以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、以下の実施の形態を説明する図面においては、構成を分かり易くするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、SRAM(static random access memory)を備えた半導体装置に本発明を適用した場合について説明する。
図1は本実施の形態における半導体装置の要部(SRAMセル)を模式的に示す平面図であり、図2は図1のA−A’線における半導体装置を模式的に示す断面図、図3は図1のB−B’線における半導体装置を模式的に示す断面図である。図1では、ゲート電極Gと、活性領域を構成するnウェル3およびpウェル4との関係を明確にするために、図2、図3で示すような層間絶縁膜22など、一部を省略して示している。また、図2、図3では図示しないが、本実施の形態における半導体装置は多層配線構造であっても良く、最表面には保護膜(パッシベーション膜)が設けられている。また、図2、図3に示すpMIS領域はpMISトランジスタQpが形成される領域であり、nMIS領域はnMISトランジスタQnが形成される領域である。
まず、本実施の形態におけるSRAMのレイアウト構成について説明する。図1に示すように、半導体基板(以下、基板という)1は素子分離領域2によって複数の活性領域に区画されている。なお、図1中ではpMISトランジスタQpの活性領域として、nウェル3(p型半導体領域18)が示されており、nMISトランジスタQnの活性領域として、pウェル4(n型半導体領域19)が示されている。
pMISトランジスタQpを構成するnウェル3では、ボロンなどのp型不純物を注入することにより、p型半導体領域(ソース/ドレイン)18が形成されている。そして、これらソース領域とドレイン領域の間のnウェル3上にゲート絶縁膜を介してゲート電極Gが形成されている。同様に、nMISトランジスタQnを構成するpウェル4には、リンや砒素などのn型不純物を導入することによりn型半導体領域(ソース/ドレイン)19が形成されている。そして、これらソース領域とドレイン領域の間のpウェル4上にゲート絶縁膜を介してゲート電極Gが形成されている。なお、図1では、ゲート電極Gは、活性領域の延在する第1方向(図面上下方向)とは交差する第2方向(図面左右方向)に延在している。
SRAMにおいては、複数のMISトランジスタからなるメモリセルが複数形成されている以外に、SRAMの構造上電位を得るための基板電位供給部が形成され、それらはコンタクト24や配線25(図3参照)を介して電気的に接続されている。
次に、本実施の形態におけるpMISトランジスタQpの構成について説明する。図2、図3に示すように、例えばp型単結晶シリコンから構成される基板1のpMIS領域には、nウェル3が形成されている。pMISトランジスタQpは、このnウェル3(基板1)上にゲート絶縁膜を構成するハフニウム系酸化膜5を介してゲート電極Gを有している。
このpMISトランジスタQpのゲート絶縁膜は、基板1の主面(素子形成面)上に設けられた酸化シリコン(SiO2)よりも誘電率が高く、金属元素のアルミニウム(Al)を含むHfAlO膜(ハフニウム系酸化膜5)から構成されている。このように、ゲート絶縁膜にハフニウム系酸化膜5を用いることで、ゲート絶縁膜を酸化シリコン膜のみで構成した場合と比較して、リーク電流を抑制し、MISトランジスタを微細化、集積化しつつ、オン電流の増大などのトランジスタ駆動能力を向上することができる。なお、基板1とハフニウム系酸化膜5との間に界面層として酸化シリコン(SiO2)膜が設けられていても良い。また、ハフニウム系酸化膜5を構成するHfAlO膜は、窒素(N)を含む構成でHfAlON膜であっても良い。
また、金属元素が含まれたハフニウム系酸化膜5は、アルミニウムの他に、チタン(Ti)またはタンタル(Ta)のいずれの金属元素が含まれていても、pMISトランジスタQpのゲート絶縁膜として用いることができる。ハフニウム系酸化膜に金属元素を含めることで、実効仕事関数を制御することができ、pMISトランジスタQpを構成することができる。実効仕事関数をシリコンの伝導帯近傍(5.2eV近傍)に設定することで、pMISトランジスタQpの閾値電圧の低下を図ることができる。
ゲート電極Gは、金属を含めた導電性材料から構成されており、pMISトランジスタQpのゲート絶縁膜(ハフニウム系酸化膜5)上に窒化チタン(TiN)膜で構成される金属膜13と、金属膜13上にポリシリコン膜14とを有している。ゲート電極G(ポリシリコン膜14)の表面にはシリサイド化されたシリサイド膜21(例えば、ニッケルシリサイド膜、コバルトシリサイド膜)が形成されている。
金属膜13は、ゲート絶縁膜と直接接しており、主としてpMISトランジスタQpの閾値電圧を調整するために用いられるものである。一方、ポリシリコン膜14は、主としてゲート電極Gの低抵抗化のために用いられるものである。また、ゲート電極Gの両側の側壁には、サイドウォール20が形成されている。このサイドウォール20は、例えば窒化シリコン膜などの絶縁膜から形成されている。
サイドウォール20直下のnウェル3内には、ゲート電極Gに整合して設けられたp型半導体領域(ソース/ドレイン)18が形成されている。このp型半導体領域18は、基板1にボロン(B)などのp型不純物を導入して形成された不純物領域である。そして、p型半導体領域18の表面には、コンタクト24との接続性を良好とするために、サイドウォール20に整合してシリサイド膜21が形成されている。このように一対のp型半導体領域18により、pMISトランジスタQnのソース領域とドレイン領域が形成されている。
次に、本実施の形態におけるnMISトランジスタQnの構成について説明する。図2、図3に示すように、例えばp型単結晶シリコンから構成される基板1のnMIS領域には、pウェル4が形成されている。nMISトランジスタQnは、このpウェル(基板1)上にゲート絶縁膜を構成するハフニウム系酸化膜9を介してゲート電極Gを有している。
このnMISトランジスタQnのゲート絶縁膜は、基板1の主面(素子形成面)上に設けられた酸化シリコン(SiO2)よりも誘電率が高く、金属元素のマグネシウム(Mg)を含むHfMgO膜(ハフニウム系酸化膜9)から構成されている。このように、ゲート絶縁膜にハフニウム系酸化膜を用いることで、ゲート絶縁膜を酸化シリコン膜のみで構成した場合と比較して、リーク電流を抑制し、MISトランジスタを微細化、集積化しつつ、オン電流の増大などのトランジスタ駆動能力を向上することができる。なお、基板1とハフニウム系酸化膜9との間に界面層として酸化シリコン(SiO2)膜が設けられていても良い。また、ハフニウム系酸化膜9を構成するHfMgO膜は、窒素(N)を含む構成でHfMgON膜であっても良い。
