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JP2010121144A - 成膜装置 - Google Patents

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JP2010121144A
JP2010121144A JP2008293068A JP2008293068A JP2010121144A JP 2010121144 A JP2010121144 A JP 2010121144A JP 2008293068 A JP2008293068 A JP 2008293068A JP 2008293068 A JP2008293068 A JP 2008293068A JP 2010121144 A JP2010121144 A JP 2010121144A
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JP2008293068A
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Masashi Atsumi
誠志 渥美
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Seiko Epson Corp
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】基板内の成膜のカバレッジ性を改善することができ、異物があった場合においても、この異物に起因する欠陥部が生じる虞が無く、外部からの酸素や水分の進入を防止することができ、薄膜の信頼性を確保することができる成膜装置を提供する。
【解決手段】基板Wを収納する真空容器と、この真空容器内かつ基板Wに対向して配設される複数対のハース4A、4B、5A、5Bと、これらのハース4A、4B、5A、5Bにプラズマビームを照射するプラズマガン6、7とを備え、ハース4A、4Bとハース5A、5Bとを時系列的に切り替えることにより、基板W上に成膜を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、成膜装置に関するものである。
従来、フラットパネルディスプレイ(FPD)の一種として、一対の電極の間に有機発光層を挟持した複数の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を備えた有機EL装置が知られている。この有機EL装置は、複数の有機EL素子を覆う封止層を備えた素子基板と、この素子基板に対向して配置され接着層を介して接着された封止基板と、を備えて構成されている。
この有機EL装置の発光方式としては、有機EL素子が放つ光を該有機EL素子が形成された基板側から取り出すボトムエミッション方式と、有機EL素子が放つ光を該有機EL素子が形成された基板側とは反対側から取り出すトップエミッション方式とがある。
このトップエミッション方式の有機EL装置は、ボトムエミッション方式の有機EL装置と比べて、画素開口率を上げ易く、表示画面の高精細化・高画質化に有利な構造である。さらに、色変換を行うカラーフィルタと組み合わせると、トップエミッション構造の利点を活かしかつフルカラー表示が可能な、高性能の有機EL装置とすることができる。
ところで、このトップエミッション方式の有機EL装置では、一般に、有機EL素子を構成する有機発光膜の厚みが100〜数100オングストロームと極めて薄いことが多く、この薄膜を成膜する際にサブミクロンのレベルの異物があった場合、この異物の影響により薄膜の均質性が低下するという問題点があった。
特に、トップエミッション方式の有機EL装置の場合、有機層へ酸素や水分が進入するのを遮断するために、この有機層を薄膜封止層で封止することが多く、この薄膜封止層が異物で破られていた場合には、この破られている部分から酸素や水分が進入して有機層を劣化させることとなり、信頼性の確保の点で大きな問題点となっていた。
そこで、薄膜封止層が異物の影響を受けないようにするために、図9に示すようなイオンプレーテイング装置が提案されている(特許文献1)。
このイオンプレーテイング装置1000は、真空容器(成膜室)1001と、この真空容器1001内に配設されるハース(蒸着源)1002と、このハース1002にプラズマビームPBを照射するプラズマガン1003と、この真空容器1001内かつハース1002に対向して設けられ基板Wを搬送する搬送機構1004とにより構成されている。
このハース1002の貫通孔1005には成膜材料ロッド1006が挿入され、このハース1002の下方には、成膜材料ロッド1006を徐々に突き上げる供給装置1007が設けられている。
このイオンプレーテイング装置1000では、プラズマガン1003からプラズマビームPBが真空容器1001中に照射される。このプラズマビームPBは、ハース1002の正電位を適当な値に制御することにより、確実にハース1002に導かれ、このハース1002中の成膜材料ロッド1006の上端部を加熱する。
この成膜材料ロッド1006では、その上端部が加熱されることで成膜材料が蒸発し、この蒸発した成膜材料がプラズマビームPB中にてイオン化され、このイオン化した成膜材料粒子が基板Wの表面に付着され成膜される。
特許第4087645号公報
ところで、従来のイオンプレーテイング装置では、成膜材料の利用効率を高めるためには、ハースと基板との間の距離をできるだけ短くすることが望ましいが、この場合、ハースから飛び出してくる成膜材料粒子の入射角が、基板の表面の中央部と周縁部とで大きく異なることとなり、したがって、ハースの直上と周縁部とで成膜のカバレッジ性に差が生じるという問題点があった。
特に、成膜の際に異物があった場合、この異物の裏側に成膜材料粒子が回り込まない部分が生じていまい、したがって、得られる薄膜封止層においても異物に起因する欠陥部が生じることとなり、この薄膜封止層の封止性能についても、場所によって差が生じてしまうという問題点があった。
