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JP2010159363A - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

熱可塑性重合体組成物 Download PDF

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JP2010159363A
JP2010159363A JP2009003364A JP2009003364A JP2010159363A JP 2010159363 A JP2010159363 A JP 2010159363A JP 2009003364 A JP2009003364 A JP 2009003364A JP 2009003364 A JP2009003364 A JP 2009003364A JP 2010159363 A JP2010159363 A JP 2010159363A
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Hajime Kitano
一 北野
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

【課題】ポリフェニレンエーテル系樹脂/スチレン系ブロック共重合体/難燃剤系の組成物であって、難燃性、耐熱性を維持すると共に、格段に柔軟性を向上させることができる上、耐摩耗性も向上させた熱可塑性重合体組成物を提供する。
【解決手段】(I)樹脂成分、(II)ゴム成分及び(III)難燃剤成分を含む熱可塑性重合体組成物であって、前記の(I)樹脂成分が、(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂を含み、(II)ゴム成分が、(b)α−メチルスチレン単位を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックBとを有するブロック共重合体及び/又はその水素添加物を含むと共に、質量比[(I)/((I)+(II))]が0.03〜0.8であり、かつ質量比[(III)/((I)+(II)+(III))]が0.01〜0.67であることを特徴とする熱可塑性重合体組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性重合体組成物に関し、さらに詳しくは、難燃性、耐熱性を維持すると共に、格段に柔軟性を向上させることができる上、耐摩耗性も向上させた熱可塑性重合体組成物に関する。
従来、ポリフェニレンエーテル系樹脂/スチレン系ブロック共重合体/難燃剤系の組成物は、特許文献1〜4に記載されているように、難燃性及び耐熱性等に優れていることから、電線・通信ケーブル用被覆材等として多用されているが、近年、より優れた柔軟性や耐摩耗性が求められている。
しかしながら、該組成物に軟化剤やスチレン系ブロック共重合体等を加えて、ゴム成分を多くすることにより、柔軟化しようとしても、ゴム成分を多量に加えなければ、柔軟化を達成することができず、また、必要なレベルに柔軟化できるまでゴム成分の含有量を増加させると、難燃性、耐熱性、力学特性、耐摩耗性等が大きく低下してしまうために、柔軟性、難燃性、耐熱性、力学特性及び耐摩耗性のいずれにも優れた組成物は得られにくいのが実状であった。
一方、特許文献5には、α−メチルスチレン系ブロック共重合体及び/又はその水素添加物を含有し、柔軟性、成形性のバランスに優れる上、特に耐熱性に優れ、高温雰囲気下での使用に適した成形体を与える熱可塑性重合体組成物が開示されている。
この組成物は、上述のように物性のバランスに優れる成形体を与えるが、ポリフェニレンエーテル系樹脂は用いられていない。
特開平11−185532号公報 特開2003−16853号公報 特開2005−89700号公報 特開2006−299235号公報 特開2004−91530号公報
本発明は、このような状況下になされたもので、ポリフェニレンエーテル系樹脂/スチレン系ブロック共重合体/難燃剤系の組成物であって、難燃性、耐熱性を維持すると共に、格段に柔軟性を向上させることができる上、耐摩耗性も向上させた熱可塑性重合体組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、スチレン系ブロック共重合体として、α−メチルスチレン単位を主体とする重合体ブロックを有するブロック共重合体を、特定の割合で用いることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(I)樹脂成分、(II)ゴム成分及び(III)難燃剤成分を含む熱可塑性重合体組成物であって、
前記の(I)樹脂成分が、(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂を含み、(II)ゴム成分が、(b)α−メチルスチレン単位を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックBとを有するブロック共重合体及び/又はその水素添加物を含むと共に、(I)樹脂成分と(II)ゴム成分との合計質量に対する(I)樹脂成分の質量比[(I)/((I)+(II))]が0.03〜0.8であり、かつ(I)樹脂成分と(II)ゴム成分との合計質量に対する(III)難燃剤成分の質量比[(III)/((I)+(II)+(III))]が0.01〜0.67であることを特徴とする熱可塑性重合体組成物
を提供するものである。
本発明によれば、ポリフェニレンエーテル系樹脂/スチレン系ブロック共重合体/難燃剤系の組成物であって、難燃性、耐熱性を維持すると共に、格段に柔軟性を向上させることができる上、耐摩耗性も向上させた熱可塑性重合体組成物を提供することができる。
本発明の熱可塑性重合体組成物(以下、単に「重合体組成物」ということがある。)は、(I)樹脂成分、(II)ゴム成分及び(III)難燃剤成分を必須成分として含む重合体組成物である。以下、各成分について説明する。
[(I)樹脂成分]
本発明の重合体組成物に含有される(I)樹脂成分は、(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むと共に、さらに必要に応じて(e)スチレン系樹脂を含むことができる。
((a)ポリフェニレンエーテル系樹脂)
本発明において、(I)樹脂成分として用いられる(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記一般式(1)で示される重合体を用いることができる。
Figure 2010159363
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、置換炭化水素基、アルコキシ基、シアノ基、フェノキシ基又はニトロ基を表し、mは重合度を表す整数である。)
上記一般式(1)で示される重合体は単独重合体であっても、2種以上が組合わされた共重合体であってもよい。R1、R2、R3及びR4の具体例としては、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル、エチル、プロピル、アリル、フェニル、ベンジル、メチルベンジル、クロロメチル、ブロモメチル、シアノエチル、シアノ、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ニトロ等の基が挙げられる。
好ましいポリフェニレンエーテル系樹脂は、上記式(1)におけるR1及びR2がアルキル基、特に炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R3及びR4が、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基であるポリマーである。mは通常50以上が好ましい。
ポリフェニレンエーテル系樹脂の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブロモメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジトリル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。中でも特に好ましいポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。
