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JP2010069994A - 噴射装置及び噴射方法 - Google Patents

噴射装置及び噴射方法 Download PDF

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JP2010069994A
JP2010069994A JP2008238121A JP2008238121A JP2010069994A JP 2010069994 A JP2010069994 A JP 2010069994A JP 2008238121 A JP2008238121 A JP 2008238121A JP 2008238121 A JP2008238121 A JP 2008238121A JP 2010069994 A JP2010069994 A JP 2010069994A
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Takumi Ban
巧 伴
Shinya Fukagai
晋也 深貝
Hiroyuki Matsuda
博之 松田
Akira Namura
明 名村
Makoto Ishida
誠 石田
Kaoru Ono
薫 大野
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TESU KK
Railway Technical Research Institute
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Abstract

【課題】専用塗布車両が不要になり動力車のみによって車輪とレールとの間に噴射物を噴射することができる噴射装置及び噴射方法を提供する。
【解決手段】車両1Aは、車両1B,…をけん引して走行する動力車であり、原動機を有する機関車である。車両1B,…は、車両1Aにけん引される被けん引車両であり、原動機を有さず車両1Aに連結される貨車又は客車などである。車両1Aが急曲線に進入すると、車両1Bの進行方向前側の台車3Aの前軸の車輪WLとレールRLとの間に車両1A側から噴射装置6Aが摩擦緩和材を噴射する。このため、噴射装置6Aを備える専用塗布車両を製造し車両1Aと車両1Bとの間に連結する必要がなくなって、車両1Aのみに噴射装置6Bを搭載すればよく、車輪WL,WRとレールRL,RRとの間の摩擦抵抗を低コストで緩和することができる。
【選択図】図3

Description

この発明は、車輪とレールとの間に噴射物を噴射する噴射装置及び噴射方法に関する。
鉄道車両は、急曲線を通過するときに曲線通過性能に応じた横圧を伴って走行し、この横圧は曲線の内軌及び外軌のきしり音(摩擦音)の原因になるとともに、内軌側のレール頭頂面に発生する波状摩耗の原因にもなる。一般に、このような過大な横圧や波状摩耗を低減するために、内軌側のレールの頭頂面又は車輪踏面に鉱油やグリースなどの潤滑剤を塗布している。このような車輪とレールとの間の潤滑に使用される鉱油やグリースは、潤滑効果が過大であるため車輪の空転や滑走を誘発する。このため、近年、安定した摩擦係数が確保できる固形の潤滑剤(固体潤滑剤)を摩擦調整剤として使用している。このような摩擦調整剤は、レール面上にそのまま散布しても風で飛ばされてしまうため、溶液に分散させてからレール面上に噴霧している。従来の噴射装置は、軌道と道路の双方を走行可能な軌陸車や機関車に連結可能な専用塗布車両に、摩擦調整剤を収容するタンクを搭載している(例えば、特許文献1参照)。このような従来の噴射装置では、専用塗布車両を機関車の後方に連結して走行させながらこの専用塗布車両からレールの頭頂面に摩擦調整剤を噴射したり、軌道に沿って軌陸車を走行させながらこの軌陸車からレールの頭頂面に摩擦調整剤を噴射したりしている。
特表2004-509225号公報
図12は、従来の噴射装置を備える専用塗布車両の入換作業を一例として示す平面図である。
図12に示す列車101は、貨物列車又は旅客列車であり、停車場構内の本線L1上で停車して貨物を積卸又は乗客を乗降させる。車両101Aは、専用塗布車両101S及び車両101B〜101Hをけん引して走行する原動機を有する機関車である。専用塗布車両101Sは、従来の摩擦調整剤を収容するタンクを搭載した特殊な設備を有する特殊車であり、車両101Aに連結されている。車両101B〜101Hは、車両101Aにけん引されて走行する貨車又は客車であり、車両101Bは専用塗布車両101Sに連結されている。
本線L1は、列車101の運転に常用する線路であり、側線L2は、車両101A及び専用塗布車両101Sの入換に使用する線路であり、車両101Bの前方に連結されていた車両101A及び専用塗布車両101Sを車両101Hの後方に付け替えるために、これらの車両101A及び専用塗布車両101Sを走行させる機回り線である。分岐器P1は、軌道を二つに分ける装置であり、転車台(ターンテーブル)Tは車両101A及び専用塗布車両101Sを方向転換するためにこれらの車両101A及び専用塗布車両101Sを載せた台を回転させる装置である。
次に、従来の噴射装置を備える専用塗布車両の入換作業を説明する。
図12に示すようにD1方向から停車場に列車101が進入して停車場で貨物の積卸又は乗客の乗降を完了すると、専用塗布車両101Sと車両101Bとを解放する。この状態で、車両101A及び専用塗布車両101Sが本線L1上をD1方向に走行して転車台T上で停止すると転車台Tが回転して停止し、車両101A及び専用塗布車両101Sの向きが略180°方向転換する。次に、車両101A及び専用塗布車両101Sが転車台TからD2方向に走行して側線L2に進入し、分岐器P2を通過して本線L1に進入し停止する。その後に、車両101A及び専用塗布車両101SがD1方向に走行して車両101Hと専用塗布車両101Sとを連結し、車両101A及び専用塗布車両101Sの入換作業が完了する。この状態で、車両101A及び専用塗布車両101SがD2方向に走行すると列車101が本線L1上をD2方向に走行する。
このような従来の噴射装置を備える専用塗布車両101Sでは、摩擦調整剤を噴射するための特殊車として製造する必要があり、費用が高くなってしまう問題点がある。また、従来の噴射装置を備える専用塗布車両101Sでは、編成中に組み込む必要があるため、停車場の有効長に対して列車101の編成長が定められている場合には客車や貨車の数を減らす必要があり、1編成当たりの輸送量が低減してしまう問題点がある。また、従来の噴射装置を備える専用塗布車両101Sでは、図12に示すように、車両101Aとともに付け替える必要があるため、転車台Tを使用して車両101Aとともに方向転換する必要があり、入換作業に時間と手間がかかる問題点がある。さらに、従来の噴射装置を備える専用塗布車両101Sでは、車両101Aに連結された状態で転車台Tによって方向転換する必要があるため、転車台Tの長さが長くなって転車台Tが大型化し、停車場の構内に設置スペースを確保するのが困難になる問題点がある。
この発明の課題は、専用塗布車両が不要になり動力車のみによって車輪とレールとの間に噴射物を噴射することができる噴射装置及び噴射方法を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図3に示すように、車輪(WL,WR)とレール(RL,RR)との間に噴射物(C)を噴射する噴射装置であって、動力車(1A;1A1,1A2)に連結されてけん引される車両(1B,1C,…)の進行方向前側の台車(3A)の車輪とレールとの間に、この動力車側から前記噴射物を噴射する噴射部(14L,14R)を備えることを特徴とする噴射装置(6A,6B)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の噴射装置において、図5及び図6に示すように、前記動力車が前記車両をけん引するために必要な引張力を検出する引張力検出部(21)の検出結果に基づいて、前記噴射物の噴射量を可変する噴射量可変部(9L,9R)を備えることを特徴とする噴射装置である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の噴射装置において、図2に示すように、前記噴射量可変部は、前記動力車と前記車両とを連結する連結装置(4)に作用する引張力に基づいて前記噴射物の噴射量を可変することを特徴とする噴射装置である。
