていた。また均質性の悪化に伴って、グリーンシートのシート強度、シート伸び率、シート成形密度、シート打ち抜き性等の物性が低下していた。
これに対して、特許文献3及び特許文献4には、短鎖ポリアルキレンエーテルを側鎖に有するメタアクリルモノマーをバインダー樹脂として用いることで、焼結性を向上させつつ、バインダー樹脂の極性を高め、金属との親和性を改善している。
しかしながら、これらの技術では、バインダーの極性を高める効果を発現させるため、ポリアルキレンエーテルが用いられているものの、得られるグリーンシートは、依然として機械的強度に劣るものとなっていた。
特公平3−35762号公報 特開2001−307548号公報 特許第3355694号公報 特開平6−072759号公報
本発明は、上記現状に鑑み、無機微粒子分散ペースト組成物に使用した場合に、無機微粒子の分散性に優れ、焼結後の残留炭素が少なく低温雰囲気下であっても脱脂処理が可能であり、かつ、機械的強度の高いシートを得ることが可能な無機微粒子分散用バインダー樹脂を提供することを目的とする。また本発明は、該無機微粒子分散用バインダー樹脂を用いた無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シートを提供することを目的とする。
本発明は、無機微粒子分散シートに用いられる無機微粒子分散用バインダー樹脂であって、エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートに由来するセグメント、及び、ポリエチレングリコールモノメタクリレートに由来するセグメントを有し、ポリエチレングリコールモノメタクリレートに由来するセグメントの含有量が30〜50重量%であり、かつ、前記ポリエチレングリコールモノメタクリレートは、エチレンオキサイドの繰り返し数が20〜50である無機微粒子分散用バインダー樹脂である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、熱分解性の悪化の原因となるポリエチレングリコールモノメタクリレートに対して、エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートを所定の比率で共重合させた重合体を、無機微粒子分散用のバインダー樹脂として用いた場合、熱分解性の悪化を最小限に止めつつ、無機微粒子の分散性を充分に確保できることを見出した。また、このような無機微粒子分散用バインダー樹脂を用いた場合、燃焼時における煤の発生が抑制され、焼結後の残留炭素を低減させることが可能となることを見出した。
しかしながら、このような無機微粒子分散用バインダー樹脂を用いて得られる成形体は脆い物性を示し、厚みが20μm以上の無機微粒子分散シート等に用いることが難しいという問題が新たに発生した。
これに対して、本発明者らは更に鋭意検討した結果、ポリエチレングリコールモノメタクリレートのエチレンオキサイドの繰り返し数を20〜50とすることで、充分な分散性や熱分解性を有しつつ、得られる成形体の伸長特性や、作業性が大幅に改善されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂は、エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートに由来するセグメント、及び、ポリエチレングリコールモノメタクリレートに由来するセグメントを有する。上記2種類のセグメントを有し、かつ、ポリエチレングリコールメタクリレートに由来するセグメントの含有量、及び、その繰り返し数を所定量とすることで、例えば、セラミックグリーンシートのバインダー樹脂として用いた場合に、得られるセラミックグリーンシートは、伸長特性が良好で、低温での脱脂を実現することができるとともに、焼結後の残留炭素の低減を図ることが可能となる。このような改善傾向は、高い柔軟性や強度が求められる20μm以上の厚みを有するシートにおいて特に顕著に見られる。
なお、本明細書において、低温脱脂とは、窒素置換等を行わない通常の空気雰囲気下において、400℃で1時間保持した際に無機微粒子分散用バインダー樹脂の初期重量の99.5重量%以上が分解されることを意味する。
本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂は、エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートに由来するセグメントを含有する。
上記エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートが挙げられる。これらのメタクリレートは、単独重合体とした場合の熱分解性に優れ、残留炭素分が少ないという特徴を有する。
これらのメタクリレートは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
2種以上を併用する場合、使用するメタクリレートの組み合わせによって、無機微粒子分散シートの作業性に影響を与える。具体的には、メチルメタクリレートが多くなるとシートが硬くなり、ブチルメタクリレートが少なくなるとシートが柔らかくなるため、作業性の向上を図るため、適切な範囲でメタクリレートを組み合わせて使用することが好ましい。
上記エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートに由来するセグメントの含有量の好ましい下限は60重量%、好ましい上限は70重量%である。上記エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートの含有量が60重量%未満であると、熱分解性に与えるポリエチレングリコールモノメタクリレートの悪影響が無視できなくなり、焼成後の残留炭素が多くなるため、分解終了温度も高くなることがある。上記エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートの含有量が70重量%を超えると、ポリエチレングリコールモノメタクリレートの含量が減ることで無機微粒子分散シートの強度が維持できなくなり、作業性を大きく損ねることとなる。
本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂は、ポリエチレングリコールモノメタクリレートに由来するセグメントを有する。上記ポリエチレングリコールモノメタクリレートに由来するセグメントは、エチレンオキサイドセグメントが結晶性構造を取るため、他の分子鎖から伸びたポリエチレングリコール鎖と共晶を形成し、疑似架橋点を形成する。そのため、ゴムに似た性質が得られ、伸長特性が大幅に改善することができる。