また、このポリフェニレンエーテル系の共重合体としては、上記ポリフェニレンエーテル繰返し単位中にアルキル3置換フェノール、例えば2,3,6−トリメチルフェノール単位を一部含有する共重合体を挙げることができる。また、これらのポリフェニレンエーテル系樹脂に、スチレン系化合物がグラフトした共重合体であってもよい。スチレン系化合物グラフト化ポリフェニレンエーテルとしては、上記ポリフェニレンエーテル系樹脂にスチレン系化合物として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等をグラフト重合して得られる共重合体が挙げられる。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、極性基を有する変性剤により変性されていてもよい。極性基としては、例えば、酸ハライド、カルボニル基、酸無水物、酸アミド、カルボン酸エステル、酸アジド、スルフォン基、ニトリル基、シアノ基、イソシアン酸エステル、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基等が挙げられる。 本発明で用いるポリフェニレンエーテル系樹脂の分子量は、数平均分子量1,000〜100,000が好ましく、特に各種の物性のバランスを考慮すると6,000〜60,000の範囲のものが更に好ましい。
このようなポリフェニレンエーテル系樹脂は、本発明の重合体組成物に、耐熱性や難燃性、耐摩耗性等を付与するために用いられる。
((e)スチレン系樹脂)
当該(I)樹脂成分において、前記の(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂と共に、必要に応じて併用される(e)スチレン系樹脂は、本発明の重合体組成物に、成形性の改良効果等を付与する目的で用いられる。この(e)スチレン系樹脂としては、通常のラジカル重合にて製造されるスチレン系重合体、及びシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体のどちらを用いてもよい。また、ゴム変性スチレン系樹脂も好適に用いられる。
通常のラジカル重合にて製造されるスチレン系重合体としては、スチレン化合物の単独重合体、又はスチレン化合物と共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。上記スチレン化合物の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のアルキル置換スチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、ジクロルスチレン、ジブロモスチレン、トリクロルスチレン、トリブロモスチレン等のハロゲン化スチレン等が挙げられるが、これらの中ではスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
また、スチレン化合物と共重合可能な単量体の例としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル等のシアン化ビニルや、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等が挙げられるが、これらの中では、アクリロニトリルが好ましい。
また、本発明においては、より優れた耐薬品性を発現させる場合においては、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を使用してもよい。上記シンジオタクチック構造とは、炭素−炭素結合から形成される主鎖に対してフェニル基又は置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができる。
本発明において、シンジオタクチックポリスチレンとは、通常はダイアッド率75%以上、好ましくは85%以上、又はラセミペンタッド率30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するスチレン系重合体である。該スチレン系重合体は、ポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)及びこれらの混合物、又はこれらを主成分とする共重合体を包含する。
なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチルスチレン)等が挙げられ、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等が挙げられる。また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等が挙げられる。これらの中、特に好ましいスチレン系重合体として、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)、さらにはスチレンとp−メチルスチレンとの共重合体を挙げることができる。
このようなシンジオタクチックポリスチレンは、例えば不活性炭化水素溶媒中又は溶媒の不存在下に、チタン化合物、及び水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を重合することにより製造することができ(例えば特開昭62−104818号公報、特開昭63−268709号公報参照)、また市販のものを使用することもできる。
当該(I)樹脂成分において、前記(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(e)スチレン系樹脂との含有割合は、質量比[(e)/(a)]で0.01〜2.0の範囲にあることが好ましい。この質量比[(e)/(a)]が0.01以上であれば、十分な成形性改良効果を発現することができ、また2.0以下であれば耐熱性や難燃性の低下を抑制することができる。上記質量比[(e)/(a)]は、より好ましくは0.02〜1.0であり、さらに好ましくは0.05〜0.5である。
[(II)ゴム成分]
本発明の重合体組成物に含有される(II)ゴム成分は、(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物を含むと共に、さらに必要に応じて、(c)ゴム用軟化剤や(d)前記(b)成分以外の熱可塑性エラストマーを含むことができる。
((b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物)
本発明において、(II)ゴム成分として用いられる(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物としては、α−メチルスチレン単位を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックBとを有するブロック共重合体及び/又はその水素添加物が挙げられる。
この(b)成分のブロック共重合体及び/又はその水素添加物は、本発明の重合体組成物に、難燃性や耐熱性を維持したまま、格段に柔軟性を付与するために用いられる。
<重合体ブロックA>
当該(b)成分を構成する重合体ブロックAは、α−メチルスチレン単位を主体とする。該重合体ブロックA中のα−メチルスチレンの含有量は、得られる熱可塑性重合体組成物の耐熱性及び機械的強度の観点から50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
重合体ブロックAは、本発明の目的を損なわない範囲内で、通常は50質量%以下の範囲内で他の単量体を共重合していてもよく、一般的にアニオン重合可能な単量体であれば限定はない。例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ジフェニルエチレン、1−ビニルナフタレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等の芳香族ビニル化合物;1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物が好ましく、特にスチレン、p−メチルスチレンが好適である。重合体ブロックAに他の単量体を共重合する場合の形態は、ランダム、テーパード状のいずれでもよい。
重合体ブロックAの重量平均分子量は、通常1,000〜50,000の範囲であり、2,000〜40,000の範囲が好ましく、3,000〜35,000の範囲がより好ましい。重合体ブロックAの重量平均分子量が1,000未満の場合は、得られる熱可塑性重合体組成物の耐摩耗性や力学強度が劣ることがあり、一方、重量平均分子量が50,000を越えると、(b)ブロック共重合体の溶融粘度が高くなり過ぎ、加工性が劣ることがある。なお、本明細書でいう重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の分子量である。
(b)ブロック共重合体における重合体ブロックAの含有量は、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%が更に好ましく、25〜40質量%が特に好ましい。重合体ブロックAの含有量が5質量%未満の場合には、得られる熱可塑性重合体組成物の耐摩耗性や力学強度が劣ることがあり、一方、70質量%を超える場合には、(b)ブロック共重合体の溶融粘度が高くなり過ぎ、加工性が低下するばかりか、熱可塑性重合体組成物とした場合に、柔軟性が乏しくなり、また後述のゴム用軟化剤を併用する場合、ブリードが生じる傾向となる。
