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JP2010187576A - プライマー、プライマーセット、プローブ、チオシアン分解細菌定量方法、ならびに、生物処理方法 - Google Patents

プライマー、プライマーセット、プローブ、チオシアン分解細菌定量方法、ならびに、生物処理方法 Download PDF

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JP2010187576A JP2009033617A JP2009033617A JP2010187576A JP 2010187576 A JP2010187576 A JP 2010187576A JP 2009033617 A JP2009033617 A JP 2009033617A JP 2009033617 A JP2009033617 A JP 2009033617A JP 2010187576 A JP2010187576 A JP 2010187576A
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Akira Akashi
昭 赤司
Mie Minagawa
美絵 皆川
Tetsuo Yamashita
哲生 山下
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Abstract

【課題】チオシアン分解細菌の検出や定量のためのPCRに適したプライマーセットを提供する。
【解決手段】チオシアン分解細菌の検出または定量のためのPCRに用いられ、フォワードプライマーとリバースプライマーとを含んでおり、前記フォワードプライマーとして、特定の配列からなる塩基配列を有しているプライマーが用いられており、前記リバースプライマーとして、前期特定の配列とは異なる特定の配列からなる塩基配列を有しているプライマーが用いられているプライマーセット。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(以下「PCR」という)に用いられるプライマー、プライマーセットならびにプローブ、又は、fluorescence in situ hybridization(以下「FISH法」という)に用いられるプローブに関し、さらには、チオシアン分解細菌定量方法、および、生物処理方法に関する。
従来、難分解性であり有害なチオシアンなどを含む工場排水の排水処理においては、チオシアンなどの処理対象物質を分解させるべく、例えば、チオシアン分解細菌等の水質浄化細菌を利用した生物処理方法が採用されている。その生物処理方法としては、活性汚泥法が一般的である。
斯かる生物処理方法においては、例えば、処理対象となる被処理水と多種多様な細菌からなる活性汚泥を含む混合相を槽内に形成させて、水質浄化細菌により処理対象物質を分解させる生物処理を槽内で実施する。この種の生物処理方法においては、処理水の水質を一定以上に維持させるべく、槽内水の活性汚泥濃度を所定値に維持して運転している。
ところが、例えばコークス排水などのように、工場排水がチオシアン、フェノール類、アンモニア、又は硫化水素などの様々な有害成分を含んでいる生物処理方法においては、斯かる各種の有害物質により、チオシアン分解細菌等の水質浄化細菌の生育阻害が起こりやすく、処理水の水質を一定以上に維持させることが比較的困難である。
そこで、コークス排水などを対象とする生物処理方法においては、処理水の水質を安定的に維持させるべく、槽内水の活性汚泥中の水質浄化細菌数を所定数以上に維持する必要があり、そのためにも水質浄化細菌数を迅速且つ精度よく計測する必要がある。即ち、コークス排水などのような様々な有害成分を含んでいる工場排水の生物処理方法においては、例えば、チオシアンを分解し得るチオシアン分解細菌等をできるだけ迅速に精度よく検出及び定量できる定量方法が要望されている。
ところで、従来、チオシアン分解細菌の定量方法においては、例えば培養法が採用されており、具体的には、選択培地を用いた培養法が採用されている(非特許文献1)。斯かる定量方法においては、通常、結果が得られるまでに10日程度の比較的長い日数を要する。従って、培養法を採用したチオシアン分解細菌の定量方法は、チオシアン分解細菌の迅速で精度よい定量を要する生物処理方法には適用しにくいという問題がある。
一方、近年の分子生物学的手法の発達により、チオシアン分解細菌の定量方法として、比較的簡単にかつ短時間で行えるPCR法やFISH法などの方法が知られてきている。
