JP2010073536A - 固体高分子形燃料電池用ガス拡散層 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温での焼成処理を施すことなく、均一かつ撥水性に優れ、且つ、燃料電池に使用した際にセル抵抗を抑え、セル電位の低下を抑制することができる固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を提供する。
【解決手段】ガス拡散層の表面が疎水性官能基を有する分子鎖により表面修飾され、
該分子鎖がグラフト処理により形成されている、
固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
【選択図】なし
【解決手段】ガス拡散層の表面が疎水性官能基を有する分子鎖により表面修飾され、
該分子鎖がグラフト処理により形成されている、
固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規な固体高分子形燃料電池用ガス拡散層に関する。
燃料電池は、電解質膜の両面に電極が配置され、水素と酸素の電気化学反応により発電する電気化学システムであり、発電時に発生するのは水のみである。このように従来の内燃機関と異なり、燃料電池は、二酸化炭素等の環境負荷ガスを発生しないため、次世代のクリーンエネルギーシステムとして普及が見込まれている。その中でも特に固体高分子形燃料電池は、作動温度が低く、電解質の抵抗が少ないことに加え、活性の高い触媒を用いるので、小型でも高出力を得ることができ、家庭用コージェネレーションシステム等として早期の実用化が見込まれている。
この固体高分子形燃料電池は、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜を用い、この電解質膜の両面に触媒層が配置され、さらにその外側にガス拡散層が配置された構造をしている。そして、この触媒層及びガス拡散層からなる電極の周囲を囲むようにガスケットを配置し、さらにこれをセパレータで挟んだ構造を有している。
通常、固体高分子形燃料電池で用いる固体高分子電解質膜は、プロトン伝導性を高く保つように、乾燥を防ぐために燃料もしくは酸化剤を加湿して供給される。その一方で、過剰な水分が供給されると触媒層やガス拡散層において水が凝縮して細孔内を閉塞するフラッディングという現象が起こる。その結果、燃料や酸化剤の電極内の移動が阻害され発電に不具合が生じる恐れがある。そこで、フラッディングを防止するために、ガス拡散層や触媒層に撥水性を持たせることが重要である。
一般に、ガス拡散層には、カーボンペーパーやカーボンクロス等の導電性多孔質基材が用いられ、これに撥水性を持たせるために、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等で表面処理が施される。例えば、特許文献1の実施例に記載されるように、PTFEの分散液に導電性多孔質基材を浸漬させた後、分散媒や分散剤を除去するために350℃程度の高温で焼成することで、撥水処理が行われる。
また、上述のようにガス拡散層には導電性多孔質基材が用いられるが、導電性多孔質基材上と触媒層の両者の間に中間層が設けられることがある。これは、下地層やMPL(micro porous layer)等と呼ばれ、ガス拡散層上に均一な厚さの触媒層を形成したり、触媒層へのガス供給を均一化したりする等の役割を持つ機能層となっている。この中間層には、ガス拡散層と同様に、フラッディングを防止するために撥水性を持たせることが望ましく、例えば、カーボン粒子とPTFEから構成されている。なお、上記中間層が設けられる場合には、導電性多孔質基材はガス拡散基材と呼ばれ、ガス拡散基材と中間層をあわせたものがガス拡散層と呼ばれる。
ところで、ガス拡散層及びガス拡散基材、中間層に撥水性を持たせるためには、上述のようにPTFEで表面処理を行うことが一般的である。350℃程度の高温で焼成することにより、多孔質基材やカーボン粒子がPTFEでコーティングされて撥水性が発揮されるようになる。しかし、特許文献1に記載の実施例のように、多孔質基材と中間層それぞれの撥水処理のために350℃程度の高温での焼成を2回も行うことは、効率が悪く、コスト面でも好ましくない。一方で、特許文献2では、ガス拡散層に撥水処理を施した後は焼成せず、中間層を形成した後に1度だけ焼成を行っている。その結果、作業効率の向上が期待されるが、ガス拡散層上で融解したPTFEの一部が隣接する中間層側にしみこむことでコーティングが不完全となり、ガス拡散層が均一かつ充分な撥水性を持たない恐れがある。
一方で、PTFEは絶縁材であるため、上述のように撥水処理を目的にPTFEでコーティングを行うことは、セル抵抗の増加に繋がることが知られている。セル抵抗の増加に伴う発電性能の低下を抑制するためには、過度のPTFEコーティングを避ける必要があるが、撥水性と導電性はトレードオフの関係にあるため両者をバランスよく獲得することは難しい。
特開2005−19298号公報
特開2002−56851号公報