<重合体ブロックB>
当該(b)成分を構成する重合体ブロックBは、共役ジエン単位を主体とする。該共役ジエン単位を形成する共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。共役ジエン化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレン、又は1,3−ブタジエンとイソプレンの混合物が好ましい。2種以上を併用する場合の形態は、ランダム、ブロック、テーパード状のいずれでもよい。
更に、重合体ブロックBは、本発明の目的を損なわない範囲内で、通常は30質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲内で、共役ジエン化合物以外の他のアニオン重合性の単量体を共重合していてもよい。該共重合可能な他の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ジフェニルエチレン、1−ビニルナフタレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。芳香族ビニル化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を共重合する場合の形態は、ランダム、テーパード状のいずれでもよい。
(b)ブロック共重合体における重合体ブロックBの含有量は、30〜95質量%が好ましく、40〜90質量%がより好ましく、50〜80質量%が更に好ましく、60〜75質量%が特に好ましい。重合体ブロックBの含有量が30質量%未満では、(b)ブロック共重合体の溶融粘度が高くなり過ぎ、加工性が低下する傾向となり、一方、95質量%を超えると、本組成物とした場合に耐摩耗性や力学強度が劣ることがある。
重合体ブロックBの重量平均分子量は、通常10,000〜499,000であり、20,000〜320,000の範囲が好ましく、30,000〜300,000の範囲がより好ましい。重合体ブロックBの重量平均分子量が10,000未満の場合、得られる熱可塑性重合体組成物の耐熱性に劣ることがあり、重量平均分子量が499,000を越える場合、(b)ブロック共重合体の溶融粘度が高くなり過ぎ、加工性が劣ることがある。
<重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合様式>
(b)ブロック共重合体における重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合様式は、線状、分岐状、放射状、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。例えば、重合体ブロックAをAで、重合体ブロックBをBで表したとき、A−Bジブロック共重合体、A−B−A型トリブロック共重合体、A−B−A−B型テトラブロック共重合体、(A−B)nX型共重合体(Xはカップリング剤残基を表し、nは3以上の整数を表す)等が挙げられる。これらのブロック共重合体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、A−B−A型トリブロック共重合体、又はA−B−A型トリブロック共重合体とA−B型ジブロック共重合体の混合物が好ましい。
ここで、本願明細書においては、同種の重合体ブロックが2価のカップリング剤等を介して直線状に結合している場合、結合している重合体ブロック全体は一つの重合体ブロックとして取り扱われる。これに従い、上記例示も含め、本来厳密にはY−X−Y(Xはカップリング剤残基を表す)と表記されるべき重合体ブロックは、特に単独の重合体ブロックYと区別する必要がある場合を除き、全体としてYと表示される。本明細書においては、カップリング剤残基を含むこの種の重合体ブロックを上記のように取り扱うので、例えば、カップリング剤残基を含み、厳密にはY−Z−X−Z−Y(Xはカップリング剤残基を表す)と表記されるべきブロック共重合体は、Y−Z−Yと表記され、トリブロック共重合体の一例として取り扱われる。
また、本発明に用いる(b)ブロック共重合体には、本発明の目的を損なわない範囲内で、メタクリル酸メチル、スチレン等の他の単量体からなる重合体ブロックCを共重合させてもよい。この場合、ブロック共重合体の構造としては、A−B−C型トリブロック共重合体、A−B−C−A型テトラブロック共重合体、A−B−A−C型テトラブロック共重合体等が挙げられる。
更に、(b)ブロック共重合体は、耐熱性、耐候性の向上等の観点から水素添加されていることが好ましい。水素添加の割合は、特に限定されるものではないが、少なくとも(b)ブロック共重合体中の共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の30%以上が水素添加されているのが好ましく、50%以上が水素添加されているのがより好ましく、80%以上が水素添加されているのが更に好ましく、90%以上が水素添加されているのが特に好ましい。
(b)ブロック共重合体は、本発明の目的を損なわない限り、分子鎖中に、又は分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基等の官能基を含有していてもよい。
<(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物の製造>
《重合》
当該ブロック共重合体は、アニオン重合法によって製造することができ、次のような具体的な合成例が示される。
(1)テトラヒドロフラン溶媒中でジアニオン系開始剤を用いて共役ジエン化合物を重合後に、−78℃の温度条件下でα−メチルスチレンを逐次重合させ、A−B−A型ブロック共重合体を得る方法(Macromolecules,2巻,453-458頁(1969年)参照)。
(2)α−メチルスチレンをアニオン系開始剤を用いてバルク重合を行なった後に、共役ジエンを逐次重合させ、その後テトラクロロシラン等のカップリング剤によりカップリング反応を行い、(A−B)nX型ブロック共重合体を得る方法(Kautsch.Gummi,Kunstst.,37巻,377-379頁(1984年);Polym.Bull.,12巻,71-77頁(1984年)参照)。
(3)非極性溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、0.1〜10質量%濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて、5〜50質量%濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させた後、カップリング剤を添加して、A−B−A型ブロック共重合体を得る方法。
(4)非極性溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、0.1〜10質量%濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて、5〜50質量%濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエン化合物を重合させ、得られるα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーにα−メチルスチレン以外のアニオン重合性モノマーを重合させA−B−C型ブロック共重合体を得る方法。
上記方法の中では、(3)及び(4)の方法が好ましく、(3)の方法がより好ましい。
上記方法において重合開始剤として用いられる有機リチウム化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、ペンチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のモノリチウム化合物、及びテトラエチレンジリチウム等のジリチウム化合物等が挙げられる。
α−メチルスチレンの重合時に使用される溶媒は非極性溶媒であり、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ペンタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
α−メチルスチレンの重合時に使用される極性化合物とは、アニオン種と反応する官能基(水酸基、カルボニル基等)を有しない、分子内に酸素原子、窒素原子等の複素原子を有する化合物であり、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