上記ポリエチレングリコールモノメタクリレートとしては、分子末端に水酸基、メトキシ基、エトキシ基、ラウリロキシ基、フェノキシ基等を有するものを用いることができる。更に、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等のポリエチレングリコールと他種のポリエーテル類との共重合体でポリエチレングリコール組成比が高く、結晶性を示すもの等を用いることもできる。
上記ポリエチレングリコールモノメタクリレートとしては、具体的には例えば、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート等を用いることができる。
上記ポリエチレングリコールモノメタクリレートの含有量の下限は30重量%、上限は50重量%である。上記ポリエチレングリコールモノメタクリレートの含有量が30重量%未満であると、充分なシート強度を得るための結晶性が発現されず、疑似架橋点として働かないため、作業性が改善しない。上記ポリエチレングリコールモノメタクリレートの含有量が50重量%を超えると、分解性の悪化や、使用溶剤への溶解性低下が起こる。上記ポリエチレングリコールモノメタクリレートの含有量の好ましい下限は30重量%、好ましい上限は40重量%である。
上記ポリエチレングリコールモノメタクリレートのエチレンオキサイドの繰り返し数の下限は20、上限は50である。上記エチレンオキサイドの繰り返し数が20未満であると、充分なシート強度を得るための結晶性が発現されず、疑似架橋点として働かないため、作業性が改善しない。上記エチレンオキサイドの繰り返し数が50を超えると、分解性の悪化や、使用溶剤への溶解性低下が起こる。また、無機微粒子分散用バインダー樹脂の合成時において、共重合成分中に各々のホモポリマー共存率が高まることで、結晶性が確認されたとしても充分な強度付与ができない。上記エチレンオキサイドの繰り返し数の好ましい下限は25、好ましい上限は35である。
なお、本発明では、上記ポリエチレングリコールモノメタクリレートの含有量とエチレンオキサイドの繰り返し数を同時に所定の範囲内とする必要がある。エチレンオキサイドの繰り返し数が多いポリエチレングリコールモノメタクリレートを少量用いて強度付与を図ることも考えられるが、その場合は擬似架橋点の数が少なくなって、充分な強度付与ができず、脆性が強く表れてしまい、作業性が非常に悪いものとなってしまう。
本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂は、分子末端に水素結合性官能基を少なくとも1個有することが好ましい。上記水素結合性官能基が分子末端のみに存在することで、低温熱分解性等の本発明の効果を損なうことなく、無機微粒子分散ペースト組成物とした場合に、多量に配合しなくても適度な粘度を確保することができる。
上記水素結合性官能基としては特に限定されず、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。なかでも、熱分解時の影響が少ない等の理由から、水酸基、カルボキシル基が好適である。また、上記水素結合性官能基は少なくとも1個有すればよいが、多いほど、無機微粒子分散ペースト組成物中の無機微粒子の分散性が向上する。
本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂は、ポリスチレン換算による重量平均分子量の好ましい下限が2万、好ましい上限が100万である。上記重量平均分子量が2万未満であると、強度の低下や、ペースト作製時に粘度が充分に得られず貯蔵安定性が悪くなることや、シート化した際の強度が著しく低くなる。上記重量平均分子量が100万を超えると、得られる無機微粒子分散ペースト組成物の糸曳性や溶媒への溶解性に問題が生じることがある。
なお、ポリスチレン換算による重量平均分子量の測定は、カラムとして例えばSHOKO社製カラムLF−804等を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行うことで得ることができる。
本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂は、上記エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートに由来するセグメント、及び、ポリエチレングリコールモノメタクリレートに由来するセグメントに加えて、所望の機能性を付加するため、本発明の効果を損なわない範囲で、極性基を有するメタクリルモノマーに由来するセグメントを有していてもよい。
上記極性基を有するメタクリルモノマーとしては、例えば、極性基を有するメタクリレートモノマー、メタクリル酸等が挙げられる。
上記極性基を有するメタクリレートモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等が挙げられる。
上記極性基を有するメタクリルモノマーに由来するセグメントを有する場合、上記極性基を有するメタクリルモノマーに由来するセグメントの含有量は5重量%未満であることが好ましい。上記極性基を有するメタクリルモノマーに由来するセグメントの含有量が5重量%以上であると、低温での熱分解性が損なわれたり、無機微粒子に付着する煤が多くなり、焼結体の残留炭素が多くなったりすることがある。
本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂は、上記エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートに由来するセグメント、及び、ポリエチレングリコールモノメタクリレートに由来するセグメントに加えて、所望の機能性を付加するため、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリレートモノマーに由来するセグメントを有していてもよい。
上記アクリレートモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、アクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
上記アクリレートモノマーに由来するセグメントを有する場合、上記アクリレートモノマーに由来するセグメントの含有量は10重量%未満であることが好ましい。上記アクリレートモノマーに由来するセグメントの含有量が10重量%以上であると、低温での熱分解性が損なわれたり、バインダー自身の熱分解性が悪くなり焼結体の残留炭素が多くなったりすることがある。