本発明は、高温での焼成処理を施すことなく、均一かつ撥水性に優れ、且つ、燃料電池に使用した際にセル抵抗を抑え、セル電位の低下を抑制することができる固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、ガス拡散層の表面に、グラフト処理により、疎水性官能基を有する分子鎖で表面修飾することで、上記課題を解決した所望のガス拡散層が得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層、電解質膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池にかかる。
項1.ガス拡散層の表面が疎水性官能基を有する分子鎖により表面修飾され、
該分子鎖がグラフト処理により形成されている、
固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
該分子鎖がグラフト処理により形成されている、
固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
項2.グラフト処理が、ビニルモノマーを用いたグラフト重合法である、項1に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
項3.グラフト処理が、放射線グラフト重合法又はラジカルグラフト重合法である、項1又は2に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
項4.ビニルモノマーが、式(1):
CX1X2=CX3X4
(式中、X1、X2及びX3は同じか又は異なり、いずれもH又はF;X4は炭素数が0〜12であり、水素原子の一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい炭化水素である)
で示される、項2又は3に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
CX1X2=CX3X4
(式中、X1、X2及びX3は同じか又は異なり、いずれもH又はF;X4は炭素数が0〜12であり、水素原子の一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい炭化水素である)
で示される、項2又は3に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
項5.項1〜4のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を備える、電解質膜−電極接合体。
項6.項1〜4のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を備える、固体高分子形燃料電池。
1.ガス拡散層
本発明の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層は、表面が疎水性官能基を有する分子鎖により表面修飾され、該分子鎖がグラフト処理により形成されているものである。
本発明の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層は、表面が疎水性官能基を有する分子鎖により表面修飾され、該分子鎖がグラフト処理により形成されているものである。
<導電性多孔質基材>
ガス拡散層又はガス拡散基材に使用される導電性多孔質基材としては、燃料又は酸化剤を透過させることができる多孔質基材であり、かつ電子伝導性を有する基材が使用される。具体的には、炭素繊維からなるカーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト、カーボン不織布等が用いられる。なお、水酸基やカルボン酸基等グラフト処理に関与する表面官能基密度を増すために、水蒸気処理や酸処理等の表面処理を行ってもよい。ここで、水蒸気処理とは、水蒸気雰囲気下(酸素又は空気を含んでもよい)でカーボンを高温焼成することで、表面に含酸素、含水素官能基を付与することをいい、酸処理とは、硫酸、塩酸、硝酸、ホウ酸等の酸を用いて、カーボンを浸漬した後に高温焼成することで、表面に所望の官能基を付与することをいう。
ガス拡散層又はガス拡散基材に使用される導電性多孔質基材としては、燃料又は酸化剤を透過させることができる多孔質基材であり、かつ電子伝導性を有する基材が使用される。具体的には、炭素繊維からなるカーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト、カーボン不織布等が用いられる。なお、水酸基やカルボン酸基等グラフト処理に関与する表面官能基密度を増すために、水蒸気処理や酸処理等の表面処理を行ってもよい。ここで、水蒸気処理とは、水蒸気雰囲気下(酸素又は空気を含んでもよい)でカーボンを高温焼成することで、表面に含酸素、含水素官能基を付与することをいい、酸処理とは、硫酸、塩酸、硝酸、ホウ酸等の酸を用いて、カーボンを浸漬した後に高温焼成することで、表面に所望の官能基を付与することをいう。
<撥水化処理>