また、金属元素が含まれたハフニウム系酸化膜9は、マグネシウムの他に、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)またはイットリウム(Y)のいずれの金属元素が含まれていても、nMISトランジスタQnのゲート絶縁膜として用いることができる。ハフニウム系酸化膜に金属元素を含めることで、実効仕事関数を制御することができ、nMISトランジスタQnを構成することができる。実効仕事関数をシリコンの伝導帯近傍(4.1eV近傍)に設定することで、nMISトランジスタQnの閾値電圧の低下を図ることができる。
ゲート電極Gは、金属を含めた導電性材料から構成されており、nMISトランジスタQnのゲート絶縁膜(ハフニウム系酸化膜9)上に窒化チタン(TiN)膜で構成される金属膜13と、金属膜13上にポリシリコン膜14とを有している。ゲート電極G(ポリシリコン膜14)の表面にはシリサイド化されたシリサイド膜21(例えば、ニッケルシリサイド膜、コバルトシリサイド膜)が形成されている。
金属膜13は、ゲート絶縁膜と直接接しており、主としてnMISトランジスタQnの閾値電圧を調整するために用いられるものである。一方、ポリシリコン膜14は、主としてゲート電極Gの低抵抗化のために用いられるものである。また、ゲート電極Gの両側の側壁には、サイドウォール20が形成されている。このサイドウォール20は、例えば窒化シリコン膜などの絶縁膜から形成されている。
サイドウォール20直下のpウェル4内には、ゲート電極Gに整合して設けられたn型半導体領域(ソース/ドレイン)19が形成されている。このn型半導体領域19は、基板1にリン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入して形成された不純物領域である。そして、n型半導体領域19の表面には、コンタクト24との接続性を良好とするために、サイドウォール20に整合してシリサイド膜21が形成されている。このように一対のn型半導体領域19により、nMISトランジスタQnのソース領域とドレイン領域が形成されている。
以上のように、本実施の形態における半導体装置は、基板1と、基板1の主面に設けられた素子分離領域2と、基板1の主面に設けられ、素子分離領域2によって互いに絶縁分離されたpMISトランジスタQpの活性領域およびnMISトランジスタQnの活性領域をそれぞれ構成するnウェル3およびpウェル4と、nウェル3上に設けられたpMISトランジスタQpのゲート絶縁膜(ハフニウム系酸化膜5)と、pウェル4上に設けられたnMISトランジスタQnのゲート絶縁膜(ハフニウム系酸化膜9)とを備えている。このハフニウム系酸化膜5およびハフニウム系酸化膜9は、図2に示すように、素子分離領域2に係るようにnウェル3上に設けられたpMISトランジスタQpのゲート絶縁膜(ハフニウム系酸化膜5)と、ハフニウム系酸化膜5と素子分離領域2上で接触し、pウェル4上に設けられたハフニウム系酸化膜5と異なる材料から構成されるnMISトランジスタQnのゲート絶縁膜(ハフニウム系酸化膜9)として設けられている。さらに、ハフニウム系酸化膜5上に設けられたpMISトランジスタのゲート電極Gと、ハフニウム系酸化膜9上に設けられたnMISトランジスタQnのゲート電極Gとを備えている。
このように、基板1のnMIS領域にnMISトランジスタQnが設けられており、基板1のpMIS領域にpMISトランジスタQpが設けられている。また、それぞれが異なる材料からなるハフニウム系酸化膜をゲート絶縁膜として備えたnMISトランジスタQnおよびpMISトランジスタQpからCMISトランジスタを構成することによって、半導体装置の高性能化を図ることができる。具体的には、CMISトランジスタの閾値を低減することができ、高いオン電流を有し、かつ消費電力の低いCMISトランジスタを実現することができる。
また、素子分離領域2上でpMISトランジスタQpのゲート絶縁膜(ハフニウム系酸化膜5)と、nMISトランジスタQnのゲート絶縁膜(ハフニウム系酸化膜9)とが、接触しており、言い換えると、素子分離領域2上でハフニウム系酸化膜5とハフニウム系酸化膜9の両方の組成を有する領域が存在する。素子分離領域2上でハフニウム系酸化膜5と、ハフニウム系酸化膜9とが少なくとも接触していることによって、本発明者らが検討した半導体装置において課題となった寄生MISトランジスタが生成される可能性を低減することができる。また、例えばハフニウム系酸化膜5上にハフニウム系酸化膜9が乗り上げた状態であっても、本発明者らが検討した半導体装置において課題となった寄生MISトランジスタが生成される可能性を低減することができる。このことは、後述するが、素子分離領域2上で接触しているハフニウム系酸化膜5とハフニウム系酸化膜9とによって、製造工程中のエッチング工程において素子分離領域2が削られることを防止することができるからである。これにより、寄生MISトランジスタによる誤動作を抑制することができるので、半導体装置の信頼性を向上することができる。
次に、本実施の形態における半導体装置を構成するnMISトランジスタQnおよびpMISトランジスタQpの製造方法について図面を参照して説明する。
まず、図5および図6に示すように、素子分離領域2によって互いに絶縁分離されたpMISトランジスタの活性領域を構成するnウェル3、およびnMISトランジスタの活性領域を構成するpウェル4を有する基板1を準備する。
具体的には、まず、例えばp型単結晶シリコンから構成された基板1の主面(素子形成面)に表面処理を施す。次いで、例えば120nm〜150nmの深さの素子分離溝に、例えばCVD法を用いて酸化シリコン膜を埋め込むことで、STI(Shallow Trench Isolation)から構成される素子分離領域2を形成する。この素子分離領域2では、pMIS領域およびnMIS領域の境界が位置することとなる。次いで、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を用いて、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物をpMIS領域の基板1内に導入することによりnウェル3を形成する。同様に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を用いて、ボロン(B)やフッ化ボロン(BF2)などのp型不純物をnMIS領域の基板1内に導入することによりpウェル4を形成する。