本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂の製造する方法としては特に限定されず、例えば、エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレートを原料モノマーとし、連鎖移動剤及び有機溶剤等を含有するモノマー混合液を調製した後、該モノマー混合液に重合開始剤を添加し、上記原料モノマーを共重合させる方法が挙げられる。
また、本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂の分子末端のみに水素結合性官能基を導入する方法としては、例えば、水素結合性官能基を有する連鎖移動剤のもとで、上述したエステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレート及びポリエチレングリコールモノメタクリレートからなる原料モノマーをフリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で共重合する方法や、水素結合性官能基を有する重合開始剤のもとで、上述したモノマーをフリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で共重合する方法が挙げられる。なお、これらの方法は併用してもよい。
また、無機微粒子分散用バインダー樹脂の分子末端のみに水素結合性官能基が導入されたことは、例えば、13C−NMRにより確認することができる。
上記水素結合性官能基を有する連鎖移動剤としては、特に限定されず、例えば、水素結合性官能基として水酸基を有するメルカプトプロパンジオール、水素結合性官能基としてカルボキシル基を有するチオグリセロール、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸、水素結合性官能基としてアミノ基を有するアミノエタンチオール等が挙げられる。
上記水素結合性官能基を有する重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、P−メンタンヒドロペルオキシド(日油社製「パーメンタH」)、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド(日油社製「パークミルP」)、1,2,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド(日油社製「パーオクタH」)、クメンヒドロペルオキシド(日油社製「パークミルH−80」)、t−ブチルヒドロペルオキシド(日油社製「パーブチルH−69」)、過酸化シクロヘキサノン(日油社製「パーヘキサH」)、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、t−アミルヒドロパーオキサイド、Disuccinic acid peroxide(パーロイルSA)等が挙げられる。
また、本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂と、有機溶剤と、無機微粒子とを用いて無機微粒子分散ペースト組成物を作製することができる。
本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂、有機溶剤、及び、無機微粒子を含有する無機微粒子分散ペースト組成物もまた、本発明の1つである。
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、無機微粒子を含有する。
上記無機微粒子としては特に限定されず、例えば、銅、銀、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バリウム、窒化アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、CaO・Al・SiO系無機ガラス、MgO・Al・SiO系無機ガラス、LiO・Al・SiO系無機ガラス等の低融点ガラス、BaMgAl1017:Eu、ZnSiO:Mn、(Y、Gd)BO:Eu等の蛍光体、種々のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、金属錯体等が挙げられる。
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物における上記無機微粒子の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限が10重量%、好ましい上限が90重量%である。10重量%未満であると、粘度が充分に得られないことや、塗工性が低下することがあり、90重量%を超えると、無機微粒子を分散させることが困難になることがある。
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、有機溶剤を含有する。
上記有機溶剤としては特に限定されず、例えば、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテートテキサノール、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、フェニルプロピレングリコール、クレゾール等が挙げられる。なかでも、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テキサノールが好ましく、テルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテートがより好ましい。なお、これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物における無機微粒子分散用バインダー樹脂の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が30重量%である。上記無機微粒子分散用バインダー樹脂の含有量が、上記範囲内であると、低温で焼成しても脱脂可能な無機微粒子分散ペースト組成物を作製することができる。
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物における上記有機溶剤の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は5重量%、好ましい上限は60重量%である。この範囲を外れると、塗工性が低下したり、無機微粒子を分散させることが困難となったりすることがある。