例えば、図10に示すように、2つのハース1002a、1002bを用いて基板W上に成膜する場合、次のような問題点があった。
基板Wの幅方向(図10中紙面に沿う方向)の長さ(L)を400mm、2つのハース1002a、1002b間の距離(D)を500mm、基板Wとハース1002a、1002b間の距離(H)を500mmとした場合、基板Wの中心部ではハース1002aからの成膜材料粒子の入射角θ1とハース1002bからの成膜材料粒子の入射角θ2とでは差がないが、中心部からxmmずれることにより入射角θ1と入射角θ2との間にθ1−θ2の差が生じ、基板Wの端部では入射角θ1と入射角θ2との間に35°以上の差が生じている。特に、基板Wの周縁部分の成膜カバレッジが悪い。
基板Wを回転させれば、その周縁部分の成膜カバレッジは改善されるが、基板Wを回転させるための機構が大型であることから、設備のコストが上昇することとなり、現実的ではない。
一般に、薄膜封止層に十分な封止性能を確保するためには、封止性能を有する薄膜をできるだけ厚く成膜することが望ましいが、厚く成膜した場合、成膜温度が上昇する虞がある。そこで、この成膜温度の上昇を防止するために、基板を複数回搬送することにより、複数回のパスによる成膜を行うことがあるが、この場合においても、ハース1002aからの成膜材料粒子の入射角θ1とハース1002bからの成膜材料粒子の入射角θ2との差が一定であるから、成膜カバレッジを改善することはできない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、基板内の成膜のカバレッジ性を改善することができ、異物があった場合においても、この異物に起因する欠陥部が生じる虞が無く、外部からの酸素や水分の進入を防止することができ、薄膜の信頼性を確保することができる成膜装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような成膜装置を提供した。
本発明の成膜装置は、基板を収納する真空容器と、この真空容器内かつ前記基板に対向して配設される複数対の蒸着源と、これらの蒸着源にプラズマビームを照射する複数のプラズマガンとを備え、前記複数対の蒸着源のそれぞれの放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えることにより、これらの蒸着源から時系列的に粒子を蒸発させて前記基板上に成膜することを特徴とする。
この構成によれば、複数対の蒸着源のそれぞれの放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えることにより、これらの蒸着源から時系列的に粒子を蒸発させて基板上に成膜するので、蒸着源からの入射角の差が小さく偏りのない成膜を行うことができ、基板内の成膜のカバレッジ性を改善することができる。
特に、成膜の際に異物があった場合においても、この異物の裏側に成膜材料粒子が回り込むことにより、薄膜中に異物に起因する欠陥部が生じるのを防止することができ、したがって、外部からの酸素や水分の進入を防止することができ、薄膜の信頼性を確保することができる。
本発明においては、前記複数対の蒸着源のうち各対の蒸着源の一方側の蒸着源と、他方側の蒸着源とを、前記基板の一辺に沿う方向に順次配設し、前記複数対の蒸着源の放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えることが好ましい。
この構成によれば、各対の蒸着源の一方側の蒸着源と、他方側の蒸着源とを、基板の一辺に沿う方向に順次配設し、複数対の蒸着源の放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えるので、1回の操作毎に複数の蒸着源を用いることにより、蒸着源からの入射角の差がさらに小さくなり、基板内の成膜のカバレッジ性をさらに改善することができる。
本発明においては、前記真空容器に、前記基板を搬送する搬送機構を設け、前記複数対の蒸着源のうち各対の蒸着源の一方側の蒸着源と、他方側の蒸着源とを、前記基板の搬送方向に対して直交する方向に順次配設することが好ましい。
この構成によれば、各対の蒸着源の一方側の蒸着源と、他方側の蒸着源とを、基板の搬送方向に対して直交する方向に順次配設したので、成膜カバレッジ性が改善された薄膜付き基板を、効率よくかつ低コストにて生産することができる。
本発明においては、前記複数対の蒸着源のうち各対の蒸着源の一方側の蒸着源と、他方側の蒸着源とを、円形状に順次配設し、前記複数対の蒸着源の放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えることが好ましい。
この構成によれば、各対の蒸着源の一方側の蒸着源と、他方側の蒸着源とを、円形状に順次配設し、複数対の蒸着源の放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えるので、1回の操作毎に中心点に対して対称な位置の一対の蒸着源を用いることにより、蒸着源からの入射角の差がさらに小さくなり、基板内の成膜のカバレッジ性をさらに改善することができる。
本発明の他の成膜装置は、基板を収納する真空容器と、この真空容器内に前記基板を搬送する複数の搬送機構と、前記真空容器内かつ前記基板に対向して配設される一対の蒸着源と、これらの蒸着源それぞれにプラズマビームを照射するプラズマガンとを備え、前記一対の蒸着源を、前記複数の搬送機構の搬送方向と直交する方向かつこれらの搬送機構の面対称となる面の両側にそれぞれ設け、前記複数の搬送機構を時系列的に切り替えることにより、前記基板の搬送経路を切り替え、前記一対の蒸着源から粒子を蒸発させて前記基板上に成膜することを特徴とする。