反応系中における極性化合物の濃度は、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させ、この後の共役ジエン化合物を重合させる際に、共役ジエン重合体ブロック部の1,4−結合量を制御する観点から、0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜3質量%の範囲がより好ましい。
反応系中におけるα−メチルスチレン濃度は、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させ、また重合後期における反応溶液の粘性の点から、5〜50質量%の範囲にあることが好ましく、25〜40質量%の範囲がより好ましい。
なお、上記の転化率とは、未重合のα−メチルスチレンが重合によりブロック共重合体へと転化された割合を意味し、本発明においてその程度は70%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
α−メチルスチレンの重合時の温度条件は、α−メチルスチレンの天井温度(重合反応が平衡状態に達して実質的に進行しなくなるときの温度)、α−メチルスチレンの重合速度、リビング性等の点から−30〜30℃が好ましく、より好ましくは−20〜10℃、更に好ましくは−15〜0℃である。重合温度を30℃以下とすることにより、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させることができ、更に生成するリビングポリマーが失活する割合も小さく、得られるブロック共重合体中にホモポリα−メチルスチレンが混入するのを抑え、物性が損なわれず、また、重合温度を−30℃以上とすることにより、α−メチルスチレンの重合後期において反応溶液が高粘度化することなく攪拌でき、低温状態を維持するのに必要な費用がかさむこともないため、経済的にも好ましい。
上記方法においては、α−メチルスチレン重合体ブロックの特性が損なわれない限り、α−メチルスチレンの重合時に他のビニル芳香族化合物を共存させ、これをα−メチルスチレンと共重合させてもよい。ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。ビニル芳香族化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機リチウムを重合開始剤に用いたα−メチルスチレンの重合によりリビングポリα−メチルスチリルリチウムが生成するので、次いでこのものに共役ジエン化合物を重合させる。共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、これらの化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも好ましい共役ジエン化合物は1,3−ブタジエン又はイソプレンである。
共役ジエン化合物は反応系に添加することにより重合に供される。共役ジエン化合物を反応系に添加する方法としては、特に制限はなく、リビングポリα−メチルスチリルリチウム溶液に直接添加しても、又は溶媒で希釈して添加してもよい。
共役ジエン化合物を溶媒に希釈して添加する方法としては、共役ジエン化合物を加えた後、溶媒で希釈するか、又は共役ジエン化合物と溶媒を同時に投入するか、又は溶媒で希釈した後に共役ジエン化合物を加えてもよい。好適には、リビングポリα−メチルスチリルリチウムに対して1〜100モル当量、好ましくは5〜50モル当量に相当する量の共役ジエン化合物を添加してリビング活性末端を変種した後、溶媒で希釈し、続いて残りの共役ジエン化合物を投入し、30℃を超える温度、好ましくは40〜80℃で重合反応を行う方法が推奨される。
リビングポリα−メチルスチリルリチウムの活性末端を変種するに際し、共役ジエン化合物の代りにスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等のビニル芳香族化合物を用いてもよい。
ここで希釈に用いることができる溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を挙げることができる。
このようにして得られた(b)ブロック共重合体は、重合反応液をメタノール等に注ぐことにより凝固させた後、加熱又は減圧乾燥させるか、重合反応液を沸騰水中に注ぎ、溶媒を共沸させて除去するいわゆるスチームストリッピングを施した後、加熱又は減圧乾燥することにより取得することができる。
《水素添加》
α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなる(b)ブロック重合体は、耐熱性及び耐候性が良好なものとなる点から、そのブロック共重合体における共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の少なくとも一部(70%以上)が水素添加されていることが好ましい。
リビングポリα−メチルスチリルリチウムに共役ジエンを共重合させて得られるα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに、例えば、多官能性カップリング剤を反応させることにより、トリブロック又はラジアルテレブロック型の(b)ブロック共重合体を製造することができる。
この場合のブロック共重合体は、多官能性カップリング剤の使用量を調整することにより得られる、ジブロック、トリブロック、ラジアルテレブロック型のブロック共重合体を任意の割合で含む混合物であってもよい。多官能性カップリング剤としては、安息香酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸エチル、ピバリン酸フェニル、α,α'−ジクロロ−o−キシレン、α,α'−ジクロロ−m−キシレン、α,α'−ジクロロ−p−キシレン、ビス(クロロメチル)エーテル、ジブロモメタン、ジヨードメタン、フタル酸ジメチル、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジフェニルシラン、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに多官能性カップリング剤を反応させることにより得られるトリブロック又はラジアルテレブロック型の(b)ブロック共重合体を水素添加する場合には、必要に応じてアルコール類、カルボン酸類、水等の活性水素化合物を添加してカップリング反応を停止させたのち、公知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水添することにより、水添された(b)ブロック共重合体とすることができる。
また、α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなる(b)ブロック共重合体を水素添加する場合にも、リビングポリα−メチルスチリルリチウムに共役ジエン化合物を重合させた後、アルコール類、カルボン酸類、水等の活性水素化合物を添加して重合反応を停止させ、公知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水添して、水添された(b)ブロック共重合体とすることができる。
α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなる未水添のブロック共重合体、α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体にアニオン重合性モノマーを重合させて得られる未水添のA−B−C型トリブロック共重合体、又はα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに多官能性カップリング剤を反応させることにより得られる未水添のトリブロック又はラジアルテレブロック型ブロック共重合体(いずれも本発明で使用する(b)ブロック共重合体に包含される)は、その製造に使用された溶媒を置換することなく、そのまま水素添加に供することができる。
水添反応は、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、硅藻土等の担体に担持させた不均一触媒;ニッケル、コバルト等の第8族の金属からなる有機金属化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物又は有機リチウム化合物等の組み合わせからなるチーグラー系の触媒;チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)化合物とリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛又はマグネシウム等の有機金属化合物の組み合わせからなるメタロセン系触媒等の水添触媒の存在下に、反応温度20〜100℃、水素圧力0.1〜10MPaの条件下で行うことができる。