この種のチオシアン分解細菌の定量方法としては、例えば、代表的なチオシアン分解細菌であるThiobacillus thioparusが生成するthiocyanate hydrolase(チオシアン加水分解酵素)のサブユニットの一つをコードするscnC遺伝子に特異的なプライマーセットを用いたPCR法(非特許文献2)が知られている。また、チオシアン加水分解酵素のサブユニットの一つをコードする16SrRNA遺伝子に特異的なプライマーセットを用いたPCR法(非特許文献3)が知られている。
しかしながら、非特許文献2のごとく、チオシアン加水分解酵素に関わるscnC遺伝子をターゲットとするPCR法においては、必ずしも当該細菌を検出することはできないという問題がある。また、非特許文献3のごとく、チオシアン加水分解酵素に関わる16SrRNA遺伝子をターゲットとするPCR法においては、チオシアン分解細菌を検出することは可能であるが、PCR産物のサイズが約600bpという比較的大きいものになり、増幅効率が比較的低いものになるという問題がある。
このように、PCR法においては、100%に近い増幅効率を得るべく80〜150bp程度のPCR産物が生じるようなPCRプライマー又はPCRプライマーセットが適当とされているところ、チオシアン分解細菌については、PCR用のプライマー又はPCRプライマーセットとして適当なものが見出されておらず、チオシアン分解細菌の定量方法において実用的に採用可能なPCR法が確立されてはいない。
すなわち、従来、チオシアン分解細菌の検出や定量のためのPCRに用いられるプライマー又はプライマーセットにおいては、チオシアン分解細菌の検出や定量に適したものが提供されていないという問題がある。また、チオシアン分解細菌の検出や定量のためのFISH法に用いられるプローブにおいても、チオシアン分解細菌の検出や定量に適したものが提供されていないという問題がある。
したがって、PCRやFISH法によるチオシアン分解細菌の定量方法も汎用性を有していないという問題を有している。
さらには、チオシアン分解細菌によるチオシアンの分解が行われる生物処理方法においては、処理水の水質を予測することが困難で一定以上の水質を維持させることが困難であるという問題がある。
V.L. Barbosa他、J. Appl. Microbiol.,2006年,101巻,1269〜1281ページ Manabu Yamasaki他、Appl. Environ. Microbiol.,2002年,68巻,942〜946ページ Michael J. Gibson他、J. Microbiol. Methods,2006年,65巻,346〜349ページ
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、チオシアン分解細菌の検出や定量のためのPCRに適したプライマーの提供を課題としている。
また、本発明は、チオシアン分解細菌の検出や定量のためのPCRに適したプライマーセット、PCRプローブの提供を課題としている。
また、本発明は、チオシアン分解細菌の検出や定量のためのFISH法に適したFISHプローブの提供を課題としている。
また、本発明は、チオシアン分解細菌の汎用的な定量方法の提供を課題としている。
さらには、本発明は、チオシアン分解細菌によるチオシアンの分解が行われる生物処理方法において、処理水の水質が一定以上に維持された生物処理を容易に実施させ得る生物処理方法の提供を課題としている。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、チオシアン分解細菌の検出や定量のためのPCRなどに好適なプライマー等を見出し本発明の完成に到ったのである。
すなわち、本発明にかかる一方のプライマーは、チオシアン分解細菌の検出または定量のためのPCRに用いられ、配列番号:1に記載の塩基配列を有していることを特徴としている。
また、本発明にかかる他方のプライマーは、チオシアン分解細菌の検出または定量のためのPCRに用いられ、配列番号:2に記載の塩基配列を有していることを特徴としている。
また、本発明にかかるプライマーセットは、チオシアン分解細菌の検出または定量のためのPCRに用いられ、フォワードプライマーとリバースプライマーとを含んでおり、前記フォワードプライマーとして、配列番号:1に記載の塩基配列を有しているプライマーが用いられており、前記リバースプライマーとして、配列番号:2に記載の塩基配列を有しているプライマーが用いられていることを特徴としている。
本発明にかかるPCRプローブは、前記プライマーセットの存在下で用いられ、チオシアン分解細菌の検出または定量のためのリアルタイムPCRに用いられ、配列番号:3に記載の塩基配列を有していることを特徴としている。