この構成によれば、複数の搬送機構を時系列的に切り替えることにより、基板の搬送経路を切り替え、一対の蒸着源から粒子を蒸発させて基板上に成膜するので、蒸着源からの入射角の差が小さく偏りのない成膜を行うことができ、基板内の成膜のカバレッジ性を改善することができる。
特に、成膜の際に異物があった場合においても、この異物の裏側に成膜材料粒子が回り込むことにより、薄膜中に異物に起因する欠陥部が生じるのを防止することができ、したがって、外部からの酸素や水分の進入を防止することができ、薄膜の信頼性を確保することができる。
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
本発明の実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造とは縮尺や数等が異なっている。
「第1の実施の形態」
図1は、本発明の第1の実施形態の成膜装置を示す断面図であり、イオンプレーティング装置と称される成膜装置の例である。
この成膜装置1は、基板Wを収納する真空容器2と、真空容器2の上部に設けられ基板Wを真空容器2内に搬送するための基板搬送機構3と、真空容器2内の底部に、基板Wの成膜面に対向しかつその搬送方向(図中矢印方向)に対して直交する方向(図中紙面に垂直な方向)に配設された2対のハース(蒸着源)4A、4B、5A、5Bと、ハース4A、5Aに高密度プラズマHPを入射させるプラズマガン6と、ハース4B、5Bに高密度プラズマHPを入射させるプラズマガン7とにより構成されている。
これらハース4A、4B、5A、5B各々には、酸化ケイ素(SiO)等の成膜材料が充填され、これらハース4A、4B、5A、5B各々の周囲には、各々に入射する高密度プラズマHPの向きを制御するハースコイル8が設けられている。また、プラズマガン6、7の高密度プラズマHPの出射側にも高密度プラズマHPの向きを制御するステアリングコイル9が設けられ、さらに、真空容器2には、窒素ガス(N2)等を導入するための配管10が設けられている。
これら2対のハース4A、4B及びハース5A、5Bは、図2に示すように、一方側のハース4A、5Aと、他方側のハース4B、5Bとは、基板Wの搬送方向(図2中紙面に垂直な方向)に対して直交する方向(図2中左右方向)、すなわち基板搬送機構3が進行する方向に対して直交する方向に、隣接するハース間の間隔が等間隔となるように、一直線上に順次配設されている。
2対のハース4A、4B及びハース5A、5Bの放電電圧は、制御装置(図示略)により各対毎、すなわちハース4A、4Bを放電させた後にハース5A、5Bを放電させるというように、各対毎に時系列的に切り替えるようになっている。
この成膜装置1では、ハース4A、4Bとハース5A、5Bとを時系列的に切り替えることにより、基板W上に成膜を行うようになっている。
例えば、1回目の成膜を行う場合、プラズマガン6、7それぞれのステアリングコイル9を調整することにより、プラズマガン6、7それぞれから真空容器2中に高密度プラズマHPが照射される。
プラズマガン6から出射された高密度プラズマHPは、制御装置(図示略)にてハース4Aの放電電圧を適当な値に制御することにより、確実にハース4Aに導かれ、ハース4A中の成膜材料を加熱し、蒸発させる。この蒸発した成膜材料は、高密度プラズマHP中にてイオン化するとともに窒素ガス等の雰囲気ガスと反応し、この反応生成物が基板Wの表面に付着し、成膜される。
同様に、プラズマガン7から出射された高密度プラズマHPも、制御装置(図示略)にてハース4Bの放電電圧を適当な値に制御することにより、確実にハース4Bに導かれ、ハース4B中の成膜材料を加熱し、蒸発させる。この蒸発した成膜材料は、高密度プラズマHP中にてイオン化するとともに窒素ガス等の雰囲気ガスと反応し、この反応生成物が基板Wの表面に付着し、成膜される。
例えば、基板Wの幅方向の長さ(L)を400mm、2つのハース4A、4B間の距離(D)を500mm、基板Wとハース4A、4B間の距離(H)を500mmとした場合、ハース4Aからの入射角(θ1)とハース4Bからの入射角(θ2)との差(θ1−θ2)が0となる位置(xmm)は、中心から左側に125mmほどずれた位置となる。
このハース4A、4Bによる成膜終了後に、図3に示すように、放電をハース4A、4Bからハース5A、5Bに切り替え、2回目の成膜を行う。
プラズマガン6から出射された高密度プラズマHPは、ハース5Aの放電電圧を適当な値に制御することにより、確実にハース5Aに導かれ、ハース5A中の成膜材料を加熱し、蒸発させる。この蒸発した成膜材料は、高密度プラズマHP中にてイオン化するとともに窒素ガス等の雰囲気ガスと反応し、この反応生成物が基板Wの表面に付着し、成膜される。
同様に、プラズマガン7から出射された高密度プラズマHPも、ハース5Bの放電電圧を適当な値に制御することにより、確実にハース5Bに導かれ、ハース5B中の成膜材料を加熱し、蒸発させる。この蒸発した成膜材料は、高密度プラズマHP中にてイオン化するとともに窒素ガス等の雰囲気ガスと反応し、この反応生成物が基板Wの表面に付着し、成膜される。
この場合、ハース4Aからの入射角(θ1)とハース4Bからの入射角(θ2)との差(θ1−θ2)が0となる位置(xmm)は、1回目の成膜とは逆に中心から右側へ125mmほどずれた位置となる。
このように、ハース4A、4Bの入射角の差が「0」となる位置は、基板Wの中心Cから図中左方向へxだけずれた位置(−xの位置)となり、一方、ハース5A、5Bの入射角の差が「0」となる位置は、基板Wの中心Cから図中右方向へxだけずれた位置(+xの位置)となる。
したがって、ハース4A、4B及びハース5A、5Bそれぞれの放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えることにより、入射角の差が「0」となる位置が基板Wの中心に対して図中左右方向へ|x|だけ変化することとなり、入射角の差に起因する基板W内の成膜のカバレッジ性を改善することができる。