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、密着促進剤を含有してもよい。
上記密着促進剤としては、特に限定されないが、アミノシラン系シランカップリング剤が好適に用いられる。
上記アミノシラン系シランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
アミノシラン系シランカップリング剤以外にも、グリシジルシラン系シランカップリング剤である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、その他シランカップリング剤であるジメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等も好適に用いることができ、これらを複数用いても良い。
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、塗工後のレベリングを促進させる目的でノニオン系界面活性剤を含有することが好ましい。
上記ノニオン系界面活性剤としては特に限定されないが、HLB値が10以上20以下のノニオン系界面活性剤であることが好ましい。ここで、HLB値とは、界面活性剤の親水性、親油性を表す指標として用いられるものであって、計算方法がいくつか提案されており、例えば、エステル系の界面活性剤について、鹸化価をS、界面活性剤を構成する脂肪酸の酸価をAとし、HLB値を20(1−S/A)等の定義がある。具体的には、脂肪鎖にアルキレンエーテルを付加させたポリエチレンオキサイドを有するノニオン系界面活性剤が好適であり、具体的には例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が好適に用いられる。なお、上記ノニオン系界面活性剤は、熱分解性がよいが、大量に添加すると無機微粒子分散ペースト組成物の熱分解性が低下することがあるため、含有量の好ましい上限は5重量%である。
また、本発明の無機微粒子分散ペースト組成物では、更に、添加剤として、可塑剤、粘着付与剤、保存安定剤、消泡剤、熱分解促進剤、酸化防止剤等を含有させてもよい。これらの添加剤は、特に限定されるものではなく、この分野で通常用いられるものを適宜選択することができる。
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物の製造方法としては特に限定されず、従来公知の方法が挙げられ、各成分をボールミル、ブレンダーミル、3本ロール等の各種混合機を用いて混合する方法等が挙げられる。
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、無機微粒子としてガラス粉末を用いた場合、ガラスペースト組成物として好適に使用でき、ガラス微粒子分散シートを得ることが出来る。また、無機微粒子としてセラミック粉末を用いた場合はセラミックシート組成物、無機微粒子としてアルミニウム体粉末を用いた場合はアルミニウムシート組成物として好適に使用することができる。
本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂は、無機微粒子としてガラス粉末又はセラミックス粉末を用いることで、厚みが数十μmのグリーンシートの材料として好適に使用することができる。これらの用途で本発明の無機微粒子分散ペースト組成物を用いることで、低温での脱脂が可能となり、焼結時における無機微粒子の焼結中の酸化を最低限度に抑えることが可能となる。
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物をグリーンシートの材料として用いる場合、使用する有機溶剤としては、特にトルエンや酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等が好ましい。また、上記有機溶剤の添加量は用いる塗工プロセスによって適宜選択することが望ましく、特に限定されるものではない。更に、本発明の無機微粒子分散ペースト組成物をグリーンシートの材料として用いる場合、上記無機微粒子の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限が50重量%、好ましい上限が95重量%である。上記無機微粒子の含有量が50重量%未満であると、バインダー樹脂成分が多くなり、焼結性が低下することがあり、95重量%を超えると、無機微粒子等を分散させることが困難となり、シート化できないことがある。
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物を、片面離型処理を施した支持フィルム上に塗工し、溶剤を乾燥させ、シート状に成形することで、グリーンシート等の無機微粒子分散シートを製造することができる。このような無機微粒子分散シートもまた本発明の1つである。
本発明の無機微粒子分散シートの製造方法としては、例えば、本発明の無機微粒子分散用バインダー樹脂を溶剤に溶解させ、界面活性剤や分散剤、可塑剤等を添加し、攪拌、均一なビヒクルを作成した後、無機微粒子を添加し、ボールミルの分散装置を用いて均一に分散させる。得られた無機微粒子分散ペースト組成物をロールコーター、ダイコーター、スクイズコーター、カーテンコーター等の塗工方式によって支持フィルム上に均一に塗膜を形成する方法等が挙げられる。
本発明の無機微粒子分散シートシートを製造する際に用いる支持フィルムは、耐熱性及び耐溶剤性を有すると共に可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコーター、ブレードコーター等によって支持フィルムの表面に無機微粒子分散シート形成用ペースト組成物を塗布することができ、得られる無機微粒子分散シート形成フィルムをロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。
上記支持フィルムを形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレン等の含フッ素樹脂、ナイロン、セルロース等が挙げられる。
上記支持フィルムの厚みは、例えば、20〜100μmが好ましい。
また、支持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましく、これにより、転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