請求項4の発明は、請求項1に記載の噴射装置において、図9に示すように、前記動力車にけん引される全車両の車両数を設定する車両数設定部(23)の設定結果に基づいて、前記噴射物の噴射量を可変する噴射量可変部(9L,9R)を備えることを特徴とする噴射装置である。
請求項5の発明は、請求項1に記載の噴射装置において、図9に示すように、前記動力車にけん引される全車両の合計車軸数を設定する車軸数設定部(24)の設定結果に基づいて、前記噴射物の噴射量を可変する噴射量可変部(9L,9R)を備えることを特徴とする噴射装置である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の噴射装置において、図1及び図2に示すように、前記動力車(1A)は、機関車であり、前記車両は、前記機関車に連結される貨車又は客車であり、前記噴射部は、前記貨車又は前記客車の進行方向前側の台車の車輪とレールとの間に、前記機関車側から前記噴射物を噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の噴射装置において、図11に示すように、前記動力車(1A1,1A2)は、先頭の機関車と後尾の機関車であり、前記車両は、一端に前記先頭の機関車が連結され、他端に前記後尾の機関車が連結される貨車又は客車であり、前記噴射部は、前記貨車又は前記客車の進行方向前側の台車の車輪とレールとの間に、前記先頭の機関車側から前記噴射物を噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の噴射装置において、図2及び図6に示すように、前記噴射部は、前記車輪と前記レールとの間の摩擦抵抗を緩和する摩擦緩和材(C)を噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項9の発明は、図3及び図6に示すように、車輪(WL,WR)とレール(RL,RR)との間に噴射物(C)を噴射する噴射方法であって、動力車(1A;1A1,1A2)に連結されてけん引される車両(1B,1C,…)の進行方向前側の台車(3A)の車輪とレールとの間に、この動力車側から前記噴射物を噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項10の発明は、請求項9に記載の噴射方法において、図7に示すように、前記動力車が前記車両をけん引するために必要な引張力を検出し、この引張力に基づいて前記噴射物の噴射量を可変(S160,S170)することを特徴とする噴射方法である。
請求項11の発明は、請求項10に記載の噴射方法において、前記動力車と前記車両とを連結する連結装置(4)に作用する引張力に基づいて前記噴射物の噴射量を可変することを特徴とする噴射方法である。
請求項12の発明は、請求項9に記載の噴射方法において、図7に示すように、前記動力車にけん引される全車両の車両数に基づいて、前記噴射物の噴射量を可変(S260,S270)することを特徴とする噴射方法である。
請求項13の発明は、請求項9に記載の噴射方法において、図7に示すように、前記動力車にけん引される全車両の合計車軸数に基づいて、前記噴射物の噴射量を可変(S260,S270)することを特徴とする噴射方法である。
請求項14の発明は、請求項9から請求項13までのいずれか1項に記載の噴射方法において、図1及び図2に示すように、前記動力車(1A)は、機関車であり、前記車両は、前記機関車に連結される貨車又は客車であり、前記貨車又は前記客車の進行方向前側の台車の車輪とレールとの間に、前記機関車側から前記噴射物を噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項15の発明は、請求項9から請求項13までのいずれか1項に記載の噴射方法において、図11に示すように、前記動力車(1A1,1A2)は、先頭の機関車と後尾の機関車であり、前記車両は、一端に前記先頭の機関車が連結され、他端に前記後尾の機関車が連結される貨車又は客車であり、前記貨車又は前記客車の進行方向前側の台車の車輪とレールとの間に、前記先頭の機関車側から前記噴射物を噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項16の発明は、請求項9から請求項13までのいずれか1項に記載の噴射方法において、図2及び図6に示すように、前記車輪と前記レールとの間の摩擦抵抗を緩和する摩擦緩和材(C)を噴射することを特徴とする噴射方法である。
この発明によると、専用塗布車両が不要になり動力車のみによって車輪とレールとの間に噴射物を噴射することができる。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る噴射装置を備える列車を概略的に示す側面図であり、図1(A)は上り方向に走行中の側面図であり、図1(B)は下り方向に走行中の側面図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る噴射装置を備える車両の側面図であり、図2(A)は上り方向に走行中の側面図であり、図2(B)は下り方向に走行中の側面図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る噴射装置を備える列車が急曲線を通過するときの車輪とレールとの状態を示す平面図である。図4は、この発明の第1実施形態に係る噴射装置を備える列車が急曲線を通過するときの車輪とレールとの状態を示す正面図であり、図4(A)は内軌側のレールと車輪との接触状態を示す正面図であり、図4(B)は外軌側のレールと車輪との接触状態を示す正面図である。図5は、この発明の第1実施形態に係る噴射装置を概略的に示す斜視図である。図6は、この発明の第1実施形態に係る噴射装置を概略的に示す構成図である。
図1〜図3に示す線路Rは、列車1が走行する通路(軌道)であり、図3〜図6に示すように車輪WL,WRを案内する一対のレールRL,RRなどを備えている。図3に示すように、レールRLは急曲線の内軌(曲線の内側のレール)であり、レールRRは急曲線の外軌(曲線の外側のレール)である。レールRL,RRは、図4に示すように、車輪WL,WRを直接支持する頭頂面(頭部上面)R1と、この頭頂面R1と連続する内側頭側面R2とを備えている。図6に示すように、レールRL,RRと車輪WL,WRとの接触点Sには垂直力W及び接線力Fが作用し、垂直力Wに対する接線力Fの比例係数(接線力係数(トラクション係数))F/Wが摩擦係数でありこの摩擦係数の最大値が粘着係数である。図3に示す横圧Qは、レールRL,RRと車輪WL,WRとの間に作用する力のうち車軸方向(垂直力W及び接線力Fと直交する方向)に作用する力である。
図1〜図3に示す列車1は、線路Rを運転させる目的で組成された車両であり、貨物を輸送するための貨物列車、旅客を輸送するための旅客列車又は旅客列車と貨物列車とを併結して運転する混合列車などである。列車1は、車両1A,1B,…によって編成されており、編成中の車両1Aに動力を集中させてこの車両1Aが車両1B,1C,…をけん引する動力集中方式の列車である。
車両1Aは、車両1B,1C,…をけん引して走行する動力車であり、原動機を有する機関車である。車両1Aは、例えば、電動機を有する電気機関車又は内燃機関を有する内燃機関車(ディーゼル機関車)などであり、列車1の先頭車両である。車両1Aは、図2に示す台車2A〜2Cと、連結装置4と、排障装置5と、噴射装置6A,6Bなどを備えている。
図1〜図3に示す車両1B,1C,…は、車両1Aにけん引される被けん引車両であり、原動機を有しておらず車両1Aに連結される。車両1B,1Cは、例えば、貨物を輸送する貨車又は乗客を輸送する客車などである。車両1B,1C,…は、台車3A,3Bと連結装置4などを備えている。
