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JP2010134978A - 光記録媒体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

光記録媒体の製造方法及び製造装置 Download PDF

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JP2010134978A JP2008308291A JP2008308291A JP2010134978A JP 2010134978 A JP2010134978 A JP 2010134978A JP 2008308291 A JP2008308291 A JP 2008308291A JP 2008308291 A JP2008308291 A JP 2008308291A JP 2010134978 A JP2010134978 A JP 2010134978A
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Shoji Yokota
章司 横田
Shigeyuki Furomoto
滋行 風呂本
Mitsugi Wakabayashi
貢 若林
Yukari Kirito
ゆかり 桐藤
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Mitsubishi Chemical Media Co Ltd
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Abstract

【課題】内外周に渡って均一な記録再生特性を有し、かつ、反りの小さな光記録媒体の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】少なくとも案内溝を有する基板、及び色素記録層を有する光記録媒体の製造方法であって、前記基板上に有機色素を含む溶液を塗布して前記色素記録層を製膜する色素塗布工程を有し、前記色素塗布工程の後に、赤外線を放射する赤外線ランプを用いて、前記光記録媒体に赤外線を照射する赤外線処理工程を有することを特徴とする光記録媒体の製造方法及び製造装置。
【選択図】図2

Description

本発明は色素記録層を有する光記録媒体の製造方法等に関し、より詳しくは、内外周の特性が均一でかつ反りの小さい光記録媒体の製造方法及び製造装置に関する。
従来、CD−R、DVD−R等の追記型光記録媒体の記録層として、有機色素を含む溶液をスピンコート法等により塗布することで色素記録層を形成した光記録媒体が広く用いられている。このような光記録媒体においては、円盤状の光記録媒体の全面において均一な記録再生特性を有することが望まれており、そのために、スピンコート方法を改良する等の工夫により、内外周において均一な記録再生特性を有する光記録媒体を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、有機色素溶液の塗布後の処理については、70℃以上に加熱したオーブンにより20分程度加熱する方法が一般的であった。
特開2007−152825号公報
しかしながら、発明者等の検討によれば、上記のような塗布方法自体の改良のみならず、有機色素溶液の塗布後の処理が、光記録媒体の記録再生特性の均一性に影響を及ぼすことが判明してきた。すなわち、有機色素溶液の塗布後の乾燥状態を制御することが、光記録媒体の記録再生特性の均一性の改善において重要であり、かつ、光記録媒体の反りの抑制に対しても効果があることが判明した。
本発明は、こうした実状に鑑みなされたものである。即ち、本発明の目的は、有機色素溶液の塗布後の処理を工夫することにより、内外周に渡って均一な記録再生特性を有し、かつ、反りの小さな光記録媒体を製造する技術を提供するものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、有機色素溶液の塗布後の光記録媒体に対し、赤外線を照射する赤外線処理を施すことにより、内外周において均一な記録再生特性を有し、かつ反りの小さな光記録媒体の製造が可能になることを見出し、この知見に基づき本発明を完成した。
かくして本発明によれば、下記(1)〜(5)が提供される。
(1)少なくとも案内溝を有する基板、及び色素記録層を有する光記録媒体の製造方法であって、前記基板上に有機色素を含む溶液を塗布して前記色素記録層を形成する色素塗布工程を有し、前記色素塗布工程の後に、赤外線を放射する赤外線ランプを用いて、前記光記録媒体に赤外線を照射する赤外線処理工程を有することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
(2)前記基板と前記色素記録層との間に反射層を有する光記録媒体の製造方法であることを特徴とする、前記(1)に記載の光記録媒体の製造方法。
(3)前記赤外線処理工程の後に、前記光記録媒体を50℃以上に加熱した状態で保持する加熱工程を有することを特徴とする、前記(1)又は(2)記載の光記録媒体の製造方法。
(4)前記赤外線処理工程の前に、前記光記録媒体を50℃以上に加熱した状態で保持する加熱工程を有することを特徴とする、前記(1)又は(2)記載の光記録媒体の製造方法。
(5)前記赤外線ランプの放射する赤外線のピーク波長が、0.8μm〜2.0μmであることを特徴とする、前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の光記録媒体の製造方法。
(6)少なくとも案内溝を有する基板、及び色素記録層を有する光記録媒体の製造装置であって、前記基板上に有機色素を含む溶液を塗布して前記色素記録層を製膜する色素塗布手段を有し、かつ、赤外線を放射する赤外線ランプを備え、前記光記録媒体に赤外線を照射する赤外線処理手段を有することを特徴とする光記録媒体の製造装置。