また、基板W上に異物があった場合においても、ハース4A、4B及びハース5A、5Bそれぞれの放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えることにより、この異物の裏側に成膜材料を回り込ませることができる。したがって、得られる薄膜においては異物に起因する欠陥部が生じる虞が無くなり、薄膜の面内均一性を向上させることができる。
次に、この成膜装置1を用いて有機EL装置を製造する方法について説明する。
ここでは、まず、この成膜装置1を用いて得られたトップエミッション方式の有機EL装置について、図4に基づき説明する。
この有機EL装置11は、素子基板21と透明保護基板31とが対向して配置され、これら素子基板21及び透明保護基板31は接着層41を介して接着され一体化されている。
この素子基板21上には複数の有機EL素子22が形成されている。これら有機EL素子22は、陽極としての第1電極23と陰極としての第2電極24とにより、単色の光、例えば白色の光を発生する有機発光層25を挟持した構成である。また、素子基板21上には、複数の有機EL素子22を覆うように封止層51が形成されている。
これらの有機EL素子22は、素子基板21上ではマトリクス状に規則的に配列され表示領域Lを構成している。なお、有機EL素子22は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3種類の有機材料を使い分けて3種類の有機EL素子、例えば赤色光を発生する有機EL素子、緑色光を発生する有機EL素子、青色光を発生する有機EL素子としても良い。なお、この表示領域Lの外側の領域を非表示領域Mとする。
素子基板21は、素子基板本体26と、この素子基板本体26の透明保護基板31側の面を覆う無機絶縁層27とを備えている。この素子基板本体26は、例えばガラス基板、プラスチック基板等の絶縁材料により形成されている。また、無機絶縁層27は、例えば酸化珪素(SiO2)や窒化珪素(SiN)等の珪素化合物により形成されている。この素子基板本体26上には、複数の有機EL素子22に1対1で対応する複数の薄膜トランジスタ(TFT)からなるスイッチング素子28及び各種の配線(図示略)等が形成されている。
この無機絶縁層27上には、Al(アルミニウム)合金等からなる金属反射層61が内装された樹脂平坦化層62が形成されている。この樹脂平坦化層62は、絶縁性の樹脂材料、例えば感光性のアクリル樹脂や環状オレフィン樹脂等により形成されている。
この樹脂平坦化層62上の金属反射層61に平面的に重なる領域には、有機EL素子22の第1電極23が形成されている。この第1電極23は、正孔注入性の高いITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等の金属酸化物により形成されている。この第1電極23は、樹脂平坦化層62及び無機絶縁層27を貫通するコンタクトホール(図示略)を介して、素子基板本体26上のスイッチング素子28に接続されている。
この樹脂平坦化層62上には、有機EL素子22を区画するために、例えばアクリル樹脂等からなる絶縁性の隔壁層63が形成されている。この隔壁層63は、第1電極23の上部を露出させる複数の開口部を有している。
この開口部と隔壁層63による凹凸形状に沿って、隔壁層63及び第1電極23の上面を覆うように有機発光層25が形成されている。
この有機発光層25は、電界により注入された正孔と電子との再結合により励起して発光する発光層を含むものであり、この有機発光層25は、発光層以外の層をも含む多層構造とすることも可能である。発光層以外の層としては、正孔を注入し易くするための正孔注入層、注入された正孔を発光層へ輸送し易くするための正孔輸送層、電子を注入し易くするための電子注入層、注入された電子を発光層へ輸送し易くするための電子輸送層等、上記の再結合に寄与する層が挙げられる。
この有機発光層25の発光層としては、低分子系有機EL材料あるいは高分子系有機EL材料が挙げられる。
低分子系有機EL材料は、正孔と電子との再結合により励起して発光する有機化合物のうち、分子量が比較的に低いものである。また、高分子系有機EL材料は、正孔と電子との再結合により励起して発光する有機化合物のうち、分子量が比較的に高いものである。
これら低分子系有機EL材料あるいは高分子系有機EL材料は、有機EL素子22の発する単色の発光色の光(白色光)に応じた物質となっている。発光層における再結合に寄与する層の材料は、この層に接する層の材料に応じた物質となっている。
この有機発光層25上には、この有機発光層25をその凹凸形状に沿って覆うように、第2電極24が形成されている。この第2電極24は、例えば有機発光層25へ電子を注入し易くするための電子注入バッファ層と、電子注入バッファ層上に形成された電気抵抗の小さい導電層とを有する。
この電子注入バッファ層は、例えば、LiF(フッ化リチウム)やCa(カルシウム)、MgAg(マグネシウム‐銀合金)により形成されている。また、導電層は、例えばITOやAl等の金属により形成された電気抵抗の小さい導電層である。
また、この素子基板21上には、無機絶縁層27、樹脂平坦化層62及び有機EL素子22の第2電極24を覆う封止層51が形成され、この封止層51は、電極保護層52と、有機緩衝層53と、ガスバリア層54とにより構成されている。
電極保護層52は、例えば、珪素酸窒化物(SiON)等の珪素化合物により構成されている。
有機緩衝層53は、隔壁層63とその開口部による凹凸形状を埋めるように形成され、素子基板21上を平坦化している。有機緩衝層53を構成する材料としては、例えばエポキシ化合物等を用いることができる。
ガスバリア層54は、有機緩衝層53を覆い、さらに電極保護層52の終端部までを覆うように形成されている。このガスバリア層54は、透光性、ガスバリア性、耐水性を考慮して、例えばSiON等により形成されている。
