[go: up one dir, main page]

JP2010116271A - シリコン単結晶の育成方法及びシリコン単結晶インゴット - Google Patents

シリコン単結晶の育成方法及びシリコン単結晶インゴット Download PDF

Info

Publication number
JP2010116271A
JP2010116271A JP2008288326A JP2008288326A JP2010116271A JP 2010116271 A JP2010116271 A JP 2010116271A JP 2008288326 A JP2008288326 A JP 2008288326A JP 2008288326 A JP2008288326 A JP 2008288326A JP 2010116271 A JP2010116271 A JP 2010116271A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
single crystal
silicon single
region
evaluation
grown
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2008288326A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiichiro Hiraki
敬一郎 平木
Hiroaki Taguchi
裕章 田口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumco Corp
Original Assignee
Sumco Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumco Corp filed Critical Sumco Corp
Priority to JP2008288326A priority Critical patent/JP2010116271A/ja
Priority to US12/604,627 priority patent/US8771415B2/en
Priority to KR1020090102206A priority patent/KR101272659B1/ko
Publication of JP2010116271A publication Critical patent/JP2010116271A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

【課題】酸素析出物の非常に少ないシリコン単結晶を育成する方法を提供する。
【解決手段】CZ法により育成されたCOP及び転位クラスタを含まないシリコン単結晶インゴットから評価用試料を切り出し、as-grown状態の評価用試料にRIEを施した場合に、酸化シリコンを含む欠陥を起因とした突起物が評価用試料の表面に形成されない条件で、シリコン単結晶インゴットの引き上げを行う。RIEを行うと、微小酸素析出物をも検出可能であることから、RIEによる評価で突起物が形成されない条件にて引き上げを行うことにより、微小酸素析出物を含まないシリコン単結晶を育成することが可能となる。このため、IGBTのように、ウェーハのバルクの品質に影響されるデバイス用の高品質なシリコン単結晶を提供することが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明はシリコン単結晶の育成方法及びシリコン単結晶インゴットに関し、特に、チョクラルスキー法(CZ法)によって育成され、半導体デバイスの基板用として好適に用いられるシリコン単結晶の育成方法及びシリコン単結晶インゴットに関する。
チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を育成する場合、その結晶に含まれる欠陥の種類や分布は、結晶の引上げ速度Vとシリコン単結晶内の成長方向の温度勾配Gの比に依存する。
図4はV/Gと欠陥の種類及び分布との一般的な関係を示す図である。図4の引き上げ条件は、引き上げる単結晶の中心部が融点から1370℃までの温度域で、中心部における温度勾配をGcとし、外周部における温度勾配をGeとした場合、Gc/Ge<1に設定されている。
図4に示すように、V/Gが大きい場合は空孔が過剰となり、空孔の凝集体である微小ボイド(一般にCOP:Crystal Originated Particleと呼ばれている欠陥)が発生する。一方、V/Gが小さい場合は格子間シリコン原子が過剰となり、格子間シリコンの凝集体である転位クラスタが発生する。したがって、COPも転位クラスタも含まない結晶を製造するには、V/Gが結晶の径方向と長さ方向で適切な範囲に入るように制御しなければならない。まず、結晶の径方向については、どの位置でも引上げ速度Vは一定であるので、温度勾配Gが所定の範囲に入るように単結晶引き上げ装置の炉内構造(ホット・ゾーン)を設計しなければならない。次に、結晶の長さ方向については、温度勾配Gは結晶の引き上げ長さに依存するので、V/Gを所定の範囲に保つ為には、結晶の長さ方向に引上げ速度Vあるいは温度勾配Gを変化させなければならない。現在は、直径300mmのシリコン単結晶でも、V/Gを制御することによって、COPも転位クラスタも含まない結晶が量産されている。
上記のように、V/Gを制御して引き上げたCOPと転位クラスタを含まないシリコンウェーハが量産され、電子デバイスの製造に使われている。しかし、これらのウェーハは決して全面が均質ではなく、熱処理された場合の挙動が異なる複数の領域を含んでいる。図4に示すように、COPが発生する領域と転位クラスタが発生する領域の間には、V/Gが大きい方から順に、OSF領域、Pv領域、Pi領域の三つの領域が存在する。OSF領域とは、as-grown状態(結晶成長後に何の熱処理も行っていない状態)で板状酸素析出物(OSF(Oxidation Induced Stacking Fault)核)を含んでおり、高温(一般的には1000℃から1200℃)で熱酸化した場合にOSFが発生する領域である。Pv領域とは、as-grown状態で酸素析出核を含んでおり、低温及び高温(例えば、800℃と1000℃)の2段階の熱処理を施した場合に酸素析出物が発生し易い領域である。Pi領域とは、as-grown状態で殆ど酸素析出核を含んでおらず、熱処理を施されても酸素析出物が発生し難い領域である。
COPが発生し始めるV/Gと転位クラスタが発生し始めるV/Gの差は極めて小さいので、COPも転位クラスタも含まない結晶を製造するには、引上げ速度Vの厳密な管理が必要である。しかしながら、目標通りの引上げ速度Vで結晶を引き上げても、種々の要因からCOPや転位クラスタが発生する場合がある。これは、下記の理由による。