続いて、図7および図8に示すように、基板1の主面上に、pMISトランジスタのゲート絶縁膜材料膜として、酸化シリコン(SiO2)より誘電率が高いハフニウム系酸化膜5を形成した後、ハフニウム系酸化膜5上に順にハフニウム系酸化膜5に対してエッチングの選択比が高い保護膜6、その保護膜6に対してエッチングの選択比が高いハードマスク7を積層形成する。
具体的には、まず、原子層制御成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)法、CVD法あるいはスパッタ法を用いて、ハフニウム系酸化膜5として2〜3nm程度の厚さの酸化ハフニウムアルミニウム(HfAlO)膜を形成する。このHfAlO膜(ハフニウム系酸化膜5)は、酸化シリコンより誘電率が高いので、高誘電率(high−k)膜である。このHfAlO膜に対して、必要に応じて製造途中、最後に窒化や熱処理しても良い。なお、ハフニウム系酸化膜5と基板1との間に界面層として0.5nm程度の厚さで酸化シリコン(SiO2)膜を形成しても良い。
次いで、スパッタ法を用いて、保護膜6として10nm程度の厚さの窒化チタン(TiN)膜を形成する。この保護膜6のTiN膜は製造工程上必要な膜であるが、最終製品には存在しない。したがって、容易に堆積形成することができ、選択比が高く除去できる材料が望ましい。本実施の形態では、保護膜6としてTiN膜を適用したのは、スパッタ法で容易に堆積形成でき、窒化チタンを容易に除去できるウエットエッチング材料として過酸化水素水(H2O2)が既知であり、下地であるHfAlO膜(ハフニウム系酸化膜5)にダメージを与えずに除去されるからである。
なお、保護膜6としては、ポリシリコン膜も用いることができる。この場合は、水酸化カリウム(KOH)や水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)で選択的に除去することができる。
次いで、HCD(Hexa-Chloro-Disilane)を原料とした450℃程度の低温でCVD法を用いて、ハードマスク7として10nm程度の厚さの窒化シリコン(SiN)膜を形成する。このハードマスク7のHCD−SiN膜は製造工程上必要な膜であるが、最終製品には存在しない。したがって、容易に堆積形成することができ、選択比が高く除去できる材料が望ましい。本実施の形態では、ハードマスク7としてこの窒化シリコン膜を適用したのは、CVD法によって容易に堆積形成でき、HCD−SiN膜を容易に除去できるウエットエッチング材料として希フッ酸(dHF)が既知であり、下地であるTiN膜(保護膜6)にダメージを与えずに除去されるからである。また、DCS(Di-Chloro-Silane)を原料とした窒化シリコン膜は希フッ酸では除去することができないため、TiN膜(保護膜6)に対してエッチングの選択比が低く、本実施の形態では適用していない。
なお、ハードマスク7としては、アモルファスシリコン膜、ポリシリコン膜も用いることができる。この場合は、水酸化カリウム(KOH)や水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)で選択的に除去することができる。
続いて、図9および図10に示すように、pMISトランジスタを構成する活性領域とnMISトランジスタを構成する活性領域とを絶縁分離する素子分離領域2に係り、pMISトランジスタの活性領域全体を覆うレジストマスク8を形成する。具体的には、フォトリソグラフィ技術を用いて、基板1の主面上にレジスト膜を形成した後、nMISトランジスタの活性領域を含むnMIS領域のpウェル4を露出するためにパターニングされたレジストマスク8を形成する。
続いて、図11および図12に示すように、素子分離領域2に係り、pMISトランジスタの活性領域全体に設けられたレジストマスク8を用いて、ハードマスク7をエッチングする。ここでは、ハードマスク7を構成するHCD−SiN膜は、ドライエッチングまたはウエットエッチングのどちらかを用いて、エッチングされる。
続いて、レジストマスク8をアッシングにより除去した後、図13および図14に示すように、素子分離領域2に係り、pMISトランジスタの活性領域全体に設けられたハードマスク7を用いて、保護膜6をエッチングする。具体的には、HCD−SiN膜をマスク(ハードマスク7)にして、nMIS領域で露出した保護膜6を構成するTiN膜を過酸化水素水(H2O2)によるウエットエッチングで選択的に除去する。この際、ハードマスク7を構成するHCD−SiN膜やハフニウム系酸化膜5もほとんどダメージを受けないことが重要である。
続いて、図15および図16に示すように、素子分離領域2に係り、pMISトランジスタの活性領域全体に設けられたハードマスク7および保護膜6を用いて、ハフニウム系酸化膜5をエッチングする。具体的には、HCD−SiN膜(ハードマスク7)およびその下のTiN膜(保護膜6)をマスクにして、nMIS領域で露出したハフニウム系酸化膜5を構成するHfAlO膜を希フッ酸(dHF)によるエッチングで選択的に除去する。これにより、nMIS領域において、nMISトランジスタの活性領域を構成するpウェル4が露出する。
続いて、図17および図18に示すように、基板1の主面上に、nMISトランジスタのゲート絶縁膜材料膜として、酸化シリコン(SiO2)より誘電率が高く、ハフニウム系酸化膜5と異なる材料から構成されるハフニウム系酸化膜9を形成した後、ハフニウム系酸化膜9上に順にハフニウム系酸化膜9に対してエッチングの選択比が高い保護膜10、その保護膜10に対してエッチングの選択比が高いハードマスク11を積層形成する。
具体的には、まず、原子層制御成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)法、CVD法あるいはスパッタ法を用いて、ハフニウム系酸化膜9として2〜3nm程度の厚さの酸化ハフニウムマグネシウム(HfMgO)膜を形成する。このHfMgO膜(ハフニウム系酸化膜9)は、酸化シリコンより誘電率が高いので、高誘電率(high−k)膜である。このHfMgO膜に対して、必要に応じて製造途中、最後に窒化や熱処理しても良い。なお、ハフニウム系酸化膜9と基板1との間に界面層として0.5nm程度の厚さで酸化シリコン(SiO2)膜を形成しても良い。