本発明によれば、無機微粒子分散ペースト組成物に使用した場合に、無機微粒子の分散性に優れ、焼結後の残留炭素が少なく低温雰囲気下であっても脱脂処理が可能であり、かつ、機械的強度の高いシートを得ることが可能な無機微粒子分散用バインダー樹脂を提供することができる。また、本発明によれば、該無機微粒子分散用バインダー樹脂を用いた無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シートを提供することができる。
実施例1〜3及び比較例1の示差走査熱分析データである。 実施例4〜5及び比較例2の示差走査熱分析データである。 実施例3、5及び比較例4の示差走査熱分析データである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物の調製
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、イソブチルメタクリレート(IBMA)70重量部、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(MPEGMA、共栄社化学社製、ライトエステル041MA、エチレンオキサイド繰り返し数30)30重量部、連鎖移動剤としてチオグリコール(日油社製 ブレンマーTGL)、有機溶剤として酢酸ブチル100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。重合開始剤を酢酸ブチルで希釈した溶液を加えた。また重合中に重合開始剤を含む酢酸ブチル溶液を数回添加した。
重合開始から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、(メタ)アクリル樹脂の酢酸ブチル溶液を得た。得られた重合体について、カラムとしてSHOKO社製カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は表1の通りであった。
このようにして得られた(メタ)アクリル樹脂の酢酸ブチル溶液30重量部に、無機粉体としてアルミナ(平均粒子径2.0μm)70重量部を添加し、高速攪拌機で混練し、無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
(2)グリーンシートの作製
得られた無機微粒子分散ペースト組成物を、予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる支持フィルム(幅400mm,長さ30m,厚さ38μm)上にブレードコーターを用いて塗布し、形成された塗膜を100℃で10分間乾燥して溶剤を除去することにより、厚さ100μmの無機粉体含有樹脂層を支持フィルム上に形成してグリーンシートを製造した。なお、以下の実施例においては厚みを統一させるため、溶剤量の調整を行った。
(実施例2)
イソブチルメタクリレートの添加量を65重量部として、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの添加量を35重量部としたこと以外は実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(実施例3)
イソブチルメタクリレートの添加量を60重量部として、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの添加量を40重量部としたこと以外は実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(実施例4)
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとして、エチレンオキサイド繰り返し数23のMPEGMA(日油社製、ブレンマーPMG1000)を用いたこと以外は実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(実施例5)
イソブチルメタクリレートの添加量を60重量部として、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの添加量を40重量部とした以外は実施例4と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(実施例6)
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとして、エチレンオキサイド繰り返し数46のMPEGMA(日油社製、ブレンマーPMG2000)を用いたこと以外は実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(実施例7)
イソブチルメタクリレートに代えて、n−ブチルメタクリレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(実施例8)
イソブチルメタクリレートに代えて、メチルメタクリレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(実施例9)
イソブチルメタクリレートの添加量を50重量部として、別にメチルメタクリレートを20重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(実施例10)
ノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本サーファクタント工業社製、製品名NIKOL BL25)を、シート中の樹脂成分に対して1重量%となるように添加した以外は実施例8と同様にしてグリーンシートを得た。
(比較例1)
イソブチルメタクリレートの添加量を75重量部として、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの添加量を25重量部とした以外は実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(比較例2)
イソブチルメタクリレートの添加量を75重量部として、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの添加量を25重量部とした以外は実施例4と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(比較例3)
イソブチルメタクリレートの添加量を75重量部として、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの添加量を25重量部とした以外は実施例6と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(比較例4)