台車2A〜2Cは、車両1Aの車体を支持して走行する装置であり、台車3A,3Bは車両1B,1C,…の車体を支持して走行する装置である。台車2A,2Bは、車両1Aの両端に位置する両端台車であり、台車2Cは車両1Aの中間に位置する中間台車である。図2に示す台車2A〜2C,3A,3Bは、図3に示すように、一対のレールRL,RRとそれぞれ回転接触する一対の車輪WL,WRと、台車2A〜2C,3A,3Bと車体とを回転自在に連結する図示しないけん引装置などを備えている。車輪WL,WRは、レールRL,RRの頭頂面R1と接触して摩擦抵抗を受ける車輪踏面W1と、鉄道車両が急曲線を通過するときに、外軌側のレールRRの内側頭側面R2と接触して摩擦抵抗を受けるフランジ面W2とを備えている。
図2に示す連結装置4は、車両1A,1B,…を連結及び開放するための装置であり、上下左右方向に回転自在であって前後方向に伸縮自在なように車両1A,1B,…の両端部に取り付けられている。連結装置4は、例えば、車両1A,1B,…を自動的に連結及び開放可能な自動連結器である。排障装置5は、線路R上の障害物を排除する装置であり、車両1Aの両端の前面下部に取り付けられている排障器である。
図1〜図3に示す噴射装置6A,6Bは、車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に摩擦緩和材Cを噴射する装置である。噴射装置6A,6Bは、車両1A,1B,…の走行速度にかかわらず、レールRL,RRに散布される摩擦緩和材Cの散布量が略一定となるようにこの摩擦緩和材Cを噴射する。ここで、摩擦緩和材Cとは、レールRL,RRと車輪WL,WRとの間の摩擦抵抗を緩和させる粉状物又は粒状物であり、例えば摩擦係数を略一定範囲内に低減するカーボン系材料からなる基材と、この基材を被覆する硬質めっき層からなる被覆層とから構成されている。噴射装置6Aは、図1(A)及び図2(A)に示すように、車両1Aと車両1Bとが連結されてD1方向に走行するときには、車両1Bの進行方向前側の台車3Aの車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に車両1A側から摩擦緩和材Cを噴射する。一方、噴射装置6Bは、図2(B)及び図3(B)に示すように、車両1Aと車両1Iとが連結されてD2方向に走行するときには、車両1Iの進行方向前側の台車3Bの車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に車両1A側から摩擦緩和材Cを噴射する。噴射装置6A,6Bは、いずれも同一構造であり、以下では噴射装置6Aを中心として説明し、噴射装置6Bについては詳細な説明を省略する。
噴射装置6Aは、図5及び図6に示す気体噴射部7と、流路8と、噴射量可変部9L,9Rと、流路10L,10Rと、噴射物収容部11L,11Rと、可変絞り12L,12Rと、流路13L,13Rと、噴射口14L,14Rと、速度検出部15と、曲線検出部16と、横圧検出部17と、きしり音検出部18と、非常ブレーキ作動検出部19と、ワイパ動作検出部20と、引張力検出部21と、制御装置22などを備えている。噴射装置6A,6Bは、図2及び図3に示すように、使用時には車両1Aの端部から車両1Bの台車3A,3Bに向かって噴射口14L,14Rが進出し、非使用時には車両1A側に噴射口14L,14Rが後退するように、流路13L,13Rが柔軟な可撓性を有する部材によって形成されている。噴射装置6A,6Bは、車両1Aの排障装置5の外側に設置されており、排障装置5の外側から摩擦緩和材Cを噴射する。
図5及び図6に示す気体噴射部7は、圧縮空気を噴射する装置である。気体噴射部7は、例えば、圧縮空気を収容するエアタンクと、このエアタンク内に空気を供給するコンプレッサと、エアタンク内の圧縮空気を流路8内に流入させる開閉弁などを備えている。流路8は、圧縮空気が流れる管路であり、上流側が気体噴射部7に接続されており、下流側が二つに分岐して噴射量可変部9L,9Rにそれぞれ接続されている。
図5及び図6に示す噴射量可変部9L,9Rは、摩擦緩和材Cの噴射量を可変する装置である。噴射量可変部9L,9Rは、摩擦緩和材Cの散布量が略一定となるように、車両1A,1B,…の走行速度に応じて摩擦緩和材Cの噴射量を可変する。噴射量可変部9L,9Rは、車両1A,1B,…の走行速度を検出する速度検出部15の検出結果に基づいて摩擦緩和材Cの噴射量を可変する。ここで、摩擦緩和材Cの噴射量とは、摩擦緩和材Cを単位時間当たりに噴射する量(例えば噴射量(g/min))であり、摩擦緩和材Cの散布量とはレールRL,RRの単位長さ当たりに摩擦緩和材Cが付着する量(例えば散布量(g/m))である。また、噴射量可変部9L,9Rは、引張力検出部21の測定結果に基づいて、摩擦緩和材Cの噴射量を可変する。噴射量可変部9L,9Rは、例えば、引張力検出部21が検出する引張力に基づいて摩擦緩和材Cの噴射量を可変する。噴射量可変部9L,9Rは、流路10L,10Rを流れる圧縮空気の流量を調整する流量調整器として機能する圧力調整弁(電磁弁)を備えており、流量調整後の圧縮空気を噴射物収容部11L,11Rに排出する。噴射量可変部9L,9Rは、流路10L,10Rの上流側にそれぞれ設置されており、制御装置22が出力する可変動作信号に基づいて流路10L,10Rを流れる圧縮空気の流量を調整する。
流路10L,10Rは、噴射量可変部9L,9Rを通過した圧縮空気が流れる管路である。流路10Lは、噴射口14Lに向かって噴射量可変部9Lを通過した圧縮空気が流れ、流路10Rは噴射口14Rに向かって噴射量可変部9Rを通過した圧縮空気が流れる。流路10Lは、上流側が噴射量可変部9Lに接続されており、下流側が噴射物収容部11Lに接続されている。流路10Rは、上流側が噴射量可変部9Rに接続されており、下流側が噴射物収容部11Rに接続されている。流路10L,10Rは、いずれも断面積が同一である。
噴射物収容部11L,11Rは、摩擦緩和材Cを収容する部分である。噴射物収容部11Lは、進行方向左側のレールRLと進行方向左側の車輪WLとの間に噴射する摩擦緩和材Cを収容し、噴射物収容部11Rは進行方向右側のレールRRと進行方向右側の車輪WRとの間に噴射する摩擦緩和材Cを収容する。噴射物収容部11L,11Rは、例えば、摩擦緩和材Cを収容するタンクなどであり、いずれも同一構造である。噴射物収容部11L,11Rは、噴射量可変部9L,9Rを通過した圧縮空気が流入すると、摩擦緩和材Cを圧縮空気とともに流路13L,13Rに排出する。
可変絞り12L,12Rは、絞り開度を所定値に調整可能な絞りである。可変絞り12Lは、噴射量可変部9Lから噴射物収容部11Lに向かって流路10Lを流れる圧縮空気の流量を調整し、可変絞り12Rは噴射量可変部9Rから噴射物収容部11Rに向かって流路10Rを流れる圧縮空気の流量を調整する。可変絞り12L,12Rは、例えば、回転操作部を手動で回転操作することによって、圧縮空気が流れる流路10L,10Rの断面積を変化させ、流路10L,10Rの絞り開度(絞り量)を調整可能な可変絞り弁などである。可変絞り12L,12Rは、車両1Aが停車中に予め所定の絞り開度に調整され設定されており、噴射物収容部11L,11Rから排出される圧縮空気と摩擦緩和材Cとの混合比を調整する。
図5及び図6に示す流路13L,13Rは、圧縮空気及び摩擦緩和材Cが流れる管路である。流路13L,13Rは、レールRL,RRと車輪WL,WRとの間に摩擦緩和材Cを供給するために、噴射物収容部11L,11Rから噴射口14L,14Rに向かって摩擦緩和材Cを送出する。流路13L,13Rは、上流側が噴射物収容部11L,11Rに接続されており、下流側が噴射口14L,14Rに接続されている。