この素子基板21のガスバリア層54が形成された面には、透明保護基板31が対向して配置されている。この透明保護基板31は、接着層41を介して素子基板21上のガスバリア層54に接着されている。
この透明保護基板31は、例えば透明ガラス基板または透明プラスチック基板等の光透過性を有する材料で構成された透明基板本体32を備えている。
透明基板本体32の素子基板21と対向する面には、カラーフィルタ層33として、赤色着色層33R、緑色着色層33G、青色着色層33Bがマトリクス状に規則的に配列され、表示領域Lを構成している。また、各着色層33R,33G,33Bの周囲を囲む位置に、より具体的には隔壁層63に対応する領域にブラックマトリクス層(遮光層)34が形成されている。このブラックマトリクス層34を構成する材料としては、例えばCr(クロム)等を用いることができる。
各着色層33R,33G,33Bは、第1電極23上に形成された白色の有機発光層25に対向して平面的に重なるように配置されている。これにより、有機発光層25から発せられた光は、着色層33R,33G,33Bの各々を透過し、赤色光、緑色光、青色光の各色光として観察者側に出射されるようになっている。
また、透明基板本体32上には、表示領域Lに形成されたカラーフィルタ層33及びブラックマトリクス層34上を覆うオーバーコート層(被覆層)35が形成されている。
このオーバーコート層35は、表示領域Lの内側から非表示領域Mの周辺の後述する第2接着層43の形成領域近傍まで延設されている。オーバーコート層35は、例えばアクリルやポリイミド等の樹脂材料により形成されている。
このオーバーコート層35上には、このオーバーコート層35を覆うように、例えば、珪素酸窒化物(SiON)等の珪素化合物からなるガスバリア層36が形成されている。
接着層41は、第1接着層42と、周辺部をシールする第2接着層43とにより構成されている。
第1接着層42は、素子基板21と透明保護基板31との間に設けられてガスバリア層54の少なくとも表示領域Lに対応する部位を覆うものであり、この第1接着層42の材料としては、例えばウレタン系樹脂やアクリル系樹脂に硬化剤としてイソシアネートを添加した低弾性樹脂を用いることができる。
第2接着層43は、素子基板21と透明保護基板31との間に、第1接着層42を囲むように非表示領域Mに設けられたものであり、この第2接着層43の材料としては、水分透過率が低い材料、例えばエポキシ系樹脂に硬化剤として酸無水物を添加し、促進剤としてシランカップリング剤を添加した高接着性の接着剤を用いることができる。
これら第1接着層42及び第2接着層43では、上述した材料を用いて形成することにより、第1接着層42は第2接着層43よりも低い弾性率を有することができる。また、第2接着層43は第1接着層42よりも高い接着強度を得ることができ、第1接着層42よりも水分透過率を低くすることができる。
次に、この有機EL装置11の製造方法について説明する。
この有機EL装置11の製造工程は、素子基板21側の工程と、透明保護基板31側の工程と、素子基板21と透明保護基板31とを接着層41により接着、一体化する工程と、により構成される。
まず、素子基板本体26上にスイッチング素子28及び各種配線(図示略)を形成し、それらを覆うように無機絶縁層27を熱酸化法、CVD法、スパッタリング法等の乾式成膜法や、スピンコート法等の湿式成膜法を用いて形成する。
次いで、無機絶縁層27上にAl合金などの光反射性の金属反射層61を形成し、それを覆うように樹脂平坦化層62をスクリーン印刷法やスピンコート法等の湿式成膜法を用いて形成する。
次いで、樹脂平坦化層62上の金属反射層61に平面的に重なる領域に、ITO等の透明導電材料をスパッタリング法等により成膜して複数の画素となる第1電極23を形成する。
次いで、この第1電極23を含む領域全体に絶縁材料を成膜し、この膜を、無機絶縁層27上かつ第1電極23を囲むように、公知のレジスト技術、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術等を用いてパターニングし、隔壁層63を形成する。次いで、素子基板21上から有機物系の異物除去とITO表面の濡れ性を向上させるために、プラズマ洗浄などの洗浄処理を行う。
次いで、隔壁層63により囲まれた開口部と隔壁層63による凹凸形状に沿って、隔壁層63及び第1電極23の上面を覆うように、例えば蒸着、あるいはスピンコートやスリットコート法等の湿式成膜法により有機発光層25を形成する。有機発光層25が複数の層からなる場合には、各層を順に成膜することになる。
次いで、有機EL素子22の第2電極24を、凹凸形状に沿って有機発光層25を覆うように形成する。例えば、真空蒸着法によりLiF及びCaやMgなどの電子注入性の高い金属又は合金を成膜し、次いで、膜の電極抵抗を下げるために、真空蒸着法により画素部を避けるようにパターン形成したAl薄膜を成膜するか、あるいはECR(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)プラズマスパッタ法やイオンプレーティング法、対向ターゲットスパッタ法などの高密度プラズマ成膜法により透明なITO膜を成膜する。
次いで、素子基板21上に、無機絶縁層27、樹脂平坦化層62、及び有機EL素子22の第2電極24を覆うように電極保護層52を形成する。
この電極保護層52は、上記の成膜装置1のハース4A、4B及びハース5A、5Bに成膜材料である酸化ケイ素(SiO)を充填し、ハース4A、4Bとハース5A、5Bとを時系列的に切り替えることにより、ハース4A、4Bまたはハース5A、5Bから蒸発する酸化ケイ素(SiO)が雰囲気ガスである窒素(N2)と反応し、生成したケイ素酸窒化物(SiON)が無機絶縁層27、樹脂平坦化層62、及び有機EL素子22の第2電極24を覆うように堆積することで形成することができる。
この場合、ハース4A、4Bとハース5A、5Bとを時系列的に切り替えることにより、ハース4A、4Bからの入射角とハース5A、5Bからの入射角との差を小さくすることができ、この電極保護層52におけるカバレッジ性を改善することができる。