本発明によれば、光記録媒体の全面において均一な記録再生特性を有し、かつ反りの少ない光記録媒体が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。
本実施の形態が適用される光記録媒体の製造方法により製造が可能な光記録媒体としては、色素記録層を有する追記型の光記録媒体のいずれにも適用することができ、特に限定されないが、記録・再生用のレーザ光の入射方向によって、基板面入射型と膜面入射型とに分けることができる。現在実用化されている光記録媒体の基板面入射型の具体例としては、例えば、ポリカーボネート基板が1.2mmであるCD−R、ポリカーボネートの厚さを半分(0.6mm)にし、2枚の基板を貼合わせるDVD−R、DVD+Rが挙げられる。また、膜面入射型の具体例としては、厚さ1.1mmの基板の片面に記録層を有するBD−Rが挙げられる。
ここで、膜面入射型の光記録媒体の製造方法の場合は、通常、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を用いて、射出成形または圧縮成形等により基板を成形する工程と、成形した基板上に、スパッタリング等により反射層を形成する工程と、反射層上にスピンコート法等により有機色素を含む色素記録層を製膜する色素塗布工程と、さらにこの上に保護層(又は、カバー層)を設ける工程とを有している。
一方、基板面入射型の光記録媒体の場合は、通常、基板を成形する工程と、スピンコート法等により色素記録層を製膜する色素塗布工程と、反射層、保護層をこの順に設ける工程とを有している。光記録媒体を構成する各層については後述する。
(色素塗布工程)
まず、本発明における色素塗布工程について説明する。ここでは、現在最も広く用いられているスピンコート法を用いた場合を例に挙げて説明するが、本発明における色素塗布工程はスピンコート法に限定されるものではなく、ダイコート法やディップ法、スクリーン印刷法等を用いても良い。
図1は、本実施の形態において使用するスピンコート装置を説明するための図である。
図1に示すように、スピンコート装置100は、有機色素を含む溶液(以下、「塗布液」と称することがある。)を供給する塗布液供給装置10と、中央部に中心孔を設け、所定の半径を有するディスク状の基板Sを水平に保持するとともに所定の回転数で回転するスピナーヘッド装置20と、基板Sの外周縁部から外側に放出された余分な塗布液が周辺に飛散するのを防止する飛散防止装置30とを有している。
塗布液供給装置10は、塗布液を先端から吐出するノズル11と、ノズル11を支持するアーム12とを有し、図示しないハンドリング機構によって、待機位置から基板Sの上方の位置に旋回移動し、所定量の塗布液を、ノズル11を通して基板S表面上に吐出する。
スピナーヘッド装置20は、着脱可能な固定具21により、基板Sを回転テーブル22上に水平に保持するとともに、図示しない駆動モータにより、所定の回転数で回転する。スピナーヘッド装置20により回転する基板S上に、塗布液供給装置10のノズル11から吐出した塗布液は、基板Sの表面上を外周側に流延する。余分の塗布液は基板Sの外周縁部で振り切られ、基板S表面上に色素記録層を製膜する。
飛散防止装置30は、基板Sの外周縁部から外側に放出された塗布液の飛散を防止するコータカバー31と、遠心力で振り切られた塗布液のミストが、基板S及び回転テーブル22の下側に回り込むのを防止する整流部材32とを有する。インナーカップ41は、スピンコートの際に基板Sの外周縁部から外側に放出された余剰の塗布液を回収する。コータカップ42の下側に設けた排気口から、塗布液中の溶剤等のガスが排気される。
次に、スピンコート装置100の動作を説明する。スピンコート装置100に基板Sを投入し、スピナーヘッド装置20の回転テーブル22上に固定具21により水平に保持する。次に、図示しない駆動モータを低速回転し、塗布液供給装置10のノズル11から塗布液を基板S上に円環状又は螺旋上に吐出してから駆動モータを高速回転し、回転テーブル22と一緒に基板Sを高速回転して、基板S上の塗布液を展延する。このとき、余剰の塗布液を遠心力によって振り切り、振り切られた塗布液はコータカバー31にぶつかり、インナーカップ41内に吐出する。また、塗布液供給装置10のアーム12は、ノズル11の先端が塗布液を吐出しながら、基板Sの内周側から外周側に所定の速度で移動するように旋回する。
溶液吐出開始時の基板Sの回転数は、通常100rpm〜500rpmが好ましい。最内周位置到達時の回転数は100rpm〜2000rpmが好ましい。
溶液吐出停止後も引き続き、さらに図示しない回転モータの回転数を最高回転数にまで増加させ、最高回転数を保持する。所定時間経過後、速やかに回転モータの回転を停止する。かかる最高回転数は、通常2000rpm〜7000rpmである。
前述の回転数が遅ければ、所望の値よりも膜厚が厚くなりすぎる傾向がある。また、使用するモーターの制約により最高回転数は制限される。またスピンドルモーター能力上限に近い回転、及び急激な加減速は、回転機器の寿命を縮めたり、モーターに対する微小な応答時間のずれが、膜厚の制御を困難にする傾向がある。従って、最高回転数は、7000rpm以下が好ましく、より好ましくは5000rpm以下である。
上述した塗布液の濃度は、使用する溶媒、色素記録膜の厚さ等に応じて種々選択され特に限定されないが、通常0.2%以上、好ましくは0.3%以上であり、通常3%以下、好ましくは2.5%以下である。濃度が薄い場合は溶液粘度が低くなり、膜厚が著しく薄くなったり、あるいは乾燥時間が長くなる傾向がある。逆に、濃度が濃すぎる場合は、膜厚が必要以上に厚くなったり、色素自体が溶け難くなり、その結果析出が起こりやすくなる傾向がある。
(赤外線処理工程)
本実施の形態が適用される光記録媒体の製造方法においては、上述した色素塗布工程を経て、赤外線処理工程を施すことを特徴とする。
赤外線処理工程においては、赤外線を放射することが可能な赤外線ランプを用いて、色素塗布工程を経た光記録媒体に赤外線を放射する。本発明において赤外線とは、放射される電磁波の主要な波長が0.8μm〜3.0μmの範囲であるものとする。基板表面や基板内に含まれる水或いは塗布液中の溶媒において、吸収効率の高い波長範囲が0.8μm〜3.0μmであり、水や溶媒を最も効率が良く気化させることができるためである。上記波長範囲での放射輝度は、0.8(W/(cm・sr・μm))以上であることが好ましい。