噴射口14L,14Rは、車両1Aに連結されてけん引される車両1Bの進行方向前側の台車3Aの車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に、この車両1A側から摩擦緩和材Cを噴射する部分であり、圧縮空気とともに摩擦緩和材Cを噴射する。噴射口14Lは、車両1Bの進行方向左側の車輪WLと左側のレールRLとの間に摩擦緩和材Cを噴射し、噴射口14Rは車両1Bの進行方向右側の車輪WRと右側のレールRRとの間に摩擦緩和材Cを噴射する。噴射口14L,14Rは、図6に示す接触点Sの直前のレールRL,RRの内側頭側面R2に向けて摩擦緩和材Cを噴射する噴射ノズルなどである。噴射口14L,14Rは、曲線検出部16、横圧検出部17又はきしり音検出部18の検出結果に基づいて、車両1Bの進行方向前側の台車3Aの車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に摩擦緩和材Cを噴射する。噴射口14L,14Rは、車両1A,1B,…の非常ブレーキ作動時、低速走行時又は車両1Aのワイパ動作時には摩擦緩和材Cの噴射を中止する。噴射口14L,14Rは、例えば、接触点Sの直前の噴射位置に摩擦緩和材Cを噴射するように、図示しない駆動装置によって駆動されており、接触点Sの直前の噴射位置を特定するための画像を撮像する図示しない撮像装置が出力する画像信号に基づいてこの駆動装置を制御装置22が駆動制御する。
速度検出部15は、車両1A,1B,…の速度を検出する装置であり、車輪WL,WRの回転によって発生するパルス信号に基づいて車両1Aの速度を検出する速度発電機などである。速度検出部15は、車両1A,1B,…の速度に応じた速度検出信号(電気信号)を制御装置22に出力する。
曲線検出部16は、車両1Aの曲線進入を検出する装置である。曲線検出部16は、車両1Aが走行する線路Rに関する線路情報と、車両1Aの現在位置に関する現在位置情報とに基づいてこの車両1Aの曲線進入を検出する。曲線検出部16は、例えば、車両1Aの三次元位置を特定する全地球測位システム(Global Positioning System(GPS))からの送信信号(GPS信号)に基づいて車両1Aの現在位置を検出し、この車両1Aが走行する線路Rの線形及び座標などを記憶する線路情報記憶部を参照して、急曲線及びこの急曲線の方向を検出する。曲線検出部16は、車両1Aの急曲線への進入を検出したときに曲線検出信号を制御装置22に出力する。
横圧検出部17は、車両1Aの台車2AのレールRL,RRと車輪WL,WRとの間に発生する横圧Qを検出する装置である。横圧検出部17は、例えば、車輪WL,WRに貼り付けられたひずみゲージが出力する出力信号に基づいて荷重を検出し、横圧Qを測定する横圧測定器などである。横圧検出部17は、横圧Qの作用する方向を測定して、急曲線及びこの急曲線の方向を検出するとともに、横圧Qに応じた横圧検出信号を制御装置22に出力する。
きしり音検出部18は、車両1Aの台車2Aの曲線進入時に発生するきしり音を検出する装置である。ここで、きしり音(きしみ音)とは、車両1Aが曲線を通過する場合において、レールRL,RRに対して直角方向に作用する車輪WL,WRのすべり(横クリープ力)が所定の大きさを超えたときに、車輪WL,WR自身の固有振動数が大きく増幅され自励振動によって発生する摩擦振動音である。きしり音検出部18は、例えば、騒音を測定するマイクロホンと、このマイクロホンの出力信号を処理しきしり音の信号成分を抽出する信号処理回路などを備えている。きしり音検出部18は、きしり音の発生する方向を測定して、急曲線及びこの急曲線の方向を検出するととともに、きしり音に応じたきしり音検出信号を制御装置22に出力する。
非常ブレーキ作動検出部19は、非常ブレーキの作動を検出する装置であり、非常時に車両1A,1B,…を減速させ停止させる非常ブレーキ装置の作動を検出するセンサなどである。非常ブレーキ作動検出部19は、非常ブレーキ装置が作動したときに非常ブレーキ作動検出信号を制御装置22に出力する。
ワイパ動作検出部20は、ワイパ装置の動作を検出する装置であり、車両1Aの窓ガラスなどに付着した雨、雪又は泥などを拭き取り視界を確保するワイパ装置の動作を検出するセンサなどである。ワイパ動作検出部20は、ワイパ装置が動作したときにワイパ動作検出信号を制御装置22に出力する。
図5及び図6に示す引張力検出部21は、車両1Aが車両1B,1C,…をけん引するために必要な引張力を検出する装置である。引張力検出部21は、車両1Aと車両1Bとを連結する連結装置4に作用する引張力を検出する。ここで、引張力とは、車両1Aの車輪踏面W1とレールRL,RRの頭頂面R1との接触点で発生する動輪周引張力から車両1Aの走行抵抗を引いたけん引力であり、車両1Bを連結する連結装置4の連結器に作用する連結器引張力(引張棒引張力)である。引張力検出部21は、例えば、連結装置4の連結器と緩衝器とを接続するピンに換えて自連力測定ピンを挿入することによって、この連結器に作用する引張力(連結器引張力)をこの自連力測定ピンに取り付けた歪みゲージによって検出し、車両1Aと車両1Bとの間の連結器に作用する軸方向の連結器力(自動連結器作用力(自連力))を検出する。引張力検出部21は、引張力に応じた引張力検出信号を制御装置22に出力する。
制御装置22は、噴射装置6Aの種々の動作を制御する装置である。制御装置22は、速度検出部15、曲線検出部16、横圧検出部17、きしり音検出部18、非常ブレーキ作動検出部19、ワイパ動作検出部20及び引張力検出部21の検出結果に基づいて、噴射量可変部9L,9Rの可変動作及び気体噴射部7の噴射動作を制御する。制御装置22は、速度検出部15が出力する速度検出信号に基づいて、車両1A,1B,…の走行速度にかかわらず摩擦緩和材Cの散布量が略一定になるように、気体噴射部7を噴射動作させとともに噴射量可変部9L,9Rを可変動作させて圧縮空気の流量を調整する。制御装置22は、例えば、走行速度と散布量とに対応する噴射量可変部9L,9Rの電磁弁の開度を演算して、摩擦緩和材Cの散布量が略一定になるように電磁弁の開度を制御する。制御装置22は、引張力検出部21が出力する引張力検出信号に基づいて、摩擦緩和材Cの散布量が増減するように噴射量可変部9L,9Rを可変動作させて圧縮空気の流量を調整する。制御装置22は、例えば、引張力が所定範囲内であるときには摩擦緩和材Cの散布量が標準量になり、引張力が所定範囲を超えるときには摩擦緩和材Cの散布量が標準量よりも増加し、引張力が所定範囲を下回るときには摩擦緩和材Cの散布量が標準量よりも減少するように噴射量可変部9L,9Rの電磁弁の開度を制御する。制御装置22は、気体噴射部7に噴射動作を開始させるときには噴射動作開始信号を気体噴射部7に出力し、気体噴射部7に噴射動作を終了させるときには噴射動作終了信号を気体噴射部7に出力する。制御装置22は、噴射量可変部9L,9Rを可変動作させるときには可変動作信号(電気信号)を噴射量可変部9L,9Rに出力する。
次に、この発明の第1実施形態に係る噴射装置の動作を説明する。
図7は、この発明の第1実施形態に係る噴射装置の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、制御装置22の動作を中心として説明するとともに、図3に示すように車両1A,1B,…が左方向の急曲線を走行する場合を例に挙げて説明する。
図7に示すステップ(以下、Sという)100において、車両1Aが急曲線に進入したか否かを制御装置22が判断する。線路R上の走行を車両1Aが開始すると、図5及び図6に示す速度検出部15、曲線検出部16、横圧検出部17、きしり音検出部18、非常ブレーキ作動検出部19、ワイパ動作検出部20及び引張力検出部21が検出動作を開始し、これらの検出結果を制御装置22に出力する。例えば、図3に示すように車両1Aが急曲線に進入すると、図5及び図6に示す曲線検出部16、横圧検出部17又はきしり音検出部18の少なくとも一つが急曲線及びこの急曲線の方向を検出する。その結果、曲線検出信号、横圧検出信号又はきしり音検出信号の少なくとも一つが制御装置22に出力されて、車両1Aが急曲線に進入したか否かを制御装置22が判断する。車両1Aが急曲線に進入したと制御装置22が判断したときにはS110に進み、車両1Aが急曲線に進入していないと制御装置22が判断したときには一連の動作を終了する。