次いで、この電極保護層52上に有機緩衝層53を形成する。有機緩衝層53は、例えばエポキシ化合物等の有機材料を減圧雰囲気下でスクリーン印刷し、その後、加熱硬化させることにより形成する。
次いで、この有機緩衝層53上にガスバリア層54を形成する。
このガスバリア層54は、上記の成膜装置1のハース4A、4B及びハース5A、5Bに成膜材料である酸化ケイ素(SiO)を充填し、ハース4A、4Bとハース5A、5Bとを時系列的に切り替えることにより、ハース4A、4Bまたはハース5A、5Bから蒸発する酸化ケイ素(SiO)が雰囲気ガスである窒素(N2)と反応し、生成したケイ素酸窒化物(SiON)が有機緩衝層53を覆うように堆積することで形成することができる。
この場合、ハース4A、4Bとハース5A、5Bとを時系列的に切り替えることにより、ハース4A、4Bからの入射角とハース5A、5Bからの入射角との差を小さくすることができ、このガスバリア層54におけるカバレッジ性を改善することができる。
以上により、複数の有機EL素子22を備え、それらが電極保護層52、有機緩衝層53及びガスバリア層54からなる封止層51により被覆された素子基板21が作製される。
一方、透明基板本体32上の隔壁層63に対応する領域に、例えば蒸着法やスパッタリング法でCr(クロム)を成膜し、この膜を公知のレジスト技術、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術等を用いてパターニングし、ブラックマトリクス層34を形成する。
次いで、ブラックマトリクス層34を隔壁として、例えばインクジェットなどの液滴吐出法により、カラーフィルタ層33を形成する。具体的には、液滴吐出ヘッドから所定のブラックマトリクス層34の間に、例えば赤色着色層33R、緑色着色層33G、青色着色層33Bの液状の材料を選択的に注入し、これらを所定の温度にて加熱乾燥させることにより、赤色着色層33R、緑色着色層33G、青色着色層33Bを形成する。このようにして、赤色着色層33R、緑色着色層33G、青色着色層33Bからなるカラーフィルタ層33を形成することができる。
次いで、カラーフィルタ層33及びブラックマトリクス層34を覆い、表示領域Lの内側から外側まで延設するようにオーバーコート層35を形成する。このオーバーコート層35は、アクリルやポリイミド等の樹脂材料を原料成分又は有機溶媒等で希釈して、スリットコート法やスクリーン印刷法等を用いてパターン塗布し、熱オーブン等で蒸発及び硬化することにより形成する。
次いで、このオーバーコート層35を覆うようにガスバリア層36を形成する。
このガスバリア層36は、上記の成膜装置1のハース4A、4B及びハース5A、5Bに成膜材料である酸化ケイ素(SiO)を充填し、ハース4A、4Bとハース5A、5Bとを時系列的に切り替えることにより、ハース4A、4Bまたはハース5A、5Bから蒸発する酸化ケイ素(SiO)が雰囲気ガスである窒素(N2)と反応し、生成したケイ素酸窒化物(SiON)がオーバーコート層35を覆うように堆積することで形成することができる。
この場合、ハース4A、4Bとハース5A、5Bとを時系列的に切り替えることにより、ハース4A、4Bからの入射角とハース5A、5Bからの入射角との差を小さくすることができ、このガスバリア層36におけるカバレッジ性を改善することができる。
以上により、透明基板本体32上に、カラーフィルタ層33及びブラックマトリクス層34が形成され、これらを覆うオーバーコート層35及びガスバリア層36を備えた透明保護基板31が作製される。
次いで、透明保護基板31上の額縁部、より具体的には透明保護基板31上の非表示領域Mのオーバーコート層35及びガスバリア層36が形成されていない領域に、第2接着層43の形成材料を塗布する。具体的には、例えばディスペンス描画法やスクリーン印刷法により上述した接着剤を塗布する。
次いで、透明保護基板31上に形成されたオーバーコート層35及びガスバリア層36を覆うように、第1接着層42の形成材料を塗布する。具体的には、例えばディスペンス滴下法により上述した接着剤を塗布する。
次いで、第1接着層42及び第2接着層43の形成材料が塗布された透明保護基板31に紫外線照射を行う。具体的には、第1接着層42及び第2接着層43の形成材料の硬化反応を開始させる目的で、例えば照度30mW/cm2、光量2000mJ/cm2の紫外線を透明保護基板31に照射する。これにより、第1接着層42及び第2接着層43の形成材料が反応し、徐々に粘度が上昇する。
次いで、素子基板21の封止層51が形成された面と、透明保護基板31の粘度が上昇した第1接着層42及び第2接着層43の形成材料が形成された面とを対向させ、第1接着層42及び第2接着層43の形成材料を介して素子基板21と透明保護基板31とを貼り合せる。
このとき、貼り合わせた素子基板21と透明保護基板31とのアライメント位置の微調整を行いながら、素子基板21と透明保護基板31とを相互に接近させていく。具体的には、素子基板21と透明保護基板31とを面方向(平行方向)に相対移動させ、有機EL素子22とカラーフィルタ層33との相対位置を調整する。このように、アライメント位置精度を高めながら最終的な位置合わせを行う。
次いで、素子基板21と透明保護基板31とを圧着する。具体的には、例えば真空度1Paの真空雰囲気下にて、加圧600Nで200秒間保持して圧着させる。
次いで、この圧着された素子基板21及び透明保護基板31を大気雰囲気中にて加熱する。具体的には、素子基板21と透明保護基板31とを貼り合わせた状態で、大気中、所定の温度にて所定の時間、加熱することにより、粘度が上昇した第1接着層42及び第2接着層43の形成材料を硬化させ、第1接着層42及び第2接着層43を形成する。
以上により、上述した有機EL装置11を作製することができる。