赤外線ランプの赤外線のピーク波長は、0.8μm〜2μmが好ましく、ピーク波長は、2897÷色温度(K)で一般的に求められる。色温度は3400K〜1450Kが好ましく色温度が高くなりすぎると可視光側にピークが移行しヒーターとしての熱効率がダウンし、色温度が低くなりすぎると基板への熱ダメージが大きくなる可能性がある。
赤外線を放射可能な赤外線ランプは、主要な波長が上記範囲のものであれば、市販のものを適宜用いることが出来る。ランプの種類としては、赤外線を効率よく放射できるハロゲンランプを用いることが好ましい。例えばUSHIO電機社製、UH−HA1−CL300、UH−HA1−CL700等である。上記色温度は、ハロゲンランプのフィラメント温度を変えることにより様々な波長に対応することが可能である。
赤外線の放射の仕方については、赤外線ランプと光記録媒体を固定し、一定時間行っても良いし、赤外線ランプを固定し赤外線を照射しながら、光記録媒体を適当な速度で搬送しながら行ってもよい。また、光記録媒体を所定の回転数で回転させながら赤外線を照射することも可能である。
赤外線ランプは、1灯でも良いし、複数灯でも良い。或いは、赤外線ランプの配置は直線状であっても格子状であっても良い。さらに赤外線ランプのフィラメントの配熱分布設計を変えてより加熱面全体均一に加熱に処理できるようにすることも可能である。
上記赤外線処理工程を光記録媒体に施すことにより、従来のオーブン等による乾燥処理に対して、円盤状の光記録媒体の内外周における記録再生特性の分布が著しく改善される。例えば、記録感度特性において、面内での記録感度差が小さくなり、光記録媒体全面に渡ってより均一な記録感度特性が得られる。これは、以下の理由によるものと推定している。
従来の熱風送風型オーブンでは、基板の外周温度の上昇が内周温度の上昇よりも早く基板内温度差が生じる。また基板の熱膨張を伴いながら溶媒や水が気化すると推定され、このような蒸発であると部分的なムラを生じやすいと考えられる。
一方赤外線ランプ処理では、ディスク表面の溶媒或いは水に対して効率よく光熱処理が可能なため短時間で均一に乾燥させることが可能である。このため基板の熱膨張の影響が発生する前に色素乾燥膜が形成されるためムラが生じにくいと推定できる。
また、上記の理由により、光記録媒体の機械特性の均一性も改善することができるため、光記録媒体の反りについても低減することが可能である。
(加熱工程)
本実施の形態が適用される光記録媒体の製造方法においては、上述の赤外線処理工程と併せて、オーブン等による通常の加熱工程を施してもよい。加熱工程は、赤外線処理工程の後に施すことが好ましいが、赤外線処理工程より前に施しても良い。また、加熱工程の前後に赤外線処理工程を複数回施してもよい。
加熱工程は、光記録媒体を50℃以上に加熱した状態で所定時間保持することができるものであれば、従来乾燥工程に用いられているオーブン等を適宜用いることができる。
(基板)
上記の方法により色素記録層を製膜する基板は、適度な加工性と剛性を有するプラスチック、金属、ガラス等を用いることができる。基板面入射型の光記録媒体の場合は、基板は入射するレーザ光に対して透明である必要がある。膜面入射型の光記録媒体では、通常、レーザ光が基板を透過することがないので、基板はレーザ光に対して透明である必要はない。
基板が金属またはガラスである場合には、表面に光や熱硬化性の薄い樹脂層を設け、そこに、溝を形成する必要がある。この点、プラスチック材料を用い、射出成型によって、基板の形状、特に円盤状、と表面の案内溝を一挙に形成するほうが製造上は好ましい。
射出成型できるプラスチック材料としては、従来、CDやDVDで用いられたポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。基板の厚さとしては0.5mm〜1.2mm程度とするのが好ましい。その中で、一般的には、ポリカーボネート樹脂を材料とする基板が使用される。
ポリカーボネート樹脂は、記録再生光に対し透明であり、射出成形により溝、ピット等の細かいパターンを正確に転写することが可能であり、必要十分な耐熱性、強度を有しており、かつ汎用樹脂であるため低コストである等光学記録媒体の基板として多くの利点を持っている。基板の作成方法としては、高速で、かつ転写性にも優れた射出成形が好ましい。
(有機色素)
ここで、色素記録層に含まれる有機色素としては、特に限定されないが、通常、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素等の大環状アザアヌレン系色素;シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等のポリメチン系色素;ピロメテン系色素、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素等が挙げられる。さらに、スチルベン、(カルボ)スチリル、クマリン、ピロン、カルコン、トリアゾール、スルホニルイミン系、アズラクトン系化合物等及びこれらの混合物が挙げられる。
色素記録層に使用される有機色素は、350nm〜900nm程度の可視光〜近赤外域に最大吸収波長λmaxを有する。また、青色レーザ用の光記録媒体の場合は、青色〜近マイクロ波レーザでの記録に適する色素化合物が好ましい。具体的には、通常、CD−Rに用いられるような波長770nm〜830nm程度の近赤外レーザ(代表的には、780nm、830nm等)や、DVD−Rに用いられるような波長620nm〜690nm程度の赤色レーザ(代表的には、635nm、660nm、680nm等)、あるいは、波長405nmや515nm等のいわゆる青色レーザ等での記録に適する色素がより好ましい。