S110において、摩擦緩和材Cを噴射する必要があるか否かを制御装置22が判断する。車両1Aが急曲線に進入した場合であっても、曲線の内軌の半径が500m未満であるとき、又は車両1A,1B,…が80km/hを超えるような高速走行時であるときには、摩擦緩和材Cを噴射する必要がない。一方、車両1Aが急曲線に進入した場合であっても、車両1A,1B,…が5km/hを下回るような低速走行時には、ブレーキ装置によって容易に停止可能であるため、摩擦緩和材Cを噴射する必要がない。また、車両1Aが急曲線に進入した場合であっても、非常ブレーキ装置の作動時に摩擦緩和材Cを噴射すると、車両1A,1B,…が停止するまでの距離が延伸するため、摩擦緩和材Cの噴射を中止する必要がある。さらに、車両1Aが急曲線に進入した場合であっても、ワイパ装置が動作する雨天時には横圧Qが低下するため、摩擦緩和材Cの噴射を中止して摩擦緩和材Cが無駄に消費されるのを防止する必要がある。このため、速度検出部15、曲線検出部16、非常ブレーキ作動検出部19又はワイパ動作検出部20の検出結果に基づいて、摩擦緩和材Cの噴射が必要であるか否かを制御装置22が判断する。摩擦緩和材Cの噴射が必要であると制御装置22が判断したときにはS120に進み、摩擦緩和材Cの噴射が必要ではないと判断したときには一連の動作を終了する。
S120において、気体噴射動作の開始を気体噴射部7に制御装置22が指令する。制御装置22が気体噴射部7に気体噴射開始信号を出力すると、気体噴射部7のエアタンクから流路8に圧縮空気を流入させる開閉弁を開く。
S130において、引張力が所定範囲内であるか否かを制御装置22が判断する。列車1が走行するとこの列車1の進行を妨げようとする列車抵抗が生じ、図3に示すように車両1A,1B,…が急曲線に進入すると、レールRL,RRと車輪WL,WRとの間の摩擦が主要因となって列車1の進行を妨げようとする曲線抵抗が生じる。このため、引張力が所定範囲内であるときには、摩擦緩和材Cを標準量噴射すれば摩擦緩和材Cによる摩擦緩和効果が十分であると考えられる。車両1Aが急曲線に進入する前の平坦な直線を走行しているときの引張力を引張力検出部21が検出すると、引張力検出信号が制御装置22に出力されて、引張力検出部21が検出した曲線進入前の引張力が所定範囲内であるか否かを制御装置22が判断する。引張力が所定範囲内であると制御装置22が判断したときにはS140に進み、引張力が所定範囲外であると制御装置22が判断したときにはS150に進む。
S140において、摩擦緩和材Cを標準量噴射するための可変動作の開始を噴射量可変部9Lに制御装置22が指令する。速度検出部15が出力する速度検出信号が制御装置22に入力すると、車両1A,1B,…の速度に適した摩擦緩和材Cの噴射量を制御装置22が演算し、噴射量可変部9Lに可変動作信号を制御装置22が出力する。このため、図6に示す気体噴射部7のエアタンクから流路8に流入する圧縮空気が噴射量可変部9Lに流入し、噴射物収容部11Lから摩擦緩和材Cが流路13Lに噴射されて、摩擦緩和材Cが圧縮空気とともに噴射口14Lから噴射する。その結果、摩擦緩和材Cが標準量噴射されて、車両1A,1B,…の速度にかかわらず摩擦緩和材Cが略一定の散布量で散布される。
図3に示すように、車両1Aが急曲線に進入すると、車両1Bの進行方向前側の台車3Aの前軸の車輪WLとレールRLとの間に車両1A側から噴射装置6Aが摩擦緩和材Cの噴射を開始する。その結果、図6に示す接触点Sの直前の内側頭側面R2に摩擦緩和材Cが衝突して、摩擦緩和材Cが内側頭側面R2を粗くし、内側頭側面R2に摩擦緩和材Cが密着する。次に、フランジ面W2と内側頭側面R2との間に摩擦緩和材Cが挟み込まれてこれらの間で摩擦緩和材Cが加圧される。
図3に示す車両1A以降の次位の車両1B,…が次々にフランジ面W2と内側頭側面R2との間に摩擦緩和材Cを挟み込み、これらの間で摩擦緩和材Cがさらに加圧される。その結果、レールRLと車輪WLとの間に発生する横圧Qが低減するため、内側頭側面R2とフランジ面W2との間に生じる過度の摩擦抵抗が緩和され、急曲線におけるレールRL,RRの摩耗が防止される。図1(A)に示す後尾の車両1Iが通過した後も摩擦緩和材Cが内側頭側面R2に残留すると、その後に通過する後続列車の動力車が残存する摩擦緩和材Cを踏み付けるため、図6に示す接線力Fが低下するおそれがある。このため、図1(A)に示す後尾の車両1Iが通過するまで摩擦緩和効果を維持可能な程度の噴射量だけ噴射装置6Aが摩擦緩和材Cを噴射する。
S150において、引張力が所定範囲を超えたか否かを制御装置22が判断する。引張力検出部21が出力する曲線進入前の引張力検出信号のレベルが所定範囲内であるか否かを制御装置22が判断し、引張力が所定範囲を超えていると制御装置22が判断したときにはS160に進み、引張力が所定範囲を下回ると制御装置22が判断したときにはS170に進む。
S160において、摩擦緩和材Cを標準量よりも増量して噴射するための可変動作の開始を噴射量可変部9Lに制御装置22が指令する。引張力が所定範囲を超えているときには、曲線抵抗が大きくなって標準量の摩擦緩和材Cの散布では摩擦緩和効果が不十分であるため、摩擦緩和材Cの噴射量を増加させる必要がある。このため、摩擦緩和材Cの噴射量が僅かに増加するように、噴射量可変部9Lに可変動作信号を制御装置22が出力する。その結果、標準量よりも僅かに多い摩擦緩和材Cが噴射物収容部11Lから流路13Lに噴射されて、摩擦緩和材Cが圧縮空気とともに噴射口14Lから噴射する。
S170において、摩擦緩和材Cを標準量よりも減量して噴射するための可変動作の開始を噴射量可変部9Lに制御装置22が指令する。引張力が所定範囲を下回るときには、曲線抵抗が小さくなって標準量の摩擦緩和材Cの散布では摩擦緩和効果が十分過ぎて無駄であるため、摩擦緩和材Cの噴射量を減少させる必要がある。このため、摩擦緩和材Cの噴射量が僅かに減少するように、噴射量可変部9Lに可変動作信号を制御装置22が出力する。その結果、標準量よりも僅かに少ない摩擦緩和材Cが噴射物収容部11Lから流路13Lに噴射されて、摩擦緩和材Cが圧縮空気とともに噴射口14Lから噴射する。
S180において、車両1Aが急曲線から退出したか否かを制御装置22が判断する。例えば、図3に示す車両1Aが急曲線から退出すると、図5及び図6に示す曲線検出部16、横圧検出部17又はきしり音検出部18の少なくとも一つの検出結果に基づいて、車両1Aが急曲線から退出したか否かを制御装置22が判断する。車両1Aが急曲線から退出したと制御装置22が判断したときにはS190に進み、車両1Aが急曲線から退出していないと制御装置22が判断したときには車両1Aが急曲線から退出するまで制御装置22が判断を繰り返す。
S190において、気体噴射動作の終了を気体噴射部7に制御装置22が指令する。制御装置22が気体噴射部7に気体噴射終了信号を出力すると、気体噴射部7のエアタンクから流路8に圧縮空気を流入させる開閉弁が閉じて、摩擦緩和材Cの噴射が停止する。
次に、この発明の第1実施形態に係る噴射装置を備える車両の入換方法について説明する。
図8は、この発明の第1実施形態に係る噴射装置を備える車両の入換作業を一例として示す平面図である。
図8に示す列車1は、貨物を積卸又は乗客を乗降させるために使用される停車場(駅)に停車している。本線L1は、列車1の運転に常用する線路である。側線L2は、車両1Aの入換に使用する線路であり、車両1Bに連結されていた車両1Aを車両1Iに付け替えるために、車両1Aを走行させる機回り線である。側線L3は、列車1を組成及び分解するために車両1Aを引き上げる引上線である。分岐器P1,P2は、軌道を二つに分ける装置である。
図8に示すようにD1方向から停車場に列車1が進入して停車場で貨物の積卸又は乗客の乗降を完了すると、車両1Aと車両1Bとを解放して車両1Aが本線L1上をD1方向に走行して側線L3上に進入し停止する。次に、車両1Aが側線L3上からD2方向に走行して、分岐器P1を通過して側線L2に進入し、分岐器P2を通過して本線L1に進入し停止する。その後に、車両1AがD1方向に走行して車両1Aと車両1Iとを連結し、車両1Aの入換作業が完了する。この状態で、車両1AがD2方向に走行すると、列車1が本線L1上をD2方向に走行する。この状態で車両1Aが急曲線に進入すると、図2(B)に示すように車両1Iの進行方向前側の台車3Bの車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に車両1A側から摩擦緩和材Cが噴射される。