以上説明したように、本実施形態の有機EL装置11によれば、電極保護層52、ガスバリア層54及びガスバリア層36を、ハース4A、4Bとハース5A、5Bとを時系列的に切り替えることにより成膜したので、偏りのない均一な膜を成膜することができ、成膜のカバレッジ性を改善することができる。
また、電極保護層52、ガスバリア層54及びガスバリア層36を成膜する際に異物があったとしても、この異物の裏側に成膜材料が回り込むことにより、これら電極保護層52、ガスバリア層54及びガスバリア層36中に異物に起因する欠陥部が生じるのを防止することができる。したがって、緻密かつ均一性に優れた電極保護層52、ガスバリア層54及びガスバリア層36に外部から酸素や水分が進入するのを防止することができ、薄膜の信頼性を確保することができる。
「第2の実施の形態」
図5は、本発明の第2の実施形態の成膜装置の要部を示す平面図であり、イオンプレーティング装置と称される成膜装置の例である。
この成膜装置71が、第1の実施形態の成膜装置1と異なる点は、第1の実施形態の成膜装置1が2対のハース4A、4B、5A、5Bを真空容器2内の底部に、基板Wの成膜面に対向しかつその搬送方向に対して直交する方向に、隣接するハース間の間隔が等間隔となるように、一直線上に順次配設したのに対し、本実施形態の成膜装置71では、真空容器2内の底部に、基板Wの成膜面に対して対向する位置に、ハース4A、4B、5A、5Bと同一の構成からなる4対のハース(蒸着源)72A、72B、73A、73B、74A、74B、75A、75Bを、一方側のハース72A、73A、74A、75Aと、他方側のハース72B、73B、74B、75bとが、隣接するハース間の間隔が等間隔となるように、円周上に順次配設した点が異なる。
この成膜装置71では、第1の実施形態の成膜装置1と同様に、ハース72A、72Bと、ハース73A、73Bと、ハース74A、74Bと、ハース75A、75Bとを、時系列的に切り替えることにより、基板W上に成膜を行うことができる。
例えば、1回目の成膜を行う場合、プラズマガン6から出射された高密度プラズマHPは、制御装置(図示略)にてハース72Aの放電電圧を適当な値に制御することにより、確実にハース72Aに導かれ、ハース72A中の成膜材料を加熱し、蒸発させる。この蒸発した成膜材料は、高密度プラズマHP中にてイオン化するとともに窒素ガス等の雰囲気ガスと反応し、この反応生成物が基板Wの表面に付着し、成膜される。
同様に、プラズマガン7から出射された高密度プラズマHPも、制御装置(図示略)にてハース72Bの放電電圧を適当な値に制御することにより、確実にハース72Bに導かれ、ハース72B中の成膜材料を加熱し、蒸発させる。この蒸発した成膜材料は、高密度プラズマHP中にてイオン化するとともに窒素ガス等の雰囲気ガスと反応し、この反応生成物が基板Wの表面に付着し、成膜される。
この成膜装置71においても、第1の実施形態の成膜装置1と同様、ハース72A、72B、ハース73A、73B、ハース74A、74B、ハース75A、75Bそれぞれの放電電圧を各対毎に時系列的に順次切り替えることにより、入射角の差が「0」となる位置が基板Wの中心点を軸とする円周上を等間隔に移動することとなり、入射角の差に起因する基板W内の成膜のカバレッジ性を改善することができる。
また、基板W上に異物があった場合においても、ハース72A、72B、ハース73A、73B、ハース74A、74B、ハース75A、75Bそれぞれの放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えることにより、この異物の裏側に成膜材料を回り込ませることができる。したがって、得られる薄膜においては異物に起因する欠陥部が生じる虞が無くなり、薄膜の面内均一性を向上させることができる。
「第3の実施の形態」
図6は、本発明の第3の実施形態の成膜装置の要部を示す模式図であり、イオンプレーティング装置と称される成膜装置の例である。
この成膜装置81が、第1の実施形態の成膜装置1と異なる点は、第1の実施形態の成膜装置1が真空容器2の上部に1つの基板搬送機構3を設け、2対のハース4A、4B、5A、5Bを真空容器2内の底部に、基板Wの成膜面に対向しかつその搬送方向に対して直交する方向、すなわち基板搬送機構3が進行する方向に対して直交する方向に、隣接するハース間の間隔が等間隔となるように、一直線上に順次配設したのに対し、本実施形態の成膜装置81では、真空容器2の上部に2つの基板搬送機構3A、3Bを互いに平行に設け、1対のハース4A、4Bを、真空容器2内の底部であり、2つの基板搬送機構3A、3Bの搬送方向と直交する方向かつこれらの基板搬送機構3A、3Bの面対称となる面Sの両側にそれぞれ配設した点が異なる。
この成膜装置81では、2つの基板搬送機構3A、3Bを、時系列的に切り替えることにより、基板W上に成膜を行うことができる。
例えば、基板搬送機構3Aにより搬送された基板Wに対して1回目の成膜を行う場合、プラズマガン6から出射された高密度プラズマHPは、制御装置(図示略)にてハース4Aの放電電圧を適当な値に制御することにより、確実にハース4Aに導かれ、ハース4A中の成膜材料を加熱し、蒸発させる。
同様に、プラズマガン7から出射された高密度プラズマHPも、制御装置(図示略)にてハース4Bの放電電圧を適当な値に制御することにより、確実にハース4Bに導かれ、ハース4B中の成膜材料を加熱し、蒸発させる。
この蒸発した成膜材料は、高密度プラズマHP中にてイオン化するとともに窒素ガス等の雰囲気ガスと反応し、この反応生成物が基板Wの表面に付着し、成膜される。
例えば、基板Wの幅方向の長さ(L)を400mm、2つのハース4A、4B間の距離(D)を500mm、基板Wとハース4A、4B間の距離(H)を500mmとした場合、ハース4Aからの入射角(θ1)とハース4Bからの入射角(θ2)との差(θ1−θ2)が0となる位置(xmm)は、基板Wの中心から左側に125mmほどずれた基板W上の位置となる。