本発明では、上記ガス拡散層に撥水化処理を施すことにより、疎水性官能基を有する分子鎖により表面修飾されたガス拡散層を作製する。この撥水化処理は、グラフト重合法を用いて、上記ガス拡散基材に疎水性官能基を有する分子鎖を表面修飾することにより行う。
本発明では、上記ガス拡散層に撥水化処理を施すことにより、疎水性官能基を有する分子鎖により表面修飾されたガス拡散層を作製する。この撥水化処理は、グラフト重合法を用いて、上記ガス拡散基材に疎水性官能基を有する分子鎖を表面修飾することにより行う。
グラフト重合法としては、ガンマ線や電子線等の放射線照射を伴う重合法(放射線グラフト重合)、プラズマ照射を伴う重合法(プラズマグラフト重合)や、開始剤を用いてラジカルを形成させる重合法(ラジカルグラフト重合)等が挙げられるが、比較的簡便で自由度の高い操作により均一なグラフト鎖が得られる点から、放射線グラフト重合又はラジカルグラフト重合が好ましい。また、一般に導電性材料はプラズマの発生を妨げるため、プラズマグラフト重合法は適用が難しい点も挙げられる。これらの重合法は、単独の重合法を用いてもよいし、複数の重合法を組み合わせて用いてもよい。
以下、それぞれの重合法について説明する。
(放射線グラフト重合)
放射線グラフト重合は、例えば、
工程1−1:導電性多孔質基材を容器に入れ、真空排気
工程1−2:放射線を照射
工程1−3:モノマーを導入
工程1−4:グラフト重合反応を進行(温度制御)
工程1−5:停止剤を投入(重合反応を停止)
工程1−6:洗浄(未反応物及び非グラフト性ポリマーの除去)、乾燥
により、行われる。
放射線グラフト重合は、例えば、
工程1−1:導電性多孔質基材を容器に入れ、真空排気
工程1−2:放射線を照射
工程1−3:モノマーを導入
工程1−4:グラフト重合反応を進行(温度制御)
工程1−5:停止剤を投入(重合反応を停止)
工程1−6:洗浄(未反応物及び非グラフト性ポリマーの除去)、乾燥
により、行われる。
工程1−1では、導電性多孔質基材を容器に入れ、真空排気する。具体的には、処理対象となるガス拡散基材を所望の寸法に切り出し、真空排気装置を接続した容器に入れる。そして、真空排気装置により真空引きした後に、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気に容器内を満たす。
工程1−2では、放射線を照射する。使用できる放射線としては、γ線、電子線、紫外線等が挙げられる。例えば、γ線を照射する場合には、コバルト60線源等を使用することができる。
照射線量は、使用するガス拡散基材の種類にもよるが、1kGy〜100kGy程度とするのが好ましい。
工程1−3では、容器内にモノマーを導入する。
この際使用するモノマーとしては、グラフト重合反応を制御しやすい点から、ビニルモノマーが好ましく、式(1):
CX1X2=CX3X4
(式中、X1、X2及びX3は同じか又は異なり、いずれもH又はF;X4は炭素数が0〜12であり、水素原子の一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい炭化水素である)
で示されるものがより好ましい。なお、X4の炭素数は、0〜12が好ましく、0〜10がより好ましい。
CX1X2=CX3X4
(式中、X1、X2及びX3は同じか又は異なり、いずれもH又はF;X4は炭素数が0〜12であり、水素原子の一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい炭化水素である)
で示されるものがより好ましい。なお、X4の炭素数は、0〜12が好ましく、0〜10がより好ましい。
このビニルモノマーとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等の直鎖型のものや、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、1−フェニル−2−ブテン等のベンゼン環を有するもの等が挙げられる。なお、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン等のビニル基を複数有するものを用いてもよい。また、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のフッ素原子を有するものを用いてもよい。これらのなかでも、取扱いが比較的容易で重合性に優れる点から、スチレン、テトラフルオロエチレン、α−メチルスチレン、が好ましく、スチレン、テトラフルオロエチレンがより好ましい。
工程1−3では、モノマーが気体である場合には、容器内を一旦真空引きした上で、モノマーを容器内に所定の圧力で充填する。この際の好ましい圧力は、モノマーにもよるが、0.1hPa〜100hPa程度である。なお、このときモノマーは、窒素やアルゴン等の酸素を含まない不活性ガスにより希釈されていてもよい。