次いで、スパッタ法を用いて、保護膜10として10nm程度の厚さの窒化チタン(TiN)膜を形成する。この保護膜10のTiN膜は製造工程上必要な膜であるが、最終製品には存在しない。したがって、容易に堆積形成することができ、選択比が高く除去できる材料が望ましい。本実施の形態では、保護膜10としてTiN膜を適用したのは、スパッタ法で容易に堆積形成でき、窒化チタンを容易に除去できるウエットエッチング材料として過酸化水素水(H2O2)が既知であり、下地であるHfMgO膜(ハフニウム系酸化膜9)にダメージを与えずに除去されるからである。
なお、保護膜10としては、ポリシリコン膜も用いることができる。この場合は、水酸化カリウム(KOH)や水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)で選択的に除去することができる。
次いで、HCDを原料とした450℃程度の低温でCVD法を用いて、ハードマスク11として10nm程度の厚さの窒化シリコン(SiN)膜を形成する。このハードマスク11のHCD−SiN膜は製造工程上必要な膜であるが、最終製品には存在しない。したがって、容易に堆積形成することができ、選択比が高く除去できる材料が望ましい。本実施の形態では、ハードマスク11としてこの窒化シリコン膜を適用したのは、CVD法によって容易に堆積形成でき、HCD−SiN膜を容易に除去できるウエットエッチング材料として希フッ酸(dHF)が既知であり、下地であるTiN膜(保護膜10)にダメージを与えずに除去されるからである。また、DCS(Di-Chloro-Silane)を原料とした窒化シリコン膜は希フッ酸では除去することができないため、TiN膜(保護膜10)に対してエッチングの選択比が低く、本実施の形態では適用していない。
なお、ハードマスク11としては、アモルファスシリコン膜、ポリシリコン膜も用いることができる。この場合は、水酸化カリウム(KOH)や水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)で選択的に除去することができる。
続いて、図19、図20および図4に示すように、先の工程でエッチング用マスクとして設けられたレジストマスク8とオーバーラップするように素子分離領域2に係り、nMISトランジスタの活性領域全体を覆うレジストマスク12を形成する。具体的には、フォトリソグラフィ技術を用いて、基板1の主面上にレジスト膜を形成した後、pMIS領域のハードマスク11を露出するようにパターニングされたレジストマスク12を形成する。
本実施の形態では、図4にも示すように、先の工程でエッチング用マスクとして用いたレジストマスク8と、このレジストマスク12とが覆う領域が重なるように、pMISトランジスタの活性領域とnMISトランジスタの活性領域とを絶縁分離する素子分離領域2でオーバーラップ(図4ではハッチングが重複している領域V)させている。すなわち、レジストマスク8(第1レジストパターン)とレジストマスク12(第2レジストパターン)は、基板1上における共通領域を平面的に覆うように形成される。このように本実施の形態ではレジストマスク8とレジストマスク12とがオーバーラップできるので、素子分離領域2の幅W(図2参照)を、オーバーラップをさせない場合の素子分離領域2の幅W’(図51、図52参照)より小さくすることができる。これにより、以降の工程を経て製造された半導体装置では、そのSRAMセルの密度を高めることができ、また、縮小化することができることとなる。
続いて、図21および図22に示すように、先の工程でエッチング用マスクとして設けられたレジストマスク8とオーバーラップするように素子分離領域2に係り、nMISトランジスタの活性領域全体に設けられたレジストマスク12を用いて、ハードマスク11をエッチングする。ここでは、ハードマスク11を構成するHCD−SiN膜を、ドライエッチングまたはウエットエッチングのどちらかを用いてエッチングする。
続いて、レジストマスク12を除去した後、図23および図24に示すように、先の工程でエッチング用マスクとして設けられたハードマスク7とオーバーラップするように素子分離領域2に係り、nMISトランジスタの活性領域全体に設けられたハードマスク11を用いて、保護膜10をエッチングする。具体的には、HCD−SiN膜をマスク(ハードマスク11)にして、pMIS領域に露出した保護膜10を構成するTiN膜を過酸化水素水(H2O2)によるウエットエッチングで選択的に除去する。この際、ハードマスク11を構成するHCD−SiN膜やハフニウム系酸化膜9もほとんどダメージを受けないことが重要である。
本実施の形態では、ハードマスク11下まで後退するように保護膜10を構成するTiN膜をウエットエッチングする。前述したように、レジストマスク8と、このレジストマスク12とは素子分離領域2でオーバーラップするように設けられる。そのオーバーラップさせたことによる重複した領域の保護膜10をウエットエッチングで除去する。すなわち、保護膜10を構成するTiN膜を過酸化水素水(H2O2)によるウエットエッチングすることによって、ハードマスク11に覆われて露出していなくても、TiN膜(保護膜10)を選択的に除去することができる。
本発明者らが検討した半導体装置のように、エッチング時の残渣によってnMISトランジスタやpMISトランジスタのゲートの高さが局所的に高い領域ができる可能性があるため、nMISトランジスタ、pMISトランジスタのそれぞれのゲート絶縁膜の切り分けるレジストマスクではオーバーラップが許されるものではないと考えられていた。しかしながら、本実施の形態では、レジストマスク8と、レジストマスク12とをオーバーラップしている。これはウエットエッチングによって、保護膜10を構成するTiN膜を除去することによって、ハードマスク11に覆われて露出していなくても、TiN膜(保護膜10)を選択的に除去できるからである。また、最終的には、TiN膜(保護膜10)をハフニウム系酸化膜9に対して高い選択比で除去し、再度基板1の主面上にゲート電極材料のTiN膜あるいはTaN膜を形成し直すので、ゲートの段差を生じることはない。
続いて、ハードマスク7およびハードマスク11を全てエッチングによって除去すると、図25および図26に示すようになる。具体的には、ハードマスク7、11を構成するHCD−SiN膜を希フッ酸(dHF)によるウエットエッチングで除去する。この際、本実施の形態では、pMISトランジスタの活性領域のハフニウム系酸化膜9も除去する。言い換えると、保護膜6とオーバーラップするように素子分離領域2に係り、nMISトランジスタの活性領域全体に設けられたマスクとして保護膜10を用いて、nMISトランジスタのゲート絶縁膜材料膜であるHfMgO膜(ハフニウム系酸化膜9)をエッチングする。