本発明にかかるFISHプローブは、チオシアン分解細菌の検出または定量のためのFISH法(Fluorescence In Situ Hybridization)に用いられ、配列番号:1に記載の塩基配列、配列番号:2に記載の塩基配列、又は配列番号:3に記載の塩基配列のいずれか1種を有していることを特徴としている。
また、本発明にかかるチオシアン分解細菌定量方法は、配列番号:1に記載の塩基配列を有しているプライマーと配列番号:2に記載の塩基配列を有しているプライマーとを用いたPCRによってチオシアン分解細菌の定量を実施することを特徴としている。
前記チオシアン分解細菌定量方法においては、配列番号:3に記載の塩基配列を有しているPCRプローブをさらに用いることが好ましい。
本発明にかかるチオシアン分解細菌定量方法は、配列番号:1に記載の塩基配列を有しているFISHプローブ、配列番号:2に記載の塩基配列を有しているFISHプローブ、及び配列番号:3に記載の塩基配列を有しているFISHプローブのうちの少なくとも1種を用いたFISH法(Fluorescence In Situ Hybridization)によってチオシアン分解細菌の定量を実施することを特徴としている。
さらに、本発明にかかる生物処理方法は、チオシアンを含有する被処理水とチオシアン分解細菌とを含む混合相を槽内に形成させて前記チオシアン分解細菌によりチオシアンを分解する生物処理を前記槽内で実施する生物処理方法であって、配列番号:1に記載の塩基配列を有しているプライマーと配列番号:2に記載の塩基配列を有しているプライマーとを用いたPCRによって前記チオシアン分解細菌の定量を実施しつつ生物処理を実施することを特徴としている。
また、本発明にかかる生物処理方法は、チオシアンを含有する被処理水とチオシアン分解細菌とを含む混合相を槽内に形成させて前記チオシアン分解細菌により前記チオシアンを分解する生物処理を前記槽内で実施する生物処理方法であって、配列番号:1に記載の塩基配列を有しているFISHプローブ、配列番号:2に記載の塩基配列を有しているFISHプローブ、及び配列番号:3に記載の塩基配列を有しているFISHプローブのうちの少なくとも1種を用いたFISH法(Fluorescence In Situ Hybridization)によって前記チオシアン分解細菌の定量を実施しつつ生物処理を実施することを特徴としている。
本発明によれば、チオシアン分解細菌の検出や定量のためのPCRに適したプライマーならびにプライマーセットを提供し得る。
本発明によれば、チオシアン分解細菌の検出または定量のためのリアルタイムPCRに適し、前記プライマーセットの存在下で用いられるPCRプローブを提供し得る。
また、本発明によれば、チオシアン分解細菌の検出や定量のためのFISH法に適したFISHプローブを提供し得る。
本発明によれば、PCR又はFISH法によるチオシアン分解細菌の定量方法の汎用性を向上させ得る。
さらには、チオシアン分解細菌によりチオシアンを分解する生物処理が実施される生物処理方法において、処理水の水質が一定以上に維持された生物処理を容易に実施させ得る。
PCRを実施したときの増幅曲線。 PCRにおける検量線。
本実施形態の生物処理方法について、チオシアン、フェノール類、硫化水素などを含有するコークス排水を含む被処理水を、チオバチルス(Thiobacillus)属細菌、メチロバクテリウム(Methilobacterium)属細菌などのチオシアン分解細菌が収容されている生物処理槽に導入し、該生物処理槽において前記チオシアン分解細菌によってチオシアンを分解し、チオシアン分解物を含む処理水を排出させる生物処理方法を例に説明する。
本実施形態の生物処理方法においては、被処理水とチオシアン分解細菌とを含んだ混合相を前記生物処理槽内に形成させて活性汚泥状態で生物処理を実施する。
また、前記混合相が形成されている生物処理槽の槽内水を定期的にサンプリングして、該サンプリングされた槽内水中のチオシアン含有量、溶存酸素量を測定するとともに、チオシアン分解細菌の定量を実施して得られた測定結果を生物処理槽の運転条件などにフィードバックさせて、例えば、生物処理槽の槽内温度、汚泥の引抜き条件、汚泥返送条件などを調整する。
本実施形態の生物処理方法は、後述するPCR又はFISH法によりチオシアン分解細菌の定量を簡便且つ比較的短時間に行い得ることから、上記のようなチオシアン分解細菌の定量を実施して得られた測定結果のフィードバックを容易に実施させることができ、生物処理槽から排出される処理水の水質を一定以上に維持させることを容易に実施させ得る。