未水添のブロック共重合体は共役ジエン重合体ブロック中の共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の70%以上、特に好ましくは90%以上が飽和されるまで水添されることが望ましく、これによりブロック共重合体の耐候性を高めることができる。水添されたブロック共重合体における共役ジエン重合体ブロック中の炭素−炭素二重結合の水添率は、ヨウ素価滴定法、赤外分光スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMRスペクトル)測定等の分析手段を用いて算出することができる。
上記方法によって製造される(b)未水添又は水添ブロック共重合体(α−メチルスチレン系ブロック共重合体)の共役ジエン重合体ブロックBの1,4−結合量は20モル%以上であるのが好ましく、30〜95モル%の範囲であるのがより好ましく、35〜80モル%の範囲が更に好ましい。1,4−結合量が20モル%未満の場合、共役ジエン単位からなるゴム部のTgが高くなり、得られる熱可塑性重合体組成物の柔軟性、ゴム弾性が劣る傾向となって好ましくない。
<(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物の性状>
本発明の熱可塑性重合体組成物において、(b)成分として用いるブロック共重合体及び/又はその水素添加物の重量平均分子量は、30,000〜500,000の範囲にあることが好ましく、40,000〜300,000の範囲がより好ましい。(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物の数平均分子量が30,000未満の場合は、得られる熱可塑性重合体組成物の力学強度が劣る傾向があり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物の溶融粘度が高くなり過ぎ、加工性が劣ることがある。
本組成物における(b)ブロック共重合体は、上記方法で得られたものが好ましく用いられる。特に、非極性溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、0.1〜10質量%濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて5〜50質量%濃度のα−メチルスチレンを重合させ、次いで共役ジエン化合物の重合に際して、まずリビングポリα−メチルスチリルリチウムに対して1〜100モル当量の共役ジエン化合物を重合させて重合体ブロックB1を形成し、次いで反応系を30℃を超える温度にして、共役ジエン化合物を追加して重合させて重合体ブロックB2を形成せしめて得られたものであることが、ブロック共重合体が低温特性に優れる点から望ましい。すなわち、この場合、重合体ブロックBは、重合体ブロックB1及び重合体ブロックB2よりなる。
上記(b)ブロック共重合体は、その構造として直鎖状、分岐状等に限定はされないが、中でも、(A−B1−B2)構造を少なくとも一つ有するブロック共重合体が好ましく、A−B1−B2−B2−B1−A型共重合体、A−B1−B2−B2−B1−A型共重合体とA−B1−B2型共重合体の混合物、(A−B1−B2)pX型共重合体(Xはカップリング剤残基を表す。pは2以上の整数である。)、(A−B1−B2)pX型共重合体とA−B1−B2型共重合体の混合物等が挙げられる。これらの中でも、耐摩耗性と力学特性の観点から、(A−B1−B2)pX型共重合体、又は(A−B1−B2)pX型共重合体とA−B1−B2型共重合体の混合物が好ましく、(A−b1−b2)2X型共重合体、又は(A−b1−b2)2X型共重合体とA−b1−b2型共重合体の混合物が特に好ましい。
上記(b)ブロック共重合体中の重合体ブロックB1の重量平均分子量は1,000〜30,000が好ましく、より好ましくは2,000〜25,000で、かつ重合体ブロックb1の1,4−結合量は30モル%未満であることが好ましい。更に、上記ブロック共重合体中の重合体ブロックB2の重量平均分子量は10,000〜498,000が好ましく、より好ましくは20,000〜300,000で、かつ重合体ブロックB2の1,4−結合量は30モル%以上であることが好ましく、より好ましくは35〜95モル%、更に好ましくは40〜80モル%である。
((c)ゴム用軟化剤)
当該(II)ゴム成分において、前記の(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物と共に、必要に応じて併用される(c)ゴム用軟化剤は、本発明の重合体組成物に、さらに柔軟性を付与するために用いられるものである。このゴム用軟化剤としては、柔軟性付与効果の観点から、非芳香族系のものが好ましく、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
ゴム用軟化剤としては、例えばパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、エチレンとα−オレフィンのオリゴマー、流動パラフィン、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン、低分子量ポリイソプレン、水素添加低分子量ポリブタジエン、水素添加低分子量ポリイソプレン、植物油等が挙げられる。これらの中でもパラフィン系プロセスオイル、エチレンとα−オレフィンのオリゴマー、流動パラフィンが好ましく、パラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。パラフィン系プロセスオイルとしては、例えば出光興産(株)が上市している商品名「ダイアナプロセスオイル」シリーズ等が挙げられる。
前記ゴム用軟化剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
当該(II)ゴム成分においては、(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物と前記(c)ゴム用軟化剤との質量比[(c)/(b)]は、0.01〜3.0であることが好ましい。この質量比が0.01以上であると柔軟化効果が良好に発現し、一方3.0以下であると難燃性の低下やゴム用軟化剤のブリードを抑制することができる。上記質量比[(c)/(b)]は、より好ましくは0.05〜1.5であり、さらに好ましくは0.1〜1.0である。
((d)熱可塑性エラストマー)
当該(II)ゴム成分において、前記の(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物と共に、必要に応じて併用される(d)熱可塑性エラストマーは、本発明の重合体組成物に成形性改良効果を付与する等のために用いられるものである。この(d)熱可塑性エラストマーは、前述した(b)成分以外の熱可塑性エラストマーであって、例えばビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックCと共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックDとを有するブロック共重合体及び/又はその水素添加物を用いることができる。
<重合体ブロックC>
(d)熱可塑性エラストマーとして、ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックCと共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックDとを有するブロック共重合体(以下、(d)ブロック共重合体ということがある。)及び/又はその水素添加物を用いる場合、当該(d)ブロック共重合体を構成する重合体ブロックCは、α−メチルスチレン単位以外の芳香族ビニル化合物単位を主体とする。
該重合体ブロックCを構成するα−メチルスチレン単位以外の芳香族ビニル化合物単位としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、p−プロピルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−シクロヘキシルスチレン、p−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、p−(フェニルブチル)スチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、インデン等に基づく単位を挙げることができ、これらの1種又は2種以上の単位を有することができる。これらの中でもスチレンに基づく単位が好ましい。