この発明の第1実施形態に係る噴射装置及び噴射方法には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、車両1Aに連結されてけん引される車両1Bの進行方向前側の台車3Aの車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に、この車両1A側から摩擦緩和材Cを噴射口14L,14Rが噴射する。このため、図12に示すような専用塗布車両101Sを製造して車両1Aと車両1Bとの間に連結する必要がなくなって、車輪WL,WRとレールRL,RRとの間の摩擦抵抗を低コストで緩和することができる。また、車両1B,1C,…が急曲線を通過するときに発生する曲線抵抗を低下させることができるため、車両1Aが電気機関車や内燃機関車である場合には電力消費や燃料消費を少なくすることができ省エネルギー化を図ることができる。また、停車場の有効長を超えない範囲内で客車や貨車を可能な限り編成に組み入れることができるため、一編成当たりの輸送量を増強することができる。また、動力車である車両1A側の車輪WL,WRとレールRL,RRとの間には摩擦緩和材Cを噴射しないため、これらの間の摩擦抵抗が必要以上に低下して、図6に示す接線力Fが低下するのを防ぐことができる。さらに、図2(A)に示すように、車両1Aが車両1Bを連結してD1方向に走行する場合や、図2(B)に示すように車両1Aを付け替えて車両1Aが車両1Iを連結してD2方向に走行する場合に、車両1A側から車両1B,1Iの進行方向前側の台車3A,3Bの車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に摩擦緩和材Cを噴射することができる。このため、図12に示すような転車台Tを使用して動力車C及び専用塗布車両101Sを方向転換する必要がなくなって、入換作業に必要な時間を大幅に短縮することができるとともに、停車場の構内に転車台Tのような大規模な設備を設置する必要がなくなって、低コスト化を図ることができる。
(2) この第1実施形態では、車両1Aが車両1B,1C,…をけん引するために必要な引張力を検出する引張力検出部21の検出結果に基づいて、摩擦緩和材Cの噴射量を噴射量可変部9L,9Rが可変する。このため、引張力が所定範囲を超えるときには標準量よりも増量して摩擦緩和材Cを噴射し、曲線抵抗を緩和することができる。また、引張力が所定範囲を下回るときには標準量よりも減量して摩擦緩和材を噴射し、摩擦緩和材Cが無駄に消費されるのを防止することができる。
(3) この第1実施形態では、車両1Aと車両1Bとを連結する連結装置4に作用する引張力に基づいて引張力検出部21が引張力を検出する。このため、例えば、自連力測定ピンを使用することによって引張力を検出し、この引張力に応じて摩擦緩和材Cの噴射量を調整することができる。
(4) この第1実施形態では、車両1Aが機関車であり、車両1Bがこの車両1Aに連結される貨車又は客車であり、貨車又は客車の進行方向前側の台車3Aの車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に、機関車側から噴射口14L,14Rが摩擦緩和材Cを噴射する。このため、機関車にけん引される全ての貨車又は客車に噴射装置6A,6Bを搭載する必要がなく、機関車のみに噴射装置6A,6Bを搭載するだけで急曲線通過時の摩擦緩和効果を低コストで実現することができる。
(第2実施形態)
図9は、この発明の第2実施形態に係る噴射装置を概略的に示す構成図である。以下では、図6に示す部分と同一の部分については同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図9に示す噴射装置6Aは、図5及び図6に示す引張力検出部21に代えて、車両数設定部23と車軸数設定部24とを備えている。噴射量可変部9L,9Rは、車両数設定部23の設定結果又は車軸数設定部24の設定結果に基づいて、摩擦緩和材Cの噴射量を可変する。制御装置22は、車両数設定部23が出力する車両数設定信号又は車軸数設定部24が出力する車軸数設定信号に基づいて、摩擦緩和材Cの散布量が増減するように噴射量可変部9L,9Rを可変動作させて圧縮空気の流量を調整する。制御装置22は、例えば、車両数又は車軸数が所定範囲内であるときには摩擦緩和材Cの散布量が標準量になり、車両数又は車軸数が所定範囲を超えるときには摩擦緩和材Cの散布量が標準量よりも増加し、車両数又は車軸数が所定範囲を下回るときには摩擦緩和材Cの散布量が標準量よりも減少するように、噴射量可変部9L,9Rの電磁弁の開度を制御する。
車両数設定部23は、車両1Aにけん引される全車両1B,1C,…の車両数を設定する装置である。車両数設定部23は、車両1B,1C,…が編成単位で使用される固定編成であるようなときに設定される。車両数設定部23は、例えば、図1及び図2に示すように各車両1B〜1Iが2軸台車で車軸数が同一であり、車両1B〜1Iが常時8両で運用される固定編成であるようなときに、運転士の手動操作によって車両数が入力される入力装置などを備えている。車両数設定部23は、例えば、車両1B〜1Iから一部の車両が切り離されたり、車両1B〜1Iに新たに車両が組み込まれたりして、固定編成の車両数が増減したようなときには、増減後の車両数が入力される。車両数設定部23は、車両1B,1C,…の車両数に応じた車両数設定信号を制御装置22に出力する。
車軸数設定部24は、車両1Aにけん引される全車両1B,1C,…の合計車軸数を設定する装置である。車軸数設定部24は、図1及び図2に示す車両1B,1C,…が固定編成ではなく任意の車両によって編成されるようなときに設定される。車軸数設定部24は、例えば、各車両1B〜1Iが軸数の異なる台車を備えており、車両1B〜1Iの車両数が随時変更されて運用されるようなときに、運転士の手動操作によって合計車軸数が入力される入力装置などを備えている。車軸数設定部24は、車両1B,1C,…の合計車軸数に応じた車軸数設定信号を制御装置22に出力する。
次に、この発明の第2実施形態に係る噴射装置の動作を説明する。
図10は、この発明の第2実施形態に係る噴射装置の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図7に示すステップと対応するステップについては、対応する番号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示すS230において、車両数又は合計車軸数が所定範囲内であるか否かを制御装置22が判断する。車両1Aにけん引される全車両1B,1C,…の車両数又は合計車軸数が多いと列車抵抗が生じ、図3に示すように車両1A,1B,…が急曲線に進入すると曲線抵抗が生じる。このため、車両数又は合計車軸数が所定範囲内であるときには、摩擦緩和材Cを標準量噴射すれば摩擦緩和材Cによる摩擦緩和効果が十分であると考えられる。車両数設定部23が車両数を設定したり車軸数設定部24が合計車軸数を設定したりすると、車両数設定信号又は合計車軸数設定信号が制御装置22に出力されて、車両数又は合計車軸数が所定範囲内であるか否かを制御装置22が判断する。車両数又は合計車軸数が所定範囲内であると制御装置22が判断したときにはS240に進み、車両数又は合計車軸数が所定範囲外であると制御装置22が判断したときにはS250に進む。
S240において、摩擦緩和材を標準量噴射するための可変動作の開始を噴射量可変部9Lに制御装置22が指令する。このため、摩擦緩和材Cが標準量噴射されて、車両1A,1B,…の速度にかかわらず摩擦緩和材Cが略一定の散布量で散布される。