本実施の形態では、素子分離領域2において、pMISトランジスタのゲート絶縁膜材料膜であるHfAlO膜(ハフニウム系酸化膜5)と接触するnMISトランジスタのゲート絶縁膜材料膜であるHfMgO膜(ハフニウム系酸化膜9)を形成するように、ウエットエッチングを行う。素子分離領域2上においてハフニウム系酸化膜5とハフニウム系酸化膜9とが接触しているので、素子分離領域2を構成するSTIがエッチングによって削られることはない。STIが削られない場合、後のソース/ドレイン形成の不純物注入工程で、その不純物はSTIで止まることとなり、その下の基板1にまで拡散するのを防止することができる。これにより、本発明者らが検討した半導体装置において課題となった寄生MISトランジスタが生成される可能性を低減することができる。
なお、HfAlO膜(ハフニウム系酸化膜5)とHfMgO膜(ハフニウム系酸化膜9)との境界でそれらがエッチングによって削れられることが考えられる。しかしながら、希フッ酸(dHF)によるエッチングレートは、HfAlO膜、HfMgO膜よりハードマスク7、11を構成するHCD−SiN膜が高いので、削れ量は微量である。本実施の形態では、希フッ酸(dHF)によるHCD−SiN膜のエッチングレートを高く保つために、HCD−SiN膜の形成後は、その温度(例えば450℃)を越えないようにしている。このため、保護膜6、10を構成するTiN膜の形成にはHCD−SiN膜の形成温度より低温で形成できるスパッタ法を用いている。例えば、TiCl4を原料としたCVD法を用いてTiN膜を形成することができるが、その形成温度は例えば640℃であり、HCD−SiN膜の形成温度より高温であるため、適用していない。
続いて、保護膜6および保護膜10を全てエッチングによって除去すると、図27および図28のようになる。具体的には、保護膜6、10を構成するTiN膜を過酸化水素水(H2O2)によるウエットエッチングで除去する。前述したように、素子分離領域2を構成するSTI上でハフニウム系酸化膜5とハフニウム系酸化膜9とが接触しているので、そのSTIは露出していない。
続いて、図29および図30に示すように、基板1の主面上に順に金属膜13、ポリシリコン膜14を積層形成する。金属膜13およびポリシリコン膜14はnMISトランジスタ、pMISトランジスタのゲート電極材料膜を構成するものである。
具体的には、金属膜13として、例えばスパッタ法を用いて30nm程度の厚さの窒化チタン(TiN)膜を形成する。この金属膜13は仕事関数金属(WFM:work-function-metal)として用いられるものである。よって、耐熱性が高いミッドギャップ材料の金属膜13として窒化タンタル(TaN)、窒化タンタルシリコン(TaSiN)を用いても良い。本実施の形態では、ゲート加工のし易さを考慮して金属膜13としてTiN膜を用いている。
また、ポリシリコン膜14として、例えばCVD法を用いて50nm程度の厚さの非導電性のポリシリコン膜を形成する。このポリシリコン膜14は後の工程で不純物が注入されて導電性となり、金属膜13上に低抵抗膜として設けられる。なお、ゲート電極材料としての低抵抗膜として例えばスパッタ法を用いて、タングステン(W)膜などの金属膜を形成しても良い。
続いて、図31および図32に示すように、pMISトランジスタの活性領域(nウェル3)全体を覆うレジストマスク15を形成した後、レジストマスク15で覆われていないポリシリコン膜14に不純物を注入して、ポリシリコン膜14を導電性とする。その後、レジストマスク15をアッシングによって除去する。
具体的には、先の工程でレジストマスク8を形成するために用いたフォトマスクを適用したフォトリソグラフィ技術によって、基板1の主面上にレジスト膜を形成した後、nMISトランジスタの活性領域(pウェル4)を露出するようにパターニングされたレジストマスク15を形成する。また、nMISトランジスタのゲート電極を構成するために、nMIS領域のポリシリコン膜14にリン(P)あるいは砒素(As)のn型不純物をイオン注入することで、導電性のポリシリコン膜14を形成する。
続いて、図33および図34に示すように、nMISトランジスタの活性領域(pウェル4)全体を覆うレジストマスク16を形成した後、レジストマスク16で覆われていないポリシリコン膜14に不純物を注入して、ポリシリコン膜14を導電性とする。その後、レジストマスク16をアッシングによって除去する。
具体的には、先の工程でレジストマスク12を形成するために用いたフォトマスクを適用したフォトリソグラフィ技術によって、基板1の主面上にレジスト膜を形成した後、pMISトランジスタの活性領域(nウェル3)を含むpMIS領域を露出するようにパターニングされたレジストマスク16を形成する。また、pMISトランジスタのゲート電極を構成するために、pMIS領域のポリシリコン膜14にボロン(B)のp型不純物をイオン注入することで、導電性のポリシリコン膜14を形成する。
ポリシリコン膜14を導電性とするために用いたレジストマスク15およびレジストマスク16は、前述したレジストマスク8およびレジストマスク12と同じ領域を覆うマスクである。言い換えると、本実施の形態におけるレジストマスク8およびレジストマスク12は、従来から用いられているポリシリコンゲートにおけるポリシリコン膜へのプリドープ用のマスクと同様にあえてオーバーラップするようにしている。しかし、本実施の形態におけるレジストマスク8、12をオーバーラップとするための役割は、前述したように、ハフニウム系酸化膜5、9を切り分けのため、またセルの微細化のため、さらには寄生MISトランジスタの生成を抑制するためであるので、プリドープ用のマスクの役割とは相違する。
続いて、図35および図36に示すように、pMISトランジスタの活性領域を構成するnウェル3およびnMISトランジスタの活性領域を構成するpウェル4を横切り、nウェル3、素子分離領域2、およびpウェル4に設けられたレジストマスク17を形成する。具体的には、フォトリソグラフィ技術を用いて、基板1の主面上にレジスト膜を形成した後、pMISトランジスタおよびnMISトランジスタのゲート形成のためにパターニングされたレジストマスク17を形成する。