なお、本明細書において、“チオシアン”との用語は、チオシアン酸、チオシアン酸塩などの化合物を意味するものである。
前記PCRとしては、蛍光を発する色素をインターカレートさせる方法(SYBR Green法)や、蛍光色素を結合させたPCRプローブを用いる方法(TaqMan PCR法等)などを採用し得る。
前記PCRとしては、簡便でありながら比較的高い精度で細菌の定量が可能なリアルタイムPCRを実施することが好ましい。
また、前記リアルタイムPCRは、例えば、Applied Biosystems 7300(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製)などのリアルタイムPCR装置を使用して実施することができる。
前記PCRには、フォアワードプライマーとしてscnCTt1F(配列番号1:5’−GGAAGTCAGCGATTTCGAGATT−3’)(参考データベース:http://www.ncbi.nml.gov/)と、リバースプライマーとしてscnCTt1R(配列番号2:5’−TCCACACGCGGTGGTCTT−3’)(参考データベース:http://www.ncbi.nml.gov/)とを含むプライマーセットを用いることができる。
前記プライマーセットを用いることにより、scnC遺伝子(参考データベース:http://www.ncbi.nml.gov/)との相同性の高いDNAの増幅を他の遺伝子の非特異的な増幅を抑制しつつPCRを実施させることができ好適である。
また、前記リアルタイムPCRには、PCR用のPCRプローブとしてscnCTt1Taq(配列番号3:5’−CGAACTGGCCATCGAAAAAGGCC−3’)(参考データベース:http://www.ncbi.nml.gov/)を用いることができる。
前記リアルタイムPCRにおいて前記PCRプローブを用いることにより、リアルタイムPCRにおけるチオシアン分解細菌の経時的な定量がより精度の高いものとなり得るという利点がある。
PCRプローブとしてのscnCTt1Taq(配列番号3:5’−CGAACTGGCCATCGAAAAAGGCC−3’)(参考データベース:http://www.ncbi.nml.gov/)においては、5’サイトが蛍光化合物で標識され、3’サイトがクエンチング効果を有する化合物で標識されていることが好ましい。
このようなプライマーセットを用いたPCRによるチオシアン分解細菌の定量は、汎用性にも優れており、迅速且つ精度良く実施でき、生物処理方法における処理水質の向上にも有用である。また、リアルタイムPCRにおいて本実施形態のPCRプローブを用いることにより、チオシアン分解細菌の定量は、より汎用性に優れ、より迅速且つ精度良く実施でき、より生物処理方法における処理水質の向上に寄与し得る。特に、このようなプライマー及びPCRプローブは、チオシアン分解細菌のうち、チオバチルス属細菌、特にはチオバチルス チオパルス(Thiobacillus thioparus)を定量するのに有用である。
なお、配列番号1〜3に記載の塩基配列のいずれか1種を有するFISHプローブは、FISH法用のプローブとしてFISH(Fluorescence in situ Hybridization)法に用いることができる。斯かるFISH法においては、Fluorescein isothiocyanate(FITC)やTAMRAなどの蛍光色素で標識した、配列番号1〜3に記載の塩基配列のいずれかを有する少なくとも1種のFISHプローブを用い、斯かるFISHプローブをscnC遺伝子(参考データベース:http://www.ncbi.nml.gov/)の特定部位でハイブリダイズさせ、ハイブリダイズさせたものを蛍光顕微鏡、又はフローサイトメトリー等で検出することができる。斯かるFISH法を利用して、チオシアン分解細菌の検出又は定量を実施することができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、チオシアン分解細菌用PCRプライマー及びプローブの設計、設計したプライマーを用いてのリアルタイムPCR条件の検討、及び、チオシアン分解細菌の定量について説明する。
1)チオシアン分解細菌用PCRプライマー及びPCRプローブの設計
データベース(http://www.ncbi.nml.gov/)に登録されているチオシアン分解酵素であるthiocyanate hydrolase(チオシアン加水分解酵素)をコードする遺伝子(scnC)を基に、プライマー及びプローブ設計用のソフトウェアを利用して、表1に示すリアルタイムPCR用のプライマー及びプローブを設計した。そして、設計したプライマー及びプローブをDNA合成機によって合成した。