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとして、エチレンオキサイド繰り返し数9のMPEGMA(共栄社化学社製、ライトエステル130MA)を用いたこと以外は実施例3と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(比較例5)
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの添加量を60重量部として、イソブチルメタクリレートの添加量を40重量部としたこと以外は実施例1と同様にして重合体の合成を試みた。得られた重合溶液が白濁していたが、そのまま実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(比較例6)
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとして、エチレンオキサイド繰り返し数90のMPEGMA(日油社製、ブレンマーPMG4000)を用いたこと以外は実施例1と同様にして重合体の合成を試みた。得られた重合溶液が白濁していたが、そのまま実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(比較例7)
イソブチルメタクリレートに代えて、2−エチルヘキシルメタクリレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートを得た。
(比較例8)
実施例10において、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートを用いずに、メチルメタクリレートのみで得られた重合体に対してノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本サーファクタント工業社製:製品名NIKOL BL25)をシート中の樹脂成分に対して1重量%となるように添加した以外は実施例10と同様にしてグリーンシートを得た。
<評価>
実施例1〜10及び比較例1〜8で得られたバインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシートについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)打抜き性
直径1cmのハトメ抜きを用いて、得られたグリーンシートの打ち抜き試験を行った。具体的には、打ち抜いた円形の部分及び打ち抜かれたシート側の何れにもヒビや欠けなく打ち抜けるかどうかで判断した。五回とも綺麗に打ち抜けたものを◎、五回のなかで一カ所だけヒビや欠けが入ったものを○、全てにヒビや欠けが入ったものを×、それ以外を△とした。
(2)焼結性
実施例、比較例で作製したグリーンシートをガラス基板に転写し、窒素置換したマッフル炉にて10℃/minにて400℃まで昇温した後、400℃の状態にて1時間保持し、焼結を終了した。マッフル炉から取り出し、グリーンシートの焼き色を目視にて確認した。着色のないものを◎、淡黄色であるものを○、茶色であるものを×と判定した。
(3)巻取り性試験
実施例、比較例で作製したグリーンシートに、片側を離型処理したPETフィルムを保護フィルムをとして貼り合わせ、ガラスシートを作製した。
得られたガラスシートを直径が20cm、長さ50cmのポリプロピレンパイプに巻き付け、ロール状態で23℃の室温にて24時間養生した。
ロール端部から5m、10mの部分を切断し、グリーンシートにクラックなどの不具合が発生しているか、目視で確認した。巻き取ることが出来なかったものを××、クラックが発生していたものを×、発生していないものを○とした。
(4)熱分析
実施例1〜5、比較例1〜2、4で得られた重合体について、DSC6200(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、示差走査熱分析を行った。
結果を図1〜3に示した。なお、図1には実施例1〜3及び比較例1の結果を示し、図2には実施例4〜5及び比較例2の結果を、図3には実施例3、5及び比較例4の結果を示した。図1はエチレンオキサイドの繰り返し数が30であるMPEGMAを用い、含有量を変化させた場合を比較したものである。また、図2はエチレンオキサイドの繰り返し数が23であるMPEGMAを用い、含有量を変化させた場合を比較したものである。更に、図3は40重量部のMPEGMAを添加し、エチレンオキサイドの繰り返し数を変化させた場合を比較したものである。
Figure 2010235689
表1に示すように、実施例で得られたバインダー樹脂、グリーンシートは、何れも良好な結果が得られた。実施例と比較例とを比較した場合、MPEGMAの添加量が30重量部未満である場合や、MPEGMAのエチレンオキサイドの繰り返し数が20以下である場合は、打ち抜き性や巻き取り性に課題があることが分かる。
このような結果は、図1〜3で示す示差走査熱分析の結果とも相関関係がある。即ち、実施例では、結晶の融解熱と判断できる吸熱のデータが得られたが、打ち抜き性や強度に劣る比較例では、いずれも結晶部由来と考えられる吸熱のデータは得られなかった。従って、実施例で得られた重合体は、シート化された際に結晶化された部分を有し、それが擬似架橋点となることで結晶性を有さない場合と比較して特異的な強度を示すものと考えられる。
また、比較例5〜6の結果から、MPEGMAの添加量や繰り返し数が増えると、打ち抜き性や巻き取り性が良好であっても、焼結性に課題が出てくることが分かる。これは、グリーンシート中のエチレンオキサイド部位の比率が高いことが原因であると考えられる。
なお、比較例7では、側鎖に長い脂肪鎖を有する重合体を用いた場合のグリーンシートの評価を行ったが、同様に焼結性に課題があった。
更に、実施例7〜9の結果から、脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートとして、イソブチルメタクリレートだけでなく、ブチルメタクリレートやメチルメタクリレートを用いた場合でも、良好な結果が得られることが分かる。実施例8で得られたグリーンシートでは、打ち抜き性が少し悪くなったのは、結晶性による効果がある一方でメチルメタクリレート特有の硬脆い特徴とのバランスがやや脆い方向へ行ったためと考えられる。なお、この点は、実施例9のように、より柔軟性の高いイソブチルメタクリレートを共重合させることや、実施例10のようにポリオキシエチレンアルキルエーテルを加えることで改善される。