続いて、図37および図38に示すように、レジストマスク17を用いて、pMISトランジスタおよびnMISトランジスタのゲート電極材料であるポリシリコン膜14およびその下の金属膜13を構成するTiN膜をエッチングする。これにより、ポリシリコン膜14および金属膜13の積層構造からなるゲート電極Gが形成される。その後、レジストマスク17をアッシングによって除去する。
本実施の形態では、nMISトランジスタおよびpMISトランジスタとも同一(共通)のゲート電極材料で構成されており、その同一のゲート電極材料をエッチングするので、異なるゲート電極材料を同時にエッチングするよりも制御が容易である。例えば、ハフニウム系酸化膜5、9上の金属膜13を構成する金属元素が異なると、エッチング形状が異なったり、ハフニウム系酸化膜5、9との選択比が低くなったりしてしまう。エッチング形状が異なるとゲート長あるいはチャネル長がpMISトランジスタ、nMISトランジスタで異なることになる。また、選択比が低くなると、基板1が割れる問題もある。これに対して、同一のゲート電極材料を用いた場合はこのような問題が解決される。特に、微細化されてゲート長が短くなる程、このメリットは大きくなる。
続いて、図39および図40に示すように、ゲート電極材料膜であるポリシリコン膜14をマスクとして、ハフニウム系酸化膜5、9を希フッ酸(dHF)によるエッチングで除去する。これにより、pMISトランジスタおよびnMISトランジスタのソース/ドレイン領域となる活性領域(nウェル3、pウェル4)が露出する。
続いて、図41および図42に示すように、pMISトランジスタの活性領域を構成するnウェル3にソース/ドレイン領域となるp型半導体領域18を形成する。また、nMISトランジスタの活性領域を構成するpウェル4にソース/ドレイン領域となるn型半導体領域19を形成する。
具体的には、レジストマスク8を形成するために用いたフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ技術によって、基板1の主面上にレジスト膜を形成した後、nMISトランジスタの活性領域(pウェル4)を含むnMIS領域を露出するようにパターニングされたレジストマスク(図示しない)を形成した後、pウェル4にリン(P)あるいは砒素(As)などのn型不純物イオンを注入する。また、レジストマスク12を形成するために用いたフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ技術によって、基板1の主面上にレジスト膜を形成した後、pMISトランジスタの活性領域(nウェル3)を含むpMIS領域を露出するようにパターニングされたレジストマスク(図示しない)を形成した後、nウェル3にボロン(B)などのp型不純物イオンを注入する。その後、アニール処理することによって、それら不純物イオンを活性化して、nウェル3にp型半導体領域18およびpウェル4にn型半導体領域19を形成する。
ここで、本実施の形態では、前述したように、素子分離領域2を構成するSTIが削れていないため、注入される不純物はSTIに止まり、その下の基板1に不純物は拡散しない。このため、寄生MISトランジスタが生成される可能性を低減することができる。
続いて、図2および図3に示すように、ゲート電極Gの側面に沿ったサイドウォール20を形成し、ポリシリコン膜14、p型半導体領域18、n型半導体領域19の表面にシリサイド膜21を形成する。次いで、基板1の主面上に層間絶縁膜22を形成した後、所定の位置にコンタクトホール23を形成し、それに導電性材料を埋め込むことによってコンタクト24を形成する。その後、コンタクト24と電気的に接続した配線25を形成する。さらに、図示しないが、例えば、配線25の上層に多層配線を形成し、最表面にパッシベーション膜が形成されることによって、半導体装置が完成する。
具体的には、サイドウォール20の形成は、nMIS領域およびpMIS領域を含む基板1上に、例えばCVD法によって窒化シリコン膜を形成し、その窒化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、パターニングされたゲート電極Gの側壁に形成する。
また、シリサイド膜21の形成は、基板1の主面上に例えばニッケル膜を形成し、熱処理によって基板1およびゲート電極Gを構成するポリシリコン膜14のシリコンと反応(シリサイド化)させた後、未反応のニッケル膜を除去する。これによって、pMIS領域ではpMISトランジスタQpのゲート電極G上およびp型半導体領域18上にシリサイド膜21が形成され、nMIS領域ではnMISトランジスタQnのゲート電極G上およびn型半導体領域19上にシリサイド膜21が形成される。このシリサイド膜21により、後の工程で形成されるコンタクトとの接触抵抗を低減することができる。
また、層間絶縁膜22の形成は、例えばCVD法を用いて酸化シリコン膜が基板1の主面上に堆積される。また、コンタクトホール23の形成は、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、層間絶縁膜22を貫通し、ゲート電極G、p型半導体領域18、およびn型半導体領域19に達するように行われる。
また、コンタクト24の形成は、コンタクトホール23の底面および内壁を含む層間絶縁膜22上に、例えばスパッタ法を用いてチタン/窒化チタン膜を形成した後、コンタクトホール23を埋め込むように基板1上に、例えばCVD法を用いてタングステン膜を形成する。次いで、層間絶縁膜22上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を例えばCMP法で除去することによって、コンタクト24が形成される。コンタクト24のチタン/窒化チタン膜は、タングステン膜中のタングステンがシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆるバリア性を有するものである。
また、配線25は、層間絶縁膜22上およびコンタクト24上にチタン/窒化チタン膜、銅を含有するアルミニウム膜、チタン/窒化チタン膜を順次、形成する。これらの膜は、例えばスパッタ法を用いることにより形成することができる。次いで、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、これらの膜のパターニングを行い、配線25を形成する。