重合体ブロックCは、上記したα−メチルスチレン以外の芳香族ビニル化合物に基づく構造単位と共に、必要に応じて他の重合性単量体に基づく構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体に基づく構造単位の割合は、重合体ブロックCの合計質量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えばメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテル等を挙げることができる。これらの他の重合性単量体に基づく単位の結合形態は、ランダム、テーパード状等のいずれの形態になっていてもよい。
<重合体ブロックD>
当該(d)ブロック共重合体を構成する重合体ブロックDは、共役ジエン単位を主体とする。該重合体ブロックDを構成する共役ジエン単位としては、例えばイソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等に基づく単位を挙げることができる。重合体ブロックDは、これらの共役ジエン化合物に基づく単位の1種のみから構成されていても又は2種以上から構成されていてもよく、中でもブタジエン、イソプレン、又はブタジエンとイソプレンの混合物に基づく単位から構成されているのが好ましい。重合体ブロックDが2種以上の共役ジエン化合物に基づく構造単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、ブロック、テーパード状、又はそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。
更に、重合体ブロックDは、本発明の目的を損なわない範囲内で、通常は30質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲内で、共役ジエン化合物以外の他のアニオン重合性の単量体を共重合していてもよい。該共重合可能な他の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ジフェニルエチレン、1−ビニルナフタレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。芳香族ビニル化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を共重合する場合の形態は、ランダム、テーパード状のいずれでもよい。
また、(d)ブロック共重合体において、重合体ブロックDは、耐候性、耐熱性等の観点から重合体ブロックD中の炭素−炭素二重結合の一部又は全部が水素添加(水添)されていることが好ましい。その際の重合体ブロックDの水添率は60モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることが更に好ましい。
(d)ブロック共重合体における重合体ブロックDの水素添加率は、重合体ブロックD中の炭素−炭素二重結合の含有量を、ヨウ素価測定法、赤外分光法、核磁気共鳴法等によって測定し、該測定値から求めることができる。
重合体ブロックDは、本発明の熱可塑性重合体組成物の耐候性、耐熱性等の点から下記の重合体ブロックであることが好ましい。
(i)イソプレン単位からなるポリイソプレンブロックのイソプレン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部又は全部が水素添加された水添ポリイソプレンブロック。
(ii)ブタジエン単位からなるポリブタジエンブロックのブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部又は全部が水素添加された水添ポリブタジエンブロック。
(iii)イソプレン単位とブタジエン単位からなるイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックのイソプレン単位及びブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部又は全部が水素添加されたイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロック。
上記(i)水添ポリイソプレンブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH2−C(CH3)=CH−CH2−;1,4−結合のイソプレン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH(C(CH3)=CH2)−CH2−;3,4−結合のイソプレン単位]及び1−メチル−1−ビニルエチレン基[−C(CH3)(CH=CH2)−CH2−;1,2−結合のイソプレン単位]からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなっており、各単位の割合は特に限定されない。
上記(ii)水添ポリブタジエンブロックでは、その水素添加前には、そのブタジエン単位の70〜10モル%、特に65〜20モル%が2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH2−CH=CH−CH2−;1,4−結合ブタジエン単位)であり、30〜90モル%、特に35〜80モル%がビニルエチレン基[−CH(CH=CH2)−CH2−;1,2−結合ブタジエン単位]であることが好ましい。ポリブタジエンブロックにおける1,4−結合量が上記した70〜10モル%の範囲内であると、ゴム弾性が良好になる。
上記(iii)イソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基及び1−メチル−1−ビニルエチレン基からなっており、またブタジエンに由来する単位は2−ブテン−1,4−ジイル基及びビニルエチレン基からなっており、各単位の割合は特に制限されない。イソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、イソプレン単位とブタジエン単位の配置は、ランダム、ブロック、テーパード状のいずれの形態になっていてもよい。
イソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、ゴム弾性の改善効果の点から、イソプレン単位:ブタジエン単位のモル比が10:90〜90:10であることが好ましく、30:70〜70:30であることがより好ましい。
<(d)ブロック共重合体の性状>
重合体ブロックCをC、重合体ブロックDをDで表すと、(d)ブロック共重合体は、C−Dで表されるジブロック共重合体、C−D−C、D−C−Dで表されるトリブロック共重合体、C−D−C−D、C−D−C−D−C、(C−D)q(qは3以上の整数を示す)、(C−D)r−C(rは2以上の整数を示す)、(D−C)s−D(sは2以上の整数を示す)、(C−D)t−X(tは3以上の整数、Xはカップリング剤残基を示す)等で表される種々のマルチブロック共重合体の水素添加物等であり、それらのいずれであってもよい。その中でも、(d)ブロック共重合体は、特にC−D−Cで表されるトリブロック共重合体の水素添加物であることが、ブロック共重合体の生産安定性及び得られる熱可塑性重合体組成物の柔軟性の点から好ましい。
本組成物において、(d)成分の熱可塑性エラストマーとして用いるブロック共重合体及びその水素添加物の重量平均分子量は、30,000〜500,000の範囲にあることが好ましい。この重量平均分子量が上記の範囲にあれば、得られる当該組成物は、流動性(成形加工性)の優れたものにすることができる。この数重量平均分子量は、より好ましくは40,000〜300,000である。
<(d)ブロック共重合体の水素添加物の製造>
《重合》
(d)ブロック共重合体の製造方法はなんら限定されず、例えばアニオン重合やカチオン重合等のイオン重合法、ラジカル重合法等の公知の重合方法を行うことによって製造することができる。例えばアニオン重合法による場合、アルキルリチウム化合物等を開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の重合反応に不活性な有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させてブロック共重合体を形成する。
《水素添加》
上記で得られた(d)ブロック共重合体の水素添加反応は、例えば、該(d)ブロック共重合体をシクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶媒中で、触媒の存在下で、通常、反応温度として20〜100℃の範囲で、水素圧力0.1〜10MPaの範囲の条件下で行うことができ、該(d)ブロック共重合体の水素添加物を得ることができる。
この水素添加反応の触媒としては、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、硅藻土等の担体に担持させた不均一触媒;ニッケル、コバルト等の第8〜10族の金属からなる有機金属化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物又は有機リチウム化合物等の組み合わせからなるチーグラー系の触媒;チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)化合物とリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛又はマグネシウム等の有機金属化合物の組み合わせからなるメタロセン系触媒等が挙げられる。