Figure 2010187576
続いて、チオシアン分解細菌のscnC遺伝子のクローニングとシーケンスを行った。
コークス排水処理設備の生物処理槽から活性汚泥を採取し、FastDNA SPIN kit for Soil(Qbiogene社製)を用いDNAを精製した。
なお、このDNAの精製は、製造業者の推奨する方法に従って実施した。
この精製したDNAを鋳型として、フォアワードプライマーとしてscnCTt1F(配列番号1:5’−GGAAGTCAGCGATTTCGAGATT−3’)、リバースプライマーとしてscnCTt1R(配列番号2:5’−TCCACACGCGGTGGTCTT−3’)のプライマーセット(参考データベース:http://www.ncbi.nml.gov/)、及びAmpliTaq Gold(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製)を含む反応液を用いてチオシアン分解細菌のscnC遺伝子を増幅した。
なお、アガロースゲル電気泳動によって、約50bpのPCR産物が増幅していることを確認した。
この増幅産物をQIAquick PCR Purification Kit(株式会社キアゲン製)を用いて精製後、TOPO TAクローニングキット(インビトロジェン株式会社製)を用い、pCR4−TOPOベクターにクローニングし、大腸菌を形質転換した。
なお、増幅産物の精製ならびにクローニングの方法は、各製造業者の推奨する方法に従って実施した。
得られた形質転換体を任意に12個選択し、QIAquick Spin Miniprep Kit(インビトロジェン株式会社製)を用いて組み換えプラスミドを精製した。
このプラスミドを鋳型にしてBigDye Terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製)を用いてPCR増幅産物のDNA配列を決定した。
なお、この組み換えプラスミドの精製ならびにDNA配列の決定については、各製造業者の推奨する方法に従って実施した。
上記の12個の形質転換体から精製したプラスミドのPCR産物のDNA配列と、既知の遺伝子とのBLAST相同性検索(http://www.ncbi.nml.gov/)を行ったところ、PCR増幅産物が既知のscnC遺伝子と相同性が高いことが確認された。また、12個のクローン全てが目的とするscnC遺伝子であり(表2)、scnCTt1F/scnCTt1Rプライマーセットによって目的とする遺伝子を増幅できることが示された。
これらの12個のクローンの中から、Thiobacillus thioparusのscnC遺伝子と100%の相同性を示すクローン(表2のNo.4)を選択し、これをリアルタイムPCR用のスタンダードとして使用した。
Figure 2010187576
2)リアルタイムPCR条件の検討
上記1)で精製したDNAを鋳型にして、フォアワードプライマーとしてscnCTt1F(配列番号1:5’−GGAAGTCAGCGATTTCGAGATT−3’)(参考データベース:http://www.ncbi.nml.gov/)、リバースプライマーとして上記scnCTt1R(配列番号2:5’−TCCACACGCGGTGGTCTT−3’)(参考データベース:http://www.ncbi.nml.gov/)、TaqManプローブとしてscnCTt1Taq(配列番号3:5’−CGAACTGGCCATCGAAAAAGGCC−3’ 5’サイトをFAM、3’サイトをTAMRAで標識したもの)、および、TaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製)を含む反応液を用いて、PCRの条件検討を行った。
PCRは、Applied Biosystems 7300リアルタイムPCRシステム(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製)を用いて行なった。
その結果、表3に示す条件で効率よくPCRを行うことができた。
Figure 2010187576
表3に示す条件でPCRを行った時の増幅曲線を図1に示す。45サイクルの反応を行っても陰性対象の増幅は認められず、特異的な増幅だけが見られた。
また、図2に1.28×101、6.4×101,3.2×102,1.6×103,8.0×103および4.0×104 copies/reactionのスタンダードサンプルを用いて作成した検量線を示す。R2値は0.9988、スロープは−3.34、増幅効率は99.3%となり、良好な結果が得られた。
3)チオシアン分解細菌の存在数量の定量