CZ炉は、カーボンヒータ、断熱材、カーボンルツボ等の部材から構成されている。これらの部材は、数十回から数百回の引き上げに亘って継続的に使用される。また、これらの部材は、シリコン融液の蒸気や液滴との反応、シリコン融液及びカーボンから発生したガスとの反応、石英ルツボの反応等で、経時的に変質、減肉し、CZ炉内のホット・ゾーンの熱的特性も経時的に変化する。このようなホット・ゾーンの経時変化が起きると、温度勾配Gが変化するため、目標通りの引上げ速度Vで結晶を引き上げてもV/Gが設計値からずれてしまう。このような理由から、目標通りの引上げ速度Vで結晶を引き上げてもCOPや転位クラスタが発生するのである。
したがって、目標とするV/Gを実現するためには、ホット・ゾーンの経時変化に応じて引き上げ速度Vのプロファイルを変更する必要がある。
従来は、OSF領域を含むように引き上げ速度プロファイルを設定し、引き上げた結晶から切り出したサンプルにCu(銅)デコレーションやOSF評価のための熱処理を行ってOSF領域の広さを評価し、その広さに基づいて後続の引き上げの速度プロファイルを調整していた(特許文献1、2参照)。すなわち、OSF領域が広ければCZ炉はV/Gが大きくなる(Gが小さくなる)方向に変化しているので後続の引き上げでは引上げ速度Vを低めに設定し、逆に、OSF領域が狭ければCZ炉はV/Gが小さくなる(Gが大きくなる)方向に変化しているので後続の引き上げでは引上げ速度Vを高めに設定していた。
これらの方法は、OSF領域の広さや位置を指標として後続の引き上げの速度プロファイルを調整する方法なので、製品として出荷されるウェーハにも必然的にOSF領域が含まれる。今のところ、OSF領域は電子デバイスに影響を与えていないようである。しかし、OSF領域は、as-grown状態でもOSFの核、すなわち、板状の酸素析出物を含む領域であるので、将来の電子デバイスではその特性を劣化させる原因となる可能性が高い。従って、今後は、OSF領域の広さを引上げ速度調整の指標とせずに、OSF領域を含まない結晶を安定的に引き上げる方法を開発することが必要であると考えられる。
OSF領域を引上げ速度調整の指標としない方法として、シリコンの弾性定数の極低温化に伴う減少(ソフト化)の大きさから、結晶中の空孔濃度を推定して後続の引き上げの速度プロファイルを調整する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この方法を実施するには、シリコン単結晶から切り出したウェーハに、加工歪みを除去する為のエッチングを施し、薄膜振動子となるZnOやAlNを蒸着し、外部磁場を必要に応じて印加した状態で、25K(−248℃)以下の温度域で冷却しながら、超音波パルスを伝播させ、伝播した超音波パルスの音速変化を検出し、この音速変化から、冷却温度の低下に伴う弾性定数の減少量を算出し、この算出した弾性定数の減少量からシリコンウェーハ中に存在する空孔濃度を評価する、といった手順を踏まなければならない。このため、高価な評価設備と複雑な手順が必要となり、シリコン単結晶の製造工程でのルーチン的な検査には到底適用出来ない。
シリコン単結晶中の結晶欠陥を検出する方法として様々な原理に基づく評価方法が提案されている。昔から行われている湿式の選択エッチング法は、シリコンに対して酸化作用を持つ物質と酸化物を溶解する作用を持つ物質の混合液にサンプルを浸漬して結晶欠陥をエッチングされた表面の凹凸(多くの場合はエッチピット)として顕在化する方法である。酸化作用を持つ物質としては硝酸やクロム酸などが用いられ、酸化物を溶解する作用を持つ物質としてはふっ酸が用いられている。用いられる化学物質の種類とその混合比によって、正常なシリコン/欠陥の選択比が異なり、感度や検出可能な欠陥の種類が異なる。湿式の選択エッチング法は、他の方法に比べて感度は低いが、簡便であるので、現在でも結晶欠陥評価に用いられている。代表的なエッチング液として、いずれも考案者の名前を冠した、ライト液、セコ液、ダッシュ液などを挙げることができる。
1990年代から一般的に用いられるようになった赤外トモグラフィー法は、シリコンと欠陥の屈折率の違いを利用した方法である。赤外線はシリコンを透過するので、ウェーハ内部の欠陥を評価することが出来る。この方法は、湿式の選択エッチング法に比べて、酸素析出物やCOPに対する感度が高いのが特長である。
また、特許文献4,5には、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching: RIE)を利用した欠陥検出方法が記載されている。この方法は、熱処理によりBMDなどの酸素析出物を顕在化させた後、Si/SiOの選択比が高い条件でサンプルに対してRIEを行う方法である。これにより、酸素析出物(SiO)がエッチングされずに、突起として顕在化する。Si/SiOの選択比が高い条件を選べば、赤外トモグラフィー法よりも高感度な欠陥評価が可能だと報告されている。
特開2005−194186号公報 国際公開第99/40243号パンフレット 特開2007−261935号公報 特開2000−58509号公報 特開2007−123542号公報
これまで、酸素析出物密度を高密度に形成したゲッタリング能力に優れるウェーハの提供が強く求められてきた。しかしながら、酸素析出物はいわゆる結晶欠陥の一種であり、デバイスが形成されるウェーハ表層部に酸素析出物が存在するとデバイス不良をもたらす要因となる。このため、従来から、酸素析出物を有するシリコンウェーハに高温熱処理を施して、デバイスが形成されるウェーハ表層部に存在する酸素析出物を消滅させたアニールウェーハや、酸素析出物を有するウェーハの表面にエピタキシャル膜を形成したエピタキシャルシリコンウェーハなどが開発されている。しかしながら、いずれもウェーハに対して新たな工程を付加するプロセスであって、生産性が低下し、製造コストが上昇するという、根本的な問題がある。
近年、絶縁ゲートバイポーラトランジスター(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)の開発などが進められている。IGBTは、メモリ等のLSIのようにウェーハの表面近傍だけを横方向に使う素子ではなく、ウェーハを縦方向(ウェーハ厚み方向)に使う素子なので、その特性はウェーハのバルクの品質に影響される。このため、ウェーハ表層部の酸素析出物だけではなく、ウェーハ内部の酸素析出物も縮小・低減化を図る必要がでてきた。また、IGBT用ウェーハに限らず、近年、デバイスにおけるクリーン化が進み不純物汚染の危険性も大幅に低減されたことにより、ウェーハに要求される品質としてゲッタリング能力を不問とし、COP、転位クラスタに限らず、結晶欠陥の一種である酸素析出物さえも限りなく低減させたウェーハが次世代ウェーハとして今後要求されることが予想される。