このようにして、基板1上にSRAMを含む集積回路を形成することができる。また、本実施の形態では、SRAMを構成する半導体装置の製造工程について説明したが、SRAMを構成するその他のMISトランジスタも基本的に同様な工程で形成される。以上のようにして、本実施の形態における半導体装置を製造することができる。なお、pMISトランジスタQpおよびnMISトランジスタQnを製造していく工程の順番は逆になっても構わない。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、pMISトランジスタのゲート絶縁膜に含まれるHfAlO膜およびnMISトランジスタのゲート絶縁膜に含まれるHfMgO膜をそれぞれ単層から形成する場合について説明した。本実施の形態では、ベース絶縁膜としての酸化ハフニウム(HfO2)膜に、キャップ膜としてのAl2O3膜およびMgO膜を積層し、HfO2膜にAl2O3膜およびMgO膜を拡散させてゲート絶縁膜(HfAlO膜、HfMgO膜)を形成する場合について説明する。なお、前記実施の形態1と同様の説明は省略する場合がある。
まず、図43に示すように、素子分離領域2を構成するSTIによって互いに絶縁分離されたpMISトランジスタの活性領域およびnMISトランジスタの活性領域をそれぞれ構成するnウェル3およびpウェル4を有する基板1を準備する。
次いで、基板1の主面上に順にベース絶縁膜31、pMISトランジスタのゲート絶縁膜形成用のキャップ膜32、保護膜6およびハードマスク7を積層形成した後、パターニングされたレジストマスク8を形成する。
ベース絶縁膜31は、ALD法、CVD法あるいはスパッタ法を用いて形成された2〜3nm程度の厚さの酸化ハフニウム(HfO2)膜から構成される。このHfO2膜は、酸化シリコンより誘電率が高いので、高誘電率膜である。このHfO2膜に対して、必要に応じて製造途中、最後に窒化や熱処理しても良い。なお、ベース絶縁膜31と基板1との間に界面層として0.5nm程度の厚さで酸化シリコン(SiO2)膜を形成しても良い。
キャップ膜32は、ALD法、CVD法あるいはスパッタ法を用いて形成された1nm程度の厚さの酸化アルミニウム(Al2O3)膜から構成される。このAl2O3膜は、酸化シリコンより誘電率が高いので、高誘電率膜である。なお、Al2O3膜に対して必要に応じて製造途中、最後に窒化や熱処理しても良い。
保護膜6は、下地の高誘電率膜に対してエッチングの選択比が高いものとして、TiN膜を適用する。また、この保護膜6は製造工程上必要な膜であるが、最終製品には存在しない。したがって、容易に堆積形成することができ、選択比が高く除去できる材料が望ましい。本実施の形態では、保護膜6としてTiN膜を適用したのは、スパッタ法で容易に堆積形成でき、窒化チタンを容易に除去できるウエットエッチング材料として過酸化水素水(H2O2)が既知であり、下地である高誘電率膜にダメージを与えずに除去されるからである。本実施の形態では、スパッタ法を用いて10nm程度の厚さのTiN膜を保護膜6として形成する。
ハードマスク7は、保護膜6のTiN膜に対してエッチングの選択比が高いものとして、HCD−SiN膜を適用する。本実施の形態では、CVD法を用いて10nm程度の厚さのHCD−SiN膜をハードマスク7として形成する。
レジストマスク8は、pMISトランジスタの活性領域とnMISトランジスタの活性領域とを絶縁分離する素子分離領域2に係り、pMISトランジスタの活性領域全体を覆うマスクとして用いる。このレジストマスク8は、フォトリソグラフィ技術を用いて、基板1の主面上にレジスト膜を形成した後、nMISトランジスタの活性領域のハードマスク7を露出するようにパターニングされてなる。
次いで、レジストマスク8を用いてハードマスク7をエッチングした後、アッシングによりレジストマスク8を除去する。次いで、このハードマスク7を用いて保護膜6およびキャップ膜32をエッチングすると図44に示すように、pMIS領域ではベース絶縁膜31上に、パターニングされたキャップ膜32、保護膜6およびハードマスク7が設けられる。
続いて、図44に示すように、基板1の主面上に順にnMISトランジスタのゲート絶縁膜形成用のキャップ膜33、保護膜10およびハードマスク11を積層形成した後、パターニングされたレジストマスク12を形成する。
キャップ膜33は、ALD法、CVD法あるいはスパッタ法を用いて形成された1nm程度の厚さの酸化マグネシウム(MgO)膜から構成される。このMgO膜は、酸化シリコンより誘電率が高いので、高誘電率膜である。なお、MgO膜に対して必要に応じて製造途中、最後に窒化や熱処理しても良い。また、キャップ膜33とキャップ膜32は、nMISトランジスタおよびpMISトランジスタ用として最適化されるため、その厚さは異ならせても良い。
保護膜10は、下地の高誘電率膜に対してエッチングの選択比が高いものとして、TiN膜を適用する。また、この保護膜10は製造工程上必要な膜であるが、最終製品には存在しない。したがって、容易に堆積形成することができ、選択比が高く除去できる材料が望ましい。本実施の形態では、保護膜10としてTiN膜を適用したのは、スパッタ法で容易に堆積形成でき、窒化チタンを容易に除去できるウエットエッチング材料として過酸化水素水(H2O2)が既知であり、下地である高誘電率膜にダメージを与えずに除去されるからである。本実施の形態では、スパッタ法を用いて10nm程度の厚さのTiN膜を保護膜10として形成する。
ハードマスク11は、保護膜10のTiN膜に対してエッチングの選択比が高いものとして、HCD−SiN膜を適用する。本実施の形態では、CVD法を用いて10nm程度の厚さのHCD−SiN膜をハードマスク10として形成する。
レジストマスク12は、pMISトランジスタの活性領域とnMISトランジスタの活性領域とを絶縁分離する素子分離領域2に係り、nMISトランジスタの活性領域全体を覆うマスクとして用いる。このレジストマスク12は、フォトリソグラフィ技術を用いて、基板1の主面上にレジスト膜を形成した後、pMISトランジスタの活性領域のハードマスク11を露出するようにパターニングされる。
本実施の形態も前記実施の形態1と同様に、図4にも示したように、先の工程でエッチング用マスクとして用いたレジストマスク8と、このレジストマスク12とが覆う領域が重なるように、pMISトランジスタの活性領域とnMISトランジスタの活性領域とを絶縁分離する素子分離領域2でオーバーラップ(図4ではハッチングが重複している領域V)させている。本実施の形態ではレジストマスク8とレジストマスク12とがオーバーラップできるので、素子分離領域2の幅W(図2参照)を、オーバーラップをさせない場合の素子分離領域2の幅W’(図51、図52参照)より小さくすることができる。これにより、以降の工程を経て製造された半導体装置では、そのSRAMセルの密度を高めることができ、また、縮小化することができることとなる。