本発明の重合体組成物で用いる(II)ゴム成分においては、前述した(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物とこの(d)熱可塑性エラストマーとの質量比[(d)/(b)]は、0.01〜5.0であることが好ましい。上記質量比[(d)/(b)]が0.01以上であると良好な成形性改良効果が発現され、一方5.0以下であると難燃性や耐摩耗性や力学強度や耐熱性の低下を抑制することができる。該質量比[(d)/(b)]は、より好ましくは0.05〜3.0であり、さらに好ましくは0.1〜1.5である。
[(III)難燃剤成分]
本発明の重合体組成物に含有される(III)難燃剤成分としては燃焼時における環境衛生上の観点から、非ハロゲン系難燃剤が好ましく、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸基または結晶水を有する金属水和物、ポリリン酸アミンやポリリン酸エステル等のリン酸化合物、シリコン化合物等が挙げられる。中でも加工性や軽量性の観点からリン酸化合物が好ましく、特にリン酸エステル系難燃剤が好適である。
(リン酸エステル系難燃剤)
リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェートやこれらを各種置換基で置換した化合物等が挙げられる。また、下記一般式(2)で表される縮合リン酸エステル系難燃剤も好ましく用いることができる。
Figure 2010159363
(式中、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立にフェニル基、トリル基又はキシリル基を示し、uは1〜10の整数である。uが2以上の場合、複数のAr4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R5は、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基又は2,2−プロピリデンビスフェニレン基を示す。)
本発明においては、(III)難燃剤成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[重合体組成物における各成分の含有割合]
本発明の熱可塑性重合体組成物における各成分の含有割合について、以下に示す。
(I)樹脂成分と(II)ゴム成分との合計質量に対する(I)樹脂成分の質量比[(I)/((I)+(II))]は、0.03〜0.8であることを要し、好ましくは0.10〜0.65であり、より好ましくは0.15〜0.55である。上記質量比[(I)/((I)+(II))]が0.03未満では耐熱性や難燃性が得られず、一方0.8を超えると柔軟性が低下する。
また、(I)樹脂成分と(II)ゴム成分との合計質量に対する(III)難燃剤成分の質量比[(III)/((I)+(II)+(III))]は0.01〜0.67であることを要し、好ましくは0.05〜0.54であり、より好ましくは0.1〜0.49である。上記質量比[(III)/((I)+(II)+(III))]が0.01未満では難燃性が得られず、一方0.67を超えると柔軟性や力学強度が低下する。
[他の任意成分]
本発明の熱可塑性重合体組成物においては、前記の(c)成分や(d)成分や(e)成分以外の任意成分として、必要に応じ、当該組成物の特性を損なわない範囲で、他の重合体、無機充填材、架橋剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑材、着色剤、抗菌剤、発泡剤、粘着付与樹脂、電磁波シール剤、重金属不活性化剤等を適宜含有させることができる。
(他の重合体)
前記他の重合体としては、例えばポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸メチルやポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM);スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム又はその水素添加物又はその変性物;天然ゴム;合成イソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴム及びその水素添加物又は変性物;クロロプレンゴム;アクリルゴム;ブチルゴム;アクリロニトリル・ブタジエンゴム;エピクロロヒドリンゴム;シリコーンゴム;フッ素ゴム;クロロスルホン化ポリエチレン;ウレタンゴム;ポリウレタン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;軟質塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
なお、他の重合体を含有させる場合、その含有量は、得られる熱可塑性重合体組成物の力学特性が損なわれない範囲が好ましく、(I)成分と(II)成分との合計量100質量部に対して200質量部以下であるのが好ましい。
(無機充填材)
無機充填材としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレー、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バリウム、マイカ、ガラス繊維、ウィスカー、炭素繊維、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ粉末、ガラス中空球粉末、樹脂中空球粉末、金属粉末、カオリン、グラファイト、二硫化モリブデン、酸化亜鉛等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を含有することができる。無機充填材を含有する場合、その含有量は、本発明の目的が損なわれない範囲であるのが好ましく、一般的には、(I)成分と(II)成分との合計量100質量部に対して50質量部以下であるのが好ましい。
(架橋剤)
本組成物は、必要に応じて架橋剤を含有させ、架橋して使用することもできる。
架橋剤としては、例えばジクミルペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド等の有機過酸化物等が挙げられる。その際に架橋助剤を併用してもよい。
[熱可塑性重合体組成物の調製]
本発明の熱可塑性重合体組成物を調製する方法としては、通常の熱可塑性樹脂組成物や熱可塑性エラストマー組成物の調製に用いられている方法を採用することができる。具体的には単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、各種ニーダー等の溶融混練機を用い、前述した(I)成分と(II)成分と(III)成分、及び必要に応じて用いられる各種添加成分からなる混合物を溶融混練することにより、調製することができる。
このようにして調製された本発明の熱可塑性重合体組成物は、難燃性や耐熱性を維持すると共に、柔軟性が格段に向上しており、シート、フィルム、チューブ、中空成形体、型成形体、その他各種成形体に成形し、種々の用途に用いることができる。
成形方法としては、従来公知の方法、例えば押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形、プレス成形、カレンダー成形等の方法を採用することができる。また、二色成形法により、他の部材、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系エラストマー、ABS樹脂、ポリアミド等の高分子部材、金属、木材、布等と複合化することもできる。
次に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、各例における物性評価は、以下に示す方法で行った。
(1)破断強度、破断伸度
実施例及び比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を260℃でプレス成形することによって厚さ2mmのシートを得た。このシートよりJIS K 6251に準拠したダンベル5号型の試験片を打ち抜いて、引張り試験を23℃の温度条件及び500mm/minの引張速度条件下で実施して破断強度、破断伸度を測定した。
(2)ショア硬度D
ASTM−D−2240に従い、6mm厚み試験片を用い、測定温度23℃でショア硬度(Dタイプ)を測定した。
(3)ビカット軟化点温度
JIS K 7206に準拠して、9.8N荷重下でのビカット軟化点温度を測定した。