S250において、車両数又は合計車軸数が所定範囲を超えたか否かを制御装置22が判断する。車両数又は合計車軸数が所定範囲を超えていると制御装置22が判断したときにはS260に進み、車両数又は合計車軸数が所定範囲を下回ると制御装置22が判断したときにはS270に進む。
S260において、摩擦緩和材Cを標準量よりも増量して噴射するための可変動作の開始を噴射量可変部9Lに制御装置22が指令する。車両数又は合計車軸数が所定範囲を超えているときには、曲線抵抗が小さくなって標準量の摩擦緩和材Cの散布では摩擦緩和効果が不十分であるため、摩擦緩和材Cの噴射量を増加させる必要がある。その結果、標準量よりも僅かに多い摩擦緩和材Cが噴射口14Lから噴射される。
S270において、摩擦緩和材Cを標準量よりも減量して噴射するための可変動作の開始を噴射量可変部9Lに制御装置22が指令する。車両数又は合計車軸数が所定範囲を下回るときには、曲線抵抗が小さくなって標準量の摩擦緩和材Cの散布では摩擦緩和効果が十分過ぎて無駄であるため、摩擦緩和材Cの噴射量を減少させる必要がある。その結果、標準量よりも僅かに少ない摩擦緩和材Cが噴射口14Lから噴射される。
この発明の第2実施形態に係る噴射装置及び噴射方法には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、車両1Aにけん引される全車両1B,1C,…の車両数を設定する車両数設定部23の設定結果に基づいて、摩擦緩和材Cの噴射量を噴射量可変部9Lが可変する。また、この第2実施形態では、車両1Aにけん引される全車両1B,1C,…の合計車軸数を設定する車軸数設定部24の設定結果に基づいて、摩擦緩和材Cの噴射量を噴射量可変部9Lが可変する。このため、車両数又は合計車軸数が所定範囲を超えるときには標準量よりも増量して摩擦緩和材Cを噴射し、曲線抵抗を緩和することができる。また、車両数又は合計車軸数が所定範囲を下回るときには標準量よりも減量して摩擦緩和材を噴射し、摩擦緩和材Cを無駄に消費されるのを防ぐことができる。
(第3実施形態)
図11は、この発明の第3実施形態に係る噴射装置を備える列車を概略的に示す側面図である。
図11に示す列車1は、原動機を有する車両1A1,1A2を一端と他端とに連結しており、列車全体の向きを変えずに前後いずれの方向にも正規速度で走行可能なプッシュ・プル列車である。列車1は、例えば、フランス国鉄のTGV、スペイン国鉄のAVE又はユーロトンネル用のユーロスターのような前後の先頭車が電動車である動力集中方式の高速列車や、けん引力が不足するときに客車又は貨車の先頭に本務機関車を連結し後尾に補助機関車を連結した重連運転列車などである。噴射装置6Aは、車両1A1の車両1Bを連結する側に搭載されており、噴射装置6Bは車両1A2の車両1Iを連結する側に搭載されている。噴射装置6Aは、車両1A1が先頭車両となってD1方向に走行するときには、車両1Bの進行方向前側の台車3Aの車輪とレールとの間に車両1A1側から摩擦緩和材を噴射する。一方、噴射装置6Bは、車両1A2が先頭車両となってD2方向に走行するときには、車両1Iの進行方向前側の台車3Bの車輪とレールとの間に車両1A2側から摩擦緩和材を噴射する。噴射装置6Aは、車両1A1が先頭の動力車となってD1方向に走行するときには、後尾の動力車である車両1A2の車輪が摩擦緩和材を踏み付けて接線力が低下しないように、車両1A2が通過するまで摩擦緩和効果を維持可能な程度の噴射量で摩擦緩和材を噴射する。同様に、噴射装置6Bは、車両1A2が先頭の動力車になってD2方向に走行するときには、後尾の動力車である車両1A1の車輪が摩擦緩和材を踏み付けて接線力が低下しないように、車両1A1が通過するまで摩擦緩和効果を維持可能な程度の噴射量の摩擦緩和材を噴射する。
この発明の第3実施形態に係る噴射装置には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、車両1A1が先頭の機関車であり車両1A2が後尾の機関車であり、車両1B,1C,…が一端に先頭の機関車が連結され、他端に後尾の機関車が連結される貨車又は客車であり、これらの貨車又は客車の進行方向前側の台車3A,3Bの車輪とレールとの間に、先頭の機関車側から摩擦緩和材を噴射口から噴射する。その結果、車両1Bが連結される側の車両1A1の端部と、車両1Iが連結される側の車両1A2の端部とに、それぞれ噴射装置6A,6Bを1台ずつ設置するため、第1実施形態のような車両1Aの両端部に噴射装置6A,6Bを2台設置する場合に比べて低コスト化を図ることができる。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、車両1B,1C,…が貨車又は客車である場合を例に挙げて説明したが、荷物を輸送する荷物車、特殊な構造又は設備を有する特殊車などの原動機を有さない車両についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、噴射物として摩擦緩和材Cを噴射する場合を例に挙げて説明したが、摩擦緩和材C以外の噴射物を噴射する場合についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、圧縮気体として圧縮空気を噴射する場合を例に挙げて説明したが、圧縮空気以外の気体を噴射する場合についてもこの発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、本線や支線の急曲線を車両1A,1B,…が通過する場合を例に挙げて説明したが、分岐器などの急曲線を車両1A,1B,…が通過する場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、レールRLと車輪WLとの間に摩擦緩和材Cを噴射して内側頭側面R2に摩擦緩和材Cを付着させた場合を例に挙げて説明したが、内側頭側面R2とフランジ面W2の両方又はフランジ面W2のみに摩擦緩和材Cを付着させることもできる。また、この実施形態では、車両1A,1B,…が左方向の急曲線に進入する場合を例に挙げて説明したが、車両1A,1B,…が右方向の急曲線に進入する場合についてもこの発明を適用することができる。
(3) この実施形態では、噴射装置6A,6Bを排障装置5の外側に設置する場合を例に挙げて説明したが、噴射装置6A,6Bを排障装置5の内側に設置することもできる。この場合には、この排障装置5の開口部から噴射口14L,14Rを突出させて摩擦緩和材Cを噴射することができる。また、この実施形態では、噴射装置6A,6Bを車両1A,1A1,1A2の車体側に設置する場合を例に挙げて説明したが、台車2A,2B側に設置することもできる。さらに、この実施形態では、噴射装置6A,6Bを車両1A,1A1,1A2側に設置した場合を例に挙げて説明したが、噴射装置6A,6Bを地上側に設置して地上側から内側頭側面R2とフランジ面W2との間に摩擦緩和材Cを噴射することもできる。
(4) この実施形態では、線路情報と現在位置情報とに基づいて曲線検出部16が急曲線を検出しているが、このような検出方法に限定するものではない。例えば、車両1Aの進行方向前側の台車2Aの左右方向の回転角(ヨーイング角)をカム装置、近接スイッチ、変位センサ又は加速度センサなどによって検知して、急曲線を検出することもできる。また、この実施形態では、引張力検出部21が検出する引張力に応じて曲線区間の摩擦緩和材Cの噴射量を可変しているが、引張力に応じて直線区間で摩擦緩和材Cの噴射量を可変することもできる。さらに、この実施形態では、曲線検出部16、横圧検出部17及びきしり音検出部18を備える場合を例に挙げて説明したが、これらの一つを車両1Aに設置したり、これらを任意に選択可能に構成したりすることもできる。