次いで、この基板Wを基板搬送機構3Bに切り替えて再度搬送し、この基板搬送機構3Bにより搬送された基板Wに対して2回目の成膜を行う。
この場合、図7に示すように、ハース4Aからの入射角(θ1)とハース4Bからの入射角(θ2)との差(θ1−θ2)が0となる位置(xmm)は、1回目の成膜とは逆に基板Wの中心から右側に125mmほどずれた基板W上の位置となる。
このように、基板搬送機構3A、3Bを時系列的に切り替え、搬送される基板Wのハース4A、4Bに対する相対位置を時系列的に切り替えることにより、入射角の差が「0」となる位置が基板Wの中心に対して図中左右方向へxだけ変化することとなり、入射角の差に起因する基板W内の成膜のカバレッジ性を改善することができる。
また、基板W上に異物があった場合においても、基板搬送機構3A、3Bを時系列的に切り替え、基板搬送機構3A、3Bにより搬送される基板Wのハース4A、4Bに対する相対位置を時系列的に切り替えることにより、この異物の裏側に成膜材料を回り込ませることができる。したがって、得られる薄膜においては異物に起因する欠陥部が生じる虞が無くなり、薄膜の面内均一性を向上させることができる。
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器について、携帯電話を例に挙げて説明する。図8は、携帯電話600の全体構成を示す斜視図である。携帯電話600は、筺体601、複数の操作ボタンが設けられた操作部602、画像や動画、文字等を表示する表示部603を有する。表示部603には、本発明に係る有機EL装置11が搭載される。
このように、成膜のカバレッジ性が改善された有機EL装置11を備えているので、高信頼性かつ高性能な電子機器(携帯電話)600を得ることができる。
なお、電子機器としては、上記携帯電話600以外にも、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)、およびエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、あるいは投射型液晶表示装置、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルなどを挙げることができる。
本発明の第1の実施形態の成膜装置を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態の成膜装置のハースの配列及び動作を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態の成膜装置のハースの配列及び動作を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態の有機EL装置を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態の成膜装置のハースの配列及び動作を示す平面図である。 本発明の第3の実施形態の成膜装置の基板搬送機構及びハースの配列及び動作を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態の成膜装置の基板搬送機構及びハースの配列及び動作を示す模式図である。 電子機器の一例である携帯電話を示す斜視図である。 従来のイオンプレーテイング装置の一例を示す断面図である。 従来のイオンプレーテイング装置の問題点を示す模式図である。
符号の説明
1…成膜装置、2…真空容器、3…基板搬送機構、4A、4B、5A、5B…ハース、6、7…プラズマガン、8…ハースコイル、9…ステアリングコイル、10…配管、11…有機EL装置、21…素子基板、22…有機EL素子、31…透明保護基板、41…接着層、36、54…ガスバリア層、52…電極保護層、L…表示領域、M…非表示領域、600…携帯電話(電子機器)

Claims (5)

  1. 基板を収納する真空容器と、この真空容器内かつ前記基板に対向して配設される複数対の蒸着源と、これらの蒸着源にプラズマビームを照射する複数のプラズマガンとを備え、
    前記複数対の蒸着源のそれぞれの放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えることにより、これらの蒸着源から時系列的に粒子を蒸発させて前記基板上に成膜することを特徴とする成膜装置。
  2. 前記複数対の蒸着源のうち各対の蒸着源の一方側の蒸着源と、他方側の蒸着源とを、前記基板の一辺に沿う方向に順次配設し、
    前記複数対の蒸着源の放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記真空容器に、前記基板を搬送する搬送機構を設け、
    前記複数対の蒸着源のうち各対の蒸着源の一方側の蒸着源と、他方側の蒸着源とを、前記基板の搬送方向に対して直交する方向に順次配設することを特徴とする請求項2記載の成膜装置。
  4. 前記複数対の蒸着源のうち各対の蒸着源の一方側の蒸着源と、他方側の蒸着源とを、円形状に順次配設し、
    前記複数対の蒸着源の放電電圧を各対毎に時系列的に切り替えることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
  5. 基板を収納する真空容器と、この真空容器内に前記基板を搬送する複数の搬送機構と、前記真空容器内かつ前記基板に対向して配設される一対の蒸着源と、これらの蒸着源それぞれにプラズマビームを照射するプラズマガンとを備え、
    前記一対の蒸着源を、前記複数の搬送機構の搬送方向と直交する方向かつこれらの搬送機構の面対称となる面の両側にそれぞれ設け、
    前記複数の搬送機構を時系列的に切り替えることにより、前記基板の搬送経路を切り替え、前記一対の蒸着源から粒子を蒸発させて前記基板上に成膜することを特徴とする成膜装置。
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