(4)DIN摩耗量
JIS K 6264に準拠して、10N荷重下、摩耗距離40mでのDIN摩耗量を測定した。
(5)難燃性
UL−94に準じて、1.6mm厚みの垂直燃焼性試験を行った。
<製造例1((b)ブロック共重合体の水素添加物の製造)>
(i)窒素置換した攪拌装置付き耐圧容器に、α−メチルスチレン90.9g、シクロヘキサン138g、メチルシクロヘキサン15.2g及びテトラヒドロフラン3.1gを仕込んだ。この混合液にsec−ブチルリチウム(1.3Mシクロヘキサン溶液)9.4mlを添加し、−10℃で3時間重合させた。重合開始3時間後のポリα−メチルスチレン(重合体ブロックA)の重量平均分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で6,600であり、α−メチルスチレンの重合転化率は89%であった。次いで、この反応混合液にブタジエン23gを添加し、−10℃で30分間攪拌して、重合体ブロックB1の重合を行った後、シクロヘキサン930gを加えた。この時点でのα−メチルスチレンの重合転化率は89%であり、ポリブタジエンブロック(重合体ブロックB1)の重量平均分子量(Mw)は3,700であり、1H−NMR測定から求めた1,4−結合量は19%であった。
(ii)次に、この反応液にさらにブタジエン141.3gを加え、50℃で2時間重合反応を行った。この時点のサンプリングで得られたブロック共重合体(構造:A−B1−B2)のポリブタジエンブロック(重合体ブロックB2)のMwは29,800であり、1H−NMR測定から求めた1,4−結合量は60%であった。
(iii)続いて、この重合反応溶液に、ジクロロジメチルシラン(0.5Mトルエン溶液)12.2mlを加え、50℃にて1時間攪拌し、ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体を得た。このときのカップリング効率を、カップリング体(ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体:A−B1−B2−X−B2−B1−A;式中Xはカップリング剤残基(−Si(Me2)−)を表す)と未反応ブロック共重合体(ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体:A−B1−B2)のGPCにおけるUV吸収の面積比から算出すると94%であった。また、1H-NMR解析の結果、ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体中の重合体ブロックA含有量は33%であり、重合体ブロックB全体(すなわち、重合体ブロックB1及び重合体ブロックB2)の1,4−結合量は56%であった。
(iv)上記で得られた重合反応溶液中に、オクチル酸ニッケル及びトリエチルアルミニウムから形成されるZiegler系水素添加触媒を水素雰囲気下に添加し、水素圧力0.8MPa、80℃で5時間の水素添加反応を行い、ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−α−ポリメチルスチレントリブロック共重合体の水素添加物を得た。得られたブロック共重合体をGPC測定した結果、主成分は、Mw=80,000、Mw/Mn=1.01であるポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体の水添物(カップリング体)であり、GPCにおけるUV(254nm)吸収の面積比から、カップリング体は94%含まれることが判明した。また、1H-NMR測定により、重合体ブロックB1及び重合体ブロックB2から構成される重合体ブロックBの水素添加率は99%であった。
実施例1〜4及び比較例1〜4
表1に示す各成分を表1に示す配合にしたがって、ヘンシェルミキサーを使用して予め一括して混合し、二軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM−35B)に供給して260℃で混練した後、ストランド状に押出し、切断して、ペレット状の熱可塑性重合体組成物を調製した。次に得られた熱可塑性重合体組成物から、プレス成形機を使用して、成形温度260℃、成形圧力10MPa、成形時間3分の条件下で所定の成形体を作製し、物性を評価した。その結果を表1に示す。
なお、表1に示す成分の詳細は、以下のとおりである。
1)PPE:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、;旭化成ケミカルズ(株)製、「P402」
2)PS:ポリスチレン樹脂;PSジャパン(株)製、「ポリスチレン685」
3)(b)αMeSEBαMeS:製造例1で得られたポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体の水素添加物;α−メチルスチレン単位含有量=33質量%、MFR=15g/10分(230℃、5kg荷重)
4)(c)ゴム用軟化剤:パラフィン系プロセスオイル;出光興産(株)製、商品名「ダイアナプロセスPW−90」、動粘度95.54mm2/s(40℃)
5)(d−1)SEBS:ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物;クレイトンポリマー社製、「G1650」、スチレン単位含有量=29質量%、MFR=−g/10分(流動せず)(230℃、5kg荷重)
6)(d−2)SEBS:ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物;クレイトンポリマー社製、「G1652」、スチレン単位含有量=29質量%、MFR=10g/10分(230℃、5kg荷重)
7)リン系難燃剤:縮合リン酸エステル系難燃剤;大八化学(株)製、「CR7338」
Figure 2010159363
表1から分かるように、実施例の熱可塑性重合体組成物は、耐熱性、難燃性を維持すると共に、柔軟性に優れている上、耐摩耗性も向上しており、バランスのとれた物性を有している。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、難燃性や耐熱性を維持すると共に、柔軟性が格段に向上しており、ストランド、シート、フィルム、チューブ、中空成形体、型成形体、その他各種成形体に成形し、種々の用途に用いることができる。

Claims (5)

  1. (I)樹脂成分、(II)ゴム成分及び(III)難燃剤成分を含む熱可塑性重合体組成物であって、
    前記の(I)樹脂成分が、(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂を含み、(II)ゴム成分が、(b)α−メチルスチレン単位を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックBとを有するブロック共重合体及び/又はその水素添加物を含むと共に、(I)樹脂成分と(II)ゴム成分との合計質量に対する(I)樹脂成分の質量比[(I)/((I)+(II))]が0.03〜0.8であり、かつ(I)樹脂成分と(II)ゴム成分との合計質量に対する(III)難燃剤成分の質量比[(III)/((I)+(II)+(III))]が0.01〜0.67であることを特徴とする熱可塑性重合体組成物。
  2. (II)ゴム成分として、さらに(c)ゴム用軟化剤を含み、(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物と(c)ゴム用軟化剤との質量比[(c)/(b)]が0.01〜3.0である請求項1に記載の熱可塑性重合体組成物。
  3. (II)ゴム成分として、さらに(d)前記(b)成分以外の熱可塑性エラストマーを含み、(b)ブロック共重合体及び/又はその水素添加物と(d)熱可塑性エラストマーとの質量比[(d)/(b)]が0.01〜5.0である請求項1又は2に記載の熱可塑性重合体組成物。
  4. (d)熱可塑性エラストマーが、ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックCと共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックDとを有するブロック共重合体及び/又はその水素添加物である請求項3に記載の熱可塑性重合体組成物。
  5. (I)樹脂成分として、さらに(e)スチレン系樹脂を含み、(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(e)スチレン系樹脂との質量比[(e)/(a)]が0.01〜2.0である請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性重合体組成物。
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