また、モノマーが液体である場合や溶液として使用する場合には、容器内にモノマー液又はモノマー溶液を導入し、放射線照射を施されたガス拡散基材を浸漬する。上記溶液に用いる溶媒は、モノマーが溶解し、基材を充分に濡らすことができることが好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、トルエン、酢酸エチル、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。なお、グラフト反応に影響しない範囲内であれば、必要に応じてジアルキルスルホサクシネート金属塩、ポリカルボン酸金属塩等のような陰イオン界面活性剤;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物やアセチレンアルコールなどのノニオン系界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩などの陽イオン界面活性剤等の分散剤を入れてもよい。
工程1−4では、グラフト重合反応を進行させる。この際、重合反応に適した温度に保持する。好ましい保持温度は、目的とするグラフト反応により変わるが、通常室温(25℃)〜100℃程度である。また、保持時間は、特に制限されるわけではないが、60〜80℃程度である。
この工程により、ガス拡散基材の表面を、疎水性官能基を有する分子鎖で表面修飾することができる。なお、このときの疎水性官能基を有する分子鎖としては、アルキル基、アリル基、フェニル基、芳香環等を有する炭化水素系ビニルモノマーから形成されるものである。具体的には、ポリキシレンやポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。なお、これらのうち、水素末端(C−H)の一部又は全部がフッ素原子に置換(C−F)されていてもよい。
工程1−5では、所定の保持時間経過後、反応停止処理を行う。この際使用する停止剤としては、特に制限されないが、ヒドロキノン、ヒドロキシアミン、フェノチアジン、酸素等を使用することができる。
最後に、工程1−6で、洗浄、乾燥を行う。
洗浄することにより、未反応のモノマーや非グラフト性のポリマーを除去する。この際使用する溶剤は、特に制限されないが、メタノール、エタノール、ヘキサン、アセトン、トルエン、クロロホルム等が使用できる。
最後に、乾燥することにより、本発明のガス拡散層を得る。この際の乾燥温度は制限されないが、通常60〜120℃程度である。
(ラジカルグラフト重合)
ラジカルグラフト重合は、例えば、
工程2−1:ガス拡散基材を反応容器に入れる
工程2−2:モノマーを投入
工程2−3:反応開始剤を投入
工程2−4:停止剤を投入(重合反応を停止)
工程2−5:洗浄(未反応物、非グラフト性ポリマーの除去)、乾燥
により、行われる。
ラジカルグラフト重合は、例えば、
工程2−1:ガス拡散基材を反応容器に入れる
工程2−2:モノマーを投入
工程2−3:反応開始剤を投入
工程2−4:停止剤を投入(重合反応を停止)
工程2−5:洗浄(未反応物、非グラフト性ポリマーの除去)、乾燥
により、行われる。
工程2−1では、ガス拡散基材を反応容器に入れる。
工程2−2では、モノマーを投入する。ここで、モノマーとしては、放射線グラフト重合におけるモノマーと同様のものを使用することができ、モノマー液又はモノマー溶液として投入する。
工程2−3では、反応開始剤を投入し、グラフト重合を開始する。使用する開始剤は、モノマーの種類によっても変わるが、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)等を使用することができる。
工程2−4〜2−5は、工程1−5〜1−6と同様である。
2.電解質膜−電極接合体
本発明の電解質膜−電極接合体は、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に触媒層が配置され、さらにその外側に上述のガス拡散層が配置された構造を有している。その作製の際には、触媒層は、電解質膜上に形成されたものを用いてもよく、ガス拡散層上に形成されたものを用いてもよい。
本発明の電解質膜−電極接合体は、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に触媒層が配置され、さらにその外側に上述のガス拡散層が配置された構造を有している。その作製の際には、触媒層は、電解質膜上に形成されたものを用いてもよく、ガス拡散層上に形成されたものを用いてもよい。
電解質膜は、水素イオン伝導性のものであれば限定的ではなく、公知又は市販のものを使用できる。電解質膜の具体例としては、例えば、デュポン社製の「Nafion」膜、旭硝子(株)製の「Flemion」膜、旭化成(株)製の「Aciplex」膜、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」膜等が挙げられる。
電解質膜の膜厚は、通常10〜500μm程度、好ましくは15〜300μm程度、より好ましくは20〜150μm程度とすればよい。
また、触媒層は、固体高分子形燃料電池の触媒層として使用できるものであればよく、一般的には、(1)触媒担持炭素粒子(触媒を担持させた炭素粒子)及び(2)水素イオン伝導性電解質を必須成分とするものが使用される。