一般的に、ウェーハ中の酸素析出物を低減するには、結晶中の酸素濃度を低下させることにより低減することができる。現状、磁場を印加するMCZ法(Magnetic-field-applied Czochralski Method)を採用し、ルツボ回転速度や結晶回転速度などを調整することにより、酸素濃度3×1017atoms/cmまでの低酸素シリコン単結晶インゴットの作成が可能である(本明細書で記載する酸素濃度は全てASTM F−121(1979)に規格されたフーリエ変換赤外分光光度法による測定値である。)。
しかしながら、酸素析出物が少なく、かつ空孔凝集空洞欠陥(COP)および転位クラスタが存在しない無欠陥領域からなるシリコン単結晶を育成する場合、酸素析出が活性な結晶領域(Pv領域)をできる限り排除する必要があるが、結晶中の酸素濃度低下によりPv領域における酸素析出が低下し、Pv領域とPi領域における酸素析出物分布の差が極めて小さくなってしまう。このため、これまで実施されている酸素析出物評価熱処理(低温、高温の2step熱処理)による欠陥分布評価では、Pv領域とPi領域の境界判別が困難となる。
また、酸素析出物評価熱処理は、通常、酸化雰囲気中で、低温熱処理(800℃×4時間)と高温熱処理(1000℃×16時間)の2段階熱処理が実施され、この熱処理により結晶内の酸素析出核を成長させて酸素析出物として顕在化させることにより光学顕微鏡などでその密度分布を評価するものである。しかしこの評価方法では微小な酸素析出核までも顕在化することはできないし、顕在化する酸素析出物の密度やサイズは酸素濃度にも依存する。また、高温熱処理を長時間受けることによって、結晶内に存在するサイズの小さな酸素析出核を消滅させてしまう可能性もある。従って、酸素析出物評価熱処理による欠陥分布評価では、微小な酸素析出物が結晶内に存在する危険性が高く、微小酸素析出物が存在する結晶領域を排除したシリコン単結晶の育成は困難であった。
一方、評価用試料の表面を銅で汚染し、800〜1000℃で3〜20時間の熱処理によって銅を試料内に拡散させることにより結晶表面の欠陥を顕在化させる銅デコレーション法は、結晶欠陥を高感度に検出できる手法として有用ではあるものの、高温熱処理を伴うため、酸素析出物評価熱処理と同様に微小酸素析出核を消滅させてしまう可能性がある。また、複数の長時間熱処理が必要であるため、その評価に多大な時間を要してしまい、評価結果を単結晶育成条件にフィードバックするまでのタイムラグが大きくなってしまう。
これに対し、特許文献4に記載されたRIE法によれば、微小な酸素析出物の検出が可能であるが、特許文献4には、熱処理によって顕在化させたBMDなどの酸素析出物の評価が可能であると報告されているに止まり、as-grown状態のシリコンウェーハに対する評価については述べられていない。特許文献4が出願された当時の技術水準では、as-grown状態のシリコンウェーハに含まれる欠陥として問題視されていたのはOSF核だけであり、OSF核は熱酸化によって容易に顕在化することから、これをas-grown状態で検出する意義は無かったものと考えられる。また、特許文献4が出願された当時の技術水準では、Pv領域がas-grown状態で酸素析出核を含んでいるか否かも不明であった。
また、特許文献5には、OSF核をRIE法によって顕在化させることができると記載されているが、Pv領域に含まれる酸素析出物のように、OSF核よりもさらに微小な酸素析出物に対してRIE法が有効であるか否かは述べられていない。これは、Pv領域に含まれる酸素析出物はゲッタサイトとして通常必要なものであり、特許文献5においてこれを排除する必然性がないためであると考えられる。
しかしながら、本発明者らは、IGBTなどの垂直シリコンデバイスなどを考慮すると、Pv領域に含まれる微小な酸素析出物でさえも特性上問題となり得ると考え、このような微小酸素析出物を効率よく評価し、ひいてはこれを排除する必要があるとの結論に達した。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、熱処理など時間のかかる工程を経ることなくas-grown状態での評価によって、酸素析出物の非常に少ないシリコン単結晶を育成する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、このようにして育成されたシリコン単結晶インゴットを提供することを目的とする。
本発明者らは、as-grown状態のシリコンウェーハに対して反応性イオンエッチングを施した場合に、どのような欠陥を顕在化させることができるか鋭意研究を行った。その結果、as-grown状態のシリコンウェーハに対して反応性イオンエッチングを施すと、COPやOSF核だけでなく、酸素析出物評価熱処理では検出されない微小酸素析出物をも検出可能であることを見いだした。したがって、反応性イオンエッチングによって微小酸素析出物の評価を行えば、このような微小酸素析出物をも含まないシリコン単結晶を育成することが可能であると考えられる。
本発明によるシリコン単結晶の育成方法は、このような技術的知見に基づき成されたものであって、チョクラルスキー法により育成された空孔凝集空洞欠陥(COP)及び転位クラスタを含まないシリコン単結晶インゴットから評価用試料を切り出し、as-grown状態の評価用試料に反応性イオンエッチングを施した場合に、酸化シリコンを含む欠陥を起因とした突起物が評価用試料の表面に形成されない条件で、シリコン単結晶インゴットの引き上げを行うことを特徴とする。
本発明によれば、反応性イオンエッチングによる評価で突起物が形成されない条件にて引き上げを行っていることから、微小酸素析出物を含まないシリコン単結晶を育成することが可能となる。このため、IGBTのように、ウェーハのバルクの品質に影響されるデバイス用の高品質なシリコン単結晶を提供することが可能となる。すなわち、COPおよび転位クラスタが存在しないシリコン単結晶インゴットであって、このインゴットを径方向に切断して切り出したas-grown状態のウェーハに反応性イオンエッチングを施した場合に、酸化シリコンを含む欠陥を起因とした突起物が形成されない結晶領域で構成されているシリコン単結晶インゴットを提供することが可能となる。
本発明においては、シリコン単結晶インゴットを育成する育成工程と、シリコン単結晶インゴットから評価用試料を切り出す切り出し工程と、as-grown状態の評価用試料に対して反応性イオンエッチングを施すことにより、酸化シリコンを含む欠陥を突起物として顕在化させる評価工程と、評価工程にて顕在化された突起物の発生領域に基づいて、後続の育成工程における育成条件を調整するフィードバック工程とを含み、これによって、突起物が評価用試料の表面に形成されない条件でシリコン単結晶インゴットの引き上げを行うことが好ましい。これによれば、ホット・ゾーンの経時変化に応じて後続の育成工程における育成条件が調整されることから、微小酸素析出物を含まないシリコン単結晶を量産することが可能となる。