有機色素は一種でもよいし、同じ種類のものや異なる種類のものを二種以上混合して用いても良い。さらに、複数の波長の記録光に対し、各々での記録に適する有機色素を併用して、複数の波長域でのレーザ光による記録に対応する光記録媒体とすることもできる。
また、色素記録層は、記録層の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等)等や、記録感度向上のために金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えばエチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
(溶媒)
上述した有機色素を含む溶液を調製するために使用する溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒;2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、オクタフルオロペンタノール等のフッ素系溶媒;乳酸メチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエチル溶媒等が好適に使用される。
さらに、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;シクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
これらの中でも、フッ素系溶媒が好ましい。上述した溶剤は、使用する有機色素の溶解性を考慮して単独または二種以上を適宜併用することができる。
尚、色素記録層の厚さは、記録方法等により、適した膜厚が異なるため、特に限定されないが、十分な変調度を得るために、通常、5nm以上、好ましくは10nm以上であり、特に好ましくは20nm以上である。但し、光を透過させる必要があるため、通常、3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。特に660nm未満の短波長レーザ用途には、100nm以下が好ましく、より好ましくは60nm以下である。
(光記録媒体)
次に、光記録媒体について説明する。
上述したように、本実施の形態が適用される光記録媒体の製造方法が適用できる光記録媒体としては、記録・再生用のレーザ光の入射方向によって、基板面入射型と膜面入射型とに分けることができる。
膜面入射型の光記録媒体の場合は、通常、中央部に中心孔を設け、所定の半径を有するディスク状の基板の上に、反射層、色素記録層、及び保護層(又は、カバー層)をこの順に設ける構造を有している。ここで、色素記録層と保護層との間に無機材料(例えば、ZnS/SiO)で形成されるバッファー層を設けてもよい。また、基板面入射型の光記録媒体の場合は、通常、基板上に、色素記録層、反射層、保護層をこの順に設ける構造を有している。尚、基板面入射型の光記録媒体には、基板上にハードコート層を設けてもよい。また、膜面入射型の光記録媒体には、保護層上にハードコート層を設けてもよい。
本発明の光記録媒体の製造方法は、特に膜面入射型の光記録媒体に適用することが好ましい。膜面入射型の光記録媒体においては、赤外線処理工程を行う際に、色素記録層と基板の間に反射層が存在することになる。このため、色素記録層表面側から照射された赤外線エネルギーの一部が、一旦色素記録層を透過した場合でも、反射層により反射され再度色素記録層に吸収される可能性がある。このため、反射層の無い場合に比べ効率よく色素記録層を処理することができると考えられる。また、反射層が有る場合は、色素記録層を透過した赤外線エネルギーが基板に吸収される割合が比較的少なくなるため、基板への熱的なダメージも抑えられ、光記録媒体の記録再生特性や機械特性にも良い影響を及ぼすものと考えられる。
次に、光記録媒体を構成する各層について説明する。尚、色素記録層については、既に説明したので、ここでは省略する。
基板には、通常、トラッキング用の案内溝が形成されている。トラックピッチは、光記録媒体の記録再生に用いるレーザ光の波長によって異なる。具体的には、CD系の光記録媒体では、トラックピッチは、通常1.5μm〜1.6μmである。DVD系(赤色レーザ用)の光記録媒体では、トラックピッチは、通常0.7μm〜0.8μmである。青色レーザ用の光記録媒体では、トラックピッチは、通常0.2μm〜0.5μmである。一方、溝の深さも光記録媒体の記録再生に用いるレーザ光の波長によって異なる。具体的には、CD系の光記録媒体では、溝深さは、通常10nm〜300nmである。DVD系の光記録媒体では、溝深さは、通常10nm〜200nmである。青色レーザ用の光記録媒体では、溝深さは、通常10nm〜130nmである。
反射層の材料としては、再生光の波長において充分高い反射率を有する材料、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd等の金属を、単独あるいは合金にして用いることができる。これらの中でもAu、Al、Agは反射率が高く、反射層の材料として適している。また、これらの金属を主成分とした上で、加えて他の材料を含有させても良い。ここで主成分とは、含有率が50%以上のものをいう。
主成分以外の他の材料としては、例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、Ta、Ti、Pt、Pd、Nd等の金属及び半金属を挙げることができる。中でもAgを主成分とするものは、コストが安い点、高反射率が出やすい点、後述する印刷受容層を設けた場合に地色が白く美しいものが得られる点等から、特に好ましい。例えば、AgにAu、Pd、Pt、Cu、及びNdから選ばれる一種以上を0.1原子%〜5原子%程度含有させた合金は、高反射率、高耐久性、高感度且つ低コストであり好ましい。
具体的には、例えば、AgPdCu合金、AgCuAu合金、AgCuAuNd合金、AgCuNd合金等である。金属以外の材料としては、低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、これを反射層として用いることも可能である。