続いて、図45に示すように、レジストマスク12を用いて、ハードマスク11をエッチングする。ここでは、ハードマスク11を構成するHCD−SiN膜を、ドライエッチングまたはウエットエッチングのどちらかを用いてエッチングする。
続いて、レジストマスク12をアッシングにより除去した後、図46に示すように、先の工程でエッチング用マスクとして設けられたハードマスク7とオーバーラップするように素子分離領域2に係り、nMISトランジスタの活性領域全体に設けられたハードマスク11を用いて、保護膜10をエッチングする。具体的には、HCD−SiN膜をマスク(ハードマスク11)にして、pMIS領域に露出した保護膜10を構成するTiN膜を過酸化水素水(H2O2)によるウエットエッチングで選択的に除去する。
本実施の形態では、ハードマスク11下まで後退するように保護膜10を構成するTiN膜をウエットエッチングする。前述したように、レジストマスク8と、このレジストマスク12とは素子分離領域2でオーバーラップするように設けられる。そのオーバーラップさせたことによる重複した領域の保護膜10をウエットエッチングで除去する。すなわち、保護膜10を構成するTiN膜を過酸化水素水(H2O2)によるウエットエッチングすることによって、ハードマスク11に覆われて露出していなくても、TiN膜(保護膜10)を選択的に除去することができる。
続いて、ハードマスク7およびハードマスク11を全てエッチングによって除去すると、図47に示すように、保護膜6、10が露出する。具体的には、ハードマスク7、11を構成するHCD−SiN膜を希フッ酸(dHF)によるウエットエッチングで除去する。この際、本実施の形態では、pMISトランジスタの活性領域のキャップ膜33も除去する。言い換えると、保護膜6とオーバーラップするように素子分離領域2に係り、nMISトランジスタの活性領域全体に設けられたマスクとして保護膜10を用いて、nMISトランジスタのゲート絶縁膜を構成するMgO膜(キャップ膜33)をエッチングする。
本実施の形態では、素子分離領域2において、pMISトランジスタのゲート絶縁膜を構成するAl2O3膜(キャップ膜32)と接触するnMISトランジスタのゲート絶縁膜を構成するMgO膜(キャップ膜33)を形成するように、ウエットエッチングを行う。素子分離領域2上においてキャップ膜32とキャップ膜33とが接触しているので、素子分離領域2を構成するSTIがエッチングによって削られることはない。STIが削られない場合、後のソース/ドレイン形成の不純物注入工程で、その不純物はSTIで止まることとなり、その下の基板1にまで拡散するのを防止することができる。これにより、本発明者らが検討した半導体装置において課題となった寄生MISトランジスタが生成される可能性を低減することができる。
次いで、アニール処理を行うことによって、pMIS領域ではベース絶縁膜31のHfO2膜にキャップ膜32のAl2O3膜の構成元素を拡散させて、ハフニウム系酸化膜34としてHfAlO膜を形成し、nMIS領域ではベース絶縁膜32のHfO2膜にキャップ膜33のMgO膜の構成元素を拡散させて、ハフニウム系酸化膜35としてHfMgO膜を形成する(図48参照)。次いで、保護膜6、10を全てエッチングによって除去し、基板1の主面上に順に金属膜13、ポリシリコン膜14を積層形成すると、図48に示すようになる。
その後、前記実施の形態1で説明したように、ゲート電極形成のパターニング工程などを経て、縮小化された半導体装置が完成する。
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、基板としてシリコン基板を用いた場合について説明したが、本実施の形態では、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いた場合について説明する。なお、前記実施の形態1と同様の説明は省略する場合がある。
図49および図50は、本実施の形態における半導体装置の要部を模式的に示す断面図であり、それぞれ図1で示したSRAMを備えた半導体装置の要部を模式的に示した平面図のA−A’線、B−B’線に対応するものである。なお、図49および図50に示すように、SOI基板51は、基材のシリコン基板上に埋め込み絶縁膜52、その埋め込み絶縁膜52上にシリコン層53が設けられてなる。
前記実施の形態1では、基板1を構成するシリコン基板の主面にSTIを形成して素子分離領域2としている。この素子分離領域2はnMISトランジスタの活性領域とpMISトランジスタの活性領域とを絶縁分離するために設けられている。本実施の形態では、その素子分離領域2をSOI基板のシリコン層を除去した領域としている。したがって、SOI基板51に素子分離領域2を形成した後の工程を、前記実施の形態1と同様の工程とすることで、半導体装置を完成することができる。例えば、pMIS領域のシリコン層53ではnウェル3を構成し、そのnウェル3にpMISトランジスタのソース/ドレイン領域を構成するp型半導体領域18が形成される。また、nMIS領域のシリコン層53ではpウェル4を構成し、そのpウェル4にnMISトランジスタのソース/ドレイン領域を構成するn型半導体領域19が形成される。
本実施の形態も前記実施の形態1と同様に、図4にも示したように、先の工程でエッチング用マスクとして用いたレジストマスク8と、このレジストマスク12とが覆う領域が重なるように、pMISトランジスタの活性領域とnMISトランジスタの活性領域とを絶縁分離する素子分離領域2でオーバーラップ(図4ではハッチングが重複している領域V)させている。本実施の形態ではレジストマスク8とレジストマスク12とがオーバーラップできるので、素子分離領域2の幅W(図49参照)を、オーバーラップをさせない場合の素子分離領域2の幅W’(図51、図52参照)より小さくすることができる。これにより、以降の工程を経て製造された半導体装置では、そのSRAMセルの密度を高めることができ、また、縮小化することができることとなる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施の形態では、pMISトランジスタとnMISトランジスタのゲート電極材料を同一とした構造の半導体装置に適用した場合について説明したが、ゲート電極材料を異ならせた構造(デュアルメタル)の半導体装置にも適用することができる。