育成工程においては、中心部における温度勾配をGcとし、外周部における温度勾配をGeとした場合に、Gc/Ge≧1となる条件で前記シリコン単結晶インゴットを育成することが好ましい。これによれば、微小酸素析出物を含まない結晶領域を径方向全域に拡大することができ、微小酸素析出物を含まないシリコン単結晶の歩留まりを高めることが可能となる。
評価工程において突起物が発生しない領域には、酸化誘起積層欠陥(OSF)が存在しないことが好ましい。これによれば、より高品質なシリコン単結晶を提供することが可能となる。
本発明においては、シリコン単結晶中の酸素濃度が9×1017atoms/cm以下であることが好ましい。これによれば、酸素析出物の発生を効果的に抑制することが可能となる。
評価用試料は、単結晶インゴットを径方向あるいは軸方向に切断して作成されたものであることが好ましい。単結晶インゴットを径方向に切断した評価用試料を用いる場合には、結晶引上げ軸方向に間隔をおいて複数枚のサンプルを切り出すことで、結晶引上げ軸方向の欠陥分布の変化を確認することができる。一方、単結晶インゴットを軸方向に切断した評価用試料を用いる場合には、軸方向に連続した複数枚のサンプルを作成することで、結晶引上げ軸方向の欠陥分布を確認することができる。
このように、本発明のシリコン単結晶の育成方法によれば、欠陥を顕在化させるための熱処理や、シリコンの弾性定数の極低温化に伴う減少量の測定など、時間のかかる処理を行うことなく、微小酸素析出物を含まない高品質なシリコン単結晶を育成することが可能となる。
また、本発明のシリコン単結晶インゴットは、COPや転位クラスタのみならず、微小酸素析出物をも含まないシリコン単結晶インゴットであり、これからウェーハを切り出すことにより、表層およびバルク全域に亘って各種欠陥を含まない高品位なシリコンウェーハを提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態によるシリコン単結晶の育成方法に適用可能な引き上げ装置の構成を示す模式図である。
図1に示すシリコン単結晶引き上げ装置10は、チャンバー11と、チャンバー11の底部中央を貫通して鉛直方向に設けられた支持回転軸12と、支持回転軸12の上端部に固定されたグラファイトサセプタ13と、グラファイトサセプタ13内に収容された石英るつぼ14と、グラファイトサセプタ13の周囲に設けられたヒーター15と、支持回転軸12を昇降及び回転させるための支持軸駆動機構16と、種結晶を保持するシードチャック17と、シードチャック17を吊設する引き上げワイヤー18と、ワイヤー18を巻き取るためのワイヤー巻き取り機構19と、ヒーター15及び石英るつぼ14からの輻射熱によるシリコン単結晶インゴット20の加熱を防止すると共にシリコン融液21の温度変動を抑制するための熱遮蔽部材22と、各部を制御する制御装置23とを備えている。
チャンバー11の上部には、Arガスをチャンバー11内に導入するためのガス導入口24が設けられている。Arガスはガス管25を介してガス導入口24からチャンバー11内に導入され、その導入量はコンダクタンスバルブ26により制御される。
チャンバー11の底部には、チャンバー11内のArガスを排気するためのガス排出口27が設けられている。密閉したチャンバー11内のArガスはガス排出口27から排ガス管28を経由して外へと排出される。排ガス管28の途中にはコンダクタンスバルブ29及び真空ポンプ30が設置されており、真空ポンプ30でチャンバー11内のArガスを吸引しながらコンダクタンスバルブ29でその流量を制御することでチャンバー11内の減圧状態が保たれている。
さらに、チャンバー11の外側にはシリコン融液21に磁場を印加するための磁場供給装置31が設けられている。磁場供給装置31から供給される磁場は、水平磁場であっても構わないし、カスプ磁場であっても構わない。
図2(a)は、シリコン単結晶インゴット20の引き上げ速度Vと欠陥の種類及び分布との関係を示す図であり、図2(b)〜(d)はそれぞれ図2(a)に示すB−B線、C−C線及びD−D線に沿った断面図である。図2(a)に示す欠陥分布は、引上げ速度を徐々に低下させた引上げ速度変更実験を行うことによって得られる。また、図2(a)の引き上げ条件は、引き上げる単結晶の中心部が融点から1370℃までの温度域で、中心部における温度勾配をGcとし、外周部における温度勾配をGeとした場合、Gc/Ge≧1に設定されている。
図2(a)から明らかなように、COP領域41、OSF領域42及び転位クラスタ45を含まない結晶を引き上げるためには、引き上げ速度をV1以上、V3以下に設定することが必要である。つまり、引き上げ速度をV1以上、V3以下に設定すれば、引き上げられた結晶は、Pv領域43とPi領域44だけの無欠陥結晶となる。さらに、COP領域41、OSF領域42及び転位クラスタ45だけでなく、Pv領域43をも含まない結晶、つまり、Pi領域44だけの無欠陥結晶を引き上げるためには、引き上げ速度をV1以上、V2以下に設定することが必要である。もちろん、ここでいう無欠陥とは、ショルダー部やテイル部を含めて無欠陥であることを意味するのではなく、安定的な引き上げ条件下において得られる直胴部の実質的に全長に亘って無欠陥であることを意味する。
このように、Pi領域44だけの無欠陥結晶を引き上げるためには、引き上げ速度をV1以上、V2以下に設定すればよい。しかしながら、既に説明したとおりホット・ゾーンは経時変化することから、引き上げ速度V1,V2は絶対値として与えられるのではなく、ホット・ゾーンの変化に応じた相対的な値として与えられる。したがって、Pi領域44だけの無欠陥結晶を引き上げるためには、引上げ速度変更実験を行うことによって図2(a)に示す欠陥分布を持った結晶を引き上げ、これを参照することによって、引き上げ速度V1,V2を割り出し、実際の引き上げ速度をV1〜V2に設定すればよい。
引き上げ速度をV1〜V2に設定して引き上げを行った後も、実際に引き上げられた結晶を評価することによって、現在の引き上げ速度の適否を判断するとともに、後続のバッチに対するフィードバックを行う必要がある。これについて、以下具体的に説明する。