(5) この実施形態では非常ブレーキ作動検出部19が非常ブレーキ装置の作動を検出する場合を例に挙げて説明したが、常用ブレーキ装置及び非常ブレーキ装置に異常が発生したときに車両1Aを停止させる保安ブレーキ装置の作動を検出する保安ブレーキ作動検出部を設けることもできる。例えば、バックアップ系として常用ブレーキ装置とは指令及び空気源が別系統である直通空気ブレーキ装置の作動を検出する直通予備ブレーキ検出部を噴射装置6A,6Bが備える場合についてもこの発明を適用することができる。この場合には、非常ブレーキ装置の作動時と同様に、直通予備ブレーキ装置の作動時には摩擦緩和材Cを噴射しないように、気体噴射部7及び噴射量可変部9L,9Rを制御装置22が動作制御する。また、この第2実施形態では、車両1B,1C,…が2軸台車である場合を例に挙げて説明したが、1軸台車又は3軸台車である場合についてもこの発明を適用することができる。
この発明の第1実施形態に係る噴射装置を備える列車を概略的に示す側面図であり、(A)は上り方向に走行中の側面図であり、(B)は下り方向に走行中の側面図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置を備える車両の側面図であり、(A)は上り方向に走行中の側面図であり、(B)は下り方向に走行中の側面図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置を備える列車が急曲線を通過するときの車輪とレールとの状態を示す平面図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置を備える列車が急曲線を通過するときの車輪とレールとの状態を示す正面図であり、(A)は内軌側のレールと車輪との接触状態を示す正面図であり、(B)は外軌側のレールと車輪との接触状態を示す正面図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置を概略的に示す斜視図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置を概略的に示す構成図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置を備える車両の入換作業を一例として示す平面図である。 この発明の第2実施形態に係る噴射装置を概略的に示す構成図である。 この発明の第2実施形態に係る噴射装置の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の第3実施形態に係る噴射装置を備える列車を概略的に示す側面図である。 従来の噴射装置を備える専用塗布車両の入換作業を一例として示す平面図である。
符号の説明
1 列車
1A,1A1,1A2 車両(動力車)
1B,1C,… 車両
2A〜2C,3A,3B 台車
4 連結装置
5 排障装置
6A,6B 噴射装置
7 気体噴射部
9L,9R 噴射量可変部
11L,11R 噴射物収容部
14L,14R 噴射口(噴射部)
15 速度検出部
16 曲線検出部
17 横圧検出部
18 きしり音検出部
19 非常ブレーキ作動検出部
20 ワイパ動作検出部
21 引張力検出部
22 制御装置
23 車両数設定部
24 車軸数設定部
R 線路
L レール(内軌)
R レール(外軌)
1 頭頂面
2 内側頭側面
L,WR 車輪
1 車輪踏面
2 フランジ面
C 摩擦緩和材
Q 横圧

Claims (16)

  1. 車輪とレールとの間に噴射物を噴射する噴射装置であって、
    動力車に連結されてけん引される車両の進行方向前側の台車の車輪とレールとの間に、この動力車側から前記噴射物を噴射する噴射部を備えること、
    を特徴とする噴射装置。
  2. 請求項1に記載の噴射装置において、
    前記動力車が前記車両をけん引するために必要な引張力を検出する引張力検出部の検出結果に基づいて、前記噴射物の噴射量を可変する噴射量可変部を備えること、
    を特徴とする噴射装置。
  3. 請求項2に記載の噴射装置において、
    前記噴射量可変部は、前記動力車と前記車両とを連結する連結装置に作用する引張力に基づいて前記噴射物の噴射量を可変すること、
    を特徴とする噴射装置。
  4. 請求項1に記載の噴射装置において、
    前記動力車にけん引される全車両の車両数を設定する車両数設定部の設定結果に基づいて、前記噴射物の噴射量を可変する噴射量可変部を備えること、
    を特徴とする噴射装置。
  5. 請求項1に記載の噴射装置において、
    前記動力車にけん引される全車両の合計車軸数を設定する車軸数設定部の設定結果に基づいて、前記噴射物の噴射量を可変する噴射量可変部を備えること、
    を特徴とする噴射装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の噴射装置において、
    前記動力車は、機関車であり、
    前記車両は、前記機関車に連結される貨車又は客車であり、
    前記噴射部は、前記貨車又は前記客車の進行方向前側の台車の車輪とレールとの間に、前記機関車側から前記噴射物を噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の噴射装置において、
    前記動力車は、先頭の機関車と後尾の機関車であり、
    前記車両は、一端に前記先頭の機関車が連結され、他端に前記後尾の機関車が連結される貨車又は客車であり、
    前記噴射部は、前記貨車又は前記客車の進行方向前側の台車の車輪とレールとの間に、前記先頭の機関車側から前記噴射物を噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記車輪と前記レールとの間の摩擦抵抗を緩和する摩擦緩和材を噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  9. 車輪とレールとの間に噴射物を噴射する噴射方法であって、
    動力車に連結されてけん引される車両の進行方向前側の台車の車輪とレールとの間に、この動力車側から前記噴射物を噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  10. 請求項9に記載の噴射方法において、
    前記動力車が前記車両をけん引するために必要な引張力を検出し、この引張力に基づいて前記噴射物の噴射量を可変すること、
    を特徴とする噴射方法。
  11. 請求項10に記載の噴射方法において、
    前記動力車と前記車両とを連結する連結装置に作用する引張力に基づいて前記噴射物の噴射量を可変すること、
    を特徴とする噴射方法。
  12. 請求項9に記載の噴射方法において、
    前記動力車にけん引される全車両の車両数に基づいて、前記噴射物の噴射量を可変すること、
    を特徴とする噴射方法。
  13. 請求項9に記載の噴射方法において、
    前記動力車にけん引される全車両の合計車軸数に基づいて、前記噴射物の噴射量を可変すること、
    を特徴とする噴射方法。
  14. 請求項9から請求項13までのいずれか1項に記載の噴射方法において、
    前記動力車は、機関車であり、
    前記車両は、前記機関車に連結される貨車又は客車であり、
    前記貨車又は前記客車の進行方向前側の台車の車輪とレールとの間に、前記機関車側から前記噴射物を噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  15. 請求項9から請求項13までのいずれか1項に記載の噴射方法において、
    前記動力車は、先頭の機関車と後尾の機関車であり、
    前記車両は、一端に前記先頭の機関車が連結され、他端に前記後尾の機関車が連結される貨車又は客車であり、
    前記貨車又は前記客車の進行方向前側の台車の車輪とレールとの間に、前記先頭の機関車側から前記噴射物を噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  16. 請求項9から請求項13までのいずれか1項に記載の噴射方法において、
    前記車輪と前記レールとの間の摩擦抵抗を緩和する摩擦緩和材を噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
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