実施例10の結果が良好なのは、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートの側鎖部とポリオキシエチレンアルキルエーテルの相溶性が高いことによって、より微少のポリオキシエチレンアルキルエーテルとなり、可塑化効果が得られるためであると考えられる。これは、比較例8が、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートを有しないポリメタクリレートにポリオキシエチレンアルキルエーテルを加えても、可塑化効果が得られていないことからも分かる。
本発明によれば、無機微粒子分散ペースト組成物に使用した場合に、無機微粒子の分散性に優れ、焼結後の残留炭素が少なく低温雰囲気下であっても脱脂処理が可能であり、かつ、機械的強度の高いシートを得ることが可能な無機微粒子分散用バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシート形成用無機微粒子分散ペースト組成物を提供することができる。

Claims (4)

  1. 無機微粒子分散シートに用いられる無機微粒子分散用バインダー樹脂であって、
    エステル部に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を有するメタクリレートに由来するセグメント、及び、ポリエチレングリコールモノメタクリレートに由来するセグメントを有し、
    ポリエチレングリコールモノメタクリレートに由来するセグメントの含有量が30〜50重量%であり、かつ、
    前記ポリエチレングリコールモノメタクリレートは、エチレンオキサイドの繰り返し数が20〜50である
    ことを特徴とする無機微粒子分散用バインダー樹脂。
  2. 請求項1記載の無機微粒子分散用バインダー樹脂及び無機微粒子を含有することを特徴とする無機微粒子分散ペースト組成物。
  3. 請求項2記載の無機微粒子分散ペースト組成物を用いることを特徴とする無機微粒子分散シート。
  4. ポリエチレンオキサイドを有するノニオン系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項3記載の無機微粒子分散シート。
JP2009082732A 2009-03-30 2009-03-30 無機微粒子分散用バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シート Pending JP2010235689A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009082732A JP2010235689A (ja) 2009-03-30 2009-03-30 無機微粒子分散用バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009082732A JP2010235689A (ja) 2009-03-30 2009-03-30 無機微粒子分散用バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010235689A true JP2010235689A (ja) 2010-10-21

Family

ID=43090329

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009082732A Pending JP2010235689A (ja) 2009-03-30 2009-03-30 無機微粒子分散用バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010235689A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012246392A (ja) * 2011-05-27 2012-12-13 Mitsubishi Rayon Co Ltd 焼成用アクリル系バインダー樹脂及びペースト組成物
WO2019171968A1 (ja) * 2018-03-07 2019-09-12 ナガセケムテックス株式会社 アクリル樹脂およびその製造方法、ならびに金属微粒子分散体

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0672759A (ja) * 1991-07-30 1994-03-15 Lion Corp セラミックス成形用バインダー
JPH06321623A (ja) * 1993-05-11 1994-11-22 Murata Mfg Co Ltd セラミックスラリー組成物
JPH07503989A (ja) * 1992-02-11 1995-04-27 イーライ・リリー・アンド・カンパニー バイオセンサーのためのアクリル共重合体膜
JPH10100337A (ja) * 1996-09-30 1998-04-21 Kuraray Co Ltd 帯電防止性アクリル樹脂積層体
JPH11515050A (ja) * 1995-10-17 1999-12-21 ルートラ,アジェイ,クマール 医学用装置のための生物適合性潤滑親水性物質
JP2004315719A (ja) * 2003-04-18 2004-11-11 Nippon Shokubai Co Ltd 焼成用樹脂組成物
JP2005089510A (ja) * 2003-09-12 2005-04-07 Nippon Soda Co Ltd ブロック・グラフト共重合体及びそれらを用いた高分子固体電解質
JP2005242087A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 銀塩光熱写真ドライイメージング材料、製造方法及び画像形成方法
JP2005242088A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びその製造方法
JP2006151727A (ja) * 2004-11-26 2006-06-15 Sekisui Chem Co Ltd 焼成体の製造方法
JP2006169347A (ja) * 2004-12-15 2006-06-29 Konica Minolta Opto Inc マスターバッチとこれを用いた有機無機複合樹脂組成物及び光学素子