まず、引き上げ速度VがB−B線に相当する速度である場合、図2(b)に示すように、切り出されたシリコンウェーハ40(評価用試料)の中心部にはディスク状のPv領域43aが現れ、外周部にはリング状のPv領域43bが現れる。これらの間のドーナツ状の領域は、Pi領域44である。ここで、ディスク状のPv領域43aの径はD1であり、リング状のPv領域43bの幅はW1である。Pv領域とPi領域を識別する方法については後述する。このように、シリコンウェーハ40が図2(b)に示す状態である場合、引き上げ速度がV2を超えていると判断することができる。したがって、この場合には、制御装置23によって引き上げ速度Vを低下させる必要があることが分かる。
また、引き上げ速度VがC−C線に相当する速度である場合、図2(c)に示すように、切り出されたシリコンウェーハ40の中心部には、やはりディスク状のPv領域43aが現れ、外周部にはリング状のPv領域43bが現れる。これらの間のドーナツ状の領域は、Pi領域44である。しかしながら、ディスク状のPv領域43aの径はD2であり、図2(b)に示したPv領域43aの径D1よりも小さい(D2<D1)。また、リング状のPv領域43bの幅はW2であり、図2(b)に示したPv領域43bの幅W1よりも狭い(W2<W1)。したがって、この場合も引き上げ速度がV2を超えていると判断することができるが、ディスク状のPv領域43aの径及びリング状のPv領域43bの幅がより縮小されていることから、図2(b)に示すケースと比べて引き上げ速度がよりV2に近いことが分かる。
このように、引き上げ速度がV2以上である場合、ディスク状のPv領域43aの径及びリング状のPv領域43bの幅に応じて、制御装置23による引き上げ速度Vの低下量をどの程度とすれば良いか、判断することが可能となる。
さらに、引き上げ速度VがD−D線に相当する速度である場合、図2(d)に示すように、切り出されたシリコンウェーハ40は全てPi領域44となる。この場合には、引き上げ速度がV1以上、V2以下であると判断することができ、したがって、制御装置23による引き上げ速度Vの変更を行う必要はない。
但し、引き上げ速度がV1未満に低下すると、図2(a)に示すX−X線で示すように、転位クラスタ45が含まれる結晶領域となってしまう。このような結晶はICデバイス用のシリコンウェーハとして不適格であることから、この場合には、制御装置23によって引き上げ速度Vを上昇させる必要がある。
尚、図2では引き上げ条件をGc/Ge≧1に設定しているが、この点は本発明において必須でない。しかしながら、Gc/Ge≧1に設定すれば、図2(a)に示すように、OSF領域42の底部が平坦化され、その結果、無欠陥結晶が得られるV1〜V3の速度域が広がり、ひいてはPi領域44だけの結晶が得られるV1〜V2の速度域が広くなる。これに対し、Gc/Ge<1である場合には、図4に示したように、OSF領域42の底部がU字型となり、OSF領域42が含まれる速度域が広くなってしまう。その結果、V1〜V2の速度域が狭くなり、場合によっては存在しなくなってしまう。このような点を考慮すれば、引き上げ条件をGc/Ge≧1に設定することが望ましい。温度勾配Ge、Gcの調整は、炉内のホット・ゾーン構造(図1に示した熱遮蔽部材22の形状、シリコン融液21の液面と熱遮蔽部材22との距離などを調整することにより行うことができる。
以上説明したように、Pv領域43の形状を観察すれば、現在の引き上げ速度Vの適否が判断できるとともに、引き上げ速度が速すぎる場合には、引き上げ速度をどの程度低下させればよいか判断することが可能となる。尚、初回引上げ時の引上げ条件を決めるときには、少なくともPv領域43とPi領域44を含む結晶領域で育成することが望ましい。これは、図2(b),(c)に示したとおり、Pv領域43とPi領域44を含む結晶領域であれば、ディスク状のPv領域43aの径やリング状のPv領域43bの幅に基づいて、引き上げ速度をどの程度調整すればよいか、容易に判断することができるからである。
また、図2では、シリコン単結晶インゴット20を径方向に切断した評価用試料を用いているが、シリコン単結晶インゴット20を軸方向に切断した評価用試料を用いても構わない。前者の場合、結晶引上げ軸方向に間隔をおいて複数枚のサンプルを切り出すことで、結晶引上げ軸方向の欠陥分布の変化を確認することができる。後者の場合、軸方向に連続した複数枚のサンプルを作成することで、結晶引上げ軸方向の欠陥分布を確認することができる。
次に、Pv領域43の形状を観察する方法について説明する。
Pv領域の位置及び広さは、RIE法によって酸化シリコンを含むgrown-in欠陥をエッチング面上の突起として顕在化させることにより、観察することができる。具体的には、チョクラルスキー法によってCOP及び転位クラスタを含まないシリコン単結晶インゴットを育成し(育成工程)、シリコン単結晶インゴットから評価用試料であるシリコンウェーハを切り出し(切り出し工程)、as-grown状態のシリコンウェーハに対して反応性イオンエッチングを施すことにより、酸化シリコンを含むgrown-in欠陥をエッチング面上の突起として顕在化させる(評価工程)。これにより、Pv領域の形状を観察することができる。
上述の通り、観察されたPv領域の形状は、現在の引き上げ速度Vが最適な引き上げ速度Vに対してどの程度ずれているかを判断する指標となることから、これに基づいて、後続の育成工程における育成条件にフィードバックすれば、所望の品質を持ったシリコン単結晶インゴットを安定的に量産することが可能となる(フィードバック工程)。ここで、所望の品質を持ったシリコン単結晶インゴットとは、上記の評価工程において突起物が評価用試料の表面に形成されないシリコン単結晶インゴットを指す。また、後続の育成工程における育成条件の調整は引上げ速度Vを調整することにより行われる。なお、単結晶成長に伴う単結晶軸方向の温度勾配Gの変化については、シリコン融液21と熱遮蔽部材22との間隔などを調整して温度勾配Gそのものの大きさを調整するようにしてもよく、引上げ速度Vおよび温度勾配Gの双方を調整するようにしてもよい。
RIEによって酸化シリコンを突起として顕在化させるためには、SiOよりもSiの方がエッチングされやすい条件、つまり、Si/SiOの選択比が高い条件でRIEを行う必要がある。これにより、酸素析出物(SiO)がほとんどエッチングされずに、突起として顕在化する。
通常、Pv領域の評価は、酸化雰囲気中で低温熱処理(800℃×4時間)と高温熱処理(1000℃×16時間)の2段階熱処理からなる酸素析出物評価熱処理によって行われる。しかしながら、結晶に含まれる酸素濃度が低い場合、特に、酸素濃度が9×1017atoms/cm以下の低酸素シリコン単結晶インゴットを育成する場合には、酸素析出が抑制されるため、OSFリング領域やPv領域などの検出が困難となり、正確な欠陥分布判定が困難となる。
しかも、上記の酸素析出物評価熱処理では、ある一定サイズ以上の大きさまで酸素析出物が成長しないと検出できないため、サイズの小さな酸素析出核は検出することが困難であり、また、高温熱処理を長時間受けることによって、結晶内に元々存在するサイズの小さな酸素析出核を消滅させてしまう可能性もあるため、as-grown状態におけるgrown-in欠陥を厳密に評価することはできない。