反射層の膜厚は、好ましくは50nm〜300nmである。反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、基板の上や反射層の下に、反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために、公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
また、青色レーザ用の光記録媒体の場合は、特に、青色波長域で高反射率を示すものとして、例えば、Au、Ag、Al、Cu及びこれらを主成分とする合金が挙げられる。より好ましくは、λ=405nmでの反射率が高く、吸収が小さい合金である。例えば、Agを主成分として、Au、Cu、希土類元素(特に、Nd)、Nb、Ta、V、Mo、Mn、Mg、Cr、Bi、Al、Si、Ge等を0.01原子%〜10原子%添加することで、水分、酸素、硫黄等に対する耐食性が高めることができ好ましい。この他に、誘電体層を複数積層した誘電体ミラーを用いることも可能である。
保護層の材料は、反射層を外力から保護するものであれば、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の有機材料;酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF、SnO等の無機材料が挙げられる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いる場合は、適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を反射層の上に塗布して乾燥させれば、保護層を形成することができる。紫外線硬化性樹脂を用いる場合は、そのまま反射層の上に塗布するか、または適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を反射層の上に塗布し、紫外線光を照射して硬化させることによって、保護層を形成することができる。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂を用いることができる。これらの材料は、単独で用いても、複数種を混合して用いても良い。また、保護層は、単層として形成しても、多層として形成してもよい。
保護層の形成方法としては、色素記録層と同様に、スピンコート法やキャスト法等の塗布法や、スパッタリング法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、中でもスピンコート法が好ましい。保護層の膜厚は、その保護機能を果たすためにはある程度の厚さが必要とされるため、一般に0.1μm以上であり、好ましくは3μm以上である。但しあまり厚すぎると、効果が変わらないだけでなく保護層の形成に時間がかかったりコストが高くなる可能性があるので通常100μm以下であり、好ましくは30μm以下である。なお、保護層に樹脂(例えば、ポリカーボネート)や金属等の板状の部材を用いる場合には、これら部材を、接着剤を用いて、記録層、バッファー層または反射層に接着すればよい。
また、膜面入射型の青色レーザ用の光記録媒体の場合は、保護層(又は、カバー層)は、記録再生光に対して透明で複屈折の少ない材料が選ばれ、通常は、プラスチック板(シートと呼ぶ)を接着剤で貼り合せるか、塗布後、光、放射線、または熱等で硬化して形成する。保護層は、記録再生光波長に対して透過率70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
シート剤として用いられるプラスチックは、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル、三酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート等である。接着には、光、放射線硬化、熱硬化樹脂や、感圧性の接着剤が用いられる。接着剤としてはアクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用できる。
例えば、青色レーザ用の光記録媒体の保護層(又は、カバー層)を形成する場合は、保護層(又は、カバー層)を構成する光硬化性樹脂を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を色素記録層または界面層上に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜上にポリカーボネートシートを重ね合わせる。その後、必要に応じて重ね合わせた状態で、媒体を回転させる等して塗布液をさらに延伸展開した後、UVランプで紫外線を照射して硬化させる。あるいは、感圧性接着剤をあらかじめシートに塗布し、このシートを色素記録層あるいは界面層上に重ね合わせた後、適度な圧力で押さえつけて圧着する。また、塗布法によって保護層を形成する場合には、スピンコート法、ディップ法等が用いられるが、特に、スピンコート法を用いることが多い。塗布による保護層の材料としては、ウレタン、エポキシ、アクリル系の樹脂等を用い、塗布後、紫外線、電子線、放射線を照射し、ラジカル重合もしくは、カチオン重合を促進して硬化する。
また、光記録媒体としては、2層の色素記録層を有する2層型の光記録媒体が挙げられる。2層型の光記録媒体は、通常、記録再生光が入射する側から、第1基板、第1色素記録層、第1(半透明)反射層、透明接着層、第2色素記録層、第2反射層及び第2基板を、この順番に積層した構造を有する。
2層型の光記録媒体においては、本発明の光記録媒体の製造方法が少なくともいずれかの色素記録層の形成時に用いられていればよい。もちろん、すべての色素記録層の形成に対して用いられることが好ましい。
第1基板と第1色素記録層を構成する材料としては、前述した本発明の基板及び(有機色素)と同様なものが挙げられる。