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0672759A (ja) * 1991-07-30 1994-03-15 Lion Corp セラミックス成形用バインダー
JPH07503989A (ja) * 1992-02-11 1995-04-27 イーライ・リリー・アンド・カンパニー バイオセンサーのためのアクリル共重合体膜
JPH06321623A (ja) * 1993-05-11 1994-11-22 Murata Mfg Co Ltd セラミックスラリー組成物
JPH11515050A (ja) * 1995-10-17 1999-12-21 ルートラ,アジェイ,クマール 医学用装置のための生物適合性潤滑親水性物質
JPH10100337A (ja) * 1996-09-30 1998-04-21 Kuraray Co Ltd 帯電防止性アクリル樹脂積層体
JP2004315719A (ja) * 2003-04-18 2004-11-11 Nippon Shokubai Co Ltd 焼成用樹脂組成物
JP2005089510A (ja) * 2003-09-12 2005-04-07 Nippon Soda Co Ltd ブロック・グラフト共重合体及びそれらを用いた高分子固体電解質
JP2005242087A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 銀塩光熱写真ドライイメージング材料、製造方法及び画像形成方法
JP2005242088A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びその製造方法
JP2006151727A (ja) * 2004-11-26 2006-06-15 Sekisui Chem Co Ltd 焼成体の製造方法
JP2006169347A (ja) * 2004-12-15 2006-06-29 Konica Minolta Opto Inc マスターバッチとこれを用いた有機無機複合樹脂組成物及び光学素子

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012246392A (ja) * 2011-05-27 2012-12-13 Mitsubishi Rayon Co Ltd 焼成用アクリル系バインダー樹脂及びペースト組成物
WO2019171968A1 (ja) * 2018-03-07 2019-09-12 ナガセケムテックス株式会社 アクリル樹脂およびその製造方法、ならびに金属微粒子分散体
CN111819210A (zh) * 2018-03-07 2020-10-23 长濑化成株式会社 丙烯酸树脂及其制造方法、以及金属微粒子分散体
JPWO2019171968A1 (ja) * 2018-03-07 2021-03-11 ナガセケムテックス株式会社 アクリル樹脂およびその製造方法、ならびに金属微粒子分散体
EP3763759A4 (en) * 2018-03-07 2021-11-24 Nagase Chemtex Corporation ACRYLIC RESIN AS WELL AS A PROCESS FOR THE MANUFACTURE OF THE SAME, AND DISPERSION OF METAL MICRO PARTICLES
CN111819210B (zh) * 2018-03-07 2023-10-27 长濑化成株式会社 丙烯酸树脂及其制造方法、以及金属微粒子分散体
JP7429636B2 (ja) 2018-03-07 2024-02-08 ナガセケムテックス株式会社 金属微粒子分散体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5255390B2 (ja) 樹脂組成物
JP6438538B2 (ja) 無機微粒子分散ペースト組成物、無機微粒子分散シート及び無機微粒子分散シートの製造方法
JP4269000B2 (ja) バインダー樹脂、ビヒクル組成物及び無機微粒子分散ペースト組成物
TWI739012B (zh) 無機微粒子分散漿料組成物、無機微粒子分散片、全固體電池之製造方法及積層陶瓷電容器之製造方法
TWI479510B (zh) 利用高速燒成之膜狀導體之製造方法
JP5600488B2 (ja) 無機微粒子分散ペースト
JP2010135180A (ja) 導電性ペースト
JP5095377B2 (ja) 無機微粒子分散ペースト組成物用バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物、グリーンシート形成用無機微粒子分散ペースト組成物及びグリーンシート
JP2010235689A (ja) 無機微粒子分散用バインダー樹脂、無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シート
JP2001049070A (ja) アクリル系バインダー樹脂組成物
CN116829643A (zh) (甲基)丙烯酸系树脂组合物、无机微粒分散浆料组合物以及无机微粒分散成形物
JP2013058403A (ja) 導電ペースト及び太陽電池用導電性粒子分散ペースト
JP4960666B2 (ja) 無機微粒子分散ペースト組成物
CN119213040A (zh) (甲基)丙烯酸系树脂粒子、载体组合物、浆料组合物和电子部件的制造方法
JP2015231924A (ja) 積層セラミックコンデンサ製造用のスラリー組成物およびセラミックグリーンシート
JP5108437B2 (ja) 非鉛系ガラス微粒子分散ペースト組成物
JP5215696B2 (ja) 無機微粒子分散ペースト
JP2012167236A (ja) 無機微粒子分散ペースト
JP6091014B2 (ja) スクリーン印刷によってパターンを成型する方法
JP2012107176A (ja) 無機微粒子分散ペースト
CN119384468A (zh) 无机粒子分散浆料组合物和无机烧结体的制造方法
JP2013213079A (ja) 導電ペースト
JP2008101167A (ja) 無機微粒子分散ペースト組成物
JP6195257B1 (ja) 焼成用樹脂バインダー及び焼成用樹脂バインダー含有組成物
JP2025037318A (ja) 導電性ペースト、電子部品、及び積層セラミックコンデンサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130528

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131008