これに対し、RIE法では、高温熱処理を実施しないので酸素析出核が消滅することはなく、as-grown状態におけるgrown-in欠陥をそのまま評価することが可能となる。しかも、結晶に含まれる酸素濃度が低い場合、特に、酸素濃度が9×1017atoms/cm以下の低酸素結晶であっても、微小酸素析出物を突起物として顕在化することができ、確実に検出することが可能となる。
特に限定されるものではないが、評価工程においては、RIEの雰囲気はHBr/Cl/He+O混合ガスとし、Si/SiOの選択比が100以上になるように条件を設定して約5μmエッチングを行うことが好ましい。また、RIE後には、ふっ酸水溶液で洗浄を行ってRIE時に付着した反応生成物を除去することが好ましい。突起物の観察は、RIEでエッチングされた面を集光灯下で目視観察及び光学顕微鏡観察で行うことが好ましい。
評価工程において突起物が形成された領域の判定は、同心円状にディスク状あるいはリング状に分布しているもののみを評価対象とする。これは、結晶欠陥(酸素析出物も同様)は結晶中心に対して同心円状にディスク状あるいはリング状に分布するため、同心円状に分布しない突起物は外乱起因の欠陥であると判定できるからである。したがって、本発明において「突起物が存在しない結晶領域」とは、同心円状にディスク状あるいはリング状に分布しない突起物が含まれていても構わない。
評価工程において突起物が形成される領域は、Pv領域43だけでなく、OSF領域42やCOP領域41も含まれる。換言すれば、突起物が形成された領域がPv領域43であるのか、OSF領域42又はCOP領域41であるのかは、直ちに判断することは困難である。しかしながら、本発明は、突起物が形成されない条件でシリコン単結晶インゴットの引き上げることを目的としているため、いかなる領域で発生した突起物であるのか問うことなく、これを排除する必要がある。具体的には、図2(a)に示すように、突起が形成される領域であるPv領域43、OSF領域42及びCOP領域41は、いずれもPi領域44が得られる引き上げ速度よりも速い速度領域にて発生することから、突起物が観察された場合には、引き上げ速度を低下させればよいことが分かる。
但し、図2(a)に示したように、引き上げ速度がV1未満であると、育成される結晶に転位クラスタ45が含まれてしまう。転位クラスタ45は、RIEによって突起が発生しないことから、上記の評価工程ではPi領域44と区別することができない。しかしながら、Pi領域44と転位クラスタ45の境界は、評価サンプルに通常のセコエッチングなどのエッチング処理を施すことで、目視レベルで簡単に転位クラスタ発生領域を確認することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、as-grown状態の評価用試料に対してRIEを行った場合に突起物が発生しない結晶が得られるよう、引き上げ速度の制御を行っていることから、酸素析出物の非常に少ないシリコン単結晶を育成することが可能となる。したがって、育成されたシリコン単結晶インゴットは、IGBTなどの垂直シリコンデバイス用として好適に用いることが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記の実施形態では、引き上げ速度の制御によってPv領域を排除した例を説明したが、極低酸素結晶においては、Pv領域であってもRIEによって突起物が発生しないことがある。このようなケースにおいては、Pv領域とPi領域を同一視することができることから、Pv領域を排除する必要はない。すなわち、本発明においてPv領域を排除することは必須でなく、あくまでas-grown状態でRIEを施した場合に突起物が形成されなければ足りる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1では、図1に示す引上げ装置を用いて、引き上げる単結晶の中心部が融点から1370℃までの温度域で、単結晶の引き上げ軸方向の温度勾配が中心部はGc、外周部ではGeであるとするとき、Gc/Geが1以上となる条件下で、引上げ速度を徐々に低下させるように引上げ速度変更実験を行って、各種結晶領域を含むシリコン単結晶インゴットを2本育成した。ここで育成したインゴットは、いずれも酸素濃度が12×1017atoms/cmであり、単結晶直径:300mm、結晶方位:<100>、極性:p型(ボロンドープ)、単結晶直胴部長さ:2000mmの単結晶インゴットである。
育成した単結晶インゴットのうち1本は単結晶インゴットを縦割りして、評価用試料を作成した。評価用試料を酸化雰囲気中で、800℃×4時間+1000℃×16時間の酸素析出物評価熱処理を施した後、熱処理後の評価用試料表面を銅デコレーションして1000℃×1時間の熱処理を行った。そして熱処理後の評価試料をライト液で選択エッチングを行ない試料表面に現れたピットを光学顕微鏡で観察した。その結果、図2(a)に示すような結晶領域分布を有していることを確認した。
残りのもう1本の単結晶インゴットについては、先の縦割り評価用試料の観察結果で得られた、図2(a)に示す結晶領域分布のうち、B−B線の位置となる結晶領域、すなわち、図2(b)に示すように、結晶中心部にPv領域43aがディスク状に存在し、その外側領域にPi領域44がリング状に存在し、その外側領域の結晶の外周部にPv領域43bが存在する結晶領域からサンプルウェーハを得るように、径方向に切断して、Pv領域43a、Pi領域44、Pv領域43bが径方向に混在するサンプルウェーハを切り出した。
また、上記と同じ育成条件で、酸素濃度が異なる9×1017atoms/cm、5×1017atoms/cmの2水準のシリコン単結晶インゴットも育成し、それぞれ先に作成したサンプルウェーハと同じ結晶領域となる高さ位置からサンプルウェーハを切り出した。すなわち、酸素濃度が異なるだけで結晶領域は同一のサンプルウェーハを作成したものである。
次に、これら酸素濃度が異なる各サンプルウェーハに以下の2水準の評価処理(A),(B)を行なって、ウェーハ表面で観察される酸素析出物密度分布を調査した。評価処理(A)は従来から実施されている一般的に実施されている酸素析出物評価熱処理による評価であり、評価処理(B)は本発明のRIE処理による評価である。
(A)酸素析出物評価熱処理による評価 <比較例>