触媒担持炭素粒子及び水素イオン伝導性電解質は公知又は市販のものを使用することができる。
触媒としては、燃料電池の電極反応を生じさせるものであればよく、例えば、白金、白金合金、白金化合物等が挙げられる。白金合金の具体例としては、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄等からなる群より選択される少なくとも1種の金属と白金との合金が挙げられる。
水素イオン伝導性電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂、特に、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等が挙げられる。このような電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)等が挙げられる。
触媒層の厚みは限定的でなく、固体高分子形燃料電池の触媒層として一般的に採用されている範囲とすればよい。例えば5〜120μm程度、好ましくは10〜50μm程度、より好ましくは15〜30μm程度とすればよい。
触媒担持炭素粒子と水素イオン伝導性高分子電解質との含有割合は、前者1重量部に対して、後者を0.1〜5重量部程度、好ましくは0.2〜4重量部程度とすればよい。
触媒層は、必要に応じて、炭素繊維、例えば気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー等の公知の添加剤を含有していてもよい。
3.固体高分子形燃料電池
本発明の固体高分子形燃料電池は、上述の電解質膜−電極接合体の両面に、燃料もしくは酸化剤を供給・排出するための流路を備えたセパレータが配置されることにより得られるものである。
本発明の固体高分子形燃料電池は、上述の電解質膜−電極接合体の両面に、燃料もしくは酸化剤を供給・排出するための流路を備えたセパレータが配置されることにより得られるものである。
また、導電性多孔質基材としては、特に制限されないが、カーボンペーパーやカーボンクロス等を使用することができる。
本発明によれば、高温での焼成処理を施すことなく、均一かつ撥水性に優れ、且つ、燃料電池に使用した際にセル抵抗を抑え、セル電位の低下を抑制することができるガス拡散層を得ることができる。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
実施例1:TFEの放射線グラフト
カーボンペーパーをガラス容器内に入れ、真空排気を行った後、窒素ガスで置換し、窒素雰囲気下でコバルト60線源を用いてγ線を20kGy照射した。
カーボンペーパーをガラス容器内に入れ、真空排気を行った後、窒素ガスで置換し、窒素雰囲気下でコバルト60線源を用いてγ線を20kGy照射した。
一旦真空排気を行った後に、これに、テトラフルオロエチレン(TFE)を導入し、70℃にて5時間保持することで重合反応を行った。
回収したカーボンペーパーをメタノールで洗浄した後、80℃で1時間乾燥させることにより、実施例1のガス拡散層を得た。
なお、このガス拡散基材は、カーボンペーパーの表面に、疎水性官能基を有する分子鎖として、ポリテトラフルオロエチレンが形成されていることを、赤外吸収分光法により−CF2−に由来する吸収ピーク(1200−1300cm−1付近、C−F伸縮振動)を検出することにより確認した。
実施例2:スチレンの放射線グラフト
カーボンペーパーをガラス容器内に入れ、真空排気を行った後、窒素ガスで置換し、窒素雰囲気下でコバルト60線源を用いてγ線を20kGy(10kGy/h×2h)照射した。これにスチレンモノマー:ジビニルベンゼン:キシレン=95:5:30(体積比)の混合溶液を加え、60℃で2時間重合反応を行った。回収したカーボンペーパーをメタノールで洗浄した後、80℃で1時間乾燥させることにより、実施例2のガス拡散層を得た。
カーボンペーパーをガラス容器内に入れ、真空排気を行った後、窒素ガスで置換し、窒素雰囲気下でコバルト60線源を用いてγ線を20kGy(10kGy/h×2h)照射した。これにスチレンモノマー:ジビニルベンゼン:キシレン=95:5:30(体積比)の混合溶液を加え、60℃で2時間重合反応を行った。回収したカーボンペーパーをメタノールで洗浄した後、80℃で1時間乾燥させることにより、実施例2のガス拡散層を得た。
なお、このガス拡散基材は、カーボンペーパーの表面に、疎水性官能基を有する分子鎖として、ベンゼン環(3000−3200cm−1付近、スチレンのベンゼン環C−H伸縮振動)を有することを、赤外吸収分光法により確認した。
実施例3:スチレンのラジカルグラフト
80℃でスチレンを30wt%溶解させたキシレン溶液300gにカーボンペーパーを浸漬し、開始剤として過酸化ベンゾイル0.4gを添加し、80℃で3時間保持することで重合反応を行った。冷却し、回収したカーボンペーパーをメタノールで洗浄した後、80℃で1時間乾燥させることにより、実施例3のガス拡散層を得た。