コークス排水処理設備から活性汚泥を採取し、上記1)と同様の方法で活性汚泥からDNAを精製した。このDNAを鋳型にして表3に示す条件でリアルタイムPCRを行い、チオシアン分解細菌の存在数量を求めた。
検量線作成用のスタンダードサンプルは、上記1)にてクローニングしたscnC遺伝子を用いた。
検量線の作成には1.28×101、6.4×101、3.2×102、1.6×103、8.0×103、および4.0×104 copies/reactionのスタンダードサンプルを用いた。
表4にコークス排水処理設備の活性汚泥に存在する、Thiobacillus thioparus(チオシアン分解細菌)数、すなわちscnC遺伝子のコピー数をリアルタイムPCRで定量した結果を示す。
Figure 2010187576
その結果、コークス排水処理設備の活性汚泥には1mlあたり1.42×107〜6.64×107コピーのscnC遺伝子が存在することがわかった。
上記のことからも、配列番号1に示す塩基配列を有するプライマー、配列番号2に示す塩基配列を有するプライマー、これらプライマーを用いるプライマーセット、配列番号3に示す塩基配列を有するPCRプローブがチオシアン分解細菌の検出や定量に好適であることがわかる。

Claims (10)

  1. チオシアン分解細菌の検出または定量のためのPCRに用いられ、配列番号:1に記載の塩基配列を有していることを特徴とするプライマー。
  2. チオシアン分解細菌の検出または定量のためのPCRに用いられ、配列番号:2に記載の塩基配列を有していることを特徴とするプライマー。
  3. チオシアン分解細菌の検出または定量のためのPCRに用いられ、フォワードプライマーとリバースプライマーとを含んでおり、前記フォワードプライマーとして、配列番号:1に記載の塩基配列を有しているプライマーが用いられており、前記リバースプライマーとして、配列番号:2に記載の塩基配列を有しているプライマーが用いられていることを特徴とするプライマーセット。
  4. 請求項3に記載されたプライマーセットの存在下で用いられ、チオシアン分解細菌の検出または定量のためのリアルタイムPCRに用いられ、配列番号:3に記載の塩基配列を有していることを特徴とするPCRプローブ。
  5. チオシアン分解細菌の検出または定量のためのFISH法(Fluorescence In Situ Hybridization)に用いられ、配列番号:1に記載の塩基配列、配列番号:2に記載の塩基配列、又は配列番号:3に記載の塩基配列のいずれか1種を有していることを特徴とするFISHプローブ。
  6. 配列番号:1に記載の塩基配列を有しているプライマーと配列番号:2に記載の塩基配列を有しているプライマーとを用いたPCRによってチオシアン分解細菌の定量を実施することを特徴とするチオシアン分解細菌定量方法。
  7. 配列番号:3に記載の塩基配列を有しているPCRプローブをさらに用いることを特徴とする請求項6記載のチオシアン分解細菌定量方法。
  8. 配列番号:1に記載の塩基配列を有しているFISHプローブ、配列番号:2に記載の塩基配列を有しているFISHプローブ、及び配列番号:3に記載の塩基配列を有しているFISHプローブのうちの少なくとも1種を用いたFISH法(Fluorescence In Situ Hybridization)によってチオシアン分解細菌の定量を実施することを特徴とするチオシアン分解細菌定量方法。
  9. チオシアンを含有する被処理水とチオシアン分解細菌とを含む混合相を槽内に形成させて前記チオシアン分解細菌により前記チオシアンを分解する生物処理を前記槽内で実施する生物処理方法であって、
    配列番号:1に記載の塩基配列を有しているプライマーと配列番号:2に記載の塩基配列を有しているプライマーとを用いたPCRによって前記チオシアン分解細菌の定量を実施しつつ生物処理を実施することを特徴とする生物処理方法。
  10. チオシアンを含有する被処理水とチオシアン分解細菌とを含む混合相を槽内に形成させて前記チオシアン分解細菌により前記チオシアンを分解する生物処理を前記槽内で実施する生物処理方法であって、
    配列番号:1に記載の塩基配列を有しているFISHプローブ、配列番号:2に記載の塩基配列を有しているFISHプローブ、及び配列番号:3に記載の塩基配列を有しているFISHプローブのうちの少なくとも1種を用いたFISH法(Fluorescence In Situ Hybridization)によって前記チオシアン分解細菌の定量を実施しつつ生物処理を実施することを特徴とする生物処理方法。
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