各サンプルウェーハに対して、ドライ酸素雰囲気中で800℃×3時間の熱処理を行い、引き続き1000℃×16時間の熱処理を行った。その後、ウェーハ表面に形成された酸化膜を沸酸水溶液で除去した後、ライト液を用いてウェーハ表面を選択エッチングした。エッチングされたウェーハ表面を集光灯下の目視観察と光学顕微鏡観察によって評価し、ウェーハ表面に酸素析出物が発生した領域の広さを測定した。測定した結果を模式的に図3(a)〜(c)に示す。図3(a)〜(c)は、それぞれ酸素濃度が12×1017atoms/cm、9×1017atoms/cm、5×1017atoms/cmのサンプルであり、ハッチングを施した領域が酸素析出物として顕在化され検出できた領域(Pv領域)である。
(B)RIE処理による評価 <実施例>
各サンプルウェーハに対して、SiとSiOの選択比が高い(SiOがエッチングされ難い)条件の反応性イオンエッチング(RIE)を施して、酸化シリコンを含む欠陥を起因とした円錐状の突起物をウェーハ表面上に形成した。RIEの雰囲気はHBr/Cl/He+O混合ガスとし、Si/SiOの選択比が100以上になるように条件を設定して約5μmエッチングを行った。その後、RIE処理時に付着した反応性生物を沸酸水溶液で洗浄して除去した後、エッチングされたウェーハ表面を集光灯下の目視観察と光学顕微鏡観察によって評価し、ウェーハ表面に形成された突起物の発生領域の広さを測定した。集光灯下による目視観察時の評価写真を図3(d)〜(f)に示す。図3(d)〜(f)は、それぞれ酸素濃度が12×1017atoms/cm、9×1017atoms/cm、5×1017atoms/cmのサンプルであり、白く色が抜けて見える領域が突起物の存在する領域(Pv領域)に相当するものである。
<評価結果>
評価処理(A)で評価した場合、酸素濃度が12×1017atoms/cmのサンプルウェーハに比べ、酸素濃度が9×1017atoms/cmのものは、酸素析出物領域として検出される領域の幅が縮小化する現象が見られ、酸素濃度が5×1017atoms/cmの低酸素にもなると、ウェーハ表面には酸素析出物は全く観察されなかった。
一方、評価処理(B)で評価した場合、酸素析出物密度に多少の差はあるものの、酸素濃度が9×1017atoms/cmであっても、5×1017atoms/cmであっても、酸素濃度が12×1017atoms/cmのサンプルウェーハと同じ欠陥分布の幅で突起物が観察された。
これは、単結晶インゴットの酸素濃度の低下に伴い、評価処理(A)では酸素析出物分布が変化し、評価処理(B)は評価処理(A)では検出されない酸素析出物を検出できることを意味するものである。従って、評価処理(B)により評価を実施し、突起物として検出されない結晶領域となるように育成条件(引上げ速度および/または温度勾配)を調整することにより、デバイスへの影響が懸念される微小酸素析出物をも排除したシリコン単結晶インゴットの育成が可能となる。
実施例2では、RIE法を用いた欠陥評価を行なった場合でも、突起物が検出されない、COPも転移クラスタも存在しない単結晶を育成する実験を試みた。
まず、実施例1で得られた評価処理(B)の評価結果をもとに、突起物が検出されない結晶領域となる引上げ速度を求め、この範囲となるように引上げ速度を調整するようにした。その他の育成条件は実施例1と同じ育成条件であり、ここでは酸素濃度が6×1017atoms/cmのシリコン単結晶インゴットを育成した。
次に、育成した単結晶インゴット直胴部のトップ位置から下方に100mmの位置と直胴部のボトム位置から上方に200mmの位置から、径方向にサンプルウェーハを切り出した。
そして、両サンプルウェーハに対して、実施例2の評価処理(B)と同じ条件で評価処理を行なった。その結果、両サンプルウェーハとも、結晶中心と同心円状に分布するような突起物は全く観察されなかった。
本発明の好ましい実施形態によるシリコン単結晶の育成方法に適用可能な引き上げ装置の構成を示す模式図である。 (a)はシリコン単結晶インゴットの引き上げ速度Vとシリコン単結晶インゴット内に発生する欠陥の種類及び分布との関係を示す図であり、(b)〜(d)はそれぞれ(a)に示すB−B線、C−C線及びD−D線に沿った断面図である。 実施例1における評価結果を示す図である。 V/Gとシリコン単結晶インゴット内に発生する欠陥の種類及び分布との一般的な関係を示す図である。
符号の説明
10 シリコン単結晶引き上げ装置
11 チャンバー
12 支持回転軸
13 グラファイトサセプタ
14 石英るつぼ
15 ヒーター
16 支持軸駆動機構
17 シードチャック
18 ワイヤー
19 ワイヤー巻き取り機構
20 シリコン単結晶インゴット
21 シリコン融液
22 熱遮蔽部材
23 制御装置
24 ガス導入口
25 ガス管
26 コンダクタンスバルブ
27 ガス排出口
28 排ガス管
29 コンダクタンスバルブ
30 真空ポンプ
31 磁場供給装置
40 シリコンウェーハ
41 COP領域
42 OSF領域
43 Pv領域
44 Pi領域
45 転位クラスタ

Claims (8)

  1. チョクラルスキー法により育成された空孔凝集空洞欠陥(COP)及び転位クラスタを含まないシリコン単結晶インゴットから評価用試料を切り出し、as-grown状態の前記評価用試料に反応性イオンエッチングを施した場合に、酸化シリコンを含む欠陥を起因とした突起物が前記評価用試料の表面に形成されない条件で、前記シリコン単結晶インゴットの引き上げを行うことを特徴とするシリコン単結晶の育成方法。
  2. 前記シリコン単結晶インゴットを育成する育成工程と、
    前記シリコン単結晶インゴットから前記評価用試料を切り出す切り出し工程と、
    as-grown状態の前記評価用試料に対して反応性イオンエッチングを施すことにより、酸化シリコンを含む欠陥を前記突起物として顕在化させる評価工程と、
    前記評価工程にて顕在化された前記突起物の発生領域に基づいて、後続の前記育成工程における育成条件を調整するフィードバック工程と、
    を含み、これによって、前記突起物が前記評価用試料の表面に形成されない条件で前記シリコン単結晶インゴットの引き上げを行うことを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  3. 前記育成工程においては、中心部における温度勾配をGcとし、外周部における温度勾配をGeとした場合に、Gc/Ge≧1となる条件で前記シリコン単結晶インゴットを育成することを特徴とする請求項2記載のシリコン単結晶の育成方法。
  4. 前記評価工程において前記突起物が発生しない領域には、酸化誘起積層欠陥(OSF)が存在しないことを特徴とする請求項2又は3記載のシリコン単結晶の育成方法。