第1(半透明)反射層は、ある程度の光透過率を持つ反射層である。つまり、記録再生光の吸収が小さく、光透過率が40%以上あり、かつ適度な光反射率(通常、30%以上)を持つ反射層である。例えば、反射率の高い金属を薄く設けることにより適度な透過率を持たせることができる。また、ある程度の耐食性があることが望ましい。更に、第1(半透明)反射層の上層(ここでは透明接着層)の浸み出しにより第1色素記録層が影響されないよう遮断性を持つことが望ましい。
高透過率を確保するために、第1(半透明)反射層の厚さは通常50nm以下が好適である。より好適には30nm以下である。更に好ましくは25nm以下である。但し、第1色素記録層が第1(半透明)反射層の上層により影響されないために、ある程度の厚さが必要であり、通常3nm以上とする。より好ましくは5nm以上とする。
第1(半透明)反射層の材料としては、再生光の波長で反射率が適度に高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属等の金属及び半金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く、第1(半透明)反射層の材料として適している。これらを主成分とする以外に他成分を含んでいても良い。また、第1(半透明)反射層としてSiからなる層を用いることも可能である。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
透明接着層は、透明である必要があるほか、接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと媒体の形状安定性が高く好ましい。透明接着層の屈折率(記録光又は再生光の波長に対する屈折率)は、通常1.40以上1.80以下である。また、透明接着層は、第2色素記録層にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、透明接着層は通常、樹脂からなるため第2色素記録層と相溶しやすく、これを防ぎダメージを抑えるために両層の間に後述のバッファー層を設けることが望ましい。さらに、透明接着層は、第1(半透明)反射層にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、ダメージを抑えるために両層の間に公知の無機系又は有機系の保護層を設けることもできる。
透明接着層の膜厚は正確に制御することが好ましい。透明接着層の膜厚は、通常5μm以上が好ましい。2層の色素記録層に別々にフォーカスサーボをかけるためには両記録層の間にある程度の距離がある必要がある。フォーカスサーボ機構にもよるが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上が必要である。
一般に、対物レンズの開口数が高いほどその距離は小さくてよい傾向がある。但し、あまり厚いと2層の色素記録層にフォーカスサーボを合わせるのに時間を要し、また対物レンズの移動距離も長くなるため傾向がある。また硬化に時間を要し生産性が低下する場合があるため、通常100μm以下が好ましい。
透明接着層の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂(遅延硬化型を含む)等を挙げることができる。
透明接着層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、これを第1(半透明)反射層上に塗布し、乾燥(加熱)することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外光を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂には様々な種類があり、透明であればいずれも用いうる。またそれらの材料を単独であるいは混合して用いても良いし、1層だけではなく多層膜にして用いても良い。
塗布方法としては、色素記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。或いは、粘度の高い樹脂はスクリーン印刷等によっても塗布形成できる。紫外線硬化性樹脂は、生産性を20℃〜40℃において液状であるものを用いると、溶媒を用いることなく塗布でき好ましい。また、粘度は20mPa・s〜1000mPa・sとなるように調整するのが好ましい。なお、感圧式両面テープを用い、積層構造間にそのテープを挟んで押圧することによって接着層を形成することもできる。
紫外線硬化性接着剤としては、ラジカル系紫外線硬化性接着剤とカチオン系紫外線硬化性接着剤があるが、いずれも使用可能である。ラジカル系紫外線硬化性接着剤としては、公知の全ての組成物を用いることができ、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤を必須成分として含む組成物が用いられる。紫外線硬化性化合物としては、単官能(メタ)アクリレートや多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることができる。ここで、本発明では、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
第2色素記録層は、入射した光ビームのパワーが第1色素記録層や第1(半透明)反射層の存在等で減少し、約半分程度のパワーで記録するために、通常、片面型記録媒体(例えば、CD−R、DVD−R、DVD+R)等に用いる記録層よりも高感度であることが必要である。また、良好な記録再生特性を実現するためには低発熱で高屈折率な色素を用いることが望ましい。
第2色素記録層の膜厚は、記録方法等により適した膜厚が異なるため、特に限定するものではないが、十分な変調度を得るためには通常10nm以上が好ましく、より好ましくは30nm以上であり、特に好ましくは50nm以上である。但し、適度な反射率を得るためには厚すぎない必要があるため、通常3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。ここで、第2色素記録層の膜厚は、通常、厚膜部における膜厚をいう。尚、第1色素記録層と第2色素記録層とに用いる材料は同じでも良いし異なっていてもよい。