80℃でスチレンを30wt%溶解させたキシレン溶液300gにカーボンペーパーを浸漬し、開始剤として過酸化ベンゾイル0.4gを添加し、80℃で3時間保持することで重合反応を行った。冷却し、回収したカーボンペーパーをメタノールで洗浄した後、80℃で1時間乾燥させることにより、実施例3のガス拡散層を得た。
なお、このガス拡散基材は、カーボンペーパーの表面に、疎水性官能基を有する分子鎖として、ベンゼン環(3000−3200cm−1付近、スチレンのベンゼン環C−H伸縮振動)を有することを、赤外吸収分光法により確認した。
比較例1:未処理
グラフト重合による撥水化処理を行っていないカーボンパーパーを比較例1のガス拡散層とした。
グラフト重合による撥水化処理を行っていないカーボンパーパーを比較例1のガス拡散層とした。
比較例2:PTFE分散液に浸漬後焼成
特許文献1を参考に以下の手順で撥水化処理を行った。水で約5wt%に希釈したPTFE分散液にカーボンペーパーを浸漬した。その後、窒素雰囲気下350℃にて1時間焼成することで、PTFEを約2.5g/m2付着させた。このようにして比較例2のガス拡散層を得た。
特許文献1を参考に以下の手順で撥水化処理を行った。水で約5wt%に希釈したPTFE分散液にカーボンペーパーを浸漬した。その後、窒素雰囲気下350℃にて1時間焼成することで、PTFEを約2.5g/m2付着させた。このようにして比較例2のガス拡散層を得た。
試験例1:接触角
実施例1〜3及び比較例1〜2のガス拡散層について、水に対する静止接触角測定により、撥水性を評価した。
実施例1〜3及び比較例1〜2のガス拡散層について、水に対する静止接触角測定により、撥水性を評価した。
結果を表1に示す。
撥水化処理を施していないカーボンペーパーでは、静止接触角が130度程度であるが、グラフト処理を施すことにより増大し、撥水性が向上することがわかる。
試験例2:PEFC発電性能
電解質膜にはNafion112膜(デュポン社製)を、Pt/C触媒(田中貴金属工業(株)製TEC10E50E、白金担持量45.9wt%)及びNafion溶液(デュポン社製、DN520)を用いて形成した触媒層を有する電解質膜−触媒層接合体(CCM)を用いた。
電解質膜にはNafion112膜(デュポン社製)を、Pt/C触媒(田中貴金属工業(株)製TEC10E50E、白金担持量45.9wt%)及びNafion溶液(デュポン社製、DN520)を用いて形成した触媒層を有する電解質膜−触媒層接合体(CCM)を用いた。
触媒ロード量は両極とも0.5mg−Pt/cm2とした。ガス拡散層として、燃料極側には未処理の東レ(株)製カーボンペーパーTGP−H−090を、空気極側には実施例1〜3及び比較例1〜2のカーボンペーパーを使用した。セル温度80℃、燃料極露点80℃、空気極露点70℃、燃料利用率Uf/Ua=70%/40%での単セル評価より電流−電圧特性を得た。その結果を図1に示す。図1より、未処理(比較例1)では600mA/cm2付近からセル電位が大きく低下することがわかり、実施例1〜3に比べるとその程度は著しく、フラッディングにより発電性能が低下することが示唆される。PTFE分散液に浸漬後焼成した場合(比較例2)には、未処理のような大きなセル電位の低下は見られないが、実施例1〜3に比べると全体的にセル電位が低く、電流密度が大きくなるにつれ、その差が大きくなることがわかる。撥水性に優れる一方でセル抵抗が増加したために発電性能が低下することが示唆される。
Claims (6)
- ガス拡散層の表面が疎水性官能基を有する分子鎖により表面修飾され、
該分子鎖がグラフト処理により形成されている、
固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。 - グラフト処理が、ビニルモノマーを用いたグラフト重合法である、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
- グラフト処理が、放射線グラフト重合法又はラジカルグラフト重合法である請求項1又は2に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
- ビニルモノマーが、式(1):
CX1X2=CX3X4
(式中、X1、X2及びX3は同じか又は異なり、いずれもH又はF;X4は炭素数が0〜12であり、水素原子の一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい炭化水素である)
で示される、請求項2又は3に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を備える、電解質膜−電極接合体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を備える、固体高分子形燃料電池。
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JP2008240744A JP2010073536A (ja) | 2008-09-19 | 2008-09-19 | 固体高分子形燃料電池用ガス拡散層 |
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