  5. 前記シリコン単結晶中の酸素濃度が9×1017atoms/cm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  6. 前記評価用試料は単結晶インゴットを径方向あるいは軸方向に切断して作成されたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  7. チョクラルスキー法により育成された空孔凝集空洞欠陥(COP)および転位クラスタが存在しないシリコン単結晶インゴットであって、このインゴットを径方向に切断して切り出したas-grown状態のウェーハに反応性イオンエッチングを施した場合に、酸化シリコンを含む欠陥を起因とした突起物が形成されない結晶領域で構成されていることを特徴とするシリコン単結晶インゴット。
  8. 前記シリコン単結晶中の酸素濃度が9×1017atoms/cm以下であることを特徴とする請求項7に記載のシリコン単結晶インゴット。
JP2008288326A 2008-10-27 2008-11-11 シリコン単結晶の育成方法及びシリコン単結晶インゴット Withdrawn JP2010116271A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008288326A JP2010116271A (ja) 2008-11-11 2008-11-11 シリコン単結晶の育成方法及びシリコン単結晶インゴット
US12/604,627 US8771415B2 (en) 2008-10-27 2009-10-23 Method of manufacturing silicon single crystal, silicon single crystal ingot, and silicon wafer
KR1020090102206A KR101272659B1 (ko) 2008-10-27 2009-10-27 실리콘 단결정의 제조 방법, 실리콘 단결정 잉곳 및 실리콘 웨이퍼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008288326A JP2010116271A (ja) 2008-11-11 2008-11-11 シリコン単結晶の育成方法及びシリコン単結晶インゴット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010116271A true JP2010116271A (ja) 2010-05-27

Family

ID=42304171

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008288326A Withdrawn JP2010116271A (ja) 2008-10-27 2008-11-11 シリコン単結晶の育成方法及びシリコン単結晶インゴット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010116271A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019087469A1 (ja) * 2017-10-31 2019-05-09 株式会社Sumco シリコンブロックの品質判定方法、シリコンブロックの品質判定プログラム、およびシリコン単結晶の製造方法
CN113009075A (zh) * 2019-12-20 2021-06-22 胜高股份有限公司 单晶硅晶片的氧化膜耐压的评价方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019087469A1 (ja) * 2017-10-31 2019-05-09 株式会社Sumco シリコンブロックの品質判定方法、シリコンブロックの品質判定プログラム、およびシリコン単結晶の製造方法
JP2019081680A (ja) * 2017-10-31 2019-05-30 株式会社Sumco シリコンブロックの品質判定方法、シリコンブロックの品質判定プログラム、およびシリコン単結晶の製造方法
CN113009075A (zh) * 2019-12-20 2021-06-22 胜高股份有限公司 单晶硅晶片的氧化膜耐压的评价方法
CN113009075B (zh) * 2019-12-20 2023-05-30 胜高股份有限公司 单晶硅晶片的氧化膜耐压的评价方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101272659B1 (ko) 실리콘 단결정의 제조 방법, 실리콘 단결정 잉곳 및 실리콘 웨이퍼
EP1310583B1 (en) Method for manufacturing of silicon single crystal wafer
JP5993550B2 (ja) シリコン単結晶ウェーハの製造方法
JP5163459B2 (ja) シリコン単結晶の育成方法及びシリコンウェーハの検査方法
KR101997561B1 (ko) 실리콘 단결정봉의 제조방법
TWI486493B (zh) 矽單結晶的檢查方法及製造方法
CN105247113A (zh) 用于半导体的单晶硅锭和晶片
JPH0393700A (ja) シリコン単結晶の熱処理方法および装置ならびに製造装置
CN105917449B (zh) 单晶硅晶圆的热处理方法
JP4192530B2 (ja) パーティクルモニター用シリコン単結晶ウェーハの製造方法
JP2002145697A (ja) 単結晶シリコンウェーハ、インゴット及びその製造方法
JP2010275147A (ja) シリコンウェーハの結晶欠陥評価方法
JP6493105B2 (ja) エピタキシャルシリコンウェーハ
JP2011222842A (ja) エピタキシャルウェーハの製造方法、エピタキシャルウェーハ及び撮像用デバイスの製造方法
JP4158237B2 (ja) 高品質シリコン単結晶の育成方法
JP2010116271A (ja) シリコン単結晶の育成方法及びシリコン単結晶インゴット
JP5195671B2 (ja) シリコン単結晶の製造方法
JP5223513B2 (ja) 単結晶の製造方法
JP6418085B2 (ja) シリコン単結晶の検査方法および製造方法
JP2001089294A (ja) 点欠陥の凝集体が存在しないシリコン単結晶の連続引上げ法
JP5668764B2 (ja) シリコン単結晶の製造方法
JP5141495B2 (ja) シリコン単結晶の製造方法及びシリコンウェーハ
JP3890861B2 (ja) シリコン単結晶の引上げ方法
JP2013175742A (ja) エピタキシャルウェーハの製造方法、エピタキシャルウェーハ及び撮像用デバイスの製造方法
JP2017132686A (ja) シリコン単結晶の製造方法およびシリコンウェーハ

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20120207