第2反射層の材料としては、前述したものと同様な材料が挙げられる。第2反射層は、高反射率である必要がある。また、高耐久性であることが望ましい。高反射率を確保するために、第2反射層の厚さは通常20nm以上が好適である。より好適には30nm以上である。更に好ましくは50nm以上である。但し、生産のタクトタイムを短くし、コストを下げるためにはある程度薄いことが好ましく、通常400nm以下とする。より好ましくは300nm以下とする。
第2基板は、2層型の光記録媒体がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えるのが望ましい。即ち、機械的安定性が高く、剛性が大きいことが好ましい。このような材料としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に、非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂からなるもの、ガラスからなるものを用いることができる。
また、第2基板は、複数の層から成るものであっても良く、例えばガラスや樹脂等の基板上に、光硬化樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設けたもの等も第2基板として使用できる。尚、第1基板が十分な形状安定性を備えていない場合は、第2基板は特に形状安定性が高い必要がある。この点で吸湿性が小さいことが望ましい。
第2基板は特には透明である必要はない。このような材料としては、第1基板に用いうる材料と同じものが用い得るほか、例えば、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、Mgを主成分とした例えばMg−Zn合金等のMg合金基板、シリコン、チタン、セラミックスのいずれかからなる基板やそれらを組み合わせた基板等を用いることができる。
なお、成形性等の高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性等の点から、上述の樹脂が好ましく、特に、ポリカーボネートが好ましい。耐薬品性、低吸湿性等の点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答性等の点からは、ガラス基板が好ましい。
2層型の光記録媒体に十分な剛性を持たせるために、第2基板はある程度厚いことが好ましく、厚さは0.3mm以上が好ましい。但し薄いほうが記録再生装置の薄型化に有利であり、好ましくは3mm以下である。より好ましくは1.5mm以下である。
また、第2基板の溝の深さ(溝深さ)は、第1基板の溝の深さが、一般的な色素系光記録媒体の溝の深さよりも浅くなるようにするのが好ましい。
ここでは、透明接着層と第2色素記録層との間に中間層としてのバッファー層を設けることが好ましい。バッファー層は2つの層の混和を防止し、相溶を防ぐものである。バッファー層が混和現象を防止する以外の他の機能を兼ねていても良い。また必要に応じてさらに他の中間層を挟んでも良い。
バッファー層の材料は、第2色素記録層や透明接着層と相溶せず、かつ、ある程度の光透過性をもつ必要があるが、公知の無機物及び有機物が用いうる。特性面からは、好ましくは無機物が用いられる。例えば、金属又は半導体、金属又は半導体の酸化物、窒化物、硫化物、酸硫化物、フッ化物又は炭化物、もしくは非晶質カーボン等が用いられる。中でも、ほぼ透明な誘電体からなる層や、ごく薄い金属層(合金を含む)が好ましい。
その他、バッファー層作製時に第2色素記録層の有機色素を溶解しないようなものであれば樹脂層でも構わない。特に、真空蒸着やCVD法で作製可能な高分子膜が有用である。
バッファー層の厚さは通常2nm以上200nm以下であり、特に、金属の場合は光の透過率を過度に低下させるため、20nm以下が好ましい。なお、このほか、第1(半透明)反射層と透明接着層との間等に中間層としてのバッファー層を設けてもよい。
さらに、2層型の光記録媒体において、必要に応じて任意の他の層を挟んでも良い。また、光記録媒体の最外面に任意の他の層を設けても良い。
さらに、記録層を3層以上としても良い。また、本層構成の光記録媒体を2枚、第1基板を外側にして貼合わせて、記録層を4層有する、より大容量媒体とすることもできる。
なお、これら光記録媒体の基板鏡面側(記録光又は再生光の入射面)に、表面保護やゴミ等の付着防止のために紫外線硬化樹脂層や、無機系薄膜(例えば、SiO)等を成膜してもよい。
また、これら光記録媒体には、必要に応じて、記録光又は再生光の入射面ではない面に、インクジェット、感熱転写等の各種プリンタ、或いは各種筆記具にて記入(印刷)が可能な印刷受容層を設けてもよい。
以下実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
トラックピッチ0.74μm、幅0.33μm、深さ160nmの案内溝を有する、直径120mm、厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、温度25℃、相対湿度42%のクリーンブース内で、含金属アゾ色素のテトラフルオロプロパノール溶液(濃度1.4重量%)を滴下してスピナー法により塗布した。記録層膜厚は波長590nmのレーザでOD値が0.68になるように調整した。
色素記録層塗布後にUSHIO電機社製UH−HA1−CL300赤外線ランプを用い、出力1000Wで赤外線処理工程を実施した。
赤外線ランプと基板の距離は200mmに固定し、16.7mm/sec.の搬送速度で光記録媒体を水平方向に搬送させながら、光記録媒体の上方から赤外線を放射した。その際、赤外線照射直後の基板表面温度は85℃であった。
さらに色素記録層上に、スパッタリング法により厚さ120nmのAg反射層を成膜した。さらに、反射層上に、紫外線硬化樹脂をスピンコートして接着層を設けた。そして、この接着層上に直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を載置して、紫外線を照射し硬化接着させた。このようにして光記録媒体を作製した。
(光記録媒体の記録再生特性評価方法)
作製した光記録媒体の信号記録後に得られるAsymmetryの値を測定することにより光記録媒体の記録再生特性の評価を行った。記録パワーに対するAsymmetry値が、測定半径位置にかかわらず一定であるほど記録特性の均一性が良好である。
なお、Asymmetryは下記式で定義される。
Asymmetry=((I14H+I14L)/2−(I3H+I3L)/2)I14
式中、I14H 、I3Hはそれぞれ、14T、3T信号のスペースの反射率であり、I14L、I3Lはそれぞれ、14T、3T信号のマークの反射率である。また、I14Lは14T信号のマークの振幅である。
評価の手順としては、通常の記録再生ドライブにより光記録媒体の内周部(半径43.0mm〜46.5mm)と外周部(53.5mm〜56.3mm)に記録レーザーパワーを変更しながら記録を行った。その後、Audio develop社製DVD−CATSで再生を行い、上記で定義されるAsymmetryの記録パワー依存性を測定した。
(光記録媒体の反りの評価方法)
光記録媒体の反りは基板からの反射光をフォトディテクターで受け取る際の角度を示している。加熱処理前の基板を半径25mmから5mm間隔で反りを測定した。同様に加熱処理後の光記録媒体の反りを測定し、処理前の反りを0(ゼロ)とした場合の反り変化量(r−tilt)を計算した。光記録媒体の反り変化量が0に近いほど光記録媒体が受ける応力が小さく、処理後の反りが小さいことを示している。
(比較例1)
色素記録層塗布後に、上記赤外線ランプを用いずにオーブンにより85℃の環境下に18分保持したこと以外は、実施例1と同様に光記録媒体を作製した。
(評価結果)
実施例1及び比較例1の光記録媒体に対して、Asymmetryの記録パワー依存性を、光記録媒体の内周部と外周部において測定した結果を、それぞれ図2、図3に示す。実施例1(図2)では内外周において記録パワーに対するAsymmmetryの値がほぼ一致するのに対し、比較例1(図3)では内外周においては記録パワーに対するAsymmmetryの値にずれが生じている。すなわち、通常は一定の記録パワーで光記録媒体の全面を記録するため、実施例1では光記録媒体全面においてほぼ同一のAsymmetry値が得られるのに対し、比較例1では内外周においてAssymmetry値に差異が生じてしまうこととなり、記録特性の均一性が劣ることとなってしまう。
次に、実施例1及び比較例1の光記録媒体に対して、光記録媒体の反りについて検討した結果を図4に示す。反りの測定は、実施例1及び比較例1の製造方法において、赤外線処理工程及び加熱工程の前後において光記録媒体の反りを測定し、その変化の度合いを評価した。測定装置は、Dr.Schwab Inspection Technology社製のARGUSを用いた。実施例1、比較例1とも2枚づつ作製して測定を行った。
実施例1が比較例1に対して、内外周に渡って反りが小さくなっていることが明らかである。
以上により、色素記録層の塗布後において、所定の赤外線処理を光記録媒体に施すことにより、内外周での記録再生特性の分布が小さく、さらに反りの小さな光記録媒体を得ることができることがわかる。
本発明によれば内外周において均一な記録再生特性を有し、かつ反りの小さな光記録媒体を得ることができ、色素記録層を有する追記型の光記録媒体のいずれにも適用することができる。
スピンコート装置を説明するための図である。 実施例1において、Asymmetryの記録パワー依存性を示した図である。 比較例1において、Asymmetryの記録パワー依存性を示した図である。 実施例1及び比較例1において、Tiltの半径依存性を示した図である。
符号の説明
10…塗布液供給装置
11…ノズル
12…アーム
20…スピナーヘッド装置
21…固定具
22…回転テーブル
30…飛散防止装置
31…コータカバー
32…整流部材
41…インナーカップ
42…コータカップ
100…スピンコート装置

Claims (6)

  1. 少なくとも案内溝を有する基板、及び色素記録層を有する光記録媒体の製造方法であって、前記基板上に有機色素を含む溶液を塗布して前記色素記録層を形成する色素塗布工程を有し、前記色素塗布工程の後に、赤外線を放射する赤外線ランプを用いて、前記光記録媒体に赤外線を照射する赤外線処理工程を有することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  2. 前記基板と前記色素記録層との間に反射層を有する光記録媒体の製造方法であることを特徴とする、請求項1に記載の光記録媒体の製造方法。
  3. 前記赤外線処理工程の後に、前記光記録媒体を50℃以上に加熱した状態で保持する加熱工程を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の光記録媒体の製造方法。
  4. 前記赤外線処理工程の前に、前記光記録媒体を50℃以上に加熱した状態で保持する加熱工程を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の光記録媒体の製造方法。
  5. 前記赤外線ランプの放射する赤外線のピーク波長が、0.8μm〜2.0μmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体の製造方法。
  6. 少なくとも案内溝を有する基板、及び色素記録層を有する光記録媒体の製造装置であって、前記基板上に有機色素を含む溶液を塗布して前記色素記録層を製膜する色素塗布手段を有し、かつ、赤外線を放射する赤外線ランプを備え、前記光記録媒体に赤外線を照射する赤外線処理手段を有することを特徴とする光記録媒体の製造装置。
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